【俺ガイル】静かな湖畔 (47)

原作無視・キャラ崩壊
色々と注意

結衣視点で物語は進行します
一日に3~10ほど投下

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雪乃「比企谷君、あれほど噛んだガムは可燃ゴミに入れなさいっていったのに……」

 ――クチャクチャ

結衣「ゆきのん、なにしてるの」

雪乃「……」

 ――――クチャクチャ

結衣「……」

雪乃「……?」

 ――――――クチャクチャ

結衣「……」

雪乃「あぁ」


 ――ゴクン


雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「あげないわよ」

結衣「ゆきのん、そこじゃないよ」

雪乃「……」

 ――ズズッ

結衣「ゆきのん、何飲んでるの?」

雪乃「お味噌汁よ、お弁当と一緒にと思って魔法瓶に入れてきたの」
雪乃「由比ヶ浜さんにも、おすそ分け」

結衣「……」

 ――ズズッ

結衣「さすがゆきのんお料理上手だね」

雪乃「ありがとう、お味噌汁って、ダシが重要なのよ」

 ――ズズッ

雪乃「あら、比企谷君どうかしたのかしら?」
雪乃「え?昨日この辺りにジャージが無かったか、って?」
雪乃「知らないわよ、そもそも体育で使用した、貴方の汗臭いジャージなんて部室に持ち込まないで頂戴」
雪乃「それはテロにも等しい行為よ」
雪乃「わかったらさっさと行って頂戴、貴方がそこにいるだけで、ご飯が美味しくなくなるわ」
 
結衣「……」

雪乃「……そう、ダシが重要なのよ」

結衣「ヴォエ!!!」

雪乃「……」

 ――ズズッ

雪乃「今度は何かしら?」
雪乃「え?戸部君が間違えてた?貴方のジャージと?」
雪乃「ヴォエ!!!」

結衣「ヴォエ!!!」

結衣「ゆきのん、今日のお弁当はサラダだけなんだ」

雪乃「そうね、でもドレッシングは手作りなの」
雪乃「塩・胡椒・オイルでシンプルに頂くの」
雪乃「由比ヶ浜さんにも、おすそ分け」

結衣「ほんとだ、野菜の味がしておいしいね」

雪乃「あと」
雪乃「ごめんなさい、あまりこういうことを言うべきではないのだけれど」
雪乃「由比ヶ浜さん、貴方臭うわ、夏が近づいて来てるし、気をつけて」

結衣「……」

雪乃「お肉ばっかり食べてるから」
雪乃「貴方は臭いのよ」
雪乃「もっと野菜を食べなさい」

結衣「わかったよ、ゆきのん」

雪乃「あと」
雪乃「143枚よ、確か」
雪乃「比企谷君に使ったあぶらとり紙の枚数」

結衣「ヴォエ!!!」

雪乃「ねぇ知ってるかしら、由比ヶ浜さん」

結衣「どうしたの、ゆきのん」

雪乃「臭いついでで思い出したの」
雪乃「人の頭皮ってすごく臭いのよ」
雪乃「どれだけ素敵な女性、可愛い女性であっても、それは例外でないの」

結衣「そうなんだ」

雪乃「貴方の頭皮はどうかしら」

 ――スンスン

雪乃「――クサッ!!!」

結衣「……」

雪乃「酷い臭いだわ、貴方のことだから臭いとはわかっていたけれど」
雪乃「正直、酷すぎるわ、耐えられない」
雪乃「小さい頃に行った、厩舎みたいな臭いがする」
雪乃「でももう一度」

