提督「姉上はもういない」 (205)


   エーン    エーン

??「……泣くな、T」

??「お前は男の子だろう?」

??「そんなに女々しい声を上げるんじゃない」

男児「だって、だって、姉上……」グスグス

??「またいじめられたのか? なぜ、殴り返さない」

男児「日本男児たる者、むやみやたらと暴力はふるわないものです」グスグス

??「それも時と場合によるだろう」ハァ

??「まったく、お前はしょうがない奴だな……」ナデナデ

……………………

………………

…………

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※関連SS

提督「母上がお越しになる?」
提督「母上がお越しになる?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432207757/)

提督「妹が来るそうだ」
提督「妹が来るそうだ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432370126/)

※注意!

当SSは近親強姦、レイプ、陵辱、拷問など、過激な表現を含みます。
苦手な方はもちろん、心臓の弱い方もお気をつけください。

提督「……ん」

提督「…………夢、か」

提督「…………」

加賀「どうしたの?」

加賀「こんな時間に目を覚まして……」

提督「起こしてしまったか? すまない」

提督「いや、昔のことを思い出していてな」

加賀「昔のこと?」

提督「ああ、私が小さな時のこと――」

提督「姉上が、まだ生きていた時のことだ」

加賀「……」

加賀「お姉様もいらっしゃったの?」ビックリ

提督「ああ、いる」

提督「いや、正確にはいた、だな」

提督「会戦時の混乱期に、艦隊を率いて、サーモン沖に突撃をしかけてな――」

提督「それ以来、行方不明だ」

提督「深海棲艦に蹂躙され、死んだのだろうと言われている」

加賀「……そう」

加賀「……聞いていいかしら?」

加賀「お義姉様のことを――」

提督「……ああ」

提督「そうだな……」

提督「あの人は、強くて、気高くて、優しくて……」

提督「深海棲艦の進行を食い止められたのも、あの人のおかげで――」

~翌日 執務室~

赤城「提督、第一遠征隊が帰還しました」

大淀「第二遠征隊も同様です」

提督「うむ、鼠輸送任務は順調のようだな」

提督「この調子で物資を集めよう」

二人「はい」

提督(……)

提督(……昨夜は懐かしい夢を見たな)

提督(姉上、か……)

ピーッ! ピーッ!

大淀「っ!!」

提督「なんだ」

大淀「第三遠征隊より入電!」

大淀「未確認の機影が、トラック泊地に向かって進行中とのこと!」

提督「……威力偵察か? 数は?」

大淀「鬼、もしくは姫級と思われる機影が1!」

大淀「海上を高速度で疾走している、とのことです!」

提督「まさか――」

提督(南方棲戦姫。また復活したのか!?)

提督「至急、第一、第二、第三迎撃隊を編成!」

提督「緊急時のプログラムに沿って、順次出撃!」

提督「相手は一機だと侮るなよ! 大規模部隊による奇襲、空襲も考えられる!」

提督「レーダー、ソナーから目を離すな!」

大淀「はいっ!」

赤城「提督、私も出撃いたします」ペコリ

提督「ああ、頼んだ」

提督(さて、艦隊の展開は間に合ったが――)

提督(敵の目的が分からないな。玉砕覚悟の自爆戦法か?)

提督(いや、それにしては――)

長門『ぐあっ!?』ザザー

陸奥『きゃ、きゃあっ!? なんなのっ!?』ジジッ

提督「っ!?」

提督「どうした? 何があった!?」

長門『提督、申し訳ありません!』ザザッ

陸奥『第一防衛線が突破されたわ!!』ジッ

提督「なんだと……!?」

提督「馬鹿な、早すぎる。敵の機動力はどれほどの――」

赤城『きゃあっ!?』ザー

加賀『くっ……!』ザザー

提督「今度はどうした!?」

赤城『第二防衛線……』ザザッ

加賀『突破、されました……!』ジジー

提督「馬鹿な……!?」

提督(想定外だ!)

提督(――いや、まさか、このための単艦突撃!?)

提督(機関部を暴走させ、極限の加速をもって――)

提督(敵陣を突破。そして、敵拠点にて――)

提督(自爆)ゾクッ

吹雪『駄目です、最終防衛線、維持できませんっ!』ザザーッ

島風『提督、逃げて! 逃げてーっ!!』ジジッ

提督「くっ……!」

提督「泊地を一時放棄する!」スクッ

提督「全艦隊に伝令! 当泊地、特に弾薬貯蔵庫からは距離を取り――」

大淀「っ! 駄目です、間に合いません!」

大淀「レーダーに感! 敵艦が――」

大淀「ここに飛び込んできます!!」

提督「っ!!!!」

提督「大淀、逃げろ――」ドンッ

大淀「提と――」

――カッ!!!!

提督(くっ……!)

提督(こんなことなら……)

提督(最後に、大淀と秘書セクハラプレイを楽しむべきだった……)

提督(……いや、香取も混ぜて――)

提督(女教師に叱られプレイ、というのも――)

提督(……何にせよ、心残りはあるが)

提督(みんな、どうか生きて――)

提督(………………?)

提督(おかしい。走馬灯にしても長すぎるような……)チラッ

ガラガラ

モクモクモクモク……

??「……」

??「久しぶりだな、T」

??「元気にしていたか?」

提督「あ、あああ……!?」

提督「あねあねあねあね……!?」ガクガク

提督「――姉上ぇ!?」

姉上「――ああ」ニッコリ

提督(黒い軍服、金色のボタン)

提督(ボロボロの外套に、帽子の下のざんばら髪――)

提督(そして、爛々と光る目と、ギラリと光る白い犬歯!)

