静「町の背後霊」 (302)

※初めに

・このSSは「静・ジョースターの奇妙な日常」の続き・第十四話です。
ジョジョの奇妙な冒険に登場する透明の赤ちゃん、静・ジョースターが成長したら……という話です。

・オリジナルの上に長いです。ご了承をば。

・投下速度は遅いですが、のんびりと御覧ください。

・長くなりましたが、書かせていただいます。

一話
静・ジョースターの奇妙な日常
静・ジョースターの奇妙な日常 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363790589/)

二話
仗助「静のやばい物を拾ったっス」
仗助「静のやばい物を拾ったっス」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365094145/)

三話
静「ジャンケン教師がやって来た」
静「ジャンケン教師がやって来た」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367669400/)

四話
静「引きこもりのうちへ遊びに行こう」
静「引きこもりのうちへ遊びに行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368951927/)

五話
静「泥棒をしよう」
静「泥棒をしよう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1370177583/)

六話
静「ペーパー・バック・ライターは父親に憧れる」
静「ペーパー・バック・ライターは父親に憧れる」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373404472/)

七話
静「お見舞いへ行こう」
静「お見舞いへ行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379932767/)

八話
静「日本料理を食べに行こう」
静「日本料理を食べに行こう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1383137249/)

九話
静「幽霊屋敷に住もう」
静「幽霊屋敷に住もう」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386418852/)

十話
静「双葉双馬は静かに暮らしたい」
静「双葉双馬は静かに暮らしたい」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1391689545/)

十一話
静「吉岡純はお金が好き」
静「吉岡純はお金が好き」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398837668/)

十二話
静「杜王町の人々」
静「杜王町の人々」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404738764/)

十三話
静「静・ジョースターはキャンプをする」
静「静・ジョースターはキャンプをする」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408711275/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432295512

2010年
杜王町 夏――

ミーンミンミン……

「見つけたか?」

「いや……逃げ足だけはゴキブリのように素早い奴だ。弾は当たったはずだが……」

「探せ。すぐ近くにいるはずだ。毛ジラミをプチプチ潰すようにくまなく探せッ」

ダッダッダッダ……

「ぐっ……ハァハァハァハァ」

ガサガサッ……

チェスタ「……撒いたか。ハァハァ……」ガサッ

ミーンミンミン……

チェスタ「まさか故郷イタリアからはるばる……こんな島国まで追いかけてくる奴がいたとは、驚きだ。ギャングというのは自分の顔を立てるためなら何でもするものなのだな……クッ」

ボタボタッ

チェスタ(……弾は貫通している。問題は失血だな……すぐに処置をしなければ流石に厳しいか。……チッ)

ドクドク……

チェスタ「……撒いたはいいが……間に合わない、か」

チェスタ「……ハァーッ……『天国』……幸せを目指したこの俺が……クソ、ドジを踏んでしまったな……」

チェスタ(『死』か……思えば俺の人生は『地獄』のようなものだった。『天国』を目指している時だけ、俺は『生』を実感出来た。こんな暗やみの中でも『幸せ』を感じられた。……それも、ここまでか)

チェスタ「……遠いものだな。本当の幸せ……『天国』というのは。俺には……母が待つ『地獄』の方がよっぽど近い……」

スウッ……

チェスタ(……下らない……人生だった)

「きゃあっ!?」

チェスタ「……?」パチッ

ミーンミンミン……

チェスタ(何だ、クソ……付近の住民に見つかったか。大人しく一人寂しく死なせてくれたらいいものを……)

「誰?……どうして、こんな所で血だらけになって、倒れてるの……?」

チェスタ(……日本語はそこまで得意では無いんだがな)

「ねえ!貴方……大丈夫?」

チェスタ「ああ、大丈夫……じゃあないが、お嬢さん。放っておいてくれると助かる。……男が野垂れ死ぬ所なんざ、教育に悪いからな。家に帰ってトムとジェリーでも見て忘れるんだ……いいな?」

「……どうしたの?何が……あったの?」

チェスタ「……別に。生きるために悪い奴らから金を少ーしばかり拝借したら、地の果てまで追っかけられて撃たれた。それだけさ……」

「……撃たれた、って……怪我、してるの?」

チェスタ「あーあドテッ腹にヘソよりでかいのを開けられたよ。もう助からないだろうな……血が止まらん」

「……」

チェスタ「俺の人生ではよくある事さ。殺したり、殺されたりなんざ」

「……」

チェスタ「それが回りまわって今日、俺の身に降り掛かった……それだけだ。そうそう無いもんなんだよ。『天国』なんて……」

「……『天国』……?」

チェスタ「……フン、俺とした事が……見ず知らずのガキに何センチになっているんだ。忘れろ。忘れてくれ……今君の目の前にあるのは、ただの『夢』さ」

「……」

チェスタ「君の人生ではそうそう無い事だろう。『死』なんて――……」

「……そんな事無い」

チェスタ「……何?」

ミーンミンミン……

「大丈夫。それだけ喋れたら、まだ元気……傷口を縛って、すぐお医者さまに見せれば間に合うわ」

チェスタ「ハッ!あいにく医者に見てもらえるほどの人間じゃあなくってね。……世間から見放されたはみ出し者だよ、俺は……」

「ううん。私の主治医の先生なら見てくれるわ」

チェスタ「何を根拠に……おい、近寄るなガキ。放っておいてくれ。それは哀れみか?捨てられてダンボールの中で弱々しく鳴いている犬でも見てる気分なのか?」

「違うわ。全然違う……助けたい。私は……貴方を」

チェスタ「……何故だ?何故そこまで……こんな見知らぬ血だらけの外人である俺を?」

「……似てたから」

チェスタ「?…… 似てた、だと?俺がか?……誰にだ?」

「……」

「私も……きっと、貴方と『同じ』……病気を患っていてね。学校にもいけずに、親代わりの人からも愛想を尽かされて、一人でお家と病院を行ったり来たりするだけの存在なの。今は未だ出歩けるくらいの力はあるけど、きっとすぐに歩き回ることすら出来なくなって、ベッドの上で血を吐いて、一人さみしく死んでいく……」

チェスタ「……」

「……そんな私でも……世間から見放されたはみ出し者の私でも、主治医の先生はきちんと見て下さるのだから。大丈夫よ。貴方はきっと助かる。それに――……」

ズッ……!

チェスタ「!!……なッ……」

「もし、見てくれなくっても……私には、きちんと『見て下さる』ように『出来る』力があるから……人に対して使った事は無いけれど。たぶん……大丈夫だと思うわ。今まで犬とか小鳥さんとかなら成功してたから」

チェスタ(『スタンド』……こんな、東の果ての島国に住む、ただの少女が、何故――……!?)

ビリビリッ

「こんなスカートの切れ端しか無いけれど……よいしょっ。縛ったらきっと出血は抑えられるわ。大丈夫、大丈夫……ふふっ、なんだか私、『大丈夫』しか言っていないわね……」

チェスタ「……」

「ねえ、立てる?病院はすぐそこだけど……私、病院からの帰り道だったの。先生ったら私がすぐに引き返してきて、しかもこんな怪我人連れてきちゃうんだから、きっとビックリするわよね。……支えてあげるけど、私チビだし細いから、あまり体重かけないでね?」

チェスタ「……」

「……大丈夫?身体、いたい?」

チェスタ「……『運命』、か……これも……」ボソッ

「えっ?なあに?」

チェスタ「……俺の名前はチェスタ・テスタロッサ、だ」

「……」

チェスタ「俺の命の恩人よ。出会ったばかりの親愛なる『友』よ……君の名前を教えてくれるか?」

「……」

ミーンミンミン……

「私はメイ……『有栖川メイ』よ」

ニコッ

…………

…………

現在――

ォォォオオオォォオ……

『ウウウウウウ……』

フヨフヨ……

サカナ『グウウウウウウウウウ……』

フヨフヨ……

本日はここまでです。

支援 http://i.imgur.com/BZbbecC.png

>>19

うおお……ありがとうございます。この嬉しい気持ちをどう文章で表せば良いのやら……
メイちゃんの髪飾りとか髪型とか、かなり自分の想像と近くてビックリしました。っていうか足綺麗でツボです。
本当、こんなに支援絵頂いて……自分には勿体無いです。ありがとうございます。宝物が増えました。
……もっともっと貰えるようガンバロ

金曜までには更新しますので、少々お待ちを……

(申し訳ありません、少し遅れます)

チェスタ「……ハァハァハァハァ……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

チェスタ「クソ、何故だサカナクション……!『矢』を貸せッ!」

バッ!

サカナ『ギイィ……』

チェスタ「ハァハァハァハァハァハァハァハァ……」

シーン……

チェスタ「うッ……ううッ!」ハァハァハァ

ザッ……

ウォーケン「……何をやっているんだ、お前……」

チェスタ「!」クルッ

ォォオオオ……

チェスタ「……『ウォーケン』……!」

ウォーケン「夜中とはいえなあ~~、路地裏で一人大声出してたら、誰かに見つかっちまうぜ?迂闊だぞ迂闊ゥー。愛しいメイの右腕、チェスタ様らしくない……」

チェスタ「……」ギリッ……!

ウォーケン「浮かない顔だな?どうした?気分でも悪いのか?ン?」

チェスタ「……見ろ」

スッ……

ウォーケン「!……そいつが『弓と矢』……の、『矢』か?『スタンド使い』を生み出すという?へえ、僕も刺されたはずだが、その時はよく覚えていなくてね……しっかり見ると古臭くてダサいな」

チェスタ「……」

ウォーケン「で!……そいつがどうかしたか?キズでもつけちまったのか?相当な骨董品だからな~~まあ売る時にちょいとばかし値段が下がっちまうかもな。けどもうすでにボロボロでキズなんてわからないぜ。得したな」

チェスタ「……貴様は、よくもまあ……それだけつまらない台詞を吐けるものだな……」

ウォーケン「……アハハ!失敬失敬。どうにもね……『ウォーケン』なんて呼ばれると、自分が自分じゃあないみたいにテンションが上がってしまってね……今すごく舞い上がっているんだよ。悪い悪い」

チェスタ「……」

チェスタ「この『矢』は……『スタンド使い』としての素質を持ち、我々の味方となってくれる者を、指し示す力を持っている」

ウォーケン「へえ、初めて聞いたよ。また一つ賢くなった」

チェスタ「……」ジロリ

ウォーケン「で?今はどこのどいつを指し示しているんだ?いくら僕が強くて素質バリバリだとしても、再び指し示す事は無いんだろう?」

チェスタ「何も」

ウォーケン「……」

チェスタ「……」

ウォーケン「……何て言った?今?」

チェスタ「『何も』……いいか、俺は『ウソをつく』という行為が嫌いだし、貴様相手にコソコソするのもシャクだから教えてやる。……この『弓と矢』は『何も』……『誰も指し示していない』ッ!ピクリとも動かないのだ……理解出来るか?それがどういう事か?」

ウォーケン「……『味方』が……『スタンド使い』の素質を持つ者がいない、というのか?ウソだろ?この町の人口何人か知ってるか?」

チェスタ「……凶悪な犯罪者ほど、スタンド使いとして目覚める事が多い」

ウォーケン「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

チェスタ「『必要なものは『極罪を犯した36名以上の魂』である』……ウォーケン、貴様の『魂集め』は……順調なようだな?」

ウォーケン「待て。そいつはお門違いというヤツだ……たしかに!僕は貴様がせっかく射抜いてスタンド使いにしたヤツを何人か殺したかもしれない。射抜く前の優秀な人材を塵に変えてやったかもしれない。だがな、わかるんだよ……同じ悪人の波長というヤツかな?最近殺しても殺しても『ハズレ』でね。めっきり『極罪を犯した魂』に出会わなくなった。……今のこの状況、僕は無関係だ」

チェスタ「……」

ウォーケン「あとこちらも2、3人殺せば『36名』になるんだが……その『矢』が誰も示さないという事は、悪人がいないという事か。(スタンド使いの味方なんぞどーでもいいが)……困るな……非常に困る」

チェスタ(……メイが『神(DIO)』となるには、魂が必要……しかしメイを守るためには味方が……チッ、上手くいかないものだな……)

ウォーケン「つまりあれか?チェスタ。メイの唯一無二の『友達』は、僕一人……という事か?」

チェスタ「……そうかもな。しかし、まだ『奥の手』ならあるさ」

ウォーケン「?……まだ他に『スタンド使い』がいるのか?僕は知らないが……」

チェスタ「当然だ。今現在イタリアにいる。契約をしたばかりでな……日本に来るまで少し時間がかかっている」

ウォーケン「……イタリア?契約?……何の話だ?」

チェスタ「無論、『ヒットマン』だ……元・パッショーネの『ヒットマン』を金で雇った」

ウォーケン「…………」ポカーン

チェスタ「『リガトニ』という男を知っているか?イタリアのギャング組織パッショーネの、最後の切り札と呼ばれたヒットマン……」

ウォーケン「あ、あのなァ……一応僕は平凡な日本という小さな島国の一男子高校生なんだよ。イタリアのギャングだのヒットマンだの、知ってると思うか?理解出来ると思うか?」

