【艦これ】清霜は戦艦になった (29)


私は清霜。

とうとう私は戦艦になった。

-----------------------------------------------

【注意】
※グロシーン有り
※話が意味不明

-----------------------------------------------

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431828645


ある日、私は戦場で大腿部に被弾した。

大腿部に装備した魚雷が誘爆し、

両足を吹き飛ばした。

腰から下がグチャグチャだった。



誰が見ても、もう助からない状態だった。

-----------------------------------------------


そんな死にぞこないの私をかかえて、

武蔵さんは全速力で撤退していた。



清霜 「私を捨てて……」

清霜 「先に行って…… 下さい……」

清霜 「もう、助からない……」



武蔵 「喋るな」

武蔵 「任せろ」 ニコッ



武蔵さんは短く言った。



清霜 (大好きな武蔵さんに抱かれて死ぬなら……)

清霜 (悪くないかも……)

-----------------------------------------------


ドンッ



物凄い衝撃のあと、

武蔵さんは動きを止めた。



ゆっくりと速度が落ちて、

やがて止まった。

そして、

まるで赤子を抱くように私をかかえたまま、

ゆっくりと膝を付いた。

-----------------------------------------------


清霜 「武蔵さん!!!」



あの武蔵さんが膝を付くなんて、

私は想像できなかった。



清霜 「あ…… あ……」



武蔵さんが少し笑ったように見えた。

そして、

武蔵さんの鼻と口から、

滝のように血が流れ出した。



武蔵さんの後頭部に、

敵戦艦の主砲が直撃した。



砲弾は頭部装甲を貫通し、

ミキサーの様に

頭部の機関を破壊した。



清霜 「あ…… あ……」 ポロポロ

-----------------------------------------------


武蔵さんが、つぶやいた。



武蔵 「今度は……」

武蔵 「一緒に帰ろう……」

-----------------------------------------------


気付くと私は光あふれる部屋にいた。



清霜 (私…… 轟沈したのかな……)

清霜 (でも…… ここ……)

清霜 (見覚えがある……)



武蔵さんが向かいにいた。

少し戸惑っているようだった。



武蔵さんは私に気付くと

近づいてきた。

そして、私を抱きしめた。



清霜 (あ、思い出した……)

清霜 (近代化改修だ……)

-----------------------------------------------


気付くと私は海に戻っていた。

違和感があった。



水面を見ると、

武蔵さんの顔があった。



私は武蔵さんになっていた。

-----------------------------------------------


その後、私は援軍と合流し、

鎮守府に帰った。

-----------------------------------------------


瀕死の艦娘二人が一体になる現象は、

全く前例が無いそうで、

私は精密検査を受けた。

しかし、詳しい理由は分からなかった。

-----------------------------------------------

工廠技官 「近代化改修と似た現象が起きて」

工廠技官 「武蔵さんの船体と」

工廠技官 「清霜さんの頭部機関が統合された……」

工廠技官 「と、推測しますが」

工廠技官 「それ以上は分かりません」

-----------------------------------------------

人類にとって艦娘はブラックボックスに近く

分かっていることは、ほとんど無いそうだ。

-----------------------------------------------


私は戦艦になった。

でも、全然、嬉しくなかった。

武蔵さんと引き換えだったからだ。



私は会わなくてはいけない人がいた。

大和さんだ。



私は意を決して、

大和さんに会いに行った。

-----------------------------------------------


清霜 「大和さん」

清霜 「大和さんの大切な妹さんの……」

清霜 「武蔵さんの代わりに……」

清霜 「私が……」

清霜 「武蔵さんのお体を借りて……」

清霜 「生きて…… 帰ってきて……」

清霜 「すみません…… ずびばぜんでした……」 ポロポロ

清霜 「ずびばぜん…… ずびばぜん……」 ポロポロ



大和さんは私を抱きしめた。



大和 「あなたが」

大和 「生きて帰れて良かった……」

大和 「悲しくないと言ったら嘘になるわ」

大和 「でも」

大和 「武蔵も私も」

大和 「戦場で轟沈する覚悟は」

大和 「していたから……」

-----------------------------------------------


清霜 「私は」

清霜 「戦艦に憧れていました」

清霜 「凄い馬力」

清霜 「大きい船体」

清霜 「大口径の大砲」

清霜 「でも」

清霜 「本当は違いました……」

清霜 「戦艦の体になったら気付きました……」



清霜 「武蔵さんは」

清霜 「捨てて当然の」

清霜 「死にぞこないの駆逐艦を」

清霜 「自分の危険を顧みず」

清霜 「助けようとしてくれました……」



清霜 「本当に憧れていたのは……」

清霜 「武蔵さんの」

清霜 「大きい心だったんです……」 ポロポロ

清霜 「ウワーーーーーン」



私は号泣した。

-----------------------------------------------


大和 「あの子は……」

大和 「武蔵は、少し変わっていたというか……」

大和 「大雑把というか……」

大和 「ウフフ」

大和 「細かいことには、こだわらない子だった」



大和 「多分、自分の心が轟沈したことは」

大和 「気にしてないわ」

大和 「清霜ちゃんが助かったら」

大和 「それで良いって」

大和 「思ってる」



清霜 「うう……」

清霜 「武蔵さん……」

清霜 「やっぱり心が大きいです……」

清霜 「……」

清霜 「大き過ぎますーーーーー!!!」 ビエーーーーーン



大和 (慰めるつもりだったけど……)

大和 (逆効果だったかしら……)

-----------------------------------------------


大和 「そういえば……」

大和 「武蔵は、時々……」

大和 「清霜ちゃんのことを話していた」

大和 「前世でお世話になったって」

大和 「今度は私が守るって」

大和 「そして」

大和 「一緒に帰るって」



大和 「武蔵は」

大和 「清霜ちゃんの心を助けられて」

大和 「体だけでも一緒に帰れて」

大和 「とても喜んでいると思うわ」



清霜 「うう……」

清霜 「武蔵さん……」

清霜 「……」

清霜 「武蔵さんは」

清霜 「あの時」

清霜 「『今度は一緒に帰ろう』って」

清霜 「言ってくれました……」

清霜 「こんな私に……」

清霜 「……」

清霜 「やっぱり武蔵さんが生きて帰るべきでしたーーーーー!!!」 ビエーーーーーン

清霜 「私なんか、私なんかがーーーーー!!!」 ビエーーーーーン



大和 (慰めるつもりだったけど……)

大和 (どんどん泥沼にハマッているかしら……)

-----------------------------------------------


大和 「ウフフ」

大和 「武蔵は、時々……」

大和 「私と二人きりの時に」

大和 「私に甘えていたわ」

大和 「私が膝枕して……」

大和 「ナデナデして……」



大和 「清霜ちゃん!」

大和 「来て!」

大和 「膝枕!」

大和 「慰めてあげる」



大和さんは私に膝枕をしてくれた。



清霜 「あ……」

清霜 「とても懐かしい気分です」

清霜 「前にも膝枕をしてもらった感じがします……」



大和 「武蔵の心が」

大和 「まだ、その体に」

大和 「残っているのかもね」



清霜 「武蔵さんの……」

清霜 「心が……」

清霜 「まだこの体に……」

清霜 「……」

清霜 「武蔵さーーーーーん!!!」 ビエーーーーーン



大和 (慰めるつもりだったけど……)

大和 (いくら注水しても傾斜復元できない感じかしら……)

-----------------------------------------------


ヤレヤレという顔で、大和さんは言った。



大和 「清霜ちゃん……」

大和 「今晩」

大和 「ずーーーっと、お姉さん、付き合ってあげる」

大和 「思いっきり泣いていいのよ」



清霜 「武蔵さーーーーーん!!!」 ビエーーーーーン



私は一晩中泣いた。

-----------------------------------------------


私は戦艦になった。

でも体だけだ。



武蔵さんのような大きい心には、

まだなっていない。



清霜 (私の体の中の)

清霜 (武蔵さん、お元気ですか?)

清霜 (武蔵さんみたいな、大きい心になれるよう)

清霜 (私、頑張ります!)



いつの日にか、心も戦艦になるよう

私は頑張る。



- 完 -


これで終りです。

妄想が降りてきてしまい、

思わずスレ立てしてしまいました……。

スレ汚し、失礼いたしました。

皆様、乙、レス、サンクスです。

html化申請しました。

なお、この作品は、かの有名な「ウルトラマン」にインスパイアされました。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom