【艦これ】提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」【安価】 (477)

艦これの安価SSです
SS初心者なので文がアレで遅筆だったりキャラが崩壊したりするかもしれませんが温かい目で見守っていただけると幸いです


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432210921

提督「ドッキリはわかったが、どうして俺は縛られてるんだ?」

青葉「それはですねぇ……司令官に出てこられては困るからですよ」

提督「俺が出て行ったらマズイって、一体どんなドッキリを仕掛けるつもりなんだ?」

青葉「司令官がお亡くなりになったというドッキリです!」

提督「」

提督「いや洒落にならんだろそれは!流石にそんな事の許可は出せん!……ん?」

ガチャリ

提督「おお、明石、大淀!助けてくれないか!青葉がまたおかしなことを……」

明石「……」

提督「ど、どうした?」

大淀「提督、申し訳ありません」

提督「なに……?」

明石「実はこれは、大本営からの指令なんですよ」

青葉「未だに『艦娘は兵器だ!人間じゃない!コワイ!』なーんて言ってる団体がうるさいので、『艦娘はただの兵器じゃない』ってことを大々的にアピールしたいそうです!」

提督「大本営直々の指令ならどうして俺に届いていないんだ?」

明石「提督って顔に出るタイプですし、鋭い艦娘だったら多分すぐバレちゃいますよ」

大淀「私と明石は大本営の指揮系統にも組み込まれています。だから直接こちらに指令が来たわけですね」

青葉「縛ってるのは、艦娘が泣いちゃったりしたら司令官多分ドッキリなんて忘れて駆けつけちゃうでしょう?それじゃあ駄目なんですよ。良い画がとれな……あ、いえ、計画が崩れちゃいますから!」

提督「上も存外行き当たりばったりだな……仕方がない。だがトラウマになるようにはするなよ?」

青葉「大丈夫大丈夫!青葉にお任せください!」

この前やらなかったっけ?
最後が吹雪で終わったやつ

>>6
ネタかぶりですか……すみません、別人ですね

提督「だが、どうやって仕掛けるんだ……鎮守府全体に放送でもするのか?」

青葉「そんなことしちゃったら大パニックになっちゃうじゃないですか!」

青葉「執務室に誰かが近づいてきた時に、さりげなーく提督が事故にあったことをほのめかすんです」

青葉「そして!皆さんの反応を、執務室の各所に仕掛けられた隠しカメラが撮影するわけです!」

提督「いつの間にそんなもの仕掛けた!?」

青葉「秘密です!」

提督「こいつ……」グヌヌ

青葉「と、話の腰を折らないでくださいよ。その後にこのモニタールームに連れてきて、提督とご対面!ネタばらしというわけです」

提督「鬼かお前は……!やはりこんな事、するべきじゃないぞ!」


青葉「いいんですか?このままでは反艦娘団体がもっと幅を利かせちゃいますよ?街を歩く艦娘が石を投げられる……そんなことになっちゃうかも……」

提督「う、うぐぐ……仕方ない。だが、あまりにも行き過ぎた場合は本当にやめさせてもらうからな!」

青葉「はいはーい!」

明石「あ、モニターを見てください。どうやら執務室に向かってきている艦娘がいるみたいですよ」

提督「第一の被害者か……」

↓2 誰が来たか?あと死因とかなんかの指定もあれば受け付けます(あんまり荒唐無稽なのは↓にするか無かったことにするかも)

提督「日向か……あまり取り乱しそうもないな」

青葉「どうでしょう?案外大泣きするかもしれませんよ?」


――廊下・執務室前――


日向「……」スタスタ

日向「なんとはなしにここまで来てしまった……出撃までの時間つぶしでもさせてもらおうか」

<も、もう一度言ってください!

日向「……ん?」

<なんですって!?提督が……事故で!?

日向「何だと?」ピク

ガチャ

日向「おい、提督がどうかしたのか――」

大淀「そんな……!そんな、提督……!」

日向「大淀、落ち着け。何があった?」

――モニター室――

明石「やっぱり落ち着いていますねぇ」

青葉「安心できるのはいいんですが、ちょーっとつまんないですねー」

青葉「まぁ、まだまだこれからですけどね!」

――執務室――

大淀「すみません、日向さん。取り乱してしまって……」

日向「それはいい。提督はどうしたんだ?」

大淀「それが、道路に飛び出した子供をかばって、車に……!車にはねられて、病院に……!」

日向「そうか、アイツらしくはあるかもな。……で、容態は?」

大淀「それが……重体で、どうなるかわからないみたいです……」

日向「……。まあ大丈夫だろう。提督の事だ、ちゃんと戻ってくるさ」

大淀「……そうですね」

――モニター室――

提督「ほぼ平常運転だな……少し複雑だ」

明石「やっぱり武人!って雰囲気の方ですから」

青葉「うーん、ちょっとつまらないですね。もう一手加えますか」

――執務室――

ジリリリリ!

大淀「……!もしもし!」ガチャ

大淀「……えっ?う、嘘でしょう?そんな……」サー

日向「……!?」

大淀「はい……はい……失礼致します」ガチャ

日向「なんだ、どうした……?」

大淀「ひゅ、日向さん……提督が……亡くなったって……!」ポロポロ

日向「……。そうか」

大淀「そうか、って……!日向さん、何とも思わないんですか!?」

日向「これから、出撃の予定がある」

大淀「あなた……!」ギリ

日向「私達は、艦娘だ。人々を守るため戦う使命がある」

日向「提督は、最期まで弱い者を守った。そうだろう?私も……そうするだけ、だ」ツー

大淀「涙!?日向さん……!」

――モニター室――

提督「うぉぉ……日向、日向よぉ……!」グス

明石「日向さん……!」グス

青葉「悲しみを押し殺して、あくまで提督の遺志に従おうとするとは……流石ですね!青葉もちょっと感動しちゃってますよ!」ウルウル

青葉「さあ、ネタばらししちゃいましょう!」

――執務室――


日向「ああ、泣いているのか、私は。いかんな……こんなことでは、提督に笑われてしまう」ゴシゴシ

大淀「日向さん、すみません……付いて来て頂けますか」

日向「……なんだ?」

大淀「提督からの言付けがあるんです。もし自分に何かあったら、と……」

日向「ああ、わかった」




――モニター室――

日向「なんだ、ここは?」

大淀「それはですね……」

青葉「ジャジャーン!ドッキリ大成功ー!」テッテレー

日向「……は?」ポカーン

青葉「提督はご無事です!ほらこの通り!」

明石「縛られちゃってますけどね」

日向「提、督?」

提督「すまんな、本当にすまん。実は……」

~~ネタばらしタイム~~

日向「そうか、そうか……全て嘘だったんだな……」ゴゴゴゴ

青葉(マズイ)

提督(あ、これ本当に死んだかも)

