ラケル博士「オンッナッノコハ コイッノキカイ……」(ゴッドイーター2) (21)



……
-ラケル博士の研究室


ラケル「ケーイーサーンハ……」

コンコン

『博士ーいますかー?』

ラケル「!」

ラケル「ん、んんっ……」


ラケル「……はい。どなたですか……?」

ナナ『あ、ラケル博士ー?』

ラケル「ナナですか……」

ガチャッ

ナナ「開いたっえと、失礼しまーす」

ラケル「……なにかありましたか?」

ナナ「あ、いやー特になにっていうんじゃないんですけど……」

ラケル「ふふ……とりあえず、立ち話もなんでしょう。こっちへいらっしゃい……?」

ナナ「あ、はーい」

ポスッ

ラケル「お茶を出しましょうか……」

ナナ「いいですよそんな! 長居しませんから!」



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ラケル「そうですか……。……それで、どうしたんですか? 何か身体に異常でも? この間のメディカルチェックでは問題は見られませんでしたが……生れながら体内に偏食因子を持つあなたは」

ナナ「ああっええと! そーいうのじゃなくってー」

ラケル「? ……では」

ナナ「はい! これ!」

ラケル「これは……」


ナナ「おでんパン!!」

ラケル「……」

ナナ「です!」

ラケル「……これを、…………私に?」

ナナ「はい! そうです!!」

ラケル「……ふふ、ありがとう、ナナ。けれど」

ナナ「ラケル博士、最近ずっと忙しそうだったでしょ?」

ラケル「……そうですね。神機兵の件も煮詰まってきましたし」

ナナ「だから、研究とかに没頭しすぎて、あんまり食事を摂れてないんじゃないかと思って……」

ラケル「確かに……栄養の摂取を疎かにしてしまうことはあります……」

ナナ「でしょ!? ラケル博士、ただでさえ栄養足りてなさそうなんだもん!」ボイン

ラケル「……」ペターン


ナナ「肌が白くてキレイなのは憧れるけど、細すぎだよー。私達のメディカルチェックもいいけど、ちゃんと自分の身体も大事にして下さいね?」

ラケル「ふふ……心配してくれていたのですね……」

ナナ「いやーそんなー当然ですよーこれぐらいーえへへ」

ラケル「では、この……おでんパン? は、いただいておいて、後ほど」

ナナ「あー! そう言ってると、また食べるの忘れちゃいますよ?」

ラケル「それは……」

ナナ「じー……」ジー

ラケル「……」

ナナ「……」ジー




ラケル「ぁむっ」パクッ

ナナ「おおっ!」

ラケル「……」モグモグ

ナナ「どうですか!?」

ラケル「……」ゴクン

ラケル「これは……」


ラケル「意外とおいしいですね」

ナナ「あー! 今、意外とって言ったぁー!」

ラケル「ふふっ……」


ナナ「ねーラケル博士、おでんパンはね、ナナのお母さん直伝なんだ」

ラケル「ナナのお母様……ナナを一人守っていたゴッドイーター……とても強い方だったのでしょうね」

ナナ「うん! その上、優しくて、かっこよくって……」

ラケル「……」

ナナ「大好きだったんだ。お母さんのこと……」

ラケル「……」

ナナ「……でも、ラケル博士のことも…………」



ナナ「本当の、お母さんみたいに思ってるよ!」

ラケル「……!」

ナナ「え、えへへ……なんか、恥ずかしいや」

ラケル「……ありがとう。本当に」

ナナ「ほんとは……最近、博士……元気ないように見えたから、だから、改めて気持ちを伝えて、おでんパン食べてもらおう……って」

ラケル「ナナ……」

ナナ「……泣かない、怒らない、おでんパン食べる!」

ナナ「お母さんとの約束。寂しくなったら、おでんパン食べて、元気になるの。だから博士も……」

ラケル「わかりました……おでんパン食べて、元気になります」

ナナ「! えへへっ……そ、それだけ! じゃ、じゃあっ失礼しましたーっ!」

ガチャッ バタン

ダダダダダダ……



ラケル「…………」

ラケル「……寂しくなったら、おでんパン」



ラケル「空腹でもないときに暴食していたから、きっとあんなふうに……」

ラケル「……」ペターン


ラケル「……今度の衣装は少し露出を増やして、胸を10%……いえ、20%ぐらい増」ピッ……ピッ……

ガチャッ

ラケル「!?」ガバァッ!

