男「…女性にとって甘いものが別腹なようにですね」 幼馴染「違う!」ドンッ (27)


幼馴染「男、ついこのあいだ私に告白してくれたよね」

男「はい」

幼馴染「その時から私達、付き合ってるよね」

男「はい」


幼馴染「私は貴方の何ですか?」

男「彼女さんです」

幼馴染「よろしい、では貴方の好きな異性は誰ですか?」

男「幼馴染です」

幼馴染「Good、その通り。ノープロブレム」

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男「じゃあ」

幼馴染「プロブレムなのは、コレだよね?」スッ

男「…女性にとって甘いものが別腹なようにですね」

幼馴染「違う!」ドンッ

男「うぐ」


幼馴染「甘いものもそうでないものも、食べ物は食べ物。それを食べるのは人間です」

男「はい」

幼馴染「この汚らわしいDVDは人間の女性を映してるよね?」

男「そうです」


幼馴染「つまりなに? あえて食べ物に例えれば男にとってメインディッシュは私だけど、違う女の子も別腹として可ってわけ?」

男「それは違う、幼馴染は立体的にそこに存在するけど、DVDの女の子は画面…」

幼馴染「シャラップ、皆まで言うな」

男「………」


幼馴染「あのね、男のヒトはやらしい動画を観たりする、そんなの解ってる」

男「うん」

幼馴染「だけどさ、あんまりじゃない? タイミングが」

男「タイミングですか」


幼馴染「これが一年も二年も付き合って、その…私と…ゴニョゴニョな感じを経て」

男「そこ詳しく」

幼馴染「却下、とにかくそれで『たまには観たい』なら解りますよ?」

男「はい」

幼馴染「でも違くない? 私達まだホヤホヤだよ? 私、ここ最近ずっと男の事ばっか考えてるよ?」

男「それは嬉しい」


幼馴染「そこでなんで男は違う女の子の裸に意識がいくわけ?」

男「生理現象的に蓄積されるものはされるわけでだな」


幼馴染「なんでそれを発散するのが違う女の子なの?」

男「幼馴染の裸とかここ10年は見た事ないし…」

幼馴染「……ぐ、想像するんじゃ…だめなわけ?」

男「やっぱ視覚的な情報が欲しいです」


幼馴染「で、でもこのDVDでは女の子が男優さんにあんな事やこんな事をされてるわけでしょう?」

男「だとしたら?」

幼馴染「つまりそれを観るって事は、男はその男優さんに自分を置き換えて愉しむよね?」

男「……まあ、AVってのはそういうものかな」

幼馴染「ほら! 男は視覚的な要素だけじゃなく、違う女の子とやらしい事する願望を満たそうと──」


男「──幼馴染、このDVDに男優は出てこないんだ」

幼馴染「えっ?」


男「これは一種のイメージビデオみたいなもので…セクシーな姿の女の子は出てくるけど、行為そのものは何も無いんだよ」

幼馴染「……じゃあ、単純に視覚的欲求を満たそうとしただけって事?」

男「うん、そう」


幼馴染「むぅ…でもやっぱ気分悪い、違う女の子でスッキリしようって時点で今は何か嫌」

男「お、俺だってさ…幼馴染のそういう姿が見られたらそれが一番だよ」

幼馴染「む」

男「だからこそ、こういうイメージビデオを借りたんだ」

幼馴染「…どういうこと?」


男「そりゃ付き合い始める前はもっと露骨なAVとかも観てたよ?」

幼馴染「うん、それは構わないと思うよ」

男「でも今そういうの観てもさ、つい女優を幼馴染に重ねちゃうだろ…?」

幼馴染「う、うん…」


男「もちろん男優を自分に重ねるとしても…でもなんとなく嫌なんだよね」

幼馴染「嫌? なにが?」

男「その…俺の大事な幼馴染を陵辱されてるみたいで」テレテレ

幼馴染「男…」ジーン


男「だから、行為のないやつにしたんだ」

幼馴染「ちょっと感動した」


男「というわけで、部屋に帰ってくれる?」

幼馴染「なんで?」

男「それ観るから」

幼馴染「嫌だ」

男「ええー…」


幼馴染「じゃあ、一緒に観よう」

男「は?」

幼馴染「男がどういう視覚的刺激を求めてるのか、興味あるし」

男「なにそれめっちゃ恥ずい」


幼馴染「はいはいそれではディスク挿入っと」カタン…ウィーン

男「ちょ、俺まだイエスもノーも言ってないんだけど」

幼馴染「始まったよー」ワクワク