日向「よくも騙してくれたな……絶対に許さん……!!」

青葉「ヒィィィィッ!!お許しを!!」ドゲザ



日向「……などと、言うと思ったか?いいさ」

青葉「え?」

日向「正直なところ、怒りよりも安堵のほうが大きくてな……どうにも気持ち整理がつかん」

日向「大淀から提督の死を聞かされて、一瞬目の前が真っ暗になった。絶望の海に沈んでいくような気持ちだった……」

日向「だが、その時提督の姿が頭に浮かんだんだ。私があそこで立ち直れたのは、そのおかげだよ」ニコ

提督「日向……」

日向「だが、正直あんな思いはもう二度としたくない。提督」

提督「なんだ?今の俺なら何でも聞くぞ?」

日向「絶対に私達を置いて先に行ったりしないでくれよ」

提督「!ああ……ああ!絶対だ!」

青葉「いやー感動のお話でした!青葉、感激です!」

明石「全くです!もう涙がちょちょぎれちゃいましたよ!」

日向「ああそうだ。青葉、明石、大淀」

青葉明石大淀「はい?」

日向「次はないぞ」ギロリ

青葉明石大淀「ははははいぃ!!!」

提督「ひゅ、日向。そろそろ出撃の時間では……?」

日向「ああ、そうだった。行ってくる」スタスタ

提督「おう、行って来い!」


~~~~

提督「いやー、やっぱり時代は航空戦艦だな!うん!」

青葉「ちょろいですね司令官!」

提督「なんとでも言え!」

明石「まあ、艦娘のイメージアップとしてこれ以上ないような人でしたね」

提督「そうだな。……ところで俺、まだ縛られてるんだが……続けるのか?」

青葉「モチです!」

提督「懲りないな。次は死ぬかも知れないぞ?」

青葉「ジャーナリズムの炎は剣でも銃でも砲撃でも消せないのです!……おっと。また誰か来ましたね」



↓2、死因かなんかの指定あれば従うかも

秋月了解です。ただ遅くなる(明日くらいになります)

死因:瑞雲も考えたんですがちょっと展開が難しかったので普通にしました

提督「秋月か……しっかりしているようだが大丈夫かな?」

青葉「さてさて!どうなりますかね!?」


――廊下・執務室前――


秋月「……」ドキドキ

秋月「スゥーッ、ハァーッ……よし!」

ガチャ

秋月「し、司令!おはようございます!……あれ、大淀さん?司令は……?」

大淀「あ、秋月ちゃん……?」ポロポロ

秋月「ど、どうしたんですか!?」オロオロ

大淀「秋月ちゃん……提督が、提督が……」ポロポロ

秋月「な、なんなんですか?司令が……?」

秋月(……なんだか、嫌な予感がする)

大淀「……取り乱してごめんなさい」

秋月「い、いえ……それで、司令に、何が……」

大淀「……。落ち着いて聞いてね。提督が、階段で足を踏み外して、亡くなったの」

秋月「……え?」

大淀「頭を、強く打ち付けてしまったみたい……」

秋月「……うそ」

秋月(……嘘だ)

秋月(……嘘だ。嘘だ、嘘だ、嘘だ。こんなの嘘だ!)

秋月「……嘘、ですよね……そんなこと、ありえないです」

大淀「嘘みたいだけど、本当のことなの……私も最初は信じられなかったわ」

秋月「そ、そんな……」

大淀「……もう少ししたら、艦隊の皆にも伝えるつもりよ」

秋月「う、うぁぁ、あぁぁぁぁぁ……」ペタン

秋月(大淀さんの声も、私自身の悲鳴も、私は何処か遠くで聞いていた。足元がバラバラに崩れていく感覚……)

――モニター室――

青葉「ちょっとこれはマズいかもしれないですねー……」

提督「おい青葉!ネタばらしだ!早く!」

青葉「ダメです」

提督「おい、おい!青葉!!」ジタバタ

青葉「大丈夫、秋月ちゃんはきっとだいじょうぶ、もう少し見ていましょう!」ニコニコ

提督「くっ、この縄さえなければ……!」ジタバタ

明石「すみません、提督……その程度で外れる縄じゃないんです」

提督「くっそぉ……!」

青葉「あ!執務室で動きがありましたよ!」


――執務室――

大淀「あ、秋月ちゃん……大丈夫?」

秋月「は、はい……大丈夫です……大丈夫。はい……」グス

大淀「明らかに大丈夫じゃないわよ……今は泣いたっていいの。私の胸ならいくらでも貸すわ」

秋月「大淀さん……う、ううう……うあぁ……」ギュッ

大淀(……ごめんね)ギュッ




大淀「落ち着いた?」

秋月「……はい、もう大丈夫です」

大淀(目が真っ赤……ごめんね、秋月ちゃん……)

秋月「大淀さん」

大淀「何?」

秋月「私、司令に、言いたいことがあったんです……」

大淀「……うん」

秋月「この鎮守府に来て、司令に出会えてから……私は、幸せでした」

秋月「聞いたことも無かったような美味しいごはんや、見たことも無かったようなきれいな風景。最高の時間を、司令はくれたんです」

大淀「……うん」

秋月「最近は幸せで……キラキラしていて……それがずっと続くと思ってて……」

秋月「ずっと言いたかったんです。『いつもありがとうございます。大好きです、司令』って」

秋月「でも、その一言が言えなかった……『明日でいいや』、『明日でいいや』ってずっと先延ばしにしてきて……」

秋月「『今日こそは』って思いました。どうしてかはわからないけど、今日なら言える気がしたんです」

秋月「そうしたら、司令はもういなくて……お礼なんて、もう言えないんです」

秋月「あは、あはは……!馬鹿みたいですよね、私……!」ポロポロ

秋月「色んなものを貰うだけで、何も返せなかった……!」ポロポロ

大淀「秋月ちゃん……」

――モニター室――

提督「ウオォォォーッ!ヤメロー!ヤメロー!」ジタバタ

提督「違う、違うぞ秋月ィィィィッ!!」バタバタ

青葉「もうちょっと続けたいところではありますが、司令官がそろそろ限界ですね……」

明石「浜辺に打ち上げられたイ級みたいな動きね」

青葉『大淀さん、司令官がもう限界みたいなのでネタばらしを』


――執務室――

大淀(うう……罪悪感)

大淀「秋月ちゃん、ちょっと来てくれるかしら?」

秋月「なん、ですか……?」ヒック

大淀「見てもらいたいものがあるの」

秋月「はい……」トボトボ

――モニター室――


大淀「これよ」

提督「秋月……すまない」

秋月「……えっ、司令?なんで縛られて……?」

青葉「はーい、ドッキリだいせーこー!」テッテレー

秋月「えっ」

~~ネタばらし~~

秋月「よ、よかったぁぁぁ……」ヘナヘナ

秋月「司令が無事で、よかったぁ……!」

提督(天使か)

秋月「……あれ?……ということは、あの事も、司令に……?」

司令「ああ、その……本当に申し訳ない」

秋月「う、うわあぁぁぁぁぁぁ!」カァー

秋月(は、恥ずかしい……!)

>>43で提督と司令が混同してるぜ

秋月(そうだ、一度聞かれたのなら……一度も二度も同じ事!今度こそ、司令にちゃんと言うんだ!)

秋月「司令!」

提督「あっ、はい!」ビクッ

秋月「大好きです!いつも、本当に感謝しています!ずっと一緒に……あっ!」カー

青葉「ずっと一緒に……?これはなかなか大胆な発言ですねぇ!」

秋月「あっ、いや、その、これは違っ、いやちがわないけど、そのっ……」アタフタ

提督「……秋月」

秋月「ひゃいっ!?」ビクーン

提督「さっきの言葉、あんな形で聞いてしまってごめんな。でも、全然そんなことはないんだ」

秋月「し、司令?」

提督「受けとっているのは俺の方なんだよ。俺の方こそ……」

秋月「……!」

提督「……いつもありがとう、大好きだ」

秋月「司令……っ!」パァァ

青葉(娘に向かっての「愛してる」みたいなノリなんでしょうねー……これは)





提督「あの、秋月?」

秋月「どうしましたか、司令?」ニコニコ

提督「なんで俺膝枕されてるの?」

秋月「縛られたままではお辛いでしょうし……秋月の膝で良ければ憩ってください。……お嫌、でしたか?」シュン

提督「いや、そんなことはないんだが……帰っていいんだぞ?」

秋月「いえ、秋月は司令のお側にいたいです!」

提督「ああ、うん……ならいいんだが」

秋月「それに……」

提督「ん?」

秋月「信頼出来ない方々もいるみたいですし、ね……」ジロリ

青葉・大淀・明石(……駆逐艦の眼力じゃない。怖い)ガクブル

青葉「で、ではでは?気を取り直していきましょう!次の艦娘だーれだ?」


↓2 艦娘(死因かなんか指定あったら受けます)



>>44
あわー本当だ……すみません

朝潮了解しました

青葉「おっ、朝潮ちゃんですね!」

明石「これまた忠誠心高そうな娘が来ましたね……」

青葉「さてさて、どうなりますことやら!楽しみですねぇ!」

提督「くぅぅ……胃が痛いよお」キリキリ

秋月「大丈夫ですよ、司令。あんまり酷ければ私がなんとかしますから」ナデナデ

青葉「縄で巻かれて駆逐艦に膝枕&撫でられ……いいですね司令官!実にいいですよ!」

提督「やめて。自覚してるから」

青葉「あ、来ましたね……今回は青葉も仕掛け人やりますので!ご安心を!」

提督「不安しか無い」


――執務室――

朝潮「失礼します。今日の遠征のことでお話が……」ガチャ

大淀「あら、朝潮ちゃん。おはよう。提督ならまだ来てないわよ。ここで待つ?」

朝潮「大淀さん、おはようございます!司令官はまだ見えないのですね。では、お言葉に甘えて待たせていただきます」






大淀「遅いわね、提督。もうとっくに仕事を始めているはずの時間なのに」

朝潮「……まさか、司令官の身に何か!?」

大淀「それこそまさかよ。とはいえ、こうも遅いと心配になってくるわね……連絡してみましょうか」

朝潮「お願いします!」

<プルルルルルルル……プルルルルルルル……

大淀「……出ないわね」

朝潮「!……私、確認してきます!」

大淀「大丈夫。どうせ寝坊して、急いでここに向かっているとかそんなところでしょう。……ほら」

タッタッタッタッタ……

朝潮「そのようですね……」ホッ

ガチャ!

朝潮「司令官、おはよ――青葉「大淀さん大変です!」――青葉、さん……?」

大淀「そんなに血相を変えて……どうしたんですか青葉さん?」

朝潮(あの青葉さんが、必死な形相で息も乱しているなんて。一体なにが……?)

青葉「し……司令官が!司令官が、自室で……!倒れて……!」

朝潮「ッ!?」

大淀「えっ?……どうして!?」

青葉「急性の脳出血らしいです……」

朝潮「青葉さん!司令官のご容態は!?」

青葉「どうやら命に別条はないみたいです。でも……」

朝潮「『でも』、とは……?」

青葉「……司令官、まだ目を覚まさないんです……いつ目をさますのかもわからないって、お医者様が……」グスッ

朝潮「……え?」サー

大淀「そんな……嘘でしょう!?」

朝潮「青葉さん……それは、本当なのですか?」

青葉「はい……一年後か、十年後か。もしかすると、一生……」

大淀「そ、そんな……そんなことって……!」グス

朝潮「う……」ウルウル

大淀「朝潮ちゃん……」

朝潮「……っ」グッ

朝潮(泣いちゃダメだ!司令官に笑われてしまう……!)

大淀「……朝潮ちゃん?」

朝潮「……失礼します。そろそろ、遠征の時間ですから」

大淀(拳を強く握ってる。血が滲みそうなくらいに……。必死で、涙をこらえてるのね)

青葉「朝潮ちゃん……大丈夫なんですか?」

朝潮「……はい。海上護衛は、とても重要な任務です。これを疎かには出来ません。司令官も、いつもそうおっしゃっていました」

朝潮(そうだ。司令官ならきっと大丈夫。私は私のやるべきことをしよう。司令官がお目覚めになった時に誇れるように)

――モニター室――

明石「日向さんコースでしたね」

提督「いや……」

秋月「そう、でしょうか」

明石「え?」

秋月「かなり危なっかしく見えます。表面は気丈でも、きっと……」

提督「ああ。朝潮のようなタイプは内に溜め込んでしまうから、な」チラ

秋月(……そうか、私もきっとこうだったんだろうな)

提督「秋月。限界だと思ったら、助け舟を出しに行ってやってくれ」

秋月「了解です、司令」

――執務室――

朝潮「では。失礼しま……っ?」ヘタリ

大淀「朝潮ちゃん?」

朝潮(あれ?おかしいな。脚に、力が……)

青葉「朝潮ちゃん。我慢しなくたっていいんです。悲しい時は、泣いたらいいんです」ギュッ

朝潮「あおばさん……」ギュッ

朝潮「うっ……うう……司令、官……」グス

朝潮「司令官、しれいかん……うわあぁぁぁぁっ……」ポロポロ


――モニター室――

提督「おい……青葉のやつトドメ刺しやがったぞ」

明石「子供みたいに泣く朝潮ちゃん……初めて見ました。普段しっかりしてる分、色々と我慢して溜め込んでたんでしょうね……」

秋月「……そろそろ潮時だと思います。朝潮さんたちを呼んできます」

提督「ああ、頼むよ。これ以上青葉が何かしでかさないうちに終わらせよう」


――執務室――


ガチャ

朝潮「!……。秋月さん……?」グスッ

青葉(あちゃー、もうダメですかぁ……もう少しやっていたかったんですが。まあ仕方ないですね)

秋月「朝潮さん。付いて来てください。司令の元までご案内します」

朝潮「えっ……でも……司令官は……それに、遠征にも……」グスッ

大淀「大丈夫よ。海上護衛任務は、他の艦娘に替わってもらったわ」

朝潮「大淀さん……ありがとうございます!」

秋月「では、行きましょう」

朝潮「……」ゴシゴシ

朝潮「はい」






――モニター室――

朝潮「ここは……?こんなところに司令官が?」

秋月「ええ。あちらを」

提督「やぁ、朝潮……。ごめんな」

朝潮「司令官……!」ダキッ

朝潮「司令官、司令官、司令官……!うあぁぁぁぁ……」ポロポロ





提督(朝潮は俺を抱いて泣き続けた。安堵の涙だ。安心のあまり、なぜ無事なのか?なぜ縛られているのか?ということには頭が回らないようだ)

提督(ひと通り泣いたあと、朝潮は落ち着いたのか泣き止んだ。心なしか顔もスッキリしているようだ)

朝潮「お見苦しいところをお見せして申し訳ありません、司令官」

提督「いや、いいんだ。謝るのは俺の方だよ」

朝潮「そういえば……司令官、どうしてここに……」ハッ!

朝潮「……まさか、全て嘘だったのですか?」

青葉「イエー!ドッキリ大成功ー!」テーレッテレー

提督「……この通りだ。本当に申し訳ない……」

朝潮「ドッキリ……?それはいいとしても、何故縛られているのですか?」

提督「ああ、詳しく話すと長くなるんだが……」



~~ネタばらしタイム~~

朝潮「なるほど……。大本営からの指令、ですか」

提督「心配させてすまなかった!俺にできる詫びならなんでもする!」

秋月「!?」

朝潮「かまいませんよ。指令が指令ですし、司令官を責めるつもりはありません」

秋月「……」ホッ

提督「でも朝潮、お前本当にそれでいいのか?遠慮なんてしなくていいんだぞ。というか、お咎め無しだと逆に俺が辛いんだ」

朝潮「ふふっ、司令官らしいですね……でしたら、また何か辛いことがあった時司令官に甘えてもいいですか?」

提督「ああ、もちろんだとも!いつだって来い!」

朝潮「はい。では朝潮、これで失礼致します!」ケイレイビシッ





提督「ええ子やぁ……」シミジミ

明石「ですねー」

青葉「いやあよかったよかった!今回は実に平和でしたね!」

提督「お前の行動で俺はハラハラしっぱなしだったんだが」

秋月「朝潮さんにとどめを刺したのは青葉さんでしたしね」

青葉「気にしない気にしない!……おっと、新しい艦娘が来たみたいですよ!誰でしょうね?」

↓2の艦娘 (死因とかなんかもあったらどうぞ)

イムヤ&溺死 了解です!

提督「イムヤか……」

青葉「潜水艦ですね!ワクワクしますね!」

提督「しない」

――廊下・執務室前――

伊168「ふんふーん♪」

ガチャ

伊168「司令官、おはよう!」

シーン……

伊168「……あれ?司令官?」

<グスッ、グスッ……

伊168「だ、誰?」

大淀「あ、イムヤさん……」グス

伊168「大淀さんじゃない!なんで泣いてるの?一体どうしたの!?司令官は!?」

大淀「提督……いえ、なんでもないんです……」グス

伊168「全然なんでもなさそうじゃないわ!何があったのか話して!」

大淀「すみません……今は、まだ……」

伊168「……もしかして、司令官に何かあったの?」

大淀「……!」ビクッ

伊168「……図星、みたいね。話してくれる?」


大淀「聞かないほうがいいかもしれないですよ?知ったらきっと……いえ、絶対後悔します」

伊168「どうせ後で聞くことになるんでしょ?だったら先に聞いておきたいわ」

大淀「本当にいいんですね?」

伊168「だからいいって言ってるでしょ?話してよ」

どうせ大したことじゃないだろう。私はそう高をくくっていた。

大淀「提督が……亡くなりました」

伊168「……は?」

頭を、ガツンとハンマーで叩かれたみたいな衝撃。

何かあったと言っても、どうせちょっとした怪我だとか。それくらいだと思っていた。

会いに行けば、「大淀は大げさなんだよ」と苦笑して頭をなでてくれる。今まではずっとそうだった。

伊168「死んだ?……どうして?」

