俺「暇だから図書館行ってくる」(7)

中学を卒業して以来、中学の友達ともだんだん疎遠になっていった。高校に友達が1人も居ない俺は、最近じゃ学校以外の用事で外に出ることは少なくなってきた。

母「あんた、たまには外でて遊んできなさいよ」

俺「嫌だよ。外でてもやることねえし。家でスマホ弄ってた方が100倍楽しいわ」

母「ああ、ああ。家の子はいつの間にこんなオタクになってしまったのかしら。将来が心配だわ。ニートよ。ニートの姿が見える」

うぜえ。
俺は、外出用の斜め掛けバッグを肩にかけた。よくリア充がつけてるような、小さいワンショルダーだ。

母「あら、あんたどこいくの?」

俺は洗面台で寝癖を整えながら答えた。
俺「暇だから図書館行ってくる」

前にも述べたと思うが、学校以外で外に出るのは久しぶりだった。
といっても、無駄な緊張感は特に発生しなかった。俺は元来社交的な性格なのだ。ただ、自分から喋り掛けるのが苦手なだけで。
中学の頃は、自分で言うのもなんだが、クラスではそこそこの人気者だった。自分で喋りかけなくても、周りに積極的な奴が多かった。
しかし、高校で俺に喋りかけてくる奴は居なかった。 同じ中学からは交流の全く無かった女子が1人入っただけなので 、同中からの発展もない。

ああ、ついでにいうとその女子は中学の頃いじめられていたらしい。女子の、とりわけ女子グループ内だけでのいじめは、俺には気づきにくい。何故ならば、俺はその時全く女子にモテテ居なかったからだ。
とはいっても気づいたところでその苛めを止められたかどうかは、というか、俺がその苛めに対して一言でも制止するような言葉を掛けられたかは微妙なところである。なにせ俺には勇気がないから。

自転車にまたがり、ペダルを漕ぐ。俺の家は国道沿いに面していて、家のすぐ前には街路樹と道路がある。
そのまま道路沿いに自転車を濃いで横断歩道を渡り、裏路地に入ったところで1人の老婆を発見した。顔を見ると、恐らく40代くらい。するとそこで目が合ってしまった。

婆「ちょっとそこの学生さん。少しいいですか」

地図を手にしていた。恐らく道を聞きたいのだろう。
まあいまはそこまで忙しい訳では無いので、ブレーキをかけ、自転車から降りて声を返した。

俺「何でしょうか」

婆「道を聞きたいのですが」
うん。知ってる。

>>5 40代→70代に変更で。
婆「ここから図書館までは、どういったらいいのでしょうか?」

ああ。だったら楽だ。良かった。

俺「この道を歩いたらすぐですよ。僕も今から向かうところなので、なんだったら一緒に行きませんか?」

婆「あら本当ですか。それは助かります」

婆が笑顔になる。しわくちゃの顔が更にしわくちゃになった。でも柔らかい表情だ。
俺もつられて笑顔になった。

俺「それじゃあ案内しますね」
俺はそこから自転車を手押ししながら、先導した。

婆「いやーホント助かりましたよ。ありがとうございます」

俺「いえいえ、どういたしまして」

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