デク「かっちゃんって何でそんなに性格悪いの?」(23)

勝己「は?」

デク「前々から思ってたんだけど……」

デク「実はかっちゃんってものすごく性格悪いよね?」

デク「なんでなの?」

勝己「……」

勝己「は?」

勝己「てめぇ自分が何言ってるか分かってんのか?」

デク「うん。分かりやすく説明するとこういうことになる」

デク「まず、かっちゃんの性格が悪い」

デク「そして、僕はその理由を知りたい」

勝己「バカにしてんのか?」

デク「してないよ! ただ、かっちゃん分かってないのかなと思って」

勝己「バカにしてんだろ!」BOOM

デク「ほら、そんな風にすぐキレるところとか……」ヒョイッ

勝己「くそっ」イライラ

勝己「そもそも前提が間違ってんだよ」

勝己「俺は性格悪くねえ」

勝己「だからてめーの疑問に答える必要もねえ」

デク「かっちゃん、自分が何言ってるか分かってるの?」

勝己「分かりやすく説明してやろうか?」

デク「なんでそんなに優しいの? 変なものでも食べた?」ドンビキ

勝己「てめえ……」

デク「かっちゃんの性格が悪いことはこの世の真理だよ。間違いない」

勝己「俺は認めねーよ」

デク「では、ここでかっちゃんの名場面セレクションを見てまいりましょう」

勝己「やめろ」

デク「記念すべき最初のシーンは……」ポチッ

勝己「やめろっつってんだろ!」

勝己『無個性の癖に、ヒーロー気取りかデク!』

勝己「一話の一ページ目からかよ!!」BOOM

デク「ああ! なんてことするんだ!」

デク「まだあと48時間もあるのに……」

勝己「どんだけ水増ししやがったてめえ……!!」フーフー

デク「未公開シーンも追加したからね。これでもだいぶ削ったんだよ」

勝己「楽しそうだなおい」

デク「とにかく、かっちゃんの過去の所業をみれば性格の悪さは一目瞭然だ」

デク「初期の発言なんか酷すぎてドン引きしたよ」

勝己「クソが……」イライラ

勝己「だいたい俺の性格が悪くて困ることなんかあんのかよ」

デク「とうとう認めたんだね! 偉いよかっちゃん!」

勝己「俺の性格が悪いと仮定したら困ることなんかあんのかよ」

デク「ありまくるよ! みんなに迷惑がかかるじゃないか」

勝己「『俺が』困ることなんかあんのかよ」

デク「やっぱりかっちゃんは凄い人だなあ……」

デク「でもその性格の悪さはいずれ自分の首を絞めることになるよ」

勝己「何言ってんだ? 性格悪いほうが得に決まってんだろ」

デク「どうしてそう思うの?」

勝己「弱みがねえからだよ」

デク「……」

勝己「お前ら善人どもは人質取られたら動けなくなんだろ」

勝己「俺はそんなもん気にしねえからな」

デク「かっちゃんが良くても他のみんなはそうじゃないよ」

勝己「他の奴のことなんか知るか」

デク「みんなはかっちゃんが人質に取られたら困るはずだ」

勝己「……」

デク「ほんの少しだけ残ってるかもしれない良心が痛んだりはしないの?」

勝己「俺が人質に取られるわけねーだろ」

デク「かっちゃん忘れちゃったの? ヘドロの時」

勝己「次そいつの名前出したら殺す」

デク「ごめん、黒歴史だったね……じゃあ次の議題にまいりましょう」

勝己「俺は参加した覚えはねえ」

デク「次は、かっちゃんがあまりにもヒーローらしくないことについて語ろうと思う」

勝己「お前、なんか勘違いしてねぇか?」

勝己「この世界のヒーローなんざ所詮人気商売だろ」

勝己「お前らの方がズレてんだよ」

デク「もし、目の前で悪党に絡まれてる人がいたら助ける?」

勝己「聞けよ!」

デク「ごめん、かっちゃんは悪党側だったかな?」

勝己「人をイライラさせる天才かテメェは……!!」

デク「かっちゃんに褒められた……!? 嵐の予感!!」

勝己「もう次回予告か?」

勝己「助ける助けないの問題じゃねえよ」

勝己「ムカつく奴がいたらぶっ殺す。それだけだ」

デク「かっちゃんらしいなあ。90点……と」

勝己「どこで減点されたんだよ」

デク「でもかっちゃんの大切な人が絡まれてた場合はその限りではないよね?」

勝己「自分で自分の身を守るのは当たりめーだろ」

デク「ぶれないなぁ……150点!」

勝己「採点ガバガバじゃねえか!!」

デク「いくらかっちゃんと言えども、さすがに守りたい人の1.5人くらいはいるはずだよ」

デク「例えばその、家族……とか」

勝己「てめーは俺が家族思いの孝行息子だとでも思ってんのか?」

デク「いや全然」

デク「想像したら気持ち悪くなってきたじゃないか……ひどいよかっちゃん」

勝己「……」

デク「間違っても雨の日に濡れた子犬を優しく抱き上げたりしないでね」

勝己「……」

デク「映画版のジャイアンとかそういうのは求めてないから……」

勝己「……」

デク「今日のかっちゃんは大人しいなあ……さーて次の議題は」

デク「かっちゃんはもっと皆の優しさに感謝すべきだと思うんだ!」

勝己「優しさだぁ?」

デク「みんな粗暴で尊大で性格最悪なかっちゃんのことを広く寛大な心で受け入れてくれてるじゃないか」

勝己「どこがだよ!」

デク「実をいうと僕は心配だったんだ。かっちゃんがあの性格で高校でも友達ができるのか……」

勝己「余計なお世話だ」

デク「中学ではお山の大将でいられたけど、雄英だとそうもいかないし……」

