電「さぁ深海艦載機ちゃんご飯の時間なのですよー」 (35)

艦これのSSです。

ゆっくり書いてきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432816004

その日鎮守府は大規模な作戦を終え、提督からの計らいで慰労会が催された。

ワイワイガヤガヤ…

長門「皆揃ったか?これより提督からのご挨拶がある」



提督「ん…ゴホン…皆よく頑張ってくれた。今日は日頃の緊張した戦場を忘れ楽しんでくれ!」

ワァァァ!

金剛「今日は無礼講デース!提督ぅ!ワイン飲みまショー!!」

提督「あ…あぁ…」

長門「馬鹿者、提督は日本酒だ…さ。まずはいっこん…」

提督「う…うむ…」

ガヤガヤ…

暁「レディたるものお酒ぐらい…」

電「あっ暁ちゃん私達にも用意されてるのです!」

電「ちょっとぐらい大丈夫だって!」

数分後…

暁「ゴクゴク…」

響「ハラショー…」

暁「ぷはっ!ふふんら…!わらしらって立派なレディなんらからね…!」

雷「すげぇ…あんなにお酒飲んで平気な駆逐艦なんて暁だけだ!見直したよ!」

電「暁ちゃん!飲みすぎなのですよー!」

暁「らいじょーぶらもん!…あ、あれ?」フラフラ

雷「おい…大丈夫か?」

電「まったくもう…なのです!ちょっと外の風に当てて来るのです!ほら暁ちゃん行くのですよ!」

暁「うぇぇ…」

ザザァァ…ザザァァ…

波の音がとても静かだった。
熱に浮かれた鎮守府から出ると二人の頬を心地よい夜風が撫でる。

暁「ふぁぁ…」

電「ほら…もうちょっとなのです。浜辺で少し休めば良くなるのです」

暁「う…ん…きぼちわるい…」

電「よしよしなのです」

暁「ごべんなざぁい…」

電「ほら着いたのです。座るのです」



ほんの数時間前には黒煙を上げ炎渦巻く海上にいた電には今目の前にある静かな海が同じ海には見えなかった。

授業で習った深海悽艦は何者で何が目的かも分かっていないと言っていた。

でも実際に戦って電が強く感じた事。

それは「沈みたくない・生きたい」

という意思だけはどの敵も持っているという事だ。



そして電が放った魚雷を受けそうになる深海悽艦を庇い沈んだ敵艦もいた。

「自分を擲ってでも守りたい大切な人がいる」

戦闘海域から帰投して…みんなの笑顔を見て…素直に喜べない自分が不思議だった。

ただ静かに繰り返す波の音の中、電はそんな事を考えていた。

バチチッ…バチチッ…

電「ッ!?」

聞き慣れない音にハッとする。

電「向こうからなのです…暁ちゃんちょっと待って欲しいのです!」ダッ

暁「ぁう…」

タッタッタッタ…

岩かげがチカチカ光っている…
恐る恐る覗き込む電。

電「ッ!?」

なんとそこにあったのは火花を散らして転がっている敵艦載機だった。

キィィン…バチチッ…バチチッ…!!

何度も飛ぼうとモーターを回しているがその度にショートして焼ききれている回路からは火花が跳ねた。

電(どうしようなのです…!皆を呼びに行く…!?でも今なんとかしなきゃダメかもなのです…!?)

敵艦載機「!?」

電(気付かれたのです!?)

電は咄嗟に近くにあった流木を拾い構えた。

電に気付いた敵艦載機は更に激しくモーターを回し最後の力を振り絞って空に浮いた。

電「ッ!!」

と思ったのも束の間、すぐに落ちた。

更に激しく損傷したモーターからは何かのオイルが跳ね敵艦載機はもう虫の息だった。

それでも尚、目の前の電に対しての敵意をむき出しにする敵艦載機。

バチチッ!!バチチッ!!

電「もう…やめるのです…」

ヒィィィィン!バチチチッ!!



電「もうやめるのです!!電は…!電は何もしないのです!!」

気が付くと電は流木を捨て、敵艦載機を抱き締めていた。
オーバーヒート寸前の敵艦載機は文字通り焼けた鉄の様に熱かった。


電「もう…やめるのです…!死んじゃうのあかです…」
ポロポロ

電の溢した涙が熱を持った敵艦載機の装甲に触れ
蒸発する…

敵艦載機「…ゥィィィ…ン」

敵艦載機はモーターを回すのを止め大人しくなった。

誤字訂正

死んじゃうのあかです×
死んじゃうのはヤです○

数日後…

ー廃資材置き場ー

電「…」コソコソ…キョロキョロ…

廃資材置き場の裏手の林を少し進むとボロボロの小屋が立っている。

電が慣れない手つきで建てたバラックだ。

電「深海艦載機ちゃんご飯の時間なのですよー?」

深海艦載機「ヒィィィィン!!!」

電「わっ!待つのです!今日は少し多めに取って来れたのですよ!慌てなくても沢山あるのです!」

深海艦載機「ヒィィン!ヒィン!」ガツガツ

電「ふふっ!おいしいですかぁ?沢山食べて元気になるのですよぉ?」


電は廃材に食べる深海艦載機の頭を撫でながら微笑んでいる。

電「ちゃんと元気になってきてよかったのです。そろそろちゃんとした名前つけてあげたいのですけど…一生懸命考えてはいるのですよ…?でも…」



ファァァァァァァァン!!

突然警報が鳴り響く。

長門「鎮守府正面にはぐれ深海悽艦を数艦確認。第6駆逐隊は至急ドッグへ。繰り返す第6駆逐隊は至急ドッグへ集まるように」

電「もう行かなきゃなのです…」

深海艦載機「キュゥン…」

電「電ももっと一緒にいたいのですよ?帰ってきたらすぐ来るのです!」

深海艦載機「キュウゥン!!」

電「はい!頑張ってくるのです!」

すいません。
深雪か誰かと混ざってました。

以後気を付けます。

ー出撃ドッグー

タッタッタッタ…!

電「お待たせなのです!」

長門「揃ったか…ではこれより哨戒作戦を開始する。無理はしなくてもいい。敵を発見次第戦力を見て旗艦の判断で攻撃又は撤退するように!」

暁「了解ッ!」

長門「いや旗艦は今回に限り…電。お前に任せる」

電「えっ!?電なのですか!?」

長門「提督のご指示だ。出来るか?」

電「え…でも…でも…」

電「やるのです…!!」

長門「…分かった。それでもいいな?暁?」

暁「いいに決まってるでしょ!第6駆逐隊に偉いも偉くないも無いんだから…!でも暁のがお姉さんなんだからねっ!それは忘れないでよね!」

雷「電が旗艦なんだぁ!頑張れ!電っ!」

響「任務…開始…」

電「みんな…!電は頑張るのです!」



長門「では第6駆逐隊発艦準備ッ!!」

電「了解ッ!第6駆逐隊発艦ッ!!なのです!」

バシュゥゥゥゥン!!

鎮守府正面の海は穏やかで敵の気配などまるでしなかった。

第6駆逐隊は辺りに注意しながら索敵を行ったが敵の姿は愚か痕跡すら見当たらない。

暁「おかしいわね…」

雷「私達を出撃させてる間に内緒でおいしい物でも食べてたりして?」

暁「そんな訳ないでしょ!雷が内緒で集めてる敵の部品コレクションがバレたから部屋を空けてる間に全部捨てられちゃってるのよ」

電「内緒…?」ハッ

響「…?」

電「帰らなきゃなのです!」バシュゥゥゥ!!

暁「ちょっと!電!!帰るなら打電打たなきゃよ!」

雷「もう聞こえてないと思うけど…」






ー鎮守府ー

電「…はぁ…はぁ…もう少し…!!無事でいてなのです!!」タッタッタッタ!!

バタン!

電「深海艦載機ちゃん!?」

シーン…

長門「任務を放棄して戻ってきたか…」

電「長門秘書艦…」ビクッ!