チェスタ「……そいつは悪かった。とにかく、そのリガトニという男の後継者とも言われるヒットマンがいるのだ」

ウォーケン「後継者、ねえ……愛弟子か何かか?」

チェスタ「いや、そういった関係は無い。殺しの腕が凄まじいためそう呼ばれているだけだ」

ウォーケン「……」

チェスタ「どんな『スタンド使い』や厳重な警備に守られた組織の幹部でも、そいつの手にかかれば『事故死』させられる。……わかるか?事故死だぞ。銃で撃ち殺したり剣でたたっ斬ったり拳で殴り飛ばすんじゃあない。『事故』で死ぬんだ……絶対に」

ウォーケン「……それが凄腕のヒットマン?呪術師名乗った方がいいんじゃあないのか?」

チェスタ「……リガトニが死んでから、その男が全ての殺しを受け持つと思われたが、組織の方針が変わりその男は組織から見放された……もう10年以上昔の話だがな。フリーの殺し屋をやっている所を雇った訳だ。頼りになるぞ」

ウォーケン「……チェスタ、アンタが金の支払いでモメて事故らない事を願っているよ。フン……」

チェスタ「あと数週間もすればその男が日本に着く。そうなれば空条承太郎も静・ジョースターもまとめて地獄送りだ」

ウォーケン「フーン……そりゃあご苦労なことで……」

チェスタ「……それまでに何人か『矢』で味方を増やしたい所だったが……指し示さないのでは、仕方ない……」

ウォーケン「……なあ、チェスタ」

チェスタ「?……何だ」

ウォーケン「少しさァ……貸してくれよ。その……スタンド使いを増やすっていう、『矢』を……さ」

ニ タ リ

チェスタ「……」

…………

今回はここまでです。
次回から静登場ですのでー

本編ジョジョ→(一応正確には違うのだが)「一巡した」正伝世界
静ジョ→「一巡しなかった」というパラレル世界

最終的にザ・ワールドやMIHにまで辿り着くかはともかく、DIOとなったメイはそのレベルのパワーをもつスタンド使いになるはずだが、承太郎、仗助、静の3ジョジョで充分かな?ジョルノ、ジョリーンも合わせた5ジョジョでフルボッコする夢の構図になったら俺ぁ感涙する

本編ジョジョ→(一応正確には違うのだが)「一巡した」正伝世界
静ジョ→「一巡しなかった」というパラレル世界

最終的にザ・ワールドやMIHにまで辿り着くかはともかく、DIOとなったメイはそのレベルのパワーをもつスタンド使いになるはずだが、承太郎、仗助、静の3ジョジョで充分かな?ジョルノ、ジョリーンも合わせた5ジョジョでフルボッコする夢の構図になったら俺ぁ感涙する

…………

9月――

トボトボ……

静「……ハァ~~~~ッ……」トボトボ……

紙人間『大きなため息だな……うっとおしいから、やめてくれないか?』ペラペラ

静「うるせーわねーッ。ため息だってつきたくなるっての。今日何の日か知ってんの?」

紙人間『始業式だな。夏休みが終わり、二学期が始まる日、だ』

静「そうッ!始業式ッ!こんな日にため息つかないヤツなんていねーってのッ!キリストだろうがブッダだろうが学校が始まる日は憂鬱だったに違いないわッ!」

紙人間『……』ペラッ

静「その上!いい?あたし達はキャンプの最後に、ドロだの毒キノコだの散々食わされて病院送り……華の夏休みのほぼ半分を丸々寝たっきりで過ごしたのよ?SON OF A BITCH!やってらんねーってのッやれやれね!高校生の夏休みなんか3回こっきりしかないのにさ~~」

紙人間『フーン……(どうでもいいな……)』ペラッ

静「……っていうかバック・ライター、双馬は?」テクテク

紙人間『先に学校向かったよ……お前がカメのようにチンタラしてるからな』

静「またァ?最近一緒に通学してくんないわね……そんな早く学校行ってどうすんのよ。好きな娘の席にでも座んの?」テクテク

紙人間『何だ?お前、僕本体と一緒に仲良く登校したいのか?楽しくお喋りでもしながら?ガキかよ……もっと大人になったらどうだ?ペラペラ……』

静「まあね。学校のダチと登校すんのもいいけど、やっぱり……アンタと一緒にいるほうが、あたしは楽でいいし、好きだわ。ガキっぽいけどさ」シレッ

紙人間『…………』

静「あッ、何?テレてんの?あたしの思いの外真っ直ぐな意見聞いてテレちゃったの?イッチョ前に?へ~~ッ!アンタって結構カワイイ所あんじゃん、双馬」ニヤニヤ

紙人間『バカか?バカの見本市か?フン。……おい、そのニヤケ面をやめろ。イライラするぜ』

静「ああはいはい。わかったっての」キリッ

静「っていうかさ~~ッ、そんな事言うけど双馬、あたしの登下校にスタンド出してまで付き合ってるの、アンタの方よ?あたしは別に、スタンド使ってまでお喋りしようなんて提案してないもんねー」

紙人間『……情報交換なんかに便利だろう。奴ら……メイ達と戦うなら、どんな些細な事でも毎日意見を言い合うべきだ』

静「そんな事言っちゃって、アンタの方が、あたしと楽しくお喋りしながら登校したかったんじゃあないのォ~~ッ?この静ちゃんと一緒に手ェつないだりとかしてさ?うぷっ!うぷぷぷぷっ!」

紙人間『お前ッ……僕が何のために危険を犯して『スタンド』をお前に付けてると――……!!』

静「えっ?」

紙人間『!……』

紙人間『……何でもない。……オイ、遅刻するんじゃあないのか?さっさとそのノロマな足を必死こいて交互に動かしたらどうだ?』

静「……そ、双馬」

紙人間『何だ』

静(……考えてみたら、双馬が『バック・ライター』をあたしにつけてる間……双馬は、自分の身を守る手段が無い……のよね……。……それなのに、あたしに『バック・ライター』をつけるって……)

紙人間『……おい、呼びかけておいてだんまりか?もしもォ~し?会話する時はな~~、予め何を言うか考えておいてから口を動かすべきだぜ?』

静「いや、あのさ?……バック・ライター、アンタが……あたしの近くにいるのって……」

紙人間『……』

静「……『あたしの身を守る』……ためなの?……『メイ』や『チェスタ』や、正体不明の殺人鬼、『ウォーケン』の手から?」

紙人間『……』

静「……」

紙人間『……バカか。自意識過剰も……大概にするんだな。フンッ』パラッ……

パラパラパラパラパラ……

ブワアァ――ッ……

静「……ホンットに!……素直じゃあないんだから。……全く」フーッ

キーンコーンカーンコーン……

静「うわッ!!ヤバいヤバいッ!遅刻なんかしたらシャレになんないってのーッ!」

タタタタッ!

…………

…………

ガラッ!

静「セーフッ!……いや、今日のはマジに危なかったかもね……良かった、早人センセー来てないわね」

女生徒1「ハーイ、静♡……新学期早々ギリギリね。もっと余裕をもって登校したらどう?」

静「途中までは余裕シャクシャクだったのよ。双馬のヤローが変な事言い出すから悪いわ……」

女生徒1「?……なんだかわからないけど、大変ね……」

女生徒2「おはよう静!久しぶりね。夏休みはどうだった?」

静「もう散々!けど、楽しい夏休みだったわ。……来年は病院送りにならないようにしたいわね」

女生徒3「静、夏休みの宿題やった?あたし終わってないのよ。川尻先生、待ってくれないかなァァ~~ッ?」

静「結構きびチー所とかあるからね、早人先生……提出までに返してくれるなら、ノート貸してあげてもいいわよ?」

女生徒3「マジっすかァァ~~ッ!マジ!マジ!最高~~ッ静ッ!!愛してるわーン♡ンチュッ!」

静「や、やめてよ……次からは自分でやりなさいよ?もう……」

テクテク……

静「オハヨ、三人とも」ドサッ

広瀬川「おはよう、静さん!久しぶりだけど、変わらず元気そうだね」

静「これでも昨日まで病院いたのよ?ちょっとはいたわってよね」

虻村「病院って……何かあったのかよ?オツムの病気か?ギャハハハ!」

静「……それだとアンタの方が重病人でしょうが、虻村ァ……」シラケーッ

委員長「病院か……せっかくの夏休みだというのに、超能力者は大変なんだね。あ、それとも、超能力絡みの話では無かったり?」

静「いや、委員長。実際そうだけど、大変な事だけじゃあなく楽しい事もあったわよ。……ああ、そういえば夏休み前に借りた本。面白かったわ。今度返すわね」

委員長「お、そうかい?読めた?あの本?結構人選ぶ本だからな……グロテスク描写と突拍子も無いナンセンスな話がさ……生理的に無理って人多いんだけど」

静「あの迫ってくるような迫力がハラハラして良かったわよ。また似たようなの貸してね?」

委員長「ああ……いいとも」

ガラッ!

静「……あっ」

純「げっ」ピタッ

静「オハヨーッ、純ッ!元気?もう体調ダイジョウブ?……っていうか、昨日まで同じ病室だったわね」

純「……」ツンッ

スタスタスタスタ……

静「……純?オーイ?」

純「……」

スタスタ

ドスッ!

純「……」ガサゴソ……

静「……純。無視して授業の用意しないでよ。今日始業式だし授業無いわよ?」ズイッ

純「話しかけんな、静」ギロッ

静「……ええ?」キョトン

静「何よ、ツレないわね~~ッ。昨日まであんなにお喋りしてたじゃん」

純「それは、二週間も同じ病室で、他に何もやる事無かったからよ……退院したら話は別よ」

静「……何でいきなりそんな態度なのよ。もしかして、アノ日?」

純「ッテッメェーは私を馬鹿にしてんのかッ!?静ァー!いや馬鹿にしてんだな?してるんだろ?オイッ!……お前のせいで私は二週間も病院送りにされたんだろうがッ!学校に来てひしひしと感じたわッ!静、お前のせいで私の貴重な夏休みは二週間も消えたってなーッ!」

静「それはお互い様だっての、純……あたしも夏休み消えてるし」

純「お前がキャンプに誘わなかったら私は入院してないんだよォ――ッ!!!」

静「けど……キャンプ、楽しかったわよね?」シレッ

純「!……ぐ、ぬぬ……そりゃあ、そう……だけどさあ……!!」プルプル

静「じゃあ、いいじゃあないの。来年はあんな事がないようにしましょう。ね?」

純「……言っておくけど私はな!アンタとは何でもないっていうか……アカの他人だからなッ!?ただのクラスメイトッ!それ以上でもそれ以下でもねーッ!だから……あんまし関わらないでよッ!」

静「何よォー、来年旅行行かないの?いや、来年じゃあなくても、今年の冬とかでもいいわよ。また那由他ちゃんとか双馬とか兄さん達とかと、今度はスキーとかカニ鍋とかどうよ?あたしは食わないけど」

純「…………」

静「絶対楽しいんだろうなあ~~スキーッ。スキー大好キーッ♡ってね。カニ鍋とかもグレートに美味いに決まってるわ。あたしは食べないけど……純、本当に行かないの?そういう旅行?」

純「…………行く」ボソッ

静「決定ねッ。『悪友』ッ!」ポンッ

純「……あ~~もうッ!私はアンタなんか嫌いだっつうのにィッ!」ジタバタ!

生徒1「何だ何だァ?二人共、いつの間に仲良くなったんだよーッ!?」ニヤニヤ

純「仲良くなんかねえわよッ!何処見て言ってんだコラア!」

静「ヘイ、ピースピース!あたしら超~~仲良し。ね?純」ガシッ

純「肩組むなッ!触るなッ!このヘンタイスケスケ女ッ!訴えるわよ?大声出すからッ!」

静「だからッ!アンタにだけはヘンタイって言われたくないってのーッ!純ーッ!」

生徒2「ケンカするほど仲がいいってな。お似合いだぜェ~~二人共ッ!」

生徒3「なんだよ、漫才の練習か?文化祭でやるならよォ~~講演時間教えろよなッ!」

純「男子どもォ~~そこ座れッ!私が直々にブッ飛ばしてやるわッ!このーッ!!」バタバタッ!

「……アハハ、賑やかでいいね。しかし、クール美人の吉岡さんがあんな顔するなんて……」

「この学年トップクラスの美人である、ジョースターさんと吉岡さんが友達、かあ。イイもんだなァ~~こりゃあ」

「二人共、ツラはいいのになんか、暗いというか……他の生徒と関わらない所、あったもんなァ」

「ああ、けど……」



純「静ァ!アンタもそこ座んのよッ!正座しなさい正座ァーッ!」

静「イヤだってのッ!純、机に立つのやめなさいよ。パンツ見えるわよ?」



「……今は楽しくて、いいな」

「ホントホント」

「結構静さんって、話すと面白いよな」

「吉岡さんも可愛くって素敵~~」

ワイワイ……

ガラッ!