提督(姉上だぁ……姉上が来たぁ……)ガタガタ

提督「あ、姉上。お久しぶりです」

提督「ですが、し、し……死んだ、はずでは?」

姉上「お前は何を言っているんだ」

姉上「こうしてここにいるし――」

姉上「二本の足もそろっているぞ」

姉上「その姉を、どうして死霊と見間違うのだ」

提督「ですが、サーモン沖で英霊となって――」

姉上「ああ。あれは手痛い惨敗だった」

姉上「怪我を治すのに三日かかり――」

姉上「復讐を遂げるのに二年もかかった」

姉上「私もまだまだ未熟者ということだな」ワハハ

提督「そ、そうでしたか……」

提督(死んでいないとは思っていたが――)

提督(できれば静かに眠っていてほしかった――!!)

提督「そ、そ、それで、今日は何の用で……?」オソルオソル

姉上「ん? なに、可愛い弟が結婚したと聞いてな」

姉上「祝いと――」

提督「そ、そうでしたか」ホッ

姉上「私も負けじと――」

提督「……え?」

姉上「子作りに来たのだッッッッ!!」クワッ!!

提督「~~~~~~~っ!?」ゾクゾクゾクゾク

姉上「来いっ、T!」グイッ

姉上「お前には私と――」

姉上「 ま ぐ わ っ て も ら う ! ! 」ガバッ

提督「や、止めてぇ!! 止めてください、姉上ぇぇぇ!!」

提督「誰かっ、誰か助け」

姉上「ワハハハハハハハハハハッ!!」ピョーン!

提督「いやぁぁぁぁぁぁぁ…………」





大淀「……」ポカーン

大淀「……はっ!?」

大淀「み、皆さんにお知らせしなければ……!」チャッ

~南西諸島 某基地跡~

提督(こ、ここは……?)

提督(放棄された、補給基地か?)

提督(あちこちボロボロで……)

提督(その割には、生活感があるような……)

姉上「T!」ガチャ

姉上「準備ができたぞ――」ニヤリ

提督「あわわわわわわ……!?」ガクガク

姉上「さあ、性交に耽ろうか」バサッ

提督「な、な、なぜ私なのです?」

姉上「ん?」

提督「なぜ、よりにもよって血縁者の私を相手に――!?」

姉上「私は自分より強い男を知らん」

姉上「そのような男を相手にしても、軟弱な子どもが生まれるだけだ」

姉上「だが、私と似通った血を持つ者とならば――」

姉上「一騎当千の益荒男さえ、生まれるとは思わんか――?」ニィ

提督「鬼が生まれる! 鬼が生まれる!!」ガタガタ

姉上「ええい、五月蝿い」

姉上「口を閉じろ、T」

姉上「舌を噛んでも知らんぞ――」クチュ

提督「あっ……!?」

提督(くっ、姉上が、あの姉上が私の上に馬乗りとなって――)

提督(秘所を男根にあてがい、呑み込もうとしている――!)

提督(姉上は美人で、色白で、胸が大きくて――)

提督(そのくせ、身体は適度に引き締まっていて――)

提督(いけないと分かっていても――)

提督(つい、興奮してしまう――!)ビンビン

姉上「――いい子だ」ニィ

姉上「さあ、今こそ――!」

姉上「結合の時ッッッ!!!!」グイッ

提督「~~~~~っ!!」



カキンッ



提督(……あれ?)

提督(なんだ、今の感覚は……?)

姉上「……どうした、Tよ」

姉上「貴様ッ! 百戦錬磨の兵(つわもの)ではないのかッ!!」

姉上「未通女(おぼこ)の処女膜さえ貫けぬとは――」

姉上「恥を知れッッッッ!!!!」

提督「処女膜!? しょ、処女膜なんですか、この硬いのっ!?」

提督「って、いたたたたたっ!? む、無理に押しつけないでくださいっ!」

提督「折れるっ! 私のナニが折れてしまうっ!?」

姉上「Tよ。お前は本当にしょうがないやつだ――」

姉上「仕方がない。この姉が手伝ってやろう」

提督「――姉上?」

提督「何を……」

姉上「――っ」スゥッ

姉上「噴ッッッッ!!!!」グッ!!

提督「かっ!?」ギシィ!!



ミリ、ミリミリミリ……



バツンッッッッ!!!!



提督「か、はっ……!?」

姉上「……」

姉上「く、くくく……」ニィ

姉上「見事だ」

姉上「――これが、破瓜の血というものか」

姉上「いつ以来か。他者の手によって流血するのは」

提督「あ、あ、あ……?」ガクガク

提督(な、なんだ、この膣は……!?)

提督(万力のように締めつけられて――)

提督(気を抜くと、一瞬で肉棒が噛み千切られそうだっ!!)ブルッ

姉上「どうした、Tよ?」

姉上「男は腰を振らねば吐精できないのであろう?」

姉上「お前が動かぬのならば――」

姉上「この姉が先に動くぞ?」グッ

提督「がっ!? ひっ!?」ビクビクッ

提督「あああっ! 姉上っ!! あねう゛え゛っ!?」ビクビク

姉上「ふふっ、変わらないな、T」

姉上「お前はいつも、少女のような声を上げて――」グイグイ

提督「あああああああっ!?」ガクガク

提督(か、か、か……!?)

提督(海綿体に、血を送り続けるんだっ!!)

提督(ちょっとでも萎ませてみろ……)

提督(その瞬間、私の相棒は握り潰されるっ!!)ゾーッ

提督(血流を意識するんだ……局部に血を集中させて……!)

提督(行為の終わりまで、何とか持たせ――)

姉上「むっ、Tよ」

提督「な、なんですか、姉上?」

姉上「姉は――」

姉上「――気をやるぞッッッッ!!!!」ビクビクッ!!

提督「あがっ……!?」

提督(膣が……収縮して……!?)

提督(ポンプみたいに……動いて……!!)ビクビク

提督(ひぃ、し、搾り出されるっ!!)ドクンッドクンッ

姉上「ふぅ――」

姉上「くくく、分かる、分かるぞ」

姉上「お前の優秀な種が、子宮に入り込んでくるのが分かる」

提督「あ、姉上、今ならまだ間に合います」

提督「抜いてください。もしかしたら、それで――」

姉上「――遅い」

姉上「分かるか? 私の卵子が、貴様の精子に喰らいつき――」

姉上「――今。着床した」ニィ

提督「っ!?」

提督「わ、わああああっ!?」ブンブン



ワァァァァ……

~事後~

姉上「では、姉は出かけてくる」

提督「どちらへ……?」

姉上「戦場だ。母上は身重の身体で、あえて戦場に出たと聞く」

姉上「ならば私も、それに倣わない理由はあるまい」

提督(鬼の所業だ……!)ガクガク

姉上「しばらくはここで、兄弟仲良く過ごそうではないか」

姉上「貴様の身の回りの世話は部下に任せている」

姉上「たまには骨休めをするがいい」シュバッ!

提督「……行ってしまわれた」

提督(……この隙に、逃げ出そうか?)

提督(いや、また連れ戻されるだけだ。それはいけない)ゾーッ

提督(妹が母上の明晰な頭脳、判断力を継いだ子なら――)

提督(姉上は、母上の覇気、狂気、凶悪さを色濃く継いだお方だ)

提督(しばらくは言われる通りにして――)

提督(地道に説得し、解放の機会を伺おう)

コンコン

提督「ん?」

提督(そういえば、部下がいると聞いていたな)

提督(ちょうどいい。通信機を貸してもらって、泊地に連絡を取ろう)

提督「どうぞ、入ってください」

??「失礼します」

ガチャ

提督「……んなぁっ!?」

提督「しししししし、深海棲艦っ!?」

港湾棲姫「……」

空母棲姫「……」

戦艦棲姫「……」

泊地棲姫「……」

戦艦レ級「……」

空母ヲ級「……」

提督「不覚っ!」バッ!

提督「まさか、ここまで接近されるとは……!」

提督「だが、私も誇りある海軍将校だ!」

提督「ただでは死なんぞっ!!」

ヲ級「……」

港湾「あの、落ち着いて……」

空母「話を聞け、話を」

戦艦「まったく、困ったものね」

レ級「ぎひっ♪」ケラケラ

提督「……?」

提督「……」

提督「襲っては……来ない、のか?」

泊地「襲わない。それどころか、もてなすように言われている」

提督「言われている? 誰に?」

戦艦「お姉様に――我々を鹵獲した、あのお方に」

提督「鹵獲ぅ!? どうやって!?」

港湾「力ずくで、無理やり……」ウゥゥ

港湾「『カタコトで喋るなッッッッ!!!!』と言われて、」

港湾「必死に日本語の勉強もさせられて――」ワッ

提督「勉強でどうにかなるものだったのか……!?」

泊地「とにかく、貴方は私たちにとってお客様なの」

空母「世話をしよう。何でも言いつけて」

戦艦「ここから逃がしてやることはできんが――」

レ級「被害者仲間同士、仲良くしようぜっ」ケラケラ

ヲ級「ヲッキュ!」ヨロシク

提督「あっ、ああ」

提督「……」

提督(なんとも……)

提督(妙なことになってしまったな……)

~その夜 客室にて~

提督(結局、通信機は借りられなかったな……)

提督(そもそも、基地としての機能が死んでいる)

提督(廃墟に姉上が流れ着き、生活の場として改装された、というところか)

提督(……泊地のみんなが心配だが)

提督(私が『姉上!』と叫んだ場に大淀がいた)

提督(彼女が母上か妹に問い合わせて――)

提督(きっと、事情の説明だけは行われるだろう――)

提督(今日は色々なことがあり過ぎた)

提督(少し早いが、早く寝てしまおう)ゴロリ

提督(ふう……姉上、どうせ死んではいないだろうとは思っていたが、)

提督(再会が唐突過ぎます……)

提督(zzz)スヤァ





??「………………」

~深夜~

提督(……)

提督(……ん?)

提督(誰かの気配を、感じるような……?)

提督(誰だ……?)

深海棲艦「……」ギラリッ

提督「――っ!?」

提督(暗闇の中、鬼火のような目がいくつも……!!)

戦艦「ニンゲン、クウ」グイッ

空母「クッテ、ニンゲンノチカラ、テニイレル」ビリビリ

提督「やっ、止めろ!」

提督「私を食べても美味しくないぞ!!」

提督「やめ、止め――っ!」

チュプ

提督「……?」

提督「う、くっ……なに、を……?」

港湾「ん、くっ」チュパ、チュプ

提督「お前たち、何のつもりだ……!?」

戦艦「聞いたわ。ここから出るものを吸収すれば、強くなれるのでしょう?」

空母「我々は強くなりたい。あの女の支配下から脱したい」

泊地「深海棲艦の誇りを取り戻す。そのためには――」

港湾「あの人と、同じ血を取り込んで……ちゅ、ちゅっ」

提督「くあぁ……! や、止めろ!」

提督「姉上が特別なだけで、私はただの人間……!」

提督(……待てよ?)