長門「ついて来い…提督がお呼びだ…」

電「…深海艦載機ちゃんは…どこなのです…?」

長門「知りたければ着いてこい」


長門「…」ツカツカ

電「…」トボトボ

電(きっとすごく怒られちゃうのです…長門さん怖い顔してるのです…)チラッ

長門「…」キッ

電「…」ビクッ

電(もしかしたら解体…されちゃって…もう…もうみんなに会えないなんて事になっちゃうのです…)ガタガタ

長門「おい…」

電「ひゃい…なのです!!」

長門「入れ」

電「…はい…長門秘書艦…ごめんなさい…。あとお世話になりました…ありがとうなのです…」

長門「…?よく分からんが提督がお待ちだ。早くしろ」

ガチャ…

提督「コラッ!!ダメじゃないか!!」

電「ヒッ!!!」

提督「はっはっは!よしよしいい子だ!言葉が分かるのか…!賢い子だな!」ナデナデ

電「えっ…?」

深海艦載機「キュウゥン♪」

電「深海艦載機ちゃん…!!!」

深海艦載機「キュ!?キュゥゥン!キュゥゥン♪」

電「良かったのです…!!無事で良かったのです…!!!」ギュウウウゥッ

深海艦載機「キュゥゥ?」

提督「私も最初は驚いたぞ電…だがよくやった…敵を懐柔するなんて誰にでも出来る事じゃない」

電「…電は…解体されるんじゃないのですか?」

提督「解体!?なんでそんな事するんだ!?誰に言われた?」

電「だって…敵の艦載機を鎮守府に持ち込んだら…危ないのです…。みんなが危ない目に合っちゃうのです…」

提督「そうだな」

電「敵にみんなの居場所を教える事にもなっちゃうかもしれないのですよ?なのに…なのに電は…」

提督「その通りだ…」

電「だから電は悪い子なのです…ッ!!だから解体されちゃうのです…ッ!!それでみんなにも会えなくなっちゃって…第6駆逐隊のみんなともお別れしなきゃいけなくて…それで…それで…うわぁぁぁぁぁん…!」

提督「ふふっ」ポンポン

電「うぇぇぇぇん!!うぇぇぇぇん…!!」

提督「俺は電を解体なんてしないよ…?」ナデナデ

電「ひぐっ…えぐっ…ほんとなのですか?」

提督「本当さ…提督は嘘を着かない」ニコッ

電「し…深海艦載機ちゃんは…?」

提督「それは君次第だ」

電「えっ…?」

提督「第一艦隊第一水雷戦隊第六駆逐隊所属電ッ!!」

電「ひゃ…ひゃいっ!!!」ビクッ

提督「君に懲罰を与えるッ!!!」

電「ひっ…!!」

提督「捕虜の世話係だ!」

電「ほえ?お世話なのですか…?」

提督「出来るか?出来ないならこの子は我が鎮守府にはいられないなぁ…本部にでも送る事にするか…」

電「あ…あわっ!!あわわっ!!やるのですっ!!やるのですっ!!」

提督「そうか…そう言ってくれると思っていたぞ…」フッ

電「あの…あのその…提督…!ありがとうございますなのです!」

提督「あぁ!お世話頑張るんだぞ!さぁもう下がっていい!皆には秘書艦長門より通達しておく。もうコソコソしてなくてもいいんだ胸を張って世話をするんだぞ」

電「はいっ!!なのです!!」



数日後ー

深海艦載機「キューン!!」

零型戦闘機「…!!」ダダダダダダ…!!



提督「やっているな」

電「あっ提督っ!お疲れ様なのです!」

赤城「提督っ!お疲れ様です!」

提督「新しい演習はどうだ?」

赤城「はい!動かない的を狙うより遥かに効率的な演習だと思います!」

提督「そうかそうか…。電のお陰で演習の幅も広がったな。ありがとうな」

電「…えへへなのです…///」

提督「赤城。余り無理はするなよ」

赤城「はい!御心遣い感謝致します!」

提督「うむ」





数日後ー

深海艦載機「キューン!!」

零型戦闘機「…!!」ダダダダダダ…!!



提督「やっているな」

電「あっ提督っ!お疲れ様なのです!」

赤城「提督っ!お疲れ様です!」

提督「新しい演習はどうだ?」

赤城「はい!動かない的を狙うより遥かに効率的な演習だと思います!」

提督「そうかそうか…。電のお陰で演習の幅も広がったな。ありがとうな」

電「…えへへなのです…///」

提督「赤城。余り無理はするなよ」

赤城「はい!御心遣い感謝致します!」

提督「うむ」


提督「ふぅ…」

長門「提督」

提督「長門か…分かっている。危険だと言いたいのだろう?」

長門「分かっているなら何故…」

提督「賭けたいんだ。あの子に…」

長門「提督…」

提督「不満か…?」

長門「提督に従う為に産まれた私達には貴方が賭けると決めたらそれに付き従う他ありません」

提督「すまん…」

長門「ですが…その賭け。最後まで付き合わせて下さい。深海凄艦との意志疎通。私もすごく興味があります」

提督「あぁ成功させてみせるさ」

長門「明石に先程の件…伝えて置きました」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom