一夏「なんだったんだよ。今日は」


一夏「みんな自己紹介で一発ギャグやら変な小噺披露してるし」


一夏「普通にしゃべっちゃ駄目なのか？」


一夏「ふぅ・・・まぁいいや、とりあえず割り当てられた部屋に行こう」


ｶﾞﾁｬ


箒「・・・」


一夏「あれ？へ、部屋を間違えたのか？」


箒「・・・お前もここの部屋だ」


一夏「ってことは箒と同室か？」


一夏「・・・てか体育座りで何してるんだ？」


箒「お前は今日のことを見てただろう」


一夏「あ、あー」


一夏（そういや箒は周りに煽られて強制的に一発ギャグをやっていたな）


一夏（・・・見事にすべってたけど）


箒「わたしは今日から”う○こまん”だ。よろしくな」


一夏（ていうかこの歳でう○こで笑うやついねぇだろ）

一夏「ま、まぁそのなんだ・・・気にするなよ？」


箒「あんな空気を経験しておいてそれを気にせず過ごしていく精神力をわたしはまだ持っていない」


箒「・・・もうあそこには行きたくない」


一夏「だ、大丈夫だって！みんな優しい人ばかりじゃないか・・・多分」


ｺﾝｺﾝ


山田「失礼しまーす」ｶﾞﾁｬ


一夏「あ、先生」


山田「知ってると思いますけど織斑くんはうん・・・篠ノ之さんと同室ですから」


山田「それを伝えにきました」


一夏「そうですか」


山田「一応、うん・・・篠ノ之さんには先に言ってましたんで」


山田「部屋を入ったらバスタオル一枚なんてラッキースケベが起きなくて残念でしたね」


一夏「え・・・はぁ」


山田「それじゃあわたしは失礼しますね」


山田「おやすみなさい。織斑くんとうん・・・国際空港を利用しそうな篠ノ之さん」


一夏「お、おやすみなさい」


箒「・・・」


ﾊﾞﾀﾝ



ｳﾝｺﾏｰﾝ！


一夏（外から変な声が、うん・・・気のせいだろう）

箒「・・・もう寝る」


一夏「そ、そうか！おやすみ！」



その夜、一夏は隣から漏れ聞こえてくる嗚咽の声に耳を塞ぐも

幼馴染である箒を偲んで一人心の中で手を合わせた。合唱。



～


一夏（昨日寝れなかったせいですげー眠い）


一夏「ふぁぁぁっ～～～」


「なんや？織斑くん寝不足か？」


一夏「ああ、昨日寝れなくて」


「初日から寝れへんとか小５の夏やな」


一夏「なにそれ？」


「林間学校」


一夏（うん、なに言ってるかわけわかんねぇ）


一夏「そうですね！（適当）」


「夏の正午にかけて突っ込んでくれてもよかったんやけどな」


一夏（やべぇ、もうしゃべりたくなくなってきた）

牛の糞にも段々があるんで！


一夏「えっ？なに？」


「あっ、チャイムや」


一夏「コレが！？」


牛の糞にも段々があるんで！


「はよ席につかんと怒られるで」


一夏（とりあえず考えるのはやめよう）



〜



山田「HRをはじめます」


一夏（箒は休みか）


山田「織斑くん、同室の方はお休みですか？」


一夏「え？ええ、ぼくも今気づいたんですが」


山田「そういえばクラス対抗戦が今度あるんですよ」


山田「で、その代表者を決めようと話をするつもりだったんですが」


山田「うんこまんが休みならまた後日にしましょうかね〜」


一夏（この人今普通にう○こまんって言った！？）

「そうやな〜うんこまんが代表なったらおもろいしな〜」



「せっかくのうんこまんなんだから使わないとね」


「まぁ賛成やな」


一夏（箒ぇ…）


「お待ちください！」


山田「はい？」


セシリア「なぜクラス代表を決める大事な日に休んだ方など考慮しなければならないのですか！」


「あの金髪日本語話しとるわ」


「外人のくせに、喋れるんかいな」


「ちゅーか関西弁しゃべれやボケ」


セシリア「うっ」


セシリア（昨日からそうですが、なんなのですかこのクラスは！？わたくしに対する奇異の目や時折見せる露骨な不快感！）


山田「オシリアホルコットさんでしたね？」


セシリア「セシリアオルコットですわ！」


セシリア（日本は差別の少ない国と聞いてましたが！このような仕打ちを受けるなんて！）


セシリア「これだから民度の低い島国は嫌なのですわ！人の名前も覚えられない猿以下の者たちと同じ空気を吸わなければならないなんて！」


セシリア「我がイギリス国家に顔向けできない人生の恥ですわ！」


「あっ？オドレ今なんつった？」


セシリア「オ、オドレ？」


「オンドリャイギリスメシマズ王国の、何様か知らんけど大阪舐めとったら脳みそカチ割るぞゴルァッ！」


セシリア「な、なんなのですかっ？脳みそは割れませんわっ！」


「やかましいわアホンダラボケカスゥッ！調子こいとったらいてまうぞクソッタレ！」

セシリア「な、なんですか！ちゃんと日本語を話して 「喋っとるわアホンダラッ！[ﾋﾟｰｰｰ]ゾッ！」


セシリア「ひっ」


山田「皆さんとりあえず落ち着きましょう。セイイエス？」


「せやかて工藤」


山田「皆さんの気持ちはよくわかります。が、オシリアさんもまだ日本に来て日が浅いのです。多少は大目にみてもいいんじゃないでしょうか？」


セシリア「せ、セシリア」


「あっ？」


セシリア「ふぐっ」


「せやかて先生、明らかにこいつはうちらを馬鹿にしてかかったんやで？それを堪忍できるほど大阪のプライドは安ないで？」


山田「それもわかってます」


「ならどないするや？」


山田「さすればやることは一つでしょう」


「一つ？」

山田「決闘です！」


「け、決闘やて！？」

セシリア「決闘？望む所ですわ！代表者候補生とあなな達土人との違いを教えて差し上げますわ！」


「たしかに、相手は代表者候補生や」


「普通にやっても勝ち目はない」


セシリア「ふふん。土人といえど、相手の力量を測れるくらいの頭はお持ちのようですわね」


「……」


セシリア「でしたらハンデなどつけて差し上げましょうか？」


「ハンデ？」


「こっちから言ってもいいんか？」


セシリア「ええ、もちろん。まぁどんなハンデだろうとわたくしが負けることなどありえませんが」


「そらそうやな。なんせあんさんは代表者候補生やさかいに」


「やっぱ代表者候補生は違うわな」、


「さすが代表者候補生やな！」


セシリア「ふ、ふふん！もっと言ってもよろしくてよ？」


「ほな決まりやな！じゃあハンデとしてうちら全員とあんさん一人で戦って貰おか！」


セシリア「……はい？」


「せやなハンデくれるちゅうやからそんくらい貰わんとな！」


「貰えるもんは貰とかな！おおきに！」


セシリア「ちょっ！い、いくらハンデと言っても普通決闘と言えば一対一じゃありませんの！？」


「なんや？代表者候補生さんが自分で言ったことねじ曲げるんか？」


「まぁ所詮代表者候補生って言ってもイギリスさんはたかが知れてるわな」


「しょーもなっ！なんやあほらしいわ！ハンデくれるちゅうやから貰ったったのに！」


セシリア「な、なんですのその言い草は
」

「まぁあんたの勝ちちゃう？代表者候補生なんやから？」


「ハンデあげられへんなら最初から言うなやボケが！」


「この話は終わりやな。ほなみんな飯行こか！」


山田「今はHR中です」


セシリア「わ、わかりましたわ！そこまでいうならそのハンデくれて差し上げますわ！」


「なんやて！聞いたかみんな！」


「聞いたで！ほんまやろな！？もう撤回でけんで！？」


セシリア「わたくしに、二言はありませんわ！」


「よっしゃ！きたでみんな！」


「あいつ、アホや！こんな勝負受けるとか頭湧いとるでしかし！」


「よぉ値切れたな！安い勝負やでこれは！」


セシリア（今は好き勝手言っておけばいいですわ！どうせまだISも碌に動かしたことない素人集団）


セシリア（どれだけ集まってかかろうが烏合の衆に変わりはありませんわ！わたくしのブルーティアーズの前では！）



山田「話が纏まった所でHR終わりますね。精々頑張って下さいチョロリアさん」


セシリア「セシリア！ですわ！」

一夏「なんだか大変なことになってるなぁ」


セシリア「ちょっとそこのあなた」


一夏「ぼへー」


セシリア「聞いてますの！そこのボケっとしたあなたです！」


一夏「えっ？俺？」


セシリア「そうです！あなたです！放課後お話がありますので屋上へ来るように！」


一夏「なんで？」


セシリア「言いましたからね！必ず来るように！」



一夏「ちょっ……なんだよ一体」


〜


一夏「」

〜


一夏「で？なんの用だよ」


セシリア「……あなたは変な日本語を喋りませんのね」


一夏「変？……ああ、関西弁のことか」


セシリア「それにあの土人共と違って少しはまともそうですし」


一夏「まぁ…ここは独特な雰囲気だけど」


一夏「別に俺がまともかどうかの指標にはならんと思うけど」


セシリア「そう客観的に物事を見れるだけでまともですわ」


一夏「てかそれをわざわざ言いに呼び出したのか？」


セシリア「いえ、あなたを呼んだのは……」


一夏「ん？」



セシリア「わたくしのパートナーになって欲しいからですわ」


一夏「パートナー？」

セシリア「そうです。パートナーですわ」


一夏「なんだよそれ？」


セシリア「別に特別なことではありませんわ」


セシリア「あなたはわたくしと普通にお話をして時折お食事を共にするような」


セシリア「至って健全な友人関係を築いて頂くだけですわ」


一夏「なんだよ。友達になれってんなら別にそんな回りくどいやりたかしなくても」


セシリア「ただし一つだけ約束があります」


セシリア「それは決してわたくしを裏切らないことです」


一夏「……」


セシリア「そ、それさえ誓ってくれさえすればあなたにとっても悪いお話ではないと思います」


セシリア「わたくしは代表者候補生ですからあなたより何倍もISのことについて知っています」


セシリア「で、ですからわたくしのパートナーであるあなたには普通に授業を受けるより効率的な学習ができるのですわ」


セシリア「如何でしょうか？」


一夏（…なんか面倒なメンヘラかなって、思ったけど）


一夏（この人、震えてる？）


セシリア「…………っ」


一夏（まぁあんなにクラス内で集中砲火を浴びりゃ誰だって何かに頼りたくなるわな）


一夏（しかし契約とは…）


一夏「………」


セシリア「な、なんとかおっしゃったらどうですか！？」