早人「はい、静かにーッ!ゴメンね遅れちゃって。けどもう他のクラスはホームルーム始まってるんだから、みんなも騒ぐのやめて……そこの男子、どうして床に正座してるの?席に座って!ホームルーム始めまーす!それが終わったら始業式だからねーっ!!」

ザワザワザワ……

純「……静、決着は後でつけるからね」ジロッ

静「ええ、楽しみにしてるわよ」ニヤッ

ガタガタ……

男生徒「あの……ちょ、ちょっと待ってくれ、ジョースター……さん!」

静「?」クルッ

静「……何?早く座らないと、早人先生プッツンしちゃうわよ?」

男生徒「ごめん、すぐ終わる……その、さ?……ジョースターさん」

静「……静でいいわよ。で、何?」

男生徒「え、あ、じゃあ、静……さん。その……放課後に……さ?」

静「……?」

男生徒「……放課後、体育館裏に、来てくれないか?」]

静「……へ?」

…………

…………

キーンコーンカーンコーン……

静「……なんだってのよ、ったく……」

テクテク……

静「こんな薄暗い所呼び出してさァ……新手の敵スタンド使いじゃあないでしょうね?」

テクテク……

男生徒「……落ち着け、平常心……平常心だ。きっと上手くいく……確かに接点はあまりなかったかもしれないけど、上手くいく……僕はそこまで悪い顔してないし、彼女に交際相手がいないのは把握済み。ダイジョウブ、きっと上手く……」ブツブツ……

静「……あのォ~~?」オソルオソル

男生徒「うわあっ!!?」ビクウッ!

静「きゃあっ!?」ビビクウッ!

男生徒「……あ、ああ。静さんか!びっくりした……き、来てくれたんだね」

静「……『びっくりした』はこっちの台詞だっての。待ち合わせ場所に先にいるかと思ったら、ブツクサ何か言ってるしさ……『丑の刻参り』でもしてんの?」

男生徒「ち、違うよ!そんなんじゃあない!全然そんな……僕、そんな暗いヤツに見える?」

静「さあ?日本にはそういう文化があるって聞いたけど?ひと気の無い所で他人を呪うってヤツ。あたしを呪うのはやめてよ?」

男生徒「……」

静「……で!……あたしをこんな場所に呼び出した意味は何?宿題のノート見せてほしいってなら、もう他の子に貸しちゃったから無理よ。人気ねえあたしのノート……あたしそんな字綺麗じゃあないんだけど」

男生徒「……そんなことじゃあないんだ……」

静「え?そうなの?……じゃあ何かしら……ひょっとして……(スタンド使いとか?)」

男生徒「……静さん。……思い切って、言うね?」

静「え?思い切ってって……」

男生徒「僕……僕!静さんの事が……好きなんです!」

静「…………」

男生徒「返事を……聞かせてください」

静「…………はぇ?」ポカーン

今回はここまでです。

乙。
今回の本編と関係ないけど支援
http://i.imgur.com/eUB2wSy.jpg?1

>>82
あわわわわわわ……なんかもう、支援絵もらいすぎて頭上がらないです……
毎度毎度素晴らしい絵を本当に、ありがとうございます。父子ってイイもんですね。
この嬉しさを力に、これからも頑張ります。ハイ。

……カナカナカナカナ……

静「……」ポカーン

男生徒「……いッ……」

男生徒(言っちまったァァ~~ッ!ついにッ!ついについについにイッ!学年イチゲロマブの静・ジョースターさんにッ!『告白』……しちまったァァーッ!思っていたよりも……心臓がイテーッ!イテェーよォーッ!)バクバクバク!

静「……『好き』って……『ラブ』って事?『ライク』じゃあなく?……誰を?『あたし』?……え?……えッ!?」

男生徒「そのッ!……初めて見た時から、静さんはスゴク、輝いてて……綺麗で、美しかった!です。ハイ」

静「……え」カアッ

男生徒「最初の頃は、みんな物珍しさから君の事を眺めていたけど、僕は違う。君の事をずっと、ずっと、ずうーっと想ってたんだ。その……『一目惚れ』っていう、やつでさ」

静「……」ペタペタ

男生徒「……何?自分の顔なんか触って……?」

静「いや、あたしの顔に何か引っ付いてんのかと思ってさ……人相を変える『スタンド』とか。……ハハ……それともあたしの耳がバカになった?」グニグニ

男生徒「……静さん、僕は本気なんだよ」

静「……ちょっ……っと待ってよ。あたし、そういうのは、ホラ……」

男生徒「夏休みに入ってから後悔したよ。君に数日会えないだけで、僕の心は張り裂けそうだったんだ。ああ!なんで夏休みに入る前に『告白』しなかったんだろう!って、何度も何度も思ったさ!一人夏祭りで食べるたこ焼きは美味しくなかったよ。……こんな思いをするくらいなら、玉砕覚悟で告白した方がマシ!って思ったんだ」

静「……」

男生徒「確かに!僕と君とはあまり『接点』が無かったかもしれない……『クラスメイト』ってくらいだよ。こう言っては何だけど、シャイなもんでね。君とお喋りする機会はついぞ作れなかった……けど!それでもッ!僕が君を『愛してる』って気持ちだけは本物だよッ!……僕の事なんて知らなくてもいいッ。これからお互いの事を知っていくって事でもいいじゃあないかッ。静さん……」

静「……」

……カナカナカナカナ……

男生徒「……『返事』を、聞かせて欲しい……僕は、君を愛している」

静「……うう……」

男生徒「……」ドキドキドキ

静「……えっと、そのォ~~……」

男生徒「……」バクバクバク

静「…………」

……カナカナカナカナ……

静「……言わなくちゃあ、ダメ……なのよね。……しっかりと、あたしの口から……」

男生徒「……あ、ああ。覚悟は……『出来ている』」

静「……」

静「……ごめん。あたしは……貴方とは、『付き合えない』……」

男生徒「……」

静「……」

……カナカナカナカナ……

男生徒「……や、やっぱり……」

静「……『やっぱり』?」

男生徒「静さんは、可愛いからな。そりゃあ~~『彼氏』の一人や二人くらい……グスン」

静「違ッ……そうじゃあないっての!あたしに彼氏なんていねーわよッ!そういう理由じゃあないわッ!」

男生徒「そういえば静さんッ!部活には入っていないけれど委員長たちのグループと仲良いしッ!放課後や登下校に男子中学生と一緒にいるってよく聞く――……」

静「関係ねーでしょうがッそいつらはァ――ッ!!少なくともッ双馬の方は全く全然関係ねーッ!!!」

男生徒「えっ?……それじゃあ?」

静「……ゴホン。えっと……あのね。バカバカしい話……かも、しんないけど……」

静「あたし達が住んでるこの町、杜王町には……今、恐ろしい『悪』が潜んでいるの」

男生徒「……『悪』?」

静「……アンタはさ、『有栖川メイ』……って、知ってる?」

男生徒「『メイ』?知ってるも何も……僕の『友達』だよッ!一番仲のいい『友達』さあ~~。静さんも魅力的だけど、彼女の素晴らしさには負けるかな……あ!いや!何言ってるんだろう僕は……その、違うんだ!そうじゃあなくって……」

静「……アンタも、全然学校に来てないメイの……『友達』、なのね」

男生徒「……え?」

静「ううん。何でもないわ。今言いたい話は、そんな事じゃあないし」

静「その『メ――……』……『悪』は、この平和な町に潜んで人を食い物にしてる。そして、人々の幸せを踏みにじって、『神(DIO)』だなんて大層なモンになろうとしてるの」

男生徒「……」

静「……どう思う?」

男生徒「……どう、って……一体何の話なのか――……」

静「『許せない』……わよね?」

男生徒「……そりゃあ、ウン。そんな『悪』がいたとしたら、そう思うよ。……たぶん」

静「そう……『許せない』……」

静「きっと、あたしが『ジョースター』だから……っていう、理由だけじゃあないと思うの」

男生徒「……」

静「あたしが『あたし』だから……あたしはそんな『悪』を許せないの。この平和な町を、平和なままにしておきたいの。『かつて兄がそうしたから』『かつて父が世界を救ったから』……じゃあ、ない。あたしの意思でこの町を救いたいの。……その『悪』を……倒したい」

男生徒「……」

静「ブン殴って、『アンタなんか神でも何でもない、ただの病弱な女子高生よ』って……言ってのけてやりたいの。それが今のあたしの夢で、あたしの目標……」

男生徒「……」

静「……そんなあたしにさ、甘酸っぱい恋とか、熱ゥ~い恋愛とか……似合わないし、出きっこないわ。今のあたしは、その『悪』の事で頭いっぱいなんだもの。……だから、ごめんなさい」

静「平和な町で暮らすアンタには、理解出来ないでしょうけど……あたしはアンタ達と、平和な町を守るために、アンタとは……付き合えないわ」

男生徒「……」

……カナカナカナカナ……

静「……ヘンな事ばっか言う女だから、幻滅したでしょう?……いきなり『悪』だなんて、どうかしてる……わよ、ね」

男生徒「うッ!ううんッ!全然ッ!……そのッ……君の言葉は、すごく……本気だって、感じた」

静「……そう」

男生徒「……付き合えない、かあ……」

静「もっといい女の子、いるわよ……あたしなんかよりさ。純なんかどう?色々とその、アッチの方はアレかもしんないけど……いいヤツよ。それは保証する……」

男生徒「……」

静「……」

男生徒「……ありがとう、静さん……いきなり呼び出して、ゴメンね」

静「……ごめんなさい。また……明日、学校で会いましょう」

クルッ

スタスタスタ……

男生徒「……ハハ、ハ……」

ズルズルズル……

男生徒「……『フラれた』……か。……カッコ悪ィ~~ッ……」ペタンッ

スタスタスタ……

静「……~~ッ……!」

……タッタッタッタッタ!

静(ヤ……ヤバッ!今になって恥ずかしくなってきたわ……この静ちゃんが『告白』……確かに自分の事、結構カワユいかもッ!とか思ってたけどさァ~~ッ!実際告白されると……は、初めてだったし、こういうの……ううっ!顔がアツいってのォ~~ッ!)

ダッダッダッダ!

静「は……早く帰ろおっと!荷物取ってこないと――……」

クンッ!

静「――!!」

紙人間『……』

純「……」

……建物の角を曲がった所で、
双葉双馬の『ペーパー・バック・ライター』と、吉岡純が、
二人並んで、腕を組んで立っていた……。

静「…………きッ……!」

紙人間『……』

純「……」

静「……聞いてた、の……?」ダラダラ

純「……青春ン~~ッ……」ボソッ

紙人間『……青春ン~~ッ……だな』ボソッ

静「~~~~ッ!!!うるさいっ!黙れッ!このッ……信じらんないッ!!ってのォ――ッ!!チクショーッ!!」

ジタバタ!

…………

…………

……カナカナカナカナ……

男生徒「……ハハハ……そうだよなァ~~……どう考えても、『釣り合わない』っていうか……『匕首(あいくち)にツバ』っていうんですかァ~~ッ?こんな僕なんかと、輝いてる彼女なんかは……似合ってないよなあ……」

・ ・ ・

男生徒「……けど、それども……彼女と『お付き合い』……してみたかったなあ。……別に、何も特別な事なんて必要無いんだ。ただ……」

男生徒「……彼女が僕の事を見てくれて……起きてるあいだ中ずっと、お互いの事を思ってて……抱きしめたりなんか、したりして……」

・ ・ ・

男生徒「……そして……ずっと、彼女と一緒にいれたら……」

・ ・ ・

男生徒「……良かったなあ……ハハ……」

ドズウッ!!!

男生徒「――ガブ!?……な?……ガボガボガボ……!?」

「……クク……」

男生徒「なんッ……!?……だッ……お前……!?」

突如。
男生徒の背中から、『矢』が突き立てられた。
胸を貫通した、その『矢』を持つのは――……

ウォーケン「おいチェスタぁ~~ッ、見ろ。見てるか?そのドンヨリとした魚の目ン玉越しにさ?……スタンド使いを増やす『矢』っていうのはさあ……こう使うんだよッ!!」

グリグリグリイッ!!

男生徒「うおおおおおおおおおお!?お前ッ……はッ……!?……『オオ……』……『ケ……』!?」

サカナ『……ギギイ……ウォーケン、貴様……無茶な事を……』

ウォーケン「何が無茶だ?言ってみろ。スタンド使いっていうのは精神的にハングリーなヤツがなるんだろう?失恋したてのコイツはピッタリじゃあないか。コイツは今どん欲だぜェ~~強いスタンド使いになるさ!フフ……」

サカナ『しかし……『矢』が選んだ訳じゃあない。そんなものを射抜いたとしても――……』

ウォーケン「だからさ~~ッ、『選ぶ』とか『選ばない』とか、『矢』が勝手にンなの行うかよッ!コックリさんじゃああるまいしさあ。そりゃあお前の『気のせい』だって!こうやって……手当たり次第に!突き刺して!当たりを!探すのがッ!一番!早いんだよッ!」

グジュッ!グリイ!グサアッ!!

男生徒「……ガボガボガボガボ……」ブクブク……

サカナ『……ウォーケン、貴様……!』

ウォーケン(クク……スタンド使いの味方なんてどうでもいいが、僕が選んだ『僕の味方』になるのなら話は別さ……この目障りな『魚野郎』を殺してくれるスタンド使いが見つかるかもしんないっていうのならさァ~~ッ!やる価値はあるね……楽しくなってきたぞッ!!)

ドスウッ!