男(…なんでノリノリっぽいんだ)


~~~♪


幼馴染「ふむふむ…今のとこ普通に可愛い女の子が制服ではしゃいでるだけだね」

男「だからそれだけの映像なんだって」


幼馴染「いいえ、違うはずです」フンス

男「え?」

幼馴染「だってそれじゃ…その……さっき言ってた『蓄積されたもの』の問題は解決できないじゃない」ゴニョゴニョ

男(……できなくもない、とか言ったらややこしいんだろうな)


幼馴染「あ! 今、この娘パンツ見えたよ!? ほらエッチじゃん!」

男「今のは白くても水着だと思うよ。このモデルの娘ほんとに高校生らしいし、下着は映さないはず」

幼馴染「へ…? 制服のスカートの下に水着って、それ意味あるの?」


男「まあ擬似的にパンツに見せるためなんだろうけどね」

幼馴染(それで嬉しいのか…)ウーン…

男「な? もう解ったろ? じゃあイジェクトしようぜ──」

幼馴染「──ストップ」ピッ


男「……まだなにか?」

幼馴染「ちょっと部屋に戻ってくる、待ってて」


 * * *


男「…なぜわざわざ制服に着替え直した」

幼馴染「だって…制服の女の子ですっきりしようとしてたんでしょ?」モジモジ


男「本人を目の前にしてスッキリできるわけないだろ」

幼馴染「そこは記憶してですね」

男「制服姿の幼馴染は見慣れてるけどな」

幼馴染「酷い!」ガーン


男「いや! 好きだけど! 可愛いけど!」アセアセ

幼馴染「……まあいいや、気を取り直して」

男「ん?」

幼馴染「再生します」ピッ

男「…はい?」


~~~♪


幼馴染「うわ、体操座りしてパンツ…じゃなかった、水着見せてる…」

男(くっそ、いつまで生殺しにされんだよ…って──!?)


幼馴染「──こう…かな…?」ササッ…


男「ちょ! お前なにやって…!? パンツ見えてるぞ!」ドキッ

幼馴染「こ、これ水着だから! 真っ白じゃなくて薄い水色だけど、去年プールで見たでしょ!?」

男「あ…ああ……水着か…いや、でも…」アワワ…


幼馴染「画面の方はあんまり見ないで……その…私を見て…?」ドキドキ

男(なんだよ、モデルの真似するつもりか…? だとしたら、この後は──)


~~~♪


幼馴染「──うっ……あ、脚を開いてくの…?」サササ…

男「うわ、まじで真似するのかよ」

幼馴染(うう…めっちゃ見てる……スカートの中、凝視されてる…)ハァ…ハァ…

男(こいつ、冒頭の辺りだけ見て甘く見積もりやがったな…)


幼馴染「ふぇ…っ! よ、四つん這いになるの!?」ガーン

男「もう無理しなくていいから──」

幼馴染「──む…無理じゃないし!」ガバッ

男「だってお前、モデルは四つん這いで胸を床に着けて、お尻を上げて…!」


…ソーッ、トサッ…ファサッ


幼馴染「ここ、こ…こう…でしょ…?」ハァ…ハァ…

男「ソウデス」ピキッ


幼馴染「こんなポーズが好きとか、男って変態だったんだ…」ドキドキドキ

男(…なんかモデルに対抗して意地になってるんだな)

幼馴染「ほ、ほら…カメラが寄ってるよ。近付いていい…ょ…」

男(あー、もうだめ。もう無理、こんな格好されたら…)ギクシャク


幼馴染「なんで動きがぎこちないのよ? え…まさか──」ハッ…

男「──ま…前屈みにしかなれねーんだよっ」フンス


幼馴染「それって……うわ、わわわっ…近い! カメラ、そこまで寄ってないよっ!?」

男「うるせえ、お前が言ったんだろ! 記憶しろって!」ハァハァ

幼馴染「そ…そうだけど……うぅ…」ドキドキ

男(やべぇ…こんな至近距離で幼馴染のお尻……触りてえ…!)ソーーーッ…


~~~♪


幼馴染「あっ! シーン変わったよ!? はい、おしまいっ!」ササッ

男「くっ…!」


幼馴染「今度はベッドでお昼寝してる感じだね、シーツだけどちゃんと身体にかけてるし…これも裸じゃないよね?」

男「……確か水着つけたままだったと思う」

幼馴染「あ…寝返りうった、ほんとだ肩紐からして色が違うけど水着つけてる」


男「うん、じゃあ…どうぞ」

幼馴染「へ?」


男「モデルの娘、水着姿だよ?」

幼馴染「同じ色の水着は持ってないよ」

男「………」ジトー


幼馴染「わ…解ったよ…制服を脱げばいいんでしょ」クッ…

男(きたーーーーっ!)グッ!


