【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開9回目】 (1000)

このスレは安価で結城友奈は勇者である。を遊ぶゲーム形式なスレです


目的

 【誰にも満開させない】

 【友奈と日常を楽しむ】

 【友奈に未練を与えない】


安価

・コンマと選択肢を組み合わせた選択肢制
・選択肢に関しては、単発・連取(選択肢安価を2連続)は禁止
・投下開始から30分ほどは単発云々は気にせず進行
・判定に関しては、常に単発云々は気にしない
・イベント判定の場合は、当たったキャラからの交流
・交流キャラを選択した場合は、自分からの交流となります


日数
一ヶ月=2週間で進めていきます
【平日5日、休日2日の週7日】×2


能力
HP MP SP 防御 素早 射撃 格闘 回避 命中 
この9個の能力でステータスを設定

HP:体力。0になると死亡。1/10以下で瀕死状態になり、全ステータスが1/3減少
MP:満開するために必要なポイント。HP以外のステータスが倍になる
防御:防御力。攻撃を受けた際の被ダメージ計算に用いる
素早:素早さ。行動優先順位に用いる
射撃:射撃技量。射撃技のダメージ底上げ
格闘:格闘技量。格闘技のダメージ底上げ
回避:回避力。回避力計算に用いる
命中:命中率。技の命中精度に用いる


戦闘の計算
格闘ダメージ:格闘技量+技威力+コンマ-相手の防御力
射撃ダメージ:射撃技量+技威力+コンマ-相手の防御力
回避率:自分の回避-相手の命中。相手の命中率を回避が超えていれば回避率75%
命中率:自分の命中-相手の回避。相手の回避率を命中が超えていれば命中率100%



wiki→【http://www46.atwiki.jp/anka_yuyuyu/】  不定期更新(週一はやる予定)

前スレ

【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開0回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開0回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419254842/)
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開1回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開1回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420369048/)
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開2回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開2回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421235603/)
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開3回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開3回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422087756/)
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開4回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開4回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423492200/)
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開5回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開5回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425304698/)
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開6回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開6回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427540647/)
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開7回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開7回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429279274/)
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開8回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開8回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430571079/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432461502



7月14日目 昼

デートの行き先選択

1、沙織との思い出がある庭園のある観光名所
2、映画館
3、イネス
4、テーマパーク
5、友奈の家
6、久遠家
7、お墓参り


↓2


友奈「日曜日だからかな……人が多いです」

天乃「日曜日だものね」

デート先に選んだテーマパークは

満員御礼と言わんばかりの状態

天乃「……………」

日曜日だからとは言ったけれど

でもきっと……それだけじゃない。と

天乃も友奈も、なんとなく解っていて

表情が暗くなってしまいそうな天乃を見つめて……友奈は手を握る

天乃「友奈?」

友奈「は、はぐれない様に、しないといけませんし」

公衆の面前で堂々と手を繋ぐ

それはものすごく恥ずかしいことだけど、でも

周りの目が気にならないちゃんとした理由があるから

そしてなにより、天乃先輩には悲しい顔なんてしてほしくないから

友奈「嫌ですか?」

天乃「……ううん。ありがとう」

結城友奈は、恥ずかしいと言う気持ちを押しのけて

天乃の手と自分の手を、しっかりと……繋ぎ合わせた


まだあれから1ヵ月しかたっていないと言う事もあって

まだまだ完全復旧とは言えないテーマパーク

それでも開園しているのも、満員御礼と言えるような来客数なのも

すべては人々が明るい空気を求めているからに、他ならない

友奈「どこに行きますか?」

天乃「そうね……」

ゴーカートや、観覧車、メリーゴーランドに、ジェットコースター

回るコーヒーカップならぬ、うどんぶり等々……色々とあるにはあるけれど

お化け屋敷や、

一部大型の乗り物に関しては調整中等の理由で使用は出来そうにない



1、ゴーカート
2、観覧車
3、ごーらんど
4、ジェットコースター
5、うどんぶり
6、迷路
7、勇者の大冒険


↓2


「では次の方、どうぞ」

係りの人に招かれて

天乃達は、大きな建物の中へと入っていく

大きさとしては

細長いジェットコースターを除けば恐らく一番大きいかもしれない

天乃「……リフォームっていうわけではなさそうね」

友奈「新しいアトラクションなのかもしれません……最近前々来てなかったから、解らないですけど」

天乃「私も、何年振りかって感じだわ」

他愛のない会話をしながら奥の部屋へと進むと、

すると、3つの扉と

本物そっくりの人型ロボットのある広間が現れた

『おお、来られたか。われらの希望の子達』

友奈「っ!?」

突然の声に驚いて、

思わず、天乃に飛びついて

天乃「……ただのセリフよ?」

友奈「きゅ、急に耳元で大きな音がしたから……」

そう答えてゆっくりと離れて

胸をなでおろしながら、息をつく

友奈「な、何か始まるみたいですよ」

天乃「また飛びついてきても良いわよ?」

友奈「こ、怖いのがあったら、ぜひ」


『どうか、どうか……人々をお救いください……』

本物そっくりな老婆のロボット――人形は

セリフを言い終えると、ゆっくりと会釈をする

天乃「魔王に支配された世界を救えってこと?」

友奈「そうですね、一応、武器もあるみたいですよ」

友奈は老婆の人形の足元から二本の剣を手に取り、

一本を天乃へと差し出す

天乃「リアルファイトでもするの?」

友奈「雰囲気作りじゃないんですか?」

天乃「もしくは、実は希望の子供の中の一人が魔王とか?」

友奈「っ、い、嫌ですよ! 私、そんなの絶対嫌です!」

天乃「ふふっ、冗談よ」

可愛らしいと言うのはアレかもしれないけれど

少しお怒りモードな友奈の頭を優しく撫でて、笑みを浮かべる

天乃「でも、私か友奈のどちらかが魔王なら、もうクリアも同然ね」

友奈「え?」

天乃「だって、勇者に恋をしてしまったんだもの」

友奈「ッ!」

天乃「それじゃ、いきましょうか」

友奈「は、はい……」

顔を真っ赤にした友奈の手を引いて

天乃は、先へと進んでいった


襲い来る無限の敵

戦って、戦って

それでもまだ、終わらない戦い

そこに現れた、一人の女性は言う

『貴方方の持つ、特別な力があれば終わらせることが出来ます』

しかし

女性はさらに……続ける

『特別な力……それは、使う者の大切な何かを代償とする力』

友奈「これって……」

天乃「……………」

『それでも、貴方は戦いますか? それでも、貴方は友と共に戦いますか?』

思えばそう……類似している

闇に包まれた世界の中で、女神に守られた街

特別な力を持った子供達だけによる戦い

倒しても倒しても、無限に湧き続ける敵

天乃「…………………」

そう

これは……まさに、自分たちと同じような状況だった


1、天乃一人で、戦う
2、二人とも、戦わない
3、二人で戦う
4、友奈に判断を委ねる


↓2


天乃「友奈、行くわよ……2人で」

友奈「……………」

一度手を放して

もう一度、差し出してきた手を見ながら

友奈は何も言わずに……首を振る

自分達だけが持つ特別な力

それが戦いを終わらせるためのカギだと言うのなら、喜んで使いたい

でも

友奈「私はもう……戦えません」

天乃「え?」

友奈「……あれだけ出てきた牛鬼が出てこないんですから、解ります。天乃先輩だって、きっともう、解ってるんですよね?」

友奈は

今日のデートの終わりに言おうと思っていたことを……告げる

こんな話になったというのに

黙ったままなんて言うのは、友奈には出来なかったからだ


天乃「………………」

友奈「……私にはもう、特別な力なんてないんです」

天乃先輩が一緒に行こうと言ってくれた

それはとても嬉しくて、とても申し訳なかった

だって

戦うことが出来ないから、足手まといでしかない

友奈「……私は一緒には行けません」

守ること、戦う事

それどころか

戦ったということ、戦ってくれていると言う事

それさえも知ることが出来ない

私はなにも、出来ない

友奈「ごめんなさい、天乃先輩」

そう言い残して

いくつかの扉のうちの一つ、【戦わない】と記された扉の方へ

友奈は1人……歩いていく



1、それでも。私は貴女と一緒にいたい! 一緒に来てほしい!
2、貴女はどうして、戦えなくなったの?
3、……そう
4、戦えるか、戦えないかじゃない。戦いたいか、戦いたくないかでしょう?


↓2


天乃「それでも。私は貴女と一緒にいたい! 一緒に来てほしい!」

友奈「っ………」

天乃「戦えなくていい、戦わなくていい」

それなら

傷つく姿を見なくて済むから

苦しむ姿を見なくて済むから

天乃「貴女は、傍にいてくれさえすればいいのよ」

友奈「天乃先輩……」

戦うことの出来ない足手纏い

戦いを知らない無知な者

それでも一緒にいて良いと

だからこそ一緒にいて欲しいと

そう願う天乃へと振り返った友奈の瞳には、涙が溜まっていた

友奈「………………」

自分だけが戦わず

自分だけが楽を出来てしまう

でもだからこそ……友奈は

友奈「一緒に行きます、天乃先輩」

その道を、選択する


きっと

正義感に満ち溢れ

親友たちへの思いを培って

初めての恋をして、叶ったことを喜ぶ心は

その友を、恋人を

守りたいのに守ることが出来ないという現実に苛まれ続けて

いつか、摩耗していき、壊れてしまうのだろう

友奈「天乃先輩」

天乃「………………」

友奈「私はずっと……一緒です」

でも、それが

苦しく、辛く、大変で、傷ついて行く恋人たちの傍で

ただ何も知らず、何もせず

平和と愛を享受するだけの自分が払うべき代償なのだと言い聞かせて

結城友奈は【戦う】という選択を――選ぶ


では、ここまでとさせて頂きます
基本、22時までに連絡がない場合は、投下はないと判断していただけると助かります




戦い続ける勇者に寄り添い、少女は言いました

私は戦うことが出来ません。だから、貴方の傍に入るべきではありません。と

けれど、勇者は立ち去ろうとする少女を捕まえて、言いました

傍にいて欲しいと

だから、少女は勇者の傍に居続けることを決めました

ただ傷ついて行くのを見るだけ

苦しんでいるのを、悲しんでいるのを、辛そうにしているのを

ただただ、見ていることしかできないとしても

少女は、たった一人の孤独な勇者の傍に居続けました

勇者が傷ついている分

悲しんでいる分、苦しんでいる分、辛い思いをしている分

自分の心が傷つき、摩耗していくのを感じながら

少女は、勇者に寄り添い続けました

世界の為、人々の為

戦い続ける勇者の為だけの、勇者へとなりたかったからです


では、今日は進めていきたいかと思います


√ 7月13日目 夕方

01~10 
11~20 世界が静止する時間
21~30 
31~40 女の子しかいない時に、良く出てくると噂の彼ら
41~50 
51~60 クラスメイトs
61~70 
71~80 エラーが起きました。観覧車は暫く停止いたします

81~90 
91~00 

↓1のコンマ  


友奈「天乃先輩」

天乃「うん?」

友奈「今、何時くらいだと思いますか?」

天乃「そうねぇ……」

無意識に腕時計を見ようとした瞬間

友奈は繋いでいた天乃の手を引いて、見ちゃだめです。と囁く

天乃「………………」

消えゆく太陽をちらっと見て

一番参考になりやすい観覧車へと目を移す

昼間、太陽は観覧車の正面から見て、右側にあった

そして現在、太陽は観覧車の後ろから見て、やや右寄りの位置にある

友奈「……解りますか?」

天乃「夕方だってことは解るわ」

友奈「えへへ、実はもう、5時近いんです」

天乃「5時?」

友奈「私、全然気づかなかったです。天乃先輩は、気づいてました?」


端末を持てなかった数か月は

天乃に腕時計での時間確認と言うものを、習慣付けた

けれど、それの付けられた手は友奈の手中

思えば……時間なんて全く、気にしていなかった

天乃「気づいていたら、即答出来ているわよ」

友奈「です、よね」

天乃「?」

どこか嬉しそうに、友奈は可愛らしい笑みを浮かべながら

天乃と繋ぐ手を軽く振って、心なしか歩幅が狭くなって

同じように、2人の距離も狭くなっていく




1、最後に観覧車に乗る
2、何か嬉しいの?
3、時間を忘れることができるって、素敵よね
4、ねぇ、友奈。今夜は貴女の家に行かない?
5、ねぇ、友奈。今夜は私の家に来ない?
6、そろそろ帰りましょ


↓2


綺麗な景色が一望できる観覧車

それが魅力であり、遊園地でのデートにおいて

最後の締めくくりだ。と、定番にされる理由でもある

けれど、今は……

個性ある建物の数々、光を反射する海

そして、オレンジ色に染まる街並み

今見える景色も確かに綺麗だ

しかし、以前とは明らかに欠けすぎている

天乃「…………」

がれきの山が積み重なっているなんて言うことはない

廃墟と化した建物が聳えているわけでもない

そう

綺麗すぎるのだ

その土地には、何もないと言う意味で――見える世界はあまりにも、綺麗すぎた


友奈「天乃先輩……」

天乃「……平気よ」

自分で乗ると言った

友奈の制止するような声を押しのけて

大丈夫だから。と

天乃「……………」

友奈「……………」

綺麗ですねと、言えなくて

天乃先輩のせいではありません。とも、言えない

友奈「……………」

言っても、「そうね」、「ありがとう」、「解ってる」というような

定型文のような生返事しか、返ってきはしないだろう


自分に何が出来るのか

何を差し出すことができるのか

代償になるはずだった体は、代償にはなれなくなった

守れるはずだったものが、守れなくなった

肩を並べて、どんな時でも隣にいられるはずだったのに

何もない、平和な時間しか。傍にはいられなくなった

友奈「…………………」

戦えないくせに

守れないくせに

一般人のくせに

誰に言われたわけでもない侮蔑の句が脳裏を過ぎる


01~10 手を握る
11~20 体を寄せる
21~30 何もできない
31~40 手を握る
41~50 結城友奈は勇者である
51~60 何もできない
61~70 体を寄せる
71~80 手を握る
81~90 天乃先輩のおかげで……私は。私達はまだ、生きていられるんです
91~00 何もできない

↓1のコンマ  

ぞろ目ボーナス:結城友奈は勇者である


気持ちを知ることが出来ない

声をかけることが出来ない

痛みを受け取ることが出来ない

苦しみを奪うことが出来ない

何もできない

友奈「っ……………」

無力感が、痛みを孕み

その痛みは苦しみや悲しみを波状させて

友奈の心を蝕んでいく

天乃「……友奈?」

友奈「……もう終わりかと思うと、寂しいですね」

取り繕うような笑みで、友奈はそう、呟く


――それが嘘だとばれるであろうことを、解っていながら


√ 7月14日目 夜

結城友奈・三好夏凜・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です


1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、死神
7、イベントの判定

↓1のコンマ

5


ごめんなさい、普通に↓2の選択安価でした
>>72、東郷さんとの交流を選択でいいですか?


観覧車の周回が終わってすぐ

友奈と天乃はみんなのいる家へと、戻った

夜もどこかに付き合うのも悪くはなかった

けれど

勇者の大冒険や、観覧車での一件が尾を引き

少しばかり、気まずかったのだ

天乃「……ねぇ、東郷」

東郷「なにか、言う事が……あるみたいですね」

天乃から来なければ、自分から行っていた

そう言うような東郷の口調に

天乃は活力のない瞳を向けて、頷く


1、自分が死んだ後の事について
2、町の状況を踏まえたうえで、自分への感情を問う
3、自分の寿命について
4、何も言わずに、傍にいてくれない?


↓2


では、今日はここまでとさせて頂きます
今週は土曜含めて、更新は中々厳しいと思います
通例通り、22時を過ぎた場合は投下はないと判断してください


14日目の後半、天乃の運勢はタロットでは死神の逆位置でした

乙乙
書いてたらなんか胸の差がヤバイ

http://i.imgur.com/eVPtk2W.png
誰か色塗ってくれても良いのよ...?

では、牛歩になるかとは思いますが
進めさせて頂きたいかと思います


天乃「ひとつ聞きたいことがあるの」

東郷「……はい」

天乃の暗い面持ちに、

東郷は不安を覚えて拳を握りしめる

おふざけが目立つ天乃だが、

ここ最近はそうでもなく、むしろ真面目な面を見かける事がある

だからこそ、身に纏う雰囲気の重さが

偽りなどではないと、東郷は解っていた

天乃「東郷は私のこと、どう思ってる?」

東郷「どう……とは?」

天乃「今の街の状態。それに陥らせた私のことをどう思っているのか……聞かせて欲しいのよ」


東郷「友奈ちゃんに、何か言われたのですか?」

天乃「そう言うわけじゃないわ。ただ、気になっただけ」

友奈との外出後というのもあり、

疑いなど微塵もなく

大親友である友奈を激しく示唆することはまずないけれど

もしも失礼なことを言っていたら注意くらいは……

そう思っていた東郷は理由なき意味深な問と向かい合って、息をつく

東郷「久遠先輩はとても優しい……いえ、優しすぎる人だと思ってます」

天乃「どうして?」

東郷「何もかもの責任を背負おうとしているから、でしょうか」


いつだって、なんだってそう

思い出せば

神経を逆撫でされるような事が数々ある

しかし、そうではないこともある

今聞かれている街の状態

その被害をもたらした戦いだってそうだ

今までで最大級の被害だったのかもしれない

けれど

その被害こそが、あの戦いにおいての

最小限だった。と、

考えることだって出来るのに

自分もまた被害者だと言えるのに

貴女達がもっと頑張ってくれればと言うことだって出来るのに

なのに

東郷「久遠先輩は……1人で背負おうとしています」

それを優しすぎると言わずして

なんと言えば良い


天乃「……でも、私がやったわ」

東郷「しかし、そうさせたのは私達の実力不足です」

天乃に対して東郷は即答する

それ以外の回答はない

それこそが正解

そう言わしめるように

天乃「………………」

東郷「だからそう……暗い顔なさらないで下さい。友奈ちゃんまで暗くなってしまいます」


東郷は本来言いたかったことを告げて

天乃の顔をじっと見つめる

天乃「貴女は本当、友奈のことばかりね」

東郷「今でも、友奈ちゃんが私の大切な存在である事に変わりありませんから」

その「今でも」という一言の力強さに

天乃は思わず苦笑する

天乃「友奈を引き合いに出されると困るわ」

東郷「ならば金輪際、この件について悩んだりしないでください」


1 わかったわ
2 ……ええ
3 友奈を奪ったこと、怒ってる?

↓2

では、今回はここまでとさせて頂きます

1と2は同じようで全く別物です

遅くなってしまいましたが、今日はやろうかと思います


天乃「……ええ」

逡巡の後に、口にした言葉

それがやや不安定に聞こえて

東郷は眉を潜めて天乃を見つめる

東郷「なにか、納得いきませんか?」

天乃「そう言うわけじゃないけど……」

東郷「けど?」

納得していない?

受け入れるつもりなんてない?

そう疑う東郷の表情はより険しく

見つめられる側の天乃は困ったように笑みを浮かべて……照れくさそうに頬を掻く

天乃「貴女にこんな優しい言葉をかけて貰えるなんて、思ってなかったのよ」

嘘に嘘を重ねるのではなく

嘘に本心を重ね合わせて……覆い隠す


納得していない

出来るはずがない

どんな理由や経緯があったとしても

結果を引き起こしたのは自分なのだ

それは一生だけでなく、死んでもなお背負い続けるべき罪

だから、絶対に悩まないなんてことは言えない

でも、それを知られてはきっと。面倒なことになるから

悩ませるから、苦しませるから

だから東郷との関係の進展

それを喜ばしいことだと思う本心を重ねた

東郷「以前は久遠先輩が誤っていたんです。正しければ、私だって失礼な態度は致しません」

天乃「ふふっ、そうかしら」

東郷「そうです」

いくら聡い子だとしても

本心で覆われてしまっては

覆われたものが嘘だ。などとは……言えないからだ


少女たちの小さな小さな笑い声

それはとても幸せそうなものに聞こえる

けれど……それを幸福だと言う事はきっと――できはしない

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(デート失敗)
・  東郷美森:交流有(久遠天乃について、嘘)
・  三好夏凜:交流無()
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


7月の14日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 36(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 34(中々良い)
  結城友奈との絆 71(凄く高い)
  東郷三森との絆 35(中々良い)
  三好夏凜との絆 64(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 51(高い)
      死神との絆 35(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦・神樹による、久遠天乃の警戒レベル○△□%程度?(検閲)

神樹に関する調査報告:非常に強力な結界が構成されています


8月1日目 夏休み中:合宿初日 朝


結城友奈・三好夏凜・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です


1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、死神
7、イベントの判定

↓2


天乃「風、ちょっと……」

風「なに?」

天乃「確かに私は学校の水着しか持っていないって言ったわ」

風「うん」

天乃「そして、貴女が部長として用意すると言ったから。じゃぁ、普通のものをお願いって言ったわ」

風「だから買ってきたでしょ。それ」

悪戯っ子のような笑みを浮かべて指さした紙袋

その中をもう一度確認した天乃は

あからさまに不機嫌な表情を浮かべると

大きくため息をついて、紙袋を突き返す

天乃「こんなの、着られるわけないでしょ」

風「何言ってんのよ、ビキニは女子力を上げるんだから!」

天乃「女子力なんていらないわよ」

風「……じゃぁ、夏凜が提案したフィットネスタイプにすればいーじゃない。天乃の大嫌いなその女子力の塊が浮き彫りになるわよ?」

天乃「フリルで誤魔化すタイプは?」

風「ない」


天乃「……………」

風「っていうか、中3でフリルはちょっと」

天乃「目立たないのが良いって言ったのに」

風「いや、無理でしょ」

水着で目立たせないようにするのは不可能に近い

大きすぎるサイズのものを着用して

寸胴に見せたとしても

一旦海に入れば、肌に張り付いて見事な隆起が見れてしまう

だからこそ

張り付いてしまわない上下の別れたタイプが良いと思ったのだが

風「一応、すぐ近くに水着の専門店っていうか、ビーチ用品たくさん売ってるところあるから、別の買って来たらどう?」


1、風も来てよ
2、解ったわ
3、友奈を連れていく
4、東郷を連れていく
5、樹を連れていく
6、良いわよ、貴女が選んでくれたので


↓2


ではここまでとさせて頂きます
明日は出来るかどうかわかりませんので、22時までになければありません


なお、8月14日終了時に、大体固定されます

やや不安定ですが、牛歩で進めさせて頂きたいかと思います

画像アップロードのテストしてたら来てた

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira077979.jpg


友奈「水着ですか?」

天乃「そう、水着」

風先輩が選んだ水着があるのに。と

小首を傾げる友奈から水着へと視線をずらして息をつく

天乃「あれは嫌よ……恥ずかしいじゃない」

友奈「恥ずかしい……?」

天乃「ええ」

自分の胸と、天乃の胸

見比べた友奈は悲しそうな笑い声を漏らす

どう見ても恥ずかしいのは私じゃないかな……小さいし

天乃「友奈?」

友奈「な、なんでもないですっ」


ん? と、疑問符を浮かべる天乃に笑みを向けて

手短な水着をラックから取り出した友奈は

友奈「こ、これなんてどうですかっ?」

確認もせずに天乃へと差し出す

天乃「……えっ?」

友奈「えっ……あっ!」

いくらナイスバデーでも

女子中学生……いや、

高校生ですら早すぎるであろう、際どい水着を

友奈「ご、ご免なさい違います!」


別にきわどい水着を着て欲しいだなんて思っていない

でも、適当に

言い換えれば無意識に選んだ水着がそれだったのなら

もしかしたらそう思っているのかもしれない

友奈「うぅ……」

勝手に悩んで、自己嫌悪

でもきっと

身長が高ければ似合うんだろうなぁ。と

少しだけ考えて、首を振る

言ったらきっと、怒られるよね

友奈「……………」


天乃からしてみれば、

友奈は真剣に悩んでいるように見えるわけで

それがとても、嬉しくて、愛おしくて

流石にヒモのような水着を着る気にはなれないけれど

風が選んだような

常識の範囲内でのビキニタイプなら良いかな。なんて考えて苦笑する

本当に

私は友奈に対して……甘いのね

天乃「…………」

水着が決まらなければ遊べない

誘った友奈だってきっと、遊びたいとは思っていても

天乃を放り出して遊んだりはしないだろうから……遊べなくなってしまうだろう



1、風が選んだ水着にしておく
2、競泳できるような水着
3、樹が来ていたような水着
4、東郷がきていたような水着
5、友奈に選んでもらう:コンマ判定

↓2


01~10 パレオ付きのタイプ
11~20 ショートパンツタイプ
21~30 ビキニ
31~40 フリル付きのタイプ
41~50 ラッシュガード、パーカータイプ(下は風の選んだビキニ)
51~60 目を瞑って選んだのは、どうあがいても……きわどい水着でした
61~70 フリル付きのタイプ
71~80 パレオ付きのタイプ
81~90 ビキニ
91~00 ショートパンツタイプ

↓1のコンマ  


東郷の洋服選びを手伝ったりしたこともある友奈は

別に自分のセンスに自信がないわけではなかった

けれど、

さっきの無意識が自分のセンスなら。と

見て選ぶのを躊躇してやってみた目を瞑っての水着選び

友奈「こ、これで……!」

天乃「……………」

友奈「あ、あれっ!?」


選ばれたのは――際どい水着でした


友奈「ち、ちが、私……そんな、でも、えっと……」

天乃「そんなに着て欲しいの? こんな破廉恥な水着」

友奈「そ、そんなことは……でも」

そうなのかな……

私、天乃先輩にこんなの着て欲しいって……思ってるのかな……


自分が選んだ際どい水着を見つめて

ちらっと……天乃を見て、頭の中で合成してみる

明るい桃色の髪

豊満な胸元

綺麗な曲線を描く腰元に、すらっとした腕や足

それなのに可愛らしい身長

なのに、

風が選んだのよりも一回りほど布面積の少ない

ちょっぴりどころじゃなくえっちぃ水着を付けた姿は

友奈「っ、っ~~~っ!」

子供が背伸びしているような愛らしさがあって

けれど、しっかりとした大人のような色気もあって

それはとてもとても、魅力的で

友奈「………………」

天乃「友奈?」

でも、そんなお願いをするなんて。という思いが首を振らせた


1、試着だけなら。良いわよ
2、良いわ。着てあげる
3、上に羽織るパーカー買うわ。でも……中はそれで
4、それとは別に、パレオつきの水着を買うわ
5、良いわ。買いましょう。でも、斬るのは風が選んだ方よ
6、悪いけれど……それはやっぱり嫌よ

↓2


では、ここまでとさせて頂きます


友奈ちゃんがそんな子だなんて思いませんでした

出来たら五時半くらいに再開します


天乃「試着だけなら。良いわよ」

友奈「えっ!?」

天乃「着て欲しいんでしょ?」

友奈「それはその……」

目を合わせようともしないし

受け取った手には若干の躊躇いがあるし

顔は真っ赤

それでも、友奈の予想に反して

天乃は際どい水着を片手に、試着室へと向かう

天乃「試着、大丈夫?」

「はい、下着等の上からでしたら可能ですよ」

天乃「あら……だ、そうだけど。別に良い?」

友奈「は、はいっ!」

思わず勢いで答えて

すぐに「はいじゃないよ!」と、考え直す

けれど、その時にはもう……天乃の姿はなかった


天乃「シャツの上から……着けられそうね」

上下ともに布の面積は小さく

もはや手で隠した方が隠せそうな感じだ

着用することでシャツが変に引っ張られることもないし

それならそれでもいいのだろうけど

友奈が望んでいるのは果たしてどちらか

天乃「……………」

着て欲しいと望んでいて

それに答えてあげると言ったのだから

最大限の努力はしてあげるべきだろう

天乃「仕方ないわね……友奈のえっち」

白いシャツを脱いで露わになった下着

その上から重ねるようにして、つけてみる

天乃「……下着しかつけてる感じがしない」

これでは見せても

せいぜい、下着姿を晒すだけだ


1、友奈を引きずり込んで、直に
2、そのまま見せる


↓2


天乃「……友奈」

友奈「っ、あ、天乃先輩?」

天乃「ちょっと、手伝って欲しいのだけど」

友奈「え?」

カーテンの隙間から

天乃は困った顔を覗かせる

もちろん、演技だ

友奈「で、でも……」

天乃「いいから、お願い」

友奈「っ………」

手を繋いだ

キスをした

一緒に寝た

でも、試着室に一緒に会居るなんて経験は初めてで

カーテンの奥がどうなっているのか解らないと言う不安に、友奈は目を伏せる


パサッと音がした

だから、シャツを着ていないことは確実

下着姿かもしれない

裸かもしれない

もう、水着をつけているかもしれない

友奈「あぅぅぅ………」

想像すればするほど

試着室がバーテックスのように見えてくる

近づいたら反撃されてしまいそうな不安

でも、そうしなければいけないことの葛藤

天乃「お願い、友奈」

友奈「………っ、わ、わかりましたっ」

天乃の懇願に押し負けて

友奈はゆっくりと近づく

その瞬間

友奈「っゎぁ!?」

獲物を捕らえる爬虫類の舌

それと見間違えるほど

いや、目に捉えられないほどの速さで伸びた手が、友奈を試着室へと引きずり込む

「ん?」

店内に巻き起こった旋風

女性が振り返った時にはもう……カーテンの閉じた試着室しか、残っていなかった


友奈「ぁ、天乃先ぱ!?」

天乃「つけちゃった」

友奈「っ、つつ、つけちゃったって、えっと!」

天乃「なんで目を逸らすのよ」

友奈「だ、だって……」

急に引きずり込まれて目を開けたら

モンブランの天辺を飾る栗

ショートケーキの苺

ハンバーグの上のチーズ

ぼた餅の上の煮干しのような

思わず凝視して、「とりあえず先に食べよう」と

手を出してしまいかねないような

あってないような三角形がトップバストを覆っているだけの胸が視界に飛び込んだのだ

目を背けないわけがない

友奈「こんなの……聞いてないよ……」

天乃「でも、見たかったんでしょ?」

友奈「……私はダメだって、でも。体が勝手にそれを」

天乃「じゃぁ、体が求めてるってことじゃない。今だって、チラチラ……その、見てるし」


友奈「っ………」

天乃「見て良いのよ? というか、その……」

友奈「ぁ、天乃先輩?」

天乃「チラチラ見られると、なんというか、見ちゃいけないような恥ずかしいことしてるように思えてくるから……」

だからお願い

普通に見て……と

羞恥心に頬を染め上げて、瞳を潤わせ始めながら

願ってくる小さな先輩を……下からゆっくりと、じっくりと見つめていく

天乃「っ」

肩や背中に伸びるヒモは本当にただのヒモで

刺繍糸と良い勝負が出来るくらいしかなく、桃色の布部分は

天乃のやや白めの肌の上でしっかりと映えているのに、視線から守れそうもないほどに小さく、薄い

そして、下に至ってはもはや、付けることで恥ずかしさが増すだけのような極小のGストリング

こっちに関しては、流石に下着の上からではある物の

それが下着から浮き彫りにしているようで、むしろ色気を感じさせる

友奈「っ………」

トップバストを覆う布地周りにはみ出たつきたてのお餅

東郷に勝るとも劣らない立派な大きさと形

それにたいする憧れか、嫉妬か

それとも……願望か

喉がごくりと鳴って、友奈は激しく首を振って目を逸らす

友奈「な、なしです! 絶対なしです!」


友奈「こんなの着たらダメです!」

優しさや温もりを

自分以外の誰かと共有するのは別に良い

むしろ、そうあることを望んでいる

でも、だけど

可愛らしさや、美しさ

それに属しているようで属していない色気というものを

自分以外の誰かに見せてしまうことは

なぜだかとても……嫌だった

友奈「ぬ、脱いでください!」

天乃「ちょ、ちょっと待って、やっ」

上下左右

どの方向からの衝撃にも弱い水着は

天乃「~~~~~~~~~ッ!」

その器からいとも容易く果実を取りこぼして、弾けさせる

友奈「ぁ」

天乃「っ……だから、だからやなのっ! こんなの……嫌なのよっ!」

今にも泣き出しそうな小さな先輩に、友奈は――


01~10 自分のパーカーを羽織らせる
11~20 可愛い……と呟く
21~30 小さくても良いことなんてないですよ
31~40 天乃先輩の大きい胸も、好きです
41~50 ごめんなさい
51~60 壁ドン
61~70 床ドン
71~80 じゃあ、旅館に戻りましょう。天乃先輩
81~90 ごめんなさい
91~00 じゃあ、旅館に戻りましょう。天乃先輩

↓1のコンマ  

ごめんんさい(ガバッ なのか
ごめんなさい(シュン… なのか

さあどっち?(錯乱)


友奈「ごめんなさい」

ペラペラの布をぶら下げるだけのヒモを肩に引っかけて

胸を腕に隠して座り込んでしまった先輩に

友奈はしっかりと、頭を下げる

友奈「私……慌てちゃって、だから……」

違う

それは言いわけでしかない

なんで慌てたんだろう?

なんで、強引に脱がそうとしちゃったんだろう?

誰かに見られるのが嫌だった?

それも少し違う

誰にも見せたくなかったんだ

友奈「……なんでだろう、自分の事優先したら、またあの時みたいになっちゃうかもしれないのに」

天乃「……………」

友奈「本当にごめんなさい、天乃先輩」

昔、けんか別れしてしまった友人の事を思い出して、友奈は俯く

その子とはしっかりと仲直りできた

でも、喧嘩別れしてしまったというのが、小さい頃の友奈にはとても大きく、重く

それこそが今の友奈を作り、ずっと……心を縛ってしまっているのかもしれない


過去

自分の為にしたことで、大きな傷を負っていた少女は

他人の幸せ、笑顔、喜びの為に

他人に悲しみ、怒り、嘆きを感じさせない為に

少女は誰よりも、他人の事を大事にするようになりました

そして、

少女はそれこそが勇者であると、信じていました

そしてある時

少女の前に勇者が現れました

勇者はボロボロになりながらも戦い続けて

誰よりも、なによりも

過酷な道を選んで、たった一人で歩いていました

少女はそんな勇者に、恋をして……知ってしまいました

勇者は最後に消えてしまう運命なのだと

他人の為に傷つき、苦しみ、痛み、辛く苦しい道を行き、悲しみを背負って、消えていくのだと

そしてそれは……最後の最期まで掬い続けてきた人々を、不幸にしてしまうのだと

だから少女は、勇者と想いを通わせてなお、危険な傍に居続けました

勇者がいつか、自分と一緒に生き続けたい。と

他人の為でも少女の為でもなく

勇者自身の為に生きてくれることを……願っていたからです

√ 8月1日目 昼

結城友奈・三好夏凜・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です


1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、死神
7、イベントの判定

↓2


1


太陽が真上にまで来たことで

ただでさえ熱い砂場は鉄板の上のような熱さになり

海の中に逃げ込む人や

海の家に逃げ込んでいく人で

砂浜からは人気が無くなっていく

天乃「私達はどうする?」

友奈「天乃先輩にお任せします」

にこっと笑みを浮かべてはいるけれど

明らかに元気がない

天乃「……別に、怒ったりはしてないのよ? ただ、この大きさが嫌ってだけで」

そもそも、試着室に友奈を引きずり込んだのも

試着だけならすると言いだしたのも自分だ

にも拘らず、怒るなんて逆恨みも甚だしい

友奈「でも、その……天乃先輩は嫌って言おうとしたのに、無理矢理脱がそうとしました」

天乃「まぁ……そう、だけど……」


試着室でのもみ合い

と言うより、一方的な揉まれ合いのような何か

それを思い出して、天乃は顔を赤くして首を振る

天乃「どうせ、ほら……温泉はみんなで入るだろうし」

友奈「…………」

天乃「それに、女の子同士なんだから別に、ね?」

友奈「でも、悪いことをしたことには変わりないです」

完全な自己嫌悪

自分の気持ちを優先して

他人の気持ちを考えなかった

その、人間なら誰しもがしてしまうその思考その行動が

友奈には……あまり、許せることではなかった

それが大好きな恋人である、天乃相手ならなおさら



1、今の友奈は嫌いよ
2、キス
3、砂ドン
4、じゃぁ……今度、貴女の事脱がさせて? それでお相子にしましょう?
5、そうね……私は恥ずかしい思いしたし。友奈、今ここで貴女からキスして。それでこの話は終わりにしましょう
6、どうして無理矢理脱がせたの?


↓2


天乃「……ねぇ、友奈」

友奈「なんですか?」

天乃「私も恥ずかしい思いしたし……そうね、今ここで貴女からキスしてくれない?」

友奈「えっ」

天乃「それでこの話は――」

友奈「ちょ、ちょっと待ってください!」

さっきまでの元気のない声から一転

大慌てな友奈は声を張り上げて、天乃を見つめる

風先輩たちはいない

周りにその他の人たちだって少ない

でも、だけど

ここでキスなんて……

友奈「ほ、本気ですか?」

天乃「うん」

友奈「…………………」

嗜虐心を満たしつつご褒美を与えるスタイル


友奈「誰かに見られるかもしれないです」

天乃「いいじゃない、別に」

友奈「でも……」

女同士だって、気持ち悪いと思う人がいないとは限らない

こんなところで。なんて、恥ずかしい人達だと侮蔑されるかもしれない

天乃「貴女がキスしてくれないと、私、ナンパされちゃうかもしれない」

友奈「え?」

それは自意識過剰でもなんでもなく

東郷の事もだが

天乃の事を見ている人だって結構な人数いたのだ

この後のお昼に誘われるかもしれない

夕方に遊びに誘われるかもしれない

夕食にご招待されるかもしれない

天乃「でも、貴女がキスしてくれたら……それを、誰かが見てたら」

友奈「…………」

天乃「私は貴女のモノなんだって……みんな、諦めてくれるかも」

図らずもなる上目遣いに、誘いの言葉

据え膳食わぬはなんとやら……だとしたら私が男の子側なのかな

友奈「……解りました」

天乃の上に跨って

下あごを親指と人差し指で軽く抑えて……くいっと、持ち上げる

友奈「天乃先輩は、私のです」

天乃「別にそんなセリフ……言えだなんて」

友奈「違います」

天乃「なにが違っ――」


喋らせない

言葉の途中で口を挟むのではなく

唇に唇を重ね合わせて……止める

天乃「ぁっ……」

友奈「…………」

話している最中だったからか

閉じることの出来ない口

そして、それを見計らって入り込んでくる舌

天乃「っ」

天乃がビクッとしたのを見ながら

以前、子供の件を調べた時にちらっと出てきてしまった動画

そこに出てきたキスを真似るように

友奈はそのまま……天乃の舌の上を、舌でなぞる

天乃「ぅ……」

天乃先輩がしてって言った

だからあとちょっとだけ……欲張っても良いよね


01~10 
11~20 風
21~30 
31~40 夏凜
41~50 
51~60 東郷
61~70 
71~80 樹

81~90 
91~00 

↓1のコンマ  

まさかの東郷さん
いやまあ夏凛でもややこしいけどさ……


東郷「おーい」

友奈「っ!」

あと一歩先

進もうとしたところで東郷が戻ってきて

慌てて口を離す

東郷「友奈ちゃ――」

友奈「ほ、ほら、天乃先輩砂だらけですよ!」

天乃「え、あ……うん、まぁ、温泉に入るし、その前にシャワーがあるし。良いわよ」

明らかに怪しい慌ただしさ

髪の毛の砂を確認するために、

態々対面座位になる必要があるのか? 断じて否

2人の唇が妙にツヤツヤしているように見えるのは気のせい?

きっと、気のせい

東郷「泳いできては如何ですか? 冷たくて、気持ち良いですよ」

友奈「うん、そうしましょう天乃先輩!」

天乃「嫌よ、暑い」

友奈「暑いから行くんですよっ」

これはあとで一緒に温泉入るフラグと見た


そう言って、友奈ちゃんは久遠先輩の手を引っ張って……そそくさと

言い換えれば逃げるように去っていく

そんな2人を見つめる東郷は

少し寂しいため息をついて目を逸らす

いつからか、友奈ちゃんは久遠先輩ではなく、天乃先輩と呼ぶようになった

そしてその少し前から

2人はずっと……どこか、怪しい感じがしていた

東郷「……でも、私がお願いした結果だから」

だから、これでいい

このままでいい

いつか2人から言われるまでは

気づかないふりをして、見てみぬふりをして

そうだ

東郷「言われたら……ずっと解ってたって驚かせてみようかしら」

そんなことを呟いて

寂しさを紛らわせるために……空を見上げた


ではここまでとさせて頂きます


死神「オンセンノ、ロクガハマカセロ!」


今日は出来ないので、再開は明日となります
出来れば21時頃から牛歩で進めていくと思います


では、再開して行こうかと思います

√ 8月1日目 夕

結城友奈・三好夏凜・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です


1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、死神
7、イベントの判定

↓2


天乃「死神、いるんでしょう?」

死神「ウン」

小さな黒い霧に包まれて姿を現した死神は

少し悲しそうな雰囲気で頷く

天乃「どうしたの?」

死神「サイキン、アイテシテクレナイカラ」

天乃「それは……まぁ、ごめんね」

近頃、

天乃は友奈と一緒に居ることが多く、

当然と言うべきか死神を呼ぶこともなかった

死神「イジワル」

そのせいだろうか

死神は少しいじけているというか、不貞腐れているというか……

といった様子

天乃「意地悪って……」

死神「ユウナノコト、キッチャウ、ワ、ヨ?」

天乃「……冗談なら仮面叩き割るだけにしてあげるけど?」

ニッコリと笑みを浮かべる天乃を見つめる赤い瞳は

大きく揺らぎ、まるっこい小さな体が後退る

死神「ゴメンナサイ」

天乃「よろしい」


死神「アマノセンパイハ、ワタシニ、ナンノヨウジナンデスカ?」

天乃「天乃先輩は友奈だけよ」

死神「アマノ」

天乃「ふぅん……」

死神「クオンセンパイ」

天乃「うん」

久しぶりの死神との会話を楽しみながら

死神が気にする要件を頭に思い浮かべる



1、天乃の詳しい寿命について
2、友奈が戦えない理由
3、バーテックスの襲来について
4、自分の散華について
5、自分が死んだあとについて

↓2


天乃「貴方に確認したいことがあるのよ」

死神「カクニン?」

天乃「ええ……友奈が戦えない理由に私が関係あるのかどうか」

友奈の精霊である牛鬼が出てこないと知った時期

友奈に起きた特別なことがあるとしたら

それは自分とのキスくらいしかない

だから、自分が関係しているはずなのだ

天乃「どうなの?」

悪いも良いもない真実を

死神は小さく頷いて告げる

死神「クオンサンハカンケイアルハズ」

天乃「……やっぱり?」

死神「デモワタシハ、カンケイナイ? ト,オモウ」


天乃「貴方は関係ないの?」

死神「ウン、ワタシハナニモシテイナイカラ、キット」

死神に嘘をついている様子はなく

そもそも、嘘をつく理由など死神にはないはずなのだ

だとすれば

死神関係なく

天乃によって、友奈の戦闘不能は引き起こされたと言っていいだろう

天乃「でも……それなら」

特別な力を持つ天乃と交わったがために

神樹様から拒絶された……ということではないと言う事になる

天乃「キスしたら、勇者じゃなれなくなるとか?」

死神「ミンナニシテミル?」

天乃「……ダメよ、私のキスは友奈のモノだもの」

死神「ワタシニモシテクレタノニ?」

天乃「あれは気の迷いよ……」


死神「クオンサン」

天乃「ん?」

死神「キット、ユウナハタタカエル。デモ、コノママジャタタカエナイ」

天乃「どうしたらいいの?」

戦わせたいだなんて思わない

友奈は大切で、大好きな子だもの

もちろん、勇者部のみんなだって戦わせない方法があるのなら、戦わせたくない

でも、一応は聞いておきたいと思った天乃に対して

死神はふよふよと空中を泳いで………姿を消す

死神「ソレハシラナイ、ワタシハ、ユウナジャナイカラ」

天乃「…………」

知れたらラッキー程度だった

でも、思わせぶりな発言をしておいて

姿を消した死神に憤りを感じるのはやや当然ともいえるわけで

天乃「そこだっ!」

目を瞑って気配を察知

何もないように見える場所を鷲掴みにして、力を込めていく

死神「ッ!? ナンデ!? ワタシワルクナイ!?」

天乃「思わせぶりな事――言うからよ!」

久しぶりの死神とのじゃれ合い

少しだけ……楽しかった


では、ここまでとさせて頂きます


音泉は死神以外の場合でした

では、牛歩ですが再開したいと思います

√ 8月1日目 夜

結城友奈・三好夏凜・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です


1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、死神
7、イベントの判定

↓2


天乃「ねぇ東郷」

東郷「はい」

天乃「今日も1日が終わろうとしてるわ」

東郷「……そうですね」

東郷と樹にはすでに、

風から大規模な戦いがこの先に控えていることが伝わっている

だからだろう

東郷は

何事もなく過ぎていくことが嬉しいと同時に怖く

計り知れない不安を感じていた

東郷「塵も積もれば山となる……正直な話ですが、不安が拭えません」


過ぎていく日々の一つ一つに

起きるはずだった不幸な出来事

それが積み重なって

最後の最後の大きな戦いが

よりひどく、厳しいものになってしまうんじゃないか。と

東郷「久遠先輩は……そんな風に、不安に思ったりはしていないんですか?」

天乃「不安に思う事は私だってあるけれど……」

でも、

大きな戦いと言われた以上は

特大、極大、メガ、ギガ、テラ……その果ての果てまであり得るわけで

そのいずれにしろ

天乃「逃げるなんてことは出来ないんだし、怯えたりする意味なんてないと思うのよ」

東郷「………………」

天乃「出来ることを精一杯やる。それしか、無いでしょう?」


それは正論なのかもしれない

けれど

そんな風に割り切ることはきっと

誰しもができる事なんかではない

東郷「久遠先輩はやっぱり……先輩ですね」

天乃「?」

東郷「そう割り切れるほど、私はまだ……成長できていません」

風達ならば

困った顔をしたり、苦笑したりしながら言うセリフを

東郷はいたって真面目な

神妙な面持ちで呟いて……俯く

抱え込みやすい性格なのは……相も変わらずって、所なのよね




1、違うわよ。逆よ逆。子供だから、割り切れるのよ
2、ふふっでしょう? 私先輩でしょう?
3、なでなでぎゅっ
4、だったら、先輩が何とかしてくれるって、考えていなさい。それが子供がするべきことよ
5、身長のこと言ってるの? それ、身長のこと馬鹿にしてるの!?


↓2


天乃「だったら、先輩が何とかしてくれるって、考えていなさい。それが子供がするべきことよ」

東郷「ですが……」

天乃「子供が大人の心配するなんて、あと……そうね、5年は早いわ」

寿命が残り少なく

かつ、満開では寿命を用いなければいけないと言う事を考えてくれているんだろうってことは解る

でも

本当に心配するだけ、無駄なのよね

東郷「その五年という根拠は?」

天乃「貴女が高校を卒業するまで……かな」

くすくすっと笑う天乃を

東郷は悲しそうな瞳で見つめる

東郷「久遠先輩」

天乃「うん?」

東郷「久遠先輩には友奈ちゃんがいると言う事を、忘れないで下さいね?」


久遠先輩には友奈ちゃんがいる

でも

同じように、友奈ちゃんには久遠先輩がいる

支えになってあげることはきっとできないこともない

けれど

一度壊れたものがまた壊れてしまうように

どちらかがどちらかを失えば

残った方は酷く脆くなってしまう

それは、たとえ支えがあったとしても……きっと

だから

東郷「久遠先輩が満開をすることは……許しません」

天乃「……どういうこと?」

東郷「背中を撃ってでも、止めます」

天乃「…………………」

東郷「絶対に」

そう言った東郷の目は本気で

だからこそ……天乃は小さな笑みを浮かべて頷く

天乃「良いわよ。別に」

東郷「っ」

天乃「貴女が満開しようとしたら、私がそうするから」

互いに譲らない、譲れない

それは互いの友の為

そしてお互いの為

思い合うからこその――強い、意志だった

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(水着)
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(水着選び、キスして)
・  東郷美森:交流有(先輩)
・  三好夏凜:交流無()
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流有(友奈が戦えない理由)
・     神樹:交流無()


8月の1日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 37(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 34(中々良い)
  結城友奈との絆 74(凄く高い)
  東郷三森との絆 36(中々良い)
  三好夏凜との絆 64(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 51(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦・神樹による、久遠天乃の警戒レベル○△□%程度?(検閲)

神樹に関する調査報告:現在調査中


では、ここまでとさせて頂きます


合宿は8月の3日目までなので、実質3日目の夕方に帰宅


では、一時間ほどですが進めたいかと思います


√ 8月2日目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風との交流が可能です


1、友奈
2、風
3、樹
4、イベントの判定

↓2


天乃「夏凜と東郷は?」

樹「まだ戻ってきてませんね」

朝食を終えた後

2人はこそこそとしながら

揃ってどこかへと出かけて行って

それ以降……姿は見せていない

天乃「東郷は知らない人にはついて行かないだろうけど……ちょろい方がなぁ」

樹「夏凜さんに聞かれたら怒られますよ?」

天乃「真実を語ったら怒られるなんて、そんな理不尽な――」

樹「理不尽です」

天乃の冗談口調に合わせることなく

樹は神妙な面持ちで遮って首を振る

樹「この世界は……凄く理不尽です」

天乃「……………」

樹「それは久遠先輩が一番、解っているはずです……よね?」


当人である天乃がどうであろうと

周りは世界を理不尽だと思っている

非情で、残酷で、冷酷で、冷徹で、

残虐で、残忍で、醜悪なものだと思っている

樹「久遠先輩」

天乃「うん?」

樹「勇者って……なんなんですか?」

誰かの為に頑張る人?