提督(この子たちと協力する、というのはいいかもしれない)

提督(幸いにして、話は通じるし――他の深海棲艦に比べ、理性的ではある)

提督(思えば、春雨も深海棲艦からの転身組だったな……)

提督(姉上の支配下を脱するために手を結び)

提督(その後は、泊地に来てもらう)

提督(それがいい――というか、それしかない)

提督(うん、ここは私も、身を粉にして働こう)

提督「――分かった。協力しよう」

ヲ級「ヲ?」

提督「艦娘、および深海棲艦は、心理状態によって強さが上下する」

提督「高揚、または激昂することで、君たちは強くなれる――」

提督「また、君たちは何らかの要因で進化することも知られている」

提督「どちらかの手により強くなり、姉上の支配を脱しよう」

レ級「話が分かるじゃん!」ヒヒッ

提督「だが、約束してくれ」

提督「脱出後もお互いに手を出さないこと」

提督「そして、良ければ私の元に来てくれることを」

提督「それを約束してくれるのであれば――」

提督「私が、君たちを強くしよう」

戦艦「……そうね」

泊地「後者は承服しかねるけれど――」

空母「約束してやってもいい」

空母「だが、忘れるな」

戦艦「結果が出なければ、その時は――」

港湾「自暴自棄になった私たちが――!」

提督「……分かった」

提督「私を信頼してほしい」

提督「私はトラック泊地を預かる提督!」

提督「君たちを失望させることは――」

提督「絶対に、しないっ!」キリッ

深海棲艦「……!」トゥンク

提督「では、手始めに――」

提督「君たちを、心身ともに――」

提督「満足させてみせる!」ガバッ

港湾「あっ……!」ドキッ

提督「さあ――」

提督「夜はこれからだ」ビンビンッ!



アアアァァァァ~~~~……

提督(こうして私の新しい生活が始まった)

提督(艦娘ではない、深海棲艦を相手にした、試行錯誤の毎日)

提督(冷たい身体を持つ、異形の少女たちを相手にして――)

提督(果たして、私は結果を出せるのだろうか?)

提督(ここから逃げ出せるのか? 姉上を下せるのか?)

提督(そして、トラック泊地に帰れるのだろうか――?)

提督(悩みは尽きず、未来はまだ、見えない)

提督(――だが)

提督(深海棲艦と心と体を交わすことで――)

提督(段々と、何かが見えてきたような気がする――)

今晩はここまで。
続きは明日の夜から。
ではでは。

~ある日 リネン室~

提督(思った以上に補給基地は整備されていたが……)

提督(こればかりは、毎日の洗濯、日干しが欠かせない)ヨイショ

提督(……うむ。シーツはこれぐらいでいいかな)

提督(後はタオルだが――)

クイクイ

提督「む? お前は偵察機?」

提督「すると、彼女が……」

ヲ級「ヲッヲキュ~」ヒョコッ

提督「ヲ級か。どうした、昼食はまだだぞ?」

ヲ級「ヲッキュ」フルフル

提督「違うのか? なら、艦載機の整備を手伝ってほしいのか?」

ヲ級「ヲッヲ」フルフル

提督「これも違うのか? なら……」

ヲ級「……」

ヲ級「ヲキュ」ダキッ

提督「むっ?」

ヲ級「ヲキュ~」スリスリ

提督「そのように甘えた声を出して……」

提督「なるほど、『催した』のか」

提督「いいだろう。私もやぶさかではない」

提督「――お相手仕ろう!」ムクムク ビンビン!

ヲ級「ヲッキュ♪」

ヲ級「ヲッ、ヲッ、ヲッ!」フリフリ

提督「随分と積極的だな」

提督「深海棲艦はみんなそうなのか?」

提督「それとも、お前が特別なのか?」

ヲ級「キュウ~」チュッチュ

提督「ははは、そうだな」

提督「そのようなこと――今はどうでもいいことだ!」グイッ

ヲ級「ヲッ!」ビクッ

提督(始めて抱いた日から、それほど経っていないが――)

提督(深海棲艦はみんな、性に対して積極的だ)

提督(好色なのだろうか?)

提督(それとも、よほど姉上が怖いのだろうか?)

提督(早く強くなろうと、それで――)

提督(――いや)

提督(どうも――)

提督(それだけではない気がする――)

~またある日 廊下~

提督(深海棲艦はみんな、『濡れる』ということに無頓着だ)

提督(海に出たと思ったら、ずぶ濡れのまま、部屋に戻ってきたりする)

提督(注意はしているのだが――)

提督(しばらくは、私がこうして、水を掃き散らさないとな)ザッザッ

港湾「あっ……」サッ

提督「……ん?」

提督(今のは……港湾棲姫?)

提督(私の姿を見て、逃げるように隠れたが――)

提督(一体、どうしたというのだろうか?)スタスタ

港湾「はっ、はっ、はっ……」

港湾「びっくり、した……」

提督「どうかしたのか?」ヒョコ

港湾「わあっ!?」ドキーン!

港湾「や、止めろ……来るな……」オドオド

提督「本当にどうしたのだ?」

提督「そのように顔を真っ赤にして……」

港湾「み、見るな……!」アセアセ

提督「……」

提督「……ほう」ムラッ

提督「一体、何を隠しているのだ?」

提督「怪しいな……少し検分させてもらおうか」

港湾「な、何でもない……!」

提督「――我々は協力関係にある」

提督「その相手にならば――」

提督「包み隠さず、全てを見せるべきだ」

提督「そう思わないか――港湾棲姫!」グイッ

港湾「あぅぅ……」カァァ

港湾「何もない……何も……!」

提督「――いや、どうかな?」

提督「この不自然なまでに増設されたバルジをなんとする?」モミィ

提督「何もないはずがない」

提督「そうだな?」ギラッ

港湾「ひぅ……」ドキン ドキン

提督「さあ、両手を上げるんだ」

提督「壁に背をつけて――違う、もっと上げて!」

提督「そうだ――」

提督「くくく、よく手入れされたわきじゃないか」

提督「だが、いつも閉じているせいか――」

提督「匂い立つようだぞ――!」クンクーン

港湾「クルナト……イッテルノニ……!」

提督「カタコトに戻っているぞ、港湾棲姫!」

提督「ますます怪しい――」

提督「これではすぐに帰すことは――」

提督「難しそうだな?」ニヤリ

港湾「ア、アアッ……!」ブルルッ

港湾「アアアアア……!」ビクンビクン



アアア~……

~またまたある日 浴室~

チャポーン

提督「ふう……いい湯だ」

提督「日本の基地跡でよかった……」

提督「シャワーでは味気ないものな……」ハフゥー

提督(……しかし)

提督(昨日は港湾棲姫にひどいことをしてしまったな)

提督(どうもあの子を見ていると、自分の中のサディストな部分が――)

提督(いかんいかん。また謝っておかないとな)

提督(……いや、でも)

提督(あの後から、チラホラと視界の端に港湾棲姫が映るような――)

提督(私の後をついてきているのか?)

提督(まさか、な――)

チャポン

提督「……ん?」

ヌウー

提督「なんだ? 湯船の底から、何かが――」

ザバァッ!!

怪物『ギシャアアアアアアアアアア!!!!』

提督「う、うわああああああああっ!?」ビクゥッ!!

提督「な、なんだ!? 深海棲艦か!?」

提督「うわああ! た、食べられるっ!!」

怪物『……』

怪物『ぷっ』

怪物『くすくす……』

提督「……?」

クルンッ

ザパッ

レ級「ばあっ♪」

提督「レ、レ級?」

提督「なんだ、今のはお前の尻尾だったのか……」ハァー

レ級「驚いた? 驚いた?」ワクワク

提督「寿命が縮んだぞ……」

レ級「ぎひひっ♪」ケラケラ

提督「それにしても、今、私が入浴中だぞ?」

提督「かけ札は見なかったのか?」

レ級「あれって何の意味があんの?」

提督「そういったところは、本当にうちの艦娘と同じだな……」ハァー

レ級「まあ、いいじゃん」

レ級「いっしょに温まろうよ」ギュッ

提督「まあ、それもありか」

チャポーン

提督「ふう……いい湯だな」ハフゥー

レ級「そだねー」ハフゥー

提督「気持ちいいな……」ハァー

レ級「だねー」ハァー

レ級「でも、こうなると――」

提督「――ん?」

レ級「もっと気持ちいいこと、したいねー」ザパッ

提督「なっ――!?」

レ級「ほら、あたしの見えるだろ?」ハァハァ

レ級「これが、テートクのを――」グイッ

レ級「たーべーちゃーうーぞー……♪」クスクス

提督「くっ、ああっ……!」

提督「きつっ……ううっ!」

レ級「――ほら、全部入った」

レ級「ぎひっ♪」ケラケラ

提督「くうう……!」

レ級「ああっ! アアーッ!!」グイグイ

レ級「テートク! テートク!」

レ級「もっとギュッとして! ギュッて!!」ギュウウウ

提督「――ああ」

提督「こうだな?」ギュウウ

レ級「アアッ!」ビクビク

~事後~

レ級「テートクゥ……」トローン

提督「……」ナデナデ

提督(……深海棲艦は)

提督(みんな、人肌の温もりを求めるように)

提督(事の終わりに、こうして、私に体を預けてくる)

提督(戦場では悪鬼と恐れられたレ級でさえ)

提督(私の胸に頬をこすりつけ、子猫のように甘えてくる)

提督(その姿は、艦娘となんら変わらないもので――)

提督(…………)

提督(もう二年も戦っている私たちだが)

提督(戦わずに済む道はないものか。分かり合うことができるのではないか)

提督(ここに来てから、私は、そのことばかり考えている――)

チャポーン……

~またまたまたある日 倉庫~

提督(……)

提督(……私は、決めた)

提督(この基地跡にいる深海棲艦を――)

提督(トラック泊地に迎え入れよう!!)

提督(彼女らは理解不能の悪鬼ではない)

提督(ましてや、対話不能の侵略者でもないのだ)

提督(相互理解はできる。共存の道を探れる)

提督(それが、行く先の見えないこの戦争を――)

提督(終わらせる一手となる)

提督(……なぜか、そんな気がする)

提督(よし! そうと決まれば――)

提督(親睦を深めるために、今夜は美味しいカレーを作ろう!)

提督(倉庫にカレー粉が残されていてよかった)ウンウン

提督(これで得意のシーフードカレーを……)

ドンッ

提督「あっ、すまない」

提督「前を見て……なかった……」

南方「……」

提督「――お前、は」

南方「ヒサシブリダナ」

南方「テイトク――」

提督「生きて、いたのか……!?」

提督「それとも、お前も姉上に鹵獲され――」

南方「ヤツラトイッショニスルナッ!!」

南方「ワタシハ、ココニナガレツイタダケダ」

南方「ニンゲンニ、コビル――」

南方「ハジサラシドモトハ、チガウ」ギリッ

南方「――ダガ、ココデオマエニアエタノハ、ギョウコウダッタ」

南方「カクゴシロ、テイトク」

南方「セキネンノウラミ、イマ、ココデ」

南方「ハラシテヤルゾ――」ギラッ!

提督(しまった――っ!)

提督(誰かを呼ぼうにも、もう、間に合わない――!!)

南方「 シ ネ 」

提督(――無念っ!!)

ザクッ!

ビリッ、ビリビリッ

――ボロンッ

提督「~~~~~~っ!!」

提督「……って、あれ?」

提督「下半身がスースーする……」

提督「……なっ!?」

南方「……」ジー

提督「な、何のつもりだ、南方棲戦姫」

提督「殺すなら――一思いに殺せっ!!」

南方「……」

南方「キガ、カワッタ」

提督「――なにぃ?」

南方「ミテイタゾ」

南方「アノヒ、オマエガ、ナキサケブスガタヲ」

南方「オマエハ、ココガ、ジャクテンナノダロウ?」

南方「ナラバ、コロスマエニ――」

南方「ココヲ、セメヌイテ――ゴウモンニカケテカラ、コロシテヤル」ギュッ

提督「ふおっ!?」ビクッ

南方「ク、ククク」

南方「ソウダ。ソノカオガ、ミタイノダ」

南方「クモンニミチタ、ソノヒョウジョウ――」

南方「モットモット、ワタシニ、ミセテミロ!」ギュッギュッ

提督「くうう……っ! なんて拙い手つき……!」

提督「も、もどかしい……!」

提督「止めるんだ、南方棲戦姫!」

提督「今ならまだ間に合う――」

提督「だから、それをしごくようなことは、絶対にするな――!」

南方「――ホウ?」ニヤリ

シュッシュッ!