頭のなかがグルグルしてわからないことだらけの中、唯一浮かんだ明確な疑問を言葉にする。どうして?

大淀「溺死、です」

溺死?海で?そもそも司令官が自力で海に出ることなんて、ほとんど無いはずなのに……まさか。

伊168「……深海棲艦のせいなの?」

原因なんてそれくらいしか思いつかない。……もしそうだとしたら、絶対許さない。あいつら、一匹残らず海に沈めてやる。

大淀「違います。……提督が亡くなったのは川で、ですから」


伊168「川?……あっ!」

ハッとして外を見る。窓枠が濡れている。今は晴れているが、朝はかなりの大雨だった。

大淀「そうです。増水した川で……提督は」

伊168「そんな……ありえないわ!司令官は、水の怖さを知らないような人じゃないのに!」

大淀「ええ、提督は雨の日の川で遊泳するような方ではありません」

伊168「じゃあ……なんで司令官は!?」

大淀「……提督は、溺れている子供を放っておけるような方でもありません」

……大淀さんの一言で、全てがわかった。司令官は見つけてしまったんだ。川で溺れている子供を。

当然、自力で助けるなんて自殺行為。それこそプロに任せるべきだ。でも、後先考えず飛び込んでしまったんだろう。司令官はそういう人だって、わかってる。

だけど、信じたくなかった。ほんの僅かの可能性に希望を託して大淀さんに問いかける。

伊168「て、訂正の余地はないの?ホラ!他人の空似とか……」

大淀「……」フルフル

大淀さんは悲しそうにかぶりを振る。その表情から、彼女も同じような事を考えていたとわかった。……そして、裏切られたと。

伊168「……」ヘタリ

私はへたり込んで涙を流していた。涙と一緒に何か別のものが胸から流れ落ちていく。




気が付くと、悲しみはもう無くて、涙も止まっていた。代わりに胸の中に大きな穴が空いているようだった。

私の中は、きっと空っぽになってしまったんだろう。それを埋めてくれる司令官は、もういない。

大淀「イムヤ、さん……?」

大淀さんが恐る恐る私に話しかける。無理もない。私は機械のような無表情をしているんだろう。

伊168「大丈夫だよ、大淀さん」ニコ

空っぽの私は、空っぽの笑顔で、空っぽな言葉を返す。

伊168「わたしは元気だよ?今すぐオリョールだっていけちゃうんだから!」グッ

嘘ではなかった。今の私は何処にだって行ける。オリョールにだって、サーモン海にだって。

それで沈んでしまっても、別にいい。

――モニター室――

提督「これはヤバいな」

青葉「イムヤさん、死んだマグロみたいな目をしてますね……」

明石「これはネタばらししたら逆に危ないのでは?」

提督「だからといってこのままにして置けるか!青葉!ネタばらし!」

青葉「りょーかいです!」

青葉『大淀さん!ネタばらしお願いします!』

――執務室――

大淀(まさか、こんなことになってしまうとは……かなり危険ですが、真実を伝えないと)

大淀「……イムヤさん」

伊168「なあに?」

大淀「少し、付いて来てください」

伊168「いいわよ」

大淀さんの表情がさっきまでと違う。覚悟を決めたような顔だ。

彼女はきっと、私がもう空っぽだって気付いているんだろう。解体されてしまうのかな。それとも深部海域の囮かな。まあそれも、どうでもいいか。

大淀さんについていくと、見慣れない部屋に辿り着いた。

――モニター室――

伊168「ここは?」

大淀「モニター室です。イムヤさん、すみません……。全て、嘘だったんです」

大淀さんが、部屋の片隅を指さす。そこには。

伊168「しれいかん……?」

提督「イムヤ、すまない……」

司令官の顔を見た瞬間、あんなに大きかった胸の穴は一瞬で埋まっていた。代わりに涙が溢れてくる。

伊168「しれ、しれいかん……大丈夫だったの?オバケじゃない?本物?」ポロポロ

提督「ああ、この通りだ……ごめん。ごめんな」

司令官が、泣きそうな顔で私を見る……変なの。泣いているのは私の方なのに。

そう思うと、なんだか可笑しくなってきて。私は涙を流しながら大笑いしていた。

伊168「な、なんで司令官が泣きそうなのよ……!あはは……!」ポロポロ

泣きながら笑う私の肩に手が置かれた。振り返ると、『ドッキリ大成功!』のプラカードを持った青葉さんが。

青葉「じゃじゃーん!ドッキリでした、すみません!」

伊168「……は?」

今日の私はまるで百面相だ。


~~と、ここでネタばらし~~

伊168「何してんのよ!許せない!私、ほんとに司令官が死んじゃったかと思ったんだからね!」プンスコ

提督「すまない、本当にすまない……」

あんまりにバカらしい真相に腹を立てる私に、司令官が必死に謝る。

両手足が拘束されていなかったら、絶対に土下座しているわね。

司令官が利用されているだけだっていうのはわかる。怒りの半分は演技だ。でも、こんな会話ができるのが嬉しくて。つい憎まれ口を叩いてしまう。

伊168「何よ、イメージ戦略って!石なら私が投げたいわ!大本営に!」プンプン

これは本心だ。私達の心をこんなにかき乱して!発案者に会ったら本当に石を投げてしまいそうだ。

提督「すまん、俺にできることだったらなんでもするから!」

伊168「……え?」

秋月「司令ったら、また……」ハァ

明石「まあ、いい加減に言ってるんじゃなさそうですけど」

思わぬ発言に、怒りの演技はすっかり中断させられてしまった。

伊168「何でも?ふーん、そう……」ニヤニヤ

顔がにやけてしまっているのが自分でも分かった。でも止められない。

その顔のまま、どうしたものかと考える。

提督「あ、あの……イムヤさん?」

司令官が、ビクビクしながら私に声をかける。私があまりニヤけているので、どんなひどいめにあわされるかと不安なんだろう。心外だ。




怯える司令官を横目にたっぷり10分ほど考えたあと、私は結論を出した。

伊168「……決めた!今度の休日、司令官は私の買い物に付き合うこと!いいわね?」

提督「お、おう。そんなことでいいのか?」

露骨にホッとした表情を浮かべる司令官。それがちょっと気に入らなかったので、条件を1つ追加した。

伊168「もちろん、代金は全部司令官持ちでね!」ニコ

提督「は、はい……」

提督(こんなことで許してもらえて良かったが、破産するかもな……)

私はニコニコしながら部屋を出る。もう騙されたことなんてどうでも良くなっていた。

鼻歌を歌いながら廊下を歩く。今から次の休日が待ちきれない。

伊168「早く休みにならないかな~♪」



青葉「今回はかなりまずかったですね司令官!青葉、もうだめかと思いました!」


提督「イムヤには本当に悪いことをしたな……。なあ青葉、もう十分撮れただろ?そろそろ……」

青葉「いいえ、まだノルマ達成してませんから!」

提督「えぇ……」ズーン

提督(もうそろそろ俺の胃と心が限界だ……責任者に会ったら一発ぶん殴ってやる)

提督「できれば、もう誰も来ないでくれぇ……」

青葉「あ!ドッキリが終わったそばからまた艦娘が来ましたよ!入れ食いですね司令官!」


↓2 艦娘と、あと死因とかに指定があれば

ターゲットは叢雲で、提督の死因は青葉による誤射。了解です!

青葉の霊圧が消えそう

提督「……叢雲か」

明石「また読めない子が来ましたねぇ……」

青葉「はい!ということで、今回は……」

青葉「司令官には叢雲さんの目の前で死んでいただきます!」

提督「……は?」


――モニター室――


叢雲「……」スタスタ

私は今、執務室に向かっている。出撃から帰って来たから、第一艦隊旗艦として戦果の報告をしなければならない。

これは旗艦の仕事なので仕方がない……まかり間違っても私が自発的に司令官の元に向かっているわけではない。ないのだ。

他の艦娘が「嫌なら自分が行く」などと言ってきたが、そういうわけにもいかないだろう。報告は大切だから仕方がないのである。

目的地に到着した。ノックはせずに執務室に入る。いつものことだ。

ガチャ

叢雲「失礼するわよ」

執務室に入ると、司令官が青葉と楽しげに談笑しているようだった。青葉は艤装を付けたまま……大方出撃から帰って来てそのまま報告に来たのだろう。せっかちなことだ。

青葉「まったく、司令官ったら!」クスクス

青葉との話に夢中なのか、司令官はこちらを見ようとすらしない。少し腹が立つ。

叢雲「……司令官。第一艦隊の戦果の報告よ。いちゃつくのもいいけれど、まずは報告を聞きなさい」イライラ

苛立ちを抑えて、司令官に話しかける。……その時。

ドォン!

提督「」グシャ

叢雲「……?」

青葉「……えっ?」

提督「」バタン

砲撃音のあと、人型の何かが頭を失って倒れこむ。

私も、青葉も、倒れた人型のものを見下ろす。ソレは何度か痙攣したあと、動きを止めた。

もう一度、よく見る。白い軍服。肩には階級章。

それは……信じられないが、紛れも無く司令官だった。

青葉「な……なんですか、これ?なんなんですかあぁぁぁっ!?」

頭を振り乱して青葉が叫ぶ。理解が追いついていないのだろう。

叢雲「何って」

私は何故か冷静だった。自分でも驚くような冷たい声が出る。

叢雲「アンタが、司令官を、殺したのよ」

一言一言、言い聞かせるように言う。

青葉「うそ……うそ、です……こんな……」ブツブツ

青葉がぶつぶつと何かを言っている。私は自分の体を見る。艤装は付けたまま……帰投してそのままここに来たからだ。

叢雲「……」チャ

砲塔を全て青葉に向ける。補給はしていないが、この女を仕留めるくらいはおそらく可能だろう。

青葉「ひっ……!」

殺気に気付いたのか、青葉が後ずさる。

叢雲「アンタ、よくもまあ味方にばっかり……。あの時の……古鷹さんのことで懲りてると思ったけど、そうでもないみたいね」

脳裏に「艦」の時の記憶がフラッシュバックし、無意識に私はそう言っていた。

青葉「!!」

青葉も同じく、その時のことを思い出したのだろう。顔を真っ青にして、頭を抱えている。


青葉「いや……いやっ……!」フルフル

叢雲「『嫌』じゃないわよ。アンタはここで沈むの」

叢雲「……いや、ここは陸だったわね。まあいいでしょ。どうせ死体は海に沈めるんだから」

青葉「あ、ああ……」カタカタ

叢雲「天国で司令官に懺悔することね。……なんて言いたいところだけど」

叢雲「あなたは地獄に行くんだから、無理か」

照準を青葉に合わせる。

ダッダッダッダッ……

ガチャ!

「叢雲!」

執務室のドアが開く音がする。誰かが砲撃音を聞いて駆けつけたのだろう。だが、遅い。

叢雲「サヨナラ」

ダンッ

叢雲「……?」

衝撃と浮翌遊感。砲弾は逸れ、青葉をかすめるだけだった。

私は誰かに抱えられていることに気付いた。温かい。

「ダメだ、叢雲。それは……ダメだ」

声のした方に振り向く。そこには。

叢雲「……司令官?」

提督「ああ」

叢雲「え、いや……え?いったい、どういうこと?」

おかしい。司令官は死んだはず。死体だってそこにある。

そう。首から上を吹き飛ばされた死体が。……死体?

ふと違和感を覚えた。重巡の主砲を受けて、あんなにきれいに死体が残るのだろうか?艦娘ならともかく、司令官は人間だ。

ああ……そう。そういうことか。

叢雲「嘘……だったのね?」

提督「ああ。……すまない」

司令官の声。間違いない、本物だ。

張り詰めた糸がぷつんと切れて、眼の奥が熱くなってきた。

叢雲「ちょっと……胸、借りるわね」トン

司令官の胸に顔を埋める。安心できる、司令官の匂いだ。

司令官「……」ナデナデ

叢雲「……っ!」グスッ

司令官の胸で、私はたっぷり泣いた。軍服は汚れてしまうだろうが、私を騙した報いだ。いい気味。





――モニター室――

青葉「はい!ということでぇ、今回はインパクトを大きくするために……」

青葉「司令官には叢雲さんの目の前で死んでいただきます!」

提督「……は?」

秋月「……どういうことですか、青葉さん?」ギロリ

青葉「そんな怖い目で睨まないでくださいよ!本当に死ぬんじゃないですから!」

秋月「ほう……では、一体?」

明石「これです」ジャジャーン

青葉「1/1提督君人形です!寝ている間に寸法をとって、精密に作りました!」

提督(……頭が痛くなってきた)

青葉「これの頭に爆弾を仕掛けてですね!叢雲さんの目の前でカブーム!爆発させるんです!」

提督「突然提督の頭が爆発するとか、何かがおかしいってすぐわかるだろ……」

青葉「ご心配なく!爆発と同時に青葉が誤射を装って空砲を撃ちますから!」

提督「お前本当に懲りないな……相手は叢雲だぞ?何があるかわからんっていうのに」

青葉「ジャーナリズムです!報道は命より重いんですよ!」

提督「はぁ……」ゲンナリ

青葉「それでは!一足先に準備しますね!」スタタター





~~提督登場(>>105)直前~~

叢雲『『嫌』じゃないわよ。アンタはここで沈むの』

提督「オイオイオイマズいぞ、これは」タラリ

秋月「司令……」シュル

提督「秋月?」

秋月「縄を外しておきました。……行ってあげてください。多分、司令以外では叢雲さんは止められません」

提督「!ありがとう、恩に着る!」スクッ

ダッダッダッダッ

提督「間に合ってくれよ……」

ガチャ!

提督「叢雲!」

叢雲「サヨナラ」

提督「くっ!」バッ

バァン







叢雲「……ふぅ。もう落ち着いたわ。降ろしなさい」

提督「あ、ああ」

司令官の腕から降りる。目の前には青葉がいた。

青葉「と、言うわけでドッキリでした!」ペカー

さっきまでの様子が嘘のように、青葉は笑顔でプレートを見せてきた。

叢雲「……まぁ、大筋はわかったわ。詳しく聞かせて頂戴」

青葉「了解です!では――」


~~ネタばらし後~~


青葉「いたい……」プラーン

大淀「ボコボコにされた後、簀巻きにされて宙吊り……」ヒエー

叢雲「当然でしょう?罰としては優しすぎるわ。感謝して欲しいくらいね」

青葉「はぁい……」プラーン

叢雲「司令官」

提督「ハイ」

叢雲「正座」

提督「ハイ」ストン

叢雲「まったくもう!あんた、何を考えてるわけ!?」ガミガミ

提督「面目次第もございません」

叢雲「私だったから良かったようなものの、磯波だったら心臓止まってたわよ!」

提督「うう……申し訳ない」ドゲザァ

叢雲「……まあいいわ。今回だけは許してあげる。次はないわよ?」

提督「ああ、わかった」

叢雲「それじゃあね、報告書は執務室に置いとくから。早く読みなさいよ」スタスタ



青葉「……あのう、そろそろ降ろして頂けませんか?いい加減青葉、辛くなってきたんですが……」

秋月「ダメです」

提督「しばらくそこで反省してろ」

青葉「そんな、ご無体なぁ……」シクシク

提督「嘘泣きには騙されんぞ」

青葉「むぅ……」プスー

明石「あっ、また誰か来ましたね。今度は――」

↓2の艦娘(死因指定とかもあれば)



春雨
春雨料理を食したところアレルギー症状を起こしてショック死

>>113
了解しました!あ、春雨の目の前で死ぬか、それとも死んでいるのを発見するかどっちがいいですかね……?

Sしか居ない……了解、目の前でおっ死ぬ司令官を見せつけます

提督「春雨か」

明石「おや?何か持っているようですね。あれは……料理?」

提督「そうだ、昼飯を作ってきてくれるって言ってたな……」

大淀「そういえばもうお昼時ですね」

秋月「そう言われるとなんだかお腹が空いてきました」

提督「そうだな。秋月は午後から出撃任務があったろう?食事にしてきていいぞ」

秋月「で、でも……良いのですか?」

提督「ああ。……青葉、ドッキリは一旦休みということでどうだ?」

青葉「ダメです!」プラーン

提督「なんでだ?」

青葉「春雨ちゃんが司令官のご無事を他の皆にばらしちゃうかもしれません!そうなったらドッキリの幅が狭まっちゃいますよ!」

提督「いや、口止めすればいいだろ?」

青葉「できればそれも避けていただきたいですねー……やっぱりドッキリは仕掛けないと。今まで騙してきた皆に対して不誠実になるのでは?」

提督「う、うぬぅ……。くそっ、仕方ないか……」

提督「だが、残念だったな……春雨の料理、楽しみにしてたんだが」

青葉「ならドッキリは食後でいいですよ!そのくらいの融通はききますから!」

提督「そうか、良かった……。だが、どう仕掛ける?」

青葉「それはですねぇ……大淀さん!ちょっとそこの薬を取ってください!」

大淀「はい……これですか?」

青葉「そうそうそれです!司令官はそれを食前に飲んでいただくだけでOKです!」

提督「なんか毒々しい色してるんだが……なんだこれ?」

青葉「仮死薬です!飲んで十数分で効果が出ます!」

提督「仮死薬!?……本当に死んだりしないだろうな?」

青葉「ご心配なく!一時間もすれば息を吹き返しますよ!今までに死亡例は確認されていませんし後遺症もありません!(……たぶん)」

提督「……そ、そうか。少し心配だが……やってみるか」

提督「秋月、もう大丈夫だ。今までありがとう。本当に助かった」

秋月「いえ、私なんか……では、失礼致します」スタスタ

提督「俺も執務室に向かわないと。ウェー、気が進まんなぁ……」スタスタ

青葉「さあ、ショータイムですよぉ!」プラーン

明石・大淀(めげないなぁ、この人……)

――廊下・執務室前――


春雨「ふふ。今日の麻婆春雨は美味しく作れたなぁ。司令官、喜んでくれるかな?」ニコニコ

コンコン

<春雨か。おう、入っていいぞー

春雨「はい、失礼します」

提督「いやあ、もう昼か。早いもんだな……」グゥゥー

提督「おっと、ごめんな。春雨が作ってくれるのが楽しみで腹を空かせてたんだ」

春雨「ふふっ、司令官ったら。すぐに準備するので、待っていてくださいね」クスクス





春雨「はい、麻婆春雨ですっ」

提督「おお、これは美味そうだ……」ゴクリ

春雨「ありがとうございます」ニコニコ

提督「ではいただきます」

春雨「……」ドキドキ

提督「……うん、うまい!」

春雨「ありがとうございます!……よかったぁ……」ホッ




提督「いやあ、本当に美味しかった。ごちそうさま」ポンポン

春雨「いえいえ、お粗末さまでした」

提督「今日の麻婆春雨、前食べたのよりも美味しかったな。味付け、変えたのか?」

春雨「はい!今日の麻婆春雨には、甜麺醤を使ったんです!」

春雨(司令官、味が違うことに気付いてくれたんだ……。嬉しいな)

提督「こんなに美味しければ毎日だって食べたいくらい……うっ!?」ビクッ

春雨「司令官!?大丈夫ですか!?」

提督「こ、これは……苦しい……うぐっ」バタン

春雨「し、司令官!?司令官!?」

提督「……」

春雨「息をしてない……!みゃ、脈も……!」サー

春雨「い、嫌……いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」バタリ




……るさめ……るさめちゃん……春雨ちゃん!

春雨「っ!ここは……」ガバッ

目を覚ますと、そこは執務室のソファーだった。大淀さんが心配そうに私の顔を覗きこんでいる。

春雨「はっ!」キョロキョロ

慌てて辺りを見回す。司令官は……いない。死体も、どこにもない。

大淀「春雨ちゃん、大丈夫?」

春雨「は、はい……」

きっとあれは夢だったんだ。司令官が死ぬなんて、そんなはずない。

大淀「春雨ちゃん……一体何があったの?」

大淀さんが尋ねてきた。

春雨「いえ……なんでもないんです、はい……。ちょっと、悪い夢を見たくらいで……」

大淀「夢……?」

春雨「はい。変な夢です。司令官が急に倒れて……亡くなってしまう、なんて。……ありえないですよね」アハハ

本当に馬鹿みたいな夢だ。どうしてあんな夢をみたんだろう。

大淀「……!」

大淀さんの表情が険しくなる。どうしたんだろう?

春雨「大淀、さん……?」

なんだか嫌な予感がして、私は大淀さんを見つめる。

大淀「夢じゃ、ないの……」

春雨「え?」

大淀「夢じゃないのよ、春雨ちゃん……。提督は、亡くなったわ」

大淀さんは、いったいなにをいっているのだろう?

春雨「し、信じ、られません……!司令官は、どこに……?」

震える声で尋ねる。信じたくない。あれは、夢のはずなのに。

大淀「そうね……付いて来て」

大淀さんは、執務室の隣……司令官の仮眠室まで案内してくれた。そこには……。

提督「……」

春雨「……ッ!!!」

ベッドの上に、司令官がいた。まるで、眠っているみたいだった。

私は、膝から崩れ落ちそうになるのを必死で抑えた。

春雨「おお、よどさん……?司令官は、どうして……?」

大淀「どうやら、急性のアレルギーみたい」

春雨「あ、アレルギー?」

大淀「ええ。おそらく、直前に食べた何かが原因なんじゃないかって……」

春雨「そんな……!」




本当に司令官が……?私の、料理で……?

でも、なんで?料理を作ってきたことなんて今までにだって何度もあったのに……。

今日だってアレルギーになるようなものなんて何も……。……ッ!?



提督『今日の麻婆春雨、前食べたのよりも美味しかったな。味付け、変えたのか?』

春雨『はい!今日の麻婆春雨には、甜麺醤を使ったんです!』


まさか……まさか、まさか、まさか!

春雨「あ、ああ……あぁぁ……」サー

大淀「どうしたの、春雨ちゃん!?」

間違いない。間違いない……!


――わたしだ。わたしが、しれいかんを、ころしたんだ……!


大淀「春雨ちゃん?どうしたの?」

大淀さんが心配そうに私を見る。責めているわけじゃない。でも私は、その視線に耐え切れず逃げ出した。

大淀「は、春雨ちゃん?春雨ちゃん!?」

春雨「……っ!」ダダダダ



……気付くと、私は自分の部屋にいた。部屋の隅には調理器具が入っている黒い鞄が。

開けてみると、鈍い光沢の包丁が目についた。切れ味も良く、重宝していたもの。……そうだ。

春雨「……償わないと」ボソ

私は、包丁を懐に忍ばせて再び司令官の元に向かった。

そうだ。死のう。司令官の元に行くんだ。


――仮眠室――

仮眠室に辿り着いた時、大淀さんはいなくなっていた。私を探しているのかもしれない。……大淀さんが戻ってくるまでに終わらせなきゃ。

ベッドの横に立って、司令官の顔を見る。

春雨「……本当に、眠っているみたい」

だけど、違う。司令官は、もう笑いかけてくれない。叱ってもくれない。二度と。

こうしたのは私だ。私が責任を取らないと。

春雨「ごめんなさい、司令官。春雨も、今から参りますね」

私は包丁を首に当て――――


ガシッ

――――その腕を止められた。

提督「やめろ、春雨……うっ!ゴホッ!ゴホッ!」

え?

春雨「し……司令官?」

司令官が、目を開けてこちらを見ていた。

提督「大丈夫……俺は蘇った。生きてるぞ」ニコ

これも夢?それとも現実?夢なら、醒めないで。

全力でほっぺをつねる。……痛い。夢じゃ、ない!

春雨「本当に、司令官なんですよね?夢じゃ、無いですよね?」

提督「ああ、本当だとも」バッ

司令官が「よし来い!」とばかりに両腕を広げる。私は迷わず飛び込んだ。

春雨「司令官……!もう、どこかに行ったりしないですよね?ここに、いますよね!?」グスグス

提督「ああ、大丈夫。ここにいるよ。居なくなったりしないさ」ナデナデ

よかった。ほんとうに……。

安心したら、なんだか、眠くなってきたな……。







春雨「ん……しれいかん……」スゥスゥ

提督「安心して寝ちゃったか。……春雨、本当にすまなかった」ナデナデ

<……春雨ちゃん!?春雨ちゃん!? ドタドタ

ガチャドタン!

提督「……なんだ?」

大淀「……春雨ちゃん!?」

提督「なんだ、大淀か。春雨ならここだ。安心して眠ってるよ」

大淀「……よ、よかったぁ~っ」ホッ

大淀「思いつめたような顔で走り出していくものですから……自殺でもするんじゃないかって。気が気じゃなくて……」

提督「ああ。なんとか未遂で止められて良かった……いや、良くはないか」

春雨「……んぅ?司令官?」

提督「ごめん、起こしちゃったか」

春雨「いいんです……。司令官と一緒なら、それで……」

大淀「結構危うい感じになってますね……ネタばらし、してあげないと」

提督「ああ、そうだな」

~~ネタばらし~~


春雨「そう、でしたか……ドッキリ……」

提督「ああ。死んでもないし、アレルギーもないぞ」

春雨「……ひどいです」ジト

提督「うっ!」グサッ

春雨「ひどいです、こんな……!私の気持ちを、弄んで……!」

提督「うぐっ!ぐうっ!」グサグサッ

提督「すまん!俺にできることだったらなんでもする!それで許してもらおうってわけじゃないが……!」

春雨「……!」ピーン

春雨「じゃ、じゃあ……今日一日、一緒にいてもらっていいですか?」

提督「ん?」

春雨「まだ、少し不安で……。目を放した途端に司令官が遠く行ってしまう気がするんです」プルプル

提督「そうか……わかった」

提督(本当に、申し訳ないことをしたな)

大淀「提督。それでは、モニター室の方へ……」

提督「ああ。そうだな」スタスタ

春雨「……」スタスタ

春雨「あ、あの、司令官!」ドキドキ

提督「ん、なんだ?」

春雨「その……手を握っても、いいですか?」

提督「ああ、もちろん構わないぞ」

春雨「ありがとうございます!」パァァ

春雨「ふふ……♪」ギュッ

――モニター室――

青葉「あ、司令官!お疲れ様です……あれ、春雨ちゃんも付いて来たんですか?手なんて繋いじゃって!お熱いですね―!」

春雨「あ、青葉さん……!そんな、やめてください……!恥ずかしいです……」カァァァ

大淀(でも離しはしないのね)

明石(ちょっと微笑ましいかも)

青葉「……司令官!そろそろ降ろして頂けませんか?青葉、そろそろ限界ですよぉ……」プラーン

提督「限界って?」

青葉「青葉の尿意がそろそろ限界なんです!司令官はうら若き乙女の放尿を見て喜ぶタイプなんですか?この鬼畜ー!」

春雨「司令官……そうなんですか?」

春雨「し、司令官がお望みなら、春雨は……」ブツブツ

提督「春雨ッ!?違う、断じて違う!……わかった。降ろすからちょっと待て!」





青葉「いやー!ようやく人心地つきました!」フゥ

青葉「これでまた頑張れますよー!」

提督「お前はあまり頑張らなくていいんだが」

青葉「またまた、そんなこと言って~!あ、司令官!執務室にまた艦娘が向かってますよ!」

提督「どうしてこうひっきりなしに。暇なのか……?」


↓2の艦娘 (死因も指定があれば)

夕立、衰弱死了解です!

時間かかりそうなので今日はこれでしゅうりょうです

すみません、安価のことで一つ。
↓2とかだと現状すぐ終わってしまうので、次回は「↓5までで時間コンマ下二桁が一番大きい方」でもよろしいでしょうか?

ありがとうございます。では次回は実験的に「↓5までのコンマ下二桁が最大の方」でいきます。

トリップつけました。できてるかな?

あとは反転かどうかでめちゃくちゃ荒れることがあるから気をつけた方がいい
コンマ2桁なら狙えるからね

紛らわしい書き方ですみません!次回というのは「夕立が終わった後のキャラ指定のタイミング」という意味です

>>167
すみません、コンマ指定は初めてなもので……。反転は下二桁が「65」なら「56」にする、ということでいいのでしょうか?

コントロールしづらそうですし、これで行こうかと思います。

春雨「あれは……夕立姉さん、ですね」

明石「ちょっとどうなるか気になりますね」

青葉「しっかし駆逐艦に好かれてますねぇ司令官!もしかして……ロリコンなのでは?」

提督「断じて違う」

青葉「まあそれは後々明らかにするとしますか。それでですね!今回は――――」


――廊下・執務室前――

夕立「ふんふーん♪」トットコ

夕立「今日の出撃もがんばったっぽい!提督さん、褒めてくれるかな~?」

ガチャ

夕立「失礼しまーす!」

シーン……

夕立「……あれ。提督さん……?いないっぽい?」

<ゴホッ!ゴホォーッ!

夕立「!……提督さん!?」

夕立「仮眠室からっぽい!」タタタタ

――仮眠室――

ガチャッ

夕立「提督さん!」

提督「ああ、夕立か……ゴホッ、ゴホッ……」

大淀「……」

夕立「て、提督さん!どうしたの?……風邪?」

提督「……そうだ。少し調子が悪くてな。すまん……ゴホッ!ゲホッ!」ビシャァ

夕立「て……提督さん?それ、血……!?」

大淀「……提督。夕立さんには本当のことを話したほうがいいでしょう」

提督「ああ、見られてしまったわけだしな……」

夕立「……ど、どうしちゃったの?提督さん、病気なの?」オロオロ

提督「ああ、そうだ。末期の癌らしくてな……実際もう死ぬ」

夕立「嘘……嘘よ!昨日だって、あんなに元気にしてたっぽい!」

大淀「実は、提督は今まで無理をしていたの。化粧をして、顔色をごまかして……。『せめて、次の提督が見つかるまでは』……って」

提督「ああ。だがもう後を託せる奴は見つかったんでな。気が緩んでしまった……うぐっ!」

夕立「提督さん!?」

大淀「提督!?」

夕立「嫌だ!死なないで、提督さん!!」ポロポロ

提督「夕立……ごめん、な……」ガクッ

夕立「嫌……!提督さん!ていとくさん……っ!」ポロポロ

大淀「息も、心臓も止まってる。提督は、亡くなったわ……」グス

夕立「う、うわぁぁぁぁぁ……うわぁぁぁぁぁぁん……」ポロポロ

夕立「提督さん、ていとくさん……」ポロポロ




……あれからどれだけ泣いたんだろう。多分、もう一生分くらいの涙は流したかな。

ぼやけた視界に提督さんの顔が映る。とても穏やかで、まるで寝ているみたい。私は少し不思議だった。

夕立「提督さんは、どうしてこんなに安らかな顔をしてるのかな」

大淀「……それは、きっと私達を信じてくれていたから。私達なら、提督が居なくても立派にやっていけるって」

夕立「……!」

そうか。提督さんは信じてくれているんだね。私達のことを……。

夕立「……」ゴシゴシ

涙を拭いて、立ち上がる。こんな泣き顔じゃダメ。笑わなきゃ。

大淀「夕立ちゃん?」

夕立「大丈夫だよ。大淀さん。夕立は、もう大丈夫」ニコッ

そうだ。提督さんは、夕立の笑顔が好きだって言ってくれていたから。

大淀「夕立ちゃん……」

夕立「私、分かったんだ。ここで座って泣いていたって、何も変わらないの」

夕立「立って、笑って生きていくよ」

夕立「それで……ずっと後で天国に行った時に、いっぱい褒めてもらうんだ!」ニコッ

もう、”ぽい”は卒業。『頑張る”っぽい”』じゃなくて、『頑張る』。

……見ててね、提督さん!夕立、もっと強くなるから!

ガチャ

青葉「はいどーもどーも!夕立さーん、ちょっといいですか?ー」

夕立「……あれ、青葉さん?」

青葉「実はですね……司令官は生きているんですよ!」

夕立「……えっ?」ポカーン

青葉「この秘孔を突けば……」グッ

提督「……ゴホッ、ゴホッ……」

夕立「提督さん?!」

提督「……もう嫌だ、こんなのってないぞ……大本営いい加減にしろよ……」ゴホッ

夕立「提督さーん!」ガバッ

提督「あぐぁ!?」ドスッ

提督「ちょっと待って、抱きしめるにしてももっと力を……病み上がりなんだって」

夕立「生きてた……ほんとうによかったよぉ!」ギュウウウ

提督「うぐ、うぐぐ……」タップタップ

青葉「はあい、感動の抱擁はそのくらいにして……夕立さん、これを」

夕立「なぁに?」スッ クルッ

提督「はぁ、助かった……」ホゥ

青葉「ドッキリ大成功ー!!」バヨエーン

夕立「えぇっ……?」

青葉「では、ネタばらしといきましょう!」

~~ネタばらし~~

夕立「もう、酷いよ、提督さん!」ポカポカ

提督「ごめん、ごめんって……いた、いたた!」

夕立「もう許してあげないっぽい!」ツーン

あ、『ぽい』って言っちゃった。

提督「うぅ……ごめん、すまなかった。悪かったよ……」

夕立「……本当に?ほんとうにそう思ってる?」ジトー

青葉「誠意を見せるべきですよ司令官!」

提督「誠意と言っても……俺にできるくらいのことならなんでもするんだが……」

夕立「……!ふーん?」ニィ

夕立「うん!じゃあ、許してあげるっぽい」

提督「ぽ、『ぽい』か……」

夕立「うん、『ぽい』」

また出ちゃった。でも、いいよね。もう少しだけ。

提督「そ、そうか……それで、俺は何をすれば?」

夕立「まだ考え中っぽーい。後で教えるから楽しみにしててね!それじゃ、バイバイ!」パタパタ

提督「行ったか……」

春雨「流石に夕立姉さんは強かったですね……」

提督「そうだな。後半は完全に立ち直ってたし」

大淀「まるで戦艦の皆さんみたいな覚悟の決まり方でしたね。私も驚きました」

明石「清霜ちゃんじゃないですけど、駆逐艦でも戦艦になれそうだなんて思っちゃいましたよ!」

青葉「……青葉としては、夕立ちゃんによる提督への命令権が気になりますがね!」

提督「思い出させないでくれよ……一体俺は何をされるんだろうか」

春雨「大丈夫です、司令官。夕立姉さんはそんなに無茶な命令はしないと思います、はい」

提督「ならいいが……ん?」

ピコーン。カンムスガシツムシツニセッキンチュウ


明石「あ、艦娘が接近中ですね」

提督「いつの間に音声通知が」

明石「出番なくて暇だったのでちょっと改善しときました!」

提督「すげぇな……さすが工作艦」

青葉「さーって!誰かな誰かなー?」


↓5までの「コンマ下二桁の『反転』」が一番多い艦娘で (死因指定もあればどうぞ)

五十鈴
転落死

>>181
99とは……。了解しました。五十鈴、転落死で

青葉「あ、五十鈴さんですね!」

提督「軽巡洋艦は初めてだな」

青葉「戦艦ほど大人でもなく、駆逐艦ほど子供でもない!どうなるんでしょう……ドキドキですね!」


――執務室前――

コンコン

<どうぞ

五十鈴「失礼します。……あれ、大淀だけ?提督は?」

大淀「提督なら、今は工廠ですよ。何か御用でも?」

五十鈴「ええ、装備のことで少しね……まあ、急ぎでもないし待たせてもらってもいいかしら?」

大淀「はい……あっ」

ジリリリリリリ

大淀「ん……工廠からですね。多分提督からかな……」

五十鈴「そう。それなら、用事が終わったら替わってくれる?」

大淀「わかりました。(ガチャ)……はい、大淀ですが……え?」

大淀「落ち着いてください、明石さん。提督が、どうしたと……?」

五十鈴「……?」


大淀「……え?提督が、高所から……」

大淀「は、はい……はい。床が崩れて……分かりました」ガチャ

五十鈴「どうしたの?提督が……なんですって?」

大淀「そ、それが……工廠の二階部分の床が崩れて、提督が落下した、と……」

五十鈴「ドジね……骨折でもしたのかし―――」

大淀「亡くなりました」

五十鈴「は?」

……大淀が何を言っているのかさっぱりわからない。

大淀「頭から落下して、即死だったようです」



……提督が、死んだ?

五十鈴「……冗談でしょ?」

大淀「いえ……明石さんの様子から、とても冗談とは……」

そんな。信じられない。……信じたくない。

五十鈴「提督が死ぬなんて、そんなはず無いじゃない!どうせ青葉が明石さんをそそのかして、ドッキリでもしてるのよ!」

大淀「……」

引きつった笑顔で言う私を、大淀は沈痛な顔で見てくる。

五十鈴「ほ、ほら!カメラ探してみましょ?きっと、この辺りに―――」ゴソゴソ

大淀「……!五十鈴さんっ!!」ガシッ

五十鈴「……っ!」ビクッ

大淀「五十鈴さん……提督は、亡くなったんです……!」

私の肩を掴み、正面から見つめながら大淀が言う。真剣な目……。

五十鈴「わかった……わかったわ。提督は死んだ。そうなのね?」

流石に、認めざるを得なかった。

五十鈴「それにしても……二階から落ちて?頭を打って死んだ?はは、馬鹿じゃないの?」

私は笑い飛ばす。

大淀「……五十鈴さん!」ギロリ

大淀が睨みつけてきたが、そんなの知った事か。馬鹿を馬鹿にして何が悪いのか。

五十鈴「私の艦長は皆大出世したのよ?五十六に多聞、貞市に茂……。それに引き換えアイツときたら」

五十鈴「大して出世もしない内に転落死ですって。馬鹿としか言いようがないわよね!」ポロ

頬に、温かい感触。

大淀「な、涙……!」

大淀の言葉でまるで他人事のように気付いた。そうか、私は泣いてるのね。

五十鈴「馬鹿、よ……。大馬鹿……」ポロポロ

五十鈴「あなたがこれからどうなるのか、楽しみにしてたのにな……」ポロポロ

提督「そうか、それは光栄だな」

提督の声が聞こえる。

五十鈴「そうよ。あなたも生きていれば、きっと……」ポロ

五十鈴「……えっ?」

提督の、声……?

振り返ると、そこには。

提督「騙して悪かった。ドッキリなんだ」

青葉「じゃじゃーん!ドッキリ大成功!」デッデーン

……うん?え、どういうこと?ドッキリ?

大淀「ごめんなさい、五十鈴さん!」

大淀が手を合わせて謝ってる。ぜ、全部演技だったのね……。

五十鈴「……や」

提督「や?」


五十鈴「やっぱりドッキリじゃないのよぉぉぉーーーーーーっ!!!」


私の叫びが執務室に響き渡った。

~~青葉ネタばらし~~

五十鈴「~~~~~!!~~~~~~~~!!!」ガミガミ

春雨「し、司令官……大丈夫ですか?」

提督「前が見えねェ」ボコボコ

五十鈴「~~~~!!~~~~……ちょっと、聞いてるの!?」

提督「ああ、聞いてるよ」

五十鈴「だからね、こういう卑劣なことはもうやめてよね!」

提督「わかってる。すまない」

ネタばらしのあと、説教はたっぷり30分は続いている。その間提督はずっと正座したまま。

あんなことをしたんだから当然ね。……とはいえ、仕事なんだからこのくらいで勘弁してあげましょう。本気で反省しているみたいだし。

……泣き顔を見られた分も含めればあと1時間は追加したいところだけど。


五十鈴「……もういいわ」

提督「え?」

五十鈴「もう許してあげるって言ってるの」

提督「あ、ああ。ありがとう……」

五十鈴「ただし!」

提督「な、なんだ?」

五十鈴「私の今までの艦長みたいに、大出世すること!……死なずにね!」

提督「……ああ。約束するよ」

五十鈴「私はそろそろ失礼するわ。……それじゃあね」



――モニター室――

提督「大出世か……うん、頑張らないとなぁ」

明石「司令官なら大丈夫ですよ!艦娘のためにここまで体を張れるんですから!」

提督「うーむ……そうだといいんだが」

ピコーン!カンムスガセッキンチュウ

大淀「どうやらまた誰かが来たようですね」





↓5までで「コンマ下二桁の反転が最大」の艦娘(&シチュ)

まるゆ
首吊り

>>194

はい。まるゆ、首吊り了解です。今日はここまでで失礼します。

……絶対トラウマ残るよねコレ

大淀「あれは、まるゆちゃん……だけじゃないですね。木曾さんも一緒のようです」

提督「二人か……どうする、やめるか?」

青葉「いえいえ!当然続行ですよ!」

提督「む、しかしどうするんだ?二人同時にっていうのも……」

青葉「大丈夫!その点はしっかり考えてますよ!」


――執務室前・廊下――


まるゆ「ふんふーん♪」

木曾「おい、あんまり急ぐなって」

私は、木曾さんと一緒に隊長の執務室に向かっています。

持っているのは、二人で作ったクッキー。そろそろおやつの時間です。

提案したのは私ですけど、木曾さんは賛成してくれました。「提督は根を詰めすぎるからな。時々誰かが邪魔してやった方がいい」ということらしいです。

木曾「そんなに急がなくても、提督は逃げないさ」

まるゆ「はーい!」

こうしていると、木曾さんまるでお姉さんだなって思います。

艦としては姉妹がいっぱいだったけど、今の「まるゆ」は1人だけ。

艦娘さんたちの輪に入れなくて寂しかった私に、隊長と木曾さんが優しくしてくれました。

お二人のお陰で、今は皆さんともけっこう仲良くなれています。

木曾さんがお姉さんなら、提督はお兄さんかな?それとも……。

木曾「おい、行き過ぎだぞ」

まるゆ「……あっ!ごめんなさい!」ハッ

考え事をしながら歩いていたら、執務室を通りすぎてしまっていたみたい。

急いで木曾さんのところに戻ります。

まるゆ「隊長、喜んでくれるかな?」

木曾「大丈夫だ。俺たち二人でつくったんだからな」ポン

まるゆ「そうですよね!」

木曾さんは頼れるし、かっこいいです。こういう人になりたいな、っていつも思ってます。

コンコン

木曾「木曾だ。入るぞ」ガチャ

まるゆ「失礼しまーす」

木曾「……ん?誰も居ないのか?」

まるゆ「そうみたいですねぇ……」

執務室はもぬけの殻で、人の気配はありません。

木曾「あー……仕方ないか。急用でも入ったのかもしれないし、クッキーだけ置いて帰るかな」

まるゆ「……そうですね」ショボン

なんだかちょっと残念。目の前で食べて欲しかったのにな。

……ギィ、ギィ


木曾「……?」

まるゆ「?」

木曾さんがなんだか不思議そうにしています。どうしたんだろう?

まるゆ「木曾さん。あの、どうかしましたか?」

木曾「……何か、聞こえるな。仮眠室からだ」

そう言われて耳を澄ますと、木がきしむような音が少しだけ聞こえました。

まるゆ「何でしょう?」

木曾「ちょっと見てくる」

まるゆ「まるゆもご一緒します!」

木曾さんの後を続いて仮眠室に向かいます。木曾さんがドアを開けました。

木曾「……ッ!!!」

まるゆ「木曾さん、どうし―――」

木曾「見るなっ!!」ガバッ

木曾さんがまるゆの視界をマントで隠します。でも、ちらっとだけ見えてしまいました。そこには。

……梁に吊るされた、隊長の姿が……。

まるゆ「……」フラッ

木曾「おい、まるゆ!?」

なんだか足元がグラッとなって、電気が切れたみたいに視界が真っ暗に……。

まるゆ「」パタン

木曾「……気絶したか。その方がいいかもな」

まるゆを執務室のソファに横にして、再び仮眠室に戻る。天井には……。

木曾「おい……冗談じゃないぞ」

首を吊った提督は、変わらずに虚ろな瞳で部屋を見下ろしていた。

ショックで途切れそうになる意識を、無理やり繋ぎ止める。

木曾「落ち着け……落ち着け。なんでこんなことになった?」

誰にともなく呟くが、当然返事はない。

木曾「提督が……自殺だと?そんな、バカな。昨日までは……なんとも」

おかしい。何かが……はっきりとは分からないが、何かが。

何か……動機が分かるものはないか。遺書とか……遺書?

木曾「遺書が……無い」

提督のような職に就く者が遺書も無しに自[ピーーー]るか?

持ち去られたのか、……それとも。

木曾「……他殺か?そんな―――」

そんなはずは無い……と言いかけた所で思い出す。今日の秘書艦は大淀のはずだ。……なら。

木曾「大淀は何処に行った?」

大淀「ここにいますよ」

背後から声。振り返ると、艤装を着け、砲塔をこちらに向けた大淀が。

木曾「……何のつもりだ?」

焦りを悟られないよう、低い声で言う。

大淀「なんでって……ふふっ、もうわかってるんでしょう?」

大淀が笑う。砲塔はこちらに向けたままだ。

木曾「お前が、提督を……殺したのか?」

大淀「はい。私が提督を殺して、吊るしました」

眼の奥が真っ赤に染まる。

木曾「……大淀ッ!!」

気が付くと俺は大淀に跳びかかっていた。だが、力の差は歴然だった。艤装を着けていないと、艦娘の力は大きく制限されてしまう。

大淀「まさか、遺書を用意する前に来るなんて。計画が狂ってしまうではないですか」

木曾「計画だと……?お前、まさか……ッ!」

大淀「そのまさかですよ。提督を殺して、自殺に見せかけるつもりだったのですが」

大淀「まあ、いいでしょう。少し計画を変えますか」

木曾「……!」

大淀「軽巡洋艦木曾が乱心。提督と潜水艦・まるゆを殺害するが、駆けつけた大淀に射殺される……なんて、どうですか?」

大淀は、まるでなんということのないかのように言った。

木曾「何でだ。お前、どうして……」ギリ

怒りのあまり歯ぎしりをする。大淀は笑顔のままだ。

大淀「どうしてって……そんな事は決まっています」

木曾「……何だよ。言ってみろ」

大淀「それは―――」

青葉「ドッキリだからですよ!」テッテレー

木曾「…………」

木曾「あ?」ポカーン

大淀「すみません。全部嘘です」

申し訳無さそうに大淀が言う。

提督「……すまないな、木曾」

部屋の入口を見る。そこには青葉と、提督がいた。

……提督だと?

木曾「……え?いや、ちょっと待ってくれ。どういうことだ?」

混乱が収まらない。提督は生きていたのか?それじゃああの死体は?大淀の計画とは何だったんだ?

提督「混乱するのも分かる。実はだな――――」

~~ネタばらし~~

提督「――――と、こういうわけなんだ」

全てを聞き終えたら、怒りがふつふつと湧いてきた。ドッキリだと?艦娘のイメージアップ?……ふざけるな。

木曾「……ふざけるなよ」ギロ

提督「……」

木曾「……ふざけるなよ。何やってるんだ、お前」

提督「……」

木曾「俺は、いいんだ。……だが、アイツの……まるゆの目の前で首吊りだと?」

提督「……すまない」

木曾「アイツの目には、一生あの光景が残り続けるんだぞ?自分に優しくしてくれる人間が、首を吊って死んでいる姿がだ」

提督「……」

木曾「お前の事を、見損なったよ。最低だ」

青葉「すみません……唆したのは青葉です。司令官は、何も……」

提督「いや、青葉。悪いのは俺だ」

青葉「司令官……」

木曾「ほう?殊勝なことだな。それで……どうするんだ?」

提督「……まるゆはまだ寝ている。今回の映像は、大本営にも提出しない。全て夢だったことにしよう」

木曾「ふん。まあ妥当な案だな」

提督「こんなことで償えるとは思っていない。本当にすまなかった」

木曾「……いいか、提督」

木曾「俺たちは皆、お前の事を信頼しているんだ。当然、死んで欲しいなんて思ってる奴は誰も居ない」

提督「……ああ」

木曾「……もう、こんなことしないでくれよ……?」ポロ

耐えていたはずの涙が溢れる。流石に限界だったみたいだ。

提督「木曾……すまない、本当に」

木曾「全くだぜ……この馬鹿め」ポロ




まるゆ「……どうですか、隊長?」

クッキーを食べる隊長に尋ねます。……美味しいって言ってくれるかな。

提督「ああ、とても美味しいよ」モグモグ

まるゆ「やったぁ!」パァ

木曾「俺とまるゆが作ったんだ。当然だな」フフン

木曾さんと隊長と、三人でおやつです。

私は執務室に着くちょっと前に転んじゃったみたい。ちょっとだけ気絶しちゃってました。

……なんだかとっても嫌な夢を見たような気がするけど、なんだろう……?

まるゆ「まあいっか!もぐもぐ~♪」モグモグ

まるゆ「おいしい~!木曾さんも食べましょうよ!」

木曾「ああ。……うん。我ながら悪くない味だな」モグ

三人でクッキーを囲んで食べる私達。傍目から見たらどう見えているでしょうか?

私には……。二人が、仲の良い夫婦みたいに見えました。そうすると、私は二人の子供かな?なんて……。

まるゆ「……ふふっ」

木曾「どうした?」

まるゆ「なんでもないですよ」ニコッ

三人で食べるクッキーは、とても美味しかったです。




――モニター室――

提督「明石……心が痛い。直してくれ」

明石「傷ついた心はちょっと私には無理ですねー……。というか、中破以上でしょう?」

提督「ああ、大破だよ……。まるゆにトラウマを残さずにすんだのが不幸中の幸いだが。……青葉、まだ続けるのか?」

青葉「大丈夫!もう折り返し点は過ぎてます!」

提督「そうか……」

ピコーン!カンムスガセッキンチュウ

明石「提督の心が轟沈しないような子だといいですね……」



↓5まででコンマ下二桁反転が一番大きい艦娘(&シチュ) 今回は複数人もありでいきます

長門 放射線による白血病

>>229
長門・白血病。了解です。……また結構鬼畜めなの来ましたね

ちょっとやることが多めなので、続きは多分明日の夜頃になりますね


まるゆをガチ泣きさせるのはなんか無理でした……申し訳ありません

一応……あんまりアレな感じで続いても(無理やり)着地はさせるつもりです

なので、安価に関しては皆様の熱いパッションを最重点にしてくださって大丈夫です。ごあんしんください

長門編は午後6時位に始めます


それと、次回の安価は『複数人も可』で。メインキャラ指定があればその子メイン、指定なければ適当になんかします


提督「長門か……」ホッ

青葉「露骨にほっとしてますね司令官」

提督「そりゃそうさ!だって長門だぞ?日向パターンだろこれは!」

青葉「そうかも知れませんね。とはいえあんまりそのまんまだとちょっとつまらな……あいえ、変化に欠けてしまいます」

提督「今絶対なんか聞こえたぞ」

青葉「ということで、ちょっとシチュエーションを変えてみましょうか!」

提督「嫌な予感が止まらないんだが」

青葉「問題無いですよ!ちょっとコレを飲んでもらうだけです」


提督「これ……例の仮死薬じゃねえか!割とマジで苦しいんだぞ!」

青葉「でもぉ……仕方ないんですよぉ。提督人形、さっきので首に跡ついちゃったんで修復中ですし」

明石「これ直すのって、なにげに面倒なんですよね……」バシバシ

提督「……くそ、仕方ないな」

青葉「それでこそ司令官!ささ、ぐいっと!」

提督「お、おう(ゴクン)……ぐっ!?」

青葉「あ、言い忘れてましたが、今回のは即効性ですのであしからず!」

提督「青葉……、お前……!」バタリ

青葉「さてさて!今回は青葉も出ますよぉ……くくく」ニヤァ

明石(うわぁ……悪そうな顔)

青葉「それで大淀さん、今回の筋書きなんですが――――」

――鎮守府・廊下――

……今日は、提督を見ていない。

普段は、何かと理由をつけて艦娘たちの様子を見に来る男だ。それが、今日に限って全く出てこない。

他の皆にも聞いたが、やはり見かけていないという。……提督の身に何かあったのだろうか?

長門「いや、まさかな……」

もし提督に何かあれば、大淀から知らせがあるはずだ。つまり、なんともないはず。

そう思いつつも、私の足は執務室へと向かっていた。

――廊下・執務室前――

執務室に辿り着いた。ノックをする。

コンコン

長門「提督、長門だ」

返事がない。

長門「……提督?」

悪い予感が胸をよぎる。焦燥感にかられ、強くドアを叩く。

ゴンゴン

長門「提督!提督!居ないのか!?」

……やはり、返事はない。

長門「……入るぞ!」ガチャ

強引に執務室へと入る。

長門「誰も、いない……?」


<ピーーーーーーーーーーーーーー

<提督!起きてください!

仮眠室からアラームのような音と、大淀の声が。……起きろ、か。

長門「なんだ、寝ていただけか。疲れが溜まっていたんだろうな」ホッ

杞憂だったことに安心し、胸をなでおろす。

長門「まあ、せっかく来たんだ。一言くらい挨拶しておくか」

仮眠室に向かう。

<提督!……提督!

大淀の声が止まらない。音も鳴り続けている。