ウォーケン「おい、チェスタ!このくらい刺せばいいのか……もっとか?何発刺せばいいんだよォ?いつになったらコイツはスタンド使いになるんだ……?」

サカナ『……(この男……!!)』

ブチョッ

ウォーケン「……ん?」

……ドロ……ドロ……

サカナ『……何?』

……ドロドロドロ……

男生徒「……アバ……アアア……ガバッ……し、ずカ……さ……」

グチョグチョグチョグチョ……

ウォーケン「なッ!!……チェスタ!おいこれはどういう事だッ!?こいつッ……!!これが『スタンド能力』かッ!?違うよなあ~~オイッ!」

グチャグチャグチャ……

サカナ『やはり……!この男は『選ばれなかった』者……ギギッ!……矢のエネルギーに耐えられなかったのだ……!』

ドロドロドロ……

ドロォ……ッ!

男生徒「…………『僕を見て』……」

グチャッ

ウォーケン「……」

サカナ『……』

シーン……

ウォーケン「…………とッ……!」

サカナ『……『溶けた』……炎天下の車内に放置したアイスクリームのように……!』

ウォーケン「そんな事は見たらわかるッ!僕は聞いてなかったぞッ!何だこれは……何故黙っていたんだッチェスタぁっ!」

サカナ『貴様がこんな馬鹿な使い方を……無理矢理突き刺すなんて事をしでかすとは思ってなかったのだ。……勉強になったなあ?』

ウォーケン「おい……オイオイオイ……一歩間違ったら僕も、『こう』なってたって事かあ?……ふざけるなよ。なんて道具を持ってやがる……」

サカナ『……今となっては残念だが、貴様は『矢』に選ばれた者だった。だから死ぬ事は――……』

ウォーケン「目の前で人間ペーストが完成したのに、ハイそうですかって言えると思うかッ!?ふざけやがって、テメェ――……」

『僕を見て』

ボソッ

ウォーケン「――!!!」ゾクッ

バッ!!

……シーン……

ウォーケン「…………!?……??」

サカナ『……どうした?……ウォーケン?』

ウォーケン「い、いや……今、耳元で……?」

ズルッ

ウォーケン「!!」ビクッ!

サカナ『……』

……ズル……ズル……

ウォーケン「……聞こえたか?魚野郎」

サカナ『……この『サカナクション』は『聴覚』を司る。どんな小さな物音だって聞き逃さないさ』

ウォーケン「……しかし、僕には……何も見えなかったが……?」

サカナ『……見えるものが全てではない。月並みだが……そういう事なのだろう。……それか、姿を現さなかったか、だ』

ウォーケン「……」

ウォーケン「……引きずったような跡が……続いてる」

サカナ『……』

ウォーケン「……『何か』が……この場を去ったのか」

サカナ『……一体『何』だろうな?そして……そいつの『目的』は?』

ウォーケン「僕が知るかよ……少なくとも、町に落ちてる空き缶を回収するためにここを去った訳じゃあなさそうだぜ……」

サカナ『……』

ウォーケン「……」

サカナ『……お祓いにでも行っておくか?ウォーケン』

ウォーケン「……あいにく僕は、『幽霊』や『呪い』なんて信じないんだよ。……チッ!」

……カナカナカナカナ……

…………

今回はここまでです。

あまり、挙げすぎるのも迷惑かもしれんが支援!

http://i.imgur.com/lARKG0A.jpg

ところで、>>1が幼じょりんの作者さんと会ったらしいけど、どんな話をしたのかすごく気になる

>>138
本当にありがとうございます。
この三人は書いていてとても楽しいキャラなので、イラストの感動もヒトシオですね
幼じょりんさんとの話は、大半静ジョのネタバレ暴露でしたねー……

支援絵ですッ

http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=manga&illust_id=51987206

…………

東方家――

仗助「空白のラストページにィィ~~ッ、その拳をォー叩きこめェ~~ッ♪……っとォ」ジュワーッ

パチパチパチッ!

仗助「アチチッ!油飛んだッ!アチーッ!」パチッ!

静「兄さん、うるさい。……ハァー……」ドンヨリ

純「辛気臭ェー顔すんの、やめなさいよ静……せっかくのご飯がマズくなるわよ。んっ!このお肉ウマーッ!」モグモグ

静「……なんでウチでメシ食ってんのよ、純」ジロリ

純「私だって食う気無かったわよ。アンタのお兄さんに誘われたから、仕方なァ~~く食ってやってんの。ソース取って」

静「スタンド使えば?」

純「冷たいヤツね……モテないわよ。あッ!静さんは『おモテ』になるんでしたわねェーッ!♡キャハハハハ!」

静「今ッ!その話はッ!禁止ッ!だって!のッ!!!」ガタッ!

仗助「静ァ~~ッ、何があったか知らねえがよ、家では笑顔でいろよな。メシは美味しく食うのが一番だぜ。ホイッ!第二弾揚がったぜーッ!」ジャンッ!

純「きゃあーっ♡美味しそうっ!何これ、お肉?」

仗助「こっちはジャガイモにベーコン巻いて揚げたヤツだ。そっちのはレンコン。穴に明太子を詰めて揚げたんだ。……熱いから気をつけろよ~~ポン酢が合うぜ」

純「はーいっ!では失礼して……」

パクッ!

純「……ん~~まあァーッ!スゲッ!ゲロ美味ッ!やるじゃあないのッ静のお兄さんッ!実は職業料理人だったりィ?」

仗助「おふくろや億泰の見よう見まねだぜ。おれ、今までそんな料理とかしなかったんだけどよー、静が来てから少し頑張ってるのよ。どんどん揚げるからしっかり食えよな~~ッ」

純「ゴチになりまァ~~すッ!ルンルンッ♪」

静「……テンション高いわね、純」

純「そりゃあ~~『イイモノ』見たからねえ」ニヤリ

静「……フンッ!」ブスッ

仗助「で?何かあったのかよ。ケンカ……では無さそうだな。センコーに怒られでもしたか?」

静「……言いたくない」ツーンッ

仗助「……」ジューッ

純「別に静のヤツ、『機嫌が悪い』訳じゃあないのよォ~~。ただ、『なんか恥ずかしい』ってだけ」

仗助「『恥ずかしい』?」ジュワワッ

静「あのさ、純。あたし普通に機嫌悪いからね?主にアンタと双馬が原因でッ!」

純「後付けでしょ。実はモンモンとしてて、今にも布団に顔押し付けて足バタバタさせたいんじゃあないの?」

静「しねーっての」

純「そう?……『告白』されたのに、結構冷静ね」

グワシャーン!!

静「!?」ビクッ!

純「きゃっ!?」ビクッ!

仗助「…………」

シーン……

純「……お、お兄さん?お皿、割れちゃってますよ?オ、オホホ……」

仗助「……『告白』……だと?……『誰』に……嘘だろ……」ブツブツ

静「に……兄さん?」

仗助「静ァ!お前ッ……『誰』に告白されたんだッ!?おっ……『OK』したのかよォォ~~ッ!!オロロォ~~ン!」ブワーッ!

静「違ッ……断ったっての!っていうか何泣いてんのッ!?相手が『誰』なのかも詳しく知らねェしーッ!!」

静「名前も知らないクラスメイトに放課後告白されたの。イキナリねッ!だからそれを断ったってだけ!……兄さんどうしたの?割れたお皿で指でも切った?」

仗助「うっ……ウッ!良かった……いや、兄としては『お付き合い』ってのを、祝福する所だろうがよ~~、どうにも心の準備ってヤツが……」サメザメ

純「ああハイハイ、落ち着いてーお兄さん。……完ッ全に『兄貴』っつーより『父親』の感情になってるわね、これ……」ヨシヨシ

静「……泣きたいのはこっちだっての。ハァー……」ガクッ

純「別にアンタは泣かなくていいでしょうが。むしろ喜ぶ所なんじゃあないの?人に好意持たれてるんだから」

静「……んー……」

純「っていうか、別に付き合っても良かったんじゃあないの?アンタそーいう経験無いんでしょ?少しくらい経験積んだら?」

静「か、軽々しく言わないでよ純……そんな感覚で付き合ったら、相手に失礼じゃん」

純「だァ~~ってェ……ねえ?アンタ、そんな初心でガサツなままでさ?」

静「……何よ?」

純「……双馬と付き合ったら、長く持たないわよ?他の相手で『恋をする練習』くらいしとかなきゃ」

静「なんッっでそこで双馬の名前が出てくんのよォ――ッ!表出ろォ――ッ!」ガタッ!

純「きゃあっこわーい!静、怒ってるぅ~~っ!……暴れて料理吹っ飛ばすのはやめてよ?私まだ食べてるんだから」

静「双馬は!マジで何とも無いッ!ただの『親友』ッ!オーケー?それ以上変なこと言ったらアンタ、『悪友』から『ただのクラスメイトの吉岡さん』にランク下げるわよ」

純「何よその脅し……」

静「本当に……あたしは恋愛とか、無理なの。合わない……出来るわけ、無いわ」

純「……出来るわけ無いってさァ~~、何も『ペンギンが空を飛ぶ』って話してる訳じゃあねーのよ?誰だって恋愛する権利くらいあるでしょ?」

静「だって!付き合うって……恋人って、ずうーっと一緒にいて、抱きしめ合ったり、お互いの事思ったり、キッキッ、キスしたりとか……するんでしょ?」

純「……まあ、ウン。そんな感じ」

静「そんな事、してる暇無い……そんな事してたら、あたし!……『ジョースター』になれないじゃん……」

純「……?」

仗助「お前……まだそんな事言ってるのかよ、静……」

静「だ、だって!」

仗助「そんな事言わなくてもよォ~~、オメーはもう十分『ジョースター』だし『東方家』のおれの妹だっつうの!バカな事言ってねえで、フライを食えフライを」

静「……」シュン

純「……『ジョースター』……たしか、アンタのお父さんって、世界を救ったんだっけ?キャンプん時、車の中で喋ってたわね……」

静「ウン……あたし、血は繋がってないけど……それでも!……『ジョースター家』だから……おじいちゃんみたいに、ならないと……って、思って……」

純「バッカらし。そんなに『血統』が大切?人生全て『血統』で決まるんなら、私の将来は酒飲みのクズよ」

静「!……」

純「大切なのは、『血統』じゃあない……誇り高きものを信じる『精神』なんじゃあないの?アンタの父親や、他の家族がスゲーってんのなら、焦らなくてもそれを信じてまっすぐ生きりゃあいいじゃあないの。……人を愛するのが間違った事なの?人と付き合うのがまっすぐ生きてない事になるの?」

静「それは…………」

純「静……私はね、もう『恋愛する資格なんて無い』……だから、せめてアンタとか他の人には、幸せに恋愛してもらいたいって思ってるわ」

静「……資格が無い?」

純「あー……ほら!あれよ!……その……『汚れてる』……から」ボソッ

静「……それこそ、関係無いわよ純。……まだ16そこいらのヒヨッコじゃん。大切なのは、これからよ」

純「……フン!うっせえわよ、静……」

・ ・ ・

ジュウーッ……

仗助「ホイッ!デザートの『バナナのフライ』だぜーッ!自信作っ!チョコレートソースをたァ~~っぷりかけて食べてくれよなッ!」

純「きゃあーッ♡美味しそうっ!お肌に悪そうっ!いっただっきまァーすッ!」

静「……うまっ」モグモグ

純「……で、静。アンタどうすんの?今日コクってきた子……私は悪くないと思うけど?」モグモグ

静「……悪いんだけど、名前も何も知らないもの。そういうのはナシよ」

純「そーいやアンタ、仲の良い男子いたわよね?もしかして……あの誰かと付き合っていたり?」

静「無い。全然、そういうの、無い」モグモグ

純「そーお?けどアンタ、ツラはいいんだから、付きあおうと思ったらすぐじゃん。これからは好意的に考えてみたらァ~~?ケンヂ君とかピッタリじゃん」

静「誰よ、それ?」

仗助「……ぐ……うう……!」ワナワナ

仗助(静に『彼氏』……いや、そりゃあ喜ぶ所だろうし、この歳にゃあ彼氏も珍しくねェーッ。しかしなんだかそういうのは『気に食わねえ』っつーかよーッ……もし彼氏なんかが出来たら、一回呼び出して根性見てやらなきゃあ気がすまねえっつーか……)ブツブツ

純「……アンタ、お兄さんに愛されてんのねェ」ヒソヒソ

静「過保護なだけよ……たまーにうっおとしいんだから、あれ」ヒソッ

純「さーてっ!お腹いっぱいご馳走様になったし、そろそろ私は帰ろっかなァ~~っとォ!……またお兄さんがむせび泣いてもイヤだしね」

仗助「ん?……お、おう帰るのかァ?送ってってやるぜ?」

純「あー……ご心配なく。一人で帰れますので……(ホテル暮らしだって知ったら、面倒くさそうだしね……)」

純「じゃあ静、また明日学校で――……は、会いたくないわね。アンタとは顔合わせたくねーッ」

静「何よそれ……もうメシ食わさないわよ」

純「作ったのアンタのお兄さんでしょ」

静「次はアンタの肉全部透明にしてやるわ」

純「じゃあ~~私は肉をルビーに変えてやるわよッ!アハハハハハハハ!」

バタンッ!

