瑞鶴「ブラックコーヒー?」 (41)

翔鶴「お茶も良いけれどたまにはコーヒーも悪くないわ」

瑞鶴「翔鶴姉ももの好きだね、わざわざブラックなんて」

翔鶴「あら? 以外と美味しいものよ」

瑞鶴「へぇ。一口貰ってもいい?」

翔鶴「ええ。どうぞ」

瑞鶴「ありがと…………うぇ、苦」

翔鶴「ブラックですもの」

瑞鶴「私はカフェオレでいいや」

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翔鶴「まだまだ子供ね」

瑞鶴「むっ……なら翔鶴姉は大人って言いたいわけ」

翔鶴「少なくとも瑞鶴よりは、ね」

瑞鶴「ふうん。じゃあブラックが飲めるようになったら翔鶴姉に追い付けるんだ」

翔鶴「もう一口飲んでみる?」

瑞鶴「……また今度ね」

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瑞鶴(……ブラックコーヒーなんて飲める人、この鎮守府にいるかな? ま、手当たり次第聞いてみたらいいや)

瑞鶴「あっ、赤城さん」

赤城「どうかしましたか?」

瑞鶴「いえ、たまにはお茶ってよりコーヒーと洋菓子とか一緒にどうですか?」

赤城「是非!」

瑞鶴「では準備が出来次第顔を出します」

赤城「ええ。楽しみにしてるわ」

ーーーーーーー

瑞鶴「ケーキと……コーヒーは砂糖は入れますか?」

赤城「いえ、ブラックでお願いします」

瑞鶴「了解しました。しかし、ブラック飲めるなんて大人ですね」

赤城「あら、瑞鶴さんは砂糖派かしら?」

瑞鶴「恥ずかしながら」

赤城「一口飲んでみますか?」

瑞鶴「遠慮しておきます。この前、翔鶴姉に貰って痛い目に会ったんですよ」

赤城「ああ、そう言えば翔鶴さんが言ってましたね」

瑞鶴「言ってた?」

赤城「ええ。瑞鶴さんにブラックコーヒー飲ませたら可愛い反応したって」

瑞鶴「翔鶴姉……」

赤城「どうします? ブラックと取り替えましょうか?」

瑞鶴「勘弁してください。また笑われるじゃないですか」

赤城「あら、残念ね」

瑞鶴「けど、やっぱり赤城さんは大人ですね。ブラック飲めるんだし」

赤城「ええ」

瑞鶴「それでどうやったらブラックを飲めるようになりますか?」

赤城「……難しいですね。味覚の問題ですから」

瑞鶴「やっぱり私が子供だから」

赤城「そんな問題でもない気がしますよ? 暁ちゃんもブラックを飲んでるの見たことがありますし」

瑞鶴「あの子は一人前のレディーですから」

赤城「あら。そうでした。額に汗かいてたのは見なかったことにしてあげましょうかしら」

瑞鶴「閑話休題です」

赤城「飲み続けてみたらどうかしら? 以外といけるようになるかもしれないわ」

瑞鶴「そんなものですか」

赤城「確信はありませんが」

瑞鶴「じゃあ赤城さん、一口だけよろしいですあ?」

赤城「ええ。どうぞ」

瑞鶴「では失礼して…………やっぱにがぁ」

赤城「あらあら」

赤城(翔鶴さんの言う通り可愛い反応ね)

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瑞鶴(……やっぱり苦いだけじゃない)

瑞鶴「あれは、おーい愛宕さーん」

愛宕「あら、お姉さんに何か用?」

瑞鶴「いや、用ってわけではないんですけど。お茶でもどうかなって」

愛宕「ええ。行きましょうか」

瑞鶴(愛宕さんならきっとブラックなはず)