提督「ああああっ!?」ビクンビクン

南方「ククク、バカメ」シュッシュッ

南方「ミズカラ、ジャクテンヲ、アカストハ――」シュッシュッ

南方「ボケツヲホッタナ、テイトク――!」シュッシュッ!

提督「ぐあああっ!?」

提督「だ、駄目だ、もう――!」

提督「射精(で)るっ!!」ドピュッ

南方「――フッ」ニヤリ

提督「はぁ、はぁ、はぁ……!」

提督「くっ……こ、これで気は済んだか!」キッ

南方「クッ、ククク……」

南方「コノテイドデ、ワタシノウラミガ、ハレルハズガナイダロウ」

南方「サア、ツヅキダ」

南方「コンドハ、アノオンナトオナジコトヲ、シテヤル!」バサッ

提督「や、止めろぉ!」

南方「クァ、ハハハッ!」ガバッ

南方「ナケ! ワメケ!」グイグイ

南方「ダラシナイカオデ、サケビゴエヲアゲロッ!」グイグイ

提督「くそぉ、くそぉ……!」

提督「止めるんだ、南方棲戦姫!」

提督「もう腰を振るのは止めるんだぁ!!」

南方「ヤメロトイワレテ――」グイッ

南方「ヤメルモノハイナイッ!!」グチュンッ!

提督「くあああぁぁぁっ!!」ドピュッ

提督(和睦を信じた日に、深海棲艦に強姦される――)

提督(私は心を折られたような想いがした)

提督(だが、陵辱はこれで終わらない)

提督(南方棲戦姫の恨みはこの程度では晴れることなく――)

提督(翌日からも、私は彼女の責めを味わうことになった)

~倉庫で~

南方「ドウダッ! クルシイカッ!」グイグイ

提督「くそぉ、顔面騎乗など、どこで覚えたのだぁ……!」ドピュッ

~海岸で~

南方「ヒメイヲアゲロッ!」グリグリ

提督「立ちバックで逆レイプなど……くそぉ!」ドピュッ

~客室で~

南方「ナキワメケッ!」クイクイ

提督「何たる甘やかな腰つきなのだ……!」ドピュッ

提督(私は、犯され続けた)

提督(南方棲戦姫は、悶える私を見て悦んだ)

提督(歪んだ逢瀬。憎悪に染まった情交)

提督(まるで恨みが恨みを呼ぶように、それは際限なく繰り返されたが――)

提督(だが、私は――)

提督(なぜか――)

提督(段々と、彼女の憎しみがなくなっていくように)

提督(そう、感じた――)

~夜 客室のベッドにて~

南方「ハァ、フゥ……」

南方「ツヅキハ、アシタダ」

南方「カクゴシテオケ……」ドサッ

南方「フゥ……」

提督「……」

提督「なぁ、南方棲戦姫」

南方「――ナンダ」

提督「もう止めないか」

提督「こんなことは――」

南方「ナニヲイウ」

南方「ワタシノウラミハハレナイ」

南方「オマエヘノセメクモヤメナイ」

南方「オマエハコノジゴクカラ、ヌケダセナイノダ」

提督「……だが」

提督「私を責めるだけなら、同じベッドで寝る必要はないはずだ」

提督「拷問にかけるように、心が壊れるまで責め抜いて――」

提督「その後、臓腑を抉り出して殺せばいい」

提督「なぜ、そうしないのだ――?」

南方「……ソレハ」

提督「本当はお前も気づいているのではないか」

提督「恨みつらみが段々と晴れていることを」

提督「体を重ねることで――お互いのことが、理解できていくのを」

南方「――ッ!!」ガバッ

南方「チガウッ! ソノヨウナコトハナイッ!」

南方「ワタシハ、シンカイセイカンダッ!」

南方「ゾウオトオンネンノカタマリダッ!」

南方「ウラミガハレルコトハナイ! ニンゲントリカイシアウコトナドナイノダ!!」

提督「いや、違う。私たちは分かり合える」

提督「お前さえよければ、私の泊地で、共に暮らすことだって――」

バシンッ!!

南方「――ソコマデダ」

南方「マタ、オナジコトヲイッタラ」

南方「ツギハコロス――」バッ

提督「あっ、南方棲戦姫!」

提督「……」

提督「……なあ、南方棲戦姫」

提督「情交は、時に犯す、時に嬲ると呼ばれるが――」

提督「互いに求め合えば」

提督「愛し合うとも言うのだぞ――」

提督「それを……」

提督「……」ハァ



ザザァ……ザザァ……

~翌日~

提督「ヲ級の偵察機から連絡が入った」

提督「――姉上が帰ってくる」

提督「我々の戦いの時が来たのだ」

深海棲艦「――っ!」ゴクリ

提督(できれば、南方棲戦姫の力も借りたかったが)

提督(――いや、事ここに至っては詮無きことか)

提督「いいか! お前たちは格段に強くなった!」

提督「私との情交を通じ――それぞれ、何かをつかんだようだ!」

提督「その一助となれたことで、私も嬉しい」

提督「だが! ここでそれを発揮できなければ、全ては無意味だ!」

提督「力を振り絞れ! ここは我らの正念場!」

提督「姉上という鎖を――今こそ振り払うのだ!!」

深海棲艦「――はいっ!」

ザザザザザザザ……

ザンッ!!!!

姉上「――うむ」

姉上「出迎え、ご苦労」

提督「来たか……!」

姉上「……うん? なんだ?」

姉上「なぜ、そのように身構えているのだ?」

姉上「まさか、私に――歯向かおうと?」ギンッ!!

深海棲艦「っ!!」ビクッ

提督「怯むなっ! 今こそ進化の時!!」

提督「総員――気力を振り絞れっ!!!!」

深海棲艦「――はっ!」

姉上「――ほう」

姉上「く、くくく……面白い」

姉上「なんて姉孝行な弟なんだ……!」ニィ

ヲ級「ヲッ!!」カッ!!

空母ヲ級→空母ヲ級改flagship

レ級「ぎひっ♪」カッ!!

戦艦レ級→戦艦レ級elite

泊地「はっ!!」カッ!!

泊地棲姫→泊地水鬼

港湾「やっ!!」カッ!!

港湾棲姫→港湾水鬼

空母「はあっ!!」カッ!!

空母棲姫→空母水鬼

戦艦「はあああっ!!」カッ!!

戦艦棲姫→戦艦水鬼

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!

提督「――よしっ!!」グッ

提督「姉上、降伏してください」

提督「これほどの戦力――」

提督「いかな姉上といえ、抗えないはず!」

姉上「……」

姉上「……そう、思うか?」ニッコリ

提督「っ!?」

姉上「はあっ!!」

ゴッ!!!!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!

ヲ級「ヲッ!?」

戦艦「何という気迫……!」

空母「どういうこと!?」

泊地「明らかに強さのレベルが上がっている……!」

提督「……っ!」

提督「そ、そうかっ!!」

提督「私が破った、あの鋼鉄の処女膜は――」

提督「拘束具の役割を果たしていたのだ!!」

提督「それがなくなった今――」

提督「姉上の動きを損なうものは――」

提督「何も、ない――」

港湾「そ、そんな……!?」ガタガタ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!

ザッ、ザッ

レ級「ひっ!?」

姉上「どうした? 相談は終わりか?」

姉上「少しは楽しめると思ったのだがな――」

姉上「ならば、この姉に逆らった罪」

姉上「姉を落胆させた罪」

姉上「その身であがなってもらうぞ――!」ギラッ!!

提督「あ、あ、ああ……!?」ガタガタ

??「……」

??「マッタク、ミテイラレナイワネ……」

姉上「――むっ!?」

姉上「何奴ッ! 姿を見せいッッッッ!!!」

??「……」スッ

提督「なっ!?」

提督「お、お前は……!」

提督「南方棲戦姫!!」

南方「……」

提督「まさか、共に戦ってくれるのか――?」

南方「……チガウワ」

南方「アナタヲ、コロスノハ、ワタシ」

南方「ダレカニコロサセルワケニハイカナイ……」

南方「タダ、ソレダケノコトヨ」

提督「そうか……! そうか!」パァァ

姉上「――貴様、私と弟の間に割って入るとはな」

姉上「この身の程知らずが……!!」ゴゴゴゴ

南方「……」

南方「コノオトコは――」

南方「アナタには、ワタさないわ――!」カッ!!

提督「おお……!?」

南方棲戦姫→南方棲戦姫(本気モード)

南方「何をしているの?」

南方「さあ、行くわよ」

提督「――ああっ!」

提督「行くぞ! 今こそ戦いの時っ!!」

提督「総員、突撃ぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

深海棲艦「おおおおおおおおお!!!!」

ドドドドドド……!!

姉上「くっ……!?」

姉上「なにっ! こ、この力は……!」

姉上「ぐああああぁぁぁぁ……!!」

~五分後~

提督「はぁ! はぁ! はぁ!」

提督「やった……! 姉上を拘束したぞ……!」

提督「これで私たちは自由だーっ!!」

深海棲艦「おおおおおおおーっ!!!」

姉上「……」

提督「さあ、姉上。観念してもらいましょうか」

提督「このまま姉上を本土へ――母上の下へ送ります」

提督「尻叩きの罰を受けてもらいましょう」

姉上「あ、うむ……」

提督「……ん?」

提督「姉上……?」

提督「どうか、なさったのですか……?」

姉上「いや……」

姉上「こ、このように、力ずくで組み伏せられたのは始めてでな」

姉上「どんな態度を取ればいいのかも、分からない……」

提督「……!」キュン

姉上「敗者は勝者のモノとなるのが世の常」

姉上「私もその摂理に従うが――」

姉上「その、なんだ」

姉上「優しくしてくれると、うれしい……」オドオド

深海棲艦「…………っ!!」ドキーン!!

姉上「……」

姉上「……?」

姉上「ど、どうした、お前たち」

姉上「息が荒いぞ……?」オドッ

提督「あ、姉上っ!」ガバッ

姉上「あっ、何をっ!?」

提督「姉上っ! 姉上ぇぇぇ~~~~っ!!」ビンビンッ!!

姉上「あっ、ああっ! あああ……!?」



アア~……

~翌日 トラック泊地 軍港~

T妹「さあ、皆さん、出撃しますよ!」

長門「お、落ち着け……」

T妹「落ち着いていられますか! 兄上を浚ったのは姉上なんですよ!?」

T妹「今ごろ、どのように玩ばれているか……!」ゾーッ

T妹「尻の腫れが引いた今、躊躇う理由はどこにもありません!」

T妹「兄上! 兄上! 妹が今、参ります!!」ダッ!

金剛「ノォー! 生身で海上に出ちゃ、ノォー!?」グイッ

大和「どうしましょう……」

武蔵「義母上が大丈夫と言うからには、大丈夫なんじゃないか?」

赤城「仮にも提督の肉親ですし、酷い事には――」

~フラッシュバック~

姉上『ワハハハハハハハッ!!』ザバババババババ

赤城『な、なんなの、あの深海棲艦!?』

加賀『ものすごい速さ……! 爆撃が間に合わない!!』

姉上『ワハハハハハハハハ!!』ザバババババババババ

姉上『ワハハハハハハハハハハハハハッ!!』ザバババババ……

~フラッシュバック終了~

加賀(駄目かも知れません)ガタガタ

大淀「でも、そろそろ提督には帰ってきていただかないと……」

香取「いけませんね。業務が溜まりに溜まっています」

明石「提督が、まさかあんなに仕事をこなしてたなんて~!」ヒー!