何かを勇んで行う人?

勇気を分け与える人?

聞きたいのは……そうではなく

その存在の、価値


誰かのために勇んで物事に取り組み

その姿、その背中を見せることで勇気を分け与えている者が勇者だと言うのなら

久遠先輩は紛れもなく勇者だと思う

けれど、だとしたら

辛い目にあい続け、苦しい思いをし続け

悲しい出来事にぶつかり続けているのは……なぜ?

勇者はみんなの為に頑張っている

久遠先輩もみんなの為に一生懸命

本当に、一生や命を懸けている

なのに

樹「どうして」

なぜ

樹「なんで」

久遠先輩は救われることが……ないのだろう

天乃「……………」

樹「私達が夢見る勇者は……幻想でしかないんですか?」




1、勇者とは、人の理想よ
2、勇者とは、人の負を負う人間よ
3、勇者とは、人の希望よ
4、さぁ……私は勇者とか、興味ないから
5、なら。貴女にとって勇者とはなに?



↓2


天乃「そうね……じゃぁまず、貴女にとっての勇者とはなに?」

樹「えっ?」

天乃「名を聞くのならば、まず名乗れ。そのルールに則りましょ」

とりあえず参考にするために

まず誰かに答えて貰うと言う

かなり姑息な手段だが

樹は戸惑いに奪われて

そんな裏があるとは気づけずに俯く

自分にとっての勇者

それは

単純に言うなら

友奈さん達勇者部の仲間やお姉ちゃん……そして、久遠先輩

でも、そうじゃない

樹「私にとって勇者は……勇者は……」


自分が聞きたいと思ったのは勇者の存在意義、存在理由

いうなれば、価値

でもそれをわからないからこそ聞いたのだ

樹「……………」

勇者とは何か

勇者とはどうあるべきか

考えに考えて……樹は答える

樹「絶対に、幸せになるべき人です」

天乃「………どうして?」

樹「勇者は誰よりも勇んで頑張った人への尊敬の言葉だからです」

正直、良く解らない

でも久遠先輩を勇者とするのなら

そうとしか……言いようがなかった


天乃「尊敬ね……」

樹「おかしい……ですか?」

天乃「そんなことはないわよ」

けれど

果たしてそれは『尊敬』なのだろうか

自分たちが勝手に選んで

勝手に責任を押し付けて

でも、自分たちが罪の意識を感じるのは嫌だからと

彼は、あるいは彼女は勇者である。と

張りぼての勇気を渡された者の事ではないのだろうか

天乃「幸せになるべき人……うん、いいと思う」

だからこそ、樹の言葉が過ちだとは言い切れなかった

そんな押し付けられた者が幸せになれないだなんてあってはいけないからだ

天乃「貴女らしい、優しい考えだわ」

樹「じゃぁ、久遠先輩は……どう思っていますか?」



1、勇者とは、人の理想よ
2、勇者とは、人の負を負う人間よ
3、勇者とは、人の希望よ
4、さぁ……私は勇者とか、興味ないから
5、貴女と同じ、かな



↓2


では、ここまでとさせて頂きます
明日は久遠さんの誕生日ですが
投下は変わらずこの時間になると思います

今日はやる予定ですが、再開はもう少し遅くなってしまうかもしれません


大変遅くなりましたが、再開しようかと思います


天乃「勇者とは、人の負を負う人間よ」

樹「負……ですか?」

夢見る少女に対して

天乃は自分が思う勇者像を伝える

天乃「ええ」

自分にはそんなことできない

でも、あいつは出来る。だから、あいつには勇気がある

と、言うのなら

できないことを押し付けられる者こそが、勇者だとも言える

もちろん、そんなのは極論でしかない

でも、だけど

天乃「できないことが出来る人はできないことを押し付けられちゃうものでしょう?」

樹「………………」

それは巫女が神託を任されるように

教師が授業を任されるように

勇者部がバーテックスとの戦いを任されるように

天乃「例えそれが、責任であっても」


天乃「あいつなら出来るから任せてしまおう。そんな人の悪い面を背負うそれが、勇者」

ううん、そうじゃない

勇者とは

背負うのではなく

背負いたくなくても無理やり背負わされてしまう人を

宥める為の言葉であり

勇んで行っているだけだ、と、自分の罪の意識を薄めるための魔法の言葉なだけだ

天乃「だから勇者は……」

けれど勇者によって

どうにもできなかったことが成し遂げられて

不可能なんてなかったのだと、希望を得られる可能性もあるかもしれない

だから、不要な存在だとは言えない

でも、必要不可欠だともいえない

言葉に詰まった天乃は黙り込んで首を振る

天乃「勇者は幸せになるべきなのかもしれないわね」


結局はそれだ

天乃「勇者は何かを押し付けられて、犠牲にされる」

以前、天乃が沙織から言われた言葉そのまま

供物

養鶏場の鶏

生きていくための糧

だから

天乃「幸せになるべきだと言う貴女の言葉は……きっと間違ってない」

樹「そ、それなら!」

樹は声を張り上げて

俯き気味な天乃へと強く身を寄せて

まっすぐ……見つめあって

樹「幸せになってください! 久遠先輩!」

そう、言い放つ


天乃「私?」

樹「久遠先輩は勇者です! だから、だから幸せになるべきだって……」

零れ落ちてしまいそうな涙を堪える

寿命を捧げてまでみんなを守って

その結果、兄と姉を失って

母親に深い傷跡を残して……

全然、幸せになんて慣れていない

不幸ばかり。悲しいことばかり

樹「そう思ってるならっ」

天乃「…………………」

樹「お願いです……ちゃんと、幸せになってください」



1、考えておくわ
2、ええ、判ったわ
3、私はもう十分幸せよ。友奈とだって……楽しく過ごせているし
4、貴女もね?



↓2


天乃「貴女もね?」

姉のような困った表情で答える天乃に対して

もちろん、みんなもですね。と

樹は笑みを浮かべながら答える

天乃「そうね」

樹「はいっ」

でも、樹は自分を優先する気はこれっぽっちもなかった

さんざん苦労してきた

辛い思いを、苦しい思いを、悲しい思いをしてきた目の前の人こそ幸せになるべきで

そのためなら……自己犠牲も厭わない

だって久遠先輩は散々犠牲になってくれたんだから

今度は私が頑張らないと……ダメだよね

少しだけ怖い

でも、久遠先輩に恩を返すことも出来ないまま

お別れになってしまう方が

もっと……嫌だから

√ 8月2日目 昼

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森との交流が可能です


1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、イベントの判定

↓2


天乃「ねぇ……あの子達裏でこそこそ何してると思う?」

風「少なくとも、天乃と友奈みたいにイチャイチャしてたわけじゃないんじゃない?」

天乃「えっ?」

風「えっ?」

天乃「……してないわよ?」

風「そういうことにしておくわねー」

面倒くさそうにそう言った風は

呆れたようなまなざしで友奈の方を一瞥して

天乃へと向き直る

明らかに、そう言うことだとは思っていない

風「で? 天乃はそれを話に来たわけ?」




1、温泉行かない?
2、友奈とは……まぁ、恋人だけど。イチャイチャとは……ねぇ……
3、ねぇ、満開とかするつもりじゃないわよね?
4、私は貴女とイチャイチャしたいわ
5、ねぇ、私がいなくなった後……友奈の事を頼んでも良いかしら?


↓2


ではここまでとさせて頂きます
遅くまでありがとうございました

明日は出来ればお昼頃。出来なければ15時頃からのスタートとなります


では、少ししたら少しずつ進めていこうかと思います


天乃「温泉行かない?」

風「おばあちゃんかっ!」

ばんっと机を叩く

早朝や夕方、あるいは夜なら

朝ぶろーふつう風呂ー、夜風呂ーてきな感じで

まったく問題ない。むしろ普通、あっていい

でも

風「お ひ る !」

天乃「解ってるけど……」

風「なのに温泉!?」

天乃「良いじゃない、気持ちいいし。疲れないし、まったりできるし」

風「おいこら若人!」


天乃「……最近疲れやすいのよ。だからあんまり、はしゃいだりしたくないの」

風「ちゃんと休んでるわよね?」

天乃「休んではいるはずなんだけどね……歳かな」

風「いやいや」

天乃「とにかく、私は温泉に行きたいわ」

声色に疲れは見えない

昨日の姿にも疲れた様子は見えなかった

だが、風は底知れない不安を感じて

天乃の体に触れる

天乃「なに?」

風「いや……熱があるんじゃないかって思って」

天乃「大丈夫よ。顔は赤くないでしょ?」

風「……そうね」

天乃「……………………」


言った通り、

夜更かしはしていないし

疲れるほど燥ぎ回っていないし

特定の何かがなければ安眠できないと言うものも持ち合わせてはいない

けれどここ最近

確かに、変に疲れを感じることがあると言えばある

ため息が増えたし、頭が回らないこともたまにあるし

以前ほど……燥ごうと言う気にもなれない

精神的な問題もあるのかもしれないが……

もしかしたら、寿命が深くかかわっているのかもしれない

風「……仕方がない。じゃぁ、みんなで行くわよ」





1、ええ
2、ううん、貴女だけが良いわ


↓2


天乃「ううん、貴女だけが良いわ」

風「えっ……いや、でも、ほら……友奈とか」

天乃「なんで友奈が出てくるのよ」

キョトンとした表情を浮かべる友人から目を逸らして

風は軽くため息をつく

あんた達、恋人でしょうに……

風「良いなら……あたしは良いけど」

どうなっても知らないからね。と

忠告を押し隠して

天乃と一緒に、風は温泉へと向かう

2人きりの温泉

そう思うと、ちょっとだけ楽しみだ

恋愛感情があるわけではないけれど

女の視点から見ても

天乃の容姿は中々に……魅力的だから


天乃「うん……やっぱり温泉は良いわね」

風「……本当に大丈夫なの? 色々」

天乃「大丈夫よ」

天乃が自分の両手を組み、ぐっと腕を伸ばして体を伸ばす

お湯につかっていた腕からはぽたぽたとしずくが滴って

ほんのりと上気した肌は健康的な色

ちゃぷちゃぷと浮き沈み激しい浮き袋は

心なしか

いや、確実に服の上から見るよりも大きい

風「天乃はさ」

天乃「うん?」

風「……友奈とずっと一緒に、平平凡凡で居る気はない?」

天乃「……回りくどいわね。戦わないでって言いたいんでしょ?」


もはや言われなれたと言っても良い

寿命が残り少ない

にも拘らず満開を使えば寿命が減る

だから、体が供物になる方がましだと

こぞって自己犠牲精神を発揮しようとする

天乃「やめてよね……そういうの」

風「でも」

天乃「人助けをする部活の部長なら一度くらい経験があるでしょう?」

風「え?」

天乃「有難迷惑」

別に手助けは要らなかった

むしろ、手助けが必要な程弱く見えたと言う事が気に障る

でも、善意でやってくれたんだろうから……お礼は言っておこう

天乃「そんな人の苦笑い」

風「………………」

天乃「たかが身体機能の一部が供物になるだけ。だから死ぬよりはマシだろう。そんなはずないじゃない」


天乃「目が見えなくなったらどうするの? 耳が聞こえなくなったらどうするの?」

手が動かなくなったら?

足が動かなくなったら?

記憶が無くなってしまったら?

天乃「世界には死んだ方がましだって言う事もあるのよ」

風「けど」

天乃「私はね? 貴女達が幸せそうだと嬉しいし、楽しそうな貴女達を見ているのが好き」

それなのに

身体機能の一部を捧げて

障害を負ったまま過ごしている姿なんて、見たくはない

東郷美森が鷲尾須美だった

それを知って

生真面目な性格ながら、友人たちと楽しげに遊び回っていた小学生が

歩けなくなって、それらの記憶さえも失ってしまったという現実を知って……

凄く、悲しかった

天乃「だから、まだ何も知らない頃とは言わない。でも、このままの貴女達のまま。私は生きて言って欲しいと思ってる」


01~10 そっくりそのまま、返すわよ
11~20 天乃も……勇者部なのよ
21~30 だからって、死なれたら幸せになんてなれないわよ
31~40 なんでそう考えられるのに、あたし達の気持ちがわからないのよ
41~50 結城友奈は忍者である
51~60 そっくりそのまま、返すわよ
61~70 だからって、死なれたら幸せになんてなれないわよ
71~80 なんでそう考えられるのに、あたし達の気持ちがわからないのよ
81~90 なんでそう考えられるのに、あたし達の気持ちがわからないのよ
91~00 天乃も……勇者部なのよ

↓1のコンマ  


風「そっくりそのまま返すわよ」

あたし達が幸せだと嬉しい?

楽しそうなあたし達を見ているのが好き?

そう言ってくれたのは嬉しい

でも、だから自分が犠牲になるなんて言うのは認められない

風「あたし達は……天乃に笑顔でいて欲しい。幸せになって欲しい」

周りには誰も居ない大浴場の中で

滴る水音をかき消して

風の悲哀を感じる声が響く

風「ずっと辛い思いしたんだから……友奈と、せっかく親密になってるんだから」

天乃「………………」

天井の明かりを眺めながら

風は大きく息を吐く

体が熱い……湿度のせいか少しだけ呼吸もつらい

風「友奈の事、泣かせないでよ? あの子……本当に、本当に、天乃の事が好きなんだから」

それがどんな経緯であっても

好きになったと言う事実は変わらない

脅迫されたわけでもなく

誘惑されて、気を惹かれて、恋をしたのなら

最低なことだと言う気はない

風「まぁ、みんな天乃の事……好きなんだけどね」

ざぱぁっと音を立てながら温泉から抜け出して、天乃へと振り返る

風「だから……自分が言ったこと。忘れたりしちゃだめよ?」

本当に、絶対に忘れないでほしい

せめて残っている寿命のすべてを

しっかりと生き抜いて欲しい……それがあたしの

ううん、勇者部みんなの願いなんだから


√ 8月2日目 夕

犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森との交流が可能です
結城友奈から交流が求められています


1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、イベントの判定


↓2


天乃「今日も楽しかった?」

樹「ちょっと不満です」

そう言って可愛らしく頬を膨らませる樹を見つめて

その原因はおそらく自分なんだろうなぁ……と

察した天乃は苦笑する

天乃「どうして?」

樹「久遠先輩が、温泉入ったからーって、全然遊んでくれなかったからです」

天乃「汚れちゃうじゃない」

樹「せっかく遊びに来たんですよ?」

天乃「違うわ。温泉に来たのよ」

にっこり笑顔の久遠先輩

悪びれた様子はない

というか、別に必ず遊ばないといけないわけじゃないし

それで不満に思ってるなんて逆恨み

だけど……ちょっと寂しかった


天乃「かまって欲しかった?」

樹「はい」

天乃「……す、素直なのね」

ほんの冗談のつもりで言った言葉は

樹の正直な言葉に握られて、天乃のもとへと跳ね返っていく

嬉しいけれど、ちょっと照れくさい

ほんのり赤い頬を掻いて、天乃は小さく息をつく

天乃「でも、そっか」

少しくらいは遊んであげても良かったかな

汚れたって、また温泉に入れば良かっただけの話なんだし……

ちょっぴりしょんぼりとする樹を見つめて

天乃は――



1、じゃぁ、今から2人きりで温泉行く?
2、別に、風や友奈。夏凜だっていたでしょう?
3、ねぇ……樹。貴女も、有難迷惑ってことを、ちゃんと覚えておいてね
4、貴女の端末を見せてくれる?


↓2


天乃「じゃぁ、今から2人きりで温泉行く?」

樹「久遠先輩って温泉好きなんですか?」

天乃「好きってわけではないけど……せっかくだもの」

樹「そうですね……行きましょう」

久遠先輩の事は絶対に守るつもり

でも、だけど

守りきれたとしても決して長くはない

だから……毎日を

その日の1時間、1分……時間全てをちゃんと大切にしたい

一つ一つをしっかりと思い出にしたい

友奈さんにはちょっぴり悪いけど

少しくらい、久遠先輩を借りても良いよね


久遠先輩は力が強いのに

体は全然おっきくなくて、太くもない

私と身長は同じだって言ってたけど

ごめんなさい、また数ミリくらい、成長してます

なんて思いつつ、久遠先輩の立派な体を眺める

樹「久遠先輩って凄く……理想的な体ですよね」

天乃「この体のどこがよ」

樹「それは………」

小さいのを気にする人もいるけど、大きいのも気にする人がいる身長

男の子は自分より背が高い女の子より、低い女の子の方が良いって聞いたことがある

つまり、背が低い久遠先輩は誰よりも……たぶん小さい

そして、

そして……大きい

天乃「胸の事?」

樹「っ! ち、違います!」


思わずじっと見てしまっていたらしく

天乃の視線に気づいた樹は

大慌てで手を振って、否定する

けれど、胸の事を思ったのは事実だ

樹「どうやったら、そんな大きくなれるんですか?」

天乃「やっぱり、胸の話なのね」

樹「だって……大きいのって、やっぱり憧れますから」

自分の胸元を見つめてため息をつく後輩を一瞥して

自分の胸へと目を落し、手で軽く触れてみる

やっぱり……無駄に大きいだけ

天乃「これが憧れ……ね」

友奈が好きと言ってくれた体つき

だから嫌悪しているわけではないが

やはり……憧れられるものではないと思っていた


1、うどんばかり食べていると、育たないわよ
2、特別な事なんてしてないわよ。ただこうなっただけ
3、揉むと育つって話よ
4、自分の胸が小さい思っているから小さいのよ。それも自分の胸だと受け入れなさい
5、風が育ってるなら見込みはあるわよ。焦らない、焦らない



↓2


天乃「風が育ってるなら見込みはあるわよ。焦らない、焦らない」

樹「でも、お姉ちゃんが私くらいの頃はもっと……」

天乃「他でもない貴女が胸の成長を信じてあげなくて――どうするのよ」

自分の成長は風には追いつかない

そんな諦めを抱き、表情を暗くしかけた樹の胸元に

天乃は人差し指を突き付ける

天乃「信じてあげなさい、夢を持ちなさい、胸は希望で膨らむものよ」

樹「…………希望で、ですか?」

天乃「育て育てと急かしたところで、まともな成長なんてしないわ」

樹「じゃぁ」

天乃「果報は寝て待て。良く寝てよく食べる。そうすればきっと、育ってくれるわ」

小さくて大きい先輩からのアドバイス

余計な事なんてする必要はない

やればやるだけ良いなんて間違いで

それはただ、栄養過多で逆に育たなくなってしまう

樹「はいっ! 良く寝てよく食べます!」

樹は元気よくそう返して

樹「そうと決まれば――お夕飯がもうすぐですから、行きましょう!」

慌ただしく、温泉から上がって行った


√ 8月2日目 夜

犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森との交流が可能です
結城友奈から交流が求められています


1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、イベントの判定


↓2


天乃「夏凜、合宿はどう? 楽しめてる?」

夏凜「まぁね……それなりには楽しめてるわ」

風と競泳したり

友奈と砂取りしたり

初日だけは海に入った天乃と

素潜りしたり

天乃「そう、良かったわね」

夏凜「何その顔……なんかイラッとくる」

天乃「なにって……」

挑発するような表情を浮かべたつもりなんてない

ただ、勇者や訓練にばかり入れ込んでいた夏凜が

勇者部としっかりと馴染んで、

遊ぶことを楽しむことが出来ているのが嬉しいと思って笑みを浮かべただけ

夏凜「なんていうか、安心した。みたいなその顔やめなさいよ」

でも、夏凜はその笑みが気に食わなかった


嫌いなわけじゃない

でも、子供の成長を認めて安堵するような

母親みたいな表情は……なんだか、いずれ来る別れを近くに感じているような気がして、嫌だった

夏凜「あんたとはまだまだ一緒にいるつもりなのよ、私も。友奈達も」

天乃「うん」

夏凜「だからそういう、もう自分がいなくても平気。みたいな顔しないで」

全然平気なんかじゃない

居なくなられたらきっと

みんなの心に大きな傷が残るだろう

それくらいには

天乃の存在は夏凜達にとって大きなものなのだ

もちろん、全員が全員を等しく大きな存在としているけれど……

夏凜「全然、平気なわけがないんだから」




1、どうしたのよ……子供みたいなこと言っちゃって
2、私より、東郷の方が母性あるでしょう?
3、うん……貴女達だって、いなくなって平気なわけじゃないんだからね?
4、解ってるわ
5、いい加減、独り立ちしなさいよ……いつまでも、私は傍にいてあげられないんだから



↓2


天乃「うん……でも、貴女達だって、いなくなって平気なわけじゃないんだからね?」

夏凜「私達はいなくならないわよ」

寿命が残り少ないわけじゃない

満開に寿命を奪われるわけでもない

だからこそ

残り少なく、奪われる身である天乃の事が心配なのだ

夏凜「あんたでしょ。その可能性があるのは」

天乃「………………」

夏凜「天乃、今度のあんたの満開はだれも救わない、誰も幸せにしない。それだけは、解ってなさい」

夏凜は真剣なまなざしで天乃を見つめ

双肩を抑え込んで、はっきりと告げる

でも、言ったところできっと

満開しようとするだろう

いや、きっと……救えなくても、幸せにできなくても

命を守る為に、日常の為に、満開をしてしまうだろう

だからこそ、決めた

例え記憶をなくすとしても、この両手両足が動かなくなるとしても

耳が聞こえなくなって、声が出なくなって、目が見えなくなるとしても

来るべき戦いで

自分は一切惜しむことなく、全身全霊すべてをかけて――満開をする。と

夏凜はそう、決めていた


天乃「幸せには……しないでしょうね」

夏凜「ええ。そして、あんたが好きな友奈が一番辛くて悲しい思いをする」

自分が戦えたら救えたかもしれない

何かが変わっていたかもしれない

友奈の事だから

きっとそれらに苛まれて、心を傷つけて

もしかしたら……壊れてしまうかもしれない

夏凜「だから……しないで」

天乃「……善処するわ」

しなくていいなら

させなくていいなら

喜んで手を抜こう、満開を除外して戦おう

でも

そんな優しい戦いにはならない、きっと満開が必要になる

だから、天乃は使わないと言えなかった

それが解っているからこそ

夏凜も何も言うことはなかった


01~10 
11~20 夜這い
21~30 
31~40 夜這い

41~50 
51~60 
61~70 夜這い

71~80 
81~90 夜這い
91~00 

↓1のコンマ  


天乃「んっ………」

何かがもぞもぞと布団の中に潜り込んで

動かそうとした手をぎゅっと押さえ込んで

布団の中から顔を出す

友奈「……おこしちゃいましたか?」

天乃「雑すぎるわよ……もうっ」

妨げられた眠りに引っ張られて欠伸を漏らす

せっかく寝ていたのに

一体何の用事なのかと友奈を見つめると

少し悲しそうな表情が見えた

天乃「……どうしたの?」

友奈「天乃先輩が構ってくれないからです」

天乃「あぁ……ごめんね」


ヤキモチを焼く可愛い恋人の身体を抱きしめて

優しく頭を撫でる

なんだか話したそうな視線を送ってきてるなーと言うのは

ひしひしと感じていたけれど

直接は言って来ないからと後回しにしてたのがダメだったらしい

天乃「大丈夫よ。別に目移りしたとかではないから」

友奈「そ、そうじゃなくてっ」

天乃「風達に嫉妬してたんじゃないの?」

友奈「それは別に……」

歯切れの悪い答えを返して

友奈は天乃の服をぎゅっと掴んで

より体を密着させて……寄り添う

友奈「ただ、時間があったら傍にいたかった……だけです」

せっかくの合宿

せっかくのお出かけ

だからどこかで2人きりにでもなってみたかった


天乃「いつも……というか、普段は一緒にいるじゃない」

友奈「そうですけど……」

普段一緒にいるからこそ

一緒にいることが当たり前になっていて

傍に天乃がいないことが寂しく感じて

友奈「キスしたら」

天乃「うん」

友奈「私の寿命が天乃先輩に奪われる……そんなことは、無いんでしょうか?」

天乃「無いわよ」

それに

そんなハイリスクなキスだとしたら

絶対に、やりたくはない

友奈「……そうですか」


友奈達にも寿命が供物となったのは話しているが

寿命がほとんどぎりぎりだと話したのは樹や風くらいだ

でも、どこまで削られてしまったかが解らないからこそ

友奈は何処までも、いつまでも、いつも

不安で仕方がなかった

友奈「天乃先輩」

天乃「うん」

友奈「私もぎゅってしてて良いですか?」

天乃「……うん」

友奈からの積極的な抱擁を受け入れて

もう一度、頭を優しく撫でてあげながら

天乃はゆっくりと目を閉じる

友奈「天乃先輩」

天乃「……なぁに?」

友奈「好きです。ずっとずっと、いつまでも大好きです」

いつ言えなくなってしまうか解らない

だから友奈は……毎日だって好きだと伝える

伝えずに別れるのだけは……嫌だったのだ

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(温泉、大切)
・  犬吠埼樹:交流有(勇者、温泉、希望)
・  結城友奈:交流有(夜這い)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(戦い)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の2日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 39(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 37(中々良い)
  結城友奈との絆 75(凄く高い)
  東郷三森との絆 36(中々良い)
  三好夏凜との絆 65(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 51(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦・神樹による、久遠天乃の警戒レベル○△□%程度?(検閲)

神樹に関する調査報告:現在調査中


では、あと少しだけ続けます


√ 8月3目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、東郷
6、イベントの判定


↓2


天乃「東郷さん、東郷さん」

東郷「な、何でしょうか……?」

天乃「どうしてそんな、奇妙なものを見る瞳をしているの?」

東郷「久遠先輩が奇妙な口調だからです」

躊躇うことなくズバッと言い放って

東郷は小さくため息をつく

東郷「一体、どうしたんですか」

一人一人

別れの挨拶をするかのように

昨日は万遍なく声をかけていた

東郷「もうすぐ、戦いが起きるんですか?」

天乃「正確な日時は知らないわ」

東郷「だったらなぜ……」

いつ起きるのか解らない戦い

常に警戒していても疲れがたまるだけだと言うのは解っていても

しないわけにはいかなくて……

東郷は天乃の行動に、不安を感じていた


天乃「別に、あんなのはただの気まぐれよ。話したかったから話しただけ」

東郷「本当ですか?」

天乃「信じられない?」

東郷「不安なだけです」

以前はともかく

久遠先輩の事は信頼してる

けれど、いつもと違った行動だったり

雰囲気だったり、言葉遣いだったりすると

元々お茶目な性格なのだとしても……不安になる

東郷「久遠先輩は冗談混じりに本当の事は話しますからね」

気が抜けない

本当に……困った先輩です

くすくすと笑って、東郷は何もないのなら良いんです。と、続けた




1、友奈が戦えない理由
2、自分の死後
3、温泉行かない?
4、ねぇ東郷……夕方だけど、お墓参りとか行かない?:夕方固定
5、貴女も、満開する気だったりする?


↓2


では、少し早いですが、今日はここまでとさせて頂きます


この場合は明日憶えていれば4になると思います
決戦まであと12日、やりたい子とは全てやってしまうのもアリですね


では、少しずつ再開していきます


天乃「ねぇ、東郷」

東郷「何か?」

天乃「夕方、帰ってからであれなんだけど……お墓参りに、いかない?」

東郷「お墓参りですか?」

自分の記憶の中では

天乃と一緒にお墓参りするような相手はいない

けれど、自分にはない記憶は

天乃との思い出がある

東郷「解りました、行きます」

知っているのに、知らない誰かの死

きっと、悲しむことは出来ないだろう

きっと、祈ることもできないだろう

でも、自分は逃げるべきではない

東郷「連れて行ってください」

忘れてしまった記憶

その断片が寝るであろう場所へ

天乃「……ええ、もちろんよ」


東郷……いや

東郷の以前、鷲尾須美の親友である三ノ輪銀

彼女のお墓参り

天乃「……………」

神樹の供物として記憶が失われた以上

死を思い出すことは出来ないのかもしれない

でも東郷は聡いから

きっと、失ったことに気づいてしまう時がくる

その時に、自分がいると言う保証はない

東郷「久遠先輩?」

天乃「……うん?」

東郷「どうかしましたか?」




1、ううん、なんでもない
2、頭を撫でる
3、記憶、戻ると良いのにね
4、大丈夫よ……きっと、誰も貴女を恨んだりなんてしていないから



↓2


天乃「神棚とかの御供え物って、後で食べて良いって言われてるじゃない?」

東郷「そうですね」

天乃「だから、貴女の記憶。戻ると良いのにね」

儚げな笑みを携えて

そう零す天乃は……言葉以上に、儚く見えて

東郷は悲しげな瞳を向けて首を振る

東郷「私より……久遠先輩の寿命、返して頂きたいです」

記憶ならいつか思い出せるときが来るかもしれない

けれど寿命はどう頑張っても、伸ばしたりは出来ない

だから……返して欲しい

天乃「私のはほら……神樹に捧げたわけじゃないから」

東郷「………………」

天乃「それに、私は別に後悔なんてしてない。惜しいとも思ってない」

そうしなければ守れなかった

そうしなければ今はなかった

後悔なんてしたら、守った者に、守れなかったものに。申し訳がない

天乃「じゃぁ、夕方ね」

笑みを浮かべる天乃を見送って

東郷は小さくため息をつく

東郷「バーテックスは壁の向こうから入ってくる……なら、こちらから出ていけば」

そう呟いた東郷の瞳は

遥か遠くの壁を……見つめていた


√ 8月3目 昼

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、イベントの判定


↓2


天乃「ねぇ、樹」

そう声をかけたのに、樹は返事どころか見向きさえしないで

寝ているように、目を閉じている

胸はちゃんと上下しているし、死んでいるわけではないのだろう

天乃「ねぇってば」

樹「っ!」

つんつんっと頬をつつくと、樹は飛び跳ねるよう後退り

襲撃者を見るや否や、ほっと胸をなでおろす

樹「な、なんだぁ……久遠先輩だったんですね」

天乃「なんだぁ……じゃ、無いわよ。もうっ」

一人でボーっとしているから声をかけてあげたのに

突くまで無視するなんてひどい話だ

もっとも、集中していたのなら

酷いことをしたのは私だったりするのだけど……

天乃「なにしてたの?」

樹「音を聞いてたんです」

天乃「音?」


子供たちのはしゃぐ声

どこかを通る、車の音

そして、吹く風と、流れる波の音

天乃「……それで?」

音を聞いてもあまり楽しいとは思えず

並んで座る樹へと疑問を投げかける

えっと……と、困った表情で零した樹は

照れくさそうに、笑みを浮かべた

樹「私、歌手になりたいって、言ったじゃないですか」

天乃「うん」

樹「それで、オーディションに応募して。合格発表はまだなんですけど、でも……」

天乃「でも?」

樹「どっちにしても、私。自分で作った歌を歌ってみたいなって。思ってるんです」

誰かに代弁して貰うのではなく

自分で自分の何かを歌詞にして、歌にして……歌う

樹「久遠先輩がいて、友奈さんがいて、お姉ちゃんがいて、東郷先輩がいて、夏凜さんがいて……」

勇者として活動したり

勇者部として活動したり

ただの女の子として活動したりして、抱いた思いや夢。

悲しいこと、苦しいこと、辛いこと、嬉しいこと、楽しいこと

樹「いろんなことがあったこの思い出を……みんながいたと言うことを、頑張っていたと言う事を、世界に知ってほしいから」

天乃「………………」

樹「だから……その、歌詞に合う音がないかなって、聞いてたんです」


ではここまでとさせて頂きます



夕方は東郷さんとイベント
夜はどうせ友奈に夜這いされる

8月中は学校がないため、お出かけ自由です
別に相手は友奈固定とかありません

では、少ししたら再かいします


樹らしい、優しい考え方だな。と、思った

みんなの事を考えて

みんなの事を思って……歌を作って

それを世界に知って貰おうだなんて

中々できる事じゃない

天乃「良い音は、見つかった?」

樹「それが……やっぱり。難しいです」

苦笑いを浮かべた樹は

海の方を眺めて……息をつく

樹「……自然の音は優しくて、穏やかだけど荒々しくて、生きてるって感じはするんですけど」



1、それ、絶対完成させてね?
2、何か、私に手伝えることある?
3、貴女はやっぱり……風の妹ね
4、ねぇ樹。端末を貸して貰える?


↓2


天乃「ねぇ、樹。端末を貸して貰える?」

樹「え? はい、良いですよ」

一瞬驚きながらも

樹は何の抵抗もなく、天乃へと端末を手渡す

天乃「ありがと」

軽く述べて端末を操作する

特に変わったところはなく

勇者部……と言うより、勇者専用のアプリはしっかりと残っているし

自分のものと大差はない

樹「何かあったんですか?」

天乃「何かがあるかなって……思ってね」

けれど特に何もなかった

つまり

友奈の端末もまた、自分と大差ないもののはずで

そこに何か違いがあったとすれば

それこそが、勇者になれない原因ということになる


天乃「ありがと、返すわ」

樹「いえ、役に立てたなら……嬉しいです」

言葉に嘘なく嬉しそうな笑みを浮かべる樹に微笑みかけながら

ふと、思う

勇者部は端末がなければ変身できない

なら、壊したらどうなるのか。と

このまま奪ってしまえばどうなのか。と

………………。

悪い考えを振り払うように

天乃は首を振って、樹の頭を撫でる

天乃「作詞作曲、頑張ってね」

樹「はいっ」

二人並んで自然に聞き入って、時間を過ごす

静かな日、穏やかな時間

しかし

それはしっかりと……最期の日へと続いていた


√8月3日目 夕方


合宿を終えて、帰宅して

そのあとすぐに、天乃は東郷だけを引き連れて

自分と鷲尾須美、そして乃木園子の親友である銀のお墓へと着ていた

東郷「……この名前」

天乃「そうよ。以前、貴女に覚えているかどうか。聞いた名前よ」

東郷「………………」

そっと、三ノ輪銀という名前をなぞる

記憶にはない名前

どんな人だったか、どんな顔だったか

どんな関係だったのか

何もかもが解らない

けれど

東郷「久遠先輩」

天乃「東――」

東郷「なぜ、こんなにも悲しい気持ちになるんでしょうか、辛くて、苦しくて……痛いんでしょうか……」

そう呟く東郷の瞳から、涙が零れ落ちていく


何も知らない

何もわからない

でも確かに、知っていて、解っていて、憶えている

決して思い出すことは出来ないけれど

白く塗りつぶされてしまっているけれど

その下にはしっかりと、何かがあるから

東郷「っ………」

東郷は涙を拭って、俯き

そっと墓石に触れたまま……黙り込む

天乃「………………」



1、抱きしめる
2、銀はこの世界の為……勇者として、亡くなったのよ
3、なにもしない
4、ありがとね。銀の為に、泣いてくれて。それだけで……この子はきっと、救われるわ



↓2


では、今回はここまでとさせて頂きます

投下予定ですが、思った以上に22時前再開が厳しいので
再開時間が22時過ぎからになる可能性もあります

ただ、
22時半過ぎた場合は確実にないと思っていただけると助かります


では、再開しようかと思います


天乃「……………」

覆いかぶさるように

優しく、東郷の体を抱きしめる

見ているだけでは解らない微かな震えを抑えるために

少しだけ、腕の力を強めて

けれど、決して……口を開くことなく

天乃「……………」

ただただ、静かに寄り添う

何もわからないから

何も知らないから

かけてあげられる言葉なんてきっとない

出来るのは、するべきなのは

自分が一人ではないと言う事を教えてあげる事

例え、涙の理由を忘れてしまっていても

突き放したりして……咎めたりはしないと言う事を、教えてあげる事

何も悪くない

責められることなんてない

重荷を感じる必要なんてない

罪悪感を抱く必要もない

東郷「久遠先輩……」

天乃「大丈夫、傍にいるから」


東郷の弱弱しい手が腕を掴むのを感じて

天乃は答えるように、抱く力をもう少しだけ強くする

離れないから

突き放さないから

大丈夫。安心していいから

そう教え込むように抱きしめていると

東郷は俯いていた顔を上げて……くすくすと笑う

東郷「……友奈ちゃんに謝らないと、いけませんね」

天乃「うん?」

東郷「久遠先輩の事……もう少し。お借りしてしまいますから」

言うや否や天乃の腕をぎゅっと掴んで

離れにくいように抱きしめる

人の温もりが今はとても……感じたくて

大きく息を吐きながら目を瞑り、肌に感じるぬくもりだけに感覚を集中させていく

東郷「……ありがとうございます、久遠先輩」

この真実を知った時

知らないこと、憶えていないことを嘆くだけだったら

きっと、矛先は誤った方向へと向いてしまっていたと思う

天乃「……良く解らないけれど、貴女が嬉しいのなら。それでいいわ」

そう言って笑う久遠先輩の表情はとても大人っぽくて

とても……遠くに感じた


√ 8月3目 夜

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、イベントの判定


↓2


天乃「ねぇ、友奈」

友奈「何ですか?」

天乃「東郷と何処に行ってたのかーとか、なにしてたのかーとか、聞かないの?」

友奈「どうして聞く必要があるんですか?」

なんて

友奈はキョトンとした表情で首を傾げる

あざとい演技をしているとかではなく

これが素なのだから恐ろしい

けど……そう言えば、前にあざといとか風に言われた気がする

天乃「私がほかの女の子に手を出してるかもしれないわよ?」

友奈「天乃先輩はきっと、悲しんでる人には手を出しちゃう人ですし……気にしてないです」

でも。と

友奈はちょっとだけ悲しそうな声で続ける

友奈「キスだけは……私だけの特別にして欲しいです」

照れくさそうにそう言って目を逸らした友奈を、天乃はじっと見つめる

以前は頼る相手も見つけられずにがむしゃらだった

けれど今は、ちゃんと。相手がいてくれる

だから……

天乃「うん、貴女だけの……特別よ」

天乃はしっかりと答えを返した


天乃「……………」

友奈「……………」

言葉を交わすわけでもなく

並んで座ってただ何事もない時間の流れをその身に感じる

時計の音が聞こえる

どこかで鳴く虫の声が聞こえる

どこかを走る車の音がする

天乃「……………」

ふと

自分の右手に何かが重なってきたのを感じて

思わず……笑みを浮かべながら

私は抵抗することもなく受け入れて、絡ませる

友奈の手は身長のせいか私よりも少しだけ大きくて、温かい



1、ねぇ友奈……私が居なくなっても。ちゃんと、生きてね
2、ねぇ友奈……貴女は本当に戦いたいって思ってる?
3、ねぇ友奈……明日、先代勇者に会えるかどうか。行ってみる?
4、何も言わない
5、少しだけ、友奈に身を寄せる


↓2


天乃「ねぇ友奈……明日、先代勇者に会えるかどうか。行ってみる?」

会えるかどうかわからない

会えたとしても

何を知ることが出来るのか

何が変わることが出来るのか

何もわからないけれど

天乃「もしかしたら……貴女がまた。戦えるようになるかもしれないし」

過度な期待はしていない

けれど、何かが動く気がする

友奈「行きます」

それがいい方向なのか、悪い方向なのか

行ってみなければ解らない、パンドラの道

友奈「ちゃんと会って……聞きたいことが、あるから」

友奈は強い意思の宿った瞳で、そう言った

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流有(歌)
・  結城友奈:交流有(先代勇者)
・  東郷美森:交流有(お墓参り、救済)
・  三好夏凜:交流無()
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の3日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 39(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 38(少し高い)
  結城友奈との絆 76(凄く高い)
  東郷三森との絆 39(少し高い)
  三好夏凜との絆 65(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 51(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦・神樹による、久遠天乃の警戒レベル○△□%程度?(検閲)

神樹に関する調査報告:現在調査中


ではここまでとさせて頂きます
明日は可能ならお昼頃から牛歩で再開予定です



8月の5日目、朝は自由行動、お昼は友奈と園子に会いに行く


では、再開して以降かと思います


√ 8月4目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、イベントの判定


↓2


天乃「夏休みって」

夏凜「ん?」

天乃「思っていた以上に……暇よね」

普段学校があって

毎日毎時間遊ぶなんてことが出来ないから

土曜日や日曜日が生きてくるのであって

毎日が休みだと……時々、何をしたらいいのかが解らなくなる

夏凜「昼になったら友奈と出かける癖に」

天乃「夏凜も来たいの?」

夏凜「そんな野暮な事、するつもりなんてないわよ」

ぷいっとそっぽを向く夏凜の反応が可愛らしくて

思わず苦笑して……睨まれて

天乃「可愛いわよ。貴女のその反応」

照れさせるために、追撃してみる


夏凜「っ……」

夏凜は一瞬だけ目を見開きながらも

特に何を言うわけでもなく、俯く

ちょっとだけからかうつもりだったのだけれど

やっぱり……間違えだったかな

天乃「……ごめん」

夏凜「別に謝られるようなことでもないわよ。私は友奈と違って、あんたに恋愛感情抱いてるわけでもないし」

そう言いながらも

夏凜はどこか照れくさそうで

決して、目を合わせようとはしなくて

夏凜「あんたはさ……今、幸せ?」

天乃「なによ急に」

夏凜「良いから答えなさいよ」


1、そうね……幸せではあると思うわ
2、どうかしら……私的には、どん底でなければどれもこれも幸せだと思ってるし
3、まぁまぁかな……



↓2


天乃「そうね……幸せではあると思うわ」

夏凜「はっきりしなさいよ」

天乃「そんなこと言われてもね」

自分のせいで兄と姉を失って、母親が壊れて

まだ15歳なのにもう寿命が無くなりかけていて

天乃「不幸だと言おうと思えば、いくらでも言える」

けれど

未だに傍にいてくれる友人がいて

自分の事を心から好きでいてくれる後輩がいて

天乃「幸せだとも……きっと言える」

でも

幸せだと言ってしまうことが

被害に遭ったすべてに対して申し訳なくて

はっきりと言うのは……躊躇いがあった

天乃「でもあえて言うとするのなら……幸せだからこそ。これがすぐにでも失われてしまうと言う事が、とても。とても……不幸だわ」


夏凜「……死にたくないのね、あんた」

天乃「死にたい人間が恋人なんて作ると思う?」

夏凜「そりゃそうよね……」

出来るなら戦いが終わった後も

友奈に戦いは終わったよって言って

あとはゆっくり学生生活を楽しもうって言って

寿命を全部使って友奈だけじゃなくて、みんなの成長見届けて

ちゃんと、友奈の事を任せられる相手も探して

それで……それで……

天乃「……ねぇ、夏凜」

夏凜「うん?」

天乃「貴女だけにって……言うつもりないけれど」

夏凜「なによ」

天乃「……ううん。言ったらきっと怒るから良いわ。ごめんね」


まだいつ戦いがあるかも解っていない

にも拘らず、「友奈の事をお願い」なんて言ったら

夏凜は絶対に怒るだろう

だから、天乃は言うのを止めて笑みを浮かべた

天乃「貴女もさっき言ったけど、お昼は私。友奈と出かけるから」

夏凜「だから?」

天乃「……夜まで帰ってこない、ううん朝まで帰ってこないかもしれないけど。気にしないでね」

夏凜「夕方までに帰らなかったら鍵締めるから」

夏凜はちょっぴり怒った様子で言い捨てる

外は雲さえない快晴の一日

風も穏やかで

今までになく、平穏な一日なのかもしれない

けれど

嵐の前の静けさと言う言葉を思い出して

少しだけ……不安を覚えた


√ 8月4日目 昼

01~10 結城友奈は勇者になる

11~20 
21~30 
31~40 
41~50 結城友奈は勇者になる

51~60 
61~70 
71~80 
81~90 
91~00 結城友奈は勇者になる


↓1のコンマ  


園子「わぁ~天さんが彼女連れだ~高校生?」

天乃「私の身長で判断したでしょう、今」

園子「えへへ~冗談だよ~ちゃんと知ってるよ~天さん達の事話してくれる人がいるからね~」

満開を繰り返し

その身の殆どを供物として捧げて

今では神に近しいものとして崇め奉られている先代勇者乃木園子

彼女の間の抜けたような口調とその姿のギャップに

友奈は戸惑い、緊張を押し隠すために喉を鳴らす

友奈「あの……乃木さん、ですよね?」

園子「園子でいいよ~」

友奈「……聞きたいことがあるんです」

言われたことに反応すらせずに

友奈は一直線で疑問を紡ぐ

友奈「壁の外は一体……どうなってるんですか?」

答えは言われなくてもなんとなく解っている

けれど

言われてみなければ解らない

見てみなければ解らない

もしかしたら……想像とは全然違うのかもしれない

そんな希望にすがる友奈の瞳を見つめる園子の瞳は

明るいものから一転……凄く、悲しそうなものへと変わった


園子「直球すぎるよ~……ゆーゆー」

友奈「教えてください」

園子「ゆーゆーが知っても、きっと。どうにもならないよ?」

友奈「……それでも。私は、知っておくべきだって思いますから」

無力な自分を憎むかもしれない

何もできない自分に苛立つかもしれない

それでも

いや、だからこそ知るべきなのだと、友奈は考えていた

友奈「お願いします……教えてください」

園子「……話して良い? 天さん」

天乃「私だって壁の外については知らないわよ」

まぁ、うすうす勘付いてはいるけれど。と

小さくため息をつく


1、友奈と一緒に話を聞く
2、友奈を除いて話を聞く


↓2


天乃「でも、良いわ」

友奈「天乃先輩っ」

天乃「良し悪し解らない話を聞かされると解ってて……連れてきたのだから」

壁の外の話

それは決していいものではないだろう

きっと、絶望してしまいかねないほどのものだろう

けれど、それでも

友奈が知りたいと言うのなら、止めようとは思わなかった

園子「……結界の外は一言に纏めるとしたら地獄だよ」

友奈「…………………」

園子「……ゆーゆは凄いね。こんなこと言われた普通凄く驚くよ~?」

そんな茶化しにもならない一言に

友奈は困ったように薄く笑って……頷く

友奈「バーテックスが12体では終わらなかった……そうなった時にもう、もしかしたらって、思ってました」


友奈「もしかしたら結界の外にはバーテックスが沢山いるんじゃないかって。戦いは全然終わりそうもないんじゃないかって……」

そう考えた

いつも前向きだから

前向きな事ばかり考えているわけじゃない

怖いことだってある、苦手なことだってある

出来ればやりたくないことだってある

暗いこと、悪いこと

そう言うのを考えてしまうことだって……友奈にもある

ただ、それを押し隠して

周りに心配かけさせまいと

人一番頑張っているだけなのだ

天乃「……バーテックスと言うよりは」

園子「そう。星屑って呼ばれるバーテックスの素って言ったら良いのかな? それが沢山いるんだよね」

友奈「それが集まって……バーテックスになるんですか?」

園子「そうだよ」


友奈「戦いは終わらないんですか?」

園子「それは私にも何とも言えないよ~」

友奈「っ………」

園子の浮かべる笑みが

決して、みたままの感情を携えてはいないのだと感じて

友奈は次に用意していた言葉を飲み込んで俯く

そんな姿を見つめていた園子は

おもむろにため息をついて、天乃を見据える

園子「本当は私の端末をゆーゆに渡そうとお思ってたんだよね」

天乃「園子のを?」

園子「先代である私達の思い全てを、今の勇者である天さん達に受け取って欲しかった」

けれど

それは大赦にとって全く喜ばしいことなどではなく

端末は友奈に渡るどころか

より厳重に保管されてしまっている

園子「それがあれば、もう一度……ゆーゆも勇者になれるかなって思ってたんだけど……ごめんね~」


天乃「まぁ、向こうが貴女を失うのを嫌がっている理由は察しが付くし……」

だからといって

それを許せるのかどうかは別の話

自分たちを守ってくれる勇者に対して

抑止力の為の勇者を用意しておくと言うのは皮肉にもならない酷い話だ

友奈「端末があれば、私は勇者になれるんですか?」

園子「なれる可能性はあるよ~……けど、絶対とは言えないかな~」

友奈「……そうですか」

園子「諦めないで。きっと……何か手があるはずだから」

そう言った園子の瞳は真剣で

天乃と目が合った瞬間……一瞬だけ躊躇って

園子は告げる

園子「天さん。思ってる以上に、早く来ると思うよ」

天乃「………………」

園子「……そっか、天さんは神樹様に……だから、うすうす、気づいてるんだね~」

結界がどんどんその力を失っていっていること

そしてそれはバーテックスによるものであり

早くて一月後に大きな戦いが始まるという事を

天乃はどこかで……感じ取っていた


√ 8月4目 夕

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森・神樹・乃木園子・伊集院沙織との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、神樹
7、園子
8、沙織
9、イベントの判定
0、壁に行く

↓2


結城友奈から交流が強く求められています
振り切って、壁へ向かいますか?



