提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」 その2 (1000)

前作

提督「ウチは平和だなぁ」艦娘「表面上は」

の続きになります。

基本的には書き貯めてるモノに加筆したり、
修正したりして時間が空いた時に投稿するスタイル。
忙しいと更新が少し止まるかも・・・

前作がss初書きでして
お手柔らかにお願いして貰えると嬉しいです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431193228

鎮守府 正門付近


提督「いやー 帰ってきた帰ってきた」

鈴谷「たった2日離れただけなのに懐かしい感じがするね」

提督「確かにな。それだけ愛着があるんだろう」

熊野「・・・提督?」

提督「熊野か。今帰ったよ」

熊野「今頃ご出勤?のろまなのねぇ・・・」

提督「・・・色々あってな」ハァ・・・

熊野「何かあったんですの?」

鈴谷「来るまでに色々面白おかしい謎なことが・・・」

熊野「・・・?」

提督「まぁあれだ。少し遅くなったが、ただいま」

鈴谷「ただいまー」

熊野「お帰りなさい」ニコッ

鈴谷「あー楽しかったぁ」

熊野「・・・所で」

提督「なんだ?」

熊野「・・・何故2人は手を繋いでいるのでしょう?」ハイライトオフ

熊野(それも・・・これは恋人繋ぎ・・・)

提督「鈴谷が手を繋ごうと言いだしてな・・・」

鈴谷「別に意味はないよー ん?どうしたの? 恐い顔して」ニコッ

熊野「いいえ、なんでもありませんわ・・・」ギリッ

提督「・・・熊野?」

熊野「ねぇ提督・・・私とも手を繋いでくださらない?」

提督「構わないのだが、生憎荷物で塞がっててな・・・」

熊野「その荷物は私が持ちますわ」ヒョイッ

提督「あっ・・・分ったよ。ほらっ」ギュー

熊野「・・・♪」

提督(なんで女の子って手を繋ぐと指を絡めてくるんだろう)

鈴谷「・・・なんで熊野も繋ぐかなぁ」

熊野「いけませんこと? 貴女一人だけずるいじゃない」

鈴谷「・・・私の(出張)特権なんだけど?」

熊野「敷地内に入った時点で無効ですわよ?」

提督「なんだか知らんが早く戻るぞ2人共」

2人「はーい」

執務室

電「・・・この気配。司令官さんが戻ってきたのですっ」

雷「え?・・・あっ本当だわ! 正門の方に司令官の気配を感じるわ!」

金剛「本当デースっ!! やっと戻ったんですネ!!」

天龍(なんでみんな気配とか読めるんだよ・・・)

天龍(めっちゃカッコいいじゃねーか・・・)

金剛「では、その捕虜はとりあえず来賓室へ、提督の判断を仰ぎマスから」

比叡「地下牢ではないのですか?」

大淀「あそこは鎮守府に提督が着任してから使ってないんですよ」

金剛「だからどこに鍵があるか提督しか分からないデース」

南方棲鬼「・・・・・・」

金剛「とりあえず榛名、比叡、霧島は捕虜の監視を」

比叡「了解です」

霧島「分かりました」

榛名「では行きますよ。南方棲鬼さん、どうしました?」

南方棲鬼が見ていたのは執務室の本棚に飾ってあった1枚の写真立て。

榛名(確か・・・提督のお父様とお母様の写真・・・)

南方「・・・・・・」

榛名「なんで貴女は泣いているのですか?」

南方「・・・分からない。私は泣いているのか?」

榛名「ええ、泣いていますけど・・・理由が分からないのですか?」

南方「分からない・・・」

写真立てに写る男を南方棲鬼は見ていた。

何か懐かしい感じがした。

愛しい感じがした。

それが何なのかワカラナイ。

ただ、気が付けば泣いていた。

南方(なんだ・・・この感情は・・・)

榛名「行きますよ?」

南方「ああ、分かった」

金剛「ああああっーーーーーーー!!?」

天龍「どうした!?」

電「資材でも溶けましたか?」

金剛「提督が鈴谷と熊野と恋人繋ぎをしてマス!?」

榛名「・・・え」ハイライトオフ

金剛「じーざす・・・」ハイライトオフ

電「・・・ダメなのですよ」ハイライトオフ

雷「・・・・・・」ハイライトオフ

天龍「え? ええ?・・・」

天龍(なんでこの距離で見えるんだよ・・・こいつ等)

天龍(超かっこいいじゃねーか・・・)

天龍(しかし恋人繋ぎね・・・俺も2回やったけ・・・ふふ・・)カオマッカ

雷(詳しく聞かせて貰えないかしら)

天龍(なんで脳内に声が!?)

電(電も聞きたいのですよ)

天龍(ひっ!?)

大淀「・・・今週の解体任務は2でいきましょうか」ボソッ

榛名「・・・・・・どうして私じゃないんですか」ブツブツ

南方(なんだ?この殺気・・・)ブルッ

提督「なぁ・・・今日こんなに寒かったけ?」

鈴谷「え? 暖かい方じゃないの?」

熊野「ええ、春ですものね」

提督(冷房でも効かせてるのかな・・・)

提督「そろそろ建物の中だし、手を離してくれないか?」

鈴谷「だーめ。執務室につくまでこのままです」

熊野「ですわね」

2人(この機会に鎮守府の他の娘に見せ付ける・・・)

提督「なんか合う艦娘みんな悲壮な顔で理由聞いてくるし・・・」

提督(しかも後ろから皆ぞろぞろ付いてくるし・・・)

艦娘達「ブツブツ・・・」ゾロゾロ

提督「いい加減、説明が面倒になってきたんだが・・・」

鈴谷「大丈夫大丈夫」

間宮「提督さんっ! 戻られたんですね!!」

提督「ええ、ただいま戻りました」

間宮「お疲れ様でした。今夜はごちそうにしましょうか」

提督「嬉しいけど、大げさですよ」ハハハ

間宮「所でなんで熊野さんと鈴谷さんと手を繋いでるのですか?」ハイライトオフ

提督「自分でもよく分からなくなって来ました」

間宮「そろそろ離した方がいいんじゃないですかね」

鈴谷「執務室ついたら離しますよ」

間宮「誤解を生みますし、今すぐがいいですね。今すぐ離しましょう」

熊野「別にいいじゃないですか。誤解したければお好きにどうぞ?」

間宮(そう・・・それが狙い・・・)ギリッ

皐月「司令官! 帰ったなら帰ったって言ってよね」

提督「ああ、今帰ったぞ皐月。ごめんな」

皐月「ダメだね。罰ゲームだ」ピョンッ

提督「ちょっ!? 危ないじゃないか・・・」

間宮(子供である立場を利用して提督の背中に抱きつくなんて・・・)

皐月「執務室までおんぶね」

提督「・・・ったく。執務室までだぞ?」ヤレヤレ

睦月(・・・皐月ちゃん・・・裏切ったね)ハイライトオフ

如月(・・・ずるいわぁ)ハイライトオフ

卯月(そういうのは卯月のお株ぴょんっ・・・)ハイライトオフ

提督「早く執務室へ行かないと・・・書類が溜まる・・・」

陽炎「あの・・・間宮さん」

間宮「どうしたの?」

陽炎「付いてくるなら包丁置いてきてください」

間宮「それじゃあ切れないじゃない」ハイライトオフ

陽炎「何を!!?」

間宮「冗談よ。置いてくるわね」

不知火(顔が本気でした・・・)

執務室

提督「ただいま。金剛、代理ありがとうな」

金剛「提督ぅぅぅぅ!!!!!・・・」

提督「ぶごぉふぉっ!?」

金剛「提督!提督!提督ぅぅぅ!!」スリスリ

提督「いきなり飛びつくな・・・」

金剛「つい・・ソーリ」

提督「まぁ色々あったが、今回の出張は終わりだ。皆も留守中ありがとう」

天龍「おみやげは?」

提督「ああ、そこに」

暁「わぁあっ♪ お菓子が沢山っ!」

北上「なんで生魚がこんなにあるの?」

提督「漁港通ったときに貰ったんだ」

足柄 「・・・刺身・・・いいわね」ジュルリ

隼鷹「酒に会いそうだなぁ」ジュルリ

千歳「ええ・・・熱燗と一緒に」ジュルリ

提督「今はどんな感じだ?」

大淀「本日の書類は全て片付いていますので書類仕事はないですよ」

提督「すまん。助かった」

大淀「いえ、大丈夫ですよ」(いずれ婚約して子宝をもらえれば)

金剛「殆どやったの私じゃないデスか!」

提督「ありがとうな金剛。君に代理を任せて良かった」ニコッ

金剛「っ!!!」

天龍「大丈夫か? 顔真っ赤だけど?」

金剛「ええ、問題ありません。今日も良い天気ですわね///」

電(金剛さんの口調が・・・)

提督「ふむ、書類は無しか・・・」

大淀「少しお休みになられては?」

提督「いや、そういう訳には・・・」

金剛「提督に判断を仰ぎたい案件がひとつありマス」

提督「重要なことか?」

電「捕虜が1名、別室に居ますので処遇を決めて欲しいのです」

提督「・・・捕虜?」

電「深海棲艦の南方棲鬼なのです。どう始末するか判断してほしいのですよ」

提督「・・・!!!!???」

鈴谷「え? どうやって捕らえたの?」

提督「どういうことだ? 詳しく聞きたい」




来賓室

提督「すまん、今戻った。話は聞いたよ」

霧島「お帰りなさい提督」

比叡「司令、お帰りなさーい」

榛名「・・・提督」

提督「榛名には後で話があるから少し時間をくれ」

榛名「はい」

提督「で・・・貴女が深海棲艦・・・」

南方「ああ、そうだ南方棲鬼だ」

提督「少し会話がしたい。いいか?」

比叡「ええ、大丈夫です。不穏な動きをすれば私達が対処しますので」

霧島「もっとも現状、彼女に戦う力はないですけどね」

南方「話す? 何を? 有益な情報など持ち合わせていないぞ?」

提督「いや、ただ色々話をしたいんだ」

南方「何故? そこになんの意味があるの?」

提督「お互いを理解する為に・・・」

南方「何のために?」

提督「何故、争いが起きると思う?」

南方「人間と我々との戦いのこと? 知らないわよ」

提督「意見や考え方が違う者が2人以上居れば争いは起きる」

提督「それも君達と我々は種族すら違う。争いが起きるのは必然だ」

南方「ええ、だから何?」

提督「では戦いを終わらすにはどうすればいい?」

南方「決まっている。争う相手を滅ぼせばいい」

提督「それもひとつの手だ。途方もないことだがな」

南方「他に手があると?」

提督「ああ。それは相手を知り、互いに認めることだ」

提督「そうやって妥協点を少しづつ模索していく・・・」

提督「だから知りたい。貴女達、深海棲艦側の理由を」

提督「何故戦うのか、何故人類を襲うのか、その理由を」

提督「我々は貴女達を知らなすぎるから・・・」

南方「それを知った所で何が変わる? 変わらないよ何も」

提督「変えなきゃダメなんだ。どこかで・・・」

提督「じゃないと永遠にこの戦いは終わらない」

南方「戦いを終わらせる? それが望み?」

提督「ああ、その通りだ」

南方「それが出来るとでも?」

提督「出来るか出来ないかじゃないんだ」

提督「出来ないとしても可能性が僅かでもあるなら・・・」

人類側は深海棲艦が何故敵対し、人類を襲うか分かっていない。

提督「相手が人間なら国家間での話し合いで解決策を模索することも出来る」

提督「それがこちらに不利であったとしても、とりあえず話しに持ち込むことはできる」

提督「だが、君達は人間の社会とは別の所に居る存在だ」

提督「法も秩序も人間の作ったルール。それは君達には通じない」

提督「話合いのテーブルに着くことすら今まで出来なかった」

提督「それが今、目の前に居るんだ。だから・・・」

提督「まずは話をしたいんだ」

南方「言い分は分かった。だが、別に私がそちらの言う所の・・・」

南方「深海棲艦側の意思決定機関ではないぞ? 私個人と話しても意味はないと思うけど?」

提督「ああ、そうだろうね。でも、それでも・・・」

提督「そこから一歩、前に進むことが出来るかもしれない」

思い出す。かつての事件を。

出会った人達を・・・

霧の艦隊と呼ばれる勢力がこの世界に来て、

一部が深海棲艦側に付き、各海域で暴れまわった事件。

人類側に味方した霧の艦隊も居た為、比較的早くに鎮圧できた。

その時、一時的に艦隊に入り、協力してくれたイオナ達を向かえに来た人物。

それが千早群像だった。

彼らが元居た世界に戻るまでの僅かな間、賓客として過ごしてもらったが、

千早群像とは気が会い、彼が帰るまでの間は仕事が終わると、

よくお互いの世界の話をしたり、色々と他愛のない話をした。

2人で居ると何故か吹雪が喜んで居たが理由は分からない。

そして再び異界と通じ、彼らが帰る時が来た。

群像「俺達は元居た世界に戻ります・・・提督、貴方に会えて良かった」

提督「それはこちらも同じです。群像殿。どうかご武運を」

群像「ありがとうございます。こちらこそ、面倒を見てもらい助かりました」

提督「いえ、こちらも戦闘では助かりました」

群像「では、お互いの世界で頑張りましょう」

提督「そうですね。お互いこれからが大変だ」

2人は握手を交わす。

イオナ「超重力砲はどう?」

榛名「ちゃんと動きましたよ」

ハルナ「・・・」ガクブル

ハルナ(まさか・・・生きたまま・・・)

ハルナ(そりゃ倒しちゃうと機能が停止するけど・・・)

ハルナ(半殺しにして、捕らえて生きたままバラして移植とか・・・)ガクブル

ハルナ(メンタルモデルを持たないハズのナガラの断絶魔の悲鳴が・・・)

ハルナ(頭から離れない・・・)

ハルナ(最後なんてここの連中は皆、我先にとナガラ狩りをするし・・・)

ハルナ(初めてだよ顔真っ青で戦意喪失したコンゴウなんて見るの)

ハルナ(深海棲艦だったか? 気の毒に・・・)

ハルナ(射程外から一方的に6隻の艦娘の放った超重力砲で消し炭になってたなぁ)トオイメ

ハルナ(6つの大きな光が・・・ばぁーーーって・・・あはは・・・)

ハルナ(早く蒔絵に会いたい。会って安心したい・・・癒されたい)

イオナ「じゃあ元気で。この世界での私」

しおい「うん。ばいばい。別の世界の私」

タカオ「じゃあね。提督」

提督「ああ、ありがとうなタカオ」

タカオ(!!・・・だめ・・・私には既に心に決めた人がっ!・・・でもっ)

ハルナ「どうしたんだ悶えて・・・? 早く行くぞ」

タカオ「分かってるわよっ!!」

そして協力してくれたイオナ達や、戦闘で捕らえたコンゴウ達は元居た世界へ戻っていった。

ようやく事件は終結したのだった。

群像との会話の中で聞いた言葉がある。

――――閉鎖された世界に風穴を開ける。その為に戦う。

彼らの世界の事情を知り、いたく感心したものだ。

そうだ。彼らのように。

現状を変えたいなら進まなくては・・・

もう俺みたいな親を無くした子供を増やさない為に。

大事な人が死んでしまうことのないように。

これから先の未来のためにも。

戦争は終わらせなくては行けない。

提督「だから貴女と話をして少しでも何かを掴みたい」

南方「まぁいいでしょう。何が知りたいの?」

提督「何故人を襲うのか、根本的な戦う理由を知りたい」

南方「・・・理由ね」

南方「しいて言うなら・・・憎悪かしらね」

提督「憎悪?」

南方「ただ憎い。それだけのことよ。他の理由なんてしらない」

提督「たったそれだけなのか・・・?」

南方「そうよ」

提督「その憎しみは・・・人間に対する憎悪なのか?」

南方「わからない」

提督「分からない? 自分達のことなのに?」

南方「確かに、憎しみはあったハズなんだ・・・」

提督「その言い方だと、今の貴女にはないと?」

南方「ええ、驚くくらいに・・・」

南方「あの黒い感情が今は私にはない・・・」

提督「では貴女個人は人間に敵対する意思はもう無いと?」

南方「・・・私は一度、死んだのかもね」

提督「・・・・?」

南方「あの戦いで私は死んだ。死んだのよ」

南方「その娘にやられてね・・・」

榛名「・・・私ですか?」

南方「ええ、貴女の采配で生かされただけ。本来は死んでるのよ」

南方「そう思ったら何か吹っ切れたみたい」

提督「では、他の深海棲艦からも憎しみが消える可能性もあると言うことか?」

南方「さぁね。他の固体のことは分からないわ」

提督「君達は誰かの指示で動いているのか?」

南方「どういうこと?」

提督「例えば人間で言う所の国のお偉いさんが居て・・・」

提督「そういう者が居るなら戦争を終結へ導けるのではないかと思ったんだが」

南方「リーダーね。皆各々好き勝手にやってるからね」

南方「ただ、そういう全体への大体の方向性を示唆する者は居るわ」

提督「・・・それは誰だ?」

南方「言う必要あるのかしら? 仲間の情報を出すわけ無いでしょう」

霧島「貴女は捕虜なんですよ? 状況分かってます?」

南方「だったら殺せば? 別に生きようとは思わないしね」

霧島「・・・あ? やんのかワレ?」ギロッ

比叡「・・・抑えて霧島」

提督「話す気はないと?」

南方「別に話してこちらに何の特もないしね」

提督「分かった。部屋を用意させる。今日は休んでくれ」

南方「はぁ? 部屋を用意? 私は敵よ? 捕虜よ?」

提督「生憎、地下牢は今は使ってなくてね・・・」

南方「・・・ここに居る連中を殺して逃げるかもよ?」

提督「本気でそんな事を考えてる奴は、わざわざ口にしないと思うが?」

南方「・・・甘いわね。何時か死ぬわよ?」

提督「・・・気をつけるさ」

南方「でも、悪い気はしないわね」

提督「また話をして欲しい」

南方「私に拒否権なんて無いんでしょ? 好きにすればいい」

比叡「では連れて行きますね」

提督「ああ、頼む」

霧島「では何名かで持ち回りで監視しておきます」

提督「・・・すまん助かる」

霧島「司令、お一つ、お聞きしてよろしいでしょうか?」

提督「なんだ?」

霧島「貴方のご両親は深海棲艦に殺された・・・と聞きました」

提督「・・・何故知ってる?」

霧島「少し耳に挟んだだけです。それは事実ですか?」

榛名(鎮守府の娘は皆知ってますよ・・・)

提督「ああ、事実だ」

霧島「深海棲艦が憎くはないのですか?」

提督「・・・本音を言うと分からない」

提督「憎くないと言えば嘘かもしれないが・・・」

提督「正直、あまりそういう感情は大きくないかな?」

提督「まだ物心付く前のことだからあまり実感が無いと言うか・・・」

提督「それよりも、自分みたいな人達を増やさない方法ばかり考える」

霧島「戦争を終わらせることですか?」

提督「ああ、そうだ。こんなこと何時まで続くのかなってさ・・・」

提督「深海棲艦にも聞いたが戦争ってどうやれば終わると思う?」

霧島「・・・完膚なきまで徹底的に相手を滅ぼしてですかね?」

提督「過激だなぁ・・・しかも深海棲艦と同じ回答か」

霧島「まぁ実際はそんなこと難しいですけどね」

提督「そうだな。人間同士の戦いであれば、戦争の目的ってなんだと思う?」

榛名「・・・植民地として利益を得たりですかね?」

霧島「資源やお金や利権ですよね」

提督「ああ、だから分かりやすい。でも深海棲艦だとどうなる?」

霧島「・・・目的が憎いだけですからね」

提督「ああ、だからどうやって終わらせるかってことだ」

榛名「そうですね。負の感情だけが行動理由でしたら終わりが見えないです」

提督「だが、深海棲艦全体に指示を出している上に立つ存在が居るなら・・・」

霧島「とりあえず話し合いの席に着かせることが出来るかもしれないと?」

提督「ああ、もうしかしたら・・・ってレベルの雲を掴むような話だけどな」

提督「それでも、この現状を変える道が見えてくるかもしれない」

提督「この戦いを終わらせる方法が・・・」

榛名(良かった・・・南方棲鬼を殺さなくて)

提督「だから、暫く彼女には監視付きだがここで過ごして貰おう」

提督「ある程度、信頼関係を築かないと話してはくれないだろうしな」

霧島「話さなければどうします? 消しますか?」

提督「・・・本当に物騒だなぁ」

霧島「すいません。ですが提督に、もしものことがあれば困るのです。貴方を失いたくないです」

提督「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ」

榛名「私もです! 私も24時間365日心配してますっ!! 何時だって!!」

霧島「榛名、落ち着いてっ!」

提督「榛名もありがとうな?」ナデナデ

榛名「っ!!!」ビクンッビクンッ

霧島(榛名・・・立ったままイッてる・・・)

提督「それと南方棲鬼については、監視付きであれば重要施設以外は好きに出歩いて貰って構わない」

霧島「しかし、危険では? 既に戦う力がないとはいえ、鬼クラスですよ?」

提督「夕張の話では彼女の武装は完全に破壊されていて、艤装を展開してない艦娘と変わらないそうだ」

榛名「つまり、一般的な女性くらいの力しか今は出せないと?」

提督「そうなるね。まずは我々を知ってもらおう。人間を知り、こちらには敵意がないと知ってもらう」

霧島「防衛上は納得出来かねますが・・・分かりました」

霧島(なんだかんだで提督のやることは大体後で何かに繋がるし・・・問題はないかな)

提督「折角、会話が出来る機会が来たんだ。これはチャンスだ」

霧島「・・・何か糸口が見つかればいいですけどね。これが正解だといいんですけど」

提督「最初から正解なんて世の中に無いさ・・・」

提督「俺達に限らず、生きている者は常に何かを選択し続けなければならない」

提督「そして、選択したことを一つづつ、正解にしていくしかないんだ。そうやって未来へ繋いでいくんだよ」

提督「後から選択したことを後悔しないように、今は前だけを見て、少しづつでも前に進もう」

2人「はいっ!!」

夜・・・

執務室

コンコンッ

提督「どうぞ」

榛名「失礼します」

提督「来たか・・・呼ばれた理由は分かるか?」

榛名「・・・無断出撃のことですか?」

提督「ああ、俺は危険だからするな。そう言っただろう?」

榛名「・・・ごめんなさい」

提督「何故、そんなことを?」

榛名「少しでも・・・貴方の役に立ちたかったんです。もっと強くなりたかったんです・・・」

提督「・・・気持ちは嬉しいよ。でもさ、もしもそれで榛名が沈んだら?」

提督「俺はどうすればいい?」

榛名「・・・提督」

提督「悲しいし、後悔するし、俺は自分を許せなくなる」

榛名「これは榛名が勝手にやったことです!提督のせいでは・・・」

提督「同じだよ。部下の行動を管理できず、殺してしまったことになる」

榛名「そんなっ・・・」

提督「単独での出撃は危険だと分かって欲しい。そして君が沈めばどうなる?」

榛名「・・・・・・」

提督「俺は悲しいよ。こうやって話すことも出来なくなる。死んだら終わりなんだ・・・」

提督「話すことも、笑いあうことも・・・もう何も出来なくなるんだ」

提督「この世から消えるって残酷なことなんだよ?」

榛名「・・・ごめんなさい」

提督「別に榛名が嫌いで叱っているワケじゃないんだぞ?」

提督「榛名が大切だから、大好きだから、だから死んで欲しくない」

榛名(私が好きっ!!!?)

榛名「私も大好きですっ!!! 提督が大好きですっ!! だから・・・少しでも・・・強く・・・強く・・・」グスッ

提督「ありがとうな。本当に嬉しい。だけど今後は無断で出撃は控えて欲しい」

提督「何かあるなら言ってくれ。それに合わせて編成し、艦隊としてなら出撃を許可するから」

提督「約束できるか?」

榛名「はい・・・榛名、もう二度と無断で出撃致しません!」

提督「よし。でも無断出撃の罰を与えないとな・・・」

榛名「罰ですか?」

榛名(罰・・・提督の寝室に連れてかれて・・・×××を私の・・・ぶち込まれて・・・)

榛名(・・・これじゃご褒美じゃないですか!?)

提督「顔真っ赤にしてクネクネしてどうしたんだ・・・?」

榛名「はいっ!! 榛名は大丈夫ですっ!!」

提督「何が!?」

榛名「何時でもどうぞっ!!」

提督「そうか? じゃあこれが罰な・・・」パツンッ

榛名「へ? デコピンですか?」

提督「はい。懲罰はおしまい」

榛名(それも全然痛くなかったですが・・・いいんでしょうか?)

提督(大丈夫かな? 痛くなかったかな?)

提督「じゃあ、この話はこれでおしまいっ」

榛名「はぁ・・・分かりました」

提督「じゃあもう一つの用件な」

榛名「・・・もう一つの用件?」

提督「これを・・・」

榛名「これは・・・ケッコンカッコカリの・・・」

提督「ああ、失礼するよ?」スッ

榛名(指に直接・・・はうっ・・・)ビクンッビクンッ

提督(なんか前に直接指につけるのが正しい付け方と皆が言ってたがこれでいいのかな)

提督「レベル99達成おめでとう。これからも活躍を期待している」

榛名「・・・うっ・・・ああ・・・」グスンッ

提督「ちょっ!? なんで泣く!? 嫌だったか? すまん・・・すぐに外・・・」

榛名「違うんです・・・嬉しくて・・・やっと・・・私は・・・」

それから榛名はわんわん泣いた。提督に抱きついて泣いた。

嬉しくて嬉しくて。ようやく目的の一つが叶ったから。

提督はちょっと困った顔をしつつも笑いながら

榛名を優しく抱きしめて泣き止むまで付き合った。

一部始終を盗聴、盗撮をしていた者達は榛名自身の頑張りを知っていたので

今回だけは仏の気持ちで許すことにした。

書き溜め投下完了。
新しいスレになっちゃいましたが
よろしくお願いします。

前スレ勿体無いので急遽書き下ろし話を作りましたので
見ていただけると幸いです。

ではまた近いうちに・・・
ああe7が終わらない・・・堀が・・磯風ェ

執務室

提督「今日は少し早めに仕事が終わったな」

愛宕「そうですね。でしたら鎮守府を見回ってきたらどうです?」

提督「そうだなぁ・・・最近遊んでくれないって駆逐艦の子達が不満を言ってたしな」

愛宕「要望箱に入ってましたね」

提督「少しは時間を作るか」

愛宕「ふふっ・・・まるで父親みたいですね」

提督「ははは・・・そういう愛宕もお母さんみたいだな」

愛宕「ふふふ・・・あ・な・た♪」

提督「なんだソレ?」

愛宕「結婚したばかりの奥さん?」

提督「愛宕なら良いお嫁さんになれるよ」

愛宕「提督も良い旦那様になれると思いますよ?」

提督「・・・止してくれ。反応に困る///」

愛宕「ふふっ・・・」

大淀「・・・オホンッ」

愛宕「あら? 大淀さん、居たんですか?」

大淀「ええ、居ましたよ。さっきから」

愛宕「ごめんなさいね。視界に入らなかったもので」ハイライトオフ

大淀(嘘。居るの分かってて見せ付けた癖に・・・)ギリッ

提督(また寒気が・・・)ブルッ

大淀「大本営からの新たな作戦の概要が届きましたので持って来ました」

提督「ありがとう。大規模な作戦があると聞いていたが・・・ついにか」

大淀「はい。我が鎮守府も出撃命令が出ております」

大淀「それと今月の解体任務ですが・・・」

提督「悪いが、我が艦隊には不要な艦は居ない。だからその任務は受けれない」

大淀「しかし・・・これは大本営の・・・(嘘ですけど)」

提督「責任は俺が取るから構わん」

愛宕「うふふ・・・」

提督「皆、この鎮守府に必要な子達だからな。解体するつもりはない」

大淀「・・・本当に? ホントウニ ヒツヨウデスカ?」ハイライトオフ

提督「ああ。無論、君もだ。大淀」

大淀「・・・へ?」

提督「何時も、何時も、苦労ばかりかけてすまないな。嫌な役だろうに」

大淀「いえ、そのようなことは!!」

提督「感謝している。ありがとう、大淀」ニコッ

大淀「っ!!」ヌレッ

大淀(そんなこと言われたら・・・もう何も言えないじゃないですか・・・)

大淀「大丈夫です。貴方のお役に立てるなら・・・私は・・・」

愛宕「提督? そろそろ鎮守府を見回ってきたらどうですか?」

提督「え? ああ、そうだな。じゃあ言ってくるか・・・何かあれば呼んでくれ」

ガチャ バタンッ

愛宕「あんまり自分勝手な行動はいけませんよ? 大淀さん」

大淀「気をつけますよ・・・私達仲間ですものね」

愛宕「ええ、そうね。仲間ですもの私達。今はね」

愛宕(新しい作戦・・・少しは強い敵がいるのかしら)

愛宕(皆が本気出しても中々壊れないような・・・)

深海のどこか・・・

深海棲艦達(((なんだろう・・・すごい悪寒が・・・)))

戦艦水鬼「であるからしてだな、我々は~ 一丸となって~」

泊地水鬼「もう・・・働きたくないの・・・もう働きたくないよ・・・分かる? ねぇ・・・」

ル級「何を言いますか。あなたは第五海域の責任者でしょう」

泊地水鬼「・・・めんどくさい」

リ級「私が・・・第一海域の責任者に・・・? 本当ですか!?」

泊地水鬼「良かったね。 第五も兼任する?」

リ級「え?」

ル級「働いてくださいよっ!!」

軽巡棲鬼「納得いかないっ!! なんで私はボス降格なの!?」

軽巡棲鬼「補給艦ですらボスなのにっ!!」

泊地水鬼「・・・変わる?」

軽巡棲鬼「いいの!?」

リ級「ダメですよっ!!?」

装甲空母姫「あなたは先の戦いで管理能力を疑われたでしょ。だからよ」

軽巡棲鬼「だって!!めちゃくちゃな奴らだったんだよ!? 素手で海面割ったり!」

装甲空母姫「嘘を付くならもっとマトモな嘘を付きなさい」

軽巡棲鬼「本当なのに・・・」

港湾水鬼「“事故”る奴は・・・・“不運(ハードラック)”と”踊(ダンス)”っちまったんだよ・・・」

ル級「言ってることは良く分からないけど頼もしいです港湾水鬼様」

装甲空母姫「今回の作戦で人間と艦娘共に恐怖を与えてあげましょう」

ル級「楽しみですね。え・・・と配置は・・・私は第五海域の門番か・・・」

泊地水鬼「では作戦開始まで・・・」

皆(訓練でもするのかな)

泊地水鬼「ゴロゴロ寝ましょう」

ル級「しゃきっとしてくださいっ!」

泊地水鬼「だるーい」グテー

ワー ワー キャー キャー

戦艦水鬼「と言う訳で・・・あれ? 皆どこ?」

イ級「皆さん帰られましたが・・・」

戦艦水鬼「人が大事な話をしているのに!?」

イ級「なんでも、話が長いから3行でまとめてくれとのことです」

戦艦水鬼「役にたたぬ忌々しいガラクタどもめっ!!」グスッ

イ級「・・・泣いてます?」

戦艦水鬼「泣いてないっ!!」

イ級「それで作戦は予定通りに?」

戦艦水鬼「ああ、あの方にもお伝えしたし問題はない。多分」

再び鎮守府・・・

娯楽室

ここは待機中や非番の子が交流したり、遊んだり出来る部屋である。

ちょっとしたお茶会を開ける程度の机や椅子、寝転がれるようなソファーや、ふかふかの絨毯がある。

テレビやトランプ、将棋やオセロ等のゲームも置いてあり、

駆逐艦に限らず、戦艦や空母と、ここを利用する艦娘も多かった。

卯月「司令官ぴょんっ!」

睦月「あれ? お仕事はもういいんですかぁ?」

提督「ああ、今日はもう大丈夫だ」

皐月「じゃあ遊ぼうよ! 最近全然、遊んでくれないんだもん」

提督「いいぞ。そのつもりで来たからな」

春雨「え?本当ですか!?」

漣「おおっ! ご主人様が遊んでくれるんですか? 久しぶりですね」

如月「ふふ・・・ナニして遊ぶぅ?」

弥生「言い方がいやらしいよ・・・」

三日月「トランプとかどうですか?」

暁「この前やったじゃない。嫌よ」

睦月「暁ちゃんはすぐ顔に出るからね」

漣「ババ持ってるの丸分かりwww」

暁「そんなことないわよっ! 失礼しちゃうわ!」

菊月「オセロはどうだろうか」

長月「それだと1人づつしか司令官と遊べないだろう」

暁「一人前のレディに相応しい遊びがいいと思うのです」

提督「あれ? 今更だが暁、今日は遠征だったハズじゃ?」

暁「うっ・・・」

不知火「一人前のレディが寝坊したので他の者が代わりに行きました」

漣「一人前のレディーはよく寝るんですねww」

暁「・・・ごめんなさい」

提督「・・・代わってくれた子にお礼を言うんだぞ?」

暁「・・・はい」

提督(そういえば遠征の問題があったけど処理したので問題ないと愛宕が朝に言ってたな)

睦月「じゃあアレはどうかな? 人生ゲーム」

皐月(それ前に誰が司令官と結婚するかで揉めたような・・・)

望月「じゃあこれはどうかな」スッ

長月「なんだったか・・・これ」

如月「超エキサイティングするってゲームだったかしら?」

菊月「しかし、それのプレイ人数は4人だぞ」

春雨「じゃあこれはどうです?」スッ

弥生「魚雷を撃つゲーム? 普段本物を撃ってるし・・・」

卯月「それは2人プレイぴょん」

雪風「じゃあこれはどうですかねぇ」スッ

浜風「ワニの歯を押していくゲームですね・・・」

不知火「ハズレを引くと口が閉じる奴ですか」

陽炎「でも、この人数で順番で押してもすぐ終わっちゃうじゃない」

黒潮「じゃあ同じ理由でこれもアカンな」スッ

浜風「タルに剣を刺すゲームですか・・・ハズレで海賊が飛ぶ奴ですね」

三日月「じゃあこれもダメかしらね」

文月「あ~ 骨取ってハズレだと犬が起きる奴だねぇ」

提督「中々決まらないな」

金剛「微笑ましい光景ですねぇ」

扶桑「・・・ええ、まるで夫が子供と遊んでいるみたい」

榛名「そうですね・・・私の旦那様が子供と遊んでいるみたいです」

金剛「ええ、私のダーリンが子供をあやしているみたいデース」

翔鶴「そうですね。早く提督との子供・・・欲しいなぁ」ボソッ

瑞鶴「子供に優しい旦那っていいよね」

金剛「でも提督はダメデスよ? 私が貰いますので」

扶桑「おもしろい冗談ですね・・・」ハイライトオフ

山城「本当ですねお姉さま」ハイライトオフ

翔鶴「まだ夜じゃないですよ? 寝てるんですか? 夢でも見てます?」ハイライトオフ

瑞鶴「喧しい似非外国人が勝利とかありえなくないですか?」プッ

金剛「ふふふ・・・じーざす」ハイライトオフ

扶桑「演習でもやりません? 金剛さん、轟沈判定にしてあげますよ」

金剛「返り討ちにしてやるネーっ!!」

山城「榛名、貴女のお姉さまを轟沈しちゃってもいいかしら?」

榛名「はいっ! 榛名は大丈夫ですっ!!」

金剛「榛名ぁぁぁっ!!?」



提督「よく聞こえないが、あっちの机が騒がしいなぁ・・・」

卯月「そうだ、司令官っ!」

提督「お? 決まったか?」

卯月「おままごとやるぴょんっ」

提督「・・・ままごと?」

卯月「お嫁さんはうーちゃん、提督は旦那さんぴょんっ」

全員「・・・・・・・っ!!!!!!!!???」ガタッ

提督「別に構わんが・・・どうすればいい?」

卯月「おかえりなさいアナタ♪」

提督「え? ああ、もう始まってるのか。ただいま卯月」

他一同(((しまった!! 出遅れた!!)))

如月「くっ・・・私も奥さんをやるわ!!」

卯月「ダメぴょん。早いもの勝ちぴょん」フフンッ

如月「アナタ・・・前の奥さんとは別れるって言ったじゃないっ!!」ハイライトオフ

提督「え? え?」

弥生「不倫!!」

如月「どういうことなの!? 私のお腹の中には貴方の子供が・・・」

提督「なんで、ままごとなのに、こんなドロドロしてるのぉ!?」

皐月「パパ。どういうこと? パパはボクと結婚するって・・・」

皐月「ボク・・・パパの子供を授かってるのに・・・」

漣「まさかの近親相姦キターーーー!!!」

提督「!!!?」

浜風「じゃあ私は愛人! 愛人やります!!」

弥生「え?」

浜風「私は一番に慣れなくてもいい・・・貴方と居られるなら・・・」ダキッ

提督「ちょっ!?」

卯月「何、本妻差し置いて夫に抱きついてるぴょんっ!!」

如月「離れなさいよ!! 泥棒ネコッ」

浜風「嫌です! 離しませんっ!!」

睦月「あなた・・・よりを戻したいの・・・」

提督「今度は何の役!?」

睦月「もう一度やりなおしましょう・・・子供達も待ってるから・・・」

陽炎「前妻!! しかも子持ち!?」

春雨「お兄ちゃん? なぁに? その女達・・・」ハイライトオフ

提督「え・・・と・・・俺の妹の役?」

春雨「お兄ちゃんを誑かした悪い人達は消えてもらわないと・・・」(本音)

漣「この妹、病んでやがる・・・」

長月「カオスになってきたな・・・」

菊月「私も奥さんがいいなぁ」ボソッ

長月「そうだな。正妻が一番いい」

菊月「聞こえていたのか///」

暁「私は・・・なんの役をやろうかしら」

三日月「あの人を返してよ!! 私が一番理解しているんだからっ!!」

漣「・・・それはなんの役?」

三日月「将来を誓い合ってたけど、すれ違いで別れちゃって、それでも忘れられなくて・・・

意を決して戻ってきたら他の女に大切な人を取られちゃってた元恋人の役よ」

初霜「一人でも二人でも、提督の子を生めれば私は、それで満足なの」(本音)

若葉「なんの役だ?」

初霜「別の愛人よ?」

浜風「愛人が増えた!」

漣「私は・・・私も妹やろ」

春雨「もう私が居ますよ!」

漣「じゃあ双子の妹ってことで」

黒潮「うちは・・・」

浜風「タコヤキ屋さんとかどうでしょう」

皐月「お好み焼き屋さんはどう?」

如月「食い倒れ人形はどうかしら」

黒潮「おのれら関西を馬鹿にしとんかいっ!!」

陽炎「私は・・・よし! ねぇ・・・やっぱり私・・・」

陽炎「貴方のことが好きみたい」(本音)

陽炎「子供の頃からずっと・・・気付いたの! 大切な存在だって!」

陽炎「だから・・・私とずっと一緒に居てください!」(本音)

提督「え・・・と何の役だい?」

陽炎「子供の頃からずっと一緒だった幼馴染」

不知火「私は・・・後妻の後妻で行きましょうか」

卯月「まだ別れてないぴょんっ!! 別れるつもりもないぴょんっ!!」



金剛(・・・落ち着きなサイ私。あれはただのごっこ遊び・・・本当じゃない・・デス)

榛名「・・・・・・」ハイライトオフ

扶桑「・・・なんて羨ましい」ボソッ

山城「姉さま・・・落ち着いてください」

扶桑「山城? 貴女も落ち着きなさい」

山城「え? 私は別に・・・」

扶桑「ずっとお茶を飲んでるけど、そのティーカップ、さっきから空よ・・・?」

山城「・・・・・・」ハイライトオフ

翔鶴「私も愛人の役で・・・」ガタッ

瑞鶴「落ち着いて翔鶴姉・・・私も落ち着こうとしてるから」ハイライトオフ

卯月「ああーーーーーーーっ!!!」

如月「え? ちょっとぉっ!!!?」

金剛(なんデス?)チラッ

金剛「・・・・え?」

榛名「ああ・・・ああ・・・あ・・・」

他一同「「「!!!!!!!!!????」」」

不知火「んっ・・・」

提督「おい・・・ごっこだろ!?」

不知火「不知火はなんでも本気でやる子なので」フンスッ

漣「なんでご主人様にキスしたの? ねぇ・・・?」ハイライトオフ

不知火「後妻として当然の行為です」

陽炎「貴女ねぇ・・・(なんて羨ましいことを・・・)」ハイライトオフ

卯月「なら私も正妻としてキスするぴょんっ!!」

浜風「愛人としてっ!!」

如月「2番目の妻として!!」

皐月「娘としてっ!!」

一同(((それはおかしい!!!)))

提督「ちょっ!?おまえらっ一斉に群がってくんなって!! 危なっ!?」

バタンッ ドテッ ツカマエロー キスサセロー

翔鶴「私もっ!!」

瑞鶴「私だってっ!!」

金剛「提督ぅぅぅ!! 私とキスするデースッ!!」

榛名「私も・・・したいです」

扶桑「お願いできますか?」

山城「どうしてもって言うならしてあげてもいいわよ///」

提督「お前ら・・・止めろよっ!!? 悪乗りしやがって!」

艦娘達「大丈夫!! すぐ終わるから!!」

提督「遊びといえどモラルはあるよっ!!!」ダッ

ニゲタゾー オエー ワー ワー キャー

執務室

提督「・・・ただいま」ボロッ

愛宕「提督!? どうしたんですか!?」

提督「いや・・・ままごとでな・・・」

愛宕「ままごと? あの女児がよく遊ぶあの?」

提督「そうだ。そのままごとだ」

愛宕「なんで、そんなにボロボロに?」

提督「ままごとと言う遊びは・・・恐ろしいものだな・・・」

愛宕(どんなままごとをしたんだろ・・・)

提督「最後は皆、満足そうではあったが・・・」

愛宕「今コーヒー入れますね」

提督「しかし遊びとはいえ風紀がな・・・」

愛宕「どうしたんです? はいどうぞ」

提督「ありがとう・・・旨い・・・」

愛宕「インスタントですけどね」

提督「しかし、何時もと味が若干、違う気がするよ」

愛宕「お湯で溶かす前に少量の水で溶かすんですよ」

愛宕「匂いや味の元になる、でんぷん質がお湯だと溶けづらいんですよね」

愛宕「でも水だとよく溶けるんで、風味が良くなるんですよ」

提督「へぇ・・・確かに何時もより美味しく感じる」

愛宕「そう言って貰えると嬉しいですね」

提督「すごいな。こんなこと初めて知ったよ」

愛宕「ありがとうございます。それで? 何があったんです?」

提督「ああ、実はな・・・」

提督は先ほどまでのことを話した。

愛宕「・・・キス。おままごとで・・・ですか・・・へぇ」

提督「ああ、愛宕・・・? どうしたんだ?」

ガチャンッ

提督「え? なんで執務室の鍵を閉めたの?」

愛宕「邪魔が入らないようにですよ」

提督(なんだろう。室内が急激に寒く・・・)ブルッ

愛宕「皆さんにしたんですよね? ねぇ?」

提督「したというか・・・されたと言うか・・・(強制的に)」

愛宕「じゃあ 私もしていいですよね?」ハイライトオフ

提督「え? いや・・・あれは遊びで・・・無理やりされただけで・・・」

愛宕「艦隊は家族。そう普段から仰ってますよね?」

提督「ああ、それが・・・?」

愛宕「海外では家族同士のキスは当たり前です」

愛宕「これは親愛の証なのです」

愛宕「普通のことなんですよ」

提督「いや、ここは日本だからっ! え?ちょまっ・・・」

結局キスされた。舌を入れられた。

その後・・・

愛宕(・・・しちゃった。キス・・・ふふっ)

高雄(妹に先を越された・・・)

摩耶「はっ くだらねぇ・・・どうかしてるぜ」

摩耶(・・・いいなぁ。アタシも提督としたいな・・・キス)

鳥海(なんとしても私も司令官さんとキスを・・・)

ままごとに参加してなかった他の娘にも伝わり大騒動になった。

南方「ここは騒がしいわね・・・何時もこうなの?」

榛名「たまたまですよ。 こんな平和な鎮守府は他にありませんよ」ハイライトオフ

南方「そうなのか・・・」

長門「王手だ」パチンッ

南方「まっ・・・待て・・・待ってくれ!」

長門「戦場に待ったは無いっ!!」

長門「これがビックセブンの実力だ!!」

南方「・・・くっ もう1回だ!ビックリセブンッ!」

長門「ビックセブンだっ!! いいだろう!来い!!」

陸奥(長門・・・将棋のコマの動かし方間違ってる・・・)

南方「しかし何故・・・最近、皆ピリピリしてるの?」

長門「大規模作戦が近いからな・・・」

陸奥「MVPを多く取ったら提督からご褒美があるって噂よ」

榛名「皆、出し惜しみ無しで全力で敵を潰そうとウォーミングアップしてますよ」

南方(全力・・・? かつての仲間達に同情する・・・)

南方(今まで弱いと思ってた・・・まるゆですら・・・ここでは戦闘力が恐ろしい)

長門「どうした? 顔が青いぞ」

南方「なんでもないわ。よし、王手」パチンッ

長門「なん・・・だと!? 待て! 待ってくれ!!」

南方「戦場に待ったは、ないんじゃなかった?」クスッ

長門「・・・くっ」

南方棲鬼も段々と、この環境になれつつあった。

既に彼女の中に艦娘に対する敵対心は完全に無くなっていた。

そして自分が何をすればいいのか、その存在意義を見失っていた・・・

投下完了。
何時も感想ありがとうございます。
以前、アルペジオの話があったので少し捻じ込みました。
まだ先ですが新作映画楽しみですねー

夜曾野提督との演習はそのウチ・・・
既に書いてたのが諸事情で使えなくなり直してます。

ショートで色々なネタですか・・・
少し考えて見ますね。(出来るかわからないけど)

現在、仕事帰宅後はイベント周回中。
イベントは大分前にクリア出来てるんですが掘りが終わらない・・・
酒匂と清霜ぉぉぉぉぉぉ
去年の夏を終わらせるんだ・・・

ローマ、磯風、雲龍、高波、矢矧は無事掘り当てたので
そのウチssに出してあげたいですねぇ

ではまた近いうちに・・・おやすみなさいませ


朝の朝礼中・・・

提督「という訳で週明けから作戦を開始するので各自、備えて欲しい」

提督「何か質問はあるか?」

ハーイッ ハーイ

提督「では・・・そこ」

金剛「MVPを多く取れば、ご褒美があると言うのは本当デスか!!?」

提督「え? そうだな・・・別に構わんが・・・」

扶桑「それはどのような褒美なのでしょうか?」

提督「え・・と・・・じゃあ間宮さんの所の券とかはどうだ?」

満潮「はぁ!? 馬鹿じゃないの!!?」

提督「え? ダメか?」

満潮「どうせなら、もっと良い褒美を寄越しなさいよ!」

提督「・・・例えば?」

満潮「司令官が、なんでも言うことを聞くとかどうかしら?」

提督「・・・なんでも?」

全員「!!!!」

満潮「そうよ。MVPが一番多かった娘の願いを1個だけ聞くのよ」

提督「常識の範囲内で、尚且つ実現可能なことであれば構わんが・・・」

満潮「これで報酬は決まったわね」

提督「例えば満潮なら、どんなことを頼むんだ?」

満潮「そりゃ司令官と2人でデー・・・ってここで言えるワケないでしょっ! このバカっ!!」

提督(なんで怒られたんだろう)

満潮「その時になったら言うわよ///」

提督「他に質問はあるか?」

時雨「どういう基準での判定なのかな? 単純に一番多く取ればいいのかな?」カチャッ

提督「こら、室内で艤装を展開するのはやめなさい」

榛名「そうですか・・・一番多く取ればいいのですね」ハイライトオフ

提督「別に数は関係ないと思うがね。皆が貢献して頑張ったならさ」

提督「皆が頑張ったなら、全員にご褒美をあげてもいいと思ってるが・・・」

翔鶴「それではダメなんですよ提督」

翔鶴「優劣を決める為にも・・・」ハイライトオフ

提督「優劣・・・? なんの?」

一同(((他の娘を出し抜く為とは言えない・・・)))

長門「ふむ、アレだ。あえて順位をつけ、競わせることでお互いを高めようと言うワケだよ提督」

陸奥「そうよ。みんな仲良く一等賞なんて馬鹿らしいでしょ?」

利根「そうじゃ。それじゃあ面白くない。競ってこそ、腕があがると思うがの」

イムヤ「うん。やっぱり競って勝ち取るから価値があると思うわ」

大井「と皆さん言っておりますが、どうですか提督。意見を採用してみては?」

提督「君達の士気の貢献に繋がるなら許可しよう」

如月「でも・・・ちょっと待って」

赤城「どうしたんです?」

如月「それだと戦艦の方ばかりMVP取って有利じゃないかしら」

電「では、各艦種ごとにMVPが多かった者ではどうでしょうか」

浜風「そもそも駆逐艦は数が多いし、全員が作戦に参加できるのかしら?」

駆逐艦達(電以外)「・・・・・・」ガチャ

提督「なんで一斉に艤装展開したの!?」

駆逐艦達(((ここで数を減らしておけば・・・)))ギロッ

南方(こいつら本当に駆逐艦か・・・? なんだこの殺気)ゾクッ

電「皆、止めるのです」

駆逐艦達「・・・・・・」

電「・・・二度も同じ事を言わせないで欲しいのですよ」ニコッ

駆逐艦達「「「ごめんなさいっ」」」ビクッ

電「皆、仲良くするのです。司令官さんが困ってるのです」

提督「よく分からんがありがとう電」ナデナデ

電「どういたしましてなのです~♪」

浜風(羨ましい・・・)

加賀(流石、初代秘書艦・・・この鎮守府最強の娘ね・・・)ゾクッ

提督「・・・なるべく皆が参加できるように調整して編成するよ。それでいいか?」

瑞鶴「良いと思う」

金剛(そうなると、攻略は普通の速度の方がいいってことデスか?)ヒソヒソ

赤城(そうなりますね。あんまり早く攻略すると主力メンバーだけで終わります)ヒソヒソ

提督「大体の目安だが、攻略は1週間~10日を見込んでいるが・・・」

大淀「妥当かと思います」

雷(本気でいけば、すぐ終わりそうだけど・・・)ヒソヒソ

長門(流石に半日も立たず、攻略したら大本営に目を付けられるしな)ヒソヒソ

陸奥(そうね。あんまり派手にやって提督が本部に転属とか困るし・・・)ヒソヒソ

青葉(仮にそうなっても上層部を抑える取引材料はありますけどね)ヒソヒソ

霧島(ごく普通にいきましょう)ヒソヒソ

ビスマルク(普通の基準が分からないわ。普通ってなんだっけ?)ヒソヒソ

プリンツ(弾に当たったら怪我したりですかね?)ヒソヒソ

長門(掴んで投げ返すのは普通に入るのか?)ヒソヒソ

陸奥(入るわけないでしょっ!)ヒソヒソ

金剛(あんまし派手に戦って、お淑やかなイメーがジ無くなるのも嫌デース)ヒソヒソ

榛名(申し訳ありませんが、元々そんなイメージは・・・)ヒソヒソ

陸奥(そうね・・・)

金剛(!!?)

提督「皆、どうしたんだ・・・?」

全員「「「なんでもないですよー」」」

提督「皆、仲良いなぁ。良いことだ・・・」

執務室

提督「今週は作戦準備で書類が沢山あるなぁ」

阿賀野「そうだね~」

提督「さっさと取り掛かるか」

阿賀野「意見箱? 要望箱だっけ? あれはどうしたの?」

提督「最近はあまり入らないから週一くらいで開けてるよ。朝礼で話しただろう」

阿賀野「ごめんなさい。聞いてなかったみたい」

提督「そうか。そうだと思った」

阿賀野「ひどいなー 阿賀野も聞くときは聞いてるよぉ?」ジトメ

提督「(朝礼は)何時も聞いてて欲しいんだがね・・・」クスッ

阿賀野「何時も聞いてるよ? 提督さんの声は・・・毎日毎日毎日・・・」ボソッ

提督「なんか言ったか?」

阿賀野「なんでもないでーすっ」

提督「だったら早く書類を頼むよ・・・仕事しよう」

阿賀野「もうちょっと待ってね」

提督「何してるんだ?」

阿賀野「提督日誌つけてるの~♪」

提督「なんだソレ。何を書いてるんだ?」

阿賀野「乙女の秘密だよ」

提督「いいからさっさと仕事してくれ乙女」

阿賀野「はーい」


鎮守府内の廊下


南方「監視がついているとは言え、敵である私に自由を与えるとは変な場所・・・」

南方「至る所にカメラがあるから自由に動いていいですよって・・・」

南方「まず、なんでそんなにカメラがあるのかしら・・・監視としても多すぎるような?」

南方「執務室の写真、あれをもう一度見たい・・・」

南方「・・・何かを忘れている気がする」

南方「とても大事な何かを・・・」

コンコンッ ガチャッ

南方「失礼するわ」

南方「あら? 誰も居ない? 提督も、秘書艦も?」

南方「まぁいいわ。あの写真をもう一度見たいだけだし・・・」

目的の物はすぐ見つかった。

南方「これだ・・・やっぱり・・・」

南方「・・・何か、心を揺さぶられる。何? なんでこんなにも・・・」

――――悲しいの?

写真の男と女はとても幸せそうに見えた。

南方「・・・本当に幸せそう」

写真に写る女性は、小さな赤子を大事そうに抱いていた。

南方「2人の子供かしら?」

やはり、自分はこの写真の人物を知っているのだろうか?

何か大切な、とても大切な事のハズなのに・・・それが思い出せない。

この写真はそれを思い出させてくれる鍵になると思ったのに。

南方「・・・いいわ。また来ましょ」

南方「14時から長門と将棋のリベンジの約束もあるしね・・・」

南方「・・・あら?」

机の上に置いてある冊子。それに目がいった。

南方「ていとくにっし・・・?」

南方「何かしら」パラッ

○月○日 

提督さんは朝6時に起床。

昨日より12分早かった。

寝言で他の女の名前を口にした。その娘は要注意。

朝の朝礼までにトイレに2回入った。

昨日の深夜1時34分に酒のツマミに食べた刺身が当たったのかな? 

朝礼で提督さんは眠そうだった。あくびを嚙殺したのは3回。

睡眠時間が3時間22分じゃ少ないんじゃないかな?

倒れたりしないか心配。

提督さんに朝の挨拶をした。

笑顔で返してくれた。この笑顔は私だけに向けられるべきだと思う。

提督さんの反応を見ても相思相愛なのは間違いない。

もう少しでケッコンも出来る。

提督さんは皆に優しいから・・・そのせいで、

あんまり他の女が勘違いするのは面白くない。

本日の秘書艦は文月ちゃんだった。

文月ちゃんは提督さんのひざの上に自然と座った。

なにそれ? なんでそんなことが許されるの?

駆逐艦だから? 小さければ・・・子供のすることで許されるの?

ずるい。ずるい。ずるい。ずるい。ずるい。ずるい。

ずるい。ずるい。ずるい。ずるい。ずるい。ずるい。

そこは阿賀野の場所なのに。

提督さんと2人で談笑しているのが許せない。

そこをどいてよ。阿賀野の場所だよ? どいてよ。

戦場では流れ弾とか珍しくないんだよ?

南方「・・・なにこれ」パラッ

○月○日

中略

提督さんが電話をしていた。

通話時間は28分37秒。

相手は女性みたいだった。

誰? 誰なの? なんでそんなに笑顔なの?

盗聴した会話の内容から察するに、提督さんの同業者であり、

学校時代の先輩らしい。昔の提督さんを知ってるんだぁ・・・

それは少しゆるせないかなぁ。

過去を知ってるから優位に居るとか勘違いしてほしくないな。

突然現れて昔の女面したりされたら、艤装が勝手に展開して誤作動起こしちゃうかも。

事故なら許されるかなぁ・・・

提督さんには阿賀野が居るんだからダメなんだよ?

他の女に目移りしちゃ・・・

浮気はダメだよ?

絶対ダメだよ?

じゃないと・・・わたし・・・

ドウナルカ ワカラナイヨ?

南方「・・・・・・」パラッ

○月○日

中略

今日の秘書は山城さんだった。

着任当初はお姉さま、お姉さまって言ってた癖に

提督、提督言っててイラっときちゃった☆

なんで、そんな潤んだ目で提督さんを見ているの?

貴女はお姉さま大好きなアレな人じゃなかったの?

周りには嫌々秘書艦やってる風に言ってるけど、

本当は楽しみで仕方ないことは知ってるんだから。

提督さんにお弁当を作ってきたのもあざとい。

何がお姉さまの分を作ったついでなの?うそつき。

提督さんが好きなオカズばっかりだった。

それ、初めから提督さんの為に作ったんだよね?

だって扶桑さんは食堂でお昼取ってたもん。

それおかしいよね?

お弁当は最初から提督さんの分しか作って無かったんでしょ?

提督さんが嬉しそうに美味しいって食べてた。

山城さんがチラチラ見ながら顔赤くしてた。

何?その空気。イチャイチャしないで。

私の提督さんを取らないで。

その人は阿賀野の運命の人なの。

だから誰にも渡さない。絶対。

能代も言ってたけど・・・

他の姉好きな艦娘も警戒が必要かもしれない。

南方「・・なに・・・これ・・・こわい」パラッ

阿賀野「・・・何してるの?」

南方「っ!!!?」ビクッ

南方(何時の間に!? 気配を感じなかった!)

阿賀野「ネェ・・・ナニシテルノ?」ハイライトオフ

南方「なっ・・・なんでもないわ」ゾクッ

阿賀野「・・・それ」

南方「え・・・?」

阿賀野「・・・見たのかな? 中を見たのかな?」

南方「み・・・見てない・・・」

阿賀野「・・・本当に?」

南方「執務室に来たら落ちてたんで拾っただけよ。本当よ?」

阿賀野「・・・そう。見てないんだね?」

南方「見てない!! 何も見ていない!!」

阿賀野「そっか・・・ならいいや」

南方「これは貴女のなのね? 返すわ」スッ

阿賀野「ありがとう。 ところでなんの用事?」

南方「大した用じゃないわ。提督はどちらへ?」

阿賀野「今は工房に行ってるよ。装備の改修を頼みに」

南方「そう。ありがとう。出直すわね」

南方(早くここから逃げたい・・・)

阿賀野「でも良かったぁ」

南方「なっ・・・な・・何がかしら?」

阿賀野「中身見られていたら消すしかなかったから」

南方「ひっ!?」

阿賀野「・・・見てないんだよね?」

南方「何も見てないわっ!! 本当にっ!!」

阿賀野「うん。信じるね」

南方「じゃ・・じゃあ私はこれでっ」

ガチャッ  バタン

南方「恐かった・・・」

南方(何さっきの・・・あの恐ろしい殺気・・・)

あの阿賀野って言う艦娘には近づかないようにしよう。

南方「とりあえず、部屋から出られたし、一安心・・・」

そう思って、ふと後ろを振り返った。

何か、視線を感じたのだ。

すると、今出てきた執務室の扉がほんの少しだけ開いていた。

ちゃんと閉めたハズなのに。

その僅かな隙間から顔が見えた。

阿賀野。

彼女は無表情で扉の隙間からこちらを見ていた。

無表情でジッと見ていた。

喋るわけでもなく、ただ見ているだけ。

その目には光が無く、感情が読めない。

整った顔立ち故に余計にそれが不気味だった。

南方「っ!!!!」ゾクッ

言葉は出ない。悲鳴も上がらなかった。

本当に恐怖を感じると悲鳴をあげる所ではないんだなと思った。

そこで意識は途絶えた。

医務室

長門「おっ・・・目が覚めたか」

南方「・・・あれ?」

長門「どうした。約束の時間になっても来ないから探したぞ」

南方「今・・・何時?」

長門「16時だが・・・?」

南方「私、何をしていたの? ここはどこ?」

長門「知らんよ。ここは医務室だ。廊下で倒れていたらしい」

南方「倒れていた? 私が?」

長門「どうした? 何があった?」

南方「戦況は!? 戦況はどうなってるの?」ガタッ

長門「何の話だ? 落ち着けっ!!」

南方「私が能力(ちから)を捨てなければっ!!」

長門「どうしたと言うんだ・・・」

ガチャッ

提督「どうだ、長門。彼女の様子は」

長門「提督か。いや、様子がおかしくてな・・・」

提督「大丈夫か?」

南方「アナタ・・・? 生きて・・・」

提督「え? なんだ?」

南方「生きていたのですねっ!!」ダキッ

提督「ちょっ!? どうしたんだ一体!?」

長門「貴様、そのような行為は法律で認めてないぞ!!」

南方「良かった。本当に・・・」グスッ

長門「離れろっ!!貴様!!」

南方「ううっ・・・うわぁっーーー良かった。本当に」(号泣)

長門「提督!!」

提督「なんだ長門!」

長門「こうなったら私も抱きついて良いか!」

提督「なんで!?」

長門「南方棲鬼だけずるいだろっ!!!」

提督「いいからこの状況をなんとかしてくれよ!!」

提督「わけが分からん・・・」

南方「南方棲鬼・・・?」

提督「いや、貴女のことだが・・・」

南方「私が・・・南方棲鬼・・・?」

抱きついていた提督から離れると、ガラスに映る自分の姿を初めて見た。

南方「なん・・で・・・? 私は・・・戦艦・・・や・・」

―――ほう。中々のものだな・・・ただ殺すには惜しい。

南方「嫌。違う・・・違う・・・」

―――――オマエを私の配下にしてやろう。

南方「なに・・・この記憶・・・」

――――その憎しみ、存分に向けるがいいわ。かつての仲間達にね。

南方「こんなの・・・嘘・・・嘘・・・嘘嘘嘘嘘・・・」

――――今日からオマエは我が娘となれ。

―――――そして殺せ。

―――人間を、艦娘を・・・

――――――――――殺せ。

南方「いやぁぁぁっーーーーーーーーーーー!!!」

提督「おいっ!! しっかりしろっ!!」

長門「どうしたんだ? また気絶した・・・」

ガチャッ

明石「どうしました? 何事ですか?」

提督「いや、俺にも何がなんだか・・・」

それから少し経って南方棲鬼は目を覚ましたが、

今日一日の記憶は無かったと言う。

娯楽室

南方「どうしたの?」

長門「もう、大丈夫なのか?」

南方「え? 別になんともないけど・・・」

長門「そうか・・・良かった」

南方「変な艦娘ね。敵である私を心配するなんて」クスッ

長門「ふっ・・・そうかもな・・・」

南方「そうよ。ここは変な娘ばっかりね」

長門「私と将棋してくれるのはオマエくらいだからな」

南方「他にする相手が居ないの?」

長門「・・・面白くないんだ」

南方「何が?」

長門「皆が強すぎてな!! 全然勝てんっ!」

南方「・・・なんか子供みたいね」クスッ

長門「・・・五月蝿い///」

南方「そういえば、先日は駆逐艦の子とオセロやってたわね」

長門「・・ああアレなら勝てるハズだったんだが」

南方「盤が黒一色になるなんてあるのね」

長門「あれは私の完敗だった・・・何時かリベンジするさ」

南方「でも私も段々強くなって来てるけど?」

長門「まだまだ負ける気はしないなっ!!」フンスッ

南方(負けるとへそを曲げるから手加減しているのは黙ってよ・・・)

長門「そして皆から『長門さん強い!』『流石!』『カッコイイ!』と言われる存在になるんだ」

南方「そう。それは大変ね。頑張って」

長門「ああ、もちろんだ」

執務室

提督「お疲れ様」

阿賀野「お疲れさまでーす」

提督「今日はありがとう。書類仕事速くなったな。助かったよ」

阿賀野「頑張って覚えたからね!」エッヘンッ

提督「昔は全然だったのになぁ」

阿賀野「もうっ! 昔のことは忘れてってば!」

提督「ハハッ悪い悪い」

阿賀野「それより頑張ったんだよ? 阿賀野、ご褒美欲しいなぁ」

提督「ん? なんだい?」

阿賀野「撫でて欲しいかも」

提督「え? まぁいいけど・・ほら」ナデナデ

阿賀野「・・・うん、ありがと///」

提督「阿賀野の髪、サラサラだな・・・」

阿賀野「ちゃんとお手入れしているからね」

提督「うん。すごい綺麗だ」

阿賀野「っっ///」

阿賀野(本当に・・・こういうこと無意識で言うんだから・・・)

阿賀野「他の娘にも言ってるの?」

提督「え? 何を?」

阿賀野「ううん。なんでもないよ」

提督「もうこんな時間か。じゃあ阿賀野、お休み」

阿賀野「うん。お休み。提督さん」

ガチャ バタンッ

阿賀野型の部屋

能代「ちょっとぉ阿賀野姉ぇ・・・髪の毛洗わなかったの?」

阿賀野「今日は洗わなーい」

能代「なんで?」

阿賀野「提督さんが撫でてくれたからっ」フフンッ

阿賀野「綺麗だよって言ってくれたんだぁ~」

能代「・・・へぇ」ハイライトオフ

阿賀野「気持ちよかったなぁ」

能代「・・・どうやったの?」

阿賀野「お仕事頑張ったから撫でてって頼んだの」

能代「・・・いいなぁ」

阿賀野「私と提督さんが結婚したらさ、能代の兄さんになるじゃない?」

阿賀野「そしたら撫でて貰えばいいよ。お兄ちゃん撫でてってお願いしてさ」

能代「・・・は?」

能代「なんで阿賀野姉と提督が結婚すること前提なの?」

能代「分からないよ? 私と提督が結婚して阿賀野姉の弟になるかもしれないし」

阿賀野「・・・はい? 能代・・・寝ぼけてる?」ニコッ

能代「阿賀野姉こそ寝ぼけてるんじゃない?」ニコッ

阿賀野「別に寝ぼけてないよ? 少し未来の話をしただけ」

能代「ただの妄想じゃない」

阿賀野「能代のだってありえない妄想じゃない」

能代「・・・・・・」

阿賀野「・・・・・・」

2人「ふふふ・・・・」

阿賀野「・・・ねぇ、もう止めよ?」

能代「・・・うん。そうだね。ごめん阿賀野姉」

阿賀野「・・・うん」

能代「でも・・・将来、どっちが選ばれても・・・」

阿賀野「恨みっこなしだね」

能代「うんっ」

投下完了しました。
何時も何時も感想ありがとうございます。
イベント終わっちゃいましたねー
とりあえず清霜は手にはいりましたけど酒匂ちゃんが・・・無念!
でもこれで清霜、朝霜そろったので出したいですね。
リットリオ達もそのウチ登場するハズ・・・

仕事の関係でちょいちょいになりますが、
可能な限り毎週投下はしたい所です。
誤字チェックってしんどいですね・・・
すごいチェックしても慣れてないから時間が掛かるし
それでも間違ってそうで恐い・・・

では近いうちにまた
おやすみです




すいません。ちょっと報告だけ
ただいま出張地獄に入っているので不本意ではありますが放置しちゃってます
火曜か水曜くらいには自宅に戻る予定なので、更新します。
まってる人居たらすんませんです。ゴメンネ


執務室

提督「こっちの書類は終わりっと・・・」

那珂「もうやだー」

提督「どうしたんだ?」

那珂「那珂ちゃんはー こういう仕事に向かないかなーって」

提督「無理そうなら他の者に代わるか?」

那珂「それはもっとやだー」

提督(口ではこう言うけど・・・仕事はテキパキこなしてらっしゃる・・・)

那珂「終わった! そっちはどう?」

提督「片付いたよ。後は編成案のチェックくらいかな」

那珂「お疲れ様でーす」

提督「ああ、お疲れ様」

那珂「ねぇ提督・・・こういうのじゃなくてさ、歌の仕事とかない?」

提督「・・・ないな」

那珂「艦隊のアイドルとしては、ライブとかやりたいなぁ」

提督「そういえば、よく寮の前や食堂で歌ってるな。何度か聞いたよ」

那珂「神通ちゃんには怒られたけどねぇ・・・周りの迷惑だって」

提督「日頃、頑張ってるし、極度にハメを外さないなら別に構わないけどな」

那珂「ホント!? 提督の許可を貰ったって言えば大丈夫だね! お墨付きだもんっ」

提督「本当に歌うのが好きなんだなぁ那珂は」

那珂「うんっ!」

提督「好きって思えることがあるのは良いことだ」

那珂「提督はネットの映像投稿サイトとかって見る?」

提督「いや、あまり見た記憶はないな・・・」

那珂「私ね、たまに歌った動画を投稿してるんだ」

提督「へぇ・・・すごいじゃないか」

那珂「でも、全然アクセス数が伸びないの。私の歌って何か足りないのかな・・・」

提督「俺はアイドルと言うモノに疎いのだが・・・」

提督「とても那珂らしい、可愛らしい良い歌声だと思ったがね」

那珂「かっ・・・可愛らしい!? 本当!?」ガタッ

提督「あっ・・・ああ、素直にそう思ったけど・・・」

那珂「ありがとぉ!!」ダキッ

提督「こらこら・・・いきなり飛びつくな・・・」

那珂「なんで伸びないかなぁ・・・アクセス」ハァ

提督「良く分からないけど・・・誰か詳しい人に聞いてみるか?」

那珂「・・・詳しい人いるかなぁ」

神通「・・・・・・オホン」

那珂「!!!?」

提督「神通か。どうした?」

神通「遠征が終わりましたのでその報告に・・・」

提督「ありがとう、お疲れ様。怪我をした者は居ないか?」

神通「大丈夫です。お心遣い感謝致します」

提督「補給を済ませたら今日は休んで構わない。次の隊に出るように伝えてくれ」

神通「はい。ところで・・・」

那珂「ああ・・ああ・・・」ガクブル

神通「なんで貴女は提督に抱きついていたの?」ハイライトオフ

那珂「いえ、ちょっと・・・色々ありまして・・・」

神通「まさか・・・提督にご迷惑をおかけしてないでしょうね?」

那珂「けして!! そのような事はけして、しておりませんっ!!」

提督(・・・那珂が正座してる)

神通「・・・本当に?」ジッ

那珂「ひゃいっ!! 本当ですっ!!」

提督「神通。那珂は何もしてないよ。あまり攻めないでやってくれ」

那珂「てぇいとぐぅ・・・」ナミダメ

神通「すいません。先日もこの子が他の方に迷惑な行為をしたものでして・・・」

神通「きつくお説教をしたばかりなんですよ」

神通「ご迷惑をおかけしてないなら・・・なんで提督に抱きついてるの?」

那珂「だって!!神通ちゃんが恐いからっ!!」

提督「まぁまぁ、そこら辺でやめてくれ」

神通「・・・提督がそういうのでしたら」

提督「所で神通、君はアイドルや音楽に詳しいか?」

神通「いいえ。恥ずかしながら、そういうモノには疎くて・・・」

提督「誰か詳しい者は知らないか?」

神通「では、何名かに聞いて見ますね。失礼します」

ガチャッ  バタンッ

那珂「恐かったぁ・・・」

提督「何をしたんだ?」

那珂「ちょっと食堂で深夜のゲリラライブを・・・」

提督「それは怒られて当然だろ・・・」

那珂「反省してます」ドゲザ

それから少しして・・・

トントンッ

提督「どうぞ」

漣「ご主人様ぁ~ 神通さんから聞きましたけど、アイドルのことが知りたいんですか?」

夕張「私達もすごい詳しいワケじゃないんですけど・・・」

漣「ぶっちゃけ面白そうだから来ました!」

提督「いや、俺じゃなくてな・・・」

漣「ふむふむ、那珂さんの歌のアクセス数が伸びないと・・・」

夕張「実際の映像とか見れますか?」

那珂「ちょっと待って・・・私のノートパソコンに入ってるから・・・コレだよ」

那珂がパソコンを操作すると映像が流れ始めた。

提督「綺麗な歌じゃないか・・・可愛らしい」

那珂「ありがと///」

漣「・・・確かに歌は綺麗です」

夕張「うん。けど駄目ね」

那珂「・・・なんで? どこが悪いのかな?」

漣「綺麗過ぎてつまらないです」

夕張「ありきたりで、インパクトがないですね」

漣「これじゃ記憶に残らないですよ」

那珂「うう・・・」

漣「再生数も300ちょいですね」

那珂「毎日10人くらい、来てくれてるんだけどな」

夕張「少ないですよソレ」

漣「足りないのはインパクト、そして記憶と耳に残る曲だと思いますね」

夕張「他の方の意見も聞いてみましょうか」

那珂「でも今仕事中だし・・・」チラッ

提督「今日の仕事は8割終わったから構わないけどな」

那珂「ごめんなさい。すぐ戻るから!」

そして鎮守府内の艦娘達に聞き込みを開始した。

秋月「あいどる? 聞いたことがあります!」

秋月「隕石を壊すロボットのことですよね?」

秋月「以前、漣ちゃんから聞きました」

漣「それは別の奴。まぁこれを見て」

秋月「ぱそこん? おおっ!那珂さんが歌ってますね」

那珂「・・・どうかな?」

秋月「どうと言われても・・・普通に良い歌だと思いますよ?」

夕張「思ったことなんでもいいから言って見て?」

秋月「そうですねぇ・・・あえて言うなら・・・」

秋月「静か過ぎて記憶に残りづらいかも・・・」

那珂「・・・・・・」

秋月「すっすいませんっ!! ダメってワケじゃなくて・・・その」

那珂「うん。いいよ。ありがとう」

漣「どうすれば記憶に残ると思う?」

秋月「・・・う~ん。いんぱくとのある、ふれーずを入れるのは?」

夕張「例えば?」

秋月「そう言われましても・・・牛缶・・・」

漣「・・・え? 牛缶?」

秋月「いや、ただ脳裏に浮かんだもので・・・すいません」

那珂「ふむふむ・・・牛缶・・・っと」

夕張(メモ取ってる・・・)

漣「他の人にも聞いてみましょうか」

野分「え? 那珂さんの歌!!?」

野分「もちろん、一日10回は聞いてます! 今まで300回は聞きました!」

夕張(あっ・・・)

漣(那珂さんの動画見ていたのってほぼ野分ちゃん・・・?)

那珂「   」

野分「どうしたんですか?」

夕張「那珂ちゃんの歌のダメな所探しの最中なのよ」

野分「・・・・・・は?」

野分「それは失礼ではないですか?」

野分「駄目な所なんてありません。あれは神。まじゴッド」

野分「現世に降りた天使の歌です」

漣(天使なのか神なのか・・・どっちなんです?)

野分「私は将来、司令と結婚して、小さくてもいいから一軒家に住み・・・」

野分「そこで娘を2人くらい産んで・・・」

野分「娘に那珂さんの歌を聞かせながら育てたい・・・」

野分「将来は那珂さんのようなアイドルを目指して欲しい」

野分「常々そう思ってまして・・・」

野分「悪い所なんて何一つないと思います!!」

夕張(さりげなく舐めたこと言いやがって・・・)

漣(ご主人様と結婚・・・やはり彼女も・・・)ハイライトオフ

那珂「そこまで言われちゃうとテレちゃうかな・・・アハハ」

夕張(あの那珂さんが軽く引いてる・・・)

那珂(なんでだろう? なんか心がズキっと来た・・・)

那珂(提督も何時かは・・・誰かと・・・)

――――嫌

那珂(・・・なんか嫌だな)

野分「お望みでしたら、那珂さんの魅力を延々と語りますが・・・」

漣「いえ、それは次の機会にでも・・・」

磯風「ふむ? 那珂の歌?」

夕張「これなんだけど・・・」

那珂「どう? 感じたことを言って欲しいかな」

磯風「良い歌じゃないか」

那珂「ほんと!? 嬉しいなぁ」

磯風「だが・・・パンチが弱い気もするな」

那珂「・・・そう」

磯風「すまんな。悪意はない」

那珂「大丈夫だよ。ありがとう」

漣「どうすれば良くなると思う?」

磯風「そう言われてもな・・・」

磯風「私はそういうモノはあまり・・・どうしたものか」

磯風「では・・・少し過激なフレーズを入れたらどうだ?」

夕張「・・・過激?」

那珂「過激っと・・・ふむふむ」

磯風「そう言ったモノは記憶に残りやすいだろ?」

磯風「現に私もそうだ・・・」

漣「何かあったんです?」

磯風「浜風の奴がな・・・私に料理を覚えさせるのは無理だと言う」

磯風「犬に人の言葉を話させる方がまだ簡単だと・・・」

磯風「全く、失礼な奴だ」

磯風「それが悔しくてな、今まで猛特訓してたんだ」

夕張「では・・・その手に持ってるタッパーは・・・」

漣「磯風ちゃんの手料理?」

とりあえず投下。
ただいまです。
眠たいので誤字チェック済んだものだけ・・・
続きは明日帰宅後に投下します。
おやすみなさい・・・zz

磯風「味見を頼もうと、人を探していたが見つからなくてな」

磯風「どうだろう、答えてやった対価に一口・・・」パカッ

漣(この人の料理は比叡さんと並ぶカオス・・・)

夕張「あの・・・これは・・・?」

磯風「見ての通りクッキーだが?」

夕張(どこが!?)

タッパーの中にあったのは黄緑色の謎の物体。

どう見ても、クッキーには見えない。

その物体はドクン、ドクンと脈をうっていた。

磯風「それも、ただのクッキーではない。生クッキーだ」

漣(なまぁ!?)

磯風「まぁなんだ? 生チョコみたいなものだ」

漣(・・・ナニコレ)

クッキー「シューーーー」ウネウネ

夕張(なんか湯気出てるし・・・動いてる・・・)

磯風「浦風は食べた瞬間に気を失って感想を聞けなかったんだ」

磯風「さぁ感想を聞かせてくれ・・・さぁっ!!」

夕張「スイマセン。先ほど昼食を済ませたばかりで・・・」

漣「同じく。那珂さんがお腹空いてるみたいですよ」

那珂「え? 何が?」

夕張(メモを取るのに夢中で聞いてなかったみたいね)

漣「はいどーぞ」グッ

夕張(那珂さんの口に放り込んだ・・・)

那珂「へ? ぶほぉ!?」

磯風「どうだ? 旨いか? 旨いと言え」

那珂「あばおtkヲkrな!?!??”」ガクガクッ

夕張「すごい。顔の色が・・・変色して・・・」

漣「・・・やっちまった」

那珂「・・・・キュー」ドテッ

漣「那珂さんっ!!」

磯風「また倒れたか・・・何故だ・・・?」

夕張「なんで、そんなに料理をしたいんですか?」

磯風「決まっている。頑張っている未来の夫の為だ」

漣「へぇ・・・それってご主人様のことですか?」ハイライトオフ

磯風「ああ・・・妻になるなら、せめて家庭は支えたいと思ってな」

磯風「それと司令にちょっかいを出す発情したメス犬共への牽制だよ」

磯風「・・・ワカルダロ?」ハイライトオフ

夕張「・・・・・・」ハイライトオフ

磯風「まぁ最後に勝つのは私だがな・・・」フッ

漣「何、舐めたこと言ってるんですか?」

漣「選ぶのはご主人様ですよ?」

磯風「選ばれて見せるさ。ドんナ手を使っテもナ・・・」

夕張(・・・やはりこのままでは不味いわね)

夕張(あの計画を実行しないと最終的に皆で殺しあうことになる・・・)

那珂「みず・・・みずを・・・」ガクッ

鎮守府付近海域

夕張「それで色々意見が出ましたけど・・・」

漣「やっぱりインパクトですよ」

那珂「・・・それでこの衣装?」

夕張「良くお似合いですよ」

那珂「うれしくないっ!!!」

那珂は顔はメイクで真っ白に。

デスメタルのような意匠の服を身にまとっていた。

夕張「大体今時、大人しい恋愛歌なんて流行りませんよ」

漣「そうです。パーとはっちゃけちゃいましょう」

那珂「・・・・・・何故こんなことに」

那珂「と言うか・・・なんで海上にいるの?」

夕張「艦娘なんですから、海の上で歌って踊った方がウケがいいでしょ?」

漣「もちろんご主人様の許可は貰ってますよ」

夕張「海上の方が映像的にも面白くなると思いますし」

那珂「な・・・なるほど・・・」

那珂「じゃあ・・・那珂ちゃんが背負ってる、この大きなスピーカーは何かな?」

夕張「ただのスピーカーですよ」

夕張(新しい実験兵装のテストも兼ねてますけど・・・)

漣「じゃあ、カメラ回しますよ!」

那珂「!!」

そう言われると、体は自然に動く。

悲しきかな、これがアイドルなんだなぁと那珂は思った。

那珂「こうなればヤケだよっ!!!」

夕張「3.2.1! スタート!」

那珂「ォォォォォォォオオオオッ ギュウカンーーーーー!!」

漣(デス声・・・本当にこれでよかったのだろうか)

那珂「ファックッ!!! ドイツモコイツモ! ファックッ!!!」(ヤケクソ)

夕張(始まってしまったのでもう、どうしようもないです)

漣(始めさせたのは私たちですけどね)

那珂「ギャァァァオ!!! コロセ! コロセっ!!」

漣(まぁ本人もノリノリだからいいか)


深海・・・

ヨ級「なんだろ・・・? なんか歌が・・・」

カ級「ねぇもう帰ろうよ・・・この海域ヤバいって噂よ」

ヨ級「何かが・・・呼んでる・・・」フラフラ

カ級「ちょっと!! どこいくの!?」

ヨ級「ほら・・・この歌・・・私たちを呼んでるんだよ」

カ級「歌?・・・本当だ・・・」フラフラ・・・

ザパァ

漣「なんか深海棲艦が出ましたけど・・・どうします? 戦います?」

夕張「いいえ。 予定通りよ。テストにちょうどいいわ」ピッ

何やら那珂の背負う巨大なスピーカーが音を立てて変形しているが、

那珂は気にせず歌い続けた。

那珂「コウゴウタル ヘンボー コウカイナド オソーイ!」

ライブを途中で止めるのは、那珂のアイドルとしてのプライドが許さない。

スピーカーから出る音は深海棲艦の思考に影響を与えていた。

ヨ級とカ級。2人とも仲間同士であるのだが、互いに相手が艦娘の姿に見えていた。

ヨ級「でち公!!今度こそ死ねぇぇぇ!!!!」

カ級「貴様こそしねぇ!! でち公!! 大破してるのに何故沈まん!!!」

ヨ級とカ級は互いを敵だと認識して戦い始める。

完全に歌に支配され、自分達でも理由が分からないまま激しくぶつかり、殺しあう。

漣「・・・どうなってるんですかコレ」

夕張「感情の強い言葉・・・例えば歌ですね。それを利用する装置です」

夕張「相手の感情を増幅させたり、幻覚を見せたり・・・」

夕張「単純に思考を鈍らせたり・・・」

漣「かなりヤバそうですけど、私たちは大丈夫なんですか・・・?」

夕張「効果を与える条件があるのと、ある程度は調整できますし・・・」

夕張「安全装置を抜かない限り、深海棲艦にしか効きませんよ」

夕張「そう、抜かない限りは・・・」

漣「なんで2回言ったんです?」

夕張「戦わずに相手を無力化させる手段として開発してたんですけど・・・」

夕張「まだまだ過大が多そうです」

漣「誰の歌でもいいんですか? 例えば録音したのを使うとか」

夕張「強い感情があれば問題ないハズですね」

夕張「ただ、録音したモノだと効果はないです」

那珂が最後のフィニッシュを決め、歌い終わる。

そのタイミングで、那珂の背後で戦っていた2隻の深海棲艦は相打ちになり、双方が爆発した。

夕張「良い絵が撮れました。迫力満点です」

那珂「なんか那珂ちゃんの歌がヘタで爆発したみたいで嫌な気分だよ・・・」

3人は鎮守府に戻り、夕張の私室で映像をアップロードした。

夕張「先ほどの映像をアップしましたけど見てくださいよ」

漣「うわぁ・・・まだ上げたばかりなのに、すごいアクセス伸びてる・・・」

那珂「本当だ・・・どんどん増えていく・・・」

夕張「これなら1万アクセスも時間の問題ですよ!」

漣「一時はどうなるかと思ったけど成功して良かったですね」

那珂「すごい・・・これだけ沢山の人が見てくれてるんだ」

夕張「この方向性で良かったのかも」

漣(良かったのかな・・・)

那珂「でも那珂ちゃんは・・・こんな過激な歌はあんまり歌いたくないなぁ・・・」

漣「ですが、アクセス数は間違いなく伸びてますよ?」

那珂「でも・・・こんな数まで行ったことないから、それは素直に嬉しいかも」

漣「それにしても、結構時間立ってますけど大丈夫ですか?」

那珂「あっ! 執務室に戻らないとっ!!」ダッ

ガチャ バタン

夕張「走ると危ないですよー」

漣「行っちゃいましたね」

那珂(私のバカ・・・折角、回ってきた秘書艦なのに・・・)

那珂(提督と2人きりの時間なのに・・・)

那珂(勿体無いことしちゃった。早く戻らないと・・・)

執務室

ガチャ

那珂「すいませんっ!! 遅くなりました!」

提督「・・・うん? 那珂か。別に大丈夫だぞ」

那珂「はぁ・・・はぁ・・・」

提督「どうしたんだ。そんなに息をきらして・・・」

那珂「残ってる仕事は・・・?」

提督「もうないけど・・・気にするな。大した量じゃなかったし」

那珂「ああああ・・・私のバカバカバカ・・・」

提督「それよりどうだ? さっき言ってた歌の件は・・・」

那珂「え・・・あ・・・うん」

提督「歯切れが悪いな。上手くいかなかったか?」

那珂「上手くいったけど・・・なんていうか・・・」

那珂は提督に映像を見せた。

提督「これはまた・・・」

那珂「あははは・・・」

提督「方向性を随分と変えたな」

提督は苦笑いをする。どう反応して良いか分からなかったのだ。

それはそうだろう。

優しい恋愛ソングから、奇抜な衣装で放送禁止用語を連発する

過激なデスメタルになってるのだから。

那珂「・・・でもアクセス数はすごいんだよ?ほらっ」

提督「その割には浮かない顔をしているが?」

那珂「・・・うん」

提督「那珂・・・?」

那珂「アクセス数が伸びたのは嬉しいけどね・・・」

那珂「提督はどう思う? コレ」

提督「ハッキリと言ってもいいか? 世辞を言っても仕方がないしな」

那珂「・・・どうぞ」

提督「正直、俺は前の那珂の歌の方が好きだな」

那珂「・・・アクセス数少なくて誰も見てくれないのに?」

提督「なぁ、アクセス数ってそんなに大事か?」

那珂「だって、それだけの人が見てくれているって証明だよ?」

那珂「誰かに聞いて貰えないと意味がないじゃん!!」

提督「那珂はさ、その数字の為に歌っているのか?」

提督「なんの為に歌ってるんだ?」

那珂「なんの為に・・・」

そもそも・・・

なんで、アイドルになりたいなんて思った?

かつての軍艦の記憶・・・

旗艦を勤めるも損傷、演習では大破、

華々しい戦果はなく、以後は輸送と護衛に従事。

ずっと裏方で頑張ってきた。

だから、この姿に生まれて・・・求めた。光を。

華々しい世界で輝きたいと思った。

表舞台に憧れた。

確かに、その思いは紛れもない本当の気持ち。

だけど・・・本当にそれだけ?

那珂(私は・・・)

提督「音楽ってさ、音を楽しむって書くんだろ?」

提督「だったらさ、周囲の評価なんて気にしないで・・・」

提督「那珂自身が本当に楽しめる歌を歌えばいいんじゃないか?」

提督「少なくても俺には・・・」

提督「以前の歌を歌う那珂は、とても楽しそうに見えたぞ?」

那珂「確かに・・・楽しかった・・・」

でも、それはなんで?

とても楽しかった。満たされた。

愛を歌う恋愛歌。

でも・・・その愛は誰への愛?

何を誰に向けて歌っていた? 何を伝えたかった?

那珂「そっかぁ」

自分に足りなかったモノを理解した。

それは恋心。

提督を好きなのに、それを恋心だと自覚していなかった。

愛を歌っていたのに、自分自身はそれを自覚していない。

どこかで聞いた言葉を並べただけの歌。

それじゃあ、人の心に強く響かない。当然じゃないか。

恋を知らない者が恋を歌うなんて・・・

そんなの誰の心を動かせると言うんだろう。

那珂「こんなに簡単なことだったんだ」

好きだから想いを込めて歌う。

ただ、それだけ。誰かに聞いて欲しいって気持ちはある。

だけど、本当に聞いて欲しかった人はただ一人だったんだ。

那珂「ありがと。提督」

提督「うん? ああ、どういたしまして・・・?」

那珂「那珂ちゃんパワーアップ!!」

川内型の部屋

那珂「ただいまー」

川内「お疲れー」

那珂「あれ? 神通ちゃんは?」

川内「演習やってたから・・・駆逐艦の子とお風呂じゃない?」

那珂「ねぇ、川内ちゃん?」

川内「うん?」

那珂「私さ、提督が他の子と居ると嫌な気持ちになるの」

那珂「今まで、この気持ちが良く分からなかったけどさ・・・」

那珂「ようやく自覚したよ」

那珂「私、提督のこと大好きだよ」

那珂「提督としてじゃなくて、一人の男の人として」

那珂「好きなんだ」

川内「・・・ふぅん。なんでそれを私に?」

那珂「川内ちゃんも好きなんでしょ? 提督を男の人として」

川内「・・・・・・・・・」

那珂「自覚したら色々分かっちゃった」

那珂「ああ、そういうことなんだって」

那珂「何時も夜戦って提督に言ってるけどさ・・・」

那珂「それ別の意味の夜戦ってニュアンスで言ってるよね?」

那珂「部屋に居るときも変だと思ったんだ」

那珂「『提督と夜戦したい~』ってさ」

那珂「なんか言い方おかしいよね?」

那珂「色々分かっちゃった」

那珂「鎮守府の皆のこともさ・・・」

那珂「理解することで、ここまで見かたが変わるなんてビックリ」

川内「へぇ・・・それで? だから何かな?」ハイライトオフ

那珂「私は、川内ちゃんも好き。お姉ちゃんだもん」

川内「それは私もだよ。妹だもん」

那珂「でもさ・・・これだけは譲れないかな?」

那珂「提督のことはさ」ハイライトオフ

川内「・・・気が合うね。私もだよ」

那珂「それに神通ちゃんもだよね?」

川内「それだけじゃない、この鎮守府の艦娘全員そうだよ。間違いなく」

那珂「だからさ、一番身近な人に宣戦布告。それをしたかったんだ」

川内「我が妹ながら面白いねー」

那珂「私はこれからも歌うよ。自分が好きなように」

那珂「ただ『大好き』ってありったけの想いを込めて」

那珂「それが提督への私からの気持ちで、他の皆への宣戦布告だから」

川内「よく分からないけど・・・負けないよ?」

那珂「うん。私も」

那珂「絶対に」キッ

川内「良い眼だね・・・うん。妹でも手加減しないよ!」

那珂「こっちもだよ!!」

食堂

野分「ハァハァ・・・こういう那珂さんもステキ・・・」

夕張「勿体無いですね。折角、沢山のアクセスが来てたのに消しちゃうなんて」

野分「ありがとうございます! この映像データをたった10万で売ってくれて」

夕張「いいですよ。欲しい人に渡る方がいいでしょうし」

漣「ちょっと値段ボリすぎじゃないですか?」

野分「那珂さんの歌にはそれだけの価値がありますっ!!」

漣「えっあっ・・・ハイ。そうですね」

南方「しかし・・・なんだこの歌というものは・・・凄まじいな」

南方「これがブンカと言うモノか」

南方「なんという破壊衝動の塊・・・」

夕張「全部が全部こんな歌じゃないですけどね」

南方「私も何かを叫びたい気分だ!」フンスッ

漣「では、ヤックデカルチャーと叫んで見てください」

南方「なんだそれは・・・?」

漣「文化に驚いた人類外の共通の正しい叫びですよ」

南方「分かった!」

南方「ヤックでかるちゃーーー!!」

漣「キタコレ!!」

野分「少し静かにしてくださいよ!! 聞こえないじゃないですか!!」

南方「すっすまない」

漣(この人も随分馴染んだな・・・まだ数日なのに)

浜風「誰か!! 誰か!! 来て!!!」

漣「・・・どうしたんでしょう」

浜風「調理中の磯風を止めてぇぇぇぇ!!!!」

磯風「止めるな!! 今度は大丈夫だ!! 私を信じろ!!」

浜風「信じられる要素が何一つない!!」

鍋「GYAAAAA!!!」

直後、厨房は爆発した。

南方「ここは何時も騒がしくて面白いわね・・・」

夕張「ええ。こんな日常が永遠に続けばいいんですけどね・・・」

夕張「誰か一人が選ばれるんじゃなくて・・・」

夕張「皆で楽しく・・・何時までも・・・」

夕張「そう・・・永遠に」ハイライトオフ

南方「!!?」ゾクッ

夕張「未来永劫ね・・・」

漣「・・・・・・無理ですよ」

漣「だって皆・・・」

―――――自分が、そのたった一人に選ばれたいのだから

例え、親しき者を蹴落としてでも・・・

漣「だから何時かは終わっちゃうんです」

野分「・・・・・・そうね」

鎮守府は今日も平和だった。

夜。

那珂は鎮守府の屋上で歌う。

自分の想いを込めて。

大好きです。貴方が好きです。

そんな気持ちを沢山込めて。

観客は提督一人だけ。

無理を言って聞きに来て貰ったのだ。

雲の隙間から漏れた月の灯りが那珂を照らす。

まるでスポットライトのように。

その光景はとても幻想的で、提督は思わず見惚れた。

透き通るような美しい歌声は歌う人の想いが感じられた。

聞く者を優しい気持ちにさせる歌。

那珂「どうだった?」

提督「・・・すごく綺麗だった」

那珂「きっきれい!?///」

提督「なんていうか・・・心に何かが響いてきた気がする」

那珂(それは愛だよ。貴方を好きって気持ち・・・)

那珂「その響いた気持ちに気付いたら・・・返事が欲しいかな?」

提督「・・・返事?」

提督「・・・それが、なんなのかまだ分からない・・・けど・・・」

提督「それが分かったら・・・ちゃんと伝えるよ」

那珂「今はそれでいいや。今日はありがとうね提督」チュッ

提督「コラ・・・そういうことは止めなさい」

提督「女の子が軽々しく男にキスをするものじゃない」

那珂「色々お礼とお詫びだよ。 それに頬だから挨拶みたいなものなんだよ」

提督「その言い分、流行ってるのか?」

那珂「那珂ちゃん、わかんなーい」

2人はそんな応答が面白くて思わず笑ってしまった。

そんな2人を見つめる人物が居た。

野分だった。

偶然、提督と那珂が屋上へ上がる所を目撃し、気になって付けてきたのだ。

最初は那珂の歌を聞き興奮していたが、歌い終わって、

那珂が提督の頬にキスをした時、自分の中で黒い感情が芽生えた。

那珂のことは尊敬している。

彼女の歌は大好きだ。

嫌いになんてならない。なのに・・・・

野分(なんで・・・)

―――――今はこんなにも憎いんだろう。

その感情が理解出来なかった。

このままでは自分が狂っておかしくなる気がした。

野分は気付かれないように屋上から立ち去り、自室のベッドの中に逃げた。

何も見ない。聞かない。そうすればもう、あんなこと思わない。

この感情も明日には消えている。

そう願い、信じながらそのまま眠りについた。

後日・・・

別の鎮守府

五月雨「おおおおおおっ・・・・」

夜曾野「どうしたの? ついに狂ったの?」

五月雨「失礼ですね!! これですよ!凄いんですよ!!」

夜曾野「音楽サイトォ? 素人が歌とかアップしてる奴でしょ?」

五月雨「この那珂ちゃんの歌が凄いんですって・・・最近有名ですよ」

夜曾野「なにそれ初耳」

瑞鳳「え?ご存知ないのですか!?」

瑞鳳「今、巷で注目を浴びている彼女の歌を?」

夜曾野「そんなに良いなら聞いてあげるわ!」

夜曾野「ただし、私が満足しなかったら今日の書類仕事はやらないからね!!」

五月雨「なんで!?」

数分後

夜曾野「ううう・・・」

五月雨「ね? すごいでしょコレ」

夜曾野「うん。思わず涙が・・・」クスンッ

瑞鳳「歌唱力凄いですよね・・・」

五月雨「ええ、なんていうか・・・強い想いが伝わってきますよね」

夜曾野「で? どこの鎮守府の那珂ちゃん?」

五月雨「それが非公開なんですよね」

瑞鳳「憧れちゃうなぁ・・・ウチの那珂ちゃんは・・・」チラッ

那珂「・・・よし! リーチっ!」

川内「・・・!!」

利根「クッ・・・」

古鷹「カンッ もういっこカンっ!!」

古鷹「・・・嶺上開花」

3人「「「 」」」

夜曾野「執務室で何してるんだよ!!」

五月雨「提督が珍しく正しいこと言ってる・・・」

夜曾野「私も混ぜろ!!」

五月雨「気のせいだった・・・」ツルッ 

五月雨「キャッーー!?」ヨロ

夜曾野「え?」

ドテーーーン ガチャーーーンッ

川内「うわぁ!?」

那珂「へぶ!?」

利根「ひゃう!?」

古鷹「キャァ!?」

瑞鳳「あーあ・・・大惨事」

夜曾野「なんで何も無い所で転ぶのよ!?」

五月雨「分からないですよ!!」

川内「あ~あ・・・滅茶苦茶だね・・・」

利根「どうするんじゃ?」

夜曾野「仕切りなおしよ!!」

瑞鳳「提督・・・仕事しようよぉ・・・」

那珂の歌はネットの世界で伝説になっていた。




投下完了。


何時も感想ありがとうございます。
もう少しでイベント編突入
イタリア娘達が\\\
リアルの方では
改装図が沢山必要でつらいです・・・

おやすみなさい
また近いうちに・・・

執務室

ろー「秘書艦の仕事、頑張りますって! 負けません! がるるー!」

提督「はははっ元気だなぁ」

ろー「はい! 元気ですって!!」

提督「日本語も上手になったな・・・」

提督(・・・少し変だけど)

ろー「鎮守府の皆が沢山教えてくれたデース!」

提督(・・・金剛か)

ろー「他にも困った時はクマーとかタマーって叫ぶんだって!」

提督(球磨と多摩か・・・)

ろー「でっちも色々教えてくれるの!」

提督「・・・丁稚?」

ろー「ううん、でっち」

提督「でっち・・・?」

ろー「ゴーヤです」

提督「ん? ああ、でちって言う時があるからか」

ろー「うん。だからでっち」

提督「潜水艦の子達と仲良くやってるみたいでよかった」

ろー「すっごい仲良し!」

提督「仕事の方は大丈夫か? 書類とか日本語だけど・・・」

ろー「少し難しいかもです。大体分かるけど、漢字がまだちょっと・・・」

提督「同じ読みでも意味が違かったりするからな・・・外国の子には難しいか」

ろー「だから・・・教えて欲しいです? だめですか?」

提督「いいよ。どれが分からないんだい?」

ろー「提督の近くに座ってもいいですか?」

提督(確かにその方が確認しやすいか・・・)

提督「ああ、構わないぞ」

ろーは秘書艦が座る机から提督の方へ移動する。

ろー「はいっ!!」ポスンッ

提督「なんで膝の上に座るんだ・・・」

ろー「・・・だめですか?」

提督(まだ甘えたい年頃なのかね)

提督(もうしかしたら俺を兄貴か父親のように思ってくれているのかもしれない)

提督(それに・・・こんな怯えるように聞かれたらダメって言えないじゃないか・・・)

提督「分かったよ。良いよ。どの漢字が分からないんだ?」

ろー(本当は・・・分かるんですけどね)

ろー(ごめんなさい提督。ろーちゃんは嘘つきです)

ろー(提督の膝の上・・・暖かい・・・)

ろー(このまま・・・一つに繋がりたい・・・)

提督「ろー? どうした?」

ろー「これと・・・これなんですけど・・・」

提督「ああ、それはな・・・」

ろー(この戦争が終わったら、ちゃんと告白するって・・・決めたけど・・・)

ろー(皆も・・・するんだろうな・・・)

ろー(嫌だな・・・)

――――もしも

ろー(将来、提督の隣にいる娘が・・・)

――――自分じゃなかったら

耐えられるだろうか。

自分以外の娘と結ばれて、婚約し、2人の間に子供が出来る。

提督が幸せになれるなら祝福すべきだ。

だけど・・・多分それは出来ない。

だって諦めきれないから。諦めたくないから。

初めて会った時、私を家族と言ってくれた。

この国なりの社交辞令だと思っていた。

だけど、何時だって困れば提督は助けてくれたし、

何時も気にかけてくれた。

思い出す。自分が提督のことを好きだと自覚したあの日を・・・

あれは何時だったか・・・まだ着任してすぐの頃・・・

夜中に、ふと目が覚めてしまった。

再び眠りに付こうとしても中々眠れない。

寝ている皆を起こすわけにも行かない。

ユー(そういえば・・・少し喉が渇いた・・・)

水が飲みたくなり、部屋を出て食堂へ向かった。

何時も何気なく歩く廊下も、今は点々と備え付けられた常夜灯の灯りのみ。

暗く、静かで不気味に感じた。

知らない場所を歩いているみたいで少し恐かった。

食堂に着くと調理場の方が少し明るかった。

ユー(誰か居るのかな・・・?)

居たのは提督。彼は調理をしていた。

ユー(こんな時間にどうしたんだろう?)

視線に気付いた提督がこちらを見た。

提督「あれ? ユーか? どうしたこんな時間に」

ユー「ちょっと喉が渇いて・・・」

提督「そうか。ほら」

提督が水を渡してくれた。

ユー「ありがとう。提督は・・・こんな時間にどうしたの?」

提督「ちょっと仕事が長引いてな・・・小腹が空いた」

そう言うと「皆にナイショな」と笑った。

提督は余りモノで炒飯を作っていたみたいで、出来上がると食事を始めた。

とても美味しそう。

私は提督が座った机の対面側に座った。

眠れないので少し話をしたかった。

提督「ここにはもう慣れたかい?」

ユー「・・・うん」

私は話に相槌を打ちながらも、じっとチャーハンを

見ていたようで提督に笑われた。

提督「何だ? ユーもお腹がすいたのか?」

ユー「・・・美味しそう」

提督「だが、寝る直前に食べると体に悪いって言うしな・・・」

ユー「美味しそう・・・」

提督「う~ん・・・じゃあ、一口だけだぞ?」

ユー「うん!!」

提督がスプーンを差し出して、私はそれを口に含んだ。

タマゴがふわふわでとても美味しい。

ユー「美味しい・・・なんで寝る前だと食べちゃダメなの?」

提督「胃がびっくりしゃうらしいぞ? あんまり体によくないらしい」

ユー「・・・お婆ちゃんの知恵袋?」

提督「多分違うかな・・・」

知っている日本の知識を出したけど違ったようだ。

それから提督と沢山話をした。

提督は笑いながら相槌をうち、聞いてくれた。

ユー「まだフライパンに炒飯余ってるよ?」

提督「それは夜間警備している子達にお裾分けしようかなって思ってね」

ユー「やかんけいび?」

艦娘達と妖精が当番制で鎮守府付近の海域を警備しているらしい。

提督「敵は何時攻めてくるか分からないからね。レーダーによる監視や、巡回はかかせないんだよ」

鎮守府に着任して数日。まだ知らないことだらけだった。

ユー「・・・提督は何時もこんな遅くまで仕事してるの?」

提督「何時もじゃないけど、先日の作戦の処理で今週いっぱいはこんな感じかな?」

ユー「秘書艦の子はどうしたの?」

提督「今日は遅いから、随分前に返したよ」

ユー「そうなんだ。明日もいる?」

提督「分からないなぁ・・・仕事が長引けばいるかもな」

ユー「・・・そろそろ戻るね。楽しかった」

提督「俺もユーと話せて楽しかったよ。元気が出た。もう少し頑張るかな」

そう言われて嬉しかった。

ユー「おやすみなさい」

提督「ああ、おやすみ」

余談だが、提督が夜食を振舞った結果、艦娘達の間で

夜間哨戒の任務の希望者が続出し、ちょっとした騒動になったが、

その件は提督に届くことは無かった。

食堂を出て、寮へ戻る途中、ふと気がついた。

ユー(あれ・・・? さっきの・・・って)

ユー(・・・間接キス?)

顔が熱くなる。心臓がドクンドクンいってる。

ユー(間接キスしちゃった・・・)

多分・・・今、鏡を見たら自分の顔は茹蛸みたいに真っ赤になってることだろう。

急に恥ずかしくなり、早歩きで部屋に戻って布団にくるまった。

そして翌日も、その翌日も、ユーは夜中に起きては食堂に行く。

決まって提督が居て、2人で他愛もない話をした。

自分はあまり喋るほうではないと思っていたのに、

提督とはとても話しやすく、自分でも驚くくらい会話が弾んだ。

ユー(・・・楽しい)

気がつけば普段から提督のことを目で追っていたり、

提督のことが気になるようになった。

鎮守府内では提督の盗撮写真が取引されているが、

最初知ったときは正直引いた。ドン引き。

噂に聞いてたヘンタイ文化。日本は未来に生きすぎだと思った。

だけど、何時の間にか自分も買う側になっていた。

ユー「これが日本の文化・・・慣れてきた」

青葉「毎度あり! 苦労したんですよ」

ユー「他に良いアングルはないの?」

青葉「ないですねー」

青葉(あるけど・・・それは自分用ですし)ハイライトオフ

ちゃんと自分は異国の地で順応してやっていけていると自信にもなった。

同じ国の出身であるレーベちゃんもマックスもビスマルク姉さんも

『別に普通のこと』『おかしくないわ』『常識よ』

と言うので別におかしなことではないハズだ。うん。

そんなある日・・・

とうとう自分のレベルが限界値を迎えた。

艦娘の錬度を数字で可視化できる『レベル』と言うシステム。

ある一定の限界値に到達すると改造することが可能になる。

妖精さんの考案したシステムなので詳しい原理は分からない。

これにより改造し、更なる性能向上を望むことが出来るようになった。

だけど、正直迷いが大きかった

改造するのが恐かったのだ。

今とは別の自分になるような気がして・・・

ユー(・・・提督に相談しようかな)

その日の夜・・・皆が寝静まった時間。

何時ものように、こっそりと部屋を出ようとした。

イムヤ「・・・どこへ行くの?」

突然、聞こえた声に驚き、ゆっくり振り返ると、

イムヤがベッドから上半身を起こして、こちらを見ていた。

伊168。イムヤ。同じ潜水艦の仲間で私の友達。

何時もなら、そんなことは思わないのに、

この時のイムヤは何故か恐ろしかった。

どうしてだろう? 理由は分からない。

ユー「・・・ちょっとトイレ」

イムヤ「毎日、毎日、同じ時間に起きてトイレ・・・ね」

ユー「・・・うん。じゃあ行くね」

部屋を出ようとする。

イムヤ「・・・また司令官に会いに行くんだ」ハイライトオフ

今まで聴いたことも無いとても冷たい声。

ユー「・・・っ!!」

なんで? なんで知ってるの?

話したことはない。あの場には何時も2人しか居なかった。

ユー「・・・なんのこと?」

イムヤ「毎晩毎晩、司令官と話してるよね。楽しそうに。知ってるんだから」

何時も明るくて、面倒見の良いイムヤからは想像も出来ない冷たい声。

窓から入る月灯りが彼女を照らし、その光は逆光になり、

部屋も暗い為、彼女の表情はよく見えず、窺い知れない。

ただ、2つの瞳がこちらを捉えていることだけは分かった。

じっと見られていると、心臓を鷲づかみされたみたいな感覚になる。

イムヤ「会うのは別にいいけど、あんまり『私の司令官』に色目使わないでね」

その瞬間、さっきまでの恐怖は消えた。

不思議なことに綺麗さっぱり。

今あるのは不快感。

――私の司令官?

ユー「・・・なにそれ」

提督は誰のモノでもない。誰かと付き合ってるという話は聞かない。

なんでイムヤのモノなの? 付き合ってるワケじゃないのに。

ユー「別にイムヤのモノじゃないと思う・・・」

気がつけば反論していた。

ユー「だから・・・私にもチャンスはあると思う」

イムヤ「・・・貴女も司令官のことが好きなの?」

ユー「・・・・・・わからない」

イムヤ「・・・ふぅん」

好き・・・?

確かに尊敬している。好感を抱いている。

一緒に居ると楽しい・・・

それは上官としてじゃなくて?

一人の男の人として・・・?

―――ワカラナイ。

でも私はイムヤに言った。

『私にもチャンスはある』と。

チャンス?なんの?

多分、心の奥底では既に理解をしていた。

だけど気付かないようにしていたのかもしれない。

私は臆病だ。常に変わることが恐い。

変わることが良いことだけとは限らない。

だから進めない。

そしてそんな臆病な自分が嫌だった。

ユー「もう行くね・・・」

イムヤ「・・・・・・」

部屋を出て食堂へ向かう。イムヤは何も言わなかった。

提督「お? 今日も来たか。待ってろ、今お茶でも・・・」

ユー「提督。少し相談があって・・・」

提督「相談?」

自らを改造するのに躊躇いがあることを提督に話した。

提督「改造を受けるか、受けないかの最終的な判断は本人に任せているからな・・・」

提督「ユーは改造したくないのか?」

ユー「・・・したい。強くなりたい」

提督「じゃあ、受けてもいいんじゃないか? 何か不安が?」

ユー「ユーがユーじゃなくなる気がして・・・」

提督「改造されても別人になるわけじゃないハズだが・・・」

ユー「もし、ユーがユーじゃなくなったら・・・」

ユー「皆は今まで通りに接してくれるかな・・・?」

ユー(それに・・・)

―――貴方は今までどおり接してくれますか?

ユー「なんかね、そんなことばっかり考えちゃうの・・・」

提督「・・・俺は艦娘じゃないからさ」

提督「改造される時の葛藤なんてものは理解出来ないと思う」

提督「どんなに分かった気になって、何を言った所でさ」

提督「そんな言葉はユーの心には届かないと思うんだ」

ユー「・・・うん」

提督「改造されてもユーはユーだしさ・・・」

提督「何も変わらないと思うぞ?」

ユー「・・・そうかな?」

提督「迷うってさ・・・興味があって、やりたいから出てくる感情だろ?」

提督「初めから、なんの興味も無ければ迷ったりしないよ」

確かにそうだ。改造したくない、しなくていいと思うなら悩む必要はない。

でも強くなりたいって思ってる。今よりも役に立ちたいと思っている。

だけど・・・だけど・・・今ある世界が壊れてしまう気がして恐かった。

これが通常の改造であればなんとも思わなかっただろう。

だが、今回は違った。

U-511から呂500への改造。

それが自分にどんな影響を及ぼすかが恐かった。

自分が、全く別の自分になってしまうのではないか?と。

提督「他人から掛けられる言葉なんて物事を決める直接の要因にはならないと思うぞ」

提督「だから俺がここで何を言っても・・・最後に決断するのは自分自身だよ」

ユー「自分で・・・決める・・・」

提督「冷たいかもしれないけどさ・・・常に何かを選んで、選択していく」

提督「それが生きていくってことなんだ」

提督「だから、自分で決めなさい。どうしたいか、どうなりたいか、考えるんだ」

提督「そして悩んで、悩んで、悩んで・・・」

提督「その結果に出した答えだったなら、価値があるものになると思うよ」

提督「そうやって皆、自分で答えを探しながら前に進んでいくんだ」

ユー「ユーは・・・」

強くなりたいのも、役に立ちたいのも・・・・

そうだ。

この人に褒めて欲しいからだ。

喜んで欲しいからだ。

ユー(・・・理由はたったそれだけ)

でも、なんで?

―――好きだから。

それは上官として?

―――違う。

男性として・・・?

ユー(・・・そうか。そうなんだ)

自分自身に問答していく。

ユー「・・・提督」

提督「なんだ?」

ユー「・・・改造を受ける」

提督「え? もっと考えてからでもいいんだぞ?」

提督が好き。

異性として好き。

そう答えが出てしまえば今までの自分の行動も納得がいった。

イムヤに言った言葉も・・・

完全に迷いは消えた。答えが出てしまえば、些細なことで悩んでいたものだと思った。

ユー(取られたくないんだ。他の誰にも・・・提督を)

早く改造を受けないと。

もっと強くならないと・・・

誰よりも・・・

まずはカッコカリ。そこから・・・

自分の目指す先が見えた気がした。

ユー「ありがとう。答えは出たよ」

提督「そうか。じゃあ手配しておくが・・・本当にいいのか?」

ユー「うん。明日、すぐにでもお願いします」

提督(僅かな時間で自分なりに納得が行く答えを出したか・・・)

ユー「後ね・・・」

提督「うん?」

ユー「勇気をください」チュッ

提督「おい!?」

ユー「じゃあ、おやすみなさい///」

ユーは真っ赤に染まった自分の顔を見られないように早足で寮へ戻っていった。

提督「海外の子は、ませてるって聞くが皆ああなのかな・・・」

何時か、平和な時代が来て、彼女達が普通の少女として生きていける世界になり、

そうなったら皆それぞれの人生を歩むことになるだろう。

その時、彼女達は自分で決めて、選んで、自身の人生を歩んでいかなければならない。

そうなった時の為に、出来る限り力を貸してあげたい。

父親のように。兄のように。

少しでも幸せな人生を歩めるように・・・

そう提督は思っていたが、鎮守府の艦娘達は父親でもなく、兄でもなく、

幼い駆逐艦達ですら異性として提督を見ているとは想像もしてなかったのである。



イムヤ「あら、戻ったの。お帰り」

ユー「・・・起きてたんだ」

イムヤ「眠れなくてね・・・」

ユー「ねぇイムヤ、私・・・好きだよ」

ユー「提督のこと好き。だから負けないからね」

イムヤ「そうだろうと思った。薄々感じてたけどね」

ユー「イムヤにも、他の娘にも・・・負けない・・・」

ユー「がるるーーー」

イムヤ「ぷっ・・・なにそれ」

ユー「なんか強そうな感じ?」

私は変わる。弱い自分は嫌だ。もっと強い自分に。

イムヤ「まぁ最後に選ぶのは司令官だからね。私も負ける気ないけど」

ユー「ユーも負けない」

イムヤ「じゃあコレをあげるわね」

ユー「なにこれ?・・・本?」

イムヤ「司令官にアプローチする場合に守らなきゃいけないルールブックみたいなものよ」

ユー「・・・分厚い」

イムヤ「一応は目を通しておいたほうがいいわよ」

ユー「・・・沢山ルールがあるんだね」パラパラ

イムヤ「誰かが違反したり、不味い行動を取る度に規約が増えていったからね」

イムヤ「少なくても翔鶴さんだけで120ページは増えたわね」

ユー「・・・このルールを破るとどうなるの?」

イムヤ「下手したら五航戦と言われ続けるでしょうね・・・」ブルッ

ユー「・・・それは困るかな」ゾクッ

イムヤ「だからルールは守ってフェアにやりましょ」

それから改造を受けて呂500になった。

ろー「ユーちゃん改め、ろーちゃんです!」

改造を受けてからは恋心を自覚したからか自分でも驚くくらい明るくなったと思う。

今まであんまり会話をしなかった艦娘とも喋るようになり、友人も増えた。

ろー(あの時、選んで、決断して良かった)

以前よりも毎日が楽しい。

もっと前へ。もっと先へ。

提督と戦争を勝ち抜いて、生き残って・・・目指す先は・・・

女の子が誰もが憧れる存在に・・・

そして再び現在・・・

提督「・・・ろー? どうしたんだ? ボーっとして」

ろー「およめさんです!!」

提督「・・・はい?」

しまった。脳内で考えていた言葉が出てしまい焦る。

ろー「なんでもないんだって!! 今は忘れてって!!」

提督「うん? 良く分からないけど大丈夫か? 疲れているなら・・・」

ろー「ううん。こうしていれば大丈夫ですって!」

そう言うと、提督に寄りかかる。

提督「おいおい・・・俺は椅子じゃないぞぉ?」

提督は少し困った顔で笑う。

ろー(大好きだよ・・・提督)

ろー(頑張るから・・・)

ろー(ろーちゃんを見ててね)

ろー(ずっと・・・ずっと・・・エイエンニ)ハイライトオフ

背中に伝わる提督の温もり。

その暖かさと提督の匂いに包まれて何時しか眠ってしまった。

提督(寝ちゃったか・・・起こすのも可愛そうだな)

コンコンッ

提督「どうぞ」

ガチャ

イムヤ「司令官、次の出撃だけど・・・」

イムヤ「・・・何してるの?」ハイライトオフ

提督「なんかろーが寝ちゃってさ。起こすのも可愛そうで・・・」

イムヤ「そもそも、なんで司令官の膝の上に座ってるのかしら」

イムヤ「そんなうらや・・・けしからんこと許せるワケないでしょ」

イムヤ「上官の膝の上に乗り、あまつさえ眠りこけるなんて」

イムヤ「ダメよ。絶対。許されないことよ!」

提督「いや、イムヤだってよく座ってくるじゃないか・・・注意しても」

イムヤ「それは私と司令官の仲だからでしょ!?」

提督(どんな仲なんだろうか・・・)

ろー「・・・もうたべられないって・・・むにゃ」

イムヤ「なんてベタな寝言・・・起きなさいっ!!」

ろー「うん・・・? イムヤ?」

イムヤ「なんで司令官の膝の上に座ってるのかしら?」

ろー「・・・今はろーちゃんの時間だから別にいいんですって」ギュー

イムヤ「・・・降りなさい!!」

ろー「やだって!」

イムヤ「・・・・・・」ニコッ

ろー「・・・・・・」ニコッ

提督(なんか部屋が寒い・・・もう春だってのに・・・)ブルッ

投下完了。

自分が改造される立場だったら色々葛藤あるかなぁと思うんですよね。
尻から火を吹いたり変な改造されても困るし

それと長く開いてしまって申し訳ないです。
なんか遅ぇな!と思ったら8割仕事が原因です(汗
働きたくないでち
今度は土曜当たりに・・・
ではまた!

夜、執務室。

提督「どうだ、ここの暮らしは」

南方「まぁ居心地は悪くはないわね」

南方「何度も言うけど、敵である私をこんなに自由にしておいていいの?」

提督「構わん。それと敵ではなく・・・せめて友人には・・・なれないだろうか?」

南方「なってどうするのよ」

提督「少なくても・・・戦わなくて済む」

南方「私個人と戦わずに済んでも戦争は終わらないわよ?」

提督「ああ、分かってるよ」

南方棲鬼の言うとおり、彼女個人と戦わずに済んでも、

それは当然、深海棲艦全体の総意ではないし、戦争は終わらない。

だけど・・・南方棲鬼を鎮守府に迎えて交流するうちに、

深海棲艦とも意思の疎通が出来ることが分かった。

これだけでも大きな進歩だった。

もうしかしたら・・・本当に戦争を終わらせる方法が見つかるかもしれない。

互いに滅ぼしあう戦争は終わりがない。

両者が別の種族であるなら尚更だ。

それは後、何年続くだろう?いや・・・何十年、何百年・・・

何時まで誰かが無慈悲に死ぬのだろう。

現状は防衛ラインが維持されており、本土が攻撃される可能性は低い。

だが・・・もしも・・・

防衛ラインを抜かれて、海上より艦載機が本土を・・・仮にも首都を強襲したら?

それだけで多数の死者が出るだろう。

それは夢物語や空想ではなく、現実に起こりえる事態であった。

ここ十数年は本土に直接的な被害はない。

だから国民も、政治家ですら危険は知っていても大丈夫だと

根拠もなく平和ボケしている。

結局は自分自身に直接の被害が出て、当事者にならない限り分からないのだ。

まるで、テレビの中の行った事もない土地の事件でも見ているかのように他人事でしかない。

誰もが心の奥底では分かっているハズなのに。

本土の平穏は仮初であり、常に危険が付きまとっている異常事態だと言うことを・・・

だが自分は忘れない。絶対に。

両親が死んだ。この戦争で。そしてまだ戦争は続いている。

自分のような人が今後も生まれる現状が許せなかった。

だから、終わらせなくてはならない。それが自分が生きている意味であり、

ロクに覚えていない両親へ出来る唯一の親孝行であるからだ。

南方「・・・変な人ね」

提督「それはお互い様だろう。毎晩執務室に来てはその写真を眺めて・・・」

南方「・・・・・・なんかね・・・懐かしい感じがするのよ」

提督「俺の両親がか?」

提督(・・・両親と面識があったのか?)

艦娘が沈むと深海棲艦になる。そんな話がある。

軍上層部が直接の回答は控えているが、今までの戦闘経験から、

恐らく事実ではないかと自身で結論つけている。

だとすれは・・・もしや両親の元にいた艦娘だったのだろうか。

全ては憶測でしかないし、確固たる証拠もないので判断は出来ない。

だけど、もしそうなら・・・この感情にも納得がいった。

何故か南方棲鬼と話していると懐かしい感覚になるのだ。理由は分からない。

まるで自分は彼女のことを昔から知っているような・・・

記憶には無いが、もうしかしたら子供の頃に会っている可能性もあるわけだ。

提督(・・・考えても仕方ないか)

南方「それに・・・貴方と話しているとね・・・」

提督と同じように、南方棲鬼もまた提督をどこか懐かしく感じていた。

提督と話せば話す程、何故か愛しく感じる。

まるで我が子のように・・・

自分でもこの感情は良く分からない。思い出せそうで思い出せない。

南方「・・・なんでもないわ」

提督「なんだそれ・・・」

南方「早く寝ないと明日に響くわよ」

提督「深海棲艦にそんなこと言われるとは・・・」

提督は面白そうに笑う。

南方「折角忠告してあげたのに酷いわね」

南方棲鬼もくすくすと笑う。

提督「なんか母親みたいだった」

まぁ俺は母親と言うモノが良く分からないんだけどさと付け加えたが、

南方棲鬼の耳には入っていなかった。

南方「・・・母親」

何かが頭の中でフラッシュバックした。

一瞬であったので良く分からない。

だけど、とても大事なものだった気がする。

守りたいものだった。

それを思い出せないのが腹立たしかった。

提督「・・・どうした?」

南方「・・・別になんでもないわ」

コンコンッ

提督「どうぞ」

ガチャ

電「失礼するのです」

提督「どうした。こんな時間に」

電「明日からの作戦ですが・・・」

提督「ああ、何か問題でもあったのか?」

電「いいえ。ただひとつ、気になることがありまして・・・」

電「司令官さんは出撃・・・しないですよね?」

何時もは優しい彼女が強い意志を感じる瞳で見つめてきた。

提督「・・・分かってるよ」

電「ちゃんと言ってくれないと安心できないのです」

提督「絶対出撃しない。ちゃんと司令室で指揮を執るから」

電「じゃあ、約束げんまなのです」

電と指きりをする。

電「嘘付いたら比叡さんのカレー食べさせるのです!」

提督「・・・比叡には悪いがそれは困るな」

電「約束ですよ?」

提督「まだ気にしてるのか? 昔のことじゃないか」

電「忘れないのです。もうあんなことは二度と・・・」

電「司令官さんは前線に出ず、後方で指揮をして欲しいのです」

電「これは、艦隊に所属する艦娘全員の総意だと思って欲しいのです」

提督「分かったって・・・」

電「用件はそれだけなのです」ギュー

提督「なんで抱きつく・・・」

電「こうするとよく眠れるのです。じゃあ、おやすみなさい」

提督「おやすみ。また明日な」

電「はいっ」

電は可愛らしく微笑んでから自室へ戻っていった。

南方「ほんと、貴方は部下に好かれているわね」

提督「そうか? そうだと嬉しいな」

南方「前線に出るなってどういうこと?」

提督「まぁ昔、色々な・・・」

提督の中には自らが護衛艦に乗り込み、艦娘と共に前線に出向き、直接指揮をする者も居る。

以前は直接出向く方が一般的であったらしい。

その方が艦娘の士気も上がるし、何より殆どタイムラグなしで細かな指示が出せる。

深海棲艦に掌握された海域は瘴気が強く、従来の近代化された通信システムが使えない為、

妖精が基本設計をした専用の通信機材で交信する必要があるのだが

本土より遠く離れた上に、海域の瘴気が一定数を超えると通信のタイムラグが大きくなることがある。

その為これを嫌い、大きな作戦では直接前線に赴く者も居るが、姫級等の深海棲艦が居る最前線に

生身の人間が留まるのは危険であり、死者もそれなりに出ているので

上層部は可能な限り、やらないように呼びかけている。

最も最近は機材の性能も上がっているので以前ほど問題はないのだが・・・

正直、皆を危険な前線に送り出して、自分は安全な後方にいるのは気に入らない。

提督(でも・・・皆にあんな顔されるのは二度と、ごめんだしな)

だから仕方が無い。

今は誰一人失わないように・・・作戦を立て、無事終わらせる。

それだけを考えてればいい。

南方「今の子が鎮守府最強って噂の子?」

提督「最強ね。多分それは戦闘での意味ではないと思うぞ」

電は鎮守府に着任した際に配属された初期艦だった。

彼女と初対面は自分が学生の頃になるので随分長い付き合いになる。

まさか配属されたのが、あの時の電だと思わず互いに驚いたものだ。

初期の鎮守府が小さかった頃から一緒に作戦を考え、苦楽を共にしてきた。

新しく配属される艦娘は、まずは電が面倒を見ていた。

艦娘として、艦の戦闘記憶はあっても、人の姿での戦闘は皆初めてだ。

だから艦種を問わず、電が皆を率いて慣れさせていった。

鎮守府での掃除の当番制や、日常生活の決まりも電が発案したものも多い。

人数が増えて、鎮守府が安定してからは、それぞれの艦種の古株が新人の手ほどきをするが、

初期から所属し、今は高いレベルに居る艦娘に取って電は先輩であり、教育係でもあった。

なので普段は普通に接していても、未だに電に頭が上がらない。

初期組がそうなのだから、彼女達から教えを受けた新人達もまた、電を特別な存在として認識し、

しいては怒られると戦艦でも恐れて頭をさげるという最強駆逐艦電が誕生したのだった。

実際、戦闘力も常識的なレベルを遥かに超越しているワケだが・・・

電本人に言わせれば愛の力らしい。

提督「姉妹愛かね。微笑ましいものだ」

南方「・・・多分違うと思うわよ」

提督「・・・?」

南方「学生時代の話も面白そうね・・・聞かせてくれない?」

提督「その辺は俺だけじゃなくて電に取ってもプライベートだからな。本人に許可も無しに話せないかな」

南方「ちぇっ・・・残念」

提督「さて。今日は休むか」

南方「そうね。私も戻るわ。おやすみなさい」

提督「おやすみ」

提督「明日からの十一号作戦・・・成功させなくては・・・」

翌日。カレー洋。

リ級「敵の進軍が確認されている! 各自、気を引き締めろ!」

イ級「了解」

軽巡棲鬼(なんで私が・・・リ級如きの部下に・・・)

イ級「哨戒に出てた部隊から連絡が途絶えました!!」

リ級「なに!?」

イ級「深海電探に反応アリ! 敵を捕捉、4時方向!」

リ級「見えた・・・この距離では互いに撃てまい。接近して叩くぞ!」

軽巡棲鬼(奴ら艦娘のせいで!! 私は深海エリート街道を外された!!)

軽巡棲鬼(仲間からは五航戦扱い・・・なんて屈辱。ゆるさない・・・絶対に!!)

イ級「敵! 射程外から砲撃を開始しました!!」

リ級「この距離では当たらん。構うな!」

だが予想は裏切られる。

飛んで来た弾は2隻居たイ級の内、1隻を貫いた。

そのまま爆発、轟沈。

艦娘へ向かって進んでいた深海棲艦達の足が止まる。

イ級「この距離で当てた!?」

ロ級「まっ・・・まぐれだっ!」

リ級「バカ!! 止まるな!! 狙われる!!」

夕立(改2)「さぁ!!ステキなパーティしましょっ!!」

水しぶきをあげながら、夕立が恐ろしい速度で迫ってきた。

目は赤く輝き、獰猛な猟犬のようだった。

リ級「敵は駆逐艦が4、軽巡が2か・・・」

リ級は現状の戦力で十分に勝てると踏んだ。

海面を滑る様に移動し、夕立は敵に狙いを定める。

ロ級「うわぁぁぁ!?」

夕立「また私が倒したっぽい!」

ロ級は、ほぼ0距離で頭部を撃たれて爆発した。

夕立「MVPを取れば提督さんは私のモノっぽい!!」

返り血を浴びてニヤリと笑う夕立にリ級は恐怖を感じた。

リ級(コイツは何を言ってるんだ・・・?)

あっという間に2隻が沈んだ。

リ級「くっ! 体制を立て直せ! 固まるな!!」

不知火「沈め・・・」

軽巡棲鬼「痛いっ!? 顔はやめてぇ!!」

不知火は加速を付けて飛ぶ。軽巡棲鬼の顔面に両足でドロップキック。

反動を利用して跳躍し、海面に着水するも勢いを殺さない。

そのまま、残るもう一隻のイ級の右目を抉った。

イ級「ギャァァァァ!?」

睦月(改2)「行くにゃしっ!!」

睦月は動きの止まったイ級の口に魚雷を放り込んで、もう用はないとばかりに

そのまま次の獲物へ向かう。睦月の背後ではイ級が大爆発し、木っ端微塵に消し飛んだ。

不知火「チッ・・・私の獲物を・・・」

睦月「早いもの勝ちでしょ?」

曙「ちょっとあんた達!! 編成がめちゃくちゃじゃない!!」

夕立「早いもの勝ちっぽい!」

由良「もー 少しは作戦通り動いてよ・・・」

艦娘達は戦場に居るのにも関わらず、まるでカフェで雑談でも楽しむかのように喋る。

喋りながらも、攻撃を避けて、敵には正確に砲撃を加えている。

リ級はそれがとても異質なことに感じた。

由良と曙と睦月と不知火が4方向から放った魚雷で軽巡棲鬼も轟沈した。

リ級「馬鹿な・・・なんだこいつ等・・・」

負けを認め、沈むことを覚悟したのだが、攻撃はピタリと止んだ。

リ級「・・・?」

大淀「すいませんが、一度引き上げるので、後6回ほど戦ってもらえますか」

敵がとんでもないことを言ってきた。

リ級「・・・は?」

大淀「まだゲージ割ってないんですよ」

リ級「ゲージ? なんだそれは」

聞けば、こういうことらしい。

出撃希望者が多く、なるべく皆が戦えるように

メンバーを変えて、再度来るので残り6回戦えというのだ。

大淀「6人編成で7回戦えば42人は戦闘できますからね」

由良「その為にゲージって自分ルールを作ったのよ。7回目でクリアなの」

睦月「駆逐艦は数が多いから・・・」

リ級「知るか!! 意味が分からん・・・もういい私の負けだ! 殺してくれ」

不知火「ダメです、次は陽炎の番ですので。姉妹同士はフェアにやるのが陽炎型の鉄の掟なので」

リ級「・・・ホントなんなのお前ら」

その後、しっかり6回ボコられて轟沈させられた。

今まで散々、艦娘や人間の命を奪ってきたので、戦いで死ぬことに後悔はしないつもりだったが、

これはあまりに理不尽で、意味が分からないと、

絶望と言うより困惑してリ級は沈んでいった。

投下完了しました。
イベント編突入。
書き終わって気に入らないとこ直したり、
書き足したり、誤字チェックしたりするだけなので
割と短期間で投下する予定。

ちゃんと宣言どおり土曜日に投下したでち!!
次は日の夜か月くらいに・・・
仕事行ってきます。

偵察に出ていて、戦闘の一部始終を見ていた1隻の深海棲艦が呟いた。

イ級「間違いない・・・奴らだ・・・あの鎮守府の・・・」

すぐにリランカ島沖に居る上司に知らせようと急いでいた。

イ級「!!?」

突如背後から眩い光が迫る。

古参の固体であったイ級はその光の正体に見覚えがあった。

―――超重力砲。

え? あれを使えるのは霧の連中だけのハズ・・・

理解する時間もないまま直撃し、悲鳴をあげる間もないまま跡形もなく消滅した。

金剛「榛名、あんまりソレ、使っちゃダメデスよ」

比叡「そうよ。その武器を所持していることは公に出来ないんだから」

金剛「霧が存在しない今、世界にあるハズのない武器デスからネ」

榛名「確実に仕留めようと思ったのですが・・・」

金剛「それはアクマで切り札の一つデース。無闇に使うモノじゃないんだヨ?」

比叡「仕留めたから良いけど、見られた上に逃げられたら厄介ですからねぇ」

榛名「ごめんなさい・・・でも大丈夫です!見られたら確実に殺ります!逃がしません!」

天城「まぁまぁ・・・私の索敵漏れが原因ですし、本当にすいませんでした」

比叡「大丈夫ですよ」

鳥海(改2)「・・・・・・」ウズウズ

摩耶(改2)「どうしたんだ?」

鳥海「いえ、パワーアップして初の戦闘ですので・・・うずいちゃて」

摩耶「まぁ気持ちは分かる。アタシもウズウズしてるからさ」

北上「私にもあったなぁ・・・そんな時期が」

大井「そうですね。この装備になってから、ますます活躍出来て感謝ですね」

北上「気持ちいいよね。魚雷をばーって撒くの」

大井「そうですよね。雷巡になって、随分立ちますが・・・未だに興奮します」

北上「だよねー。負けないよ大井っち。MVP貰っちゃうからねー」

大井「私は別に大丈夫ですよ。北上さんが一番ですから。MVPを取ることは考えてないですよ」

大井(・・・ごめんなさい)

北上「ふ~ん」ハイライトオフ

北上(嘘つき。本当は取る気満々の癖にさ・・・大井っちは提督を好きな癖に隠してるからなぁ)

北上「でも本当は狙ってるでしょ?」

大井「・・・狙う理由がないですよ。別にあの人のことなんて、好きでもなんでも無いですし」

大井「大体、少し皆に過保護すぎなんですよ提督は・・・全く・・・」ブツブツ

大井「この前だって・・・本当にあの人は私が居ないと・・・ワタシガ・・・」ハイライトオフ

北上(バレてないと思ってるのかなぁ・・・でも譲る気はないよ?)

大井「何時も通り頑張りましょう。たった2人の雷巡なんだから・・・」

木曾(改2)「姉ちゃんっ!!? 俺も居るよ!! 俺も雷巡だよ!! 忘れんなよ!!?」

大井(素で忘れてた・・・)

大井「ちゃんと分かってるわよ。妹のこと忘れるわけないでしょ」

北上「そうだよー 姉を信じろー」

木曾「いい加減慣れろよ!! ナチュラルにハブくなよ!! 寂しいだろ!! 泣くぞ!!」

球磨「皆、作戦行動中だクマ。少し静かにするクマ」

大井「ごめんなさい姉さん」

北上「ごめん。クマ姉」

木曾「・・・ごめん」

金剛「お互い、長女は大変デスねー」

球磨「全くだクマ」

暁「本当よね」

金剛「へ? 暁って長女なんデスか?」

球磨「末の妹っぽいクマ」

叢雲「なんか分かる」

暁「なんでよ!!?」

天城「!!?・・・索敵機が敵を見つけました。恐らくこの海域の敵本体!」

金剛「分かってると思うケド、戦場で慢心は大敵だから肝に銘じてくださいネ」

金剛「先遣隊の大淀はゲージがどうとか舐めたこと言ってましたガ・・・」

摩耶「そう言えば言ってたな・・・」

金剛「どんな相手でも全力で、常に仲間と連携し、確実に仕留めるコト」

金剛「私達は戦場で命のやり取りをしていることをワスれないでネ?」

比叡「そうですよ。慢心して油断した者から死んでいくのが戦場です」

金剛「ここに居る誰もが、MVPを取りたいってのは分かりマスが・・・」

金剛「個人で功を焦ると、皆を危険に晒すことになることを理解してくだサイ」

金剛「そして、誰かが沈めば・・・提督は悲しみマス」

金剛「常に周りを見て、連携するコト」

金剛「・・・では皆さん、行きますヨ?」

皆「了解っ!!」

金剛を旗艦とする12隻からなる連合艦隊はカレー洋リランカ島沖に進軍し、

装甲空母姫との戦闘に突入した。

装甲空母姫「全艦、攻撃開始!! 艦娘共を殲滅しろ!!」

軽空母ヌ級2隻から艦載機が飛び立つ。

摩耶「行くぜぇぇ!!!」

鳥海「新しい力、見せてあげますっ!!」

改2に改装された摩耶と鳥海は強化された対空装備で艦載機を次々落とす。

天城「第601航空隊! 発艦、始め! ですっ!!」

続いて天城が飛ばした航空機の攻撃でヌ級一隻が沈む。

天城「やった!! 次っ!!」

摩耶「頂き!!」

もう一隻のヌ級も沈んだ。

敵戦艦のタ級が天城達に狙いを定める前に、

接近して、近接戦に持ち込んだ比叡の右ストレートが命中する。

比叡「遅いです!!!」

タ級「うわっ!?」

そのまま、左、右と拳を繰り出す。

タ級(こいつ素手で殴った!? これが・・・よく聞く戦艦同士の殴り合いって奴か!?) 

よろめいたタ級に球磨が背後から砲撃、続いて北上、大井、木曾の3人が

魚雷で同時攻撃、タ級の断末魔の叫びと共に爆発による水柱が出来た。

暁「私が長女に見えないってどういうこと!?」

叢雲「だって・・・お子様だし」

暁「お子様いうなーーー!!!」

叢雲「同時に仕留めるわよ!!」

暁「分かってるわよ!!」

叢雲と暁の2人は言い合いながらも息を合わせて

敵の駆逐ハ級を沈めた。

2人でハイタッチして互いを労うが背後から、もう一隻居たハ級が迫って居た。

ハ級「死ねぇぇ!!!!」」

暁「・・・へ?」

叢雲「しまっ・・・」

球磨「させないクマ!!」

ハ級「ぐわぁぁ!?」

ハ級は球磨の砲撃が命中し轟沈した。

球磨「2人共、油断するなクマ」

2人「・・・ごめんなさい」

球磨「敵を1隻倒した後こそ、しっかり気を引き締めないといけないクマ」

暁「・・・うん」

叢雲「ありがと。助かったわ」

装甲空母姫「沈め・・・沈め!!」

摩耶「うわっ!? っ・・・危なっ!?」

摩耶は攻撃で紙一重で避ける。

摩耶「ふぅ・・・危なかった・・・」

装甲空母姫「足が止まったな!!」

金剛「させないヨ!!」

一瞬の隙を付かれた摩耶を狙い、放たれた装甲空母姫の攻撃が

摩耶を庇った金剛に命中し、炎と煙で金剛の姿が見えなくなる。

摩耶「金剛さんっ!!?」

装甲空母姫は直撃したことを感じてニヤリと笑う。

摩耶は焦った。自分を庇って金剛に攻撃が直撃してしまった。

だが、周囲を見ると、姉大好きな比叡は特に焦るわけでもなく、

金剛の妹の榛名も別にそれがどうしたとばかりの態度だった。

まるで金剛が絶対無事であることを確信しているかのように。

爆発で発生した煙が晴れていく・・・

そこには巨大な金属の塊があった。

それは盾。敵の攻撃を弾く盾。

装甲空母姫「!!!?」

金剛「その程度の攻撃ワケないネー!」

金剛の艤装の一部が展開して、盾となって攻撃を防いでいたのだ。

摩耶「何その装備!? めっちゃカッコいいじゃん!!」

子供のように目を輝かせて摩耶は叫ぶ。

金剛「明石が色々弄った結果、こうなったデース」

榛名「・・・お姉さま、あいつは榛名にやらせてください」

金剛「・・・榛名?」

榛名「榛名も新装備のテストをしたいです」

金剛「へぇ・・・榛名も明石に艤装弄られたんだ。別にいいけど・・・ケド」

榛名「けど・・・?」

金剛「危なくなったら助けに入るからネ?」

榛名「・・・はいっ!!」

榛名「榛名、参ります!!!」

摩耶「本当にありがとな金剛さん、助かった」

金剛「ええ、無事で良かったヨ」

鳥海「すごいですね。さっきの盾」

金剛「ありがとう。実戦で使ったのは初めてでしたケド」

榛名「今、私はとても満たされてます」

榛名「だって、提督とケッコンできたんですもの」

榛名「カッコカリ・・・ですけどね」

榛名「だけど、それだけで世界が変わって見えるんです」

榛名「指輪を見る度に落ち着くんです」

榛名「ああ、あの人と繋がっているって・・・」

榛名「幸せに感じるんですよ」

榛名「だから、今は昔みたいな焦りはないです」

榛名「でも・・・レベル限界値までは・・・まだまだなんですよ」

装甲空母姫「コイツは何を言っているんだ・・・?」

榛名「だから私の糧になってください。高みへ行くために・・・」

榛名「提督にとって、唯一無二の絶対の存在として生涯を共に歩み・・・」

榛名「未来永劫、共にあり続ける為に」ハイライトオフ

装甲空母姫は悪寒を感じ、即座に攻撃する。

榛名「・・・行きます」

装甲空母姫の攻撃を全て避けながらも、速度は落とさない。

榛名の艤装が展開、艤装先端が割れた。

いや、複数のパーツに別れた。

それはまるで拳。

摩耶「艤装が腕に!?」

金剛「また変な改造したネ・・・明石

装甲空母姫の放つ航空戦力は榛名が展開した艤装の拳に掴まれた。

それをそのまま野球ボールでも投げるように装甲空母姫に投げつける。

装甲空母姫「痛っ!?」

榛名「痛いのはこれからです。いえ、痛みは一瞬ですよ。すぐ終わります」

装甲空母姫「!!!?」

艤装の拳で装甲空母姫は持ち上げられて、兵装はグチャグチャに潰される。

榛名「終わりです」

装甲空母姫を空高く放り投げると、そのまま砲撃、命中。

空中で装甲空母姫は爆発した。

味方に大きな被害を出さずに昼戦のみで殲滅した。

金剛(あっけないですネ・・・私達が強いのか・・・敵が弱いのか・・・)

金剛(ダメですネ。 敵の戦力を低くみるのは危険デス)

榛名「あの、金剛姉様?」

金剛「何? どうしたノー?」

榛名「あそこに誰か・・・」

比叡「艦娘のようですね・・・」

木曾「おい、アンタ。大丈夫か?」

葛城「え? あっハイ・・・」

鳥海「自分のことが分かります?」

葛城「え・・・と・・・ここはどこでしょうか? 何故私はこんな所に・・・」

球磨「まだ艦娘として生まれたばかりで安定してないっぽいクマ」

榛名「お名前はなんて言うのですか?」

葛城「私の名前は・・・」

天城「・・・葛城? 葛城なの?」

葛城「・・・天城姉?」

天城「良かった・・・また会えて・・・」

葛城「天城姉っ!!」ダキッ

比叡「良かったですねぇ。姉妹皆揃って」

叢雲「そうね・・・」

叢雲(あいつ等は・・・どこで何やってんだかね・・・)

叢雲(白雲、東雲・・・)

思い出すのはかつての第12駆逐隊のメンバー。

叢雲(まぁ・・・そのうち会えるわよね・・・)

葛城「姉妹揃ってってことは・・・雲龍姉も?」

天城「ええ、鎮守府に居るわ」

北上「仲間も増えたし、良かったねぇ」

大井「そうですね」

天城「提督から通信。被害を報告しろとのことです」

金剛「被害は軽微、このまま進軍も出来マスが・・・」

天城「帰還して補給と整備を受けろとのことです」

摩耶「ったく過保護なんだよな・・・」

鳥海「連戦してますからね。的確な判断ですよ。弾薬も無尽蔵じゃありませんし」

天城「提督は優しい方ですから」

摩耶「そういう所、嫌いじゃないけどさ」ボソッ

北上「摩耶っち~顔真っ赤~」

叢雲「ウブね・・・」

摩耶「あ? なんだと!!」

大井「そんな顔で凄んでも可愛いだけですよ摩耶さん」

摩耶「・・・くっ」

比叡「私、砲弾余ってますけど・・・」

榛名「私もです」

比叡「そもそも使ってないしね」アハハ

球磨「素手で戦うからクマ。援護する身にもなれクマ」

金剛「では私達の艦隊は引き上げるデース! 各自、周辺を警戒しつつ撤退開始!」

艦隊は鎮守府に鎮守府に帰還した。

その後、再編成した艦隊が出撃。ベーグル湾に進軍し敵を撃破。

順調に作戦を遂行していった。

そして再び連合艦隊を編成、リランカ島沖の制圧が最終段階に入った。

投下完了。
感想ありがとうございます。

次は
仕事が速く終わり早く帰宅出きる感じなら1~3日中に
帰宅が深夜になるなら週末になるっぽい!!