 ――スンスン

雪乃「クサッ!!!」

結衣「……」

雪乃「本当に酷い」
雪乃「お願いだから自分の尿をシャンプー代わりにするのはやめて頂戴」

 ――スンスン

雪乃「ヴォエ!!!」

結衣「ゆきのん、おこるよ」

雪乃「ああ、本当に酷い」
雪乃「あ、そうだわ、逆に女性なら必ずいい匂いがするところがあるの」
雪乃「どこかわかるかしら?」

結衣「わかんないよ、ゆきのん」

雪乃「下着と、胸の間」

 そう言って私の首元から手を差し込み、
 ぐに、ぐに、と

雪乃「下着に染み付いた柔軟剤の香りと」
雪乃「胸からの体温と汗」
雪乃「混じるのよ、わかるでしょ?」
雪乃「……こんなものかしら」

 ――スンスン

雪乃「ヴォエ!!!」

結衣「……」

雪乃「さすがね」
雪乃「ここが臭いということは、もうどうしようもないわね」

結衣「……」

 雨が降っていた
 彼女はただぼーっと立ちすくんでいた
 時折、なにか考え事をしているようなそんな表情をしてたと思う

 ぼーっと
 ぼーっと
 ぼーっと
 傘もささずに

 なんだか邪魔をしちゃいけない気がして
 私は裏口へ向かった

続きは今日の夜に投下

雪乃「由比ヶ浜さん、これ、貴方にあげるわ、制汗スプレーよ」

結衣「ありがとう、ゆきのん」

雪乃「お礼はいいから、早く使ってくれないかしら?」

結衣「……」

 ――プシューーー

雪乃「違うわ、鼻からよ」

結衣「……」

 ――プシュ

結衣「ヴォエ!!!」

雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「早くして、何、どうして私を苛つかせるの」

結衣「……」

 ――プシューーーーーー

結衣「……」

雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「デトックスよ」

結衣「ヴォエ!!!」

雪乃「あら、由比ヶ浜さん」

 ――ペチャペチャ

結衣「ゆきのん、なにやってるの」

雪乃「見ればわかるでしょ」

 ――ペチャペチャ

結衣「……」

雪乃「男性のフェロモンって、耳の後ろと、睾丸の裏が特に分泌量が多いの」

結衣「……」

雪乃「そして私が舐めているこれは、比企谷君のイス」

 ――ペチャペチャ

結衣「……」

雪乃「もうこれは、彼とセックスを経験したと言っても過言では無いと思うのだけれど、どうかしら」

 ――ペチャペチャ

結衣「そうだね、ゆきのん」

 ――ペチャペチャ
 ――――ペチャペチャ
 ――――――ペチャペチャ

雪乃「由比ヶ浜さん、覚えているかしら」

結衣「なんのこと、ゆきのん」

雪乃「林間学校の時」
雪乃「比企谷君、水着姿の貴方の胸を何度も、何度も見てた」

結衣「……」

雪乃「比企谷君、その後、川の水で顔を洗ってたわ」

結衣「……」

雪乃「私、実はあの時、みんなと川遊びを楽しんでるフリをしながら、その、放尿をしてたの」

結衣「……」

雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「もうこれは、彼とセックスを経験したと言っても過言では無いと思うのだけれど、どうかしら」

結衣「そうだね、ゆきのん」

雪乃「由比ヶ浜さん、覚えているかしら」

結衣「なんのこと、ゆきのん」

雪乃「比企谷君が私達に依頼をした時」
雪乃「今までに見たことが無い表情をしてたわ」

結衣「うん、すごく真剣だったね」

雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「その」
雪乃「言いにくいのだけれど」
雪乃「私、実はあの時、緊張のあまり、その、放屁をしてしまってたの」
雪乃「もちろん、音は出さなかったけれど」

結衣「……」

雪乃「放屁って、実は霧状の大便をまき散らす行為なのよ」

結衣「……」

雪乃「比企谷君のあの時の表情、きっとすごく、臭かったんだと思う」

結衣「……」

雪乃「涙も溜めていたし、目に染みる程の臭いだったのね」

結衣「……」

雪乃「もうこれは、彼とセックスを経験したと言っても過言では無いと思うのだけれど、どうかしら」

結衣「ヴォエ!!!」

結衣「ゆきのん、今日のお弁当はウィンナーだけなんだ」

雪乃「そうね、実はこれ、手作りなのよ」

結衣「すごいね、ゆきのん」

雪乃「ありがとう、バジルと香辛料を多めに入れて、チップも香り高いものを使用したわ」
雪乃「形は少し不格好だけど、味は保証するわ」
雪乃「由比ヶ浜さんにも、おすそ分け」

