少女「Deemo! そんなことよりピアノを聴かせて!」 (90)

・初心者にも優しい音ゲーアプリ「Deemo」のSSです
・原作に明確なストーリーが無いので「ディーモ?何それおいしいの?」な方も大丈夫です
・ギャグテイストなのでキャラは崩壊気味です
・ちょこちょこYouTubeから音楽のURL張る予定です。短めなので良かったら聴いてね


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431917205

【とある城・中央の広間】

――

Deemo(静かだ)

Deemo(今日は久々にあれを弾いてみよう)


『♪Dream』
https://www.youtube.com/watch?v=WoFKVh_bj5s


Deemo(……ふう)

Deemo(私はこの城の主、Deemoである)

Deemo(城といっても、あるものはピアノと本ぐらいしかない)

Deemo(毎日孤独な生活が続くばかり。たまには賑やかでありたい)


バタン!

少女「Deemo!! 今の曲何!? 何!?」タタタタ

Deemo(今はうるさいほど賑やか。いや騒がしい。いっそうるさい)

少女「ねえ! ねえDeemoってば!」グイグイ


仮面娘「今のはぼっちの曲よ」 スッ

少女「あ! 仮面の娘!」

Deemo(かめんこ……)

仮面娘(だからその呼び方やめて)

少女「ぼっちの曲ってどういうこと?」

仮面娘「あなたがあの天窓からこの世界に落ちてくる前、Deemoはこればっかり弾いてたのよ」

仮面娘「アホみたいこれしか弾かなかったおかげで、ハードモードのレベルも跳ね上がったのよ」

少女「ふーん?」

Deemo(適当なことを言うな)

少女「なんて曲なの?」

仮面娘「ぼっちの伝説 ~夢を見る城~」

Deemo(『Dream』)

少女「ふうん、ぼっちの伝説っていうんだ」

Deemo(『Dream』!)

少女「ねえDeemo! ぼっちの伝説、もう一回弾いてみて!!」


――

Deemo(このピアノの広間には、中央に大きな樹がある)

Deemo(どういう原理かピアノ曲を聴かせると、ぐんぐん育って伸びていく)

Deemo(私はこの性質を利用して、大樹を天井まで伸ばし――)

Deemo(あの少女を、落ちてきた天窓から元の世界に返そうとした)

Deemo(ところが)


少女「ただいまー!」

少女「いってきまーす!」

少女「Deemo、ただいまー!!」


Deemo(これでは今までと変わらぬ。私の平穏はどこへ)

仮面娘(樹の成長も止まったし、なんだかよく分からないわね)

Deemo(かめんこだって、最初の頃は思わせぶりな台詞ばかり言ってただろう)

仮面娘(あれはね。中二病よ)

Deemo(中二病)


少女「Deemo! あっちの世界からタイ焼き買ってきたよ!」

Deemo(そんなおつかいに行くノリで)

仮面娘「食べていい?」

少女「あっ、仮面の娘! あなた白いから白あん! Deemoは黒いから黒あん!」

仮面娘「いただきます。はふはふ」

Deemo(あの天窓の向こうは、どんな世界が広がっているんだろう)モグモグ

仮面娘(直接聞いてみたら?)

Deemo(通訳して)

仮面娘「ねえあなた、Deemoが聞きたいことがあるって」

少女「もむもむ。ふぇ?」

仮面娘「あの窓の向こうには、もっとタイ焼きがあるのかって」

Deemo(違うから)

少女「あるよ! Deemo、今度一緒に行こう!!」

仮面娘「良かったわね、Deemo」

Deemo(あのう。はい)


Deemo(つまり、意思の疎通の可否はこういう関係だ)

Deemo(思念) → 少女  ×
Deemo(思念) → 仮面娘 ○

少女(言語) → Deemo ○
少女(言語) → 仮面娘 ○

仮面娘(思念・言語) → Deemo ○
仮面娘(言語)    → 少女 ○

Deemo(要するに、私が言葉を発せないだけだ)

仮面の娘(あら、私ってば超優秀)

Deemo(ずるいぞかめんこ)

少女「何それ! 何書いてるの?」 トタタタ

Deemo(そうだ。筆談という手があったか)

少女「何これー読めない! 何これー!」

Deemo(はい、そうでした)

仮面娘「これはね。結構いやらしいことが書かれてあるの。矢印が多いでしょ」

Deemo(頼むからやめてくれ)

いったんここまで
更新頻度は遅めになるかもしれないのであしからず


【左の部屋・図書室】

Deemo(ところで仮面子)

仮面娘(何。かめんこって呼ぶのやめて。何?)