静「……騒がしいヤツ……」

仗助「良い友達じゃあねーか。大切にしろよ?」

静「うん。……あ、兄さん」

仗助「ん?何だ?」

静「心配しなくっても……あたし、当分は彼氏なんか作んねーわよ」ニコッ

仗助「べ、別に心配なんかしてねーっスよ!ふ、風呂でも入っかなァ~~っと!」バタバタッ

静「……変な兄さん」

…………

…………

静の部屋――

静「ハァー……今日は疲れた。ドッと疲れた……」

ドサッ!

静「……底なし沼で寒中水泳やったような疲れだわ。……あー、明日の授業の準備、してない……まあいいわ。明日……起きてから準備、しよう……」

ウトウト……

静「『ワイルド・ハニー』……電気消してェ……」ギャンッ

パチッ!

静「……おやすみなさァい……」ゴロッ

・ ・ ・

リーリーリー……

静(……はあ……純のヤツ、好き勝手言って……あたしに恋愛とか、そんなの……いらないし、まだ早いっての……)

リーリー……

静(……恋人……彼氏、かあ……どんな事、するんだろ……一緒に登校したり、放課後一緒に帰ったりとか……するんだろうな……)

リーリー……

静(……で、たまには彼氏の家行ったり……公園で一緒にベンチ座って、お菓子……ドーナツでも、食べたりすんのかな……)

静「……あれ?」

リーリー……

静(それって……双馬とやってる事、変わってなくない?)

静「って、無い無い。それは無いっての。マジで」ブンブン

……リーリー……

静(……好きとか、嫌いとか……)

静「……よく、わかんないっての」ボソッ

リーリー……

リーリーリー……

静(……虫の音が、心地いい……)ウトウト

リーリー……

静(……)ウトウト……

リー……

静「……」ウトウト……

……

静「……すう……」スヤッ……

ガシイッ!!!

静「!!?……かッ……!?」

突然の事であった!
暗闇の中から、一対の黒い『手』が出現し、
静の細い首を締めたのだッ!!!

静「が……な、に……!?」

『……ミテ……』

静「!?」

『ボクヲ……ミテ……ミテ……ミテ……!!』

静「お前っ……カハッ!息、が……呼吸がッ……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「――ゥお前何者だァ――ッ!!『ワイルド・ハニー』ィィッ!!」

ズギャ――z__ン!

ワイルド・ハニー『……』ピタッ

静「……はッ!?」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静の『ワイルド・ハニー』が手を振り下ろした、枕元には……
何も無かった。何も……
『温度』も、『音』も、『ニオイ』さえ……
何も残さず、『それ』は……姿を消した。

静「!?……え?……は……?」キョロキョロ

ドンドンッ!

静「!!」ギクリ!

仗助『……静ァ?どうかしたかよ?今叫び声が聞こえたけどよォ~~……寝ぼけたか?』

静「なッ……何でもないッ!何でもないから、兄さん寝てて大丈夫だからッ!」

仗助『?……そうか?……じゃあ、おやすみィ~~ッ……』

静「……何でもない……けど……ハァハァハァ……」

……静の白く美しい首には、うっすらと……
赤い、手の『痕』が残っていた……。

静「……『何か居る』」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

…………

本日はここまでです。

>>148
支援絵ありがとうございます。
更新遅くなって申し訳ない……支援絵の分しっかり更新出来るよう、頑張ります。

…………

キーンコーンカーンコォォーン……

ガラッ!

静「…………ぐッ……」ヨロッ……

フラフラフラ……

静「ハァー……ハァー……」ヨロリ……

純「あ、静。おはョ……ッホン!ゴホン!オホン!オホホーンッ!……おは……イオッ!」シュバッ!

静「……」

純「オハイオ……州とかさァ~~ッ、次の地理のテスト出そうじゃあない?人口約1100万人ッ!ニール・アームストロング船長の出身地として有名ッ!ヘェー、オハイオ州が無ければ月に足あと残せなかったかもしんないのねー……純ちゃんチェックポイントッ!よッ」ドヤッ!

静「…………」ポスッ

純「……無視すんな、静」ズイッ

静「あのさ、純。あたしに挨拶してんのか、オハイオ州について勉強してんのかどっちなの?それがわからなきゃあ反応しようがないわよ」

純「別にテメェーに話しかけた覚えは無いけど、『無反応』っつーのが気に入らねーッ。深夜に働いてる気だるげなコンビニ店員の方がまだマシな反応してるぞコラッ」

静「……純。アンタ……」

純「何よ」

静「……『見える』?」

純「…………は?」

静「あたしの後ろ。兄さんには『見えなかった』……けど『居る』。今もよ。ネットリと絡みついてる……そんな気配がする」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

純「……?……??」

静「あたしの後ろに何か居る。最近取り憑かれたみたいなの……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ……

純「……教えてあげようか?それ『スタンド』って言ってねェ~~ッ、アンタの精神力が形となったモンなの。アンタについてるヤツの名前は『ワイルド・ハ――……」

静「違うッ!そうじゃあないってのッ!!」ドンッ!

シーン……

静「……あ」

……ザワザワザワ……

純「バッ……教室で大きな声出すな。ホームルーム前だけど、一応他の生徒いるんだから」ヒソヒソ

静「……アンタがマジに受け取ってくれたら、あたしも大声出さずに済んだんですけどねーッ」

純「フン……」ガサッ

静「純、『ガムを探してるんなら』……『左のポケットに入ってるわよ』」

純「・ ・ ・ …………っ!?」ガサゴソガサッ!

純「……」ジロッ

静「『何で?』って言いたそうな顔してるけど、正直カンに近いわよ……アンタの右頬、ちょっぴりだけどファンデーションが取れてる……朝電話でもかけたんじゃあないの?そのまま携帯は右ポケットに入れただろうから、ガムは左に入ってる……って思っただけ」

純「……アンタ、その特技……何か役に立つ?」

静「何にも。……変に感覚だけはビンビン冴え渡ってんの。太陽の光が目に突き刺さるわ……昨日一睡もしてないからかな……」グタッ

純「……弱ってんのはマジみたいだし、一応聞いといてあげようか?……何があったの?」

静「何があったのかはあたしにもわかんない。……ただ、昨日の夜から……寝ようとして目をつぶると、『何か』が――」

純「『何か』って?」

静「さあね、あたし目ェつぶってたからさ。その『何か』があたしの首を締めるの。……後ろから羽交い絞めにされるように」

純「……昨日一晩中?ずっと?寝ようとしたら?」

静「だよッ。兄さんに言ったけど何も見えないっていうし、『寝ぼけてたんじゃあねーのか?』って言われて……寝てねェーのにどうやって寝ボケろっつーのよタゴ作がッ」ドンッ!

純「どーどーどー。静、落ち着きなさい……寝てなくて気が立ってんの?」

静「アンタ、寝ようとしてウトウトーってするたびに起こされるとどんだけイラ立つか知ってる?もう精神ズタボロだっての……ふぁアー……」

純「……確認するけど、マジに『居る』のよね?その……アンタのバカげた妄想の可能性は?」

静「無いわよ。純、そーいう事言うとあたしプッツンするわよ」

純「確認だって言ってんでしょうが。最近、『メイ』によって『スタンド使い』になったっていうヤツの噂は聞かない。私を最後に町は案外平和なモンよ。たまーに行方不明者が出るってくらいでさ」

静「……」

純「……そんな平和だと『活躍』出来ないもんだから、謎の『スタンド使い』をデッチ上げた……って話は」

静「……」ズッ!

ワイルド・ハニー『……』ズウウ……ン……!

純「あーはいはいはいはい!悪かったわよ……悪かった!いくらアンタでもそんな事しないわよね……ゴメンって!スタンドしまって怖いから!」

静「……フン!」

純「けど、アンタの後ろには何もいないし、何もヤバそーな感じがしないってのもマジよ。……そいつが敵スタンドなのだとしたら、首さわれる時点で一気に絞め殺すのが一番なんじゃあないの?」

静「それならそれであたしは気が楽よ。勝負が終わるのはどっちがやられるかっていう一瞬で終わるんだから。……けどコイツはジワジワとあたしを『削ってる』……まるで七輪に乗せられてじっくり焼かれてるサンマの気分よ……いつかあたしは削られて『死ぬ』」

純「……何か手がかりになりそうなのは無いの?攻撃される『きっかけ』を作った覚えは」

静「無いわ。……いや、ちょっと待って!……『手がかり』と言うと……」

純「何?」

静「……『僕を見て』って……そう言ってた。あたしに憑いてる『背後霊』は……」

純「……『僕を見て』……?」

キンコンカンコーン……

早人「はい、皆さんおハヨーございまーす。ホームルーム始めるね。みんな、座ってー」ガラッ

ガヤガヤガヤ……

純「……話は後ね。それとも静、保健室行く?顔ヤバいわよー貞子みたい」

静「やめとくわ。また背後霊が出てきたりしたら休めないし。……アンタ貞子の顔見たことあんの?」

ガタガタガタッ……

早人「出席ィ~~……有栖川さんはいつも通り休み、と。……あと、鳩無(はとなし)君も休み?メズらしいね……ま、いっか。じゃあ連絡事項ーッ」

静「……(はとなし……?)」

早人「夏休み明けだからって、ダラけてる生徒が多く見られます。学校が始まったんだから気持ちを切り替えて――……」

静「……(はとなし……聞いた覚え無いけど、なんか……クラスの顔ぶれ見てると、『何か』……引っかかる……)」

早人「……以上で連絡事項はおしまいです。号令ー」

キリーツ、レイー……

早人「ありがとうございました、と。……一時間目の授業は生物だね、ぼくの。……うん、じゃあ準備しておいてくれるかな?ぼくちょっと、鳩無君に電話かけてくるよ……連絡無いし」

虻村「どーせただのサボりだろーがよッ、サボリ!」ユルサンヨ!

広瀬川「そんな、虻村君じゃあないんだから……」

虻村「ンだとォー康司ッテメェーッ!」

アハハハハ……

早人「まあ、なんとも無いだろうけど、一応ね。……最近ちょっと物騒だしさ。じゃあ少しだけ待っててねー」

ガラッ……

ザワザワザワ……

「どうしたんだろうな鳩無のヤツ。たしかに無断欠席は珍しいぜーッ」

「最近話題のよォー、『ペーパーマン』にさらわれたんじゃあねえのか?コエーッ!」

「バァーカ!それもう古いぜ……激フル!最近のトレンドは『振り向いてはいけない小道』だよッ!」

「それも古いわよ、男子ぃーっ。やっぱり今は『魔人ウォーケン』よッ!悪い事しちゃって消されちゃったのよーッ!!きゃあ――ッ!!♡」

広瀬川「お、面白そうな話だね……!ちょっとその事について詳しく――……」

委員長「広瀬川君、授業の準備しておいた方がいいんじゃあないのかい?今日君当てられるぜ?」

広瀬川「え?嘘っ今日ってこの列!?」アタフタ

ザワザワザワ……

静「……はとなし……はとなし……うーん、聞いた事無いわよね。……けど何だろ、なんか……」ウトウト……

ザワザワ……

静「……何か……変な感じが……」ウツラウツラ……

ザワザ……

静「……ぐう……」



ガシッ!

『ハアアァ――ッ……!』ギリイッ!

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「くがっ!?し、しまっ……!!」

『ボクヲ……ハァーッ!……ミテ……』ギリリ……!

静「離ッ……せッ……この、くそ、『目』が……『開かない』……ハァハァ、疲労が……『限界』……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静(目を『覚まさないと』……この眠気をフッ飛ばさないとッ!!)

『ボクヲ……ミテヨォ……!』

静「うおおッ――」グラッ……

ドシィ――z__ン!!

静「あイダッ!」ゴンッ!

・ ・ ・

静「い、イダダ……頭割れそうッ……けど、今ので完璧目が覚めた。無理矢理後ろにブッ倒れるなんて、危ないからもう絶対やんないわよ……」

シーン……

静「……あ」クルリ

…………シィィーン……

純「し……静ったらァーもうッ!イスの後ろに体重かけっからそーなんのよッ!大丈夫?保健室行く?アンタそれ以上バカになったら本当取り柄無いわよ?ほらーホコリついてるっ!」パッパッ

静「……見た?あたしの首」ヒソヒソ

純「結構アンタの方注意して見てたけど、何も見えなかったわよ」ヒソヒソ

静「……」

純「っていうか、ウトウトしただけで『出る』の?キッツぅ……しかも昨日一睡もしてないんでしょ?……マジに死ぬわね」

静「死ぬ前になんとかしたい所ね……姿も見えないし、攻撃しようにも手だけが首をガッチリ掴んでるような感じで、拳が当たりそうにないし」

純「……」

静「……せめて、スタンド使い『本体』の事でもわかったら…………あ」ピタッ

純「何?……どうかした?」

静「純ッ!も、もしかして……昨日あたしに告白したのって!!」ガバッ!

純「な、何よ何よ。いきなりどうかした?恋愛相談だったら放課後受け付けるわよー有料で」

静「……昨日、あたしに告白したの……」

キョロキョロ……

静「……『鳩無』って名前?……今日休んでる?」

純「?……え、ええ。そうよ……なんだ、アンタ名前知ってたんだ」

ガタッ!

静「……!」タッタッタッタ!

純「え、ちょっと静!?どこ行く気?待ってよもう授業始まるし――……」

ガラッ

早人「おまたせーみんな。じゃあ授業を……」

静「ゴメンッ早人先生ッ!」タッタッタッタ!

早人「え?待っ、静さん!?授業が……おーい!?どこ行くのー!?」

純「あわわ、早人先生あいつ調子悪いみたいだから!私保健室に連れて行きますっ!」タッタッタッタ!

早人「保健室は逆――……って、あーもう。知らないからね……静・ジョースター、バッテン……と」キュッ

…………

…………

ザッ!

静「……ハァ、ハァ……!」

純「し、静ァ……アンタ、足早すぎ……ヒーッ横腹イテェー……ハァハァ……」グッタリ

静「……」キョロキョロ……

純「い、いきなりどうしたの?……ここ……昨日アンタが告白された場所じゃあないの。『体育館裏』」

静「ええ……純、アンタも探すの手伝って」

純「は?何を?」

静「痕跡っていうか、なんていうか……とりあえずアヤシそうなもんよ」

純「……サッパリ意味がわかんないわ。……私こーいう格好してるし、結構エンコーとかしちゃったけど、成績は頑張ってキープしてて頭にゃあ自信あるんだけどさ」

静「さっきあたしの首を絞めた『背後霊』……一緒だったのよ。『声』が……」

純「……『声』ェ?」

静「『僕を見て』っていう声が一緒だったの。昨日告白してきた男子生徒とッ!!そして、今日彼は学校を休んだ……何かあるわ、絶対に!あたしは子供の頃『古畑任三郎』が好きだったから、こーいうの目ざといのよ」キョロキョロ

純「アメリカ生まれなら『刑事コロンボ』とか見ろよ。……っていうかさ、あのさ」

静「何?ボーッと突っ立ってないで一緒に探してよ。ここに何かあるはずだって……」

純「……彼、学校休んでるんなら……家にいるんじゃあないの?」

静「…………」

純「確かに昨日、ここで告白されたけど……それからずーっとここにヘバリ付いてた訳じゃあないでしょう、彼もアンタも。……もしアンタに取り憑いてるのがヤツの『スタンド』なのだとしたら、ヤツの家に行くべきじゃあない?」

静「……」

純「……静、アンタ起きてる?おーい?」ペチペチ

静「うーッ……ダメだ純。あたしもうダメ……完璧ダメ。全然頭が働かないの……感覚だけは冴え渡ってんのに。しんどいだるい……あたしが死んだら、アメリカのおじいちゃんのお墓の横に埋めて……」ガクッ

純「何縁起でもない事言ってんだこのヤローッ、一日二日寝ないだけで人が死ぬかッ!!」

ネチョッ!

静「うぶ……うえっ!何これっ!?」

純「は?」

静「ほっぺたに何かついたー……うげーっ、純ティッシュある?」

純「きたねーッウンコじゃあないでしょうね?地面に倒れっからそーなんのよ……あ、ちょっとこっち近づかないでよ不潔だから……」

ネト……

純「……何、これ?」

静「へ?」

グジュウ……

純「……静、動かないで。手でこするなッ!……これは……?」スッ……

静「……?」

ゴシゴシ……

純「……ウンコじゃあない事は確かね。ピンク色だし。……けどこれ……」スッ

静「!!……」

純「……『爪』……よね。どう見ても。……『親指』の爪だ。……親指の爪が、ピンク色の……グジュグジュの、肉に……くっついてる」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

純「……つ、つまり……どういう事?これ……」

静「……掃除の『し忘れ』……『見落とし』って事、かしら……」ブツブツ

純「ご、ごめん静……ちょっと吐きそう……ウゲッ」

静「我慢して。……これだけしか無い?他に落ちてない?」

純「勘弁してよ、草むらかき分けたら『全部』あるっていうの?んな訳ないでしょう……朝に部活の練習してる奴らが気付くし」

静「けど、昨日から今日までの間に、人が一人グジュグジュのミンチ状になって、それを誰かが掃除した……って、考えられない?」

純「そ、それはさすがに妄想のしすぎよッ!」

静「そうかしら?」

ガサッ……

純「……!!」

静が草むらをかき分けると、そこは……
そこの地面は、他とは違い、赤黒く染まって蝿がたかっていた。

静「……人一人分の血は、全部洗い流せなかったようね……結構綺麗に後始末されてるけど」

純「け、けどそれが、アンタに憑いてる背後霊と何の関係があるの?例えここで『誰か』が殺されたとしても、それは――……」ハッ!

静「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「……純、今すぐ『鳩無君』の家を調べるわよ」

純「ええ。……家にいればいいんだけどね……」

…………

本日はここまでです。

…………

カッカッ!

早人「子供が親に似るっていうのは遥か昔からわかってた事なんだけど、それをシッカリとした法則として発表した人がいるんだよ。知ってる人ー?……うんそう、メンデルさんだね。彼はエンドウ豆を使って遺伝の法則を――……」

カツカツ!

虻村「……なあオイ、静と純のヤツ、遅くねえか?そこまで保健室は遠くねェーだろうよ……中等部の保健室にでも行ってンのか?」ヒソヒソ

広瀬川「虻村君、授業中だよ」ヒソヒソ

虻村「気になるじゃあねーかよォー。また何か事件に巻き込まれてんじゃあねえか?盗撮事件みてえに」ヒソヒソ

広瀬川「どうだろう……そういや最近彼女の口から、事件の話とか聞かないね」ヒソヒソ

虻村「一時は少年探偵団みてぇーな事言ってたのに、冷たくねえか?そりゃー俺らはパンピーだけどよォ~~、何か一言くれえ言って欲しいじゃあねえか」ヒソヒソ

委員長「……彼女、今日は具合悪そうだったし、本当にマジで保健室で寝てるだけだろう。……そりゃあ遅くもなるよ」ヒソヒソ

虻村「けどよォ、それだと純のヤツが帰ってこねえのがおかしくねえかぁ?」ヒソヒソ

……ザワザワザワ……

「どうしたんだろ、あの二人……」

「そういや吉岡さん……他の人とあまり話さないのに、静さんとは打ち解けてるよねエー」

「二人とも結構イロモノっていうか……いや良い意味でさ。美人で綺麗で可愛いし、ツルむのは良い絵面なんだけど」

「アヤシイよねェ~~……ハッ!も、もしかして……二人って『ソウイウ関係』ッ!?キャーッ!♡」

虻村「『ソウイウ』って何だ?どういう関係だッオイぃ?」

広瀬川「あ、虻村君やめなよ……こっちが恥ずかしい」

ガヤガヤガヤ……

早人「そしてこのメンデルは――……なんだかうるさいなあ。みんなーッ、授業しっかり聞いてる?今話してる所、次のテストの範囲だよーッ?はいじゃあ虻村君ッ!」ビシッ

虻村「へっ?お、俺ェ?」

早人「遺伝学の祖、メンデルさんのフルネームと職業は?ハイ5秒以内ッ!!」

虻村「んなもんわかる訳ねェ――だろォ――がよォ――ッ!!職ぅ?学者かなんかだろッ!!!」バンッ!

早人「ブッブー。あ、こりゃあ成績バッテンコース決定かな?今ぼく喋ってたと思うんだけど……聞いてなかった?本当に?残念だな……スゴク残念だよぼくは」

虻村「グ……グギイ~~ッ!!こ、康司ッ答え何だ?『ソーイウ・カンケー・メンデル』かッ!?」

広瀬川「ち、違うよッ!それだと遺伝学どころか子供生まれないし……って何言わせるの、虻村君ッ!!」

委員長「……名前は『グレゴール・ヨハン・メンデル』……職業は『修道士』ですね。修道院での生活の中、エンドウ豆を育てて研究をしたと言われています」

早人「うん。正解だね。……虻村くん、しっかり聞いててよ~?大間くんを見習ってさ」

虻村「うッ、うるせえなあ先生ッ!俺ァー不良よ不良ッ!授業なんざちゃんちゃらおかしくってよォ――ッ!」

早人「あ、不良だったんだ……それにしては随分素行の良い不良だね」

虻村「にゃっ……にゃんだとォ~~ッ!?」ガタッ

委員長「先生!……保健室に向かったはずの吉岡さんとジョースターさん、少し帰ってくるのが遅いようですが……?」

早人「え?……ああうん、そうだね。まあ何か事情があるんじゃあないかな?(……『スタンド』絡みとか)」

委員長「クラスの皆、二人が気になって授業が身につかないようなんです。……僕が代表して、ジョースターさんの容体を確認しに行ってもいいですか?」

早人「あー……うん。そうだね。いいよ。君は授業しっかり聞いてるみたいだし、少しさっきの所復習しておくよ。……早く帰ってきてね?」

委員長「ありがとうございます。では……」スッ

ガラガラ……

虻村「理由かこつけてサボんじゃあねえぞ~~委員長っ!」

早人「虻村くん、君は他人の事気にしてる場合じゃあないよ。ハイ!メンデルさんは何を使って遺伝学の研究をしたでしょう!?」

虻村「また問題かよォー!?しかも俺ばっかり!今日は康司の列じゃあねえのかよォ――!!」ヒィーッ!

委員長「……」

ガラガラ……ピシャンッ

…………

…………

「そうねえ……あの子昨日帰ってこなくって。こういう事は珍しいんだけど。ほら、あの子って優しくて、約束事なんて破った事ないじゃあない?」

純「…………」

「警察に電話しようか、って言ってたんだけど、あの人ったら『男には数日親から離れたい時もあるもんだ』とかわかったような事言って……同じ男として、母親の私にはわからない事もあるんでしょうけど……ほら、まだあの子ったら16歳でしょう?あ、貴女もでしたっけ」

純「ええまあ、ハイ……そうですね」

「私からしたらまだまだ子供だし、面倒見てあげたい子なのよ。優しいけど、少し危なっかしい所もある子だからね……それが母親の私に何も言わずに外泊なんて……さっき先生からかかってきた電話には風邪だって言っておいたけど、不安だわぁ……なんだかいきなり大人になったみたいで、お母さん寂しいし」

純「…………はぁ」

「あ、お茶でも飲んでく?ごめんね、玄関先で長々と……吉岡さん、でしたっけ?貴女もしかして、レイちゃんの彼女?……それにしては、フーン。大胆な……あ、いえいえこっちの話!オホホ!」

純「彼女じゃあないです。彼とは、あー……クラスメイトで、そのー……委員長……そう!委員長の私が、その、いつも元気で休んだ事なんてない、はと……鳩無レイ、君?の、お見舞いに来ただけで……」

「へーえ、そう?……それはどうもどうも……」ジロジロ

純「あー……まあそうですね。お家に帰ってないのなら、ハイ。……私も学校に戻ります。……あ、大丈夫です、先生には上手くごまかしておきますので。……ハイ。それでは……」

ザッ

テクテク……

純「……ハァー」ゴソッ

ピッポッパ

プルル……

静『……純?』ピッ

純「ハーイ、静。良いニュースと悪いニュースがあるわ」

静『……何よ、それ』

純「アメリカ生まれのアンタに合わせてやってんの。こーいうのなんでしょ?アメリカって。どう?クール?」

静『あたし、生まれは杜王町なんだけど』

純「そうなの?まあいいわ。まず、良いニュースなんだけど……彼マザコンだったわ。いい歳してさ。っていうか母親がベッタリ。若作りしてっけど、あれ絶対トシいってから生まれた子よ。オゲェー!ヘドが出るわね。アンタふっといて正解」

静『……』

純「……悪いニュースは、例の彼……昨日帰宅していない。家族にも連絡せず失踪しているわ。思った通り。……今はまだ警察に届け出していないけど、母親の性格からして今日にでも届けは出そうね」

静『……』

純「私詳しくないけどさ、捜索隊とか出てきたら色々面倒なんじゃあない?ほら、最後に会った人はアンタなんだし、警察から質問攻めに合うかも。それに体育館裏とか封鎖されちゃったら、私らが捜査出来なくなるじゃん。だからさ――……」

静『…………グー……』

『ガッ!ギギギッ!ドガッ!うっ!この……ドカドガッ!……チクショーッ!……バタンバタンッ!』

純「……静?」

静『ゲホッ!……何でもない。以前問題はないわ。……で、何の話だっけ?』

純「……」

…………

…………

純『アンタさ……人を使いっ走りさせといて、自分は昼寝こいてるっていうの!?何してんだコラアッ!おーい起きてるかーこのグラサンッ!!』キーンッ!

静「起きてる……しっかり起きてるっての。今自分で自分の顔面殴ったら超~~スッキリした。いやマジで」ヒリヒリ

純『若いんだから、徹夜の一つ二つくらい普通にやれっ!!』

静「ちょっと前に言ったかもしんないけど、徹夜する気のない徹夜って本気でしんどいのよ。わかる?本当、今なら歩きながら寝れるわ……ふぁ……」

純『こっちはな、徹夜でしんどそうなアンタを気遣って鳩無ん家に行ってやってんの。だからアンタも必死こいて何か手がかり見つけなさいよっ!何かあったの!?』

静「何も……『ワイルド・ハニー』でその辺の草むら消したりして探してるけど、何も無いわ。ここの地面以外はね」

純『……焼け焦げた跡とかは?』

静「え?何?」

純『この殺人――……殺人って言わせてもらうわよ。この殺人の犯人が『ウォーケン』なのだとしたら、ヤツは死体を消すはずよ。どんな能力か詳しくないけど、少なくとも……ヤツは物を『燃やす』能力を持っている』

静「……待って、純」

純『何よ、まだネボケてんの?』

静「……もし、鳩無君が『ウォーケン』に殺されたのだとしたら……そもそも血なんて流れないでしょ。本当に『燃やす』能力を持っているなら、こんなに地面を汚さず済んだはずよ」

純『……』

静「それに、『ウォーケン』が殺すのは『悪人』のはず……彼、悪いヤツだったの?親からどんな子だって思われてた?」

純『……心優しい、良い子だってさ。母親ベッタリ』

静「……」

純『……けど、他に無差別殺人するようなヤツ、いるの?この杜王町に?いや可能性が無い訳じゃあないけど……』

静「……もしかして」

純『え?』

静「あたし……おじいちゃんから聞いた事があるの。『弓と矢』……人をスタンド使いに変えるその道具は、矢のエネルギーに耐えられない者を殺してしまうって」

純『弓と矢……私を貫いたヤツか!もしかして、彼もそれに?』

静「……」

純『つまり……あの野郎スタンド使いになって逃げてるって訳かッ!それで遠くから静に嫌がらせしてんのね~~ッ!セコイ奴だわ、○○○○ついてんの?クソッ!』

静「いや、純。この地面に染み付いた血の量……ただ『弓と矢』に貫かれただけでは、こうはならないわ。それに、爪が落ちてたでしょ?彼は……きっと、『矢』に貫かれて、死んだのよ」

純『……けどそれじゃあ……!!つ、つまり……これがか?これが『スタンド能力』?』

静「ええ。……あたし今まで、『彼は死んだから背後霊になった』と思ってた。……けど違う。本当は……『彼は背後霊になったから死んだ』のよ。そういう能力。彼の身体は耐えられなかったけど、その魂は……スタンドエネルギーは、形となってあたしに『取り憑いた』……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

『ボクヲミテ……ミテヨォ……ネェ……!!』

静「……」タラリ

純『……幽霊も、生命エネルギーの塊って訳か。……けど、どうするの?鳩無が死んだのだとしたら、とっちめるなんて不可能だし……ウォーケンに繋がる手がかりも無い』

静「…………」

静「ごめん、一回電話切るわ」

純『ん。……何か思いついたの?』

静「何も。……ただ、こういった所を捜査するんだったらさ。あたし達よりももっと『適任』がいるでしょ?」

純『……?』

静「双馬の『ペーパー・バック・ライター』よ。アイツの能力を使えば、この現場からウォーケンを追えるかもしれないッ!!」バン

純『!……なるほどね、物質を紙に変えて情報を読む能力ッ!今まではあの殺人鬼、暗がりで顔隠してたけど……告白したすぐ後なのだとしたら、時刻は夕方ッ!その時に鳩無を『矢』で貫き殺したんだとしたら、マジで顔わかるかもッ!』

静「ええ……」

純『……あ、けど私はマジで、ウォーケン繋がりはヤだからな。アンタの背後霊については手伝ってあげるけど、そっちの方はノータッチ!絶対ムリ。我が身が可愛いわ。純ちゃんマジ可愛い』

静「……わ、わかったわよ……アンタは手伝わなくていいから……」

純『本当に?絶対?命かける?アンタがどんな危機に陥ろうが私は助けないわよ。わかってる?』

静「わかったって!……ホンット、アンタ嫌なヤツね~~……」ハァー

ピッ!

静「……ふう……」



……タッタッタ……

委員長「全く、何処に行ったんだ彼女たちは……保健室にいないし……」キョロキョロ



静「さてと、電話電話……っていうか双馬、今授業中?……出るかな、アイツ……」ピッピッ

ザッ

委員長「!……こんな所にいた、静さん!」

静「え?あ、委員長……」クルッ

静「何か用?……って、あ。そうか……あたし達、勝手に出て行っちゃったんだっけ。……ゴメン、すぐ戻るからさ……」

委員長「それならいいんだが……こんな所で一体何を?静さん、本気で具合悪そうだったけど、保健室行かなくていいのかい?」

静「あー、大丈夫。具合悪いのはマジだけどさ。ふぁー……すぐ保健室行くわよ、用事済んだら。……っていうか委員長、よくあたしの場所わかったわね……」

委員長「ああ、君たちの姿を見た人がいてだな、それで――……あッ!!静さんッ!!!」

静「え?」

委員長「危ないッ!!!」

ドガッ!!

静「!?ぐっ……!?」

突如、静の後頭部に、
鈍く重い『痛み』が走った。

静「な、んッ……ぐううッ!?」グラッ……

バタッ!!

委員長「静さんッ!?大丈夫かいッ!?」

静「い、一体……何……が……?」ダクダク……

委員長「『植木鉢』だよォ~~ッ!植木鉢が上から降ってきたんだッ!きっと窓際で不安定に育ててたんだッ!ああっ!し、静さん……血だらけだッ!頭から血がッ!!」

静「ぐ……」ボウッ……

ガシッ!

『……ボクノコトヲ、ミテホシイ……オキテルアイダジュウ、ズット……ボクノコトヲ、カンガエテ……!!』

ギリリッ……!

静「!!……離れ、ろッ……!こいつ……ハァハァ!……や、やれやれね……!!」ムクッ

委員長「あ、あああ~~ッ!きゅ、救急車っ!いや保健室かっ!?とにかく手当して、しっかり休まないと……!!」

静「いや……委員長、あたしに今そんな『余裕』は無いッ!こうなったら、あたしがマジに気絶する、その前にッ!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「……こいつとは片を付ける」

バ ン !

委員長「!!……」

静「……なんつーアクシデントよ……5月生まれの牡牛座は今日最下位かァ~~?うう……」ガックリ

…………

本日はここまでです。

…………

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「ハァ、ハァ……」ズリッ

ズル……ズル……

『シズカサン……オモッテホシイ。ボクノコトヲ……!』ズズッ……

静「うっせェーわよ……あたし今意識ハッキリしてんでしょうが。黙ってて。……ハァ、ハァ」ピッポッパッ

プルルルル……

双馬『……はい』ガチャッ

静「あ、双馬?あたしだけど――……」

双馬『あのな、静。今の時間普通なら授業中だぜ?そんな時に電話かけるか?普通?迷惑ってモンじゃあないぞ全く……』

静「あ、ゴメン。……今『普通なら』って言った?」

双馬『言った』

静「……何処にいんの、今」

双馬『片平町』

静「何処って?」

双馬『片平町だよ。まあ確かにこの辺りは何も無いからな……知らなくても無理は無いか。外人だしな、お前』

静「戸籍はそうかもしんないけど血筋はたぶん日本人よ。ていうか片平町、前行った事あるし。そうじゃあなくて、なんでアンタそんなトコいんの?学校は?」

双馬『サボッた』

静「アンタ……人に説教出来る立場?」

双馬『まあ聞け。この近辺でチェスタの目撃情報があるんだ』

静「!!」ゴクリ

双馬『僕が地道なリサーチで見つけたんだ。お前らがグースカ病院のベッドでおやすみしてる間、頑張ったんだぜ?……ああ、目撃といっても人からの情報じゃあないぞ。アスファルトから聞いた。いや、正確には『読んだ』か』

静「で、どうなの?何かあった?」

双馬『いや、フーッ……何分広いからな。それに今着いたばかりだ。これから奴らが通りそうな、人通りの少ない道に行って情報を読むつもりだが……何か用か?静?こんな時間に電話とは……珍しいな。初めてか?』

静「ああ、えっと……何から話せばいいのかわかんないんだけど……ううっ」ヨロッ

ガシッ

『……ボクヲ……ミテ……』ギギギ……

双馬『?……静?』

静「だ、大丈夫……ゲホッ」

双馬『誰かと一緒にいるのか?声が……聞こえたようだが?』

静「何でもないわ、何でも……あのね、双馬。アンタのその無敵の能力で調べて欲しい所があるの」

双馬『明日でいいか?』

静「絶対ダメ。明日じゃあなく今」

双馬『チッ、面倒臭い……落し物とかじゃあないだろうな~~。そんな下らない事で呼び戻すんなら許さないぞ。意外としたんだからな、電車賃』

静「アンタ、時々ケチくさいわよね……ハァ……」

双馬『……』

静「……」

双馬『……スタンド絡みか?』

静「ええ。かなりマズいわ……けどアンタの力があれば、『ウォーケン』の正体に近づけるかもしれない……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

双馬『よしわかった。すぐ戻る。僕の家の前で待ってろ』

静「遠いわよ、バカ。駅前でいいでしょ?そこからなら30分もかからないだろうし」

双馬『……着替えたかったんだが』

静「知らないわよ。言っとくけどこっちも切羽詰まってんだからね」

双馬『死ぬなよ』

静「……死なないわよ。あたし、静・ジョースターよ?ふふん」ダラッ……

双馬『……フン』

ガチャッ

ツーツー……

静「……フウ、駅前も結構遠いのよね……双馬ん家よりかはマシだけど。クッ……血ィ止まらないわね。これ他の人から変な目で見られない?も~~ッ」ゴシゴシ

『……』

静「ハァ、ハァ……寝不足だししんどいし頭が物理的にイテーし、波紋の呼吸全然出来ない……早いとこ双馬と合流して、何か見つけてもらうしかないわね……」ヨロッ……

ヨロヨロ……

・ ・ ・

「おい、見ろよチェスタぁ~~ッ。見えるか?見てるか?『静・ジョースター』だ。静が死にかけのフラフラだぜ。ウケッ!ウケコ!ウコケウケコッ!」

『ギギーイ……』

ウォーケン「クク……」

ド ン

サカナ『……』

ウォーケン「こんな所で出会えるとはラッキィ~~イだな。見てるだけでも死にそうだぜ……頭から血を流してるようだが、何かあったのかな?彼女?」

サカナ『白々しいな』

ウォーケン「うん?」

サカナ『……『植木鉢』を彼女の頭に落としたのは、お前だろう……ウォーケン』

ウォーケン「……うん。まあね」ニタァ~~ッ

ウォーケン「丁度いい所に植木鉢があったもんだからさ、ついうっかり窓を割って落としちゃったんだ……悪気は無かったんだぜ?こうも綺麗にクリーンヒットするとはなァ~~ッ。『背後霊』の地味な嫌がらせが効いてたか?」

サカナ『……』

ウォーケン「これだけフラフラだと殺すのも容易いだろうな。フフフ……さァ~~て!どういたぶってやろうか……?」

サカナ『ウォーケン、貴様の役割は『36名以上の魂を集める事』であるはずだ。メイから静の殺しは命令されていない』

ウォーケン「……チッ、うっせェナマ魚だ」ボソッ

サカナ『……何?』

ウォーケン「……」

ウォーケン「チェスタ、お前もわかっているだろうが……メイは静・ジョースターを恐れている。いや、彼女はジョースターの血統を恐れているのだが……ことさら静・ジョースターを恐れている。何故かメイには静の居場所がわかるしな。つまり彼女はメイの安眠を妨げているという訳だよ」

サカナ『……』

ウォーケン「今まで生み出してきた『スタンド使い』は何をした?静を攻撃したよな?その結果は?……全員返り討ちにあって、そのうち一人は味方になってるじゃあないか。……馬鹿か?メイのためを思うなら、他のクズの代わりをするべきなんじゃあないのか?メイにベッタリくっついてイチャイチャしてる場合か?オイ?」

サカナ『……』

ウォーケン「なあ、僕は何か間違った事言ってるかよォ~~ッ?聞いてるか?この『サカナクション』は何だ、味覚食うヤツか?耳に自信無いのか?何ならお前本体が出向いて僕とお話でもしようか?ン?」

サカナ『……お前では、静・ジョースターに『勝てない』……!』

ウォーケン「……はあ?」

サカナ『やめておけ。お前は……強大な力を手に入れてはしゃいでいるだけの、ガキだ』

ウォーケン「……ハッ、何かと思えば……お前よりあの背後霊の方がよっぽど使えるんじゃあないか?メイの隠れ家のすぐ近くまで嗅ぎつけていた双葉双馬を杜王町に呼び戻したり、静を弱らせたりと、相当仕事してるぜ。いいか、僕がはしゃいでるだけのガキだと?僕は自分の能力をよォ~~く理解しているし、それに――……」



静「ハァ、ハァ……」ヨロヨロ……

……ボコッ

静「……え?」

ボコ……ボコ……

静「……」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静(何?……目の前の地面が……アスファルトの一部が、泡立ってる?……『沸騰』してる、の?……いっ、たい……?)

ボコ……ボコボコ……

……――ボコボコボコッ!

静「!!――な、なんだかわかんないけど、ヤバッ――」

ドッグオォォォオオオン

静「グエッ!」

ンンン……ン



ウォーケン「……僕が静・ジョースターと『戦う』なんて、一度でも言ったか?」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

「キャー!!」

「何だ、一体ィィ――ィィッ」

「『ガス爆発』だッ!地中を走ってるガス管が爆発したんだよォ~~ッ!!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

ウォーケン「グッド。適当に『沸騰』させた割には上手いこと爆発したな……死んだか?死んだかよ静は。コナゴナになったか?クク……!」

サカナ『ウォーケン!……何というマネを……!』

ウォーケン「あーあーあーうるさい黙れ。お前は引きこもって小言言うくらいしか出来ねえのか~~っ?問題無いだろ!これで一般人が巻き込まれたとしてもさ~~ッ、もしかしたら『極罪を犯した魂』かもしれないしィ?」

サカナ(危険なヤツだ……やはり、こいつは……!!)