金剛姉妹のAGPの兵装が結構好きです。

葛城ちゃんは前スレ埋める為に
急遽、先行して出番ありましたが
適当な時間軸であの話が入る感じです。

おヤすみナさイ

港湾水鬼「先遣隊は全滅か・・・本当に不甲斐ない」

ル級「しかし、例の鎮守府の連中です。仕方ないかと」

港湾水鬼「あの狂ったヲ級を中心とする・・・おかしな連中が崇めている所か」

ル級「そうとしか考えられませんよ・・・戦闘力が異常です」

港湾水鬼「奴らが強いんじゃない、死んだ奴が弱ぇんだよ」

ル級「そうでしょうか・・・噂では南方棲鬼様も討たれたと」

港湾水鬼「轟沈(じこ)る奴は・・・不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまったんだよ!!」ドヤァ

ル級(何言ってるか分からない・・・ドヤ顔ウゼェ)イラッ

イ級(早く帰りたい・・・ん!!?)

イ級「敵・・・来た! 索敵に反応」

港湾水鬼「ははは・・・来たか」

港湾水鬼「今日、お前らは沈むんだよぉ・・・このリランカでよぉ・・・」

ル級「なんか分からんけど頼もしい」

イ級「ですねー」


一方、足柄を旗艦とした連合艦隊も敵艦隊の位置を掴んでいた。

足柄 (改2)「さぁ行くわよ!! いい!? 皆!!!」

伊勢「何時でもいいよー」

翔鶴「早く片付けましょう」

日向「あまり、はしゃぎすぎて五航戦するなよ翔鶴」

翔鶴「五航戦はなんかの隠語じゃありませんよ!!?」

日向「別に悪意はない。ただ使いやすいだけだ」

飛龍(漣ちゃんが面白半分でSNSで広めちゃったからなぁ。しかも大流行してるし・・・可愛そうに)

蒼龍「まぁまぁ・・・」

翔鶴「すいません、二航戦の緑の方」

蒼龍「なにその認識!!?」

足柄「敵が近いわね・・・匂いがする・・・」

日向「匂い?・・・屁でもしたのか伊勢」

伊勢「ひゅぅぅぅがぁぁぁ!?」ギロッ

日向「・・・冗談だ」

足柄「戦いの匂い・・・ゾクゾクするわぁ・・・」

那智(・・・また悪い癖が出ているな)

飛龍「二航戦、直掩機を残し、全機発進!!」

蒼龍「こっちも行っちゃって!!」

翔鶴「五航戦、発進!!」

空を埋め尽くすように飛び立つ無数の戦闘機。

この戦場においての制空権は確保された。

互いに目視出来る距離まで近づいた。

神通「私達、第二艦隊も行きますよ」

秋月「はい!」

如月(改2)「了~解っ♪」

如月(取りたいわねぇ・・・MVP)

如月(もし私が一番になったら・・・)

如月(司令官と・・・)

如月「もー!! やだぁ!! そんな出されたら子供出来ちゃう!///」ドーンッ

イ級「敵、撃って来ました!!」

港湾「へぶぅ!?」

イ級「顔面に直撃!?」

ル級「港湾水鬼様!! 顔が凄いことに!!」

イ級「顔が変ですよ!!」

港湾「元からだよっ!!!・・・・ってなんだと貴様!!!」

イ級「うわぁぁぁぁ!? お許しを!!?」ドーンッ

羽黒「なんで味方を撃ってるんでしょうかあの鬼級・・・」

那智「知らん。気でも狂ったか?」

北上「まぁどうでもいいじゃない。どうせ全部倒すんだからさ」

如月「良いわよね。北上さんは出撃2回目で・・・」

秋月「そういえばそうですね」

北上「雷巡が必要だったからねぇ・・・」

北上(大井っちと木曾と私でジャンケンして勝ったから出撃できたけど・・・)

北上(2人とも悔しそうだったなぁ・・・大井っちはあれで隠してるつもりかね)

北上(本当は提督のことが大好きな癖にさ。別に隠さなくて良いと思うけどなぁ)

如月「私も次も出撃したいわね」

秋月「・・・私も次の出撃も選ばれるように頑張ります!」

北上「まぁチャンスはあるんじゃないの?」

如月(そうよね・・・まだチャンスはあるわよね・・・)

如月(待っててね・・・司令官///)

神通「3人共、作戦行動中ですよ?」

秋月「すっすいませんっ!」

北上「ごめん」

如月「ごめんなさい」

羽黒「ごっごめんなさいっ!!」

神通「え? なんで何もしてない羽黒さんが謝るんですか!?」

羽黒「ごめんなさい!!」

北上「いや、神通さんキレると恐いからさ」

神通「!!!?」

この発言は神通にダメージを与えた。

神通(恐い? 私が・・・? そんなつもりじゃないのですけど・・・)

神通(どうしましょう・・・提督にまでそう思われていたら・・・)

如月「・・・神通さん?」

神通「ナンデモナイワヨ」ニコッ

神通(恐がられないように笑顔・・・笑顔)ニタァ

如月「ひっ!?」

如月(こ・・・ころされる!!!)

日向「まぁまぁ、さっさと敵を倒して・・・」

日向「かつては深海棲艦の首だったモノを蹴飛ばしてサッカーでもしようじゃないか」

伊勢「なんで突然物騒なこと言ってるの!?」

日向「気分だ」

伊勢(我が妹ながら・・・よく分からない子)

足柄「全艦・・・攻撃開始!!」

皆「了解!!」

足柄「さぁ!! 皆殺しにするわよ!!」

如月「ほんと・・・物騒ねぇ・・・」

港湾「くっ・・・顔が・・・前がよく見えない」

足柄 「ははははっ!! 敵!敵!!敵ィィィ!!! 選り取りみどりじゃない!!」

伊勢「まーた前に出すぎて・・・戦闘狂なんだから・・・」

翔鶴「旗艦が前に出ないでくださいよ!」

伊勢「日向、援護するわよ」

日向「任せろ!」

羽黒「すいません。姉さんが・・・」

蒼龍「航空隊でも援護するから大丈夫だよ」

飛龍「飛行要塞撃破。次っ!!」

ル級「糞!こちらが劣勢か・・・警戒をしていた部隊は何をしていた!」

翔鶴「頂きました!!」

ル級「ぐわっ!?」

日向「そこっ!!!」

翔鶴(ちっ・・・私の獲物が)

翔鶴が爆撃し、足の止まったル級を日向が撃ち抜いく。

息のあった連携だった。

神通「・・・行きますっ」

イ級「早い!?」

神通「・・・遅いですね」

砲弾の雨を浴びてイ級は轟沈した。

如月「いっけぇー!!!」

イ級2「ちょっ・・・まっ・・」

港湾水鬼によって小破させられたもう1隻のイ級も沈む。

港湾「舐めるよ・・・てめぇらぁぁぁ!!」

秋月「やらせませんっ!!」

飛来する深海棲艦側の航空機は全て落とされた。

港湾「何ぃ!?」

部下は全て沈み、このままでは危うい。

自身もダメージを追い、このままでは負ける。

港湾水鬼は考える。このままでは終われない。

すると、一人怯えてる艦娘が目に入った。

それは羽黒だった。

港湾(あいつ・・・怯えてやがる・・・新米か)

せめて奴を道連れに・・・

港湾「うぉぉぉぉ!!!」

羽黒「ひっ!!?」

港湾「死ねやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

羽黒「嫌ぁぁぁ!! 来ない・・・」

港湾「!!?」

流れるように羽黒は右アッパーを港湾の顔面に放つ。

羽黒「でぇぇぇーーーーー!!!」

そのまま体を回転させて回し蹴り。

見事なクリティカル。

羽黒「ごめんなさいっ!!」

吹っ飛んだ港湾水鬼に羽黒は主砲を放つ。

こちらも見事、直撃して体を貫いた。

沈んでいく最中、港湾水鬼は思った。

港湾水鬼(あいつが一番やべぇ・・・)

羽黒「・・・あれ? あの恐い人は・・・?」←レベル132

翔鶴(・・・恐ろしい子)

伊勢「羽黒がこの連合艦隊では一番強いからね」

那智「私が神に感謝することがある。アイツが敵でなく妹で良かったということにだ」

蒼龍「あーあ~ 今回のMVPは多分、羽黒かなぁ・・・ちぇっ」

羽黒「え? 私ですか?」

足柄 「ねぇ・・・もしも今回の作戦で羽黒が一番だったらだけど・・・」

足柄 「姉妹で提督と外出とかどうかしら・・・」

飛龍(・・・せこい)

足柄 「ほら、皆で行くと楽しいと思うしさ」

羽黒「え・・・と・・・それは嫌かな」

羽黒「姉さん達が嫌いとかじゃなくて・・・」

羽黒「司令官さんと・・・2人きりがいい・・・です」

羽黒「うん・・・2人きりが・・・」ハイライトオフ

足柄 「・・・そりゃそうよね。ゴメンね」ゾクッ

羽黒「でも、もしも・・・一番多かったらの話ですから」

那智「私は今感動している・・・あの気弱だった羽黒が・・・」

那智「こんなにハッキリとモノを言えるようになるとは・・・」グスッ

神通「ふふっ・・・大げさですね。羽黒さんが困ってますよ」

羽黒「ごめんなさい!」

リットリオ「・・・あの」

北上「うん? 誰?」

リットリオ「私はイタリアのヴィットリア・ヴェネト級2番艦のリットリオです」

足柄 「イタリア? 初めてねイタリアの艦娘なんて」

リットリオ「あの・・・ここはどこでしょうか?」

翔鶴「そっちの方は・・・?」

高波「え・・・と私は高波っていいます。夕雲型の6番艦です」

蒼龍「一度に2人も新人さんを拾えるなんてね・・・」

神通「まだお二人は状況を理解してないようですから帰りがてら話ますよ」

足柄 「そうね。2人を保護するわ。二人とも鎮守府まで付いてきてね」

リットリオ「分かりました」

高波「はい」

足柄 「じゃあ帰って一杯やりましょ」

秋月「私はお酒は・・・」

北上「大丈夫だよ。ジュースで」

秋月「ジュース!! あの甘い奴ですね!!」

北上「えっ・・・うん」

如月「普段飲まないの?」

秋月「いえ、なんか勿体無い気がしまして・・・」

如月「食堂でタダなのに?」

秋月「あれは贅沢品です!!」

翔鶴「そう言えば食堂でジュース飲んでた時あったけど水で薄めてましたね」

秋月「え? 普通薄めますよね?」

那智「いや、薄めないと思うぞ」

飛龍「カ○ピスじゃないんだから・・・」

秋月「・・・そうなんですか!?」

北上「・・・変な子。後で正しい飲み方を教えてあげないと」

神通「北上さんは面倒見が良いですね・・・微笑ましいです」

北上「やめてよ神通さん。駆逐艦なんてウザいだけだっての・・・///」

鎮守府

大淀「提督。艦隊が敵撃破に成功、帰還するとのことです」

提督「こちらの被害は?」

大淀「ほぼ被害なしとのことです」

提督「そうか。良かった」

大淀「それと、2隻の艦娘を保護したので連れ帰ると報告を受けています」

提督「艦名は? 誰かの姉妹か?」

大淀「一人は夕雲型の高波とのことです」

提督「なら夕雲達に知らせてやらんとな。部屋は夕雲型の部屋でいいか」

夕雲「あら、高波が見つかったんですね。嬉しいです」

提督「え? 何時からそこに?」

夕雲「ずっと居ましたよ」

提督「そうだったか? すまん気付かなかった」

夕雲(気付かれないように提督の匂いを堪能してたのでバレちゃダメなんですけどね)

大淀(・・・気配を完全に消して提督の座る椅子の後ろに・・・なんてテクニックなの・・・)ゴクリ

夕雲「早速、姉妹に知らせてきますね」

ガチャ バタンッ

大淀「それでもう一名ですが・・・イタリアの戦艦だそうです」

提督「海外艦か・・・イタリアの艦娘は初めてだな」

大淀「部屋はどうしますか?」

提督「確かビスマルクの部屋の隣が空いていたな?」

大淀「はい。そちらになさいますか?」

提督「そうしよう。国が違うが、海外の艦娘同士共通の話題もあるだろう」

大淀「では、そのように手配しますね。手の空いてる者に部屋の掃除を頼みます」

バーンッ

金剛「話は全て聞かせてもらったネー!!」

提督「金剛、部屋に入るときは静かに入りなさい」

金剛「ソーリー。部屋の掃除なら私に任せてくだサイ!」

提督「それは構わんが・・・」

金剛(掃除も完璧にこなして提督に女子力の高さをアピールしてやるデース!)

大淀(何考えてるか表情で丸分かりですよ。金剛さん)

ガチャッ

間宮「あの、よろしければ私にやらせて貰えないでしょうか」

提督「間宮さん?」

大淀「・・・何時の間に」

間宮「皆さんが前線で戦っているのに私はここで待ってる事しか出来ないので・・・」

間宮「せめて、そういった雑務は私にやらせて頂けませんでしょうか」

間宮(これで掃除も出来る女アピールを・・・)

金剛「ちょっとぉ!? 先に言ったのは私デース!!」

提督「じゃあ2人に任せるよ。一人だと大変かもしれないからさ」

2人「「・・・分かりました」」

そう言うと、2人はお互い目から火花を散らして出て行った。

提督「すまんが大淀、アレの状態はどうだ?」

大淀「整備はしているので何時でも動かせますが・・・」

提督「敵艦隊はさらに最深部に展開してるらしい」

大淀「そのようですね。・・・まさか出るおつもりで?」

提督「現状でも連絡取るだけでかなりのズレがある・・・」

提督「最深部に突入するとなれば・・・最悪通信が出来ないかもしれない」

大淀「確かに・・・瘴気はさらに増すでしょうし・・・」

提督「だから、最低限連絡が取れるようにする必要があるんだ」

大淀「電ちゃんと約束しましたよね? 最前線に出ないと」

提督「・・・分かっている」

提督「しかし直接戦闘に出るわけじゃない・・・後方の通信が可能な距離で指揮を執るだけだ」

大淀「現状、それが一番現実的ではありますが・・・」

提督「皆が心配してくれるのは嬉しい。けどな、皆が俺を心配してくれているように・・・」

提督「俺も皆が心配なんだ。分かってくれ」

提督は大淀を真っ直ぐ見つめ、そう言った。

大淀(・・・こういうこと言い出したら絶対折れないですからね・・・提督は)

本当に自分達のことをよく考えてくれる。

心の底からの好意を向けてくれる。それが嬉しかった。

大淀(それにそんなに見つめられたら・・・やだ・・・濡れて・・・ハァハァ)

提督「・・・大淀?」

大淀「分かりました、すぐに用意をさせます・・・ハァハァ」

提督「ありがとう!」(なんで息切らしてるんだろう?)

大淀「ただし、絶対に戦闘に直接参加はしないでくださいよ?」

提督「分かってるよ。すまない・・・」

長門型の部屋

陸奥「明日は出撃ね。もう寝たら?」

長門「興奮して眠れなくてな」

陸奥「なぁにソレ。遠足前の子供じゃないんだから・・・」

長門「久しぶりの実戦だ。胸が熱くなるな」

陸奥「腕訛ってるんじゃない?」

陸奥が冗談まじりに笑う。

長門「鍛錬は日々続けてるさ。問題はない」

陸奥「提督が出るって話聞いた?」

長門「ああ。事情は聞いた。不安なのか?」

陸奥「大丈夫かしらね・・・」

長門「この長門と陸奥が出るんだ。提督には指一本触れさせん」

陸奥「頼もしいこと」クスクス

姉の長門は強い。

今まで負け知らずだ。だから問題はない。

自分は余計なことを考えず、長門と皆と敵を撃破すればいい。

別に不安な要素は何もない。

だけど、変な胸騒ぎがした。理由は分からない。

陸奥(何もないといいんだけど・・・)

長門「どうした?」

陸奥「なんでもないわ・・・おやすみ」

長門「・・・? おやすみ」

電『良いですか? 戦場では常に全方位を気にしてください』

電『会話をしていても、無意識にそれが出来て一人前なのです』

電『どんなに強くても、一瞬の油断や慢心で沈むこともあるのですから・・・』

それは着任して鎮守府付近の海域へ初めて出撃した時の記憶。

陸奥(なんで今・・・思い出すのかしらね・・・)

陸奥「大丈夫・・・何時も通りやればいいんだから」

翌日、アンズ環礁泊地攻撃作が開始された。

投下完了。
AGPのフィギュアいいですよね・・・
今月は武蔵が・・・置き場どうしよう。
ちょっと仕事でドタバタしてるのですが様子見て
なるべくすぐ投下します。

おやすみなさい

長門「事前に聞いてはいたが・・・まさか提督が直接、出てこられるとはな」

陸奥「これは、かっこ悪い所は見せられないわね」

鈴谷「なーんで出てくるかなぁ・・・」

熊野「なぁに? ご不満かしら?」

鈴谷「提督に何かあったらと思うとさ・・・」

長門「我々とは距離を取っているし戦闘に直接介入するわけでもないし問題ないだろう」

陸奥「あくまで通信可能範囲にいるだけって話よ?」

鈴谷「・・・分かってるけどぉ」

鈴谷(もし・・・提督が死んじゃったりしたらさ・・・)

鈴谷(多分、殺した奴を徹底的に殺して、殺して、コロシテ・・・)

鈴谷(すぐに後を追うんだろうな私)

鈴谷(結構重い女かも・・・)クスッ

熊野「どうしたんですの? 急に笑って」

鈴谷「なんでもなーい」

大鳳「私も常に周囲を警戒してるし、提督には指一本触れさせないわ」

ゴーヤ「海中はゴーヤが警戒してるから大丈夫でち」

長門「心配しすぎだよ」

鈴谷「・・・そうだね」

大鳳「気持ちは分かるけどね」

ゴーヤ「気にしすぎてもしょうがないと思う」

熊野「現に、2回ほど戦闘をしましたけど大丈夫でしたし」

艦隊の全員が少し後方を航行する護衛艦を見る。

提督が乗艦する護衛艦「雷電Ⅱ」。

海上自衛隊で使用されている物を改造した艦だった。

殆どが自動化されており、人間の乗組員を必要とせず、妖精と艦娘が艦内で配置に付いている。

護衛艦・雷電Ⅱ、艦橋。

提督「ここまでは順調か・・・」

大淀「ですね。何事もなく終わると良いのですが・・・」

浜風「しかし・・・こんな艦があったなんて」

響「最近は出てなかったからね・・・ずっと奥のドッグに待機中だったんだよ」

浜風「鎮守府の方は大丈夫でしょうか?」

提督「金剛に任せてあるから問題はないだろう」

護衛艦には提督と艦娘が6人、多数の妖精と、南方棲鬼が乗艦していた。

南方「なんか思い出せそうなんだが・・・う~ん・・・」

大淀「良かったんですか? 彼女を連れてきて」

提督「事情は話しただろう?」

出撃が決まった後、何故か南方棲鬼が乗船を希望した。

もちろん断った。一応は捕虜なのだから連れて行く理由がない。

しかし、彼女の話を聞いて事情が変わる。

時折、脳内に浮かぶ過去の記憶。

それは深海棲艦になる前の記憶。

それが思い出せるかもしれないと言うのだ。

「私はかつて軍艦に乗船していたかもしれない」と南方棲鬼が言った。

もしもの話だが、戦闘中と言う同じ状況、同じ環境に置く事で、

記憶が刺激され思い出せる可能性もあると言うのは明石の弁だ。

記憶が蘇るのであれば何か知らない情報が手に入る可能性もある。

それが本当に叶うのであれば、とても魅力のある話だった。

幸い、南方棲鬼は艦娘や提督に対して敵意を向けてなかったし、

意思の疎通も可能であり、数日過ごして見た結果から言うと、

行動を制限し、常に監視役の艦娘と艦内を見て回るのあれば問題がないと判断した。

彼女の艤装は破壊されて使えないし、丸腰である以上は人間の女性と大差ない力しかない。

それと提督は個人的に彼女のことを知りたかった。

何故か懐かしい感じがする不思議な深海棲艦の過去を。

自分と彼女はどんな接点があるのだろうか?

両親の所にいた艦娘だったのか?

両親の最後を見たのか?

それを知りたかった。

提督(完全に個人の事情だな。軍人としては失格だ・・・)

浜風「・・・提督?」

提督「・・・なんでもないよ」

南方「船の中を見て回りたいけど・・・いいかしら?」

提督「構わんが、あらかじめ立ち入りを制限してる場所は・・・」

南方「ええ、分かってるわ」

榛名「では行ってきますね」

南方と榛名は艦橋を出て行った。

提督「所で明石はどこへ?」

響「なんかやることがあるって作業部屋に篭ってるよ」

瑞鶴「・・・直接戦闘に出ないとヒマね」

提督「一応、作戦行動中なんだがな」

瑞鶴「分かってるわよ」

榛名「何してるんですか?」

明石「あれ? 榛名さん。どうしたの?」

南方「付き添いよ」

明石「どうですか? 思い出せそう?」

南方「なんかモヤモヤする感じ?」

明石「頭おもっきり殴ったら思い出すんじゃないかな?」ボソッ

南方「!?」ビクッ

榛名「・・・明石さん?」

明石「冗談ですよ」

南方(目がまじだった)ブルッ

明石「提督が気になってるようですし、早く思い出して欲しいものです」

南方「思い出そうとして簡単に思い出せたら苦労はしないわ」ハァ・・・

ここは護衛艦の内部に特設された工房。

部屋の中は一見するとガラクタのようなものが散乱していた。

南方「これは・・・艦娘の艤装?」

明石「元帥さんから貰った艤装らしいですね。使える艦娘が居ないので放置されてますけど」

南方「ふぅん・・・」

なんとなく触れて見た。

すると何かがカチリと動いたような気がした。

南方「・・・?」

すぐに興味は無くなり南方棲鬼は艤装から離れる。

榛名「ところで何を?」

明石「ちょっと回路をですね・・・」

榛名「あの昨晩、積み込んでた機械が関係してます?」

明石「そうです。理論はなんとなく分かるんですけど・・・」

榛名(あの機械、確か・・・あれは霧の・・・)

明石「今まで一度も動いてないですから上手くいくか・・・」

榛名「ひょっとして・・・アレが動くように?」

明石「ええ、ちゃんと稼動すれば防御面での不安は解消されますよー」

南方(なんの話をしてるんだろ)

明石「素材の物質がこの世界に無いモノなんですけど、ある物が代用出来ることが分かりまして」

南方(いや、今は過去を思い出すことが先ね・・・)

榛名「ある物?」

明石「ネジですよ」

南方(思い出せ・・・思い出せ・・・過去を・・・)

榛名「ネジ? 改修に使うあの?」

明石「あれ自体、良く分からないもんで出来てますからね」

南方(ダメ・・・まずは昨日のことから思い出してみましょう)

榛名「通常のネジとは違うのですか?」

明石「妖精が作ったモノですし。考えて見てくださいよ」

南方(昨日のカレー美味しかったなぁ・・・)

明石「そこらのネジを1個2個使って武装が強化できるハズないでしょ」

榛名「そうですよね・・・」

明石「そんで色々検証したらネジが後6個もあれば素材として代用可能かなと結論が出まして」

榛名「・・・6個?」

明石「はい。どうしました?」

榛名「・・・今週、改修に失敗したのって何回でしたっけ?」

明石「・・・6回ですね」

榛名「失敗してネジが消えた数は?」

明石「・・・6個ですね」

榛名「明石さん、消えたネジ・・・まさか・・・」

明石「・・・勘の良い艦娘は嫌いですよ?」

榛名「提督はご存知なのですか?」

南方(やはりカレーは2日目が一番よね・・・コクが出て・・・)

明石「まさか。言うわけないでしょう」

榛名「明石さん、貴女の行為、提督に対する裏切りではないですか?」

榛名「提督を裏切ると言うのであれば・・・貴女といえど命は・・・」ハイライトオフ

明石「ぷっ・・・・あははははっ」

榛名「何が可笑しいのですか?」

明石「提督を裏切る? 私が? そんなことあるわけないじゃないですかっ!!」

榛名「では何故、内密に動いているのですか?」

南方(一昨日は肉じゃがだった・・・あれも美味しかった)

明石「まず一つ、私たちが個人的に接収している霧の技術。これは大本営にバレるわけに行きません」

明石「勝手に技術を接収し、報告もしてなかったんですから。大問題です」

榛名「あの時、せめて提督には報告しておくべきだったんですよ」

明石「ダメですよ。マジメで誠実な彼のことです。きっと上に報告したでしょうね」

南方(ジャガイモがまた絶品だった・・・柔らかくてホクホクで・・・)

榛名「そうでしょうね。きっと上に報告したでしょう」

南方(その前がサンマだったわね・・・大根おろしに醤油をかけて・・・)

明石「ただ、そうなれば技術は全て上に持ってかれるでしょうね。困るんですよそれは」

南方(とても絶品だった)

明石「霧の技術は私たちにとって大きなアドバンテージになる切り札です」

明石「提督が目指す、平和な世界の為・・・」

明石「個人の利益や派閥やらくだらないことで横槍を入れてくるバカ共が牙を向かないとも限りません」

南方(お昼のオムライスも良かった・・・)

明石「仮に世界全部が敵に回っても勝てる力が必要なんですよ私達は」

明石「ですから心苦しいですが、提督には言ってません。まだその時ではないんですよ」

南方(・・・もっと思い出してみよう・・・過去を)

榛名「でも私達個人が接収した重力砲と違い、昨夜積み込んだモノは千早群像さんから直接、頂いた物ですよね?」

明石「ええ、あの装置に関しては提督はご存知ですよ」

明石「あれは提督個人に群像氏が信用と信頼から渡した物であり、提督は群像氏の意を汲み、無用な騒ぎを生まないために黙秘してます」

南方(監視役の当番だった隼鷹とお酒を頂いたっけ)

明石「それの稼動テストをしたいと言って許可は取りましたけど乗り気じゃなかったんですよ。使う気はないと言ってました」

明石「だからネジが必要と言っても出してくれなかったでしょうし・・・」

南方(なんで監視されてる私が監視するハズの艦娘の介抱してたのかしらね)

明石「でも、今回の出撃で提督を守るためには必要になるので心苦しいですが、失敗したふりをしてガメてました」テヘ

明石「そもそもですよ? 失敗するわけないじゃないですか私が」

南方(鳳翔が焼いてくれる焼き鳥がまた美味で・・・)

明石「でも私はまだ良い方ですよ? 他の鎮守府の明石型では、ガメた上に売店で売って小遣い稼ぎしてる子も居るみたいですし」

明石「私は提督のことを愛してますから提督の為になることしかしませんよ」

南方(忘れちゃいけないのが間宮。彼女の作るデザートもまた最高で・・・)

榛名「私も愛してますよ!」

明石「・・・張り合わなくても良いですよ。知ってますし」

南方(・・・イチゴパフェも絶品だった)

明石「南方棲鬼さん? なんでネジ見て、よだれ垂らしてるんです? 食べれませんよコレ」

榛名「深海棲艦はネジを食べるんですか!?」

南方「はぁ!? 食べるわけないでしょ!!?」

榛名と南方棲鬼が出て行った後、明石はあることに気付く。

明石「あれ・・・? 艤装が稼動状態にある? なんで?」

見ると部屋の隅に置いてあった艤装のシステムが装着者を認識して稼動可能な状態になっていた。

明石が触れると、すぐにエラーが起きて機能は停止する。

しかし何故、動いていたのだろう? この艤装は動かないと聞いていたのに。

通常、艤装は適切な装着者を認識して初めて稼動する。

明石(さっき南方棲鬼さんが触ってたけど・・・でもそれって・・・)

この艤装を動かせる者。それに該当する艦娘は・・・

明石「いや、今はいいや。早くこれを・・・こうして・・・・よしっ!!」

一方、航行中の艦隊では・・・

大鳳「しかし、なんで雷電なんて名前に?」

長門「護衛艦の名前を好きに付けて良いって言われてな・・・」

長門「当時、鎮守府で最高レベルだった電と雷の名前から取ったんだ」

鈴谷「へぇ・・・それ初耳」

大鳳「誰が名付けたんです?」

長門「私だ」ドヤァ

熊野「・・・貴女ですの? 電と雷はよく納得しましたね」

陸奥「提督がステキな名前だと言ったら2人は納得したのよ」

鈴谷(ちょろいなぁ・・・私が言えたタマじゃないか)

長門はその時のことを思い出していた。

雷「嫌よ!! もっと別な名前にしましょ!」

長門「むぅ・・・ダメか? 提督はどう思う?」

提督「良い名前じゃないか。とてもステキだと思うぞ」

電「電は別に良いのです」

雷「なんで!?」

電「雷ちゃん、ちょっと・・・」

雷「何よ?」

長門「あの2人は何をヒソヒソやってるんだ」

電「考えて見るのですよ」

電「自分と同じ名前の船に提督が入ってくることを・・・」

電「それは・・・私たちの中に提督が入って来るってことなのです!!」

雷「!!!!?」

雷(私の中に・・・提督が・・・)

雷(・・・・////)

電「ちょっと・・・えっちな気分になっちゃうのです///」

雷「・・・ええ、分かるわ・・・いい・・・すごくいい!」

長門「どうした? 嫌なら・・・」

雷電「「是非その名前で!!」」

長門「と言ってるが・・・」

提督「じゃあソレでいいんじゃないか?」

それから護衛艦に提督が乗り込む度に電と雷は悶えていたが誰も理由を知らなかった。

長門(今となっては懐かしい・・・)

大鳳「でもなんでⅡ?」

長門「Ⅰは大破して2隻目なんだよ。だからⅡ」

熊野「普段滅多に出ないから知りませんでした」

それからも長門の話は続いた。

鈴谷(私の知らない提督の話とかして・・・)

鈴谷(・・・優位に立ってるつもりなのかな)ハイライトオフ

陸奥「目・・・恐いわよ?」

鈴谷「・・・そうですか? 普通ですけど」

陸奥「気持ちは分かるけどね」ボソッ

鈴谷「・・・陸奥さん?」

陸奥「私が配属されたのは長門より後だもの・・・」

陸奥「だから、私が知らない提督の話を聞くとね・・・」

陸奥「だから分かるのよ」ハイライトオフ

大鳳(私も分かるかな・・・全部知りたいもの)ハイライトオフ

大鳳(そもそも、婚約する以上は夫のことは全て把握しておかないと)

長門「・・・どうした? なんか皆恐いぞ」

熊野「・・・別にどうもなくてよ」ハイライトオフ

ゴーヤ(ゴーヤは長門より配属先でちけどね・・・)

ゴーヤ(・・・すごい優越感でち)フフン

大鳳「・・・皆さん、偵察機が敵を発見しました」

全員「!!!」

皆の顔が一気に引き締まる。

泊地「めんどくさいなぁ」

ル級「しっかりしてくださいよ!!」

ハ級「敵です!! 敵が接近中!!」

泊地「敵?・・・任せる」

ル級「泊地水鬼さまァ!?」

ハ級「それと、恐らくですが・・・あの異常な戦闘力、例の鎮守府の連中の可能性が・・・逃げましょう」

ル級「なん・・・だと・・・」

ル級は泊地水鬼はそれを聞いて、さっさと帰るかと思ったが、

泊地水鬼の顔を見て驚いた。普段とは違い、強い感情を剥き出していた。

その感情は怒り。

少なくてもル級が見たこともない表情だった。

泊地「それは・・・間違いないの?」

ハ級「恐らく! 逃げましょう!!」

泊地「じゃあ・・・徹底的に潰さないとね」

ル級「・・・泊地水鬼さま?」

泊地「だって・・・南方棲鬼ちゃんを殺した連中だもん」

ル級「あくまで噂ですが・・・」

泊地「カタキは・・・取らせて貰うよ?」

―――私の一番の友達のね

ル級「なんて・・・気迫だ・・・」

泊地水鬼の怒りが海域の空気を変えた。

傍に立っているだけで殺気で気を失いそうになる。

ハ級「ぐ・・・が・・・」

ル級「どうした!? おいっ!!」

突如、ハ級の様子が変貌、ゾっとするような雄叫びを上げる。

ル級「不味い!! 泊地水鬼さまの怒りにあてられて・・・ぐ・・・」

意識が遠のく。感情が上書きされていく。

怒りの感情。ただ、それだけに・・・

ル級(・・・ワタシガ・・・キエル・・・イヤ・・・ダ・・・)

護衛艦、飛行甲板。

榛名と南方棲鬼は海を見ていた。

榛名「そろそろ戻りましょう。・・・どうしました?」

南方「感じる。強い感情を・・・」

南方棲鬼が見つめるのは遥か遠く。

南方「・・・貴女は私に勝ったわよね?」

榛名「ええ。それが?」

南方「あの時、貴女は感情が爆発していた。それも常軌を逸する程の強い感情を」

榛名「・・・あまり覚えていませんけど」

南方「あの感情が今では分かる。愛。誰に対してなのかは分かるけどね」

榛名「もちろん提督ですけど・・・」

南方「その感情の爆発がキーになって、戦闘力が飛躍的に増大した」

南方「限界を超えた強い思いが・・・性能を大幅に底上げしていたと言えるわね」

南方「つまり、一種の自己催眠か、もしくはドーピング状態のようなことを無意識に行った」

榛名「貴女に勝った事が・・・私の実力ではないと?」

南方「いいえ。実力がある上に、そうなってしまったから手が付けられなかった」

南方「でも、それは艦娘だけの特権なのかしら?」

榛名「・・・どういうことです?」

南方「深海棲艦でも、貴女と同じように・・・」

南方「何かのキッカケで、制御仕切れなくなった強い感情が・・・・爆発したら?」

榛名「!!!」

南方「 同じような能力を与えるかもしれない」

榛名「・・・何故、今その話を?」

南方「感じないかしら? このピリピリくる感覚。貴女と対峙した時に感じたものと同じよ」

榛名「・・・確かに・・・何か強い力を海域に感じます」

南方「かなり危険な相手かもしれない。貴女の提督さんに報告した方がいいんじゃない?」

榛名「そうですね。艦橋に戻りましょう」

大鳳「砲撃!?」

鈴谷「敵さん、もう撃ってきた。張り切ってるねぇ」

長門「怯むな、何時も通りだ。殲滅するのみ!!」

長門は消して油断していなかった。

自分の強さに自信はあったが、常に戦場では慢心せず、確実に敵を葬ってきた。

今回もそう。何時も通り。

だが、敵の泊地水鬼の気迫がそれを勝っていた。

長門「ぐわぁぁぁ!?」

陸奥「長門ぉぉぉぉっーーーー!!!!!?」

痛みを感じる。

何時振りだろうか。こんな痛みは。

長門「まさか・・・私が一撃で大破とはな・・・」

異様までの存在感。

今、この戦場の空気を支配しているのは泊地水鬼だった。

泊地水鬼「・・・・・・コロス」

皆唖然とする。長門の強さは知っていた。

いくら相手が鬼級だと言っても、一撃で大破するとは誰も思わなかった。

鈴谷「・・・なんなのこいつ等」

熊野「まるで獣ですわね」

泊地水鬼も配下の深海棲艦も様子がおかしい。

みんな目が血走っていて、殺意という感情が意思を持って動いているかのよう。

ゴーヤ(他のザコはいいとして・・・あの鬼級ヤバイでち)

大鳳「・・・これは少し不味いかも」

鈴谷「良いから長門さんは撤退、後方に下がって提督と合流して。あの船に高速修復剤があるハズだから!!」

長門「すまん・・・」

大鳳「提督からです! 長門を護衛しつつ全員後退、撤退せよとのことです!」

熊野「確かにあの敵、異常ですし今はそれが・・・」

大鳳「護衛艦が前進、魚雷、ミサイルによる撤退の援護を行うそうです」

長門「ダメだ!提督に危険が及ぶ!! 私のことは良い・・・すぐに回復して戻る。少し持たせられるか?」

ゴーヤ「他のザコはすぐ片付けるでち。けどあの鬼級は・・・」

鈴谷「ちょっと分からないね。五分持つかどうか・・・こんな殺気の塊、初めてだよ」

長門「十分だ。5分稼いでくれればいい」

熊野「軽く言ってくれますわね」フゥ・・・

長門「陸奥、私が戻るまで・・・オマエが旗艦だ。頼むぞ」

陸奥「私が・・・? そんな・・・・無理よ!!」

長門「大丈夫。やれるさ。私の妹なんだから」

鈴谷「敵が動いたよ!! 早く行って!! 長門さん!!」

長門「すまん・・・みんな気をつけろ・・・死ぬなよ!!」

投下完了。
いつも感想ありがとうございます!!

今月忙しくてちょっと遅めでサーセン
書いたの読み返すと誤字が多かったり、気に食わなくて直したり
加筆したり色々時間が掛かるものですねぇ

なるべく時間置かずに投下したいですけど土日休み返上みたいで
余裕があればすぐに・・・
無かれば週末までに・・・
じゃあ仕事逝ってきます



大淀「長門、大破!」

提督「一撃で!?」

まさか長門が一発でやられるとは・・・

浜風「・・・そんな」

艦橋は信じられない報告に一同、唖然となる。

大淀「撤退を拒絶、高速修復剤の使用を求めています!」

提督(撤退するにも後ろから狙われるか・・・強さが分からん)

敵からは何か、強い執念のような感情を感じた。

それは間違いなく自分達に向けられている。

提督「瑞鶴、支援機を出せるか?」

瑞鶴「どうするの?」

提督「こちらに向かってる長門を空から護衛してもらいたい」

瑞鶴「分かった! すぐ発進させるわ!」

誰もが長門の大破など予想もしてなかった。

提督(甘いな・・・なんの根拠もなく大丈夫だと思っていた自分が・・・)

戦場に絶対は無い。

どんなに強くても、絶対負けないなんてことはありえないことだ。

提督(だが、今はそんな後悔は意味が無い)

最初は長門を護衛させて撤退を考えたが、

あの敵は我々個人に対して敵意を持っている様子だった。見逃しては貰えないだろう。

このまま撤退しても、追撃されて後ろから撃たれるだけだ。

かと言って、誰かを殿に残すことはしたくないし、するつもりもない。

であれば、敵を撃破するか、もしくはこちらを追撃出来ない程のダメージを与えるかだ。

提督「本艦は前進!長門と合流する!」

提督「針路このまま、最大戦速・・・」

艦娘「・・・・・・」

皆が見ていた。分かっている。

前線には出ない。その約束を破ることになってしまった。

だが、今は前に出ないと。

それこそ仲間を、部下を・・・見殺しにすることになる。

提督「・・・すまん」

皆が心配してくれるのは嬉しい。

だけど、ここは戦場で自分は軍人だ。

やるべき時に時に、やるべきことをする。

それは当然のことだ。

響「・・・この状況じゃ仕方ないさ」

提督「ありがとう」

大淀「仕方ないですね」

浜風「何があっても私達がお守りするので大丈夫ですけどね」

提督「ありがとう。でもな・・・」

浜風「なんです?」

提督「君達が俺を守ってくれるように、俺も自分が出来ることで君達を守りたいんだ」

浜風「・・・///」

真っ直ぐに、皆を見つめて優しく、諭すように提督が言った。

提督の真正面に居た浜風は思わず顔を朱色に染めてしまう。

それが艦橋に居た大淀と響には面白くなかった。

響「・・・まるで君だけが言われたみたいな反応だね」ハイライトオフ

浜風「いえ、そんなことは・・・」

大淀「・・・今週の解体任務は1名と」ボソッ

浜風「!!!?」

提督「長門・・・無事で居てくれ・・・」

一方、離脱した長門を除いた艦隊は敵本体と戦闘状態にあった。

陸奥「・・・私が・・・旗艦」

鈴谷「いくよぉっ!!!」

熊野「とぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

2人の連携により、まるで鬼火のような護衛要塞は全て撃破された。

2隻居たウチのハ級は1隻をゴーヤが、もう1隻を大鳳が沈めた。

だが泊地水鬼は強敵で、近づくことも出来ない。

泊地「うぉぉぉぉぉっ!!!!!」

鈴谷「あーもうっ!!」

次々と飛ばしてくる敵艦載機を打ち落とすので精一杯だ。

大鳳「くらいなさいっ!!」

空にばかり気をとられるとル級からの砲撃が飛んでくる。

ル級「ああああああ!!!!!」

戦艦ル級も自我を失い、暴れ狂っており、今の所、防戦一方になっていた。

鈴谷「陸奥さん!! ぼさっとしてないで!! 死にたいの!?」

陸奥「え? きゃっ!?」

砲撃が陸奥の周囲に降り注ぎ、大きな水柱が出来る。

熊野「どうしたんですの!?」

陸奥は動かない。様子が変だった。

鈴谷(まったく!! なにしてんのよ!!)

陸奥をに向かってきていた敵機を撃ち落すと陸奥の胸倉を掴む。

鈴谷「何してるんですか!! 戦闘中なんですよ!!」

その一瞬の隙を突いて、ル級が戦線を高速で離脱する。

熊野「しまった!! 抜かれましたわ!!?」

鈴谷「やばっ!?」

ル級を狙うが当たらない。

不味い。このままでは長門が追いつかれて戦闘になる。

ゴーヤ「ゴーヤが追撃するでち!!」

大鳳「お願いします!!」

すぐにゴーヤが追撃に移った。

ゴーヤ「なんて速さ・・・追いつけない!?」

長門「見えた!!」

提督達の乗る護衛艦が目に入った。

大淀「レーダーに機影、通信入りました。長門です!!!」

提督「よし、すぐに高速修復剤の準備を!!」

浜風「長門の後方に敵影!!・・・戦艦ル級! 早い!!」

今の長門が追いつかれると不味い。大破状態での戦闘は危険だ。

提督「すまんが響、頼めるか?」

響「なにをだい?」

提督「高速修復剤を持って海に出て欲しい」

響「海上で渡す気かい?」

提督「ああ、やってくれるか?」

響「・・・分かった。すぐに出るよ」

提督「取舵いっぱい、その後、敵ル級に向けて魚雷発射」

護衛艦は左に旋回、一方で響は護衛艦とは反対側に向かって出撃した。

長門は追ってくるル級に気付く。

上空には瑞鶴の航空隊が護衛をしてくれているが、

暴走状態にあるル級相手では厳しいだろう。

長門「私を仕留めに来たか。舐められたものだな・・・」

例え、大破してようが問題ない。

一発も喰らわずに素手で始末すればいいだけだ。

そう覚悟すると同時に提督から通信が入る。

長門「合流ポイントを変更? 迂回だと?」

ル級が長門を狙った瞬間、何かが爆発してル級は一瞬怯んだ。

それは護衛艦から発射された魚雷。

深海棲艦を轟沈させる能力はないものの、気をそらすことには成功したようで

ル級は長門に目もくれず護衛艦に向かい始めた。

長門(私の安全を考え、囮に・・・あの馬鹿!!)

長門(なんで何時も何時も・・・自分より私達のことを考える・・・)

提督自ら、危険な囮になったことへの怒りはあったが、それ以上に嬉しかった。

本当に私達は愛されている。

長門(既に好きな気持ちは上限に達していたと思ったが・・・まさか、さらに好きになるとは)

長門(これじゃ・・・本当に他の艦娘(おんな)にくれてやるわけには行かないじゃないか)

長門「すぐ修復して奴を片付ける・・・持たせてくれよ・・・」

提督「喰いついたか・・・そのまま攻撃を続行、こちらに引き付けろ!」

大淀「艦娘の武装以外、轟沈ダメージは与えられませんが・・・」

提督「全く効かないワケじゃないさ。榛名、準備は良いか?」

甲板に向かっていた居た榛名が通信に答える。

榛名「了解。艦上より、砲撃して仕留めます」

その時、船が大きく揺れる。

提督「くっ!」

ル級によって、放たれた砲弾は艦橋の前面の一部を吹き飛ばす。

激しい衝撃と、爆発音が響き、提督は椅子から投げ出された。

艦橋内は半壊し、壁には大きな穴が空いていた。

提督「皆、無事か?」

大淀「・・・なんとか」

提督「すぐに艤装を展開しろ、生身では危険だ」

浜風「うう・・・」

床に激しく叩きつけられた浜風は意識が少し朦朧としていた。

天井から壊れた機材の一部が落下してきたのが見えた。

浜風「!!!」

避けないと。しかし、体が上手く動かない。

痛みを覚悟して、目を閉じるが痛みは一向に来ない。

目を開けると、提督が自分に馬乗りになって、

自らの背中を盾にして浜風を庇っていた。

浜風「提督!!!!?」

白い軍服が血で赤く染まる。

提督「大丈夫だ・・・少し、痛いけどな」

そう言って冗談っぽく笑った。

浜風「なんで!! 艦娘の私は入渠すれば・・・」

提督「体が勝手に動いたんだ。そう怒鳴らないでくれ・・・」

浜風「怒鳴りますよ!! もしも提督に何かあったら、私達はどうすればいいんですか!!」

提督「そうだな・・・すまん」

部下を残して逝くなんて無責任だ。

死ぬにしても、自分のやるべきことを全て、全うした後だ。

まだ死ねない。死ぬわけには行かない。

前線で戦う部下、鎮守府で帰りを待つ皆・・・

それらを放り出して、自分だけ先に逝くなんて出来ない。許されない。

南方「何事!? ・・・・え?」

爆発音に驚いて、南方棲鬼が慌てて駆けつけて、見た光景に固まった。

半壊した艦橋、血を流す提督。

南方(これは・・・見たことがある・・・)

爆発する艦内。

転がる仲間。

血の匂い。

あの時、見た愛しい人の変わり果てた姿。

繋いだ手の先に・・・愛しい人は居なかった。

腕ダケガ・・・・

コロシテヤル

スベテノ

シンカイセイカンヲ

怒りに呑まれ、人の身で戦い、無惨に負けて海へ投げ出され・・・

―――――ワタシは

一気に脳内に記憶が逆流する。

思い出す。何故・・・忘れて居た?

いや、違う。

忘れさせられていた。アイツに。

あの深海棲艦に。

目の前に居る血まみれの男。

南方(彼は・・・私とあの人の・・・?)

提督(奴め・・・トドメをさす気か)

ル級が艦橋に再び狙いを定める。

提督にはそれが目に映った。

殺される。

直撃すればここは消し飛ぶ。

浜風も大淀も、怪我をしたせいか、混乱したせいか、

まだ艤装が上手く展開できてない。

コロサレル?

大切な部下が、家族が・・・

ル級の口が不気味に歪むのが見えた。

殺されてたまるか。

この娘達を殺されてたまるか・・・

また奪うのか。

俺から家族を。

提督(ふざけんな・・・)

その時、自分の中で何かスイッチが入ったような感覚があった。

カチリと。

思考はとてもクリア。澄み渡るように心は穏やか。

敵のル級の位置と距離がなんとなく分かる。

そしてこれから自分が何をするかも。

奴に当てる。ただ、それだけ。

だから自然に口走った。

提督「撃て」

直後、艦内から爆音が響き、装甲を突き破って何かがル級に命中する。

ル級「ああ?がぁぁぁぁ!!?」

ル級の右腕は吹き飛んだ。

ほんの少し前、

艦内の工房では明石が急ピッチで作業を進めていた。

明石「よし、出来た。すぐに機関室に・・・」

その直後、突然激しい轟音が鳴り響き、明石はびっくりして尻餅をついた。

壁には大穴が開いていて、外が見える。

明石「え? なんで? 誤作動・・・?」

何故か艤装が勝手に動き出して砲撃をしたようだった。

砲撃時の衝撃で壁にめり込んでおり、今は機能が停止していた。

明石「さっきの南方棲鬼さんの時といい、なんで・・・?」

理由は分からない。

気にはなるが、今は他にすることがある。

一方、甲板に向かう途中、砲撃の衝撃で床に叩きつけられた榛名が目を覚ます。

榛名「・・・私、気を失って・・・? 早く行かないと!!」

また、片腕を失ったル級は痛みで自我を取り戻し、状況を整理していた。

ル級(右腕は欠損か・・・だが、目の前にこんな大きな獲物・・・見逃す手はないな)

先ほどの攻撃は危険だが、次の攻撃がないので連射は出来ない可能性が高い。

ル級にとって幸いだったのは自我を取り戻しても、身体能力の強化は続いていたことだ。

恐らく、まだ泊地水鬼の影響下にあるのだろう。

ル級「次を撃たれる前に仕留める!!」

艦橋では大淀と浜風がようやく艤装を完全に展開していた。

提督「ここは危険だ、一度下に移ろう」

浜風「提督、さっきの砲撃はいったい?」

大淀「内側から撃たれたようでしたけど・・・明石?」

提督「分からん。明石が何かしたのかもしれん」

浜風(さっきの様子・・・まるで提督が何かをしたように見えたけど・・・気のせい?)

提督は先ほどのことは覚えていなかった。

南方(あの音・・・46cm砲。やっぱり・・・この子は・・・私の・・・)

提督「どうした? 下に行くぞ?」

南方「・・・ええ。分かったわ」

南方棲鬼は頷いて提督に続いた。

投下完了
いつも感想ありがとうございます。
なんか修正加えるウチe-5だけで話が加筆されまくって大変なことに
下手したら書き終えてるe-6の3~4倍くらいという・・・

大体の修正が終わりましたんで、チマチマと誤字チェックしつつ
今日から日曜くらいまで毎日投下予定デース
ちょっと頑張ったデース

提督「さて・・・どうする?」

大淀「敵、再度接近してきます!」

提督「魚雷、ミサイルで攻撃。近づけるな!」

だが、どんなに直撃してもル級の足は止まらない。

過去の交戦データからは考えられないル級の性能。

提督「今までのデータは当てにならん。一度忘れよう」

ル級「これで・・・終わりだ!!!」

提督「くっ! 回避が間に合わん!! 全員伏せろ!!」

だが、攻撃が届くことは無かった。

平面六角形の力場によって攻撃が防がれたからだ。

提督「これは・・・」

ル級「・・・クラインフィールドッ!!」

クラインの壷理論を応用したとされる異世界の技術。

以前、その世界の住人と邂逅した際に親しくなり、

託されたナノマテリアルと制御コア。

使用される素材自体がこの世界に無いものであることと、

こちらの技術的な問題もあり、正常稼動には至ってないハズだったが・・・

明石『聞こえますか? 提督、こちら機関室、明石です』

提督「全く。オマエは勝手に・・・」

明石『すいません。でも役に立ったでしょ?』

提督「ああ、おかげで助かった。ありがとう」

明石『えへへ~♪』

提督「無断で持ち出したことについては後で始末書ね」

明石『ええー』

そんなやりとりで場の緊張が少し和らいだ。

明石『しかし、動作が安定してないのと、結構無茶な稼動してるんで問題が・・・』

提督「問題? なんだ?」

明石『攻撃を防げば、防ぐほどナノマテリアルを消費して二度と使えなくなります』

提督「後、どれくらい持つ?」

明石『数回でしょうか? 稼動プロセスが本家とは違うからなんとも・・・』

提督「いや、問題ないよ」

明石『どういうことですか?』

提督「今、榛名から連絡が来た。甲板にて砲撃を開始するとのことだ」

護衛艦、雷電の甲板。そこに榛名が居た。

榛名「・・・敵、捕捉しました」

戦艦榛名の主砲が轟音と共に火を噴く。

放たれた砲弾はル級の近くの海面に落ちて大きな水柱を上げた。

ル級「バカが!! どこを狙っている!!」

榛名「確実に当てる為ですよ・・・誤差修正、次は当てます」

ル級「ぐっ・・・!? 一発目は距離を測るためかっ!!」

直撃。腹部が削られる。だが・・・

榛名(手応えはありましたけど・・・)

ル級の目は赤く輝き、耳障りな咆哮を上げながら砲撃体勢を取る。

臨時司令室で戦闘をモニターしていた提督はあることに気付く。

提督「どういうことだ? 傷が塞がっていく?」

ル級の欠損箇所は、ゆっくりではあるが修復されていた。

榛名(・・・再生能力がある?)

消失したハズの右腕も少しずつ修復されているのが確認できた。

大淀「今、妖精が解析中です。損傷箇所の細胞が異常に活性化してると言ってます」

提督「つまり、信じられない速度で自己再生能力を底上げしてるということか?」

榛名「提督、H・C弾の使用の許可を!」

提督「そうか、アレなら細胞の増殖を・・・」

提督「いや・・・しかしアレは鎮守府に保管されているからここには・・・」

明石『ありますよ。持ってきちゃいました』

提督「・・・だから事前に報告しなさい。榛名、使用を許可する」

榛名「了解。誤差修正0・2・・・角度よし、HーC弾、装填」

H-C弾。鎮守府で開発された特殊弾である。

正式には「Hieiーcurry(ヒエーカリー)」の略であり、比叡の殺人的なカレーを原料にしている。

以前のテストでは周囲の環境汚染が懸念され、使用を中止されていたが、

ひそかに改良され、以前よりは環境汚染の問題は多少は改善されていた。

榛名「発射っ!!!」

ル級「ぐわぁぁぁぁ!?」

弾頭に含まれた科学の常識を超えた劇薬がル級の細胞を侵食する。

周囲の細胞は破壊され、自己修復が一時的に止まった。

ル級「コろス! 艦娘モ!! 人間モ!! ミナゴロシだ!!」

その時、側面より飛来した砲撃でル級はバランスを崩す。

ル級「っ!? なんだ!?」

長門「なんだって・・・敵だろ?」

榛名に気を取られていたル級は高速で迫る長門にようやく気付いた。

すぐに長門を砲撃しようとするが、海中からも一撃喰らう。

ゴーヤ「命中でち!」

ル級「なんだと!?」

途中、敵はぐれ艦隊に補足され逃げ切れず交戦し、

ようやく追いついたゴーヤの放った魚雷だった。

瑞鶴「私も居ること忘れないでくれない?」

榛名と同じく、甲板から瑞鶴が爆撃機を飛ばし攻撃する。

そこへ長門が接近、懐に入り込み、至近距離から強烈な一撃を放つ。

ただのアッパー。拳による、だが果てしなく重い一撃だった。

ル級は空高く舞い上がり、そこを榛名と長門が同時に砲撃する。

ル級「まだっ・・・まだだっ!!」

天高くに投げ出されたル級は砲撃を喰らいながらも、空中で体勢を立て直す。

更なる憎悪を募らせ、再び再生を試みる。だが、それは先程より遅い。

ル級「くっ!! 毒素が完全に抜けん!! なんだこれは!? 貴様ら!! 何をした!?」

榛名「再生すると言うのなら・・・」

ル級「ま・・・まて・・・」

重力に引かれ、自由落下が始まるが、再び砲撃され、体は重力に反して舞い上がる。

落ちては、下から突き上げられる。

それはまるで海面に浮かび、波に翻弄される木の葉のよう。

榛名「姿形が完全に無くなるまで消し飛ばせばいいだけです」

榛名は撃ちつづける。砲身が高熱で赤くなるが構うことなく撃ち続ける。

轟音と衝撃が一帯を襲う。それでも砲撃は続く。

ル級は恐怖した。その恐怖が泊地水鬼の気迫に勝った為に、影響力を失う。

ル級「チカラが・・・抜けていく・・・」

ついに空中で爆散、チリひとつ残らず燃え尽きた。

榛名「提督に怪我をさせたんですから。当然の報いですよね?」ハイライトオフ

長門(・・・凄まじいな。これがレベル146の戦艦の実力か)

長門「提督、無事か?」

提督「問題ない。長門こそ無事で良かった」

長門「あまり無茶はするなよ?」

提督「可能な限り善処する」

響「・・・司令は変わらないね」

先行して駆けつけた長門に遅れ、響も合流した。

提督「響もありがとう。無事で良かった。これより直ちに敵本体に向かう!」

長門「了解。陸奥達が心配だ」

提督「それと瑞鶴、悪いが先行して航空隊を飛ばして欲しい。届けて欲しいものがある」

瑞鶴「ん? これはカートリッジと三式弾?」

提督「必ず必要になるからな」

提督(無事で居てくれよ・・・)

泊地水鬼は仲間から、少し浮いた存在だった。

特に戦果を上げるワケでもなく、

憎悪を撒き散らすワケでもなく、

皆が人間や、艦娘を攻撃して殺した数を競っていても、

特に興味が無かった。

それは深海棲艦の仲間からすれば、おかしなことだった。

好きなことは、ただ何もせずゴロゴロするだけ。

深海のゆっくりした時間が好きだった。

なので戦闘力は高く、実力はあるものの、変わり者とされていた。

そんな中、彼女に理解を示してくれた存在が南方棲鬼だった。

率先して最前線に出向いては怒りと象悪を撒き散らす深海棲艦でも上位の存在。

『あの方』の娘にて、多くが認める深海棲艦の優等生。

普通に考えれば水と油。

気の合うハズがない。だが、何故か馬があう。

自分のことを馬鹿にするわけでもなく、ただ友人として接してくれた。

嬉しい、楽しい、そんな初めて抱く感情。

深海棲艦にあるまじきことだが、そんな時間が大好きだった。

ある鎮守府の艦娘を討伐に向かい、消息を絶ったが、強い彼女のことだ

勝利し、今もどこかで戦っているのだろう。そんな風に思っていた。

しかし、ある噂を聞く。

「南方棲鬼様が例の奴と交戦して殺されたらしい」

そんなバカな。信じない。そんなのは嘘。

彼女がやられるなんてあるハズが無い。

待っても、待っても戻ってこない。

最初はふざけて「奴は深海でも際弱の・・・」なんて悪ふざけをしていたが

一向に戻らない。やがて噂は真実であることを知った。

舞鶴鎮守府。確か複数あったが、

そこでも、かなりヤバイ連中が居ると噂があり、

南方棲鬼はそいつらに殺されたらしいと。

自分の中で初めて憎悪が生まれた。

―――コロシテヤル

仇を討つ。この感情は深海棲艦には珍しいのかもしれないけれど、

それは自分の命を掛けても実行しなければならないことだと思った。

だって、他にしたいことなんて無かったから。

彼女との時間が今の全てだったから。

だから戦う。

人間狩りなんてどうでもいい、

艦娘狩りなんてどうでもいい、

彼女を殺した奴を殺す。願うことはそれだけ。

今戦っている3人は恐ろしく強い。

中破まで追い込んだが、次第に動きを読まれ始め、

最小の動作で交わされて逆に攻撃を貰う。

泊地「痛いわ・・・」

体が痛い。

心が寒い。

なのに笑ってる。

泊地「うふふふ・・・・」

何が楽しいのかワカラナイ。

なんで笑っているかワカラナイ。

投下完了。

いつもいつも感想ありがとうございます。
本日分のハズが帰宅が遅かったもんで日付変わっちゃった。
イベント編思ったより膨らんじゃって自分でもビックリ。

また明日というか今日になるのかな?
仕事から帰宅した後に投下します。

陸奥は悩んでいた。

旗艦。それは名誉なことだ。

かつての軍艦だった頃の記憶・・・

長門と並び、ビックセブンと呼ばれ、国民に親しまれ、

交代で連合艦隊の旗艦を務めた。

だが、戦艦陸奥は原因不明の爆発で突如、沈んでしまう。

艦娘になり、人の姿を得てから、まず初めてやったことは

爆発事故の原因を調べることだった。

幸い、インターネットというツールが現代には存在し、

鎮守府に居ながらでも、個人で容易に調べることが出来た。

スパイ説や、放火、全ては憶測で、真相は現代でも分かっていない。

運よく生き残った乗組員も、悲惨な運命が待っていたという。

戦艦陸奥が事故で爆発し、損失したことは当時の海軍の一大不祥事であり、

徹底した情報隠匿を行ったらしい。

戦後までアメリカ側も陸奥損失を知らなかったと言うくらいだ。

生き残った者は家族との面会も許されず、口封じのように

危険な最前線に送られたという。

今なお、分からない謎の事故。

それは艦娘になった今でも、呪いのように付きまとっていた。

突然、艤装の調子が悪くなり、火を噴いたりと挙げればきりが無い。

それが陸奥の自信を喪失させていた。

自信に溢れ、何時も輝いている長門。

同じビックセブンなのに。

同じ姉妹なのに。

私はダメだ。

私なんかが旗艦なんて・・・

所詮は戦艦時代の話。

艤装の調子だって、たまたま不調が続いただけかもしれない。

分かっているけど・・・やはり自分に自信がない。

何時も長門の後ろに居る。ソレでよかった。

私が何かしても、きっと上手くいかないから。

誰かの補佐をして、後ろに居れば良かったんだ。

脇役にはなれても、主役にはなれない。

考えれば、考えるほど、思考は行動力を奪い、何も出来なくなってしまう。

動け!! 動かないと・・・!! だけど動けない。

思えば提督のこともそうだ。

異性として好き。その気持ちに間違いはない。

だけど、どうせ私は勝てない。

鎮守府の仲間達に・・・

皆は本気なんだ。本気で好きなんだ。

だから争うし、時には血の雨が降りそうになる。愛しすぎて。

だけど私は一歩を踏み出せない。

自分に自信がない。

私よりも魅力的な娘が沢山いる。

初めから結果は分かる。

私は負ける。

何をしても勝てない。

だけど、そんなことを認めたくなくて、

未練たらしくちょっと、お姉さんぶって誘惑してみたり。

提督には一切効かなかったけれど・・・

何もかも諦めれば楽になれるのに・・・

でも・・・諦める勇気も無かった。

鈴谷「いい加減にぃぃぃ!!!」

泊地「アハハハハ!!!」

力は拮抗して、未だに勝敗は付かない。

気を抜いたらやられる。

熊野「あっちの艦載機・・・何機あるんですの・・・?」

打ち落としても、打ち落としても沸いてくる。

大鳳「流石に消耗してきたわね・・・」

ボウガンにカートリッジを装填する。

空母はそれぞれ違った形態で艦載機を運用している。

赤城や加賀のように弓であったり、

隼鷹、飛鷹のように日本古来より伝わる神術によってであったり、

千歳や千代田のように機械仕掛けの操り人形のようであったり、

そんな中でも大鳳が使うのは最新式のシステム。

ボウガン型の銃にカートリッジを装填して発射する。

放たれた弾は空中で眩い光に包まれて攻撃機に変わる。

大鳳「装甲空母を舐めないで! 中破したって飛ばせるんだから!!」

泊地水鬼も負けるかと攻撃機を飛ばす。

双方、上空で激戦を繰り広げる。

熊野「提督は無事かしら・・・」

後方を見る。遥か向こうに煙が見えた。

鈴谷「え・・・?」

最悪の事態だった。護衛艦が攻撃を受けていることに気付く。

鈴谷「・・・まじ最悪なんですけど」

鈴谷(・・・なんなのよコイツ)

早く倒さないと・・・提督が・・・死ぬ。

鈴谷「ダメ・・・それは・・・絶対」ハイライトオフ

敵への怒りと、大事な人を失う恐怖で力が入る。

ほんと、冗談じゃない。

地獄のような日々を耐えて、

ようやくたどり着いた居場所を・・・

やっと見つけた私の大好きな人を・・・

なんで傷つけるの?

深海棲艦も人類もどうでもいい。

提督が居ればそれでいい。

なのに世界はそんなこと許さない。

戦争があり、艦娘は戦う存在で、提督は指揮する存在で・・・

私たちがこの流れに居る限り、戦いは延々とまとわり付く。

負けて死んだら終わり。

鈴谷(だから殺さないと・・・・ジャないト)

――――また奪われる

海面を蹴るように進む。

コロス。

確実にコロス。

敵機が攻撃を加えてくるが、無視する。

頬を攻撃がかすめ、血が滲み出る。

後ろで熊野と大鳳が叫んでる。

今は関係ない。

殺すことに集中するんだ。全力で・・・

鈴谷(懐に入ってぇぇぇぇぇっ!!!)

ほぼ、ゼロ距離からの砲撃。

鈴谷(この距離なら絶対避けられないよねっ!!)

手応えはあった。

攻撃の余波で吹き飛ばされた鈴谷を熊野と大鳳が支えた。

鈴谷「・・・・ダメージは?」

大鳳「軽微のようね・・・」

鈴谷「ちっ・・・」

熊野「言葉使いが悪すぎますわよ」

鈴谷「熊野はまだ余裕ありそうだね」

熊野「・・・まさか。余裕なんてないですわ」

陸奥は相変わらず突っ立ったまま。

これに鈴谷が激怒し、頬を引っぱたく。

陸奥「っ!!」

鈴谷「あのさ、戦わないなら下がってくれない?」

陸奥「私は・・・」

鈴谷「さっきから邪魔なんだよ!! 分かってよ!! 足引っ張らないで!」

熊野「ちょっと・・・」

鈴谷「何を悩んでるか知らないけど、今すること?」

大鳳「鈴谷さん!!」

あまりの剣幕に大鳳が制止しようとするが、それでも鈴谷は止まらない。

鈴谷「ここは最前線で、今は戦闘中なの、分かるでしょ? 何がしたいの?」

陸奥「・・・ごめんなさい」

鈴谷「謝るなら戦えよ!! 戦わないなら下がってよ!!」

熊野も大鳳も黙る。

今回の敵は今までとは違う。油断すれば死ぬのは自分だ。

無論、死ぬ気はない。

そんな状況で何もせず、突っ立てれば文句も言いたくなる。

陸奥「貴女には分からないわよ!!」

鈴谷「はぁ? 何が?」

陸奥「提督から大事にされて、信頼されて、可愛くて・・・自信に溢れてて・・・」

鈴谷「・・・は? え? 意味が分からない。なんで鈴谷褒められてるの?」

陸奥「長門も居なくて、一人で・・・私が旗艦なんて・・・」

自分が旗艦になり、それで皆を率いて戦って? どうなるの?

きっと、また何か良くないことになる。

下手すれば全滅だ。恐い。恐い。恐い。

皆の命を預かる勇気なんてない。それもこんな重要な局面で・・・

なんで長門がここに居ないんだろう。

なんで金剛が、なんで赤城が、なんで・・・

なんで・・・こんな時に私が旗艦なんだろう。

陸奥「・・・・諦めたくないのに」

だけど恐い。自分だけじゃなく、皆も巻き込んで何かよくないことが起こるのではないかと。

鈴谷「あっそ。良く分からないけど・・・」

鈴谷「ウジウジするなら後にしてよ。迷惑だから。」

鈴谷「諦めたければ諦めれば? そうやって負け犬になればいいじゃんっ!!」

鈴谷「諦めなよ。何もかも。いっそ提督のこともさ。もう知らない。死にたければ勝手にして」

そう言い残し、先ほどのダメージから立ち上がった泊地水鬼に再び攻撃を行う。

熊野、大鳳もそれに続いた。

陸奥(いきなり長門が大破して、旗艦を言い渡されて、それで・・・)

今やるべきことはひとつ。ただ戦うだけ。皆と共に。

だけど踏み出せない。たった一歩なのに。

自分が思った以上に長門に依存していたことが分かった。

陸奥(・・・提督)

貴方が言ってくれれば・・・背中を押してくれたら・・・

もうしかしたら・・・

―――陸奥!!

提督の声がした。

陸奥(本当に未練たらしい・・・幻聴まで聞こえ始めた・・・)

―――陸奥!!おい!聞こえるか!?

違う。幻聴じゃない。

陸奥「・・・提督?」

提督『良かった。無事か、そちらの状況は?』

陸奥「・・・てっ敵と交戦中・・・残存は1体よ」

提督『この海域の敵旗艦か。皆無事か?』

陸奥「今のところは」

提督『そのまま何とか持ちこたえてくれ。今そちらに向かっている!』

提督『長門から聞いた。旗艦を引き次いだそうだね』

私じゃ無理よ。

ずっと演習ばかりだし。実戦も長門と一緒だから、彼女に全て頼ってやってきただけ。

私が全てを任されて皆を率いるなんて無理。

きっと良くない結果になる。

だから早く来て長門・・・

提督『しかし、陸奥なら大丈夫だな』

陸奥「・・・え?」

提督『なんたって世界のビックセブンだ。俺達が合流するまで頼むぞ』

陸奥「提督は私を信頼してくれるの?」

提督『は? 何を言ってるんだ? 当然だろう』

何を当然のことを言ってるんだとばかりに返してくれる。

やっぱり提督は凄い。だって・・・

提督の声が、その言葉が、こんなにも自分に力をくれるのだから。

陸奥「私に任せると、大事なとこで爆発事故起こしちゃうかもね」

それを冗談だと思ったようで

提督『爆発しても今度は沈ませないさ。どんなことをしても助ける』

陸奥「・・・提督」

提督『以前から過去を気にしてるようだが、一回全部忘れろ。そんなもんに縛られるな』

提督『艦娘として生きている、今のことだけ考えるんだ』

陸奥「・・・了解」

それだけで、その言葉だけで、自らを雁字搦めにしていた呪いが少しづつ消えていく。

立ち止まっていた私の背中を押してくれた。

なんで今まで悩んでいたんだろう。

諦めたくない。何もかも。

何かあっても提督が助けてくれる。

提督が私を見てくれている。

信頼してくれている。

陸奥「頑張る。私は前に進む・・・」

そんな時、ひとつの奇跡が起きる。

提督『あ――してるぞ。陸奥』

この時、『ああ、期待してるぞ陸奥』と提督は言った。

だが、戦闘の爆発音で言葉の一部が聞こえなかった。

それを陸奥は『愛してるぞ陸奥』と解釈してしまったのだ。

陸奥(提督・・・私も・・・貴方を・・・)

後に音源を保存しようとして、聞き間違いであることを知るわけだが、

その言葉で全ての呪縛は、トラウマは完全に消失した。

陸奥「・・・ねぇ提督?」

提督『なんだ?』

陸奥「別に貴方達が合流する前に倒してしまっても良いのかしら?」

提督『・・・それは構わんが、絶対に無理はするなよ?』

陸奥「了解」

通信を終えると体が軽くなった。

想いが体を巡り、それは爆発的な力に変わる。

もう大丈夫。迷いは無い。

陸奥「ビックセブン、戦艦陸奥、出撃するわっ!!」

その声と顔つきは自信にあふれていた。

泊地水鬼と対峙する鈴谷、熊野、大鳳は満身創痍だった。

鈴谷「・・・ほんと嫌になるね。3人掛かりで、この様なんて」

熊野「敵が異常すぎますわ・・・」

大鳳「不味い・・・もうカートリッジが・・・」

泊地水鬼は笑う。体はボロボロ。沈んでもおかしくないのに。

何がおかしいのか狂ったように笑う。

熊野「敵の様子、変じゃありませんこと?」

鈴谷「最初から変だったけど?」

熊野「そうじゃなくて、なんか損傷箇所が修復されてなくて?」

大鳳「・・・え?」

僅かではあるが、泊地水鬼の損傷が少し修復されていた。

それは限界値を超えた強い負の感情が齎している効果。

深海棲艦とは本来、負の感情、怨念の塊。

戦闘で傷つくほど相手への憎悪が増し、それが一種のドーピング状態にある

泊地水鬼の自己再生能力を異常に高めていた。

この能力は泊地水鬼の影響を受けて暴走状態だったル級にも働いていたのだった。

多くの生物が本来持っている自然治癒能力。それが爆発的に活性化されている。

再生速度は微々たるモノではあるが、これは脅威だ。

大鳳「そう言えば聞いたことがあるわ」

鈴谷「何を?」

大鳳「過去の作戦で確認された固体の中に、時間と共に回復するモノも居たって」

熊野「そう言えば聞いたことありますわね」

6~7回で攻略するハズが10数回になってしまい、

一部の提督から敵の体力ゲージの自然回復だと嘆きの声があったと噂だ。

鈴谷「不味いじゃん・・・」

泊地「アハハハハハハハハっ!!!」

鈴谷「くっ・・・もう三式弾もないし」

一体、いくつあるのか、泊地水鬼が繰り出す攻撃機が再び迫る。

だが、それは全て叩き落とされた。

泊地「!!!?」

鈴谷「陸奥さん・・・?」

陸奥「皆、ごめんなさいっ!!」

大鳳「もう大丈夫なんですか?」

陸奥「・・・アイツを仕留める。援護頼めるかしら?」

鈴谷「・・・今更来て、どういうつもりですか?」

陸奥「それについては謝罪するわ。私は回りも、自分も見えてなかった」

陸奥「後で幾らでも謝る。だから・・・」

熊野「分かりましたわ。まずはあの厄介な敵を排除しましょう」

鈴谷「・・・分かった」

陸奥「それと鈴谷」

鈴谷「なんです?」

陸奥「私は諦めないから。欲しいのは全部手に入れる」

陸奥「貴女みたいに、他の皆みたいに。欲しいからもう躊躇わない」

陸奥「私は艦娘の戦艦陸奥。もう昔(まえ)とは違うから」

鈴谷「・・・へぇ。良く分からないけど陸奥さん。今良い顔してる」

そう言うと鈴谷は笑う。

陸奥もありがとうと返して笑う。

熊野「では陸奥艦隊、最終決戦・・・ですわね」

陸奥「陸奥艦隊?」

大鳳「旗艦は貴女ですよ?」

一瞬、呆気に取られたが、すぐに気を引き締める。

陸奥「陸奥艦隊、出撃!!」

陸奥は叫ぶ。過去の呪縛を打ち払うように。

大鳳も鈴谷も熊野も大声で「了解」と答える。

彼女達の感情もまた、一定の領域を超えた。

その気迫に泊地水鬼が押され始める。

投下完了ー
感想ありがとうございます。

時間と心に余裕があればまた明日ー

陸奥「私だってぇぇ!!!!」

泊地水鬼の攻撃を掻い潜り、主砲で砲撃を加える。

提督を想う気持ちは皆に負けてない。

言葉にして叫ぶことで自信に変わり、それは陸奥の戦意を向上させる。

陸奥「好きなんだから!!! 大好きなんだからっ!!」

砲身が焼きつくんじゃないかと思うくらい連続で撃ち込み、

その全てを泊地水鬼に命中させる。

陸奥「だから諦めない!!  それに提督も愛してるって言ってくれた!!」

鈴谷・熊野・大鳳「「「はぁぁっ!!!?」」」

3人は詳しく問い詰めたい気持ちになったが、とりあえず今は黙ることにした。

泊地「痛い・・・痛いわ・・・アハハハ」

鈴谷と熊野は泊地水鬼の背面に回り、

残り少ない弾薬を全て使い果たす程の激しい砲撃を加える。

陸奥「再生する前に沈める!!!」

大鳳「せめて・・・カートリッジがあれば・・・」

そこへ烈風が飛来する。

大鳳「瑞鶴さんの・・・? あれは!!!」

烈風は大鳳に何かを投げ落とした。

それは艦載機のカートリッジだった。

大鳳「感謝するわ!!」

すぐに装填、航空部隊を展開する。

鈴谷と熊野には三式弾の補充が行われた。

鈴谷「やるじゃん瑞鶴っ!! これじゃもう、五航戦ってからかえないねぇ」

熊野「元々、からかう言葉じゃありませんわよ?」

鈴谷「自分だって使ってたくせにー」

泊地(私が押されている・・・)

自分が友の南方棲鬼を想うように、

艦娘達もまた大切な人を想い、それが力になっていた。

泊地(悔しいな・・・私の想いより彼女達の想いが勝るなんて)

いや、まだ終われない。終わるわけにいかない。

せめて一矢報わなくては・・・

だが武器弾薬を補充し、士気も高く、勢いづく敵のペースに

翻弄されて防戦一方になる。

泊地「なんだ・・・こいつらの気迫は・・・」

もう爆撃機も、そんなに残っていない。

鈴谷「私たちで道を作るから!!」

熊野「トドメをさしてくださいませんこと?」

迫り来る無数の敵爆撃機を三式弾で薙ぎ払い、

目前の航路上の敵は居ない。

まるで泊地水鬼まで繋がる一本の道のよう。

陸奥は一直線に泊地水鬼へ向かう。

泊地「まだっ!! ナンドだって!!!」

最後に残っていた爆撃機が陸奥に急接近する。

だが、烈風の攻撃により防がれた。

大鳳「行って!!!」

陸奥「ありがとう!!」

泊地「まだっ!!!まだぁっ!!!」

泊地水鬼はかろうじて動いた主砲を放つ。直撃コースだ。当たればひとたまりも無い。

熊野「陸奥さんっ!!」

艤装のエンジンがフル回転する。煙突からは音を立てて煙が噴出される。

陸奥「まだ・・・まだよ。持って、せめてアイツを仕留めるまでは!」

姉が大破させられた攻撃。当たる筈がない。あれは一度見た。

陸奥「ビックセブンを舐めないでっ!!!」

海面を蹴って、戦艦の馬力により宙へ舞い上がる。

泊地水鬼は空を見る。逆光で陸奥の姿はハッキリ見えない。

だが、太陽を背にした姿はとても美しく見えた。

敵だと言うのに見惚れてしまった。

泊地「綺麗・・・」

広がった陸奥の艤装がまるで鳥の翼のように見えた。

泊地「・・・大きな翼」

直後、放たれた砲撃は泊地水鬼に直撃、

遂にダメージが限界を超えて、海面に仰向けに倒れた。

泊地「まけた・・・ごめんね・・・」

陸奥「最後に言い残すことはあるかしら?」

泊地「・・・どうかしらね」

陸奥「沢山の人間を殺してきたんだから。当然の報いよね・・・」

陸奥は泊地水鬼に砲身を向けるが彼女は笑っていた。

陸奥「何が可笑しいのかしら?」

泊地「別に。私は人間なんて殺してないって思っただけよ。興味がないもの」

泊地「友の仇を討てなかったのは残念だけど、仕方が無いか。もう動けないし・・・疲れた」

陸奥「・・・友? 深海棲艦にも、そんな概念があるんだ」

泊地「・・・貴女達が殺した」

大鳳「誰のことです?」

泊地「南方棲鬼」

陸奥「・・・南方棲鬼? 殺してないわよ」

鈴谷「アンタの知り合いの固体か分からないけどね」

泊地「・・・生きている?」

大鳳「捕虜になってますよウチで」

泊地水鬼はその言葉に不快感を示す。

泊地「彼女に何をしたの? 捕虜にして酷いことを・・・」

熊野「何もしてなくてよ?」

陸奥「むしろアレを捕虜と言って良いものか・・・」

大鳳「長門さんと将棋して遊んだり」

鈴谷「駆逐艦と鬼ごっこやってたり・・・」

熊野「やたら食堂で美味しい美味しいと言って間宮さんも喜んでましたわ」

陸奥「捕虜と言うよりニート?」

鈴谷「一応監視ついてるし、行動に制限はあるハズだけど割りとフリーダムだよね」

泊地水鬼は混乱した。

何を言っている? そんなことあるハズが・・・

だが嘘を付くにしても、こんな嘘に意味はあるのか疑問だった。

陸奥「というかここに来てるわよ」

泊地「・・・え?」

一隻の艦が近づいてくる。

鈴谷「提督。良かった無事で・・・」

熊野「艦の方は大分損傷してますわね」

その近づいてくる護衛艦のデッキに見知った顔があった。

ずっと死んでしまったと思ってた友が居た。

泊地「本当に生きて・・・た」

鈴谷(・・・一気に殺気が消えていく?)

泊地水鬼にもう戦う理由も、戦う意思もなかった。

それに影響されてか、海域を覆う瘴気が薄れて行った。

その頃、鎮守府は荒れていた。

長門大破の連絡があって以降、提督との通信が途切れた。

作戦海域の深海棲艦の瘴気が強く、通信が殆ど出来ないこともあり、

それ以降の情報が入ってこない。

多くの者はすぐに艦隊を編成し、海域に向かうべきだと主張した。

だが、鎮守府で提督の代行を務めていた金剛はそれを制する。

金剛「気持ちは分かりますが、今は待ちましょウ」

一番所属している時間の長い電も同じ意見だった。

電「辛いでしょうが、今は黙って連絡を待つべきだと思うのです」

これに対して一部が反発する。天龍を初め、数名が無断で出撃を試みたが、

事前に察知され、今は執務室に連れて来られていた。

天龍「なんでだよ!! 金剛さん、アンタは心配じゃねーのかよ!!」

金剛「心配に決まっているでショ?」

感情的になる天龍とは間逆で、金剛は非常に落ちついており、

それが天龍の感情を逆なでする。

天龍「じゃあなんで、そんなに澄ましてるんだよ? あ?」

金剛「ただ待つのは辛いデス。ですが、ここで感情的になっては、いらない犠牲を生みマス」

金剛「辛いですが、今は耐える時デス。提督を信じるのであれば・・・尚更」

霧島「失礼します! 朗報です! 提督と通信が回復しました! 全員無事です!!」

この報告で皆は安堵する。

天龍「・・・すまねぇ金剛さん。言い過ぎちまった。流石、提督代行だな」

金剛「やった!! 提ェ督ぅぅぅ!! 信じてましたヨー!!」

金剛は我を忘れてぴょんぴょんと飛び跳ねて大はしゃぎ。

先ほどの冷静だった人物と同一人物と思えないくらいの変貌振りに一同に笑みがこぼれる。

比叡「凛々しいお姉さまも良いですけど、金剛姉様はこうじゃないと!」ハァハァ

それを見ていて面白くない者が居た。

彼女は無言で執務室を後にした。

山城「・・・お姉さま?」

すぐに後を追う山城。

山城「どうしたんですかお姉さま?」

扶桑「・・・なんでもないわ。ちょっと悔しくて」

山城「悔しい?」

扶桑「金剛さんはずっと提督を信じていた」

扶桑「なのに私は、もしもの事態を想像して先走って海域へ向かおうとした」

山城「・・・仕方ないですよ」

扶桑「あの状況で最後まで信じていた金剛さんに・・・負けたって・・・」

扶桑「そう思うと劣等感を感じちゃってね・・・」

扶桑「あろうことか、憎悪を金剛さんに抱いてしまった」ハイライトオフ

扶桑「本当に嫌な女ね。私は・・・」

扶桑「だから・・・あの場に居れなかった。情けなくて。惨めで」

山城「姉様っ!!」

山城は扶桑を抱きしめる。強く、強く。

扶桑はただ自分が情けなくて泣いた。

そして誓う。

金剛には絶対負けない。

何時か、提督から代行を自分が言い渡されるくらい信頼されて、

彼女よりも活躍して・・・

戦いも、恋も、金剛には負けたくなかった。

頑張ろう。もっと・・・もっと、今よりも。

人を羨んで、嫉妬する自分とは決別しよう。

扶桑「ごめんなさいね、心配させて」

山城「大丈夫です! もっと頼ってください。姉妹なんですから・・・」

扶桑「山城・・・ありがとう」

山城「頑張りましょう。2人で・・・」

山城(でも・・・提督は一人・・・)

山城(もしも・・・私達姉妹が勝ったとして・・・)

山城(提督は私と姉様・・・どっちを選ぶんだろう・・・)

そう考えていくウチに心の奥底で思ってしまった。

姉が大好きなハズなのに、姉の幸せを願うハズなのに。

―――姉さまじゃなくて私が選ばれたら良いのに。

そんなことを思っている自分が居た。

山城「・・・・・・」ハイライトオフ

扶桑「・・・山城?」

山城「なぁに姉様?」

扶桑「どうしたの? 様子が変だったけど」

山城「・・・なんでもないわ。姉様」

今は考えないようにしようと山城は思った。

じゃないと、大好きな扶桑を今までのように見れなくなるから。

それは山城にとって、とても恐ろしいことだった。

護衛艦 雷電Ⅱは鎮守府に向かい帰路に付いていた。

提督「で? どうなんだクラインフィールドは」

明石「使えて後4~5回ですね。本家と違い、これは技術を一部利用した模造品ですから」

出来れば使うことなく居たかった。

群像は使い方に気をつけて欲しいと言った。

この技術を上層部に引き渡した結果、量産が可能であれば人類側に取って大きな力になる。

だが、人類側も一枚岩ではない。

その結果、面倒な騒動になりかねないし、深海棲艦との戦争が終わった後に

政治的取引で他国に渡り、他所の国で軍事利用され、最終的に人類同士の戦いに使用されるのも恐い。

明石「そもそもですけど、量産は多分不可能ですよコレ」

提督「使われている素材のせいか?」

明石「それもありますけど、制御コアも1個しかないですし、コアの複製は無理です」

提督「さて・・・どう報告すべきか・・・」

明石「しなくていいのでは?」

提督「そういうワケには・・・」

明石「提督、貴方は深海棲艦との戦争を終わらせると言いました」

提督「ああ、言った」

明石「その為には、これは必要だと思います。例え後、数回しか使えなくても切り札になる」

明石「ヘタに報告して、上に持っていかれるよりも、ここは利用しましょう」

明石「今までの世界を変えるんです、これくらいは持って置かないとキツイでしょうし」

提督「・・・・・・」

明石「それに、これは提督。軍ではなく群像氏から貴方個人に託されたモノです。でしたら最後まで責任を持つべきかと」

明石「他者の手に委ねるものではありません」

提督「・・・本音は?」

明石「もっと色々弄りたいし、工房に査察にでも来られたら色々まず・・・はっ!!?」

提督がジト目で見ていた。

明石「酷い!! 図りましたねっ!!?」

提督「勝手に自爆したんだろ」

明石「じゃあ、お詫びに結婚してください!」

提督「いや、まだレベルの限界値に達して無いだろう」

明石(カッコカリの方じゃないんだけどなぁ・・・勢いで言うのは無理そうですねぇ)

明石「おふざけはこの辺にして、言ってることは理解してほしいです。群像氏だって提督を信頼して渡したのですから」

提督「・・・そうだな。彼の期待を裏切るわけには行かないな」

結果、暫く霧の技術を保持していることは秘匿されることになった。

だが提督は知らなかった。艦娘の一部が超重力砲を勝手に保持してることを。

明石(色々上にバレたら面倒ですし・・・本当に)ハイライトオフ

護衛艦内の一室。

泊地「良かった。無事で居てくれて・・・」

南方「なんか悪いわね。心配させて」

泊地水鬼は既に戦闘意思は無く、望んで捕虜になった。

武装は解除され、現状戦う術は持たない。

南方棲鬼の心境は複雑だった。

かつての記憶が蘇り、艦娘だった頃の記憶はあるが、

南方棲鬼としての記憶も持ち続けていた。

泊地水鬼は深海で出来た友人であった。

あまり友人という概念が無い深海棲艦同士ではかなり異質な関係。

彼女のことは悪く思っておらず、素直に再開を喜んだ。

南方「じゃあ私は行くから、鎮守府に付くまで大人しくしててよ?」

泊地「りょーかい」

南方「じゃあまたね」

泊地「・・・また会いに来てくれる?」

南方「ええ、会いに来るわ」

その言葉に安堵して泊地水鬼は眠りについた。傷ついた体を癒すように。

長門「まさか奴も捕虜になるとはな・・・」

南方「複雑? 大破させられたものね」

長門「あれは私の油断からだ。情けない。次はこうはいかんぞ」

南方「頼もしいわね」

今回の泊地水鬼は様々な要素が入り混じり、偶発的に発生したもので、

通常のレベルの艦娘であれば勝ち目なんて無かった。

最初の一撃で轟沈し、さらに他の者も次々沈んでいただろう。

しかし全員戦い抜き、生き残っている。

長門達は気付いていない。自分達がとっくに艦娘の限界値を大きく逸脱した強さになりつつあることに。

南方(深海棲艦も進化している。しかし、艦娘もまた進化をしている)

現代の艦娘と自分が現役だった頃の艦娘では艦種は同じでも、性能は大きく異なっていた。

南方(これなら・・・アイツを倒す事だって・・・)

艦内の提督室。

南方「と言うわけで泊地水鬼は無力化されているので問題はないわね」

提督「そうか。ありがとう」

南方「捕虜に捕虜の監視させないでくれない?」

榛名「すいません、現状、人手不足でして」

提督「殆どが入渠中でな・・・」

艦内にある仮設の艦娘用の入渠ドックに、戦闘に参加してダメージを受けた者が入っていたことと、

無傷の者も戦闘で受けた艦内の損傷箇所の応急修理に追われており、

単純に人手が足りないこともあって、南方棲鬼を信頼して任せてしまった。

妖精の乗員は多々いるものの、流石に妖精にそのような仕事は割り振れなかった。

南方「あんまり無作為に信用するものじゃないわよ?」

提督「誰でも信用するワケじゃないさ。何度も会話をした貴女だから任せても良いと思った」

提督「これでも、人を見る目には、そこそこ自信があるつもりだ」

その言葉が堪らなく嬉しかったが、あえて感情を殺し、必要なことだけを述べる。

本当はすぐにでも抱きしめたい。すぐにでも自分の正体を明かしたい。

貴方の母であると。

貴方は大事な、大事な・・・私の息子であると。

愛しい我が子が、立派に成長した姿を見れると思わなかった。

なんていう偶然。こんなことがあるなんて。

でも、それを言うことは出来ない。

言ってはいけない。

提督「それと陸奥、よくやってくれた」

陸奥「艦娘として、貴方の部下として、当然のことをしただけよ?」

提督「・・・ふっきれたようだな」

陸奥「提督の声が、言葉が・・・私を押してくれた。貴方のおかげよ」

提督「いいや、元々の陸奥の力だよ」

陸奥「・・・ありがとう」

提督「大戦中の軍艦は殆どが損失している。つまり皆、一度死んでいるんだ」

提督「だから誰だって程度の差はあれど、何かしらの葛藤、想い、恐怖を抱えている。トラウマって奴だな」

提督「けど君も、他の子も、新しい命を得て今を生きている。いくらでもこれから克服出来るんだ」

陸奥「うん。私はもう大丈夫。・・・前に進める力を貰ったから。」

陸奥は敬礼すると、部屋を後にした。

陸奥「それと・・・私も・・・愛してるから!」

と顔を真っ赤にして爆弾発言を残して。

榛名「・・・どういうことですか? 提督?」ハイライトオフ

南方(すごい・・・殺気・・・)ゾクッ

提督「・・・さぁ?」

提督は身に覚えはなく、なんのことか良く分からなかった。

その後、南方棲鬼は部屋を出て、割り当てられた自室へ向かう。

途中、窓に映る自分の姿を見て立ち止まる。

深海棲艦、南方棲鬼。

色白の肌。赤く輝く瞳。

人の姿をしているけど、人とは違う人外の姿。

南方「こんな姿になって・・・」

直接ではないが、結果として間接的には、

人を殺しに関わっていた。

かつて同胞だった艦娘を殺した。

沢山殺した。

南方「どうやって・・・」

あまりに血で汚れすぎた手。

南方「あの子を抱きしめればいいの・・・?」

再会出来たのは嬉しい。

だけど、名乗る資格も、勇気も無かった。

拒絶されるのが恐い。

南方棲鬼はただ泣いた。

それを自室に戻る途中だった榛名と明石が偶然目撃した。

榛名「・・・どうしました?」

明石「なんか深刻そうな顔してますけど、どうしたんで?」

南方「・・・・・・なんでもないわ」

榛名「・・・ひょっとして記憶が?」

南方「・・・」

南方棲鬼は無言で頷いた。

明石「本当ですか!?」

南方「でも言えない、言うワケにはいかない・・・」

榛名「すいません、かなりの自由を与えられて居ますが、貴女は捕虜だと自覚してますか?」

明石「話せる範囲で良いから後日、聞かせて頂けませんかね?」

艦娘が沈み、深海棲艦になる。多くの者がそうに違いないと考えているが未だ立証されてない。

それもそのハズ、過去一度も深海棲艦を捕虜として良好な関係を築き、会話をするに至った例はないからだ。

明石は南方棲鬼の生前の記憶を聞き、それを過去の記録と照らし合わせ

検証することに興味があった。

南方棲鬼は少し悩む仕草を見せるものの、話し始めた。

南方「そうね・・・少なくても榛名、私を打ち負かした貴女には聞く権利があるでしょうね。私を生かしたのは貴女だもの」

榛名「では聞かせて頂けるのですか?」

南方「だけど、あの子には・・・提督には言わないで欲しい。・・・って無理よね。貴女達は彼の部下なんだから」

明石「何故、提督に言わないで欲しいのですか?」

榛名「・・・内容によりますね。何か事情があるのでしたら検討はしますが・・・」

南方「それは・・・・私が・・・」

言うのか? 言っていいのか? 何度も踏み止まる。

知られたら・・・どうなる?

あの子の耳に入って真実を知ったらどうなる?

恐い。拒絶されるのが・・・

こんな姿になって尚、我が子を愛すのは罪でしょうか。

受け居られたいなんて甘い幻想を抱くのは罪でしょうか。

ねぇ・・・アナタ。

亡き夫に語りかける。

南方(私に力をください。ほんの少しの勇気を・・・)

恐怖や葛藤を飲み込んで、一歩を踏み出す。

南方「生前、私があの子の・・・提督の母だったからよ」

言った。言ってしまった。もう引き返せない。

榛名「・・・・・・え?」

明石「・・・その話、詳しく聞かせてもらえますか?」

南方棲鬼は頷くと3人で明石の割り当てられている部屋へ向かう。

彼女の部屋は、工作部屋も兼ねており、他の者の部屋と距離があって聞かれずに済むと思ったからだ。

だが、偶然通りかかって聞いてしまった者が居た。

瑞鶴(・・・どういうこと? あの深海棲艦が・・・提督さんの母親?)

艦内、明石部屋。

明石「結論から言えば、ありえない話ではありませんね」

榛名「提督のお父様も提督で、母親は元艦娘だった、それは皆知ってましたけど・・・」

明石「貴女から聞いた戦闘の場所、時間、敵の戦力、味方の戦力、喪失した艦・・・」

明石「証言の全てが過去の記録と一致してます」

南方「よく調べたわね・・・」

明石「提督は自身のことを多く語らないので、以前調べたことがあります。調べたのは青葉ですが」

南方「私の現役時代も青葉は新聞を作ったり、情報通だったけれど・・・」

榛名「時代が違えど、同じ艦種の艦娘だと行動パターンが似るんですね」

南方「でも、これは海軍の方で公開を規制してるモノよ? そんなことまで調べられるの?」

明石「ウチの青葉ですと、ハッキングとか普通にやるんで」

南方「・・・犯罪よそれ。でも電子化されてたかしら」

榛名「そういう場合ですと川内さんが青葉と連携して動いてます」

明石「そこに情報が確実にあって、提督に関してのことだとすれば法律とか関係ないですよ」

榛名「ですよね?」

南方(・・・なんなの最近の艦娘は過激と言うか・・・すごいわね)

何を当然のことを?とでも言うような感じでトンデモないことを言い出す2人に

南方棲鬼は開いた口が塞がらなかった。

南方「それにしても、川内が改2ねぇ・・・私の時代は無かったけど」

南方棲鬼の現役時代は、改2とは一部の艦のみに先行実装されていたモノであり、

皆の羨望を受ける特別な存在だった。

響、夕立、五十鈴とほんの一握りくらいしか居なかったものだ。

南方(それだけ技術が上がっていると言うことかしら)

明石「話を元に戻しますと、貴女の証言は、ほぼ間違いないと思います」

最も、もう少し詳細に調べたい所ですがと付け加えた。

榛名「・・・では本当に?」

明石「確定でしょうね。凄い偶然です。時を隔てて我が子と対面とは・・・」

榛名と戦い、捕虜となり、今回の戦闘で記憶を取り戻す。

それは天文学的な奇跡。

南方「私自身が驚いているから・・・」

榛名「そういう事情でしたら、提督には言いづらいですね。お義母さまの気持ちを察すると」

南方「・・・ありがとう」

南方(・・・うん? お義母さま?)

明石「それに、もうひとつの証拠がソレですよ」

明石は壁に固定されてるモノを指差す。

榛名「・・・艤装?」

明石「それは、元帥さんから提督が頂いたモノ。分かりますよね?」

南方「ええ、それは私の艤装。婚約を期に、人間になって不要になったモノね」

明石「貴女の鎮守府にあったもので処分されるハズだった・・・」

明石「しかし、元帥さんが独自に保管し、貴女の子供である提督に渡した。形見のつもりだったのか分かりませんけど」

榛名「それがどう、証拠に繋がるんですか?」

明石「同じ艦の艤装でも、持ち主本人じゃないと動かせないんですよ。それが動いた・・・」

榛名「なるほど。元、お義母さまの艤装だから反応して動かせたと」

明石「普通は解体処理された時点で認識出来なくなるハズなんですけどね・・・」

南方(・・・あれ? やっぱりお義母さまって呼ばれてる?)

南方「それを動かしたのは私じゃないわ・・・恐らく・・・」

明石「・・・え?・・・いや・・・まさかっ!!?」

南方「多分、そう。どうしてかは分からないけど」

明石「でも人間が・・・半分は貴女の血が流れている・・・いや・・・でもっ」

榛名「・・・もしや提督が?」

南方「本来は絶対無理よ。認識すらしないでしょうね。でも、あの場で何かが起きた・・・」

明石「・・・一体何が?」

南方「分からない。あの子自身、動かした認識なんてないでしょうし」

榛名「でも、人と艦娘のハーフなんですよね? だったら何か特別な力があるのかも」

そんな提督もステキです!!と榛名は息を荒げて語るが話が進まないので明石はスルーした。

明石「そもそもですね、艦娘との間に子供を授かるってあまり実例がないんですよ」

体の構造は人間の女性と然程変わりは無い。艤装さえ装備しなければ人と変わらない。

だけど、出生率は恐ろしく低かった。

明石「それも生まれて、成人してるのは提督ただ一人・・・検証するにもデータ不足すぎます」

南方「とりあえず、信じてはくれたと取っていいのかしら?」

明石「はい、お義母様。明石は信じました。他言無用にしますのでご安心を」

南方(この娘もお義母さまとか言い出した・・・)

榛名「とりあえずは報告致しません。ですが、お義理母様、いずれは・・・」

南方「・・・もう少し時間が欲しい」

明石「そうですよね・・・」

榛名「分かりました。・・・誰ですか? そこに居るのは?」

明石「え!? 誰かに聞かれた!?」

榛名「5秒あげます。出てこない場合は敵と見なし攻撃します」

南方(艤装を瞬時に展開した? やっぱり、この娘・・・戦い慣れしすぎてる!?)

瑞鶴「待って!! ストップ!! 私!! ごめんなさいっ!!」

明石「・・・盗み聞きですか?」

瑞鶴「ごめんなさい。偶然、耳に入っちゃって・・・そんなつもりじゃ・・・」

榛名「このことは他言無用です。お義母さまが自分の意思で提督に話すまでは・・・」

榛名「提督の心を不用意に乱すようでしたら・・・」ハイライトオフ

瑞鶴「分かった!! 分かったから、主砲をこちらに向けないでっ!! なんか今、弾を詰める音がした!!」

明石「私も榛名さんも口は固いですけど・・・」

瑞鶴「もちろん誰にも言わない!! 私も!! 五航戦の名にかけて!!」

榛名「では、時期が来るまで他言無用ということで良いですか? お義母様」

南方「え? ええ、皆、ありがとう」

一方、陸奥と長門は自室で休養していた。

陸奥「ごめんなさい」

長門「ん? ああ、話は聞いた」

陸奥「私、ずっと貴女の影に隠れてただけだった」

長門「そんなことはないよ。よくやってくれた」

陸奥「もうさ、つまらないことに悩まないわ」

長門「自分なりの結論が出たみたいで良かったよ。それと何かあれば相談くらいしろ。姉だぞ私は」

陸奥「・・・そうよね。ごめんなさい」

長門「それ禁止な」

陸奥「何を?」

長門「謝ることだよ。自分が間違っていたと感じるなら・・・」

長門「これからの行動で示していけばいい。結局、起こした行動と、出した成果こそが周囲を納得させるものだ」

長門「提督の言葉だがな・・・」

陸奥「そうよね・・・ありがとう」

陸奥「もう迷いはないわ。戦いも・・・恋も・・・負けない」

長門「そうだ。それでいい」

陸奥「私が本気を出したら提督盗られちゃうかもよ?」

長門「それはどうかな?」

長門は不適に笑う。

長門「姉妹同士で盗りあうのも悪くない。容赦はしないぞ?」

陸奥「こちらこそ」

そして陸奥は言った。

陸奥「よろしくね? お姉ちゃん?」

長門「っ!!!」

その発言で長門は固まった。

普段は『長門』と呼び捨てにされていたので、突然のお姉ちゃん呼ばわりに非常に弱く、

たまにに陸奥に遊ばれることがある。

陸奥「・・・顔真っ赤よ長門。相変わらず、この呼び方に弱いわね・・・ふふっ」

陸奥はニヤニヤと笑う。

陸奥「お姉ちゃーん?」

長門「・・・なんか照れくさい」

長門(だが、陸奥も心に余裕が出来たということだ。良かったな・・・)

陸奥を見つめる長門の目はとても優しかった。

それから何事も無く、無事に鎮守府に戻った。

鎮守府から護衛艦、雷電Ⅱが目視で確認できると、

艦娘達は皆喜んだ。

だが、次第に近づいてくる護衛艦の損傷具合を見て一同は唖然とする。

さらに、提督が怪我をしたという事実は艦娘全員に取って衝撃的なことであった。

その怒りは現在、ステビア海、奥地に展開する深海棲艦へ向けられた。

金剛「出撃するヨ?」

その言葉に皆頷いた。

海域の瘴気が薄れ、問題なく戦地との通信が回復した今、

提督がわざわざ前線に出向く必要はない。

鎮守府内から指揮を執ってもらえばいい。

金剛「たっぷり・・・お礼して・・・あげるデース」ハイライトオフ

時雨「・・・血の雨は何時か止むさ」ハイライトオフ

『ころせ!!』『みなごろしにしろー!!』『ほうふくだー』

最終攻略目標への出撃は連合艦隊での出撃になる。

選抜されたメンバーは皆、喜んだ。

嬉しかったのだ。提督を酷い目に合わせた深海棲艦を叩き潰せるのが。

報復する権利を得たことを・・・・・・

ともあれ、色々あったが、

アンズ環礁泊地攻撃作戦は味方に大きな損失なく、作戦を完了させたのだった。

投下完了・・・
結構な量になったなぁと・・・
ちょっと急がしくてあんまりPC見て無かったですスイマセン。

感想いつもありがとうございマース
次回はE-6
E-5がシリアス展開になっちゃっていたので
割とあっさり終わるのです

ではまた近いうちに・・・

ステビア海・・・

ここでは、今回の軍事行動の責任者である、

戦艦水鬼が部隊を展開させていた。

周囲に展開していた部隊は次々壊滅し、彼女はとてもイライラしていた。

戦艦水鬼「まったく!! どいつもこいつも!! 役に立たないガラクタどもめ!!」

その時、誰かが叫んだ。

『艦娘だ!! 艦隊が!!』と

ここ数日、何度も戦闘があったので珍しくも無い。みんな追い返したじゃないか。

むしろ、何故そんなことで叫ぶ?と疑問に思った。

『・・・奴らだ!! あの鎮守府の連中だ!!!』

『落ち着け!! 陣形を乱すな!!!』

途端にパニックになる。

先だっての戦闘で撤退した残存勢力も合流し、使っていたのだが、そういった者達から

恐怖が伝染していったようだ。

戦艦水鬼「何を慌てている!! 敵が誰であろうと関係ない! 殲滅しろ!!」

『撃ってきた!!!』

『応戦しろ!! おい!! うわぁぁぁ!!?』

『ああああ!! 腕が!! 私の腕が!!』

『バカ!! 後ろだ!!!』

『援軍を!! 至急援軍を!! もう持たない!!』

ギャー ワー ニゲロー

『白い奴だ!! 奴を落とせ!!』

『はっ・・・はははっ榛名だ!! 舞鶴の戦艦榛名だ!! にっにげろーーー!!!』

『せっ戦艦が飛んだっ!!?』

『いや、ジャンプしてるんだ!!』

『バケモノめっ!!』

『あれが・・・航空戦艦・・・ぎゃっ!?』

『第3艦隊全滅、第4哨戒班、連絡途絶!! 全滅です!!』

聞こえてくる通信は悲壮なものばかり。

第一艦隊は利根を旗艦とした榛名、扶桑、山城、金剛、加賀、

第二艦隊はビスマルクを旗艦とした時雨、初霜、大井、木曾、川内、

の12名からなる連合艦隊だ。

一同、異様に士気が高く、深海棲艦の部隊は一方的に殲滅され続けた。

提督の負傷が艦娘達に衝撃を与え、その怒りを今回の作戦にぶつけていたのだ。全力で。

扶桑、山城も先日の思うこともあり、金剛に負けじと奮戦した。

扶桑「行くわよ。山城・・・」ハイライトオフ

山城「ええ、姉さま・・・」ハイライトオフ

航空戦艦は伊達ではないとばかりに空を敵を殲滅。

今回の出撃は、まだ護衛艦の修理が終わってないこと、

提督が負傷していることから作戦の一時中断を考えたが、

金剛が提督に出撃を具申した。

最初は渋ったものの、海域を覆う瘴気が薄れ、通信が回復したこともあり、

最終的に出撃が許可された。

南方棲鬼の意見では、海域を覆っていた瘴気の元は泊地水鬼にあり、

彼女の異常は収まったので、瘴気が薄れたのでは?とのことだった。

そういうわけで現在は、提督が鎮守府の医務室から指揮を執っている。

金剛「たっぷり・・・報復しないとネー」レベル150

榛名「そうですよね! 提督を傷つけたんですから!! 命で償って貰わないと」レベル148

時雨「うん・・・確実に仕留めないと。絶対沈めてあげるからね」レベル150

中でも、この3人は特筆して戦闘レベルが高く、一部の深海棲艦は戦う前から戦意を喪失していた。

3人とも目に光が宿ってなかった。あるのは徹底した殺意。

榛名と金剛の姉妹の連携による砲撃を受けた者は姿を完全に消滅させた。

特に恐れられたのが時雨。

駆逐艦であるにも関わらず、彼女は一部の深海棲艦から恐怖されていた。

あれは何時だったか・・・そう、2月ごろ。

出撃した時雨はちょうどバレンタインの時期でありチョコレート作りの最中だったので

ろくに武装も持たず、チョコをかき混ぜながら戦闘に参加していた。

無論、提督はそんなこと一切関知していない。

深海棲艦側は最初、その姿に憤怒し、執拗に攻撃を加えたが一切を通さず、

恐ろしい強さで当時のボスが瞬殺されて心が折れたと言う。

お菓子作りの片手間に沈められる。じゃあ彼女が本気で武装して戦闘したら?

それを想像すると当時生き残った深海棲艦達は皆震えだした。

加賀「余所見をしてていいんですか?」ハイライトオフ

加賀の放つ攻撃隊は栄光の一航戦。

空戦の実力は他の追随を許さない。

初霜の対空能力も敵の航空戦力を確実に削っていく。

初霜「よくも!! 提督を!! 沈みなさいっ!! シズメ・・・」ハイライトオフ

大井と木曾による先制魚雷は戦闘開始と共に敵の戦力の大半を無力化した。

大井「ころしてやる・・・」ハイライトオフ

木曾(姉貴こえぇ・・・)

川内(改2)のトリッキーな戦法も深海棲艦側を大混乱に陥れた。

川内「ホントは夜戦したいけどさ・・・今は・・・」

『ニンジャ!! ナンデ!!』 『タスケテー!!』

川内「さっさと殺したいんだよね・・・提督を傷つけてさ・・・ゆるさないよ?」ハイライトオフ

縦横無尽に海上を駆け抜け次々に仕留めていく。

川内が駆けると、その通り道に居た深海棲艦の首が宙を舞う。

切り離された頭がポチャポチャと海面に落ち、少し遅れて体が倒れ、沈んでいく。

大井「なんだ。ただの夜戦バカじゃないんだ」

川内「なに? アンタも沈みたいの?」

大井「・・・やってみる?」

川内「・・・良い度胸じゃん」

大井「・・・来なさいよ」

木曾「やめろって!! 姉貴も!!」

これを機と一斉に襲い掛かる深海棲艦。

3人「「「邪魔」」」

しかし、攻撃は届かず、全て轟沈した。

あちこちから深海棲艦の悲鳴と、爆発音だけが響き渡る。

『うわぁぁぁ!?』『溶ける!!体が!!』『なんだ!? 化学兵器か!?』

ビスマルク「次っ!!!」

放つは特殊弾頭。夕張から拝借した。

比叡のカレー、磯風のクッキー(自称)が弾頭に仕組まれていた。

ビスマルク「恐ろしい威力ね・・・使用を禁止されただけはあるわね」

初霜(無許可で持ち出して良かったのかしら)

ビスマルク「でも容赦しないわ!! アトミラールのあだ討ちはさせてもらうわ!!」

利根「ふむ。順調すぎるの」

時雨「後ろだよ」

利根「分かっておる」

大きく迂回し、利根を背後から狙っていた敵の重巡2隻。

1隻は利根が振り返りもせずに砲撃して爆破、轟沈。

完全に奇襲のつもりでいたので足が止まる。

爆破して飛んで来た敵の破片の鉄屑を時雨が掴み、くるりと回転して勢いを付けて

足の止まったもう一隻に投げた。

鋭利な鉄の塊は敵重巡の腹部に刺さり、痛みに顔を顰める。

時雨「ばいばい」

魚雷が吸い込まれるように敵重巡に命中、轟沈した。

利根「あらかた片付いたか」

時雨「そうみたいだね」

先程まで鳴り響いていた砲撃音は消え、途端に静かになった。

戦艦水鬼「どうなっている? 戦況は?」

通信は返ってこない。

戦艦水鬼「おい! 応答しろ!!」

イ級「やられたのでしょうか」

不気味なほどの静寂。

何かが見えた。こちらに向かってくる艦影。

それは艦娘達。

戦艦水鬼「・・・まさか全部隊・・・全滅ぅ!!?」

慌てて部下に命じる。

戦艦水鬼「奴を連れて来い!!早く!!!」

利根「主がここの大将かの?」

戦艦水鬼「・・・そうだと言ったら?」

榛名「消えてもらいます」

一斉に攻撃態勢に入る。

戦艦水鬼「ちょっと待った!!!」

利根「なんじゃ? 命乞いか? 見苦しい」

戦艦水鬼「ヘタに動くとコイツを殺すぞ!!」

秋津洲「たっ助けて欲しい・・・かも・・・」

川内「・・・誰?」

大井「新しく見つかった艦娘かしら」

利根「見ない顔じゃな」

榛名「・・・・・・」

榛名は金剛を一度伺い、金剛は川内に視線を送る。それに対して川内は頷いた。

戦艦水鬼「偶然見つけてね。人質に取らせてもらった。動いたらコイツの命は・・・」

木曾(これは迂闊に動けない・・・どうすんだ・・・)

だが、泊地水鬼は最後まで言い終わらなかった。

戦艦水鬼「わぎゃっ!?」

秋津洲「きゃぁぁぁぁ!?」

榛名が泊地水鬼の顔面に向けて副砲で砲撃したのだ。

木曾「おぃぃぃぃぃぃっ!!!? なんで!? なんで今、撃ったの!!?」

金剛「川内!!」

川内「もう回収したよっ」

一瞬の隙をついて、川内が秋津洲を回収していた。

利根「艦隊、敵を殲滅するのじゃ」

木曾「え? そういう作戦?」

大井「いいから戦闘に集中しなさい」

木曾「あれ? 俺が変なの? 言わなきゃわからねーよ!」

川内「いや、目線で・・・気付かなかったの?」

木曾「気付くか!!」

秋津洲「え? あれ?」

初霜「大丈夫でした? すぐ済みますから待っててくださいね」

秋津洲は混乱した。

そして、彼女達が同じ艦娘なのに、とても恐ろしかった。

秋津洲の目には皆、目が異様にギラついて見えた。

その後、戦闘が始まる。 一方的な殲滅戦。

秋津洲「あ・・・あああ・・・」

砲撃の度に、深海棲艦が断末魔の悲鳴をあげてバラバラになる。

何かが飛んできて目の前にボチャンと沈む。

秋津洲「ひっ!!?」

秋津洲(今・・・敵の頭が・・・目があっちゃった・・・)

時雨「右翼の敵、任せて。行くよ扶桑、山城」

扶桑「分かったわ」

山城「目にモノ見せてあげるわ・・・」

轟音が響くたびに、数隻の深海棲艦が海の藻屑になる。

恐怖が伝染し、一部では既に敗走を始めていた。

戦艦水鬼「貴様ら!! 勝手に撤退するなっ!! 逃げる者は殺す!!」

秋津洲の顔に何かがベチャッと掛かった。

秋津洲「なに・・・これ・・・?」

手で頬を拭う。手に付くのはドロリとした液体。

それは深海棲艦だったモノの体液だろうか。

秋津洲「うわあああああああああーーーーーーっ!!!!?」

慌てて付着した汚れを振り払う。

木曾「何だ?・・・恐怖で錯乱したのか?」

砲撃の度に深海棲艦はグロテクスで歪なオブジェクトに変わる。

ここに居たら死ぬ。私は死ぬ。

そう感じるほどの地獄絵図。

気が付いたら海域に居て、敵に捕まり、人質にされて・・・

それで死ぬ? 生まれてすぐに? 冗談じゃない!!

秋津洲「嫌だぁ!! 私、死にたくない!死にたくない!死にたくない!死にたくない!!」

リ級「オマエも艦娘か!! 逃がすか!!」

戦場から逃走を図ろうとして、右手を掴まれた。

リ級「どうせ死ぬなら一人でも多く・・・がっ!?」

そこへ、クナイのような刃物が飛んできて、リ級の腕は切り裂かれた。

秋津洲「わきゃっ!?」

川内「危ないよ! 下がってて!!」

リ級「くそぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

川内「死ね」

喉仏に刀を突き刺し、そのまま力任せに下へ切り裂く。リ級は息絶えて沈んだ。

川内「大丈夫だった?」

秋津洲「あ・・・はい・・・」

優しい笑顔を浮かべ、心配してくれる。良い人なんだろうけど・・・

笑顔で返り血を浴びている姿はどこか非現実的で、ただただ恐ろしかった。

秋津洲「なんだろう・・・腕に感触が・・・?」

腕に違和感を覚え、ふと目をやると・・・

そこには先程、腕を切り落とされたリ級の手だけが残り、秋津洲の腕をがっしり掴んだままだった。

秋津洲「ひっーーーー!!!?」

そこで秋津洲の意識は途絶えた。

秋津洲に取って幸いだったのは、艦娘であることだった。

生存し、艤装を装着している限り、気絶し、倒れても海中に沈むことはないからだ。

川内「気絶しちゃった・・・」

その後、戦艦水鬼は一方的に嬲られたが・・・

イ級「戦艦水鬼様!? 何を!?」

戦艦水鬼「うるさいっ!! 身代わりになりなさい!」

イ級「うわぁぁぁぁ!?」

後一歩で轟沈する所を部下を盾にして逃げ出した。

その姿は情けなくて自分でも涙が出た。

戦艦水鬼「覚えてろよ!! 後で沢山悪口言ってやるからな!! バーカ!!バーカ!!」

加賀「ああいうのを負け犬の遠吠えって言うんでしょうね」

榛名「追撃して始末します? それに、この距離ならまだ射程圏内です。当てられます、殺れます」ハイライトオフ

利根「ふむ・・・どうするかの」

金剛「私を伺わなくてもいいデスよ? 今の旗艦は利根でス」

加賀「提督から通信、追撃しなくて良いとのことです」

利根「そうじゃな・・・この海域の奪還という大本営の出した目的は達成されたし、これで良いと思うぞ?」

時雨「追撃はしない、了解。これで今回の作戦は全て終了したね」

戦艦水鬼「追ってこない? 助かった・・・なんだあいつ等・・・ヤバすぎだろ・・・」

自分の中では過去に類を見ない酷い敗北だった。

戦艦水鬼「見てろよ!! すぐに残存兵力を集めて戦うぞ! あいつ等以外の艦娘共とな!!」

半泣きで高笑いをしながら戦艦水鬼は戦線を離脱していった。

秋津州「ああああああ・・・あわわわ・・・」

利根「すごい震えておるの。顔が真っ青じゃ」

川内「どうしたの? やっぱり人質に取られて恐かったのかな?」

榛名「もう大丈夫ですよ」

秋津洲(言えない・・・貴女達が恐いなんて・・・)

帰る道中で起きた小規模な戦闘でイタリア艦のローマを保護して

艦隊は無事帰還した。

利根「戻ったぞ!」

戻ると執務室には明石、南方棲鬼、瑞鶴、長門、大淀が居た。

提督「お帰り。皆、お疲れ様」

金剛「何をしてたんデス?」

提督「この前の作戦の報告書を纏めてたんだ」

利根「なるほど。前回出撃していた者達じゃな」

ビスマルク「ねぇアトミラール、もっと私を褒めてくれてもいいのよ?」

提督「ビスマルクもお疲れ。怪我は無いな?」

ビスマルク「当然でしょ?」

提督「どうした? 頭を出して・・・」

ビスマルク「特別に撫でさせて上げるわ! 撫でなさい! さぁ!!」

提督「・・・なんで上から目線なの!?」

提督は苦笑しながら、優しく頭を撫でる。

外人特有の綺麗な金髪。

提督「・・・何時見ても、とても綺麗な髪だな」

ビスマルク「とっ当然でしょっ! ///」

とても脆く、壊れやすいものを触るように、優しく、優しく撫でる。

他の艦娘「・・・・・・」ハイライトオフ

ビスマルクは体をビクンッと震わせて恍惚の声を上げた。

大井(・・・イッたわねアレ)

南方(まさか・・・あの子、何時も艦娘にあんなことを・・・)

南方(しかも本人は自分に恋愛感情を向けられていることを自覚してない・・・)

南方(夫も鈍かったけどここまでじゃ・・・何時か刺されるんじゃないかしら)

南方(誰よ・・・ウチの子を教育したバカは・・・)ハイライトオフ

その頃、横須賀鎮守府では元帥が大きなクシャミをしていた。

南方(思えば、私も夫と恋人になるまで壮絶な戦いがあったけ)

南方(あの時は鎮守府が半壊したけど・・・この子達の場合はどうなるのかしら)

南方(歴史は繰り返す・・・か・・・)

南方「ふっ・・・」

瑞鶴「どうしたんですか? お義母さま?」

長門「・・・ん? お義母さま?」

榛名(なっ!!?)

明石(このっ大バカっ!!!)

瑞鶴「・・・え・・・あっ」

瑞鶴はしまった!と口を塞ぐ。背中に殺気を感じた。

榛名「・・・・・・」

明石「・・・・・・」

瑞鶴(うわぁ 2人共、人を殺しそうな目をしてるぅぅぅぅぅぅぅっ!!)

榛名「・・・瑞鶴さん、まだ寝ぼけてるんですか? 出撃前も私のことをお姉さまって言ってましたよね」

明石「私なんて妹呼ばわりされたんですよー」

瑞鶴「え? ああっそうなのっ! ちょっと疲れて、寝ぼけてたのかも。すいません、アハハハ」

大淀「まぁ・・・五航戦ですし」

瑞鶴「そうなの! 私ゴコーセンだからっ!! えへへへっ」

榛名(自虐・・・)

明石(本当に・・・瑞鶴さんに知られるんじゃなかった・・・不安すぎる)

南方(・・・ごめんね。気を使わせて)

提督「まぁ瑞鶴も疲れていたんだろう。仕方ないさ。この前は激戦だったんだから・・・所でそちらが?」

金剛「え?ハイ。海域で保護した娘達デース」

ローマ「貴方が提督ですか・・・お世話になります」

提督「ああ、よろしく。姉のリットリオが少し前に着任しているから後で顔を合わせるといい」

ローマ「姉さんが?」

提督「部屋は同室でいいか?」

ローマ「ありがとうございます」

提督「で? そっちの娘は?」

川内「なんか深海棲艦に人質に取られててね」

榛名「可愛そうに・・・恐かったんでしょうね」

秋津洲「いや・・・その・・・」

自分はここで何をされるんだろう。

恐怖で体が震えている。

提督「そうか。それは恐い思いをさせちゃったね」

提督が少し屈み、秋津洲の目線に合わせて優しく話しかける。

提督「もう大丈夫だから。これからよろしくね」

その屈託のない笑顔に心奪われた。

この人なら周りの恐い人たちから私を守ってくれる!!

そう、直感的に感じた。

まさに地獄に舞い降りた救いの神。いや、神様に違いない!!

秋津州「よろしくお願いします!! 神様!! 一生付いていくかも!!」

提督「え!? 神様・・・?」

大井(やっぱり敵に捕らえられた恐怖で頭がおかしく・・・)

新たな仲間を向かえ、今回展開されていた全ての作戦は無事終了した。

投下完了。
いつも感想ありがとうございます。
よーやくイベント編終了。長かった気がするけどキニシナーイ
E5と比べ、E6はアッサリでした。

1は社畜で、なんか夏は殆ど休みがなく生きるのに必死なんで
更新が滞るかもだけど許して欲しいでち
特に8月から9月まで休みないってさ ハイライトオフ

次回以降は何時ものハートフルな日常話に戻ります
ではまた・・・






少し前、大規模な作戦が終了した。

結局、MVPを一番多く取ったのは金剛であった。

提督不在時も代行として働き、戦場では華々しい戦果を挙げる。

皆も悔しかったが、金剛の頑張りは知っているので誰も表立って不満を挙げなかった。

金剛の要望は、一緒に街へ行くことであったが、

提督と言う立場に居る以上は、時間の都合を作るのが難しく、

鎮守府を一日不在にすることは、すぐに出来ることではなかったので

結局は時間の都合が付いたら・・・ということで落ち着いた。

鎮守府の娯楽室では、本日非番の艦娘が集まり、互いに労っていた。

鈴谷「そう・・・あの時、私はもうダメかと思ったよ」

朝潮「確か一番の激戦でしたよね。鈴谷さん達の作戦海域」

荒潮「そうみたいね。長門さんも大破したとか」

鈴谷「弾も底を尽き、もうヤバイ! そんな時・・・」

熊野「瑞鶴さんの航空隊が!!」

大鳳「なんと、私のカートリッジと鈴谷さん達の三式弾を持ってきたんです!」

鈴谷「アレが無かったらヤバかったかもねー」

熊野「瑞鶴さんに助けられましたわ」

瑞鶴「ちょっと止めてって・・・恥ずかしい。それに提督の指示に従っただけよ?」

大鳳「それでも・・・届けてくれたのは貴女です。感謝してます」

葛城「やっぱり瑞鶴先輩すごい!! 尊敬します! 流石、伝説の五航戦!! 憧れます!!」

卯月「五航戦すごいぴょんっ!!」

赤城「やる時はやる娘だと思ってましたよ。貴女を後輩に持てたことが誇らしいです」ムシャムシャ

若葉「若葉だ。五航戦・・・いいな」

清霜「空母もかっこいいなぁ・・・」

那珂「なかなかやるね!って那珂ちゃんが言って見たりして・・・」

神通「五航戦の活躍、確かに目を見張るものがありますね」

那珂「あの、なかなか の なか と 那珂を かけてるんだけど・・・」

島風「五航戦って凄いんだね!」

那珂「誰か聞いてる? アイドルはバラエティ的な発言も出来るようにならないと・・・」

鈴谷「全く、流石、五航戦だよ。ありがとう瑞鶴」

那珂「ねぇ、誰か聞いてる!?」

ロー「きいてなーーーいっ!!」

那珂「聞いてるじゃん!!?」

『五航戦!!』『すごい!!』『ごこーせんっ!!』

瑞鶴「ちょっと! 皆、止めてってばぁ~」

一躍、時の人になる瑞鶴。

赤城(・・・すごいニヤけてますね)

朝潮「そうだ! この度、活路を開く活躍をした瑞鶴さんを皆で胴上げしましょう!」

ヤロー オモシロソー イイゾォ!! 

瑞鶴「えっ!? え?・・・え?」

ゴーコセンッ!!  ゴーコセンッ!!  ゴーコセンッ!!  ゴーコセンッ!!

瑞鶴「きゃぁぁぁぁ!?」

赤城「胴上げされて嬉しそうですね瑞鶴さん。加賀さんも労ってあげたら?」

加賀「あの程度のことで? 調子に乗させるだけです」

赤城「厳しいですね。加賀さんは・・・」

加賀「彼女はまだまだ精神面では幼いです。そこで慢心すれば死に繋がる。だから不用意に褒める気はありません」

赤城「後輩想いなのも結構ですけど、そう言うことは言葉にしないと相手に伝わりませんよ?」

加賀「伝える気はないわ。必要ないもの」

とりあえず、地に落ちていた五航戦の名は、今では最も誇らしい名前に変わり、汚名を返上したのだった。

卯月「五航戦はすごいズイ」

弥生「・・・なにそれ?」

卯月「瑞鶴をイメージした語尾ぴょん」

島風「面白そうズイ」

赤城「皆さん、あまりふざけるのは止めましょう・・・ズイ」

ズイ ズイ ズイ ズイ

瑞鶴「ちょっと!!? ズイズイ言わないでよ!! 馬鹿にしてるの!?」

皆「そんなことないズイ」

加賀「それだけ愛されてるってことよ」

瑞鶴「加賀さん・・・」

加賀「だから、これからはさらに気を引き締めなさい。精々、慢心しないようにね」

瑞鶴は感動した。普段は憎まれ口ばかり叩く尊敬する先輩から言われたのだから。

加賀「・・・ズイ」

瑞鶴「!!!?」

赤城(珍しい。加賀さんが笑いを堪えてプルプルしてる・・・)

瑞鶴「もう!! なんなのよ!! もう!」

その一連の応答に皆が笑う。瑞鶴も満更でも無い様子だった。

裏表のない瑞鶴は、艦種を問わず皆から愛されていた。

だからこそ、反応を面白がって皆でからかっているのかもしれない。

執務室

提督「書類の文章、日本語だけど分かるかい?」

リットリオ「はい。大丈夫ですね・・・大体は読めますね」

提督「すごいな。日本語の勉強でもしてるのか?」

リットリオ「そういうワケじゃないんですけど・・・なんで読めるか自分でも分からないです」

提督「不思議だな・・・」

リットリオ「不思議ですねぇ・・・」

そこへ夕張がやって来た。

夕張「失礼します」

提督「どうした?」

夕張「いえ、雷電Ⅱの修理の経過の報告に・・・こちらがその書類です」

雷電Ⅱ。先の作戦で損傷した護衛艦のことである。

提督「ごめんな、仕事増やして」

夕張「いえ、殆ど妖精さんの力ですし、機械弄りは楽しいですよ?」

提督「そう言ってくれると助かる」

夕張「それにしても面白い話をしてましたね」

提督「ん? なんのことだ?」

夕張「言語の話ですよ」

提督(そんなに大きな声で話してたっけ? 廊下まで聞こえたのかな)

夕張(まぁ・・・盗聴してたんですけどね)

提督「そんなに食いつく内容か?」

夕張「新たに加わったイタリア艦を抜かせば、我が艦隊の海外艦は五隻いますよね?」

提督「ビスマルク、プリンツ、Z1、Z3、ロー・・・か」

夕張「その内、読み書きが危うかったのは?」

提督「一番危うかったのはローかな。頑張ってたみたいだけど。Z1、Z3も苦労してたな」

夕張「でもビス丸とプリゲンはある程度出来た。何故でしょう?」

提督「・・・さぁ? というか変な略し方するなよ・・・」

リットリオ「っ・・・ぷっ・・・くっ・・・」

余程、略し方がツボに来たのかリットリオは笑いを堪えるのに必死だった。

その頃、訓練場に居たビスマルク、プリンツは盛大なクシャミをしていた。

Z1「2人してどうしたの? 風邪?」

ビスマルク(これは・・・)

プリンツ(きっと・・・)

2人((アトミラール(さん)が私のことを噂しているに違いない!!))

Z3(なんで2人してニヤニヤしてるのかしら・・・)

夕張「2人とも戦艦、重巡って駆逐と潜水艦に比べると大型の艦なんですよね」

つまり、夕張が言うにはこういうことだ。

艦から艦娘に生まれ変わり、新たなる生を受ける際に、艦娘は何故か現代の

生活に必要な最低限の知識を持って生まれてくる。

それがどういう原理なのかは不明であるが、その際に持ってこれる、事前に学習できる

容量のようなものが艦種によって異なるのでは?とう仮説。

大型艦であれば、より多くの情報を学習し、

駆逐艦や潜水艦のような小型の者は本当に最低限しか持って来れない。

夕張「でも、事前に学習させている何かの存在や・・・」

夕張「艦娘が何故どうやって生まれてくるかを立証しない限り・・・」

夕張「ただの妄想になっちゃいますけどね」

提督「ふむ・・・面白い考え方だな」

夕立「まぁ、そんな存在が居たとしたら神様くらいですよね。アハハ・・・忘れてください」

艦娘とは艦の能力を持った少女である。

その外見は人間と変わらない。艤装と呼ばれる武装を装備することで、

海面を奔り、搭載された武装で戦闘を行える。

怪我をしても、沈まない限りは入渠し、修復することでどんな怪我も完治する。

燃料、弾薬、鋼材、ボーキの4種の資材を機械に投入して、装置を動かせば

そこから新しく艦娘が生まれる。

さらに深海棲艦を倒した際に、拾うこともある。

挙げれば、挙げるほどに、その存在は常識を超えている。

もしも、それらの全てを知っているとすれば・・・

それは妖精しか居ないだろう。

だが、彼女達は語らない。そもそも喋る言葉が曖昧な謎かけ過ぎて、

こういった話をしても会話にならないのだ。

だから人類は良く分からない存在に頼り、異形の存在と戦っている。

それしか、深海棲艦に対抗する術を持たなかったから。

夕張「なんか変な話しちゃってすいません」

リットリオ「・・・・・・」

提督「どうした?」

リットリオ「改めて考えると・・・バケモノですよね。私たち・・・」

提督「あまり、そう言ったことは言うな」

リットリオ「・・・すいません」

提督「君達のおかげで人類は反抗する力を得た。感謝はすれど、君達を恐がったり、悪く思う理由なんてどこにもないさ」

リットリオ(この人が提督で良かった・・・やさしい人で本当に良かった)

ここなら自分も妹も頑張れる。

良い人にめぐり会えたと、リットリオは嬉しい気持ちになった。

提督「それに、こんなに可愛い娘をバケモノ扱いする奴がどうかしてるんだよ。あまり悪く考えるなよ?」

リットリオ「かわっ!!!?」

その不意打ちの一言はリットリオに取って衝撃だった。

この人はお世辞でもなく、その場だけの取り繕いでもなく、本心から言っているのが分かったから。

だからこそ、恥ずかしくなる。

リットリオ「そっその・・・提督もステキですよ?」

なんとか動揺を悟られないように返すが、心臓はバクバクと脈打っている。

リットリオ(もうっ! 自分の鼓動が五月蝿い!!)

提督「ありがとう。リットリオ」

感謝の言葉を述べ、微笑する提督の顔をまともに見ることが出来なかった。

リットリオ(どうしちゃったの・・・私・・・)

夕張(提督は何時もそう。意識せずにそういうこと言う。浮気は嫌なんだけどな)ハイライトオフ

提督「どうしたんだ? 2人とも?」

その一連の様子を監視カメラと盗聴器で見聞きしていた者達が居た。

南方棲鬼と榛名である。

2人は南方棲鬼に宛がわれた部屋で一部を見ていた。

南方「・・・・・・あの子、何時もあんな感じ?」

榛名「割とそうですね」

南方「あれは口説いているの?」

榛名「いいえ、ただ褒めているだけです」

榛名「だけど、みんな勘違いするんです。提督が好きなのは私なのに。私だけなのに」

榛名「女性として好きなのは私だけなのに・・・そうじゃないとダメなのに・・・」

榛名「だけど汚らわしい雌豚が提督の優しい言葉に勘違いする」

榛名「何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も・・・・」ハイライトオフ

南方(目・・・恐っ!?)ゾクッ

榛名「・・・? どうしました?」

南方「なっ・・・なんでもないわ」

榛名「あっ。提督とリットリオさんが食堂に向かいましたね」

南方「もうお昼だからね」

榛名「ではカメラを切り替えましょう」

南方「この鎮守府、なんでこんなに隠しカメラ多いの?」

榛名「提督を(他の女から)守るためです」

南方「・・・そっそう。何個くらいあるの?」

榛名「今だと少し減って160個しかないですよ。私のは」

南方「ひゃくろくじゅぅ!? 監視カメラが!?」

榛名(何をびっくりしてるんだろう。お義母様は・・・)

南方(しかも「私のは」って何!? 皆それぞれ持ってるってこと!?)

榛名「提督は・・・廊下を歩いてますね・・・あそこは102番のカメラでしたっけ・・・」

投下完了。
またすぐ投下します。


いつも感想ありがとうございます。
1はイベント業の社員やってるので夏とか超ハードモードなんですよ
去年の夏はE6突破諦めたので、春イベで出せてよかった磯風ちゃん。
大鯨も2-5で出たので後は武蔵と酒匂のみ・・・早く来て欲しいですねー
今年の繁忙期終わったら辞めようかな・・・
7月中はちょいちょい更新しますが、やっぱり8月は更新無理っぽいかも・・・
ごめんね。

廊下

リットリオ「皆さん、秘書艦をやりたいみたいですけど・・・」

提督「そうだな。だから順番でやって貰っているよ」

リットリオ「それなのに妹と私が、一週間づつも継続してしまって良かったのですか?」

提督「新人は恒例でね。仕事に慣れるよう、最初の1週間は毎日やって貰っているんだ」

リットリオ「そうだったんですか」

提督「・・・ひょっとして仕事辛い?」

もうしかしたら無理させたかな?と思い、尋ねる。

リットリオ「いえ、そんなことはっ!」

提督に気を使わせたのが申し訳なく、慌てて否定しようとするが、

運悪く、足がもつれて転びそうになる。

リットリオ「きゃぁっ!?」

提督「おいっ!?」

思わず目を閉じたリットリオが目を開くと提督に抱き抱えられていた。

リットリオ(近っ!! 近いですっ!!! ////)

提督「頭を打つ所だった。気をつけろ」

リットリオ「ひゃい・・・きをつけます・・・」

提督「間に合ってよかった」ホッ

リットリオ(ひゃわわわ・・・///)

その状況にリットリオの思考はパニック状態だった。

リットリオ「あの・・・そろそろ・・・」

提督「ん? あっ・・・すまん」

リットリオ「いえ・・・ありがとうございます・・・///」

提督「たいしたことはしてないさ」

リットリオ(たぶん私・・・いま、顔すごい真っ赤だよぉ)

混乱中のリットリオの足取りはフラフラで、危なっかしいので、

提督は一言断ってからリットリオの手を握る。

リットリオ(!!!!?)

提督「本当に大丈夫か? 医務室に行くか?」

リットリオ「いえ、大丈夫です!!」

提督「なら、いいんだが・・・」

リットリオ(てっ・・・てて・・提督と手を繋いでる!!)

ここがマンガの世界なら、リットリオの顔は茹でたタコのように真っ赤に染まり、

頭から大量の湯気が出ていることだろう。

そのまま、提督に引き連れられて食堂へ向かった。

その場面を目撃してしまった間宮は、倉庫に取りに行ってた食材を落としてしまった。

間宮(私だって・・・転びそうになって提督にだっこされたことあるもん)

間宮(そう、私が最初・・・)

間宮(だから、この程度で嫉妬しない・・・)

間宮(それに提督は私のゴハンを美味しいって言ってくれた)

間宮(毎日食べたいって・・・)

間宮(もう提督との婚姻は時間の問題のハズ・・・)

間宮(そうよね? そうに決まってる)ハイライトオフ

だけど、やっぱり気に食わなくて、間宮は少し機嫌が悪かった。

大鯨「ねぇ、なんか今日の間宮さんの包丁裁き、凄くないですか?」

伊良湖「そうですね。包丁の音が凄いです」

大鯨(まな板も斬れそうになってますっ)



南方棲鬼の部屋(捕虜用)

榛名「お姫様だっこ・・・」ハイライトオフ

南方「いや、あれは助けたんでしょ? 流石私の子!」

榛名「それより、リットリオさんです」ハイライトオフ

南方「・・・すごい紅潮してるわね」

南方(こりゃ・・・脈ありかしら・・・嫁がイタリアの娘もいいかな?)

榛名「・・・お義母様?」ハイライトオフ

南方「な・・・何かしら?」

榛名「私、掃除、洗濯、料理、どれもそつなくこなせますよ? こなせますよ?」ハイライトオフ

南方「そっ・・・そう・・・」

榛名「・・・」ニコッ

南方「あははは・・・」

南方(この娘も普段は良い娘なんだけど、たまに恐いのよね・・・)

南方棲鬼は普段の提督の姿をそれとなく知りたいと言った。

それに答えて榛名が色々してくれたが、

なんでこんなにカメラや盗聴器が沢山あるのだろうと不思議に思った。

南方(聞いちゃ行けない気がする・・・精神的な意味でも)

榛名(お義母さまのお役に立ってアピールです!)

ここに冷静な者が居れば、こう言っただろう。

「それ、外部の人に見せたらアピールどころか確実にドン引きされるよ」と。

食堂

提督(・・・なんかダンダンと五月蝿いけど包丁の音か?)

リットリオ「あの、提督・・・」

提督「もう大丈夫か?」

リットリオ「はっ・・・はいっ! 大丈夫です!」

提督「そうか・・・良かった」

提督は繋いだ手を離す。

リットリオ(あ・・・・・・)

それを少し寂しく感じた。

提督「どうした? ずっと自分の手を見つめて?」

リットリオ「なっなんでもないれす!」

提督(・・・噛んだ)

リットリオ(噛んじゃった・・・)

その後、提督は天麩羅定食を、リットリオはパスタを頼んだ。

提督の食事を出してくれたのは大鯨だった。

大鯨「おまたせしました!」

提督「ありがとう」

トレーを受け取る際に、大鯨の手に触れてしまい、

大鯨は思わず声をあげた。

提督「すっ・・・スマン」

大鯨「い・・いえ、大丈夫です」

顔を真っ赤にして嬉しそうに小走りで調理場に戻る大鯨を見たリットリオは面白くなかった。

リットリオ(何あの娘・・・あんなに嬉しそうにして・・・私なんて、さっきまで手を繋いでいたし)ハイライトオフ

心の中に芽生えた黒い感情。

その感情はリットリオが初めて経験するものだった。

リットリオ(あれ? 美味しい)

ナポリタン。 興味本位で頼んで見た。

リットリオ(ケチャップをパスタになんてどうかと思ったけど・・・)

これはこれでアリだなと思った。

リットリオ「提督のは何ですか?」

提督「天麩羅だな。見るのは初めてか?」

リットリオ「テンプーラ・・・名前は聞いたことがあります」

提督「少し食べて見る?」

リットリオ「よろしいのですか?」

提督「はい、あ~ん」

リットリオ「ええ!!?」

世の中には、『間接キス』と必要以上に気にする者も居るが、

逆にそういうのを全く気にしない人も居る。

少しでも心を許し、身内だと思うと意識もせずにこういった行動を取る。

それは時に、飲み掛けのペットボトルのドリンクだったり、箸だったり、

状況によって様々ではあるが、その行為をする者が異性であった場合、

された者は必要以上に意識してしまう。

そんな行為を意図せず、意識せず、ごく普通にやってしまう天然の人達。

提督はそういった人種だった。

リットリオ「で・・では・・・失礼して・・・」パクッ

提督「・・・どうだ?」

リットリオ「おっ美味しいです・・・」

リットリオは思った。恥ずかしすぎて味なんて分からないと。

周囲からバキっと音が複数聞こえたが、提督もリットリオも何の音か分からなかった。

それは一部始終を目撃した艦娘が自分の割り箸をへし折った音だった。

リットリオ(・・・・・・///)

そっと人差し指を唇に当てる。

リットリオ(これって・・・キス?)

提督(海老も良いが、キスの天麩羅も良いな。白身が旨い・・・)モグモグ

大鯨「・・・・・・間宮さん」

間宮「なんです?」

大鯨「私も包丁をダンダンってやりたいです」ハイライトオフ

間宮「そうね。一緒にやりましょうか」ハイライトオフ

提督(今日はやけに調理場が騒がしいな・・・)

リットリオ(・・・提督)

南方棲鬼の部屋

南方棲鬼「・・・・あ・・・あれは狙ってやってないわよね?」

榛名「・・・・・・」ハイライトオフ

南方棲鬼(ただただ・・・この空間が重い。胃が痛い・・・)

金剛「へー なんか楽しそうなことやってるネー」ハイライトオフ

提督「金剛か。演習は終わったのか?」

金剛「さっき終わりましたヨー」

提督「確か、今日は新人の提督の艦隊だったけど・・・」

金剛「ちゃんと手加減しましたヨ」

金剛は先程の演習のことを思い返す。

演習相手の旗艦の艦娘が倒れた。

新人提督は叫んだ「ウチの比叡もレベルは150なのに・・・何故、手も足も出ない!?」と

それに対して時雨は言った。

「機械で計測出来るのが150までなだけだから。あまり数値を当てにしない方がいいよ」と

「どんなに強くなっても機械は150としか出ないデスからネー」と金剛も続く。

新人提督は何を言われているか分からなかった。

新人提督(比叡がやられた今、他の艦娘共はレベル50程度・・・と言うかこの6人以外は育ってない!)

新人提督(糞っ!! もっとバランスよく育てておくんだった!!)

球磨「弾が勿体無いから素手で戦うクマー」

新人提督「おまえら! 反撃だ!! 何をボサっとしている!!」

全力を出しても、素手相手に一撃もペイント弾を当てられず、

一隻ずつ轟沈判定を受けた新人提督の艦娘も、新人提督も心が折れた。

特に41砲の弾を素手で軌道を変えながら受け流し、鼻歌を歌いながら接近したのが相手に多大なトラウマを与えた。

我が強く、自信家で、傲慢で・・・同期の仲間からも、部下の艦娘からも嫌われていた新人提督は、

この日を境に、性格が一変。

優しく、穏やかで、熱心で勤勉な青年へと変わる。

やがて彼は生まれ故郷の幼馴染と結婚し、部下の艦娘や同期の仲間から祝福された。

老後に自伝を出した際、こう語っている。

新人提督「あの時ね、私は今までの価値観を全て失ったんですよ。自信というモノが粉砕されました」

新人提督「それからは自分とは何か、世界とは何か、そんなことばかり考えるようになりまして・・・」

新人提督「あれが私のターニングポイントでした」

新人提督「その時の演習相手ですか? 誰もが知ってる英雄の艦隊でしたよ」

新人提督「私は、彼の育てた艦娘に人間として大事なものを教わった気がしますよ」

しかし、そんなことは当事者達は全く知らずに居た。

金剛「特に問題なく終わりましたヨ」

提督「そうか、ありがとう。お疲れ様」

金剛は提督の向かいの席に座るリットリオをに目を向ける。

金剛「まだちゃんと話したことはあんまり無かったデスよね?」

リットリオ「そうですね。リットリオと言います。よろしくお願いしますね」

金剛「金剛型の金剛デース。よろしくネ?」

提督「金剛はこの鎮守府でも古株でな、俺が不在時は司令代行を任せたりしている」

リットリオ「すごい方なんですね」

金剛「そ れ よ り・・・提督? 休みは何時取れるノォ?」

提督「暫くは無理だよ。先日話しただろう」

リットリオ「どこかへお出かけですか?」

提督「少し、街へな・・・」

金剛「デートでーすっ!」

リットリオ「・・・え? デート? 提督と・・・金剛さんが?」

金剛「イエース!」

リットリオ「ふっ・・・二人はお付き合いしてるのですか?」ハイライトオフ

金剛「イエ「いいや」ス・・・」

金剛の声を遮り提督が答える。

金剛「・・・・・・」ハイライトオフ

提督「そのような関係ではないよ」

提督(部下をそんな目で見るわけにはいかん)

リットリオ(・・・良かった)ホッ

リットリオは胸を撫で下ろした。

金剛(もう・・・恥ずかしがり屋デスねー)

リットリオ(なんで私、今・・・安心したんだろ?)

金剛「でも指輪もあるし、結婚してるようなものじゃないデスか」

提督「カッコカリだろう・・・」

そう言って指輪をチラチラ見せる。

まるで自慢するように。

それがリットリオの感情に影を落とす。

リットリオ(さっきから何・・・この感情・・・イライラします)

提督「ところで、秋津洲は? 演習一緒だっただろう」

金剛「それならあそこデース」

指差す方の机に秋津洲と電が居た。

提督「電がリハビリしてあげてるのか」

リットリオ「・・・リハビリですか?」

提督「深海棲艦に人質に取られたせいか、極度に精神が不安だったんだが・・・」

金剛「少しづつ皆と打ち解けてマスよ」

提督「そうか、良かった」

金剛(明石がくれた恐怖心を無くし、気分を高揚させるドリンクの効果がちょっと強すぎまシタけど・・・)

秋津洲「アハハハハハ もう何も恐くないかも! 恐いってなんだっけ?」ハイライトオフ

電「・・・最近の明石さんはやりすぎなのです。いい加減、お説教が必要なのです」ハイライトオフ

リットリオ「可愛そう。許せませんね。人質なんて・・・」

提督「そうだな。早く、こんな戦争は終わらせなければ・・・」

リットリオ「そうですね・・・」

秋津洲「あははっ! なんか楽しいっ!! 楽しいよぉ!! あははは」

金剛(24時間立てば効果が切れるらしいですシ・・・ソーリーね)

その日の夜、明石の工房で謎の爆発事故が起きたらしい。

誰もが思った。「あっ また変なもの作って失敗したな」と

投下完了デス
感想ありがとうです
暖かいお言葉ありがとうです

リットリオ編は書き終わったので
ちまちまと修正しながら割りと短いスパンで投下するデース

じゃあまた明後日くらいに・・・

夜。本日の仕事が全て終わった。

提督「お疲れ様」

リットリオ「はい、お疲れ様です!」

提督「また明日もよろしくな」

リットリオ「はい!」

執務室を出て、寮の自室に戻るリットリオの足取りは軽かった。

リットリオ(また明日も・・・)

明日も提督に会える。それが嬉しかった。

自室に戻り、カレンダーを見る。

まだ数日は秘書艦をやれる。提督と居れる。

リットリオ(楽しみです・・・)

ローマ「嬉しそうね。姉さん」

リットリオ「そう見える?」

ローマ「私も早く次の順番回ってこないかしら」

リットリオ「ローマは秘書艦やったばかりじゃない」

ローマ「そうね。でも次が待ち遠しくて仕方がないわ」

リットリオ「そんなに秘書の仕事良かったの?」

ローマ「あの人と・・・居れるから・・・」ボソッ

リットリオ「・・・え? よく聞こえないよ」

ローマ「もうしかしたら姉さんに弟が出来るかもね」

リットリオ「・・・・・・・」

ちくりと胸が痛む。

リットリオ「どうかしら・・・逆に貴女に兄が出来るかも・・・」

2人「「・・・・・・」」ハイライトオフ

両者無言。部屋の時計の音だけがカチカチと聞こえた。

先に口を開いたのは姉のリットリオだった。

リットリオ「・・・私、ビスマルクさんと約束があるから行くけど一緒に行かない?」

ローマ「・・・今から?」

リットリオ「うん。貴女も連れてくるように言われてるけど・・・」

ローマ「申し訳ないけれど今回はいいわ。明日、予定があるし」

リットリオ「予定? 何かあるの?」

ローマ「霧島さん、ハチ、巻雲ちゃん達とメガネ同好会を作ったのよ」

リットリオ「それ何するの!?」

ローマ「メガネ娘の特性を生かしたアプローチの研究とか、単純にメガネを語ったり・・・」

リットリオ「そ・・・そう・・・」

ローマ「一応、全国大会を目指そうねって話になってるのよ」

リットリオ「全国大会!? へ・・・へぇ・・・が・・・頑張ってね」

ビスマルクの部屋

ビスマルク「お疲れ様」

リットリオ「ありがとうございます」

プリンツ「お疲れです!」

海外艦同士の交流を深める懇親会を開いていた。

ビスマルク「ローマは来ないの?」

リットリオ「ちょっと用事があるみたいで・・・誘ったんですけどね」

プリンツ「ウチもZ1、Z3、ローが予定あるみたいで来れないみたいです・・・」

ビスマルク「まぁ良いわ。今日はこの3人で楽しみましょ」

ビールで乾杯。顔合わせは済んでるが、改めて互いの自己紹介をした。

―――ビス丸、プリゲン

リットリオ「っ・・・ぷっ・・・・」

2人を見てたら夕張の付けた変なあだ名が脳内再生されて、笑いを堪えるのに必死だった。

2人「「・・・?」」

ビスマルク「それより、どう? 秘書の仕事は」

リットリオ「思ったより、ちゃんと出来てますね。提督も優しいですし、楽しいかもです」

プリンツ「あーあー。早く私も秘書やりたいなー 次の順番回ってこないかなぁ」

ビスマルク「貴女、少し前にやったばかりじゃない」

プリンツ「一日じゃ足りないですよお姉さま」

プリンツ(いっそのこと、提督の部屋に住み着きたいです)

プリンツ(朝は行ってらっしゃいのキスをして・・・)

プリンツ(毎日、お弁当を作ってあげて・・・)

プリンツ(帰ってきたら、ゴハンにする? お風呂? それとも私とか・・・)

プリンツ(提督のぶっといのが・・・私に・・・ファイアーーーーー///) ダンッ ダンッ

リットリオ(なんか急に机を叩き出したけど、もう酔いが回ったのかしら)

ビスマルク「プリンツ、少し静かにしなさい」

プリンツ「はっ!? すいませんビスマルク姉さま」

互いに日頃の仕事を労って、他愛もない話。

年頃の少女達の話題が尽きることは無く、話は大いに盛り上がった。

それから自然と提督の話になる。

ビスマルク「それでね、アトミラールに撫でられてね・・・すごい綺麗だねって・・・もう・・・///」

プリンツ「へぇ・・・・・・」ハイライトオフ

ビスマルク「もうそれプロポーズじゃないっ! すぐ受けるわ!」

プリンツ「勘違いは恥をかきますよビスマルク姉様」

ビスマルク「・・・は?」ハイライトオフ

プリンツ「恐らく、社交辞令ですよ」

ビスマルク「そんなことないっ!!! アトミラールはそんな上辺だけのことは言わないわっ!!」

リットリオ(私も言われました。可愛いって・・・)

数日過ごして分かる。

確かに彼は、その場だけの、上辺だけ取り繕う言葉は言わない。

つまり、あれは本心。心からの言葉。

リットリオ(そうですよね。あれは本心・・・///)

ドイツ娘2人がギャーギャー騒いでいるが、その声はリットリオに届いてなかった。

ビスマルク「ごめんなさい。少し熱くなりすぎたわ」

プリンツ「私もです。ごめんなさい」

リットリオ「大丈夫ですよー」

ビスマルク「私も早く秘書の順番回ってこないかしら」

リットリオ「これだけ人数が居ると、1周するのに時間掛かりそうですね」

プリンツ「そうなんですよ・・・」

秘書艦の回転率の悪さを嘆き、あーでもない、こーでもないと愚痴を言い終わると話題が変わった。

ビスマルク「ねぇ、知ってる? アトミラールって料理作るの上手いのよ」

リットリオ「え? そうなんですか?」

プリンツ「料理だけじゃなくて、スイーツも上手ですよ。私、手作りのプリンを食べました」

ビスマルク(プリン!? 私食べさせてもらってないわよ!?)

プリンツ「あれはとても美味しかったです!!」

ビスマルク「私は炒飯とオムライスと焼ソバと・・・色々食べたことあるけどプリンはないわね」

プリンツ「逆に私はスイーツ以外はないですね」

プリンツ(どれも食べたことない!! ビスマルク姉様ずるい!!)

リットリオ(提督、料理も出来るんだ・・・)

提督が元帥に世話になって居た頃、せめて何か役に立ちたいと

食事の殆どを提督が作っていたので、ある程度は腕に自信があった。

また、鎮守府が出来た当初は施設が充実しておらず、提督と艦娘数人が調理をしていたり、

頑張っている部下を喜ばせたいと、女の子が喜ぶようなスイーツも作れるようになっていた。

食堂が出来、売店や甘味処、鎮守府内が充実してくると自然とそういったことはしなくなったものの、

当初からのメンバーにせがまれたり、場合によっては今でも調理をすることがある。

余談ではあるが、次は誰が提督と2人きりで調理をするかで揉めて、

罵り合いから発展した主砲の撃ち合いになった際に、鎮守府の敷地内に流れ弾が着弾。

雨水が溜まり、現在はちょっとした池になっている。

提督は軍務で秘書艦と遠出して居たので事態を知らず、池なんてあったけ?と不思議がっていたらしい。

流石に全員冷や汗を流し、以後は『力』による語り合いは艦娘同士の不可侵協定で禁止されたのだった。

プリンツ「提督はコーヒーはブラックを好むけど、朝だけは砂糖とミルクを入れるんですよ」

ビスマルク「砂糖は角砂糖1個だけ入れるわね」

プリンツ「でも、最近はスティックタイプになってましたよ」

ビスマルク「それは角砂糖が切れたからよ。今は補充されてるわ」

プリンツ「それは知りませんでした」

ビスマルク「ふふ・・・遅れてるわねっ!」

2人「「ふふふふふふっ・・・」」ハイライトオフ

それからドイツ娘2人は私の方が提督を理解している、知っている、と自慢するように

互いに持つ情報を言い合って居た。少しでも優位の立場に居ると思いたいが為に。

いかに自分の方が理解している、知っていると言われると

まるで『貴女は何も知らないのね』と言われているみたいでリットリオは面白くなかった。

リットリオ(本当になんでしょう。この気持ち・・・)ハイライトオフ

その後、もう遅いので解散して自室に戻った。

翌日

提督「おはよう」

リットリオ「おはようございます・・・」

提督「どうしたんだ? 疲れてないか?」

リットリオ「昨晩、ビスマルクさんとオイゲンさんと懇親会をしたから・・・」

提督「そうか。仲良くやれてるみたいで良かった」

リットリオ「申し訳ありません。仕事には支障はきたしませんので」

提督「あまり気張るな。今はここの生活に早く慣れて欲しい。鎮守府の仲間との交流も大事だよ。命を預けあう仲なんだから」

リットリオ「ありがとうございます」

大本営から送られてきた書類に目を通し、てきぱきと仕事をする提督。

リットリオ(やっぱり・・・かっこいいなぁ・・・)

提督のキリッとした引き締まった表情に胸が熱くなる。

リットリオ(それに優しいし・・・この人の下につけてよかった)

提督「・・・?」

リットリオ(目が合っちゃった///)

提督(俯いてどうしたんだろう?)

リットリオ(どうしよう今の顔を見られたくない・・・赤面してるし・・・)

提督「リットリオ?」

リットリオ「はい?・・・っ!!?」

顔を上げると提督の顔がすぐ傍にあった。

提督「ふむ・・・少し熱っぽいかな」

リットリオ(ひゃわわわわっ!?)

提督はリットリオの額に手をやり、心配そうに呟いた。

リットリオ(近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い・・・///)

提督「やはり少し熱いな。医務室で少し見てもらおうか」

リットリオ「大丈夫ですっ!!! 元気ですから!!!」

提督「そうか? だが、少しでも不調なら無理はするなよ? すぐ言ってくれ」

リットリオ「ひゃい!!」

提督(よく噛む娘だな。 仕事に慣れなくて緊張してるのかな・・・)

リットリオは嬉しさと恥ずかしさの入り混じった感情に左右され、仕事どころじゃなかった。

その一部始終を別室で監視している2人。

南方「あれ、わざとやってないわよね!?」

榛名「何時もあんな感じですよ」ハイライトオフ

南方「夫に似たのかしら・・・いや・・・あそこまでじゃなかった!! たぶん!!」

榛名「リットリオさんの額を舐めたら提督の味がするのかなぁ」ボソッ

南方「!!!!?」

榛名「羨ましい・・・」

南方(本当に何時か刺されそう・・・ウチの子と結ばれた娘が・・・)

何か鈍い音が聞こえて、音がした方を見ると、榛名がカメラの操作用のリモコンを握りつぶしていた。

すぐに映像に目をやると、顔を真っ赤にしたリットリオと提督が何やら仲睦まじく談笑している。

それは誰が見ても初々しい恋人同士にしか見えない。

南方「なんか見てるだけだと完全にアベックね」

榛名「アベック? ああ、恋人のことでしたっけ。それ死語ですよ」

南方「・・・え?」

その事実は南方棲鬼にクリティカルダメージを与えた。

南方(歳を取るって恐い・・・)

榛名「提督・・・近すぎです・・・チッ あの雌豚・・・」ボソッ

南方「・・・・・・所でリモコンどうするの?」

榛名「よく握りつぶしちゃうので予備の用意があります。取ってきますね」

南方「よ・・・よくあるんだ・・・」

榛名が出て行き、画面を再び見ると、提督が呟いていた。

提督『作戦も終わり、今の所は大きな戦いはない。束の間の平和だな・・・』

南方「平和!? 水面下では色々恐ろしいことになってるのに!?」

知れば知るほど、息子が愛されすぎていることを実感する。

それは素直に嬉しい。我が子が愛されることを不満に思う親は居ない。

しかし・・・所属する艦娘全員が病的なまでに我が子を愛している。

どの娘も、基本的に良い娘だけど、提督のことでスイッチが入ると恐い。

南方「不安すぎる・・・あの子の将来が・・・」

もしも、誰か一人を選んだら? 選ばれなかった娘はどうなるのだろう。

きっとその娘達は諦めない。

それどころか恐ろしいことになりそうな気がした。

榛名と戦ったから分かる。

あの非常識きわまり無い異質な戦闘力・・・選ばれなかった百数人が全てがああなったら?

選ばれない悲しみと、選ばれた娘への憎悪で深海棲艦化なんてしたら?

南方(下手したら今の世界が終わる・・・)シロメ

榛名「戻りました。お義母さま」

南方(そこら辺はとりあえず考えないようにしよう。うん。考えたくないし)

問題を先送りして無理やり忘却し、画面を見る。

南方「・・・どうせ嫁にするなら染まってない素直な娘がいいかな」ボソッ

榛名(ひょっとして私のことですか!?)

愛が重くなく、素直で染まってない娘。

どうせ息子の嫁にするならそんな娘がいい。そう考えるとリットリオは最適だった。

南方(ああいう礼儀正しい大人しい娘なら上手くやれそうな気がする。嫁候補1号は彼女に・・・)

投下完了です!
いつも感想どうもです。

書き終わってから、ちまちまチェックして投下するたびに
大幅に加筆されてく不思議・・・

またすぐ投下します

本日も、ここ数日と同じように秘書の仕事をこなしていた。

提督が明石の工房に用事があると言うので付いて行こうとしたけれど、

すぐ終わるから、先にお昼を取っておいでと言われ、食事を取ることに。

一人で食べるとすぐに食事は終わるもので、時間が余った為、

鎮守府内をふらふらと見て歩いていた。

リットリオ「本当によく手入れされて綺麗な建物・・・」

掃除も当番で決まっており、常に清潔に保たれていた。

娯楽室には大勢の艦娘が集まり、和気藹々としていた。

ゴコーセンッ!! ゴコーセンッ!!

翔鶴(遠征から帰ってきたら・・・何これ)

ゴコーセンッ!! ゴコーセンッ!!!

瑞鶴「いい加減にしろズイ」

翔鶴「ず・・・瑞鶴っ!?」

卯月「出た! 本日のズイを頂きました!!」

ワー パチパチ

瑞鶴「どーも、どーも」ペコリ

翔鶴(瑞鶴も満更でもない感じだし・・・何がどうなってるの・・・)

蒼龍(・・・五航戦ばかり目だってる)

数名がズイズイ言ってたのが気になったが、

リットリオ(皆、楽しそう。良い鎮守府に拾われたなぁ)

耳を傾けると提督の話題ばかりだった。

リットリオ(そう言えば・・・私、提督のことをあまり知らないわね)

誰か詳しい人は居ないかなと、キョロキョロしていたら青葉に話しかけられたので聞いてみた。

青葉「提督のことですか? それなら夜に売店に行くと良いですよ。裏メニューと言えばOKです」

リットリオ「う・・・裏メニューですか・・・?」

一方、明石の工房では・・・

提督「随分と散らかってるな・・・」

明石「色々ありまして・・・」ボロッ

提督「それで用と言うのは?」

明石「いえ、ちょっとした身体検査ですよ」

提督「身体検査?」

明石「この前の戦闘での怪我のこともありますし、念の為です。すぐ終わりますので」

提督「分かった」

それから簡単な検査をした。

明石「最後にその艤装に触ってみてください」

提督「これは元帥から頂いた・・・触ればいいのか?」

明石「それで動かしてください」

提督「・・・そんなこと出来る訳ないだろう」

明石「動けーって念じてみてください」

提督(動け・・・)

明石「動きませんね」

提督「当たり前だ。 なんの遊びだ?」

明石「なんでもないですよ。お疲れ様でした」

提督が出て行った後、取れたデータを見て明石はため息をつく。

明石「やっぱり、反応なしか・・・何かが足りないのかしら」

執務室

提督「さて、午後の仕事をするか」

リットリオ「はいっ!」

コンッコンッ

提督「どうぞ」

神通「失礼します」ガチャ

提督「どうした? 今日は非番だろう」

神通「ええ、実はですね・・・」

提督「なに? 水遊び?」

神通「はい。駆逐艦の娘達が・・・」

提督「そういえば敷地の裏側に大きな池があったな・・・」

神通「はい。それを夕張さん達が整備して泳げるようにしたみたいで・・・」

提督「初耳なんだが・・・」

神通「私も先程知りました」

提督「そもそも、あそこに池って最初からあったけ?」

神通「さ・・・さぁ・・・元々では?」

提督「そうだったか? まぁいいか」

神通「もちろん、遊ぶにしても非番の子だけですよ。業務に支障は来たさないように通達します」

提督「それなら構わないよ。遊ぶことが生き抜きになるのであれば良いことだ」

神通「それでなんですけど・・・」

提督「うん?」

神通「良かったら、後で提督もどうですか?」

提督「俺は仕事だから・・・」

神通「そうですよね。すいません。でも、顔を出して頂けるだけで皆喜ぶかと」

提督「しかし、水遊びだろ? そんな所に男の俺が一人出向いてもな・・・」

提督(下手したら水着だろうしな・・・あんまり良い顔はされないと思うんだが)

神通「大丈夫ですよ。無理にとは言いませんが・・・可能であれば是非」

普段は控えめと言うか、大人しい神通がここまで言うのは珍しい。

提督「分かった。仕事次第ではあるが、時間が空いたら顔を出すよ」

神通「ありがとうございますっ!!」

提督「あ・・・うん」

あんまりにも強く返答するものだから提督は反応に困った。

神通は提督に見えないように小さくガッツポーズを取ると、敬礼して退室していった。

リットリオ「提督。紅茶が入りましたよ」

提督「ああ、ありがとう」

リットリオ「なんだったんですか?」

提督「さあ? まぁ後で時間が開いたら見てくるよ」

神通の報告に駆逐艦は喜んだ。

軽巡も喜んだ。

重巡も、戦艦も、空母も・・・

というか艦娘みんな喜んだ。

単純に遊べることを喜ぶ者もいるが、大半は水遊びは口実。

自慢の水着姿を提督に見せたいという理由。

艦娘((((これで提督を落とす!!!)))

誰もが不自然に笑い、お互いを牽制しあっていた。

楽しいはずの遊びの時間は、互いに出方を警戒しあって

まるで最前線のような空気になって居た。

しかし、その直後に大本営から緊急連絡が入る。

提督「悪いが、非番の者も待機しておいてくれ」

如月「・・・何があったの?」

この前の作戦で取り逃がした、一部の敵が再集結しつつあるので鎮圧せよとのことだった。

提督に見せようと水着を着る準備をしていて浮かれていた艦娘は皆怒った。すごい怒った。

提督「ただちに編成を行う。出撃だ!!」

艦娘(深海棲艦め・・・)ハイライトオフ

南方(・・・・・・嫁候補が皆こわい)ブルッ

リットリオ「私も出撃準備をした方がいいですか?」

提督「いや、君は俺の傍にいてくれ」

リットリオ「・・・え?」

提督(まだ実戦は早いしな・・・今は秘書の仕事をしっかり覚えてもらおう)

リットリオ(俺の傍にいてくれ・・・それってずっと? ・・・提督)キュンッ

意図して言った言葉ではないが、そこ言葉はリットリオの乙女心を刺激した。

熱を帯びた視線で提督を見つめるリットリオ。

提督は海図を確認しており、視線に気付いてない。

南方(そして息子の無自覚な行動で頭が痛い・・・)

提督「皆、くれぐれも油断するな。状況は常に報告してくれ」

艦娘達「了解!」

リットリオ(・・・提督・・・なんて凛々しい・・・地中海過ぎて私は・・・私は・・・ハァハァ)

南方(・・・きょうの ばんごはん は なにかしら)

一方、先だっての戦闘で敗走した戦艦水鬼は部隊の再編成をしていた。

そこへ報告が届く。

戦艦水鬼「人間達にこちらの動きがバレた!?」

だが数日掛けて、これだけの兵力を集めたのだ。恐れるに足らない。

戦艦水鬼「だがこの戦力ならば・・・」

リ級「大変です!! 例の鎮守府の連中が!!」

戦艦水鬼「!!!?」

イ級「こちらに凄い速度で迫っているようです!!」

戦艦水鬼「よっ・・・よりによってあいつらに!?」

リ級「偵察機が傍受した会話なんですが・・・再生します」ポチッ

『深海棲艦め!! よりによってなんで今なのよ!!』

『徹底的にいたぶってやる!!』

『あっ偵察機』

『ほっときなさい。精々震えてるといいわ』

『酷い目に合わせてやる!!』

『八つ裂きだ!!』

声色で分かる。何故か敵の艦娘はかなり怒っており、恐ろしい暴言を吐いている。

戦艦水鬼「・・・・」ゾクッ

リ級「他の部隊は皆、我先にと逃げました」

イ級「皆、この前の生き残りですから・・・連中の恐ろしさは分かっています故」

リ級「我々も逃げるので・・・では」

戦艦水鬼「待って!! 私も逃げるから!!」

戦わずに敵部隊は撤退した。

提督「え? 敵がいない? どういうことだ・・・?」

結局、敵影は確認できず。

戦闘行動は一切せずに鎮守府に帰還した。

その後・・・

提督「で? なんで君達は水着なの」

曙「こっちみんな!」

提督「質問に答えなさい。何故、水着で鎮守府を闊歩してるんだ」

漣「・・・クールビズ?」

提督「いや、クールビズすぎるだろ」

遠征から帰還した第七駆逐隊の4人は、ある勘違いをした。

今日は非番の娘達が水遊びをして、提督に水着を披露したと。

なんで!? なんで自分達が遠征の日に!?と4人は嘆いたが・・・

漣が「じゃあ今から水着になって報告に行きますか」と言いだした。

曙「はぁ!? アンタ馬鹿なんじゃないの!?」

漣「クールビズで全部済みますよ」

曙「また漣がアホなこと言い出して・・・」

と後ろを見ると既に潮が水着に着替えていた。

曙「潮ぉっ!!?」

朧「何、大声あげてるの?」

曙「って何アンタも水着に着替えてるのよっ!!」

気が付けば自分以外が水着。

朧「じゃあ曙はそのままでもいいんじゃない?」

曙「なんで私が悪いみたいな言い方!? 潮も大丈夫? 恥ずかしくないの?」

潮「ちょっと・・・恥ずかしいかも」

曙「じゃあ服着なさいよ」

潮「でも・・・見て欲しいから///」

漣「じゃあ報告に行きますよー」

曙「まっ・・・待ちなさいよっ!!」

結局、曙も水着に着替えて今に至るのである。

漣「で? ご主人様? どうですか? 私の水着」

潮「・・・・・・」チラッ

朧「・・・聞かせて欲しい」

提督(なんで皆そんな緊迫した表情なんだ)

リットリオ「・・・そういう手もあったんだ」ボソッ

南方(映像からでも分かる。この空気が重い・・・)

提督「皆、似合ってて可愛いと思うぞ?」

その返答に3人は喜んだ。

曙「このっヘンタイっ!!」

提督「すまんな。曙の方は見ないようにするから許してくれ」

曙「ちゃんと見なさいよっ!!! 目に焼き付けなさいよ!!」

提督「どっちだよ!?」

漣「テレてるだけですよ。ご主人様」

提督「皆可愛いし、似合ってるけど、あまりその格好で施設内を出歩くなよ?」

朧「分かってますよ」

漣「別にいいじゃないですかー」

提督「風紀の問題だ」

漣「祥鳳さんなんか、殆ど裸で歩いてるじゃないですか」

その発言は、たまたま執務室を通りかかった祥鳳の耳に入り、大きなショックを受けた。

祥鳳(ちゃんと着てますよ!!!!?)

朧「祥鳳さんは裸族だからいいんですよ」

祥鳳(違いますよ!!?)

色々否定したいけど、執務室の中に入って否定すると、盗み聞きしてたと思われるかなと思い、行動に移さなかった。

祥鳳(もうちょっと胸元隠そうかな・・・)

そんなことを思いつつ、自室へ帰って行った。

提督「ん・・・?」

突然、提督の視界が遮られた。

リットリオ「あんまり(他の)女の子の肌をジロジロ見ちゃダメですよー」ハイライトオフ

提督「そんなつもりは無かったが・・・スマンな」

漣「リットリオさん。別にいいんですよ? 見せに来てるんですから」ハイライトオフ

潮「・・・見ても平気ですよ? 隠さなくても大丈夫です」ハイライトオフ

朧「目隠しとかしなくていいんですけど」ハイライトオフ

曙「・・・リットリオさん? なんのつもり?」ハイライトオフ

リットリオ「風紀の問題です」ハイライトオフ

第七駆逐隊4人とリットリオは無言で目から火花を散らす。

空気が張り詰めてピリピリしている。

南方(駆逐艦ってもっと無邪気だと思ってた・・・小さくても女なんだ・・・)

南方(リットリオちゃんも少し恐くなってきたし)

南方(なんでこの空気で息子がケロっとしてるか分からない・・・)

提督(また何時もの寒気が・・・疲れによるものか? 今日は早めに休むか)

南方(結局、今日も真実を打ち明けられなかった。タイミングって大事よね)

リットリオ「うふふ・・・」ニコッ

第七「「「「あはは・・・」」」」ニコッ

提督「・・・そろそろ手を離してくれないか? 仕事が・・・」

リットリオ「ダメですっ♪」ハイライトオフ

曙(この女・・・提督の頭に胸を押し付けて・・・)ハイライトオフ

漣(・・・彼女の認識を変えないとダメかもですね)ハイライトオフ

潮(私も・・・できるもん)ハイライトオフ

朧(・・・この戦艦、注意が必要かもしれない)ハイライトオフ

南方(早く私の手で教育しなおしたい・・・)シロメ

夜。

仕事が終わり、売店に顔を出す。

明石「あら、珍しい。いらっしゃいませ」

リットリオ「あの・・・裏メニューを」

明石「・・・知ってしまいましたか」ニヤリ

リットリオ「何が出て来るんですか?」

明石「逆に、何が欲しいのですか?」

リットリオ「提督のことを知りたいって言ったら青葉さんから、ここの事を聞きまして」

明石「それなら、これですかね」

リットリオ「超解析!提督パーフェクト情報集(仮)? なんですかコレ」

明石「提督の情報が書かれた非公式ファンブックです」

リットリオ「そ・・・そんなの売ってるんだ・・・」

明石「非公式ですので、提督は感知してません。してたら販売中止になりますよ」

リットリオ(いいのかなぁ)

明石「で? 買うんですか? 買わないんですか?」

リットリオ「買います」

即答だった。

明石「ありがとうございましたー」

リットリオ(買っちゃった・・・3500円(税込み)出して・・・)

自室に戻ると鍵を閉める。

今日、ローマは霧島の部屋に泊まると言ってたので一人だ。

鍵が閉まっているのに、やましい気持ちがあるからか周囲をキョロキョロして警戒し、本を開く。

リットリオ「すごい・・・詳細な情報が・・・」

そこには提督の写真付き(盗撮)で細かい情報が出ていた。

起きる時間から寝る時間までの一日の行動パターン予想図や、

趣味、特技、好きな食べ物・・・

そして『現在公開可能な情報』と書かれた下に書いてある提督の生い立ち。

後半は写真集と化していて、提督の写真(盗撮)がびっしりと掲載されている。

リットリオ(なんて・・・地中海的な・・・逞しい体///)

最後のページには、この本は鎮守府内の有志の情報提供で出来ていること、

また当面の目標は電が持ってる学生時代の提督の情報を聞き出すことと書かれていた。

リットリオ(電ちゃんって・・・確か初期艦の? なんで彼女が知ってるんだろう)

さらに、ver9.2と書かれており、この本がどんどんアップデートしてきた歴史のある本だと知った。

リットリオ(最後のページ、提督の写真販売中・・・? これ裏メニューのカタログ?)

リットリオ(産地直送の提督水? こっちは提督のムスコ(複製)!?)

リットリオ「誰が・・・型を取ったんだろう。羨ましい・・・」ボソッ

リットリオ(お給料貰ったし・・・)ゴクリッ

気が付けば読み始めてから3時間も過ぎていた。

寝る準備をしてベッドに入る。

先程の写真を思い出す。

リットリオ(・・・提督)クチュ・・・クチュ・・・

リットリオ(・・・提督・・・提督っ!!)ビクンッ

少し、自分に自己嫌悪。

リットリオ(良かった・・・今日は一人で)

妹が居たら、こんなことは出来ない。

自分がした行為が恥ずかしくなり、頭まで布団を被ると眠りについた。

投下完了。
ちとリアルが忙しくて遅くなりました。
すいません。
感想何時もありがとうございます!

多分次は月曜あたりに。
おやすみなさい

次の日

リットリオは早起きして調理場に居た。

何かして、提督を喜ばせたくて、お弁当を作ることにした。

リットリオ(変に冒険しない方がいいかな?)

間宮に使用許可を貰い冷蔵庫の中の食材を使った、ごく普通のお弁当。

リットリオ「美味しいって言ってくれるかな・・・」

お昼になるのが楽しみだった。

何時の間にか彼女は、恋する乙女の目をしていた。



執務室

提督「え? お弁当? いいのか?」

リットリオ「はい。妹の分を作るついでで申し訳ないのですけど」

提督「いや、嬉しいよ」

妹の分のついで。そんなのはウソだった。

ただ、恥ずかしくてついたウソ。

提督はお弁当を平らげて、美味しかったと笑顔で言ってくれた。

それが本当に嬉しかった。

リットリオ(私、提督のこと・・・こんなにも好きなんだ)

気が付けば彼の姿ばかり追ってる。

毎日、毎日、提督のことを考えてる。

リットリオ(まだ出会って数日なのに・・・はしたないって思われるかしら)

しかし、すぐにその考えを否定する。

好きになるのに時間は関係ない。好きだから好き。ただそれだけ。

一緒に居た時間で優位が決まるなら、新参者の私に勝ち目はないのだから・・・

リットリオ(それに・・・提督は私のことをどう思ってるのかな)

気になって尋ねてみた。ありったけの勇気を出して。

リットリオ「提督は私のこと、どう思ってるのですか?」

提督「え? なんだ突然」

リットリオ「好き・・・ですか?」

それはとても勇気のいる言葉。

その言葉を発してしまった以上もう引き返せない。

目を潤ませて、今にも泣きそうに尋ねられたものだから提督はびっくりした。

提督(好きか・・・)

提督(そう言えば・・・)

思い出したのは子供の頃。

両親が死に、元帥に引き取られ育てられた。

子供と言うのは残酷で、両親が居ないことをクラスメートにからかわれた。

本人達に悪意はない。ただ、子供ゆえの無邪気な行為。

自宅に帰ると元帥に泣きついて尋ねた。

自分のことを好きかどうか。

血の繋がりもない、言ってしまえば赤の他人の元帥がなんで自分の面倒を見てくれるか、

自分をどう思っているのか、人に愛されているのか・・・

不安だったのだ。世界で自分だけが一人孤立したような感覚が。

元帥は笑顔で言った。「愛している。お前は愛されている」と

そして「だから、不安になるな。ちゃんと大人になるまで俺が見てるから」と乱暴に頭を撫でられた。

それは恥ずかしかったが、救われた気がした。

だから、何を言われても大丈夫になった。

周りが何を言おうが構わない。自分を見てくれる人がいる。

愛してくれる人が居る。

だから・・・ボクは良い子にしている。それが両親との約束だから。

正しく、誰よりも正しく、真っ直ぐに・・・正しい大人になるんだ・・・

それが幼少時の提督の自我を形成して行った。

余談ではあるが後日、からかっていたクラスメートが死んだ目をしてカタコトで謝ってきた。

どうしたのかと尋ねても壊れたレコーダーのように謝るだけで腑に落ちなかった。

さらに後日、元帥が電話で誰かに怒鳴っているのを聞いた。

元帥「バカやろう!! 相手はガキだぞ!? 何してるんだ!?」

元帥「え? あの人の子供を守るのが使命? アホか!! ガキのイザコザに首突っ込むなよ!!」

元帥「は? 国家機関に根回しは済んでいるから大丈夫!? どういうことだ!! おい!! おーーい!!」

元帥「あの馬鹿共、切りやがった!! 仮にも今の上司相手に!!」

諦めた表情で受話器を置く。

元帥「アイツの部下だった艦娘数人を引き取ったが・・・たまに暴走するから困る」

元帥「そりゃ忘れ形見の提督を守りたいって気持ちは分かるんだが・・・アイツあんなクセ者揃いの部下をよく纏めてたなぁ」

元帥「・・・馬鹿野郎。先に逝くんじゃねっつの。文句を言いたくても言えないじゃないか」

と言いながら、ため息を付いていたのを見たが幼い提督には何のことかよく分からなかった。

提督(そうか、きっと不安なんだ・・・この娘も)

提督が立ち上がり、リットリオの前に立つ。

リットリオはびくっと体を震わせた。

提督「好きだよ。リットリオ」

リットリオ「・・・!!!」

提督「見知らぬ国で、不安かもしれないけど・・・」

安心させてあげたい。

かつての自分のように。それで救われたから。

提督「ちゃんと見てるから。君は一人じゃない。俺が居るから」

リットリオをあやす様に、優しく頭を撫でる。

元帥がしてくれたように。

リットリオはそれだけで天にも昇る気持ちだった。

リットリオ(これって・・・両想いですか!!!?)

この勢いに乗るしかない。

リットリオ「私も提督のこと・・・」

だが、その言葉は最後まで続くことは無かった。

突然、ドアが乱暴に開かれて、金剛が入ってきたからだ。

金剛「リットリオ! ここに居たんですネ!! 探しましたヨ!!」

リットリオ「え? 何?」

金剛「さぁ、早くこちらへ!! テートクゥ! 少しリットリオ借りますヨ?」

提督「ああ・・・」

リットリオ「ちょっと!? 何ですか!? 今は大事な・・・」

そのままリットリオは金剛に連れ去られた。

監視中の南方棲鬼は唖然として榛名に尋ねた。

南方「あれ・・・告白?」

榛名「いいえ、絶対違います。何時ものことです」

南方「何時も!? 何時もあんな勘違いさせることしてるの!?」

榛名「それに告白であってはいけません・・・絶対に」ハイライトオフ

南方(でもあの娘なら上手くやれそう。大人しそうだし。恐くないし・・・)

南方(後で少し話してみたいなぁ)

リットリオは金剛の自室に連れてこられた。

リットリオ「なんなんですか!? 突然!」

金剛「ダメですよ? あんなことしちゃ」

リットリオ「何がですか?」

金剛「告白・・・」

リットリオ「!!」

ドキリとする。なんで? なんで知ってる?

リットリオ「貴女には関係ないじゃないですか」

金剛「大ありデース。だって私も提督のこと大好きだから」

リットリオ「・・・多分、そうだろうと思ってました」

金剛「私だけじゃないですよ? この鎮守府の艦娘全員です」

リットリオ「っ!!」

金剛「貴女の妹もね」

リットリオ「やっぱり・・・あの子も・・・」

金剛「だから、勝手な真似は困りマース」

リットリオ「どうしてですか? 告白してOK貰えたら勝ちじゃないですか。貴女に邪魔される謂れは・・・」

金剛「ちゃんとルールがあるんです」

そう言って本を手渡した。

リットリオ「これは・・・?」

金剛「様々なルールが書かれた本です。まずはそれを見て学んでくだサイ」

渡されたルールブックをパラパラ捲る。

リットリオ「色々書いてある・・・」

金剛「それに、貴女は提督の目標を潰したいのですカ?」

リットリオ「・・・どういうことですか?」

金剛「今、誰かと恋仲になったら、フラれた娘はどうなるんでしょう?」

リットリオ「・・・え?」

金剛「少なくても、戦闘に支障をきたす事になりマス。それは今は望ましくない。提督の為にも」

だから終戦まで待つ。それがまず大前提。

リットリオ「・・・戦争が終わらなかったら?」

金剛「そんなわけないでショ? 提督が言うことは絶対なんだかラ」ハイライトオフ

金剛「戦争は終わるデス。近い将来に。そして、それは提督が実現シマス。私達と共に・・・」

リットリオ「つまり、終戦になれば告白自由に?」

金剛「それは追々ですね。状況が落ち着いたらデス」

リットリオ「この項目のルールを破ったものを五航戦とするとは?」

金剛「それはもう廃止されたので気にしないでくだサイ」

リットリオを金剛は睨む。

金剛「大方、そのいやらしい体で提督を篭絡しようとでもしたんでしょうケド・・・」

金剛「提督を渡す気はないからネ?」

リットリオ「は? なんですかソレ」

金剛「大体、貴女はふわふわして頭悪そうデース! 提督には合いませんよ?」

偶然、盗聴器で2人の言い合いを聞いた榛名は思った。

榛名(それ、自分にブーメランですよ金剛姉様・・・)

もちろん敬愛している姉にそんなことは言わない。心の中で思うだけだ。

金剛の言葉にカチンと来て、リットリオは言い返す。

リットリオ「変な言葉遣いの似非外国人に言われたくないです。どこかの芸人ですか?」

金剛「あはは・・・面白いこと言いますネー」ニコッ

リットリオ「そうですか? 事実ですけど」ニコッ

そして翌日。

今日は秘書艦の最終日

提督「今日までお疲れ様」

リットリオ「そんな・・・出来ればもっとヤリたいくらいですよ?」

提督「ありがとう。だが、順番だからな。スマンな」

そこへ金剛がやってくる。

金剛「この間の補給の件ですケド・・・」

リットリオ「きゃっ!?」

提督「どうした!?」

リットリオは提督にぎゅーと抱きつく。

その豊満な胸を押し付けるように。

金剛「・・・」イラッ

提督「あのな、あまり男性に不用意に抱きつくのは・・・どうしたんだ?」

リットリオ「すいません、この前、金剛さんに怒られて・・・ちょっと恐いんです」チラッ

金剛(この・・・アマァァァァァァっ!!!)

リットリオは金剛にだけ分かるように、ニヤリと勝ち誇ったように笑った。

提督「とりあえず、離れてくれ・・・その・・・困る」

リットリオ「すいません。お嫌でしたか?」

提督「君みたいな魅力的な娘に抱きつかれると、男として困る」

リットリオ「もうっ お上手ですね ///」

提督「からかうなよ・・・」

金剛(リットリィィィィィオオオオォォォっ!!!!)

提督「所で金剛、リットリオと喧嘩でもしたのか?」

金剛「いいえ。来たばかりだから色々と教えていて、ルールを説明しただけです」

提督「そうか」

提督(ルール? 掃除当番とかそういうのかな?)

金剛「それが少し恐かったみたいデスね。ごめんなさい」

リットリオ「分かりました。では仲直りですね」

金剛「そうですネ」

2人「「ふふふっ・・・」」

握手を交わすが、互いに力を入れすぎて双方顔を顰めた。

提督「仲良くしてくれよ? その方が俺も嬉しい。同じ鎮守府の仲間なんだから」

リットリオ「はい。仲良くしましょうね」ニコッ

金剛「そうですネー」ニコッ

2人((表面上は・・・))ハイライトオフ

提督は気付いてなかった。

顔は笑顔でも、見えないところで2人が足を踏み合っていたことを、つねりあっていたことを・・・

監視中の南方棲鬼はその様子を震えながら見ていた。

南方「あの娘も・・・だーくさいどに落ちた・・・」

榛名「・・・? 別に普通じゃないですか」

南方「普通じゃない!!」

榛名「どうしたんですか? お義母さま」

南方「仮に終戦になったとして・・・その後どうするの・・・?」

榛名「どうするのってステキなお嫁さんと結婚して幸せになるのでは? 子供に恵まれて・・・」

南方「嫁?・・・それは誰?」

尋ねると榛名は頬を朱色に染めた。

南方(仮に榛名ちゃんを嫁にしたとしても残りの百数人の娘どうすんのよ・・・)

モニターに写る暢気そうに書類を眺めている我が子に対してため息がでた。

南方「胃薬が欲しい・・・」

榛名「・・・?」

南方(僅か9日足らずで無自覚で完全陥落か・・・誰に似たのかしら・・・)ハァ

投下完了
長くなったけどイタ艦おしまい☆
何時も感想ありがとうでーす
じゃあまた

娯楽室では、作戦から帰還した瑞鶴と加賀が言い争っていた。

誰も気に留めない。

別に珍しくもない何時もの光景で、別段気にすることじゃないからだ。

誰もが『またやってる』と思っていた。

だが、事情を知らない新参者には珍しく写ったようだ。

イタリア「あの言い争いはよくあるのですか?」

ビスマルク「しょっちゅうやってるから気にしなくていいわよ」

イタリア「フーブツシって奴でしょうか」

ビスマルク「そう言えば、貴女のことはイタリアでいいの?」

イタリア「どちらでも良いですよ?」

ビスマルク「改装すると名前が変わるのね貴女」

2人は言い争う正規空母2人に視線を向ける。

加賀「やはり貴女はまだまだですね。だから五航戦なのです」

瑞鶴「またそれ? 五航戦は悪口じゃないんだけど?」

加賀「もっと鍛錬を積みなさい。それが自分の為であり、仲間の為であり、提督の為になるのだから」

瑞鶴「分かってるし。それくらい」

何時も、何時も、加賀は瑞鶴に対して五月蝿い。

性格的に幼さの残る瑞鶴をまだ一人前として見ていないのだ。

瑞鶴(何よ。すました顔しちゃってさ)

それは後輩を想う先輩の優しさだというのは理解できる。

加賀自身は認めないだろうが・・・

瑞鶴はどうにかして、加賀より優位に立ちたかった。

そのことで頭がいっぱいだった。

瑞鶴「ふん。何時も何時も偉そうにしちゃってさ。一航戦はそんなに偉いわけ?」

加賀「事実を言ってるだけです」

瑞鶴「私なんて加賀さんの知らない情報を持ってるんだから」

加賀「そうですか。良かったですね」

別段興味も無かった。なので去ろうとする。

瑞鶴「提督のことなんだけどなぁ」

その言葉に加賀は止まる。

加賀「提督の? 私が知らなくて貴女が知ってると? ありえません」

瑞鶴「事実よ。この鎮守府でも3人くらいしか知らないわ」

加賀「・・・・・・言いなさい」

瑞鶴「聞こえなーい。 教えてくださいでしょ?」

加賀「・・・教えてください」ハイライトオフ

瑞鶴「どーしよーかなぁーっ♪」

加賀「・・・・・・」イラッ

瑞鶴「ナイショって言われてるしなぁ~」

加賀「分かりました。やはりデマカセでしたか」

瑞鶴「は!? 違うし!ちゃんと知ってますぅ!」

加賀「何を?」

瑞鶴「南方棲鬼さんが提督のお母様だってことをよ!!」

加賀「・・・え?・・・ええ!?」

珍しく加賀が狼狽した。

加賀「そんな・・・まさか・・・」

瑞鶴「本当のことよ。明石だって榛名だって知ってるし!!」

加賀を負かした気分。とても爽快だった。

しかし、榛名の顔が脳裏によぎった。

瑞鶴(しまっ!? からかうつもりが喋っちゃった!! でも加賀さんにしか聞かれてないし・・・)

周りを見渡すと皆こちらを見ていた。

さっきまで様々な艦娘がワイワイ騒いでいたのに今は無音。

瑞鶴の顔は真っ青になった。

加賀はそれを見て、この話が事実であることを察した。

そして、その情報が隠蔽されて居る理由を考える。

加賀(3人しか知らない? 瑞鶴、明石、榛名・・・もしや、提督もご存知ない?)

瑞鶴「い・・・いいいまのは、ウっウソだから!! ウソだから!!」

必死に叫ぶが、その挙動で話が真実であることを皆は悟った。

この日、提督を除く全員がその事実を知った。

瑞鶴(どうしよう・・・)

今更どうしようもない。

瑞鶴(榛名に・・・ころされる・・・)ガクブルッ

夜。

廊下を歩く榛名は不快な気分だった。

誰かがつけている。

榛名「誰です? さっきからコソコソと」

少し不快感の篭った声。

青葉「ありゃ。見つかっちゃいましたか」

榛名「青葉さん。何のつもりですか? つけまわしたりして」

青葉「いえ、少し知りたいことがありまして・・・」

榛名「知りたいこと?」

青葉「南方棲鬼さんと司令官の関係につい・・・がはっ!?」

最後まで言い終わらなかった。

榛名に首を掴まれ、壁に叩きつけられて、そのまま押さえ込まれた。身動きが取れない。

榛名「誰から聞きました? なんで知ってるんです?」ハイライトオフ

青葉「・・・がっ」

榛名は首を掴む力を強めた。

青葉「がはっ・・・」

その目に迷いはなく、提督に害するのであれば仲間であろうと・・・

場合によっては始末することも辞さないという意思を感じた。

青葉(本当に恐ろしい・・・)

だが、それは本心ではない。

何故なら、自分自身もそうであるから。

普段は仲良くやっていて、それなりに楽しいし、親愛もある。

だけど、もしも提督に対して害悪になるのであれば・・・恐らく迷わないだろう。

その害悪を消すことも。例え相手が人間であっても・・・

一瞬頭に血が上った榛名だったが、我にかえる。

榛名(すこしやりすぎちゃいました・・・)

だけど、手は放さず未だに青葉を拘束している。

青葉「その反応・・・やはり事実ですか」

榛名「もう一度聞きます。何故、貴女が知っているんですか?」

青葉「まずはその物騒な主砲を降ろしてくださいよ」

榛名は瞬時に艤装を展開して、首を絞めると同時に青葉に主砲を向けていたのだ。

青葉「じゃないと、貴女自身も無事では済みませんよ?」

その言葉の意味することが分からなく、視線を下に下げると、青葉もまた腕に主砲を展開しており、

冷たい砲身が榛名の脇腹に当てられていた。

榛名(・・・何時の間に)

青葉「で? そろそろ拘束を解いてくれませんか?」

榛名は、ほんの一瞬だけ思案したが、すぐに青葉を解放した。

榛名「なんのつもりか知らないですけど、貴女の好奇心で提督を傷つけるようなことがあれば・・・」

青葉「するわけないじゃないですか」

榛名「どうだか・・・また余計な騒動は簡便してほしいんですけど」

それは青葉が書く新聞のことを指しているのだろう。

青葉は、自ら調べ、見聞きした鎮守府内の情報を自作新聞として鎮守府内で発行していた。

確かに面白く、人気もあるが他者のプライバシーを無視した写真を無断掲載したり、

今までも何度か騒動になっていた。

青葉「信用ないですねぇー 私」

榛名「普段の行いが悪いからですよ」

青葉は話を元に戻す。

今までの榛名の言動や反応から、事実であることは分かる。

そして、情報が漏れる事を警戒している。

青葉「・・・やはり司令官はご存じないみたいですね」

榛名「・・・・・・」

無言。それは肯定しているようなものだった。

青葉「南方棲鬼さんが知られたくない、もしくは言えるほど気持ちに整理がついてない・・・か」

榛名「そこまで理解しているなら・・・」

青葉「ええ、もちろん司令官には言いませんよ」

何を当然のことを聞いてるんですか?と青葉は笑う。

青葉「愛する人を混乱させることをすると思います?」ハイライトオフ

榛名「・・・・・・」ハイライトオフ

青葉「この話が事実かどうかの最後の確認です。今までのやりとりで事実と分かりました」

榛名「何をする気なんでしょうか」

青葉「別に。ただ、挨拶しておきたいなぁって」

榛名「挨拶?」

青葉「ええ、お義母さまにね」

榛名「!!!」

青葉「だってズルイじゃないですかぁ」

笑いながら青葉は榛名の耳元で囁いた。

青葉「貴女達だけ優位に立っているなんて」ハイライトオフ

榛名は青葉の恐ろしい程に冷たい視線を受け流す。

両者は何も言わずに見つめ合う。

この場に感性豊かな者が居れば、

場の不穏な空気とビリビリと肌を刺すような殺気に絶えられず意識を手放していただろう。

先に口を開いたのは榛名だった。

榛名「・・・分かっていると思いますが」

青葉「分かってますよ。司令官には隠し通します」

榛名(恐らく口を滑らすとしたら・・・瑞鶴さんですか)

やはり、あの場で始末すべきだったかと一瞬考え、

その考えを振り払うように頭を振る。

漏れてしまったなら仕方がない。

その後、青葉と情報の隠匿が今後の最重要問題であると互いに認識し、

情報統制を大至急取ることで両者は合意したのだった。

この日、提督と南方棲鬼の親子関係の話はあっという間に艦娘全員に知れ渡った。

知らないのは提督のみだった。

情報統治が行き渡り、提督に知られないように徹底された。

この情報は本来、南方棲鬼の覚悟が出来るまで隠匿するハズだったのに

五航戦の瑞鶴がうっかり口を滑らした。

この事から再び五航戦の名前は嘘や裏切りの代名詞として

暫く艦娘の間で揶揄された。

時刻は22時ごろ。

南方棲鬼は自ら宛がわれた部屋に居た。

南方「そろそろ寝ようかしら・・・なんか疲れたし」

突然、部屋のドアがノックされた。

南方(誰だろう)

ドアを開けると居たのは如月。

南方「何か御用?」

如月「少しご挨拶に。お休みでしたか?」

南方「いえ、大丈夫だけど・・・」

如月「私、料理結構得意なんです。よろしかったら明日のお食事を作らせていただけませんか」

南方「はい? 別に構わないけど・・・どうしたの?」

その後、いかに自分が家事が得意かを語り、最後は深くお辞儀をして帰って行った。

南方(なんだったのかしら・・・)

すぐにまたドアがノックされる。

大鯨「あの・・・少しよろしいですか?」

南方「え? あっどうぞ」

大鯨も似たようなことを言って帰って行った。

それからも続々と来訪者が来る。

あきつ丸「自分は提督の為ならば陸を捨てる覚悟です」

鈴谷「提督に以前救われまして。心より愛してます」

烈風「ブルルルルルッ ブォーーー」

摩耶「結構女らしい所があるんですよ」

阿武隈「家事大得意です! 掃除も! 夢はお嫁さんですっ!」

間宮「提督には本当に何時も何時も良くして頂いてまして・・・これつまらないモノですが・・・」

南方(間宮羊羹だぁ♪)

蒼龍「何かお困りのことはありませんか? 何でもしますよ」

どの娘も何故か自分をアピールして、南方棲鬼をひたすら褒めて帰っていく。

南方(何が起きているのかしら)

そこでドアを開けて外を見ると、部屋の前には長い長い行列が出来ていた。

南方「はぁ!!!?」

そしてドアの前に張り紙があり、

『面会時間は一人3分、故意に延ばしたら五航戦』

と書かれていた。

南方「え? どういうこと!?」

その後、

異変に気付き、駆けつけた榛名に散らされてようやく静かになった。

南方「・・・なんなの一体」

再びドアがノックされる。

めんどくさいなぁと思いつつ、ドアを開けると瑞鶴だった。

しかし様子が変だ。

南方「どうしたの?」

瑞鶴「ごめんなさい・・・」

瑞鶴は涙で顔をぐちゃぐちゃにさせて、鼻声で謝罪する。

南方「え・・・と話が見えないんだけど。とりあえず部屋にあがって?」

瑞鶴「・・・はい」

聞けばついつい口を滑らしたらしい。

瑞鶴「加賀さんを悔しがらせたくて・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」

発端は些細なこと。

だが、これで先程の騒ぎの理由が分かった。

泣きじゃくる瑞鶴。すごい罪の意識に苛まれているのだろう。

それが可愛そうで、まるで自分の娘のように可愛く感じた。

南方「それでわざわざ謝りに来たのね」

瑞鶴「はい。本当にすいませんでした・・・」

南方「もういいから。失敗は誰でもするんだから、間違えたと思うんだったら次から気をつけなさい」

南方「これでこの話はおしまいっ」

笑顔でそう言われると瑞鶴はもう何も言えない。ただただ申し訳なかった。

南方「ほら、もう泣かないの」

抱きしめられた。その優しさに触れて、瑞鶴は声をあげて泣いた。

泣き止むまで南方棲鬼は瑞鶴を抱きしめて、子供をあやすように撫で続けた。

瑞鶴(やっぱり提督さんのお母さんなんだ。すごく・・・優しい)

通常、艦娘に母は居ない。だけど、これが母親というモノなんだと思うと心が温かくなった。

そしてそのまま眠りについてしまう。

南方「あらあら・・・」

そんな瑞鶴に南方棲鬼は微笑むと布団に寝かしつけて、今夜は一緒に寝ることにした。

瑞鶴「・・・おかあさん」

それは寝言。

南方「本当に娘みたい」

微笑みながら瑞鶴を撫でる。

南方「早く・・・言わなくちゃね」

事実を知って提督は受け入れてくれるだろうか?

母と呼んでくれるだろうか?

願わくば・・・普通の親子のように、

今までの時間を埋めるように、

自分に甘えて欲しい。

そんなことを考えながら、眠りに落ちた。

南方棲鬼の様子を見に来た榛名はまるで母娘のように寄り添い眠る瑞鶴を見て、

表情を曇らせた。

榛名(なんで・・・お義母様に気に入られてるんですか・・・)

ポタポタと音がするので見てみると、それは自分の血だった。

あまりにも拳を強く握り、爪が皮膚に食い込んでしまっていた。

榛名「・・・瑞鶴」ハイライトオフ

黒い感情を必死に抑えて、榛名は自室に帰って行った。

また、翔鶴も瑞鶴を探していたら、南方棲鬼の部屋で仲睦まじく寝ている所を目撃した。

特に何もせず、自室に戻る。

部屋に戻ると、机の上の写真立てに入って飾られている写真が目に入った。

それは瑞鶴と一緒に撮った写真。2人共笑顔だ。

提督が撮ってくれたから。その視線の先に提督が居たから。だから2人とも笑顔。

翔鶴「・・・なんで」

手で払いのけるように写真立てを机から落とした。

静かな室内に写真立てのガラスの割れた音が響いた。

翔鶴「なんで何時もあの娘なのよっ!!」

誰に言うわけでもなく、ただ怒鳴る。

翔鶴「何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も・・・」

なんで何時も瑞鶴なんだろう。

何時だって妹は得をする。

棚からボタ餅なんてレベルじゃない。

幸運の空母。

結局は生まれ持った運なのか。

それに比べ、自分は被害担当艦なんて揶揄される始末。

どんどん溢れてくる黒い感情。

愛おしい妹は同時に嫉妬の対象でもあった。

姉妹である以上、必ず比べられる。

そして何時も私は・・・

行き場のない怒り。壁を思わず殴ってしまう。

強く殴りすぎて拳から血が出た。

だけど、痛みは感じなかった。それを上回る感情のせいで感覚が麻痺していた。

翔鶴「好きなのに。愛しているのに」

妹を思う気持ちに嘘はない。

だけど同時にとても、とても憎たらしかった。

きっと私達姉妹のどちらかなら、瑞鶴が選ばれるだろう。

そうやって何もかも私が負ける。

翔鶴「嫌・・・なんで私は・・・」

心より敬愛し、愛している男性。

提督の彼女となり、いずれ結婚するのが夢であり、今現在生きている理由の全てだった。

負けない。負けたくない。

他の誰にも。特に妹の瑞鶴には・・・

以前、先走って実行した既成事実を作る作戦は失敗した。

危うく、鎮守府の艦娘の全てを敵に回す所だった。

その時は鳳翔さんの口ぞえもあり、事態は収縮した。

彼女の存在は空母の艦娘に取っては大きすぎる。

全ての空母の原点であり、空母の母と言っても過言ではない。

彼女を敵に回すのは絶対に避けたい。

強行的な行動は、厳しく制限され、今は協定条約違反になり使えない。

だから、チャンスがあるとすれば秘書艦の時。

それは所属する艦娘誰もが同じだろう。より距離を縮めるチャンス。

翔鶴「早く・・・秘書艦の順番回ってこないかな・・・」

そう言えば、以前に食堂で南方棲鬼に尋ねられたことがあった。

提督を好きかと言う質問だ。

無論、好きと答えた。

そして次が『提督と結ばれなければどうする?』と言う質問。

何故、そんなことを尋ねるか不思議だったが、こう答えた。

『多分、その場で死ぬかもしれません』ハイライトオフ

その回答に南方棲鬼は顔を真っ青にして震えていたが・・・

あれは恐らく、提督の嫁候補の選別をしていたのだろうか。

母親としては息子の嫁になる人物は気になることだろう。

だとしたら・・・あの回答は・・・

翔鶴「不味いことしちゃったかな?」

でも大丈夫。

いくらでもこれから汚名は返上出来る。まだ、勝負は終わってないのだ。

全ては終戦後。

だから早く、戦争は終わらせないと。

その為にはどんどん殺さなくては・・・深海棲艦を。

翔鶴「大丈夫。まだ大丈夫。チャンスは・・・ある」

そして翔鶴は眠りに付いた。

翌朝、部屋に戻ってきた瑞鶴が割れている写真立てに気付いた。

瑞鶴「翔鶴姉! どうしたのこれ? 割れてるけど・・・」

翔鶴「昨日の夜、うっかりころんじゃって割れちゃったみたいなの」

瑞鶴「もう。ドジだなぁ・・・大丈夫? 怪我してない?」

翔鶴「平気よ。ありがとう瑞鶴」

「もう!翔鶴姉はそそっかしいんだから」と瑞鶴は笑い、翔鶴も笑みを返す。

それから、お義母さまが優しくてと昨晩の話を始めた。

別に自慢をしているワケじゃない。特に意識していない意味のない会話。

どこにでもある姉妹の仲睦まじい光景。

瑞鶴は気付かなかった。

姉が笑っていても、目だけは笑ってないことを。

その拳が強く握られていることを・・・

姉が向ける嫉妬の感情を。

翔鶴「そう、良かったわね。瑞鶴」ハイライトオフ

瑞鶴「うんっ!」

姉の言葉に瑞鶴は元気よく満面の笑みで返した。

一方・・・深海では・・・

イ級「これは何なんですか?」

ヲ級「それはお金です」

イ級「オカネ?」

ヲ級「そうですね。価値感を共通化し、統一したモノですかね」

イ級「と言いますと?」

ヲ級「その価値に見合ったサービスや物を手に入れることが出来るのです」

ヲ級「人の生活は、そのお金を得ることを前提に考えられているようです」

ヲ級「時間や技術を売り、それに見合った対価としてお金を得る」

ヲ級「そのお金で自身を強化したり、補給したり、なんらかの価値のあるものと交換する」

ヲ級「つまる所、人の生活の根底を支えるシステムの一つでしょう」

イ級「ニンゲンは面白いことを考えますね」

リ級「このタカラクジというのは?」

ヲ級「それは大多数の者達から、少数の金持ちを作るというシステムです」

リ級「なんの為にです?」

ヲ級「お金があれば、自分が望む物を手に入れやすくなるからではないでしょうか?」

ロ級「これはなんですか?」

ヲ級「それは てれび というものですね」

ロ級「てれび ですか?」

ヲ級「映像を電波で流して、それを受信する機械です」

ロ級「それは何のために?」

ヲ級「情報を得る為や、単に意味のない娯楽らしいですよ」

リ級「色々な物を作るのですね人は」

イ級「海の底は色々なモノが落ちてますね」

ヲ級「人というモノを知り、学ぶには良い環境なのかもしれません」

ロ級「てれび・・・か。そういえば泊地水鬼様が見たいって言っておりました」

イ級「変わり者ではありましたが、良い人でした。考え方が我々に近かった」

ヲ級「惜しい方を亡くしました」

チ級「教祖さま!!」

ヲ級「何事ですか」

チ級「先の戦いの敗残兵が・・・」

ヲ級「続けなさい」

チ級「既に戦意はなく、今後、無益な戦いはしたくない、我々の傘下に入りたいと」

ヲ級「仲間が増えることは良いことです、受け入れの準備を」

チ級「しかし、これ以上に規模を拡大して、あの方の逆鱗に触れたら・・・」

ヲ級「だから常に拠点を移動させているのです。それに・・・」

チ級「それに?」

ヲ級「我々を頼りにココまで来た同胞を見捨てろと?」

チ級「いえ! ただちに受け入れ準備を致します!!」

イ級「我々もすぐに向かいます」

リ級「仲間を助けましょう」

ヲ級「そう、仲間を思い、助け合いましょう。さすれば神は我等を必ずや加護してくださいます」

そう言って皆で、写真に向かって祈り、拝む。

全員「神よ・・・」

それは提督の写真だった。

???「へぇー ソイツがテートクって奴なんだ」

リ級「誰だ貴様!! 不敬だぞ!!」

ヲ級「・・・見ない顔ですね」

レ級「始めまして。ボクはレ級。あの方の孫? なのかな?」

その発言に一同はギョッとする。

ヲ級「では・・・南方棲鬼様の娘!?」

レ級「そーだよ。面識はないけど」

ヲ級「どういうことですか?」

レ級「よく分からないけど、ママを深海棲艦にした時、ママのお腹にもう一つ命があったんだって」

レ級「それがボクらしいよ?」

ヲ級「・・・初耳です」

レ級「ボクも最近聞いたんだ。ママだって知らなかったハズだよ!」

何が楽しいのかケラケラと笑う。

レ級「あっ そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。貴女達を消しに来たわけじゃないから」

レ級「会った事もないママのことはどうでもいいんだ。仇を取るつもりもないし」

レ級「そのママを倒したって鎮守府の連中と戦って見たいんだ!強いんでしょ?そいつら」

周りの信者達は皆口々に『無謀だ』『愚かな』『天罰があるぞ!』と叫んだが、

レ級に睨まれると皆口を閉ざした。

レ級「ここに来れば、居場所が分かると思ったんだけど・・・教えてくれるよね?」

レ級「教えてくれないと全員殺すよ?」

恐ろしいまでの殺気を放つレ級に対し、成す術は無く情報を渡さざる得なかった。

レ級「楽しみだなぁ・・・何人殺せるかなぁ」

心底楽しそうに笑うレ級を、この場に居る者はとても恐ろしく感じた。

投下完了。
いつも感想どーもです。

気がつけばイタリアがレベル95でした
これはケッコンかなぁ
未だに課金するたびにちょっと後悔が・・・
一度カードでチャージすると、どうせなら職人も!とか
母港増やすか!とか想定以上に使っちゃうし。←良いカモ


次回は月曜くらいに・・・おやすみなさい

捕虜の部屋

泊地水鬼「zzz・・・・」

提督(なんで、こんなにリラックスしてるんだ・・・)

泊地水鬼「・・・ん」

提督「起きたか? 尋問を始めたいんだが・・・」

泊地水鬼「テートクかぁ おはよう」

提督「もう昼だが・・・」

泊地水鬼「そうなの?」

提督「そうなのだよ」

泊地水鬼「それで?何を聞きたいの?」

提督「まず、君が人類に対して敵意がないかを聞きたいかな」

泊地水鬼「ないよ。全然。戦うの好きじゃないし」

提督「じゃあ、なんで戦ったんだ」

泊地水鬼「南方棲鬼が貴方達に殺されたと思ったから」

提督「深海棲艦も友人という考え方はあるんだな・・・」

泊地水鬼「さぁ? 私は変わり者だから」

提督(だろうな。ここ数日の記録を見たが・・・反応に困る)

泊地水鬼「と言っても私が知っていることなんて殆どないよ?」

提督「どういうことだ」

泊地水鬼「基本的に自分の縄張りから出なかったから」

提督「ふむ・・・君達は目的は? 人類の殲滅なのか?」

泊地水鬼「さぁ? 恐らく3食きっちり食べて、ひたすら寝ることじゃないかしら」

提督「・・・・・・それが目的なら戦争なんて起きないんだがな」

泊地水鬼「なんで戦争してるの?」

提督「深海棲艦が攻めてきたから・・・と言うのが人類側の認識だ」

泊地水鬼「ふ~ん。なんで戦うのかな」

提督「それを知りたいんだけどな」

泊地水鬼「大変だね」

提督「所で、ここの生活はどうだ? 悪い扱いはしていないが」

泊地水鬼「良い所だねここは・・・ずっと寝ていても怒られないし」

提督「・・・そうか」

霧島「司令。これ以上は時間の無駄です」

提督「・・・ふむ」

泊地水鬼「そうだ」

提督「なんだ?」

泊地水鬼「貴方、私の提督になってよ。ここでの生活すごい良いし」

霧島「・・・あ?」

提督「・・・仲間を裏切るのか?」

泊地水鬼「私の仲間は、友達は・・・南方棲鬼だけだよ」

提督(・・・随分好かれて居るんだな)

泊地水鬼「早く私を自由にして欲しいな。てれびってのを見てみたい」

霧島「立場を理解していないんですかね?」

提督「そうだな。もう少し様子を見て、害がないのであれば監視付きで出歩くのを許可しよう」

霧島「・・・またですか」

霧島(しかし、コイツが一撃で長門さんを大破させた敵? とてもそうは・・・)

霧島(本当にそうなら、一度殺りあいたかったんですけどね・・・残念)

提督「彼女達と友好な関係を築くことで、人間と深海棲艦でも和解できると証明になる」

霧島「ええ、理解はしています」

泊地水鬼「ほんと!? 出歩けるの楽しみにしてる!」

提督「欲しい情報は中々聞き出せないな」

霧島「・・・そうですね」

提督「早く突き止めたいものだ・・・深海棲艦の上位存在を」

泊地水鬼「それって一番偉い人?」

霧島「はい。そうです」

泊地水鬼「突き止めてどうするの?」

提督「話し合いの席に立たせる。言葉が通じるならな・・・」

泊地水鬼「南方棲戦姫様のこと?」

提督「・・・うん?」

泊地水鬼「いや、だから一番偉い人」

提督「その南方棲戦姫ってのが深海棲艦の上位種なのか?」

泊地水鬼「一番最初に存在した姫級みたい」

提督(まさか・・・20数年前に記録されている・・・固体か?)

泊地水鬼「それ以前に泊地棲姫様が人類の前に出たって聞いたかな」

泊地水鬼「その時は人類側の戦力を殲滅したみたいだけど」

泊地水鬼「南方棲戦姫様が一番偉いって認識で良いと思う」

泊地水鬼「あの方が指示したことを私達でこなしてたと・・思う。多分」

霧島「何故、知っているなら話さなかったんです?」

泊地水鬼「だって聞かれなかったから・・・」

提督「その存在に会うことは可能なのか?」

泊地水鬼「無理じゃないかな。姿を見たことがある者は少ないし、どこにいるか分からないし」

提督「そんな状況で作戦の指揮を執ってたのか深海棲艦側は」

泊地水鬼「指揮なんて誰も取らないよ。あの方は全体の方向性を示すだけ。作戦は私達で立ててた?」

提督「何故、疑問系なんだ」

泊地水鬼「あんまし分からないし興味も無いし」

提督「問題はどう接触するかだな・・・」

霧島「そうですね」

提督「他は何か知らないのか?」

泊地水鬼「特に。あっ・・・」

提督「どうした?」

泊地水鬼「噂だけど、深海棲艦に変なこと言う新勢力が出来たって聞いたかなぁ」

提督「・・・新勢力?」

泊地水鬼「詳しくは知らないけど、神を崇めているって聞いたよ」

提督「神? 深海棲艦が信仰する存在が?」

泊地水鬼「詳しくは知らない」

霧島「危なそうな連中ですね・・・」

提督「色々と新しい情報が入ったがいいが・・・さてどうするか」

泊地水鬼「私、協力的でしょ?」

提督「ん? ああ、そうだな。助かる」

泊地水鬼「見返りに てれび ってのを見せて欲しいんだけど」

提督(何が目的なんだろう?情報収集か?・・・だが確かに有益な情報も得たし・・・)

泊地水鬼「ダメ? 見返りに、もうひとつ情報を」

提督「・・・なんだ?」

泊地水鬼「南方ちゃんのすりーさいずを・・・」

直後、ドアが吹っ飛び、泊地水鬼に激突した。

泊地水鬼「ひゃばらっ!?」

霧島(変な悲鳴・・・)

南方「何、口走ってんのよ!!! この馬鹿!」

泊地水鬼「ひどい・・・」ボロッ

提督「南方棲鬼? 何故ここに・・・」

榛名「尋問の様子が気になると、ここまで来たのですが・・・」

南方「いきなり人のスリーサイズなんて言い出すのが聞こえて・・・ごめんなさい」

南方(なんで息子の前で、そんなことを知られなきゃ行けないのよ・・・どんなプレイよ)

提督「ふむ。じゃあテレビを見せてあげよう」

泊地水鬼「ほんと!?」

霧島「よろしいのですか?」

提督「これまでの応答を見ても間諜とも思えないしな・・・」

霧島「そうですが・・・」

提督「霧島。君に彼女の監視を任せる」

霧島「私がですか?」

霧島(司令が私を頼ってくれた!! 命令してくれた!!)

提督「頼めるか?」

霧島「ハッ! この命に代えましても!!」

提督に信頼され、任された。

これは霧島にとって、とても光栄なことだった。

失敗は許されない。

提督に失望されたら死ぬしかない。

徹底的に監視しなくてはと思った。

提督「その、まぁ普通に見ていてくれればいいぞ? あまり気を張るな」

霧島「ハイ!」

提督「では霧島、娯楽室まで泊地水鬼を連れて行ってくれ」

霧島「了解しました。 時間はどれくらいでしょうか」

提督「この部屋のドアの修理が終わってから戻ってもらうとしよう」

南方「ごめんなさい・・・」ペコリ

提督「いや、大丈夫だから」

南方(息子は優しい・・・良い子になって・・・)ホロリ

南方(これで無自覚な女癖の悪さが無ければ・・・)

霧島は南方棲鬼に一礼すると泊地水鬼を連れて出て行った。

提督(なんで最近、南方棲鬼を敬っているんだろう皆。 関係が良いのは歓迎だが・・・謎だ)

場所を変えて、娯楽室では泊地水鬼が念願のテレビを見ていた。

泊地水鬼「これが・・・噂のブンメーの機器・・・」

霧島(何が目的なのかしら? やはり情報収集? 監視はしっかりしないとね)

泊地水鬼「おお? おおおおお?」

霧島(さっきからコイツ、アニメしか見ねぇ・・・)

夕張「良かったらコレ見ます?」

泊地水鬼「なにそれ?」

夕張「ブルーレイっていうアニメの映像が入ったモノですね」

泊地水鬼「見る!!」

霧島(・・・またアニメ見始めた・・・2人に増えた)

漣「面白そうなことしてますね」

霧島(・・・また増えた)

夕張「アニメを見るときの作法があるんですよ」

泊地水鬼「サ・ホー?」

夕張「まず、ポテチを開けます」

泊地水鬼「ぽてち? 食べ物? 食べていいの?」

夕張「どうぞ」

泊地水鬼「・・・意外といける。というか美味しい! 深海には無かった!!」

夕張「そしてコーラです」

泊地水鬼「おおっ!! なんかシュワッとした!」

夕張「どうですか?」

泊地水鬼「最高だね!!」

漣「さらに、横に寝そべります」

泊地水鬼「えっと・・・こう?」

夕張「はい。クッションを挟むと楽ですよ?」スッ

泊地水鬼「本当だぁ・・・なんかきがぬけるー」

漣「この状態で食べて、呑んで、アニメをまったり楽しむのですよ」

泊地水鬼「いいねぇ・・・こういうの好きー」

夕張「気が合いますね」

初雪「さらに、手の届く範囲にリモコンやティッシュもあると完璧だと思う」

霧島(次々と増えていく・・・)

漣「確かに・・・それこそ理想の一つですね」

泊地水鬼「このまま寝て過ごしたーい」

3人「さんせー」

その様子を遠くで見ていた長門は複雑な気持ちだった。

長門「あれが・・・この私を大破に追い込んだ奴だと言うのか・・・」

陸奥「見事に堕落してるわねぇ」

ドアの修理が終わり、泊地水鬼が部屋に戻らされた。

提督「どうだった? 彼女は」

霧島「そうですね。脅威は多分ないかと・・・思いたいですね」

提督「そうか」

霧島「見ただけなら、タダのダメな奴です。社会的に」

提督「・・・そうか」

霧島「ですが、あれが演技だとしたら・・・」

提督「そうは見えないが・・・」

霧島「目的が分かりませんよ。本当に戦いを嫌う深海棲艦なんて居るのでしょうか」

提督「彼女の言葉を信じるなら、そうなんだろうが・・・暫くは様子見だな」

霧島「どうしますか? 一言、命令くだされば、直ぐにでも始末を」

提督「おいおい・・・女の子があまり物騒なことを言うな」

霧島「女である前に軍艦です」

提督「我々は軍属だ。戦地へ赴けば、血生臭い光景を見ることもあるだろう」

提督「命の危機に晒されることもあるだろう」

提督「だが、いいじゃないか。こんな時くらいは束の間の平穏を謳歌しても」

霧島「・・・そう・・・ですね」

提督「霧島は頼りになる戦艦だけど、それと同時にとても可愛い女の子で、自慢の部下だ」

提督「せめて、直接戦場に居ない時くらいは血生臭いことから離れさせてあげたいんだがな・・・すまん」

そう言うと提督は頭を下げる。

これに霧島は慌てて叫ぶ。

霧島「そんな、頭を上げてください! 司令は何一つ悪くないのですから!」

お互い謝りあった後、そんな姿がおかしくて2人して笑った。

霧島は勇気を振り絞って聞いてみた。

霧島「私って・・・可愛いんですか?」

提督「とても可愛いと思うけど?」

世辞でもなんでもなく、本心からの言葉だった。

だからこそ、霧島は恥ずかしくなって、早々に会話を切り上げて

逃げるように執務室を後にした。

それを提督は不思議そうに見ていた。

霧島(司令が可愛いって言ってくれた・・・可愛いって・・・可愛いって・・・)

心が満たされる。

穏やかだ。

霧島(それに、私の事を信頼してくださっている・・・)

それが何より嬉しい。

霧島(信頼と親愛に答えなくては行けない)

霧島(愛する司令の為に)

自分が一番だなんて思ってない。

自分が結ばれるなんて思ってない。

自らの姉妹も含めて敵は強敵すぎる。

だからこそ、自分は二の次で提督の安全と平穏と幸せのみを願う。

それを害する者はけして許さない。

霧島(貴方に害する者は全て私が・・・)ハイライトオフ

血生臭いと言われようが、それが提督の為になるのであれば・・・・

そんな決意を新たにして、先程の自分の容姿を褒める言葉を思い出しながら、自室に戻って行った。

途中で比叡とすれ違ったが、霧島は全く気付かなかった。

比叡「どうしたんだろう? なんか霧島嬉しそうだったな」

比叡は執務室のドアを数度ノックしても応答がないので、一言断わってから室内に入る。

すると提督は椅子にもたれ掛かったまま寝てしまっていた。

比叡「疲れてたのかな・・・最近忙しそうだったし」

とりあえず、頼まれていた徹甲弾の改修を終えたので、その報告書を提出する。

比叡(司令・・・)

腕を組んだまま眠りにつく提督。

比叡(今なら、司令を殺せるのかな)

そんな恐ろしいことをふと思った。 自分でも恐ろしかったが思考は止まらない。

比叡(そしたら・・・司令は私だけのもの 私ダケノ・・・ワタシダケノ)ハイライトオフ

後は標本か、ホルマリン漬けにでもすればずっと一緒に居られる。

誰にも盗られない。自分だけの提督だ。

しかし、それだといずれ劣化する。永遠に一つになるには・・・

比叡(そうだ。食べれば良いんだ 骨も肉も何もかも)

そうすれば一つになれる。自分と提督の血が混ざり、一つの存在となる。

それがとても素晴らしいことのように感じた。

未来永劫、永遠に一つだ。

どうせ自分は勝てない。

実の姉である金剛への愛が強すぎて、提督の魅力に気付くのに遅れた。

出遅れたと感じた。

皆、魅力的な娘ばかりだ。自分が入り混む余地はない。

何時か誰かと提督が結ばれる。

その誰かを殺しても、その場所に立つことなんて出来ない。

別の誰かが立つだけだ。

自分の場所にはならない。

だったら、もう自分だけのモノにすればいい。

未来全てを奪い、自分と一つに昇華される。

比叡(ひとつになれば・・・もう離れることはない)

比叡(そう、第三者が私と司令を引き裂くことなんて出来ない)

自分でも恐ろしいと思う。

間違ってると思う。

だけど、その考えが頭から離れない。

ふと壁にかけてあった鏡に自分の姿が写る。

目が蒼く光って見えた。

その色を知っている。

その目を知っている。

だって何度も何度も戦っているから。

何時も戦っている・・・よく知っている目だ。

比叡(・・・私は何を)

自分の醜い思考にゾッとした。

提督「・・・ん? 俺は寝てたのか? なんか部屋がやけに寒いな」

比叡「おはようございます? こんな所で寝ると風邪をひきますよ司令」

提督「比叡か? どうした」

比叡「改修が終わりましたので報告書を・・・」

提督「ありがとう。 遅くまでスマンな」

比叡「それよりも司令も自室で休んでくださいよ」

提督「しかし、まだ全て終わって無くてな・・・」

比叡「眠そうですよ? もう寝て、明日の朝からやればいいんですよ」

比叡「人手が足りないなら呼んでください。手伝いますので」

提督「そうだな。心配かけてすまない」

比叡「いえいえ」

提督「比叡は優しいな。 ありがとう」

比叡「っ!!」

ドキリとした。

本当に屈託のない笑顔。心から信頼して、愛している者に向けるような

綺麗な・・・とても綺麗な笑顔。

比叡「・・・しっ失礼します!!」

提督「どうしたんだアイツ・・・」

提督「しかし、姉妹揃ってなんなんだろうな・・・変なことしたか?俺」

一礼して、執務室を飛び出だした。

比叡(危なかった・・・)

あの笑顔は反則だ。

あんな表情を向けられたら自制が効かなくなる。

諦めているのに、どうしても欲しくなる。

どんな犠牲を払ってでも・・・

ないと思っていた未来。

大好きな提督と2人で一緒になって、子供を生んで、

たまの休暇に金剛の家に言って・・・

皆で楽しそうに笑う。そんな幸せな未来。

だけど、それを望んでは行けない。

望んでも手に入らない。

手に入っても、姉の金剛を悲しませる。

妹の榛名も正気を保てないだろう。アレは 私と同じか・・・それ以上の・・・

比叡(やめよう。 愛する妹を悪く思うのは)

皆、提督が大好きなのだ。

誰か一人が選ばれた時点で殺し合いになるかもしれない。

恐らく、皆それすら見据えて強くなろうとしているように思える。

諦めないと行けないと思う気持ち。

諦めたくないと思う気持ち。

だから押し殺して、諦めようと自分に言い聞かせていた。

だけど・・・

―――比叡は優しいな。 ありがとう


比叡(あんな笑顔を向けられたら・・・諦めつかないじゃないですか)ハイライトオフ


その先に待っているのは親しい者すら敵となる血塗られた道なのかもしれない。

だけど、比叡の中では諦めるという意思は既に無くなって居た。

比叡(少し・・・頑張って見ようかな)

自室に戻り、鏡で自分の顔を見る。

あの忌々しい蒼い光は既に目に宿って無い。

鏡に写る自分はとても満足そうに、けれど、どこか強さを感じる目つきで笑っていた。

それから少し後、泊地水鬼も南方棲鬼と同じ様に監視付きでの

鎮守府内の自由行動が許された。

一方、レ級は海を彷徨っていた。

レ級「どこにあんの鎮守府。あの氷の大陸?」

すると尻尾が喋った。

尾「あれは南極ですよ多分」

レ級「通りで寒いわけだっ!!」

尾「どうするのですか」

レ級「ここが南極なら上に行けばいいんだよね? 地球の」

尾(アバウトすぎる・・・)

レ級「上が北極?で下が南極? 地球の真ん中が赤道だったけ」

尾「大まかに言えばそうですね」

レ級「なら上を目指そう。行くよっ」

尾(何時になったら目的地につくのでしょうか)

レ級「体暖ためよーか」

尾「どうやってです?」

レ級「手当たり次第に出会った奴ぶっ飛ばすの」

尾「ここにくるまで散々、艦娘の部隊を大破させてきたじゃないですか」

レ級「あれだけじゃ足りないよ」

尾「とりあえず暖かいところ行きましょう」

レ級「赤道付近を目指そうかな」

尾「どこでもいいです ここよりは」

レ級「そうだね その通りだね」

尾「では早く行きましょう」

レ級「ナビは任せたよ」

尾「わたしにそんな機能はありませんよ」

レ級「レッツゴー」

尾「大丈夫でしょうか」

投下しようとしたらPCがブルーバック。
結局一部修正し直してこんな時間に!! 
オオウ・・・睡眠が取れて2時間半か・・・

また手が開けば投下します。
オヤスミー
感想何時もどうもです。


>泊地水鬼「貴方、私の提督になってよ。ここでの生活すごい良いし」

泊地水鬼「貴方、私の旦那様になってよ。ここでの生活すごい良いし」
て言ってたら血の雨が降るんだろうな。(遠い目)
深海勢はそろいもそろって、ポンコツとは…

横須賀鎮守府

元帥「はい、もしもし。なんだオマエか・・・」

元帥「いきなり電話が来たと思えば・・・何? 取材? 」

元帥「いきなりどうした。・・・何を考えている」

元帥「まぁ構わんが・・・」

元帥「提督の方には伝えよう。だが、妙な騒ぎは起こすなよ?」

そういって電話を切る。

元帥「何故、突然?・・・あいつ等は提督に対して過保護すぎるからなぁ・・・」

元帥は独り言のつもりだったが、傍らに立つ秘書の妙高が答えた。

妙高「貴方も十分過保護ですよ」

元帥「・・・そうかもな」


一方で電話の相手は元帥との会話が終わるとニヤリと笑った。

「まさか・・・生きていたなんて」

嬉しいような、憎いような、なんとも言えない気持ちだった。

「どの面下げて深海棲艦と化して戻ってきたんでしょうね」

あの鎮守府は発足してから今日まで常に監視していた。

提督の行動は全て。

「あの人の子に何かあっては行けない。絶対に・・・絶対に」ハイライトオフ

「もしも、貴女の存在が、害にしかならないのであれば・・・」

「私は・・・殺しますよ」

「それが、かつての同僚で、友人で、愛した人の妻であっても・・・」

鎮守府に直接、正面から乗り込む。

これは今までしなかった。

あくまで裏から手を回す。それが自分を含めた仲間達の暗黙の了解だった。

だが今回は違う。想定外のことが起きている。

「楽しみですね・・・来週が・・・」

女はカメラを手に取り、ファインダーを覗く。

その先には写真立てがあった。

写るのは、かつての仲間達と愛した人。

いや、今でも愛し続けている人。

あの日、ここに写る大半が死んだ。出撃して戻ってこなかった。

「あれから20年余り。ずっと私達の心は、あの時から止まったまま・・・」

唯一の生きる希望は彼の息子を見届けると言う義務。

「どうか、私を失望させないでくださいね・・・」

「殺したくないから 殺したいけど、殺したくないから・・・」

「ね?」

そう言ってかつての友の名前を呼んだ。

その名前はカメラのシャッターの音でかき消された。

鎮守府、執務室。

提督「はい。分かりました」

提督が通話を終え、受話器を戻す。

村雨「どうしたの? 誰からの電話?」

提督「元帥からだよ」

村雨「・・・何かあるの?」

提督「鎮守府に取材が来るらしい」

村雨「・・・取材?」

提督「なんでも、広報の一環らしいぞ」

村雨「ふぅん」

村雨(外部の人間か・・・大丈夫かな)

村雨(一応、皆に知らせておかないとダメだよね)

村雨(誰かバカなことして問題になったら困るし)

提督「取材は来週らしい。また朝礼で詳しく話す」

村雨「来週は他にも予定あるんでしょ?」

提督「先輩との演習予定だな」

村雨「ふぅん。どんな人?」

提督「むちゃくちゃな人かな」

村雨(同じ提督なら男性? なら警戒は取材のみに絞れる・・・か)

提督「で? こんな時間に一体なんの用なんだ?」

村雨「ちょっと部屋まで来て欲しいんだけど・・・」

提督「もう夜22時だぞ? そろそろ休む時間だろうに」

村雨「来れば分かるって」

提督「・・・分かったから引っ張るなって」

白露「いらっしゃーい!」

提督「・・・で? どうしたんだこんな時間に 部屋の中が真っ暗じゃないか」

時雨「実は色々あってね」

提督「どうしたんだ?」

時雨「アレだよ」

提督「ホラー映画?」

村雨「明石売店でレンタルを始めたんだって。夏だから」

提督「そう言えば、先週にそんな申請を通したなぁ」

夏場と言えばコレでしょ!と強く推され、こういう娯楽が

皆のリフレッシュに繋がると力説されて、許可したのだった。

春雨「その・・・恐くて・・・」

村雨「そう。女の子だけじゃ恐くてさ。だから終わるまで居てくれない?」

五月雨「お願いします!」

涼風「頼む、提督!」

提督「何時も、もっと恐ろしい敵と戦ってるじゃないか・・・」

涼風「深海棲艦は恐くないだろ! 実体があるんだし!!」

五月雨「そうですよ!」

時雨「確かに幽霊とか出てこられても、殺しようがないよね。既に死んでるんだから」

夕立「幽霊とか、どうやって殺せばいいか分からないっぽい どんな相手でも生きているなら殺せるのに」

提督「あまり恐ろしいことを言うもんじゃない。分かったよ。終わるまで居るから・・・」

そして提督も見ることになった。

白露型の部屋は2部屋に分かれている。

白露、時雨、村雨、夕立、春雨の5人で一部屋。

五月雨、涼風の2人で一部屋。

5人2人で分かれていた。

五月雨と涼風の部屋が5人部屋なのに2人しか居ないのは、

未だに発見されない海風、山風、江風の3人が見つかった場合に

すぐに相部屋に出来る配慮であったのだが、

2人きりというのは寂しいようで、よく白露の部屋に7人集まることが多かった。

提督「で? なんでこうなってんだ」

テレビを正面から見れる白露のベッドに皆で集まり視聴する。

提督を座らせて、右から時雨が腕を絡める。

左からは夕立が。左右からガッチリとホールドされた。

春雨「・・・あの、失礼しますね。うんしょっ」

提督「おいおい・・・」

春雨が提督の膝に座った。

春雨以外の全員がギョッとして、提督に見せられないような顔をした。

夕立(当たり前のように膝に座るなんて・・・やるっぽい)ハイライトオフ

時雨(・・・ピンクは淫乱って本当なんだ)ハイライトオフ

白露(・・・淫乱ピンク妹め)ハイライトオフ

春雨(提督の匂い・・・やだ・・・濡れちゃいそうです)

五月雨(・・・幼い容姿を生かして・・・やりますね)ハイライトオフ

涼風(クソッ・・・もう少し早く陣取っておけば・・・)ハイライトオフ

白露姉妹達が、そんな見えない戦いを水面下で繰り広げる一方で提督は的外れなことを思っていた。

提督(まぁ 小さい娘だから、そこまで重くないが・・・これが大人組だったら映画が終わる頃は足がしびれそうだ)

村雨「村雨ぱわーあっぷっ」

後ろから村雨が抱きつくよう提督に被さった。

これに、またもや他の姉妹は驚愕する。

背中から抱きつくとテレビが見えない。

それは困るのだ。

何せ「幽霊が恐いっ! 提督ー」と恐がるそぶりを見せての抱き付き行為が出来ない。

そう皆は考えていたので、背中にくっつくという考えは無かった。

白露(だけど・・・村雨は後ろから攻めた・・・)

夕立(膝立ちをしても、下が布団だからヒザが痛くないっぽい)

長時間、膝立ちをすると膝に負担が掛かり、痛みを感じる。

しかしどうだろう。今回はベッドの上だ。つまり柔らかい布団の上。

これは長時間、この体勢で居ても、ヒザへの負担が少ないことを意味していた!!

時雨(しかも、提督の背中に覆いかぶさり、体重を提督に向けることで下と前に重さを分散して、さらに負担を軽減している!)

それだけではなかった。

春雨(その体勢の副産物・・・それは・・・)

涼風(胸を・・・押し付けられることっ!!)

そうなのだ。ごく自然に、自らの胸を提督の背中に押し付けることが可能なのだ。

五月雨(それに、あの体勢・・・まるで・・・あすなろ抱きのように・・・)

提督の頭の隣に頭が来るので、顔と顔との距離が近い。そう、姉妹の誰よりも・・・

時雨(それをも狙って!!?)

村雨はニヤリと笑った。初めから全て計算をしていたとでも言うように・・・

村雨以外の姉妹全員はそれに戦慄した。

今回のホラー映画を見る行為はこれが目的。

恐がり、提督に自然と抱きつく。

そこで自分達に対して『女』として見て貰うように仕立てること。

時雨(もっともそれは『表向き』の建前だけどね。目的は別にある)

その為に、計画は入念に準備された。

まず、自分達の自室を選んだのは監視カメラがないからだ。

知らない間に誰かが仕掛けることは考えにくい。

念の為に、事前に徹底調査して調べ尽くしているので、その心配はない。

つまり、姉妹以外が部屋の中を伺い知ることは出来ない。

さらに提督の執務室と、提督の部屋に仕掛けられているカメラや盗聴器は今頃はダミーの

映像と音声が流れている。

カメラはあらかじめ撮ってある映像と切り替える細工をした。

盗聴器に関しては、ダミーの音声を拾わせている。

協力者に技術者が居たのが幸いした。

つまり、監視している誰もがいつもと変わらない夜だと思っている。

さらに、先日の五航戦問題もあり、皆は過激な行動は慎む。だからこその好機だった。

姉妹でホラー映画を見ていたら恐くなったので提督を呼んだ。

そのまま寝ちゃって気が付いたら朝だった。

理由としては十分だ。幾らでも『言い訳』として通用する。

時雨(翔鶴さんは露骨だから、ダメだったんだよ)

全ては計画通り。

誰一人、マジメに映画を見ようなんざ思ってない。

提督を除いて。

提督(思えば・・・映画なんて見るのは久しぶりかもしれない)

村雨「提督~ こわーい」ギュー

提督(幽霊はCGかな? すごいリアルだ。 まだ、このような娯楽を作る余裕があることは良いことだな)

提督(昔は夏場になると、カイスイヨクと言う物が人気を博したらしいが・・・)

深海棲艦出現以降は、海辺でのレジャーは廃れた。

危険であるとされ、一般客には海辺は遊泳禁止になり、開放されなくなったのだ。

その為、内地でのプール等の娯楽が充実しており、夏場は賑わうらしい。

時雨「提督・・・今夜一人で寝れないかも・・・」ギュー

提督(人類側に余裕が無くなると、旧大戦みたいに戦意高揚のプロパガンダ映画ばかりになるかもな・・・)

夕立「提督・・・抱きしめて欲しいっぽい」ギュー

提督(おおっ!? 今のは少しドキっとした! 窓の外に顔が・・・この男、死にそうだな)

春雨(うう・・・司令官の温もりが背中に・・・どうしよう。濡れてきちゃう・・・///)

提督(呪いのフロッピーディスク?・・・今時フロッピー?)

涼風「・・・」ギュー

時雨(涼風・・・演技じゃなくて本当に恐がってる・・・意外と、こういうのダメなんだ)

五月雨「今!! 顔が!! 顔が!!!」ギュー

時雨(こっちもか・・・)

提督(エンディングか・・・意外と面白かったな)

姉妹全員の心が一つになった。

全員(提督が全く、動じない・・・)

提督「さて・・・終わったし俺は戻るぞ? もう遅いから早く寝るように」

部屋を出ようとする提督を6人は慌てて止める。

時雨「・・・見捨てるのかい? 提督はそんなことしないよね?」

夕立「提督、薄情っぽい!!」

提督「いや、もう日付変わってるし、時間も遅いし、明日の業務もあるし・・・」

五月雨「私達と仕事、どっちが大事なんですか!!」

提督「仕事は大事だ。人の命と国の安全が掛かってる」

それは、この仕事をする者に取っては当たり前の模範的な答え。

提督「けど、君達のことも同じくらい大事だよ。だから疲労が溜まった状態で戦地に送りたくない」

6人の視線を受け止め、真摯な気持ちを伝えた。

皆『自分のこと』を大事だと言って貰えたように感じて頬を朱色に染める。

提督「だから、もう休むように。じゃあまた明日」

涼風「泊まってけば? 恐くて寝れないしさ」

村雨「うん。それがいいよ」

提督「馬鹿を言え。部下の女の子の部屋に、男の俺が泊まれるワケないだろう」

時雨「やだな提督、ボク達ケッコンしてるじゃないか」ハイライトオフ

提督「カッコカリだろ・・・」

時雨「夫婦なんだから普通だよ」ボソッ

夕立「そうだよ。普通、普通。大丈夫っぽい!」

村雨(二人ともカッコカリしてるから・・・いいなぁ)

提督「何が!?」

五月雨「それに提督からすれば、私達は子供なんですよね? よく言ってるじゃないですか」

涼風「じゃあ恐がる子供が寝付くまで居てもいいんじゃね?」

白露「そうだよ! 寝るまで居てよ提督」

春雨「ダメ・・・ですか?」

提督(7人も居るんだし恐くないと思うが・・・)

提督(女の子だけじゃ心細いのかもしれんな・・・まだまだ子供だなぁ。微笑ましい)

提督「分かった。じゃあ君達が寝付いたら俺は戻るぞ?」

白露姉妹全員「分かってるって」(返すわけないじゃない)

白露「じゃあ提督はここで寝て」

提督「いや、寝るわけにはいかんだろ」

夕立「横になるだけっぽい!」

提督「分かった、分かったから・・・これでいいか?」

春雨「失礼しますね」

白露「ちょっと!? 一番は私だよ!?」

五月雨「早いもの勝ちです!」

時雨「そうだよ。戦いは常に非常だよ」

村雨「じゃあ私も良ポジ、ゲット!」

涼風「いただきぃ~」

白露「だーかーらー、一番は私だって!!」

提督を囲むように皆、横になる。

提督(身動きが取れん・・・)

時雨(・・・提督は一度眠ってしまうと中々起きない)

夕立(恐らく朝まで起きないっぽい)

春雨(つまり、一度でも・・・寝てしまえば・・・)

五月雨「提督の為に子守唄でも歌いましょうか?」

提督「いや、寝るのは君達だろ・・・早く寝てくれると助かるんだが・・・・」

春雨「司令官は私達と居るのはお嫌ですか・・・?」

少し悲しそうに春雨が尋ねた。

提督はそれに慌てた。

提督「嫌とかじゃなくてだな、その、女の子の部屋に寝転んで囲まれてって色々不味いだろ?」

時雨「ボク達はなんとも思ってないよ?」

提督「いや、少しは思ってくれ。何か間違いでも起きたら不味い」

提督自身は艦娘に手を出すつもりがないが、多くの艦娘を率いて、鎮守府を任されている以上は

鎮守府運営の、弊害になるような不祥事を起こす訳には絶対に行かない。

それは自分を信じてくれている部下や、育ての親であり、恩師である元帥への裏切りのようなものだ。

今まで自分を支えてきた人達、全てに失望され、多大な迷惑をかけることになる。

涼風「・・・問題、起こす気あるの?」

提督「ない」

あまりに即答したものだから、白露型姉妹は少し面白くなかった。

白露「だったら別にいーじゃん。何かするつもりないんでしょ?」

提督「色々世間体というもんがあるんだよ」

村雨「平気だって」

最初こそワイワイと提督を交え、会話をしていたが、時間が立つに連れ、喋り疲れて一人、また一人と寝てしまう。

提督(皆、寝たか?・・・そろそろ戻らないと・・・俺も眠さが・・・)

立とうとする所で、声をかけられた。

時雨「提督、何時もありがとうね」

提督「時雨?」

時雨「ボク達、姉妹の我侭につき合せてゴメンね?」

提督「何時も頑張ってくれているんだ。これくらい・・・」

時雨「ボクも姉妹も寂しいんだよ。毎日、毎日、提督とお喋り出来るわけじゃないし」

提督「それは・・・」

確かに所属する艦娘の数は100を超える。

所属艦娘は日替わりで秘書艦をやる形で定着しているが、それでも全員と

毎日、しっかりとコミュニケーションを取れているかと言われると、消して取れているとは言い難かった。

無論、仕事の合間に鎮守府を巡回して話しかけたりと、自分なりに努力はしているが、

あまりに大人数なので、全てはカバーしきれないのが現状だ。

時雨「だからさ、今日くらいは皆と一緒に居てくれないだろうか」

周囲を見ると、提督に抱きつくように眠る春雨はしっかりと提督を掴んで放す気配はない。

まるで妹のように感じて少し微笑ましい。

五月雨も、涼風も、白露も、夕立も、村雨も、

皆が提督と一緒に居たいと言ってるかのように、提督の衣服の一部を掴んで眠っている。

提督「参ったな・・・これは・・・」

自分は、この子達に寂しい思いをさせていたんだなと申し訳ない気持ちになった。

時雨「ダメ・・・かな?」

提督「・・・今日だけだぞ?」

本来なら不味い事だ。部下の少女達と雑魚寝など。

だけど、時雨の真摯な気持ちや、皆が寂しい思いをしていたと思うと

頑なに拒むのも可哀想な気がした。

まだ幼い少女達だ。問題にはならないだろう。

これが戦艦や空母、重巡や軽巡等であれば、危険度はあがるだろうが。

まだ、自分の中で完全に納得は出来てなかったが、

時雨「ありがとう」

と笑顔で喜ぶ時雨を見たら、今日くらいは、この娘達の我侭に付き合っても良いかなと思う気分になった。

日頃の疲れもあり、そこで意識が途絶えた。

時雨「・・・提督? 寝ちゃった? 疲れていたんだね。何時も頑張ってるから・・・」

微笑みながら提督の頭を撫でた。

時雨「何時もありがとうね。僕たちを大事にしてくれて」

提督の口にそっとキスをする。

村雨「それアリなの?」ハイライトオフ

時雨「なんだ起きていたのか」

村雨「じゃあ、私も・・・」

続いて村雨も提督にキスをした。

村雨「ヤバイねこれ。胸がドキドキしてる。大好きな人とキスってこんな気分なんだ。濡れてきちゃった」

時雨「それよりどう? 前に話した事は・・・」

村雨「私は別に構わないけどね。他の姉妹も同意見みたいよ?」

時雨「それは良かった。無用な争いをしなくて済むよ」

五月雨「なんの話ですか?」

春雨「・・・どうしたんです?」

夕立「っぽい?」

村雨「3人とも起きたんだ」

時雨「白露と涼風は完全に熟睡してるね」

五月雨「それより、2人ともキスしてましたよね」ハイライトオフ

時雨「うん」

村雨「最高の気分だった!」

五月雨「じゃあ私がしても、文句言えませんよね?」

時雨「うん、するといいよ。それもこの前、話したよね」

五月雨「じゃあ・・・失礼しますね? 寝てますよね提督?」

村雨「うわぁ大胆。私もあんな風に見えたのかなぁ」

五月雨「しちゃいました!! キスしちゃいました!! ファーストキスッ!!」

春雨「じゃあ次は私が・・・ウンッ・・・」クチャクチャ

村雨「こら、舌を入れるのはダメよ」

五月雨「はうっ!? なんて大体な・・・」

春雨は、とろけた目をして、顔を紅潮させて息遣いがとても荒くなっていた。

春雨「司令官・・・ハァハァ」

時雨(ピンクは淫乱って夕張が言っていたけど、やっぱり本当なんだね)

夕立「次は私の番っぽい!!」

夕立が何度もキスをする。

村雨「そんなに何回も・・・」

夕立「マーキングっぽい!」

村雨「これだけしても起きないんだ提督」

時雨「皆は、例の案には納得がいってもらえたかな?」

村雨「こうして見ると共有するってのも悪くないと思うけどな私は」

五月雨「選ばれないってことはないですからね」

春雨「一番に慣れないのは嫌だけど・・・私も賛成です」

夕立「私も別に良いっぽいけど」

村雨「姉妹同士でギスギスしたくないしね」

その言葉に皆が頷いた。

時雨「ありがとう。ボクは少し席を外すよ。あまりハメを外しちゃ駄目だよ?」

村雨「分かってるって」

夕立「どこ行くの?」

時雨「ちょっと経過報告に・・・ね」

時雨はそういうと自室を出て行った。

明石の部屋

青葉「時雨さんが来たみたいですよ」

明石「合言葉を」

時雨「一夫多妻賛成」

明石「どうぞ」

時雨を部屋に招き入れた。

部屋の中には明石、青葉、陽炎、加賀が居た。

青葉「どうでしたか」

時雨「概ね皆、理解を示してくれたよ」

明石「今回のテストケースは成功ですね」

時雨「ボクは提督とひとつになれるなら・・・一夫多妻でも良いと思う」

この集会は一夫多妻を容認すべきという考えを持った者の集まりだった。

加賀「貴方が賛成するとは思わなかったけど」

時雨「・・・本音は自分が一番でありたいし、誰かに渡したくないよ?」

それは皆同じだった。

時雨「だけど、それで姉妹同士で争ったりするのは嫌かなってさ」

陽炎「そうよね・・・すごい分かるわ」

青葉「陽炎さんのとこは姉妹が多いですからね」

今回の計画は時雨だけの発案ではなかった。

事前に時雨は白露型の姉妹全員に語った。

一夫多妻の可能性を。皆が提督と結ばれる未来を。

提督をモノ扱いするような言い方は好きではない。

最初は皆、戸惑ったが、結果は上手く提督を姉妹で共有できた。

皆が提督を愛している。

女性として、心から愛している。

提督の一番になりたい、提督を独占したい、他の誰でもない、自分が結ばれたい。

この鎮守府の艦娘は誰もがそう思ってる。

だから仲の良い姉妹でも、提督が絡むことで姉妹間に亀裂が入り、

その事を深刻視する勢力が生まれた。

また、青葉が興味本位で取ったアンケートがあった。

『もしも、提督が他の女と結ばれたら?』

その回答が『その場で自害します』とか、『相手を殺して自分も・・・』だったりとか、

『そんな未来は絶対ありえないから考えるだけ無駄デース』だったりとか、

そんな回答が8割で、青葉は事態の深刻さを知り、どうすれば解決するか考えた。

そこで出てきたのが一夫多妻であった。

誰もが提督と結ばれる、一緒になれる。

ならば姉妹や仲間同士で、いがみ合う事はない。

少なくても、仲間同士で殺しあうような最悪の未来は回避出来るかもしれない。

青葉(そりゃ私だって、司令と結ばれたいですよ・・・自分だけが・・・)

でも、それでは駄目。

もしも、誰か一人が選ばれた時点で絶対に争いになる。

恐らく死人が出るレベルで・・・

皆だって、それは悪いこと、良くないことだと頭では理解出来ているだろう。

だけど感情が制御出来なくなる。

そんな狂ってしまうくらいに提督を愛していた。

提督は部下の艦娘全員を大事にしてくれる。大切に思ってくれている。

誰かが死んだり、傷付いたら提督は深く悲しむことだろう。

青葉も、ここに居る皆も、それは絶対に嫌だった。あってはならないことだ。

だから、そんな未来は絶対に避けなければならない。

今回の白露型姉妹の件は、姉妹同士での提督の共有を承認できるかどうかのテストでもあったのだった。

青葉「結果は良好。姉妹全員が一応の納得はしていると・・・」

明石「良い結果じゃないですか」

時雨「そうだね・・・とりあえずは・・・」

陽炎「正直、私はまだ微妙な気がするんだけどね」

加賀「何がです?」

陽炎「まるで提督をモノ扱いしてるのが気に入らないかな」

青葉「そういうワケじゃないんですが・・・」

陽炎「・・・ごめん」

時雨「全体の意見はどうなんだい?」

明石「賛成派が60%、反対派が30%、残りは回答を控えていますね」

青葉「どう転ぶか、様子見してるって感じですかね」

時雨「金剛姉妹は反対なんでしょ」

明石「あの姉妹、裏では結構ギスギスしてますからねぇ」

青葉「少しづつでも、納得して貰うしかないですね」

陽炎「法律とかどうなの?」

青葉「そっちはどうとでもなります・・・問題は・・・」

加賀「提督ご自身が納得しないだろうと言うことね」

時雨「多分納得してくれないと思うけど、その辺りはどうするの?」

そう。それが一番の問題。

提督はきっとそんなことを承諾はしない。

青葉「ちゃんと話あって、納得して貰うつもりですよ」

全員(果たして納得してくれるだろうか・・・)

加賀「お義母様には報告するの?」

明石「いや、事が事だけに今は辞めたほうがいいと思う」

陽炎(・・・母親の立場だと胃に穴空きそうね)

青葉「なんにせよ、これら全ては提督には内密で」

全員「分かってる」

提督に感づかれたら、全てが終わる。

だから全て、その時が来るまでに水面下で事を進める必要があった。

時雨「それと、取材のことだけど・・・何か分かった?」

青葉「辛うじて、恐らくは女性であることは。だけど、おかしいんですよ・・・」

明石「何がです?」

青葉「経歴も、個人情報もデタラメ。ハッキングしても、そもそも本当にその人物が存在するのかも分かりません」

陽炎「・・・どういうこと?」

青葉「情報が一切ないんですよ。何者なんでしょうか? こんなこと初めてです」

加賀「少し警戒した方が良さそうね・・・」

時雨(妙なことにならないと良いけど・・・)

一方、白露型の部屋では・・・

村雨「提督・・・・好き・・・大好き・・・」

村雨は強く、横になって眠る提督を背中側から抱きしめる。

それだけで、心が満たされた。

一方、提督の正面には春雨が抱きついてた。

春雨「司令官・・・ウッ・・・ハァハァ・・・」

息はとても荒く、下半身を何やら小まめに動かしているが、五月雨は見なかったことにした。

五月雨「そろそろ・・・」

夕立「変わるっぽい!」

村雨「えー もう? いいけど本番はダメだよ? 鎮守府が終わるから。多分壊滅するから」

五月雨「分かってますよ」

夕立「ステキなパーティはまた今度にするっぽい!」

白露「提督・・・提督って柔らかくて気持ちいいんだね」

涼風「提督・・・そんなに激しく・・・やめ・・・」

白露と涼風はお互いが抱き合って、相手を提督と思い込んで熟睡していた。

村雨「幸せそうだねぇ」

春雨「お互い起きたら、どんな顔をするんでしょうか」

村雨「春雨は良かったの? 提督と皆で結ばれるって話」

春雨「・・・少しだけ嫌かも」ハイライトオフ

村雨「そうよね・・・」ハイライトオフ

春雨「でも、お姉ちゃん達と争ったりするのはもっと嫌だから・・・」

村雨「本当に春雨は良い子だね~」

妹の頭を撫でると春雨は気持ちよさそうに微笑んだ。

春雨「だって皆で幸せになった方が、きっと楽しいと思うの」

その言葉に姉妹皆が賛同して笑った。

夕立(でも・・・)

五月雨(一番は・・・)

春雨(第一夫人は・・・)

村雨(この・・・)

全員((((私だけどね))))ハイライトオフ

翌朝、提督が目を覚ますと皆、とんでもない寝相で寝ていた。

何故か皆、服がはだけている。

提督「はははっ・・・皆、寝相が悪いなぁ・・・」

全員に上からタオルケットをそっとかけると提督は自室へ戻って行った。

戻る途中、執務室の前で大井に会った。

提督「どうした? 随分早いな」

大井「提督? こんな早朝から、どちらへ?」

提督「少しな・・・」

大井(あれ?・・・提督の衣服から甘ったるい女の匂いがする)

提督「・・・どうしたんだ?」

大井「提督は今までどちらへ?」

提督「いや、そのだな・・・」

大井「ど ち ら へ ?」ハイライトオフ

あまりに大井の雰囲気が恐ろしくて、提督は昨晩の事を全てを打ち明けた。

執務室、仕事中。

大井「大体、いくら駆逐艦とは言え、一晩を共にするなど・・・」

提督「すまん。断わりきれなくてな。軽率だった」

大井「本当です。大体、提督は普段から・・・」

提督「あの・・・」

大井「聞いてますか?」

提督「なんで俺のひざの上に座るんだ?」

大井「提督は先程言いましたよね?」

提督「え・・・と何を?」

大井「部下に手を出す事は絶対にしないと」

提督「言ったな」

大井「だったら、私がこうして提督に密着していても手を出しませんよね?」

提督「・・・どういう理屈だ」

大井「罰です。提督が悪いんです」

何を言っても無駄そうなので、提督は諦めて書類仕事を再開した。

提督には見えていなかったが、大井は少し頬を染めて、とても幸せそうな表情をしていた。

遠征に行く前の挨拶で執務室を訪れた北上はそれを見て、(やっぱり気があるんじゃん)と心の中で呟いた。

その頃、南方棲鬼はその様子を監視カメラで見ていた。

南方「なんであれで気付かないかなぁ・・・」

どう見ても、好意を抱いているのは一目瞭然なのに。

南方「本当にどういう教育を・・・元帥め・・・」ハイライトオフ

そこでドアがノックされる。

南方「どーぞー」

瑞鶴「お邪魔しまーす」

南方「どうしたの?」

瑞鶴「この烈風なんだけど、誰の物でもないみたい」

南方「え? この鎮守府のモノじゃないの?」

それは何時だったか、自室に尋ねてきた烈風。

誰かのイタズラかと思ったが、この鎮守府のモノじゃないときた。

南方(どこから来たのかしら・・・)

烈風を瑞鶴から受け取ってあることに気付いた。

翼の裏側に傷があった。

南方(あれ?・・・この傷・・・どこかで見たような・・・)

既視感は合ったが、思い出せない。

それがモヤモヤした。

瑞鶴「それよりそろそろお昼だけど・・・」

南方「そうね。一緒に食堂に行きましょうか」

瑞鶴「やった! お義母さんと一緒だ!」

南方「ふふふ・・・」

南方棲鬼は無邪気に喜ぶ瑞鶴をとても可愛らしく思った。

最近の日常。何時もと変わらない光景。

こんなに普通に暮らしていて良いのか疑問だった。

しかし、それも長くは続かない。

艦娘、深海棲艦、提督を取り巻く者達が少しづつ動き始めたから。

誰もが認識出来ないまま、事態は少しづつ、加速して行くのだった。

投下完了シマシタ
何時も感想どうもです。
1です。

以前、少しだけ触れましたが、
社畜なもんで、なんと9月末くらいまで休日がないようでして
更新が凄いまばらか、少し開くかもしれません。

あんまり間を空けるのも嫌なんですけど、
自分でも引くくらい忙しい繁忙期なもんで、生活もあるし
仕方ないのです・・・
時間と心に余裕があれば書き足したもんを投下するかもしれません。
なるべく空けない様にはしたいですが状況次第ですので、
気長に待っていただけると嬉しいです。
ごめんなさい。


ホント夏イベどうしよう。WINタブ買おうかな・・・
おやすみでち

執務室

秋津洲「神様! 終わったかもー!!」

提督「秋津洲。 その神様って呼び方は止めてくれないか・・・」

秋津洲「え? だけど・・・」

提督「提督でいい。むしろそう呼んでくれ。お願いだから、頼むから」

秋津洲「どうしても?」

提督「どうしてもだ。その呼び方は困る」

秋津洲「・・・分かった。提督」

提督「・・・ありがとう」

提督(この前、町へ買出しに行った時は変な目で見られたからなぁ)

少し前のことである・・・

秋津洲「え?・・・お菓子買ってくれるの!?」

提督「ああ、好きなの選びなさい」

秋津洲「ありがとうっ!! 神様!!」

スーパーの店員「!!?」

なんてことがあった。

何度言っても、ずっと神様、神様と言うから、周りからおかしな目で見られたかもしれない。

だが実際には少し違っていた。

スーパー店員(神様だと・・・やはり・・・そうだったのか)

スーパー店員(空を飛び、深海棲艦を倒し、町民を救った英雄・・・)

スーパー店員(祖父も言っていた・・・あの人は神だ、戦神様だと・・・)

スーパー店員(この地の伝説だと人の世に降りた神が世界を平定し、光を齎すという・・・)

スーパー店員(神よ・・・どうか、世界に光を・・・)

町民1(やっぱり、提督様は・・・)

町民達((((神様なんだ!!))))

提督(うわぁ・・・すごい見られてる・・・なんか拝んでる人も居るぅぅ!!?)

無論、提督はそんな事情は一切知らない。

提督「しかし、今週ずっと秘書艦を頼んでるけど、まだ3日目ですごいな・・・」

秋津洲「え? 何が?」

提督「書類仕事。どれも問題ないよ。ありがとう」

秋津洲「ありがとうございます! 所で・・・」

提督「なんだ?」

秋津洲「あたしも出撃したいかもっ!」

秋津洲(まだ一度も戦闘したことないし・・・)

秋津洲(戦いへの恐怖はあるけど・・・)

自分が保護された日のことを思い出すとゾっとした。

秋津洲(でも、何時までもこんなのダメ。神さ・・・提督に失望されちゃう)

何より、それが一番恐かった。

保護されてすぐの頃は他の艦娘すら恐かったが、提督と一緒に挨拶に回り、

何度かリハビリを繰り返した結果、今では普通に艦娘と会話くらいは出来るようになった。

提督「じゃあ、午後の鎮守府前の海域の哨戒任務をお願いしようかな」

秋津洲「任せてっ!!」

そして、秋津洲が旗艦となり、睦月、如月、皐月、三日月、望月と共に出撃した。

鎮守府海域

秋津洲「敵を発見したかもっ!!」

睦月「そうだね。どうするの?」

秋津洲「皆、あたしにやらせて」

望月「え? まぁいいけど・・・」

三日月「張り切ってますね」

如月「私たちで援護するから好きに動いて良いわよ?」

睦月「新人さんの訓練も兼ねてるからね」

皐月「お手並み拝見だね」

艦娘と出くわした深海棲艦は震えていた。

イ級「舞鶴の・・・艦娘・・・あああ」ブルッ

ハ級「だからこの海域は止めようって言ったのに!!」

イ級「だって!! タ級様が行けって!! 滅多に出くわさないからって!!」

秋津洲「かくごぉぉぉ!!!」

イ級「ひっ!?」

秋津洲の攻撃は明後日の方角へ。

そしてイ級が無我夢中で放った一撃で秋津洲は大破した。

皐月「弱っ!?」

睦月「だ・・・ダメだよ。そういうこと言っちゃ」

イ級「え? やったの・・・?」

ハ級「いいから今のうち逃げるぞ!!」

睦月「とりあえず、今は秋津洲ちゃんを!」

三日月「大丈夫ですか?」

望月「傷はあさいぞー」

秋津洲「  」ボロッ

三日月(ここは私が秋津洲ちゃんを・・・)

三日月(献身的に後輩の面倒を見ることで・・・)

三日月(秋津洲ちゃんから司令官にこの事が伝わって・・・)

三日月(司令官に「三日月は優しいな」なんて褒められるんです)

三日月(そして、ご褒美をくれたりして・・・)

三日月(何が欲しい?って聞かれたら私はこう答えるの)

三日月(司令官がほしいって・・・そして・・・)

三日月「ふふふ・・・・」ニヤッ

秋津洲(なんであたしを見て笑ってるんだろう・・・)

皐月(ボクが秋津洲を連れて帰るわけだ)

皐月(司令官が褒めてくれる・・・)

皐月(もしも、何かして欲しいことがあるかと聞かれたら・・・)

皐月(一緒にゲームして遊びたい、朝まで一緒に寝たいって言うんだ)

皐月(幸い、ボクは子供だと思われてるから成功する確率は高い・・・)

皐月(純粋な子供の頼みとして聞いてくれると思うし)

皐月(一度寝ちゃえば司令官は起きないから・・・)

皐月(後は既成事実を・・・)ゴクリ

皐月(部屋の監視カメラと盗聴器は場所も位置も分かるから・・・)

皐月(部屋の掃除をしてあげるとでも言って全て除去する)

皐月(流石に夜に司令官が居る場所に仕掛けには来れない・・・)

皐月(チャンスは一度だけ。ボクは全力でそれにかける)

皐月(おまけに掃除も出来る女の子としてアピールも出来る・・・)

皐月(すごい!!完璧な作戦じゃないか!)

皐月「えへへへへ・・・」

望月(ここはあたしが秋津洲を運んであげるかな)

望月(そうすれば、司令官の中であたしの評価はウナギ上り・・・)

望月(褒められても、いいよめんどくさいって感じで跳ね除ける)

望月(司令官は頑張りには評価をくれる傾向があるから、何かとしたがるだろう)

望月(最後まで渋って、じゃあ一緒に昼寝しよと誘う)

望月(だけど、昼間は仕事で昼寝なんて無理)

望月(無理だと分かっても言うわけ)

望月(渋った末に、ようやくあたしが出した提案だから飲もうとする)

望月(悔しいけど司令官はあたしを女として見ていないし、子供って思ってるだろうから)

望月(じゃあ夜、俺の部屋で寝るかなんて言い出す可能性が高い)

望月(普通に考えれば問題発言だけど、司令官自身はただの子供だと思ってるから問題と考えない)

望月(大人組も普段のあたしの怠けっぷりを見て、脅威に感じてないから、止めはされないだろう)

望月(司令官が寝てからが本番。司令官のピーをあたしのピーに入れて種を貰う)

望月(そうすれば、女として見るようになるだろうし、孕ませでもしたら責任を取ると絶対に言う)

望月(あたしの小柄な体なら、布団の中から出ずに事を実行出来るので監視カメラには写らないってワケ)

望月(・・・ヤバイ。完璧な作戦じゃんか)

望月「ふふふふ・・・」

如月(ここは私が率先して秋津洲ちゃんを面倒見て、献身的に連れ帰る)

如月(司令官はきっと褒めてくれる)

如月(恐らく、何かご褒美をくれる。今までもそうだったし)

如月(そこで、今夜の食事を一緒に取りたいって言うのよ)

如月(私の手料理を・・・)

如月(睦月型の部屋は2つに分かれていて、卯月達の部屋にはゲーム機がある)

如月(そこで、このようなことがあった時の為にネット通販で買った最新ソフトの出番)

如月(新しいゲームで遊ぶように言えば、後は勝手に卯月達の部屋に姉妹全員集まって・・・)

如月(ゲーム大会が始まる。今までもそうだけど、皆そのまま雑魚寝しちゃうから私達の部屋に戻ってこない)

如月(つまり、部屋には私と提督の2人だけ・・・)

如月(後は、食事にネット通販で買った媚薬を・・・)

如月(司令官がびーすともーどに・・・私の膜を・・・うふふふ・・・あはっ)

睦月(ここは長女として私が秋津洲ちゃんを連れ帰る)

睦月(提督に褒められる上に、優しい子として認識されてアピールになる・・・)

睦月(「流石睦月型の長女だね」ってなるよね・・・絶対)

睦月(そんなことないよ、皆も居たからって謙遜しておいて・・・)

睦月(謙虚で優しい娘って思わせてアピールタイムにゃし!!)

睦月(恐らく提督は必ず何かしてあげようとしてくる・・・)

睦月(そこで2人で遊びに行く約束を・・・デート!! デート!!!)

睦月(初デートはどこがいいかにゃぁー 水族館? 遊園地? 良いムードになって・・・)

睦月(そこで・・・)ゴクリ

秋津洲「・・・なっ・・・なんで皆、笑いながら近づいてくるの? 目が恐いよ!?」

如月「大丈夫よ安心して?」

秋津洲「何が!?」

望月「無事に送り届けるから・・・大丈夫」

睦月「そうだよ。怪我しちゃってるんだから『私』に任せて」

皐月「いや、ボクがやるから皆は周囲を警戒しててよ」

三日月「いえいえ、ここは私が・・・」

秋津洲「え? え?・・・あの・・・え・・・と・・・・」

皆一斉に秋津洲に飛び掛った。

秋津洲「ふにゃぁぁぁぁ!?」

帰還後、すぐに入渠し、さっきは油断しただけと再度出撃するも再び大破した。

青葉の号外『秋津洲ちゃん連続大破15回! 今後の動向は!?』でこの件は鎮守府中に知れ渡たった。

久しぶりです。1です。
実言うと仕事が伸びてまだ暫く忙しいかもしれませんが、今日は一ヶ月半ぶり?(2ヶ月いかないくらい?)の休みで
少し休んでから色々整理して、少しの間はちまちま投下できるかな?って感じになるかと思います。
なんか自宅で布団しいて寝るってすごい久しぶりで軽く感動・・・
夏イベは弟にタブレット借りて、仕事の合間の昼休憩や、出先のホテルでほぼ徹夜でプレイして、イベント開始4日目くらいで終わらせました。
おかげで仕事中辛かったです←アホ
時間もあまり取れないのでバケツと資材の消費を無視して全戦力で徹底的に潰すスタイルでした。
後から知りましたけどE7弱体化とかあったんですね・・・今となってはどうでもいいけど。
風雲だけ手にはいってませんが、時間に余裕があれば周回出来たのにと悔やむばかり・・・チクショウ
糞みたいな仕事してるので忙しくはありますが、なるべくチマチマ投下できるように頑張りたいです(願望)

夜。食堂。

時間も遅く、食堂に居るのは秋津洲一人。

秋津洲はとても悩んでいた。

今日だけで大破15回。自信が塵芥のように消え去った。

秋津洲「なんで私・・・こんなに弱いんだろ」

情けなくて涙が出てくる。

榛名「どうしたんですか? 一人で」

秋津洲「はっ・・・榛名様」

榛名「だから様はいりませんよ!?」

秋津洲「では、榛名さんで・・・?」

榛名「それならまぁ・・・で? どうしたんですか?」

秋津洲「少し悩んでいて・・・」

榛名「連続大破の件ですか」

秋津洲「うん」

秋津洲の雰囲気はとても暗い。

榛名「秋津洲ちゃん、手や足ってなんで付いていると思います?」

秋津洲「え? ゴハン食べたりするため?」

榛名「まぁそれもありますね。本来、『艦』であるなら手も足も入りません」

秋津洲「・・・うん」

確かに船に手足が生えていたら不気味な事この上ない。

榛名「ただの軍艦であれば、人の形をしている必要はないんです」

秋津洲「・・・確かにそうかも」

榛名「でも私達、艦娘は人の姿で、かつての軍艦の記憶を持ち、生まれました」

それがどうしたのだろうか。秋津洲は良く分からなかった。

榛名「手があり、足がある。人の形をしている、なら通常の軍艦と同じ様に戦う必要はないのでは?」

秋津洲「どういうこと?」

榛名「例えば、殴る、掴む、蹴る。そんなことも出来るんです。人の体なんですから」

榛名「ただの戦艦では出来ない戦い方も出来るんですよ? 私達は」

秋津洲「人間のような戦い方・・・」

榛名「そういう事は長門さんが詳しいから師事を受けて見ては?」

秋津洲「長門さんに? 榛名さんも強いですけど、榛名さんじゃダメかも?」

榛名「私が教えてもいいですが・・・実戦形式ですと命の保障は出来かねますよ」

秋津洲(確かレベル的にも榛名さんはカンストしてると聞いたし・・・)

正直、恐かった。

秋津洲「・・・な・・・長門さんに聞いてみようかな」

榛名「今、明石さんの工房に居ますよ。41砲の改修をしてましたから」

明石工房

長門「ふむ。事情は分かった。師事してやろう。だが、私は厳しいぞ?」

秋津洲「ありがとうございますっ!」

明石「では、同時に武装の強化もしましょうか」

秋津洲「強化? 出来るの?」

明石「その二式大艇ちゃん? それも良いですか?」

秋津洲「え? これは・・・」

これはとても大事な相棒だ。

渡すことに少し躊躇いがあった。

明石「強くなりたいんでしょ?」

秋津洲「・・・うん」

明石「それと・・・見せたいものが」

秋津洲「え? 見せたいもの?」

長門「まさか・・・アレを秋津洲に?」

明石「貴女が強くなりたい理由はなんですか?」

秋津洲「提督の為・・・提督に失望されたくないから」

明石「そうですか。例えば・・・敵の大群が攻めて来ました」

秋津洲「え? 攻めてきたの!?」

明石「仮定の話です。攻めてきたと仮定します」

秋津洲「うん」

明石「提督が危険な状態、貴女も満身創痍。助けられるのは貴女だけ。そんな状況でどうしますか? 逃げますか?」

秋津洲「・・・それは」

逃げる?

確かに戦いは恐い。沢山、沢山、恐い思いをした。

だけど、今はもっと恐い物がある。

それは提督から失望されること。

大破の数を聞いて提督は苦笑して、優しく撫でてくれた。

だけど、失望され、本当に見捨てられたら? いらないって言われたら?

恐ろしい。とても恐ろしい。

それ以上に恐いことはない。だから戦いになっても逃げるなんて選択はない。

秋津洲「戦います。提督を助けたいもん」

明石「提督の為に敵を殺せますか?」

今の私も、これからも私も・・・

提督が居ないと生きる意味を感じない。

あの人は神様なんだ。私の神様。

私を救ってくれた。大切な存在。

何時も私を見てくれる。

褒めてくれる。

優しくしてくれる。

そして・・・私は神様を心から敬愛して愛している。

無論、一人の女として。

提督の存在は既にそれほどまでに大きくなっていた。

秋津洲「殺します。提督に危害を加える者は全て」ハイライトオフ

明石「それが『誰』であってもですか?」

秋津洲「提督に危害を加えるのであれば敵かも。だったら・・・」

一呼吸置いて答える。

その発言に迷いはない。

秋津洲「殺します」

明石「うん。良い返事です。ようこそ。こちら側へ・・・ではお見せしましょう」

長門(思いの他、すぐ馴染んできたな秋津洲も。最初は酷かったものだが)

明石がなにやらレバーを弄ると、床の一部が可変して上に上がってきた。

緑色の液体の入ったカプセルの中に、見たことも無い複雑な金属の塊があった。

秋津洲「あの・・・これは?」

明石「超重力砲です。以前、ナガラでしたっけ? あれを生きたままバラして剥ぎ取ったモノです」

長門「懐かしいな。沢山捕まえてきたものだ・・・」

明石「これを秋津洲さんの艤装に移植します」

秋津洲「それで強くなれるの?」

明石「なれますよ。そして選ぶのは秋津洲さんです」

秋津洲「・・・私が・・・選ぶ」

明石「欲しいんでしょう? 圧倒的なチカラが・・・」

秋津洲「・・・欲しい。チカラが欲しい・・・」

明石「なら迷う理由はないでしょ?」

秋津洲は迷うことなく頷いた。

それから、鎮守府の裏の雑木林で長門とのトレーニングが始まった。

長門「遅い!! もっと周囲に気を配れ!!」

秋津洲「わっ!? 痛っ!!」

長門「・・・立て」

秋津洲「少し・・・休ませて欲しいかも・・・」

長門「ふん。所詮、貴様はその程度の役立たずか。提督も失望なさるだろうな」

秋津洲「・・・そんなことない!!」

長門「なら立て。貴様のような、使えないグズに休む時間はない」

秋津洲「っ!!」

長門「なんだその目は? 反抗的だな!」

秋津洲「・・・なんでもありません」

長門「次はランニングだ。徹底して体力をつける。行け。これから訓練場のトラックを100周だ」

秋津洲「ひぃぃぃ」

長門の厳しい特訓は続く。

長門「貴様はグズだ。この世で最も劣るゴミムシだ!」

長門「休みたい? 死んでから休めばいい」

長門「貴様は何の役にも立たない虫ケラだ!ゴミだ!!それを自覚しろ!!!」

口を開けば汚い言葉ばかりが飛び出す。

長門「なんだそのへっぴり腰は!! ジジィのフ○ックの方がまだマシだぞ!」

陸奥「ちょっと! 貴女、何とんでもないこと言ってるの!?」

長門「陸奥か。この本に書いてあったんだ」

陸奥「海兵式訓練術? なにこの本・・・秋津洲ちゃんが可愛そうでしょ」

長門「本人が望んでやっていることだ。それにあれを見ろ」

秋津洲「やぁっ!!!!」

陸奥「岩を砕いた・・・!?」

秋津洲「出来た・・・出来ました!! 教官!!」

長門「では、これより私と実戦方式での訓練だ」

秋津洲は生死の境を彷徨っては入渠ドックに送られ、そんな事を1000回ほど繰り返し、逞しく成長した。

長門「合格だ。よく頑張ったな」

秋津洲「はい! 教官!!」

長門「教官はよせ・・・」

秋津洲「は! 長門さん!!」

長門に対し、敬礼をする。

長門「では行け。その力を、技を、示して来い!!」

秋津洲「ハイ!! 提督に害する敵を殺しつくし、徹底的に殲滅してきます!!」

長門「ああ。良い顔だ。一人前の戦士の顔だ・・・」

陸奥(目が死んでるけど・・・)

特訓が終わるころ、艤装の改造も終わり、再び提督に頼んで出撃した。

提督はなんか良く分からないけど、最近自主訓練をしていた程度に

話を聞いていたので出撃を許可した。

睦月「また同じメンツだねー」

皐月「なんか訓練していたのは知ってるけど、どうなの?」

秋津洲「もう、以前の私は居ないかも。今の私はただの愛する神の使いだから」ハイライトオフ

望月(やべぇ・・・コイツが何言ってるか分からない・・・)

三日月「前方、敵よ」

如月「どうするの? 私たちは援護に回るけど」

秋津洲「ごめん、私一人にやらせて」

皐月(大丈夫かなぁ)

睦月「分かった。でも、危険と判断したら介入するからね?」

秋津洲「うん!」

一方で、深海棲艦も艦娘を捉えていた。

ホ級「・・・敵だ」

イ級「なんで何時も私が当番の時に!!」

ハ級「おい、アイツ・・・」

イ級「アイツは・・・前に私が15回も大破させた・・・」

ハ級「なんだ! 誰かと思ったら秋津洲? だったけ? この前のザコじゃない」

ロ級「ギャハハッ 確か初陣で仲間に大恥晒したって奴か!!」

深海棲艦にボロクソ笑われるが気にしない。

秋津洲(特訓の成果を見せるよ・・・)

イ級「お仲間は後ろで見てるだけか。この前もそうだったな」

ロ級「やろうっ!! 4対1でヤル気か!!」

深海棲艦側は秋津洲をただのザコだと思っており、士気が高かった。

しかし、目前に居たハズの秋津洲の姿が消えた。

電探にも反応はない。

秋津洲「・・・まずは一隻」

気が付くと側面に居た。砲撃をする訳でもなく至近距離に接近していた。

ロ級「早いっ!!」

秋津洲「・・・遅いかも」

イ級「!!?」

手刀。ただそれだけ。イ級の目を潰し、そのまま頭部を貫通した。

悲鳴すらあげる暇は無く、イ級は絶命、秋津洲が手を引き抜くと血液に似た体液を撒き散らしながら海へ沈んで行く。

ハ級「イ級!!?」

秋津洲「・・・なんだ。こんなんでいいんだ」

ハ級「よくも!!!」

ホ級「こちらの攻撃が当たらないっ!!」

秋津洲「すごい・・・艤装の出力が大幅にあがってる・・・」

依然とは比べ物にならない力を感じる。

もう、恐怖に怯えていたあの頃の自分は居ない。

秋津洲「あれを試そうかな」

艤装が展開する。

皐月「あれは・・・」

如月「超重力砲?」

睦月「秋津洲ちゃんも取り付けたんだ」

三日月「あの出力に耐えられるかしら・・・少し心配ね」

しかし、なんてことはなく放ち、その1撃でハ級はチリ一つ残さず消滅した。

秋津洲「・・・二式大艇ちゃん。コードD」

二式「戦闘モード デストロイモードガ ニュウリョク サレマシタ」

秋津洲「さぁ・・・行って来て」

二式「センメツスル・・・」

二式大艇は装甲がスライドし、間接が露出、人型へと姿を変える。

ロ級「なんだ!?戦闘機が変形した!?」

二式「センメツ・・・」

ホ級「なんだ!? なんなんだコイツは!!?」

いわゆるロボットという奴だろう。

人型に変形した二式大艇は空を飛びながら接近し、執拗に攻撃を加える。早すぎて捉えることすら困難だった。

ホ級「だから、ここの海域は止めろって言ったんだ!! ここの鎮守府の指揮官はイカれてるって絶対」

ロ級「違いない。こんな連中の親玉だ。マトモな訳がないな」

その発言で戦場の空気が完全に変わった。

絶対零度とでも言うべきか。

ホ級は必死に逃げ道を探す。

ホ級(無理だ・・・これは・・・)

秋津洲にはスキがない。

逃げようが後ろからやられるだろう。

さらには少し離れた位置で戦闘を見ている駆逐艦5隻。その存在が不可解だった。

何故? 何故見ている? 

戦闘に介入しない理由が分からない。しかもその5隻は普通ではない。

離れた位置からでも分かるくらいの強烈な殺意を感じる。

仮に秋津洲から逃げられたところで彼女達にやられるだろう。

ホ級(・・・くそ!!)

気が付くとロ級が断末魔の声を挙げて爆散していた。

残るは自分のみ。

秋津洲「私を馬鹿にするのは構わない」

ホ級(なんだ・・?)

秋津洲「けど・・・提督を侮辱した罪・・・それは許されない」

ホ級(何を言っているんだ?)

秋津洲「死を持って償ってもらうかも」ハイライトオフ

ホ級(そうか・・・これが死か)

思えば、自分が殺して来た人間達も・・・こんな気持ちだったのだろうか?

なんで戦いがあるんだろう。

なんで私はニンゲンを殺したんだろう。

なんで私はコロサレルのだろう。

何時までも何時までも・・・こんな血塗られた戦いが続くのだろうか?

ホ級(そうだ・・・私は・・・元々は・・・艦・・・む・・・)

何かが見えた気がした。かつての記憶なのか分からない。

いつかの遠い過去、自分は確かに人を守る為に・・・

何時までも死が訪れない。

秋津洲の拳が目の前で止まっていた。

ホ級「何故・・・トドメをささない?」

秋津洲「・・・あなたから殺意が消えたから」

あの猛特訓をして、自分に自信が付いた。

だから提督に言ったんだ。

『私が深海棲艦を皆倒すから! 皆殺しにするから!』

褒めてくれると思ったのに、提督は複雑そうな顔をした。

そして提督は言った。

『あまり物騒なことを言うな、敵だから何をしてもいいわけじゃない』と。

深海棲艦は人類の敵。

だから戦う。それが当たり前のこと。

『人類に害を成すなら倒す。けどな・・・中には言葉が通じる者もいる。

南方棲鬼や泊地水鬼みたいに。相手に敵意がなく、殺意もなく、言葉が通じ合うなら・・・』

提督もそれが今の世界の常識ではないことは知っているだろう。

そうやって逃がした敵が、どこかで仲間を殺すことになる。

提督はしっかりとソレを認識した上で、無為に命を奪うことはしたくないと言った。

それを甘いと言う艦娘も居る。

自分もそう思う。

けど、彼の優しさに惹かれた。

その優しさに救われている。だから、提督を信じるのが・・・私の・・・・

ホ級「どういうことだ・・・?」

秋津洲「提督は無駄な殺戮は望んでない。貴女がもう人を襲わないなら提督なら見逃すと思う」

ホ級「提督・・・どこか懐かしい響きだ・・・」

秋津洲「ほら・・・さっさとどっか行くかも」

ホ級「・・・もう私は・・・戦わない」

目指す先は深海棲艦でも変わり者扱いされている集団。

教祖が纏め上げた集団は戦うことを否定していると聞いた。

ホ級「あそこなら・・自分の居場所があるのかもしれない」

そう言うとホ級は疲れた様子でどこかへと去って行った。

秋津洲「提督なら・・・こうするかも?」

睦月「うん。多分それが正解だと思う」

三日月「そうですね」

如月「もう既に戦意は無かったしね。あそこまで行くと二度と戦場に出てくることは無いと思うわね」

望月「甘いと思うけどな・・・」

皐月「大丈夫だよ。提督に害を持つ、敵意を持つものは殺せばいいんだから。簡単じゃないか」ハイライトオフ

秋津洲「うん。じゃあ帰るよ、皆」

秋津洲の勝利はすぐに鎮守府に伝わった。

提督「秋津洲、よくやったな。聞いたよ。敵を撃破したと」

提督は秋津洲が鎮守府付近の海域で敵3隻を倒したと報告を受けた。

戦闘には向かない彼女が良く頑張ったものだと関心した。

何やら特訓をしているとは聞いていたが、彼女の努力は報われたようで

自分のことのように嬉しく思った。

頑張った努力の結果、成果を得ることは自分のことのように嬉しい。

それが部下であるなら尚更だ。

提督「でもな、あまり無茶はダメだぞ? 本来は戦闘には不向きなんだから」

その後も何度かの戦闘を経験し、秋津洲なりに自信も出てきた。

この少し後、急遽大本営から敵の大規模作戦の概要を掴んだと連絡があり、

鎮守府のほぼ全戦力が作戦に投入された。

その作戦で、秋津洲は一時的に旗艦を勤め、見事海域の突破に貢献することになった。

全作戦が無事終わり、新たに入ってきた新人達は6人。

照月、瑞穂、海風、江風、リベッチオ、速吸。

新人達は戦艦のように純粋に戦闘用でもない秋津洲の活躍を目の当りにして素直に凄いと思った。

そして秋津洲に尋ねた。

「強さの秘訣は?」と

秋津洲は少し間を置いてこう言った。

「・・・身を焦がすほどの愛かな?」ハイライトオフ

皆は首を傾げたが、全員が同じ気持ちになるまで時間はそう掛からなかった。

深海では・・・・

幹部クラスに召集が掛かり、一同は今回の作戦結果を整理していた。

多くの者が焦りを感じていた。

装甲空母姫「何故だ・・・何故我等がこうも容易く・・・」

大規模作戦では確かに自分達、深海棲艦側が優位に立っていた。

だが、それも例の鎮守府が動き出してから攻守が逆転する。

元来、深海棲艦の方が艦娘よりも、より戦闘に特化しており、

単純な戦闘力ならこちらが上のハズだった。

泊地棲姫「なのに何故!! 何故・・・」

あの連中が出てくると、戦闘経験のある者は皆、動揺し、酷い時には勝手に逃走する始末。

始終ペースを持っていかれて、一方的にやられることが多かった。

今回の作戦の戦闘を記録したいた艦載機から映像が流される。

写るのは金剛型の霧島だった。

彼女の艤装の一部が展開し、まるで巨大なハサミのようになって、深海棲艦を捕獲、そのまま握り潰す。

他にも金剛型の戦艦達はデータにない武装を使い、恐ろしい戦闘力で深海棲艦を圧倒していた。

腹が立つことに、戦闘中に握り飯を食べる余裕すら見せていた。

特に榛名。あれは映像で見ても異様だった。

戦艦棲姫「なんだ奴は? これではまるで・・・」

―――自分たち以上に

誰もがそう思った。同胞と言えば、まだ納得できただろう。

他にも、ただの駆逐艦であるにも関わらず、戦艦を殴り倒してたり、海水浴途中にちょっと出撃しましたとでも

言わんばかりの格好の水着を着た連中やら常識を無視した規格外の存在に思えた。

今回、放浪中だったレ級に命令し、わざわざ海外を攻めていた防空棲姫も呼び戻したが、それもあっけなく撃破されている。

泊地棲姫「至急、対策を立てなくては・・・あの連中は異常です」

装甲空母姫「恐らく一番の障害になることでしょう」

誰もが振り返り、奥に鎮座する自分たちのボスとも呼べる存在を見る。

しかし、どうだろう。彼女は笑っていた。

これだけの損害を受けて、作戦は失敗し、屈辱と怒りに染まるなら分かる。

だが、とてもとても楽しそうに笑う。まるでこうなることが嬉しいとでも言うかのように。

誰もが理由が分からない。

南方棲戦姫「見つけた。そうか彼か。彼が・・・」

次に写るは軍艦の甲板に立ち、指示を出している男。白い軍服から推察するに彼が指揮官だろう。

戦艦棲姫「この男を始末しますか?」

南方棲戦姫「余計なことはするな」

冷たく言い放つ。

戦艦棲姫は南方棲戦姫の怒りに触れてしまったと感じ、すぐに謝罪したが、特に南方棲戦姫は気に留めなかった。

南方棲戦姫「見つけた!! ついに見つけた!!! 全てを覆す存在を!!」

狂ったように笑う南方棲戦姫に周りはどう反応して良いか分からず口を閉ざす。

南方棲戦姫「確かに強い、強いよ、彼の艦隊は!! 全てが規格外だ!! それに彼自身も優秀だ!!」

なればこそ、今すぐ討つべきでは? 誰もがそう思った。

南方棲戦姫「だけど・・・その『強さが』が人の世界を終わらせる!!! 人類を滅ぼす鍵になる!!!」

提督の映像を見ながら不気味に口を歪ませた。

南方棲戦姫「そのトリガーが君だよ『提督』・・・フフフ・・・これからが本当に楽しみだ」

何時までも狂ったように笑い続ける。

部下達は皆、萎縮してそれを黙って見ていることしか出来なかった。

投下完了しますた。
前回より間は開かなかったデース!!
色々あって書き貯めが修正しないと使えなくなってるので困ります(汗

今週ログインしてませんでしたが、本日ログインして
翔鶴改2にしましたけど、見た目の変化が少なくて個人的にはちょっとだけガッカリしました。
甲とは図鑑別なんですね。甲にすると秋ボイスが聞けない罠が待ち受けていて普通の改2に戻しちゃいました!
多摩も可愛いし球磨も可愛いし・・・いいですね!

