【東方】魂魄妖夢の台詞の話 (74)

注意

主は初投稿ゆえ、至らぬところが多々ありますが、温かい目で見守っていただけると幸いです。

東方projectについての独自解釈が存在するので、苦手な方はブラウザバック推奨です。

それでは始めたいと思います。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432461091


彼女、白玉楼の庭師兼剣術指南役である魂魄妖夢は目をつぶり、意識を自らの得物と目の前の竹に集中させる。

刹那、彼女は背中の得物―楼観剣を横に一閃。一瞬にして目の前の竹をまっぷたつにする。

「ふぅ…」

ぱちぱちと音がする。一息ついた妖夢に拍手を贈るのは、縁側に座る白玉楼の主、西行寺幽々子である。

「流石妖夢、と言ったところかしら」

「やめてください幽々子様、私はまだまだ未熟者です」

すると幽々子は傍らに置いてあるお茶を軽くすすりながら言う。

「ねぇ、決め台詞とか言わないの?」

「え、決め台詞…ですか?」

「そうそう、ほら前に言ってたじゃない。斬れぬものなどナントカって」

「…それは」

恥ずかしさからか、俯いてぷるぷる震える妖夢。それに気づいているのかいないのか、幽々子はさらに続ける。

「ねぇねぇ、言ってみて!」

幽々子にキラキラした目で言い寄られ、白玉楼の庭師兼剣術指南役(幽々子の世話役兼苦労人)である妖夢はいよいよ断れない。

「1回だけ、1回だけですよ!?もう2度と言いませんからね!?」

そう早口で言うと、妖夢は息をすぅっと吸い込む。そして
「斬れぬものなど、あんまり無い!」
…………しばし訪れる沈黙。
まるで子を見守る親のようにニコニコと妖夢を見つめる幽々子。
「あーっ!だから言いたくなかったんですよ!!」
恥ずかしさのあまりに顔を手で覆い隠しているところへ
「ふふっ…妖夢はいい子だものね…」
と幽々子に追い討ちをかけられ顔を真っ赤にしながら妖夢はますます小さくなる。

「幽々子様…あんまりからかうのはよしてください…」
「ふふふっ……ねぇ妖夢、少しお茶にしない?」
どうにかこの場から離れて体勢を立て直したかった妖夢は
「…そうですね、そうしましょう」
と答え、いつもより素早い動きで台所に引っ込む。
しばらくすると、妖夢がお茶とお茶請けの団子を持って縁側に戻ってきた。

「…ねぇ妖夢」
「はい、なんでしょう?幽々子様」
「貴女のさっきの決め台詞…」
口に含んでいたお茶を盛大に吹き出し、むせ返る妖夢。
「もう、汚いわねぇ…」
「幽々子様!!その話はもうしないと言ったじゃないですか!!」
「あら、私は言ってないわよ?妖夢が、2度と言わないとは言ってたけどね」
「ぐぬぬ…」
何も言い返せない妖夢は見事にぐぬぬの表情である。
「それでね、さっきの台詞なんだけど、どうして『あんまり』なの?『まったく』とかでもいいじゃない」

「まだその話を続けるんですか…?まあいいですよ…」
と妖夢は軽くため息をはく。
「本当は、私と楼観剣に斬れないものなんてないんですよ。鉄はおろか、ダイヤモンドだって斬れますし、形の無いもの…炎や水、実体の無いもの…霊魂や気といったものだって…。でも、昔お師匠様に言われたんです。『妖夢よ、鞘を持て。でなければ皆全てを斬り捨ててしまう』って…」
幽々子は微笑をたたえ、黙って聞いている。

地の文が混ざった文章でも時々開業入れると見やすいかも

期待

「最初、私にはその意味がさっぱりわかりませんでした。だって鞘を持てって…いつも持ってますからね」
と苦笑する妖夢。
「ただ、あの巫女さんと戦う直前に閃いたんです。私は全てを斬れますが、絶対に斬ってはならないものがある」
そこで唐突に幽々子に質問を投げかける。
「…幽々子様、弾幕ごっこについてどう思われますか?」
「え?どうって…そうね…博麗の巫女さんはなかなか面白いものを考えたのねと思ったわ。妖夢はどう思ったの?」
投げかけられた質問の意図を読み取り、逆に質問する幽々子。

「…私は、なぜこのようなもので勝負を決める必要があるのかと思っていました。だって、斬ってしまえばいい…そう思ってましたから」
「でも、今はそんなことはないのよね?」
「はい、勿論」
妖夢は深く頷く。

>>9

アドバイスありがとうございます。

「真剣での勝負は、斬ればそれだけ相手を傷つけます。そして命を奪うまで勝負は終わりません。でも弾幕ごっこは違いました。多少怪我を負うことはあっても、命までは奪いません。それでわかったんです。何故あの巫女は弾幕ごっこを作ったのか。そして、お師匠様の言葉の意味とはなんだったのか。それは、刀は抜きっぱなしでむやみやたらに斬りつけるものではないということ。そして相手から奪うためではなく、自分を…大切な人を守るためにあるのだということ。おそらくお師匠様はそうおっしゃいたかったのでしょう」
幽々子は相槌代わりに頷く。

「だから私は、全てを斬れても全ては斬らない。それで咄嗟に出た台詞が…アレ…だったんです」
やはり少しだけ恥ずかしいのか、妖夢は台詞の部分は小さな声で濁して話す。
「思ったより深い意味があったのね… 私はてっきり妖夢がかっこよさの演出の1つとして言ったのかと思ってたわ」
「そんなことはありません!」
そうやって口では否定するものの、その側面があったことは否めませんね…と妖夢はほんの少しだけ考える。

「ふふっ…まあいいわ、追求はしないであげる。そしたら…妖夢、このお団子もっと作れるかしら?」

「えっ?ええ…まあ材料はあるので」

「じゃあこれをもっともっとお願いするわ」

「幽々子様!その食欲少しはどうにかできませんか!?」

主の割と酷な要求に涙目で抗議する庭師兼剣術指南役(幽々子の食欲を出来るだけ満たせるよう全力でご飯を作り続ける人)。

「無理ね」

「幽々子様ぁ…!」

さらっと言い放つ幽々子に諦めがつきつつあるのか、背中に悲哀を滲ませ、妖夢は台所へ向かうのだった。

「ふふっ…まあいいわ、追求はしないであげる。そしたら…妖夢、このお団子もっと作れるかしら?」

「えっ?ええ…まあ材料はあるので」

「じゃあこれをもっともっとお願いするわ」

「幽々子様!その食欲少しはどうにかできませんか!?」

主の割と酷な要求に涙目で抗議する
庭師兼剣術指南役 (幽々子の食欲を出来るだけ満たせるよう全力でご飯を作り続ける人)

「無理ね」

「幽々子様ぁ…!」

さらっと言い放つ幽々子に諦めがつきつつあるのか、背中に悲哀を滲ませ、妖夢は台所へ向かうのだった。

本文はこれで以上になります。
読んでくださった方には多大なる感謝を。
改行の件についてはこれからの投稿に生かしたいと思います。
自分で言うのもなんですが、確かに読みづらいです…
もう一本、これは今回とは違って書きかけなんですが、東方SSを投稿しようと考えています。
この場合、新しく別に立てたほうがいいのでしょうか?
どなたか教えてください…

新たに建てる必要は無い
久々の東方ssだから期待してます

次のが長くなるなら別スレで、短編っぽいならここでいいと思うよ
とりあえず乙

>>17-18
いろいろ教えてくださり、ありがとうございます。
反応があって嬉しい限りです!
それでは、このままもう少しだけ続けさせていただきます。
さっきまでの話とは全く違っている点、
執筆中であり、更新の遅い点はご了承下さい。

>>19
乙ありです。
短編ですので続けて投稿したいと思います。


それでは始めたいと思います。

大ちゃんこと大妖精が頑張る話。

「くらえっ!氷符『アイシクルフォール』!」
冷気を纏う少女は弾幕ごっこのルールに基づいてスペルカードの宣言をする。
すると氷の粒のような弾幕が逃げ道を塞ぐように左右から一点に殺到する。
その先にいる白黒の少女はしかし、余裕の笑みを浮かべて同じくスペルカードの宣言をする。

「甘いんだぜ!恋符『マスタースパーク』!」
白黒衣装の普通の魔法使い、霧雨魔理沙は右手に持つミニ八卦炉に魔力を込める。
そしてそこからほとばしる極大の光の奔流。
氷の小さな妖精、チルノは、弾幕の操作に集中しすぎてその直撃をモロに喰らってしまう。

「やられたー!」
チルノはマスパによって吹っ飛ばされながらそう叫ぶ。
弾幕ごっこはあくまで遊び、それゆえに見た目は派手でも痛みはそれほどでもない。
「私の勝ちだぜ!さあここを通してもらうんだぜ!」
魔翌理沙は高らかに勝利を宣言すると、
箒に乗って紅魔館の方へそのまま飛びさってしまった。

すいません、>>24は本人です。
間違えてしまった…


「大丈夫!?チルノちゃん!」
弾幕ごっこに負け、湖のほとりに寝そべるチルノに近づく影。
彼女の名前は
―いや名前ではないのかもしれないが―
大妖精と呼ばれている少女である。
「ばたんきゅー…」
「チルノちゃん、落ちものパズルで負けたみたいなリアクションはやめなよ…」
この妖精ならリアルアイスストームが撃てるだろう。

あーちょい待ちちょい待ち
魔理沙をちゃんと表示させるためにはsagaをメール欄に入れなきゃならん、その他にもちょいちょいフィルタが掛かって不本意な変換が起きるから
それと、台詞と地の文の間にも改行を入れて見やすくしてもらいたい

「また負けちゃったね…私も頑張ったんだけど、
むしろボムをあげてチルノちゃんを不利にしちゃったし…」
湖のほとりが重い空気に包まれる。
「こうなったら特訓よ、チルノちゃん!」
「……」
「よく考えたら、私はチルノちゃんと違ってスペカ持ってないし、勝てないのも当然だから…」

>>26
あっ、すいません!
いろいろやらかしました…

では、>>24からやりなおします。
今度こそ大丈夫なはず…!