ウォーケン「グダグダ言ってねえで、行くぞホラ。さっさと――……」

サカナ『!待て!あそこにいるのは……!』

ウォーケン「ん?」チラッ



……タッタッタ……

純「うわ、一体何の騒ぎよ……爆発?スゲェー煙なんだけど……静のバカ、巻き込まれてないでしょうね?もう……」キョロキョロ

ウォーケン「!……『吉岡純』か。面倒だな……なんて能力だっけ?」

サカナ『『ルビー・チューズディ』……賭けに負けた者の身体をルビーに変える能力だ』

ウォーケン「1対1ならいいんだよ。逃げられたとしても地の果てまで追いかけて殺せばいいんだからな~~……けど二人はダメだ。一人に対して二人は追いかけられないじゃあないか。マジむかつくぜ……分身でも出来たら別だが」

サカナ『……』

ウォーケン「ああ。言うまでも無い事だが、お前の事は信用してないんでな、チェスタ。僕の正体を知る者は僕の手で殺したいんだ。2対2だと思うなよ?」

サカナ『……フン』

ウォーケン「負けはしないが……身体がルビーに変えられたら嫌だぜ、僕は。右手をカチコチに変えられでもしたらどうする?絶望だ。それってあいつを殺せば元に戻るのか?戻らなかったらどうするんだよ、どうやってチンポをしごけっていうんだ?ン?」

サカナ『……黙れ』

ウォーケン「プッ!……こうなりゃあ当初の予定通り、この爆煙に紛れて静に……完全なるとどめを……刺す!……」

サカナ『……ギイーッ』

ブワァァアア……

純「うっわ、マジ何も見えねェー……っていうか、怪我してる人いんじゃん!だ、大丈夫ですか?」ワタワタ



ウォーケン「よーし、吉岡純のやつは他の事で手一杯のようだな。この煙だと何処に誰がいるかもわからんだろう、さっそく――……」

キョロキョロ

ウォーケン「……?……」

サカナ『……』

ウォーケン「おい、チェスタ。静は何処だ?……いないぞ」

サカナ『……そのようだな』

ウォーケン「『そのようだな』じゃあないッ!!取り逃がしたのかッ貴様ァーッ!?」グオッ!

サカナ『これはお前が起こした行動だろう?この爆煙も……お前が引き起こしたものだ。お前が……お前が自分の行動の責任を取るべきなんじゃあないのか?俺に責任をなすりつけるのか?……偉そうな事言ってた割には……やはり小物か、お前』

ウォーケン「!!……お前、知ってて知らないフリをしてるのか?」

サカナ『いいや。俺にもサッパリだ』

ウォーケン「……」

ウーウーウー……

ウォーケン「チイ……消防車やら救急車やら、色々来やがったぜ。……人目につかないように殺すのは無理か……!」

サカナ『……』

ウーウーウー……

ウォーケン「……何処に消えやがった、一体……静・ジョースター……!!」ギリッ!

サカナ『……』

…………

今回はここまでです。
次回で十四話完結です。

…………

静「ハァー……ハァー……!」ズルッ……

チュンチュン……チチ……

静「一体何だったのよ、今の爆発は……ハァハァ、もう本当に……限界、だっての……」

ズズッ……

静「歩かないと……寝たら、あ、あたしは……!」

ガッ!

静「ぐッ!?」

『ネエ……シズカサン』ズズズ……

『カンタンナ、コトナンダ……ボクノコトヲ、オモッテホシイ。コウシテ『ダキシメテ』アゲルカラ……ズットズット、イッショ……ネ?』ギュウウ……

静「かは!……ハァハァハァ……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「い、今……この時になって、やっと『わかった』……。この背後霊は、『攻撃』をしてるんじゃあない。こいつは……!」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

静「あたしの事を『愛してる』……ただ、それだけなのね」

『……』ニコォ~ッ



静(けど、もう駄目だわ……限界。意識が、遠――……)

グ ラ ッ ・ ・ ・

ドッサァ――z__ッ

『ウギィ――ッ!!』ガバッ!

ギリイッ!

静「ウゴ……ハァハァ、もう駄目よ、あたしは……もう目を開ける事なんて出来ない。アンタの事を考えるなんて無理……もう『限界』なの。何が……」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

『シズカサン!イッショニ――……』

静「……何があっても、決して……『目を開ける事なんて出来ない』」

『…………?』

ブワッ



『!!!?』




突如、無数の『手』が現れ、
『背後霊』をガッシリと掴んだ。


ガシ

  ガシ

    ガシ

『ウオオオオオォォォォオオ!?』

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

静「アンタ、あたしの背中にガッシリ『取り憑いてる』って事はさ、ハァハァ……あたしが『振り向くように』倒れたら、一緒に『振り向いちゃう』んでしょう?あたしは何も見えてないけど」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

『シズカサン……シズカサァン!?オオオオオオ』

静「あたしがアテもなくただブラついてるだけかと思った?駅に向かってるかと思った?最初からここを目指していたのよマヌケーッ!この『振り向いてはいけない小道』をね――ッ!!」

ド――ン!



静(兄さんには聞いてたけど……本当にこんな所があるとはね。怖~~ッ)

『ドウシテ!?ボクハキミヲ……オオオォォォォオオ!』

静「……一つだけ、言っておくわ。世の中の常識(ルール)なんだけど」

『!?』

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨



静「しつこい男は、嫌われるわよ?」

『オ……オオオオオォォォォォォ……』

ドギュウウウゥゥゥン

ォォォォ……

静「……ハァ、ハァ……」

チュンチュン……チチチ……

静「……は~~っ……」

バタッ!

静「目を開ける事なんて出来ない……マジで。早いとこ双馬の所行かなきゃ、だけど……うう、家に帰って兄さんのクレイジー・ダイヤモンドの方がいいな。ていうか、とりあえず……」

ゴロンッ

静「少し寝る」

……グー、グー……

…………

…………

カァーカァー……

静「う~~ん……えっと、たぶんきっと絶対『気のせい』だと思うんだけど。え~~……」

テクテクテク……

静「……」

ピタッ

静「……迷ってない?あたし」タラリ

静「もう何時間ここウロウロしてんのよ、あたしィ~~ッ……結構寝ちゃったし、もう日も傾いてない?ヤバいわ……マジでヤバい。グレートにヘビーだわ」

キョロキョロ

静「さっきも見たわよね、このポスト。……犬のフンくらいキチッと片付けなさいよね、もう。……んー、もしかしてひょっとすると、マナーのなってない飼い主さんがいっぱいいるとか、そういうのかもしれないけど……踏んづけちゃうようなツイてない人がいっぱいいるとは思えないしィ……」

グルグル……

静「けど、あれ?あたし今『右』に曲がって、次に『左』に曲がったわよね?」

・ ・ ・

静「二回曲がっただけで同じ所、戻るか?普通?……寝てる間にヘンな所連れてこられたのかな。ンな訳ないわよね~~。……こんな事なら兄さんに『振り向いてはいけない小道』について詳しく聞いといたら良かった……あーもうッ!」

ジタバタ!

静「一体帰り道はどっちなのよ――ッ!?」

ヒイーッ!



「こっちよ」スッ

静「…………」ポカーン

「この道をまっすぐ進んだら、オーソンの所に出られるわ」

静「……」

「……フフ、まさか迷い込む人がいるなんてね……」

静「えっと、貴女は……?(綺麗な人……)」

「あなた、静ちゃんでしょ?」

静「えッ!?あ、えっと……そうですけど……何処かで会いしましたっけ?」

「ええ、すごく昔にね。あなたがジョースターさんに抱っこされていた頃の話よ。……仗助くんは元気?」

静「えっと、元気です。とっても……そろそろ結婚相手とか見つけて欲しいですけど」ボソッ

「露伴ちゃんは?」

静「あまり会った事は無いですけど、現役バリバリで漫画描いています。売れっ子で忙しいらしくって……」

「ふふふ……そう」

静「……」

静「えっと……兄さん達の知り合いの方、ですか?」

「ええ、そう。久しぶりにね……無理を言って帰って来たの。といっても、すぐに戻らないといけないけれど」

静「あ……そうなんですか」

「この道をまっすぐ……振り返らずに進めば帰る事が出来るわ」

静「はい」

「いい?決して後ろを振り返ってはいけない……」

静「あ、それは聞いてます。兄さんに……」

「……静ちゃん」

静「へ?」

「あなたは『決して後ろを振り返ってはいけない』……これから先、目を背けたくなるような酷い出来事や、逃げ出したくなるような怖い出来事に、あなたは巻き込まれてしまうでしょう。……けれど、この道を通って、今までの『日常』に戻るのなら……あなたは、振り返ってはいけないの。たとえ、背後にどんな恐ろしいものがあったとしても」

静「……」

「……わかる?」

静「……い、いえ。ちょっと難しいですけど……」

「……」

静「けど、あたしが戻るべき場所は……仲間と敵がいっぱいいて、辛いけど、楽しい……そんな杜王町の『日常』です」

「……そう。……頑張ってね」ニコッ

静「ありがとうございました。そのー……えっと、お名前は?」

「いいの、名前なんて。……お兄さんによろしくね?」

静「えっと……はい。伝えておきます」ペコリ

「ええ、お願い……」

静「……」クルッ

ザッ――

「……」

・ ・ ・

「……静ちゃん……あなたには、辛い戦いを押し付ける事になってしまうわね……」

「けど、大丈夫。……あなたの中には、しっかりと宿っているわ」

「かつてこの町のために戦った仗助くん達と同じ……『黄金の精神』が」

ザァッ……

…………

…………

静「……ふはぁ~~ッ!やっと帰ってこれた……って、ん?」

ガヤガヤガヤ……

静「……なんか、人多いわね……なんだっての?オーソンでアニメグッズのキャンペーンでもやってる?……アメコミのだったら買って帰ろうかな……この格好じゃあ流石にマズい?」

純「あ――ッ!!静ッ!?一体何処行ってたのよアンターッ!」バッ!

静「お、純じゃん。ハロォ~~ご機嫌いかが~~?」

純「んな事言ってる場合かッ!」ベシッ!

静「痛いッ!純今それマジで駄目だからッ!」

純「ずーっと電話かけてたのに出やがらないし、も~~ッ!心配かけさせんなッこのボゲッ!あっ、しかもアンタ超血まみれじゃん!ちょ、大丈夫!?使い古された雑巾みてーにボロボロよっ!?」

静「痛みとか出血は、一応呼吸で止めてる……寝たら少し元気出てさ。けど正直けっこーギリね。ギリチョン」

純「もしかしてアンタ、この爆発に巻き込まれてたの!?ヤバいじゃん……道路すっげェーめくれてんのよ。噴火した後みてぇーに。アスファルトの破片が近くの家に突き刺さってるしさ。今もこの野次馬の群れだし……」

静「爆発?……あー、なんかそんなのあった気が……」

純「ガス爆発だって。10数年前にも同じような事故が近くであったらしくってさ……もう怖いわよね本当」

静「ガス爆発?……(けど、あたしが見たのは……?)」

純「とにかく学校……いや病院?保険医にこの怪我は無理よね、マジで」

静「あ、出来たらあたしん家がいいんだけど。兄さん帰ってると思うし……」

純「あーはいはいはいはい。わかったわよ。……おんぶ?抱っこ?『お姫様抱っこ』は金取るわよ。追加料金」

静「肩貸してくれるだけでいいわよ……ゴメンね、迷惑かけるわ」

純「もう今更よ、そんなの……」ガシッ

ヨロヨロヨロ……

純「……そういやアンタ、『背後霊』は?」

静「……あー……」

純「?」

静「フッてやったわ。しっかりと、ね」ニカッ

純「……良い女になるわよ、アンタ……」

静「フフ……」

・ ・ ・




静「……あれ?なーんか忘れてるような……気のせいかな?」ハテ?

…………

…………



双馬「……遅い……静のやつ、駅前で待ち合わせといっておいて何時間待たせるつもりだ……クソ……」ブツブツ



…………

――双葉双馬……結局静に忘れられて、この後数日間スネる事に――

⇐To be continued=・・・?

スタンド名― ホワイ・ドゥ・フールズ・フォーリンラブ(恋はくせもの)
本体―鳩無 レイ(享年16歳)

破壊力―C スピード―なし 射程距離―E
持続力―A 精密動作性―D 成長性―D

死ぬ間際に彼が思った『静・ジョースターへの愛』が、エネルギーを持ったヴィジョンとしてこの世に残ったもの。
静・ジョースターを愛し、彼女と一緒になるまで、彼が離れる事は無い。

元ネタはビーチボーイズの曲『Why Do Fools Fall In Love』から。
鳩無レイという名前は、
失恋→ハートブレイク→ハートが無い
レイ→幽霊
から。

これにて十四話完結です。ありがとうございました。
次回の話は
静「ぼくは未来人」
で行く予定です。
また宜しくお願いします。それでは

次スレです。

静「ぼくは未来人」
静「ぼくは未来人」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445436858/)

ではまた、よろしくお願い致します。

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