1、行く
2、友奈を連れていく
3、友奈と交流をしておく



↓2


友奈「待ってください!」

そう言って

友奈は力強く、天乃の手を掴む

いつもしているような優しい繋ぎではなく

拘束するかのような感触に

天乃は小さく息をついた、友奈の頭を撫でる

天乃「どうしたの?」

友奈「どこに、行くつもりですか」

天乃「どこにって……言われてもね」

友奈「決まってないなら、私とデートしてください」

天乃「デートって」

友奈「お願いします……天乃先輩」


天乃がどこに行こうとしているのか

何をしようとしているのか

友奈は嫌な事しか、考えられなかった

壁に行って、結界の奥に行って

一人で全部……頑張って

それで、帰って来てくれない

そんな嫌な事ばかり浮かぶ頭を振って

友奈は天乃の手を引く

友奈「お願いします……デートしてください」

天乃「……………」



1、別に、一人で無茶するつもりなんてないわよ。ただ、現実を見るだけ
2、……何をそんなに必死になってるのよ
3、今なら。まだ……勇者部が戦うことなく終わらせられるかもしれないのよ?
4、ううん、帰りましょ
5、そうね……じゃぁ、公園にでも行きましょうか



↓2


天乃「……友奈」

友奈「嫌です……」

天乃「今なら。まだ……勇者部が戦うことなく終わらせられるかもしれないのよ?」

その可能性がないとは言えないのかもしれない

けれど

天乃先輩が戻ってこない可能性もある

それなのに

このまま手を放して

頑張ってきてくださいなんて

友奈「……私には出来ませんっ」

天乃「………………」

友奈「勇者部みんなが助かるのは嬉しいです……でもっ、天乃先輩が犠牲になっちゃうのは絶対に嫌ですっ!」

今日のニコ生の重大発表ってなんだろうか

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira079164.jpg


誰かが犠牲にならなければいけないのかもしれない

誰かがやらなければいけないのかもしれない

例えそうだとしても

天乃先輩を差し出すなんて……出来ない

戦いたい

戦えるようになりたい

天乃先輩を守りたい

天乃先輩の代わりになりたい

友奈「……なんでっ、なんで勇者になれないの?」

天乃「……………」

戦えない自分自身に失望して

失ってしまうであろう未来に絶望して

少女は涙を零し……縋り付く

友奈「戦いたいです……私も……私も天乃先輩と一緒に」

天乃「友奈………」

友奈「攻めてくるまでには、必ず戦えるようになります……だからっ、お願いします……行かないで下さい……」



1、ごめんね。友奈
2、貴女が戦うのは許せないけど……でも。攻めてくるのを待つのは良いわ
3、ダメよ……みんな私の為に自分を犠牲にしようとするんだもの……待てないわ
4、抱きしめて、キスをして……置き去りにして


↓2


友奈の気持ちは嬉しいと同時に凄く、嫌だった

だって、戦えるようになって欲しいわけがない

戦えば傷つく、辛い思いをする苦しい思いをする、痛い思いをする

それからせっかく解放されたのに

また、そんなところに首を突っ込むなんて他人であっても嫌だし

ましてや最愛の恋人なら……なおさら

天乃「ダメよ……みんな私の為に自分を犠牲にしようとするんだもの……待てないわ」

友奈「それならっ……それなら天乃先輩も犠牲になんてならないで下さい」

天乃「それは出来ないわ」

友奈「どうして……なんでっ」

天乃「私じゃなければ勇者部の誰かになる。もしかしたら、全員かもしれない」

一人どころか

最悪、全員が記憶喪失で他人同然の関係になってしまうと言う可能性もある

そんなのは絶対に嫌だし

天乃「全員が被害を受けるところを私一人でカバーできるのよ? 最高のエコ活動でしょう?」


天乃「ほらっ、それって勇者部らしくない?」

友奈「っ…………」

被害を一人で背負う

それがエコ活動? 勇者部らしい?

友奈「ふざけないで下さいッ!」

耐えきれずに……怒鳴って

すぐにはっとして口を押える

けれど……怒鳴ってしまったことは変わらない

友奈「そんなの違います、そんなのおかしいです……勇者部は。人が喜ぶことを勇んで行う部活です」

天乃「………………」

友奈「勇者だって……みんなを幸せにするために、頑張ってるはずです」

怒鳴ってしまったと言う罪悪感に

声が段々と小さくなっていくのを抑えて

友奈ははっきりと……言う

友奈「天乃先輩がしようとしていることは、私達みんなを悲しませるだけです……だから、天乃先輩は勇者じゃありません」


天乃「……勇者じゃない?」

友奈「全然違います」

天乃「勇猛果敢なのに?」

友奈「違います」

勇者が好きな、友奈の否定

勇者であることにこだわっているつもりはないし

それはそれで別に痛くはない

けれど、友奈のはっきりとしたきつい言い方は

少しだけ……辛い

天乃「じゃぁ、私の事なんてもう……」

友奈「大好きです」

天乃「………………」

友奈「大好きだから、居なくなったら悲しいんです。だから、天乃先輩は勇者じゃないって……言ってるんです」


1、私も貴女が大好きよ……愛してる。でも、だからこそ守る為に行く
2、ええ。私は所詮一人の女よ。だから、愛してる人達の為に……頑張るの
3、友奈の端末を奪って破壊する
4、解った……解ったわよ。この件は保留にする



↓2


天乃「解った……解ったわよ。この件は保留にする」

友奈「本当ですか?」

天乃「もう夕方だし、まだ友奈とえっちなこともしてないし」

友奈「っ……ぜ、絶対にしませんっ!」

真っ赤に紅潮して

勢いよく言い放つ友奈はとても可愛らしくて、愛おしくて

思わず笑って頭を撫でる

天乃「うん、解った」

エッチな事なんて知識的に興味はあるけれど

したいとは別に思っていない

友奈「天乃先輩がどうしてもって言っても、それだけはしませんから」

天乃「解ってるわ、今のは冗談で言っただけだし」

けれど

壁の奥、結界の奥へと攻めに行くのは冗談ではないし

あくまで【保留】よ。友奈

……ごめんね、私はどうしても。みんなを失いたくはないの


√ 8月4目 夜

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定

↓2


天乃「夏凜」

夏凜「どうかした?」

天乃「別にどうかしたわけでもないけど」

夏凜「返ってきた時の友奈の引っ付き具合から見て……何かあったと思うんだけど」

何もないなら別に良いわよ。と

夏凜は素っ気なく返して息をつく

夕方に帰ってきた時

確かに、いつも以上に距離が近かった気がするし

夕食も当然のように席が隣だった

いや、それはなぜか付き合ったと公言したわけでもないのに

付き合って数日後、いきなり席替えになったんだっけ



1、穏やかな時間を過ごす
2、壁の向こうの話をする
3、友奈を任せる
4、端末の話をする
5ねぇ、友奈にエッチしたいと言われたのだけど、エッチって何なの? 教えて夏凜先生


↓2


では、一旦ここまでにします
再開できたら22時過ぎから少しだけ


では、少しだけになりますが同じく続けていきます


天乃「でね? その、夏凜が使ってる端末の話なんだけど」

夏凜「これがどうかした?」

天乃「それが先代勇者のだってことは、解ってるのよね?」

夏凜「ええ」

天乃「じゃぁ、それが三ノ輪銀……そうね。この子のものだったって、知ってる?」

そう言いながら

銀がまだ生きている頃

須美たちとも出会う前に2人だけで撮った写真を夏凜へと手渡す

夏凜「……あんたの、親戚?」

天乃「そう」

夏凜「そうだったのね……」

三ノ輪銀という名前も、姿も

見たことはないし聞いたこともない

ただ端末を受け継いだだけ

いや、違う

端末を受け継いだのではなく……思いを受け継いだ

夏凜「だから……あの時、私はもう一度勇者になれたんだ」


天乃「私が満開した時の話?」

夏凜「そっ……先代の端末なんだから、先代の意地を見せて勇者にさせろって怒鳴ったのよ」

けど

変身できたのは怒鳴ったからではなく

先代勇者の守りたいと言う気持ちと

自分の守りたいと言う気持ちが重なったからだろう。と

夏凜は今までの考え方を正して、苦笑する

夏凜「そっか……銀って言うのね。これの前の持ち主は」

天乃「うん」

夏凜「銀……シルバー、シロガネ……いや、やっぱり。銀が一番ね」

そっと、端末の画面を撫でて

自分の胸元に宛がって、抱きしめるように抱く

夏凜「……天乃」

天乃「うん?」

夏凜「銀について……もっと教えて」

天乃「え?」

夏凜「知りたいのよ……ううん、知るべきなのよ」

だって、これはただの端末じゃない

三ノ輪銀と言う先代勇者で、天乃の親戚の

天乃を守りたいと言う気持ちや

世界を守りたいと言う気持ちが詰まった大切な……相棒

それも、精霊である義輝と同じくらいに

夏凜「私はそれを知って初めて……完成できる。そんな気がするから」


天乃「……先代勇者の話よ」

夏凜「どんな終わりになるのかは想像がついてる。けど、知りたい」

知って欲しいと誰かが言う

気づいて欲しいと誰かが言う

だから三好夏凜は……三ノ輪銀についての事を聞く

天乃「銀はね――」

それはとてもとても、大切な事

勇者に選ばれる可能性が高いからと授かっただけの端末が

れっきとした相棒となる為に必要な事

自分一人ではきっと

永遠に未熟なままで、なにも救えないままだっただろう

けれど

銀の事を知って、その思いを知って

しっかりと思いを引き継ぐことが出来たとすれば……きっと

本当の後継者として

先代と次世代を重ね合わせた本当の完成型として

三好夏凜は勇者になることが出来るだろう

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(先代勇者、壁、保留)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(幸せ、先代勇者三ノ輪銀)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の4日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 39(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 38(少し高い)
  結城友奈との絆 80(もの凄く高い)
  東郷三森との絆 39(少し高い)
  三好夏凜との絆 68(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:65%
神樹による久遠天乃警戒レベル:20%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています


では、1日が終わったのでここまでとさせて頂きます

あと作中時間で9日間
順調にいけば、今月中には終わることが出来そうです





>>84>>132>>516
ありがとうございます、@wikiの方に乗せさせて頂きたいと思います



https://gyazo.com/2b37c503f45e82cf65fa82a048fb34ec

これで大丈夫なのかな

13時半頃から、再開したいかと思います

では、再開します


√ 8月5目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定

↓2


天乃「ねえ……」

夏凜「ん?」

天乃「銀のこと……色々と話したじゃない?」

夏凜「そうね」

何が好きで、なにが嫌いで

何が得意で、なにが苦手で

どんな子で、どんな生き方をして、どうして死んでしまったのか

そして、彼女が今。どこで眠っているのか

全てを教えた

天乃「忘れたりはしないでね? 7月10日。あの子が亡くなった日を」

夏凜「当たり前でしょ……忘れたりなんてしないわよ」

話したこともあったこともない相手

それでも、志を同じく共に戦う者だから

夏凜「銀には感謝してもしきれないし、今だって。銀の端末があるから。私は勇者としてあんた達を守れるんだから」


天乃「……そうね」

少しだけ、安心した

自分がいなくなったとしても

きっと、夏凜があのお墓の世話をしてくれる

もっとも、そうでなくても銀の家族がしっかりと見ていてくれているけれど

でも、やっぱり……友達にだって、来て欲しいだろうし

夏凜「あんたさ」

天乃「?」

夏凜「もう任せても良いかな。なんて考えてるなら殴るわよ?」

そう言った夏凜は

握り拳を作って、天乃を睨む

夏凜「私は別に、あんたから引き継ぐつもりなんて――これっぽっちもないんだから」



1、……ばれちゃった?
2、そんな気はないわよ。でも、万が一もあるじゃない?
3、戦いで死ななくても。老い先短いんだもん。良いじゃない、引き継いでくれたって
4、なに勘違いしてるんだか……それより、ちょっとお出かけしない?
5、ねぇ。久しぶりに模擬戦。やってみない?

↓2


天乃「ばれちゃったら仕方がない」

夏凜「は?」

天乃「確かに、任せようとした。引き継いで貰おうとしたわ」

だって

そうしなければ家族や大赦以外で

着てくれる人が居なくなってしまう

あの人たちは誰も……銀に醤油ジェラートを持って行ってはくれない

天乃「貴女はふざけるなと言うけれど……でも、私は戦いを生きても長くはないのよ」

生きている間は

何度だってお墓参りすることが出来ると思う

けれど、そのあと死んでしまったら

来るべき戦いで、結局生き残れないままだったら

天乃「誰にも伝えないままで。あの子の事が忘れ去られていくなんて……そんなの嫌じゃない」


夏凜「だからって、そんな……悔いを残さないようにしよう。みたいなこと考えてんじゃないわよ!」

天乃「っ!」

勢いよく詰め寄られて

慌てて引き下がった足が絡まって、壁に背中を打つ

その隙を逃さず、天乃自身も逃れられないように

壁を壊すつもりで、ドンッと、手をつく

夏凜「まだ何も解んないじゃない! あんたは病気じゃない! ただ、寿命が供物になっただけなんじゃないの!?」

天乃「…………」

夏凜「だったら諦めんな! 全部終わって、ちゃんと生き残って……そうしたら、返ってくるかもしれないんだからッ!」

そんなのがただの希望的観測でしかないことは解っている

けれど

どうして諦められるのか

どうして悪い方を考えられるのか

どうして、期待して、希望して、願って、祈って、望めないのか

夏凜「だから、お願いだから……生きるのを……諦めないで」


嫌な奴だと思うことがあった

嫌な思いをさせられたことだってたくさんあった

けれど、でも

孤独の寂しさを教えてくれた

誰かといる温かさを教えて貰った

人の優しさを教えて貰った

今までの分以上の、思い出をたくさんくれた

怒ったこともあった、悲しかったこともあった、辛かったこともあった

でも

楽しかった、嬉しかった、なによりも幸せだった

そんな気持ちを、思い出を、与えてくれた天乃を

夏凜「失いたくない……ッ」

夏凜は失いたくなかった



1、………ごめんね
2、………ありがとう
3、何も言わずに抱きしめる
4、私のは供物じゃなくて代償だから……ごめんね
5、貴女に友奈を頼もうと思ったのに……そんなんじゃ、任せられないわ



↓2


天乃「……ありがとう」

身長が低いことがコンプレックスだった

けれど、今だけは

夏凜が俯いていても、涙が見える今この時だけは

それに感謝して

強く思ってくれる家族に感謝をして

天乃「……………」

小刻みに震える夏凜の両肩を軽く掴んで、押し離す

ここまで強く思ってくれているのは

以前にも教えてくれていて、伝わっていて

でも、改めて伝えられた思いと言葉は凄く重い

けれど

天乃「安易に貴女と同じようにとは言えない。けれど、私も貴女達みんなを、失いたくないという思いがあるの」

夏凜「だったら全員で――」

天乃「あと数年の私の為に、数十年ある未来に傷を残すのは喜べることじゃないわ」


何が供物として奪われてしまうのか

それは解らないけれど……でも

それが生きていくうえで大事なものである可能性は十二分にあるから

天乃「元々、勇者部に私の席はなかった。だから、居なくなったって。問題はないでしょう?」

夏凜「あるに決まってるでしょうが!」

天乃「っ…………」

夏凜「あんたの為の椅子がある、あんたの為の空間がある……」

その椅子が必要なくなってしまったら

その空間が必要なくなってしまったら

夏凜「部屋が広くなって、一人分の空間が出来て……」

天乃「……………」

夏凜「きっと、寂しくなる。空しくなる、辛くなる、苦しくなる。悲しくなる……だから、生き残って」

お願いだから。と夏凜は願う

けれど

きっと、その願いを神樹様は叶えない

きっと、バーテックスは感化されることなく攻めてくる

天乃「……そうね、頑張っては。みるわ」

生き残ることなど出来はしないと解っていながら

天乃は夏凜の為に……そう言った


√ 8月5目 昼

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定

↓2


天乃「そう言えば、気になったことがあるのだけど」

友奈「気になった事。ですか?」

天乃「そう。昨日の夜……なんで布団に入ってこなかったの?」

友奈「それは……えっと……」

えっち云々の話をしてしまったせいで

妙に意識してしまった。なんて言えなくて

友奈は頬を赤らめながら、はにかむ

友奈「毎日することでもないですし」

天乃「じゃぁ、今日はしてくるの?」

友奈「天乃先輩の態度次第……ですね」

そう言って俯いた友奈は

はっと気づいたように顔を上げて、天乃を見つめる

天乃「私の態度次第なんだ」

友奈「っ」

何も考えず本当の事を言ったせいか

キスをしたりしている時と同じくらいに恥ずかしくて

友奈は顔を真っ赤にして、わずかに涙目になって

けれど素直に……いや

半ばあきらめたように頷く

友奈「そうです……」


友奈「同じ家に住んでますし、一日に一度くらいは……天乃先輩の隣にいたいかなって」

天乃「貴女、遠距離恋愛とかできそうにないわね」

友奈「そんなことはないですよ……多分」

遠距離恋愛なんて

やはり、ドラマ等の創作物での知恵しかない

だから寂しくないとは言えないし

ついて行こうとしないとも言えないけれど

友奈「天乃先輩の事を……その、他の人と恋人になっちゃうんじゃないかなーって疑ったりはしません」

天乃「……どうして?」

友奈「天乃先輩は優しい人だから。きっと、たぶんできませんから」

それに、凄く凄く信頼していますから

最後の本心をちょこっと隠して

友奈は笑みを浮かべる

可愛らしい笑顔

純真な優しい笑顔

私はきっと……それを壊して涙を流させてしまうのだろう



1、デートしない?
2、友奈の端末を壊す
3、ねぇ、友奈は戦いたい?
4、抱きしめて、ベッドイン
5、夏凜にね……生きることを諦めないでって。泣かれちゃった
6、キスをする



↓2


天乃「友奈、目を瞑って」

友奈「瞑りません」

天乃「……そう」

友奈と見つめあったまま
そっと距離を詰めて、唇を重ね合う
押したわけでもなく
友奈の体が半歩下がって壁にぶつかって
手の平ではなく
指と指が組み合う、ちょっぴり大人な繋ぎ方をする

友奈「んっ…………」

天乃「………………」

まつ毛が触れ合ってしまいそうな距離

それでも互いを認め合ったまま、唇を重ねる

鼻で空気を吸えば、相手の匂いが体の中に広がって

ただでさえ激しい動悸が壊れてしまいそうなほどに強くなる

友奈「………………」

これが最後と言うわけではないし

キスだけで繋がっている関係でもない

けれど

これが二度となくなるのかもしれないと考えずにはいられなくて

友奈の頬を……涙が伝っていく


天乃「……友奈?」

友奈「やめ、ないでください……」

そう言いながら

友奈は離れようとした天乃の体を繋いだ手で引き戻して

もう一度、唇を重ねる

恋愛しているのだと

恋人同士なのだと

まだ、互いに生きているのだと

感じることのできるキスが好き

天乃「ん……っ、んっ!」

友奈「んっ、ふっ……」

内側から、体が熱くなっていく

けれど、決して離れようとは思えない

むしろ、もっともっと、強く繋がっていたいとさえ思う

放したくない、離れたくない

このまま、唾液が接着剤のようにくっついてしまえばいいのに。と

友奈は空想を描いて……瞬きする


天乃「っ、んんっ……っ」

目の前に見える天乃の表情は

少し苦しそうで

少しだけ、拘束を緩めて唇を離す

天乃「っは、はぁっ……はぁ……」

友奈「っ…………」

透明の糸が、唇同士を繋いでいることに気づいて

軽く指で触れると

容易く糸は切れて……落ちていく

天乃「急にするなんて……」

簡単だ

余りにも簡単に離れてしまう

そんなの……嫌だ

友奈「天乃先輩」

天乃「なに?」

友奈「一度だけした……深いキスが、したいです」




1、……良いわよ
2、だめよ
3、どうして?



↓2


天乃「どうして?」

友奈「もっと……天乃先輩を感じたいからです」

微かに上気した艶っぽい表情

零れる吐息は熱っぽく

瞳は潤んでいて……愛らしい

求める後輩の手が、自分の肩に触れて

少しずつ、押し倒そうとする力が加わっていく

天乃「普通のキスではだめなの?」

友奈「その先に、行ってみたいんです」

一度だけ行った深いキス

あの時は愛し合っていなくて

ただの肉板関係でしかなかった

けれど今は、しっかりと愛し合っている

友奈「お願いします、天乃先輩」

天乃「………」

後で気づいて

やりすぎてしまったと思うかもしれない

けれど

ここでこの求愛を拒んでしまったら……

悲しさが残る気がしてならない


1、ダメよ
2、……解った、しましょう
3、……………


↓2


ごくっと生唾を呑んで

切なげな少女の顔を見つめて、頷く

天乃「……解った、しましょう」

これが何かの救いになるとは思えない

けれど、

たとえそこに意味がなくても

理由さえあれば、それで良い

温もり、優しさ、

切なさと悲しさ、寂しさ、嬉しさや、苦しさ

幸せと、不幸

悪いことも、良いことも、今はどうでも良い

天乃「っ」

友奈「ぁ……」

いつものようにゆっくりと唇を合わせて

慎重に舌を伸ばして、友奈の口腔へと忍ばせていく

ねっとりとした友奈の口の中

匂いなんて感じ取れるはずがないのに

なぜか、甘さを感じる

友奈「っ!」

舌先で舌に触れると

友奈の身体がビクッと跳ねる

けれど、離れることも、驚いて口を閉じることもなく

友奈は瞳を天乃へと向けて、瞬きする


友奈「んっ」

繊細なものを扱うように

舌で優しく、友奈の舌をなぞる

くすぐったい

けれど

それとはまた別のゾクゾクとした感覚に

友奈はさらに、胸を高鳴らせる

舌と舌を触れ合わせるため

唇は半開きのような状態

そのせいか、飲み切れなかった唾液が端から零れて、顎を伝い、滴っていく

友奈「ん………っ」

舌を入れられて

絡めて貰っているだけの友奈は

天乃の舌を伝って自分の中に入り込んでくる唾液ごと

つばを飲み込む

味なんてない

意味なんてない

けれど、意識すればするほど

体はどんどん熱くなっていって

頭の中が真っ白になって……天乃だけが浮かぶ


友奈「んっ、っ……はぁっ、はぁ……天乃、先輩っ」

呼吸が出来ず、苦しくなって

離れてもなお、手は固く繋ぎ、視線は少しも逸らすことなく

互いを見つめあう

友奈「天乃……先輩……っ」

恍惚とした表情の友奈を見つめて

天乃は小さく首を振る

この勢いのまま

体の熱と要求に流されてはいけないと……目を閉じる

天乃「止めておきましょう」

きっと

これは急ぎ過ぎている

もっとゆっくり、もっと慎重に

思い出を積み重ね続けてからでも良かったはずなのに

友奈「なら……あと一回だけ」

友奈はそう言って、

天乃は拒否せず受け入れて、唇を重ねて

互いの体を強く抱きしめ合って……静止する

天乃「………………」

自分に未来がないから

自分がいつ死ぬかも解らない戦いに身を置いているから

友奈は不安で仕方がないのだろう

いつ、愛して貰えなくなるのか

いつ、愛を伝えられなくなるのか

いつ、繋がることが出来なくなってしまうのか

それが解らないから

不安で仕方がなくて、怖くて仕方がなくて

先を急ごうとしてしまっているのだと……天乃は、気づいた


√ 8月5目 夕

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、出かける

↓2


あんな交わりをした後では

少しばかり、気まずさを感じる

けれど

2人は並んで布団の上に横になったまま、黙り込む

友奈「……………」

口を開くと、空気が入り込んでくる

空気が入り込んでくると

くすぐったくて、キスしていたことがより鮮明に思い浮かぶ

ドキドキが収まらない

キスをした。大人なキスまでした

そして、その熱に促されて


さらに先を、望もうとしてしまった

天乃「……………………」

瞳だけを動かして

横目でちらっと友奈を見つめると

友奈もまた、同じように天乃を見つめていた



1、別れましょう
2、明日、デートしない?
3、ありがとね、友奈
4、貴女は……戦いたいって思ってるの?


