('A`)は直すようです (214)


九十九姫を主とした妖怪SS。過去作とのクロス要素、キャラ崩壊などなど注意


ちひろ「奇異怪々」
ちひろ「奇異怪々」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400499221/)

提督は('A`)のようです
提督は('A`)のようです - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418204217/)


主にこの辺りの続きのようなものとなっております

※妖怪、神話の設定に関しては私の趣味で色々とミキシング及び捏造しています
 当SSにおいては妖怪=九十九神=神様見習い、というまとめ方になります


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431260857


――まず最初に描いた点は、地球が生まれた日か、宇宙が生まれた日か

――そうですね、世界が生まれた日、にしましょうか

――そしてそこから伸びる線は、今までの世界の時間

――線の終点は、現在

――世界はそんな線が最初の点を中心に球状に

――重なり合わずに広がっているんです

――そして隣接した線どうし……つまり、最も近い平行世界どうしでは

――人の魂が行き来してるんです

――夢で見た事ありませんか?

――自分の性別が違う

――言語が違う

――風景が違う

――生き物が違う

――食べ物が違う

――それらは全て

――自分の魂の

――平行世界での記憶


――


フユノ「……」

('A`)「あ、どうでしたか先輩?」

フユノ「……違ったわ」

('A`)「……そっすか」

フユノ「……」

('A`)、「……」

('A`)「あー、じゃ、じゃあ帰りましょうか」

フユノ「……」コクン

('A`)「葛霧ー、帰るぞー」

葛霧「はーい!」

('A`)「こら、異世界の物は持って帰っちゃダメって言ったでしょ」メッ

葛霧「えー。だってコレ、この世界のモノじゃないよ?」

('A`)「……マジで?」


霧島フユノ
 世界の狭間に迷い込み、朽ち果てそうになっていた艦娘「霧島」
 異世界の調査を行う傍ら元居た世界を探しているが、その情報が極端に少ない為に難航中
 身体の半分以上がノヴァと秘石の力によって新造された他
 艤装は他の世界の技術を注ぎ込んだ新しい物になっている

葛霧
 ドクオがプレイしていたブラウザゲーム上に顕れた九十九神
 彼女が出していたサインに気付いた(厳密には違う)ドクオに取り憑き、自身の夢の中に引きずり込んだ張本人
 実体の無い霊体であったがノヴァによって身体を与えられた。外見はほぼ駆逐棲鬼
 子供っぽく甘えん坊だが神通力と直感、妖怪レーダーでドクオ達を助けている

('A`)
 CGプロダクション所属事務員。ドクオ
 離職後にたまたま再開したブラウザゲームで葛霧の出していたサインに返事をしてしまったのが運の尽き
 九十九神の存在を知り、半ば脅される形でNIROに就職した
 特に何の力も無い一般人であり、怪物退治の際には餌にされる苦労人。無職期間に貯めた無駄な知識が豊富


――CGプロダクション・事務所


フユノ「――報告は以上です」

モバP「ありがとう、お疲れ様でした」

ちひろ「うーん……今回も外れでしたか……」

フユノ「……」

ちひろ「あ、いや!絶対に見つかりますって!」

モバP「ちひろさん……」ハァ

ちひろ「ごめんなさい……」シュン

フユノ「いえ、気にしてませんから……大丈夫です」

モバP「……さて、次に調査してもらう世界はまだ決まってないんです」

モバP「ノヴァさんの方も色々忙しいらしくて……フユノさんには悪いですが……」

フユノ「何かあったのですか?」

モバP「いえ、彼女の生まれ故郷の方でアイドルをやってるそうですよ」


NIRO
 元々は妖怪退治を専門に行っていた機関。National Intelligence and Research Organization……国内情報調査機構
 数年前に秋葉原に潜伏していた陰妖子(カゲヤシ)と呼ばれる鬼の一族との総力戦でトップ同士が刺し違えとなり崩壊
 陰妖子の次期トップが人間との共存を強く望んで先導し、新生NIROとして再編成された
 現在では九十九神の保護、学習、社会復帰などの支援活動を行っている。警察との結び付きも強い
 別世界との交流を持ってからはコレを積極的に進めている

CGプロダクション
 新生NIROが持つアイドル事務所の一つ
 九十九神と人間が大体半々の割合で活動する大型事務所である
 なお、数名ではあるがガチの神様がいる
 
モバP
 CGプロダクション所属プロデューサー
 怪異を惹き付ける体質らしく、それもあってスカウトされたとか

千川ちひろ
 CGプロダクション所属事務員
 働き出してしばらくしてからアイドル達が九十九神である事を知り、記憶を消した上での退職を迫られたが辞退
 極度の怖がりなのもあって、アイドル達に遊ばれる事もしばしば


モバP「ところで、さっき話していた箱は?」

フユノ「これです」ゴトッ

モバP「桐の箱……メロン、じゃなさそうだね」

モバP「中は見ましたか?」

フユノ「いえ、封がしてありますし、それに……」

モバP「ん?」

フユノ「海の中で拾ったにしては綺麗過ぎるしロクなもんじゃないだろう、とドクオ君が」

モバP「ふむ……危機管理が成ってきたみたいで何より」

フユノ「そうですか?」

ちひろ「こ、怖いヤツじゃないですよね……?」

モバP「あー……」

フユノ「あー……」

ちひろ「やめて下さいよそういうの!」

モバP「冗談です。一先ずこの箱については都に中を見て貰って下さい」

モバP「どの世界から来たかは……その後でいいでしょう」

フユノ「了解しました」


――CGプロダクション・談話室


('A`)「お疲れ様です」

葛霧「おつかれー!」

フユノ「お疲れ様。ドクオ君、この箱を都さんに見せに行くわよ」

('A`)「ウス……あ、先輩」

フユノ「?」

('A`)「それ俺らでやっときますんで、休んでて下さい」

フユノ「あら、どうして?」

('A`)「顔色悪いっすよ」

フユノ「……大丈夫よ」

葛霧「フユノ。無理しちゃダメだよ?」

フユノ「……分かったわ」

フユノ「ありがとう。何かあったら呼んで頂戴」スタスタ

('A`)「ウス」

葛霧「……フユノ、大丈夫かなぁ?」

('A`)「……ゆっくり休んでくれたらいいんだけどね」


――CGプロダクション・情報管理室


葛霧「おじゃましまーす!」

マキノ「あら、帰ってたのね。お疲れ様」

都「お疲れ様です!おや、その箱は何ですか?」

('A`)「お疲れ様っす。安斎さんにこの箱見てもらいたいんすけど」

都「私に?」

('A`)「こないだ行ってた世界で葛霧が拾ってきたんすよ。違う世界のモンだそうっす」

葛霧「そうそう!中に何か居るっていう事は判るんだけど……」

都「そう言う事ならお任せ下さい!」

マキノ「私の出番じゃなさそうね。見学させてもらうわ」


都「じゃあ透視しちゃいますねー……」ジッ

('A`)(男の夢よなぁ)

留美「邪念のオーラが出てるわね」ヌッ

(;'A`)「わぁー!」

留美「油断し過ぎよ。精進なさい」

葛霧「なになに?」

('A`)「気にしないで葛霧……で、何でまたこんな所に?」

留美「さっき報告を聞いたわ。例の箱の事が気になってね」

('A`)「そっすか」

都「んー……何か、紙袋みたいなのが入ってますね」

('A`)「紙袋……?」


八神マキノ
 CGプロダクション所属アイドル。人間
 趣味の諜報活動中に偶然NIROの事を知ってしまった
 が、その腕を武器にNIROと交渉し、所属する事を許可させた強か系女子
 クラッカー扱いすると怒るし色々暴露する

安斎都
 CGプロダクション所属アイドル。百々目鬼、いわゆる百目の一族
 千里眼の持ち主である他、無機物有機物問わず『目』とする事が出来る札術を使える
 マキノと馬が合うらしく、よくコンビを組む

和久井留美
 CGプロダクション所属アイドル。ぬらりひょんの一族
 主に地域の九十九神達の相談役や、どれくらい徳を積んだかなどを管理する
 また、海坊主の正体でもあるので海で無敵


都「はい!箱には特に細工はしてありませんねー」

('A`)「海の中にあったのに?」

マキノ「そうなの?全然そんな風に見えないけど……」

葛霧「ねー。不思議だよねー」

留美「中に入ってるモノの力、かしら」

('A`)「……俺、コレ預かれって言われてるんすけど」

留美「頑張って。骨は拾うわ」

('A`)「……マジっすか……」


世界の狭間
 平行世界と平行世界を繋ぐ場所。ドアや門が無数に存在する
 魂が行き交う場所であり、その魂が残した小さな喜怒哀楽の感情が堆積する場所
 肉体を持ったまま迷い込んだ人や動物は数分で発狂し、負の感情に押しつぶされて怪物と成り果てるが
 特殊な力を持った者はその限りでは無い

平行世界
 いわゆるパラレルワールド
 一本の線を一つの世界として、ある点を中心に球状に広がる立体形状なので平行世界

ノヴァ
 ある世界がループし続ける中で生まれた綻び。自称超次元生命体
 ループから弾かれた事で世界の狭間に棲み付き、そこから色々な世界を食b渡り歩いた
 元居た世界を探し当て、そこでヒトを生み出した二つの秘石を味方につけてループを止める事に成功
 その後は世界の狭間の番人として活動していたが、最近その役割を四聖獣に押し付けた

SR-Cu-t7e
 色んな世界に潜入調査と称して介入しているノヴァの相棒
 元々は自律型機動兵器の付喪神であり、不要とされて解体された際に魂が世界の狭間に迷い込んだ
 ノヴァによって身体と安部菜々という名前を授かる。通称ナナさん


――


('A`)「――だそうっす」

モバP「ふむ……よし開けてみよう」

ちひろ「他所でやって下さいよ!」ガタッ

('A`)「ちひろ先輩どっから出したんですかそのヘルメット」

ちひろ「防災用です!」

モバP「開けただけで爆発したりはしませんって。多分」

ちひろ「でも中に封じられてる妖怪さんが怖いヤツだったら……」

('A`)「それなら葛霧が嫌がるでしょうし、大丈夫っすよ」

ちひろ「……どうぞご自由に……」ズーン

('A`)「どんまいっす」


モバP「さて中身は……」パカッ

モバP「……なんだこれ」

ちひろ「わ、ボロボロじゃないですか」

('A`)「……灯篭……っすかね?ここ蝋燭立てっぽいですし」

('A`)「葛霧、なんか判る?」

葛霧「んー……弱ってるけど、この中に何かいるー」

モバP「壊れて弱った付喪神、って所か。何か書いてあるけど……」

モバP「片方は読めないな。ドクオ君」

('A`)「ウス。えぇと……『国泰民安』……っと」カタカタ

('A`)「えーと、中国の四字熟語みたいっすね」

('A`)「で、中国の灯篭っと……」カチカチ

('A`)「あ、コレじゃないっすか?天灯ってヤツ」

モバP「……ふむ」


――CGプロダクション・女子寮中庭


瑞樹「あ、フユノ。おかえりなさい」

フユノ「お疲れ様です」

瑞樹「ダメねぇ。そうじゃないでしょ?」

フユノ「……た、ただいま」

瑞樹「うん、よろしい♪」ニコ

エリ「ししょー、持ってきましたよー」トテトテ

エリ「あら、フユノさん。おかえりなさいませ」

フユノ「おつ……た、ただいま……また洗濯ですか?」

瑞樹「ええ。こんなに良い天気だもの……フユノもどう?」

フユノ「いえ……すいませんが」

瑞樹「そう……しっかり休むのよ?」

フユノ「……ありがとうございます。では」


エリ「フユノさん、大丈夫かしら……」

瑞樹「だいぶ参ってるみたいね……よし、今夜呑みに誘ってみるとして……」

瑞樹「さぁー!やるわよー!」

エリ「あ、はいっ!」


川島瑞樹
 CGプロダクション所属アイドル。洗濯狐の一族
 天気が良い日は洗濯板と桶を用意して洗濯物を手洗いしている
 家事の手荒れに打ち勝ってこそ肌の手入れを極められる、との事
 肌と髪の手入れに余念のないエリを気に入っており、妹のように可愛がっている

如月エリ
 CGプロダクション所属アイドル。
 デッドプールが視聴していたアニメで特に理由も無く轟沈された所を義憤に駆られた彼に助けられた艦娘「如月」
 アイドルとしてスカウトする彼の誘いを一度は断り、こっそり仲間たちの居る鎮守府の様子を見に戻ったはいいが
 タイミング悪くどんちゃん騒ぎする金剛四姉妹を見てブチギレ。髪飾りを海に投げ捨ててやって来た

デッドプール
 第四の壁をガン無視してやりたい放題なアメコミヒーロー。妻帯者
 現在は平行世界を行ったり来たりの気ままな旅をしているとか
 最終的に中の人とデッドプールはシンクロします


――数刻後


アリス「付喪神は専門外なんじゃがなぁ……」ブツブツ

葛霧「直せないの?」

アリス「直せんとは言っとらん。が、直すのはドクオじゃ」

('A`)「俺っすか」

アリス「この中に魂がおる、という事じゃからの。もし解放されれば主従関係になるじゃろ?」

('A`)「はあ」

アリス「なるのじゃ。して、九十九神が他の九十九神と主従関係を結ぶ事は禁じられておる」

葛霧「なんでー?」

アリス「……そんな事が許されてみよ。力を持った者が他を従えてしまうじゃろ」

葛霧「?」

('A`)「あー……力関係とかバランスとかですか」

アリス「まぁそんな所じゃ。直す手伝いはしてやろうぞ」

('A`)「お願いしまっす」


アリス・タチバナ
 NIRO所属、魔導学研究者。別の世界で魔法の道具を造っていた魔法使い
 自身に若返りの魔法を掛けたはいいが、自身が老人になったと思い込む副作用のせいで絶望し
 失意の中で世界を破壊する魔法を造り上げ、あの手この手で発動させようとしていたが尽く失敗して考えを改め一度は姿を消す
 世界の狭間に続く門が開かれ、怪物が侵入してからはコレを退治する為に魔法の道具を造り魔法少女を生み出した
 元居た世界に介入したナナ達との交流でNIROの事を知り、何か役に立ちたいとやって来た

ミラクルハート
 アリスが造った世界を破壊する魔法。媒体となる少女の負の感情で発動するはずであった
 後に改心したアリスによって改造され、世界を救う魔法となり暗躍中

魔法少女ラブリーチカ
 ミラクルハートの媒体として選ばれ、力を解放した魔法少女
 現在では怪物の被害にあった世界を浄化する為に飛び回っている




――('A`)は直すようです


――数刻後


アリス「ふむ……ふむ……」

('A`)「……どすか?」

葛霧「くー……くー……」

アリス「なかなか筋が良い、の。何か造っていたのかえ?」

('A`)「……」


~~~

『レレレレレレ!!レレレレレレレ!』

(#'A`)『レレ!』

~~~


('A`)「……」ブルッ

('A`)「いえ、別に……」

アリス「そうか」


('A`)「んで、どうなんすか?何も起こってないっすけど」

アリス「ん、直しは出来ておる。後は中に居る魂次第じゃな」

('A`)「あー、やっぱ弱ってるんすね」

アリス「そういう事じゃ。さ、これはお主が預かっておれ」

('A`)「ウス。ありがとうございました」

('A`)「ほら葛霧、帰るぞ」

葛霧「んむー……」

アリス「疲れておるようじゃの。今日はココに泊めてやれ」

('A`)「……んじゃ、お願いしまっす」

アリス「ああ。また明日、の」


――ドクオの部屋


<バタン


('A`)(あー)

('A`)(なんかスゲー疲れた……)ボフッ

('A`)「……」

(-A-)「……zzz」


――おぉ、居った居った



――ほう、この男に直されたのか?



――そうか、そうか



――これは思わぬ拾い物じゃ


(-A-)「……ん……」

('A`)「……」

(;'A`)「……」

('A`;)「……」

(;'A`)「ドコだココ……」

('A`;)(こんな和室知らねーぞ……)


<ガラッ


「あっ」

(;'A`)「オウッ!?」

「九十九仙人様ぁー!目を覚ましたよぉー!」バタバタ

(;'A`)「ちょ、待って誰っすかココ何処っすか!?」

今回はここまで


「邪魔するぞ。気分は如何かな?」

('A`)「……」

「おぉ、そう怖い眼で睨むでない」

九十九仙人「妾は九十九仙人。ここは我が根城の九十九城じゃ」

九十九仙人「まずはこやつ……孔明を直してくれた礼を言おう」

('A`)「はぁ……?」

孔明「アナタが直してくれたんだよね?ありがと~!」

('A`)「直したって……あ、その天灯」

孔明「アタシの本体だよ?」

九十九仙人「うむ。こやつは孔明燈の物霊じゃ」

('A`)(物霊……付喪神の事か?)

九十九仙人「して、そなた名は何という?」

('A`)「……ドクオっす」

九十九仙人「ふむ……ドクオ、孔明を直したその腕を見込んで頼みたい事があるんじゃが」


九十九仙人
http://i.imgur.com/aa36SRf.jpg

孔明燈
http://i.imgur.com/PuUq5pf.jpg


('A`)「……何すか」

九十九仙人「うむ。物霊を直すのを手伝って欲しいのじゃ」

九十九仙人「もちろん、タダでとは言わんぞ?」

九十九仙人「望むのであれば妾の身体くらいは自由にしても――」

('A`)「あ、そういうのいいんで」

九十九仙人「――初対面とは思えぬ捌き方をするのう」

('A`)「慣れてますんで。取りあえず、コチラの話もいいっすか?」

九十九仙人「む?」


九十九仙人「――なるほど、異世界と怪物か……」

九十九仙人「いやはや、まこと良い拾い物をしたわ。日頃の行いが良いからじゃな」カンラカンラ

孔明「そうかなぁ?」

('A`)「んで、なんでこの……孔明さんが別の世界に居たか、心当たりは?」


九十九仙人「うむ。ここから北に行った森の中に門が見つかってのう」

九十九仙人「その調査に出した物霊の一人が孔明なのじゃ」

('A`)「……で、門の中に入ってしまった、と。他にも物霊がいたんすね?」

九十九仙人「あぁ、その者達も酷くやられてしまってのう。今直している真っ最中なのじゃ」

九十九仙人「孔明を探すのもその片手間にやっておったからのう……遅くなってしもうた」

孔明「片手間で探さないでよ~。ぶー」プクー

九十九仙人「すまんすまん。朝霧と暮音も探さねばならんのもあったのじゃよ、許しておくれ」

孔明「え?あの二人も?」

('A`)「まだ二人迷い込んでる、と……」

('A`)「アナタは門を潜れるんすね?」

九十九仙人「そうじゃが?随分辛気臭い場所じゃったから二度と行きとうないが、の」


('A`)(帰り道は九十九仙人次第。頼みを断る選択肢は無い)

('A`)(この世界の調査も出来るし、何より怪物の被害が出てる。となればコッチの仕事か)

('A`)「……解りました」

九十九仙人「うむ?」

('A`)「俺みたいな素人でよければ手伝いますよ」

九十九仙人「まことか!」

孔明「ホント!?」

('A`)(あ、でもパソコン無ぇや……いいや電気無い世界っぽいし)

九十九仙人「では早速工房の方に――」

('A`)「……」グー

孔明「……その前に、ご飯だね」クス

九十九仙人「じゃな」クス

('A`)「……ウス」


――九十九城・食堂

九十九仙人「すまないのう。握り飯くらいしかのうて」

('A`)「いえ、充分っす」モグ

('A`)(無いとは思ってたけど、やっぱガスコンロなんて無いよなぁ……)

九十九仙人「ウチの『料理長』も今直しておる所でのう。ちっと我慢してくれい」

('A`)「……それより、物霊ってのは何なんすか?」

孔明「それはアタシから説明しよー」

孔明「物霊って言うのは、悪霊を退治する為に九十九仙人様が造った物なんだよ」

('A`)「へえ」

九十九仙人「なんじゃその気の抜けた返事は。もっと驚かんか」

('A`)「いや、あんまりスゴイもんで」

九十九仙人「そうじゃろ?妾はすごいのじゃぞ?」

孔明「自分で言っちゃうんだもんねー……」

九十九仙人「なんじゃ?」

孔明「なんでもなーい」


九十九仙人「……とは言え、あの妙ちくりんなバケモノ共にやられてしもうたが、の」

('A`)「……」モグ

九十九仙人「今のままでは悪霊退治もままならん」

九十九仙人「場合によってはドクオ、そなたも悪霊退治に出向いてもらう事になるやもしれぬ」

('A`)「」ブハ

孔明「うわ汚っ」

九十九仙人「まぁ、覚悟はしておいてくれ」

('A`)「……そうならない事を願うっす……御馳走様でした」

九十九仙人「うむ。では改めて工房へ向かうとしよう」

今回はここまで


これを機会に始めてみようかな


――九十九城・工房


九十九仙人「ここじゃ。一通りの道具は揃っておるが、必要な物があれば言うてくれ」

('A`)「ウス……で、直すのは?」

孔明「これだよっ」トン

('A`)「……刀もっすか?」

九十九仙人「案ずるでない。刀鍛冶をやれと言う訳ではないから、の」

('A`)「はあ……と言うと?」

九十九仙人「物霊の力で刃こぼれはせんからな。まぁ、ひん曲がったりもげたりしておるのを直すだけじゃ」

九十九仙人「とは言え魂の込められた物。一筋縄ではいかん……っと、これはもう知っておるか」

孔明「アタシを直せたんだもん、大丈夫だよね?」

('A`)「……いや、まだ孔明さん直した事があるだけっすよ」





(;'A`)「いや、だから素人だっつったじゃないっすか」


九十九仙人「ま、まぁよい。判らん事は妾が教えてやろうぞ」

孔明「そ、そうそう!これから覚えればいいんだよ!」

九十九仙人「あぁ……コヤツに全て任してぐうたら三昧じゃと思うとったのに……」

孔明「あー、やっぱそーいう魂胆だったんだ」

九十九仙人「ち、違うぞ!?朝霧と暮音を探した上での話じゃ!」

('A`)「なんか……スンマセン」

九十九仙人「謝る事では無い……勝手に連れてきたの妾じゃし……」

孔明「ごめんねー?訴える時は証人になるからねっ」

('A`)「心強いっす」

九十九仙人「仲良くやっていけそうじゃなぁくそう」


九十九仙人「まぁこんな話をしていても仕方ない。早速じゃが腕試しじゃ」

九十九仙人「ドクオにはコレを直してもらいたい」スッ

('A`)「……何すかコレ?」

九十九仙人「手鞠をバラした物じゃよ。これはじゃな、弟子をとった時に妾の技能を伝える為に造った手鞠じゃ」

九十九仙人「コレを元通りに編み直す事が出来れば、物霊の魂を壊さず、元通りに直す術が身に付く優れものじゃぞ」

孔明「いつの間にこんなの造ってたの?」

九十九仙人「さぁ、いつじゃったかな……そうそう、間違った手順を踏むと破裂してまた最初からじゃからな」

(;'A`)「おまけにノーヒントっすか」

九十九仙人「とーぜんじゃ」


九十九仙人「ま、孔明を直せたなら問題無いはずじゃがな」

('A`)(アリスさんの指導ありきだったんですけどね)

('A`)「えーっと……この線の通りに編んでけばいいんすか?」

九十九仙人「ほ?」

孔明「?」

('A`)「え?いや、何でもないっす」

九十九仙人「いや、正解じゃ。やはりそなたは造物主に相応しいようじゃな」

('A`)「へ?」

孔明「んー……ねぇねぇ、線ってどれ?」

('A`)「え、見えないっすか?」

九十九仙人「物霊には見えんよ。もちろん、ただの人間にも見えん」


九十九仙人「一度直す度にその線が薄れていって難易度が上がるのじゃ。全部で十レベル用意してあるぞ」

('A`)「凝った仕掛けっすね」

孔明「造物主ちゃん、ファイトっ!」

('A`)「……俺の事っすか?」

孔明「うん」

九十九仙人「ここではそなたの様な者を造物主と呼んでおる」

九十九仙人「これは妾の過去の偉業を指しての称号じゃ。誇ってよいぞ」

('A`)「ドクオでいいっすよ」

九十九仙人「なぜじゃ!?」

孔明「えー。じゃあドクちゃん」

(;'A`)「ちゃんはやめて欲しいっす」


九十九仙人「まぁ、しばらくはそれで遊んでおれ。妾は少し外す」スクッ

('A`)「ウス」

孔明「あれ?九十九仙人様は直さないの?」

九十九仙人「あのなぁ、妾とて疲れておるのじゃぞ?」

九十九仙人「それに、かような美女が隣に居ればドクオの気が散るじゃろう」

孔明「そうかなぁ?」

九十九仙人「あ、今のちょっと傷付いたぞ……まぁ冗談はさて置き」

九十九仙人「孔明、外でちょっと話すぞ」チョイチョイ

孔明「なぁにー?」トコトコ


九十九仙人「ドクオの事じゃがな……あやつはどこか、心が壊れておる節があるようじゃ」

孔明「そうなの?」

九十九仙人「うむ。まだ確信は無いが、の」

孔明「じゃあ違うかもしれないんだねっ」

九十九仙人「喧しいわ。そこで、お前に目付け役を頼みたい」

九十九仙人「ま、早い話が傍に居てやってくれ、というだけじゃ」

孔明「それくらいなら任せてよっ。アタシの恩人でもあるからねっ」

九十九仙人「あぁ、頼んだぞよ。では妾は厨房におるからな」

孔明「あれ?部屋で昼寝するんじゃなかったの?」

九十九仙人「まぁ疲れておる事は確かじゃが……ドクオの歓迎会の準備じゃよ」

今回はここまで


>>36
ありがと
画面がゴチャゴチャしてて見えにくかったりするけど、戦闘に自分の意思が介入できる辺りゲーム性ある方なんじゃないかな


――数刻後


孔明「……」

('A`)「……」セッセッ

孔明「……ねぇー」

('A`)「……はい?」

孔明「そろそろ休憩にしない?」

('A`)「これ終わったら入ります」セッセッ

孔明「それさっきも聞いたよー」バタバタ

孔明「ぶー。つーまーんーなーいー」バタバタ

(;'A`)「そう言われましてもね」


孔明「そうだっ、ドクちゃんの世界の話してよ!」

(;'A`)「はい?」

孔明「異世界の事はアタシも興味あるから、ねっ?」

(;'A`)「あー……」

(;'A`)「いや、んな話すような事無いっす……」

孔明「むぅー……そんなだと後で後悔するぞ~?」

('A`)「はぁ」

九十九仙人「邪魔するぞ~。首尾はどうかえ?」

('A`)「あー、難易度4の途中っす」

九十九仙人「ほう」

孔明「聞いてよー。ドクちゃんったら休憩も取らずにアタシをほったらかしてたんだよー?」


九十九仙人「ほほ、あまり放っておいては拗ねてしまうぞ?」

孔明「そうだそうだー」

('A`)「すいません」

九十九仙人「まぁ、孔明もそう責めてやるな。さて、難易度4、か……」

('A`)「遅くて申し訳ないっす」

九十九仙人「ん?何を言うておる。この数刻でここまで出来れば大したものじゃぞ?」

九十九仙人「ぶっちゃければ5以上は趣味の領域じゃ。やるではないか」ポンポン

('A`)「……恐縮です」

九十九仙人「妾は世辞は言わぬぞ?さ、夕餉の用意も出来ておる。行くぞ」


――九十九城・食堂


白理「お待ちしておりました。私、物霊の白理と申します。初めまして」

('A`)「あ、初めまして」

孔明「白理は筆の物霊でねー、この世界の事なら何でも知ってるんだよっ」

('A`)「はあ」

白理「ええ。万物様々な事象を研究する事を生業としています」

白理「何か解らない事や知りたい事があれば何でも聞いて下さい」

白理「あ、もちろんそれ相応の対価は頂きますが」

('A`)「対価?」

九十九仙人「あぁ、こやつは霊石さえ払えば何でも教えてくれる」

九十九仙人「っと、霊石の事はまだ知らなかったかのう?」

白理「霊石はこの国で流通している通貨です。今回はおまけしておきますよ」

('A`)「はあ、どうも」


白理
http://i.imgur.com/H6sspyL.jpg


孔明「んー?白理ならもっと質問攻撃してくると思ってたんだけどなぁ?」

白理「そ、それは……そう、そんな事をすればせっかくの食事が冷めてしまいますから」

九十九仙人「なーにを言うておる。さっき呼びに行った時は――」

~~~

九十九仙人『白理ー、入るぞー』ガラッ

白理『んご……んが……』グー

~~~

九十九仙人「ドクオに聞きたい事を考えている内に寝てしまっておったそうじゃ」ケラケラ

孔明「なるほどー」ケラケラ

白理「よ、余計な事言わないで下さいっ!……あぁ恥ずかしい……」

('A`)「どんまいっす」


白理「コホン……ともかく、孔明を直してくれた事、私からも礼を言います」

白理「それで、こちらが一段落した後でよろしいのでアナタの元居た世界に行ってみたいのですが……」

白理「如何でしょう?」

('A`)「あー、多分大丈夫っす」

白理「本当ですか!?」ズイッ

(;'A`)「え、あー、はい」

孔明「あ!アタシも!アタシも!」ピョンピョン

白理「ではこちらの紙にサインを」スッ

(;'A`)「あ、はい」

('A`)(……筆ってこんな書き難かったっけ……)サラサラ

九十九仙人「話は終わったかの?配膳も出来た事じゃし、はよう座れ」

孔明「はーい!」

('A`)「あざっす」


――数刻後


('A`)「……」

('A`)(電気じゃない風呂なんて初めてだ……)

('A`)「……」

九十九仙人『ドクオー、湯加減はどうじゃー?』

(;'A`)「ちょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」ザバッ

(;'A`)「な、何してんすか!あそっか火の番だ!」

九十九仙人『なんじゃー?変なヤツじゃなー』ケラケラ

('A`)「すいませんこういう風呂初めてなモンで……」

('A`)「あ、湯加減は良い感じっす」

九十九仙人『そうかー』


九十九仙人『え、えーっとじゃなー』

('A`)「?」

九十九仙人『勝手に連れて来て、悪かったのー』

('A`)「……いや、いいっすよ。気にしないで下さい」

九十九仙人『そう言ってもらえるとー、気が楽じゃー』

九十九仙人『そなたの居た世界がどんなかは知らぬがー』

九十九仙人『少しばかりはいyぐうぇっげほっげほっ』

(;'A`)「ちょ、大丈夫っすか!?」

九十九仙人『け、けむ……げほっげほっ……』


――


九十九仙人「あぁー、ひどい目におうたわ」

白理「慣れない事をするからですよ」

九十九仙人「そうかもしれんなぁ」

白理「それで?彼をどうするつもりです?」

九十九仙人「食事中のあやつを見れば、言わずとも解るじゃろ」

白理「……嬉しそうでも無く、怒ってそうでも無く……変な感じでしたね」

白理「そもそも、顔に生気が感じられないのですが」

九十九仙人「ふむ……ま、その辺りも追々聞いていくとしようか」

九十九仙人「明日から忙しくなるぞ」


――造物主の部屋


('A`)「……」

('A`)(虫の声に灯りの無い外。満点の星空)

('A`)(田舎に帰ったみたいだな)

~~~

『――た――年も来――』

~~~

('A`)「……」ブルッ

('A`)(そういや俺が急にいなくなって騒ぎになって……るだろうなぁ)

('A`)(……迷惑掛けてるなぁ……どうしようもないけど)

('A`)「……寝よ」

今回はここまで


('A`)「……ん……」モゾ

('A`)「……やべっ、寝過ぎた!」バッ

('A`)「……どこだここ……あぁ……そっか……」

('A`)(……まだ陽も昇ってねぇじゃねぇか)

('A`)(えぇと、いつも起きてる時間を考えると5時頃か)


('A`)(取りあえずスーツは……いいや、コッチの服にしとこ)ゴソゴソ

('A`)「おぉ、アジアンテイスト……」


('A`)「――で、その辺ウロウロしてたんすけどね」

九十九仙人「なるほど。まぁ丁度良かったわ」

九十九仙人「妾はこれより暮音と朝霧……残る二人の物霊を探して来るからな」

九十九仙人「留守を頼むぞ」

('A`)「はあ。まぁ、いいっすけど」

('A`)「皆さんには言わなくていいんすか?」

九十九仙人「良いのか……いや、言うたら白理が妖怪ツレテケになりそうじゃからなぁ」

('A`)「はあ」

('A`)「あ、先にどれを直せとか、ありますかね?」

九十九仙人「……そうじゃな……」


――九十九城・食堂


白理「――で、行かせたわけですか!」バンッ

孔明「」ビクッ

(;'A`)「」ビクッ

白理「はぁ……信じられません……いいですか?アナタは勝手にココに連れてこられたのでしょう?」

(;'A`)「あー、はい」

白理「その上で今度はアナタに全部任せてどこかに行ってしまったんですよ!?しかも期限も決めずに!」

白理「腹が立つとは思わないのですか!」

('A`)「……いや、別に何とも……」

白理「……はぁ?」

孔明「ドクちゃん、ソコは怒って良い所なんだけど」

('A`)「まぁ、確かにいつ帰れるか判んなくなりましたけどね」


('A`)「……御馳走様でした」スクッ

('A`)「工房にいますんで」スタスタ

白理「……」

孔明「……」

白理「な、なんなんですかあの人は……」

孔明「ま、まぁまぁ、あんまり怒らない人なのかも……」

白理「もしくは感情表現が凄まじく下手か……感情が無いとかありませんよね?」

孔明「無いって事はないんじゃ……いやあるかも……」


――九十九城・工房


('A`)「……」ガリガリ

('A`)(なんか)

('A`)(誰かに『次はこっち』『次はこう』って言われてるような感じだな)

('A`)(刀なんて触るのも初めてなのに……グリップってこうなってんのか)


孔明「ドクちゃーん、お茶持ってきたよっ。休憩しよっ」

('A`)「……あー……ありがとうございます。キリのいいとこまでやりたいんで」

孔明「もう、またそれぇ?……あ、村正直してるんだ?」

(;'A`)「……はい?」

孔明「今直してるのは村正っていう刀の物霊なんだけど――」

孔明「――っと、どしたのドクちゃん?顔色悪いよ?」

(;'A`)「いやいやいやいや村正って妖刀じゃないっすか」

孔明「? そうだけど?」


孔明「あ、もしかしてドクちゃんの居た世界でもそーいう扱いとか?」

('A`)「こっちじゃ違うと?」

孔明「んー。確かに妖刀は妖刀だけど……」

孔明「悪い人じゃないからね。海苔煎餅で機嫌直してくれるし」

(;'A`)「はぁ……さいでっか……」

孔明「それより、そういう話は白理にもしてあげた方がいいんじゃないかな」

孔明「すっごく喜んでくれると思うよ?」

('A`)「はぁ。あ、そういえば白理さんは?」

孔明「あの門や怪物について調べるって言ってたから、書物庫にいると思うよ」


孔明「ドクちゃんはアレについて何か知ってるんだよね?」

('A`)「はぁ、まぁ、一応は」

孔明「むー。何さその曖昧な返事はー」

('A`)「すいません。まだコッチでも解ってない事の方が多いんすよ」

孔明「そっかー……」

('A`)「……ごちそうさまでした。湯呑は――」

孔明「あ、いいよいいよ。アタシがやっておくから」

('A`)「あ、じゃあお願いします」


('A`)「……」ガリガリ

孔明「……」ジーッ

('A`)「……」カリカリ

孔明「……」ジーッ

('A`)「……あの」

孔明「ん?なになに?」

('A`)「いや、何か、やり方変でしたかね?」

孔明「んーん。ちゃんと直せてると思うよ?」

('A`)「はあ。いや、ずっと見てるから何かマズったかなと」

孔明「えっと……邪魔、だったかな?」シュン

(;'A`)「あぁいやいやそういう訳では無くて!」


(;'A`)「あっそうだ!」

孔明「?」

('A`)「物霊って悪霊退治するって九十九仙人から聞いたんすけど」

('A`)「悪霊が人襲ったりとか、ないんすか?」

孔明「……言いにくいけど、今でもどこかで悪さしてると思うよ」

孔明「あ、でも九十九城下町は十千十二支隊っていう防衛部隊が護ってるんだっ」

('A`)「そうなんすか」

孔明「ん、それに今はアタシと白理しかいないからね」

孔明「悪霊退治に出掛けるにも、ちょっと不安なんだよねー」

('A`)「……早めに直せるよう頑張ります」

孔明「うん……あの、巻き込んじゃってごめんなさい」ペコ


('A`)「いや、それはもう気にせんで下さい」

('A`)「結果的にはこうやって怪物の被害が出てる世界に来れた訳ですし」

孔明「ん~……でも九十九仙人様はどっか行っちゃったし、帰れないかもしれないんでしょ?」

('A`)「まぁそうなったらそうなったで、別にいいっす」

孔明「……ドクちゃんって、何て言うか自分を大事にしないよね」

('A`)「あー……そんな大層なモンじゃないっすからね」

('A`)「こうやって物霊を直せるってのも、多分葛霧……」

('A`)「俺に取り憑いてた子の力だろうし」

('A`)(そうでもないと霊感ゼロの俺がこんな事出来る訳ねーし)


孔明「そうなんだ……ね、その子ってどんな子なの?」

('A`)「そっすねー……歳の離れた妹って――」

白理「失礼します。孔明、食事の準備を手伝って下さい」

孔明「あ、はーい」

('A`)「あ、俺も手伝います」

白理「ドクオさんも?」

('A`)「あ、ダメならいいですけど」

孔明「そんな事無いよ!うん!一緒にご飯作ろー!」グイグイ

白理「え、ええ。そうですね」

本日はここまで


――九十九城・厨房


('A`)「……カマドなんて久し振りだ」

孔明「そうなの?ドクちゃんの世界だとどうしてたのさ?」

('A`)「そりゃガスとか電気とか……あ、そっか」

白理「ガスとは?デンキとは何でしょう?詳しくお願いします」ズイッ

孔明「白理、近い。ちーかーいー」グイッ

白理「あ、失礼しました」

(;'A`)「あー、えー、ガスは燃える気体……まぁ燃える空気を使うもんです」

白理「燃える空気……そんなものが?」

('A`)「俺も使ってるだけの人間なんで詳しくは知りませんけどね」

('A`)「あ、温泉があるならガスもあると思います」

白理「ふむ……」サラサラ


白理「それで、デンキとは?」

('A`)「……」

白理「……」

孔明「……?」

(;'A`)「どう説明すればいいか解んないっすわ……」

白理「そんなに難解な物なのですか?」

(;'A`)「ええ。申し訳無いっす」

白理「いえ、構いません。後々そちらにお邪魔した時に改めて聞く事にしましょう」サラサラ

孔明「ねぇ二人ともー。お腹空いたー」グゥ

白理「……では、使い方を説明しながら用意するとしましょう」クス

('A`)「よろしくお願いしまっす」

('A`)(……亜鉛板とレモンと何がいるんだっけか……あ、導線ねぇか)


――

('A`)「……」スッ

白理「……?」

孔明「どしたのドクちゃん?何か居た?」

('A`)「……あ、いえ、何でもないっす」

('A`)(蛇口回そうとして腕動かしちまったよ……蛇口なんてねぇよ……)


――


('A`)「御馳走様でした」

孔明「ごちそうさまー!」

白理「御馳走様でした。この後はどうされます?」

('A`)「どうって?あ、皿洗いならやっときますんで」

白理「あ、ありがとうございます。いえ、そうではなくて、ですね」

白理「山菜採りに晩御飯の買い出しに下拵え、あとは……田畑の様子も見ておきますか?」

('A`)(あ、冷蔵庫ないから必要な時に必要なだけ、か)

孔明「城下町に行くなら私も行きたい!」ハイ

('A`)「……すんません、その辺お願いしていいっすか?」

('A`)「城下町はまた今度で」

孔明「むー……わかった」

白理「また工房へ?」

('A`)「ええ。早めに終わらせるに越した事は無いっすから」スクッ


白理「うーん……」

孔明「んー……作戦失敗」

白理「作戦?何を企んでいたのですか?」

孔明「いやー、一緒にご飯作ったらそれ以降も流れで一緒に出来るかなって思ったんだけど……」ハァ

白理「なるほど……彼は独りでいる方がいいのでしょうか」

孔明「うぅ……もう工房行かない方がいいかなぁ……」

白理「邪魔者扱いされたのですか?」

孔明「いや、そういう訳じゃないけどさー」

白理「……来るな、とも言われていませんし、いいんじゃないでしょうか」

孔明「……そうかなぁ?」

本日はここまで


――九十九城・工房


('A`)「……」

('A`)「……」

('A`)(ああああああああああああ)

('A`)(あそこで断っちゃいかんだろ。あれって暗に――)


白理『買い出しくらい一人で行けるようになって下さい』

孔明『山菜採りも出来るようになってもらわなきゃ困るよ~』


('A`)(――こういう事を言われてたんだろうがよ)

('A`)(あああああああああああああああ)

~~~

『レレレレレレレ!』

('A`)『……サーセン』

~~~

('A`)「……」ブルッ


('A`)「あーもう……集中集中……」

('A`)「……」カン コン カン

('A`)(後はグリップと鍔と……)

<モ、モシモーシ

('A`)「? あ、孔明さん?」

<ウン、ハイッテイイカナー

('A`)「ど、どうぞ」

孔明「お、お邪魔します……」カチコチ

('A`)(どうしたんだろ)


('A`)(……あ、さっきの件について怒られんのかな怒られんだろうなぁ)

('A`)「……えーと、さっきはすいませんっした」

孔明「ふぇ!?」

('A`)「いや、山菜採りとか買い出しとか断っちゃって……」

孔明「あ!んーん!気にしなくていいですよ!うん!はい!」

('A`)「そっすか?コッチ早めに終わらせるんで」

孔明「大丈夫!です!買い出しとかも白理が行ってくれますから!」

('A`)「……」


('A`)(ああああああああああああああああ)

('A`)(もおおおおおおおおおおおおおおおお)


孔明「そ、それでですね、そのー、邪魔しないのでこの部屋にいてもいいですか?」

('A`)「へ?」

孔明(うぅ……やっぱりダメかなぁ……)

('A`)「……あ、はい。大丈夫っす」

孔明「ホント!? あ、いや、ありがとうございます!」

('A`)「あの、ところで」

孔明「はい!」

('A`)「なんで敬語なんすか?」

孔明「……えーっと、その、さっきまで邪魔してたので、態度を改めようと思って、ですね」シドロモドロ

('A`)「……」

孔明(うぅ……表情が読めない……)


('A`)「いや、別に邪魔された訳じゃないっすから、気にせんで下さい」

孔明「そ、そうですか?」

('A`)「むしろ、話し掛けてくれて嬉しかったっす」

('A`)「自分から話すの苦手なんで」

孔明「……あー……」

孔明「独りにしてくれとか、そういうのじゃないんだ?」

('A`)「そりゃまぁ……これでも心細いっすから」

孔明「……じゃー、アタシが傍に居てあげる!」

('A`)「へ?」

孔明「ドクちゃんがどんな人なのかまだ良く解んないけど、悪い人じゃないみたいだし」

孔明「ここにいる間は、アタシに頼っていいからね!」ニコ

('A`)「……あー……」

('A`)「心強いっす」


孔明「所でドクちゃんってホント笑わないよね」

('A`)「そういうのも苦手っす」


――数刻後


白理「ただいま帰りました」

孔明「おかえりー!」

('A`)「お疲れ様です。すんません買い出しとか頼んじゃって」

白理「いえ、構いません。それで、首尾はどうですか?」

('A`)「もーすぐ上がりっす」

孔明「ドクちゃんったら凄いんだよ!もーパパパッと直しちゃったんだから!」

白理「ほう」

('A`)「あんまり壊れてなかっただけですよ……っと」カン


カッ


('A`)「うおまぶしっ」


村正
http://i.imgur.com/kBlSF9R.jpg


村正「……」

(;'A`)「……」

(;'A`)(なんか やばいふんいきの ひとがでてきた)

孔明「おかえり村正!」

村正「孔明と白理か。ただいま、でよいのかのう……」

村正「……して、ぬしがわっちを直したのかや?」

(;'A`)「え、あ、はい」

村正「ふむ……わっちは千子村正」

村正「ちぐはぐな身の上で生まれ」

村正「はるか遠国からやって来た」

村正「通りすがりの呪詛を背負った可憐で可愛い美少女でありんす」

孔明「長い」

白理「長いです」

村正「言うてくれるのう。これでも短うしてあるというのに」クックッ


村正「それよりも、はよう自己紹介してくりゃれ?まさか名無しの権兵衛ではあるまい?」

('A`)「……あ、ドクオっていいます」

孔明「アタシも村正も直してくれたんだよーっ」

村正「ほう、そうか、そうか。世話になったのう」

村正「改めて、よろしくお願い申し上げますぞ」

('A`)「あ、こちらこそお願いしまっす」


('A`)(なんかこう、俺の中の妖刀のイメージが崩れた)

村正「んんー?ぬし、何か失礼な事を考えておらぬか?」

('A`)「んな事ないっす」

本日はここまで


孔明「さぁー、じゃあドクちゃんも今日はこのくらいにして、ご飯にしよーっ」

村正「そうじゃなぁ。わっちは少し部屋で休んでおるぞ」スタスタ

孔明「あ、ちょっとー!?」

白理「逃げられましたね……」

('A`)(自由な人なんだなぁ)

孔明「しょーがない。今日も三人で作ろっか」

白理「待ちなさい孔明。ドクオさんもお疲れでしょうし――」

('A`)「あ、俺はいいっすよ」

白理「は?いえ、しかし……」

('A`)「つか白理さんも休んでていいっすよ。買い出しとかしてもらいましたし」

白理「いえ、そういう訳にはいきません」

孔明「……もぉー、お互い本人がやりたいって言ってるんだからいいじゃんかー」

('A`)「……そっすね。すいません」

白理「ええ……こちらこそ、申し訳ありませんでした」

孔明「はい!じゃあしゅっぱーつ!」ガラッ

村正「……」

孔明「ぴゃあああああああああああああああ!?」


孔明「ビックリしたビックリしたビックリした!!」ドキドキ

白理「どうしたのです村正?戸の前に突っ立って……」

村正「……のじゃ……」

('A`)「?」

白理「はい?」

村正「わっちの部屋に置いといた海苔煎餅がな……」

村正「湿気ておったのじゃ……」ズーン

('A`)「はあ……?」

孔明「……」ハァ

白理「村正、食事の前に煎餅を食べるなと言ったはずですが?」

村正「そんな事はどうでもいいのじゃ……」


村正「折角の全快祝いぞ……ほら買うてくりゃれ……買うてくりゃれ……」ジリジリ

(;'A`)「え、えーっと……」

白理「村正、刀で脅すのはやめて下さい。罰として明日までお預けです」

村正「白理はイケズじゃなぁ。まぁよい」

村正「取り乱した所を見せてしもうたのう。恥ずかしい限りじゃ」クックッ

孔明「ホントだよ。もう」

(;'A`)(どうなってんだここの力関係……)


――数刻後・食堂


村正「――ふむ、異世界のう……」

('A`)「うす」

村正「道理で妙な匂いがすると思うたわ」

('A`)「え、んな変な臭いします?」

村正「んん……磯臭いし、かと思えば鉄や石の臭いまでしておるぞ」スンスン

白理「え、磯の香りは気付きましたが……」スンスン

(;'A`)「えーと……」

孔明「二人ともちーかーいー!」グイ

白理「おや、失礼しました」

村正「なんじゃ?別に良いじゃろう」

村正「美女二人を侍らせられて、ぬしも悪い気はするまい?」クックッ

(;'A`)「割と勘弁して下さい」


村正「なんじゃ。嬉しゅうないとな?」

('A`)「嬉しいと死ぬ病気なんで」

白理「随分変わった病気なのですね……」

孔明「ぶふっ」

白理「感染の恐れは無いのですか?」

村正「ふはっ……白理よ、冗談を真に受けるで無い……ふふっ……」

白理「……冗談だったのですか?」

('A`)「ええ、まあ」

孔明「どう考えたってありえないよそんな病気ー」ケラケラ

村正「相変わらず頭が固いのう」クックッ

白理「……」プルプル


白理「っ!っ!」ブンブン

孔明「ぴゃああああああああああああああああ」

村正「これやめんか白理!墨を塗りたくるで無いわあっはっはっはっは!」

白理「もうっ!冗談を言うならそれらしい顔をして下さい!」

('A●)「よく言われます」ボタボタ

本日はここまで

一枚絵もいいけどモーションもいいと思うの
http://i.imgur.com/rzw5CSg.jpg


SDなら千将の攻撃モーションの表情が好き、なお居らんもよう。


――翌日・造物主の部屋


('A`)「……」

('A`)(こんなに早く起きた所で、出来る事無いんだよなぁ)

('A`)(勝手に飯作んのもなぁ)

('A`)(……三日か。葛霧は大丈夫かな)

白虎「やあ」ヒョコッ

('A`)「……なにしてはるんですか」

白虎「御挨拶だね。折角君を探しに来たというのに」

('A`)「あー……すいませんっした。あまりにもいいタイミングで来られたもんすから」

白虎「うん。それで?」

('A`)「えーっとですね――」


白虎「なるほど、災難だったね。怪物の件はこちらから言っておこう」

白虎「ともかく君が無事で何よりだよ」

('A`)「さーせん。にしても、なんで白虎様が?」

白虎「ボクは鼻が利くからね」エヘン

('A`)「……俺、そんな変な臭いします?」

白虎「体臭の話じゃないよ」

白虎「まぁそんな話は置いといて、君の上司も同僚もとても心配していたよ」

白虎「特に葛霧なんかはわんわん泣いていたね」

('A`)「……こっちが終わったらすぐ戻るって伝えといて貰えます?」

白虎「ボクは伝書鳩じゃないんだけどなぁ……まぁいいや。預かっておくよ」

白虎「何か必要な物があれば持ってこれるけど、そっちはいいの?」

('A`)「あー……いや、さすがにそこまでしてもらうのは気が引けるっす」

白虎「ん。さて、陽が昇り始めた。騒ぎにならない内にお暇させてもらうよ」

('A`)「あ、はい。よろしくお願いしまっす」

白虎「うん、一応明日もこれくらいの時間に来るよ。じゃ、またね」ピョン


('A`)「……」

('A`)(工房でちょっと作業するか)ガラッ

白理「あ、おはよう御座いますドクオさん」

('A`)「おはよう御座います。どうしたんすか?」

白理「いえ、何か気配を感じたので見回りに出た所です」

白理「何か見ていませんか?」

('A`)(正直に話しといた方がいいか)

('A`)「えーとっすね。俺の世界から俺を探しに来てた人がいたんすよ」

白理「!」ピコピコ

('A`)(耳がすごい動いてる)

白理「どうして呼んでくれなかったんですか!あぁーもう……!」

白理「異世界との交流チャンスだったのに……!」

('A`)(俺と話してる時点で異世界交流なんだけどなぁ)


('A`)「つーか、異世界とか平行世界とかよく信じられますね」

白理「それは勿論、ドクオさんという存在があるからこそです」

白理「九十九仙人の話だけで無く、確固たる証拠と言いますか……」

('A`)「なるほど」

白理「それより、今の口ぶりだと信用されなかった世界もあった、というように聞こえますが?」

('A`)「そーっすね。えー、似たような世界だと大体信じられないっす」

白理「ほう。では、この世界はどうですか?」

('A`)「……正直違い過ぎてビックリっす。ほら、カマドとか」

白理「あぁ、そう言えば四苦八苦していましたね。でも使った事はあったのですよね?」

('A`)「ええ。コッチの世界では古い物っすけどね」


白理「それは……この世界は他の世界と比べて技術力が劣っている、という事でしょうか?」

('A`)「あぁ、いや、そうじゃないんす」

白理「と言うと?」

('A`)「優劣では無く、その世界に見合った成長の仕方……っつーんですかね」

('A`)「例えば俺の世界で遥か昔に絶滅した生物が、他の世界だと現役で生きてたりするんすけど」

('A`)「だからってその世界は俺の世界より過去では無い訳で――」

白理「」ポカーン

('A`)「……サーセン、説明ヘタっすね」

白理「あ、いえ……ドクオさんが饒舌になったのにビックリしてしまいました」

('A`)「……サーセン。あ、紙と筆あります?」

白理「え?えぇ。どうぞ」スッ

('A`)「あざっす」


えーと、俺が教わった話だと……まずこの点が世界の始まりでして

で、この点から線を一本引くんす

この線が世界で、線の長さが時間で……線の最後が今現在って訳っす

で、同じように点から始まる線がそこらじゅうに伸びて……円状に広がる、と

図ではちょっとバラついてますけど、どの世界も常に線の最後……あー……何というか……

えー、どの世界も世界の始まりから同じだけ年数が過ぎてる、って事っす


あぁ、いえ、実際にはもっと密な球状に広がってるっつー話なんで数え切れないんすけどね

数としては最低でも360かける360くらいだったかな?

確かそんな感じっす


('A`)「えぇと、図にした方が解りやすいかと思ったんすけど……」

白理「……想像以上ですね……これは……こんなに多くの異世界が……」

白理「研究のし甲斐がありますね!生涯を掛けてもいいくらいです!」グッ

('A`)(あ、結構アツイ人なんだなぁ)

白理「ドクオさん!」グイ

(;'A`)「おあっ、はい?」

白理「異世界の研究に是非とも力をお貸しください!」

(;'A`)「落ち着いて下さいあぁちょっと手に力入り過ぎあだだだだだだ!」

本日はここまで

>>97
おおきに
宝剣姉妹入手イベントは明日まで


おかげさまで姉妹とも迎えることが出来ました
その他のキャラの入手経路に漕ぎ着けるまでも苦労したけどやったぜ村正さん


――数刻後・食堂


孔明「へー、異世界の人が来るんだ? じゃあ明日は皆早起きしないとねっ」

村正「ん~……わっちは嫌じゃぞ~」ウツラウツラ

白理「シャキッとして下さい村正」

('A`)「……朝弱いんすか?」

村正「わっちは夜型じゃ……」ウツラウツラ

白理「……そう言えばドクオさん。海苔煎餅を買う話はどうしますか?」

('A`)「あ、買いに行くつもりっす」

村正「ん、起きたぞ。早起きなぞ朝飯前じゃ」シャキッ

孔明「あ!じゃあ城下町に行くの?」

('A`)「昼からにしようと思ってます」

孔明「やった!アタシがしっかり案内してあげるからねっ!」

村正「ぐぬぬ……まぁよい。あと数刻の辛抱じゃ」

村正「わっちは部屋におるからの。出掛ける時は呼んでくりゃれ」


――工房


('A`)「さてと」

孔明「今日はどうするの?」

('A`)「九十九仙人からは最初に目に入ったモンから直せってアドバイスされてまして」

白理「あの人は……また適当な事を……」ハァ

('A`)「今日はこの剣を」グイッ

孔明「あ、干将だね……」

白理「ええ……」

('A`)「え、何すかその微妙な反応」

孔明「うん……干将はねぇ、すっごく料理上手だし家事全般が得意なんだけど……」

白理「悪霊退治になると斬った悪霊の血を啜ったり、食事中に嬉々としてそういう話をするのです……」

('A`)「やだバーサーカーじゃない……」

孔明「わ、悪い人じゃあないんだよ?」


白理「それと、彼女を直すには彼女の双子の妹である莫邪も直さないと召喚できませんよ?」

('A`)「双子……っすか?」

孔明「そ。干将と莫邪はねぇ、一つの鉱石から造られた……えーっと、白理、何だっけ?」

白理「雌雄剣、です。この莫邪も一癖ある方でして……」

孔明「干将に近付く人には敵意剥き出しなんだよねぇ」

孔明「そのせいで今までの造物主も根を上げちゃったんだよ」

('A`)「へ?前にも造物主がいたんすか?」

孔明「うん。九十九仙人がどこからか見つけて来るんだよ。ね?」

白理「ええ。多くは九十九仙人からの試練と言う名の戯れに耐えられず遁走しています」

('A`)「えぇー……」


白理「それで、どうするんですか?」

('A`)「……双子さん直します」

白理「そうですか……」

孔明「ホントにいいの?」

('A`)「ウス。目に付いちゃったもんは仕方ないっす」

孔明「んー……でもでもぉ、莫邪は干将が造物主ちゃんに作ったお弁当をすり替えたりするよ?」

白理「あぁ、石や土が詰められていましたね……」

孔明「そんな事されて平気?」

('A`)「あー……その程度なら大丈夫っす。慣れてるんで」

孔明「へっ?」

白理「……孔明、あまり引き留めるのも悪いですよ」

孔明「むー……ドクちゃんがいいなら……」

孔明「で!も! 何かあったらちゃんと相談してね?絶対だよ?」

('A`)「ウス」


白理「では、私は一度城下町に行ってきます」スクッ

孔明「え?後で皆で行くからいいんじゃないの?」

白理「十二支隊に紹介しなければなりませんからね。召集を掛けておきます」

('A`)「なんすかそれ?」

孔明「十千十二支隊って言ってね、街を護ってる物霊達なんだぁ」

白理「はい。彼女達も九十九仙人が造った物霊なんですが……聞いていないのですか?」

('A`)「……初耳っす」

白理「……全くあの人は……」

('A`)(あれデジャブ?)


白理「では、行って参ります」ガラッ

('A`)「はい、お願いしまっす」

('A`)「……さて、やるかぁ」

孔明「……ねぇドクちゃん」

('A`)「はい?」

孔明「さっき、莫邪の事話してた時に『それくらい慣れてる』って言ってたよね」

('A`)「あー。はい」

孔明「……その、さ。慣れちゃうくらい嫌な目にあってきたって事?」

('A`)「……そんな感じっす」カン コン カン

孔明「あ……その……」

('A`)「……」コンコン カン

孔明「……変な事聞いちゃってごめんなさい」

('A`)「……大丈夫っす」カン


('A`)「……」カリカリ

孔明「……」

('A`)「あの」

孔明「ぴゃいっ!」

('A`)「孔明さんが気にする事じゃないっすよ」

('A`)「どんな世界にも弱い者いじめするヤツはいますから」

孔明「……でも弱い者いじめは悪い事だよ」

('A`)「ええ。褒められたもんじゃないっすね」カン

('A`)「俺が前いた職場なんて……」

('A`)「……すいません、こんな話つまらないっすね」

孔明「ん、んーん。愚痴は吐き出した方がいいよ!」


('A`)「……」

~~~

『ありがとね、いつも愚痴聞いてくれて』

『私だけじゃなくて皆の愚痴も聞いてるけど……アナタの愚痴は聞いた事無いね』

『……ねぇ、私ってそんなに信用無いかな?』

~~~

('A`)「そっすね」

('A`)「でも大丈夫っすよ。愚痴なんて無いっすから」

孔明「……ホントに?」

('A`)「ええ。孔明さんは優しいっすね」

孔明「そ、そんな事ないよぉ」


<ガラッ


村正「お邪魔するぞ」

('A`)「あ、どうしたんすか?」

村正「部屋におっても暇じゃからの。遊びに来たのじゃ」

村正「ホレ構ってくりゃれ。異国の話なぞ聞いてみたいぞ」

('A`)(この自由さは猫っぽいなぁ)

孔明「もー村正ったら、邪魔しちゃダメだよぉ」

村正「なんじゃ?孔明も話しておったではないか」

孔明「聞いてたの!?」

村正「何を話しておるかまでは判らんかったが、の」

村正「なんじゃ?聞かれるとマズい話じゃったかや?」クックッ

('A`)「いえ、城下町の事で聞きたい事があったんで」

孔明「そ、そうそう!お店がいっぱいあるんだよー!」

村正「ふむ、そうか、そうか」クックッ


村正(……ちぃとばかし、危ういヤツじゃのう)

孔明「? どうしたの?」

村正「んんー?行きつけの菓子屋に思いを馳せておっただけじゃ」

村正「ぬしの世界にも菓子はあったじゃろうが、恐らく美味さはその比では無いぞ?」

('A`)「そりゃ楽しみっすね」ガリガリ

村正「うむ。楽しみにしておくがよい」


――昼過ぎ・九十九城城門


('A`)「おぉー……」

孔明「どう?おっきいでしょー!」

白理「孔明、はしゃぎ過ぎですよ」

村正「さ、はよう菓子屋へ参ろうぞ」

白理「村正、先に十二支隊の詰所です」

村正「面倒じゃなぁ……」

白理「ブツブツ言わないで下さい」

('A`)「ま、まぁまぁ白理さん。二人とも出歩くのは久し振りでしょうし……」

孔明「そうだそうだー」

村正「ぬしの言う通りじゃ。よく解っておるではないか」

白理「……解りました」ハァ

白理「あまりハメを外し過ぎないで下さいよ?」


――城下町・十千十二支隊詰所


白理「白理です。造物主様をお連れしました」

('A`)「ど、どーも」

丑娘「よ、ようこそいらっしゃいました造物主様!」

子娘「なんだぁ、冴えない顔してるなぁ」

白理「……子娘」

子娘「わわっ、じょ、冗談だってば……」

雅楽「雉も鳴かずば……」クスクス

子娘「むぅー……」

白理「では、簡単に紹介しますね」


白理「――以上、十名で構成されています」

白理「ではドクオさん、何か一言」

('A`)「え?」

('A`)「えー……いつも城下町の警備をしていると聞きました」

('A`)「あー、激務だとは思いますけど改めて、今後ともよろしくお願いします」

卯娘「……」

巳娘「……」

寅娘「……そんな事初めて言われた……」

('A`)「へ?」

子娘「なんだー!良いヤツそうじゃん!よろしくな!」ニコニコ

雪柳「今までの造物主なんて、顔出しても偉そうにしてるばっかりだったのに……」

梢枝「……」

卯娘「……梢枝、どうしたの?」


梢枝「……いや……」

辰娘「やだぁ今後とも一生よろしくだなんて……むふふ……」クネクネ

梢枝「約一名トリップしてるのをどうしようかなって」

五月雨「……放置……」

雅楽「いつもの事だしね」

本日はここまで

>>106
何よりでござんす


おまけ・それゆけ十千十二支隊
http://i.imgur.com/DIiXqzk.jpg



――城下町・大通り


('A`)「……」キョロキョロ

孔明「どったのドクちゃん」

('A`)「いや、なんつーか、時代劇ん中に入ったみたいだなぁ、と」

孔明「時代劇?」

('A`)「あー、昔の時代を再現した演劇っす」

孔明「へー!そんなのあるんだ?」

白理「京劇のような物でしょうか?」

('A`)「ええ。そんな感じっす」

孔明「あっ!ほら早く!こっちこっち!」ピョンピョン

('A`)「これは……商店街っすか?」

白理「ええ。食料品から日用品まで、ここで買い揃えられます」

('A`)「……商品の仕入れはどうなってんです?」

白理「多くは田畑で採れる物ですが、魚なんかは東と南にある漁村からですね」

白理「その他、行商人が工芸品や珍しい物を持って来ては露店を開いています」

('A`)「あー……襲われる事もあるんじゃ?」

白理「……正直に言いますと、山賊や悪霊の被害は枚挙に暇がありません」

村正「わっちらでも防ぎきれんからのう……」

白理「ですが、最近では何者かに助けられたという噂があります」

白理「こちらも調査しておきたいですね」

('A`)「……そっすね」

孔明「みんなー!早く早くー!」


雅楽「さて」コソッ

雪柳「独りで抜け出して何をしてるかと思えば……」

寅娘「また変な悪戯思いついた?」

雅楽「何の事かな?」

雅楽「ただ私は、造物主様が強風に煽られて大通りのど真ん中で倒れて恥をかくような……」

雅楽「万が一そんな事が起きないか期待してるだけだよ」クスクス

寅娘「やめなさいって」ガシッ

雪柳「バレたらタダじゃすまないわよ?」ガシッ

雅楽「わ、わかった。わかったから離してよー!」ブォッ

「「「あ」」」


店主「おや白理様。そちらの方は?」

白理「こちらは新たな造物主様です。今日は城下町のご案内に」

店主「へぇ!そうでやしたか!旦那、ウチはご覧の通り八百屋でさぁ!」

店主「野菜や果物の事ならお任せ下せぇ!」

('A`)「ええ。いつも美味しい物をありがとうございます」

店主「造物主様に美味いと言われりゃあ、ウチも箔がつくってもんでさぁ!」

店主「これからも御贔屓にどうぞ!して、今日は何が御入用です?」

(;'A`)「え、えーと」

白理「今日は案内が先ですので、後でまた来ますね」

店主「そうでやすか……いや、ではお待ちしておりますぜ!」

白理「では次のにぎゃっ!」バタッ

孔明「白理!?」

('A`)「大丈夫っすか!?」

村正「何があったのじゃ?」

白理「いえ、急に後ろから風が……」ムク

白理「……ちょっと待ってて下さいね」スタスタ

('A`)「?」


雅楽「ど、どどどどうしよ!白理様に当たっちゃった!」オロオロ

寅娘「謝ろ!素直に謝ろ!」

白理「なにを謝ると?」ザッ

雅楽「!?」

雪柳「あちゃあ……」


('A`)「――で、俺にイタズラしようとして失敗した、と」

「「「ごめんなさい!!」」」

孔明「もぉー、雅楽ってば懲りないなぁ」

('A`)「そんなに何度もやってるんすか?」

村正「そうじゃな。元より雅楽は悪戯好きでなぁ」

村正「九十九仙人のそういう所を詰め合わせたようなヤツじゃ」

('A`)「そんな風に見えなかったんすけどねぇ……」

白理「どうします?私としてはすぐにでも墨で真っ黒にしてやりたいんですが」スチャ

雅楽「ひっ!」

(;'A`)「……顔に落書きするくらいで許してやって下さい」

('A`)「雅楽さんも、今後は控えて下さいね」

雅楽「は、はいっ!」

白理「少し甘い気もしますが……では」グリグリ

雅楽「あぁー!筆がくすぐったいー!!」

雪柳「自業自得ね」

寅娘「少しは懲りるといいんだけど」ハァ


村正「変な事に時間を割いてしまったのう」クックッ

白理「全くです。さて、次はこちらの茶屋を――」

平蜘蛛「あ、いらっしゃーい白理はん。あれ?そちらはどなたでっしゃろ?」

白理「おや、今日はここでしたか。こちらは新たな造物主様ですので――」

平蜘蛛「ぞうぶつしゅ……ええええええ!?」

('A`)「?」

平蜘蛛「そ、そんなんウチ聞いてへんで!?」

白理「言ってないでしょうね……」

平蜘蛛「いややわぁ~。言うてくれたらウチから挨拶に出向きましたよってに……」

平蜘蛛「店先ですんまへん。ウチ、古天明平蜘蛛いいます~」ペコリ


平蜘蛛
http://i.imgur.com/xtfWv6Q.jpg


孔明「平蜘蛛は茶釜の物霊でね、城下町の色んなお店を手伝ってるんだよ」

('A`)「ほうほう」

平蜘蛛「孔明はんの言う通り、大体日替わりでお店を手伝うとるんです」

平蜘蛛「ウチ、戦闘は苦手やさかいに、これくらいしか役に立てまへんけど……」

('A`)「……偉いなぁ」

平蜘蛛「ふぇっ!?」

平蜘蛛「そ、そんなん勿体無いお言葉ですわ旦那様~」エヘヘ

白理「働き者なのは間違っていませんよ」

平蜘蛛「もぉ、白理はんまで……そや旦那様、御挨拶代り言うたら悪いかもしらんけど……」ゴソゴソ

平蜘蛛「はい、こちらのVIP券をどうぞ~」スッ

('A`)「コレは?」

平蜘蛛「へえ、ウチが店番しとる店でお買い物した人に渡しとる券でしてなぁ」

平蜘蛛「十枚集めると!なんと!」カパッ

平蜘蛛「このカラー土鍋をプレゼント~!」ジャーン

(;'A`)(頭に載せてる鍋から鍋が出て来た……どうなってんだ)


平蜘蛛「あ、この釜でっか?コレの秘密はいくら旦那様でも話せませんでな~」

平蜘蛛「すんませんけど、勘忍して下さいね~」

('A`)「あ、いや、気にせんで下さい」

孔明「白理もどうなってるか知らないんだっけ?」

白理「ええ。私にも知らない事はありますから」

村正「秘密にしておいた方が良い事もあるからのう」パリポリ

白理「……村正、何を食べているのです?」

村正「ぬしらが長話しておるからな、先に菓子屋に行ってきたのじゃ」

村正「ほれ、ぬしも食わんせ」スッ

(;'A`)「あ、あざっす」

孔明「アタシももーらいっ」


白理「はぁ……」

村正「それよりも、じゃ」

村正「そろそろ帰らんと、夕飯の準備に間に合わんぞ?」

白理「そ、そうですね……まだ案内する場所はあったのですが」

村正「明日にすれば良かろ。わっちも久々に歩いてくたびれておるのじゃ」

平蜘蛛「そーいえば、先の悪霊退治でやられてしもた聞きましたけど……?」

村正「む……まぁ、そうじゃな」

平蜘蛛「村正はんらが負けるような悪霊、大丈夫やろか……ウチ心配やわぁ」

村正「案ずるでない。次はきっちり退治してやるぞ」

平蜘蛛「へえ、頼りにしてますさかい、ウチで手伝える事があったら言うて下さいね~」

白理「ええ。では行きましょうか」

本日はここまで


――九十九城・食堂


孔明「ごちそうさまでしたー!」

村正「うむ、やはり腹を空かせた後は一層美味く感じるのう」

孔明「そうだよねー。ドクちゃんもお疲れ様っ」

('A`)「あー、いや、ありがとうございました」

孔明「へ?何が?」

('A`)「街の案内っす。思ってたより活気があって楽しかったんで」

白理「その割には、いつものぶttもがっ」

孔明「白理、ドクちゃんは笑うのも苦手なんだってば」ヒソヒソ

白理「そ、そうでしたね」ヒソヒソ

('A`)「……」

('A`)(俺の悪口じゃない俺の悪口じゃない俺の悪口じゃない……)

村正「……」


('A`)「ところで、白理さんが他に紹介したかった店って何だったんすか?」

白理「あ、店では無く物霊です」

('A`)「他にも物霊がいるんすね」

孔明「うん!鈴と平子っていうんだよ!」

(;'A`)「……鈴と太鼓?」

白理「タエコ、です。本名は地動と言うのですが、孔明が付けたあだ名を気に入ったようでして」

孔明「平子はスゴイんだよー。何しても絶対倒れないんだから」

村正「街の力自慢と押し合っても負けなかったくらいじゃからのう」

(;'A`)(脳内イメージがハート様に固定されそうなんすけど)


白理「それと、鈴の方なのですが……」

白理「ある事故で目が見えなくなってしまっています」

('A`)「……直せないんすか?」

白理「……残念ながら……」

村正「……失くした腕は生えぬ。失くした脚は生えぬ」

村正「わっちらとて同じじゃぞ?」

('A`)「……すんません、失言っした」

孔明「そっ、そうだ!明日はドクちゃんの知り合いが来るんだよね?」

孔明「どんな人なの?」

('A`)「結構サバサバした女性っす」


('A`)「あー……この世界にも四聖獣ってあります?」

白理「ええ。青龍、白虎、朱雀、玄武……伝説上の生き物で、神の遣いと言われていますね」

('A`)「その白虎さんっす」

孔明「へ?」

白理「は?」

村正「ほぉ」

白理「はぁっ!?」ガタッ

('A`)「俺のいた世界じゃ実在してるんすよ」

白理「ま、待って下さい。神の遣いがいるという事は、神自身も?」

('A`)「いますよ。二、三人ほど会ってます」

白理「あはははははははははは!!」

孔明「あぁっ!白理が壊れた!」

村正「魂消たのう……わっちらのような血腥いモノが会ってよいのかえ?」

('A`)「その辺は大丈夫っすよ。気にされてないんで」


白理「……失礼しました」コホン

白理「とんでもない世界から来ているのですね……」

('A`)「あー、いや、基本的に知ってる人の方が少ないっす」

('A`)「俺も巻き込まれるまでは神様とか妖怪とか作り話だと思ってたんで」

白理「巻き込まれた、とはどういう事ですか?」

('A`)「あー……」

('A`)「ある物が信仰を集めて付喪神が発生して」

('A`)「その付喪神が俺の事を気に入って取り憑かれたって感じっす」

孔明「……とんでもない話じゃないのコレ?」

('A`)「そっすか?まぁ確かに命に関わりましたけど……」

('A`)「無事に助けられましたし」

村正「助けられる連中も連中じゃ……」


――翌朝・造物主の部屋


白虎「――で」

孔明「よかった~。もっとコワーイ虎が来ると思ってたよ~」

白理「孔明」

孔明「はいっ!」ピシッ

村正(眠い……)ウツラウツラ

白虎「随分賑やかだね、ドクオ君?」

('A`)「隠し事は良くないと思ったんで」

白虎「まぁいいけどさ……初めまして、ボクは白虎。ヒトの姿で失礼するよ」

白虎「ドクオ君が世話になってるね」

白理「お初にお目に掛かります、白理と申します」

白虎「あぁ、そんなに畏まらなくてもいいよ」

白理「ですが……」

白虎「ボクが神の遣いとか言われてるからでしょ?」

白虎「そんなの気にしなくていいよ。ボクらだって誰かに造られたモノかも知れないからね」


白理「……お心遣い、感謝致します」

孔明「堅苦しいのは苦手だからねー」

白虎「ボクもだよ。気が合うね」

村正「……」

白理「村正」

村正「んん……起きておる。起きておるぞ……ふぁあ……」

白虎(随分個性的な人達だね)

白虎「さて、まずはドクオ君にコレを」スッ

('A`)「ウス」

白理「それは……書簡ですか?」

白虎「そ。NIRO……ドクオ君が所属している組織なんだけど、そこからの正式な辞令だよ」

('A`)「現地の調査を進めよ、と……これまで通りやれって事っすね」

孔明「新しく人が来たりしないの?」


白虎「それなんだけどね。ドクオ君のパートナーである葛霧君がこの世界じゃ弱っちゃうんだよね」

('A`)「どういう事っすか?」

白虎「うん。試しにココの環境……つまり電灯も電話線もネットも無い環境を疑似的に造ってみたんだけどね」

白虎「酷い脱力状態に陥っちゃったんだ」

('A`)「無事なんすか?」

白虎「心配いらないよ。数時間で快復したから」

('A`)「よかったっす。でもなんで……」

白虎「ノヴァに身体を造って貰ったとは言え、魂はネット上に発生した九十九神だからね」

('A`)「あぁー……」

孔明「むー……?」

白理「あの……」

白虎「何かな?」

白理「先程から聞きなれない言葉ばかり耳にしますが……」

白虎「あぁ、ごめんごめん」


白虎「説明は多分、ドクオ君がしてくれるんじゃないかな」クスクス

('A`)「丸投げっすか……」

白虎「ボクも長居出来ないんだよ。門の施術があるからね」

白理「門って……あの森の中の門ですか?」

白虎「そ。あれを内側から細工して、怪物がこの世界に入らないようにするんだ」

白虎「但し、この世界に既に入り込んじゃった怪物を退治するのはこの世界の住人の仕事」

白虎「君達にはその力があるみたいだからね」

白理「は、はぁ……?」

村正「そういう事なら任せてくりゃれ。先は不意を突かれたが、今度は仕留めてやろうぞ」

孔明「あ、起きてたんだ」

村正「ずぅっと起きておったぞ?」


白虎「うん。その辺りはボクからもお願いするよ」

白虎「さて、じゃあ最後にコレ」スッ

白理「それは?」

('A`)「俺の仕事道具っす」

孔明「へー!なになに!?」ズイッ

白理「孔明、見えません」グイッ

(;'A`)「後で説明しますって……」

('A`)「……ん、全部揃ってます」

白虎「オーケー。じゃあボクはそろそろお暇するよ」

('A`)「あ、その前に一ついいっすか?」

白虎「何だい?」

('A`)「フユノさん、元気してます?」

白虎「……余り元気とは言えないね。しばらくは休むよう言われていたよ」

('A`)「そっすか……ありがとうございます」

本日はここまで


――数刻後・食堂


村正「さてぬしや。さっき気に掛けておったフユノとは何者じゃ?」

孔明「もしかして恋人とか?」

('A`)「違いますよ……一緒に平行世界の調査をしてた人っす」

('A`)「俺のいた世界とも違う、また別の世界から来た人なんすけどね」

白理「ほう」

村正「……ややこしいのう……」

孔明「元気が無いって言ってたけど、心当たりがあるの?」

('A`)「……フユノ先輩、自分のいた世界が見つからなくて焦ってるんすよ」

('A`)「要するに迷子っす」

村正「難儀じゃのう……」

孔明「……もしかして、アタシもそうなってたかもしれなかった、とか?」

('A`)「あー……かもしれないっすね」

孔明「よかったぁ~……ドクちゃんのお陰だよっ」

('A`)「見つけたのは葛霧っす」

孔明「直してくれたのはドクちゃんでしょ?」

孔明「改めて、ありがとねっ」

('A`)「はぁ」


白理「ええと、そういった迷子の保護も、ドクオさんの組織……ないろとやらの仕事なのですか?」

('A`)「そうっすね」


『ごめんくださいませええええええええええええええええええええええええええええええええええ』


(;'A`)「!?」ビクッ

孔明「この声は……」

白理「孔明!急いで出迎えに――」


<ドスーン


白理「――遅かったようですね……」ゲンナリ

(;'A`)「な、なんかすごい音したんすけど?」

村正「平子じゃな……」


地動
http://i.imgur.com/UbrUNDP.jpg


――九十九城・城門


地動「けほっ……軽くノックしただけでしたのに……」

地動「セバスチャン、この門を取り壊して新たな城門を造らせなさい」

執事「畏まりましたお嬢様」

地動「前よりも立派な物を造るよう言っておくのよ」

執事「勿論で御座いますお嬢様」

白理「地動!!」タッタッタッ

地動「あら白理様、御機嫌よう。新たな造物主様が現れたと聞いて、ご挨拶に伺いましたわ」

(;'A`)(何だありゃ……門扉が片方吹っ飛んでんぞ……)

孔明「ありゃー……」

村正「見事に壊されとるのう」クックッ


白理「地動!何度城門を壊せば気が済むのですか!」

地動「申し訳ありませんでした……すぐに新たな城門を造らせるよう手配しますわ」

白理「そういう事ではありません!手加減を覚えなさいと言っているのです!」

地動「そ、そんなに怒鳴らなくてもよろしいのではなくて?」

村正「はいはい、二人ともそこまでじゃ」パチン

地動「あら村正様、ご機嫌よう」

白理「……」ムスー

('A`)「……あの二人、仲悪いんすか?」

孔明「白理の気が立ってるだけだよ。知識欲が満たされていないからね」

('A`)「……なるほど。半分は俺の責任っすね」

白理「何か?」

(;'A`)「何でも御座いません、ハイ」


地動「孔明様も御機嫌よう」

地動「まぁ、まぁまぁまぁ。そちらが噂の造物主様ですか?」

('A`)「え?あー、まぁ、一応」

地動「突然の訪問、お許しくださいませ。お初にお目に掛かります、地動儀と申しますわ」

地動「親しい者からは平子と呼ばれておりますので、どうぞそれに倣い御呼び下さいませ。以後、お見知りおきを」ペコリ

('A`)「はぁ、どうも、ドクオっす」

地動「ドクオ様ですわね。こちらはセバスチャンですわ」

執事「造物主様、此度は突然の訪問、さらに城門の破壊、誠に申し訳ありません」フカブカ

執事「本来であれば事前に訪問を告げるのが道理。ですが、此度はお嬢様がお家を飛び出されてしまいまして――」


地動「セバスチャン?いつまで話しているのですか?早く城門を直す手配を」

執事「はっ!では失礼いたします」

白理「地動は行かないのですか?」

地動「ドクオ様との交流を深めるのが大事ですので。それよりまずは――」ヒョイ

地動「このガラクタはどこに置いておけばよろしいでしょう?」

(;'A`)(片手で三メートル以上ありそうな門扉を持ち上げてらっしゃる……)

白理「……はぁ……その辺に置いといて下さい……まったく……」ブツブツ

地動「解りましたわ」ドスーン


地動「ぶほっばほっ!」

('A`)「げっほげほ!」

孔明「ごほっごほっ」

村正「けほっけほっ」

白理「こほっ……地動!」

(;'A`)(メンコの原理で砂埃が……っ!)


――食堂


地動「……」シュン

白理「……」プイッ

村正「……孔明」

孔明「なに?」

村正「後は任せたぞ。わっちは寝る」スタスタ

孔明「あー!村正ずるーい!」

('A`)「えーと……地動さんは俺に挨拶しに来たんすよね?」

地動「まぁ!私とした事が大事な事を……」

地動「まずは九十九仙人様に力量を認められ、造物主となられた事をお祝い申し上げます」ペコリ

(;'A`)「あ、はい」

地動「なにぶん急な話でしたので、献上品をご用意できなかったもので……」ゴソゴソ

地動「代わりと言っては何ですが……こちらに百万霊石ご用意いたしましたわ。お納め下さいませ」ドスン


<メキッ


白理「あぁ卓から悲鳴が……」ハァ

(;'A`)「……百万!?」

地動「はい。確かめましょうか?」


(;'A`)「いや、それは結構っすけど……いいんすかこんな大金……」

地動「大金……ですか?」キョトン

孔明「ドクちゃんドクちゃん」

(;'A`)「はい」

孔明「平子はね、所謂お嬢様なんだよ」

(;'A`)「……物霊にもお嬢様が?」

地動「はい。私、この地を古くから治めていた豪族の屋敷にあった地動儀の物霊ですの」

地動「今では娘として身を置かせて貰っていますわ」

('A`)「えーと、すんません白理さん」

白理「何ですか?」

('A`)「地動儀って何です?」

白理「……そちらの世界には無かったのですか?」

地動「?」

('A`)「少なくとも自分は聞いた事無いっす」


白理「そうですか……いいでしょう、お教えしましょう」ピコピコ

('A`)(よかった、ちょっと元気になった……)

白理「地動儀というのは、地揺れがあった時に揺れが発生した方角を知る為の道具です」

白理「本来は大きな水瓶の形をしているのですが……地動、鎚を見せて下さい」

地動「はい、こちらですわ」ヒョイ

('A`)(デケェ……)

白理「あの鎚に龍と蛙が拵えられているのは見えますね?」

白理「地揺れの起こった方角の龍の口から玉が落ち、その下にある蛙の口へと入る仕組みになっているんです」

('A`)「ほぉー……」

白理「これにより、より迅速に地揺れの被害調査に向かう事が出来る、という訳です」

白理「さて、情報量は十霊石ほどでしょうか……ツケておきます」

(;'A`)「……うす。ありがとうございました」


('A`)「で、えーと……あぁ、この霊石っすけど」

('A`)「俺には必要ないんで、皆さんで分けて下さい」

孔明「えー?貰っときなよー」

白理「そうですよ。どうせ九十九仙人から貰っている分だって少ないのでは?」

('A`)「……自分は部外者っすから」

白理「!」

白理「何を言っているのですか」

白理「既に二人の物霊を召喚している以上、アナタは立派な造物主なのですよ?」

白理「それを部外者などと……!」

孔明「は、白理落ち着いて!」

白理「いいえ!ドクオさん!」

('A`)「はいっ」ビクッ

白理「アナタが別世界から来ていようと!」

白理「誰が何と言おうと!」

白理「アナタは私達の主であると心得て下さい!」


('A`)「……サーセン」

白理「……取り乱してしまいましたが、この際言っておきます」

白理「アナタはもっと、私達に対して心を開くべきです」

('A`)「……善処します」

地動「あ、あのー……一つ、よろしくて?」

孔明「な、何かな?」

地動「別世界から来た、とはどういう事なのでしょう?」

('A`)「あー……」


地動「――そうですの……そうとは知らず、先程はお祝い申し上げるなどと無礼な事を言ってしまいました」フカブカ

地動「どうかお許し下さいませ」

孔明「知らなかったのは仕方ないよ。ねっ?」

('A`)「そうっすよ。気にしないで下さい」

地動「はい……あの、私で手伝える事があれば何でも仰って下さいましね?」

地動「この平子、必ずや造物主様のお力になりますわ」

('A`)「ありがとうございます。でも、造物主って呼び方はやめて下さい」

地動「あら?栄えある称号ですのに……何故ですの?」

('A`)「……あんまり人の上に立った事が無いもんで、どうにも慣れないんすよ」

('A`)「ドクオでいいっす」

地動「そうですの……分りましたわ、ドクオ様」


――城門


地動「では皆様、私はこれで失礼いたします」ペコリ

執事「城門の復旧も、近日中に行われる事となります」

執事「此度は誠に申し訳ありませんでした。失礼いたします」フカブカ


孔明「行っちゃったねー」

('A`)「ええ……さて、白理さん」

白理「何でしょう?」

('A`)「俺の仕事道具の説明、いります?」

白理「ええ、是非!」ピコピコ

孔明「あ、その前にあの霊石置いとかなくちゃね」

('A`)「そっすね……俺の部屋に置いときましょうか」



(;'A`)「重ォい!コレ重ォい!」ググググググググ

孔明「ドクちゃんファイトっ!」

本日はここまで


――数刻後・造物主の部屋


白理「それで、どのような道具なのですか?」ワクワク

孔明「こんなに目を輝かせてる白理は初めて見たよ……」

白理「何を言っているのです。異世界の道具ですよ?」

白理「好奇心探求心が刺激されるのは当然の事です」

孔明(こんな白理を見てたらちょっと醒めちゃったなー)

('A`)「えーと、一番使う事が多いのがコレっすね。デジタルカメラ」コト

孔明「何この小っちゃい箱?」

白理「でじ……? 何をする道具なのですか?」

('A`)「写真を……あー、まぁ見て貰った方が早いかもです」


('A`)「えっと、孔明さん、ちょっとその辺に立って下さい」

孔明「こう? って何でその道具向けるのちょっと待ってタンマタンマタンマ!!」

(;'A`)「どうしたんすか」

孔明「なんか!こう!その穴から何か出て来るとかじゃないよね!?」

(;'A`)「そういうんじゃないっすから。安心して下さい」

孔明「……信じてるからね?」

('A`)「あざっす」

白理「……ドクオさん!なんか小さな孔明が!」

孔明「どれどれー?」ヒョコ

孔明「あれ?部屋の壁が……何で?」

('A`)「あー、コレが今この道具の見えてる風景っす」


白理「……?」

孔明「むー?」

('A`)「あー……何と言うか、この道具の見えてる風景を絵に描くような……」

('A`)「まぁ、そんな感じっす」

白理「絵を?筆も顔料も入っているようにはとても見えませんが……」

(;'A`)(説明超ムズイ)

('A`)「えーと……じゃあこの部屋からの風景でも撮ってみましょうか」カシャ

白理「今の音は?」

('A`)「出来ましたよって合図っす。ホラ」

白理「……本当に城下町の街並みですね……」

孔明「でも小っちゃくない?」


('A`)「そこでこちらのパソコンってのを使って……」チヂッ

白理「冊子のように開くのですね……何ですかこの黒い鏡は?」

孔明「わ!模様が浮かんできた!」

白理「……何やら描かれていますが……」

('A`)「コイツとコイツを線で繋いで、さっき撮ったのを取り込むと……」

孔明「あれ?さっきの絵がおっきくなってる?」

('A`)「えー、こうやって色んな世界の風景を収めてく訳っす」

白理「げ、原理が解らない……」

('A`)「使ってる俺でも解らん事の方が多いっす」

孔明「はー。ただ便利だから使ってる訳だね」

('A`)「そうなりますね……」

白理「あの、ここに並べられた四角いモノは何でしょうか?」

('A`)「あー、文字入力とかに使うモンっす」


白理「文字も書けるのですか?」

('A`)「えぇ、こうやって……」カタカタ

孔明「ふぁー……」

白理「……見ていても何一つ解りませんね……」

('A`)「まぁ、こういう道具を使って異世界の調査書を作るのも俺の仕事っす」

('A`)「白理さん、どうしたんすか?」

白理「いえ……この絵を見ていると目がチカチカしてきたので……」コシコシ

('A`)「あー、この世界には無い光ですからね……一旦閉じておきます」パタン

白理「ありがとうございます」コシコシ

孔明「ね!ね!このでじ何とかってアタシ達でも使えるの?」

('A`)「カメラっす」

孔明「かめら!……亀とは関係ないよね?」

('A`)「無いっす。誰でも使えますよ」


孔明「じゃ教えて!」

('A`)「えー、まず撮りたい風景をこの枠に入るようにして……」

孔明「むっ」スチャ

('A`)「ここをゆっくり押し込んで……」

孔明「むむっ」ソー

孔明「あ、ぼやけなくなった」

('A`)「そしたらここをさらに押し込んでけばオッケーっす」

孔明「むむむっ」カシャ

孔明「ふわっ!」ビクッ

孔明「大丈夫!?壊してないよね!?」

('A`)「ん……大丈夫っす。ちゃんと撮れてますよ」

孔明「おおー……」

白理「あの、私もやってみたいのですがいいでしょうか?」

('A`)「どうぞどうぞ」


白理「これは良い物ですね……しかし、画家がいなくなってしまうのでは?」

('A`)「そうでもないっす。コッチの世界にも画家はいますし」

('A`)「手描きにしか出せない雰囲気っつーか、あるじゃないっすかそういうの」

白理「ふむ……意外と文化事にも理解があるのですね」

孔明「意外、は余計じゃない?」

('A`)「いや意外っしょ?」

孔明「そうかなぁ?」

('A`)「さて、説明はこの辺にして……工房行ってきます」

孔明「あ!カメラ使うの?」

('A`)「そっすね。一応」

孔明「アタシがやってもいいかな!いいよね!?」

('A`)「そっすね――」

白理「あ、あのっ!」

('A`)「?」

白理「孔明、少し頼まれてくれませんか?」

孔明「ん?」


――厨房


孔明「アタシ達に料理任せるなんて、珍しい事もあるもんだねぇ」トントン

村正「そうじゃなぁ」ゴシゴシ

村正「おお」ポン

村正「ひょっとしたら、白理はドクオを慕っておるのかもしれんぞ?」

村正「こうして二人きりになれる機会を虎視眈々と狙っておったのかもなぁ」クックッ

孔明「そうかなぁ? あ、でもさっき――」

~~~

白理『アナタは私達の主であると心得て下さい!』

~~~

村正「なんじゃ、白理が言うたのかえ?」

孔明「うん」

村正「……よいな。うむ、実によい……」クックッ

村正「さて、わっちらの主の為、腕によりをかけるとしようかの」

本日はここまで


――工房


('A`)「……」カシャ

白理「……」

('A`)「よしっと……」

白理「……」

('A`)(孔明さんと村正さんに飯の準備を頼んだって事は、何か話があるんだろうけど……)

(;'A`)(なんか、知らない内に気に障る事でもしたんだろうなぁ……)

白理「……あ、あの、ドクオさん」

('A`)「あ、はい」

白理「その……先程は失礼致しました」ペコリ

('A`)「えーっと……」

白理「……」

('A`)「何の話です?」

白理「あ、その、気が立っていたとはいえ、アナタに造物主であると心得ろなどと……」


('A`)「あぁ、あれくらい気にしないで下さい」

白理「しかし……」

('A`)「今日は朝から色々ありましたからね。しょうがないっす」

('A`)「むしろ、俺の方からお礼を言わせて下さい」

白理「れ、礼など私には……」

('A`)「白理さんが喝入れてくれたお陰で、ちょっとやる気出てんすよ今」

('A`)「だから、ありがとうございます」

白理「……変な人ですね」クス

('A`)「よく言われます」


('A`)「……」カン コン

白理「……」カシャ

(;'A`)「白理さん?」

白理「何でしょう?」

(;'A`)「なんで俺撮ったんすか」

白理「何となく、ではいけませんか?」

('A`)「……まぁ、別にいいっすけど」ギッ ギッ

白理「使い慣れておきたい、というのもあります」

('A`)「はあ」

白理「……ドクオさん」カシャ

('A`)「はい?」カン

白理「こちらの生活には、慣れましたか?」


('A`)「……まぁトイレや風呂はもう慣れましたけどね」

('A`)「あー、でも買い物行ったり、山菜採ったり、薪割ったり……」

('A`)「日常的な事は何もしてないっすね」

('A`)「いつもやってもらってすいません」

白理「キミが謝る事ではありませんよ」

('A`)「それでもっす」

白理「頑固なんですね」クス

('A`)「そっすね。割と」


('A`)(あれ?今『キミ』って呼ばれた?)


白理「もし作業の邪魔でなければ、これまで渡り歩いてきた世界の事を聞かせて欲しいのですが」

('A`)「え?あぁ、いいっすよ」

白理「では、初めて異世界に行った時の事を聞かせてもらえませんか?」

白理「少し……いえ、かなり興味があります」

('A`)「んー……初めての時は……あぁ、フユノ先輩の故郷探しに連れてかれた時っすね」


――――

――


――数刻後・食堂


孔明「ドクちゃんお疲れ様ー!」

村正「干将には及ばぬかも知れんが、頑張ったぞ」

('A`)「ありがとうございまっす」

白理「ありがとうございます。さ、頂きましょうか」

孔明「うん!もうお腹ペコペコー」

村正「これ孔明。先程つまみ食いしておったじゃろ」

孔明「う、バレてたかー……」

白理「村正、それくらい見逃してあげましょう」クス

村正「なんとも珍しい事もあるものじゃな……」


孔明「ねぇドクちゃん、白理と何かあったの?」ヒソッ

('A`)「多分知識欲が満たされたんじゃないっすかね?」ヒソッ

本日はここまで


村正「――さてと、ぬしはこれからどうするのじゃ?」

('A`)「あー、早いトコ干将さんと莫邪さん直したいトコっすけど……」

('A`)「昨日言ってた鈴さん?の方にも挨拶に行った方がいいかな、と」

村正「ふむ」

白理「そうですね……では彼女の都合を聞いて来ましょう」スクッ

('A`)「あー、いきなり行っても迷惑ですもんね。お願いします」

孔明「むー、じゃあ今日も工房に籠るの?」

('A`)「そっすね」

村正「そうか……急かすようで悪いが、干将はどれくらい直っておるのじゃ?」

(;'A`)「えーと、ごじゅっぱ、いえ、五割くらいっす」

孔明「えー!?前に干将の方ほとんど直ってたよね!?」


村正「なんぞ、手違いでもあったのかえ?」

白理「……」クスクス

孔明「何笑ってんのさ白理ー」

白理「いえ……ドクオさん、キミはどうにも言葉が足りないですよ?」

('A`)「え?あー……」

孔明「どーゆーこと?」

('A`)「干将さんと莫邪さん、合わせて十割だと思ってたっす」

村正「なるほど、そういう事じゃったか……確かに言葉が足りぬのう」クックッ

孔明「ビックリさせないでよ、もー」

('A`)「サーセン」

村正「そういう事なれば大丈夫そうじゃな。わっちは留守の番でもしておこうぞ」

村正「ぬしは安心して作業に励むがよい」

('A`)「ウス」


――工房


('A`)「……」ゴソゴソ

孔明「あ、ねぇねぇドクちゃん大変!」

('A`)「なんすか?」

孔明「カメラ壊しちゃったかも!」

('A`)「どれ……あぁ、充電切れっすね。大丈夫っすよ」

孔明「じゅーでん?」

('A`)「えーと……要するに腹が減って動けない状態っす」

孔明「え、何か食べるのソレ?」

('A`)「パソコンもそうっすけど、電気で動いてんです」

孔明「電気? 前にも聞いたような……?」


('A`)「えーと……目に見える形で一番解りやすいのは雷っすね」

孔明「えー、雷は嫌いだよー……」

('A`)「大丈夫っす。雷ってのは電気の中でも一番強いもんだと思って下さい」

('A`)「で、雷が落ちると、木とか燃えるのは知ってます?」

孔明「うん。山火事の原因だよね?」

('A`)「そうっす。つまり強い電気は物を燃やせるほどの力がある、と」

孔明「……このカメラもソレで動いてるの?」

孔明「なんか怖いなぁ……」

(;'A`)「あー……俺の説明が悪いっすねコリャ」

孔明「難しい事はよく分かんないけどさ、要するに電気を食べさせてあげればいいんだよね?」

('A`)「そういう事っす。後でやっときますんで」

孔明「はーい」


――九十九仙人の部屋


「……」ゴソゴソ

村正「……賊か」

「!」バッ

村正「何をしておる。さっさと逃げた方が身の為じゃぞ?」

村正「わっちに刃を向けるという事は、この者達の仲間になりたいという事じゃからのぅ?」ズモモモモモ

「……!?」ダッ

村正「……逃げたか。盗られたものは無さそうじゃな……ふわ……」

村正「さて、もう一眠りするか、の」スタスタ


――数刻後・工房


白理「ただいま戻りました」

孔明「おかえりー」

('A`)「お疲れ様です」

白理「すぐに夕飯の支度に掛かりますから、鈴の話はその後でよろしいですか?」

('A`)「ウス、大丈夫っす」

孔明「あ、アタシも手伝うー!」

白理「ありがとうございます。じゃあ行きましょうか」

孔明「うん!楽しみにしててねー!」

('A`)「はい、お願いします」


('A`)「……」カン カツ

('A`)(やっぱ一人の方が気が楽だな)カン

('A`)(前の職場の時だって――)

~~~

『レレレレ!!レレ!』

~~~

('A`)「……」ブルッ

('A`)「はぁ……集中集中……」ギッ


――数刻後・食堂


白理「さて、鈴の方ですが明日の昼以降に約束を取り付けました」

('A`)「ありがとうございます。ついでに買い物もして帰りましょう」

孔明「やった!お出かけだー!」

村正「土産はよろしくのぅ」

孔明「むー、そーやって今日みたいに部屋でぐーたらしてるつもりでしょー?」

村正「ほぅ……バレておったのか」クックッ

白理「村正……」ハァ

村正「どの途、この城を空ける訳には行くまい?」

村正「今は城門の直しで人が出入りしておるから、の」

本日はここまで


――数刻後・造物主の部屋


(;'A`)「……ッ……ッ」グルグルグルグル

(;'A`)「……ッ……ッ」グルグルグルグル

(;'A`)(まさかの手回し発電機……ッ)グルグルグルグル


――翌日・工房


孔明「……」ボー

('A`)「……」

('A`)(なんかすんげー元気ないけど怒らせるような事したか俺……)

('A`)(やっぱもっと話し相手になった方がいいのか)

('A`)「……あのー、孔明さん?」

孔明「んー?なぁにー?」

('A`)「何か元気無いっすけど、大丈夫っすか?」

孔明「あぁー、今日さー、雨降ってるでしょ?」

('A`)「へ?あ、そうっすね」

孔明「アタシの本体ってさー、ほら、孔明燈だから」

孔明「雨降ったりすると元気なくなっちゃうんだー。ごめんねー」

(;'A`)「そうでしたか……えー、お大事に?」

孔明「ありがとー」


('A`)「と、そうなると今日の外出も無理そうっすか?」

孔明「うん。ごめんねー」

('A`)「いやいや気にせんで下さい。また今度にしましょう」

孔明「うん、やくそくー」

('A`)「はい、約束っす」

('A`)「あ、辛かったら部屋で休んでた方が……」

孔明「んー……やだぁ、ドクちゃんの傍にいるー」

('A`)「あ、はい……ありがとうございます」

孔明「んー」


――正門前・正午過ぎ


('A`)「では行ってきます」

白理「御同行出来ず申し訳ありません……行ってらっしゃい」



('A`)(孔明さんがあんな状態なので白理さんに見て貰ったのはいいとして……)

('A`)(村正さんがあんなだとは思わなかったなぁ)


~~~

村正『んぅ~?わっち……まだ眠ぅい……』ゴロゴロ

~~~


('A`)「……」ハァ


ザアアアアアアアアアア


('A`)「……」バシャバシャ


ザアアアアアアアアアア


('A`)「……ジェット人参空飛ぶ人参♪」ボソッ

子娘「なんだー?何してんだオッサン?」ヒョコッ

(;'A`)「うおおおおお!?」

卯娘「……こんにちは」

('A`)「あぁ、お二人で……見回りお疲れ様です」

子娘「おうよ!で、オッサンは何してんだ?」

('A`)「オッサンは鈴さんを訪ねるトコ」

卯娘「……オッサンなのは否定しないの?」

('A`)「しても仕方ないっすから」


子娘「よしっ!そーいう事ならアタシ達が案内してやるよ!」

('A`)「職務中」

卯娘「職務中」

子娘「うぐ……で、でも困った人を助けるのはアタシ達の役目だし……」

卯娘「……困ってる?」

('A`)「わりと」

子娘「な!?ホラ困ってるって言ってるだろ!?」

卯娘「……困らせてる、って言った方がよかったかも」

('A`)「ま、いいでしょう。お二人とも案内お願いしますね」

子娘「おうっ!ふんふんふふ~♪空飛ぶ人参ー♪空飛ぶ人参ー♪」

('A`)(聞かれてた……死にたい……)

本日はここまで


――城下町外れ・鈴の邸宅


ザアアアアアアアアアア


子娘「じゃあまたなーオッサン!」

卯娘「……」ペコリ

('A`)「はい、二人ともありがとう」

('A`)「さてと……ご、ごめんくださーい?」


ザアアアアアアアアアア


('A`)(この雨音だし聞こえてないか?)

『開いています。どうぞ』

('A`)「あ、はい……失礼します」ガラッ

鈴「初めまして造物主様。神楽鈴が物霊、鈴と申します」

('A`)「あ、初めまして、ドクオです」

鈴「白理から話は聞いています。どうぞ上がって下さい」

('A`)「あ、お邪魔します」



http://i.imgur.com/a1zZU3W.jpg


――鈴の邸宅・居間


('A`)(あの鈴が本体かな?)

鈴「……これが気になりますか?」チャ

('A`)「え、あ、まぁ……」

鈴「この地で昔から神事に使われていた神楽鈴です」

鈴「人の心の闇を取り払い、清めるのが私の務め」

('A`)(なんで鈴見てるの判ったんだろ)

鈴「……私はこの通り目が見えません。ですが、音で判ります」

('A`)「音で……」

鈴「ええ。先程二人ほど他の方の足音がしていたようですが?」

('A`)(この雨音の中で、か……)

('A`)「あぁ、十二支隊の二人が案内してくれたんです」

('A`)「子娘さんと卯娘さん」

鈴「そうですか」


鈴「……」

('A`)「……えーっと……」

鈴「……造物主様が異世界から来られた、という話も白理から聞いています」

鈴「確かに少し……失礼な言い方かもしれませんが妙な匂いがしますね」

('A`)「あぁ、皆さんからは磯の香りがすると言われました」

鈴「そうですか……私は海に行った事がありませんから」

('A`)「あー、あと、ドクオでいいです」

鈴「造物主と呼ばれるのが苦手、というのも聞いております」

鈴「……責任を負いたくない、というのが本音でしょうか」

('A`)「……」

~~~

『レレレレレレ!!』

~~~

('A`)「……はぁっ」ブルッ

鈴「心が掻き乱されているようですね」


鈴「楽しかった事も、辛かった事も、全てが混ざっている……」


――***


鈴「そのせいで楽しかった事が塗りつぶされている」


――レレレ


鈴「このままでは」


――やめろ


鈴「あなたの心が壊れてしまう」


('A`)「……」

鈴「あなたの事を強く想っている人がいます」

鈴「その人の力で、あなたの心は均衡を保っている状態……」

鈴「もしその人がいなくなってしまえば、その時は」

('A`)「壊れてしまう、と」

鈴「……ええ」

鈴「少し、目を閉じていて」チャ

('A`)「……なんすか?」

鈴「言ったでしょう?私の務めは人の心を清める事」

鈴「後は、あなたが生きる事を諦めなければ悪くはならないはず」

鈴「さぁ、目を閉じて。心を落ち着けて……」


レレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレ
レレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレ
レレレレレレレ憎いレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレ
レレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレ温かいレレレレレレレレレレレレ
レレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレ
レレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレムカツクレレレレレレレレレ
レレレレレ何でアイツがレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレ
何で俺がレレレレレあのクソ上司レレレレレ嫌だ別れたくないレレレレレレレレレレレレ
レレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレ
レレレレレレレレレレレレレレレレレレレレこのまま時間が止まればいいのにレレレレレ
レレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレレ



ザアアアアアアアアアア


鈴「……あとは、生きる事を諦めない事。それを忘れないで」

('A`)「……うす。あざっす」

鈴「もうすぐ雨も止みます。それまでは……」

('A`)「あ、いえ、すぐに帰りますけど」

鈴「……そうですか……」

('A`)「?」

鈴「では、城の皆によろしく伝えておいて貰えますか?」

('A`)「あ、はい。では失礼します」

鈴「……」


ザアアアアアアアアアア


('A`)(生きる事を諦めるな、か……)


ザアアアアアアアアアア


('A`)(なんか、そんな歌詞の曲があったなぁ)


ザアアアアアアアアアア


――数刻後・九十九城食堂


村正「……」ズーン

(;'A`)「――で、村正さんがガチ凹みしてんのはどうしたんです?」

白理「買い置きしていた煎餅が湿気てしまったそうです」

本日はここまで

先の展開が思いつかずに途方にくれたので断念します
ありがとうございました。ではまた、機会があれば

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