ラケル博士「始まった、どきどき」(ゴッドイーター2) (37)



前回
ラケル博士「オンッナノコハ コイッノキカイ……」(ゴッドイーター2)




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……
-研究室前


コンコン

ナナ「ラケル博士ーいますかー?」



ナナ「あの~……博士? お腹すいてない? みんなで一緒におでんパ」

ガンッ

ナナ「」ビクッ



『……ごめんなさい、ナナ。今は忙しいの……また後にしてくれるかしら……?』

ナナ「あ、う、うん。りょーかいです……」

『……』

ナナ「えっと……おでんパン、ここに置いときますね? お腹へったら、食べて下さい……それじゃっ!」

タッタッタッタッ……


『…………』



……
-フライア、エントランス


ジュリ「そうか……すまない。報告ご苦労だった、ナナ」

ナナ「うん。それで一応、ドアの前におでんパンは置いてきたんだけど……」

ロミオ「え、床に?」

ナナ「そんなわけないじゃん! カゴに、「元気出して」ってお手紙と一緒に入れたの!」

ロミオ「そ、そりゃそっか」

ナナ「もう、ロミオ先輩ってば」

ジュリ「……しかし、こう続くとなると問題だな」

ギル「全く、なのか?」

シエル「はい。ここ数日、ラケル博士は研究室の外に一歩も出ていません」

ナナ「すっかり引きこもっちゃって……」

ロミオ「閉じこもって、って言おうぜ」

シエル「いったい、どうすれば……」

ギル「……心配しすぎじゃないのか? レア博士や、上層部の連中は出入りしてるんだろ」

シエル「それは……そうだと思われますが」

ジュリ「……ナナ。博士の様子に、変わった点は」

ナナ「え? うーん……元気はないみたいだったけど…………あ、そうだ」

ジュリ「なんだ?」


ナナ「返事がなくって、わたしがしゃべり続けてたらね、ガンッ! って音がしたの」

シエル「音……ですか」

ジュリ「破壊音か」

ナナ「ううん。なにかをこう……手で叩いたような感じ……だと思う」

ロミオ「……怒ってる、のかな」

ジュリ「活性化状態か。可能性はあるな」

シエル「とすれば、収まるまで退避しておくのが一番でしょうか」

ジュリ「そうだな……」

ロミオ「いや、なんでアラガミ扱いなんだよ」

ギル「……孤児院……あー、マグノリア=コンパスでは、どうだったんだ。こういうことはあったのか」

シエル「いえ……」

ジュリ「むしろ、怒ったところなど見たことがない」

シエル「はい。先生は常に冷静な方ですから。……なにかあっても、優しくたしなめられて、みんな自然と、それに従っていましたし」

ギル「……」

ナナ「原因があるとすれば……やっぱり、あの日……だよね」

シエル「はい……引きこもり始めたタイミングと、完全に一致します」

ジュリ「しかしあの日、俺達が訪れた時には、機嫌は良さそうに思えたが……」

ギル「問題が起きたとしたら、その後か……」

「「…………」」

ナナ「……副隊長…………」


……
ラケル博士の研究室


ラケル「……ふふ、聞こえていますよ」

ラケル「随所に監視モニターがあることを、忘れているのかしら」

ラケル「…………」



ラケル「誰が引きこもりですか。誰が」

ラケル「仕事はちゃんとしています」


ラケル「……」

ラケル「……そう。あなた達の予想は、おおむね正しい」

ラケル「私は怒っています……あの日以来。…………原因は、そう」