「やられたー!」

チルノはマスパによって吹っ飛ばされながらそう叫ぶ。
弾幕ごっこはあくまで遊び、
それゆえに見た目は派手でも痛みはそれほどでもない。

「私の勝ちだぜ!さあここを通してもらうんだぜ!」

魔理沙は高らかに勝利を宣言すると、箒に乗ってそのまま飛びさってしまった。

あまりにもミスが多いので、とりあえずここまでにします。
読んでくださっている方々、ありがとうございます。
少し調整してまた投稿しますね。

真夜中ですが更新したいと思います。
来たるべき月曜日である明日(というか今日)に備えて寝てる人が大半だろうな…


「大丈夫!?チルノちゃん!」

弾幕ごっこに負け、湖のほとりに寝そべるチルノに近づく影。

彼女の名前は―いや名前などないのかもしれないが―大妖精と呼ばれている少女である。

「ばたんきゅー…」

「チルノちゃん、落ちものパズルでやられたみたいなリアクションはやめなよ…」

この妖精ならリアルアイスストームが撃てるだろう。

「また負けちゃったね…私も頑張ったんだけど、むしろボムをあげてチルノちゃんを不利にしちゃったし…」

湖のほとりが重い空気に包まれる。

「こうなったら特訓よ、チルノちゃん!」

「……」

「よく考えたら、私はチルノちゃんと違ってスペカ持ってないし、勝てないのも当然だから…」

「……」

「だから私、頑張ってスペカを使えるようになる!そうすれば強くなれるから!」

「……」

「だからチルノちゃん、博麗神社で教えを乞うのよ!
れいむさんは妖怪退治、もとい弾幕ごっこのエキスパートなんだから、きっと強くなれる!」

「……」

「だから行こう!チルノちゃん!…チルノちゃん?」

「……zzz」

「チルノちゃん!!ちゃんと話を聞いて!!」

どうやらこの⑨、弾幕ごっこで疲れてしまい、眠ってしまったようである。

「もういい!私は1人でも特訓してくるんだから!!」

「……zzz」

「……チルノちゃんが起きてからでも来れるように服のポケットに置き手紙を入れて…これでよし」

1人ぼっちなのは寂しい大ちゃんだった。

こんばんは。
大ちゃんこと大妖精が頑張る話の続きを少しだけ投稿したいと思います。
毎週末の今ぐらいかそれよりちょっと前くらいの時間帯に投稿したいと考えています。
と言っても、次か、その次くらいで完結予定ですが。
では始めたいと思います。


「それでアンタ、わざわざ博麗神社まで来たの?」

ここは博麗神社。

幻想郷と外の世界との境目に位置し、幻想郷全体を覆う結界の調整なんかをしてたりする。

本来、巫女は神社に納められるお賽銭で生計を立てるはずなのだが、

参拝客が極端に少なく、お賽銭の金額も少ないため、代々妖怪退治を生業としていた。

それは今の代の巫女、博麗霊夢も同じである。

「はい!私、れいむさんに弾幕ごっこの極意を教わって、強くなりたいんです!!」

湖のほとりからひとっとび。目をキラキラと輝かせながら大ちゃんは霊夢にお願いをしていた。

正直なところ、かなり面倒に思った霊夢は適当な言い訳で逃れようと口を開く。

「いやーこう見えて私は忙し…」

その瞬間、霊夢の思考速度が何倍にも引き上げられるッ!!

この子に弾幕ごっこを教える

その見返りとしてお賽銭をもらう&大妖精にうちの神社について宣伝してもらう

大量の信仰が集まる

たくさんの人が参拝にくる

またお賽銭が集まる

評判が上がることでさらに参拝客が集まる

ループktkr!!

この間わずか0.01秒にも満たない。

「…いえ、いいわ。私が直々に弾幕ごっこの極意について教えてあげる。
その代わりに、毎回の授業料としてお賽銭を納めてもらうわ。それと、博麗神社の宣伝をすること。いいわね?」

「はい、頑張ります!」

この後、お賽銭の代わりにと納められる木の実やら花やらの処分に困ったり、大妖精の紹介で参拝に来る妖怪の対応に手間取るのはまた別の話。

「じゃあ、まずあなたの能力について教えてもらおうかしら。基本的に弾幕ごっこで切り札になるスペカは能力ありきだから」

「能力…?」

「ほら、あるじゃない。私だったら『空を飛ぶ程度の能力』とか。
 あなたのお友達のバカ妖精だったら『冷気を操る程度の能力』とか」

大妖精は少し考えたのちに、少し寂しいそうに首を横に振る。

「私にはそんな特異的な能力はありません。
空を飛ぶ程度の能力はありますが、れいむさんみたいに物事から浮かぶことなんて意味は含みませんから…」

「そう…うーん、まずは能力を身に付けることからか…なかなか骨が折れそうね…」

「ごめんなさい…」

大ちゃんには瞬間移動があるじゃないか

心底申し訳なさそうに言う大妖精に対して、霊夢は優しく微笑んで彼女の頭をそっと撫でる。

「いいのよ、乗り掛かった船だもの、最後まできっちり役目は果たすし、希望はまだあるわ」

「れいむさん…!」

「それにこれはビジネスの一環でもあるもの…」

「…?れいむさん、何か言いましたか?」

「い、いえ、何も言ってないわ…何も…」

神に仕える身にも関わらず、若干ゲスい紅白であった。

本日はここまでの投稿になります。
来週か再来週に完結すると思うので、どうかそこまではお付き合い願いたいです…!