結衣「ほんとだ、おいしいね」

雪乃「クサッ!!!」

結衣「……」

雪乃「貴方の息、大便の臭いがしたわよ」

結衣「……」

雪乃「信じられない、酷すぎて吐きそう」
雪乃「由比ヶ浜さん、私はトイレで食事をする趣味はないの」
雪乃「いい加減にして」

結衣「……」

雪乃「私の楽しい食事の時間の邪魔をして、許せない、謝って」

結衣「……」

雪乃「謝って」

結衣「ごめんね、ゆきのん」

雪乃「ヴォエ!!!」

 また雨が降っていた
 彼女は曇った空を見上げながら

 ――くるくる
 ――――くるくる

 と
 回っていた
 子供みたいに
 でも綺麗だなとも思った

 邪魔をしないように
 そっと横を通り過ぎようと思ったけど
 あまりにも楽しそうだから
 つい声をかけちゃった
 
「由比ヶ浜さん、私気づいたの」

 どうしたの、ゆきのん

「雨の中には彼が在る」
「この一粒、一粒に、全部」  

 ――くるくる

 どうして、回ってるの

「遠心分離器よ」

 ――くるくる

「不純物が多すぎるから」

 ――くるくる

「私は遠心分離器なのよ」

 ――くるくる
 ――――くるくる

今日の書き溜めはここまでです、
今からは少しづつ投下をしていきます、
明日にはおそらく完結できると思います。

雪乃「由比ヶ浜さん、私、おいしいコーヒーが飲みたいわ」
雪乃「どこか素敵なお店に、連れて行ってくれないかしら」

結衣「わかったよ、ゆきのん」


 珍しいな、と思った
 でもうれしいな、とも

 そうだ
 前にみんなでよく行っていた
 駅前の交差点の近くにある
 あのカフェに行こう

 店いっぱいに広がるコーヒーとバターの匂い
 ふかふかのソファー
 ショーケースに並べられた宝石みたいなケーキ

 きっとあそこなら
 彼女も喜んでくれるはず

 そんなことを考えながら
 二人で並んで歩いて

 学校の近くの古ぼけた喫茶店に入ることにした


雪乃「私は紅茶を」

結衣「私も」

由比ヶ浜さん

どうしたの、ゆきのん


由比ヶ浜さん?

どうしたの、ゆきのん?


由比ヶ浜さん

ゆきのん……?


ユイガハマさん

ゆきのん……


ユイガハマサン?

……

 誰もいない生徒会室
 綺麗に整頓された書類に筆記用具

 イスに座って少しだけ考え事

 何故ここに来ようと思ったかすら
 よくわからない
 よくわからない
 わからない
 わからない
 わかりたくない
 わかりたくない
 ワカラナイ
 ワカラナイ
 ワカラナイ
 ワカラナイ――

雪乃「由比ヶ浜さん、どうしたの、急に家にまで押しかけてきて」

結衣「ゆきのん、ごめん急に、迷惑だった?」

雪乃「別に構わないわ」
雪乃「でもごめんなさい、今、お茶の葉を切らしちゃってるの」

結衣「いいよ、気にしないで」

雪乃「そう?何もないところだけど、せめてそこのソファーでくつろいでいって」

結衣「ありがとう、ゆきのん」

雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「……フフ」

結衣「……?」

雪乃「しずかな」

結衣「……」

雪乃「しずかな湖畔の 森のかげから」

結衣「……」

雪乃「……」

結衣「……懐かしい歌だね」

雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「しずかな湖畔の 森のかげから」

結衣「……」

雪乃「しずかな湖畔の 森のかげから」

結衣「……」

雪乃「しずかな湖畔の 森のかげから」

結衣「もう起――」

雪乃「アアアアアアアアアアアアアアアァァァァァ!!!」
雪乃「クサッ!!!クサッ!!!クサッ!!!」
雪乃「ヴォエ!!!」

結衣「……」

雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「……やめて、口を開かないで」
雪乃「私の部屋が、汚れる」