↓2


天乃「ありがとね、友奈」

友奈「えっ?」

天乃「貴女は私を救ってくれた」

自分の心を助けるために

相手の事なんて一切考えずに、悪戯をして

元気だよって、叫び続けて

その中の酷い悪戯を

友奈は本気にして、傍に来てくれた

天乃「キスすると言ってしなかったり、何の前触れもなくキスをしたり」

酷いことをしたのに

好きだと言ってくれて

天乃「ほんと、こういうのもあれなんだけど」

友奈「………………」

天乃「貴女のおかげで、世界に色がついて見えた」


自分がしたこと

その罪とその重さに耐えかねて

押しつぶれてしまいそうな心の支えになってくれた

天乃「貴女がいてくれなかったら、私。どうなってたのか解らないわ」

友奈「天乃先輩……」

天乃「だから、ありがとうね。友奈」

友奈「………………」

ただの感謝の気持ちだ

それを抱いたら、相手にちゃんとお礼を言う

人として当たり前で

なにもおかしくはないはずなのに……

底知れない不安が脳裏を過ぎった

なんで今言うんだろう?

なんでこんなにも空気が冷たいのだろう

なんでこんなにも、胸騒ぎがするのだろう


友奈「っ………」

なんで今頃になって、言うんですか?

なんで、そんなお別れみたいなこと言うんですか?

ううん、違う

みたいなことじゃない

お別れの言葉なんだ……天乃先輩の

友奈「壁に、行くんですか?」

天乃「………………」

友奈「一人で全部背負って、一人だけ犠牲になるつもりなんですか?」

すぐ横の天乃の手を強く掴んで

友奈は語気を強めていく

友奈「天乃先輩……そんなことしないって。言ったのに」



1、あくまで保留ってだけよ
2、何言ってるの?
3、……何言ってるの?
4、抱きしめる
5、もう、みんなにお別れは済んだから……十分よ


↓2


天乃「もう、みんなにお別れは済んだから……十分よ」

友奈「お別れは済んだって……意味が解りません」

天乃「だから――」

友奈「意味が解らないです……お別れって何ですか? なんでお別れなんですか?」

樹海化してるわけじゃない

病気でもう死にそうなわけでもない

寿命だって、あと数日と言うほど切迫したものじゃないはず

友奈「嫌です」

天乃「友奈」

友奈「行こうとしたら、東郷さん達に全部話して、全員で連れ戻しに行きます」

天乃「貴女らしくないわね。自分は戦えないのに、戦える周りを巻き込もうだなんて」

友奈「っ………」

友奈の身体がビクッとしたのを触れ合う肌から感じて

少し、心が痛む

天乃「自分は決して戦わないけれど、助けたいからみんなで犠牲になってくださいって、言っているようなものよ?」

それでも、厳しい反論を述べる

これで折れて、止めるのを諦めて欲しい

可能なら、

そんなひどいこと言う人は大嫌いだと、見捨てて欲しい

私の心残りは……貴女が私を心から愛してしまっていることなのだから


友奈「みんなだって、天乃先輩を助けたいって思ってます」

天乃「でしょうね」

友奈「だから……でも……」

自分は戦うことが出来ない

それが友奈の言葉を止める

みんなを戦いに導いておきながら

自分は蚊帳の外で

安全圏からただ、帰りを待っていればいいだけ

友奈「っ……………」

友奈の表情が暗くなって

手を握る力が弱くなっていったのを感じて

そっと、起き上がって……ドアへと向かう

天乃「私を見逃せば、貴女は誰も巻き込まなくていい。貴女は自分の心を傷つける必要もない」

友奈「でも、そうしたら天乃先輩は……」

天乃「貴女の望みを聞いて、私は深いキスまでしたわ。なのに、お願いの一つも聞いてはくれないの?」


ずるい言い分だ

そんなの釣り合うわけがない

それでも、天乃は言った

折れようとしない友奈を

苦しませるために、悩ませるために

嫌いになって貰うために

狡猾で、酷い言葉を言い続ける

友奈「だ、だったらえっちな事でもなんでもします!」

天乃「……………」

友奈「見逃すこと以外なら、私……なんでもします」

だから、行かないで

犠牲になんてならないで

友奈「天乃先輩……」

か細く名前を呟いて

天乃へと腕を伸ばして、服の裾を掴む




1、それでも行く
2、解ったわ。じゃぁ、模擬戦しましょう。それで私に勝てたら、残るわ
3、貴女の我儘で、みんなが傷つくのよ?


↓2


天乃「解ったわ。じゃぁ、模擬戦しましょう。それで私に勝てたら、残るわ」

友奈「っ……望むところです」

今まで見てきた戦いを思い返してみれば

勝てる見込みなんてない

可能性なんてない、不可能、0%

けれど、友奈は瞳に意思を灯して輝かせる

友奈「絶対に、天乃先輩に勝ちます」

天乃「……へぇ、勝てる自信があるってことなのね」

威嚇のつもりの一言に対して

友奈は臆することなく、首を横に振る

たとえそこに圧倒的な力量差が存在して

象と蟻のような酷く一方的なものであるとしても

友奈「天乃先輩への気持ちは……誰にも、なににも、負けるつもりはありません!」

天乃「……そう」

少女たちの思いを懸けた模擬戦が、始まる


√ 8月5目 夜


天乃「さて、ルールを確認しておきましょうか」

相手が参ったと言ったら勝ち

なんていうのは、この模擬戦に関して言えば無制限と等しい

ゆえに

天乃「相手に膝をつかせたら、勝ちとしましょう」

友奈「それで良いです」

天乃「ねぇ、友奈一つだけ――」

友奈「言うだけ無駄だと思います。私はこの体がボロボロになるよりも、天乃先輩が犠牲になる方が嫌ですから」

友奈の先を読んだ返しと笑顔に

天乃はため息をつきながら、小さく笑みを浮かべる

天乃「そうね、そうよね」

友奈「はい」

天乃「……本気で行くわ。長引かせたくないから、一撃で決めさせてもらう」


友奈の行動成功判定 ↓1

ぞろ目または01~03


天乃の行動成功判定
命中率的に+31%なので、本来0ですが


ぞろ目で回避または防御   ↓1


友奈「……ふぅ」

自分にできるのは真っ向勝負のみ

そして

それこそが天乃先輩が最も得意な相手

勝てる見込み……

ううん、考えたって仕方がない

勝つか負けるかじゃない

これはそんなものじゃなくて

友奈「守れるか、守れないかなんだ」

天乃「…………」

友奈「止めさせてもらいます!」

叫ぶや否や、地面を蹴り出し

フェイントも何もなく、一直線に天乃へと向かう


友奈「っ」

天乃が身構えたのを確認して

それでも、友奈は足を止めず

それよりもさらに素早く足を出す

なにで勝っているかなんて判らない

もしかしたら全てにおいて劣っているのかもしれない

それでも

天乃の予想する自分よりは秀でる為に

体に鞭を打つ

友奈「はあぁぁぁっ!」

右拳を後ろへと引き下げて

天乃との接触直前に、当たらないのを見越して大きく振るう

天乃「甘いわよ」

友奈「まだですっ!」

力強く空ぶって、

足に急ブレーキをかけたその反動を用いて

右足を軸に、体を捻る


友奈「せやぁっ!」

斜め上からの踵落とし

決まれば一撃で、膝をつかせるのは簡単

けれど

天乃「残念ね」

天乃はそう呟いて、息をつく

左斜め上からの蹴り

本来なら躱すだけで良い

しかし、それでは余った反動で連撃が来る

恐らくは足がついた瞬間右足での回し蹴り……

そこまでを一瞬で判断し

躱すのではなく、左手で友奈の左足の爪先を捉えて

力一杯地面の方へと投げ出す

友奈「っ!?」

勢いを殺されるどころか、付け足された友奈は

当然、バランスを保つことが出来ず

不自然な形での着地を避けるために、左足を庇って体が前に動く

天乃「悪く思わないでね」

友奈の左手を掴んで引き、

軸足になっていた右足を引っかけて

地面へと引き倒す

天乃「貴女の負けよ……友奈」


友奈「っ………」

天乃「貴女が直線的な子で良かった」

殴らなくて済んだ

蹴らなくて済んだ

酷い言葉を投げかけるだけでも辛いのに

柔肌を押し潰す感触

骨を軋ませる音

苦悶の表情を浮かべる友奈

そんなものを感じてしまったら

そんなものを見てしまったら

きっと……絶対に生き残ろうとなんてできなくなってしまうから

天乃「約束通り、行かせて貰うわね」

そう言って、踵を返し

歩き出そうとした瞬間、ズボンの裾が引かれて足が止まった


友奈「ま、待ってください!」

天乃「ルール違反よ」

友奈「っ……天乃先輩のお願い聞きます……だから」

天乃「友奈」

友奈「っ…………」

本気でも良い

冗談でも良い

何でもいいから、それならお願いしようかしら。と、

言って欲しかった

天乃「ありがとう」

けれど、天乃は言わない

笑みを浮かべて、ありがとう。それだけしか言ってはくれない

裾を掴む力が抜けて

天乃の足が動き出して……去っていく

友奈は――


01~10 
11~20 私も連れて行ってください
21~30 
31~40 私も連れて行ってください
41~50 
51~60 私も連れて行ってください
61~70 
71~80 私も連れて行ってください
81~90 
91~00 私も連れて行ってください

↓1のコンマ  


友奈「…………………」

動けなかった

自分にできる事はない

止めようとした

何が何でも止めようとして

絶対にしたくなかった対立までして

それでも……止められなかった

友奈「やだよ……嫌だよ……」

泣いていたってなににもならない

それが解っていても、涙は溢れ出してくる

友奈「天乃先輩……っ、天乃先輩ッ!」

叫んでも、もう

見える限りの世界に、その姿はなかった

友奈「神樹様……私を勇者にしてください。なんでも捧げるから。全部あげるから……だから……」

少女の切なる願いは

夜の闇に呑まれて――消えていく


01~10 
11~20 1
21~30 
31~40 2
41~50 
51~60 3
61~70 
71~80 4
81~90 
91~00 1

↓1のコンマ  


ぞろ目なら4


天乃「ねぇ、死神」

死神「ナァニ?」

天乃「私が死んだら、貴方はどうなるの?」

死神「キエルカモシレナイ、デモ、キエナイカモシレナイ」

天乃「なぜ?」

死神「ワタシハ、クオンサンノセイレイ。ダカラ、ジョウシキハズレ」

天乃「酷い言いぐさね……まったく」

最終決戦の一歩手前

その緊張感を吹き飛ばすかのように

大きくため息をついて

後ろに広がる自分たちの街を眺める

天乃「あのどこかに、みんながいる」

死神「ウン」

天乃「……麻婆丼が食べたい」

死神「ウン」

天乃「だから……帰ったら、麻婆豆腐に麻婆丼。麻婆うどん……いろいろ食べようかしら」


おもむろに、くすくすと笑って

ため息をついて

強く体を伸ばして……深呼吸

天乃「さて……と」

ゆっくりと立ち上がって

壁の奥へと進もうとすると、死神が正面に回り込んだ

死神「クオンサン」

天乃「なに?」

死神「コウカイシナイ? マダ、ジカンハアルヨ?」

天乃「………ふふっ、あはははっ」

耐えきれずに大声で笑う

従順であるべき自分の精霊にまで

行動に関して後悔しないかと聞かれている

行かないでほしいと止められている

人の為にと動いてきたツケが回ってきたらしい

本当に、久遠天乃は愛されすぎている

天乃「後悔は、ある。けどね……きっと、それはもうどうしよもないことだから」


死神「ドウシヨウモナイ?」

天乃「ええ……だって、あの子。どう頑張っても、私の事嫌いになってくれそうにないんだもの」

あれだけ酷いことを言った

置き去りにした

それでも、きっと……私の帰りを願っているだろう。祈っているだろう

天乃「あんな悪戯、しなければよかった」

ただの動悸を恋愛感情ゆえのモノでは? なんて言ったり

キスする振りをしたり、壁に追い詰めたり、布団に押し倒したり

天乃「それが私の後悔」

死神「………………」

天乃「私が死んだとき、誰も悲しまないようにしようと思ってたけど。でも、私馬鹿だから」

死神「ソンナコトナイ」

天乃「ううん、馬鹿よ。失う辛さを知っていながら、私はみんなの心に入り込んでしまった」

死ぬと解っていながら、長くないと解っていながら

友奈と恋人になってしまった

天乃「最低最悪の大馬鹿よ」

死神「ダッタラ、モドロウ?」

天乃「それは出来ないわ」


天乃「私の時間が増えると言う事は、バーテックスにも時間が与えられると言う事」

それはつまり

神樹様の神託通り、大規模な戦いになると言う事

それは許されない

自分以外の犠牲が出かねない戦いなど

認められるわけがない

天乃「私が得るはずだった幸せの分だけ……バーテックスを不幸にしてやるわ」

死神「……クオンサン」

天乃「うん?」

死神「ワタシハゼッタイニ、クオンサンヲマモルヨ」

天乃「……最期までありがとう。貴方は最高のパートナーよ」

死神の頭を優しく撫でて

天乃はついに……結界の外へと踏み出した



http://i.imgur.com/AySkQRX.png


では、ここまでとさせて頂きます
たった一人の最終決戦ですね……


明日はまた、22時ごろからを予定していますが
早くなる場合もあります


今日は21時半から出来るかと思います

>>553
ありがとうございます、今度編集したさい、ウィキの方に入れさせて頂きます


では、再開いたします


天乃「っ……なによこれ……」

園子は言った

一言でいうのであれば、地獄だと

天乃「こんなの……」

海のように広がった

真っ赤なマグマにも見える地面

数えきれないほどの白い粒

星屑たちが漂うこの世界は……まるで

天乃「麻婆丼じゃない!」

死神「!?」

天乃「スパイスの効いた舌が痺れるほどに辛い麻婆の海を泳ぐ白米」

どこが地獄なのか

どこが絶望的なのか

これはまるで天国ではないか

天乃「小学校の作文で、将来は麻婆に溺れて死にたいって書いたのが懐かしいわ」

死神「ホント?」

天乃「本当よ……まぁ、先生に怒られて別のを提出したけどね」


天乃「……ふぅ」

もしも夏凜がいたら

夏凜じゃなくても良い、ほかの誰かがいてくれたら

きっと、「ふざけるな」とか、「何言ってるの?」とか

言ってくれただろうに……

天乃「まぁ……つまり、ここで死ねて幸せってことよ」

死神「クオンサン……」

天乃「別に、無理矢理納得しようとしてるわけじゃない」

ただ、本当にそう

食べたいと思ったから、星屑がご飯に見えたし

真っ赤な世界は美味しそうな麻婆に見えた

天乃「好きなだけよ……世界が」

死神「……………」

天乃「それでね? 一つ、聞きたいことがあるわ」

死神「?」


天乃「ここでもし、私が満開を使ったとしたら」

死神「ウン」

天乃「後ろの結界に、被害は出るの?」

死神「ケッカイニハ、クオンサンノカケラガナガレテル。ソレハツマリ、クオンサンノマンカイト、ドウシツノチカラ」

天乃「……そう」

同質の力

と言う事はつまり、以前のように相反する力同士のぶつかりとして

激しく消耗させてしまうことはない。と言う事だ

天乃「安心した……これで心置きなく、満開を使うことが出来る」

死神「……クオンサンハソノママサンゲ、スルコトニナル」

天乃「承知の上よ」

死神「ダイジョウブ、クオンサンハ。マモレルヨ」

天乃「じゃなきゃ困るわ。この命を、懸けるのだから」


天乃「……時間稼ぎも止めて、そろそろ行こうかしらね」

これは本当に自分の選択なのか

ただ、選ぶしかなかっただけではないのか

考えようとする頭を振って、天乃はその身を漆黒に包み込んで

勇者らしからぬ勇者へと変身する

天乃「その身を持って知りなさい! 貴方達が喧嘩を売ったのが、ただの人間ではなかったことを!」

目を瞑ると

友奈の笑顔が浮かんでくる、夏凜の怒った顔が浮かんでくる

風の悪戯な笑みが浮かんで、樹の歌っている時の愛らしい表情が浮かんで

東郷の困った顔が浮かんで、沙織の照れくさい表情が浮かんで

友奈の……行かないで。と、願っていた涙が浮かぶ

天乃「っ」

死神「クオンサン」

天乃「解ってる」

今更引き返せない

今でこそこの数

もしも完成したらこの程度では済まされない

だから私は、命をここで使い切る

天乃「――バイバイ、友奈」

天乃は笑顔でそう呟いて

そして

たった一人の孤独な勇者は、その力で世界を飲み込んでいく


√ 8月5目 夜


夏凜「っ」

端末が不意に光って

夏凜の従える精霊、義輝が姿を現す

夏凜「義輝?」

義輝「……………」

呼んでも見向きすらしない相棒に

思わずため息をついて、「戻りなさい」と、命じる

けれど、義輝は戻らない

東郷「夏凜ちゃん、どうかしたの?」

夏凜「義輝が勝手に出てきて……」

早く戻りなさいよ。と

夏凜が言うよりも先に、玄関が開け放たれる

友奈「みんなっ! お願い、天乃先輩を……天乃先輩を助けてッ!」

風「ゆ、友奈!?」

夏凜「助けてって、一体」

友奈「天乃先輩が壁の外に……結界の外に行っちゃったの! 全部、全部一人で……バーテックスも、何もかも。全部一人で背負うつもりなの!」

東郷「ッ!」

夏凜「あのバカ……ッ」

風「急いで出発す――」

天乃と同じく、勇者である少女たちが

一心不乱に駆け出そうとしたところで、義輝が法螺貝を吹く

それは戦後の勝鬨

たった一人の勇者が、戦いを終えてしまったと言う合図

夏凜「っ……急ぐわよ!」

東郷「一刻を争うわ!」

意味を理解した2人がなれるのかどうかも確認せずに

端末を操作して、勇者システムを起動させる

そして風達がそれに続き、案内として友奈を連れて飛び出していく

けれど、

夏凜達が結界の外へと着いた時

すでに――すべては終わってしまっていた


結界の外は、神樹様を中心に

四方に向かって斑模様の毒々しい花びらが咲き誇っていて

その花びらから先は真っ赤に染まり

星屑たちが気色悪いほどに、蠢く

夏凜「……なによこれ」

東郷「結界の外の、結界?」

結界の外からさらに広がった安全地帯

そのどこかにいるはずだと、全員で手分けして探す

友奈「天乃先輩……」

拭えない不安を抱きながら、一歩

また一歩と……

何かに導かれるようにして歩き、

そして、たどり着く

天乃「………………」

友奈「……天乃先輩」

会いたかった人のもとに


友奈「探しましたよ、天乃先輩」

声をかけても、振り返らない

身じろぎひとつせず、言葉も返してはくれない

友奈「もう勝手にどこかいけないように、手を繋ぎますからね」

ぎゅっと……手を繋ぐ

どれだけ力を込めても

手を握り返しては来てくれない

温もりも……ほとんど感じない

友奈「天乃先輩が歩いてくれないと、帰る時間が遅くなっちゃいますよ」

手を引いても、体は動かない

動こうともしない

だから、引き倒すくらいに強く引っ張る

友奈「っ!」

天乃は何の抵抗もなく友奈へと倒れかかって

驚きながらも、友奈は何とか支えて……苦笑する

友奈「もう良いですよ。そんな、冗談とか……要らないです」


友奈「天乃先輩、お姫様抱っことか、しちゃいますよ?」

もしかしたら

したいならしても良いと言ってくるかもしれない

けれど、

恥ずかしいからしたくないって、言うかもしれない

友奈「良いんですか?」

何も言わない

何も返さない

何もしない

微動だにすらしない

たとえ、呼吸による胸の上下でさえも……天乃はしない

友奈「……天乃先輩」

友奈の頬を、涙が伝い落ちていく

どれだけ自分を誤魔化したらいい

どれだけ笑っていればいい

どれだけ無理矢理な前向き思考を積み重ねればいい

友奈「っ……ぁぁああぁぁあああぁ――ッ!」

出来ない

もう無理

笑っていられない

誤魔化していられない

前向きになんて考えられない

夏凜「友奈ッ!」

叫び声に気づいた夏凜に抱き留められながらも

友奈は頭を抱えて……泣き叫ぶ

止められたはずだったんだ

助けられるはずだったんだ

何とかできるはずだったんだ

強い後悔と悲しみと、苦しさと、辛さと、怒り

それは友奈の心を激しく傷つけて、摩耗させて――壊していく



勇者は人々の為に、その身を犠牲にして戦い続けました

たとえ、

戦いの果てに不幸になる者がいて

その人たちに恨まれ、憎まれ、蔑まされてもなお

勇者は人々の為、そして

自分に付き従ってくれる最愛の少女の幸せの為に

その命までも犠牲にして……戦い続けました

けれど

勇者は誰も幸せには出来ませんでした

なぜなら

勇者がいるからこそ

少女や、人々は幸せだったからです

勇者は世界を守ることは出来ましたが

最愛の少女と、少女の幸福を守ることだけは――出来ませんでした

だから、少女は考えました

世界はどうして、こんなに残酷なのだろう?

世界はどうして、勇者を助けてはくれなかったのだろう?