Deemo(仮面子はどこから来て、いつからこの城にいたんだ?)

仮面娘(前も聞かなかったっけ)

Deemo(聞いたかもしれないが忘れた)

仮面娘(前も話したけど、気がついたらここで寝てたのよ。以上)

Deemo(ふむ。えっ、以上?)

仮面娘(私だって何も覚えてないの。ただし私にはただ一つ、使命がある)

Deemo(果たしてそれは)

仮面娘(素顔を誰にも見せないこと。そのための仮面よ)

Deemo(白地に黒い目鼻口がついただけの、シンプルで無表情なお面)

仮面娘(『オペラ座の怪人』で有名なマスクを、顔一面仕様にした感じかしら)

Deemo(怪しい人と書いて怪人。仮面子にぴったりだな)

仮面娘(怪人扱いのくくりなら、あなたの方が的確だけど)


少女「Deemo! 何読んでるの?」

Deemo(大したものは読んでないよ)

仮面娘「官能小説だそうよ」

Deemo(やめんか)

少女「かんのー? よく分かんない。じゃあ仮面の娘は、何読んでるの?」

仮面娘「官能小説よ」

Deemo(おい)

仮面娘「主にビーエルっていうジャンルのを読んでるの。興味ある?」

少女「うん!」

Deemo(これ以上この子を変な世界に巻き込むのはやめろ)

少女「でも私、あなたたちの読んでる本の文字が読めないの……」

仮面娘「それは残念ね。じゃあ――」

Deemo(内容を吹き込んだらダメだからな)

仮面娘「マンガの方で。そうね、こっちの方が分かりやすいわね」

Deemo(やーめーろ!)


少女「仮面の娘は、いつもここで何をしているの?」

仮面娘「私? この世界のことについて研究しているの」

少女「何か分かったことはある?」

仮面娘「どうなんだろう……。何とも言えないわね」

少女「そもそも、あなたは何者なの?」

仮面娘「いつの日か分かるかもね。フフフッ」

少女「ね。ちょっとその仮面取ってみせてよ」

仮面娘「嫌よ」

少女「半分だけでいいから」

仮面娘「じゃあ、あなたも脱いでみせて」

少女「えっ?」

仮面娘「私が恥ずかしい思いをするんだから、あなたも同じことやらなきゃでしょ」

少女「え~」

仮面娘「ほら。下着姿でいいから!」

Deemo(よくないから)チョップ


――

少女「……」 ペラ…

Deemo(読める本もあるのか)

Deemo(久々にゆっくり読書できそうだ)ペラ…

仮面娘「……」 カタカタ

少女「……」 ペラ…

Deemo(……) ペラ…

仮面娘「……」 カタカタ

Deemo(ちょっと待って。カタカタって何)

仮面娘(えっ? ネットサーフィン)

Deemo(えっ?)

仮面娘(何よ)

Deemo(何よって。ここ古城だから回線もくそも)

少女「そうだDeemo、ピアノを聴かせて! 広間に行こ!!」 グイグイ

Deemo(あーんもうよく分からん) ズルズル

【中央の部屋・広間】

少女「Deemo! さっきの本で読んだの!」

少女「登場人物の背中に大きな翼が生えて、青空に羽ばたくの!」

仮面娘(背中に翼……最近だとペダルかしら。グールの方? テニスもあるわね)

Deemo(黙ってなさい)

少女「だから前にも弾いてたあの、Deemoの背中に翼が生える曲弾いて!」

Deemo(えっ、背中に翼生えてたの?)モゾモゾ

仮面娘(よく生えるわ。とんだ育毛曲ね)

少女「ねっ、Deemo!!」

Deemo(ひどい前フリのせいで弾きづらいな)


『♪Wings of piano』
https://www.youtube.com/watch?v=7DhiOubbBTo


少女「きれいな曲! とても良かったわ!」

仮面娘「途中、青○テ○マ成分あるわよね。あと最後の締めのパートは賛否両論」

Deemo(ね、背中大丈夫? 何も生えてない?)モゾモゾ

ここまで。ごめんなさい、酉が違いますが今後これでいきます
またレスは参考にしますが、リクエストに応えられるかどうかは分かりません
最後に、この曲はフルもあるので張っておきます

『Wings of piano』Full
https://www.youtube.com/watch?v=PMhWCD6u4fA


――

【中央の部屋・広間】

少女「Deemoー! 見て見てー!」

Deemo(うおっ。なんだこれは)