ーーーーーーー

瑞鶴「愛宕さんは砂糖は入れますか?」

愛宕「たまには砂糖いれてもいいわね。お願い」

瑞鶴「たまには? いつもはブラックで?」

愛宕「ええ」

瑞鶴「やっぱり大人ですね」

愛宕「あらあら、たかだか砂糖一つで大人なんて。でも、ありがとね」

瑞鶴「恥ずかしながら、私、駄目なんですよ」

愛宕「黒いのがかしら?」

瑞鶴「ええ。どうすれば飲めますか?」

愛宕「苦手なら無理して飲まなくてもいいんじゃないかしら?」

瑞鶴「いや、そうなんですけどね」

愛宕「ここではい終わりは卑怯ね。そうねぇ、じゃあお姉さんがヒントだけ教えてあげる」

瑞鶴「ヒントですか?」

愛宕「スイカに塩かけるじゃない?」

瑞鶴「あれ、美味しいですよね」

愛宕「はい、おしまい」

瑞鶴「え?」

愛宕「わたしからはこれだけよ。あら? クッキーがまだね」

瑞鶴「呼びますか?」

愛宕「そうね……ぱんぱかぱーん! 店員さーん!」

瑞鶴「ええええ! ちょっ愛宕さん!」

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瑞鶴(……恥ずかしかったなぁ)

瑞鶴「おっ、あれは……おーい」

榛名「はい。いかがいたしましたか?」

瑞鶴「いやいや、暇してないかなぁって」

榛名「暇ですか。時間は確かにありますが、私にご用でしょうか?」

瑞鶴「たまには私とティータイムでもどうかなって」

榛名「瑞鶴さんとですか。いいですね。喜んでお供いたします」

瑞鶴「やりぃ! じゃ、準備してくるから後でね!」

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瑞鶴「紅茶もいいけど、たまにはコーヒーとかどう?」

榛名「コーヒーですか? ブラックでお願いします」

瑞鶴「え? ブラック?」

榛名「ダメでしたか?」

瑞鶴「いや、意外だからさ」

榛名「瑞鶴さんは見た目通りですね」

瑞鶴「え? 私ってそんなに苦いの苦手に見えるかな?」

榛名「苦手って言うより、苦いより甘いが好きそうですね」

瑞鶴「なるほど。そう見えるんだ」

榛名「実は榛名もそうなんですけどね、けど洋菓子のお供は紅茶かブラックコーヒーじゃないとダメですね」

瑞鶴「そんなこだわりがあるんだ」

榛名「この苦さがお菓子の甘さを引き立てるって言うか……」

瑞鶴「あー、愛宕さんが言ってたのってそれだったんだ」

榛名「愛宕さん?」

瑞鶴「前にね。それより、一口だけ貰ってもいいかな?」

榛名「ええ。どうぞ」

瑞鶴「それでは……苦い。その後にケーキ…………」

榛名「いかがでしょうか?」

瑞鶴「甘い!」

榛名「ただ、ケーキの為だけに苦手なブラックを飲むのも如何なものかと思うんですけどね」

瑞鶴「そうだよね。コーヒーに対して失礼だよね。はぁ、何か克服する方法ないかなぁ」

榛名「瑞鶴さん、一つよろしいでしょうか?」

瑞鶴「一つと言わずにいくつでもいいよ」

榛名「何故、ブラックコーヒーを克服しようと?」

瑞鶴「翔鶴姉に子供扱いされたくないから」

榛名「え? それだけ?」

瑞鶴「それだけだけど?」

榛名「もう、カフェオレでいいんじゃないですか?」

ーーーーーーー

瑞鶴(榛名からは特に有益な話は聞けなかったな)

瑞鶴「仕方がない。気が乗らないけどあの人なら……」

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瑞鶴「加賀さんはブラックですよね?」

加賀「え?」

瑞鶴「いや、加賀ならブラックだと思ってたんですけど」

加賀「ちなみに貴女は?」

瑞鶴「いやぁ、恥ずかしながらカフェオレで」

加賀「恥ずかしがることはないわ」

瑞鶴「あっ、そうですか。それで加賀さんは?」

加賀「ブラックで」

瑞鶴「さすが先輩。ちなみに、ブラックに飲むコツなんてあるの?」

加賀「コツ……グッといくことよ」

瑞鶴「いや、ビールじゃないんだから」

加賀「う……」

瑞鶴「加賀さん、もしかして苦手だったり?」

加賀「そそそそんなことないわ」

瑞鶴「じゃ、お願いします」

加賀「ちょっと、心の準備が」

瑞鶴「え?」

加賀「……冗談よ。一航戦を舐めるんじゃないわ」

瑞鶴(絶対苦手だろうけど黙っておこう)

ーーーーーーー

瑞鶴(加賀さん、面白かったな)

夕立「瑞鶴さん、暇っぽい?」

瑞鶴「……夕立ちゃん。暇っぽい暇っぽい」

夕立「最近、色んな人とお茶してるって聞いたっぽい」

瑞鶴「え? まあね。夕立ちゃんもどう?」

夕立「いいの?」

瑞鶴「勿論。大歓迎よ。それじゃあ、準備が出来たら迎えに行くわ」

夕立「了解っぽい」

ーーーーーーー

瑞鶴「夕立ちゃんはコーヒー? それとも紅茶? お姉さんが奢ってあげるわ」

夕立「ありがとうございます。けど、悩むっぽい」

瑞鶴「好きなだけ悩んで。私はカフェラテにしよっと」

夕立「夕立は……ミルクティーにするっぽい」

瑞鶴「ん。了解。ちなみに夕立ちゃんはブラックコーヒーって飲める?」

夕立「ブラックコーヒー?」

瑞鶴「そうそう。どうかな?」

夕立「こう見えて飲めるっぽい」

瑞鶴「え? ほんとに?」

夕立「疑ってるっぽい?」

瑞鶴「いや、疑ってるわけじゃないけどさ、意外だなぁって」

夕立「よく言われるっぽい」

瑞鶴「夕立ちゃんは大人ね」

夕立「それは初めてっぽい。ちょっと嬉しいな」

瑞鶴「可愛いわね。翔鶴型の3番艦にならない?」

夕立「瑞鶴さんがお姉ちゃん? ブラックコーヒーが飲めるなら考えるっぽい」

瑞鶴「私が飲めないなんていつ言ったのよ?」

夕立「翔鶴さんから聞いたっぽい」

瑞鶴「翔鶴姉……」

夕立「瑞鶴さん、モンブランも頼んでもいいかしら?」

瑞鶴「ん? 私の分もお願いね」

夕立「ありがとう。このご恩は一生忘れないっぽい」

瑞鶴「大袈裟よ」

夕立「あっそうだ、瑞鶴さん」

瑞鶴「どうしたの?」

夕立「暁ちゃんにはブラック薦めないであげてほしいっぽい」

瑞鶴「勿論そのつもりよ。無理して飲んだってコーヒーに失礼だしね」

夕立「……瑞鶴さんちょっとお姉ちゃんっぽい」

瑞鶴「夕立ちゃんと比べればね」

夕立「むっ。それは聞き捨てならないっぽい」

瑞鶴「あはは。ごめんね」

夕立「クッキーも追加してくれたら許すっぽい」

瑞鶴「……以外と上手ね」

ーーーーーーー

瑞鶴「うーん、以外と皆飲めるんだなぁ」

金剛「what's?」

瑞鶴「いやさ、皆ブラックコーヒーいける口なんだなって」

金剛「Black coffeeデスカ?」

瑞鶴「そうそう。金剛さんなら聞かなくても飲めるって分かってるけど」

金剛「え? 飲めませんヨ」

瑞鶴「マジ?」

金剛「マジ。大マジデス」

瑞鶴「夕立ちゃんでも飲めるのに?」

金剛「夕立ちゃんも大人ネ」

瑞鶴「意外とね」

金剛「milk貰ってもいいデスカ?」

瑞鶴「ああ、どうぞ」

金剛「ありがとうございマース。それで、瑞鶴はBlackを飲みたいんデスネ」

瑞鶴「そんな感じかな。それよりさ、良かったの?」

金剛「何がデスカ?」

瑞鶴「ティータイムが紅茶じゃなくて」

金剛「たまにはcoffeeも悪くないネ」

瑞鶴「そっか。ならよかった」

金剛「紅茶が飲みたいなら来ませんヨ」

瑞鶴「そうだよね。そう言えば榛名ちゃんはブラック飲んでたよ」

金剛「oh……榛名も大人ネ」

瑞鶴「思ってる以上にね。金剛さん、砂糖は?」

金剛「NO。甘すぎマス」

瑞鶴「そうかな? 私は丁度いいけど」

金剛「瑞鶴もまだまだ子供ネ」

瑞鶴「だから脱子供の為に日々奮闘してるの」

金剛「なるほど。そうですネ、meも飲めませんし……」

瑞鶴「金剛さんも子供だね」

金剛「デスネー」

ーーーーーーー

瑞鶴「あれは……珍しい。おーい」

大井「おーいか大井どっちですか?」

瑞鶴「どっちでもいいよ。それよりさ、今から暇?」

大井「ええ。北上さんの入渠が終わるまでですけど」

瑞鶴「よし、じゃあ私と暇潰ししない?」

大井「まぁ、構いませんけど」

ーーーーーーー

瑞鶴「それで、大井っちはブラック?」

大井「大井です。コーヒーはブラックしか飲めません」

瑞鶴「マジ?」

大井「悪いですか?」

瑞鶴「悪くない悪くない」

大井「ちなみに瑞鶴さんは?」

瑞鶴「カフェオレで」

大井「乳臭いガキですこと」

瑞鶴「安い挑発ね」

大井「あら残念」

瑞鶴「逆に大井っちがブラックなのも意外だね」

大井「甘いコーヒーはコーヒーじゃありません」

瑞鶴「へぇ。そうなんだ」

大井「そんなのも分からないからガキで甲板胸なんですよ」

瑞鶴「なっ……」

大井「悔しかったらブラックの一つや二つ飲んでみなさい」

瑞鶴「いい度胸ね。それ、寄越しな、さ……」

大井「安い挑発に乗りましたね」

ーーーーーーー

瑞鶴(この間は酷い目に合ったな……)

鈴谷「あっ、瑞鶴さんじゃん。ちーっす」

瑞鶴「おー鈴谷。久しぶり」

鈴谷「艦隊が違うから中々会えないよねー」

瑞鶴「お互い多忙だしね。仕方ないって」

鈴谷「けど、瑞鶴さん、色んな人とお茶してるって聞いてるけど? その辺どうなのよ?」

瑞鶴「ん? そうなんだけどさ、鈴谷もどう?」

鈴谷「よっしゃ、行こう行こう」

ーーーーーーー

鈴谷「てゆうかさー、鈴谷ブラック飲めないんだけど」

瑞鶴「私もだけど?」

鈴谷「うん。知ってる。瑞鶴さんがブラックを克服する為に日々努力を重ねてるって」

瑞鶴「別に努力ってわけじゃないけど」

鈴谷「へぇー。よし! 飲めない仲間の鈴谷が一肌脱いであげよう!」

瑞鶴「超不安だわ」

鈴谷「聞き捨てならないなぁ。まず、苦手意識を何とかしないと」

瑞鶴「苦手意識?」

鈴谷「そ。苦いって先入観をまず払拭しよう。甘いって思えば案外甘くなるんじゃね?」

瑞鶴「おお。何かそれっぽい」

鈴谷「ま、鈴谷もそれで克服しようとしたけど失敗したんだけどね」

瑞鶴「アンタね……」

鈴谷「別にもう鈴谷はブラック飲めなくてもいいと思ってるし? ま、瑞鶴さんが頑張ってるのを端から見てるのは面白そうだけど」

瑞鶴「最初から手伝う気なんてなかったのね」

鈴谷「それは瑞鶴さんも分かってたことじゃん」

瑞鶴「そうだけどさ」

鈴谷「ま、今日は女の子らしく甘いのいっちゃいましょうよ」

瑞鶴「そうね。たまには甘いのものに溺れるのもいいかも」

鈴谷「たまには? ちなみに瑞鶴さん、どれくらいの頻度でここ来てるの?」

瑞鶴「2日に一回くらいかな」

鈴谷「太るよ?」

瑞鶴「私、太らない体質なの」

鈴谷「ウソ? マジ? 羨ましぃ……けど、納得したかも」

瑞鶴「……それ以上は言わないで」

鈴谷「うん。鈴谷もゴメンね?」

ーーーーーーー

瑞鶴「とまぁ、こんな感じで頑張ってみたんだけど、やっぱ駄目だったよ」

翔鶴「けど、お友達との交流は深くなったでしょ?」

瑞鶴「そうだけど」

翔鶴「なら、それでよかったじゃない」

瑞鶴「翔鶴姉……」

翔鶴「その交流を大事にしなさい」

瑞鶴「うん。分かってる」

翔鶴「……どう? 一口飲んでみる?」

瑞鶴「いただきます…………にがぁ……」

終わり

ありがとうございました
缶コーヒー以外ならブラックです

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