長門「まだ寝ているのか。仕方の無いやつだな」

提督の寝起きの悪さに苦笑する。そうだ、私が起こしてやろうか。

ガチャ

長門「全く……いつまで寝ているん、だ……?」

仮眠室で見た光景に、私は目を疑った。

そこには、眠っている提督。そして……

提督の身体につながる医療機器と、提督の手を掴んで「起きて、起きて」と泣く大淀が。

心電図のモニターは平坦を示し、アラームのような単調な音はそこから出ているようだ。

その音が、提督の心臓は止まっていることを示している。

長門「な、に……?」

事態が飲み込めない。一体、何が……?

大淀「長門さん……来て、しまったのですね……」グス

長門「これは……どういう、ことだ……?」

声が震える。視界も歪んで、まるで幻覚でも見ているかのようだ。

大淀「提督は……たった今、亡くなりました」

長門「な……!?何故だ!何故……!?」ガッ

大淀の肩を掴む。

大淀「白血病らしいです。……放射線によるものだ、とか」

大淀の様子が少しおかしい。何かを、隠している……?

長門「放射線……?この周辺には原因となるものなど……」

そう。放射線に関する施設などは、この鎮守府の周辺には無いはずだ。

タッタッタッタッ……

ガチャ

青葉「大淀さん!艤装の検査結果が――――、あ」

青葉が入ってきた。

青葉「……長門、さん……」ジロ

やはり様子がおかしい。私の顔を見ると、一瞬だけ怒り……敵意のような感情を向けてきた。……私が何をしたというんだ?

長門「艤装の検査結果だと?誰の―――」

大淀「長門さんの艤装です」

大淀が割りこむようにして答える。

長門「……何だと?」


嫌な予感がする。

大淀「長門さんがおっしゃっていたように、この付近に強い放射線を受けるような施設は存在しません」

青葉「なのに、司令官は白血病になってしまった。なんでだと思います?」

大淀と青葉がこちらを睨みつつ問いかけてきた。もはや、敵意を隠そうともしていない。

長門「どうして、だと……?何を言っているんだ?」

……わからない。だが、知ってはいけないことのような―――

青葉「ほんとうに、鈍い人ですねぇ……わからないんですか?」ギロ

大淀「……教えてあげましょう。原因は、この鎮守府に”あった”んです」ギロ

二人がこちらを睨む。……私を?この鎮守府に、原因があると?

長門「……!」

……頭のなかを稲妻が走ったようだった。

放射線。白血病。クロスロード。艤装……。

幾つかのピースが集まり、答えが見えてくる。

長門「……まさか。まさか、私が……?」ガクガク

大淀と青葉が、侮蔑するように私を見た。

青葉「はっ。ようやく気付いたんですか……」

大淀「そうです。あなたが――――」



大淀「――――あなたが、提督を殺したんですよ。長門さん」



長門「……そんな。バカな……嘘だ」

青葉「『嘘だ』?寝言は寝て言ってくださいよ」

青葉が私に言う。

青葉「あなたは、鎮守府にいる間ずっと、放射線をまき散らしていたんです」

青葉の声が遠い。何を言っているのかさっぱりわからない。

青葉「艦娘なら大丈夫でしょうけど、近くにいる人間、提督は……被曝してしまうでしょうね」

大淀「提督は、『俺は大丈夫だから、心配するな』なんて言ってましたよ。多分誰が犯人か、わかってたんでしょうね」

大淀が口をパクパクうごかしている。何を言っているのか聞こえない。わからない。

長門「嘘だ、嘘だ……こんなの」ブツブツ

青葉「あーあ、現実逃避ですか……ほら。司令官を見て下さいよ」グイッ

青葉は、私の顔を提督に向けさせる。提督は動かない。……二度と。

これを、私がやったのか。私が。

長門「……あ、ああ……あああ……」ガクガク



……ぶつんと、何かが切れる音がした。

青葉(やば……長門さん、動かなくなっちゃいました)

長門「……」

青葉「……な、長門さん?」

青葉が私に話しかける。一瞬意識が飛んでいたようだ。私は答えた。

長門「……なんだ?そんな顔をして」

青葉「!?……長門さん……?」

青葉が驚いたような顔をして私を見る。一体どうしたというのか。

提督『どうしたんだ、青葉?長門がどうかしたのか?』

提督も、青葉を気にしているようだ。

長門「そんな顔をするな。提督も心配しているぞ」

青葉「!?……何を、言っているんですか、長門さん……?」

青葉は顔を蒼白にしている。

提督『本当に大丈夫か青葉?ちょっと休んだほうがいいんじゃないのか……』

長門「ほら、提督もこう言っている。少し休んだほうがいいぞ」

大淀「長門さん……?提督なら、あそこに……」

……大淀は何を言っているんだ?大淀が指差したベッドは普段通りで、『誰もいない』。

長門「何を言う。提督なら、ここにいるだろう?」

『私の右に立つ提督』を見る。

提督『おいおい、大淀までか……こりゃあちょっと大事かもしれないぞ』

提督が言う。心配そうな声音だ。

長門「そうだな。二人とも少し休め。お前たちは疲れているんだ」

青葉は最初呆気にとられていたようだったが、私を見て、そしてこう言った。

青葉「現実を受け止めてください長門さん!提督は、もう亡くなったんです!」

さっぱり分からない。……何だ。何を言っているんだ、こいつらは?提督なら、ここにいるというのに。

あまりにおかしなことを言うので、だんだん腹が立ってきた。

長門「ふざけたことを抜かすなっ!!」カッ

青葉「……ひっ!」ビク

つい怒鳴りつけてしまった。……いや、当然だ。提督が死んだなどと馬鹿なことをいうからだ。

提督『長門、ちょっと厳しいんじゃないのか?俺ならホラ。大丈夫だって』

提督はこう言われても青葉を許すつもりでいるようで、それに甘えるこいつらがなおのこと腹立たしい。

長門「だがな、提督。こういったことを許しては鎮守府全体の規律に関わる」

提督『まあ、そうか……。でも、今回のはそれで許してやってくれ。すっかり怯えてしまっているぞ』

長門「全く……甘いやつだな」

大淀「目を、覚ましてください。長門さん……提督は、もう……!」

大淀が悲しげな目で私を見る。……気に入らない目。

長門「……何を言っている?目を覚ますのはお前らだ」

長門「提督が死んだなどと、冗談にしても許されるものではないぞ」

提督『長門。だから俺はいいって……』

長門「よくないっ!提督が死んだ?提督が死ぬわけがない。そうだろう!?」

私は叫んだ。

長門「提督は、私達を置いて先に逝ったりはしないっ!」

何故かは分からない。だが、絶対に二人の言い分を認めるわけにはいかない。私は叫んだ。

提督『おいおい、どうしたんだ?一体』

横の提督が私を見て、驚いたように言う。

長門「ほら、提督ならここにいるだろう!いつも通りだ!なぁ!!」

足元がおぼつかない。世界が全て崩れ落ちそうに感じる。それを振り払うように、私は叫んだ。

そう。提督はここにいる。……なのに、なぜ。何故私はこんなに不安なんだ?

「――――と」

……何だ?何かが聞こえる。だが、誰の声で、何を言っているのかは分からない。

「―――がと」

どこかで、聞いた、ような……これは……?

「――ながと」

長門「……?」


「――――長門!」

抱きしめられる感触。正面を見る。

長門「てい、とく……?」

提督の顔を見た瞬間……頭の中のモヤが晴れ、私は全てを思い出した。

提督が死んだと聞かされたこと。それを信じられず、幻想の提督を創りだしたこと。……だが。

長門「……なんだ、提督は居るじゃないか!ここに……!」ジワ

横に居たはずの提督は、もういない。偽物など、もういらない。

そう……これは。この感触は、暖かさは……幻想なんかじゃない。本物だ……!





提督「すまなかった、長門……本当に、すまなかった」

長門「いい……いいさ。提督……無事で、よかった」ポロポロ

ああ。提督だ。提督は、ここにいる……。


~~ネタばらし~~

青葉「ということで!どっきりでしたーっ!」デローン

説明が終わると、青葉がプレートを私に見せてきた。

長門「……そうか、そうか」

右手で青葉、左手で大淀の顔を掴んで力を入れる。先程まで騙してくれた分だ。

大淀「い、いたたたたた!」ミシミシ

青葉「あだだだだだっ!痛い!痛いですって!ベアークローはやめてください!」ミシミシ

長門「……ドッキリ、か……」ミシミシ

更に力を加えてやろうとすると、提督に止められた。

提督「このままでは二人の顔が潰れてしまうぞ……やるなら責任者の俺でいいだろ」

長門「……ふん」ブンッ

顔を掴んで持ち上げていた手を離してやる。

青葉・大淀「あたっ!」ビターン

長門「どうせ、今回の内容を考えたのは提督では無いんだろう?これで提督を責めても仕方がない」

提督「……まあ、そうだが」

長門「こんな悪辣な筋書きを立てるのは、大方青葉と……」ギロ

青葉「ひっ!」ビク

長門「大淀……そうだな?」ギロ

大淀「は、はひぃ!」ビク

長門「いいか、お前ら……次は無いぞ」ゴッ

青葉・大淀「は、はいっ……!」

長門「なあ、提督」

提督「な、なんだ?」

長門「……」ギュッ

提督(急に、長門が抱きついてきた)

提督「……長門?」

長門「絶対に、先に逝ったりしないでくれよ……?」

提督「ああ、もちろん―――」

長門「もしそんなことがあれば、私はすぐに後を追うから、な……ふふ」

提督(暗い目をして長門が笑う。表向きはいつもと同じようだったが、さっきまでとは何かが違う)

提督(一度曲がってしまった針金は、伸ばしても二度と元の形には戻らない……そんな言葉を、ふと思い出した)





――モニター室――

提督「全然大丈夫じゃないじゃないか!お前らどうしてこう他人のトラウマをほじくりだすようなことしてるんだよ!」

青葉「だってぇ……そのままじゃ日向さんコース一直線だったんですもん……つまらなかったんですもん……」

大淀「イマジナリー提督まで出すとは思いませんでしたが……」

青葉「長門さんなら大丈夫だろう、って思ったんですけどねぇ」

提督「いや、プリンツとか酒匂でも同じ事やるつもりだったろ」

青葉「ち、違いますよぉ!」ギク

提督「図星か。……あまりに酷いのは本当にやめろよ。いい加減フォローしきれないぞ」

青葉「はいっ!青葉、反省しました!」ビシッ

提督「信用出来ないなぁ……というか、それにしても広報として不適当なのばっかりじゃないかだろ。こんなの放送できるのか?」

青葉「そこのところはご心配なく!ちゃんと使えそうなところをチョイスしますから!」

提督「……心配だ」


ピコーン!カンムスガセッキンチュウデス


提督「今度は誰だ?」



↓5まででコンマ下二桁反転が一番大きい艦娘(&シチュ) 複数人もありで

5レスの中でゾロ目3つとはなかなか神がかってますね……

五月雨、了解しました



青葉「五月雨ちゃんですね。……今回は変にひねらず、シンプルにいってみましょう!」

提督「そうだな……ダメージ少なめで行こう。そろそろ胃潰瘍で喀血しそうだ」


――執務室前――

五月雨「……どうしたんだろう?」

提督に遠征の報告をするために執務室へきたんだけど、なんだか様子が変だ。

ノックをしたのに反応がない。でも、大淀さんの切羽詰まった声が聞こえる。

ドア越しなので、はっきりとは聞こえない。どうにも気になって耳をすましてみると、少しだけ内容が聞き取れた。

大淀『……提督…車………事故……入院……』

……ちょっと待って。提督に……車に、事故に……入院?

物騒な単語の羅列に私は居てもたっても居られなくなって、執務室に突入した。

ガチャ

五月雨「あの……大淀さん……?」

大淀「はい……はい。失礼します……」ガチャリ

私が執務室に入るのとほぼ同時に、大淀さんが電話を終えた。

大淀「……五月雨ちゃん?」ウル

大淀さんが私に気付いた。涙目で私の方を見る。……やっぱり、提督に何かが?

五月雨「すみません。でも、電話してるのが聞こえちゃって……」

大淀さんが、「しまった」といった顔をする。

大淀「……聞いてしまったのね」

五月雨「は、はい。提督と、事故……単語だけですけど、聞きました。もしかして、提督は事故に……?」

大淀さんに尋ねる。聞き間違いであってほしい。

大淀「ええ。提督は……先ほど、交通事故にあったわ。病院に運ばれたけど、意識不明の重体だそうよ」

五月雨「そ、そんな……!?」

……聞き間違いじゃなかった。腕を強くつねる。痛い!……夢でもないみたい。でも、どっちかであってほしかった。

提督が、事故だなんて……!

大淀「でも、焦らないで。おちつい―――」

五月雨「……っ!」ダッ

大淀「さ、五月雨ちゃん?!」

大淀さんが何かを言い終わる前に、私は執務室を飛び出していた。

提督のところに行かなくちゃ……!それしか頭になかった。




五月雨「はぁ……はぁ……あっ!」

鎮守府を出て、しばらく走った所で気がついた。

五月雨「そういえば、提督のいる病院を聞いてなかった……」

私って、どうしてこんなにドジなんだろう。大淀さんにも迷惑をかけちゃったな。

ふと、少し前の事を思い出す。

前も……買い出しを頼まれた時、詳しい内容も聞かずに飛び出してしまったことがあった。

何を買ったらいいかも、そもそも自分が何処にいるかもわからなくなっちゃって……。

あの時は、不安と自己嫌悪で泣いてしまいそうな私のところに提督が来てくれたっけ。

泣きそうな私の頭に大きな手をポンとのせて、撫でてくれて。あの時は嬉しかったなぁ……。

……五月雨はドジだなぁ、なんて笑われちゃったりもしたけど。

五月雨「提督……」ウルウル

……まただ。また、あの時と同じ……。

でも、あの時と違うことがひとつある。提督は、来ないんだ……。

そう思ったら、涙が抑えきれなくなってきて。

五月雨「ていと、く……ていとく……」ポロポロ

ついに私は泣き出してしまった。だめだ、だめだって思っても、止まらない。


五月雨「……?」グスッ

俯いて泣き出した私の頭に、大きな手がのせられる。

顔を上げると、そこには――――提督がいた。あの時と同じ、困ったような笑顔で。

五月雨「てい、とく……?」

提督「まったく。五月雨はドジだなぁ」ナデナデ

優しい声と一緒に頭を撫でられて、私はすっかり安心してしまった。提督に抱きついて、大声で泣く。

五月雨「て、提督……うっぐ、うわぁぁぁぁん……」ヒッグ、エグッ

提督「……」ナデナデ

提督は軍服が汚れるのも構わず、私が泣き止むまでずっと優しく撫でてくれていた。



提督「もう大丈夫か、五月雨?」

五月雨「はい……あっ!」バッ

提督に抱きついていたことを今更恥ずかしく思って、慌てて離れる。

五月雨「すみません!提督の軍服、汚しちゃいました……」

赤くなった顔に気付かれないように顔を隠して言う。

提督「なに、構わないさ」

五月雨「提督がご無事で、良かったです……あれ?」

そういえば、提督がなんでここに?

五月雨「提督、事故にあったんじゃ……」

提督は、気まずそうに頭を掻いた。

提督「そのことなんだが……道すがら話すよ」

~~ネタばらし~~

――鎮守府前――

提督「――――というわけだったんだ」

五月雨「そうですか。ドッキリだったんですね」フム

提督「……怒らないのか?」

提督が、少しだけ心配そうに私を見て言う。……でも。

五月雨「いえ!私は提督に何も無かったならそれでいいんです」ニコッ

本心だ。私がそう言うと、提督は何故か目元を抑えた。

提督「……うう」グス

五月雨「……て、提督?」

提督「こういう優しい反応は実際久しぶりでな……嬉しいというか、申し訳ないというか」

五月雨「そうだったんですね……」

提督「今回は本当にすまなかった。今度、埋め合わせはするよ」

五月雨「いえ!そんな……」

提督「いや、お詫びの一つもしないと逆に俺の方が困るんだ。頼むよ」

五月雨「……はい。では楽しみにしてますね、提督!」




――モニター室――

提督「そうだよ。こういうのでいいんだ、こういうので」ウンウン

青葉「……」プスー

提督「……どうした、青葉?不満そうだが」

青葉「五月雨ちゃんも提督も、さっさと鎮守府出ちゃうものですから……せっかくの内容を記録できなかったんですよ」プスー

提督「なんだと!?これ以上ないくらい綺麗にまとまったのに……!」ガクッ

明石「……提督、膝から崩れ落ちちゃいましたよ」

大淀「どうやら、かなりまともな展開だったみたいですし……仕方ないですね」



カンムスガセッキンチュウ


明石「ほらほら二人とも腐ってないで。また誰か来ましたよ?」



↓5まででコンマ下二桁反転が一番大きい艦娘(&シチュ) 複数人もありで

初春
深海棲艦に暗殺された

>>298
初春・深海棲艦による暗殺。了解しました

提督「初春、か……大人びてはいるが、駆逐艦だしなぁ。どうなることか」

青葉「お悩みのようですねぇ、司令官……ドッキリの前にお水でもどうぞ」

提督「おう、すまんな――――」




ここは鎮守府内、廊下。執務室に向かって歩いているのは、初春型駆逐艦のネームシップである初春だ。

今日は出撃や遠征の任務もなく、彼女には別に提督に会うための明確な理由があったわけではない。

だが、彼女は胸のどこかに引っかかるものを感じていた。

初春(今日は、一度も提督を見ておらぬ……一体、何をしておるのじゃ?)

そう。提督は艦娘思い……悪く言えば過保護であり、艦娘が出撃や遠征から帰って来た時は殆どの場合迎えに来る。

それなのに、今日は全く提督を見ぬ。そのため不審に思う艦娘も多い。

そして確認のため執務室に向かい、まんまと騙されるのだ。

当然これも青葉による狡猾な作戦である。だが、そのことに気付く艦娘はいない。この時点での初春もそうであった。

執務室のドアの前に辿り着いた初春は、ドアをノックした。……だが、提督からの応答はない。

初春「おい、提督……?」

不審に思い、再びノックをする。……応答はない。

初春「……すまぬな。入るぞ」

無断で執務室に踏み入る初春。……その時、彼女の目に飛び込んできたのは信じがたい光景であった。

初春「――――なっ!?」

提督が、血だまりの中で倒れている。

助け起こすため近寄ろうとして、初春は気付いた。血が固まっている。……流れてから相当時間が経っているようだ。

提督はピクリとも動かない。最悪の予感が初春の頭をよぎる。

あえてそれを考えないようにしながら、初春は提督の身体に触れる。

――そして、初春は最悪の未来が現実となったことを知った。

初春「……!」

体温がない。当然呼吸もしておらず、脈も止まっている。

提督は死んでいた。

初春「……深海棲艦が、提督を……」

己の心が砂で作られた城であるかのように、初春は感じる。

初春(……許さぬ)

砂の城の外面は吹きすさぶ風によって削り取られてゆく。風とは彼女自身の怒りであり、外面は感受性などの人間的要素であった。

そして、最後に残ったのは……深海棲艦への殺意。

初春(あやつら……生かしておくものか。最後の一匹まで追い詰め、縊り殺してやろうぞ)

殺意に満ちた決意をした初春は、背後で気配を感じて振り向く。

初春「なんじゃ……大淀か」

無感情につぶやく初春に、大淀は何か良からぬものを感じた。ドッキリは失敗したのか? 反応を見るために話しかける。

大淀「は、初春ちゃん……見て、しまったのね」

揺さぶりをかける大淀だったが、初春はマグロめいた無表情で佇むだけだ。いつもの超然とした態度はそこには無い。

大淀(こ、これは……一体?)

困惑する大淀に、初春が話しかける。砂漠の風のように乾いた声。

初春「出撃の許可をくれぬか。提督不在の時、秘書艦が代理でその任につくはず」

大淀「出撃……?どうして?」


戦闘で提督が死んだ悲しみを紛らわせたいのか?大淀はそう思った。だが、違った。

初春「知れたこと……。殺すのよ。深海棲艦を、全て」

淡々と、初春が宣言する。

大淀「えっ?」

大淀は聞き返す。初春は提督の死体、次に転がる機体を指さして言う。

初春「見れば分かるであろう。奴らは提督を殺した。ゆえに殺す。一匹残らずな」

大淀は、別の意味でドッキリが失敗したことを悟った。それも、最悪の形で。

彼女を止めるには提督自身に説得して貰うほかない。だが、まだそれは出来ない。倒れて居るのは提督その人で、蘇生には時間がかかるからだ。

相次ぐドッキリで提督人形は全滅してしまい、修繕にはまだ時間がかかる。水に薬を混ぜて飲ませた後に、青葉は倒れる提督にそう言った。

一度死ぬたびに生き返るまでの時間は延びている。この分だとまだ待たねばなるまい。



大淀(それまで……時間を稼がないと)

大淀「そんな、ダメよ!」

大淀は制止しようとする。しかし初春は意に介さない。

初春「ほう、駄目か。ならばわらわは勝手に行く」

大淀「そんなこと。許されるわけが――――」

説得しようとして、大淀は初春の目を……見てしまった。

その中には、あまりにも強い憎悪と怒り……そして殺意。

大淀「――――ひっ!」

あまりにも強い殺気に大淀は後ずさる。初春の目はもはや駆逐艦のそれではない。彼女は復讐者となったのだ。

初春「『許されるわけが』……?許されるわけがない、と?深海棲艦に侵入されまんまと提督を殺されたこの状況以上に、何が許されないと?」

詰問する初春に答えるべき言葉が見つからず、大淀は絡め手を使う。

大淀「で、でも……復讐のために戦うなんて……!提督だって喜ぶわけがないわ!」

故人の遺志を持ち出す……いささか卑怯ではあるが、実際効果的だ。しかし、初春はすげなく答える。

初春「ふん。提督を喜ばせるために戦うとでも?死者は何も感じない。喜びも、悲しみも」

大淀は困惑した。提督のためにではない……それでは、何のために?

初春「これはわらわが、わらわのためにすることなのでな。文句があるならば除籍にでも何でもすればよかろう」

大淀は、止められないところまで初春が行き着いてしまったことを悟った。

大淀(ダメ、止められない。これは、どうしようも……)

打ちひしがれる大淀。もう駄目なのか?初春は容赦無い復讐者へと変貌してしまうのか?……その時!


提督「ゴ……ゴホッ!」

息を吹き返す提督。

初春「な……なっ!?」

初春は、初めに提督の遺体を見つけたときよりも大きな驚愕を顔に浮かべる。

提督「あー……何なんだよ、一体……」

のっそりと起き上がる提督を、初春は困惑の表情で見る。

初春「提督……貴様、死んだのでは?体温も、呼吸も止まっておったのに……」

初春と大淀の表情から提督は全てを悟る。……図られた!

青葉への怒りを表に出さないようにしつつ、提督は初春に向きなおって謝罪する。

提督「その顔、ずいぶん心配をかけたようだな……本当にすまん」

初春「い、いや。生きておったのは良いのじゃが……これは一体、何なのじゃ?」

急転し続ける状況に、初春は理解が追いついていない。曖昧に問う。

大淀「ごめんね、初春ちゃん。実は――――」



~ネタばらし~

初春「そうか。ドッキリであったのだな」

どこかスッキリとした表情で初春が言う。

提督「しかし、どうしてさっさとネタばらししなかったんだ?相当ヤバい状況だったみたいだが」

初春「それもそうじゃな。あそこで提督が起き上がっていなかったらどうするつもりだったんじゃ?」

大淀「そのときは言うつもりだったわ。でも、提督が生きているのをあなた自身で見ないと信じてくれないと思って……」

少し前の初春の様子を思い浮かべて大淀が言う。実際、あの時点の初春に真実を伝えたとしても

初春『何を言っておるか、うつけめが』

などと一蹴されていたことだろう。

初春「それにしても……貴様何をやっているのじゃ。このバカ!」ポカポカ

提督「痛い!痛いって!」

初春「青葉にまんまと騙されおって!わらわがどれほど……」ポカポカ

目をうるませつつ初春は提督を殴る。

初春「このバカ、バカめ……」ポカ

ついに泣きだしてしまう。そこに、先ほどまでの容赦なき復讐者の面影はない。


泣きながら提督を殴る初春と、それを優しく抱きとめる提督を見つつ、大淀は思った。

大淀(やっぱり、艦娘たちの心を『人間』として繋ぎとめているのはあなたなんですね、提督……)

そう。提督こそが彼女たち艦娘の帰る場所であり、人間性の楔であった。






初春「……もう、よいぞ」

初春が提督から離れる。

提督「すまなかったな、初春」

再度謝る提督。

初春「よい、よい」

初春は扇子を口元で広げ、優美に笑う。

提督「だが、このままでは――――」

気が済まないと見える提督に、初春から持ちかける。

初春「無論……埋め合わせ、楽しみにしておるぞ?」

提督「……ああ。任せとけ!」



――モニター室――


青葉「あっ、おかえりなさい司令官!今回の初春ちゃんはなかなかのものでしたね!青葉ハラハラしちゃいましたよ!」

提督「勝手に薬を飲ませた事に関する申し開きは無いのか……?」

青葉「あ。申し訳ありませんでした!もうしません!」

提督「……。というか、やるにしても一言言え」

青葉「言ったじゃないですか。飲んだあとに」

提督「全く悪びれないなお前……もういい。怒る気も失せた」ハァ

カンムスガセッキンチュウ


青葉「まあまあそう怒らないでくださいよ。また別の子が来ましたよ?」


↓5まででコンマ下二桁反転が一番大きい艦娘(&シチュ) 複数人もありで

はい。足柄さん了解しました

多分、あと二回くらいで締めですかね……あんまり長くしすぎるのもアレですし

提督「足柄か……あっ!」

青葉「えっ、どうしたんですか?」

提督「ゆ、夕食一緒に食べる約束してたの忘れてた……!」

提督「やっべぇ……また妙高に叱られる……」

青葉「仕方ないですねぇ司令官は。ここはドッキリで有耶無耶にしちゃいましょう!」

提督「いや、普通に謝るって……」


――廊下――

足柄「……」ズカズカ

私は、肩を怒らせながら廊下を歩く。駆逐艦の娘たちが怯えていたが、どうしても感情を抑えきれない。

足柄「……まったくもう、提督ったら!何度も約束をすっぽかして!」

そう。以前も――朝食ではあったが――一緒に食べる約束をすっかり忘れられていたことがあった。

その時は妙高姉さんからきついお叱りがあったようで「これからは気をつける」と謝られたのだが……。

またこれだ。……今度は直接文句を言ってやる!


ガチャ

ノックはしないで執務室に入る。ドアも乱暴に開ける。怒りを伝えるためだ。

足柄「提督!私との約束を何度もすっぽかすなんて、どういう了見なのかしら!?」

提督の机を見る。提督は机に突っ伏している。寝ているようだ。

足柄「……はぁ。執務中に寝ちゃったのね」

提督はいつもこうだ。仕事に力を入れすぎて、自分を顧みない。

(そんなことだから、心配になっちゃうのよ)

実際のところ、私が提督を夕食に誘ったのもこれが理由だ。誰かが誘わないと、夕飯は日付が変わってから……などと言いかねない。

このことをわきまえている艦娘も多いようで、提督はしょっちゅう誰かしら艦娘と一緒にいる。




足柄「全く……こんなところで寝ていたら風邪引くわよ?」

提督を揺さぶって起こそうとする。

足柄「……?」

冷たい。まるで、血が通っていないかのようだ。呼吸の音も聞こえない。

足柄「て、提督……?」

嫌な予感がした。提督の肩を強く揺する。だが、提督の首はバネ仕掛けの人形のように激しく前後に揺れるだけだ。

提督の開かれた目と、目が合う。焦点が定まっておらず、その瞳は何処も見つめていない。

足柄「……!」

私はそこでようやく確信した。……提督が、死んでいる!

足柄「嘘、そんな……!?どうして!?」

ガチャ

困惑する私の後ろで、ドアが開く音がした。

大淀「提督、失礼します――――足柄さん?」

足柄「大淀……!提督が……提督が!」

蒼白な顔で言う私に、大淀が怪訝そうな目を向ける。

大淀「提督が……?」

大淀は机に突っ伏した提督を見る。そしてため息。

大淀「なんだ、寝ていられるんですね……。全く」

足柄「違う……!」

大淀「あ、足柄さん?どうなさったんですか?」

あまりに私が鬼気迫る顔をしていたのか、大淀は驚いたように言った。

足柄「提督が……提督が、死んでいるの!」

大淀「……えっ?」

大淀は、事態を飲み込めていないみたいだった。

大淀「……提督が?いえ、そんなはずは……どうして?」

つぶやくように大淀が言う。……そう。『どうして』?

足柄「どうして、提督は死んだのかしら。昨日までの提督には異常はなかった……はずよね」

大淀「……」

大淀はしばらく考えこんでいるようだったが、思いついたようにこう言った。

大淀「……そういえば、昨日の、深夜のことなんですが」

足柄「何か……あったのね?」

大淀は、階段を一歩一歩踏みしめるようにぽつりぽつりと話しだす。


大淀「……私が執務室で作業をしていると、何か重い物が床に落ちるような大きな音がしました」

大淀「それで、そちらの方を向くと……提督が脚立ごとひっくり返っていて……」

大淀「提督は頭を強く打っていたみたいで……しばらくうずくまっていましたが、そのうち立ち上がりました」

頭を……強く?

大淀「提督ご自身が大丈夫だ、とおっしゃるので深く考えはしなかったのですが……」

……それが、原因で……?

足柄「脳へのダメージは、本人では気づきにくい……」

つぶやく私に、大淀がさらに付け足す。自分への怒りと悔しさで、歯を食いしばりながら。

大淀「……ええ。それに、数日後に突然死に至るケースも多い……失念していました」ギリ



私はその場に崩れ落ちた。そんなことで提督が死んでしまうなんて、思いもしなかった。涙があふれる。

足柄「何よ……何よ!提督の……バカッ……!」ポロポロ

大淀「足柄さん……」

足柄「私、言ったじゃない!無理をしないでって!あなたがいなくなったら私が……皆がどうなるか考えて、って……!」ポロポロ

子供みたいに泣きながら、私は言い続ける。

足柄「あなたがいてこそ、艦隊は頑張れる……そういったのに……!」ポロポr

「―――あの」

足柄「バカ……バカ、バカ、バカ!!」ポロポロ

「――――あのー、足柄……さん?」

後ろから呼ぶ声に、私は振り向いた。そこには提督がいた。私は怒鳴りつける。

足柄「何よ!泣いちゃいけないの?提督が死んじゃったのよ!提督は悲しくないの!?」



足柄「……あれ?」


提督……?提督がなんで?提督は、机に突っ伏して死んでいる。

足柄「……幻覚まで見ちゃうなんて」

どうやら、私は相当提督に依存していたようだ。

足柄「消えなさい。幻覚に用はないわ」

提督「いや、そう言われても……」

幻覚の提督は困ったように後ろ頭を掻く。……仕草までもあまりにも提督だ。まるで本物のよう。

――――でも、これは幻覚だ。私は、現実を……提督の死を受け入れなければならない。私は幻覚を振り払おうとする。

足柄「――消えなさいって、言ってるでしょ!?」キッ

大淀「その……足柄さん」

大淀が、横から声をかける。私は大淀の方に振り向く。振り向きながら、声を荒げて言う。


足柄「何よ、今度は!……?ドッ、キリ……?」

大淀は「ドッキリ大成功」のプレートを申し訳なさそうに掲げている。

大淀「はい……ドッキリです。その死体は人形で……本物は、こちらに」

大淀は、幻覚……だと私が思っていた方の提督を指さす。

提督「……そういうわけだ。済まなかったな」

そして、大淀が説明を始めた。


~~ネタバレ~~

足柄「……ふうん。大本営からの指令、ね」

提督「そうだ。本当に、済まなかった」

足柄「その指令で、一体何人の艦娘を泣かせてきたのかしら?……私を含めて」

提督「ぬうっ……」

意地悪く私が言うと、提督はやはり大ダメージを受けたみたい。ま、このくらいはいいでしょう。

提督「……本当に、申し訳ない……俺にできる詫びなら、なんでもするつもりだ」

足柄「ふぅん?」ニヤニヤ

思わぬ提案に、少し頬がゆるむのを感じる。

足柄「……じゃあ、私とケッコンしてって言ったらどうするの?」

提督「それは……。いや、足柄がそれを望むなら――――」

足柄「なあんてね!冗談よ」

そう言う私に、提督は鳩が豆鉄砲を食ったような顔。

足柄「ま。今回のツケの代償としては、今度二人で一緒に飲みに行くくらいで勘弁してあげましょうか。それでいいわよね、提督?」

提督「あ、ああ。もちろん」

少し惜しいことをしちゃったかしら?いいえ。提督とケッコンしたいとは思うけれど、こんな形でしても嬉しくはないしね。

じっくりやっていきましょう。……覚悟してね、提督?狼は、狙った獲物は逃さないんだから!






――モニター室――


提督「うん……なんとかつつがなく終わったな」

大淀「ネタばらしに提督が出てきても、幻覚と断じるところは流石だと思いました」

提督「現実的な感覚を持っている。評価すべきだな」

青葉「現実と幻覚の境界が曖昧になっちゃった方もいましたからねぇ」

提督「あれはお前らが執拗に追い込んだからでは?」

青葉「まあまあ……おや?」


カンムスセッキンチュウ

青葉「また艦娘が来ましたね。ラストスパートです、頑張っていきましょう!」



↓5まででコンマ下二桁反転が一番大きい艦娘(&シチュ) 複数人もありで

龍驤、ぎっくり腰了解です

しかし、ぎっくり腰で死亡とは一体……?


大淀「龍驤さん。まあ、ああ見えて大人ですしそこまで心配はいらなそうですね」

青葉「見た目は駆逐艦みたいですけどね!朝潮型とかの……」

提督「それ以上いけない」


――廊下――

夜の鎮守府。その廊下を執務室に向かって歩く影があった。

妙に小柄な姿はは駆逐艦を思わせる。しかし、彼女……龍驤はかつて一航戦も務めたことのある、立派な空母だ。

執務室の扉の前に辿り着いた龍驤だが、執務室の中からうめき声を聞いた。

龍驤「ん……?」

よく聞いてみると、それは男の声だ。おそらく提督だろう。

龍驤は執務室に入った。そこには不可解な光景が広がっていた。

龍驤「邪魔するでぇ……提督、何やっとるん?」

提督「ぐぐ……龍驤か」