ラケル「ブラッドの、副隊長……」



……数日前
-レア博士の部屋、浴室


ジャブジャブ
ワシャワシャ

レア「さ、流すわよ。目をつぶって?」

ラケル「はい……」ギュッ

ザバァー

レア「ほんと綺麗な髪よね。うらやましいわ」

ザバァー

ラケル「ふふ、ありがとう。お姉さま。……けど、……私はお姉さまがうらやましいわ」

レア「ら、ラケル」

ラケル「……さぁ、次は体。……今日は、いつもよりいっそう丁寧に……洗ってくださる?」

レア「え、えぇ……いいけど。どうしたの?」

ラケル「ふふ……ないしょ」

レア「ふぅん……泡立った。はい首からいくわよ」ワシャワシャ

ラケル「あと……お姉さまのネグリジェも貸してくださる?」

レア「えぇ、私の…………え?」

ラケル「そう……あのスケスケのやつがいいわ。あの赤くてとってもえっちなやつ」

レア「ら、ラケル、どうして」

ラケル「お姉さま。…………お姉さまは、私にぜんぶくれるのでしょう……?」

レア「け、けど、あれ……サイズが」

ラケル「は?」

レア「な、なんでもないわ」

レア(渡す前に急いでサイズ直さないと……)


ラケル「……胸がないことが、そんなにいけませんか?」

レア「!? い、いえ、私は身長のことを」

ラケル「えい」ムギュ

レア「あんっ……ってちょっとラケル!」

ラケル「えいえい」モミモミ

レア「んっやぁ……やめてっ」

ラケル「お姉さまは、私にぜんぶくれるって……」モミモミモミ

レア「む、胸は、無理っあんっ」

ラケル「あら、手が止まっていますよ……? お姉さま。さ、私の胸も洗ってください」

レア「そ、そうね……んっ」コシコシ

ラケル「……」モミモミ

レア「んっあっ……んん」コシコシ

ラケル「っ……」ギュウウ

レア「い゛っ!? いたい! やめてラケル!」

ラケル「お姉さまのものは私のもの。私のものは私のもの」ギュウウウ

レア「あぁああーっ! とれちゃうっ! とれちゃうからぁ!」

ラケル「とって私の胸にくっつけます」

レア「はぁ……はぁ……やりかねないから怖いわ」


ラケル(……お姉さまの胸は、私が揉んでいたから? けど私だって、自分で……)

ラケル「揉まれると大きくなるって、本当なのかしらね……? お姉さま?」

レア「……い、今からじゃもう、成長は」

ラケル「は?」

レア「ひぃっ! ごめんなさい! あぁごめんなさいラケル! 私のせいで! 私のおっぱいが大きいばかりに!」

ラケル「おいちょっとツラかせやお姉さま」ムギュ

レア「あぁあっ!」

ラケル「……新種のオラクル細胞に期待するしかないのかしら…………」

レア「そんなことに貴重な研究材料は使えないと思うわ」

ラケル「……」モミモミ

レア「あんっあぁそんなラケル! あぁっ」



……同日、夜
-極東支部、医務室


リッカ「ごめんね。こんな遅くまで手伝わせちゃって」

リッカ「うん。またリンクサポートデバイスの機能実験……え? こないだので終わったはずじゃ……って?」

リッカ「……技術は日進月歩。すぐに新しいものが出てくるから、どんどん実験していかないと」

リッカ「え? あはは、モルモットになんかしてないよ。大丈夫、キミの身体には、影響ない……はず、だから」

リッカ「冗談冗談! さ、またキミの身体を検査してデータをとるから、横になって。うん、前とおんなじ、寝てる間に終わるから。……もう遅いし、そのまま朝まで寝ちゃっても」

リッカ「……この後、用事がある? ……ふぅん、……分かった。終わったら、ちゃんと起こすよ」

リッカ「……」



リッカ「…………眠った……よね」

ギシッ

リッカ「よい……しょっと」ゴロン

リッカ「えへへ…………添い寝。……なんちゃって」

リッカ「……」

リッカ「……うーん。これじゃ、密着度が低くて……」

ギシッ ギシッ

リッカ「よっと……うん。上に乗っかって、こう……」ギュッ

リッカ「はぁ…………あったかい」

リッカ「…………ずるい、よね。こんなの」

リッカ「けど……」

リッカ「私、全然……女の子らしい可愛いかっことか、しないし……匂いも、オイル臭いでしょ」

リッカ「起きてるときに……こんなふうにする勇気なくて…………」

リッカ「ごめん……」

ピクッ

リッカ「!」ビクッ

リッカ「え……な、なに……なにか、あたっ」サワッ

リッカ「こ、これって、まさか……なんで……」

リッカ「…………バースト状態になってる」///


リッカ「ね、眠ってるのに……私が、乗っかったから?」

スリ……スリ……

ムクムクッ

リッカ「ぁ……また、リンクバーストレベルが、上がって……」スリスリ

リッカ「だ、だめ……こんなこと、しようと思ったんじゃないのに……私、なんで……すりつけたりなんか……」スリッスリ

リッカ「はぁっ……だめ、ぁ……こんな」///

コンコン

リッカ「…………あ、い、今、リンクサポートデバイスの試験運用と、使用後のけん」


ドッガァアン!

リッカ「ど、ドアが……!?」

キュラキュラキュラ……

ラケル「…………」

リッカ「ら……ラケル博士」


ラケル「あらあら…………そんなはしたない格好をして、いったいどことどこをリンクさせるつもりだったのかしら……?」

リッカ「あっ……ち、ちがっ……これは」///

ラケル「いいから早く下りなさい」

リッカ「は、はい……」ギシッ

ラケル「……いいですか? …………私の可愛いブラッドのメンバー……」

ラケル「増して、その子に何か妙なことをしたら…………」



ラケル「……分かっていますね?」ニコッ

リッカ「は、……はい」

ラケル「……では、私はこれで……」


ラケル「リンクサポートデバイスの完成……楽しみにしていますから……ね」

キュラキュラキュラキュラ……


リッカ「…………真面目にやろう……」カチカチ……ピッ、ピッ



……現在
-研究室前


ロミオ「シプレ、シルブプレ?」キャルン☆

ナナ「あはは! ロミオ先輩おもしろーい!」

シエル「興味深いです」

ロミオ「だろー!? 似てるだろ? PVいっぱい見て練習したからなぁ~」

ギル「……その暇があったら戦闘訓練をだな」

ナナ「まーまー、今はそういうこと言わないの」

ギル「……で、次は?」

ジュリ「……俺だ」

ナナ「よっ! 隊長! 待ってました~!」

ロミオ「ひゅーひゅー! 一発すごいのかましちゃってくれよ隊長!」

ジュリ「あぁ……俺の秘蔵の…………レベル3ブラッドアーツ級かくし芸をお見せしよう」

シエル「……」ゴクリ

ジュリ「いくぞ…………」




ジュリ「ゴリラの真似」ウッホウッホホ

ギル「」ブフォッ

ジュリ「頭のバナナをとろうとするゴリラの真似」ウホ? ウホウホホー??

ナナ「に、似てるぅー!! あはははは!!」

ロミオ「た、たいちょっお腹いたいお腹!! ははははは!」

ジュリ「ピクニックに赴くゴリラの真似」ウホー! ウホホホホーイ!

ナナ「も、もうやめてぇー! あははははは!」

シエル「きょ、きょうみ、ぶかっぶかか」

ギル「本当にやめてやれ。シエルが白目剥いてるぞ」

ジュリ「む……そうかウホッ」

ギル「やめろと言ってるんだ」ガシッ

ジュリ「……すまない。つい」


ロミオ「はー……笑ったー……こんなに笑ったの久々だなー」

ナナ「うんうん。もうお腹がねじ切れるかと思ったよー……でも」


ジュリ「…………先生からの反応は、なしか」

ロミオ「天岩戸作戦もだめかぁ……」

シエル「神話上も確か、ただドンチャン騒ぎをしてもダメだったのでは……」

ナナ「どんなお話だったけそれ……?」

ジュリ「とにかく、この作戦も失敗だ。総員、一時退却! 体勢を立て直すぞ!」

「「了解!」」

タッタッタッタ……

ギル「…………一応、あの人に相談してみるか……」



……
ラケル博士の研究室


ラケル「ぷっ……くくく、ゴリラ……ジュリウス・ヴィスゴリランティ……」

ラケル「……ふぅ、……あの顔は卑怯です」

ラケル「……しかし、そんなことでこの私は」


コンコン

『ラケル博士はいらっしゃいますか?』

ラケル「……どなたですか?」

『そうだな……俺はさしずめ、愛の狩人……約束の地を求め彷徨う、愛の求ど』

ラケル「極東支部の四番隊隊長、真壁ハルオミですか」

ハルオミ『おや、……俺の名前をご存じとは、光栄至極』


ラケル「何の用です」

ハルオミ『なぁに、フライアにはとびっきりの美人博士がいると聞いたもんでな。ちょいと顔を拝ませてもらおう……ってのと、……デートのお誘いでもできたら、と』

ラケル「…………生憎ですが」

ラケル「私には、あなたの求める……聖なる探索の答えは、何一つ持ち合わせていません……」

ラケル「世界の総てを包み込む陽光ような、母なる慈愛の双丘も……」

ラケル「大地から芽吹く生命の息吹のごとき、瑞々しい流線美も……」

ラケル「……ですから、あなたの言う美人博士とは、おそらく私の姉の」

ハルオミ『いいや、あんたであってる』

ラケル「……?」

ハルオミ『あなたを探してここまで来たんだ。俺は。……それに、レア博士にはもう会った。あれは確かに美しいが……ああいうタイプ、ちょいと苦手でな』

ラケル「……私は今、人と会う気はありません。お引き取りを」

ハルオミ『何か……怒ってるのかい? そう、まるで……誰かに嫉妬している乙女の口調だ。いじらしいねぇ』

ラケル「っ……あなたに何が分かると」

ハルオミ『おおっと図星か? まぁそうカッカしなさんな。怒った声色も人間味があって魅力的だが、きっと笑ったほうが可愛いぜ?』

ラケル「私は、軽薄な男性は大嫌いです」

ハルオミ『ははっこりゃ早々に嫌われちまったな』

ラケル「……」


ハルオミ『けど、これが俺の性分なんだ。愛を囁く唇は、止められない』

ラケル「愛などと……私には必要ないことです。……私には…………ブラッドの、私の愛しい子供達への想いだけで充分。だから私は、彼らに与え、そして、」

ハルオミ『なぁ、ラケル博士』

ラケル「……」

ハルオミ『俺はな……愛ってのは、与えることでも……奪うことでもないと思うぜ』

ラケル「…………では、なんだと」


ハルオミ『愛は………………許すことだ』

ラケル「…………ゆるす……?」

ハルオミ『俺に言えるのは、これだけだ。後は…………あんた次第』

ハルオミ『そうだろ、乙女な博士さん』

スタスタスタ……




ラケル「……許すことが、愛……?」

ラケル「世界の命を喰らい尽しても……世界の全てに命を与えても…………愛には辿り着かないというの……?」

??「……あんなくだらない男の戯言、聞く必要はないよ」

ラケル「許すことが、愛だなんてっ……」

??「そんなのウソ。世界の真理は、ただ滅びと再生のために……」

ラケル「私にっ…………浮気を許せと言うの!?」

??「…………は?」

ラケル「浮気は男の甲斐性だとでも? そんな旧時代的な……」

ラケル「私のところへ来ると言っておきながら、あんな小娘にいいようにされて……それを、許せと?」

??「いや、そんな話じゃ」

ラケル「私には、やっぱり許せないわ……」

ラケル「一度本人に……嫌というほど教えてあげなくては……」

ラケル「いったい、誰の所有物かということを……うふふふ……」

??「……」

ガチャッ バタン



……
-フライア、エントランス


キュラキュラキュラ……

ラケル「ご苦労様です。フラン・フランソワ・フランチェスカ・ド・ブルゴーニュ」

フラン「ラケル博士。お疲れ様です」

ラケル「……ブラッド隊の副隊長は?」

フラン「それでしたら、今ちょうど戦域に到着したところで。オペレートを開始します」

ラケル「そうですか、ミッションに出てしまって……」

キィイイン……

ラケル「! ……いけない。すぐに引き返させなさい」

フラン「え……?」


『こちらっ……ザザッッド! ロミオです! なんか見たことないアラガミがっうわぁあ!』

フラン「!? そ、そんな、反応はまだっ」

『ロミオ先輩! きゃあぁっ!』

『くそっ囲まれた! 副隊長! そっちは無事か!』

フラン「あっ……あぁっ! みなさん、落ち着いて! 一度陣形を立て直して」

『その暇はない。個別に未確認アラガミとの交戦に入る』

フラン「そんなっ……相手の弱点や攻撃方法も不明なのにっ」

『敵陣にある程度ダメージを与えて隙を見つけなければ、合流も撤退も不可能な状況です! フランさん、指示を』

フラン「あ……そ、そんな……」

ラケル(私の子供達が…………あの子が……)

(本当の、お母さんみたいに思ってるよ!)

(博士にあげようと思ってサインしてもらったんだ。だから……はい!)

(ブラッドは俺に、なくしてた……なくしたと思っていた、家族を……取り戻させてくれた。だから、)

(私達も……みんなで感謝を伝えようと……)

(ゴリラの真似)ウッホウッホホ

ラケル「みんな………………」



フラン「い、一旦、A地点、いえ、C地点まで後退、それから、」

『だからそこはアラガミがいるってばー!』

『どうすんだ! 各個撃破には限界があるぞ!』


フラン「っ……く…………」

カチャッ

フラン「えっ……あ!」

ラケル「ナナ、聞こえますか」ピピッ

『!? ラケル博士!?』

ラケル「ポイントFまで交戦中の相手を誘導。ギル、ロミオは前方に展開した敵を可能な限り引きつけなさい」

『っ……無茶言ってくれるぜ……了解!』
『よっしゃ! オレも頑張る!』

ラケル「シエルはF、D、H地点にトラップを設置。ジュリウス、後方のD、H地点付近の敵を蹴散らして、退路の確保を」

『了解です』
『了解しました』

ラケル「副隊長…………あなたは、状況を見て、各員の行動の邪魔になるアラガミを排除しなさい。……以上で、私からの交信を終わります。……フラン、後は任せましたよ」

フラン「あ、す、すみません……有難うございます。けど、博士、どちらへ」

ラケル「…………少し、外の空気を吸ってこようかと」

キュラキュラキュラキュラ……


前回のタイトルミスってたすまない

ラケル博士「オンッナッノコハ コイッノキカイ……」(ゴッドイーター2)

ナとノの間の小さいツが抜けていた。


……
-ブラッド隊、作戦行動領域


ギル「ちぃっ! これじゃキリがないな」

ロミオ「よ、弱気になったら負けだ! 博士が指示をくれたんだ! それ通りにいけばっ」

ギル「それ通りに……いけばな」



ナナ「わわわっ! 連れてきたよー!」

シエル「ナナさん! こっちです!」

ドゴォオオオオン!

ナナ「や、やった!?」

シエル「一時的に、動きを封じただけです。今のうちに!」




ジュリ「ぐっ……さすがに、きついか」

ジュリ「このままでは、みんなが個別の行動を完了させても、退路の確保が……!」

グォオオオオオ!

ジュリ「しまっ……危ない! 副隊長!!」



ズガァアアアアアアアアッ!!


ギル「っ! なんだ!?」

ロミオ「あれっ……!」

ナナ「神機兵?」

シエル「まだ試験中のはずでは……」


ジュリ「アラガミを……一撃で、だと……」

ジュリ「いったい、これは……」




『なにをぼーっとしているの? ジュリウス』

ジュリ「!!?? こ、この声は!?」

ラケル『さぁ、早く片付けて……みんなで帰りましょう?』

ジュリ「な、なんて無茶を……」

ラケル『やぁあ!!』

ザシュッ!
ドガガガガガガ!

ジュリ「これが神機兵……いや、ラケル博士の力、なのか……?」

ラケル『ふふ……この程度、まるでピクニックのようね』

ドガァーン! ドガァーン!!


ギル「これならっ……!」

ロミオ「いける! いけるぜ!」

ナナ「いよぉーし! どっかぁーん!!」

シエル「敵の包囲陣形が崩れました! 総員、」

ラケル『眼前のアラガミをブッ飛ばしたら、すぐにD地点へと集合。……すみやかに帰還しますよ……?』

「「はい!!」」





……後日
極東、仮設ステージ


ザワザワ……ガヤガヤ……


ギル「しかし……あの一件で有人式神機兵の有用性が認められ、一気に正式採用とはな」

ロミオ「パイロット志願の応募総数は、募集の20倍だって!」

ナナ「ロミオ先輩は応募したの?」

ロミオ「ばっオレは、ブラッド隊があるから」

ナナ「落ちたんだ」

ロミオ「違うって言ってるだろぉー!」


コウタ「だいたい、一次募集は現役ゴッドイーター以外から、だからね。俺も応募したかったけど、諦めたよ」

ロミオ「コウタさん! やっぱり来たんですね!」

コウタ「あたぼうよ! なにしろこの神機兵正式採用記念式典! フェンリル神機兵師団イメージガールとして選ばれた、あのシプレちゃんが来るって言うんだからな!」

ギル「しかし……そのシプレとかいうやつ、バーチャルアイドルなんだろ? モニターも投影機もないこんな場所で……」


『みなさーん! 神機兵、しるぶぷれー?』

ワァアアアアアアア!!

「「オゥ! メルシー!!」」


『今日はわたしのライブに来てくれてぇ、ほんとーに、ありがとー!!』

ワァアアアアアアア!!

ギル「お前のライブじゃないだろ……」

『でも……わたし自身は、みんなのいるそこに行けないの……だから』



キュラキュラキュラ……

ナナ「…………え?」

コウタ「あれって……」

ロミオ「シプレ!? でも、あの車イス……」

ギル「」


シプレ?「皆さん、改めまして……ごきげんよう」

シプレ?「私は、神機兵の開発者の一人にして……シプレの声を担当しております、……ラケル・クラウディウスと申します」

ワァアアアアアアアアアアアアア!!!

ラケル「本日はシプレに代わりまして、私が、彼女の歌を、精一杯歌わせて頂きます……みなさん、よろしいでしょうか……?」

「「オゥ! メルシー!!」」

ラケル「ふふ……有難うございます。それでは…………聞いて下さい」

ラケル「シプレ3rdシングル……『コイメカ』」


~♪ ~~♪


~♪ ~~♪

ラケル(……私は、私の中にあった大義を……捨てた)

ラケル(あの子や……ブラッド…………ゴッドイーター達を守るために、有人式の神機兵を普及させる道を選んでしまった)

ラケル(……もう、私の描いていた破滅と再生への道は閉ざされてしまった)

ラケル(今は…………あの声も聞こえない)

ラケル(だけど…………)


もちょっとだけ♪ あと、ちょこっとだけ♪

おーねーがーいこっち向いて☆

おーーーばーぁひぃと♪

目と目が合った瞬間! 起動した! 恋を知ーぃたっ


ラケル「はじめまぁった♪……どぉきどーきー☆」




ラケル(後姿、見送るだけじゃダメだ)

ラケル(キミが)



―――好き




END



次回予告(嘘)


「白銀の髪……赤い目、アンタ、まさかっ」

「わたくしは、月を見上げていただけです。あの、緑の月を」


「よぉしいいぞ! カピのすけ!」

「カルビです」

「うぎゃー! かむなぁ!」


「ユノ、これからはアイドル戦国時代よ。トップアイドルになるためには」

「あの……サツキ? 私一応、歌手……」


「お姉さま……私、負けないわ……どんな相手が来ても」

「だって……!」

「私はアイドル!!」



「いや、科学者だろ」



ラケル「次回、THE IDOL E@TER、目指せトップアイドル! 超神性アイドル、ラケル・クラウディウスと、飛び交う妖精のごときライバル達との激しいバトルを……どうぞみなさま…………」



ラケル「しるぶぷれ♪」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月10日 (水) 05:09:58   ID: WL0ujp9t

わりとすき

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