仮面娘(あの子が座ってるのはアイドル台座)

仮面娘(アイドルがコンサートする時、演出のために天井から降りてくることがあるでしょ。それよ)

仮面娘(二本の金属棒で吊るされてるから、ちょうどブランコみたいね)

Deemo(じゃああの、バカでかい砂時計は)

仮面娘(そうよ。巨大砂時計よ)

仮面娘(あの中に人を入れて、『時間内に助けてやらないと砂に溺れるぞ』ごっこをするの)

Deemo(へえ……)

Deemo(で、そのアイドル台座と巨大砂時計が、なんで広間にあるんだ)

仮面娘(それは私が通販で買ったからよ)

Deemo(えっ?)

仮面娘(Amaz○nで)

Deemo(Amaz○n)


少女「わーい!」 スススー  スススー

Deemo(あの台座どうやって上下に動いてるんだ)

Deemo(じゃなくて仮面子。これらの商品は一体どこから届いたんだ)

仮面娘(どこからってAmaz○nからよ)

Deemo(いやいや、この城のどこから入ってきたの)

仮面娘(そりゃあ、天窓しかないわ)

Deemo(えっ?)

仮面娘(あそこから段ボールが届いたの。サインもしたし)

Deemo(天窓ってあそこから? あの子が最初に落ちてきた天窓から?)

仮面娘(そこ以外にある?)

Deemo(だってまずサイズが)

仮面娘(部品ごとに送られてきたの。だからほら、段ボールもたくさん)

Deemo(ええ……ちょっと待って。何がどうなってるの)

仮面娘(見ての通りよ。何もおかしくないわ)

Deemo(いやあこれはおかしいでしょう)


Deemo(段ボールの控え用紙は……『届け先:Deemoの城  受取人:仮面の娘様』)

Deemo(なんでこんな雑な住所で届くんだ)

仮面娘(だってDeemoの城ってここしかないじゃない)

Deemo(あっそうか……いやいや、おかしいでしょ)

仮面娘(私ね。最近ネット通販にハマってて、色々注文してるの)

Deemo(どこからお金出してるの)

仮面娘(もちろんここ、Deemo城の経費からよ)

Deemo(はっ? なに勝手にうちのお金使ってるの!?)

仮面娘(大丈夫よ。クーリング・オフで返品すればいいから)

仮面娘(ひとしきり楽しんだら、梱包して返せばいい。お金も返ってくるわ)

Deemo(こういうのって一度開封したものは、原則返品できないんじゃなかったっけ)

仮面娘(えっ? そんなはず)

Deemo(第一、通信販売って購入前に検討や判断ができるから、クーリング・オフの対象外じゃ)

仮面娘(……。さすがDeemo、お城の会計が絡むと詳しいのね。見直したわ)

Deemo(待て仮面子。待て。どこ行く)


Deemo(段ボールの控え用紙によると……なんて額!)

Deemo(ただでさえ城の維持費に貯金使ってるのに、仮面子め)

Deemo(……なんて額! 泣けてくる)

Deemo(ピアノを弾いて気を紛らわそう)

少女「あっ! Deemo! ピアノを弾くのね!」

少女「……? Deemo、泣いてるの?」

少女「Cry? Cry?」

 

『♪Utopiosphere』
https://www.youtube.com/watch?v=GuKuSXFId44



Deemo(ふう)

少女「素敵な曲。私、この曲のピアノのリズム、大好き!」

仮面娘「ちなみに最初のセリフの歌詞は『Cry?』て聞こえるけど『To night?』が正解」

仮面娘「歌い手は『Mili』というグループの『モモカ(momocashew)』さんよ」

仮面娘「よくカナダ人と間違えられるけど、カナダ『在住』ね。一応、外国人らしいわ」

少女「ふーん」

Deemo(見つけたぞ仮面子)

仮面娘「きゃー」 サササッ



少女「さっきの曲、途中で変な鳴き声が混じってたけど、あれは何なのかしら」

仮面娘「これのこと?」ギュッ

猫の人形『ふぇええええwwwww』

少女「何ソレー!」

仮面娘「猫の人形よ。ここ押すと鳴き声が出るの」ギュッ  ギュッ

猫の人形『ふぇええええwwwwwwふぇええええwwwwww』

少女「変な人形! それに私、猫はあんまり好きじゃないの」

仮面娘「あらそう、残念ね。せっかく通販で買ったのに」

Deemo(通販がなんだって)

仮面娘(げげっ、Deemo!)

Deemo(台座や砂時計の他にこんなしょうもない人形まで買って)

Deemo(こうなったら図書室のパソコンは没収だな)

仮面娘「だめよ! それだけはダメ!!」

少女「? Deemoはなんて言ってるの?」

仮面娘「もうピアノはやめてこげぱんになりたいって!」

少女「ええDeemo! ピアノやめちゃダメだよ!!」

Deemo(話をややこしくするな!)

ここまで。今さらながらWiki準拠の「少女」表記をやっぱり「女の子」にすれば良かったと後悔


――

Deemo(夜空)

Deemo(頭上一面に広がる、思わず吸い込まれてしまいそうなほど広い星空)

Deemo(深い藍色を背景に、宝石をばらまいたような星々のまたたき)

Deemo(西の空には、主のように煌々と存在を際立たせる三日月)

Deemo(端の果てまで続く、我々を包み込むような優しい星空――)

少女「きれい……」

 

Deemo(が)

Deemo(なぜ広間に広がっているんだ)

仮面娘「プラネタリウムよ」

Deemo(なに。なんだって)

仮面娘「プラネタリウム。光学式星空投影機」

Deemo(いくらしたの。ここ結構広いのに、天井いっぱい広がってるんだけど)

仮面娘「ね。綺麗でしょう」


少女「ねえ、ねえ! あの一番光ってる星は何?」

仮面娘「あれは……ほら、あれよ。一等星よ」

少女「じゃあ、あの青っぽいのは?」

仮面娘「それはほら、あれよ。一等星だわ」

少女「いっとうせいってたくさんあるのね」

仮面娘「そのようね」

少女「きれい。なんだか夢を見てるみたい」

仮面娘「神秘的よね。ずっと見てて飽きないわ」

少女「これ、あなたが作ってくれたの?」

仮面娘「まあね」

少女「ありがとう!」

仮面娘「フフッ、どういたしまして」

 

Deemo(あのう、カメンコ=サン。いま領収を確認したんですが)

Deemo(あのちょっとシャレにならない額になっているんですが)


仮面娘(大体ね)

仮面娘(この城の維持費って言ったって、どこで決済してるというの)

Deemo(えっ逆ギレ風味)

仮面娘(そもそも、ひねもすピアノ、ピアノばかり弾いてる以上は)

仮面娘(有り余る財産があるはずでしょう。それともどこからか補助金でも出てるの?)

Deemo(Ray○rkさんだよ)

仮面娘(えっ)

Deemo(この世界を作った組織、とでも言えばいいのかな)

仮面娘(ちょっと何言ってるか分からない)

Deemo(とにかくね。無駄な浪費はお城の会計に関わるからやめて欲しいのだ)

仮面娘(だからぁ、その維持費はどこにどうやって支払われてるというの?)

Deemo(Ray○rkさんだよ)

仮面娘(なんでよ!)

Deemo(とーにかく、ここには減る数字があって、なくなるとお城が立ちゆかなくなっちゃうの!)

仮面娘(ほんとはあなただってよく分かってないんでしょ!)

Deemo(なにおう!)


少女「はぁ……Deemo、夜空がきれいだね」

Deemo(そうだね)

Deemo(せめて無駄遣いが無駄にならないよう、存分に満喫してくれ)

仮面娘「ま。風情がないわね」

Deemo(誰のせいだと思ってるんだね)

少女「Deemoはなんて言ってるの?」

仮面娘「そうね。空を見るよりピアノが弾きたいって言ってるみたい」

少女「ほんと!? じゃあDeemo、この景色にぴったりなの弾いてよ!」

Deemo(こうなるから、困ったら誤訳にピアノを持ち出すのやめてくれない?)

仮面娘「分かってて言ってるに決まってるじゃない」

Deemo(こんのー)

少女「ね、Deemo!!」

Deemo(はい)



『♪Reflection (Mirror Night)』
https://www.youtube.com/watch?v=tOb640y0ImQ




少女「きれいな旋律……何かを訴えかけてくるような曲ね」

仮面娘「まるで身体が夜空の一部になって、胸に手をやりたくなる感じね」

Deemo(イラストのまんまやん)

少女「ふああ……なんだか眠くなってきちゃった」

仮面娘「そうね。今日はもう寝ましょう」

Deemo(こら待て。仮面子はちゃんと『これ』片付けていけ)

仮面娘(ええっ、せっかく設置したのに)

Deemo(勝手に付ける方が悪い。ほら、どこに付けたんだ)

仮面娘(天窓)

Deemo(とんでもないトコに訳わからんもん付けるな)

仮面娘(また木登りするのめんどくさい。それに危ない)

Deemo(いいからGO。落ちたら下で受け止めてあげるから)

仮面娘(Deemo……やさしいのね……)

Deemo(それあんたのセリフじゃないから)



Deemo(――ん?)

少女「スー……スー……」Zzz

Deemo(いつの間にか寝てる。では私もそろそろ寝るとするか)

Deemo(よいしょっと)スッ   スタ スタ スタ…



    仮面娘「アアァーッ」 ベチャッ

ここまで。アプデ楽しみ

『♪Reflection (Mirror Night)』Full
https://www.youtube.com/watch?v=lBiRs4wzIhI


――

少女「Deemo! おはよう!」

Deemo(おはよう)

少女「仮面の娘は?」

Deemo(まだ寝てるようだ。珍しいことではない)

少女「まだ寝てるの? お寝坊さんね!」

Deemo(いつもパソコンで遅くまで何かやってるみたいだからな)

少女「じゃあDeemo、今日は私が朝ごはん作ってあげる!」

Deemo(えっ? ごはん作れるの?)

少女「待ってて、すぐ作ってくるから!」ダダダダ

Deemo(ふむ。いつも私がフライパン握ってたが、たまにはこういう身分もいいな)

少女「できたわ!」ダダダダ

Deemo(え、もう?)

少女「たまごかけごはんよ!」 コトン

Deemo(あ。はい)

少女「あっ、たくあんも持ってくるね!」ダダダダ

Deemo(あの……おはし……)


仮面娘「ふああ……」

Deemo(あ、かめんこ。おそよう)

仮面娘(朝も昼も関係ないでしょ)

Deemo(そんなことない、時計があるから時刻は分かる)

仮面娘(窓がないから、昼も夜も分からないじゃない)

Deemo(天窓が……あそこはいつも光ってるか)

Deemo(まぁいい、あの子が『おはよう』と言えば朝なのだ)

仮面娘(そういえば姿が見えないわね)

Deemo(いま料理を作ってくれている。目玉焼きだ)

ボムッ

  少女「キャー!」 ドタバタ

  少女「Deemo大変! 大火事よ!!」

Deemo(そんな! まだ何の保険も入ってないのに!)ダダッ

仮面娘(目玉焼きひとつで、お城の運営も右往左往ね)

少女「キャーキャー! Deemo、早く来てー!」>▽<

Deemo(こら喜ぶな!)


――

少女「どうぞ」コトン

仮面娘「ありがとう。でも何、この黒いかたまり」

少女「目玉焼きよ!」

仮面娘「そう、ありがとう。でもいま私、おなかいっぱいだから」ス…

Deemo(当たり前のように皿をこっちに寄せるな!)

少女「じゃあDeemo、どうぞ!」

Deemo(うう。いただきます)

仮面娘「Deemo……優しいのね……」

少女「仮面の娘は、お寝坊さんなのね。いつも何してるの?」

仮面娘「そりゃあ、ネッ――ちょっと待って。寝坊寝坊っていうけどね」

仮面娘「どうして朝だの夜だの分かるのよ。この空間に時間なんてないでしょ」

少女「えっ? いま、朝よ」

仮面娘「そんなの、どうやって分かるのよ!」

少女「だって朝だもの。ねっ、Deemo」

Deemo(う……うむ……)コトン

少女「わあ、きれいに食べたのね。まだお代わりあるから!」カチャ  コトン!


仮面娘「つまりね」

仮面娘「今が朝であることを証明できない以上、私が寝坊呼ばわりされる謂れはないの!」

少女「だって時計があるじゃない」

仮面娘「あんなの飾りです! 黒い人には、それが分からんのですよ」

Deemo(でも昨日寝たのが11時ぐらいでしょ。で、いま8時)

Deemo(ほらみろ、やっぱり朝じゃないか)

仮面娘「朝寝て夜起きてる可能性だってあるじゃない!」

Deemo(アナログ時計のつらいところだな)

少女「だって私まだ子供だから、そんな時間に眠くなるのって変じゃない?」

仮面娘「きー! 都合のいい時だけ子供ぶるなんて悪い子ね!」

少女「Deemo……仮面の娘はいつも私につらくあたるわ」

Deemo(このタイミングでそれ言われても)

仮面娘「それもこれも、全部あの時計がいけないんだわ!」

仮面娘「ちょっとあの時計の針抜いてくる!」ダッ

Deemo(やーめーろ! やーめーあっ、あいつ本気だ! ちょっやめ、やめろーっ!)ダッ


――

Deemo(おいこら。本当に取れちゃったんだが)

仮面娘「もう知らないわ、ぷんぷん」

少女「仮面の娘って、何をそんなに怒ってるの?」

Deemo(ニートってな。改めて寝坊扱いされると、意外と不機嫌になるもんなんだよ)

仮面娘「勝手なこと言わないで!」

Deemo(勝手なことしたのはそっちでしょ! この時計の針、どうやってつければいいんだ)

仮面娘「知らなーい!」スタスタスタスタ

Deemo(こらー! 図書室に引きこもるなー!)

少女「ねっ、Deemo!」

少女「気を取り直して、そろそろピアノ弾いてよ!」

Deemo(ええーもう。この針どうにかしたいのに……)


『♪Reverse - Parallel Universe』
https://www.youtube.com/watch?v=1bG6agmp5mE



少女「なんだか……別世界をイメージした曲みたい」

少女「盛り上がるところも多いけど、途中、もの寂しい部分もあるのね」

仮面娘「この曲、最初は一番短い曲だったのに、アプデで改編されて1分も伸びたのよね」ヌッ

Deemo(おわ! いきなり帰ってくるな!)

ここまで
とはいうものの>>1は途中参入勢なので、旧verはプレイしたことないです。アプデまだかな


――

仮面娘(ついに来たわね、アップデート)

Deemo(何だそれは。またヘンなの頼んだんじゃないだろうな)

仮面娘(何か聞いてないの? お城の責任者なんでしょ)

Deemo(さあ。責任者といっても名ばかりだし)

Deemo(城のためにすることはといっても、私はピアノを弾くことしかできない)

仮面娘(ピアノとお城の運営と何か関係があるの?)

Deemo(基本的に弾けば弾くほど支援金が増える)

仮面娘(なにそれ! そうだったの!? 初耳よ!!)

仮面娘(じゃあさっそく弾きましょう! やれ弾きましょう! それ弾きましょう!)

Deemo(無闇に弾けばいいってもんじゃない。本気で綺麗にチャーミングに弾かないと意味がないのだ)

仮面娘(いいじゃない! よく分からないけどチャーミングな部分は私が担当するから!)

Deemo(なに、誰がチャーミングって?)


   少女「Deemo~! ちょっと来て~!」


【右の部屋・窓の部屋】

少女「ねえこれ見て!」↓


[廊下の絵]


Deemo(↑だね。前からあるけど。これがどうかしたの?)

仮面娘「あら。でも、いつも見てる感じと何か違うわね」

少女「見て……光ってる!」

Deemo(そう? 窓の光が反射してるだけじゃないのか?)

少女「この絵、まるで中へ入れそう……」

Deemo(絵に『中の世界』なんてないよ。ファンタジーやメルヘンじゃないんだから)

仮面娘(あなたその成りでよくそんなセリフが言えるわね)

少女「まるで中に……」ス…

 
 『ふぇええええwwwww』


少女「きゃあ!?」

Deemo(うわびっくりした! なんだなんだ!?)

仮面娘「あ。この間の猫の人形。こんなとこに転がってたのね」

Deemo(さっさと片付けなさい!)


少女「――Deemo! 見て!!」スー…

Deemo(うわあ!? 絵の中に入れる!?)

仮面娘「あなたが一番驚いてどうするの」

Deemo(だ、だってこれ前から……ええーうそー?)

少女「どこに続いてるのかしら? 行ってみるね!」

Deemo(あ、危ないからやめといたほうが!)

仮面娘「Deemoは一緒に探検しようって言ってるわ」

少女「ほんと!? じゃあDeemo、いこ!」グイッ

Deemo(言ってない! ちょ、ちょっと、お城のオーナーに連絡しなきゃ)

少女「うわあ、ちょっと暗いねー」

少女「Deemo! 先に行ってよ!」グイグイ

Deemo(あ、待って待って、実はこういうの苦手で……)


仮面娘(ここで種明かし。実はこの通路はもともと存在してましたが)

仮面娘(私が買った通販アイテム『ニンジャ屋敷セット』一式で巧妙に――)

Deemo(お前の仕業だったんかい!)


【絵の奥・らせん階段】

少女「廊下の奥は……階段だわ。下に続いている」

Deemo(地下室? だ、大丈夫なのかね)

仮面娘「らせん階段――といっても、一周分の長さしかないわね」

Deemo(ここの通路のこと知ってたんじゃなかったのか)

仮面娘(知ってたけど来るのは初めてよ)

Deemo(来たこともない場所を勝手に封印するな!)

少女「なんだか陰気なところ……板は軋んでるし、クモの巣も張ってる」

Deemo(だだだ大丈夫だ。何かあっても私が君を守ってみせる)

仮面娘「ふーん。私は?」

Deemo(かめんこは……ほっといても自力で何とかしそうだし)

仮面娘「まっ。どういう了見よ!」

少女「Deemoはなんて?」

仮面娘「あなたのこと、女性として愛してるって」

少女「えっ? えっ??」

Deemo(やめんかー!)


ガチャ

【地下・広間】

少女「わあ! 急に開けたところに出たね」

Deemo(なんだここは知らないぞ。まるで意味が分からんぞ)

仮面娘「ほんのり明るくて湿潤で、あちこち茨が生えてる。まるでナ○シカの――」

Deemo(グランドピアノだ。こんなところにもあったのか)

少女「Deemo!」

Deemo(ああ。新譜を試してみよう)


『♪Suspenseful Third Day』
https://www.youtube.com/watch?v=LgUYY7Mqgbw



少女「独特なテンポね。ちょっと哀しげだけど、きれいな調べだわ」

Deemo(『止まっていた脈動はまた始まる』……か)

仮面娘「? 今何か音がしたような」

少女「そういえば、横から水の流れる音が聞こえる」

仮面娘「トイレだわ!!」

Deemo(るさい) チョップ

ここまで。ネタバレ注意つけるべきだったかと後悔。以後新曲は控えます。アプデ後楽しい


――

Deemo(かめんこ)

仮面娘(何? ごめんなさい)

Deemo(まだ何も言ってない)

仮面娘(またどーせ怒られると思って先に謝っていくスタイル)

Deemo(そーゆーことするから怒られるの!)

仮面娘(それで用件は? いま掲示板巡回で忙しいの)カチカチ

Deemo(てーいっ!)

ブチッ

仮面娘「あ」

仮面娘「ああああーっ! せっかくまだ途中だったのに!!」

Deemo(いますぐみんなを集めてきてくれ)

Deemo(大事な……とても大事な話があるんだ)

仮面娘(ま、内臓バッテリーで2時間もつからいいんだけど)カチカチ

Deemo(大事な話があるからみんなを集めてきてくれ!!)パタン!!


仮面娘「集めてきたわよ」

少女「Deemo、大事なお話って?」

猫の人形『ふぇええええwwwwww』

Deemo(みんなといっても3人か……なんか変なのも混じってるがまぁいい)

Deemo(話というのは、君の今後の処遇だ)ス…

少女「え、何? 私? 指さしてるけど」

Deemo(君はちょくちょく上の天窓から外の世界へ飛び出しているが)

Deemo(もう……帰ってこなくていい)

少女「何? Deemoはなんて言ってるの?」

仮面娘「いまから指先から蝶々を出してみせますって」

Deemo(かめんこ! ……頼むよ。正しく伝えてくれ)

仮面娘(……)

少女「何? 手品? 見たい!!」

仮面娘「やっぱり違ったみたい……。まぁ、要するに……アレよ」

少女「アレ?」

仮面娘「タイ焼き」
猫の人形『ふぇええええwwwwww』
少女「タイ焼き!?」

Deemo(タイ焼きじゃない! それうるさい!)


Deemo(君は元々この世界の住人じゃないんだ)

Deemo(外の世界に帰って……そこに留まってほしい)

Deemo(ここでの生活を好んでいるのは分かる。でも)

Deemo(ここにいては君は前に進めない。成長もできない)

Deemo(別れが哀しいのは同じだけれど、この出会いは永遠じゃないんだ)

Deemo(分かってくれるね?)

仮面娘「……」

少女「……」

Deemo(分かった?)