結衣「……」

雪乃「……」

結衣「……」

雪乃「しずかな湖畔の――」

雪乃「――あら、そうだ、すっかり忘れてた」
雪乃「冷蔵庫」
雪乃「確かお水を冷やしてあったはず」
雪乃「少し飲んできたらどうかしら」
雪乃「ね?行ってらっしゃい」

結衣「わかったよ、ゆきのん」

雪乃「コップは好きなのを使って」
雪乃「使ったらゴミ箱に入れておいてくれればいいから」

結衣「……」

雪乃「……」

結衣「わかったよ、ゆきのん」

 そういえば
 私は彼女のキッチンに入るのは初めてだった

 たくさんの調理器具
 並べられた調味料の小瓶
 大人びた柄のテーブルクロスに
 子猫を模したティーカップ

 彼女らしいなって
 思った

 でも
 私はこの場所を
 キッチンだと
 思えない





 むせ返るような

 消毒液の臭いが

 鼻にこびりついて





 ――そう、まるで病院のよう

 彼女は冷蔵庫にお水を入れてあるって言ってたけど
 入ってないって一目でわかった

 だって冷蔵庫の中には何も無かったから 

 一人暮らしにしては
 大きな大きな冷蔵庫
 一番下は野菜室
 その上の二つが冷凍室

 多分ここに在るんだろうと思って
 冷凍室を開けてみる
 冷凍室を閉じる

 なんでだろう
 今彼女が
 私の後ろにいるって
 わかった

 何も言わないし
 何も聞こえないけど
 きっと彼女は今も
 歌い続けてるんだろう
 寂しさを
 紛らわすように

 『静かな湖畔の』
 第一節を 
 ずっと一人で
 一人だけで
 輪唱を

 そして本当は
 待っている

 大好きな
 大好きなゆきのんに
 教えてあげなきゃ
 そう次は


 『もう起きちゃいかがと かっこうが鳴く』


 だよ 

 って

完結です。

書きたいことをただひたすら書きなぐっただけのssです。
ここまで読んでくださった人がいましたら、
ありがとうございました。
それでは。

このssはシュールギャグに見せかけたサイコホラーです
なるべく直接的な表現をしないように意識的に仕上げました
解説ですが

1.冒頭
 この時点ですでに八幡は死んでいます
 原因は生徒会関連で喧嘩となった拍子に事故が起きたのを想定しています
 決して雪乃は殺意があったわけではありません
 途中の八幡との会話は全て雪乃の独り言です

2.序盤
 発狂していく雪乃
 罪の呵責と八幡がいない寂しさから
 八幡を自分の中に取り込み(食事・記憶・妄想等の様々な方法で)それらを誤魔化そうとしています
 匂いに敏感なのは調理(解体)過程のトラウマと
 由比ヶ浜にこんな私を嫌ってほしい・巻き込みたくないというわずかに残った良心・理性から

3.中盤
 由比ヶ浜はこの時は雪乃が八幡を所持しているという事を知りません
 ただなんとなくは気付いており
 また同時に気づかないフリをしています
 由比ヶ浜はなるべくいつもどおりに雪乃に接し
 昔の雪乃に戻って欲しいと願いますが
 発狂した雪乃に恐怖し(むしろ徐々に避けたいとも思い始める)結局は何もできません

4.岐路
 距離をおいていた由比ヶ浜ですが
 このままではダメだと
 "ようやく決意することができ"雪乃家へ向かいます

5.終盤
 冷凍室に入っていたのはもちろん八幡
 由比ヶ浜が伝えたがっていた静かな湖畔の第二節の歌詞は
 発狂した雪乃に現実を見て欲しい戻ってきて欲しいという思いから
 雪乃が第一節を繰り返していたのは
 由比ヶ浜に悟られ・嫌われ一人になるのを恐れたから
 結局由比ヶ浜の気持ちは雪乃に伝えるには"遅すぎた"という終わり方

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月23日 (土) 10:31:15   ID: z6FnXnpb

この手のssは人気出ないだろうな
ただ需要は無いわけではない(自分含め)ので隙間産業枠としてがんばってほしい

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