ロミオ「ラケル博士ー! ……あれ? なんでモニターに覆いかぶさって……」

ラケル「…………ロミオ? 他人の部屋に入るときには、まずノックをなさい……?」

ロミオ「あっ、す、すみませんっ」

ラケル「いえ……鍵をかけ忘れていた私も悪いのですから……」ピッ……


ラケル「……それで、何の用ですか?」

ロミオ「へへっ実はさー……じゃーん!!」

ラケル「これは……」

ロミオ「葦原ユノのサイン! もらっちゃったんだー!」

ラケル「まぁ……それは、よかったですね」

ロミオ「けど、ただ自慢しに来たってわけじゃないんだ」

ラケル「……?」

ロミオ「これは、博士にあげようと思って」

ラケル「私に……? いいのですか? あなたの宝物では……」

ロミオ「もちろん自分用にも、もらってます!」

ラケル「……」

ロミオ「これは、博士にあげようと思ってサインしてもらったんだ。だから……はい!」

ラケル「……ユノの、CD」

ロミオ「ユノさんの歌声ってさー澄み渡ってて、心の奥まで溶かしてくれるっていうか」

ラケル「……」

ロミオ「そんじょそこらの歌手やアイドルとは違うっていうか、誰にも真似できない、すごい……癒しの力! みたいなのがあると思うんですよ!」

ラケル「……確かに、彼女の歌声は、フェンリル内外で高く評価されていますね」

ロミオ「そう! だからさ……ラケル博士にも、これで癒されて欲しいって思ったんだ」

ラケル「ロミオ……」

ロミオ「ユノさんの綺麗な歌声なら、きっと研究の邪魔にもならないって思うし、むしろすっきりして頭も回るっていうか……あっ! お、オレが一番邪魔してますよね! すみませんっ」

ラケル「そんなことは……ふふ、ありがとう、ロミオ」

ロミオ「はいっ、それじゃオレ、これで!」

ガチャッ バタン



ラケル「澄み渡る歌声……」


ラケル「オンッナッノコハ……」

ラケル「んんっ……あーあー……」



ラケル「おんっなっのこは☆こいっのきかい♪」

ラケル「けーいーさー」



ロミオ「あとさー博士」ガチャッ

ラケル「ノックゥゥ!!!」

ロミオ「へっ!? あぁっすみません!!」

ラケル「……こほん。それで、」

ロミオ「一つ言い忘れててさ……。博士、いつもオレ達のこと、裏から支えてくれて……ありがとうございます! それだけでっす! 今度こそほんとに、失礼しましたぁ!」

ガチャッ バタン

タッタッタッタッ……



ラケル「……ふぅ」

カチャン

ラケル「さて……」

ピッ……カチカチ

ラケル「心に響く歌……もっとしめやかな方が……? それとも……」ピッ……


コンコン

ラケル「……はい」

ギル『ブラッド隊所属、ギルバート・マクレインです。入室許可を頂けますか』

ラケル「もちろん……構いませんよ」

ガチャッ

ギル「失礼します。……博士、その」

ラケル「あなたがここに来るのは、珍しいですね……。なにか?」

ギル「……上官殺しのギル。そんな風に呼ばれて、厄介者扱いだった俺を拾って下さって……そして、ブラッドの仲間達に会わせてくれて、本当に感謝してます……」

ラケル「……」

ギル「ここは……ブラッドは俺に、なくしてた……なくしたと思っていた、家族を……取り戻させてくれた。だから、」


ギル「……これを、博士に」

ラケル「これは……髪飾り、ですか?」

ギル「いつもその格好だし、そういうの、あまりつけないかとも思ったんだが……他に思いつかなかった。その……女性へのプレゼントなら、装飾品が一番だと聞いて」

ラケル「ふふ……うれしいですよ、ギル」

ギル「……そう、ですか。そりゃよかった」

ラケル「これは、アラガミ素材から作ったものでしょう?」

ギル「! ……バレたか。いや、そりゃそうか」

ラケル「綺麗ですね……あなたがこれを?」

ギル「はい。他に、作れるものもなくて」

ラケル「とても器用なのですね……気に入りました。大事に使わせてもらいます」

ギル「……どうも。俺はこれで」

ラケル「ふふっ……あなたなら、神機の整備……いいえ、その製作や改造も、向いているかもしれません」

ギル「俺が……?」

ラケル「そうなったら、神機兵の技術スタッフに招き入れたい……これはそのぐらい、完成度の高いものです」

ギル「ただの髪飾りですよ」

ラケル「けれど、素材はアラガミのもの。……それをこうまで上手く加工するのは、才能なしにはできません」

ギル「……考えておきます。それじゃ……」

ガチャ……バタン



ラケル「……」

カポッ……スッ

ラケル「…………私には、やはり似合わない」

ラケル「……次の衣装では、髪型にも、もっと工夫をしてみようかしら……?」


コンコン

ジュリ『フェンリル極致化技術開発局ブラッド隊隊長、ジュリウス・ヴィスコンティです』

シエル『同じくブラッド隊、シエル・アランソン』

ラケル「……入りなさい」

ガチャッ

ジュリ「失礼致します」

シエル「失礼します」

ラケル「……どうしたのですか? 作戦に、何か問題でも?」

ジュリ「いえ、今日は、私用で立ち入らせて頂きました」

ラケル「私用……?」

シエル「あの……ラケル博士。これを」

ラケル「これは…………ケーキ?」

シエル「はい。チョコレートケーキ……中でも、ザッハトルテと言うものだそうです。材料のカカオや杏を手に入れるのに苦労しましたが……」

ジュリ「シエル! 余計なことは言うな」

シエル「! す、すみません隊長」

ラケル「まぁ……二人がこれを?」

ジュリ「はい」

ラケル「……料理など、できたのですね」

シエル「いえ、ムツミさんに手伝ってもらったので」

ジュリ「シエル!」

シエル「す、すみません!」

ラケル「……ふふ、いいのよジュリウス。二人共、頑張ってくれたのね」


ジュリ「……たいした苦労では」

ラケル「けれど……どうして急に改まって……」

ジュリ「それは、これまで育てて頂いた恩義、そして今のブラッド隊での日頃の感謝を」

ラケル「……?」

シエル「隊長、ここは素直に話した方がよろしいのでは?」

ジュリ「しかし……」

ラケル「あらあら、私に隠し事……?」

ジュリ「……実は」

シエル「母の日、です」

ラケル「母の……日?」

シエル「はい。本当は、誕生日にお祝いをと思ったのですが、博士の生年月日はフェンリルのデータベースに記載されておらず、また、ご本人から聞いたこともなかったので……」

ラケル「……そうでしたか。しかし、母の日とは」

シエル「知らないのですか……?」

ジュリ「こらシエル!」

ラケル「いいのよジュリウス」

シエル「母の日とは、子供が母親に、普段なかなか伝えられない感謝を伝える日です。過去、世界各地にあった風習で、極東では今でも残っている文化であり」

ジュリ「んん! ごほん!」

シエル「はっ……! ……と、とにかく、今日は、母の日というもので、私達も、ブラッド隊、そしてマグノリア・コンパスの母親であるラケル博士に……みんなで感謝を伝えようと……」


ラケル「そうだったのですね……それで……」

ジュリ「本当は、博士を庭園か極東のラウンジにでも呼んで、パーティーでも開こうかという話もあったのだが……」

シエル「そう頻繁に物資を消耗できないということと、お忙しそうなので、わざわざご足労頂いて、長時間とどまらせるのは不可能だろう、と」

ジュリ「そこで、各個で贈物を用意。それを順次すみやかに渡し、感謝の意を伝える。という作戦をとったのです」

ラケル「ふふ……うふふふ」

シエル「……?」

ジュリ「博士?」

ラケル「いえ、ごめんなさい……あなたたちが、あんまり可愛らしいものだから」

シエル「なっなにか、おかしかったでしょうか?」

ラケル「おかしいなんてことはないわ……シエル。私はあなたやジュリウス……みんなの気持ちがとっても嬉しい……こんないい子達に、……本当の、母のように慕われるなんて…………」

ジュリ(……? 気のせいか? レースごし、なにか……雫が)


ラケル「でも…………まだ一人、ブラッド隊の中で……顔を見ていない子がいるのだけれど……」

ジュリ「副隊長は、何やらよく分からないことを言って、夜に赴くと。確か……母として慕っているだけでないので、我慢できない、奇襲をかけるなどと」

シエル「隊長!!」

ジュリ「な、なんだシエル」

シエル「言ってしまっては奇襲になりません!」

ジュリ「む……そうだな。しかし、もし妙なことを考えているのならば、事前に知らせておいたほうが……」

シエル「副隊長が博士に危害を加えるなんてこと、ありえません」

ジュリ「……そう、だな。すまないシエル。私のミスだった」

ラケル「……」

ジュリ「……お邪魔をしてしまったようで、すみません。では、我々はこれで」

シエル「失礼しました」

ラケル「えぇ……二人共、ありがとう。みんなにも、そう伝えておいて?」

ジュリ「はい。では」

ガチャッ……バタン



ラケル「奇襲……?」

ラケル「あの子が…………私を?」



ラケル「今日は、より丹念に体を洗っていただくよう、お姉さまにお願いしておこうかしら……」


ラケル「あとは……勝負、下着? ……パジャマはどうすれば。いつものアバドン柄のものでは子供っぽいかしら」

ラケル「っ……それ以前に、部屋の、片付け……」

ラケル「自室はほとんど寝に帰るだけだから、本や実験道具をテキトウに放り込んだままだわ……」


??「なにをそんなに、そわそわしてるの?」

ラケル「……落ち着かなくもなるわ。こんなこと……初めてですもの」

??「初めて?」

ラケル「……他人から……好意を、…………異性としての好意を寄せられること」

??「ふぅん? クジョーは?」

ラケル「あれは違います。あれは……自分より哀れなものを見て、自分を慰めているだけ……私を自分より弱いと思って、内心では見下している」

ラケル「……女だから、ハンデを負っているからと……情けをかけるのが、哀れむのが好きなのです。そんな自分より弱いものを……慰み物にしようというのです」

??「そうかな? むしろ、支配されたがっているようにも見えるけど」

ラケル「……とにかく、私はあの人が嫌いです」

??「うわ、本音出たよ」

ラケル「……けど、あの子なら」

??「ほんとにそうかな? あの子だって、本当の私を見てくれてはいないよ」

ラケル「それは……」

??「それに、そんなこと必要ないんだよ。私には。つがいを得なくたって……私は、新たなる世界……その全ての母になるんだから」

ラケル「……」

??「今の世界で、こんな私を、本当の私を知って、愛してくれる人なんていないよ」

??「陰湿で、異質で、姉にも嫌われ、結果ハンデまで負って」

??「こんな体にした、姉を、父を憎んで、利用して、殺して」

??「こんな気味の悪い私を、好きになる人なんて、こんな気持ち悪い……人間でもアラガミでもない存在を受け入れてくれる人なんて、」

「「いるわけがない」」


ラケル「……分かっています。わかって……」

ピッ……ピッ、カチカチ

ラケル「こんな虚像に踊らせ、歌わせ……愛された虚像を見て、満たされたふりをしても」

ラケル「偽物の家族に、偽物の愛情を注いでも……」

ラケル「なにも…………」


「だから……私が愛を得るには……」

「世界を憎む私が、本物の愛情を知るには……」


「世界を壊して」

「喰らい尽して」


「新しい世界を産む他ない」



さぁ…………始めましょう……?

世界の終末と……

再生を…………






END



ここまで読んで下さった方は、本当に有難うございます。

では。


次回予告(嘘)


「? ……プロデュースしたい……? ふふ、不思議な口説き文句ですね」

「え……? 本気で?」

「…………どうしてそれを、あなたが……知って」


「………………シプレではなく……? 私自身、を……?」



「私が、アイドル……!?」




ラケル「次回、THE IDOL E@TER。新アイドル、ラケル・クラウディウスの荒ぶる神がごとき活躍を……どうぞみなさま…………」



ラケル「しるぶぷれ♪」


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