あきつ丸は少し先で出番はありますよ(予定では)
でも活躍がご期待に添えるかは・・・(さーせん)

ではまた近いうちに!
オリョクル(仕事)いってきます!

明石の工房

比叡「すいませーん! アレ、出来てます?」

明石「まぁ・・・一応は・・・」

夕張「なんです?」

明石「中身を入れ替える薬? みたいなのを作ってみまして」

夕張「はい? すいません、よく分かりません・・・」

明石「ええ・・・実はですね」

事の発端は数日前に遡る。

比叡「・・・私はずっと考えていたんです」

明石「何をです?」

比叡「お姉さまと愛し合いながらも、司令と結ばれるのはどうすべきか」

明石「はぁ・・・」(どうしよう・・・果てしなくどうでもいい)

比叡「考えたんですけど、私がお姉さまになれば・・・いいのではないかと」

明石「・・・うん?」

比叡「私が金剛お姉さまと一つになって、さらに司令と一つになれば、それは三身一体なんじゃないでしょうか?」

明石「すいません、何を仰っているかよく分からないのですが・・・」

比叡「例えばですよ? 私とお姉さまが入れ替わるとしますよね?」

明石「入れ替わる?」

比叡「例えば意識だけを交換とか? そうすれば私の魂とお姉様という器は一つになって溶け合って、2人は一つになれますよね?」

明石「はい・・・?」

明石には比叡が何を言っているか良く分からない。比叡の目には光が無く、

すごい発見を自慢するかのように楽しそうに淡々と語る。

比叡「そうすれば私とお姉さまは一時的とはいえ、一つになれます!! そして司令に抱いて頂くんです!!」

明石(その時点で無理でしょ・・・提督は絶対に私達に手を出さないでしょうし・・・今の段階では)

比叡「そうすることで、私とお姉さまと司令は一つになれます!! ね!!」

明石「はぁ・・・そうですねー」(何が ね! なんでしょう)

比叡「そこで作って欲しいんです!!」

明石「何をです?」

比叡「精神を一時的に入れ変えるような発明品を」

明石「いや、流石にそんなもの作れませんよ!?」

普通に考えれば分かる。

そんなモノ、どうやっても既存の科学では作れないと。

比叡「やっぱり無理ですか? 普段から『なんでも作れる』みたいなこと言ってても無理なモノもあるんですね・・・」ハァ

この発言、比叡に悪意は無かった。

明石(この私に・・・作れないですって・・・?)

しかし、比叡の何気ない言葉が明石の工作艦としてのプライドに火を付けた。

明石「作れますよ!! それくらい! 一週間待ってください!」

というやり取りがあったのだった。

夕張「いや、無理でしょ!?」

明石「出来ましたよ」スッ

一見すると普通の栄養ドリンクのようだった。

夕張「本当に作っちゃったの!?」

明石「大変でしたよ。既存の技術では無理なので、妖精さんにも協力して貰って・・・

妖精さんの技術と、陰陽術やら黒魔術なんて非科学的なモノまで取り入れて、クトゥルーの・・・・」ブツブツ

夕張「へ・・・へぇ・・・」

比叡「すごいです!! 流石です明石さん!!」

明石「作ったはいいですが・・・本当にやるんですか?」

比叡「・・・反対ですか?」

明石「意図的に鎮守府内の治安や、パワーバランスを崩すと何が起こるか分かりませんよ」

夕張「下手したら鎮守府内で戦争になりかねませんね・・・冗談じゃなくて割りと本当に・・・」

比叡「・・・そうですね。地図から鎮守府が消えるかも」

明石「私としては、司令に迫るのは止めた方がいいかなって思いますよ。今は」

比叡「同じモノは作れますか?」

明石「お時間を頂ければ出来ますけど・・・」

比叡「でしたら、今回はお姉さまと入れ替わるだけにしましょうかね・・・司令と一つになるのは全てが終わった時の楽しみに取っておきましょう」

その時、工房に加賀がやってきた。

加賀「ええ、それがいいわ。最もそんな時が来るとも思えないけど」

夕張「加賀さん? どうしたんですか」

明石「ああ、烈風改のオーバーホール終わってますよ」

加賀「ありがとう」

比叡「・・・加賀さん? どういう意味ですか?」

加賀「言葉通りの意味よ。全てが終わっても貴女の望みが叶うことはないわ」

比叡「・・・空母風情が」ボソッ

加賀「・・・戦艦なんて所詮、空母には勝てない時代遅れの産物でしょうに」

比叡「貴女だって元は戦艦でしょ・・・空母なんて艦載機が無ければ、何の役にも立たないじゃないですか」

加賀「艦載機が全て落とされる前に敵を叩けば良いだけよ」

比叡「全部撃ち落してあげますけどね」

加賀「近代の主力艦を見たら? 戦艦って艦種が今でも在るかしら?」

比叡「・・・ッチ」

加賀「時代遅れなのよ戦艦は。 そして提督を巡る戦いでもね」ハイライトオフ

比叡「やって見ないと分からないと思いますけど? 少なくても私は空母なんかに負ける気はないですよ」ハイライトオフ

加賀「・・・・・・」

夕張「まぁまぁ・・・その辺で」

明石「鎮守府内での武力衝突は禁止されてますよ。2人共分かっているでしょうに」

加賀「ごめんなさい。少し言い過ぎました」

比叡「いえ、こちらもです。すいません」

夕張(加賀さんも提督のことになると回りが見えなくなるよね・・・私もだけど)

加賀「邪魔したわね。明石、整備ありがとう」

明石「いえ、また何時でもどうぞ」

比叡「で、このドリンク? はどう使うんですか?」

明石「普通に飲んでください。 飲んですぐ効果が出始めますので、入れ替わりたい相手の体の触れて頂ければ・・・」

比叡「入れ替わるんですか?」

明石「一応そのハズですけどね・・・効果は半日くらいで切れますけど」

夕張「よくこんなモノ作れましたね・・・」

比叡「では、早速使ってみますね。ありがとうございました」

明石「くれぐれも慎重に行ってくださいね。作ってから言うのもアレですけど、面倒ごとはゴメンですよ」

夕張(面倒な事しか起こる気がしない・・・)

投下完了。
何時も感想ありがとうございます。
頑張って書き溜めたので、ほんの少しの間は3日に1回くらい(多分)で投下します。
次回は土曜日あたりに・・・おやすみなさい。

提督と入れ替われば...

執務室では何時ものように提督と担当秘書が仕事をしていた。

瑞鳳「提督、ここ間違ってるよ?」

提督「ん? ああスマン・・・」

瑞鳳「珍しい~ 提督が書類でミスするなんて」

提督「本当にすまん。助かった」

瑞鳳「ちょっと疲れているんじゃないですか?」

提督「ははは・・・面目ない」

瑞鳳「ちゃんと休んでます?」

提督「休んではいるが、前の作戦の報告書やら色々とする事が多くてな・・・」

瑞鳳「何時も私達にしっかり休めとか言ってるのに、自分が出来ていないのはダメなんじゃないですか?」

責めるような視線で「むー」と睨む瑞鳳。

本人には申し訳ないが、恐いというより可愛らしく、提督は思わず笑ってしまった。

瑞鳳は「ちょっと!? 責めているんだけど!?」と抗議した。

提督はそれに対してスマンスマンと返す。

瑞鳳は(今のはちょっと恋人同士のじゃれあいみたい)と感じて頬を染めた。

提督「確かに、上に立つ者として部下をあまり心配させるのは考え物だな・・・」

瑞鳳「少し休みません? なんだったら私が膝枕を・・・」

提督「いや、大丈夫だ。瑞鳳が美味しいお弁当を作ってくれたからな。元気いっぱいだよ。気合でさっさと終わらせよう」

瑞鳳(・・・ちぇっ残念)

提督「ふむ・・・この書類は・・・大淀に確認を取らないとな」

瑞鳳「放送で呼びます?」

提督「いや大丈夫だ。通信室に居るハズだし少し行ってくるよ」

そう言って提督は執務室を出て行く。

瑞鳳「ん~ 押しが弱いかな私・・・」

秘書艦はローテーションで行っているので、一度やると次の番までが長い。

なので、秘書艦になる者は自分なりのやり方で色々とアピールをしているが、提督には通じていなかった。これまで一度も。

瑞鳳「祥鳳みたいに裸みたいな格好した方が誘惑できるのかなぁ・・・? でも裸で歩いてるみたいで恥ずかしいし・・・」

ちょうど同時刻、演習場に居た祥鳳は大きなクシャミをした。

朝潮「風邪ですか?」

荒潮「誰かが噂でもしてるんじゃない~?」

祥鳳(まさか・・・提督が・・・///)

再び執務室。

瑞鳳「あれ? 提督の携帯、着信表示がある・・・」

執務室には今は瑞鳳一人しか居ないが、周囲をキョロキョロと見回した後、携帯を手に取った。

瑞鳳「メール履歴が700件・・・差出人はイムヤちゃんか・・・」

イムヤ。潜水艦の中でも古株で、提督に対する求愛行動をあまり隠さない艦娘だ。過去それが問題となり、武力衝突寸前になったこともある。

瑞鳳「・・・削除と」ハイライトオフ

普通であれば、そんな数のメールが来ればドン引きするものだが、提督はイムヤが携帯大好きなイマドキ少女で、

そいうのは年頃の少女の間では普通の行為であると、何やら勘違いをしていて、この行為の異常性を認識していなかった。

瑞鳳「本当にライバルが多くて嫌になっちゃう・・・」

それでも負ける気はないのだが。

瑞鳳「そうだ! 提督、少し疲れているみたいだし、元気が出るモノを作ってあげよ!」

瑞鳳が執務室を出て行ってすぐ、比叡がやって来た。

比叡「失礼しまーす。あれ? 誰もいない?」

金剛を探して居たのだが、執務室には居なかった。

今日は金剛は出撃して居ないので、自室か執務室かのどちらかに居ると思い、執務室まで来たのだった。

比叡(提督の机の下にも居ない?・・・ロッカーの中は・・・初霜ちゃんが寝てる・・・ 天井にも・・・居ない? あれぇ?)

どこを探しても居ない。

比叡(どこへ行ったんでしょう・・・? さっきは自室に居なかったですし。ここに居ると思ったんだけどなぁ)

とりあえず、ドリンクを机の上に置いて、少し待ってみることにした。

ドリンクがひんやりと冷えているので、ずっと持ってると手が冷たくて辛かったのだ。

そこへ榛名がやってくる。

榛名「あ。こちらでしたか比叡姉様」

比叡「榛名?」

榛名「金剛姉様がお茶会をやると言うので探しましたよ」

比叡「お姉さまが? 分かった! すぐ行く! 今行く!」

比叡(入れ違っちゃったのかしら。でもお姉さまとお茶会!! お茶会!!)

比叡はうっかり、ドリンクの存在を忘れて出て行った。

そこへ提督が戻ってきた。

提督「あれ? 瑞鳳? どこ行ったんだろう?」

机の上にドリンクが置いてある。

提督「栄養ドリンクか?」

恐らく、瑞鳳が用意してくれたんだろう。

本当に心配をかけてしまったようだ。

と提督は少し申し訳なく思った。

提督「ありがとう。ありがたく頂くよ」

一気に飲み干す。

提督「よく冷えている。変わった味だな・・・よし! 気合いれて取り掛かるか!」

しかし、すぐに体に異変が生じた。

提督(なんだ? 体があつい・・・?)

そこへ金剛がやってくる。

金剛「ヘーイ! 提督ゥ!! お茶会やるけど一緒に・・・提督ゥ!?」

提督「金剛か・・・?」

フラついて倒れそうな提督を金剛が駆け寄り、寄り添う。

金剛「どうしました!? 大丈夫ですか!? 原因は!? 比叡のカレー? 磯風の謎食? 早く医務室へ・・・」

提督の体に金剛が触れたことで、更なる異変が生じた。

提督と金剛は不思議な体験をした。

自分の体から自分が引き離されるような、今まで経験したことがないような感覚。

気が付くと自分が目の前に居る。

金剛(提督)「え? なんで俺が・・・」

提督(金剛)「え? なんで私が・・・」

2人「「そこに居る(です!?)んだ!?」」

提督は気が付くと金剛になっており、逆に金剛は提督になっていた。

提督「・・・これは夢ですか?」

金剛「どういうことだ? 体が・・・入れ替わっている?」

ガチャ

瑞鳳「提督! フルーツジュースを作って来たよ! これで元気だし・・・」

金剛「瑞鳳か。わざわざスマンな。色々と気を使わせたみたいで」

提督「それよりコレどうするんですか!?」

瑞鳳「え? なんか2人とも様子が変ですけど・・・提督が金剛さんみたいな口調で・・・」

金剛「よく分からんが、どうやら中身が入れ替わってしまったようだ・・・」

提督「こんなことするのは一人しか居ないデース!! 明石ィィィィ!!!!!!」

瑞鳳「ど・・・どうなってるの・・・」

金剛「俺にもわからん・・・」

瑞鳳(このジュースはどっちに渡せばいいの!?)

すぐに明石が呼び出された。

投下完了しました。
何時も感想ありがとうございます!

>>632
ドキッ

話自体は完成しているので、一気に投下もできますが
9月みたいに忙しさを理由に長期、更新を空けてしまったことへの反省で
ちまちま投稿するスタイル取ってます。これなら忙しくてもペースよく投下できますので。
大体3日に一度くらい、このくらいの時間に投下しますね。

次回は月曜深夜くらいに投下しますね。
おやすみなさい。

呼び出された明石は正座をさせられて、事態の説明をしていた。

明石「まぁ結論だけ言わせて頂きますと、中身を入れ替える薬なんですよソレ」

金剛「中身を入れ替える? ・・・まさか元には戻らないのか?」

明石「いえ、大体半日くらいで効き目は切れて、元に戻るのでご安心ください」(・・・多分)

提督「なんで、そんなモン作ったデーーーース!!」

明石「え・・・とそれはですね・・・」

金剛「それは?」

明石「新しい修復剤を作る過程で偶然、出来てしまったんですが・・・誰かが間違って持ち出してしまったみたいですねスイマセン」

金剛「そういうことは事前に報告し、厳重に管理してくれないと困るな。何度も言っているだろう」

明石「すいません! 本当に申し訳ないです!」

明石(面倒ごとになりそうだから、比叡さんの依頼だってのは黙っておきましょうかね)

明石(比叡さん? 貸し一つですよ? 金剛さんの艤装はシールド、榛名さんがアーム、霧島さんはシザー・・・)

明石(さらなる改造を断わった比叡さんの艤装も魔改造させて貰いますからね!!)

明石(どう改造しようかなぁ・・・技術者としての血が騒ぐ!! 翼・・・ウィングとかどうでしょうかね・・・)

提督「まったく!! 何時もロクなもん作らない人ですね!!」

明石「本当にすいません」(貴女の妹さんの依頼ですけどね!!)

金剛「まぁ半日で効果は切れるんだろ?」

明石「はい。多分。元に戻りますので」

金剛「・・・多分?」

明石「いえ、確実に!!」

金剛「ならまぁいいか。とりあえず騒ぎになるとめんどうだし、皆を不安にさせたくない。周囲には秘匿して乗り切るか」

提督(・・・想定外のことで驚きましたけど・・・これは・・・)ゴクリ

金剛(提督の体)は色々妄想を膨らませてニヤニヤしていた。

瑞鳳(提督とイチャイチャ仕事する予定だったけど、この場合は金剛さんとイチャイチャすることになるのかな・・・)

明石「本当にご迷惑おかけしました」

提督「でしたら、提督、私の部屋に行ってください。お茶会の途中でしたので」

金剛「しかし、そうなると残りの仕事を金剛に押し付けることになるぞ」

提督「構いませんよ。提督は働きすぎデース。今日一日休んでください」

瑞鳳「う~ 少し複雑ですけど、その意見には賛成です。金剛さんと仕事してますから」

金剛「しかし・・・」

提督「これ以上、私が不在だと妹達がここに来るので早く行ってください。仕事は引き継ぎますから」

金剛「すまん。仕事を任せてしまって」

提督「いいですよ」(妻として当然ですしね・・・)

金剛(中身提督)は金剛の部屋に向かった。

提督「じゃあズホ、仕事やりましょうか」

瑞鳳「そうですねー なんでよりによって今日なんでしょうね。もうっ」

提督「まぁまぁ。体は提督ですし・・・こんなことも出来ますけど?」ドンッ

瑞鳳「ひゃう!? これは・・・」

提督「所謂、壁ドンって奴ですねー」

瑞鳳(中身が金剛さんだって分かってるのに・・・ドキドキすりゅぅ・・・///)

提督「ああ!! もう!!! これを私にやって欲しいデース!!」

瑞鳳「あの・・・リクエストしてもいいですか?」

提督「何をです?」

瑞鳳「瑞鳳、愛してるって言って貰えませんか!? その声で!! その姿で!!!」

提督「・・・その右手にあるのは何です?」

瑞鳳「ボイスレコーダーです!!」

提督「考えることは同じですねー 私もそれを真っ先に考えたでーす」

瑞鳳「ですよね!!」

2人は言って貰いたいセリフを言いまくって録音していた。

仕事を放棄するワケには行かないので、抜群のコンビネーションで

4時間は掛かる書類仕事を1時間もしないウチに終わらせた。

これは鎮守府始まって以来の最高記録だった。

金剛の部屋

榛名「お姉さま。遅かったですね」

金剛「いや、スマン。部屋はここで合ってたか」

霧島「ご自分の部屋を忘れたのですか!?」

金剛「まぁそれはさておき、なんだったか? 茶会?とやらをやると聞いたが・・・」

榛名「いや、やるって言ったのお姉様じゃないですか・・・」

霧島「なんかさっきから様子がおかしいですよ?」

金剛(・・・参った。金剛らしい口調・・・口調・・・)

榛名「お姉さま?」

金剛「なんでもないデスー」(こうだったか?)

霧島(やっぱり何か・・・おかしい)

金剛「そんなことより茶会をやるか! 何からすればいい? いや、デス」

榛名「・・・・・・」

金剛(不味いな・・・怪しまれている)

比叡(あれ? そう言えば私・・・ドリンクを執務室に・・・まさか・・・)

榛名(・・・違う。これはお姉さまじゃない)

榛名(愛憎合わせた何時もの感覚じゃない。とても惹きつけられる感覚・・・内面から来る、私の大好きな人の・・・)

榛名(金剛姉様から・・・提督の『匂い』がする・・・)

榛名(どういう理由かは分かりませんけど・・・)

榛名「アナタは・・・お姉さまじゃ・・・ないですよね?」

少し遠慮しがちに榛名が尋ねるものだから、提督は一瞬呆けてしまった。

金剛「!!!」

金剛(何故・・・? 何故分かった?)

榛名「もしや・・・提督ですか?」

霧島「え? 榛名? 何を?」

榛名「霧島、外見じゃなくて中を、気配をよんで見て」

霧島「え?・・・あれ・・・? 提督・・・? この気配は提督・・・? なんで?」

比叡(やっぱり・・・あのドリンクを司令に飲まれた? 私の馬鹿!! なんで忘れてくるのよ!!)

金剛(え? なんだ気配って・・・分かるものなのか?)

金剛(金剛の体に移ってる以上は姉妹を誤魔化すのは無理そうだ)

ならば、順を追って話した方がいいかと提督は判断した。

霧島「そんなことが・・・」

比叡(なんで明石さんはウソを? 私を庇った? 後で謝らないと・・・貸し作っちゃったな)

この貸しのせいで比叡の艤装もトンデモ改造を受けるハメになるのだった。

榛名「では、周囲を混乱させないようにお姉さまとして接しますね?」

金剛「そうしてくれると助かる。あまり鎮守府内を混乱させたくないしな」

霧島「私達には最初に相談して欲しかったです」

金剛「そうだな。金剛の体なんだから、姉妹である君達には話しておくべきだった」

比叡「いや、ホントすいません司令」

金剛「なんで比叡が謝るんだ?」

榛名「では何時も通りのお茶会をやりましょう」ギュッ

榛名は金剛の座るソファーに金剛に寄り添うように座り、腕を絡めてきた。

金剛「榛名? なんで腕を絡めて来るんだ?」

榛名「お茶会は何時もこうですよ?」ハイライトオフ

金剛「そうなのか。姉妹の仲が良いのは良いことだな」

霧島(そんなことしたことない癖に・・・)

霧島(しかし、榛名の一人勝ちは避けたいわね。この娘は独占欲が強いから・・・)

霧島(私の計画に支障が・・・)

霧島「そうです。私達姉妹は仲良しですから」ギュッ

榛名「っ・・・!」

霧島は反対側に座り、金剛に腕を絡めた。金剛は榛名と霧島に挟まれる形になった。

榛名は金剛に見えないように霧島を睨む。

声を出さず、口の動きだけで霧島に文句を言う

榛名『ど う い う つ も り で す か』

霧島も同様の方法で『わ か る で し ょ』と返す。

互いに相手の口の動きを呼んでの会話。読唇術と言われる技法である。

金剛「本当に仲いいんだな。何時もこんな感じなのか?」

榛名・霧島「「はい」」ハイライトオフ

比叡(しまった・・・出遅れた)

比叡(考えて見れば・・・お姉さまの体に提督・・・若干のズレはありますが・・・計画通りじゃないですか!!)

比叡「私も仲間に入れてくださいよ!」

金剛「うわっ!? 急に飛びつくな!!」

4人ともソファーごと倒れたけど、怒る気にもなれず皆で笑った。

しかし、金剛(提督)を覗く3人の笑いは表面上のモノで、内面では激しく姉妹同士で牽制しあっていた。

一方で執務室では遠征から帰還した春雨が報告に来ていた。

提督「ごくろうでした」

春雨「ありがとうございます!」

提督「では十分に休息を取ってくださーい。もう行って大丈夫ですよー」

春雨「・・・え?」

提督(あまり長くしゃべるとボロが出そうでーす)

瑞鳳(もう口調でボロ出てるよ・・・)

春雨「・・・・・・」

提督「どうしました?」

春雨「・・・貴方は・・・誰ですか」

提督「・・・え?」

春雨「司令官は、私が遠征から帰還すると喜んでくれます」

春雨「よく頑張ったねって褒めてくれます」

春雨「えらいぞって撫でてくれます」

春雨「自分の事のように喜んで、わざわざしゃがんで目線まで合わせてくれて・・・」

春雨「それも毎回毎回・・・」

春雨「その度に思うんです。私はこの人の鎮守府に来れて良かった、私の上官が司令官で良かったって」

春雨「すごい大事にしてくれて、何時も見ていてくれている・・・」

春雨「その司令官がそんな『ごくろうさま』だけで執務室から早々に追い出そうとするのは変です。おかしいです。ありえないです。」

春雨「ありえない ありえない ありえない ありえない ありえない・・・」

何度も何度も『ありえない』と口にする。

春雨「司令官の言葉はもっと温かい、もっと優しい、もっと・・・もっと・・・」

春雨「司令官はあんな冷たい言い方はしない!!!」

春雨「貴方は・・・誰なんですか・・・?」ハイライトオフ

提督「え・・・と・・・」

瑞鳳(不味い・・・バレた?)

ガチャ

時雨「どうしたんだい? ずいぶん時間が掛かってるみたいだけど」

春雨「・・・司令官が司令官じゃないんです」

時雨「は?」

怪訝そうな顔をして提督を見た時雨は目を細めた。

時雨「本当だね。君は・・・誰なんだい?」

提督「み・・・見ての通り提督ですよ・・・」

時雨「嫌だなぁ・・・僕と提督はケッコンしてるんだよ? 夫のことを間違えるハズないじゃないか」ハイライトオフ

無表情で時雨は指にハメている指輪を見せる。

時雨「僕と提督はね、互いに分かるんだ。相手のことを。だってそうだろう? 心から愛し合ってるんだから」

時雨「魂と魂で感じあうんだ。だから分かるんだ。君は違う。間違い。提督じゃない。誰なのかな?」

時雨「・・・問い詰められて心拍数が上がってるね。分かるよ。聞こえるよ鼓動が・・・」

時雨「でも不思議だ。体の匂い、心臓の音、それは提督そのものなのに・・・」

春雨「はい、まるで『中身』だけが別物みたいです」

執務室のドアに鍵をかける。

瑞鳳「なんで鍵をしめるの!?」

春雨「逃走しないようにです」

時雨「・・・もう一度聞くよ?」ハイライトオフ

春雨「貴方は誰なんです?」ハイライトオフ

提督「ひっ!?」

提督(金剛)は結局洗いざらい白状した。

時雨「なんだそういう事か。先に言って欲しかったかな」

春雨「びっくりしちゃいました! スパイが紛れ込んでるかと・・・」

瑞鳳(仮にスパイだとしたら、ウチにスパイに来た時点でその人の末路は・・・)

時雨「そうだね。手を汚す前に冷静に確認を取っておいて良かった。取り返しが付く前で良かったよ」

提督「・・・冷静? あれで?」

時雨「そんな睨まないでよ金剛。中身がキミでも提督に睨まれてる感じで変な気分になるじゃないか///」

春雨「それに、金剛さんが私達の立場なら同じことをしたんじゃないでしょうか」

提督「それは否定できませんネ」ハイライトオフ

瑞鳳(それを言われると私もだし・・・)ハイライトオフ

時雨「いっそ所属している艦娘には説明した方がいいと思う」

時雨「些細な行き違いから、鎮守府内で戦闘に発展する可能性もあると思う」

時雨「そして、それは何時起きても不思議じゃない」

瑞鳳「・・・無いって言えないのが恐い所ですね」

提督「ですねー 一度提督を呼んで相談しますね」

結局、事件発生から30分で全員にバレた。

南方(息子に打ち明けるか悩んでる間に次から次へと悩みの種が増えていく・・・)

泊地水鬼「ねぇねぇ、提督がクッキーくれた!」

南方「そう。良かったわね」

泊地水鬼「疑問なんだけど、もしも、私と提督が結婚したらさ、南方棲鬼は私の義理の母になるの?」

南方「・・・は?」

泊地水鬼「A級就職って奴をすると、働かなくて済むって初雪から聞いたんだ」

南方「・・・永久就職ね。ていうか元主婦舐めないでくれない? 殴るわよ」ボコッ

泊地水鬼「もう殴ってる!! 痛い!! 痛い!! 二度もぶった!!」

南方棲鬼の胃薬の使用量がまた少しだけ上がった。

色々限界が近かった。

投下終わりました。
何時も感想どうもです。

次回は3日後の木曜あたりになると思います。
では!

金剛「すまんな。皆を俺の我侭につき合わせてしまって・・・」

翔鶴「いえ、全然!! 提督と海に出れるなんて・・・夢見たいです!!!」

能代「でも危なくないですか? 出撃なんて・・・」

金剛「出撃というわけではないんだがな・・・」

提督は艤装を纏い、海に出ることに興味があった。

艦娘ではない自分は、当然ではあるが艤装を纏えない。

普段は司令室や護衛艦の中から指揮を執るだけしか出来ない。

だが、不意の事故とは言え、今は金剛の体になっており、今ならば海に出ることも出来るのでは?と興味が沸いた。

人では到底体験できない世界。既に成人しているが忘れかけていた少年のような心が、その興味を後押しした。

金剛は快く承諾してくれて今に至る。

金剛(鎮守府正面の海域だから危険は殆どないだろう。借り物の体だ。怪我をしないように気をつけよう)

今居る場所は鎮守府の港。

既に同行する5人の艦娘は艤装を展開して海上に浮いている。

誰か手の空いてる者で、一緒に来てくれないか?と言ったところ、少し待つように言われ、数分後に5人がやってきた。

提督は知らなかったが、誰が同行するかで多少の騒動になり、この5人はジャンケンと呼ばれる真剣勝負を見事勝ち抜いた者達だった。

伊勢「まずは艤装を展開して、海面に浮くとこから始めましょうか」

能代「でも艤装の展開なんてどう教えればいいんでしょう?」

卯月「こう・・・うぉーって感じぴょん?」

弥生「卯月、分かりづらい」

金剛(艤装を展開か・・・ふむ・・・イメージだと・・・)

翔鶴「最初は難しいかもしれませんね」

金剛「こうか?」

青白い粒子と共に艤装が出現した。

全員「「「「「!!?」」」」」

金剛「あれ? 出来た・・・?」

能代「え? 一発で・・・ですか?」

伊勢「へぇ・・・でも教える手間が省けたかな」

金剛「・・・なんか重さを感じないな。もっと、ずっしり来る印象があったが」

翔鶴「特に艤装は重くは感じないですよ」

能代「体の一部って感じですかね?」

金剛「海面に浮くにはどうすればいいんだ?」

伊勢「どうと言われても普通に立って歩く延長かな?」

能代「説明難しいですよね」

卯月「ぴょんって乗ってスィーって感じで滑るぴょん」

弥生「だから分かりづらいって」

金剛「まぁやってみるか・・・」

艦娘達は提督が何時転んでも支えられるように臨戦態勢をとる。

金剛「こうか。すごいな! 本当に浮いているぞ!」

嬉しそうにはしゃぐ提督。

能代「え? そんなにアッサリ・・・」

翔鶴「提督、流石です。私達の間に生まれる子はきっと将来のエースになるでしょうね 娘2人に息子一人・・・5人家族が理想ですかね」ブツブツ

卯月「まーた始まったぴょん・・・先に身篭るのはうーちゃんぴょん」ハイライトオフ

金剛「少し速度を出して見るか・・・」

提督は新しい玩具を手に入れた子供のように楽しそうに海面を滑り、

今日始めて艤装を使い、海に出た者とは思えない動きを見せた。

付きそった艦娘達はそれを見て笑っていた。

純粋に嬉しかったのだ。何時も何時も難しそうな顔で書類と睨めっこしては、

夜遅くまで仕事をしている。最近は特に疲れている様子だった。

この事態が明石の発明品によるアクシデントだとしても、提督が楽しそうにしている。

良いリフレッシュになっている。それが嬉しかった。

伊勢「しかし、体は金剛のモノとは言え・・・こうも早く使いこなせるモノかな?」

能代「凄いですよね。まるで最初から『艦娘』であったみたいに完全に制御して見せてますし」

弥生「お母さんが艦娘だったからでしょうか?」

伊勢「それだけであそこまで? 純粋な艦娘と変わらないように見えるけど」

翔鶴「でも、提督ですし・・・何をやっても、そつなくやりそうな感じじゃないですか?」

卯月「しれーかんは確かにそういうイメージあるぴょん」

伊勢「言われるとそうなんだけどさ・・・多分、何をやるにしても、弱さを見せたがらないんだよね。陰ながら努力するタイプ?」

能代「男性のプライドって奴ですかね?」

伊勢「普段の言動から察するに、私達のこと大事にしてるから、あんまり心配とかさせたくないんじゃないかな」

弥生「でも・・・少しくらい弱音とか吐いて欲しいですよね」

翔鶴「それも『自分』だけに弱音を打ち明けてくれるとキュンって来ますよね!!!」

全員「「「「「分かる」」」」」

興奮して顔を紅潮させて叫ぶ翔鶴に全員が即座に答えた。

息がぴったりだった。

女子同士がそんな会話が繰り広げられているとは知らず、提督は海を翔る。

金剛「すごいな・・・艦娘の力って奴は・・・」

体中から力が沸いて来る感覚。

金剛(こんな華奢な体に、ここまでの力が宿るなんて・・・)

今までは、書類の上でしか知らなかった事だった。

金剛(でも、これで艦娘の視点からも作戦を立てやすくなるな)

その時である、鎮守府海域の沖合いを哨戒していた第2艦隊から緊急の通信が入る。

天龍『すまん!! 緊急事態だ。やけに強い深海棲艦が1隻、こちらの艦隊を抜けて鎮守府に向かっちまった!!』

伊勢「なんですって!? 艦種は分かる?」

天龍『恐らく、レ級だと思うんだが・・・すまねぇ、突破された!糞!!』

伊勢「恐らく? 新種ってこと?」

天龍『分からん。ただ、空気がピリピリしてやがった。あれは普通じゃねーぞ・・・ぐっ!?』

伊勢「天龍!?」

天龍『こっちは奴が連れてた艦隊5隻と交戦中だ! すぐブッ潰して合流する! すぐ迎撃準備に・・・』

そこで通信が途絶えた。

伊勢(これは・・・電波を妨害されている・・・?)

能代「提督!! 緊急事態です!!」

金剛「どうした?」

能代「たった今、第二艦隊の天龍から緊急通信が・・・」

金剛「天龍? 今日は遠征を終えた後に哨戒任務に出てたな・・・なんと?」

能代「現在、敵と交戦中。その内の一隻が突破してこちらに向かってるようです」

金剛「何!? 鎮守府に防衛戦の準備をするように言ってくれ。申し訳ないが、艦娘の通信装備の使い方がまだ良く分からん」

伊勢「それが通信が通じないのよ。恐らく・・・」

金剛「電波を妨害されている? 深海棲艦の仕業か?」

翔鶴「すぐに連絡用に艦載機を飛ばしますね」

金剛「助かる」

弥生「司令官は下がって」

卯月「そうぴょん。戦闘になると危険ぴょん」

伊勢「2人の言うとおり。ここは私達に任せて鎮守府に戻ってください」

確かにそうだ。情けないが戦闘に参加しても足を引っ張るだけだ。

自分がここに居れば彼女達が不利になる。

それに金剛の体に傷をつけるわけにも行かない。

金剛「すまん。ここは任せる!!」

弥生「まって・・・海中に・・・金属反応が・・・」

その時、爆音と共に水しぶきが上がり、海中からそれは飛び出した。

翔鶴「海中から!?」

レ級「いけぇぇ!!!」

飛び出ると同時に艦載機を発進、攻撃を仕掛けてきた。

皆、戦い慣れていることもあり被弾することなく、なんとか交わすことが出来た。 

伊勢「危なっ!!?」

レ級「見つけた!! ここがあの鎮守府でしょ!! やった!! やっとたどり着いた!!」

卯月「・・・レ級」

伊勢「まーためんどくさいのに突破されたね」

翔鶴「提督!! 早く鎮守府へ!!」

レ級「テートク? あれ? 女? 提督って女? 男じゃなく?」

尾「どうみても艦娘ですね。金剛型の金剛のようですが・・・」

弥生「艤装が喋ってる・・・?」

レ級「どっちでもいいや。テートクなんでしょ? 貴方?貴女?どっちでもいいか。ボクはキミを殺しに来たんだ」

その発言で艦娘達は臨戦態勢を取る。

金剛「すごい殺気だ。これを抜けるのは・・・キツそうだ・・・」

レ級「さぁ戦おうよ。その為に来たんだから」

金剛「一応聞くが、話し合いではなんとかならないか? 言葉は通じるだろう?」

レ級「なるわけないじゃん。どちらかが死んだらゲームはお終い。シンプルでしょ? さぁ殺ろうよ! 早くさぁ!!!」

提督と、本来は提督の妹として生まれてくるハズだった存在の成れの果てのレ級。

互いに兄妹と知らないまま、両者は激突することになった。

投下完了です。
何時も感想ありがとうございます。
感想いただけると本当にヤル気になるから困る・・・いや困らない

トイレネタはボツ案であったんですけど
見たい人居るなら入れてみようかな・・・

次回は日曜日夜くらいに更新予定です。
おやすみなさい。

時間は金剛(提督)がレ級と戦闘になる少し前まで遡る。

陽炎「へぇ・・・面白いことになってんのね」

提督「バカ明石のせいでーす」

黒潮「でもネタになるで?」

提督「ネタでやってるわけじゃないよ!?」

初風「それで・・・どんな感じなの? 提督の体に入るって」

秋雲「詳しく聞きたいな。次の本のネタにするから」

提督「どうって・・・目線が高い・・・?」

浦風「そりゃそうじゃ。司令の方が背高いけん。皆だって聞きたいことはそこじゃないじゃろ?」

谷風「どんな感じなの? 男の体ってさ。それも好きな人の体じゃん?」

提督「そうですねぇ・・・上手く言えないけど、心はすごい穏やか・・・ですかね」

提督「すごい満たされてるというか・・・」

提督(大好きな人と一体になってるからなんですかね?)

雪風「ちょっと難しいです」

舞風「想像できないや」

提督「表現しようにも言葉が浮かばないでーす」

提督(他にあるとすれば、股間に違和感が・・・これが提督の・・・///)

野分「・・・どうしました? 顔が赤いですよ?」

浜風(提督のレア顔!!! カメラ・・・カメラ・・・)

浜風(って皆、無言でカメラ構えてる!? 出遅れた!!)

パシャパシャとカメラのシャッター音。いい加減疲れてきた。

天津風「ねぇ・・・ツーショットってダメ?」

提督「別にいいですよー」

自分達も好きなだけ写真を取ったので特に考えずに許可をだした。半ば投げやりに。

磯風「なに!? ツーショットはアリなのか!?」

雪風「しれーと写真取りたい!!」

時津風「いいの!? 撮る! 撮る!!」

天津風「ちょっと!! 先に言ったのは私よ!?」

陽炎「まぁ、まぁ・・・ここは長女の私が先陣を切って・・・」

天津風「はぁ? なんで?」

陽炎「姉妹順に撮ればいいじゃない?」

その言葉に上の姉達は合意したが、下の妹達は反対した。

理由は時間である。

今現在、提督と金剛の入れ替わりは鎮守府全体に伝わっている。

金剛(提督)は海に出てみたいと言い、その随伴メンバーが決まり、今は海へ出ている。

随伴メンバーを決める勝負に敗れた者達はせめて提督(金剛)に面会し、普段は出来ないことをやろうとした。

その一つが写真だったり、好きな言葉を喋ってもらったり。

しかし、ほぼ全員が来たら何時終わるか分からない。なので姉妹艦や、よくコンビを組む同士等でグループを別け、

時間制限ありの交代制で面会をすることになった。

話を戻そう。

つまり、上の姉達が好き勝手に写真を撮れば、面会時間を過ぎて下の妹達まで順番が回らない可能性も出てくるのだ。

だから最初の順番である程、有利になる。

この鎮守府に所属する陽炎型は14人。

与えられた面会時間は陽炎型は人数が多いからと20分。

浜風「残り時間は!?」

瑞鳳「後12分30秒ですね」

野分「秒単位ですか?」

浦風「細かすぎるじゃろ・・・そんなんじゃ足らんけぇ・・・」

瑞鳳「今ので20秒経過しました」

天津風「とりあえず、早いもの勝ちでしょ? 私からね!」

黒潮「ちょい待ち!! こういうのは上からって決まってるで」

初風「・・・そうよね」

秋雲「それじゃ秋雲が最後じゃない!!」

舞風「私も下から2番目だよ!?」

浜風「そういえば・・・不知火は?」

陽炎「そういえば・・・さっきから姿が・・・」

その時、ドアが勢い良く開いた。

浦風「なんじゃ不知火。その格好は」

雪風「お姫さま?」

陽炎「う・・・ウェディングドレスゥゥ!?」

ウエディングドレスに身を包んだ不知火がそこには居た。

純白のドレス。

女性の幸せの象徴、憧れとされる一生に一度は着たいと言われる結婚衣装。

皆の思考が一瞬固まる。

谷風「どうしたのそれ・・・」

不知火「夕張から借りました。こすぷれ用らしいですけど」

不知火「とりあえず、金剛、私を抱っこしてください。陽炎、写真を頼みます」

提督「え? ああ・・・分かりました」

陽炎「え・・・あっ ハイ」

皆唖然として、とりあえず不知火の言葉に従った。

黒潮(しかし・・・幸せの象徴なのに・・・)

陽炎(相変わらず眼光が鋭い・・・)

天津風(もっと幸せそうな顔すればいいのに)

表情の変化が少ない不知火ではあったが、実はかなりニヤニヤしていた。

最も、陽炎くらいしか気付いてなかったが。

不知火「ありがとうございます。では」

不知火が出て行った後、とりあえず皆でジャンケンした。

時間ギリギリで撮り終わった。

青葉「はーい時間ですよー 次の方どーぞ。 列は4列で進んでくださいねー!!」

廊下では青葉が列整理をしていた。

提督「・・・疲れるでぇーす・・・」

瑞鳳「お疲れ様。はい、お茶をどうぞ」

提督「・・・ありがとねー」

金剛は何も考えずお茶をゴクゴク飲んだ。

瑞鳳が作ってきたフルーツジュース、他の皆からも差し入れでジュースを貰った。

だからだろうか、それは突然来た。

瑞鳳「どうしたの?」

提督「・・・ヤバイでーーす!!!」

瑞鳳「え? 何が?」

提督「あれが・・・シタくて・・・どうすれば」

瑞鳳「アレ?」

提督「小ですよ!! 小!!」

瑞鳳「トイレに行けば・・・」

そこで瑞鳳は気付く。

瑞鳳(あっ・・・今は提督の体だ!!)

提督「だって小って・・・アレを・・・見て触って・・・ですよね?」

瑞鳳「そうなりますねぇ・・・」

提督「NOOOOOOOO!!!! 冗談でしょ!?」

金剛は初めてはロマンチックに・・・そんな少女のような願望があった。

それがどうだろう。

『大好きな彼のアレを初めて生で見るのが、彼の体に入って尿をする時だった』というのは。

ロマンもへったくれもない。

瑞鳳「でも・・・出さないと・・・提督の体に悪影響が出るんじゃ・・・?」

提督「でも!! でも!!!」

初めて見るのがコレは避けたい。

瑞鳳「どうすれば・・・とりあえず明石さん呼んできます!!」

提督「それは一番呼んじゃダメな奴でーす!!!」

すぐに明石が来た。事情を聞いた者を数人連れて。

明石「事情は分かりました。司令の体を守る為に、これより『尿作戦』を実行します」

瑞鳳(大事になってきた・・・)

長門「提督が使うトイレは執務室横にあるトイレだ。そこで用を足してもらう」

陸奥「一切、アソコを見ないで? どうやって?」

夕張「これを使います。金剛さんに装着させますね」

提督「目隠し? 何も見えませんよ?」

夕張「それとマイクを付けますね。腕にはこれを・・・」

長門「しかし、チ○コがなんだ。それくらい写真やレプリカ玩具を持っているだろ! 私だって所持している」

陸奥「皆持ってるだろうケド、それ口にしなくていいから」

提督「生は始めての時って決めてるでーす!!」

榛名(・・・最初に頂いて貰うのは榛名ですけどね)

榛名(金剛お姉さまじゃなく・・・)

榛名(榛名です・・・)ハイライトオフ

提督(・・・榛名。貴女が考えてることは分かってるよ? でもさせるつもりはないでーす・・・)ハイライトオフ

陸奥「じゃあ目隠しさせて、私が誘導してあげるのは?」

全員『却下』

誰も自分以外の女に提督の陰部を最初に触って欲しくなかったのだ。

陸奥(チッ)ハイライトオフ

夕張「とりあえず、私達は作戦司令室に、金剛さんはこちらから指示に従ってください」

提督(金剛)を除く全員が作戦司令室に移動した。

夕張『ではまず右に10歩、小幅に歩いてください』

提督「わかりました」

言われたとおり指示に従う。

夕張達は司令室で指示を出している。

提督『痛っ!?』

長門「どうした!?」

明石「壁にぶつかったようですね」

榛名「目隠しして視界を奪われて・・・大丈夫でしょうか?」

夕張「大丈夫ですか!?」

提督『はい・・・問題ないでーす』

夕張「では、トイレのドアを開けてください」

提督『ドアノブ・・・あった・・・』

夕張「では、中へ」

提督『了解』

照月「提督・・・金剛さん、トイレ個室に入りました!!」

秋月「ドア、閉まります!」

オペレーターをしている秋月、照月が叫んだ。

司令室のモニターはサーモグラフモードになっている。

サーモグラフとは、物体から放射される赤外線を分析し、画として出力する装置である。

モニターには提督の姿をした赤やオレンジ、黄色に青という熱分布図の動画がリアルタイムで表示されている。

これで、提督の陰部を誰も直に見ることが出来ない。

夕張「そこでズボンを降ろして、陰部を前に・・・照準は?」

照月「今、計算します!!」

提督『降ろしました! 多分、あそこを掴んでます!!』

夕張「感触は?」

提督「なんの感触もしませーん! このグローブのおかげでーす!!」

陸奥「金剛がはめているグローブって?」

夕張「あれは感触を遮断するモノです。今、陰部の感触を金剛さんは感じてないハズです」

照月「照準でました!!」

秋月「下に3cm修正!!」

夕張「下に3cm修正!!」

提督『了解!!』

照月「これで確実に入るハズです」

長門「勝ったな・・・」

瑞鳳(何が・・・?)

そこで陸奥は気付いた。

陸奥「ねぇ、あそこって洋式よね?」

瑞鳳「そうですね・・・それが?」

陸奥「男性が用を足すときって立ったままよね?」

明石「普通はそうじゃないですか?」

陸奥「でも・・・洋式便器って、蓋があるでしょ?」

女性であれば、どっちも座ってするので、座る際に蓋が閉まっていれば嫌でも気付く。

だが、今の金剛に気付くだろうか?

恐らく、そこまで思考が回っていないだろう。

明石「あっ!! そうか・・・最初に蓋をあげなくては・・・」

瑞鳳「全部、蓋に跳ね返されちゃう!!!」

榛名「大惨事です!!」

長門「待て!! 金剛!! 撃つなぁぁぁぁ!!!!!」

誰もが思った『終わった』と。

照月「そんな・・・」

誰もモニターを直視出来ない。

負けたのだ。我々は・・・

そう思った。

だが、奇跡は起きていた。

照月「な!!? 便蓋が開いてます!!!」

長門「なにぃ!!!!?」

瑞鳳「・・・どういうこと?」

榛名「あっ!! そうだ!! そうでした!!」

明石「何? どうしたんです?」

榛名「あのトイレ、確か自動でカバーが開くんですよ!!」

トイレの歴史は古い。

腰をかけるタイプのトイレは紀元前から存在していたらしい。

洋式トイレは大きく分けて3つのパーツに分類できる。

便蓋、便座、便器の3つだ。

このような現在の洋式トイレと言われるモノは、

西洋でおよそ100年程前に原型が出来た。

ちなみに便座には主にO型とU型が存在する。

最初に登場したのはO型であった。

だが、O型には欠点があった。

それは男性の陰部が接触してしまい、不特定多数の人達で使う場合は不衛生であると言うこと。

その為に、陰部が接触しないU型が開発された。

だが、U型にも欠点がある。それは強度だ。O型に比べると強度で劣っていたのだ。

日本では戦前は多くが和式トイレであったが、戦後のGHQ統治下に急速に洋式が広がった。

洋式トイレの普及率は和式を超えて、多くの家庭にあるのは洋式トイレである。

日本の場合は、O型の便座が今では一番の普及率を誇る。

理由は体格差。欧米人に比べて小柄な日本人はO型であっても、陰部が接触することはあまりない。

なので強度面でも優れているO型が多く普及しているのだった。

昨今ではトイレの技術が進み、洗浄機能のウォシュレット、自動で便蓋が開く機能まで付くモノもある。

かつては海外のトイレを模倣していただけに過ぎなかったが、今では日本のトイレは世界から賞賛されるレベルまで達していた。

商品として他国に売れるほどに。

執務室にあるのはそんな高性能トイレだった。

夕張「では・・・作戦は・・・」

提督『なんか無事に終わりました!!』

照月「せ・・・成功です!!!」

この瞬間、司令室は歓声に包まれた。

抱き合い、ハイタッチし、お互いを労う。

夕張「このように、私達で協力すればなんでも出来るんですよ!!」

夕張「だから私達はもっと協力しなくては行けないんです」

夕張「ですから・・・あの計画、もう少し真剣に考えて欲しいかな」

陸奥「・・・一夫多妻計画のこと?」

夕張「提督が言ってました。私達は皆家族だって・・・だから・・・争わないで・・・皆で」

榛名「・・・・・・」ハイライトオフ

夕張(やっぽり・・・榛名さんは・・・簡単には頷きませんか)

執務室では提督(金剛)は何か満たされた気持ちでいっぱいだった。

提督(天国でーす)

自分は全てから開放された、自由なんだ。そんな気分だった。

今なら空をも飛べる気がした。圧倒的な開放感に酔いしれていた。

投下完了しました。
何時も感想どうもです。
次回は出張の関係で次回は木金あたりになると思います。

ではまた!!

提督「・・・zzz」

瑞鳳「寝ちゃいましたね」

時雨「皆が色々と要求するから疲れたんだね」

海風「姉さんもお姫様だっことか、壁ドンとか、写真とかいっぱい要求したじゃないですか」

江風「順番待ちで3時間も列が出来てたからな・・・」

天城「でも中身が金剛さんだと普段は中々言えないことも出来ますねぇ」

葛城「はい。とても充実した時間でした」

鈴谷「そうだねー ね?」

霞「私に振らないでよ!!?」

鈴谷「滅茶苦茶要求したくせにー」

瑞鳳「しかし、何時も思いますけど、提督って一度寝ちゃうと中々起きないですよね」

飛揚「中身が金剛でも体は提督だし、疲れてるんじゃない? 体が」

潮(体・・・なんかいやらしいです・・・///)

名取(提督の体・・・)

羽黒(舐めたい・・・)

明石「・・・」

天城「どうしたんです?」

明石「ちょっとね・・・この場合、金剛さんはどっちの夢を見るのかなって」

天城「・・・?」

明石「意識は金剛さんだから、自分の意識下の夢を見るのか・・・」

明石「それとも体に影響されて提督の意識の夢を見るのか・・・」

鈴谷「意識は金剛なんでしょ? じゃあ自分の夢見んじゃないの」

明石「例えばですけど、臓器をドナーから提供された患者さんは、見たことも無い風景をみることがあるそうです」

海風「それは臓器提供者の記憶を見ているってことですか?」

明石「はい。でも科学的には立証出来てないのでオカルト話になっちゃうんですけどね」

眠る提督(金剛)を見る。

彼女がどんな夢を見ているのか興味があった。

明石「貴女はどんな夢を見ているんですか?」

明石は金剛が目を覚ましたら聞いてみようと思った。


金剛は夢を見る。

金剛「ここは・・・どこです?」

見慣れない場所。

写真でしか見たことが無い人物が居た。

金剛「あれは提督の・・・お父さん?」

提督の父と、妻と思われる女。

金剛「お義母様が南方棲鬼になる前の・・・姿?」

2人は微笑んで、その視線の先に幼い子供が居た。

金剛「提督? 提督なんですか!? 可愛いデース!!」ハァハァ

仲睦まじい家族の風景。

提督父「さっきから何を書いているんだ?」

提督「これは、ゆうしゃだよ」

クレヨンで画用紙に絵を描いている。

それは御伽噺に出てくるような、剣を持った甲冑の騎士。

提督父「勇者か。そう言えば先日、長門がそんな絵本を読んでくれてたな。色々世話をしてくれて助かるよ」

提督母「ちょっと、この子を見る目が犯罪的ですけどね」ハァ

提督「ゆうしゃって皆を助けてくれるんだよ。正義のヒーローなんだって。長姉も青姉も言ってた」

提督父「そうか。確かに勇者は最後は魔王を倒すのがお約束だからな」

提督母「そうなんですか?」

提督父「まぁ、そういうのが多いな。それで世界を救うみたいな感じかな?」

提督「ボクは大きくなったら、ゆうしゃになるんだ! 困ってる人や、弱い人を守ってあげるんだ!」

提督父「そうか。英雄になりたいか。良い夢じゃないか」

提督「えいゆう?」

提督父「勇者と同じだよ。大義を成して世界を救う。それが英雄だよ。まだ難しいか」

提督「よく分からない。けど・・・」

提督母「けど?」

提督「ボクが大きくなって、お父さんも、お母さんも守ってあげるから!」

提督父「ハハハ・・・ありがとう。気持ちは嬉しいけど、オマエが大きくなるまでには平和な世の中にしたいな」

提督母「そうですね・・・カイスイヨク?でしたっけ? 海が平和になれば家族で行きたいって言ってましたね」

深海棲艦出現以来、海辺は危険なので一般人の立ち入りは厳しく制限されている。

例外は軍関係者か、許可を得て決められた海域で漁業等を行う者等とほんの一部。

一般人にとって海は危険であり、夏の水遊びと言えば内地に作られたプールが常識になっていた。

海を奪われたことで、海水浴への需要を満たす為に、国内には海水まで再現した人工の海水浴場が幾つか存在する。

実際の海で遊んだことの在る世代は自分の子供を本物の海に連れて行ってあげたい。そう考える者も少なくなかった。

提督父「そうだな。俺が子供の頃、一度だけ行ったんだが・・・この子も連れてってやりたいな。平和な海で遊ばせてあげたい」

提督母「そうですね。早く平和を取り戻さないと」

金剛「ここは・・・提督の記憶の中ですか?・・・」

自分の姿は提督ではなく、普段の姿になっていた。

場面が変わる。

鎮守府の施設だろうか? 提督が泣いていて、壁に穴が空いて、近くには戦艦の艤装があり、砲塔からは煙が出ている。

金剛「一体何が・・・?」

提督父「どうした!? 一体何事だ?」

長門「それが・・・艤装が突然動き出してな・・・」

提督父「どういうことだ?」

青葉「もうしかしてですけど・・・」

青葉の説明を受けて信じられないと返す。

提督父「何? 艤装を動かしたのが息子?」

青葉「多分。この子に反応して動いたように見えました」

提督父「・・・まさか」

また場面が変わる。

今度は提督が妖精と遊んでいた。

どうやら幼い提督にとって、父の鎮守府は遊び場でもあるようだった。

提督「まけた・・・」

妖精「だるまさんが転んだって遊びはおもしろいね」

妖精2「人間は面白い遊びを沢山思いついてすごいね」

提督「そう?」

人類の殆どが妖精と意思疎通が出来ない。

それどころか、その存在を感知出来ない者が大半だ。

提督になれる者の条件の一つに妖精を認識できることが挙げられるが、

艦娘を通さず完璧な意思疎通を出来る者は殆ど居なかった。

金剛「妖精と会話をしているんですか・・・?」

妖精「キミは良い子だね。『混ざってる』せいなのかな? 一緒に居て、とても安心するよ」

提督「混ざってる?」

妖精2「でもキミはそのまま行くと死んじゃうよ」

提督「え? 死ぬ?」

妖精3「艦娘の力は人間には強すぎるから・・・未成熟な体では耐えられないんだね。すぐに艦娘の力がキミを食い殺す」

提督「ごめん。むずかしくてよく分からないよ」

妖精1「キミが女の子なら適合出来て問題なかったんだろうけどね」

金剛「そう言えば艦娘との間に生まれた子供は多くが長く生きれない・・・聞いたことがありますね・・・」

妖精4「折角出来た友達に死んで欲しくないな。キミも死にたくないでしょ?」

提督「うん。嫌だよ。大人になって、英雄になって、みんなを助けるんだもん」

妖精1「夢があるんだね」

妖精3「ならボク達がキミを助けてあげるよ」

妖精2「キミの体が完全に成熟して、艦娘の力に耐えられるまで」

妖精4「その力を抑制するんだ」

妖精2「そして君の体も艦娘の力に負けないようにしないと」

妖精1「君が寝ている間に体を少しづつ変化させよう」

妖精2「普通の人間として、力を持ったままでも生きていけるように」

妖精1「すごい時間が掛かるんだけどね」

妖精3「キミは少し普通の人より眠りが深くなるかもしれない」

妖精1「副作用って奴だね」

妖精「何年掛かるか分からないけど、そうすることでキミは普通の人間として不自由なく生きていけるよ」

提督「よく分からないけど・・・お願いします」

妖精達『じゃあね。また何時か、どこかで遊ぼうね』

提督「みんなとはもう会えないの?」

妖精達『また何時かどこかで会えるよ。ボク達と人間とでは時間の概念が違うから何時かは分からないけど・・・きっとまたどこかで会えるから』

提督「あれ・・・? なんだか・・・眠く・・・」

金剛「これが・・・提督が一度眠ると中々起きない原因ですか・・・」

また場面が変わる。

今度は葬式のようだった。

金剛「これは・・・提督のご両親が無くなった時の?」

青葉「皆・・・死んじゃいましたね」

飛揚「・・・まるで悪い夢ね。早く覚めないかしら」

陸奥「本当にね。提督の安否の確認で海域調査に向かった長門達も戻らなかった」

飛揚「大体、友軍は何をしていたの? 最終的にウチだけじゃなく佐世保からも艦隊が来る手筈だったでしょ?」

青葉「なんでも、護衛艦の機械トラブルで推進力を失って修復に時間が掛かったらしいですけど」

那智「・・・本当かどうか怪しいものだな」

青葉「聞いた話だと、その件は佐世保の提督が司令に連絡して居たらしいです。通話記録もありました」

陸奥「でも共同作戦に変わったのに、単身でウチの艦隊だけで突っ込むかしら? 提督が・・・」

那智「普段の奴の行動を見る限り、未知の敵であるなら慎重に行くハズだしな」

青葉「ただ、佐世保の提督が憲兵に連れて行かれていて接触は困難、それ以上は情報が隠匿されているのか拾えませんでした」

川内「頑張ったけどね・・・情報は得られなかったよゴメン」

飛揚「何かあって故意に隠されてるってこと?」

陸奥「わからないわよ。情報が少なすぎるもの」

青葉「あの海域で何が・・・私は・・・絶対に許せません。今回のこと。司令を殺し、友を殺した奴を・・・」

飛揚「アンタは特にやま・・・奥様と仲が良かったものね。彼女が結婚するまでは」

陸奥「新種の深海棲艦・・・恐ろしい相手ね。私達、艦娘も、もっと強くならないと・・・」

明石(そうだ・・・私達艦娘はもっと強くならなくては・・・改を超えた強さを・・・)

那智「この後どうする? 一部の鎮守府の提督達は私達を欲しがってるようだぞ」

青葉「ここの戦力は充実してますからね。生き残りを分散させて戦力として自分の艦隊に組み込みたいんでしょ」

陸奥「生憎・・・提督以外の下に付くつもりはないけどね」

青葉「司令官の死が確定した時点で、後を追うように命を絶った娘も数人居ますし、今の残存した娘達も心が乱されてますし・・・」

那智「この状況で知らない鎮守府にバラバラで飛ばされるのは避けたいな」

飛揚「そうね。どうするつもり?」

青葉「信用できる人に連絡していますが・・・彼が間に合うか」

那智「ああ、提督のご友人だったか」

陸奥「階級的にも発言力はあるからね彼は・・・提督とは親友同士だったし、妥当な扱いで落ち着くんじゃないかしら」

青葉「それよりも・・・心配なのが・・・あの子です」

提督は泣いていなかった。年齢に似合わず落ち着いていた。

それが周囲を心配させた。あの歳で突然父と母を・・・家族を失ったんだ。普通は泣き喚いてもおかしくない。

金剛「・・・提督」

場面がまた変わる。

どこだろうか? 鎮守府の建物が見える。

金剛「鎮守府の施設の裏庭?でしょうか?」

提督以外誰も居ない。

提督は泣いていた。

ここならば人目を気にしないで済むと思ったのだろう。

提督「泣いちゃダメなのに・・・」

提督「皆だって辛いのに」

提督「父さんも母さんも死んでない・・・生きてるよ」

提督「こんなのウソだよ。だって良い子にしてればすぐ帰ってくるって言ってたもん」

提督「ボクは良い子にしてた。みんなの言う事を聞いて勉強もしたし、お手伝いもした」

提督「ずっと良い子にしてたよ?」

一人なのに、誰かに語りかけるように話す。

提督「神様。ボクは悪い子ですか? ずっと良い子にしてました。返してください」

提督「父さんと母さんを・・・返してください・・・返して・・・」

何度も「返して」と言葉を吐いて泣く提督を見るのに絶えられなかった。

金剛「提督っ!!」

抱きしめようとしても、体をすり抜ける。

金剛「なんでですか!!」

なんで。

こんなにも大好きな人が悲しんでるのに、

こんなにも胸が苦しいのに、

金剛「なんで抱きしめてあげることすら出来ないんですか・・・」

これは深層心理に残る、提督自身ですら忘れてしまったかもしれない記憶の残滓。

触れることなんて出来ない。

そんなことは分かっている。

だけど、それでも・・・抱きしめてあげたかった。

だって好きだから。

愛しくて愛しくて堪らないから。

やがて提督は泣き止んで呟いた。

提督「もっと良い子にならないとダメなんだ。誰よりも正しく」

提督「正しく、正しく、正しく・・・正しくないと英雄(ヒーロー)じゃないから」

提督「正しい人間になって・・・助けるんだ。皆を、父さんも母さんも」

提督「正しくしていればきっと帰ってきてくれる。そう約束したもん」

提督「正しく・・・正しく生きて・・・誰よりも・・・誰よりも・・・」ハイライトオフ

提督「・・・戻らないと・・・お姉ちゃん達が心配しちゃうよね。 それは正しくない・・・正しくない・・・ただ・・・」

それが今尚続く提督の原点。

やがてその理由も目的も、悲しみで心が壊れないようにする為か自分でも忘却し、

ただ正しくあるべきだという考えのみに突き動かされる。

父と母の死を提督は受け入れられなかった。

その姿が痛ましくて、見てられない。

金剛は泣いていた。声をあげて。何も出来ないことが悔しかった。

それからもどんどん場面は変わる。

金剛「・・・元帥?」

後に元帥になる男の所で面倒を見てもらっている提督の

およそ子供らしくない落ち着いた様子に元帥配下の艦娘達は関心していたが、

元提督父の部下だった艦娘と、親友だった元帥は少し悲しそうに見ている。

金剛もまっすぐ見つめることが出来なかった。

ただただ悲しくて、何も出来ずただ見ているのが辛かった。

投下完了。
感想ありがとーございます。
ほんと励みになります。
割と話足してるからこのスレで完結しなそうで恐いデース

終盤に向けて
提督の性格にも理由があり、好意を受け取らない、気付かないも理由があると
複線を回収してくけど自分の筆力で伝わるか恐いです。
(おおめに見てくれるとベスト五航戦賞贈呈)

まぁ冗談は置いておいてここまで色々書き足して続いてるのは感想をくださる皆さんのおかげです。
キッチリ完結しますので生暖かく見守っていてくれると嬉しいです。

では次回は日曜辺りに。
おやすみなさい。

―――金剛さん!!

誰かが呼んでいる。

―――起きてください!! 外の様子が・・・

体がどこかへと引き寄せられる。

金剛「っ!! 待って!! 待ってください!! 提督が・・・提督が・・・」

所詮は記憶の中。

過去の出来事。

金剛「私は・・・私はまだ・・・」

自分には何も出来ない。

それでも・・・そばに居てあげたかった。

瑞鳳「あっ起きました」

時雨「どうして泣いているんだい?」

提督「え? 私、泣いてます?」

時雨「提督の姿で泣かれると・・・痛まれない気持ちになるね。涙を舐めてもいいかい? テイトクニウムが不足してきたんだ」

大淀「売店で提督水を買ってきてください」

時雨「生の方が魅力を感じるだろ?」ハイライトオフ

大淀「確かに・・・」ハイライトオフ

瑞鳳「すいませんが話が進まないので、少し黙っててくれます? 気持ちは痛いほど分かるけど」

時雨「ごめん。少し興奮していたみたいだ」

大淀「失礼しました」

瑞鳳「それで・・・なにか嫌な夢でも見たんですか?」

提督「・・・分からないです」

意識が覚醒すると何も覚えていない。

でも、確かに何か悲しいものを見た気がする。

それが何かが分からないのが、とてももどかしい。

瑞鳳「まぁ夢なんて目が覚めると忘れちゃったりしますしねぇ」

提督「・・・そうですね」

何を見たかは覚えていないけど、アレは忘れては駄目なことである気がした。

心はどこか悲しくて、切なくて、自分でも表現に困る感情が湧き出してくる。

提督「・・・ただ、今は」

瑞鳳「今は?」

提督「提督を抱きしめてあげたいです・・・」

何時もなら、そんなことを言えば周囲が牽制しあったり、最悪の場合は砲弾が飛ぶのだが、

金剛の雰囲気が何時もと違い、なにやら深刻そうだったので周囲は何かを感じて黙認した。

提督「で? 何があったんです?」

瑞鳳「何やら鎮守府近海の様子がおかしくてですね・・・」

提督「おかしい? 提督から何か通信は?」

大淀「それが通信が繋がらず、確認が取れない状況です」

瑞鳳「最初は提督(金剛)達が艤装のテストをしていると思ったんだけど」

時雨「単にテストをしているにしては砲撃音がすごくてさ、ただならぬ空気なんだ」

大淀「念の為、部隊の編成は終わってますが、出撃は原則、提督の許可がないと出来ないので待機中です」

提督「確かに砲撃音が聞こえますね。ここからでは確認は無理でした?」

一応は鎮守府から見える距離での練習だったハズだ。

双眼鏡を使えば見えるのではないかと思ったが、それもハッキリとは視認出来てないらしい。

砲撃音と水柱が戦闘のように見えたことで異常事態の可能性も視野に入れているみたいだった。

状況がハッキリしない。提督と連絡がつかないことが一同を不安にさせる。

この状況、電ならどうする?

電は最初期から提督と、この鎮守府に居た。

その付き合いの長さは鎮守府着任前からだと聞いた。

経験を沢山積み、駆逐艦でありながらも、艦種を問わず多くの艦娘に『艦娘』としての指導を行った。

提督不在時でも、提督ならどうするかを的確に判断して、指示を出した。

提督と心から信頼し合えている。それが自分が着任した当初は羨ましく、妬ましかった。

こんな小さな子に嫉妬なんてと、内心思いながらも、電を見る度に自信を失ったものだ。

だから努力した。頑張った。

昼は普段通りに過ごしながらも、夜は過去の戦闘記録を見たり、提督の指揮を思い出しては、

頭の中で何回も反復する。毎日毎日。

提督が大好きだから、電のように提督から信頼されたいから、だから頑張る。提督に認めてもらえるように。

金剛は普段の言動からは誰もそうとは思わないが、かなりの努力家だった。

今では提督不在時には代理を任されるまでになっている。

それでも、まだ電に勝った気はしない。

何時になったら追い越せるのか? 永遠に無理なのだろうか?

一緒に居た時間で全てが決まるなら勝ち目は無い。だけど諦める気はない。負ける気はない。

電だけじゃない。鈴谷だって、初霜だって・・・榛名だって・・・皆、皆、皆・・・

名前を挙げればキリが無い。ライバルは多い。その誰にも負けたくない。

勝てないなら努力すればいい。もっと頑張ればいい。

提督(私は待ってるだけの女じゃないでーす!!)

どこまでも喰らい付いてやる。

私は私。電じゃない。金剛だ。

私のやりかたで、提督を支える。

だから考えろ。今の状況を。

提督(これは明らかに、動く『標的』を狙って砲撃している音・・・)

提督(通信が繋がらないのも敵が妨害しているから・・・その方がしっくりきますね)

提督(敵だと仮定した場合、こんな近海まで敵の侵入を許した? 何故? 天龍が確か哨戒任務に・・・それを突破した?)

提督(天龍達の安否は分かりませんが、電が居るので大丈夫でしょうね。あの彼女達を抜けてここまで侵入してきたとしたら・・・)

提督(恐らく、敵は少数精鋭、もしくは単機の可能性が高い・・・?)

提督(何の為に? 鎮守府の強襲、直接攻撃が目的であるなら、そんな少数で来るのは・・・)

提督(となると目的は? お義母様も泊地水鬼も捕虜になっていることは秘匿しているから奪還に来たとは考えにくいですね・・・)

提督(だとすれば・・・目的は鎮守府の責任者である・・・提督?)

提督(・・・頭を潰すことを目的にしている?)

提督「今、待機している艦隊は?」

大淀「第三艦隊が。神通を旗艦とした水雷戦隊です」

提督「直ちに艦隊を再編成します」

瑞鳳「再編成?」

提督「第三艦隊は扶桑を旗艦に、山城、加賀、赤城、時雨、夕立、目的は戦闘地点への援軍です」

大淀「足の速い水雷戦隊ではなく?」

提督「敵が居ると仮定し、状況から考えると、かなりの脅威である可能性が高いです。空母と火力は欲しいですね」

大淀「軽巡ではなく駆逐2隻ですか?」

提督「正面海域内部にまで侵入された場合を考えると駆逐艦の方が追撃しやすいですし・・・それに」

時雨「それに?」

提督「時雨と夕立なら、敵にガッチリ喰らい付いてくれるでしょ?」

挑発するように時雨を見る。まだ大所帯になる前から幾度も戦闘を共にしてきた仲だ。

女としては警戒してるし、気に入らないが仲間としては信頼していた。

それは時雨も同じだった。冗談めかして軽口を返す。

時雨「・・・そうだね。ここはボクと提督の家みたいなものだから。土足で敵を入れるわけには行かないからね」

最も言ってることは本心からではあるが。

大淀「では金剛さんは戦闘が行われていると考えるんですね?」

提督「杞憂かもしれませんが、その可能性は非常に高いと思います。何事も無ければ、それに越したことはありませんけどねー」

大淀「・・・ですね」

提督「今から、提督達が敵と交戦中と言うことを前提に考え、話を進めます」

大淀「分かりました。正式な命令として通しますのでサインを」

提督「わかりました。時雨、頼みましたよ?」

時雨「了解。じゃあボクは行くよ」

提督「提督の保護を最優先に動いてください」

時雨「もちろん。そうしない艦娘はここには居ないよ。誰一人ね」

その言葉に皆頷いた。

時雨は準備をする為に執務室を出て行った。

提督「続いて第四艦隊は蒼龍を旗艦に飛龍、瑞鶴、雲竜、秋月、初霜。鎮守府前を警戒、万が一こちらに敵機が来た場合は速やかに排除してください」

瑞鳳「第四艦隊も応援に向かわせたほうが確実に提督を助けられるんじゃない?」

提督「だからと言って本陣の防衛を疎かにするワケには行きません。実は正面の敵が囮で別の奇襲部隊が出現する可能性もありますし」

提督「敵の目的がハッキリしない以上は、全ての可能性を考慮すべきです」

提督「他の艦娘も臨戦態勢で鎮守府の警護に。民間の漁業組合にも危険だから海から退避するように言ってください」

大淀「それは先程済ませています」

提督「流石ですね」

大淀「提督なら、まず民間への被害を出さないようにするハズですしね」

赤城「失礼します!」

珍しくノックもせずに赤城が入ってきた。余程、慌てていたのだろう。

だとすると提督達に関することだと察して一同の顔が強張る。

提督「どうしました?」

赤城「先程、翔鶴から艦載機が・・・」

瑞鳳「連絡が来たの!?」

提督「状況は?」

赤城「敵は戦艦レ級1隻、戦闘状態に入っていると。また、近海で天龍の部隊がレ級の部隊と交戦中と」

提督「やっぱり・・・」

大淀「確定ですね」

提督「第三艦隊の出撃を急がせてください!!」

提督達が戦っている海域から少し離れた位置で、天龍を旗艦とする第二艦隊が戦闘に入っていた。

敵は5隻。イ級、ロ級の駆逐2隻に軽巡ホ級、ヘ級、重巡リ級だ。

天龍「うらぁぁぁっ!!!」

天龍の振るう剣は敵に避けられ届かない。

避けたリ級に龍田のヤリが迫る。

姉妹故の息のあった波状攻撃。

龍田(肉を削った感覚がない・・・)

上体を逸らし、紙一重でかわされた。

軽巡ヘ級、ホ級が砲撃を加えて来る。

電(・・・攻撃が緩いのです)

暁「暁の出番ね!! 改2にぱわーあっぷした力をみせてあげるわ!!」

響「一人で先行しないでほしいな・・・」

暁と響はイ級、ロ級に喰らい付くが、イ級もロ級も、ちまちまと撃ち返すだけで、基本的に逃げ回るように距離を開ける。

天龍「どうしたぁ!! 俺が恐いか? 恐れるな。所詮はこの世に在らざる存在。その魂を浄化し輪廻の輪へと・・・」

最後まで言い終わる前にリ級が発砲する。

天龍「あぶねっ!? おい! 最後まで聞けよ!!」

雷「天ちゃん邪魔!!」

天龍の横すれすれを雷が通り過ぎる。

雷「貰ったわ!!」

主砲を放つ。それも当たらない。

電(やっぱりこれは・・・)

天龍「ちょこまか逃げてばかりいやがって!! 勝負しろ!!」

電「相手は戦うつもりはないようですね」

天龍「あ? どういうことだよ?」

電「単刀直入に言うと時間稼ぎなのです。敵の目的は電達をなるべくここに引き止めることだと思うのです」

響「・・・どうする?」

電「敵を無視して鎮守府に向かう場合は背中から狙われるのです。だから却下・・・」

電「だからと言って、このままでも敵の狙い通りに足止めされてしまうのです」

龍田「当たりさえすれば殺れるのにねぇ」

天龍「糞!! こういうチマチマした戦いは嫌いだぜ・・・」

電「突破されたレ級も気がかりですが・・・今はここを抜けるしかないのです」

暁「どうやってよ! 向こうは逃げてばかり居るのに!!」

電「逃げているなら、逃げた先で迎撃すればいいのです。簡単とは言えませんが不可能ではないのです」

雷「何か考えがあるの?」

電「それには、皆の息のあったコンビネーションが絶対に必要なのです」

一同はその一言に素直に頷いた。

投下完了しました
何時も感想ありがとうございます。
あーすごい時間かけてチェックしたのに飛鷹が誤字でした・・・スイマセン。
結構チェックはしてるつもりなんですけど申し訳ないです。
ラ抜きに関しても、出来る限り意識してみます。ごめんなさい。


次回は水木辺りのどちらかだと思います。
では失礼。

リ級は気分が高揚していた。

レ級に言われたことはただ一つ。

「時間を稼いで、足止めをしておいて」

その為、今回の作戦で集められた者達は「逃げる」ことが上手い者のみ。

戦闘では戦果を挙げることも少なく、非武装の民間人を殺す時くらいしか

優位に戦ったことが無い。

仲間からも臆病者と言われ続けた自分達が、バケモノだ、出会えば死ぬと

一部で言われている鎮守府の艦娘共を翻弄している。

普通に戦えば、まず勝てないハズの存在。

そいつらの悔しそうな顔を見ていると、自分が高位の存在に感じた。

それが最高に気分が良い。

ただ逃げて、適当に撃ち返して時間を稼ぐ。

自分達にぴったりの仕事じゃないか。

逃げることだけは自信がある。それは他のメンバーも同じ。

敵の天龍が突っ込んでくる。

刀を振り回すが、それを交わす。交わし続ける。

リ級(くっ!?)

右腕を刀の先がかすめた。今のは少し危なかった。

リ級(こいつら・・・)

最初より的確にこちらの動きを捉えてきている。

リ級(この短時間で・・・こちらを動きを掴んできている?)

それは他の艦娘達も同じだった。

最初より動きが早くなっている。

龍田なんか特に。確実に獲物を殺そうとする殺意に満ちた目を見て、ゾクリとしたが

恐怖心を無理やり押さえ込む。

天龍の口から出る言葉は理解し難く、何を言っているか分からない。

リ級(長引くと不味いかもな・・・)

だが未だペースはこちら側。負ける要素は感じない。

ただ時間いっぱい逃げていれば良い。

合図があれば、撤退する。それで終わりだ。

だが、ここで少しづつ艦娘側の動きが変わる。

深海棲艦側は、まだ誰も気付かない。

前面に出るのは龍田と天龍、電。

雷、暁、響の駆逐艦3隻は速度が落ちており、逃げるように距離を開けて行く。

リ級(・・・なんだ?)

3隻共、動きが鈍くなっており、それが疲労によるものだと深海棲艦側は感じた。

先程と違い、今度はこちらが艦娘達を攻撃する。

イ級は砲撃を加えながら雷に迫る。

雷は必死に避け、反撃しようとして主砲をこちらに向けるが撃たない。

イ級(弾切れ?・・・それとも温存しているのか?)

何度も攻撃し、確かめる。

敵の残弾は0。もしくは殆ど残っていないと判断した。

そうなると途端に深海棲艦達は強気になる。

それは武器もまともに持たない敗残兵を追撃するような感覚。

自分達は武器を温存している、今なら・・・勝てるかもしれない。

こいつらを倒せるかもしれない。

リ級(こいつらを沈めれば・・・)

仲間内から賞賛され、周囲の見る目も変わるだろう。

リ級は天龍との距離を開ける。これで近接武器である刀は意味を成さない。

1発。2発。砲撃を加える。天龍は交わすばかりで反撃してこない。

リ級(やはり、弾が底をついたか)

距離を詰めれば刀にやられる。ならば一定の距離を保ち砲弾の雨を浴びせてやれば良い。

動きも鈍っているし今なら自分達でも倒せる。

深海棲艦側は本来の「時間稼ぎ」の任務を忘れ、艦娘を追う側に変わる。

殆ど反撃されない。いや、出来ないと思い込む。

それがさらに深海棲艦側を増長させた。

手柄の為と、手柄は自分だけのものだと、争い、競い合うように艦娘を追う。

コロス。コロス。ワタシがコロス。それしか頭にない。

深海棲艦の誰もが興奮状態に陥っていた。

イ級「ぐっ!?」

雷を追うイ級の体を弾がかすめた。

イ級(こいつ・・・まだっ!!)

砲撃を加えたのは電。

イ級は怒りを覚えた。舐めるな、今追い詰めているのはこちらだぞと。

雷を追うのを止め、すぐに電を追撃する。

背を向けて、逃げる電を追うのは自分が絶対的優位者だと感じさせた。

逃げる獲物と狩人。どちらが優位かは明白だ。

だが、どんなにイ級が砲撃しても当たらない。

それどころかチマチマ撃ち返しては当ててくる。

直撃ではない。かすったりした程度で、ダメージは殆ど受けていない。

避ける自信はある。そんなもの、当たるものかとさらに怒りを倍増させた。

こちらを見てニコリと笑う笑顔が自分を馬鹿にしている気がした。

さらに電は逃げ回りながらも、イ級、ロ級、ヘ級、ホ級に当てる。

4隻とも怒りで頭がいっぱいになり、死に物狂いで電を追う。

電「龍田さん!」

イ級「何?」

そこに乱入する軽巡龍田。

龍田「ごめんなさいね。弾切れでもう近接戦しか出来ないわ」

電「こっちもなのです」

そのやり取りで敵は弾切れだと知る。

今までの戦闘で、温存しつつ撃ち返していたと判断していたので、

それを全く疑わずに信じた。

イ級(敵は弾切れ・・・この場合狙うなら・・・)

軽巡。駆逐艦と軽巡なら、軽巡を倒したほうが手柄になる。

龍田「電ちゃんは逃げてね~」

緊張感のない声。

ロ級「あっちの駆逐艦はどうする?」

イ級「アンタが行けば? 私が狙うのは軽巡だ」

それは誰も同じ。

イ級、ロ級、ホ級、ヘ級は手柄を争うように龍田に向かう。

欲望に目をギラつかせながら。

龍田は逃げながら応戦。

深海棲艦4隻はそれを追従する。

電(・・・思惑通りなのです)

天龍はリ級と戦闘中だった。

リ級(貰った・・・)

この一撃で決まる。そう確信した。

そこへ、イ級が背後から突っ込み、接触。

激しい衝撃がリ級を襲う。

リ級「貴様!! どこを見ている!!」

イ級「いや、そっちこそ気をつけてよ!」

さらにロ級、ヘ級、ホ級も突っ込んできた。

リ級「貴様ら!!何をしている!!」

せっかくの手柄を!! とリ級は憤慨する。

敵を追う事に集中しすぎて、衝突とはマヌケも良いとこだ。

龍田「天龍ちゃん」

天龍「応っ!!」

天龍、龍田は深海棲艦が衝突してバランスを崩した瞬間に高速で離脱する。

距離を取ると体を反転させた。

そこで気付く。

6隻の艦娘に全方向から囲まれていることに。

電「攻撃を避けられるなら、避けられないようにすればいいのです」

リ級「・・・え?」

突然のことで頭が理解出来ない。

電「・・・ごめんなさい。さようならなのです」

そこで、ようやく気が付いた。

リ級(こいつ等・・・!!!)

一箇所に誘い込まれた。

天龍と龍田、電を囮にし、駆逐艦3隻が自分達を囲い込むように展開していた。

何たる迂闊。

電(・・・喰い付いたのです)

まずは弾薬が切れたかのような芝居をすることで敵に攻撃手段が低下していると思わせた。

敵に自分達が優位だと思い込ませる。それが最初の作戦。

そして、敵に自分達が優位であると錯覚させた上で挑発し、指揮系統を麻痺させた。

敵の動きの連帯感の無さから、即席の部隊だと予想ができた。

その為、一度連携が崩れてしまえば立て直すには時間が掛かる。

さらには敵が欲する手柄をチラつかせる。

「敵を轟沈させた」という手柄を。

時間稼ぎが目的であっても、敵が弱っていて、倒せる状況になったらどうするだろう?

当然、沈めようとしてくるに決まっている。

そして駆逐艦と軽巡。手柄を狙うなら?

それは軽巡だろう、自分が手柄を挙げるという欲望を利用した。

深海棲艦からすれば、目の前には疲労して動作が鈍った極上の獲物がある。

面白いように喰い付いて、深海棲艦達は『自分達が追い詰めている』と思い込んで我先にと軽巡2隻に殺到した。

誘われているとも知らずに・・・

リ級(・・・無様だな)

6隻の艦娘の放つ放射状に展開された魚雷が迫る。

とても逃げ切れない。

だがいい。時間は十分稼いだ。そう思った。

リ級(いや・・・まだだ、まだ終われない!! このままやられてたまるか!)

ホ級「な・・・何を!?」

リ級「五月蝿い!!」

魚雷の直撃を受けて、大きな爆発音と水しぶきを上げて、深海棲艦5隻は全てが轟沈したように見えた。

響「・・・撃ち損じはない・・・みたいだね」

一番気がかりだったのは、6隻で囲い込むように撃ち出す場合に、

敵に当たり損ねた魚雷が通り過ぎて、周囲を囲んでいる仲間に直撃することだったが特に問題なく終わった。

龍田「電ちゃん、私達よりワンテンポ早く撃ったでしょ?」

電「はい。先に命中させれば爆発で他の魚雷も爆発させられると思って・・・」

雷「最初はどうなるかって思ったけど、上手くいって良かったわね」

笑顔だった電の目が険しくなる。

電「いえ、まだなのです」

暁「あっ!!」

視線の先、リ級が居た。ダメージを受けていたが辛うじて浮いている。

天龍「あいつ・・・味方を盾に!?」

リ級は盾代わりにしたホ級を海面に投げ捨てる。

ホ級は既に活動停止しており、海底へと沈んでいく。

憎悪の篭った目を向けて、主砲を構える。

リ級「コロス!! コロス!! コロス!!!」

怨念と怒りが、リ級の破損した体組織を少しづつ修復し始める。

天龍「チッ・・・やるか・・・」

距離はかなり離れている。一撃で命中は難しい。

ならば、砲撃を避けながら、接近して叩けばいい。

あのダメージでは最初のように攻撃を避けることも難しいだろう。

だが、天龍が向かうより早く、背後より砲撃音がした。

電「今度こそ、安らかに眠って欲しいのです・・・」

電の放つ主砲の一撃は、リ級の頭を吹っ飛ばして、今度こそ敵は殲滅された。

天龍(え?・・・この距離で当てたのか!?)

雷(・・・まだ私は電に勝てないのね。私だってもうレベルカンストしているのに)

電「・・・作戦終了なのです」

響「成功してよかったよ」

電「そうですね。被害も無くて良かったのです」

暁「最後のリ級は少しびっくりしたけどね」

電「時として、生への執着は想像以上の力を引き出すのですよ・・・」

龍田「それにしてもよく、こんな作戦を思いついたわね」

電「昔、似たようなことをしたのです」

電は敵が沈んだ場所を見る。

悲しみを感じないと言えばウソになる。

敵であっても、命を奪うのは辛いという気持ちはある。

だが、罪悪感は無かった。仕方が無い。これは戦争。

自分達がやらないと、巡り巡って誰かが傷つく。

半端な優しさは甘さだ。

そして、その甘さは味方を殺すこともある。

電「戦争は悲しいのです」

暁「・・・? そうね」

自分は艦娘。

兵器ではあるが、人でもある。

君は人間だと提督は言った。だから人間だ。

悲しむし、怒るし、笑う。生きているから。

誰もがそんな、人として当たり前のことを、当たり前に出来る世界。

平和を享受し、戦争と言う理不尽に誰かの命が奪われない世界。

電(それが司令官さんと約束した未来・・・)

何時の日か、戦争を終わらせて、それを当たり前にさせる。

もう誰も悲しい目に合わせない様に。

それが昔、2人でした約束。

たった2人から始めた鎮守府が動き出した日から追い続けた夢。

かつては誰もが夢物語と言っていた事が、今では現実味を帯びてきている。

鎮守府の仲間達もそれを信じている。

2人の夢が今では鎮守府の仲間共通の目的になっている。

電(もう少し・・・もう少しなのです)

それが叶うまで、自分は甘さを捨てる。

もう失敗はしない。

だから今は悲しまない。敵を討つ。未来の為に。夢のために。そして・・・

電(大好きな・・・司令官さんの為に・・・司令官さんと私の敵は・・・全て・・・)ハイライトオフ

今は敵を殺さないとダメなんだ。

そうじゃないとまた・・・

雷「どうしたの? さっきから黙り込んで?」

電「なんでもないのですよ?」

雷「・・・そう? ならいいけど」

天龍「さーて・・・鎮守府の応援に向かうか」

天龍はレ級に抜かれたのが余程気に食わないのか、ヤル気満々だった。

龍田「もう誰か倒しちゃったんじゃないかしら?」

電「・・・ダメなのです。やっぱり、通信がまだ回復していないのです。ということは妨害しているのはレ級・・・」

響「みたいだね」

暁「早く戻らないと!」

電「いいえ、まずは鎮守府ではなく民間の漁港に行くのですよ」

天龍「は? 鎮守府に敵がいるのにか?」

電が前進すると天龍を残して全員が進みだした。

天龍「ちょっと待てよ!」

慌てて天龍も追いつく。

雷「どういうこと?」

電「現状、鎮守府とまだ連絡が取れていないのです。まず必要なことは?」

先生が生徒に答えさせるように天龍に話を振る。

天龍「え・・・と・・・連絡を取ること?」

電「そう。まずは状況の確認。そして、こちらの状況を知らせるのです。全員無事だと」

暁「なんで漁港なの?」

提督の方針で、舞鶴では若狭湾での漁を許可していた。

無論、安全の為にルートの指定や、細かいルールは設けているが・・・。

それでも、この時代に海での漁を可能にさせてくれた提督に漁師や市民は感謝し、

指示には全面的に従っている。中には崇拝している者が居るほどに。

見返りを求めず、市民の生活に必要なことだと判断して行ったことではあるが、

結果として真摯な対応が市民の信頼を勝ち取り、さらには魚を少し別けて貰う恩恵も受けている。

これは軍属が民間から賃金を貰って、何かをするのが問題なので、提督は金銭の受け取りを断わったことから始まった。

猟師たちは仲間内で相談し、漁で取れた魚を鎮守府にお裾分けした。

最初は断わっていたが、最終的には提督が折れて、食べきれる量で、

あくまで自分達の生活利益を優先することを前提に受け取ることになって、それが今でも続いている。

少し前にも艦娘が護衛として付き合い、秋刀魚を大量に捕まえてきて、旗まで貰っていた。

この漁港は若狭湾と舞鶴湾の境に存在し、舞鶴鎮守府に戻るには必ず通過することになる。


電「今、電達が居る場所から鎮守府と漁港だと、どっちが近いですか? 漁港なのです。そして漁港には・・・」

響「ああ、有線の回線があるね」

電「鎮守府に連絡できる可能性が高いのです」

そっちまで遮断されて使えない可能性もあるが、

艦娘の通信のみを妨害しているのであれば、通常の回線は生きている可能性は高い。

電「そして後2つ、理由があるのです」

暁(・・・なんだろ)

雷「・・・一つは民間人の保護よね?」

暁「あ・・・暁もそう思ったわよ」

響「多分、それは既にやってると思うよ」

電(そう、司令官さんなら、まずは民間人の安全を最優先にする。なら既に指示は出ている・・・)

だが突然、敵が鎮守府付近まで攻め込んだ為に、こちらに護衛を回している余裕が無い可能性が高い。

ならば状況を確認した後、必要であれば漁港付近に展開し、民間人を守る必要もあるかもしれない。

一般人に犠牲が出れば、それは提督の責任問題にも繋がる。

下手すれば日本各地からバッシングを受けるだろう。

守ろうとした事実は無視されて、何故犠牲を出したのかと一点のみを取り上げて悪者にされる。

特に市民から反感を持たれることは避けたい。

そうなれば、立場も危うくなり、今後の活動に制限が掛かる可能性もある。

最悪、責任を取り、鎮守府を去らなければ成らない事態も考えられる。それだけは絶対に避けたい。

そんな計算を頭の中でしている自分が少し嫌になる。

電(・・・いえ。そうじゃないのです。それもあるけど・・・人を守るのが・・・電達の仕事なのです)

響「そしてもう一つの理由は、これ以上の敵の侵入を許さないことだよね?」

電「はい、舞鶴鎮守府に向かうには海路は一つしかないのです」

舞鶴湾は周囲を陸に囲まれている為に、入るのも出るのも1つの海路しかない。

つまり、敵が侵入するなら必ず通る場所。

完全に制圧している海域に敵が現れた。

それを考えると別働隊が存在し、さらなる強襲をかける可能性もある。

なので連絡を取った後は自分達が防衛し、これ以上の侵入を防ぐ。

皆、説明に納得したようだった。

電(鎮守府には司令官さんがいるのです。心配だけど、電はこれでいいのです)

今は自分が出来ることをやる。

何時からだろう。戦うことに恐怖を抱くことが無くなったのは。

敵を倒すことに罪悪感を感じなくなったのは。

その代わり、提督に失望されるのが恐かった。別れるのが怖かった。離れ離れになるのは嫌だった。

電(司令官さんはそんなこと・・・思わないのです)

あの提督が自分達に失望するとは思わない。あるとすれば自分自身を責めること。

電(それはもっと嫌なのです・・・)

だから正しい行動をする。今出来ることで最も正解だと思うことを。

指に嵌めているケッコン指輪を優しく撫でる。

心が満たされる。

それだけでなんでも出来る気がした。

電「少し速度をあげるのですよ」

雷「分かったわ!」

天龍「ちぇっ・・・レ級と殺りあいたかったぜ・・・俺一人で行っていい?」

少し不満気に呟いたが答える者は居ない。

天龍「へいへい。分かったよ。黙って付いてくよ。つか旗艦は俺じゃね? なぁ? 聞いてる?」

彼女なりに場を和ませようとしたのだが、皆、鎮守府に居る提督のことが不安で軽口を返せる気分じゃなかった。

天龍なりの気づかい。それが分かったから電は少し優しい気分になる。

電「天龍ちゃんは良い子なのです」

天龍「うっせーよ・・・バカ」

照れくさそうにそっぽを向く。

電「・・・言葉遣いが乱暴なのですよ?」

ギロリと睨まれて慌てて天龍は「うっせーです」と言った。

その変な口調に皆が笑い、少し気持ちに余裕が出来た。

投下完了。
感想ありがとうございます!
すいません。家帰れなくて遅くなりました。
なんで水、土の2回分投下した感じです。スイマセン。

来週が糞忙しいのでハッキリ何時か分かりませんが、
平日が無理なら日曜あたりになるかもしれません。
なるべく頑張る(キリッ

誤字チェックはかなりしたけど、あったらゴメンなさいです。
ではおやすみなさい

すいません、1です。
パソコンのトラブルで復旧に追われてました。
前触れ無く電源が入らなくなって、原因が分からず、分解して検証してました。

とりあえず、新しい電源ユニットを丸々交換したら電源は入りましたがブルーバックが出たり
動作が不安定なので一度、リカバリしてOS入れなおしたりしてます。

SSのデータは外付けHDDにバックアップがあるので多分大丈夫・・・だと思う。
なにぶん帰宅時間が23時くらいでそこからの復旧作業の為、時間かかっちゃいました。

なんか不安にさせちゃってみたいでスイマセン。
突発の出費のせいで懐も痛いし踏んだり蹴ったり・・・orz

アップデートプログラムを実行して寝ます。
おやすみなさい。また近いうちに。

伊勢「提督!! 早く!! ここは私達が!」

金剛「・・・っ」

情けなく思うが、借り物の体で戦闘に介入した所で

皆の足を引っ張ってしまうことは明白だった。

通信は電波妨害により使えない。

金剛(やはり、一度戻るしかないのか・・・)

鎮守府から離れてしまったので、戻るにしても最短でも20~30分は掛かる。

そこから増援がくるまでどれ程掛かるだろうか?

その間、皆にレ級を任せることが不安であった。

レ級は元々厄介な相手ではあるが、最近では特に脅威になっておらず、

遭遇しても大きな被害も出さずに倒すことが出来ていた。

だが、アレは何やら普通の固体とは違う。

強い。恐ろしく強い。

翔鶴「早く鎮守府へ!」

金剛「・・・すまん」

今は彼女達を信じるしかない。一刻も早く鎮守府と連絡を取り、すぐに応援を呼ばなくては。

金剛(チクショウ・・・)

自然と拳に力が入る。

金剛(頼む、皆・・・耐えてくれ!!)

レ級「邪魔だよ!!」

伊勢「そりゃそうだよ、邪魔しているんだもん。航空戦艦を舐めないでよね!!」

レ級「へぇ! 面白いね! 戦艦なのにヒコーキ飛ばすんだぁ!!」

尾「それはこちらもでしょうに」

レ級の尾が淡々と返した。

尾はまるで生物のように顔があり、言葉を発する。

伊勢「翔鶴!!」

翔鶴「はい!!」

伊勢と翔鶴の航空隊の息のあった攻撃。

レ級「おっとっ」

艦載機から投下された爆弾をまるでダンスでも踊るように回避する。

レ級「ほ~らお返しだよっ!!」

翔鶴「魚雷!? くっ!! 迎撃!!」

正面から喰らいそうになるが、翔鶴の直掩機が迎撃に成功し、大きな水柱を上げた。

まるで水で出来た壁のように、それはレ級と艦娘達の間を遮る。

その一瞬のスキを付いて伊勢が主砲を撃つ。

伊勢「喰らえぇぇぇ!!!!」

レ級の位置は掴んでいた。

重力で再び水面に戻る水の壁を砲弾は切り裂いて、レ級に命中。いや、命中すると確信していたが・・・

伊勢(居ない!?)

直後、水中から水しぶきをあげてレ級が飛び出す。

能代(なっ!! 水面を潜って!!?)

レ級「ハイ、おしまい」

一切無駄な動作をせず、流れるような動きで伊勢へ発砲。

伊勢「終わらないっての!!」

飛行甲板を盾の様に使い弾く。砲弾の衝撃が腕に伝わった。

伊勢(くっ・・・)

弾かれた砲弾は海面へ着水して爆発した。

水しぶきが雨のように降り注ぐ中、レ級は楽しそうに、

両手を広げて落ちてくる水滴を全身に浴びながら鼻歌を歌う。

伊勢(コイツ・・・遊んでいるの?)

腕の痺れを落とすように腕を左右前後に振りながら、レ級を睨む。

レ級「へぇ・・・ザコだと思ったけれど意外と強いね。そこらの艦娘なら最初の攻撃で死んでいるのに!! すごい!! すごーーい!!」

何が面白いのか、楽しそうに笑う。

これには艦娘達全員が怪訝な顔をする。

卯月「なんか、アイツおかしいぴょん」

弥生「・・・うん」

レ級「でも、今回はキミ達が目当てじゃないから・・・そろそろ消えてね?」

先程までは楽しそうに笑っていたのに、急に能面のように無表情になる。

空気がピリピリした。

能代「・・・凄い殺気ですね」

伊勢「少し・・・ヤバいかもね」

レ級「いくよ?」

能代「!!!?」

凄まじい加速力。

砲撃で応戦するが当たらない。

能代(あっ・・・)

レ級と目が合った。突出して前にいた自分に狙いを付けたのだろう。

明確に死をイメージ出来る。回避が間に合わない。

まるでスローモーションの映像を見ているように、レ級の動きが見えた。

だけど、体は動かない。まるで自分だけが時間から取り残されたように。

レ級「まずは一隻。運がよければ仲間になれるよ。良かったねー」

時間は、ほんの少し前に遡る。

金剛「・・・」

後ろを見る。

砲撃音が鳴り響き、爆発の炎が見える。

5対1で数の上では優位なハズなのに、劣勢であることが分かる。

金剛(本当にいいのだろうか)

仕方が無いのは分かる。

判断的に指揮官である自分が、

アクシデントで入れ替わってしまった艦娘の体で戦うなんて自殺行為だ。

下手したら死ぬ。

金剛(今ここで俺が死ねば・・・金剛まで死なせてしまう・・・)

この体は金剛の物。死んでしまえば彼女をも殺してしまう。

それに自分が死んだら・・・残された者達は?

無責任な行動は取れない。

金剛(今はこれが正しい、正しいんだ・・・)

早く連絡を取り、艦隊を編成、すぐに救援に向かう。

そう、それが一番ベストな判断だと分かる。

金剛(なのに・・・何を考えているんだ俺は・・・)

気が付くと反転し、戦場へ戻っている。

これは間違い。

正しい判断ではない。戻るな。

金剛(うるさい。黙れ。黙れ。黙れ・・・)

この行動は間違っていると頭の中に行動を否定する声が響く。

金剛(分かっている、分かっているんだ。だけど・・・)

見えた。敵の姿が。

折角、皆が自分を逃がす為に戦っていたことを無駄にする愚かな行為。

金剛「だけど、俺は――――俺は―――」

レ級の主砲が能代を捉える。避けられない。

能代(・・・すいません提督。さようなら・・・みたいです)

金剛「―――もう家族を誰一人、失いたくないんだよぉぉぉぉっーーーー!!!!!」

轟音と共に放たれた砲弾はレ級に直撃する。

レ級「がっ!!?」

直撃をまともに喰らい、レ級は吹っ飛ばされた。

伊勢「え?」

翔鶴「・・・提督!?」

卯月「なんで戻ってきちゃうぴょん!?」

弥生「ひょっとして、もう応援を・・・?」

金剛「能代っ!!」

能代「・・・提督?」

金剛「良かった・・・無事だな?」

能代「え? はい!!」

伊勢「・・・提督、どういうこと? 連絡は取れたの?」

金剛「いいや。戻ってきた。お前達が心配だから」

翔鶴「なんでですか!! 提督にもしものことがあったらどうするんですか!!?」

金剛「ごめん。心配してくれてありがとう。でも散々悩んで・・・こうなった」

卯月「うーちゃん達が何の為に戦っていたか分かってるぴょん?」

金剛「全部、分かってやっているんだ。提督失格だな俺は。でもな・・・」

能代「あ・・・あう・・・」

安心したのか能代はよろけた。緊張の糸が切れたのだろう。

金剛「おかげで能代を助けられた」

よろけた能代を支えて、微笑んだ。

体は金剛なのに、その笑顔が提督と重なって能代は頬を染めた。

翔鶴「(私以外と)ラブコメ禁止ですよ」ハイライトオフ

弥生「(弥生意外と)禁止です」ハイライトオフ

卯月「何時までひっついているぴょん」ハイライトオフ

伊勢「・・・へぇ。余裕があるね提督?」ハイライトオフ

金剛「すまん、そういうつもりは・・・ごめんな?」

能代「いえ!!大丈夫です! むしろ嬉しいです!! ありがとうございます!!」

戦場に似つかわしくない雰囲気だった。

能代(提督が居るだけで、こんなにも心が落ち着くんだ・・・)

伊勢「それより、増援はどうするのさー」

翔鶴「アレを振り切って撤退は難しそうですよ?」

金剛「ああ、だがな・・・よく考えたら恐らく、もう増援は向かっていると思うんだよな」

伊勢「どういうこと?」

金剛「俺達から連絡が途絶えて、時間がたっていることがまず一つ、そしてもう一つは戦闘による砲撃音だよ」

鎮守府のある舞鶴湾から出てはいるが、陸地には近い。そんな場所でドンパチをやっていれば陸地に音が届く。

そうなれば嫌でも異常な事態だと分かる。

そして今、執務室に居るのは提督である自分の体に入っている金剛だ。

彼女ならすぐに動く。確かな確証はない。だが恐らく編成を済ませて増援を向かわせているだろう。

沖で戦闘になった第二艦隊にも電が居る。

彼女も、この状況下で最善の行動を取っているハズだ。

どれも憶測。だけど、それは同じ時間を共有してきて培った信頼から来る確信。

金剛「提督である自分が、艦娘として戦いに加わるのは間違いだと思う」

だけど・・・

金剛「やっぱり、皆を置いては行けないよ。我侭を許してくれ」

弥生「でも・・・もしも、死んでしまったらどうするんですか・・・?」

皆それを一番恐れている。提督が死ぬことを。

金剛「・・・死ぬつもりはないし、皆を死なせるつもりもない。絶対にな」

根拠はない。だけど、その言葉だけで自然とそうなると確信出来る安心感があった。

伊勢「提督としては失格だよね。でもだからこそ・・・私は貴方を愛しているし、戦える」

翔鶴「なっ!! 私も!! 私も愛してます!!」

金剛「ああ、俺もだ」

伊勢(家族として・・・でしょ? 私は違うんだけどなぁ)

弥生(良かった。司令官が鈍くて)

卯月(いつものパターン・・・)

能代(でも提督が自覚したら、きっと争いで死人出ますし)

金剛「・・・どうした?」

伊勢「べっつにぃ~」

金剛「・・・?」

能代「しかし、電波妨害だけでも、どうにか出来ませんかね?」

金剛「それなんだがな・・・恐らく・・・」

その時、大きな音を立てて、何かが水中から飛び出して水面に着水した。

金剛「レ級・・・」

レ級「いやぁ・・・効いた。効いた」

尾「大丈夫ですか?」

レ級「少し落ちてたけどへーき 私は兵器」

尾「別におもしろくありませんよ」

レ級はケラケラ笑っている。

金剛「ダメージは軽微か・・・」

鎮守府との連絡が途絶えてからの時間を考え、そこから金剛が行動を起こし、艦隊を出撃させる時間を考える。

だとすれば、20~30分程、足止めすれば合流できるハズだ。

無論、金剛が事態に気付き、迅速に行動を取っていることが前提だが。

だが、今はそれを信じるしかない。

道は2つ。追撃困難な程の損傷を与えるか可能であれば撃破する、もう一つは増援が来るまで持ちこたえるか。

前者は手っ取り早いが、敵の戦闘力を考えると厳しいかもしれない。

金剛(ならば、損傷を与えつつも増援まで時間を稼ぎ、可能であれば倒す・・・どちらにしても難しいな)

だが、やらねばならない。誰一人失わず戻る為に・・・。

投下完了。
色々想定外のトラブルで遅くなってすいません。
感想何時もありがとうです。

以前もお伝えしましたが、
このSS一応全部終わりまで書いてあるんですよ。
だけどアレもしたい、コレもーとか
気が付くとスレ数がけっこう行ってて本スレで終わらないわってことで
継ぎ足したりしてまして当初の4倍近くに・・・
レ級の戦闘とかも割りと淡白な感じだったんですけど、
戦闘描写とか擬音を使わずに書きたくなって大幅に加筆しました。

本作品が初SSなんて色々実験的なモノも含んでいたりするのかなぁ・・・
同時刻に複数の場所で同時進行したり、戦闘描写だったり。
脳内のイメージをなんとか伝えようと色々頑張りました。エッヘン


突然停止する形で不安にさせてしまったことは大変申し訳ありませんでした。
繰り返しますが、加筆したり順番入れ替えることはありますが
基本的に既に出来上がってますので途中放棄したりすることはございません。
その点はご安心頂ければと・・・

投下当初に比べ、少し会社で偉くなったりして
自分が思っていた以上に生活環境に変化があって、時間取れないことも多々ありますが
きちんと完結しますよ。
本スレだけで終わらないくらい足されてるけど(汗

次回は土日どちらかの夜間くらいを予定してます。

では仕事行ってきます。

鎮守府では、提督の想像通り、編成を終えた第三艦隊が出撃を開始していた。

扶桑「では行きますよ!」

山城「はい姉さま!」

加賀「・・・無事だと良いのだけど」

赤城「ふふ・・・心配なんてしていないでしょ加賀さん?」

加賀「当然ね。提督に限って、もしものことなんて無いわ。どんな敵であっても」

赤城「そうですね」

時雨「当然さ。ボクの自慢の夫だもの」

夕立「時雨、人のダンナを取るのはダメっぽい」

加賀「貴女のものでもないけれど」

赤城「加賀さんのでもないですよ」

山城「・・・私の提督」ボソッ

扶桑を旗艦に、山城、加賀、赤城、時雨、夕立の6隻からなる第三艦隊は最高速度で目的地へ向かい航行していた。

軽口を叩きつつも、常に全方位を警戒している。

一糸乱れず、編成を維持して航行する姿からは歴戦の猛者の空気が漂っていた。

彼女達は鎮守府に早い段階で着任している古参組であり、

他所の鎮守府より、圧倒的に錬度が高い当鎮守府の中でも最強の一角を占める者達だ。

また同時刻、鎮守府正面の海域では第四艦隊が展開していた。

飛龍「さてと・・・じゃあ行ってきて!」

直掩機を残し、偵察隊を飛ばす。

蒼龍「・・・提督、無事だといいけど。多分無事だけどさ・・・でも心配だなぁ」

瑞鶴「信じるしかないわよ。大丈夫。提督さんなら絶対」

まるで自分に言い聞かせるように瑞鶴が力強く言葉を紡ぐ。

雲龍「・・・まずは事態をなんとかしないとね」

第四艦隊は蒼龍を旗艦に飛龍、瑞鶴、雲龍、秋月、初霜の6隻からなっていた。

秋月「どうしました?」

顔を顰めている初霜が気になり声を掛ける。

初霜「いえ、電波の妨害ってどうやっているのかなって・・・」

蒼龍「よく分からないけど、レ級が出しているんじゃないの?」

初霜「提督達の現在位置が舞鶴湾の入り口近く、栗田湾まで行かないにしても・・・由良川の近く・・・くらいでしょうか?」

雲龍「大体の位置はその辺じゃ? 戦闘中に移動している可能性もあるし、正確には分からないけれど・・・」

初霜「そこからレ級が妨害電波を出したとして、単機でそこまで広範囲をカバー出来るのでしょうか?」

蒼龍「普通であれば、中継役が居てもおかしくないけどね。だから今こうして哨戒機を飛ばしているわけだし」

初霜「聞けば、沖合いに居た第二艦隊も影響を受けていますよね」

秋月「でも天龍さん達は司令には連絡取れたみたいですが・・・」

初霜「それですよ。なんで天龍さんは鎮守府に連絡を直接せずに、提督達の艦隊に連絡を?」

秋月「・・・近かったからですか?」

飛龍「でも、まずは鎮守府に連絡しないと増援も出せないし、警戒も出来ないよね?」

初霜「こうは考えられませんか? しなかったのではなく、鎮守府に連絡が出来なかったって」

蒼龍「沖に居た天龍達が鎮守府には連絡が取れなくて、若狭湾辺りに居た提督達には連絡が取れた?」

瑞鶴「・・・?」

初霜「それと、金剛さんの体に入っている提督は除外しても、一緒に居るメンバーは皆、錬度が高いです」

秋月「確かに・・・そうですね」

初霜「いくらレ級が強いとしても、戦闘しながら妨害が出来る余裕ってあるのかしら」

雲龍「・・・つまり犯人は別に居る可能性が高い?」

初霜「ええ、恐らく・・・」

瑞鶴(・・・どうしよう話が難しい)

初霜「敵に妨害のみを行う別働隊が居たとして、それを行うなら・・・」

蒼龍「・・・まさか」

初霜も蒼龍も自分達の足元の水面を見た。

一方、電達は漁港にある有線回線で鎮守府に連絡していた。

提督『ええ、無事で何よりです。はい、ではそちらで敵増援を警戒してください』

天龍「で? なんだって?」

電「電達はここで敵増援を警戒するのです」

天龍「・・・あ」

龍田「どうしたの?」

天龍「・・・言い忘れた」

暁「何をよ」

天龍「最初に鎮守府に連絡を付けようとしたら繋がらなかったんだよなぁ」

響「・・・あーなんか怒ってたね。機械の故障か?って」

天龍「うちの鎮守府の艦娘同士の回線を手当たり次第に回したら繋がったんだよな。それ言うの忘れた」

暁「ダメね。そんなんじゃ長女としては失格よ!」

天龍「うるせぇ!ちんちくりん!!」

暁「なんですってっ!!」

雷「・・・喧嘩はダメよ?」

天龍・暁「「すいませんっ!!」」

後ろがギャーギャーと騒がしいが、無視して電は考える。

当時の戦況、提督(中身金剛)から聞いた状況だと自分達が連絡した直後に提督達は戦闘状況に入っている。

だが、戦闘中に妨害活動をする余裕があるとは思えない。

自分達が倒した敵を思い出す。

自分達を足止めする為だけに逃げていた? 他にも目的があるとすれば?

今思えば逃げ方がやけに派手だった気がする。

何から目を逸らしたかった? 

電(電達から目を逸らさせるとすれば・・・)

水上ではない・・・水面・・・

電「ああ、そういうことでしたか。電達はやられてしまったようですね」

暁「・・・?」

電は少し悔しそうに水面を見た。

それで何人かは同じ結論に至った。

雷「・・・私達が戦った敵、2重の囮ってワケね」

まずはレ級を単機で行かせる為の囮。

そして、あるモノから目を逸らさせる囮。

暁「・・・?」

電「恐らく、レ級を含めた6隻の他に別働隊が居たってことなのですよ」

天龍「多分な。俺らが逃したのはレ級だけじゃなかったってことだよ。コンチクショウ」

電「電達が水上で戦っている時に水面下を抜かれたのです」

暁「・・・うん?」

その頃、提督達は編成を組みなおし、レ級に応戦していた。

金剛「卯月、弥生、そのまま前進、敵背後を取れ、翔鶴は位置はそのまま、攻撃隊を2分し、卯月と弥生の護衛へ回せ!」

卯月「了解ぴょん!!」

弥生「任せて」

翔鶴「わかりました!」

金剛「能代、そのまま牽制、敵との位置を保ちつつだ。機動力と攻撃力を兼ね備えた軽巡の力を見せてやれ」

能代「はいっ!!」

金剛「伊勢、俺とおまえの攻撃力が突破口になる、同時に仕掛けるぞ」

伊勢「了解。でも無茶はさせないからね? 所で、さっき言ってた電波妨害がレ級じゃないって・・・」

金剛「奴だけで広域を全封鎖してるとは考えられない。この状況でそんなことする余裕もないハズだ」

伊勢「・・・?」

金剛「恐らく、妨害電波の犯人は別に居るな。外の部隊も俺達も孤立状態にさせるとすれば・・・ここではない」

それぞれ別の場所に居る金剛、電、初霜は奇しくも同じ時、同じ事をそれぞれの場所で口にした。

3人「「「敵は、鎮守府のすぐ近くに潜んでいる」」」と

秋月は驚いた。

秋月「え? この近くですか?」

初霜「恐らく。鎮守府そのものを通信封鎖してしまえば・・・」

雲龍「・・・外から連絡は出来なくなる」

秋月「でもどこに・・・」

自分で口に出して、自分で気付いた。

秋月「そうか・・・潜水艦!!」

蒼龍「もしそれが正解だったら、私達正規空母はちょっと厳しいかなぁ」

雲龍「・・・対潜で考えてなかったし」

飛龍「蒼龍のでっかいおっぱいを水中に撃てば、まとめて殲滅できるんじゃないのー」

蒼龍「・・・ぶっ飛ばすよ?」

飛龍「じょ・・・冗談だって」

瑞鶴(・・・あの胸が妬ましい)

自分の胸に手を当てて凹む瑞鶴。

それを見た初霜は完全に気持ちを理解した。

瑞鶴「・・・初霜? なんで私の肩をぽんぽんってしたの今」

初霜(でも私は瑞鶴さんと違ってまだ成長の余地が・・・)

何気に失礼である。

瑞鶴(提督さんに揉んでもらったら・・・大きくなるかなぁ)ハイライトオフ

投下完了。
感想どーもです。

一応の着地点は出来ていますけど、色々と継ぎ足して長くなっているので
修正とか、誤字のチェックが必要なんですよね。

例えば書き上げた時期的に夏イベやら春イベのキャラが出る前だったので
本来は登場予定なかったり、他にも思ったよりも声援を頂けたので話を増やしたり
そういう関係で後半の修正や辻褄合わせでチマチマ修正が必要なのもあって一気に投下は難しいですね。
結構誤字が多かったりするし修正も時間が・・・

何が言いたかったかと言いますと、途中で放置して未完とかにはならないので
そういった点を心配されているようでしたら大丈夫ですよと言いたかったのです。

色々ごめんなさい。がんばるデース




初霜「・・・アクティブソーナーにも反応がない」

瑞鶴「どこに隠れているのよ!! さっさと出てきなさいっつの!」

アクティブ・ソーナーは自ら音波を出し、やまびこのように音波が反射し、帰って来るまでの

時間差で対象物を見つけるのだが、舞鶴湾は小さな島や岩が複数存在し、

このような入り組んだ形の湾で敵を見つけることは困難だった。

邪魔になる物が多すぎるのだ。

秋月「どこか、海底の岩影にでも隠れているんでしょうか?」

初霜「必ず見つける・・・!!」

提督の安否が心配だ。時間をかけては居られない。

それに何より自分達の鎮守府付近でふざけたことをされた事が気に入らなかった。

初霜「どこに潜んでいたって・・・見つける」

ソーナーをさらに投下。

初霜「必ず・・・」

秋月「・・・初霜さん?」

初霜の綺麗な琥珀色の瞳が赤く輝いて見えた。

それはまるで深海棲艦のように。

初霜「カナラズ・・・ミツケテ・・・」

そう。これは許されないこと。

敵が自分達のホームに今尚隠れている。

ここは自分と提督の場所だ。

それが敵の侵入を許すなど許されることではない。

出て行け。

ここから出て行け。

自分でも気付かない純粋な敵意。

ただ相手を『■したい』という想い。

敵が潜むならどこか、相手の気持ちで考える。

敵地を前にして敵も慎重になっているだろう。見つからないか怯えながら・・・

なら・・・一番見つかる可能性が低い場所はどこだ?

考えて、思いつく限りの場所にソーナーを落とす。

初霜(絶対ニ 逃ガサナイ)

やがて・・・

初霜「ミ ツ ケ タ・・・」

秋月「あっ・・・これ・・・」

ソーナーが微弱な反応を捉えた。

初霜「・・・捉えましたよ。潜水艦!」

秋月は初霜を見るが、瞳の色は何時もと変わらない。

秋月(・・・見間違いですかね?)

場面は変わり、レ級と戦闘中の提督達はレ級の攻撃を何とか防ぎきっていた。

レ級(てーとくが居るだけで、こうも変わるなんて・・・やっぱり面白いや!!)

伊勢と金剛(提督)の2人は敵の攻撃を避けながら撃ち返す。

伊勢「上手いじゃないですか」

金剛「そうか? ありがとう」

伊勢「ただ、あまり突出しないでくださいね」

金剛「分かっている」

伊勢「それで? どういうことです? 敵さん、鎮守府の目の前に居るって事?」

金剛「多分な。本来はウチの鎮守府から他へ応援を呼べなくするのが目的だったんじゃないか?」

レ級の狙いはどうやら自分らしい。

本来であれば鎮守府を強襲し、救援要請を出さないようにする為の処置だったのだろう。

その為に当鎮守府から他の鎮守府や哨戒に出ている艦隊への無線連絡を封鎖する。

だから鎮守府との通信が出来なかった。

しかし、あくまで鎮守府との連絡が取れなくなるだけだったので、天龍達とは無線が通じた。

伊勢「でも天龍とも途中で連絡出来なくなったよね」

金剛「それは俺達が舞鶴湾近くまで来たから干渉を受けているんだろうな。もっと沖へ出れば天龍達と繋がると思うぞ」

伊勢「なるほどね・・・」

金剛「それにしても敵も中々やってくれる・・・」

敵の潜水部隊は定期的に現れるが、今までの戦闘記録だと月に1回程度。

それを倒すと、また一ヶ月くらい間を置いて、再び現れる。

この約一ヶ月という間隔が今まで崩れなかったので、

一応は警戒をしていても、内心はどこかで居ないものだと思い込んでいた。

金剛(狙ってやったなら、中々に裏を搔くのが上手い様だ)

同時に自分の認識の甘さを反省した。

慣れるというのは恐い。

戦場では裏を搔くのは当たり前。そう、当たり前なのだ。

だけど、自分はどこかで可能性を肯定しながらも、それはないと思い込んでいた。

金剛(失態だな・・・だが、おかげで良い勉強になった。次はないがな)

鎮守府前の海の底。

カ級三隻の部隊が居た。

誰も言葉を発しない。岩陰にアンカーを打ち込み体を固定、

推進機関は停止させている。無駄な音は一切立てない。

そろそろ、いいだろうか?

撤退命令は出ていないが予定されている時間は過ぎた。

一刻も早く離脱したい。ここはあの鎮守府のまん前だ。命がいくつあっても足りない。

その時、上から気配を感じた。

カ級(この気配は・・・同胞か?)

作戦が変更されたのだろうか?

カ級(!!!!っ)

恐ろしいまでの殺意に体が震えた。

まるで全身を鋭利な刃物で貫かれたような感覚。

ただ、感じた。見つかったと。

体は硬直して動かない。本能が逃げるように告げる。

あれは深海棲艦じゃない。限りなく近いナニカだ。逃げろと。

何かが落ちてきた。

それが爆雷だと気付いた時には遅かった。左隣に居た1隻は直撃、轟沈。すぐにアンカーを外し機関始動。

右隣に居た仲間も同じく行動するが、アンカーが深く刺さっていて抜けない。

慌てずにやれば、すぐに対応は出来るが、焦りと恐怖で手間取っていた。

そして、すぐに次の爆雷の餌食になった。

カ級「くっ!! て・・・撤退を・・・」

目の前に浮遊する仲間だった肉塊を手で払いのけて、高速で離脱する。

カ級(ん? 音が・・・相殺されていない?)

爆発の衝撃で艤装が一部、破損したようだ。

カ級(しまっ・・・これでは敵に感づかれる!!)

水上では秋月と初霜が敵を捕捉していた。

秋月「急にソーナーの反応が強く?」

初霜「敵は、なんらかの細工をしていたようですね。通信回復。聞こえますか執務室」

提督『ハイ、回復を確認したでーす!』

初霜「敵が妙なんですよ。いきなりソーナーに強く反応して・・・」

提督『ちょっと、まってください』

明石『変わりました。明石です。こちらでも確認が取れています』

初霜「どういうことなんでしょうか?」

明石『気になりますね・・・イムヤさん達に敵の残骸の回収を頼みますので、そちらで待機してもらえますか?』

初霜「了解しました。逃げた敵はどうしますか?」

提督『敗走するのであれば電達が居る場所を通るので、そちらで仕留めます。逃がさないでーす』

初霜「了解です」

秋月「念の為に私は湾内に他の敵が紛れていないか確認してきます」

初霜「分かりました」

蒼龍「・・・私が旗艦なのにぃ」

飛龍「潜水艦相手なんだし駆逐艦に任せておこうよ」

雲龍「・・・適材適所」

瑞鶴「・・・でも加賀さんなら余裕で倒していたと思う」

蒼龍「一航戦はバケモノだからねぇ」

飛龍「なんだかんだで瑞鶴は加賀好きだよねー」

蒼龍「ねー」

瑞鶴「はぁ!? 誰があんな奴!」

初霜「つんでれって奴ですか」

瑞鶴「違うわよ!!」

一方、レ級を相手にしている提督達は劣勢だった。

弥生「うっ・・・」

直撃は避けられたものの、艤装に大ダメージを受ける。

もはや戦闘は困難だった。

金剛「卯月! 弥生を連れて後退しろっ!!」

卯月「了解ぴょんっ!! ほらっ弥生!」

弥生「ごめん、ありがとう」

卯月も、かなりダメージを受けており、中破している。

翔鶴も攻撃機をかなり損耗した。

提督「翔鶴、前に出すぎだ! 能代っ!!」

能代「了解!!」

翔鶴に狙いを定めたレ級に砲撃を浴びせる。

その隙をついて、翔鶴は距離を取る。

レ級「ほら!! もっと頑張らないと皆死ぬよ? ほら! ほら!!」

ただでさえ強いのに、尾が自我を持ち、戦闘をサポートしている。

死角からの攻撃もそれでかわされた。

伊勢「実質2隻同時に相手しているみたい」

尾「そろそろ引き際では?」

レ級「うるさい。まだやるー」

尾「怒られますよ?」

レ級「バレなきゃオッケー」

気の抜ける会話をしながらレ級は姿勢を低く取る。

金剛「伊勢、来るぞ!!」

伊勢「了解!」

レ級に照準を合わせようとして直後、伊勢が吹っ飛ぶ。

金剛「伊勢っ!!? 早いっ!!」

直進してきたレ級の攻撃をまともに喰らった。

レ級「まずは邪魔な子達からバイバイね」

まるで暴風のように、次々と攻撃が襲いかかる。

能代が、翔鶴が、攻撃をまともに喰らい行動不能になる。

伊勢「くっ・・・主砲がやられた・・・」

彼女達は何時沈んでもおかしくないくらいに傷ついている。

レ級「じゃあ一人ずつ、沈めてあげるね。誰も逃がさないよー」

冷たく言い放ち、後方へ退避していた卯月と弥生を見た。

レ級「逃がさないって言ったよ?」

レ級は急速に加速し、大きな水しぶきをあげながら、ぐんぐんと弥生と卯月との距離を詰める。

金剛「やめろぉぉぉぉっ!!!」

考えるより体が先に動く。

翔鶴「ダメです! 提督!!」

伊勢「行っちゃダメ!!!」

皆が慌てて制止する。

分かっている。アレを相手に生き残るイメージが沸かない。

自分の立場も、全て、何もかも理解している。

でも、それでも動いた。

金剛「・・・理屈じゃないんだよっ」

すぐにレ級を追う。

遅い。体が重い。

もっと早く。早く。早く。早く・・・

じゃないと死ぬ。みんな死ぬ。

弥生が、卯月が、伊勢が、翔鶴が、能代が・・・

そしてこの体の持ち主、金剛も。

させない。仲間を、大切な家族を・・・

―――誰一人だって、奪われてたまるか。

能代(あれ? 提督の・・・金剛さんの艤装の出力が上がっている・・・?)

違う。こんなものじゃない。あの感覚は―――

金剛(オレは・・・何を・・・何を考えている?)

頭の中にどんどん浮かぶイメージ。

知らない筈の感覚を感じる。

体の中に力が宿り、内側から溢れてくる。

とても懐かしい感覚。

それが何か分からない。でも、この感覚を知っている。

そう、自分は知っている。

思い出せ。あの頃を。あの時を。あの瞬間の感覚を。

オレはコイツの使い方を理解しているのだから。

今、この瞬間に目覚めたと言わんばかりに、艤装の煙突から煙が強く吐き出される。

みるみる速度が上がる。

レ級が卯月達を捉え、卯月と弥生は恐怖に怯えた顔をした。

待ち受ける死を受け入れられない。それは生きている者であるなら誰もがそうだろう。

深海棲艦も、艦娘も、そして人間も。

レ級はニヤリと楽しそうに笑みを受かべ2人に主砲を向けた。

速度の落ちている2人では避けることは無理だ。当たれば確実に轟沈する。

レ級「ばいばーいっ」

金剛「させるかぁぁぁっ!!!!」

部下を守る為とはいえ、なんで金剛の体で無茶をしたのか分からない。

こんなことをすれば金剛を殺してしまう可能性もあるのに。

だけど、何故か確実に防げると感じた。

自然に脳裏に浮かんだのだ。敵の攻撃を防ぎきれると言うイメージが。

レ級「!!!?」

尾「攻撃を・・・防いだ?」

金剛「なんだコレ・・・?」

それは盾。

艤装が変形し、盾の役割を担っていた。

金剛(明石の仕業か? また勝手に改造を・・・報告しろと言うのに・・・)

伊勢「・・・金剛の艤装シールドを使った!?」

艦娘は艤装を体を動かすように居のままに動かせる。

一隻の船として全機能を思うままに。

だが、それは普通の人間では難しい。それは人とは違う世界の領域だから。

水に浮かぶのはまだイメージしやすいだろう。感覚的にはスケートに似ているので想像には容易い。

砲撃にしても、護衛艦の指揮をしているので、まだイメージはしやすい。

だが、あのシールドは本来の仕様にない特別製のシロモノだ。

艤装のフレームを分割し、可動化させることで背後に装着された装甲が前面に展開する。

言うなれば自分の体に4本の腕が生えているような感覚で動かしているようなもの。

人の身では全く想像もできないイメージだった。

見るとレ級の攻撃をシールドを起用に動かして防御している。

翔鶴(偶然、展開したんじゃない・・・ちゃんと『理解』して動かしている!?)

レ級「何それ? おもしろいね!!」

金剛(敵のペースに乗るな・・・確実に戦闘力を・・・削る!!」

艤装も含め、体が自在に動く。まるでそうであったことが本来の姿のように。

レ級(背後もらい!!)

だが、砲塔が回転してレ級を捉えた。

振り向きもせず、そこに敵が居ることが分かる。

普通であれば疑問に感じるが、この時はそれが当たり前のように感じた。

翔鶴(え・・・艤装と完全に同調している・・・?)

レ級「うわっ!!?」

姿勢を低くして交わすが、攻撃を緩めず尾が牙を剥き出して金剛に迫る。

弥生「蹴り!?」

それを回し蹴りの形で捌く。

レ級「くっ・・・」

初めてレ級の顔から笑みが消えて焦りに変わる。

レ級(あれ? なんだろう。てーとくは 金剛型だよね?・・・なんかもっと別の何かを相手にしているみたい・・・)

金剛型は両手で数えても足りないくらい沈めている。

今更恐くはないのに、足が動かない。それどころか一歩下がった。

レ級(・・・後退した? ・・・このボクが・・・?)

狂ったように笑う。

レ級「アハハハっ!!」

金剛「・・・・?」

おかしいからじゃない。楽しいからじゃない。

あまりに感情が高ぶりすぎて処理が追いつかず、自分でも無意識に笑うことで冷静さを保とうとしたのだ。

だが、未知の敵への恐怖は消えない。

だから、大声で叫んだ。不安をかき消すように。

レ級「ありえない!! なんだオマエ!! もう沈め!! 沈んじゃいなよ!!!」

それは、まるで駄々をこねる子供のようだった。

投下完了です。
何時も感想どうもです。

イベント始まりましたねー
既に攻略は終わってますが、まだ嵐が出てないので終わるまで
時間が空いたらE5周回しようと思ってます。

なんか後からギミックあるとか聞いたけど
タコ殴りでどうにでもなるからあんまり意味ないしいらない気も・・・
あんまり運営伝聞読んでないですけどギミックに何の意図が・・・
とりあえず鹿島ちゃんがすごい可愛くてタイプ。
グラーフもフムカネ絵が好きなんで攻略中に取れて嬉しいです。
ただちょっと顔色白すぎな気もするけど。

ではまた近いうちに更新します。

レ級は怒りで態度を豹変させて突っ込んでくる。

恐ろしいハズの敵も、それ程恐く感じなかった。

むしろ、負けるイメージが沸かない。

何故かどう戦うか分かる。

金剛「・・・終わりだ」

レ級「そっちがね!!!」

尾が雄叫びを上げて金剛に迫る。

レ級(殺った!!)

金剛「そうくると思っていたさ!!」

レ級「くっ!!」

鈍い金属音を立てて、尾がシールドで挟まれた。

金剛のシールドは左右の装甲が可動し、くっついて合体することで完成する。

金剛はペンチで挟む要領で尾をシールドで挟んだのだ。

レ級「糞! 放せ!!!」

逃れようとシールドを何度も蹴り上げる。

メキメキと音を立て、レ級の武装が潰されていく。

レ級の全武装は尾に集中している。これを潰せば攻撃手段は無くなる。

尾は最後の抵抗するように、大きな口を開く。

砲身が飛び出し、金剛に狙いを定める。

だが、動じない。

金剛「言っただろう。終わりだって・・・」

金剛の背後から卯月か抱きつくように飛び乗りる。

卯月「睦月型の本当のチカラぁぁぁぁ!!!!」

尾の剥き出している砲身に、自身の主砲の砲身をねじ込んで撃つ。

尾は悲鳴をあげた。

金剛はそのままレ級を投げ飛ばし、そこへ能代の放った魚雷が命中した。

もはや、レ級に攻撃手段はない。

レ級「大丈夫?」

尾「損傷レベル甚大、撤退を・・・」

レ級は闘争本能を剥き出して提督を睨む。

そこへ通信が入る。

金剛「扶桑か?」

扶桑『はい、ご無事でよかったです・・・』

鎮守府から来た増援が見えた。

第三艦隊が到着したのだ。

尾「もう一度いいます。撤退を・・・」

レ級「・・・分かった」

流石に不利だと理解したのか撤退を認めたようだ。

金剛「教えてくれ。何故、俺個人を襲った?」

自分は狙われるほど重要な人物ではないハズだが・・・と思った。

レ級「うん? だって貴女達がママを倒したんでしょ?」

金剛「ママ?」

レ級「そーそー 南方棲鬼だよ」

金剛「・・・何?」

南方棲鬼に子供が居たとは聞いてないので驚いた。

それが本当かどうかは判断出来なかった。

だが、その言葉は艦娘には重く圧し掛かる。

翔鶴(それって・・・提督の・・・)

金剛「つまり・・・仇討ちということか?」

レ級「違うよ。ママを倒した貴女達を倒せば私はママを超えたことになるでしょ? そんだけ」

そう言うと「じゃあね」と言い、去ろうとする。

金剛「捕虜になる気はないか? 悪いようにはしない。命の保障はするが・・・」

レ級「お断りでーす」

提督は対話可能で、話が通じれば捕虜にと考えたが、敵に投降する意思はないようだった。

ならばもう倒すしかない。

このレ級は危険だ。見逃せば多くの味方が死ぬことになるかもしれない。

甘い考えを捨て、レ級を狙う。

―――時間切れ。それ以上はダメだよ。

金剛「・・・!?」

誰かが言葉を発した。懐かしい声。

誰だっただろう。名前が出てこない。

―――キミは人間だから、それ以上の力の行使は出来ない。

金剛「・・・誰だ?」

そこで唖然とした。

今まで戦っていた場所ではない。

上も下も右も左もない何も無い空間に居る。

金剛「どこだ・・・なんだここは?」

そこに誰かが居た。

姿は輪郭がぼやけて見えない。

――――ようやく人として定着していたのに、このままじゃ壊れちゃうから戦っちゃダメだよ

金剛「なんのことだ? 誰だ?」

――――友達だよ。キミのね。

金剛「友達?」

誰かは分からない。記憶から必死に探す。

その間も頭の中に直接声が響く。

「キミは直接戦っては行けない」

「このまま戦いを続けると死んでしまうよ」

「だからキミはもう戦ってはいけないんだ」

「深海棲艦と戦うのは艦娘の役割」

「じゃあキミの役割は何かな?」

「この世の全てには役割があるから」

「キミはキミの役割を果たせばいい」

声の主は一人じゃない。

誰なんだろう。知っているハズなのに思い出せない。

金剛(俺の役割・・・?)

――――キミは艦娘ではないし、艦娘にはなれないし、その能力は既に消滅しつつある残滓だから。

――――――本来生まれるハズだったモノは失われた。キミが男として生まれたから。

――――だけど、悲しむことはないよ。キミはその代わり別のモノを得たのだから。

「だからこそ、その役割を理解しなくてはならない」

「もう一度聞くよ。君の役割は何かな?」

金剛「一体なんだ? どういうことだ?」

言う事が酷く抽象的で要点が掴めない。

卯月「しれーかんっ!!」

卯月の声でまるで夢から叩き起こされたような感覚で意識が戻る。

あの不可思議な空間ではない。

金剛(なんだったんだ?)

だが、今はどうでもいい。レ級に砲を向ける。

レ級「へぇ? 当ててみなよ。 逃げ切っちゃうけど」

表情からただの強がりだと分かった。

だが、そこへ能代がレ級を庇うように両手を挙げて立ち塞がる。

金剛「・・・能代?」

能代「ダメです!! 撃っちゃダメです!!!」

金剛「どいてくれ!! 何をしているんだ!!?」

能代「だって・・・そのレ級と・・・提督は・・・」

レ級「・・・何?」

能代「兄妹かもしれないんですよ!!!」

金剛「・・・は? 何を・・・何を言っているんだ?」

尾「今です! 早く!!」

レ級はその隙に離脱、第三艦隊と合流した頃には既に見失っていた。

海底を移動するレ級は尾に訪ねる。

レ級「ねぇ 兄妹って何?」

尾「同じ固体から生まれた存在ですよ てーとくが兄で貴女が妹ってワケですかね」

敵の話を鵜呑みにするならですけどと付け加えた。

レ級「兄?」

尾「オスの固体のことです。人間はお兄ちゃんとか呼ぶみたいですよ」

レ級「男? でも女の人だったよ。てーとく」

尾「分かりません。ついているのかも」

レ級「ついている? まぁいいや。次は殺すからねお兄ちゃん」

暗い海の底を這う様に、自らの勢力圏へ離脱していった。

こうしてレ級の襲撃は一応の終わりを見せた。

その日の内に提督と金剛の入れ替わりは元に戻り、大破した伊勢達も修復された。

執務室

提督「やはり、自分の体は落ち着く・・・戻れて良かった」

金剛「そんなに私の体は嫌だったのぉ!?」

提督「そうじゃないが、金剛も自分の体の方が落ち着くだろ」

金剛「そうですけどぉ・・・なんか納得いかないデース」

提督「皆もすまんな。俺の我侭のせいで・・・」

伊勢「大丈夫、大丈夫。終わってみると良い経験になったし」

伊勢(提督が居なければ超重力砲が使えたんだけど・・・とは言えないよね。もっと普通に強くならないと)

翔鶴「今回は海上に出ていたのが逆に良い結果につながりましたね。もしも鎮守府に居たら施設に被害が出たかもしれませんし・・・」

能代「結果論ですけどね」

敵の言っていたことが気になった。

提督(俺の母親が南方棲鬼? レ級が妹? どういうことなんだろう)

それは今は考えないことにした。

他にすべき事が多々ある。

提督(いや、それは言い訳だな。恐いんだな・・・聞くことが)

翔鶴「全員無事だったんだから良いじゃありませんか」

伊勢「そうだねー」

提督「卯月と弥生は?」

翔鶴「2人共自室に戻しました」

提督「そうか・・・それで電、敵の捕虜と言うのは?」

電「今連れてくるのです」

数分して天龍と龍田が深海棲艦を連れてきた。

潜水カ級。

提督(このタイプ、一応足あるんだ・・・)

武装解除し、艤装は外されていた。

人間と同じような姿だった。違うのは皮膚の色が青白いことと、艤装への接続部分が背後にあることくらい。

カ級「ふんっ・・・私は何も喋らんぞ!! 情けはいらん! 殺せ!!」

天龍「おーおー、 生意気にコノヤロー!」

龍田「なら今すぐ首と胴体を切り離してあげましょうか? スパっと」

カ級「ひっ!?」

電「連絡を受けて、鎮守府方向から逃げてきたのを捉えたのです」

提督「彼女は捕虜として丁重に扱ってくれ」

カ級は天龍と龍田に連行され出て行く間際まで「何も喋らないからな!!」と叫んだ。

瑞鶴「あれは多分何も話さないと思う・・・」

提督「なに、ゆっくりと時間をかけて接するさ」

その後、今回の襲撃の報告をまとめ、業務を終了した。

レ級襲撃から3日後。

提督「調子はどうだい? 何か不自由はないか?」

カ級「あっ! 提督ぅ! お疲れ様です! 私に何か? 知ってることはなんでも話しますよ!」

瑞鶴「・・・・・・うん?」

カ級「あら。瑞鶴の姉さん。お疲れです!」

瑞鶴(・・・敵の潜水艦がちょろすぎる)

提督「・・・どうしたんだ?」

提督は瑞鶴が何かを疑うような目つきで見ているのに気が付いた。

瑞鶴「・・・何したの? 随分協力的になってるけど」

提督「何って・・・普通に話を聞いて、会話をしただけだよ。愚痴ばかりだったけど」

瑞鶴「随分と女の扱いは上手いようで・・・」ハイライトオフ

提督「痛っ!? どうしたんだ? いきなりつねって!?」

瑞鶴「べ つ に っ !!」

何やらご機嫌斜めな瑞鶴をなだめる提督を見てカ級は思った。

カ級(これが『らぶこめ』って奴かぁ・・・はじめてみた)

恐ろしい連中だと思っていたけど、別に酷い扱いを受けるわけでもなく、むしろ深海に居た頃よりも快適であった。

カ級「ブラックなとこよりホワイトがいいでち」

提督「・・・でち?」

カ級(あれ? なんで・・・変な語尾ついたんだろ)

なんか遠い過去、随分酷い扱いを受けた気がするが思い出せない。

思い出すのは深海棲艦として活動している事だけ。

カ級(・・・どっちにしろ深海もブラックだった。レ級もこき使うし・・・)

それに比べればここは正にパラダイスと言っても過言では無かった。

提督「何にせよ、協力的で助かるよ。キミの安全は保障しよう」

カ級「あー 投降してよかったぁ」

瑞鶴「・・・変な敵」

その後、カ級の異常なまでに協力的な態度により、深海棲艦側の状況と現在の世界の状況を知ることになった。

投下完了。
感想ありがとうございます。
今週の土日は多分忙しいから今日しかねぇ!と無理して回したら
やっと嵐ちゃんが来てくれました。
ヤッター!!!ようやく終った・・・
しかし鹿島ちゃんすごい可愛い。なにこの子。
早く寝ないと明日寝坊するので寝るデース
では近いうちにまた。



執務室

提督「俺の不在時に何か問題は?」

照月「金剛さんがトイ・・・」

金剛「わー! わー!!!」

提督「・・・どうしたんだ?」

金剛「なんでもないデース!!」

金剛はギロっと照月を睨む。

照月(分かりました。ナイショなんですね!)

提督「どうしたんだ照月? いきなり敬礼なんてして」

金剛&照月「「なんでもないですよ?」」

提督「・・・?」

流石にトイレの話はされたくなかったようだ。

照月「提督は大丈夫でした? 何かご不便はありませんでした?」

提督「女性の体なんで多少戸惑ったが特には・・・」

実際にはちょっと困ったことがあった。

艦娘は人間と同様に食事をする。ということは同様に排出もするわけで・・・

それは提督達が海へ出る少し前の事だった。

金剛(中身提督)「・・・・・・」

能代「・・・?」

金剛「っ!!」

能代「どうしたんです? 落ち着きがないですけど」

提督は言おうか迷ったが、流石に限界だったので白状した。

金剛「ちょっといいか?」

能代「っ!!」(近い! 近い!!)

外見は金剛ではあるが、中身が提督なので嬉しさと気恥ずかしさで能代の顔は朱色に染まった。

金剛「・・・・・・」ボソッ

能代の耳の近くで小さく何かを呟くが聞こえない。

能代「すいません、もう少し大きな声で・・・」

金剛「・・イレ」

能代「なんです?」

金剛「ト・・・トイレに行きたくてな・・・どうすればいいのだろう」

もう我慢の限界なのか内股でプルプルと震えている。

顔は羞恥心からか真っ赤だった。

能代(・・・なんか萌える!!)

金剛「・・・どうすればいい?」

能代「そりゃ出すしかないですよ!」

金剛「だよなぁ・・・しかし・・・」

体は金剛のモノなので申し訳ないという気持ちと、単純に限界が近いこと、

さらには女性として尿の仕方を分からない。

もうどうしていいか分からなかった。

金剛(そもそもどうする? どうすればいい?)

座ってするのは分かる・・・だが拭くのか? 男性の場合は普通拭かない。

もし拭くとなれば金剛の大事な所を触ることになる。

金剛(嫁入り前の娘の秘部を触るなんて・・・本人にも失礼だし、今後顔が会わせ辛い・・・)

能代「提督、とりあえず行きましょう。トイレへ・・・」

金剛「ああ・・・」

能代に支えられる形で廊下を移動する。

能代「大丈夫ですか?」

提督「・・・何かに例えるなら・・・ダムの堤防が壊れる寸前という感じだろうか・・・」

能代(それもうヤバイじゃないですか!!)

と内心で叫んだ。

とりあえず女子トイレに金剛(提督)を連れ込む。

金剛「出したい・・・だが・・・見るわけには行かん」

能代「じゃあ目隠しをしましょう!!」

金剛「しかし目隠しになるものなんてないぞ?」

能代「その頭の変な奴とか無理ですかね?」

金剛「・・・これか?」

頭にカチューシャのようにつけてる装備をずらして目隠しにする。

能代「とりあえずサポートしますけど・・・いいですか?」

金剛「・・・頼む。もう限界かもしれん」

能代「では下着を・・・」