世界はどうして、私に力を返してはくれなかったのだろう? と

その疑問はやがて

憎しみとなって……世界へと降りかかる


勇者は結局……何一つ、守ることは出来なかったのです


では、ここまでとさせて頂きます


この時点でのBADENDはこんな感じです
犠牲になってのhappyendなんて、きっとありません


やり直す場合は、>>614または>>605からの予定です
それ以前は特に分岐もありませんでしたので

また、新しく新規で始めることも可能です

これらに関しては、明日の21時または22時ごろから、決めたいと思います
どうするかの多数決をとる前に、事前に通知します

では、21時頃から
やり直しか初めからかの多数決をしたいかと思います

やり直しは>>605からになります
初めからはそのままキャラメイクからです

多数決で決める予定です


1、やり直し
2、初めから

↓1~5

やり直しですね
判りました
>>605以降の交流をリセットします

少ししたら牛歩ではない再開します

√ 8月5目 夕

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、出かける

↓2


01~10 
友奈
11~20 夏凜
21~30 大赦
31~40 樹海化

41~50 
51~60 
友奈

61~70 
71~80 

81~90 
春信
91~00 
沙織

↓1のコンマ  

http://i.imgur.com/IXZDycD.png


天乃「あら……」

端末が五月蠅く鳴り響いたかと思えば

やはり、世界はその姿を樹海へと変貌させる

近いうちに来ると言われた大きな戦い

それではないか。と

緊張を隠せない勇者部の面々が息を呑む

夏凜「どうやら、大きいどころか小さい戦いみたいよ」

風「そうなの?」

夏凜「端末見てみなさいよ、あのすばしっこいだけの奴が2体いるだけだわ」

樹「あっ、本当ですね」

天乃「ふぅん……そっか」


大きな戦いが起こると言われただけで

小さな戦いが必ず起きないなんて言われた覚えはない

とはいえ、逃げ足の速い2体が大きな戦いの前に姿を現した。と言うのは

聊か気になる流れだ。と

気づいた東郷と天乃が目を合わせる

東郷「捨て駒。でしょうか」

天乃「可能性は高いわね。私達が現状、どの程度なのか調査しに来てるのかも」

だとすればたった2体

しかも逃げ足の速い双子座のみというのも納得がいく

夏凜「じゃぁ、ちゃちゃっと片づけちゃうべきね」

天乃「変に手の内を晒すよりはいつも通り……って、夏凜。貴女、私の真似?」

そう言った天乃は

本来二つに分かれているはずの、夏凜のポニーテールに触れる

夏凜「知らないわよ。変身したらこうなってた」

天乃「そっか……なんていうか、あの子みたいね。それ」


瓜二つなんて言うことはないけれど

思えばどこかに通っている感じがしなくもなかった2人

だからこそ

あの写真のように、後ろでまとめた姿はとても良く似ていた

天乃「貴女とあの子の繋がりが強くなったのかもしれないわね」

夏凜「かもしれない……前よりちょっとだけ、深く繋がってる感じがするから」

三好夏凜と三ノ輪銀

血筋的には何の関係もなく、生前の繋がりさえもない

けれど、思いを受け継いだ彼女たちの間には

確かなつながりがあるのかもしれない

夏凜「さっさとやっちゃうわよ」

天乃「ええ。やっちゃいましょう」

風「あたし達も居ること忘れてない?」

天乃「忘れてないわよ……頼りにしてるわ。その盾」

風「盾じゃない!」

天乃「ふふっ、冗談冗談」

天乃は、自分一人ではなく

周りに頼ることのできる仲間がいる事

それはとてもありがたい

けれど、とても怖い

いつ、だれが、どのような形で失われるのか……解らないからだ


勝つのは必然的なので戦闘は割愛します



√ 8月5目 夜

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森・死神との交流が可能です


結城友奈から、交流が求められています

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定


↓2


天乃「ねぇ、東郷」

東郷「何でしょう?」

天乃「さっきの戦いだけど」

東郷「やはり、様子見でしょう」

攻撃方法がないと言っても過言ではない双子座

囮の可能性も考えた

けれど、最初の一体を倒しても、二体目を倒しても

本命が現れることはなく

そのまま樹海化はとけてしまった

天乃「やっぱり……そうよね」

東郷「満開を使わず、何か新しいこともしませんでしたし、問題はないと思いますが……」

天乃「双子座の体がパンチ力やキック力等の能力測定器の可能性だってあるわよ?」

東郷「可能性の話をしていては、永遠に平行線です」


ピシッと言い放った東郷に対して

天乃は肩をすくめながら、苦笑する

考えないことは問題だけれど

確かに、考えすぎるのも問題なのだ

天乃「何はともあれ、現状の私達の実力は向こうに伝わったと見ておいた方が良いと思うわ」

東郷「それに関しては同感です。注意しておくべきかと」

天乃「そうね」

風や夏凜、樹とも出来ない話ではないが

やはり、真面目に進めるのだとしたら東郷とが相性がいい

東郷「久遠先輩」

天乃「うん?」

東郷「今回は違いましたが、いつ本番が来るか解りません。友奈ちゃんと遊ぶのは構いませんが、気を引き締めてください」


1、解ってるわよ
2、なに? 妬いてるの?
3、東郷に対して、悪戯
4、ある程度はゆとりを持つべきよ。東郷


↓2


では、ここまでとさせて頂きます
この場合は2で進行させていただきます


あと、東郷との交流後にコンマ判定があります


ウィキの方のEDに今回のバッドエンドを追加して、エピローグをいくつかの形式で出しておきましたので
気になった方は、そちらから閲覧してみてください
形式等が会わないと言う場合は、こちらで形式を変えて別のを出してみますので、教えてください


明日は投下できると思います


では、少ししたら再開します


天乃「そうは言うけれど、ある程度はゆとりを持つべきよ。東郷」

東郷「久遠先輩が言えることですか?」

天乃「あら、言えない?」

東郷「夏凜ちゃんから聞いてます。久遠先輩がなんだか一人で全部背負おうとしているような感じがすると」

天乃「……告げ口とは、あの子らしくないわね」

くすくすと笑う天乃を見つめて

東郷は小さく息をつく

久遠先輩には自分達が何かを言ったところで

きっと、無意味なのだろう

自分たちが満開をしてでも守りたいと思っているように

久遠先輩もそうしたいと思っているからに他ならない

その気持ちが解るからこそ、東郷は無駄なのだと……察した

東郷「全員で生き残る以外、みんなが幸せな道はありません」

天乃「………………」

東郷「障害が残るのと、存在が失われるのでは……話が違います。それを、どうか理解してください」


天乃「記憶を失ったらどうするの?」

東郷「……気持ちはきっと、記憶ではありません」

そう言った東郷の笑みはとても儚く切ない

けれど、確かな幸福を感じる

記憶を失った

忘れてはいけない大切なことを忘れてしまった

けれど、心はしっかりと思えていたことを

東郷はその身を持って、感じたから

東郷「久遠先輩に感じさせられたこの胸の高鳴りは、絶対に忘れません」

天乃「……そう言えば、貴女にも。私は」

東郷「あの時は本当に恋かと思いかけました……酷いです。久遠先輩」

天乃「悪かったわね」

東郷が本気で責めるつもりがないと解っているからこその

ほんの少し淡泊な言葉

2人でくすくすと笑って、思い出に浸って

東郷「責任取るなんて言ったら、背中に穴を開けていたかもしれません。流石ですね」

天乃「……えっ?」

東郷の本気かどうか読めない笑みに

天乃は身の危険を感じて……身震いした


√ 8月5日目 追加

01~10 
11~20 襲撃
21~30 
31~40 夜這い
41~50 
51~60 潜り込み妖怪 ユーナ
61~70 
71~80 夜戦

81~90 
91~00 

↓1のコンマ  

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(戦闘)
・  犬吠埼樹:交流有(戦闘)
・  結城友奈:交流有(キスのもっ先)
・  東郷美森:交流有(戦闘、心にゆとりを)
・  三好夏凜:交流有(戦闘、生きるのを諦めないで)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の5日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 40(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 39(少し高い)
  結城友奈との絆 83(もの凄く高い)
  東郷三森との絆 41(少し高い)
  三好夏凜との絆 70(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:65%
神樹による久遠天乃警戒レベル:20%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています

√ 8月6目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、出かける

↓2


天乃「ねぇ、友奈」

友奈「?」

天乃「部活はないの?」

友奈「私はともかく、天乃先輩達がいつ呼び出されるか解らないので……控えるみたいです」

部活がないことがただ寂しいのか

それとも、

自分が関係ないことが……嫌なのか

友奈は少しばかり残念そうな笑みを浮かべる

天乃「つまり、ないのね」

友奈「そうですね」




1、襲い掛かってみる
2、お出かけしない?(2人)
3、みんなでどこか行く?
4、二人まったり過ごす
5、久遠家へ
6、ねぇ、友奈は本気で戦いたいって思ってる?
7、ねぇ、したいこと、ある?


↓2


では、ここまでとさせて頂きます

明日も同じような時間です


では、再開しようかと思います


天乃「ねぇ、友奈は本気で戦いたいって思ってる?」

友奈「え?」

天乃「もしも貴女が、本気で戦いたいと言うのなら……」

その意思を尊重してあげたいと言う気持ちがある

けれど

戦って欲しくないという気持ちもある

天乃「……せっかく、戦わなくて済むようになった。なのに、その平穏をすててまで、貴女は戦いたい?」

友奈「……………」

みんなが戦っているのに

自分だけがそんな平和に生きているなんて

友奈としては自分が許せなくなりそうなほどに嫌だ

けれど、戦えない

どれだけ戦いたいと願っても、祈っても、戦うことが出来ない


でも、そう言ったことを考えず

戦いたいか、戦いたくないか

それだけを考えるとしたら

友奈「戦いたいです。本当に、本気で……天乃先輩と一緒に。みんなと一緒に、ちゃんと、勇者でいたいです」

けれど

本当に思っているのはそれだけなのだろうか?

本当に、端末が戦うことを許していないのだろうか?

天乃「……………」

考えても解らない

友奈自身が考えても、解らない

友奈「私が戦うのは……嫌ですか?」



1、嫌よ
2、……貴女がそうしないと、苦しいのなら。止めないわ
3、何も言わない


↓2


天乃「……貴女がそうしないと苦しいのなら。止めないわ」

友奈「心にもないこと言わないで下さい」

天乃「そんなこと――」

友奈「天乃先輩、凄く嫌そうな顔してます」

友奈は切なげな声でそう言いながら

小さな笑みを浮かべる

天乃先輩は否定しようとしてるけど

でも、戦って欲しくないって……表情が言ってる

友奈「……大丈夫です。私は戦えませんから」

戦いたいけれど、戦えない

戦えないからこそ、天乃の傍にいられて

天乃の事を安心させることが出来ている

友奈はそう考えて……天乃へと一歩だけ近づく

友奈「心配しなくても、平気です」


みんなが傷つくことは知っている

けれど、いつ、どこで傷ついたのかが解らない

そして、解っているのにそれを防ぐことが出来ない

友奈「私はもう、勇者にはなれないんですから」

それは結城友奈と言う少女にとって

辛く、苦しいことだ

しかし、

友奈がそんな状態だからこそ

天乃は一番大切なものを失う可能性を考えなくていい

それに不安を感じて、怯えなくても良いのだ

だったら……それで良いと、友奈は思う

自分の心が苦しむだろう、辛いだろう

でも、ただそれだけで失い続けた人の支えとしてあり続けられるのなら

良いとは言えないけれど

戦えないのも……悪くはないのかもしれない

友奈はそう考えて、天乃の隣に寄り添った


では、ここまでとさせて頂きます



少女は勇者の為に武器を持つのではなく

勇者の為に、何も持たなくなりました

なぜなら

何も持っていなければ、勇者が傷ついた時

苦しんでいる時、悲しんでいる時

手を取り、肩を取り、支えてあげることが出来るからです

そして

勇者が傷つくのを見ていることしかできない少女は

少しずつ、少しずつ

追いかけてくる闇に呑まれていく

少女自身がそれに気づかないほどに……ゆっくりと

蝕まれていきました


今日はこの時間なので無しです
明日は出来ればお昼頃から薦めていきたいと思います


では、少ししたら再開しようかと思います


√ 8月6目 昼

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・三好夏凜・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定
8、出かける

↓2


夏凜「私はあんたの暇つぶし道具じゃないんだけど?」

天乃「まだ何も言ってないのに」

夏凜「顔が暇だって言ってんのよ。あんたは」

そう言いながらも

夏凜は追い返したりしようとはせずに

天乃の様子をうかがって、ため息をつく

本当に、解りやすい人だ

夏凜「友奈の事で悩みでもあるわけ?」

天乃「えっ?」

夏凜「みんな、あんたが席をはずしてる時に友奈に言われたのよ。私はもう戦えないです。ごめんなさいって」

天乃「………………」

本来なら

戦いのお役目から解放されておめでとうとでも言ってあげたかったのだが

それは皮肉のように聞こえてしまうだろう

そしてなにより、強い友情・信頼関係にある輪の中で

自分だけが戦えなくなったのなんて絶対に、友奈が喜べるはずがない

夏凜「友奈が戦えなくなった理由について、私なりの考えがあるんだけど、聞く?」


1、聞く
2、聞かない


↓2


天乃「一応、聞かせて頂戴」

以前、夏凜は

友奈と天乃がキスしたことによって

神樹様と敵対している天乃と不純につながったから戦えなくなった。と

考察していた

でも、それ以外の考えがあるからこそ……夏凜は言った

夏凜「戦えなくなったのは、友奈自身が戦うべきではないと、考えてるからよ」

天乃「……でも、友奈は」

夏凜「そう。確かに友奈は戦いたいと言っている。けれど、それは友奈自身の願いでしかない」

誰の事も考えていないとは言えない

しかし

友奈の戦いたいという思いは、友奈自身の要求、願い、望み

守りたいから戦いたいと言う、自分の気持ちを優先したものに過ぎない

けれど

夏凜「もう一つの戦うべきではないと言う思いは……天乃。あんたの為にある」

戦いによって多くを失った天乃

その支えとなりつつあった……いや、なってしまった

だからこそ、『天乃の為に、自分は戦わないべきだ』というものが生まれた

夏凜「戦わなければ傷つかない。あんたに心配させない、不安にさせない、悲しませることもきっとない」

人一倍誰かの為を想い、その為の行動をして

勇者と言う者であろうとする友奈は『自分』ではなく、『天乃』を優先してしまう

たとえそれが、無意識に抱いた思いであったとしてもだ

夏凜「口と頭が戦いたがっていても、心は……きっと戦いたいとは思ってない。だから、友奈は戦えなくなったのよ」


天乃「それは……」

夏凜「友奈は基本的に自分よりも他人を優先する……それが、友奈自身の弱点でもある」

そのせいで友奈は勇者にはなれなくなった

そのせいで、自分の心が傷ついて行っているにもかかわらず……

決して、自分の思いを優先して再び勇者になったりはしない

天乃「……………」

夏凜「天乃はどう思ってんのよ」

友奈に戦って欲しいのか

戦って欲しくはないのか

戦いたいなら、止めないだとか、良いわよとか

そういう心にもない言葉ではなく

夏凜「あんたの本心を教えて、天乃」


1、戦って欲しくない
2、……………
3、夏凜だったら……どう思うの?



↓2


天乃「夏凜だったら……どう思うの?」

自分の質問に対しての質問に

夏凜は少し顔を顰めて、首を横に振る

自分の考えが定まっていないからこそ

誰かの言葉を聞いてみたいのだろう

夏凜「私だったら……そうね。戦って欲しいとは言えないかもしれない」

当たり前だ

戦えば傷つく、苦しい思いをするし、辛い思いをするし、痛い思いだってする

それをしなくてもいいのに、してくれだなんて言いたくはない

夏凜「けど……その人が一緒に戦ってくれるからこそ、できる事があるし、戦いが怖くないんだと思う」

天乃「……………」

夏凜「だから、私はその人に戦う意思があるのなら、一緒に戦おうって言う……違うわね。一緒に戦ってくれって頼むわ」

傷つく姿を見たいとは思わない、苦しい思いも、辛い思いも、痛い思いも何もして欲しくない

そして、自分のそんな姿を見せたいとも思わない

けれど……必要なのだ

夏凜「勇者部は……そういう頼みごとをされてくれる部活なんだから」


天乃「私にとっての友奈みたいな子が、勇者部にいるってことなのね」

夏凜「……さぁ、どうだか」

ぶっきらぼうにそう返して

夏凜は小さくため息をつく

戦って欲しい

戦って欲しくない

2択に絞るのならば圧倒的に戦って欲しくない

にも拘らずあえて戦う方を選んだのには理由があった

夏凜「そもそも、相手の気持ちも満たすのなら。戦うななんて言えないでしょ」

天乃「……………」

夏凜「戦って欲しい欲しくない。そのどちらでもどちらかが傷つくのなら、2人で戦って全部を分かち合って、最後に笑えばいいのよ」

痛みも、辛さも、苦しさも

2人で背負ってわけあって……

それこそが、一番いい選択だと夏凜は考える

夏凜「じゃないと……打ち勝った喜びでさえも、分かち合えないんだから」


天乃「…………」

本当にそれが最良なのだろうか。と

天乃はまた悩む

失い続けた少女にとっては

そう簡単に戦うことを許可するべきだとは……言えなかった

夏凜「………………」

友奈の強さを信じて

自分の強さを過信することなく信じて

一人でではなく

2人で、みんなで

全てを守れるのだと……信頼できるかどうか

あとは天乃次第だ

夏凜「勇者は誰かに望まれるからこそ、勇者として在れる。天乃……あんたにだって、勇者を求める権利はあるのよ」

夏凜はそう言って……窓の外眺める

段々と陽は落ちて

空の色はオレンジ色に染まって行っていた

√ 8月6目 夕

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、美森
5、死神
6、イベントの判定
7、出かける

↓2


風「あたしより、友奈に癒して貰ったら?」

天乃「何言ってるのよ」

風「いや、なんか天乃疲れてない?」

天乃「そんなことはないけど……」

疲れてはいないが悩みはある

そう言おうとして、漏れ出しそうな欠伸を飲み込む

寝不足な生活を送っているつもりはないのだが

やはり、時々欠伸が出てしまうし

変な疲れを感じることがある

もしかしたら、結界が弱まってきているのと何か関係があるのかもしれない

風「本当に大丈夫?」

天乃「平気よ」

風「ならいいけど………」



1、ねぇ、もしも樹が友奈と同じ状況で、貴女の言葉一つで戦えるようになるとしたら。貴女はどうする?
2、ちょっと、出かけない?
3、膝枕して
4、何も言わない
5、壁の外について。なのだけど

↓2


天乃「貴女に、聞いておきたいことがあるのよ」

風「あたしに?」

大切な妹を

勇者として戦わせていることに罪悪感を感じていて

戦わせないでと願う事も出来なかったと、嘆いてもいた

そんな貴女は

天乃「もしも樹が友奈と同じ状況で、貴女の言葉一つで戦えるようになるとしたら。貴女はどうする?」

風「あたしだったら、戦わせない」

風は考える時間をとることもなく、断言する

大切な妹だ

戦わせなくてもいいのなら

戦わせるわけがない

風「樹には危ない目にはあって欲しくない……ましてや、体を供物に捧げて戦っていかないといけないような、戦いになんて、絶対に」


天乃「……そうよね」

夏凜とは正反対の答え

だけれど

天乃とは似通った答え

大切な人に平穏無事な生活を。というのは

当たり前の考えだろう

そう思いながら、天乃はさらに問う

天乃「戦えないことで、樹が悩んで苦しむとしても?」

風「戦って辛い思い、苦しい思いをするよりはいいと思う」

つまり

それでも風は、樹を戦わせたくはないらしい

2人の友人、2つの相反する答え

決まらない

答えられない

友奈にはどうあって貰うべきなのか……

天乃は、決められなかった


風「友奈の事で悩んでるの?」

天乃「……うん」

風「そっか……だったら、余計な事言ったかも。ごめん」

気落ちした天乃を一瞥して

自分の発言は躊躇うべきだったのかもしれないと思いなおして、風は一言謝る

けれど、自分の言葉が悪いとは思わない

自分の答えが間違っているとも思わない

風「天乃は友奈に戦って欲しくないんでしょ?」

天乃「………そう見える?」

風「天乃の経験を考えてみれば、きっとそうなんだろうなって言うのは、なんとなくね」


夏凜が思っているように

そして、友奈も思っているように

久遠天乃の人生は喪失の連続だ

親友を失った

家族を失った

そして

罪を得た

後悔を得た

畏怖を得た

それは考えるだけでも悲しくて、醜悪だと言える

だからこそ

得ることが出来た掛け替えのないものを危険に晒したくないと考えるのは……当たり前だった

風「ちゃんと、帰る場所があるっていうのが……戦う人にとっては嬉しいもんよ」

だから、きっと

風「友奈にもそうちゃんと言ってあげれば……心を傷つけることなく、納得させてあげられるんじゃない?」


天乃「……考えておく」

風「どっちにしても、友奈と天乃が決めたことなら、口出しはしないから」

友奈が戦いに参加するとしても

友奈が戦いに参加せず、帰りを待つ健気な少女になるのだとしても

犬吠埼風はその選択を責めない

風「友奈を忠犬ハチ公になんて絶対にさせないから」

天乃「どういうこと?」

風「こっちの話」

絶対に、友奈のもとに天乃を送り返す

永遠の待ち惚けなどさせない

例えこの体の機能全てが供物となって

何もかもを失うとしても守り通す

それが、この戦いに巻き込んだあたしの役目だから

√ 8月6目 夜

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、イベントの判定

↓2


友奈「……………」

天乃「……………」

夜の帳が下りた、暗い部屋の中

人工の仄かな橙色の光の下で、少女達が見つめあう

朝、あんな話をした気まずさからか

2人は何も語ることはない

ただ手を取り合って、見つめあって、寄り添い合う

互いを感じられるその温もりに、浸る

友奈「天乃先輩?」

天乃「……なぁに? 友奈」

友奈「いえ……なんでも」

天乃「……そう」



1、ねぇ……私の背中を守ってくれない?
2、ねぇ……私の事を待っていてはくれない?
3、キスをする
4、抱きしめる
5、何もしない


↓2


天乃「ねぇ、友奈」

友奈「はい」

天乃「無理を言うつもりはないわ。貴女が嫌と言うのなら、出来ないと言うのなら、私は望まない」

友奈「……なん、ですか?」

静かなはずなのに

凄く騒がしい音がする

暑くないように冷房が軽く入っているはずなのに

凄く……暑く感じる

友奈「っ」

ごくっと喉を鳴らして目を瞑る

キスならそんな前振りはない

なら、何を頼まれるのかと想像して……友奈は目を開く

どんなことだって、天乃先輩が望むのなら

それで、少しでも犠牲になることから遠のいてくれるのなら、私は

そんな決意を胸に、言葉を待つ

そして

天乃「私の背中を、守ってくれない?」

天乃は、願いを告げた


友奈「背中って……私は」

天乃「戦える」

友奈「でもっ」

天乃「お願い……友奈。戦いであろうと、戦いでなかろうと、私には貴女が必要なの」

戦いが怖くないなんて大嘘だ

怖くて仕方がない

死ぬかもしれない

いや、死ななければいけないのかもしれないのだから

誰かの為、何かの為

そう虚勢を張っていなければ、逃げ出したくなってしまうかもしれない

だから

天乃「私に頑張る力を頂戴。私を安心させて……私に、希望を頂戴」

友奈「天乃先輩……」

天乃の願いを聞いて

それでもなお

自分が戦えないからという理由で身を引くなんてことは

友奈には出来なかった


友奈「解りました」

どうすれば戦えるようになるのかなんて解らない

けれど

戦えないだなんていわない

友奈「……もう少しだけ待っててください。きっと、必ず、力を取り戻しますから」

天乃「うん」

友奈「私は、天乃先輩の為の……勇者になってみせます」

友奈はそう宣言して

天乃の腕にしがみつく

一人にはさせない

一人では背負わせないと言うその意思表示

天乃はうすうすと感じ取って、笑みを浮かべる

天乃「お願いね……私の可愛い可愛い、勇者様」

友奈「はい……約束です。勇者様」

何の気もなく、合わせて互いに苦笑する

きっと大丈夫

2人なら、みんなでなら

きっと……何とかなる為の成すことが出来る


人の希望、願い、祈り

全てを背負わされた勇者に、少女は言いました

貴方に願いはありますか?と

貴方に希望はありますか?と

貴方に祈りはありますか?と

それは勇者が絶対に言っては貰えないとあきらめた言葉でした

なぜなら

勇者は背負わされる為だけに存在する、憑代だったからです

そして、少女はこうも言いました

貴方が世界を背負うのなら、貴方の事は誰が背負っているのですか?と

勇者は首を振り、言いました

私は誰にも背負っては貰えません。背負うだけだから。と

だから、少女は言いました

それなら私に背負わせてください。と

世界を背負うことは出来なくても、貴方一人を背負うことくらいは出来るから。と

そして勇者は躊躇いながらも笑みを浮かべて言いました

お願いします。私の勇者様。と

そう、勇者もまた人なのです。ゆえに、勇者にも勇者が必要だったのです

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流有(友奈について)
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(戦いの是非、私の勇者様)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(友奈について)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の6日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 41(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 39(少し高い)
  結城友奈との絆 86(もの凄く高い)
  東郷三森との絆 41(少し高い)
  三好夏凜との絆 71(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:65%
神樹による久遠天乃警戒レベル:20%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています


では一旦中断させていただきます

wikiがだいぶ追いついていないので、出来るときにこそこそしておきます

あと8日間です


では、また再開して以降かと思います

√ 8月7日目 朝

01~10 
11~20 頭が痛い
21~30 
31~40 大赦デース

41~50 
51~60 
61~70 気怠い……

71~80 
81~90 大赦ダヨ
91~00 

↓1のコンマ  

√ 8月7目 朝

結城友奈・犬吠埼樹・犬吠埼風・東郷美森・死神との交流が可能です

1、友奈
2、風
3、樹
4、夏凜
5、美森
6、死神
7、出かける

↓2


友奈「天乃先輩」

天乃「うん?」

友奈「良かった……まだ、居るんですね」

天乃「ええ」

結城友奈は勇者になろうとしている

けれど、今すぐ勇者になれるなんて言うことはなくて

だから、少し不安だった

自分が勇者になるのが間に合わず

天乃達が戦いに引きずり込まれてしまうのではないか。と

天乃「大丈夫よ。朝起きたらちゃんと居る。寝る時だってちゃんと居る……お昼だってみんな、居るわ」

友奈「……迫ってくる日がいつなのか。はっきりとわかれば良いのに」

天乃「神なんてそんなものよ。いつもいつも、あやふやな言葉を投げかけて人を不安にするだけ」

人はきっと

それを神様の試練だと言うのだろう

天乃「というわけで、貴方も神樹批判しない? このスレに神樹なんて居なくなっちゃえと書き込むだけで――」

友奈「天乃先輩……また規制されたんですか?」

天乃「……またじゃないわ。前からよ」

友奈「もっとダメな方じゃないですか」


そんな下らないことが言い合えるのも、いつまでなのか

些細なことでさえも

悪い方向に考えてしまいそうな頭を振って、友奈は笑みを浮かべる

そんなこと、考えたって仕方がないよね!