勝己「てめえのほうが性格悪いんじゃねえのか?」

デク「でも、みんなは優しかった! かっちゃんは無事ぼっちを回避した!」

デク「僕は感動した! すごく嬉しかった……!!」

デク「だからかっちゃんも皆の優しさに応えてあげるべきなんだ!」

勝己「……」

勝己「みんなでからおけにいってうぇいうぇいすればいいのか?」

デク「いやそれは気持ち悪いからしなくていいよ」

勝己「ヴェーイ!!」BOOM

デク「次はかっちゃんのみみっちさについて語ろう!」

勝己「みみっちくねえよ! 殺すぞ」

デク「じゃあ道端に1円が落ちてたらどうする?」

勝己「拾うわけねーだろ」

デク「5円は?」

勝己「拾わねーっつってんだろ」

デク「10円は?」

勝己「だから拾わねーって」

デク「50円は?」

勝己「……」

デク「100円」

勝己「俺のもんだ」

デク「びっくりするほどみみっちい!」

デク「割り勘でも1円単位で請求してくるタイプだ……!」

勝己「俺が金払うとでも思ってんのか?」

デク「そうだった! 僕としたことが……」

勝己「甘めーんだよてめえは」

デク「……じゃあ、デートの時も奢ったりしないの?」

勝己「は?」

デク「かっちゃんはデートしないの?」

勝己「HA?」

デク「かっちゃんって気になる子とかいないの?」ドキドキ

勝己「何言ってんだお前?」

デク「クラスの女子とか……例えば、麗日さんとか……」カァァ

勝己「自爆ざまぁ」

デク「そっそれとも、もっと大人の女性が好きなのかな!?」

勝己「どうでもいい」

デク「かっちゃんって本当そういうことに興味ないよね……」

勝己「興味ねえよ」

デク「うん、そうだよね」

勝己「けっ」

デク「……それで実際のところは?」

勝己「コイツしつこっ」

勝己「つーか話がそれてんじゃねえのか」

デク「え? 何の話してたっけ?」

勝己「俺の性格が悪いとかいう不愉快きわまりねえ話だ」

デク「ああ、そうだった」

勝己「お前、もっとほかに言うことあんだろ……」

デク「例えば?」

勝己「あの、ヘドロの時のアレ……」

デク「え? 禁句じゃなかったの?」

勝己「俺が言うのはいいんだよ」

勝己「ヘドロのアレの後……俺がアレしなかったアレだよ」

デク「え……? お礼言ってくれるの……?」ドンビキ

勝己「言うわけねーだろ頼んでもねえのにそもそもお前何の役にも立ってなかったろ俺一人でぶっ殺せたんだ調子乗んなクソが」

デク「良かったあ……」ホッ

デク「そのことはもういいんだよ」

デク「僕もかっちゃんに助けてもらったし……」

勝己「ハ?」

デク「覚えてない? USJのとき――」

勝己「はぁ!?」

勝己『どっっっけデク! 邪魔だ!』

勝己「はぁぁあああ?」

デク「かっちゃんが助けてくれなかったら僕は今頃……」

勝己「ふざけんな! 俺はてめえを助けたつもりなんかねえぞ」

デク「でも結果的に僕は助かったんだから助けた内に入るよね」

勝己「うぐっ……」

勝己「お……俺がデクを助けただと……?」

勝己「ありえねえ……人生三番目の汚点だ……」

デク「一番と二番は何なんだろう? すごく気になるなあ」

勝己「一番はてめえに負けたこと! 二番はてめえに助けられたことだ」

勝己「あ! 違えぞ! 俺は助けられてなんかねえ!!」

デク「素直に答えてくれるなんて、よっぽど動揺しているんだ……」

デク「でも汚点なんてこれから先どんどん増えていくから大丈夫だよ」

勝己「んだと!」

デク「新しい敵に単身突っ込んでいって返り討ちに遭う役割も残っていることだし……」

勝己「んな役割があってたまるか!!」

デク「いつかっちゃんがヴィランにボコボコにされるか心配で気が気じゃないよ……」ワクワク

勝己「……」

勝己「お前、ずいぶんと調子こいてんな……」

デク「え……?」

勝己「昔は俺にビビりまくってたじゃねーか。なのによ……」

デク「うん。でも今のかっちゃんは全然怖くないから」

勝己「……」

デク「僕だって成長してるんだよ。怖いものもたくさん見たし」

デク「それに、かっちゃんも昔と比べたらだいぶ丸くなったよね」

勝己「ああ、俺は優しい。優しすぎるくれぇだ」

デク「さすがにそれはどうかなあ」

勝己「証拠ならあるぜ」

勝己「それは……」

勝己「てめえのクッッッッッッッッソどうでもいい話に!!!」

勝己「今まで付き合ってやったことだぁぁぁぁぁぁ――――ッ!!!!」BOOOM

デク「うわあああああ―――っ!!!!」ドサッ

デク「そうだ……なんで今まで気が付かなかったんだ!?」

デク「かっちゃんとこんなに長時間会話が成立することが奇跡じゃないか!!」

勝己「死ぃねえええええええ―――ーっ!!!!」BOOOM

デク「かっちゃんって実はものすごく優しいんじゃないのか……!!?」

デク「ありがとう……! また新たな発見ができたよ!」

デク「本日の放送も残り時間が少なくなってまいりました!」

勝己「ぶっ殺おおおおおお―――す!!!!」BOOOM

デク「次回、『かっちゃんって何で登山が好きなの?』にてお会いしましょう! お楽しみに!」



おしまい
企画・協力 かっちゃんTV

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