吹雪「みんなで分担するのも、もう限界です!」

T妹「そうだ! 貴女の主砲で私を飛ばしてください!」

T妹「そうすれば、すぐにも兄上の下へ――!!」

長門「お、落ち着け……落ち着くんだ……!」オロオロ

ワイワイ ガヤガヤ

??「……」

??「はぁ」

??「お前たち、何をやっているんだ?」

島風「えっ!?」

ビスマルク「この声……提督!?」

??「ああ、そうだ。お前たちの提督だ」

??「長いこと留守にして悪かったな」

??「みんな――」

提督「ただいま!」ニコッ

姉上「ここに来るのは二度目だな」ゾロゾロ

レ級「ぎひっ♪ いいところじゃん」ゾロゾロ

ヲ級「ヲッヲキュ~」ゾロゾロ

戦艦「そうね。悪くないわね」ゾロゾロ

空母「海は青いし、空は広い……」ゾロゾロ

泊地「泊地だからか? 馴染む」ゾロゾロ

港湾「それを言ったら……私も……」ゾロゾロ

南方「ふん」ゾロゾロ





艦娘(―――――っ!?)ビクッ

艦娘(なんかいっぱい……ついてきたぁーっ!?)ビクーン!!

まるゆ「ひっ!? し、深海棲艦!!」ガタガタ

T妹「ひいっ!? あ、姉上ぇぇ!!」ガタガタ

赤城「貴女たち、提督から離れなさいっ!!」

加賀「人質のつもり? それならこちらにも考えが――!」

提督「ま、待った待った! 違うんだ!!」

提督「この人は私の姉で――」

提督「この子たちは、トラック泊地の新しい仲間だ!」

提督「敵じゃない。みんな、仲良くしてやってくれ」

艦娘「……」

艦娘「…………は?」

T妹「貴様ぁ!! 迷い出たばかりか――!!」

T妹「兄上を誑かしたかぁぁぁぁ!!」ワナワナ

姉上「違うぞ、我が妹よ」

姉上「逆だ。私は弟に陥落されたのだ」

姉上「ん、ちゅ……このように、な」フフッ

T妹「んなぁぁぁ……!!」

提督「相変わらず仲が悪い……」

提督「二人とも、喧嘩だけはしないでくれ」フゥ

比叡「ひぇぇぇ!? レ級が! レ級がっ!!」

霧島「トラウマがぁぁぁぁ!?」ビクンビクン

レ級「おっ、戦艦じゃーん」

レ級「よろしくなっ♪」ポン

榛名「はい」マッサオ

鳳翔「ヲ級がなぜここに……?」

ヲ級「ヲッ!」ヨロシク

飛鷹「え、ええっ。よろしく……?」

大淀「提督、どういうつもりですか?」

大淀「深海棲艦の、それも水鬼クラスを泊地に引き入れるなど――」

提督「いや、彼女らとは和解したのだ」

提督「意思疎通もできる。仲良くもできるのだ」

青葉「なるほど! ベッドの中で仲良くして、それで――という流れですね?」ズバリ!

提督「ああ、そうだ」ニコッ

提督「……」

提督「……はっ!?」

艦娘「………………へぇ~」

飛龍「私たちが心配していた時、ナニをしていたんですかねぇ……」

提督「い、いや、その、だな」

蒼龍「新婚なのに……お嫁さんをほったらかして……」

提督「う、ち、違うんだ」

初雪「……」ゲシゲシ

提督「いたっ! や、やめ、止めて……」

綾波「……」ゲシゲシ

提督「右足もっ!? うっ、ううう……!」

提督(南方棲戦姫とも和解でき)

提督(トラック泊地に帰ってくるまでは)

提督(万事解決と思っていたが――!!)

金剛「提督は渡さないんだからネー!?」ガゥゥ

南方「あの男は私の獲物よ。誰にも渡さないわ」フンッ

T妹「死ねっ! 黄泉へと還れっ!!」ブンブン

姉上「ははは、お前は相変わらず可愛いなあ」ハハハ

提督(……うう)

提督(私はただ――)

提督(火種を持ち帰っただけなのかもしれない――!)

~同時刻 監視塔先端~

ヒュゥゥゥゥ……

母上「……」

母上「く、くくく……」

母上「いいぞ。もっとだ。もっと集めろ!」

母上「力を集め――そして――!」

母上(世界は広く――海は深い――)

母上(深海には、更なる強者が潜んでいる)

母上(奴らを倒すには――個の力では足りぬっ!)

母上(集めろ。集めろ。力を集めろ!)

母上(そして統率し、偉大なる軍団を形成しろ!!)

母上(人の強さは、この母で極まった)

母上(そして、この力は余人では代えがたい――)

母上「ならば、小さな灯火を集め、巨大な大火と成せっ!」

母上「最強の闘技者(グラップラー)ではなく――」

母上「最強の統率者(大元帥)を目指せっ!!」

母上「母はその時を待っているぞ――」ニィ

母上「こうして我が子の成長を見守る時間」

母上「――悪くないッッッッ!!」バッ!!



提督「……?」ゾクッ

提督「今、寒気が……?」

提督「いや、そんな場合じゃない!」

提督「みんな、落ち着けー! 落ち着くんだー!!」バタバタ

若さと荒さが残る青年提督。

彼はこの先、母が期待するような大元帥となり――。

この戦争の黒幕との、最終決戦に挑むことになるのだが――。

提督「話を……話を聞いてくれー!」

今はまだ、嫁の喧嘩を収めることもできないようだ。

道のりは遠く、終戦は未だ見えない。

彼らの戦いは、これから先も、まだまだ続いていく――。

~END~

おしまい
親父編も従姉妹編も出ないよ
これにておしまい。さらば!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年08月30日 (日) 06:33:47   ID: C9AKMm5Y

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