呻きながら提督が答える。彼は何故か中腰で、痛みをこらえているようだ。


龍驤「腰……どうかしたの?」

提督「ぎっくり腰だ」

龍驤「……なんで?」

提督「砲弾とか、そんな感じの物を持ってしまったせいで腰を痛めてしまったようでな……」

龍驤「ぷっ……あははははっ!」

あまりにバカらしい状況に吹き出す龍驤。

提督「笑うなよぉ……結構辛いんだぞこれ」

龍驤「ぷくく……でも、でもさぁ……!こんなのうちじゃなくても笑っちゃうって!」

龍驤は腹を抱え、笑いを止められない様子で言う。

提督「いいか……。今の俺の腰は危機的状況にある」

龍驤「わかってるって!心配いらんよ……」

龍驤は薄ら笑いを浮かべ、手をわきわきとさせる。冷や汗を垂らしながら提督は言った。

提督「おい、まさか……待て、押すな。絶対に押すなよ」



完全なるフリ。龍驤はそう判断して提督の腰を叩く。

龍驤「わかってる、わかってるよぉ……そりゃっ!」

声の大きさの割に、手の勢いは非常に弱い。彼女も流石にその程度はわきまえている。

提督「……ぐふっ」

提督は倒れた。

龍驤「て、提督ぅーーーーーっ!!」ブワァ

龍驤は叫ぶ。だがこれは演技だ。いつものようなお遊びである。龍驤はそう思っていた。

龍驤「……なんちゃってな!キミ、もう起きてええで?」

そう言う龍驤だが、提督は一向に起き上がらない。


龍驤「……提督?」

まさか、あまりの痛みに起き上がれないのか?龍驤は訝しんだ。提督の顔を覗き込む。

龍驤「なっ……!?」

そして気付いた。……提督が、死んでいる!

これも当然仮死薬の仕業である。この薬が提督の生命力を奪い、心臓を停止させているのだ。

だが、龍驤の目にはぎっくり腰の痛みによるショック死のように映ったことだろう。


龍驤「……提督?」

まさか、あまりの痛みに起き上がれないのか?龍驤は訝しんだ。提督の顔を覗き込む。

龍驤「なっ……!?」

そして気付いた。……提督が、死んでいる!

これも当然仮死薬の仕業である。この薬が提督の生命力を奪い、心臓を停止させているのだ。

だが、龍驤の目にはぎっくり腰の痛みによるショック死のように映ったことだろう。

龍驤「そんな……嘘、だよね?」

提督の肩を揺する龍驤。だが提督からの応答はない。死んでいるのだ。

龍驤「うちが……殺した?」

自分が提督を殺した……そう龍驤は思った。涙が溢れ出す。

龍驤「ごめん、ごめんなぁ、提督……!うち、うち……!」

龍驤「う、うぁぁぁ……うわぁぁぁぁぁぁん……!」ポロポロ





泣き続ける龍驤。その後ろで執務室のドアが開く。

龍驤「……誰?」グス

龍驤は涙を流しながら振り向く。そこには大淀がいた。

龍驤「大淀……!うち……うち、提督を……!」

そう言う龍驤に、大淀がこう答える。

大淀「いえ、龍驤さん。気に病むことはありませんよ」

龍驤「でも……!」

大淀「だって、提督は――――」


「まだ……生きてるから、な……ゴホッ」

後ろから声。龍驤が振り向くと……。

龍驤「て、提督……?」

提督「……すまんな。本当にすまん」

龍驤「よかった……!うち、うちぃ……!」ブワァ

提督「!?おいおい……」

泣き止むどころか泣き声を更に大きくする龍驤に提督は困惑する。

少しでも落ち着かせようと、提督は龍驤をそっと抱きしめた。


龍驤が泣き止んだのは、たっぷり10分は経過してからだった。

提督「……落ち着いたか?龍驤」

龍驤「うん、もうええよ。ありがとうな」

少し名残惜しげではあったが、龍驤は提督から離れた。

龍驤「それで、一体どういうことなの?ちょっち説明して欲しいんだけどさ」

提督「それがだな――――」



~~ネタばらし~~

龍驤「ほぉう。ドッキリだったんやね」

提督「すまなかったな。こんなことをして……」

龍驤「んー……まあ、いいよ。仕事やし。うちは大丈夫だから」

龍驤「でも、ま!この埋め合わせはあるって思うていいんだよね?」

提督「ああ。なにかしてほしいこととかあれば、可能な範囲でなんでもするよ」

龍驤「ん。じゃ、提督に任せるわ!期待しとるよ!」



――モニター室――

青葉「お疲れ様です司令官!龍驤さんもなかなかいい反応してくれましたね!」

提督「ああ……子供みたいでもあるが、ベテランらしい大人っぽさもある。そこが龍驤の魅力だな」

提督「ところで、青葉?仮死薬の副作用って無いよな?だんだん目が霞んできたような気がするんだが……」

青葉「ダイジョーブですって!副作用なんて無いですよ!……多分!」ペカー

提督「多分って言ったよな今!」

青葉「気のせいでしょう……あっ」


カンムスセッキンチュウ

提督「……しかし、いつまで続けるんだこれ?もう夜だぞ」

青葉「そうですねぇ……これと、あともう一回くらいで終わらせましょうか!」

提督「ああ、ようやく解放される……」



↓5まででコンマ下二桁反転が一番大きい艦娘(&シチュ) 複数人もありで

艦娘指定はこれで最後で、その後分岐→エピローグの予定です

はい。古鷹・過労死了解しました

青葉「あ、古鷹ですかぁ……ふふふ」ニタァ

提督「うわ、悪い顔」

青葉「明石さん!司令官人形はもう使えますか?」

明石「……ええ。他のものは損傷が激しくて一つしか用意できませんでしたけど」

青葉「そうですかぁ……ま、一個あればいいでしょう!恐怖のどん底に陥れてやりますよ!」

スッタカター


――鎮守府・廊下――

古鷹「……提督、どうしたのかなぁ」

古鷹は執務室に向かって歩く。他の艦娘達と同じように、提督の無事を疑ってのことだ。

提督もいつも暇というわけではない。忙しい日はほとんど一日部屋にこもりきりのこともある。

ではあるが、そんな時でも彼は艦娘たちを不安にさせないためにある程度は顔を出す。

あまりに姿を見せない提督に古鷹が不安になるのも無理は無いだろう。

古鷹は執務室の前にたどり着いた。

古鷹「……」

コンコン

古鷹「提督、古鷹です」

ドアをノックし、呼びかける古鷹。しかし返事はない。

ドアの隙間から光が漏れているため、誰もいないということは無さそうだが……。

古鷹(……少し、部屋を空けられているのかな)

そう思う古鷹であったが、不意に何か嗚咽のようなものを聞いた。

<ヒッグ……シレイカン……

古鷹「……?誰?」

耳をそばだててみると、その嗚咽はどうやら彼女の親しい友人……青葉のものであるように思われた。



古鷹「!……すみません、失礼しますっ!」

ガチャ

古鷹は執務室のドアを開く。だが、そこには誰も居なかった。

古鷹「……青葉?どこ?」

<……?フルタカ……?

青葉は、どうやら隣の仮眠室に居るようだ。親友の様子を確かめようと、古鷹は仮眠室に踏み入った。

古鷹「青葉!一体どう、し……」

古鷹は絶句する。彼女が見たのは泣き続ける青葉。――――そして。

古鷹「てい……とく?」

ベッドに安置される、物言わぬ提督の姿だった。

青葉「ふるたか……」ポロポロ

古鷹「あ、青葉……どうして、提督が……?」

震える声で青葉に問いかける古鷹。彼女も冷静さを保つので精一杯だ。

青葉「過労死、ですって……」ポロポロ

古鷹「!?」

……過労死!?古鷹は、頭に雷が落ちたような感覚を覚えた。

青葉「司令官は、艦娘に無理をさせないで自分が無理をする方でしたから……」

ポロポロと涙をこぼしながら青葉が言う。

古鷹(……そういえば)

古鷹には、思い当たる節が幾つもあった。数多くの勝利を掴み、海域を人類のもとに解放してきた提督。

彼の戦果は十人並みの提督のそれとは一線を画していたが、それ以上に珍しい要素がひとつあった。

……提督は、艦娘を酷使しない。ローテーションやシフトを組み、無理な出撃や遠征などは一切ない。

オリョール海での資源回収なども一切せず、潜水艦は暇を持て余すほどだ。

当然それだけで鎮守府を回していくのは難しい。提督はその分を自分の働きで補っていた。

提督『現場で戦うのがお前らの仕事で、その力を万全に発揮できるようにサポートするのが俺の仕事だ。消費なんて気にしなくていい』

自分の燃費の悪さを気にしていた大和型に笑顔でそう言う彼の姿を、古鷹は今でも覚えている。

古鷹(でも、そのために提督は……)

古鷹「……私の、せいだ」

青葉「古鷹?」

古鷹「私が。私が、もっと前に気付けていたら……!」

青葉「古鷹だけのせいじゃ――」


古鷹「違うっ!」

青葉「ふ、古鷹……?」

深海棲艦との戦いでも見せないような古鷹の姿に青葉は驚く。普段の温厚さは完全に消え去り、その顔には今まで見たことのないような感情が浮かんでいる。

強い怒りと、憎しみ。そしてそれは全て彼女自身に向けられていた。

古鷹(……どうして、気付けなかったの)

古鷹は自分を責める。今まで提督からもたらされるものを享受するだけであった自分を。

古鷹(提督は、無理をされていたのに。苦しんでいたのに!)

古鷹(どうして私は気付けなかったんだ!どうして……!)

古鷹「……」ポロポロ

青葉「古鷹……」

自分の甘さが、鈍さが……情けなくてたまらない。自責の念が、古鷹に涙を流させる。悔し涙だ。

自分が提督のことをもっと気にかけることができていたら。もっと早く気付けていたら。……提督は、死なずに済んだのかもしれない。

古鷹は鬱屈を外に出さず溜めこむタイプだ。しかし、この出来事は己の内に抑えておくにはあまりに大きすぎた。

青葉(ちょーっとこれはマズイですね……)

下手をすれば自殺さえしてしまいかねない古鷹を見て、青葉はネタばらしのための合図を出した。




古鷹「……」ブツブツ

ポン

自分を責める言葉をつぶやき続ける古鷹の肩に、何者かの手が乗せられる。

古鷹「……」クル

古鷹は呟きを一旦止め、幽鬼のような表情でそちらを向いた。

提督「……古鷹。ごめんな」

古鷹「……っ!」

古鷹の目に光が戻った。そして涙。

古鷹「ていとく……提督ぅ!」ダキッ

強く抱きつく古鷹。確かに伝わる温度と感触に、これが夢でも幻覚でもないと分かった。

古鷹の頬を涙が伝う。だが、それは先ほどのものとは違う。温かい、安堵の涙だ。





古鷹「……すみません。突然抱きついちゃって」

提督から離れ、古鷹は言った。抱きついていた照れからか赤面している。

青葉「それは私が説明しますよ!それはですね――――」


~ネタばらし~

青葉「――――と、いうわけなんですよ!イエー!ドッキリだいせーこ―!」ババーン

『ドッキリ大成功』の看板を掲げる青葉に、しばし固まっていた古鷹であったが……。

古鷹「ドッキリ、だったんですね……」

提督「古鷹……済まなかった」

古鷹「……ひどいです、提督」ジト

提督を睨むように見る古鷹。

古鷹の目はひかった。そして提督を照らす。

提督「ふ、古鷹……」

怒っているような古鷹に、提督はオロオロしつつ申し訳なさ気な視線を向ける。

古鷹「もう提督とは口をききませんから」ツーン

提督「ご、ごめんよ古鷹……」

古鷹「……」ツーン

泣きそうな顔で謝罪する提督に、古鷹は怒りの表情を保ちきれずつい吹き出してしまう。

古鷹「ぷっ。……ふふっ」

提督「……古鷹?」

古鷹「冗談です。そこまで怒っていませんよ」

打って変わって笑顔で提督を見つめる古鷹。穏やかで、優しい笑顔だ。

提督「えっ?」

古鷹「これはただのドッキリで、提督はご無事でした。なら、それでいいんです」

提督「古鷹……!」ウル

古鷹の奥ゆかしい気遣いに触れ、涙目になる提督。

古鷹「……でも」

提督「でも?」

古鷹「絶対に、現実にはしないでください。……本当に、心配したんですからね?」

提督「ああ、ああ!約束するよ……!」ブワァ

古鷹の言葉にとどめを刺され、ついに涙を流してしまう提督。古鷹は優しい顔でその頭を撫でていた。






提督「……ごめんな。俺の方もいろいろ溜まっちゃってたみたいだ。……恥ずかしいところ見せちゃったな」

古鷹「いえ、全然そんなことはないです!……むしろ、嬉しかったというか……」ボソリ

つぶやく古鷹。その言葉は提督の耳に入る。

提督「そうか、嬉しかったか」

古鷹「!そ、そこは聞かなかったことにして欲しかったです……」カァァ

青葉「ひゅーひゅー!お熱いですね二人とも!」ピュー

青葉が茶化す。

古鷹「……」

しかし、古鷹はそっぽを向いて黙っている。

青葉「……あの。古鷹?」

古鷹「提督は許したけど、青葉は許さないから」つーん

青葉「え!何でです?」

古鷹「だって、直接騙したのは青葉じゃない。わざわざあんな風にして」

唇を尖らせて言う古鷹。青葉は動揺している。

青葉「あ、その……ゆ、許して下さいよぉ!」オロオロ

古鷹「ふーんだ」

古鷹が機嫌を直すまで青葉は大変苦労した。




――モニター室――

青葉「いやー、大変でした」

提督「やっぱり古鷹には弱いのな、お前。……今後青葉の被害にあったら呼ぶことにしよう」

青葉「そ、それはご勘弁を……」

提督「……で、次が最後のわけだが」


カンムスセッキンチュウ


青葉「あ!最後は……衣笠ですか!」

提督「……そのようだな」

青葉「あ、司令官!」

提督「なんだ……がっ!」

青葉「例によって即効性の仮死薬です!最後なのでがんばってくださいね!死んでますけど」

提督「き、貴様……!」バタリ

青葉「じゃあ、大淀さん、明石さん!青葉、衣笠を足止めして一緒に執務室に行きますので、準備お願いしますね!」

タッタッタッ……

明石「……もういいですよ、提督」

提督「……」ペッ

提督「行ったか」ムクッ

明石「衣笠さんがターゲットなら、青葉さんは必ず自分で仕掛けに行くはず……予想通りでしたね」

提督「ああ。古鷹の件でそれなりに確証はあったが、賭けではあった。うまく行ってよかったよ」

大淀「……では、提督。どうなさいますか?」

明石「青葉さんに……ドッキリを、仕掛けるんですか?」

明石と大淀、そして衣笠にはすでに話を付けてある。あとは、実行するか否か……それを決めるだけだ。

提督「明石、大淀。決めたぞ。俺は――――」


1,青葉にドッキリを仕掛ける
2,これで終わりにする

↓7までで多い方で


提督「やっぱり、やめておこう」

大淀「そうですか。提督のご判断なら従います」

提督「ああ……こういうのは、よくない」





……そして衣笠のドッキリもつつがなく終わった。そして――――




~~後日談~~



ドッキリの様子は、叢雲や初春のような致命的にマズイものをカットした形で放送された。

俺としては、それでも不安で仕方なかったのだが……予想していた以上に、映像は大きな反響を呼んだ。

大切な人間の死に触れた艦娘の感情と行動は、人々の心を動かしたのだ。

艦娘は、ただの兵器ではない。笑ったり泣いたりするのである。民衆からの心象は比べ物にならないほど良くなった。

反艦娘団体も立ち消え、艦娘たちのファンクラブとかになったりした。



そして、この鎮守府にもいくつか変化があった。

……あれ以来、艦娘たちは自然体になれている気がする。叢雲なども素直な笑顔を見せてくれることが増えた。

ただ、艦娘たちが俺に対して過保護になってしまった。ドッキリの内容が現実になってしまわないか心配のようだ。

定期的に執務室にやってきては、あれやこれや世話をしてくる。……そんな中でも特に酷い一人がいた。

長門……彼女は今や雷を超えるほどの過保護艦となってしまっていて、何度も俺の元を訪れてさんざっぱら甘やかしてくる。陸奥も閉口するほどだ。



前よりもずっと騒がしくなった鎮守府を見て、俺は思う。

提督(……まあ、アレだ)

提督(泣き顔はたくさん見たが、やっぱり艦娘に一番似合うのは……笑顔、だな)


そう。怒ったり泣いたり、いろいろある艦娘たちだが――――

俺は……この子たちの笑顔を、ずっと守っていけるような存在でありたい。




提督「艦娘にドッキリを?」青葉「はい」 終わり



SS初心者の拙い文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

正直なところ、最後の分岐は事前に両方のルートを用意していたんですが、青葉に仕掛ける方になるとばかり思っていました。精進が足りませんね……


……無駄にしちゃうのもアレなので、もしよかったらIFルート的にそちらも投下しちゃってよろしいでしょうか?

最後に混乱させるような発言をしてしまい申し訳ありません

このスレは依頼を出して、別スレを立ててそちらでIFという形にしようと思います

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月06日 (土) 02:48:12   ID: W15ptHga

とても面白かった!サンキュー

2 :  SS好きの774さん   2015年11月16日 (月) 16:19:39   ID: s4DT0btC

これ金剛だったらどんなことになってたんでしょうねw

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