提督「なに?LIARだと?」 (48)

他スレの影響を受けた。短い予定

榛名「高速戦艦榛名、着任しました!」

提督「おお!戦艦だ!ここ初めての戦艦だ!やっぱ色々とすげーな!」

曙「このクソ提督!近よりすぎよ!」ゲシッ

提督「蹴らなくてもいいだろ!嫉妬かい?嫉妬なのか?」

曙「ああ!その顔ムカつくー!」

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提督「ああ、ごめんってば!つい初めての戦艦だから舞い上がっただけだから!」

曙「はあ!?そうやっていつも艦娘がやってくるたびに、ネチネチ粘っこい視線を這わすのは誰よ!」

提督「それに関して今は置いておいてくれ」

曙「置くわけないでしょ!この変態!」

提督「考えてもみろ。今まで曙とそれなりに長くやってきたが、戦艦は初めてだ。これから、この鎮守府は大きくなっていく偉大な一歩を踏み出したわけだ」

曙「それならクソ提督が成長の一歩を踏み出しなさいよ!未だに初歩的なミスも多いし戦術ミスも多い!フォローする身を考えなさい!」

提督「人間はね。人に頼っていかないといけない弱い種なんだ。人には才能のあるなしがあってだな」

曙「うるさいわよ!その言葉は努力したあとに言うものよ!」ゲシッ

提督「痛い、痛い!そして大声をあげないで!着任したての榛名の前だぞ!?提督の威厳が!」

曙「そんなゴミクズ同然の張子の虎、すぐに見破られるわよ!どうせ幻滅されるなら、早い方が傷は浅いわよ!」

提督「曙の親切が心に痛いよ。涙が出てきたよ」

曙「きったないわね!ほら、このハンカチを使いなさい」

榛名「ふふ、提督達は本当に仲がよろしいのですね」

曙「はあ!?これが仲良く見えるんなら、眼科、いや、視覚じゃなくて、コモンセンス、そう常識に問題があるわよ!病院に行ってきたら?常識を治してくれる親切なところがあるならね」