…ゴソゴソ、シュルッ…パサッ


幼馴染「うぅ…シーツ羽織ってても恥ずかしい…」モジモジ

男「モデルの娘、横向きで目を閉じてるよ」

幼馴染「はい…これでいい?」ゴロン


男「……ここで風でシーツがはだける…っと」パサッ

幼馴染「ひゃっ!? う、嘘だ…もうっ!」

男「本当だって、ほら」


~~~♪


幼馴染「ぐ…本当なんだ…」

男「はい、目を閉じて」

幼馴染「う、うん…」


男(これ、やばくね? 水着とはいえ見かけはパンツのお尻を露出して目を閉じた幼馴染がここに…)


幼馴染「…まだシーン変わらない?」ソワソワ

男「うん、アングルが変わってるだけ」

幼馴染「そっか…」ドキドキ


男「…えっとな、幼馴染。ここでDVD静止してもいいか?」

幼馴染「えっ…こんな格好で!?」

男「ちょっと止める、動くなよ」ピッ

幼馴染「そんなのズルイよぅ…」ドキドキドキ…


男「違うんだ、この後って水着だからこそだけど、水ぶっかけられるんだ」

幼馴染「あー…それは再現できないねー」

男「それからプールで泳いだりとか、無理なシーンが続く。だから…その、記憶させてもらうなら今がいい」

幼馴染「……っ…」


男「そのまま、止まっててくれるか…?」ドキドキ

幼馴染「い…いいよ……満足したら声掛けてね…?」モジモジ

男「解った──」


幼馴染(──うぅ…男、今どんな顔して眺めてるんだろ)ドキドキ…

幼馴染(どこを…って、そりゃお尻だよね…)

幼馴染(わ…!? なんか、お尻の近くに体温がある気が…)ソワソワ

幼馴染(なんかくすぐったい…息がかかってる?)


幼馴染(…きっと今、男は興奮してるんだ)

幼馴染(私の身体で…発情してる、やらしいなぁ…)


幼馴染(………)ハァ…ハァ…

幼馴染(ううん…)ゴクリ

幼馴染(私も…やらしい…)ピクン…ッ


幼馴染(…長いなぁ)

幼馴染(なんか物音がするような…?)


ゴソッ…コソコソ…


幼馴染(ゴソゴソ…? なんだろう?)

幼馴染(………)


幼馴染(もし音のしないデジカメとか持ってて写真撮られたら…)

幼馴染(男がそれをバラ撒いたりはするわけない、でも恥ずかしすぎるよ)

幼馴染(それを男が夜のお供にしてくれるなら、嫌なわけじゃない…けど)

幼馴染(だけど…やっぱり…!)


幼馴染「お、男…ちょっと目を開けるよ?」パチッ…ムクッ


男「げっ!? だめだ! 今は…!!」

幼馴染「えっ──?」クルッ


 * * *


男「──本当に申し訳ございませんでした…」シュン…


幼馴染「ウェットティッシュ! もっと!」グスンッ

男「はい」

幼馴染「うぅ…髪にも散ってるしっ」フキフキ

男「お恥ずかしゅうございます…」


幼馴染「私は記憶してって言ったし、男もそうするって言ったじゃん!」

男「仰る通り」

幼馴染「もう…誰も『見ながらすっきりしたらいいよ』なんて言ってないしっ!」フンスフンス

男「どうにも堪えきれず、面目ない」


幼馴染「罰としてこのDVDは没収! ほら、ケースはどこ!?」

男「ケースは無いです…中古ジャンク扱いで安かったので…」

幼馴染「むぅ…じゃあこの空のCDジャケット借りてくよ、私の部屋で他のケースに移したら返すから」

男「はい…」


幼馴染「ん…? このCDケース、二枚組用…ベスト盤のやつなの? …って──!!!」ヒョイ…パタム

男「げっ」


幼馴染「──なに? この『完全主観映像で送る!隣りのお姉さんラブラブ筆おろしレッスン!』ってDVDは?」ニッコリ


男「つ、次はそれをシミュレートするとかどうかな…なーんて」アハハハハ…

幼馴染「……男」

男「ハイ」


幼馴染「今度、男性が拘束される側の陵辱モノ、手配しとくから──」





《おわり》

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