友奈「天乃先輩っ、今日はどうしますか?」

天乃「どうするって」

友奈「夏休みはまだまだありますし、映画に遊園地、海にプール……いろんなところに行けますよ」

天乃「遊ぶこと前提なのね」

友奈「天乃先輩がしたいなら……家でゆっくりするのも。良いですよ」

そっと手を触れ合わせて

友奈は天乃の事を見下ろす

ほんのわずかな身長差

それでも生まれる自然な上目遣いに……少し、ドキッとする


1、家でゆっくり
2、映画館
3、遊園地
4、プール
5、海
6、……宿題は?
7、そのこのところ
8、お墓参り
9、天乃の家



↓2


天乃「それなら……行きたいところがあるの」

友奈「じゃぁ、行きましょう」

天乃「どこに行くかは聞かないの?」

友奈「天乃先輩と行くのなら、どこにだって行きます。それが、世界の果てだとしても」

結界の外を知り

その先には地獄が広がっていて

結界こそが今見えている偽りの最果てであることも解っている

だからこその言葉に、天乃は笑みを返す

天乃「そうね。貴女となら。果てまでも」

友奈「はいっ」

互いに何も言うことなく

そして躊躇することもなく、手を繋ぐ

2人でならどこまでだって行く覚悟がある

天乃「行きたいのはね、私の家よ」

友奈「天乃先輩の家にちゃんと誘われていくのは初めてなので、嬉しいです」

天乃「……ふふっ、そうだったっけ」

友奈「確か、そうだったと思います」

長く帰っていない我が家

そこに何もいないのだとしても……少女は、帰っていく


天乃「ただいま」

帰宅した少女の声に

誰も返してくれる人などいない

鍵が閉まっていた。だから、誰も居ないのは当たり前

……そんな、単純な話ではない

友奈「お邪魔します」

天乃「……適当にくつろいで。なんて言えるわけないわよね」

近くの棚を指でなぞると

僅かに堆積したほこりが指について白くなる

天乃「お父さん……は、帰って来られるわけないか」

自分自身の骨折の事もあるけれど

仕事の事もあるし、なにより妻があの状態ではそう易々と傍を離れられないのだ

天乃「私が、お母さんの傍にいてあげられたらいいんだけど」

友奈「天乃先輩、お掃除。しましょうか」

天乃「……そうね。ううん、私の家だし、私一人で――」

友奈「天乃先輩っ」


突然張りあがった声

向けた先の少女はむすっとした顔で、見つめ返す

天乃「……………」

友奈「……一人で、頑張る必要はないですよ」

それがどんな些細な事であっても

それがどんなに強大な事であっても

友奈「2人でやりましょう」

天乃「……そうね」

友奈を連れて来て正解だった

いや、一緒じゃなければここに来る勇気さえ、無かった

ここにはたくさんの思い出が詰まってる

そして

だからこその大きな絶望が詰められている

天乃「ありがとう。友奈」

友奈「はいっ!」


01~10 
11~20 端末
21~30 
31~40 日記
41~50 
51~60 久遠天乃について
61~70 
71~80 お兄ちゃんの部屋と言う名の検閲対象
81~90 
91~00 久遠天乃について

↓1のコンマ  


√ 8月7目 昼


友奈「天乃先輩……あの……」

天乃「……良いわよ。別に、時効だし」

一部問題になりそうなものが見つかった部屋もあったが

何とか家の隅々まで綺麗にし終えて、一息

冷蔵庫の中身は空っぽ

洗われるのを待ち続け、

最終的には腐ったと言えそうな洗濯物も全て廃棄

ゴミ袋は山のように多かった

友奈「これで、また住むことが出来ますね」

天乃「そうね」

どうせ、この家はまたしばらく誰も帰らない無人の家になる

掃除した意味が有ったのかどうか……



1、ねぇ。二人でこの家に移り住んじゃいましょうか?
2、2人きりだ。押し倒せ!
3、イベント判定
4、兄のパソコンチェック



↓2


天乃「……えいっ」

友奈「っ!」

不意を突いて、体を想いっきり押し込んで

ぼふっと布団が沈んでベッドが軋む

友奈「天乃先輩……?」

無造作に広がった赤い髪

掃除で動き回った肌に浮かぶ汗

はたから見れば中が見えてしまいそうなほどに、乱れたスカート

見下ろしながら、くすっと笑う

天乃「2人きりなのよ。友奈」

友奈「そ、そうですけど……あの、まだお昼ですし。えっと……ひ、控えましょう」

天乃「嫌なの?」

友奈「い、嫌ってことは……ないですけど……」


本当のことを言えば、したい

天乃が求めていること

しようとしていることが本当に不純な性的な行為ではなく

ただのキスだと言う事を解っているから

友奈は……迷う

何度も重ねた恋人の唇

柔らかくて、温かくて、程よい弾力を持つ、唇

触れ合おうとするたびに、先にぶつかってくる豊満な胸

友奈「…………っ」

行為が不純でなくても、考えが不純だと

友奈は自分自身の秘めたる思いに気づいて顔を真っ赤に染め上げる

天乃「……何を躊躇ってるの?」

友奈「その……また。深いキスを求めてしまいそうで」

天乃「友奈ちゃんのえっち」

友奈「ぅ……」


本当の事だとしても、恥ずかしい

天乃の視線から逃れるように顔を背ける

友奈「……………ぁ、ぁの」

天乃「うん?」

友奈「離れて、欲しいです……」

ひしひしと感じる視線に

動悸はさらに激しくなって、体の奥底から熱くなって

喉が渇いて水を求めて唾を呑む

友奈「天乃先輩……」

天乃「………………」

眼下の後輩の、懇願するような瞳

汗に張り付く髪

艶のある唇とそこから零れる熱い吐息

天乃はじっと見つめて――



1、キスをする
2、本当に、離れて欲しいの?
3、離れる


↓2


ゆっくりと体を折って、顔を近づけていく

友奈「天乃先輩……っ」

天乃「してあげる」

熱っぽい吐息が互いにぶつかり合う距離で

そっと言葉を落して唇を重ね合わせる

友奈「んっ」

唇の温もりと柔らかさその弾力を感じて

友奈はぎゅっと目を瞑る

心臓の音がうるさい

体が熱い

頭がぼーっとしてくる……

天乃「んっ……っ!」

天乃先輩が悪い

私はしたくなると言った

離れてと言った

なのに、キスをしてくるから

天乃「っ!」

手足を絡めて、天乃の体を布団の上になぎ倒し

自分の体を起こした友奈は天乃と立場を入れ替えて……見下ろす

友奈「天乃先輩がその気なら……私も、本気で相手します」

天乃「ちょ、ちょっとまって……私はほんの冗――」


では、今回はここまでとさせて頂きます
明日は出来たら21時半 できなければ22時頃です。それも出来ずに過ぎたら無しです


天乃「ぐすっ……待ってって言ったのに」

友奈「美味しかったです」


では、少しずつ再開いていこうかと思います


ふわっと甘い香りが広がって

体が重なって

唇に柔らかい感触が押し付けられて……呼吸が止まる

なのに、心臓だけが大きく跳ね上がって

目を見開く

天乃「んっ、っ……んんっ」

ベッドに投げ出された四肢は

余すところなく、抑え込まれてる

本気で抵抗すれば抜け出すことは出来る

けれど、それでは友奈に怪我をさせてしまいかねない

天乃「んっ……ぅ……」

天乃の手がぴくぴくと動く

掴んだ部分からじんわりと汗を感じる

それでも、友奈は黙って唇を重ね合わせる

深いキスをしたい

そんな思いを抑え込んで触れ合わせるだけのキスを……しばらく続けた


天乃「っ…………」

友奈「私だって、いつまでもされるだけじゃありません」

天乃「……そう、ね」

キスは終わっても

体を解放されていない天乃は

肩で息をしながらじっと友奈を見つめる

本当に

このままではされるがままだ

天乃「貴女、キスが好きなのね」

友奈「天乃先輩のせいですよ」

一番初めのキス

あの温かさと優しさ

そして、何にも代えがたい心地よさに

友奈は惹かれたのだ

もちろん、キスがしたいから天乃に好意を寄せたのではなく

天乃とのキスだからこそ、惹かれたのだ

友奈「……忘れられなくて。なくちゃダメっていうわけじゃないですけど、でも。あると元気になれるんです」


下唇に触れながら

照れくさそうにはにかむ友奈を見つめて

天乃は小さく息をつく

天乃「舌を入れる必要は?」

友奈「それは……その……ま、漫画とかで深い愛を伝え合うためのモノ。的な話が合ったから……」

天乃「なるほどね」

舌を絡ませるキスは深い愛を伝え合うもの

相手は自分を、自分は相手を

取り込みあって深くつながると言う意味では、確かに間違いではないのかもしれない

天乃「友奈は私よりも大人だわ」

友奈「そ、そんなこと――」

天乃「そう、つまりエッチな子ね」

友奈「そ、それは違いますっ!」

慌てふためき、違う違いますと

何度も説得しようとする友奈を眺めながら……笑う

誰も居ない家

けれど、友奈と二人でいると不思議と……嫌な気持ちにはならなかった


√ 8月7目 夕

結城友奈との交流が可能です

1、友奈
2、イベントの判定
3、出かける・帰る :行先はもう一度安価

↓2


01~10 久遠天乃について
11~20 
21~30 端末
31~40 夏凜からの電話だよ
41~50 春信
51~60 友奈「天乃先輩、今日は……」
61~70 久遠天乃について
71~80 東郷からの電話だよ
81~90 お兄ちゃんっ、大好き! 妹に言わせる10の方法
91~00 牛鬼

↓1のコンマ  


失礼しました
選択して貰っての判定なので100%のはずだったのですが、抜けていたみたいです



01~10 久遠天乃について
11~20 端末
21~30 友奈「天乃先輩、今日は……」
31~40 夏凜からの電話だよ
41~50 春信
51~60 友奈「天乃先輩、今日は……」
61~70 久遠天乃について
71~80 東郷からの電話だよ
81~90 お兄ちゃんっ、大好き! 妹に言わせる10の方法
91~00 牛鬼

↓1のコンマ  


陽が落ちつつある夕暮れ時

天乃の寝室にあるベッドの上で

2人より添っていると……端末が震えた

天乃「……夏凜から?」

どうかしたの? と

天乃が問いかけると、夏凜は小さくため息をついて別に。と返す

夏凜『あんたと友奈が中々帰ってこないから……どうするのかと思って』

天乃「どうって、なに?」

夏凜『帰ってくるのか来ないのか。よ。こっちとしては帰ってきて欲しいところだけど、あんた達に水を差すのもあれだろうし、無理は言わないわ』

だったら電話も控えてくれればいいのに

そんな皮肉を思いついて、かき消す

純粋に、自分の事を心配してくれている

それが解っていながらそんなことを言うのは少し、気が引けたのだ


1、帰らないわ
2、帰るわ
3、ねぇ友奈。どうする?


↓2


天乃「ねぇ、友奈。どうする?」

友奈「えっと……」

帰るべきか帰らないべきか

それで考えるのなら間違いなく帰るべきだ

けれど……

さっき天乃にしたように

相手の意思を無視して自分のやりたいことを貫くのであれば

このまま……2人で過ごしたい

友奈「夏凜ちゃん、聞こえてる?」

夏凜『なによ』

友奈「えっと……」

夏凜『……私はあんた以上に我儘なやつを相手にしてきた。ううん、私だけじゃなくて、あんた含めた勇者部が相手をしてきた』

友奈「……………」

夏凜『だからきっと、あんたが珍しくわがままを言ったところで、だれも責めない。離れたりしない。あんたが怯えるようなことはきっと何もない』

友奈「夏凜ちゃん……」

夏凜『友奈が言わないのなら、私が言うわ。それでいいの?』

>>932訂正


天乃「ねぇ、友奈。どうする?」

友奈「えっと……」

帰るべきか帰らないべきか

それで考えるのなら間違いなく帰るべきだ

けれど……

さっき天乃にしたように

相手の意思を無視して自分のやりたいことを貫くのであれば

このまま……2人で過ごしたい

友奈「夏凜ちゃん、聞こえてる?」

夏凜『なによ』

友奈「えっと……」

そこで言葉を区切って

黙り込む友奈に向けて、夏凜はため息を零す

夏凜『……私はあんた以上に我儘なやつを相手にしてきた。ううん、私だけじゃなくて、あんた含めた勇者部が相手をしてきた』

友奈「……………」

夏凜『だからきっと、あんたが珍しくわがままを言ったところで、だれも責めない。離れたりしない。あんたが怯えるようなことはきっと何もない』

友奈「夏凜ちゃん……」

夏凜『友奈が言わないのなら、私が言うわ。それでいいの?』


友奈「それはっ」

天乃「?」

友奈「っ………」

端末から言葉は漏れ出している

けれど、渦中でありながら

蚊帳の外な天乃は首を傾げて天乃を見つめる

それを見返して……友奈はぎゅっと天乃の手を握りしめた

友奈「夏凜ちゃん、怒らないの?」

夏凜『私は別に……天乃が幸せなら。それでいいから』

嘘じゃない。本心だ

心の底から、久遠天乃と言う悲劇に恵まれた家族の幸せを願っている

だから、夏凜は言う

夏凜『天乃があんたを選んだ。あんたも天乃を選んだ。それが一番幸せなのよ』

友奈「………………」

夏凜『で? 夕飯の支度もあるらしいから。出来れば早く――』

友奈「今日は帰らない」

夏凜『…………』

友奈「ありがとう。夏凜ちゃん……私、少しだけ我儘になってみる」

夏凜『……そ。じゃぁ、それだけだから』

そう返されて、一方的に切られた電話

ツーツーツーっと電子音を響かせる端末をタップして音を消し

友奈はじっと、天乃を見つめて

友奈「今日は……家には帰しません」

そう言った


ではここまでとさせて頂きます



東郷「ステンバーイ、ステンバーイ」

夏凜「ステイ、ステイステェェェィ!」

では、今日も進めていこうかと思います



天乃「帰しませんって……友奈、貴女」

友奈「今日は……最後まで2人きり。嫌ですか?」

判断を委ねたのは天乃だ

嫌とは言えない

知ってか知らずか聞いてくる友奈に

天乃は苦笑を返して、降参だと手を上げる

天乃「どうするかは貴女に一任したわ。その貴女が2人きりを望むのなら。私は……」

そっと友奈の頬に触れ、

横に垂れる前髪を巻き込みながら頭を撫でて

流れるように下ってあごを掴む

天乃「貴女と一緒にいるわ」

友奈「ありがとうございますっ」

慣れたような素振りで笑って見せて

自分の破裂しそうな心を落ち着けようと息を吐く

天乃先輩は時々ずるい

友奈「退屈にさせないように頑張ります!」

でも、そんな天乃先輩が……私は大好きです


√ 8月7目 夜

結城友奈との交流が可能です

1、お風呂
2、布団
3、ベランダ
4、夜のお散歩


↓2


友奈「こんな時間に出歩いてると、なんだか悪いことをしてる気分になりますね」

天乃「そう? 部活やっているならおかしくはない時間なんじゃない?」

友奈はこんな時間と言うが

現在時刻は20時を少し過ぎたあたり

程度にもよるけれど、部活動や委員会にいそしんでいる生徒なら

そこまでおかしい時間でもない

もっとも、部活後に友人と寄り道することが前提条件だが

友奈「そうじゃなくて、ですね」

天乃「?」

友奈「えっと、つまり」

端々の言葉を途切れさせる友奈は

暗がりの中、表情が見えないように俯き

そっと天乃へと体を寄せて、手を繋ぐ

友奈「天乃先輩と二人きりで、です」


天乃「……………」

恥ずかしさを感じる言葉

僅かな汗と、温もりを感じる手

天乃は友奈の方を一瞬だけ見ようとしながら……首を振って

小さく笑みを浮かべて、空を見る

天乃「夜までデートしてるってことになるから?」

友奈「……本当はしちゃいけない恋をしてるからって言うのもあります」

天乃「そうね」

以前友奈が言ったように

黙認されてはいるものの

公的に認められているかと聞かれればそうでもない

同性同士の恋愛に関しては色々と問題があるのだ

友奈「けど」

天乃「なに?」

友奈「もしもこれが黙認されていなかったとしても、私は天乃先輩に気持ちを伝えていたかもしれません」


天乃「……どうして?」

友奈「好きになった人に好きって伝えるのは、当たり前じゃないですか」

何のためらいも、疑いもなく

友奈はそう言って笑って

呆気にとられて立ち止まった天乃と目が合って

恥ずかしそうに、目を伏せる

友奈「だめ、ですか?」

天乃「ダメってことは……ないけれど」

ないけれど

しかし、その気持ちを動かさせたのは悪戯だ

悪戯に心を惑わせて、かき混ぜて

どこにも向いていなかったであろう恋心を引きずり出して向けさせた

天乃「………………」



1、貴女の思いは、私が惑わせたものなのよ?
2、貴女、私より前に好きだった人はいなかったの?
3、……ありがとう。嬉しいわ
4、なんだか恥ずかしいわ


↓2


ではここまでとさせて頂きます

明日も同じくらいの時間からになると思います

では、今日も少しだけ進めようかと思います


天乃「でも、貴女の想いは私が惑わせたものなのよ?」

友奈「………………」

ちゃんと見ていなければいけないのに

心とは裏腹に、顔は背いて地面が視界に入る

きっと、友奈もそれを解っているはずだ

あえてそれを言う事はなかったのかもしれない

けれど、これははっきりさせておかなければいけない

今更になって掘り返すなんてどうかしていると。誰かは言うかもしれない

でも、別れがすぐそこにまで来ている可能性もあるからこそ――

友奈「それでも、天乃先輩を好きになったのは……私の心です」

天乃「っ……」

友奈は笑顔だった

迷いはない

躊躇いもない

悩んだ末の傷つけない言葉でもない

友奈「始まりは確かに悪戯でした。でも、悩んで、迷って、苦しんで、考えて……それで、この動悸を恋だって決めたのは。私です」


自分の胸に手を宛がって

結城友奈は自身の思いの丈を包み隠さずに告げる

友奈「だから、天乃先輩がこの気持ちを誘導させたなんて、思う必要はないんです」

だから、言わなかった

違う……言う必要なんてなかったのだ

悪戯から始まった

けれど、そこで悪戯や冗談で終わらせなかったのは友奈だ

ちゃんと悩んだ、ちゃんと考えた

本当にそうなのか、恋とはどういうものなのか

それでも決めたことなのだ、だから、誘導したなどと言う罪悪感は要らない

友奈「でも、私の心を惑わせたって罪悪感があるのなら」

天乃「……あるのなら?」

友奈「責任取って、私と幸せになってください」


天乃「……何よそれ」

友奈「なんでしょうか……」

言った友奈自身も良く解っていない

ただ思いをぶつけた

願いを、欲を吐き出した

傍にいたい、傍にいて欲しい

幸せになりたい、幸せになって欲しい

自分の事、天乃の事

全てを織り交ぜた一言

友奈「きっと、プロポーズっていうものなんだと思います」

告白の一歩先

婚約とか、そう言うたぐいの……だってそう

責任取ってって、私とって……言っちゃったから

途端に恥ずかしくなって、照れ笑いを浮かべた




1、良いわ。責任取って……上げるわよ
2、キスをする
3、止めてよ。それじゃまるで私が女の子みたいじゃない
4、だったら貴女も責任取って……私の気持ちを奪ったんだから


↓2


天乃「だったら貴女も責任取って」

じゃりっと音を立てながら体を動かして

天乃は友奈と向かい合い

少し躊躇うような素振りを見せながら

胸の前で自分の手を合わせて……友奈へと目を上げる

天乃「……私の気持ちを奪ったんだから」

友奈「………………」

これも悪戯なのか

それとも、本気なのか

その態度はあまりにもわざとらしく

でも、真に迫っていて判断は難しい

けれどその言葉とそこに込められた思いは間違いなく、本物

友奈「もちろんです」

天乃「っ」

いつもされる側だった

けれど今は、今だけは……そう思って踏み出す


ふわりと風が舞った

体が微かに揺れて

熱が体中に伝わっていく

友奈「天乃先輩の期待も、信頼も、願いだって絶対に裏切らない」

耳元で声がして

体が力強く抱きしめられて

でも……抵抗しようとは思えなかった

友奈「だから天乃先輩も……ううん、言う必要なんてきっとないですよね」

天乃「……そうね」

天乃先輩も裏切らないで下さい

その裏切るとは一人で勝手に犠牲になること

でも、きっともうそれはない

互いにそれが解っているからこそ

抱き合ったまま、視線を交わして苦笑する

友奈「さっきの天乃先輩……可愛かったです」

天乃「っ!」

友奈「嘘じゃないですよ?」

やっぱり

何度確認しても、考えても

天乃先輩を好きな気持ちは微動だにしない

友奈「………………」

あの悪戯がなければきっと

こんな仲良くなることは絶対になかったし、あれ以上に仲良くなることも出来なかったかもしれない

だから

友奈「ありがとうございます、天乃先輩」

そう言って……私は照れくささを押しかくて笑った

1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(お出かけ、久遠家、昼間からキス、交流(外出ルート)、責任取って)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(結城友奈と久遠天乃そして……三好夏凜)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の6日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 41(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 39(少し高い)
  結城友奈との絆 94(凄く凄く高い)
  東郷三森との絆 41(少し高い)
  三好夏凜との絆 73(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:65%
神樹による久遠天乃警戒レベル:20%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています

日付ミスしました


1日のまとめ

・  犬吠埼風:交流無()
・  犬吠埼樹:交流無()
・  結城友奈:交流有(お出かけ、久遠家、昼間からキス、交流(外出ルート)、責任取って)
・  東郷美森:交流無()
・  三好夏凜:交流有(結城友奈と久遠天乃そして……三好夏凜)
・伊集院沙織:交流無()

・  乃木園子:交流無()
・   三ノ輪銀:交流無()
・      死神:交流無()
・     神樹:交流無()


8月の7日目終了後の結果

  犬吠埼風との絆 41(少し高い)
  犬吠埼樹との絆 39(少し高い)
  結城友奈との絆 94(凄く凄く高い)
  東郷三森との絆 41(少し高い)
  三好夏凜との絆 73(かなり高い)
伊集院沙織との絆 63(かなり高い)

  乃木園子との絆 17(中々良い)
  三ノ輪銀 との絆 54(高い)
      死神との絆 36(少し高い)
      神樹との絆 01(低い)

大赦による久遠天乃警戒レベル:65%
神樹による久遠天乃警戒レベル:20%
神樹に関する調査報告:だんだんと弱くなってきています


ではここまでとさせて頂きます



友奈の絆が100行きそうですね
終わりまではあと6日

プロポーズし合ってますがどちらも女の子です


では、再開しようかと思います


√ 8月8目 朝

結城友奈との交流が可能です

1、お墓参り
2、イネス
3、映画
4、海
5、帰る
6、朝から攻めの姿勢
7、イベント判定

↓2


友奈「あの……天乃、先輩?」

天乃「なにかしら」

友奈「なんで……真上にいるんですか?」

寝るときは確かに目の前だった

同じベッドの上で

2人並んで横になって

寝るまではって手を繋いで……

天乃「貴女が起きないからよ」

友奈「そんなこと言われたって……」

どうしようもなく、温かい

どうしようもなく、安心できる

だからどうしようもなく寝心地が良い

友奈「……キス、するんですか?」


天乃「したいの?」

友奈「っ…………」

天乃の惑わすような笑みと言葉に

友奈がごくっと生唾を呑む

ずるい

本当に、天乃先輩はずるい

このやり方に、私は一体何度ドキドキさせられるのだろう

友奈「したいって言ったら。してくれますか?」

天乃「ええ、もちろん」

散々焦らして、唇に触れるのは指先

そんな悪戯はもうしない、もう必要ない

天乃先輩はそう言うような、笑みを浮かべて自分の唇を舐める

友奈「……それなら、したいです」

負けた

ううん、勝ち負けなんてきっとない

みんながいる前ではきっとできないから

だからこういう2人きりでの朝くらい……しても良いよね?

そう思いながら、友奈はギュッと目を瞑った



1、唇に
2、頬に
3、額に
4、首に
5、胸元に


↓2

次スレです
こちらは梅でお願いします


【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開10回目】
【安価で進行】結城友奈は勇者である【満開10回目】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1435238838/l50)

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom