従姉妹「友君を愛するあまり■■■■を■しちゃった♪」 (143)

女「男君を愛するあまり>>2の能力を手に入れた」の続き

前スレ
女「男君を愛するあまり、>>2の能力を手に入れた」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429494560/)



六行でわかる前スレの粗筋

1、女が能力を手に入れて
2、男と友が包丁で刺されて
3、生徒会長まで殺されかけて
4、季節外れのクワガタが大発生
5、その後もあれやこれやと色々あって
6、美少女がいつまでも空気


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431874980

『隠し地下室』


友「来た……! 監視カメラに映ってる」

風紀委員「あのクソ女と……もう一人は見た事ないわね。女の子だけど……」

友「あれは女さん……!? 何で従姉妹と一緒に……!?」

風紀委員「女? 友君、知り合いなの?」

友「俺の知り合いっていうより、男の知り合いかな……。クラスは一緒だけど、俺はろくに話した事ないから」

風紀委員「男君の知り合いね……。その子がどうしてあのクソ女と?」

友「男は前に女さんに監禁されてたはずだから……。その時の関係か? それが、どうして従姉妹と一緒にいるのかは全くわかんねえけどな……」

風紀委員「……あの子は『能力者』なの?」

友「さあ……。だけど、前に俺の危険探知にひっかかった事があるから、能力者って可能性はあると思う……」

風紀委員「そうでなかったら、囮か人質にしかならないものね……。『能力者』だと考えといた方が良さそうね……」


演劇部部長「…………」

『社務所前』


従姉妹「それじゃあ、開けるわね。女ちゃんは少し後ろに下がっていて」

女「うん……」ソッ


従姉妹「能力、発動……」キュイーン

ブンッ


ガラッ、メキッ、グシャッ!!


女(壊して入るんだ……)

女(ダイナミックっていうか……壊して大丈夫なのかな……?)

『社務所内』


従姉妹「誰もいないし、反応もなしか……」

従姉妹「クワガタで先に調べてもらいましょうか」


クワガタ8000匹「」ブーンッ

クワガタ8000匹「」ピトッ、ブーンッ、ピトッ

クワガタ8000匹「」ギチギチ、ギチギチ



―― 数分後 ―― 数分後 ――



プルルル、プルルル


従姉妹「」ピッ

従姉妹「もしもし、男君。中の様子はどう?」


『……誰もいない、ですね。部屋中探したそうですけど、透明になっている人間もいません』

『多分、風紀委員が瞬間移動して逃げたんじゃ……』


従姉妹「」チッ


女(いない、のかあ……)

『隠し地下室』


友「電話してるな……。音声がないのが残念だけど、探して見つからなかった事について、相談してるっぽいよな」

風紀委員「少なくとも、ここを見つけたって感じではないわね。そんな表情をしてないもの」


パリンッ……


友「?」

風紀委員「今……何かが割れるような音がしなかった?」

友「ああ、俺も聞いたけど……。後ろの方から……」クルッ



演劇部部長「…………」



風紀委員「……あなた、今、何かしたの?」

演劇部部長「…………」



友「風紀委員、どうする?」

風紀委員「>>7

風紀委員「変な事をされないよう、気絶させといた方が良さそうね」

友「気絶って……どうやって?」

風紀委員「柔道に落とし技というのがあったでしょ? それを使えば出来るんじゃないの?」

友「風紀委員、柔道やった事があるのか?」

風紀委員「ないわよ。でも、友君ならあるでしょ?」

友「一応、授業で柔道はやった事はあるけどな……。でも、授業で落とし技なんか教えねーぞ。俺は知らねえ」

風紀委員「とにかく、首を絞めればいいのよね?」

友「それは殺人ってんだよ」

風紀委員「確か、襟か何かを掴んで、呼吸が出来ないようにするのよね……」

友「まあ……多分、そうじゃないのか?」

風紀委員「それぐらいならやれるわね」ツカツカ

友「ちょっ! おい、風紀委員!」


演劇部部長「」ニヤリ

演劇部部長が先程行った事は、手につけられていたゴム手袋を『氷』に変える事だった

演劇部部長の能力、『冬の息吹(アイス チェンジ)』は左手で触れた物を全て氷に変える能力。当然、ゴム手袋も例外ではない

では、氷に変えられた物はどうなるか?

氷はただの氷であり、特別な何かがある訳ではない。当然、溶けもすれば『割れ』もする。ゴム手袋ぐらいの薄い氷であれば尚更……

床に押しつけただけで簡単に割れる

これが先程の音の正体であり、割れた元ゴム手袋の氷は床に散らばって散乱している。つまり、今、演劇部部長の左手を覆うものは何もない。後ろ手に縛られている以外に何の制約もありはしなかった


二人はいっその事、演劇部部長をそのまま放置しておけば良かったかもしれない。しかし、彼らはこれまで慎重に行動して、それで成功していたが故に、その選択肢が頭に浮かばなかった

ゴム手袋をさせているから、演劇部部長には近付いても安心という推測に基づいた誤った安心感もガンだったと言える


風紀委員が丁度近付いて来たその瞬間、演劇部部長は体を捻って、手のひらを風紀委員に向けた


『冬の息吹(アイス チェンジ)!』


能力が発動し、彼女の左手から半径三メートル以内の空気が全て氷へと変化する!

驚きの声を上げる暇も風紀委員には与えられなかった

その射程距離内にいた彼女は成す術もなく、氷漬けにされる!


驚いて監視カメラのモニター近くから立ち上がり、すぐに駆けつけようとする友!


しかし、彼が動き出す前に、演劇部部長は声を発していた


「生徒会長! 命令よ! この部屋から急いで出なさい!」


命令は正確に伝達され、そして生徒会長はそれに無機質的な動きで従った

これまでずっと壁を向いて座っていた生徒会長は、この声に音もなくすっと立ち上がり、生者と死者の中間の様な無表情さで出入り口の扉へと駆け出した


これまで一つもミスをする事なく全てにおいて優位に立ってきた友と風紀委員。だが、それは最早過去形で語られる出来事だった

彼らは一瞬の内に演劇部部長の策略によって窮地に追い込まれ、特に追い詰められたのはその場に安全な状態で残された友だった

この時、友は二つの苦しい選択肢を迫られる事となる

即ち、すぐに風紀委員を助けるか、あるいは風紀委員を放置して外に出ようとしている生徒会長を止めるか


その二択しか、彼には残されていなかったのだ。そして、どちらの選択肢を選んだとしても、ろくな結果にはなりそうにないものだった……

演劇部部長「ふふふふふ……! 切り札っていうのは、最後まで隠して取っておくものよ!」

演劇部部長「生徒会長が、私にとっての最後の切り札! 私の口にガムテープを巻かなかった事! そして、生徒会長をそのままにしておいたのが、あんた達の敗因!」

演劇部部長「さあ、どうするの、友君!? このままにしておいたら、この子、死ぬわよ!」


氷漬けの風紀委員「…………」


演劇部部長「でも、助けていたら、生徒会長が外に出るわ! あんた達は従姉妹に捕まってそれで終わりよ!!」


生徒会長「…………」ガチャガチャ、ガコッ

生徒会長「…………」タタタッ


演劇部部長「さあ、どうするの、友君!? 風紀委員を見殺しにして自分だけ助かる!?」

演劇部部長「それとも風紀委員を助けて、洗脳されて終わる!?」

演劇部部長「迷ってる時間もないわよ! ふふふふふ! さあ、どうするの!?」


友「っっ!!!」



安価↓1

友「風紀委員!」タタッ


演劇部部長「あははははっ! 風紀委員を選んだんだ!」

演劇部部長「でも、その氷の塊をどうやって割る気!? それとも温めて溶かす!? どっちにしろ助ける事なんか」


友「」サッ、ピトッ

友「『危険回避(リスク アベーション)!!」キュイーン!!

バリンッ!!


演劇部部長「!?」


風紀委員「うっ……!」グラッ


友「いつ、俺の『能力』が自分限定だなんて言った? 演劇部部長!」

友「これは亡くなった女子大生がくれた能力だ! あいつは自分の身よりも他人の身の事を心配するような、スゲー優しい奴だった!!」

友「そのあいつがくれた能力が、俺限定で身を守る様な能力のはずがないだろ!! むしろ、他人の方が効力が強いんだよ!! この『危険回避(リスク アベーション)』はなあっ!!」


演劇部部長「っ……!!」


風紀委員「友……君……」ヨロッ

友「大丈夫か! 風紀委員!!」

風紀委員「私は平気……! それよりも、生徒会長が……!」


ガチャガチャ、ガコッ

ガタンッ……


演劇部部長「ふふふふふ……。この音、外に出たわね……。どっちにしろ終わりよ、あなた達は!」


友「ぐっ……!!」

風紀委員「うっ……!!」

『社務所』


ガチャガチャ、ガコッ

ガタンッ……


生徒会長「…………」スッ


従姉妹「床下が……!?」

従姉妹「お前、あのゴキ……生徒会長!」


『え!? もしもし、従姉妹さん! 従姉妹さん!』


従姉妹「」チラッ

従姉妹「ふ……。そんな所に隠し通路があったのね……」

従姉妹「もしもし、男君。隠し通路を見つけたわ。ついでにゴ……生徒会長も」


『生徒会長が何でそこに!?』


従姉妹「さあ……? 生徒会長は風紀委員の味方だったんじゃないの?」

従姉妹「いきなり襲ってきたから、私の『能力』で止めたわ。今はもう大丈夫。大人しくしてるわよ」

『生徒会長が……? ……ちょっと信じられないですけど……。とにかく、わかりました。それならその隠し通路の奥に……』

従姉妹「ええ、風紀委員達がいると思う。男君、クワガタ半分にこの中を先に調べさせて。私はその後で、クワガタもう半分を連れて行くから」

『はい』


クワガタ四千匹「」ブーンッ!!





女「……?」

女(出てきたっきり、あの女の子、動かないでボーッとしてる……)

女(従姉妹さんが何かしたのかな……?)

『隠し地下室』


友「」ダダダッ

友「」ギイッ、バタンッ!!


友「とりあえず、扉は閉めた! つっかい棒になりそうな物はあるか!? 風紀委員!」

風紀委員「ない! 他の物で押さえるしか!」


演劇部部長「ふふふふふ……」


友「何でもいいから何か!」

風紀委員「なら、この机で!」サッ

ガタッ、ガタンッ


友「棚も!」ダダダッ、ガシッ

ガタッ、ガタンッ


演劇部部長「無駄無駄無駄よ! 従姉妹の『能力』の前には無意味だもん、そんなの!」


友「時間稼ぎにはなるんだよっ!」サッ、ガタンッ

風紀委員「友君! もうこれでいいから! 早く扉から離れた方がいい!」


友「ああ!」タタッ

風紀委員「演劇部部長が言った通り、これは時間稼ぎにしかならない! この後、どうする!?」

友「どうって……!」



1、協力して戦う
2、風紀委員の能力を使って、隠れるか逃げる
3、演劇部部長を人質にして、男と交渉する
4、その他

安価↓1

友「透明になって一旦逃げるしかないだろ! 従姉妹だけならまだしも、男のクワガタもいる! それに、能力がわからない女さんも!」

友「ここは危険だから外に出て、それで様子を探ろう!」

風紀委員「っ! わかった! でも、先にこいつは気絶させとく!! 私たちの動きがバレると色々厄介だし!」


演劇部部長「ふふふふふ……。残念ね! それももう、この状況じゃ遅いわよ!」

『冬の息吹(アイス チェンジ)!』


ピキッ!!


風紀委員「っ! こいつ! 自分の周りの空気を氷に!!」

友「氷の鎧かよっ!! だけど、氷なら俺の危険回避で割れるっ!!」タタッ、サッ


『危険回避(リスク アベーション)!!』


バリンッ!!


演劇部部長「ふふふふふ……。そんなにイタチごっこがしたいの?」

『冬の息吹(アイス チェンジ)!!』


ピキッ!!


友「またかよっ! 危険回避(リスク アベーション)!!」

バリンッ!!


演劇部部長「無駄よ。永遠に終わらないわ! 冬の息吹(アイス チェンジ)!!」

ピキッ!!


友「ぐっ!! タチ悪いなっ! ちくしょうっ!!」


カツン、カツン……


風紀委員「友君! まずいわ! 誰か降りてくる! 多分、従姉妹!!」

友「うっ……!!」


風紀委員「時間がない! 演劇部部長はもう無理よ!! 手を!」サッ

『風と共に消えぬ・終幕(ステルス オペラ フィナーレ)!!』


フッ……

フッ……

『変幻自在の右手(スペース コントロール)……』

メキャッ、バキッ、グラグラ

ドサッ……


従姉妹「バリケードね……。無駄な事をするわね……」テクテク


演劇部部長「『冬の息吹(アイス チェンジ)』解除っと」キュイーン

フッ……


従姉妹「あらあらあら? どうしたの、演劇部部長ちゃん? ずいぶん楽しそうな格好をしてるけど?」クスクス

演劇部部長「話は後! 従姉妹さん、近くに風紀委員と友君が透明になって潜んでるから、気を付けて!」

従姉妹「へえ……。なら、私は中に入らない方がいいわね。クワガタたち、お願い」


クワガタ四千匹「」ブーンッ!!


従姉妹「左手だと使いにくいけど……」ピッ、ピッ

従姉妹「もしもし、男君。この部屋の中に風紀委員と友君が透明になって隠れているみたい。クワガタで徹底的に探しだして」

『わかりました。それが終わるまでは、従姉妹さん、気を付けて下さいね』


従姉妹「私なら平気よ。だって、目の前に机とか棚とかの瓦礫の山があるもの。私に近付こうとしたら、このどこかが絶対に動くわ。だから、すぐわかるの」

『それなら……。でも、油断はしないで下さいね』

従姉妹「ええ、わかってる」

クワガタ四千匹「」ブーンッ


「ひっ! いやあっ! 来ないで、来ないで!」ブン、ブンッ

「バッ! 落ち着け! 喋るな!」サッ

「んぐっ!」


(マズイ……! バレただろっ! 今のは!)


クワガタ「」ブーンッ、ピトッ

クワガタ「」ブーンッ


従姉妹「まだ見つからないの……? そんなに大きくもないこの部屋で……?」

演劇部部長「……おかしいわね」



(え……? 聞こえてなかった……?)

(しかも、クワガタも飛び回ってるだけで、俺達を襲っては来ない……)


「大丈夫……」ガクガク

「私の第二の能力は『認識』を消す能力だから……」ガクガク

「例え、大声を出しても気付かれない……。だから……」ガクガク


クワガタ「」ブーンッ


「きゃあ! 来るなっ! 来るなあっ!」ブンッ、ブンッ

「おい、よせ! それでも流石にこちらから何かしたらバレるんじゃないのか!? 落ち着け!」ダキッ

「あ、あううぅ……」ガクガク

「大丈夫だ。クワガタからは俺が守る……! だから……」ギュッ

「う……ぅぅぅ……!」ブルブル

従姉妹「……見つからない?」

『はい……。ここには二人はいません。まだ隠し部屋があるっていうなら別ですけど……』

従姉妹「演劇部部長、この部屋に隠し通路とかあるの?」

演劇部部長「ないわ……。もうこれでおしまい……。他には部屋も通路もない……はずよ」

従姉妹「だったら、どこに消えたって言うの?」

演劇部部長「……わからないわよ。私が知りたいわ……」

『やっぱり瞬間移動で消えたんじゃ……』

従姉妹「…………」

演劇部部長「…………」



「何とか……助かりそうだな」

「う……うん……」ブルブル


「なら、今の内に移動した方がいい。少なくともこの部屋からは出た方がいいだろ。歩けるか?」

「駄目……なの。この能力を使ってる間は……私はここから移動出来ない……。一歩も歩く事が出来ないの……」ブルブル

「マジかよ……。便利なのか不便なのか……」

「でも……友君は移動出来る……。だから、友君だけでも、外に行って……」ブルブル

「おい、バカ言え! 風紀委員一人残して行けるかよ!」

「でも、このままだと、後でここに鍵とかつけられるかも……! 入り口に重石とか載せられて、開けなくさせられるかも……! そうなったら二人して閉じ込められるのよ……! だから……!」ブルブル

「……だけど!」

「今なら友君が何しても気付かれない……! 瓦礫の山を歩いても平気……! わざとじゃないなら、ぶつかっても平気……! だから、普通に出れるの……! 今の内に友君だけでも外に出た方がいい……!」

「でも、風紀委員はその間、何も出来ないし、動く事も出来ないんだろ!? もし何かあったらどうすんだ! 俺が側にいれば、危険回避で守れる! 別々に行動しない方がいい!」

「でも……!」



行動
安価↓1

「ダメだ! 二人でいるのが一番だ! それに俺は風紀委員をそのままにしておけない!」

「っ……」



従姉妹「……瞬間移動能力ね。どう思う? 演劇部部長ちゃん」

演劇部部長「なくはない……とも思うわ。そうじゃなくても、それに近い能力を持ってる可能性はあると思うの……」


演劇部部長「でも」

従姉妹「でも?」


演劇部部長「そんな能力を持ってるなら、あんなに慌てる必要があったのかなあ……? なんて風にも思うの」

従姉妹「あら、慌ててたの?」

演劇部部長「かなりね。瞬間移動出来るなら、そんなに慌てる程の事でもないのに、相当焦ってたもの」

従姉妹「ふうん……」


演劇部部長「何にしろ、そろそろ私のガムテープを解いてくれないかな? もう部屋に入ってきても平気でしょ?」

従姉妹「ああ、そうね。それにしても、こんな隠し部屋持ってたんだ、演劇部部長ちゃん?」


演劇部部長「研究部屋よ……。生徒会長をここに閉じ込めて、それから『洗脳』する予定だったんだけど……」

演劇部部長「従姉妹さんに見つかったんじゃ、それも難しいかな……。生徒会長、どこにしまっておこう……」


従姉妹「ふふっ……。先にあのゴキブリを消しといた方が良かったかなあ? でも、あの時は女ちゃんも見ていたし、男君とも電話で繋がってたしね……。残念」

演劇部部長「不幸中の幸いね……。風紀委員が捕まってないから、生徒会長はまだ必要なの。勝手に■さないでよ」

従姉妹「覚えておくわ」スッ、ペリペリ

演劇部部長「っ! 痛いってば! もう少しゆっくりはがして!」

従姉妹「善処するわ」ペリペリ、ペリペリ

演劇部部長「痛い痛い! 全然、善処してないでしょ!」

演劇部部長「もう……。痕になっちゃってるじゃないの……」スクッ……

従姉妹「ごめんごめん。それで……」


従姉妹「この後、どうする? 何か手はある?」

演劇部部長「二人は捕まえなきゃいけない。今はこれが一番大事よ」

従姉妹「そんな事わかってるわよ。風紀委員にたぶらかされてる友君を助けないと」

演劇部部長「でも、毎回こういう風に逃げられるんじゃたまったものじゃないわね……。それをまずどうにかしないと……」

従姉妹「あと、居場所がわからないのも困ったものよね。これもどうにかしないと……」

演劇部部長「とりあえず、美少女をまた使って明日にでも能力に目覚めさせるわ。何か役に立つかもしれない」

従姉妹「そうねえ……」

演劇部部長「あと、あの風紀委員の能力も、もう少し知らないとダメかも……。多分、瞬間移動能力じゃないとは思うんだけど、それが何の能力なのかが……」

従姉妹「うーん……」


演劇部部長「男君も交えて相談してみる……? 前に間近で見たって言ってたし、何かわかるかも」

従姉妹「そうね……。他の事は内緒にして、一度聞いてみようかしら」

演劇部部長「あと、モニターに映ってたけど、もう一人いたよね? あの子は誰? 能力者なの?」

従姉妹「ああ、女ちゃん? そうよお、能力者。友君たちを見つけるのには何の役にも立たなさそうだけどね」

演劇部部長「どんな能力なの?」クルッ、トコトコ

従姉妹「ふふふっ。ちょっと変わった能力よ。ピンポイントで役に立つかもしれないわね」クルッ、トコトコ



カツカツ、カツカツ……


ガチャガチャ、ガコッ

ガタンッ……



「っ……ぶねえ……。何とか助かったな……」フゥ……

「首の皮一枚分だったわね……」ホッ……

『社務所』


女「あ、従姉妹さん! それに……えっと?」

従姉妹「演劇部部長よ。今、助け出してきたの。でも、友君も風紀委員も中にはいなくてね……」

女「そっかあ……。あ、でも、一人だけでも助かって良かった!」

演劇部部長「まったくね……。殺されるところだったもん……」

女「あ、痣が……! 酷い事されたんだね、大丈夫……?」

演劇部部長「おかげさまでね。ありがとう」

女「ううん、私は何にもしてないし……! あ、それよりも従姉妹さん、この女の子、ちょっと様子がおかしいんだけど……。何かしたの?」


生徒会長「…………」ボーッ


従姉妹「ああ、それ? 大丈夫よ。すぐに戻すから」ピッ、ピッ

従姉妹「もしもし、男君?」


『あ、はい……。どうしました?』


従姉妹「ちょっと作戦会議するから、神社の境内まで来てくれる? クワガタはもうしまっていいわ。風紀委員には逃げられたみたいだし」


『わかりました。すぐに行きます』


クワガタ「」ブーンッ

フッ……


演劇部部長「戻したみたい。それなら……」

従姉妹「そうね。これで大丈夫。女ちゃん、ちょっとこっちに来てくれる?」

女「え、何?」タタッ

従姉妹「ふふっ。ちょっと頭のお掃除」スッ


『変幻自在の右手、act2(ハート コントロール)!』


女「あっ! ううっ! あ、頭が……痛い……!」ヨロッ


従姉妹「すぐ終わるから平気よ。ふふっ」

演劇部部長「急いでね。男君が来る前に」

従姉妹「大丈夫。十分に間に合うから。ほんの少し弄るだけだしね」

男「」タタタッ


従姉妹「ああ、来た来た」

女「うん!」

演劇部部長「これで揃ったわ」


男「演劇部部長! 良かった、無事で!」

演劇部部長「ありがとうね、男君」ニコッ


従姉妹「それじゃあ、作戦会議を始めるけど……」チラッ

演劇部部長「」コクッ


演劇部部長「」スッ

女「え?」

『冬の息吹(アイス チェンジ)』


女「」ピキッ!!


男「!? 女さんが氷に!? 演劇部部長、何を!」

従姉妹「大丈夫。ちょっと見られるとまずい事があるから、氷に変えてもらっただけ」スッ

『変幻自在の右手、act2(ハートコントロール)』


男「あ! ぐあっ! うぐっ……!」ヨロッ


従姉妹「念には念を、ってやつよ。男君の記憶もちょっとだけ歪めておかないとね。ふふふっ」


演劇部部長「完全を期さないと不安なの。さっきみたいな事もあるから」

従姉妹「そういう事ね」


男「頭……が……!」グラッ

『隠し地下室 モニター前』


「男もやられたか……!」

「振り出しに戻ったわね……」


「どうする、風紀委員? このままここにいるか? それとも能力を解除して、外に出た方がいいと思うか?」

「そうね……」



行動
安価↓1

「このまま、待ちましょう」

「大丈夫なのか……? 下手したら閉じ込められるかもってさっき言ってたけどよ……」

「ここを封鎖するつもりなら、出ていく時にしたはず。だから、演劇部部長には封鎖するつもりはないと思う」

「て事は……」

「また戻ってくる。きっと」

「そしたら、今度こそはしっかりと捕まえるか……。リプレイだな」

「そうね。何にしろ、私たちはもう安全だと思うし、ここで少し様子を見た方がいい。チャンスを辛抱強く待ってみましょう」

「持久戦か……。もっとも、財布とスマホは演劇部部長が持ってちまったから、さっきより条件が少し厳しいけど……」

「捕まえた時にまた取り戻せばいいのよ」

「わかった……。待とう」

『神社の境内』


従姉妹「……という事でね。どう思う、男君?」

男「瞬間移動で消えたんじゃなかったら……。部屋にいないってのは変ですよね……」

演劇部部長「前に男君、風紀委員をクワガタで攻撃したんだよね? その時、逃げられたって言ってたけど、もう少しそれを詳しく思い出してくれる?」

男「……って言っても。本当に突然消えたんで……。瞬間移動じゃないなら、そうですね……空気に変わる能力とか……」

演劇部部長「空気に変わる能力……。少し変則的な変身能力って事かな……?」

男「はい。そういうのなら、瞬間移動みたいに見えるんじゃ……。クワガタでも見つけられませんし」

演劇部部長「うーん……」

従姉妹「でも、それだと、やっぱり焦る理由がないんじゃない?」

演劇部部長「ううん、向こうは私の能力を知っているから……」

従姉妹「ああ、そういう事ね……。確かに空気に変わるのはまずいものね……」


男「……演劇部部長さんの能力って何なんですか? 教えてもらえたら、もう少し推理出来ると思うんですけど……」

演劇部部長「…………」


男「別に言いふらしたりとかはしないですよ。約束します」

演劇部部長「ごめんね、男君。それはまだ秘密にしとくね。男君を信用してないって訳じゃないけど……ごめんね」


男「……そうですか。それなら仕方ないですね」ハァ


従姉妹「でも、空気に変わる能力ってのは――当たりかもしれないわね。それなら全部の辻褄が合うもの」

演劇部部長「そうね……。しまったなあ……。あの時、所構わず能力を使っておけば良かったのに……」ギリッ

従姉妹「……でも、タネが割れたら……私でも演劇部部長でも問題ないわね。男君と女ちゃんは無理だけど……」


女「うん……。もし、そんな能力だったら、私じゃどうしようもない……」

男「俺もだな……。クワガタは気体に攻撃は出来ない」


演劇部部長「探すのも無理、かな……。見つけようがないもの」

従姉妹「ただし、向こうからも攻撃は出来ないってのがあるわ。そこまで怖いものでもないわね」

男「だけど、空気で移動した後に、能力を解除されたらどうしようもないですよ」

女「だよね……うーん」


生徒会長「…………」ボーッ

男「ところで、その女の子なんですけど……」

男「大丈夫なんですか、本当に?」


生徒会長「…………」ボーッ


演劇部部長「うん、大丈夫。私の能力の影響だから」

演劇部部長「しばらくすれば元に戻るよ。ちょっと放心状態になってるだけだし」


男「それならいいんですけど……」


従姉妹「ゴ……この子は演劇部部長ちゃんが責任持って、元に戻るまで見ていてくれるから心配はいらないわ」

従姉妹「それにしても、この子も災難よねえ。参拝に来てたらいきなり事件に巻き込まれる事になっちゃって」


男「そうですね。でも、怪我もないみたいだし……」

男「そこは不幸中の幸いってやつですね」

男「能力も見られてないんですよね?」


演劇部部長「うん。何も知らないはずだよ。だから、それも心配いらない」

演劇部部長「元に戻ったら、貧血で倒れたって事にしておくから。それで誤魔化せると思う」


男「……そうですか。それなら……」

従姉妹「それじゃあ、もう遅いし、そろそろ解散にしましょうか。少なくとも演劇部部長は助け出せたんだし」

演劇部部長「風紀委員が何で友君を襲ったかはわからないけど、でも、私も脅して捕まえようとしてたから。あと、従姉妹さんも」

従姉妹「風紀委員の狙いは私と演劇部部長と友君みたいね。だから、演劇部部長と私が無事な間は友君も大丈夫。殺される事はないわ。そうでしょ、演劇部部長?」

演劇部部長「うん、そう言ってた。逆に言えば、私たち二人が安全ならそれで大丈夫って事ね」


男「…………」

男「でも、何で二人を……。やっぱり能力的な事なんでしょうか? だとしたら、俺も女さんも狙われる可能性はあるし、友も能力者って事に……」


演劇部部長「そこら辺は未だに謎だけど……」

従姉妹「わからない事をずっと考えてもしょうがないわ。そのあたりは風紀委員を捕まえてからね」


男「…………」

従姉妹「それより、悪いけど男君、女ちゃんを家まで送ってくれないかな?」

従姉妹「私はこの子と演劇部部長ちゃんが心配だから、二人で元に戻るまで一緒に残るわ。車でこの子も送っていけるし。だから、ね?」

生徒会長「…………」ボーッ


男「ああ、それは構いませんけど……」

女「ふわわわわ///(帰り道、男君と二人きり、男君と二人きり)」ドキドキ


従姉妹「私たちなら平気よ。狙われてるって言っても、二人揃っていれば負ける事はないから。夜道は危険だし、男君がナイトみたいに守ってあげてね。ふふっ」

男「わかりました。全力で守ります」

女「ふえええ!///」ドキドキ

『二人が去った後 境内』


演劇部部長「あの二人……生徒会長に関する記憶を消したのね?」

従姉妹「面倒でしょ? 知り合いが行方不明になったり死んだりしたら」

演劇部部長「確かにそうね。記憶は消して良かったかもしれないけど……スマホはいじってないわよね?」

従姉妹「スマホ?」

演劇部部長「男君のスマホ。生徒会長の番号が登録されてるはず。後で不審に思うかも」

従姉妹「あら、そうなの? そこまでは知らなかったから。じゃあ、明日あたりまた会って、登録を消しておくわ」

演劇部部長「そうね。お願いします」


生徒会長「…………」ボーッ


従姉妹「で……このゴキブリ、どうするつもりなの? まだ生かしておくの?」

演劇部部長「はい。念のために、ですけど」

従姉妹「どこで飼うの? またあの隠し部屋? 危険じゃない?」

演劇部部長「あそこはバレてしまったんで、そうですね。なので、別の場所に運びます」

従姉妹「呆れた。まだ隠し部屋を持ってるの、あなた?」

演劇部部長「隠し部屋じゃないですよ。従姉妹さんの倉庫と同じです。誰かに貸してもらうだけです。とっても穏便にね」

従姉妹「……前から思ってたけど、あなたの『第二の能力』って何なの? 私と似たような事が出来るの?」

演劇部部長「それは……」

従姉妹「それは?」


演劇部部長「秘密です。ふふふ」

従姉妹「」ハァ……


演劇部部長「従姉妹さんの第二の能力の劣化版ってところですね。使いやすさは格段に従姉妹さんの方が上ですよ」

従姉妹「ああ、そう。……まあ、いいわ。それでどうするの? そこまで送ってく?」

演劇部部長「いえ、場所を見られたくないので。一人で行きます」


演劇部部長「行くわよ、生徒会長。ついて来なさい」

生徒会長「…………」コクッ……


演劇部部長「それでは、また明日。お休みなさい、従姉妹さん」ペコッ


演劇部部長「」トコトコ

生徒会長「…………」トコトコ……




従姉妹「……相変わらず、つかめない子ね、あの子も」

『帰り道』


男「んー……」テクテク

女「///」ドキドキ、ドキドキ


男「女さん」

女「ひゃ、ひゃい!///」ドキンッ


男「従姉妹さんの事、どう思う?」

女「どどどどどうって!?///」


男「少し不自然だなって思ったんだけど……」

女「ふ、不自然?/// う、ううん! 別に自然だよ! べ、別に男君と私をくっつけようとか、そんにゃ事は!///」アセアセ

男「え?」

女「ふええ?」

男「ああ、そういえば……従姉妹さんも前に……」

女「ひゃう!///」

男「女さん、えーっと……」

女「ななななに!?///」ドキドキ

男「その……友達からって感じで始められたら……。いや、間違ってたら本当にごめんなんだけど……」

女「と、友達から……?」

男「うん。たまに一緒に遊びに行くとかそんなのから」

女「それって、あ、あの、デートって……」ゴニョゴニョ

男「ああ、えっと……。そうだね、デートで」

女「よ……」

男「良くない?」

女「ち、違う違う!! よ、喜んで!!///」

男「ああ、そっか。良かった……」ホッ

女「こ、こちらこそ!///」ドキドキ


男「じゃあ、あの……これから宜しくね」

女「うん!!///」ニコッ

男「で、話を戻すんだけど」

女「な、何だったっけ?//」ドキドキ……

男「従姉妹さんの事」

女「従姉妹さん?」

男「従姉妹さん、少し様子が妙に思えて」

女「そうかな? 普通の従姉妹さんだと思うけど?」

男「ああ、女さんは知らなかったよね。友が捕まった時の事。ものすごい取り乱してたんだけど……」

女「そうなの?」

男「うん。今の従姉妹さんからみたら、考えられないぐらいに取り乱してた」

女「でも……好きな人が誘拐されたら、きっと誰でも取り乱すと思うんだけど……?」

男「うん。俺も最初はそう思ってた。だけど……」

女「だけど?」

男「友と電話してた時、あるだろ? あれから急に落ち着いてさ。今もそうだけど……」

女「でも、あれが本来の従姉妹さんだよ? 落ち着いてて、大人のお姉さんみたいな」

男「普通、あれだけ落ち着いてられないと思うんだけど。友の安全を確信しきった顔してた。旅行に行く前の見送る顔みたいに。車には気を付けてね、って感じの」

女「……そうかなあ?」

男「友が拐われてるのは変わらないし、風紀委員が友に何をするかだってわからないだろ? 状況は前とほとんど変わってないのに、表情がゆるゆるだったからさ」

男「何か違和感があるんだ、そこら辺に」


女「…………」

女「だけど、演劇部部長さんの話を信じきってるだけかもしれないよ? それか、ようやく落ち着きを取り戻したとか……」

男「かもしれないんだけど……何かひっかかってさ。気になるっていうか」


クワガタ「」ブーンッ、ピトッ


男「ん? クワガタ?」

女「あれ? 男君、クワガタ戻したんじゃなかったけ?」

男「いや、町の偵察用と護衛用のは流石に残してあるよ。って事は、ひょっとして、友と風紀委員を見つけたのか?」

クワガタ「」フルフル


クワガタ「」ギチギチ、ギチギチ


男「……は?」


女「……ど、どうしたの、男君? 急に」

女「何か顔が怖くなってるよ?」


男「クワガタ……それマジで?」

クワガタ「」コクコク


男「え、ちょっと待て。でも、俺に全く覚えは……。それ、俺がいつ命令した?」

クワガタ「」ギチギチ、ギチギチ


男「マジかよ……。て事は……何かされたのか、俺……? 女さんも……」

クワガタ「」コクコク


女「え、男君、どういう事? なに、私もって?」

『時間を少しだけ遡って 石段』


『ちょっと作戦会議するから、神社の境内まで来てくれる? クワガタはもうしまっていいわ。風紀委員には逃げられたみたいだし』

男「わかりました、すぐに行きます」ピッ


男「とは言ったものの……どうにも怪しいんだよな、従姉妹さん」

男「他のは消すけど、念のために、クワガタをこっそり十匹だけ残しとくか」

シュイン……ポンッ


男「で、残った十匹に命令な。お前らはこっそり木の陰にでも隠れていて、様子を見ていてくれ。もしも、何か従姉妹さんが妙な真似をしたら後で報告する事」

クワガタ十匹「」コクッ


男「偵察隊とは別の隠密部隊みたいなものか。従姉妹さんは偵察隊の事について知ってるから、従姉妹さんを探るなら隠密部隊もいるだろうしな」

男「頼んだぞ! 見つかるなよ!」

クワガタ十匹「」コクッ


クワガタ十匹「」ブーンッ!!


男「よし……。行くか」タタタッ

『現在 帰り道』


男「……今の今までそれすらもすっかり忘れてた。何だこれ……ヤバイな……」

女「え、じゃあ、そのクワガタは従姉妹さんを探ってたって事?」

男「そう。で、クワガタからのさっきの報告がコレ……」


『境内で女さんの頭部に従姉妹が右手で触れていて、女さんは苦しげにしていた』

『同じ事を数分後、俺にもして、俺も苦しんでいたが、何分か後にはすっかり元に戻っていた』

『その時、女さんは演劇部部長によって氷の塊に変えられていた』


女「え!? でも、私、そんな事されてないよ!」

男「そう。俺も覚えてない。だけど、クワガタは『嘘をつかない』。だから、絶対にあった事だ」


男「何でこれだけの事が起きたっていうのに、俺のクワガタが一匹も報告しにこないのか。それは当たり前だ。俺自身が体験してるんだから、報告の必要がない」

男「だけど、こっちのクワガタには、『従姉妹』さんが妙な真似をしたら報告するように伝えてある。その律儀さに今回は救われた形だな」


男「結論から言うと、多分、俺も女さんも、従姉妹さんに『記憶』を消された。覚えてないんだから、そうとしか考えられない」

男「そういう事にしかならない」

女「で、でも!」

男「女さん、従姉妹さんの能力について何か知らない? 俺は教えてもらえなかったけど、女さんなら」

女「知ってるよ! 従姉妹さんの能力は『空間を歪める』能力なの」

男「空間を歪める? その他に何かなかった?」

女「他に……。うん、確かあったと思う。よくわからないけど、スゴい能力だったよ!」

男「『よくわからない』のに、『スゴい』能力……?」

女「一度だけ見せてくれたんだけど、でも、私、よく覚えてなくて……でも、スゴい能力だなってのは思って……」

男「よく覚えてない……って時点で、かなり怪しいと思うんだけど。それ、やっぱり『記憶』を消されたんじゃ……?」

女「あ、う……」


女「でも、従姉妹さんが私や男君に何かするなんて思えなくて。従姉妹さん、スッゴい、いい人なんだよ。私のお姉さんみたいな人なの!」

男「……俺もそうだったらいいなとは思うけど。でも、俺と女さんが従姉妹さんに何かされたのは本当だし、それを覚えてないってのも本当なんだ」

男「クワガタは嘘をつかないし、俺もこんな嘘はつきたくない。女さん、それは信じて欲しい」

女「うん! 男君の言う事は信じるよ! でも、従姉妹さんが……」


男「……問題は、俺と女さんが『何の』記憶を消されたかって事だと思う」

男「悪気があって消したのか、それとも俺たちの事を考えて消したのかじゃ、大違いだから」

女「私たちの事を考えて……って?」

男「世の中には、知らなかったり忘れてた方がいい記憶だってあると思うんだ。例えば、小さな子供が大事に飼っていた犬が突然死んだ時に、死んだって伝えるより、遠くに行ってしまったって親が伝えるのとかってそういうものだろ……?」