提督「いやー、榛名はよく見てるな!実は曙とは将来を約束したなっっかあ!?」

曙「そんな約束した覚えはないわよ!」

榛名「いわゆるこれがアットホームな職場というものですね?榛名、感激です!」

提督「その銘は正しいな。見てくれよ、このバイオレンスな状況」

曙「あんたの自業自得でしょ!」

榛名「本日はこの榛名が提督の秘書を務めさせていただきます!」

提督「まだ着任間もないのに、すまないな。よろしく頼む」

榛名「はい!榛名、頑張ります!」

提督「いやあ、それにしても巫女服がよく似合っているな」

榛名「え?あ、はい!ありがとうございます!お姉さま方と同じデザインで気に入ってます!」

提督「へー、そうなのか。ちょっと巫女服ってどんなのか触ってみていいか?」

榛名「はい!どうぞ!」

バアーン

曙「ちょっと待ったあああ!」

提督「げえ!?曙!?なんで!?曙!?今日は非番のはず!?」

曙「無能提督と新米天然艦娘に任せていたら執務が進まないのは分かりきったことよ!」

榛名「し、新米………」ションボリ

曙「そこ!しょぼくれない!あんたは少しここに慣れてから秘書をするべきだっただけよ。これからここを支えてもらうつもりよ」

提督「ねえ、ねえ、曙―?俺には?俺には何かフォローは?」

曙「あんたは上から見ても下から見ても無能でしょ!フォローされたいなら、少しは仕事をこなしてちょうだい!」

提督「へへ………今日の曙はなんだか冷たいや」

曙「当たり前。仕事中にセクハラしている人に暖かい態度を取れるわけないでしょ?」

榛名「じゃあ、本日は曙さんに引き継ぐという形ですか?」

曙「そうなるわね。悪いけど、そこのいてもらえる?」

榛名「あ、はい………すみません。では、榛名は退室いたします」トボトボ

提督「あーあ。曙が榛名を落ち込ませちゃったー」

曙「そもそも無理をさせたのはあんたでしょうが。……それに初めてで張り切り過ぎているところもあるし、休ませるのも大切よ」

提督「あう、書類めんどくさーい」

曙「愚痴っても何にもならないわ。強いて言うなら、書類が積み重なって、私の不満が溜まっていくわね」

提督「あれだけ怒鳴り散らしてまだ怒れるのか?戦慄した」

曙「私自身も驚いているわよ。炎を燃やし続ける永久機関でも実装されているのかしら?」

提督「なに、そのノーベル級なのに誰も幸せにならない装置?怖い」

曙「良かったわね。提督。技術革新がそのまま人間の幸福に繋がらないっていう大事なことを学べて。でも、そんなことを学ぶぐらいなら、書類の書き方をまず学んでね」

ダッダッダッダッダ

曙、提督「?」

バアーン!

金剛「ヘーイ!テートクー!金剛が着任しました、ネー!!」

曙「はあ!?なんで戦艦!?ちょっと、クソ提督!いつこんな建造したのよ!?私聞いていないんだけど!?」

提督「ええと?したっけなー?」

曙「本当になんで覚えていないのよ!あんたってノロマだとは思っていたけど記憶力もスッカスカなのね!」グワングワン

曙「資材は大丈夫なの!?」ブンブン

提督「そ、そんなに揺らされると答えるものもこたえられん………」

金剛「オー?提督も曙も楽しそうですネー!私も混ぜてくださいネ!」ダッキ

曙「ちょっと!何で抱きついてくるのよ!遊んでいるわけじゃないのよ!」

金剛「二人共暖いデース!ギュー、デース!」

曙「もう、なんなのよー!」ジタバタ

提督「これはいいものだ」

提督「今度こそ榛名に今日の秘書艦を任せよう」

榛名「はい!榛名に任せてください!まずは、工廠やドックの状況確認に向かいましょう」

提督「あい」

トコトコ

提督「見回りって提督の仕事なのかなー?」

榛名「でも、曙さんの手記にはそうありますから」

チョンチョン

榛名「?はい、何ですか?」

響「今、時間大丈夫かな?」

提督「響?………それに電に雷も。あと後ろでなんで暁は縮こまっているんだ?」

<なんでもないわよー!

榛名「あの、提督………?」

提督「ああ、話を聞いてやろう。艦娘の話を聞くのも提督の仕事のうちに入るだろうから、曙も怒らないだろ」

榛名「はい。………それで、響さんたちは榛名にご用事なのですか?」

響「いや、失礼は承知だが、榛名さん本人に用事ってわけじゃないんだ」

榛名「?では、誰に用事なのですか?」

雷「金剛さんよ」

榛名「金剛お姉さまにですか?」

電「はいなのです!暁お姉ちゃんが本場のティータイムを知りたいって言い出して」

榛名「それなら、金剛お姉さまに直接頼みに行った方が………」

響「金剛さんってイギリスからきたのだったよね?」

榛名「はい。それだから、ティータイムをお願いしたいのですよね?」

電「そうなのです!でも、電達は英語が話せないのです」

雷「そう。響はロシア語なら少しは話せるんだけどね。というか、暁―!言いだしっぺのあんたが話をつけなさいよー!いつまで隠れているつもり!」

<うー……… ゴソゴソ

暁「お、お願いするわ!私達のレディー道のために!」

電「別に電はレディーに興味はないのです」

榛名「皆さん、そんなに身構えないでください。金剛お姉さまは日本語も話せます。でも、分かりました。榛名からお姉さまにお伝えしておきます!きっと心良いお返事をくれます」

暁「ほ、本当!?」

榛名「ええ。お姉さまも逆にお誘いしたいぐらいではないでしょうか」



暁「じゃあねー!榛名さーん!約束忘れないでねー!」ブンブン タッタッタ

榛名「はい!お任せ下さい!」

提督「あいつら、金剛が英語しか話せないと思ってこっちに来たんだろうけど、ティータイムの時はどうする気だったんだ?」

榛名「ふう」

提督「どうした?」

榛名「いえ、なんだか萎縮させてしまっていたように思いまして」

提督「気にするな。ここの主要な艦娘は駆逐と軽巡だから、戦艦のお姉さま方が珍しいんだろうよ」

榛名「でも、榛名は」

提督「すぐに榛名も溶け込めるさ。駆逐艦は順応がはやいから」

<艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー✩みんなよろしくねー!

榛名「あの中庭で何か騒ぎがあるのですが?」

提督「ああ、あれは川内型の那珂ちゃんだ」

榛名「那珂ちゃん?」

提督「ああ、那珂ちゃんだ。アイドルを自称しており、時折中庭でコンサートを開いているんだ。横でわたわたしてるのはその姉の神通だ。更に川内型には長女がいるのだが、主な活動時刻は夜だからあそこにはいない。そして夜騒いでいる奴の横でワタワタしている奴がいたら、そいつも神通だ」

榛名「なんだか神通さんが大変そうですね」

提督「実際、すごく大変。昼も夜も姉妹の馬鹿に付き合わされて、更に駆逐艦の訓練を嚮導してたりするしな」

別日

曙「それで?榛名はよく果たせた?」

提督「ああ。根っからが真面目だから、すぐに仕事を覚えて、俺の分がなくなっちゃうぐらいっだった」

曙「あんたとは大違いね。でも、そうね、秘書艦があんたみたいなクソ提督を甘やかすのはいけないわね。手記に付け加える項目ができたわ」

提督「曙ちゃん、ひどいや」

曙「当然のことよ。それよりなんで私は引き止められているの?お昼食べに行きたいんだけど?」

提督「あ、ああ。カレーを作ってくれるらしい」

曙「はあ?榛名が?」

提督「違う」

曙「じゃあ、誰よ?」

比叡「提督、おまたせしましたー」

提督「比叡だ」

曙「」

比叡「どうぞお召し上がりください!比叡カレーです!」

提督「どうした?」

曙「どうしたもこうしたもあるかー!また、あんたはいつ建造したのよ!?」

提督「知らね。今朝起きたらできてた」

曙「そんなわけ………って、これは何よ?」

比叡「比叡カレーです!」

曙「いや、カレーが何で紫色なのよ!?」

提督「比叡カレー、それは一度口に含めばもはや口は言葉を忘れ、阿鼻叫喚の叫びを発するだけとなる。食した提督は、口を揃えてこの世の不条理さと地獄を見たと言う一品だ」

曙「はあ!?あんたはそれを知っていて私を誘ったの!?馬鹿じゃないの!?」

提督「一人ぼっちの死は寂しいもんな。曙となら死んでも構わない覚悟だ」

曙「私が構うのよ!あんた一人で逝けばいいじゃない!」

提督「そう言うな。出された料理は食べないと失礼だろ?ほら、見ろ、比叡の満面の笑みを。曙はあれを壊すのか?」

曙「本当に最低ね!………もう!食べるわよ!食べればいいんでしょ!」

提督「そうとも!曙!地獄でまた会おう!」

曙「死ね!あんただけ地獄に落ちろ!このクソ提督!」

提督「………」

曙「………」

提督「………なんていうか」

曙「可でも不可でもなく、ただまずいだけね」

比叡「え!?」

曙「なんていうの色合いは異常なんだけど、規則通りというかレシピ通りというか、いやレシピを守れば普通に食べれるものができるんだけど、なんていうの、その個性のないまずさ?みたいな感じ。レシピ通りにまずいみたいな」

提督「なんだよー!普通に食えるじゃねえか!噂の真相は死ぬ死ぬ詐欺だったわけか!」

比叡「………えーっと、もっとうめくような料理を頑張ります!」

曙「そんなもの頑張らなくていいわ」

曙「ひどい目にあったわ」

提督「まあ死ななかっただけ良しとしようじゃないか」

曙「元凶が何を。ってあら。暁達だわ」


暁「―――――それでね、やっぱりそのおかげでレディー度が増したと思うの!」

響「姉さん。食べるだけではレディーにはなれない」

雷「そうよ。やっぱり作れないとね!」

電「レディーというよりお母さんみたいなのです」

暁「もー!なんなのよー!あんたち水差してばっかりじゃない!」

提督「よう。お前らこんなとこで何を話し込んでいるんだ?」

暁「あ、………あら、提督、ごきげんよう」

響「………姉さん」

雷「この前榛名さんに頼んだ件のことよ!」

電「昨日金剛さんにティータイムに誘われたことなのです」

曙「ああ、そんなこと言ってたわね」

響「それで姉さんは影響を受けて、今日はずっとこんな感じなんだ」

暁「え、影響なんか受けてない!って………ごほん。影響なんか受けていませんわ。この暁は今も昔も理想のレディーですわ!」

提督「おい。これ金剛の影響じゃないだろ?どっかの重巡さんのだろ?」

電「暁お姉ちゃんが金剛さんにレディーの嗜みとは?ってしつこく聞いていたのです」

雷「それで、少し迷った金剛さんがあの口調を教えたのよ」

提督「金剛も随分と茶目っ気を出したもんだな」

暁「とぉぉ↑おう↓」ダッダッダ

雷「あ!待ちなさい!どこに行く気よー!」ダッダッダ

響「………やれやれ」

電「なのです」

曙「………あれを淑女の態度と疑問もなく受け入れる暁も茶目っ気十分だわ」

那珂「ちょっとお姉ちゃーん!私のマイクどこに隠したのー?」

神通「知りませんよ。そもそも、あれはマイクではなく探照灯です」

那珂「絶対知ってるよー!だって、お姉ちゃんぐらいしか隠す人いないもん!」

神通「隠してやりたいどころか、へし折ってやろうかと思った時もありましたが、本当に知りません」

那珂「えー!?」

神通「それにモノに当たるのはよくありませんし、本当に止めたいときは那珂ちゃんを気絶させればいいだけですものね?」

那珂「そっちの方が怖い!?出来ればマイクに当たって欲しいかなーなんて………えへへ」

提督「お前らは何を揉めているんだ?」

那珂「あ、提督?ちょっと聞いてよー!お姉ちゃんがマイクを隠しちゃったの!」

神通「だから、隠していないと何度も」

那珂「でもお姉ちゃんぐらいしか思い当たらないよー!」

神通「そもそも、なんで隠されたことが前提なのですか。那珂ちゃんがうっかり落とした場合もあります」

曙「そもそもそれって必要なものなの?」

那珂「必要だよ!アイドル那珂ちゃんのコンサートを楽しみにしている人が大勢いるんだから!」

曙「そんなに盛況だったかしら?あのコンサート」

那珂「うっ………盛況だよ!未来には武道館が二、三個埋まっちゃうぐらい盛況!………になる予定だよ」

曙「今は閑古鳥が鳴いているってことね。じゃあ、そんなに急務でもないし、新しい物が支給されるまで待っておけばいいじゃない。騒ぎ立てることでもないわ」

那珂「か、閑古鳥………」

神通「待ってください。その言葉は看過できません。那珂ちゃんは将来立派なアイドルになれますし、閑古鳥が鳴いて寂しい舞台に立っているわけでもありません」

曙「………あんたは一体どういう立場なのよ」

提督「まあまあ、曙の言葉は少しキツいからな。神通の姉妹愛に抵触したんだろうよ」

曙「………わかったわよ。閑古鳥ではなく、馬鹿なシスコンが最低一人いる舞台ね。訂正したわよ」

提督「………お前。まあ、マイクはこちらでも探しておくし、最悪は次の支給になるが、それでもすぐだ。そこまで喧嘩するものでもないだろう」

那珂「………うー分かりました。お姉ちゃん、疑ってばかりでごめんなさい」

神通「ううん。いいのよ。那珂ちゃん。それは、それだけあなたが歌に情熱を傾けている証拠だものね」

那珂「ううう、お姉ちゃーん!」ダキッ

神通「那珂ちゃん!」ギュー

曙「なんなのよ。あんたたち」

曙「あー。なんだかこの鎮守府って馬鹿しかいないの?歩くだけで疲れるんだけど?」

提督「良かったな。ダイエットいらずだ」

ガチャッ

霧島「マイク音量大丈夫…?チェック、1、2……。よし。はじめまして、私、霧島です」

提督「」

曙「」

曙「さて、どういうことか説明してもらいましょうか?提督?」

提督「待て待て。本当に覚えがないんだ!そうだ。妖精さんの仕業に違いない。普段の行いの良い、俺へのご褒美にっていたあ!」

曙「このクソ提督!今、資材管理の書類を整理しているのは秘書艦である私なの!それなのに私に黙って勝手に資材を消費するってどういうこと!?自分でそれぐらい完璧にこなせるようになってからにして!」ゲシッ

提督「ひえー!覚えていないんですー!俺のゴーストが勝手にやったんだー!」

霧島「曙さん、それぐらいに。提督も悪気があったわけでは」

曙「ええそうね!悪いことをしている自覚がないんですものね!………というか、あんたしれっとしているけど、そのマイク那珂のよね?」

霧島「はい。マイクチェックをしようかと」

曙「さっさと返してきなさいよ!」

提督「そういえば、金剛型の四隻が揃ったから第四艦隊が解放されるな。やったな曙!」

曙「うやむやにしてごまかそうとしても無駄よ!」

霧島「では、私はマイクを返してきますね」

ガチャっ

曙「本当になんでマイクなのよ」

提督「彼女にとって大事なものなんだろ」

曙「それならマイマイクぐらい持っておきなさいよ………」

ガチャッ

曙「あら、もう返してきたのって、榛名じゃない。どうしたの?」

榛名「はい。提督にお渡ししたいものが」

提督「なんだ?」

榛名「これです」

提督「うん?第四艦隊の所持許可証?」

曙「それって、四人で一度艦隊を組む必要があったんじゃ」

榛名「どうせ貰うものですから、先に貰ってきました。ダメだったでしょうか?」

提督「いや!全然ダメじゃない!むしろ助かったよ!」

曙「いよいよ提督の必要性がなくなってきたわね………」

提督「ひどいや」

榛名「では、榛名はこれで」

曙「ここにいたら?霧島がそのうち帰ってくるわよ?」

榛名「いえ。大丈夫です」

曙「?何が?」

提督「ダメだなー!曙は分かっていない!それだから曙なんだな」

曙「なにそのムカつく口調は?蹴られたいの?」

提督「俺たちがいる前じゃ遠慮して積もる話も積もらんだろ?こういうのは姉妹水入らずってやつさ」

曙「あんたに言われると釈然としないわね。………まあわかったわ。引き止めて悪かったわね」

榛名「はい。失礼します」

ガチャッバタン

曙「それにしてもなんだか榛名やつれてなかった?」

提督「そうか?いつも通り可愛かったぞ?」

曙「あんたに聞いた私がバカだったわ」

ガチャッ

霧島「す、すみません。お待たせしました。はあっはあっ」

曙「なんで息切れしてるのよ?そこまで全速力で返しに行ったわけ?」

霧島「では、早速何か仕事を」

曙「今日はもう出撃任務はないわ。あるのは書類仕事だけ。そもそもこのクソ提督のせいでまともに出撃できていなのが悪いのよ」

提督「てへぺろ」

霧島「では、その書類仕事を」

曙「あー。ここはこんな提督だから書類も少し特殊になっていて、着任したての娘には難しいものよ。だから、今日は部屋に戻って榛名とでもおしゃべりしときなさい」

霧島「いえ艦隊の頭脳であるこの霧島にできないものはありません。やらせてください」

曙「だから、頭の良さとかよりも、慣れのほうが重要だから、今日はもういいってば」

霧島「いえ、霧島は大丈夫です!」

曙「………はあ、わかったわよ。じゃあこれね」

提督「………」

曙「………」

提督「なあ、なんでメガネ外すんだ?」

霧島「こうすることによって霧島に秘められた力が湧いてくるのです」

提督「え?メガネって封印だったの?漫画やアニメみたいな設定だなー」

霧島「どうですか?」

曙「………すごいわね。本当に全部終わらしちゃった」

提督「おや?これは曙ちゃんの存在意義に関わりますなー?んん?何か言いたいのかなー?曙ちゃーん」

曙「………あんたよりは遥かにマシよ」

提督「?どうした?いつもならすぐに殴りかかってきてたのに。案外本当に落ち込んでいる?」

曙「いえ、そうじゃないわ」

提督「じゃあ、なんだ?」

曙「霧島に少し疲労が溜まっているように見えるのよ」

提督「そりゃそうだろ。俺らの仕事を全部終わらせたんだからな。俺がやってたなら既に白い灰にでもなってただろうよ」

曙「そうね」

数週間後

曙「あー!もう!クソ提督!いい加減に書類整理ぐらい自分でやってよ!というか、戦艦四隻もいてなんでまだ近海さえ奪還が完了してないのよ!?」

提督「そんなこと言われてもなー。何で奪還できていないんだろうね?」

曙「知らないわよ!そんなんだから、最近鎮守府の活気がないのよ!?」

提督「ああ?活気?騒がしい戦艦四隻も増えたんだから活気づいてるに決まっているだろー?」

曙「そんなんじゃないのよ。何か静かすぎる気が」

提督「そりゃあ、うちみたいな弱小鎮守府は艦娘が100や200いるところより活気は薄いだろうよ」

曙「うーん。なんて言うの他の鎮守府と比べてというよりも、この鎮守府に比べてこの鎮守府の活気が何か少ない気がするのよ」

提督「曙は一体何を言っているんだ」

曙「しかるべき活気がないっていうか。そんな感じよ」

提督「そういや、金剛からも最近抱きつかれることが減った気がするなー」

曙「それは愛想が尽かされたんじゃない?」

提督「ひどい」

曙「それはさておき、金剛自体を最近見なくなってる気がするわ。部屋にずっといるらしいし。何か病気なのかしら?見舞いに行ってあげたら?どうせ暇でしょ?」

提督「後日行く。仕事があるしな」

曙「珍しいこともあったわね」

提督「仕事がてら聞いときたいことがある」

曙「なに?」

提督「女性の部屋に行く時って何か礼儀とかあるかな?」

曙「………しね」

川内「あれ?那珂見ないうちに胸が大きくなった?」

那珂「えー!?やだ那珂ちゃんアイドルのみならず、グラマラスボディにもなっちゃうのー!?」

神通「確かに胸のサイズが少し大きくなったように見えます」

那珂「えー!?これでみんな今よりずっと那珂ちゃんに魅了されちゃうね!キャハ✩」


提督「………」

曙「何真剣な顔して壁に耳をつけているのよ」

響「全く姉さんは一体どこに行ったんだ」

雷「本当にレディーの武者修行って何よ!」

電「淑女武士なのです!」

ドタドタ


提督「うん!うちの鎮守府はいつも通りだ!だから、俺もいつも通りにサボってもいいよね!」

曙「いいわけないでしょ!」

後日

提督「さあって、じゃあ行ってくるわ」

曙「どこに行く気よ!?」

提督「曙が前に勧めてくれたことだろー?ついてくるか?」

曙「………いえ、いいわ。面倒そうだし」

提督「仲間の見舞いを面倒とか、ひどいなー」

曙「仲間?見舞い?」

提督「そうだぞー。金剛を最近見ないから見舞いに行ってこいって言ったのはお前だろ?まあ、じゃあ俺一人で行ってくるわ。何も変なことはしないから安心しとけよー」

曙「え?ちょっ、………行っちゃった」

提督「さてと、おーい金剛いるかー!?」コンコン

シーン

提督「いないのかー!?」

シーン

提督「鍵は………って開いてる。無用心だな」

提督「おい!金剛入るぞ?」

ガチャッ

提督「なんだか薄暗いな。電気っと」カチ

提督「なんかひどく殺風景な部屋だな。金剛だからもっとお洒落なイメージがあったのだが」

提督「部屋には誰もいない。困ったな。流石にとんぼ返りするのも曙になんて言われるかわからんし」

提督「?机の上に一冊だけあるノート。これみよがしに置いてあんな。見てくれってことか?」

提督「いやいや、『日記』ってあるし流石に見るのはダメだろ!」



提督「………」

提督「ちょっと」

提督「ちょっとだけなら良いよね………?」

提督「ええい!俺は日記を見るぞ!誰もいないのが悪いんだからな!」

日記

『本日[榛名]が着任しました。皆さん優しい方で良かったです。この方たちと過ごせる時間を思うと胸が高鳴ります。優しい仲間の内で役割を持てることは幸福です』

提督「って榛名の日記なんかーい!………榛名なら見ても怒られなさそう。………続き読も」


『初めての秘書艦。残念ながら経験不足で何のお役にも立てませんでした。提督は[榛名]に期待を寄せてくださったのに。情けない気持ちで一杯です』


『駆逐艦の曙さんから新米とお叱りを受けました。そうです。まだ[榛名]は芽も出ていないダメな[榛名]なのです。何か提督達を喜ばせる方法を探す必要があります』

提督「榛名も、あれで存外におちこんでいたんだなー」ポリポリ

『[金剛]が着任しました。明るく何事にも有能なお姉さまならば、[榛名]より提督達を喜ばせることができるはずです。提督達は暖かくいい匂いがしました。しかし[金剛]には幾つかの不安が残りました』


『再び[榛名]に秘書艦という機会がやってきました。曙さんには信用されていないらしく、手順書のようなものを渡されました』


『秘書艦の時に響さん雷さん電さん暁さん達に[金剛]への言伝を頼まれました。[金剛]は彼女達とお茶会をしなければなりません。忘れないように』


『後日に開いたお茶会では、彼女達を満足させられたように思います。ただ英国の貴族作法に関して質問を受けると十分に答えることができませんでした。己の浅学非才さを呪います』


『中庭で那珂さん達がコンサートを開いていました。姉の暖かい声援とスポットライトに照らされる様は彼女の唯一無二性を示しているようでした。羨ましいです』

『[比叡]が着任しました。彼女の致命的カレーを振る舞えば、私をしっかりと見てくれると思い、カレーを作りました。残念ながら失敗しました。お姉さまの作成手順を完璧に模倣したつもりでしたが、やはりお姉さまには適わないようです』


『[比叡]では十分に期待に添えないことが判明しました。急遽マイクを用意して[霧島]を着任させます。しかし、そのせいで提督は曙さんからお叱りを受けてしまいました。配慮が足りませんでした』


『第四艦隊の許可証を用意する必要がありました。しかし、正規的な入手は困難です。そこで[任務委員]が報告書を作成し本部に提出。無事許可証を入手しました』


『[霧島]が書類仕事を完了させました。しかし、提督達の反応はいまいちです。そうです。曙さんが普段やっていることです。できて当然のことなのです』

『問題が発生しました。[那珂]や[暁]の着任のおかげで、人の役に立っている実感が湧き、満足感が得られました。しかし、不完全な私には体力の上限があったのです。[金剛]が身動きできなくなりました』


『更に問題は曙さんが勘付いてきていることです。[曙]の着任はまだ無能な私には、いわんや限界の私には厳しい重荷です。しかし、仕方ありません。それに[曙]の着任は私には喜ばしいことです。最も役割のある人です。喜びも人一倍なのですから』

提督「………なんだ?これは日記なのか………?」

「フフフ、提督はイケナイ人です。女の子の日記を勝手に見てしまうのですから」

提督「うわ!なんだ急に!?」

「だーれだ?」

提督「榛名!?榛名なのか!?悪ふざけはやめろ!」

「………残念、不正解です」

提督「ば、ばかやめろ!」

「では、さようなら。そして、こんにちは」



『鎮守府に[提督]が着任しました』


おわり

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