どうかよろしくお願いします。

諸事情あってこんな時間の書き込みになってしまった挙句、更新もできません…
来週その代わり来週は今週分も含めて投稿したいと思います。
宜しくお願いします。

こんばんは。続きの投稿です。

>>40

ネタバレダメ絶対


舞ってたぜ

と、そこへ空から蒼い何かが吹っ飛んできた。それは両手両足をフルに使って地面に着地し、決めポーズを取る。

「あたい、参上!!」

「なんでアンタ自身は青いのにポーズは赤い人なのよ…」

「れいむさん、ツッコむところが微妙にズレてますよ!」

このネタ、わかる人がいるのだろうか。主は少し心配である。

「私もいるぜぇぇぇぇぇ!?」

「うわぁぁぁぁぁ!!」

<ピチューン

そこへ箒に乗った魔理沙がチルノに続くように神社に突っ込んできた。

というか、チルノに向かって突っ込んできた。おかげで2人とも1つずつ残機を失ったようである。

「全く…魔理沙は何をやってるのかしら」

声を発したのは魔理沙と同じ金色の髪を持つ少女。七色の人形使い、アリス・マーガトロイドだ。

普段、魔理沙と行動するときは魔理沙の箒に2人乗りしているのだが、

彼女がピチュらなかったのはチルノに向かって突っ込むとわかった瞬間に飛び降りたからのようである。

>>47

待っている方がいらっしゃる…!?本当にありがとうございます!!



「まりさ!何するのさ!ピチュっちゃったじゃん!!」

「それはお前がそこにいるのが悪いんだぜ?

私がそこで華麗にポーズを決めたかったのにその場所にいるから止まれなかったんだぜ」

「わかった、アンタはあたいにケンカ売ってんだね?そのケンカ買った!」

「いつものように返り討ちにしてくれるぜ」

いきなり勝負が始まりそうなので霊夢とアリスが慌てて仲裁に入る。

「ちょっと!やるにしても神社の境内でやるのはやめてなさい!」

「そうね、ここで勝負されると流れ弾が迷惑よ」

いや、仲裁するというよりは単に巻き込まれるのを嫌がっているだけのようだ。

ちなみにこの間、大妖精はオロオロしっぱなしである。

「しかたない、れいむとありすに免じてこの場は見逃してやろう!」

あくまでも、あたいさいきょー!なチルノをスルーして魔理沙が霊夢に尋ねる。


「ところで、お前ら何やってんだ?私も混ぜてくれよ」

「この娘が弾幕ごっこに強くなりたいって私のところへ押しかけてきたのよ」

「それでその申し出、どうしたんだぜ?」

「受けることにしたわ」

「あら、珍しいわね。ものぐさで有名な博麗の巫女さんがそんな申し出を引き受けるなんて」

「まあいろいろあるのよ…」

と言いつつ、霊夢はアリスから目を逸らす。

露骨に疑念の目を向けるアリスとは対照的に魔理沙は嬉しそうだ。

 とも
「強敵が増えるのか!?こんなに嬉しいことはないぜ!なんなら私も協力するぜ!」

「ほんとですか!?ありがとうございます!」

「ああ、私たちも協力するぜ!」

魔理沙のその言葉に顔を軽くしかめるアリス。

「私『たち』って…アタシも協力しなきゃいけないわけ?」

「困ってる人は見逃せないのがアリスだろう?」

「そんな設定あったかしら…」

「なかろうとあろうとアリスには手伝ってもらうんだぜ」


そんな2人のやり取りを見て大ちゃんは少し遠慮がちに声をかける。

「あのぉ…嫌だったら全然いいんですよ…?」

「えっ?あ、その…別に嫌じゃないの!ただその……」

と大ちゃんの言葉に何故か慌てるアリス(ツンデレ仕様)。

「まあ…アリスだから仕方ないわね…」

割といつものことだが、素直でないアリスに対し、霊夢は軽くはあ、とため息をつく。

「いいわよ!アタシも手伝ってあげるわよ!」

「決まりだぜ!」


と、ここで誰か忘れてないだろうか。そう、このやりとりの間、ずっと放置されていた氷の妖精のことを…

「あ…あ……あたいを無視すんなー!雹符『ヘイルストーム』!!」

怒りに任せてスペカを発動したチルノの周りから氷の弾幕が現出する。

その動きは単純に真っ直ぐ進むわけではなく、途中でほぼ直角に変化する。

HARD以上でないと発動しないスペルだけあって、弾幕の密度もなかなか。

「うわっ危ないわね!」

「グレイズ稼ぎどころか、強制グレイズだぜ」

「なんとかなりそうだけど…」

とはいえ、自機になるほどの腕を持つ3人である。

スペカを発動せずとも弾幕と弾幕の間を縫うように躱していく。

もちろんのことだが、チルノはその3人を狙って発動した。しかし、大妖精はその近くにいたのだ。

流れ弾が飛んでいくのは必定。


「あっ!?大ちゃんよけてっ!!」

「……!!」

その弾幕が大妖精にヒットするかと思われたその瞬間、大妖精は瞬間移動でその弾幕を躱す。

「魔符『アーティフルサクリファイス』」

真っ先に余裕のできたアリスがスペカを発動する。どこからともなく現れた魔力の込められた人形がチルノの近くで爆発する。

爆発と言っても凝縮された魔力を一定の方向に向けて開放するだけなので、別に人形が爆発四散するわけではないが。

「氷の妖精のくせになんで熱くなりやすいのよ!このバカ!!」

「ごめんなさい…」

さすがに友達を巻き込みそうになったのが堪えたのか、しゅんとした様子のチルノ。


「だいたいね、アンタはいっつもいっつも…」

唐突に⑨妖精に説教し始める人形使い。

「おっおい!!今、お前瞬間移動しなかったか!?」

そんなことは気にもとめず、魔理沙は大妖精が起こした先ほどの減少に心を奪われていた。

「う、うん…」

そのあまりの剣幕に大妖精は気圧される。

「アンタも能力持ちじゃない。しかも瞬間移動だなんてなんて便利な…」

同じくその様子を目にした不精者の霊夢は能力を羨ましく思っているようだ。

「えっ…?これくらいみんなできるんじゃないですか?」

「できないわよ、そんなことみたいに軽く言われてもねぇ…」

と霊夢はため息を吐く。


「わ、私、チルノちゃん以外はみんなできるものだと思ってました…チルノちゃん以外の妖精はみんなできるから…」

「ちなみにどうやってるんだぜ?」

そう言われて、大妖精は手順ごとに指を折りながら説明する。

「えっと…まず1回死にます。そしてすぐに生まれ変わります」

折る指は2本だけである上、1行で済んでしまったが。

「…私たちにはできない芸当ね」

「あたいにもできないよ」

アリスのお説教から開放されたチルノが会話に加わる。

「聞いた話だと、妖精が死んでも生まれ変わること、加えて大妖精の霊力がこのバカ妖精に比べて少ないからこそできることみたいね」

アリスさん解説役マジ乙である。登場人物による解説ほどナレーターとしてありがたいことはない。


「霊力の量はチルノちゃんが特別なの!私は普通の妖精に比べれば多いほうなの!」

霊力が少ないと言われたのが嫌だったのか、むくれる大妖精。

「でもこれは大きな武器じゃないの?弾幕を躱すことにおいてはこれは完璧じゃない」

「そうね、そしたら早速それを生かしてみましょう。魔理沙、相手してあげて」

「わかったぜ、プラクティスモードってやつだな?」

「いえ、模擬戦、かしら」

「うーん、体験版が正しいと思うわ」

「あたいはvsCPUって思ってた!」

好き勝手メタいことを言う魔法使い×2と巫女と氷精。

正解は、東方作品ではなく、MUGENでバトルするということである。

おお、メタいメタい。

本日はここまでです。次の更新はもしかしたら明日になるかもしれません。
完結まで一気に突っ走りたいので…。ただ、主が書き終えてなければ更新はナシになります…。
そうなった時のために先に謝ります。ごめんなさい☆

こんばんは、>>1 です。
今日、たまたま時間に余裕があるので、日付が変わる頃から再び更新したいと思います。よろしくお願いします。

では、始めたいと思います。一気に完結まで駆け抜けることになると思います。


「お互い準備はいいかしら?」

アリスが二人に声をかける。

「おう、いいぜ!」

「は、大丈夫です」

「それじゃ、2人とも、スペルカード、セット!」

「「アタック!」」

博麗神社の境内で対峙する大妖精と霧雨魔理沙。先に動いたのは魔理沙の方だった。

「始まって早々で悪いが負けてもらうんだぜ!!魔砲『ファイナルスパーク』!」

「うわ…えげつないわね…」

アリスが呆れた眼差しを向ける。いきなりのラストスペル。情けもへったくれもない。

「……!精符『テレポート』!!」

「うーん…ネーミングセンスに欠ける…」

すかさず大妖精もスペカ宣言。


その効果は瞬間移動しつつ全方位にクナイ型弾幕をばらまく攻防一体の良スペル。

だったはずなのだが…

「…ふぇ!?わーー!!」

あまりにもファイナルスパークの効果範囲が広すぎて弾幕はかき消され、移動先でも直撃を食らってしまう。

「…さすがにえげつないわよ」

「いやー、ついうっかり…ZE☆」

アリスに指摘されてきゃるるーん☆というSEとエフェクトで魔理沙は必死に誤魔化す。


「大ちゃん!!大丈夫…?」

ファイナルスパークで吹き飛ばされた大ちゃんのそばに急いでチルノが駆け寄っていく。

「チルノ…ちゃん…私…ね……聞いて欲しいことがあるの……」

「大ちゃん!?何を言って…!?」

「私…ね……今までチルノちゃんと…居れて…楽しかった……よ?」

「そんな…!?大ちゃん!!死んじゃダメだ…!」


「アンタは何をやってんの。ヒロインごっこ?」

2人の様子を呆れた様子で見る霊夢。

「てへ☆1回やってみたかったの」

そういって、こぁ、じゃない、小悪魔のような笑みを浮かべる大妖精。

「でも本気で騙されちゃう子もいるから気をつけなさいよ」

と言って霊夢はチルノを指さす。見るとチルノは鼻水と涙(割合7:3)で顔がぐちゃぐちゃだった。

「だい"ぢゃん"……あ"だい"…」

「ご、ごめんチルノちゃん!大丈夫、私は大丈夫だから…ね?」

そう言って大妖精はいつもより小さな氷精の身体を抱きしめる。

「うわぁぁぁぁぁん!!」

それでもなお泣き続けるチルノに対して大妖精は




チュッ、と。





そのおでこにキスをする。



「チルノちゃん、ね。私はここにいるでしょ?」

「ひっぐ…ほんとだ…大ちゃん…あったかい……」

そんな2人の様子を遠巻きに眺める3人は

「はいはい、大チル大チル」

「おアツイことで」

「なんにせよ、仲が良いのはいいことなんだぜ!」

などといった感じで三者三様の反応を示していた。


「これにて異変は無事解決だぜ!それじゃあ私たちはそろそろ行くんだぜ」

「異変だったのかしら、これ…まぁ私も帰るわ。霊夢、いつも世話になるわね」

と言うと箒に2人乗りをして帰って行った。

「割と勝手よねー、あの2人も」

少しうんざりしたように霊夢がつぶやく。

「あの、霊夢さん!私、これ以上の弾幕ごっこの講習は大丈夫です。私、もっとやるべきこと、見つけました。
あ、もちろん、講習一回分のお賽銭はきちんと払いますし、博麗神社の宣伝もしますよ」

「あー…まぁ、一回分の賽銭は納めてもらうわけだし、宣伝もするのね?そしたら…まぁいいわ」

「はい、私、もっともっとチルノちゃんと一緒にいたいんです!」

少し頬を赤らめながら大妖精が宣言する。

「大ちゃん…」

「チルノちゃん…」

「「だいすきだよっ!!」」

終われ!!


はい、ということで大妖精こと大ちゃんが頑張る話、これにて完結です。
本当はなんかもっとこう…いろいろしたかったんですが、いかんせん主の力不足でして…
ここまで主のくだらない妄想にお付き合いいただきありがとうございました。
もしまた皆様にお会いできる機会があればまたよろしくお願いします。

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