女「ああ、うん……」

男「そういう類いの嘘に近いものなら、俺も別にあえて文句を言おうとは思わないよ。でも……」

女「…………」

男「もし、そうじゃなくて……。明らかに悪意を持って消したとしたら……」


男「従姉妹さんは、風紀委員の味方かもしれない……。友を殺そうと考えてるかもしれない……」


女「……!!」

男「でも、この考えも少しおかしいんだ」

女「…………」

男「もしも風紀委員の味方なら、あれだけ取り乱してたのが不自然だし……。あれは演技とは到底思えなかったから」

女「じゃあ、例えば演劇部部長が何か人を操るような能力を持ってるかもしれないよ!」

男「……演劇部部長が?」

女「だって、従姉妹さん、そんな事する人じゃないもん! だから、演劇部部長が従姉妹さんを操って、私たちの記憶を消して……とか」

男「ああ、なるほど……」

女「それに、さっきも男君が言った通り、何か理由があって私たちの記憶を消したのかもしれないし……!」

男「…………」


女「ねえ、男君。従姉妹さんはいい人なの。男君はあまり好きじゃないかもしれないけど……でも、私は従姉妹さんの事が好きなの!」

女「男君が縁を切れって言うならすぐ切るよ! でも、出来ればそう言って欲しくないし、従姉妹さんの事も、もう少し好きになってほしい。好きじゃなくても信用はして欲しいの」

女「さっきも言ったけど、従姉妹さんは昔から私に優しくしてくれて、本当のお姉さんみたいな感じなの。だから……」


男「……うん。女さんの言いたい事はわかるし、俺も従姉妹さんの事を出来れば信用したい」

男「だから、その為にも信用できるか調べたいんだ。それぐらいはいいよね?」


女「……うん。でも」


男「あと、演劇部部長の事も。向こうにも、偵察部隊とは別に隠密部隊つけとく。女さんも、演劇部部長には一応今は気を付けて」

女「……うん。男君がそう言うなら……」


男「後は友だな……。あいつ、本当に大丈夫なのか……。不安になってきた……」フゥ……

女「……うん」

『隠し地下室』


「……もう境内には全員いなくなったな」

「そうね……」

「生徒会長をまた連れてくるかと思ったんだけど、どこかに連れていったな……」

「大丈夫かしらね……」


「でも、ここの電気を消さずに行ったって事は、後でもう一度戻ってくるつもりかも……?」

「わからないわよ……。電気は元々つけっぱなしの状態なのかもしれないし……」

「だけど、片付けは残ってる」


グチャア、ゴチャア……


「……もう使えないわね、あの机とか棚」

「そうだな」

「従姉妹のあの能力、何なの? 鉄製の扉がチョコレートみたいに曲がったわよ」

「空間を歪める能力……って言ってなかったか、確か?」

「知ってる。威力の話よ。強さ。ずいぶん凶悪な能力よね」

「空間だからな……。強度とか関係ないもんな。あれは性格含めてタチワルだわ……」

「友君、あれに勝てる?」

「ムリ。まともに喰らったらあっさりオーバーキルだな。壁とかに追い詰められたら逃げようもないし」

「そうよね……」

「それよか、風紀委員なら、こっそり包丁とかで刺せば一発なんじゃないのか?」

「それで、即死か致命傷に出来ればね。失敗したら私が反撃を食らっておしまいよ。これは一種の賭けね」

「むしろ、包丁とかより、スタンガンとかの方が役立ちそうだな」

「私もそう思うわ。でも、無い物は無いのよ」

「財布も携帯もなし。何もかもないからな」

「そうね。今は耐えるしか」グーッ、キュルル……


「…………」

「…………」


「そういや、まだ飯を食ってなかったっけ……」

「スルーしなさいよ。デリカシーがない!」

「買ってきた弁当は……隅の方に袋ごと置いといたから無事だな」ゴソゴソ

「飯、食おうぜ。餓死するぞ」

「……食べてる時に演劇部部長が戻ってきたら? 匂いでバレて一発アウトよ。だから食べない」

「じゃあ外で食えば……」

「動けないって言ってるでしょ」

「能力を一旦解除して、また使えば」

「この第二の能力は一回使うごとに視力を0.1失うの。私をド近眼にするつもり?」

「は!?」

「……そういう能力なの。むやみやたらと使えないのよ。今もう使ってしまったから、待ち伏せするなら出来れば解除したくないのよ」

「……悪い。俺にまで使わせて」

「私が勝手にした事だから別に謝る必要はない。でも、出来れば友君のも解除したくないから、気を付けて。向こうから触りに来るのは平気だけど、自分から触りにいったら、能力は強制解除されるから」

「……わかった。気を付ける」

「そうして」


「ところで、トイレとかは大丈」

「だから、デリカシーがない事は言わないで!」

『道路』


演劇部部長「」キョロキョロ

生徒会長「…………」ボーッ


演劇部部長「確かこの辺りだったと思うけど……」

演劇部部長「ああ、あった。アパートを経営してる大家さんのお家」

ピンポーン


『はーい』

ガチャッ

大家の奥さん「何ですか?」

演劇部部長「ふふふふふ」ソッ

『冬の息吹(アイス チェンジ)』


ピキッ!!


氷の塊「…………」


演劇部部長「中で気絶するまで2、3分……。早すぎてもダメだし、遅すぎてもダメ。意外とこのタイミングが難しいのよねえ」

演劇部部長「でも、2、3分なら、家族の誰も不審に思わない。まさか玄関口で奥さんが氷ってるなんて思いもしないでしょうし」

『三分後』


演劇部部長「そろそろね……」スッ

演劇部部長「右手で触って解除」


フッ


大家の奥さん「」バタリッ……


演劇部部長「ふふふ。第二の能力、『支配者の到来(ゾンビ チェンジ)』発動」ソッ

キュイーン……


大家の奥さん「」ムクッ

大家の奥さん「…………」ボーッ


演劇部部長「空いてるアパートの部屋の鍵を持ってきて。そこを使わせてもらうから」

演劇部部長「それが終わったら、あなたは布団を敷いて寝たフリをしなさい。いいわね?」


大家の奥さん「…………」コクッ

大家の奥さん「…………」クルッ、トコトコ……


演劇部部長「ふふふふふふ」

演劇部部長の『第二の能力』

『支配者の到来(ゾンビ チェンジ)』

左手で触る事で相手の『思考』を凍らせ、自分の命令通りに従う傀儡に変える能力
傀儡になった相手は単純な命令しかきかないが、この時間が長ければ長いほど複雑な命令もこなすようになる
ただし、傀儡に出来るのは睡眠か気絶状態に限られ、目覚めるとその効力は全て消える

『十五分後 アパートの空き部屋前』


演劇部部長「ここね……」

生徒会長「…………」ボーッ


演劇部部長「鍵は渡したでしょ? 自分で開けなさい」

生徒会長「…………」スッ、ガチャガチャ


ギィッ……


演劇部部長「入って」

生徒会長「…………」トコトコ……


演劇部部長「」バタンッ


演劇部部長「部屋の奥らへんで座りなさい」

生徒会長「…………」トコトコ……ストッ


演劇部部長「睡眠薬はと……」ゴソゴソ

演劇部部長「これを飲みなさい」スッ


生徒会長「…………」コクッ

生徒会長「…………」パクッ、ゴクンッ


演劇部部長「……これで明日の朝までは大丈夫ね」

演劇部部長「トイレに行きたくなったら自分で行くのよ。もうそれぐらいの事は出来るでしょ? ここは水道が通ってないから、近くのコンビニのトイレを使うのよ。いいわね?」


生徒会長「…………」コクッ


演劇部部長「……能力も、命令通りに使える様になるまで、あと二日ぐらいでいけるかな……?」

演劇部部長「融通がきく分、時間と手間がかかるのが面倒だけど……」

演劇部部長「この『調教』が済めば、完全に私の操り人形だもの。我慢ね」


生徒会長「…………」ボーッ


演劇部部長「風紀委員の件が片付いたら実験材料。余すところがないなあ。ふふふ」

演劇部部長「じゃあね、生徒会長。私ね、生徒会長の事が結構好きだったから……」

演劇部部長「簡単にコギャルみたいに壊れないでね? ずっと楽しませてよ。ふふふふふ」クスッ

『男の自宅』


男「何か長い一日だったな……」

男「クワガタの報告によると、あの女の子は演劇部部長がきちんと家まで送ったみたいだし……」

男「従姉妹さんも警察署に寄った後で家に帰ったみたいだな……」

男「友も風紀委員も未だ見つからず、か……」


男「にしても、従姉妹さんと女さんが同じ家に住んでるってのはな……」

男「あれは少し驚いたというか……。大丈夫なのかな、女さん」


男「ああ、それと美少女と連絡取らなきゃ。もう深夜に近いけど、メールぐらいならいいよな」

男「にしても、こっちはこっちでびっくりだな。美少女から三十五件もメール来てたわ……」

男「例の包丁事件と監禁騒動の時からずっとだな。どれも無事?とかそんな内容のものだけど……。よっぽど心配しててくれたんだな」

男「とはいっても、森林公園とかで包丁振り回してた経緯もあるし……」


男「なんてLINE送ろう?」


案下↓1

男「心配してくれてありがとう、俺は元気だよっと」ピッ、ピッ

男「で、送信」ピピッ

男「多分、もう寝てるだろうけど、明日になれば」


ピピピッ


男「はや」

男「何て返ってきた?」ピッ


『死ぬほど心配したんだよ! どうしてたの?』


男「良かった……普通の美少女っぽい。さて、どう返すか……」


安価↓1

『美少女の家』


美少女「はぁ……良かったあ」ホッ

美少女「どこに行ってたのかわからないけど、男君、無事だったんだ……」グスッ

美少女「あ、なんか安心したら涙が……」ゴシゴシ

美少女「えへ……変なの、もう」ゴシゴシ


ピピピッ


美少女「返ってきた! どうしてたんだろ?」サッ


『ちょっと悪い事をして、警察に捕まっていた』


美少女「!?」

美少女「え、なに!? 悪い事って!?」アセアセ

美少女「警察に捕まってた!? え!?」

美少女「家の窓ガラスが割れてた事と関係あるの!?」

美少女「まさか……家庭内暴力!?」


美少女「どういう事!?」ピッ、ピッ


美少女「何があったの!?」ピピピッ

『男の家』


ピピピッ

男「お、来た。どれどれ」


『何をしたの、男君!?』


男「何をしたって……俺が何かした訳じゃないんだけど……」

男「あー……どうしよう?」


1、何か誤解がない? 俺は何もしてないけど
2、ちょいと万引きをね。でも、もう釈放されたし平気
3、銀行強盗をして捕まってたんだ。だけど今は晴れて自由の身さ。何故って? それは脱走して来たからさ、HAHAHAHA
4、すまねえ、美少女。ワシ、人を殺してもうたんや。堪忍や堪忍や……
5、そんな事より、美少女って可愛いよな。付き合ってくれ
6、なあ、スケベしようや。ぐへへへ
7、黙れ、雌豚! てめえに俺の事を聞く権利はねえ!
8、ハァハァ、ハァハァ、今日のパンツの色は何色?
9、その他

安価↓1

『美少女の家』


美少女「」ドキドキ、ハラハラ


ピピピッ


美少女「」ビクッ

美少女「来た! 男君、一体何を……!」サッ


『冗談だよ、冗談。冗談言えるぐらい元気って事』


美少女「…………」

美少女「」ヘナヘナ……ペタリ


美少女「もう!! 男君のバカーッ!!」グスッ


美少女「どれだけ心配してたか全然わかってくれない! もう!!」ピッ、ピッ

『男の家』


ピピピッ

『そ・れ・で! 本当は何をしてたの!』


男「おおう……。何か怒らせたか……?」

男「心なしか着信音までぶちギレてる気が……」


男「んー……」

男「本当の事を言うと、心配かけそうだよな……」

男「そこら辺は上手いこと誤魔化して、それより美少女の事について聞くか……?」

男「あの森林公園の事……気になるしな」

男「でも、下手に聞いて薮蛇だったらな……。それも怖いよな……」

男「風紀委員の一件が片付いて、落ち着いてからのがいいかな……。いや、流石にそれは考えすぎか?」


男「どうするか……」


1、自分の事は正直に話すが、美少女の事については尋ねない
2、自分の事は適当に誤魔化すが、美少女の事については聞き出す
3、正直に話すし、向こうにも尋ねる
4、適当に誤魔化して、美少女の事についても尋ねない
5、そんな事より、美少女って可愛いよな、付き合ってくれ
6、なあ、スケベしようや、ぐへへへ
7、黙れ、雌豚! お前に俺の事を聞く権利は(ry
8、ハァハァ、ハァハァ、今日のパンツの(ry
9、その他

安価↓1

男「ちょっと心配だけど……」

男「虎穴に入らずば虎児を得ずとも言うしな」

男「こっちが知ってる事は全部話して、代わりに美少女の事についても聞き出そう」

男「ただ、メールだと少し説明し辛いんだよな」ピッ、ピッ


『少しややこしいんで、今、電話しても大丈夫?』


プルルル、プルルル

男「あ、そっちから来たか」ピッ


『もしもし、男君?』

男「久しぶり……って訳でもないけど、久しぶり」

『本当に久しぶりだよ! 心配させといて!』

男「ああ、ごめん。実は色々あって……」

『へえ……。じゃあ、女さんに包丁から庇われて、おまけに匿われてたって事?』

男「うん。ざっくり言うと、そうなる」

『そうなんだ……。ふうん……』

男「で、こっちは誰にも言わないで欲しいんだけど、友が風紀委員に浚われて……(以下略)」



『……今も誘拐中で、しかも男君とかには『能力』が宿っていると……』

男「信じられないかもしれないけど」

『そうだね』

男「……だよなあ」

『今日、エイプリルフールでもなかったよね?』

男「左様でございます」

『で、男君は小説だとか童話だとかの作家になるつもりもない』

男「そうだな」

『中二病……だっけ? そんなんでもなかったよね?』

男「ん」

『病院には精密検査に行ったんだよね? その時、脳の方も調べてもらった?』

男「酷くないか、それ?」

『犯人が捕まったっていうのは、ワイドショーとかで見てて知ってるの。だから、前半部分は信用してるっていうか、嘘じゃないってのはわかるのね』

男「だろうね」

『だけど、後半は正直、途中から真面目に聞いてなかった。何の話をしてるんだろうとか、いつ終わるのかなあ、とか、そんなの考えてたし』

男「……さいですか」ハァ

『だって、信じろって方が無理でしょ? 男君、逆の立場だったら信用する?』

男「それは……何とも……。でも……」

『今日、街に買い物に出かけたら、ゴジラがいきなり襲ってきて、それをガメラが倒してくれて、その後にウルトラマンがやってきてバルタン星人と闘ってたのー……って言ったら信じる?』