仮面娘「どう? 最近のコスプレカタログって充実してるでしょ」

少女「私この着物がいい! あ、でもライオンさんの気ぐるみもかわいいな」

仮面娘「基本のセーラー服は抑えておきたいわね……あ、この天使コスもマニアックでそそるわ!」

Deemo(ぬがーっ!)ガシッ  ポ~イッ

少女「あっ!」
仮面娘「あぁ!!」
猫の人形『ふぇええええwwwwwww』

Deemo(いいかい。もう一回話すから、具体的にきっかりはっきりたっぷり通訳してくれかめんこ)


――

少女「そんな……私いやだよ! Deemoと別れるなんて!」

Deemo(うん。でも仕方ないんだ)

少女「どうしていきなりそんなこと言うの? 今までずっと一緒だったじゃない!」

Deemo(そろそろ頃合いだと思ってね。いつ切り出そうか迷ってたんだ)

少女「いや、いや、Deemoと離れるなんて絶対やだ!」ギュッ

Deemo(大丈夫……大丈夫だよ)

Deemo(君は強い子だから、一人でも大丈夫だ)ナデナデ

少女「うう……Deemo……」

Deemo(……)

少女「……また会える?」

Deemo(…………)

Deemo(……ああ。きっと会えるさ。きっと)

Deemo(よし、最後に一曲弾こう。きっともう一度会える、約束の歌を)

少女「ピアノを弾くの? Deemo」

少女「待って……仮面の娘も呼んでくる」ト ト ト ト……



Deemo(かめんこの奴、飽きたら即行で引き篭りおって……)


――

『♪YUBIKIRI-GENMAN』
https://www.youtube.com/watch?v=WS6kBRrpd04




仮面娘(さすが、外人さんが日本語を歌うと、また違った味わい深さがあるわね)

Deemo(うん。ところで、この歌はいつもどこから流れてきてるんだろうね)

仮面娘(え? そんなの私が歌ってるに決まってるじゃない)

Deemo(えっ嘘!)

仮面娘(嘘よ)

Deemo(だよね)

少女「……」グスッ

少女「うわああん、Deemo~!!」 ギュッ

Deemo(よしよし)

仮面娘(私にもなでなでしてよ)

Deemo(だーめ。  嘘だ。また今度な)

少女「……ひっく……Deemo……」

Deemo(よしよし。……それじゃあ)

Deemo(元の世界にお帰り)

少女「……」

少女「……うん……」


――

少女「じゃあね、Deemo!」

Deemo(うん)

 少女「またきっと会いに来るからね!」

Deemo(いや、もう帰ってきちゃだめだよ)

  少女「絶対だからね!」

Deemo(いや、だからね。困ったな)

   少女「絶対の、絶対だからね!!」

Deemo(えーと、かめんこ頼むよ)

仮面娘「Deemoが、さようならって!」

    少女「うん、分かってる! さようなら!!」

Deemo(ええちょ、ええ~)

     少女「またね!!」

Deemo(うん……まぁなんでもいいや)

Deemo(それじゃあ、さようなら!!)

        少女「さようならーっ!!」

仮面娘「さようなら~!」

猫の人形『ふぇえええええええwwwwww』

Deemo(それ手動だよね。いつも変なタイミングで鳴らすのやめておくれ)


――――――――――――――――――――

Deemo(……さて)

Deemo( 改 築 だ ! )

仮面娘(何?)

Deemo(かめんこは図書室に引きこもっているがいい)

Deemo(これからこの城は、ものすごい大改造される手筈になっているのだ)

仮面娘(なんなの。どういうことよ。どうなのよ)

Deemo(この間のアップデート? に伴い、この城に大がかりな仕掛けをセットするそうなんだ)

Deemo(その際、あの子に見られるとまずいらしいんだよ、色々と)

仮面娘(はぁん。やっぱりそういうことだったのね)

Deemo(ほらしっし! いったいった!)

仮面娘(嫌よ。何がセットされるのか、しっかり見届けてあげるわ)

Deemo(いいから部屋にこもりなさい! ねえって。ほら!)

Deemo(ちょっ……ちょっとほらさ、もうすぐ業者さん来るから!)

仮面娘「……」(一言もしゃべらずに木を見つめている)

Deemo(だーっもう!! なんでいつも都合悪いときほど居座るんだ!)

猫の人形『ふぇえええwwwww』

Deemo(それももういいから!)

 
 ガチャン!   
 
少女「Deemo!! 会いに来たよーっ!!」 ヒュルルルル~


Deemo(早いよ!!) ストン

 

END


唐突ですがこれで終わりとさせて頂きます。

先日2.0Verのエンディングを観てしまったのですが、何というか、
もしSSを続けるとしたら、ネタバレ全開で書きたくなってしまいまして
機会があればしばらく潜伏期間を置いた後に、今度は完全なネタバレで書こうと思います

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。では。


おまけ
『♪YUBIKIRI-GENMAN』Full
https://www.youtube.com/watch?v=AN72_SVbETA

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