男「ごめん、信じない。へえ、そうなんだー、で終わるわ」

『だよね? 流さなかった分だけ、私、偉いと自分でも思うの』

男「はあ……」

『それで、結局、男君は何がしたかったの? その『能力』とかの話を私が信じれば良かったの? 大変だったんだー、みたいに』

男「ああ、えっと……」



1、美少女に信じてもらうまで頑張る
2、諦めよう。信じてくれそうにない
3、なあ、スケベしようや、ぐへへへ
4、その他

安価↓1

男「気持ちは良くわかるんだけど……」

『けど?』

男「それでも信じてくれないか、マジなんだ」

『……はぁ』

男「本当に。俺はクワガタを召喚出来るし、女さんは好感度で攻撃力が変わったりするし」

『ごめんね、もうそろそろ眠くなってきたから切るね』

男「ちょっ! いや、待ってくれ! 本当なんだって!」

『うん。わかった、信じる。だから切るね』

男「絶対信じてないだろ、それ!」

『信じてるって。クワガタを捕まえる事が出来るんでしょ? すごいよね、便利だね。じゃあ、お休み』

男「だから、違うって! 待ってくれ、美少女!」

『ねえ、男君?』

男「な、何!?」

『私さ、男君がいない間、本当に胸が張り裂けそうなぐらい心配だったんだよ? 正直、夜寝る時とか泣いちゃったんだよ?』

『男君が殺されたかもとか、そんな噂が学校で流れててさ……。私がどれだけ心配したか、わかる?』

男「…………」

『なのに、男君は警察に捕まっていたとか、能力だとかクワガタだとか、そんな話ばっかりで……。私、腹が立つよりも呆れちゃったよ……』

男「ご、ごめん! だけど!」

『とにかく男君が無事で良かった……。それだけは本当に良かったと思う。安心して眠れる。だから、今日はもう休ませて』

男「でも、美少女! 話はまだ!」

『明日聞く。怒ってる訳じゃないけど、でも、今日はもう男君と話したくない。本当に怒りたくなるかもしれないから』

男「……美少女。そりゃ警察に捕まっていたとかは俺が悪かったけど……だけど」

『ごめんね。話はまた明日聞くから。今度こそ本当にお休み。じゃあね』

男「ちょっと待っ」


ガチャッ

ツー、ツー、ツー……


男「……駄目か」ハァ……

男「取り付く島もないって感じだな……。今日はもう無理か……」

男「そりゃまあ、俺だっていきなりこんな話されたら信じないだろうけどな……」

男「」ハァ……


男「クワガタからの新しい報告もないし……」

男「俺も今日はもう寝ようかな……。明日はまた病院行って精密検査の続きと……」

男「それと、美少女の誤解も何とか解かないとな……。学校は……明日は休むしかないな。検査があるし」


男「寝るか……」ハァ……

『隠し地下室』


「今、何時ぐらいだろうな……」

「…………」


「何でここ、時計もねーんだよ……ったく」ハァ

「…………」プルプル


「にしても、今日は来そうにないな。演劇部部長。あれからずいぶん経ってるし」

「…………」プルプル


「風紀委員、ひょっとしてもう寝たのか? 風紀委員?」

「お……起きてる……」プルプル


「だったら返事ぐらいしてくれよ。……ん? どった?」

「ト……トイレに行きたいの……」プルプル


「……あー」

「でも、トイレに行く為には、能力解除しないと……」プルプル


「……漏らすよりはいいと思うけどな」

「…………ぅぅっ」プルプル

『十分後』


風紀委員「」カツンカツン……

ギィッ、バタンッ……


「お帰り」


風紀委員「放っといてよ、もう! 声とかかけなくていい!」


「……サーセン」


風紀委員「はぁ……。結局、解除するしかなかったのね……」

「でも、透明にはなれるんだろ?」

風紀委員「まあね。でも、今はしない。能力使うのって何だかんだで疲れるし。体に負担をかけるって言うより、疲労が回復しない感じ」

「それはわかる。俺も今は危険回避を解いてるし。危険探知は自動だから問題ねーしな」

風紀委員「それと、さっき時計を見たら、深夜の二時を回ってた。だから、もう演劇部部長は来ないと思う」

「もうそんな時間か……。道理で眠い訳だ……」

風紀委員「少し寝たら? 念のために交代で寝た方がいいし。私がどうしても眠くなったら起こすから」

「そう言って、まさか、私の寝込みを襲う気? キャーキャー//」

風紀委員「ぶん殴られたいの?」

「っても、ここで一緒に寝るのは不安なんじゃないか、風紀委員?」

風紀委員「確かにね……。若い男女が二人で狭い室内に寝泊まりするというのは健全ではないわ」

「俺も一応は男だしな」キリッ

風紀委員「ケダモノ」

「もうちょい言葉選んでくれね……? 地味にダメージあんだけど……」

風紀委員「とにかく、今は寝てて。私も眠たいから」

「ん。りょーかい」ゴロンッ


風紀委員「悪いけど、ご飯食べるわよ。お腹空いてるの」ゴソゴソ

「どーぞ」

風紀委員「お箸、お箸」パキッ

「唐揚げ弁当かー……うまそーな匂いが」

風紀委員「黙って寝てて」パクッ、モグモグ

「へーい……」

『翌朝 午前5時』


「」スースー、スースー


風紀委員「」コクッ……コクッ……

風紀委員「」カクンッ

風紀委員「」ハッ!!

風紀委員「……寝落ち……しかけてたわ……」


風紀委員「危ない……ところ……だった……」

風紀委員「」コクッ……コクッ……

風紀委員「」カクンッ

風紀委員「」ハッ!!


風紀委員「……まずいわね。もう……そろそろ限界かも……」

風紀委員「友君を起こして……。私が代わりに……」


風紀委員「」ノソノソ

風紀委員「友君、友君……」ユサユサ


「」スースー、スースー


風紀委員「起きて……。交代よ……」ユサユサ

「ん……」ムニャムニャ


風紀委員「交代……寝そうだから……」ユサユサ

「……わかった。う……」ゴシゴシ


風紀委員「もうここで寝るから……。変な事……しないでよ……」ゴロンッ

風紀委員「」スースー、スースー


「……? 風紀委員……?」


風紀委員「」スースー、スースー


「もう寝たのか……。はえーな……」

「にしても……」

「姉妹だけあって、本当に似てるんだよな……あいつと」


風紀委員「」スースー、スースー


「性格はかなり違うのにな……」


風紀委員「」スースー、スースー


「寝顔はそっくりか……」


風紀委員「」スースー、スースー



「…………」



1、少しこのまま眺めていよう
2、感傷に浸るのは後にしよう
3、なあ、スケベしようや、ぐへへへ
4、その他


安価↓1

風紀委員「」スースー、スースー


「……海行った時の事、思い出すな」


風紀委員「」スースー、スースー


「帰りの電車の中で寝てたもんな、あいつ……。後で子供かよってからかったら、やけにムキになって否定して……」


『私の方がお姉さんなの! 子供は友君でしょ!』


「無理してお姉さんっぽく振る舞おうとしてたよな……。実際、お姉さんっぽいところも多かったけど……」


『やだ! 私が先に見るの! だって先がいいんだもん!』


「子供っぽいところもずいぶんあったよな……」


風紀委員「」スースー、スースー


「」ハクシュンッ

「今日は少し寒いな……。このままだと風邪引くかも。何かかける物でも……」スクッ


風紀委員「ん……」コロン……


「あ……」

(スカートがずれて……太ももが……)


1、紳士的にずれを直す
2、見るだけならセーフだよな……?
3、なあ、スケベしようや、ぐへへへ
4、その他

安価↓1

「このままだとな……。目のやり場に困るし……」

「」ソッ


ファサ……


風紀委員「」スースー、スースー


「うん、オッケー。さてと……何かかける物でも探してくるか……」クルッ、トコトコ


風紀委員「」スースー、スースー


「色々、問題もあるけど……。最終的には風紀委員には幸せになって欲しいな……」

『同時刻 アパートの空き部屋』


コンコン

『開けなさい』


生徒会長「…………」スクッ

生徒会長「…………」トコトコ、ガチャッ


演劇部部長「大人しくお座りしてたのね、いい子よ」

生徒会長「…………」ボーッ


演劇部部長「はい、これ、睡眠薬。飲みなさい」

生徒会長「…………」パクッ、ゴクンッ……


演劇部部長「学校が終わったらまた来るわ」

生徒会長「待ッテ……ル……」コクッ


演劇部部長「喋れるようにもなったのね。でも、まだ滑舌が良くないから、家に連絡するのはもう少し後ね」

生徒会長「エエ……待ツ……ワ……」


演劇部部長「それまでいい子でお留守番してるのよ、ふふふ」

生徒会長「ワカッ……タワ……。ソウス……ル……」


演劇部部長「それじゃあね」

バタンッ


生徒会長「…………」ガチャガチャ

生徒会長「…………」クルッ、トコトコ……

生徒会長「…………」ストッ


生徒会長「…………」ボーッ……

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