一夏「IS学園に第二の男性適正者が、転校してきた!?」(547)


p4とisのクロスオーバーですが、厳密にはp4風味のis ss、という感じです。

転校してくるのは、ゲームクリア時のハイスペック能力を持った
アニメ版の番長…と、思ってください。

注意事項

  1) p4に関しては、ネタバレが多少あります(ps2版)。
  2) >>1独自のis戦術理論で展開しますが、ぐっとこらえて見てください。
  3) 番長の専用機の詳しいスペックは 後々語られます。
  4) p4を知らなくても読める…かと思いますが、
     p4を知っていると更に楽しめるかと…。
  5) >>1はisを、アニメでしか知らない。

以上です。 それでは、始めます。
少し長いので、数日がかりで投下します。




        -2組の教室-

??「はじめまして。 鳴上 悠です」

モブ子「ふわあ…、ほ、ホントに男の子だぁ…」

モブ美「これで1組の織斑君、『世界唯一の』って言うブランドは消えたのね」

モブ枝「それにしても背、高いね…。 落ち着いた感じだし、一年生に見えない」



鈴「………」

鈴(ふうん…。 カッコいいけど、一夏の方がいいな、やっぱ)


2組の先生「ええと…鳴上君、何か一言ありますか?」

鳴上「……」

鳴上「俺は、落ち武者じゃ ありませんので」

         ズコーーーー!!



鈴(……な、なんか変わった奴ね)




          -昼休み・食堂-

鈴「…って 感じの奴だった」

一夏「……? 何かのギャグなのか? それ」

鈴「知らないわよ、そんな事」

鈴「どこかの地方出身って言ってたから、そこで流行ってたんじゃないの?」

一夏「まあとにかく、合同授業が楽しみだな。 早く手合わせをしてみたい」

一夏「…正直、男にとって肩身が狭いからな…is学園は」

鈴「聞き捨て ならないわね…。 もっと幸せに思いなさいよ!」

一夏(……これだもんなあ)




          -2組・is実習授業-

鈴「……へえ、あんたも専用機持ちなの」

鳴上「……?」

鈴「ああ、ごめん。 あたし鳳 鈴音。 鈴、でいいわ」

鳴上「鳴上 悠だ」

鈴「悠って、呼んでもいいかしら?」

鳴上「かまわない」


鳴上「……鈴も専用機持ちなのか?」

鈴「そうよ。 そして中国の代表候補生」

鳴上「すごいな」

鈴「まあね。 でさ、一つ手合わせしてみない?」

鳴上「俺はまだ、乗り始めたばかりだが……。 かまわないか?」

鈴「ふふん、ちゃんと手加減してあげる」

鳴上「助かる」


鈴「甲龍!」 スウウウウンッ!

鳴上「………」 スチャ…(メガネ装備)

鳴上「イザナギ!」 スウウウウンッ!

鈴「……?」

鈴「……なんでメガネをかけるの? 目が悪いの?」

鳴上「そうじゃないが…」

鈴「ないが?」

鳴上「ハイカラだろ?」

鈴(………いまいちキャラが、つかめないわね)


鈴「じゃあ、始めていいかしら?」

鳴上「かまわない」

鈴「…はあああっ!」

         ガキン! ガァン!

鳴上「………」

鈴「………」

鈴(……何? こいつ?)

         ギギンッ! ゴアンッ!


鳴上「……」

鈴(…武装は、白式の雪片二型に似た 近接武器のみ、かしら…?)

鈴(それにしても…。 確かにisの扱いは、つたないけど…)

鈴(なんなの? この落ち着き様は…?)

鳴上「……」

         ガァンッ! ギガンッ!

鈴「悠!」

鳴上「?」

鈴「…悪いけど、少し本気を出してもいいかな?」

鳴上「……」

鳴上「わかった」


鈴「……じゃあ、いくわよ! 龍砲!!」 ドオンッ!

鳴上「!?」

        ボゴンッ!!

鳴上「ぐあっ!」

鈴(……まともに食らった!?)



鳴上「……くっ!」

鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ



鈴「!? 爆弾!?」


        バリバリバリバリッ!!

鈴「ああああっ!! ス、スタン・グレネード!!」

鳴上「今だ!!」

鈴「くっ…!!」

        ガアアアアンッ!!




----------



鈴「……あんた、何者なの?」

鳴上「…ただの高校生だが?」

鈴「…う~ん、上手く言えないけど悠の動きは、とても素人とは思えない」

鈴「戦い慣れしてる? 感じだった……」

鳴上「……でも結果は、俺の負けだ」

鈴「…まあ、そうだけど」


鳴上「ありがとう、得るものの大きい戦いだった…」

鈴「…どういたしまして」

鳴上「良かったら また手合わせしてくれ」

鈴「ええ、いいわよ」




          -放課後・談話室-

セシリア「で、どうですの? 噂の転校生さんは?」

鈴「ん? まあ悪い奴じゃないと思うわ。 変わってる所はあるけど」

箒「変わってる? どんな風に?」

鈴「そうね…。 誰か『ペルソナ』って言葉知ってる?」

ラウラ「………知らないな」

シャル「確か……心理学用語じゃなかったかな?」

鈴「ふうん…。 その心理学用語?の『ペルソナ』を やたらと使うのよ」

鈴「あたし達で言うなら、『えいっ!』とか『とうっ!』みたいにね」

箒「………確かに変わってるな」


ラウラ「強さはどうだ?」

鈴「isの扱いは、まだまだって感じ。 でも…」

セシリア「でも?」

鈴「…妙に落ち着き払っていて、ケンカ慣れしてる様な気がするの…」

シャル「へえ? チラッと見たけど、そんな風には見えなかったよ?」

鈴「そうなのよね…。 まあ見た目で判断しちゃ、いけないのかも」




         -夜・is学園寮・一夏の部屋-

鳴上「鳴上 悠です」 ペコリ

一夏「おう、同室の織斑 一夏…です」 ペコリ

一夏(……な、なんか大人びた同級生だな?)



一夏「…まあ堅苦しい挨拶はこれぐらいにして、俺の事は一夏、と呼んでくれ」

鳴上「わかった、一夏。 俺の事も、好きに呼んでくれてかまわない」

一夏「そっか。 じゃあ…悠、と呼んでもいいか?」

鳴上「ああ」


一夏「悠は専用機持ちらしいけど……、どういう経緯でis学園に?」

鳴上「………………」

一夏「……? 悠?」

鳴上「……多分、言っても信じてくれないと思うが」

一夏「お、おう」

鳴上「突然、空からニンジンの形の」

一夏「なるほど…よく分かった」


鳴上「…まだ導入部だぞ?」

一夏「…そのニンジンの形した輸送ポッドの中から」

一夏「ウサ耳をつけたメイド服の女性が出てきて」

一夏「『おおう! いっくんの他に男性のis適正者発見!! さ、一緒に来て~!』と言われ」

一夏「有無を言わさず、専用のisを渡されたあげく…」

一夏「いつの間にかis学園の転入が決まっていた、と」

鳴上「……………………」


鳴上「……見てたのか?」

一夏「単なる推測だよ」

鳴上「台詞も一言一句、間違いなかったぞ?」

一夏「そりゃどうも…」

鳴上「…知り合いなのか?」

一夏「ああ、幼馴染のお姉さんなんだ」

鳴上「そうなのか…」

一夏「………はあ」

鳴上「……………」

鳴上(…そっとしておこう)




          -翌日・昼休み・食堂-

一夏「悠! ここで食わないか?」

鳴上「…いいのか?」

シャル「どうぞ、歓迎するよ」 ニコ

シャル「あ、自己紹介がまだだったね?」


シャル「ボクは、シャルロット・デュノア。 フランスの代表候補生」

鳴上(…ボク?)



セシリア「わたくしはセシリア・オルコット。 イギリスの代表候補生ですわ」

鳴上(いかにも、な、お嬢様…)



ラウラ「私はラウラ・ボーデヴィッヒ。 ドイツ代表候補生だ」

鳴上(…眼帯)


箒「私は篠ノ之 箒。 代表候補生ではないが、専用機持ちだ」

鳴上(この娘が、篠ノ之博士の妹さん)

鳴上(一夏との幼馴染か…)



鈴「あたしは、知ってるよね? 悠」 クス

鳴上「もちろん」 クス


鳴上「俺は、鳴上 悠。 よろしく」

鳴上「それにしても、そうそうたるメンバーだ…」

一夏「ああ、多国籍is専用機持ちばかりだ」

一夏「でもみんな、いい奴だぜ? 気兼ねしないでくれ」

鳴上「わかった」


セシリア「鈴さんから お聞きしましたけど、変わった掛け声をなさるとか…」

鈴「ちょっ…、セシリア!」

セシリア「あ…ごめんなさい」

鳴上「いや、気にしないでくれ。 …色々あって、口癖になってしまったんだ」

ラウラ「心理学用語…なのだろう?」

鳴上「響きが、ハイカラだろ?」

箒(ずいぶん古風な 言い回しをするのだな…)


シャル「専用機の名前もかっこい…ハイカラだね」

箒「イザナギ、だったな。 イザナギのミコト…日本の神の名前だ」

鳴上「ああ、自分でも気に入ってる」

鳴上「篠ノ之博士に 名前を付けていいと言われて、命名した」

一夏「さ、みんな、質問はそれくらいにして飯にしようぜ!」




          -数日後・is学園・第一アリーナ・1組2組合同実習-

千冬「…転校生の 鳴上 悠 か」

鳴上「はい」

千冬「……束に気に入られた様だが、大丈夫か?」

鳴上「…?」

千冬「…まあいい」

千冬「よし、それでは…織斑、鳴上と模擬戦をやれ」

一夏「おしっ! わかりました」

鳴上「よろしくな、一夏」

一夏「こっちこそな、悠」


鳴上「……」 スチャ…(メガネ装備)

鳴上「イザナギ!」 スウウウウンッ!

一夏「白式!」 スウウウウンッ!

鳴上「行くぞ… 一夏」

一夏「ああ…、いつでもいいぞ」

鳴上「はあああああっ!!」

         ガキンッ!! ガアンッ!!


千冬(………)

箒(………)

セシリア(………)

シャル(………)

鈴(………)

ラウラ(………)

        キンッ!! ガァンッ!!


千冬「……篠ノ之、どう見る?」

箒「…isに乗っていなければ」

箒「一夏に…勝ち目はないでしょう」

セシ・ラウ・シャ・鈴「「「「…!?」」」」


千冬「同感だな。 鳴上の動きは、実戦をくぐり抜けてきた者の動きだ」

千冬「俗に人、一人を切れば、初段の腕、と言うが、」

千冬「鳴上の動きは、まさにそれだ」

箒「型にはまらない我流の動きだが…、間合いの取り方が素人のそれではない」



千冬(…だが、気になるのは『何』と戦って来たのか? ということだ)

千冬(動きから、まるで人ならざる者との戦いを 想定しているように見える…)

千冬(束め…どこからこんな逸材を…)


鳴上「…ペルソナ!」 ポウ ポウ

一夏(来た!…鈴の言っていた、小型のスタン・グレネード!!)

一夏「その手は、食わないぜ!」 回避行動



          カッ!!!



一夏「!? ま、眩し…!!」

鳴上「はあああああっ!!」

          バゴオオンッ!!




          -授業終了後・男子更衣室-

一夏「……負けたぜ」

鳴上「油断したな」

一夏「ちえ…、スタン・グレネードじゃなくて フラッシュ・グレネードとはな…」

鳴上「だが一夏の零落白夜は、凄い武器だ」

鳴上「俺の勝利は、紙一重にすぎない」

一夏「ま…白式には、それしかないけどな」


鳴上「一夏は、きっと強くなれる。 大丈夫だ」

一夏「ああ、これからさ」

一夏「…次は負けないぜ?」

鳴上「その意気だ」

          ハハハ…

一夏(うん…、こういう会話 すげー久しぶり。 楽しいな)




          -放課後・is学園寮・ロビー付近-

鈴「一夏! 今度の休み、空いてる?」

一夏「ん? ああ、空いてるが?」

鈴「そ! じゃあさ! 一緒に映画を見ない? タダ券二枚あるの!」 ピラッ

一夏「へえ…。 お! 『山本五十嵐』じゃないか! この前、封切りしたばかりの…」


一夏「……って、これ硬派な戦争映画だぞ?」

鈴「あ、あたしは、一夏と見れれば文句はないわ!」 ///

一夏「う~ん…。 鈴には、退屈だと思うけどなあ。 男じゃないとわからないぞ? こういうの」

鈴「…別に構わないって」

一夏「けどなあ…」

鈴「……もういい! だったら券はあげるから、悠とでも見に行けば!!」 フン!

一夏「!? お、おい鈴!?」

一夏「………なんだよ、ったく」




          -同・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「……という事があってな」

鳴上「………」

一夏「なんで鈴が怒ったのか、わからない」

鳴上(…本当にこんな奴が、存在するんだな)

一夏「やっぱり謝るべきかな?」


鳴上「…止めておいた方がいいと思う」

鳴上「むしろ今回の事に礼を言った上で、別の休みに鈴好みの映画を見に行くか…」

鳴上「もしくは…二人で、どこかに出かける約束をしたらいいと思う」



一夏「…そうなのか?」

鳴上「多分だが……きげんは治ると思う」

一夏「そうか! よし、明日にでも鈴に伝えよう!」

鳴上(その前に根本的な所が、ダメダメな気がする……)




          -次の日・休み時間・廊下-

一夏「鈴!」

鈴「……何よ」

一夏(うっ…。 露骨に怒っていらっしゃる…)

一夏「き、昨日のタダ券、ありがとうな」

一夏「それで、そのお礼…と言っちゃなんだが、この次の 次の休みに」

一夏「どこか出かけないか?」

鈴「……ふえっ!?」


鈴「…………」

鈴「…ホント?」

一夏「ああ、本当だとも! 鈴が見たい映画があれば、一緒に見に行くし」

一夏「ないなら、買い物でも遊園地でも付き合うぜ?」

鈴「ホ、ホントにホント!?」 ///

一夏「本当だって」


鈴「ふ、二人だけ、で!?」 ///

一夏「おう、もちろん!」

鈴(や、やたっ! い、一夏と デ、デートの約束!) ///

鈴「しょ、しょうがないわね! 付き合ってあげるわ!」 ///



一夏(…すげえ、悠の言う通りにしたら、きげんがすんなり治った!)

一夏(休みは減ったけど…)

一夏(悠……頼りになるぜ!)




           -授業中・2組教室-

鈴(んふふ~、デート。 一夏とデート!) ニコ ニコ

モブ子(……なんか気持ち悪いわね、鳳さん) ヒソヒソ

モブ美(休憩終わってからずっと、ああだもんね…) ヒソヒソ

モブ枝(何があったのかしら…?) ヒソヒソ

鳴上(……一夏、上手くいったようだな) ヤレヤレ…




           -昼休み・屋上-

鳴上「……ふう」

シャル「……あれ? 鳴上くん?」

鳴上「……? デュノア?」

シャル「どうしたの? お昼食べたら、急用とか言って」

シャル「すぐに食堂から出て行っちゃったと思ったら…」

シャル「こんな所にいるなんて…」


鳴上「……なんとなく居心地が悪くて」

シャル「…そっか」

シャル「鈴…なんかテンション高かったし、そのせいかな…?」

鳴上「………?」

シャル「……ボクも、ちょっと居心地、悪くて、ね。 空気を吸いに」 テヘへ


鳴上(……まさか)

鳴上「デュノアは…、一夏の事が好きなのか?」

シャル「……うん、好き」

シャル「って、わかるよね? 普通…」

鳴上「恐ろしいまでの鈍感力だ…」

シャル「あそこまでいくと才能だよ…ホント」 フウ…


鳴上「……気持ちは伝えたのか?」

シャル「……ううん」

鳴上「なぜ、伝えない?」

シャル「……いろいろアピールしてダメだったし」

シャル「ボクには、家庭の事情もあって」

シャル「今の関係が壊れるのが…怖いの」

鳴上「…………」



鳴上「いいのか? それで?」

シャル「……わかってるよ、そんな事」

鳴上「…………」

鳴上(あまり、口を出さない方が いいのだろうけど…)


鳴上「……少し、独り言を言っても かまわないか?」

シャル「……どうぞ」

鳴上「……ある人物が、恋をしていた」

鳴上「寝ても覚めても…と、いうわけではなく その想いは、ほのかなものだった」

鳴上「…でも、突然その想い人は亡くなってしまう」

シャル「……!」



鳴上「もちろん、そいつは悲しんだ…。 それは事実だ。 でも…」

シャル「…………」

鳴上「ある時、気が付いてしまった」

鳴上「想い人が亡くなった事よりも」

鳴上「想い人が亡くなって、自分はなんて可哀想なのだと 酔っている自分に……」


シャル「……何が言いたいの?」

シャル「ボクが…自分を哀れんで 喜んでいる、とでも言いたいの!?」

鳴上「……………」

鳴上「違うのか?」

シャル「!!」

         パァンッ!!

シャル「違う! ボクは……ボクは、そんな事 思っていない!!」 ダッ

         タッ タッ タッ…

鳴上(……………)

鳴上(……言い過ぎた、かな)




           -放課後・is学園寮・談話室-

セシリア「あら…鳴上さん、ごきげんよう」

鳴上「…オルコット」

セシリア「…? どうかなさいましたの? その頬」

鳴上「そっとしておいてくれ……」

セシリア「はあ……」


セシリア「それにしても…」

鳴上「?」

セシリア「鈴さん……気持ち悪いくらい上機嫌でしたけど…」

セシリア「鳴上さん、何かご存知ありませんこと?」

鳴上「……いや」

セシリア「そうですの…。 まあおそらく、一夏さんがらみでしょうけど…」 フウ…



鳴上(…………)

鳴上(……まさか)

鳴上「もしかして…、オルコットも一夏が好きなのか?」

セシリア「!! ……えと…その…、はい」 ///

鳴上「…そうか」


セシリア「………」

セシリア「鳴上さん、『も』って言う事は、どなたかにも同じ質問を?」

鳴上「………デュノアに」

セシリア「……ははあ、その頬はシャルロットさんが?」

鳴上「……少し、言い過ぎて」



鳴上(ひょっとして…。 一夏と親しそうにしている女子全員…)

鳴上(…ありうるな)

鳴上「一夏は……誰かと付き合っていたりするのか?」

セシリア「わたくしの知る限りでは…いないと思います」

鳴上「……それはそれで凄いな」


鳴上「オルコットは…」

セシリア「はい?」

鳴上「……いや、なんでもない」

セシリア「…どうして告白しないのか? ですか?」

鳴上「…!」



セシリア「……実を言うと、わたくしにもよく分からないのです」

セシリア「一夏さんをお慕いしているのは…間違いありません」

セシリア「わたくしは 精一杯淑女として一夏さんに接していると、自信もあります」

セシリア「……ですが、何かが足りない様な気がして…」


鳴上「…………」

鳴上「知り合いの話をしてもいいか?」

セシリア「……はい。 かまいませんわ」

鳴上「…そいつは普通だった」

鳴上「俺と…なんら変わらない、健全な高校生」

鳴上「だがそいつは、家名を継ぐという 見えない鎖で繋がれていた」

セシリア「…………」


鳴上「しかし……ある日、唐突にその鎖が外された」

鳴上「俺は、そいつの継ぐべき家名を汚さない努力を、それなりに見てきた」

鳴上「見た目は平静を装っていたが…」

鳴上「落胆しているのは、手に取るようにわかった」

セシリア「…………」


鳴上「…オルコットも同じじゃないのか?」

セシリア「!?」

鳴上「自分のやってきた事を、これまでを」

鳴上「一夏に否定されるかもしれない、と思っているんじゃないのか?」

セシリア「なっ……!?」

セシリア「そんな事…そんな事、ありませんわ!!」

セシリア「あなたなどに、わたくしの何がわかるとおっしゃるの!?」

鳴上「………」


セシリア「…不愉快ですわ。 失礼します!」 タッ

        コッ コッ コッ…

鳴上「………」

鳴上「……またやってしまった」




           -同・is学園寮・ラウラとシャルの部屋-

ラウラ「……シャルロット?」

シャル「………」

ラウラ(……何があったのだ?)

今日は、この辺で失礼します。よろしければ、支援願います。




           -翌日・昼休み・食堂-

一夏「あれ? 今日、セシリアとシャルは?」

箒「セシリアは、何か用事があると言っていた」

ラウラ「シャルロットは、気分がすぐれないそうだ」

一夏「そうなのか? セシリアはともかく、シャルは元気そうだったのに」

鈴「ふうん…」

鳴上「………」


鳴上「……ごちそうさま」 ガタッ

一夏「? おい悠、まだいいじゃないか」

鳴上「…すまない、isについて勉強したいんだ」

鳴上「なにしろ いきなりの転校だったからな。 しばらく図書室にこもろうと思って…」

一夏「…そういえば、寮でも勉強していたっけ」

鳴上「できるだけ早く学科に追いつきたくてな…」

一夏「わかった…じゃあな」

鳴上「ああ…」



ラウラ「…………」




          -同・図書室-

鳴上「…………」 カリカリ…

ラウラ「鳴上」

鳴上「?」

鳴上「……ボーデヴィッヒ」

ラウラ「少しいいか?」

鳴上「…ああ」


ラウラ「昨日からシャルロットの様子が、おかしいんだ」

ラウラ「何か知らないか?」

鳴上「………多少は」

鳴上「俺にも責任がある…」

ラウラ「…詳しく話せ」




----------



鳴上「……という話をしたんだ」

ラウラ「それは…シャルロットを侮辱したのか?」

鳴上「その意図はない」

鳴上「……ただ、感じた事を言ったまでだ」

ラウラ「…………」

鳴上「…………」


ラウラ「…………」

ラウラ「シャルロットは……元気になるか?」

鳴上「乗り越えるべき壁を、乗り越えた時に」

ラウラ「………シャルロットしだい、か」


ラウラ「ところで鳴上」

ラウラ「……私は一夏を嫁にする、と本人に伝えているが」

ラウラ「これは告白になるか?」 ///

鳴上「…………えっ?」

ラウラ「だから、一夏に公衆の面前で『嫁にする』と宣言しているのだが……」 ///

鳴上「……………………」

鳴上「……いろいろツッコミたい事はあるが」

鳴上「おそらく一夏は……そう思ってない」

ラウラ「!? そ、そんな!?」


ラウラ「ク、クラリッサが言うには、これで一夏の『はあと』をがっちり掴めると!」

鳴上「………誰?」

ラウラ「私の副官だ」

ラウラ「さらに、止めにその時、唇も奪っている!」

ラウラ「そして、時折 裸で一夏のベッドにも潜り込んでいるぞ!」 ドヤッ!

鳴上(………この学び舎は、無法地帯か? それとも俺がおかしいのか?)

ラウラ「なあ、鳴上……」

鳴上「落ち着け」

ラウラ「う? ……うむ」


鳴上「……俺の意見を聞くか?」

ラウラ「………す、少し怖いが…聞きたい」

鳴上「…………」

鳴上「はっきり言ってボーデヴィッヒは、幼すぎる」

ラウラ「な!? …そ、それは仕方ないだろう!?」

ラウラ「発育には個人差というものが……」

鳴上「内面の事を言っているんだ」

ラウラ「……!」


鳴上「…俺には、小学二年生の従兄弟がいるが」

鳴上「それよりも幼く感じる」

ラウラ「…………」

鳴上「…事情があるのか?」

ラウラ「私は…試験管から生まれ、兵器として育てられた…」

鳴上「…………!」

ラウラ「皆の様な教養など、受けていない……」

ラウラ「だから、人から聞き、教えられた事でしか 自分の気持ちを表現できない」

ラウラ「私には、あれが精一杯なんだ……」

鳴上「…………」


鳴上「………俺の知り合いに、自分を探し続けた奴がいる」

ラウラ「…………」

鳴上「探して…探して…、傷ついて。 それでも探し続けて…」

ラウラ「…………」

鳴上「ある日…俺の前から突然消えた」

ラウラ「…死んだのか?」


鳴上「いや、二、三日後にひょっこりと 帰ってきた」

ラウラ「むう?」

鳴上「………でもな」

鳴上「一回り大きく成長していた」

鳴上「ああ、物理的にって意味じゃない」

鳴上「精神的に……こう、吹っ切れていた、という意味だ」

ラウラ「…………」


ラウラ「何があったのか、知りたい」

鳴上「…自分を見つけたんだ」

ラウラ「…私をバカにしているのか?」

鳴上「そうじゃない。 そうとしか言えないんだ」

ラウラ「…っ! もういいっ! 聞いた私が愚かだった!」 ダッ

        ツカ ツカ ツカ…

鳴上「…………」

鳴上(………またか) ハア…




         -放課後・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「明日は休みだし、鈴にもらったタダ券の映画を見に行くつもりだが…」

一夏「悠、一緒にどうだ?」

鳴上「…すまない。 今週と来週の休日、2組の先生に補習授業をお願いしているんだ…」

一夏「……お前って、ホント勉強 好きだな」

鳴上「明日は雨だし、はかどると思う」

一夏「げっ、そうなのか!?」

鳴上「雨音を聞くと、集中出来るんだぞ?」

一夏「いや、そうじゃなくて、明日雨なのかよ!って事なんだけど……」




        -翌日・休日の雨天・朝・2組教室-

2組の先生「……ということです。 わかりましたか?」

鳴上「はい、絶対防御……。 凄い技術ですね」

2組の先生「そうですね、ここ数年の技術的進歩は」

2組の先生「産業革命以来の歴史的発展、と言われていますから……」

鳴上(…俺が今まで習ってきた、科学のレベルを完全に超えている)

2組の先生「それでは次に行きますね」

鳴上「はい」




         -昼・食堂-

鳴上「…………」 モグモグ…

箒「鳴上。 ここ、いいか?」

鳴上「篠ノ之…」

鳴上「どうぞ」



箒「…鳴上は、部活動に興味あるか?」

鳴上「…? 勧誘か?」

箒「まあな…」

箒「この前の一夏との模擬戦を見て、剣道部はどうかと思って」

鳴上「……考えておく」

箒「そうか……。 ぜひ、前向きに検討してみてくれ」


鳴上「……篠ノ之は今日、部活か」

箒「ああ、そうだ」

箒「鳴上は何をしている?」

鳴上「先生に頼んで補習授業をしてもらってる」

箒「ほう? 熱心だな。 一夏とは大違いだ」 クスッ

箒「一夏は最初、間違いとは言え 教本を捨ててしまってな」

箒「本当にどうしようもない奴で……」


鳴上(……この流れは)

鳴上(やばい……!)

鳴上(しかし…俺は、食事を始めたばかり…)

鳴上(おまけに時間もまだまだ たっぷりある!)

鳴上(だがここは、勇気を振り絞って……!)


箒「そういえば、今日一夏は何をしているのだ?」

鳴上(くっ…! 先手を打たれた!)

鳴上「……映画を見に行く、と言っていた」

箒「な、なに!?」

箒「そんな話、初耳だぞ!? だ、誰と行くつもりか、聞いてないか!?」

鳴上「いや、誘われたんだが俺は 補習があるから断った」

鳴上「中学時代の友達……弾? とかいう奴を誘ったと……」

箒「…そ、そうか」



鳴上(…わかりやすすぎる)

鳴上(あきらめよう……) ハア…


鳴上「…篠ノ之は、一夏の事が好きなんだな?」

箒「ななななななっ!? なな、なにを言って!?」 ///

鳴上「…わざとやっているのか?」

箒「そ、そんなわけあるか! お前が変な事を言うからだ!」 ///

鳴上「落ち着け…」

箒「ぐっ…む…」 ///


箒「…………」 ///

箒「そ……そんなに」 ///

箒「バレバレか?」 ///

鳴上「……かなり」

箒「~~~~~っ!」 ///

鳴上「落ち着け」


鳴上「…もう告白したらどうだ?」

箒「い、いまさら……できない」 ///

鳴上「なぜ?」

箒「……は、恥ずかしいからに決まっているだろう!?」

鳴上「…………」

鳴上「それでいいのか?」

箒「良いも悪いも……無い」

箒「……臆病なんだ、私は」

鳴上「…………」


鳴上(また……きげんを損ねるかな?)

鳴上(……まあいいか)



鳴上「俺の知り合いに、音楽の好きな女の子がいるんだが…」

箒「…? なんだ? いきなり?」

鳴上「…とりあえず、聞いてくれ」

箒「……む」


鳴上「その娘は、音楽が人を幸せにすると、一途に信じていて…」

鳴上「吹奏楽部でトロンボーンを使っていた」

箒「…………」

鳴上「本当はフルートを吹きたかったそうだが…」

鳴上「経済的な理由で、元々家にあったトロンボーンを 使うようになったそうだ」

箒「…………」

鳴上「小柄なその娘に トロンボーンは大きすぎて、扱いづらそうだった」

鳴上「……でも、彼女は必死に練習した」

鳴上「失敗して、笑われる事を 恐れながらも…な」

箒「…………」


鳴上「篠ノ之は…一夏の事で、どんな努力をした?」

箒「!!!」

鳴上「一夏に想いを寄せながら…何をした?」

鳴上「ただ、振り向いてくれるのを待っている様だが…」

鳴上「自分ではない誰かが 一夏のそばにいないか、そればかり気にしている…」

鳴上「……滑稽だ」

箒「黙れ!!!」 ガタッ!


鳴上「…………」

箒「お前に・・・! お前なんかに、私の何がわかる!?」

鳴上「…………」

箒「…………っ」

箒「………くそっ!!」 タッ

         ツカ ツカ ツカ…

鳴上「…………」

鳴上(…やっぱり 怒らせてしまった) ハア…




          -夕方・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

鳴上「おかえり」

一夏「おう、ただいま! 悠!」

鳴上「…? なんだ、その荷物?」

一夏「これか? フッフッフッ…じゃーん!」 バッ!

鳴上「………プラモデル?」

一夏「ああ! 映画に出てきた、戦闘機や戦艦だ!」 ニカッ

鳴上「……買いすぎじゃないか?」

一夏「ああ…。 いきおいって怖いな…」 ズーン…


一夏「悠も作らないか? 金は いらないから」

鳴上「気が向いたらな」

一夏「おう、待ってるぜ!」

一夏「じゃあさっそく、零戦、いってみるか!」 ガサゴソ…

鳴上「…………」




          -翌日の休日・朝・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

鳴上「………ふあ」

鳴上(……もう起きないと)

鳴上「…そうだ、テレビ」 ピッ

       アナタノ、テレビニ、ジカネットタナカ~

       ミ、ン、ナ、ノ、ヨクノトモ!

鳴上(…………)

鳴上(今日は、欲しいものは無かったな) ピッ


鳴上「おい、一夏」

一夏「…………ん」

鳴上「そろそろ起きないと、鈴との約束 間に合わなくなるぞ?」

一夏「……ん、ふあああっ………」

一夏「もう…そんな時間か…」


鳴上「……三機も作ったのか」

一夏「ん…ついついな…」

一夏「零戦作ったら 九九艦爆と、九七式艦攻も作って…」

一夏「真珠湾攻撃を再現したくてなあ…」 ボリボリ…

鳴上「……一夏、シャワーぐらいは浴びて行けよ?」

一夏「ん~…わかってる」

一夏「目を覚ます為にも浴びるさ…」

鳴上「しっかりしろよ? ……じゃあな」




         -昼過ぎ・is学園・中庭付近のベンチ-

鳴上(…よし、isの基本構造と概要はだいたい理解できた) セノビー…

鳴上(後は復習して、よりしっかり覚えよう……)

鳴上(…………ん?)

鳴上(……鈴?)

鳴上(一夏はどうしたんだ? ……それに帰って来るには、随分早い)

鳴上(…………)


鈴「あ………。 悠……」

鳴上「…やあ」

鈴「何してんの?」

鳴上「補習の後、昼を食べて くつろいでいる」

鈴「そっか…、そういやお昼 まだだっけ…」

鳴上「…………」

鳴上「………一夏は?」

鈴「…!」

鈴「……もう知らない! あんな奴!!」 ダッ

        タッ タッ タッ…

鳴上「…………」

鳴上(一夏、何かやらかしたな)




         -夕方・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「…ただいま」

鳴上「…おかえり」

鳴上「……鈴、先に帰ってきてた」

一夏「…知ってる」

鳴上「……何があった?」

一夏「映画見てて…爆睡しちまった」


鳴上「…………」

鳴上「ひょっとして」

鳴上「今まで…か?」

一夏「返す言葉もありません……」



鳴上「今すぐ謝って来い」

一夏「…帰ったその足で 真っ先に鈴の部屋に向かったよ」

一夏「………会ってもくれなかった」

鳴上「……………………」


鳴上「一夏……」

一夏「ん?」

鳴上「今日の鈴を見て……何か感じた事はあるか?」

一夏「感じた事?」

一夏「そうだな……」

一夏「私服だったな。 そういえば、いつもより可愛かったような…」

一夏「後は…テンションが、やたら高かったけ……」

一夏「う~ん…、それぐらいかな…」


鳴上「………そうか」

一夏「なんだよ、いったい……?」

鳴上「俺が見た限りでは…かなり気合が入っていた」

一夏「気合?」

鳴上「まず……、リボンが違っていた。 服に合うものを選んだのだろう」

鳴上「化粧も多少濃かったし…、いつもはしていない 口紅をしていた」

鳴上「……きっと、今日という日を 楽しみにしていたのだろう」

一夏「…………」


鳴上「一夏は、鈴に対して何か気を使ったか?」

一夏「…………いや」

鳴上「そうか…」

一夏「で、でも、鈴は友達で…気の許せる相手で…」

鳴上「それに甘えた、と?」

一夏「!! そ、そんなつもりは!」

鳴上「…………」

一夏「…………」

一夏「…もう、飯食って、寝る」

鳴上「おやすみ」

とりあえず、ここでいったん切ります。




          -????-

シャル「ボクは一夏の事が好き…」

シャル「でも…、ボクは妾の子…」

シャル「そんなボクが 一夏に告白なんて出来ない」

シャル「出来るわけがない…」

シャル「ああ…、ボクって、なんて不幸なんだろう……」



!?


シャル「こんな不幸な星の元に生まれた僕を」

シャル「きっと一夏は放っておかない……」



…………



シャル「うふふ…きっと一夏は、僕を選んでくれる…」 アハハ…

シャル「不幸なボクを望んでいる…」

シャル「そうに決まっている…」 アハハ…



………違う


シャル「違う? なにが違うのかな?」

シャル「一夏がボクに優しくしてくれるのは、ボクが不幸だからだよ?」

シャル「ボクから不幸を取ったら……な~んにも無くなっちゃう!」 アハハ…



違う!


シャル「違わないよ。 だって……」

シャル「キミはボク。 ボクはキミだもん」

シャル「なんだって知ってるよ……?」 アハハ…



違う…違う…! …違う!!

ボクはそんな事、思ってなんかいない!!


シャル「そんな事言って…」

シャル「誰よりも不幸のぬるま湯が 好きなくせに……」 クスクス…

シャル「もっと自分に正直になりなよ!」 アハハ…



ち、違う!! キミなんて…キミなんて! キミなんて!!

ボクじゃないっ!!!!!!


シャル「…………」

シャル「ふ…うふふ……」

シャル「あはははははははははははっ!!」



!!?


シャル「我は影………真なる我………」

シャル「これからも……ボクは、汚れ続ける」



や…いや…やめて!!



シャル「不幸で在り続ける…。 一夏をモノにする為に…」 アハハ…

シャル「isだって、ウソだって、体だって……、何だって使うんだから!!」 アハハ…!



いやああああああああああああっ!!!!




         -朝・is学園寮・ラウラとシャルの部屋-

ラウラ「シャルロット!」

シャル「…ううっ………くうっ」

ラウラ「シャルロット!!」

シャル「……はっ!」


ラウラ「大丈夫か? ずいぶん うなされていたぞ?」

シャル「………夢」

ラウラ「……シャルロット?」

シャル「……あ、ごめん、ラウラ」

シャル「…酷い夢を…見ちゃって」 フウ…

ラウラ「そうか…」




         -授業中・1組-

シャル(…鳴上くんのせいだ)

シャル(鳴上くんが、あんな事言うから…)

シャル(…………)

シャル(ボクは…あんな事…望んでなんか…)

シャル(…………)




         -昼休み・図書室-

シャル「…鳴上くん」

鳴上「! …デュノア」

シャル「一夏に 多分ここだろうって聞いて…。 今…いいかな?」

鳴上「かまわない」


シャル「この前はごめん…。 ひっぱたいちゃって…」

鳴上「…俺も言いすぎた」

シャル「……うん」

シャル「それで、ね。 この前の…『ある人』の話の続きを、ぜひ聞きたいんだ」

鳴上「…わかった」

鳴上「俺は、どこまで話した?」

シャル「……自分が可哀相だと、酔っている事に気づいたって」



鳴上「…そこからそいつは、自分を見つめ直す事を始めた」

鳴上「これまで自分の意思で取り組んできた事も」

鳴上「実は、単なる ごまかしでやってきた部分が あった事に気が付いた」

シャル「…………」


鳴上「……俺は、そいつに言った」

鳴上「それが、お前のすべてじゃない」

鳴上「それを含めたすべてが、お前だ、と」

シャル「……!」



鳴上「俺の言葉がきっかけになったかは わからないが…」

鳴上「そいつは少しづつ、自分を理解して行くつもりだ、と言っていた」

シャル「…そう」


シャル「今、その人はどうしてるの?」

鳴上「以前より明るくなって、毎日が楽しいと言ってる」 クスッ

シャル「…そっか」

シャル「ボクも…その人みたいになれるかな?」

鳴上「…………」

鳴上「デュノアが、あいつみたいに なることは無い」

鳴上「デュノアが デュノアのやり方で、デュノア自身と向き合えばいい」

シャル「ボクが…ボクのやり方で…」


鳴上「…………」

鳴上「……そいつが、つぶやいた言葉がある」

鳴上「自分と向き合うって…難しいな…って」

シャル「……!」

鳴上「デュノアだけじゃない」

鳴上「俺も、そいつも、一夏も…」

鳴上「この学園にいる一人一人も、みんな」

鳴上「自分と向き合うことは、難しい事なんだ…」


シャル「…………」

シャル「…………」

シャル「…………」 ホロリ

シャル「…………あれ?」

鳴上「…………」



シャル「どうして…ボク」

シャル「………泣いてるの?」

シャル「ふふ…変なの」 クスッ

鳴上「そんな事、ない」 ニコ


シャル「…ありがとう、鳴上くん。 ボク…やってみるよ」

シャル「自分に向き合ってみる」

シャル「また…お話 聞かせてくれるかな?」

鳴上「もちろん」

シャル「じゃ…またね」



鳴上(デュノアの事が少し、わかった気がする…)

鳴上(デュノアの表情は どこか寂しげだが…目に輝きが灯った)

鳴上(…どうやら、デュノアの力になれた様だ)




          -放課後・屋上-

鈴「…………」

鈴「…………はあ」

鳴上「……鈴?」



鈴「………?」

鈴「悠…」


鳴上「一夏から、おおよその事は聞いた」

鳴上「とても反省している…」

鈴「…………」

鳴上「…会ってやったらどうだ?」

鈴「…………」

鳴上「一夏の事が、好きなんだろう?」

鈴「!!」 ドキッ ///


鈴「…………」

鈴「もう…わかんない」

鈴「あたしは 一夏の事…、好き…だと思う」

鈴「でも…一夏は…」

鳴上「…………」



鳴上「鈴は、一夏に気持ちを伝えたのか?」

鈴「……ううん」

鳴上「一夏が告白するのを待っている?」

鈴「あの超絶 朴念仁が、するわけ無いじゃない!」

鳴上「俺もそう思う」 クスッ


鳴上「それだけ一夏の事を理解しているなら」

鳴上「後は、鈴しだい じゃないのか?」

鈴「…………」

鈴「あたしだって、そう思うわよ…」

鈴「昨日だって…そのつもりだった」

鳴上「…………」


鈴「いい雰囲気になったら、自然な感じで…こ、告白しようって…」 ///

鳴上「…………」

鈴「……でも一夏は、いつも通りの一夏だった」

鈴「あたしなんか いろいろオシャレして、昨日をすごく楽しみにしてたのに…」

鈴「一夏は…一夏のままで、あたしだけ舞い上がって…」

鈴「なんだか バカバカしく思えちゃって…」

鳴上(一夏に軽く殺意を覚えるな…)



鳴上「でも…伝えるべき事は伝えないと」

鈴「今は…いい」

鳴上「………そうか」


鳴上「…俺の親戚に」

鈴「………?」

鳴上「いや…家族に、不器用な生き方をしていた人がいる…」

鈴「うん…」

鳴上「その人には、小学生の一人娘がいたけど…」

鳴上「奥さんを…少し前に無くしたばかりだった」

鈴「…………」


鳴上「突然に家族を亡くした、その人は…娘さんを ないがしろにしてた訳じゃないけど…」

鳴上「仕事の事もあって、どこか遠ざけていた…」

鈴「…………」

鳴上「…ある日、俺は その女の子にたずねられた」

鳴上「『本当のお父さんって、何?』って…」

鈴「…………」



鳴上「…俺は、とっさに答える事ができなかった」

鳴上「血が繋がってるって事だよ、と言うと」

鳴上「不思議そうな顔をされた…」

鈴「…………」


鳴上「鈴も同じじゃないかな?」

鳴上「俺も驚いたけど、あの超絶 朴念仁に」

鳴上「一夏にわからせる為には、はっきり言う事が一番だと思う」

鈴「…………」

鈴「…簡単に言ってくれるわね」


鳴上「…………」

鈴「今さらって感じもあるし、一夏の幼馴染って『友達』あつかいだし…」

鳴上「…………」

鈴「……でも」

鈴「その通り、だね…」 クスッ


鳴上「鈴のペースで、やっていけばいい」

鳴上「あせる事は…」

鈴「それがあるの」

鈴「悠も見たでしょ? あのそうそうたるライバル達を」

鳴上「……確かに」

鈴「ふふ…とりあえず、一夏に会ってくる。 まずはそれから、だよね…」

鳴上「それがいい」


鈴「…ところで、さっきの話に出てきた親子だけど…」

鈴「その後…どうなったの?」

鳴上「いろいろあったけど…」

鳴上「俺もふくめて『家族』になれた」 ニコ

鈴「そっか…」

鈴「良かった…」 ホッ…

鈴「じゃ、行って来るね!」 ニコ

鳴上「ああ…」



鳴上(鈴の声や表情は明るい…)

鳴上(鈴の力になれた様だ)




          -夜・is学園寮・ラウラとシャルの部屋-

ラウラ「…シャルロット」

シャル「ん?」

ラウラ「ずいぶん機嫌が良い様だが、何かあったのか?」

シャル「う~ん…どうだろう? 良い事って言えるのかな…?」

ラウラ「?」


シャル「…ボクは、嫌な自分がいる事に…」

シャル「ううん…そういう自分もボクだって、認めようって 思える様になったの」

ラウラ「……!!」

ラウラ「それは…」

ラウラ「自分を見つけた、という事か?」


シャル「うん…ある意味では、そうかも」

ラウラ「ど、どうやって見つけたのだ!?」

シャル「…ラウラ?」

ラウラ「あ…、す、すまない…」

シャル「…………」

シャル「ボクだけで見つけたわけじゃないよ…」

シャル「鳴上くんと…話をして、気づけたの」

ラウラ「鳴上に…」

シャル「うん」




         -同・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「…悠」

鳴上「ん?」

一夏「鈴の事、ありがとうな」

一夏「おかげで、仲直り出来た」

鳴上「そうか…。 良かった」


一夏「…なんかお前って、ホント凄いな」

一夏「その落ち着き様は、とても同級生とは思えないよ」

鳴上「…そうかな」

一夏「ああ、まるで…」

         コン コン

ラウラ「…鳴上、いるか? 話がしたい…」

一夏「ラウラ? どうしたんだ、もうすぐ消灯時間だぞ?」

鳴上「明日じゃ ダメなのか?」

ラウラ「…そこをなんとか、頼む」

一夏「…………」

鳴上「…………」




         -同・is学園・どこかの個室-

鳴上「…それで、何の話を?」

ラウラ「…うむ、その」

ラウラ「シャルロットが…自分を見つけた、と言っていて…」

ラウラ「それは…お前と話をしたからだと…」

鳴上「…………」


ラウラ「………私は、ずっと気になっていた」

ラウラ「自分を探す?」

ラウラ「どういう意味だ?」

ラウラ「それじゃあ、今、ここに居る私は、何なんだ?」

鳴上「…………」

ラウラ「鳴上に言われてから…何がなんだか わからなくなって…」

ラウラ「………わからなくて…、怖くて…」

鳴上「…………」


鳴上「ボーデヴィッヒ」

ラウラ「…! な、なんだ?」

鳴上「この前、俺はある人物が『自分』を見つけた、と言ったが…」

鳴上「あれは正確じゃない」

鳴上「正しくは…『自分の出生の秘密』を見つけた、だ」

ラウラ「……!」


鳴上「そいつの為に、本当の事は話せないが…」

鳴上「そうだな……」

ラウラ「…………」

鳴上「ボーデヴィッヒは、日本の…いや、」

鳴上「第二次 世界大戦での日本の事を知っているか?」

ラウラ「……我がドイツ共々敗戦国だ」

鳴上「確かにそうだが…、一つ違う事がある」

鳴上「原子爆弾を使用された…」

ラウラ「…………」


鳴上「…原爆はただの一発で軍人も民間人も、男も女も、大人も子供も」

鳴上「大勢殺した」

ラウラ「…………」

鳴上「もし……もし、だ」

ラウラ「…………」


鳴上「その原爆の発射スイッチを 自分の親が押してたと仮定して」

鳴上「今、目の前で仲良く話している人物が、原爆で親を亡くしていたら」

鳴上「ボーデヴィッヒは、どんな気持ちになる?」

ラウラ「…私に 親はいない」

鳴上「…じゃあ尊敬できる人は?」

ラウラ「一人いる」

鳴上「その人がスイッチを押した、と仮定してみてくれ」


ラウラ(教官が…殺戮兵器のスイッチを…)

ラウラ(…そして、目の前の人の血縁者が その犠牲者)

ラウラ(…………)

ラウラ(…………)


ラウラ「……複雑な気持ちになった」

鳴上「それだけ?」

ラウラ「だって…そうだろう? 確かに忌むべき行為だが…自分の責任ではない」

鳴上「…相手は、そう思ってくれるだろうか?」

ラウラ「!!」

ラウラ「そ、それは…!」

ラウラ「…………」


鳴上「…俺の話のそいつも、そういう悩みを抱え込んで」

鳴上「一時……姿を消したのだと思う」

ラウラ「…………」

鳴上「そいつが帰って来た時」

鳴上「自分の出生の秘密を明かしてくれた…」

鳴上「その上で…こう聞いてきた」

ラウラ「…………」



鳴上「『みんなのそばに、いてもいい?』って…」



ラウラ「…………」

鳴上「…………」

ラウラ「…………?」


鳴上「…………」

ラウラ「お、おい、鳴上! ど、どうして黙る!?」

ラウラ「………ま、まさか」

鳴上「俺も含めて、みんな『あたりまえだ!』って言った」 ニコ

ラウラ「!!………そうか、良かった」 ホッ…

ラウラ「…って鳴上! 不必要に間を空けるな!」 プンプン!

鳴上「ハハハ……」


ラウラ「…そいつは今、どうしてる?」

鳴上「元気に働いて、お金を貯めていると言っていた」

鳴上「何に使うつもりか聞いてみたけど、話してくれなかったな」

ラウラ「そうか…。 いつか会ってみたいな」

鳴上「…きっと喜ぶ。 ボーデヴィッヒみたいな可愛い女の子が」

鳴上「あいつは大好きだからな…」 クスッ

ラウラ「か、可愛い!? 私が!?」 ///

鳴上「もちろん」


ラウラ「…結局、自分を探すには どうしたらいい?」

鳴上「…………」

鳴上「その前に、」

鳴上「ボーデヴィッヒは、一夏の事をどんな風に『好き』なんだ?」

ラウラ「……え?」



鳴上「『好き』にもいろいろある…」

鳴上「友達として『好き』、異性として『好き』、家族として『好き』…」

ラウラ「……そ、それは」

鳴上「答えなくていい。 考えてみるんだ」


鳴上「誰かに意見を聞くのもいいが、あくまで参考程度にしておけ」

鳴上「自分で考えて、考えて、考え抜いて、はじめて」

鳴上「自分に…いや、」

鳴上「自分の一部に会えると…俺は思う」

ラウラ「…………」


鳴上「…………」

鳴上「…あまり足しにならないか?」

ラウラ「…………」

ラウラ「……いや」

ラウラ「そんな事はない」 ニコ

鳴上「……そうか」


ラウラ「ありがとう、鳴上」

ラウラ「私は、答えを出してみる」

ラウラ「…手間をかけた」

鳴上「…またな」

ラウラ「ああ。 またな」 ニコ



鳴上(突然だったボーデヴィッヒの訪問…)

鳴上(思いがけず、彼女を少し知る事ができた)

鳴上(どうやら、彼女の力になれた様だ…)




         -同・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「…お帰り」

鳴上「…ただいま」

一夏「…何を話したんだ?」

鳴上「…悩みを相談された」

一夏「ど、どんな?」

鳴上「それは話せないが…俺なりのやり方を伝えた」

一夏「…そうか」

鳴上「…そろそろ寝よう」

今日は、これで終了します。ありがとうございました。

乙。ところで

セシリア=雪子
鈴=堂島親子
シャル=陽介
ラウラ=クマ
箒=松永さん


の話でおk?

番長のisのイメージが浮かばない

>>154
セシリア以外、正解です。陽介は、よく分かりましたね。




          -翌日の昼休み・食堂-

箒「…………」

箒「………む」

箒(鳴上…) チッ…

箒(…………)

箒(仕方ない、また夕食に一夏を誘うとしよう…) ハア…

箒(…鳴上め) クルッ


セシリア「…………」

セシリア「………あ」

セシリア(鳴上さん…)

セシリア(…………)

セシリア(あまり顔を合わせたくありませんわ…)

セシリア「………はあ」 クルッ




         -同・購買部-

箒「…おにぎり弁当をくれ」

セシリア「サンドイッチセットを…」



箒・セシ「「!」」



箒「セシリア?」

セシリア「箒さん?」




         -同・is学園・中庭付近のベンチ-

箒「…………」 モクモク…

セシリア「…………」 モクモク…

箒「…………」 モクモク…

セシリア「…………」 モクモク…


箒「…何かしゃべったらどうだ? セシリア」

セシリア「…箒さんこそ」

箒「…いい天気、だな」

セシリア「…そうですわね」

箒「…………」 モクモク…

セシリア「…………」 モクモク…



箒・セシ(か、会話が続かない…)


セシリア「はあ…」

セシリア「最近、一夏さんと お話しておりませんわ…」

箒「…! セシリアもか?」

セシリア「…!? 箒さんも?」

箒・セシ「…………」


箒「…実は、鳴上と…その、顔を合わせたくなくて…」

セシリア「…! …わたくしもですわ」

箒「セシリアも? …という事は」

箒「鳴上に何か言われたのか?」

セシリア「!!」



セシリア「そ、それは、その…」

セシリア「…………」

セシリア「…箒さんも?」

箒「…ぐっ!! …その」

箒・セシ「「…………」」


箒「…ここは、だな、」

箒「奴の事を知る上でも、お互いが持っている情報を 交換すべきではないだろうか?」

セシリア「そ、そうですわね」

箒「…で、では、セシリアは、鳴上に何を言われたのだ?」

セシリア「なっ!? ず、ずるいですわ! 箒さん!」

箒「わ、私も必ず言う!」

セシリア「くっ…約束ですわよ…」




----------



箒「………………」

セシリア「………………」

箒(鳴上 悠…何者なんだ…)

セシリア(どうして数日前に、転校してきたばかりのお人が…)

箒(こうも的確に心を見透かせるのだ???)

セシリア(わけがわかりませんわ…)


箒「セシリア…」

セシリア「なんですの…?」

箒「お前の目から見て…、鳴上の私の評価は正しいと思うか?」

セシリア「…同じ事を わたくしもお聞きしたいですわ…」

箒「…………」

セシリア「…………」


箒「…やっぱりいい」

セシリア「…わたくしも」

セシリア「…………」

セシリア「わたくし、放課後に鳴上さんと会ってきますわ…」

箒「!…そ、そうか」

箒「わ、私は…どうするかな」

箒「…………」

箒「良かったら…その、経緯を話してくれ」

セシリア「…はい」




         -放課後・屋上-

鳴上「…オルコット」

セシリア「あ…鳴上さん」

鳴上「話って?」

セシリア「……えと」

セシリア「前に、談話室でお話しした『お知り合い』の方は」

セシリア「どうなったのか、お聞きしたくて…」

鳴上「…………」

鳴上「俺はどこまで話した?」

セシリア「家名を継ぐ継がないで、ショックを受けていた、と…」


鳴上「……あの後、あいつは」

鳴上「何もかもに やる気を無くした」

セシリア「…………」

鳴上「俺も、友達も」

鳴上「見ていて辛かったが…」

鳴上「見守る事しか出来ずにいた」

セシリア「…………」


鳴上「ある日、俺達は、少し強引にバスケの試合に誘った」

鳴上「…汗を流す内にあいつは段々、目に輝きを戻して行った…が」

セシリア「……そ、それで?」

鳴上「…………」

鳴上「あいつは……自分の価値を無くす恐怖感に抗えず」

鳴上「…力尽きた」

セシリア「そんな…!」


鳴上「でも」

セシリア「…!」

鳴上「ひとしきり泣いた後…」

鳴上「あいつは自分で立ち上がったよ」

鳴上「はにかみながら、『俺達のおかげだ』と、言ってくれたがな」 クスッ

セシリア「………ホッ」



セシリア「その方は今、どうされていますか?」

鳴上「正式に家名を継ぐ事になった、と連絡があって」

鳴上「この前、十も年の離れた人と お見合いをさせられた、って嘆いていた」 クスッ

セシリア「まあ…」 クスッ


セシリア「…………」

セシリア「鳴上さん」

セシリア「わたくし、なんだか分かった気がします」

鳴上「…………」

セシリア「わたくしは…一夏さんを恐れてもいるのですね…」



鳴上「…………」

セシリア「わたくしの『好き』は、単なる押し付けで…」

セシリア「それを一夏さんに拒絶されるかもしれないと」

セシリア「心のどこかで恐れている…と、鳴上さんは言いたかったのですね…」

鳴上「…………」


鳴上「………もう大丈夫だ」

セシリア「えっ?」

鳴上「それに気づけたのなら…」

鳴上「オルコットは、一夏に気持ちを告げられるだろう」 ニコ

セシリア「鳴上さん…」


セシリア「…わたくし、がんばってみますね」

セシリア「ライバルは、多いですけど…負けませんわ!」 ニコ

鳴上「そうか…」

鳴上「…実るといいな」 クスッ

セシリア「はい!」 ニコ ///



鳴上(オルコットの表情は、実に晴れやかで曇りが無い…)

鳴上(どうやら、オルコットの力になれた様だ…)




         -夜・is学園寮・談話室-

セシリア「…あ、箒さん!」

箒「…セシリア?」

箒(な、なんだ? 昼間とは、まるで別人だ…)

セシリア「お待ちしておりました」 ニコ

箒「…………」




----------



箒「…………」

セシリア「……ですので、箒さんも 鳴上さんに会うべきですわ」

箒「…………」

セシリア「…箒さん?」

箒「!? あ、いや…」

箒「…そうだな」


箒「なあ、セシリア…」

セシリア「はい?」

箒「…い、いや、何でもない」

セシリア「変な箒さん」 クスッ



箒(…今のセシリア)

箒(女の私から見ても…)

箒(魅力的だ…)

箒(………鳴上の話を聞くだけで、こうも変われるものなのか?)

箒(…………)




         -数日後・1組2組合同実習-

千冬「…それでは、模擬戦を行ってもらう」

千冬「篠ノ之、鳴上、前に」

箒「! はい!」

鳴上「はい」



千冬(鳴上は、このところ格段に腕を上げたと 2組の担任に聞いた…)

千冬(どの程度か見てみよう)


箒(…鳴上か)

箒(結局……あれから、一夏とあまり話せていない)

鳴上「…………」 スチャ…(メガネ装備)

鳴上「イザナギッ!」 スウウウウウンッ!!

箒「紅椿!」 スウウウウンッ!!

箒(…お前の)

箒(せいだ!!)


箒「……はああああああっ!!」 ゴウッ!!

鳴上「!?」

         ドガアッ!!

千冬「!?」

一夏「おい、箒!?」

セシリア「何の前置きも無く、いきなり攻撃するなんて…!」

シャル「鳴上くん!!」

ラウラ「…いや、大丈夫だ! あれを見ろ!」

鈴「すごい…! 箒の多角的な複数の攻撃を なんとか受けきった!!」

         ガギッ! グバッ! ガゴッ!


鳴上「くっ…! ペルソナッ!」 ポウ ポウ

箒「あまいっ!」 ズバッ! ズバッ!

鳴上(!! 炸裂する前に すべて切り伏せられた!!)

箒「はああああああっ!!」

         ドガガガガガガッ!!

鳴上「ぐあああああっ!!」




箒(お前が…! お前なんて、居なければっ!)



箒「くらええええっ!!」

鳴上「ペルソナ!!」 ポポウッ!

箒「あまいと言っ」

         ブゥシュウウウウウ!!

箒「!?」


鈴「上手い! あえて、ほぼ射出と同時に炸裂させた!」

セシリア「でも、あれは…スモーク・グレネード??」

シャル「…いや!」

ラウラ「…箒の右腕が凍っている!?」

一夏「なんだ!? あの武器は!?」

千冬(圧縮した液体窒素爆弾…の様なものか?)


箒「くっ…! こんなものでっ!」 バリンッ!

鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ

箒「!!」

         バリバリバリバリバリッ!!

箒「あああああああああっ!!」

鳴上「はあああああああっ!」

箒「……っ! 負けるかああああああああっ!!」

         ドガアッ!!




          -昼休み・医療室-

箒「…………?」

箒「…ここは」

一夏「…気が付いたか? 箒」

箒「…一夏?」


箒「…私は、負けたのか?」

一夏「ああ……、それもかなり一方的にな……」

一夏「どうしたんだよ、箒? ……らしくないぜ?」

箒「…………」

一夏「千冬姉も怒ってた…と言うより、あきれてた」

一夏「それと…悠から伝言」

箒「…………?」

一夏「すまない…って」


箒「…そうか」

一夏「…………」

一夏「…腹、減ってないか?」

箒「………いや」

一夏「そうか…じゃ、腹減ったら一緒に食おうぜ」 ニコ

一夏「サンドイッチを買っておいたから」

箒「…一夏?」

一夏「いいだろ? しばらく箒とロクに話してないし、さ」

箒「……一夏」

箒「…………」


箒「一夏、ありがとう」

箒「でも…」

箒「今は……、一人になりたい」

一夏「…………」

一夏「………そうか」

一夏「わかった、箒」

箒「…すまない、一夏」

一夏「いいさ…」 クスッ

一夏「昼、ちゃんと食えよ?」

箒「ああ…」

          ガラガラッ…… ガラガラッ… パタン


箒「…………」

箒「…完全に」

箒「私の負け…だな」

箒「…………」

箒「…ふ、…うぐ」 ポロッ

箒「………ううっ」 ポロ ポロ

箒「うっ…うっ…」 ポロ ポロ




         -放課後・図書室-

鳴上「…………」 カリカリ…

鳴上「…………」 カリカリ…

鳴上「…ふう」

鳴上「…あ、もうこんな時間か」

鳴上(………集中しすぎた)


箒「…鳴上」

鳴上「…! 篠ノ之…」

鳴上「…体は大丈夫か?」

箒「問題ない」

鳴上「そうか…。 すまなかったな…」

箒「…いや、それは仕方ない」

箒「みんなの…千冬さんの静止すら振り切って…」

箒「私は…気絶するまで、お前への攻撃を止めなかった」

箒「今、千冬さんに こってり絞られてきた所だ」 クスッ…

鳴上「…………」


箒「…よければ、話がしたい」

鳴上「かまわない」

箒「剣道部の…入部は、考えてくれているだろうか?」

鳴上「…今は、ちょっと」

箒「そ、そうか…」

鳴上「…………」

箒「………そ、その、あの時の話で出てきた 女の子の話の続きを」

箒「聞きたいのだが…」


鳴上「………俺は、どこまで話しただろうか?」

箒「音楽が好きで、必死に稽古している、と…」



鳴上「…俺も彼女の練習に付き添いながら、部活動の日々を送っていた」

鳴上「そんな時」

鳴上「演奏会に向けて反復訓練をしていたさなか、彼女にチャンスが巡ってきた」

箒「…………」


鳴上「彼女と同じ、トロンボーンの奏者が怪我をしたんだ…」

箒「………!」

鳴上「そのお陰で……と言うと語弊があるが、抜擢された」

鳴上「でも…彼女は喜ぶよりも ちゃんと演奏できるかどうかの不安の方が」

鳴上「大きかった…」

箒「…………」


鳴上「以前にも増して、練習を繰り返す彼女…」

鳴上「……でも、正直、公平な目で見て、彼女の演奏は」

鳴上「まだまだ、つたなかった」

箒「…………」

鳴上「いよいよ演奏会が数日後に迫ったある日…」

鳴上「先のくだりで脱落したトロンボーン奏者が、怪我を治して戻ってきたんだ」

箒「!!」


鳴上「……吹奏楽部の誰かが言った」

鳴上「彼女ではなく、そいつに戻そう、と」

箒「…なっ」

鳴上「俺は……彼女にやらせてやってくれ、と、皆に頼んだ」

箒「……!」

鳴上「…………」

鳴上「……しかし、元に戻した方がいい、と」

鳴上「他ならぬ、彼女が言い出した…」

箒「…えっ」


鳴上「彼女は 俺の気持ちは嬉しいが、自分の演奏力は良く分かっている」

鳴上「今の自分の演奏では、きっとみんなを 幸せな気持ちに出来ない」

鳴上「だから、これでよかったのだと……」

箒「そ…そんな…!」



鳴上「…でも、そう言った後、泣き出した」

鳴上「泣きながら、悔しい 悔しいと言う」

鳴上「…才能の無さ、…練習不足。 とにかく自分の不甲斐なさが悔しい、と…」

箒「…………」


箒「…………」

箒「………鳴上」

鳴上「…うん」

箒「経緯は違うが…、今の私も 彼女と同じ気持ちだ」

鳴上「…………」


箒「私は…お前の言う通り、ただ待ってただけだ…」

箒「私が一夏の事を好きだから、一夏も私の事が好きだと」

箒「根拠なく…そう思っていた…」

鳴上「…………」



箒「だから、一夏の周りに たかるハエを払えばいい」

箒「そんな事を 心のどこかで、考えていた…」

箒「……自意識過剰にも程がある」

鳴上「…………」


箒「…ありがとう、鳴上」

箒「お前のおかげで、私は大事な事に気づけた…と思う」

箒「…………」

箒「もっと早く…お前と話をすれば良かった」

鳴上「そうか…」


箒「…時に」

箒「今、その女の子は どうしているだろうか?」

鳴上「変わらずトロンボーン奏者として頑張ってる」

鳴上「今度の演奏会で、正式にメンバーとして加わっているそうだ」 ニコ

箒「…そうか!」

箒「良かった…」 ニコ


箒「…私も負けてられないな」

鳴上「あまり力まない方が……」

箒「ふ…わかっている」 ニコ

箒「そういえば、鳴上は どんな楽器を使っていたのだ?」

鳴上「トランペットを」

箒「ほう? …いつか聞いてみたいな」

鳴上「…そういえば、ここの所吹いていないな」

         ハハハ…



鳴上(篠ノ之の笑顔は、さわやかでまぶしい…)

鳴上(どうやら篠ノ之の力になれた様だ…)




          -数日後・昼休み・食堂-

一夏「…………」

鈴「どうしたの? 一夏?」

一夏「…いや、なんかさ、このメンバー全員集まるのって、久しぶりの様な気がして」

箒「…私が、しばらく居なかったからな」

セシリア「ま…いろいろありまして…。 ね? 鳴上さん」 ニコ

鳴上(どうしてそこで俺に振る…)

鳴上「そ、そうだな…」


鳴上「そういえば、もうすぐタッグマッチ・トーナメントが あると聞いたが…」

鳴上「みんなはもう、組む相手を決めたのか?」

ラウラ「前回……私には苦い思い出だ」 シュン…

シャル「ああ…例のトーナメント戦ね。 ボクはまだだよ?」

一夏「そっか…じゃあまた俺と組むか? シャル?」


シャル「……ううん、ゴメン 一夏。 今回は遠慮しておくかな…」

一夏「えっ?」

箒「…………」

セシリア「…………」

鈴「…………」

ラウラ「…………」

鳴上「…………」


シャル「良かったら、ボクは鳴上くんと組みたいんだけど…どう?」

鳴上「…えっ?」

一夏「…………」

鈴「ちょっと待って、私も悠と組みたいの」

一夏「……鈴!?」

箒「……そうか。 ではラウラ、どうだろう? 私とまた組まないか?」

ラウラ「!?…いいのか? 私は前回同様、自動抽選に任せようと思っていたのだが」

一夏(箒にラウラまで……)


セシリア「では一夏さん、わたくしと組んで いただけますか?」

一夏「!!」

一夏「セ、セシリア! おう! よろしくな!」 ウルウル…

シャル「鳴上くん、どうする?」

鈴「別に恨んだりしないから、好きに選んでいいわよ」

鳴上「…………」


鳴上「…鈴、頼めるか?」

鈴「うん! よろしくね!」

シャル「あらら…、振られちゃったか」

鳴上「…すまない」

シャル「いいよ。 鈴が言ってた通り 恨みっこなし、だから」 ニコ

シャル「戦い方は他にもあるよ」

>>157
今更ですが、番長のisは白式のプロトタイプで、全体的に黒いカラーリング
だと思ってください。グレネードは、両肩に浮いてるアレから出してます。
ちょっと休憩します。

乙。

セシリア=一条さん

であってる?

>>211
スマソ。もうちょっと補足。p4知っている人は、ペルソナ「イザナギ」を
メカっぽくして番長が着ている、みたいな解釈でもおkです。

>>212
正解です。それでは休憩してきます。




          -放課後・第三アリーナ-

一夏「セシリア、まだトーナメントまで少しあるのに」

一夏「もう訓練、始めるのか?」

セシリア「…………」

一夏「…セシリア?」


セシリア「一夏さん」

一夏「ん?」

セシリア「まさかと思いますが、どうして他の皆さんが 自分と組まなかったか」

セシリア「お分かりになっていませんの?」

一夏「…え?」

セシリア「……そうですか」


セシリア「それでは、ご説明いたしましょう」

一夏「お、おう」

セシリア「まず、みなさん 自分のisとの相性を考えたのですわ」

セシリア「わたくしは、中、長距離型…。 相性としては」

セシリア「中、近距離…もしくは近距離型が望ましいと言えます」

一夏「なるほど…」



セシリア「ラウラさんは、本人もおっしゃっておりましたが、自動抽選でもいいと…」

セシリア「つまりこれは、どなたがパートナーになっても臨機応変に対処する、と言う事」

セシリア「シュバルツェア・レーゲンは長、中、近距離、どれにも対応可能な万能機」

セシリア「彼女お一人でも相当に厄介な相手ですわ」

一夏「むむ…確かに」


セシリア「箒さんは、一夏さんとはタイプが違いますが、近距離型」

セシリア「わたくしかラウラさんが、もっとも良いパートナーと言えます」

一夏「フムフム…」

セシリア「でも彼女はラウラさんを選んだ…なぜか?」

セシリア「推測ですが、箒さんは ご自分が牽制とかく乱に回り、」

セシリア「止めをラウラさんに やって頂こうと思っているのではないかと…」

一夏「う……やっかいなコンビかも」


セシリア「最後に シャルロットさんと鈴さん、双方ともに 中、近距離型」

セシリア「相性としては、あまり相手を選びませんけど……」

セシリア「組む相手として…より強い方を選んだのですわ」

一夏「なるほど…」

一夏「…………」

一夏「……えっ?」


一夏「ちょっと待てよ…。 じゃあ何か?」

一夏「シャルも鈴も、俺より悠の方が強いから 組みたがったって言うのか!?」

セシリア「……その通りです」

一夏「ぐっ…!」

セシリア「では、お聞きしますが、この前の箒さんと鳴上さんとの模擬戦闘」

セシリア「一夏さんは、あの時の箒さんに 勝てる自信がおありですか?」

一夏「……!!」


セシリア「もう お分かりですね? みんな本気で勝ちに来ているのですわ」

一夏「…………」

一夏「一つ、聞かせてくれ…」

一夏「セシリアが俺を選んだのは、同情か?」

セシリア「まさか」 ニコ

セシリア「わたくしは中、長距離型ですけど…どちらかと言えば」

セシリア「ロングレンジに大きくウェイトしております」

セシリア「わたくしが牽制と援護に徹し、止めを近接型が刺す……」

セシリア「この戦法のベスト・パートナーは、一夏さんと判断いたしましたの」


一夏「悠でも やれるんじゃないか?」

セシリア「確かにそうですが、『止め』を刺すのは 零落白夜を持つ」

セシリア「一夏さんに分があります」

セシリア「平たく言えば、頼りにしている、という事ですわ」 ニコ

一夏「…そうか」



一夏「……よく分かった、セシリア。 訓練を始めよう」

セシリア「はい、一夏さん」




         -夜・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「悠、話がある」

鳴上「なんだ?」

一夏「明日、放課後の第三アリーナに予約を入れておいた」

一夏「良かったら…俺と模擬戦をして欲しい。 頼めるか?」

鳴上「…………」

鳴上「わかった、受けて立とう」

一夏「…よし、約束だぜ?」

鳴上「ああ」




         -翌日の放課後・第三アリーナ-

一夏「白式!!」 スウウウウウウンッ!!

鳴上「…………」 スチャ…(メガネ装備)

鳴上「イザナギ!」 スウウウウウウンッ!!


一夏「…さて、始める前に 話しておきたい事がある」

鳴上「……?」

一夏「正直に言う。 俺は、お前に嫉妬している……」

鳴上「…………」

一夏「みっともないけど……、悠が転校してきてからこっち、」

一夏「前ほどチヤホヤされなくなった」

鳴上「…………」


一夏「そして…今回も以前の様に、みんなで俺を取り合うと思っていたら、」

一夏「まさか、幼馴染の箒や鈴にすら 相手にされないなんて……」

一夏「本当にショックだった」

鳴上「…………」



一夏「…情け無いな、俺」

鳴上「そんな事は無い」

鳴上「そうやって自分の醜い部分を さらけ出せるのは」

鳴上「お前の『強さ』だ」


一夏「…そうかな。 今、こうやって私闘を 申し込んでる様な奴だぜ? 俺は」

鳴上「そして、そうやって その『強さ』から目を背ける事が、お前の『弱さ』だ…」

一夏「…………」

一夏「…お前って、本当に凄い奴だよ」



鳴上「来い! 一夏!」

一夏「……ああ! 行くぜ! 悠!」


        ゴウッ!!




         -同・第三アリーナ男子更衣室前-

セシリア「…………」

         ガチャ…

一夏「あ…セシリア」

セシリア「一夏さん…」

一夏「…………」

一夏「セシリアの言う通りだったよ…」

一夏「悠には…イグニッション・ブーストも、零落白夜も」

一夏「俺の持てるすべてを出し尽くしても……」

一夏「勝てなかった…」

セシリア「…………」


一夏「………セシリア、俺」

一夏「悔しいよ…!」 ポロッ

一夏「こんなに負けて、悔しいと思ったのは……」 ポロポロッ

一夏「初めてだ…!」 ボロボロ…

一夏「うぐっ…ひぐっ…」 ボロボロ…

セシリア「…………」




----------



一夏「……はあ、なんか情け無い所、見せちゃったな」 ///

セシリア「いえ…」

一夏「………でも、」

一夏「スッキリした」 クスッ

セシリア「…………」 クスッ

一夏「次は…必ず勝つ!」

セシリア「はい、その意気ですわ!」


一夏「そうと決まれば、特訓しないとな……」

一夏「セシリアとの連携に磨きをかけないと」

一夏「何でも言ってくれ! 俺は耐えてみせる!」 ガバッ!

セシリア「は、はい…、あ、あの一夏さん、ち、近いですわ、お顔が…」 ///

一夏「と!? …す、すまん」 ///

セシリア(も、もう…鈍感な所は相変わらずですわね…) ///




          -同・第三アリーナ-

鈴「…ずいぶん一方的な戦いだったわね」

鳴上「そう見えたか?」

鈴「違うの?」

鳴上「一夏は、イグニッション・ブーストと零落白夜の使い所を わかっていないだけだ」

鈴「…………」


鳴上「今度の戦いはタッグマッチ」

鳴上「もし」

鳴上「混戦のさなかに、死角を突いてブーストをかけた 零落白夜が来たら…」

鳴上「どんなisも ひとたまりも無い」

鈴「……!」



鳴上「ましてや、セシリアのブルーティアーズは」

鳴上「360度、どこからでも攻撃できる恐ろしい武器だ…」

鳴上「これ程、互いの長所を生かしたコンビは ないだろう」

鳴上「セシリアに戦いの主導権を握られたら……おしまいだ」

鈴「…………」 ゾクリ…


鈴「…それにしても あんたって、ホント冷静ね」

鳴上「…そうか?」

鈴「落ち着き払いすぎて…同い年に見えない」

鳴上「よく言われる」


鈴「まあいいわ、一夏とセシリアコンビの対処法は、おいおい考えるとして…」

鈴「あたし達の基本戦術は、箒達とほぼ同じになるわね?」

鳴上「ああ…俺が牽制とかく乱、鈴の龍砲で止め」

鳴上「これがベストだろう」

鈴「オッケー。 じゃ、まずその辺りから連携の訓練をしてみる?」

鳴上「ああ」




         -数日後・放課後の第二アリーナ-

ラウラ「今のはどうだ?」

箒「…悪くは無かったが」

箒「正確さに欠けるな…」

ラウラ「ふむ…となるとbパターンが一番無難だな」

箒「そうだな…」

箒「…少し、休憩しよう」

ラウラ「うむ、異論はない」


箒「ラウラ、ドリンクを作ってきた。 飲むか?」

ラウラ「えっ? …い、いただこう」

箒「口に合えばいいが」

ラウラ「……うん、美味い。 冷えたレモンティーだな」

箒「そうか。 良かった」


ラウラ「…箒、一つ聞いても いいだろうか?」

箒「ああ、いいぞ」

ラウラ「なぜ、私と組む気になったのだ?」

ラウラ「福音の時…お前のis、紅椿は、一夏の白式と対になる存在とわかったはず…」

ラウラ「だから、一夏と組みたがると思っていた」

箒「…………」

箒「……以前の私なら、そう願っただろう」

ラウラ「…………」


箒「でもそれは、『私の実力』で勝ち取ったモノではない」

箒「私の姉がそう作ったからだ」

ラウラ「……!」

箒「私は……私の力で、私の努力で、一夏と向き合いたい」

箒「だから……、一夏と組むという選択肢は、まず捨てた…」

箒「おかしいか? 私は?」

ラウラ「戦力判断としては、な」

ラウラ「しかし…気持ちは、わからなくも無い」 クスッ…

箒「…………」


箒「意外、だな。 ラウラにそんな風に言ってもらえるなんて…」

ラウラ「……私も、以前の私なら、一笑の元にふしただろうな」 クスッ…

ラウラ「自分の気持ちに向き合って、それを選んだのなら」

ラウラ「私が口を挟む事ではない」

ラウラ「それに…」

箒「…それに?」

ラウラ「頼られる、というのも悪い気はしない」 クス

箒「ふふ…そうか」 クス

          アハハ…

箒「さて…そろそろ訓練に戻るか」

ラウラ「そうだな…」




         -同・第一アリーナ-

モブ美「デュノアさん…こんな感じかな?」

シャル「うん、上出来だよ」

モブ美「…でも、どうせ専用機持ちの勝利は、決まってるんじゃない?」

モブ美「いくら努力しても、私の練習用isじゃ…」

シャル「かも、しれない…」

シャル「けど」

シャル「何にもしないで、ただ負けを認めて…それでいいのかな?」

モブ美「…………」


シャル「ボクは…いやだよ」

シャル「たとえ負ける公算が大きくても、ほんのわずかでも勝てる可能性があるのなら」

シャル「ボクは、その確率を上げる努力を おろそかにしたくない」

モブ美「…………」

シャル「ふふ…そんな顔しないで。 もっと気楽に行こう?」

シャル「別に負けてもいいんだよ…。 ただ負けるのが嫌ってだけだから」

シャル「たくさん努力して…自分が納得して負けたなら…きっとそれは」

シャル「次につながる…と思うから」 クス

モブ美「…………」


モブ美「…ごめん、デュノアさん」

シャル「うん、がんばろう、モブ美さん」

シャル「それに、もっと自信を持ってもいいと思うよ?」

シャル「ボクはキミが、専用機を持たない一年生で」

シャル「一番機動力に優れているから パートナーをお願いしたんだよ?」

モブ美「エヘヘ…逃げ回るのが上手いってだけなんだけどね…」

シャル「それは、大きな『武器』になるって事を 証明してあげるから」 クス




          -数週間後-

          -タッグマッチ・トーナメント・当日の朝-

一夏「…いよいよか」

セシリア「やれる事は、すべてやりましたわ」

一夏「もちろん狙うのは、優勝の二文字だ……」

一夏「がんばろうな、セシリア!」

セシリア「はい、一夏さん!」


鳴上「いよいよだな」

鈴「うん…」 キュッ…

鳴上「…? そのリボンは、いつもと違うな」

鈴「ふふん…ハイカラでしょ?」

鳴上「よく似合ってる」 クスッ

鈴「ま……あんたのメガネと一緒で、あたしの気合を入れるために、ね」

鳴上「そうか…お互いがんばろう」

鈴「うん!」


ラウラ「…不思議な気持ちだ」

箒「何がだ?」

ラウラ「どう言えばいいか、わからない…」

ラウラ「……緊張はしている」

ラウラ「でも…それがとても心地よい、とでも言うか…」

箒「…ふふ、それは『自信に満ちている』という表現が適当だな」

ラウラ「なるほど…」


箒「でもそれは…『過信』に変わるかもしれない、恐ろしい気持ちでもある」

箒「私は……福音の時に、そのせいで一夏に大怪我をさせてしまった 苦い経験がある…」

ラウラ「…! …肝に銘じよう」

箒「さ…行くか」

ラウラ「ああ」


モブ美「うう…き、緊張する…」

シャル「大丈夫、気楽に行こう?」

モブ美「う、うん…」

モブ美「…でも、あんなに頑張ったんだもん」

モブ美「優勝…したい」

シャル「…うん、ボクもだよ」

シャル「頼りにしてるからね? モブ美さん!」

モブ美「もちろん! がんばろっ! デュノアさん!」

申し訳ない、急用が出来てしまいました。
今日は、ここでいったん切ります。本当にすみません。

番長の最大の特徴はis自体の付け替えか
is自体の構造がチェンジするのか
番長機の武装についての補足があるといいな

>>251
そのアイデア、いいですね。isのルールに目が行ってた>>1の脳みそでは、
微塵も思いつきませんでした。
でも、番長、あまりにもチートになるので、思いついても使わなかったと思います。
そんなわけで、isチェンジはありません。あしからずです。

武装については、ペルソナ「イザナギ」が持っている様な 太刀とグレネードのみです。
グレネードは、イザナギが使ってた魔法をなんとか表現できないか?
と思って考えた武器です。
種類によっては、これはおかしい!って、いうのもありますが
どうか大目に見てください。
それから、このssで番長が強いのは「シャドウと生身で戦ってきた」
という(ゲーム設定の)経験がモノを言っています。




         -全アリーナ管制室-

山田「あ…織斑先生」

千冬「トーナメントの進行具合は?」

山田「はい、今の所、タイムスケジュールに大きな支障は ありません」

千冬「そうか…」

山田「専用機持ちのみなさんは、順当に一回戦を勝ち上がりました」

千冬「まあ、そうだろうな」


山田「特に篠ノ之、ボーデヴィッヒ組は、圧倒的な強さですね……」

山田「前回、ボーデヴィッヒさんは、完全に独り相撲を取ってましたから」

山田「よりコンビネーションバトルの良さが目立ちます」

千冬「ふむ…他はどうだ?」



山田「織斑・オルコット組は セオリー通り、と言うか、」

山田「オルコットさんが牽制と援護に回り、止めを織斑君が行っています」

千冬「互いの長所を 生かしている様だな」

山田「その様です。 しかも織斑君は、まだブーストも零落白夜も未使用です」

千冬「ほう…腕を上げた、か…」


山田「鳴上・鳳組は、戦法が篠ノ之・ボーデヴィッヒ組と同じですが、」

山田「こちらは やや火力で劣っているように思えます」

千冬「ふむ…」



山田「デュノア・モブ本組は、デュノアさんの動きばかりが目立ちますね…」

千冬「ほう?」

山田「モブ本さんは、デュノアさんの指示か…、積極的に戦闘に参加しようとしません」

千冬(面白いな…。 デュノアには秘策があると見える)

千冬(次は、いよいよ専用機とあたる…。 見ものだな)




         -第一アリーナ・観戦席-

一夏(注目の試合だな…)

セシリア(…残念ですけど、シャルロットさんのペアは、圧倒的に不利)

鳴上(だが…デュノアには、何か隠し技がある)

鈴(見せてもらうわよ…シャルロット)




          -第一アリーナ・グラウンド上-

箒「…さて、こちらの有利は不動のものだが」

ラウラ「油断するな、箒」

ラウラ「勝利をあきらめている者は、あんな顔をしない」

箒「同感だ」


モブ美「……ううっ、近くで見ると凄い迫力」

シャル「大丈夫、お互いベストを尽くそう!」

モブ美「う、うん! がんばる!」

シャル「その意気、その意気!」 ニコ




千冬「それでは…二回戦第五試合…開始!!」



        バアアアアッ!!


一夏「…!?」

セシリア「モブ美さんが…前に出た!?」

鈴「どういう事!?」

鳴上(…俺がデュノアの立場なら)

鳴上(…………)

鳴上(そうか…もしかしたら)


箒(何のつもりか、わからないが…)

箒(打鉄(うちがね)で正面から紅椿を相手にするなど…血迷ったか、シャルロット!)

          ズアッ! ヒュバッ!!

モブ美「うひゃあっ!」 回避 回避!

箒「…はあっ!」

モブ美「ひいいいいっ!!」 回避 回避!

箒「くっ…、ちょこまかと!!」




         -回想-

シャル「いい? モブ美さん、とにかく箒に攻撃を仕掛ける、と見せかけて」

シャル「回避に専念して欲しいんだ」

シャル「それも」

シャル「常に箒にラウラが隠れるように、ね」

シャル「そうすれば、ラウラからの砲撃は無くなる」

シャル「無茶なお願いだけど……きっとモブ美さんなら、できるよ」 ニコ

----------

モブ美(とは言うけど…言うほど楽じゃないよう!!)

モブ美(デュノアさん、早いトコ決めちゃって!!)


ラウラ(…ち、これではキャノンで狙えん!)

ラウラ(ならば…先にシャルロットを…!?)

        タタタタタタタッ!!

箒「くっ!! シャルロットめ!」 キン! カン! カン!

箒(完全に出鼻をくじかれた…!)

モブ美「はああああああっ!」

箒「このおっ!」 ブンッ

モブ美「うひいっ!!」 回避!


ラウラ「く…! シャルロットの狙いは、箒か!?」

ラウラ「ならば…!!」 ズアアアッ!

箒「! 待てラウラ! うかつに近づくな! シャルロットの狙いは…!」

ラウラ「!?」



        ボウボウボウッ!!



一夏「何だ!? シャルの奴、地面に榴弾を打ったぞ!?」

セシリア(あれは、煙幕代わり…おそらくaicの目標を隠すために…!)

鳴上(となれば狙うのは)

鈴(ラウラの機体!!)


ラウラ(くっ!! 停止結界は、対象物が見えないと効果が薄い!!)

       ダン! ダン! ダン!

ラウラ「ぐあっ!」(シャルロットのアサルトライフルか!!)

箒「ラウラ!」

箒(くっ!レーダーで確認できるが、なぜあの二人はこんなに動き回っている!?)

箒(かといって空に上がれば、シャルロットのライフルの餌食だ…)

箒「……!!」

箒「まさか!!」


ラウラ「くっ! まだ砂煙が晴れない!」

???「………」  ダン! ダン! ダン!

ラウラ「シャルロットめ!」

???「……呼んだ?」

ラウラ「!?」



鳴上「あ…!?」

一夏「ライフルを撃っていたのは…」

セシリア「モブ美さんの方でしたのね!!」

鈴「前と同じように システムアンロックしてたのね…。 すっかり忘れてた」


シャル(狙いは外さない!!)

シャル「シールド・ピアーズ!!」

ラウラ「うわあああっ!!」

        ドガアッ!! ドガアッ!!



箒「ラウラッ!!」

モブ美「たあああああああっ!!」

箒「…じゃまだあっ!」 ブンッ!! ブンッ!!

モブ美「ひゃあああああっ!!」 回避 回避!!


シャル「もう一発!!」

         ドガアッ!! ドガアッ!!

ラウラ「くっ! くそっ!!」



箒「くっ!!」

モブ美「おりゃあああっ!!」

箒(…少々のダメージは覚悟だ!!)

箒「ラウラ! 今行く!!」

モブ美「うひゃあ…えっ?」 回h…

箒(むっ…!?)


シャル「止め…!!」

箒「させるかあ!!」

シャル「!? くっ!!」

        ヒュバッ!!



鳴上(……勝負あったな)

一夏(……惜しかったな、シャル)

セシリア(この劣勢の条件の戦いで…、見事な作戦でした)

鈴(凄いよ…シャルロット)


箒「大丈夫か? ラウラ?」

ラウラ「なんとか…な」

ラウラ「…はっきり言って、シュバルツェア・レーゲンの性能に助けられた」

箒「…そうか」

箒「してやられた、な」

ラウラ「ああ…」


モブ美「…………」

モブ美「…どうしよう」

シャル(…正直もう どうしようもない)

シャル(あれで決められなかったら お手上げだ…)

シャル(…鳴上くんなら、もっと箒を引き付けて くれたんだろうけど…)


シャル(……ううん、そんな事思っちゃ駄目だね)

シャル(モブ美さんは、良くやってくれた…本当に感謝しないと)

モブ美「ねえ! デュノアさん!」

シャル「…もう打つ手なし、だよ」

モブ美「!」


シャル「………降参する?」

モブ美「…………」

モブ美「…いや!」

モブ美「絶対…あきらめない!」

シャル「うん、そう言ってくれると思ったよ」 ニコ

シャル「もう、モブ美さんが回避しかしないのは、バレてると思うから」

シャル「ボクに攻撃を集中すると思う」

シャル「モブ美さんは、その隙を突いて 今度は本気で攻撃してみて?」

モブ美「わかった! やってみるよ!」

シャル「…さあ、来るよ!!」




          -第一アリーナ・女子更衣室-

モブ美「うえっ…うえっ…ひっく」

シャル「…………」

モブ美「悔しいっ…悔しいよっ…」

シャル「モブ美さん…ありがとう」

モブ美「…!?」

シャル「ここまで戦えたのは…モブ美さんのお陰だよ」

シャル「ボク達は、正々堂々死力を尽くして戦って 負けた…」

シャル「もっと胸を張ろう?」 ホロリ

モブ美「…………」

モブ美「デュノア…さんっ!……うああああっ…………」 ボロボロッ…




         -同・第一アリーナ控え室-

箒「どうした? ラウラ?」

ラウラ「…単刀直入に言う。 停止結界が使えなくなった」

箒「…なっ!?」

ラウラ「シャルロットの攻撃は、見事に頭部のシールドを狙っていた」

ラウラ「知っていたわけでは無いだろうが…制御システムは大抵ここにあるからな」

ラウラ「その中のaicの制御システムが、ダメージを負った」


箒「修理は?」

ラウラ「本国から部品を取り寄せないと不可能だ…」

箒「…………そうか」

箒「なに、心配するな、ラウラ」

箒「この事実は我々しか知らないのだ。 問題ない」

ラウラ「うむ。 だが心に留め置いてくれ」

箒「わかった」




          -第三アリーナ・観客席-

シャル「…さて、注目の試合だね」

ラウラ「シャルロット…さっきは見事な作戦だった」

シャル「ふふ…ありがと」

箒「決して油断していたわけでは なかったのに…翻弄されてしまった」

シャル「ボクだけの力じゃないよ。 モブ美さんのおかげ。 ねー?」

モブ美「ねー!」 ///



ラウラ(さて…私が見る限りでは一夏とセシリアが、やや有利だが…)

ラウラ(だが、鳴上の戦闘力は 計り知れないものがある…)

箒(鍵を握っているのは、やはり鳴上…)

箒(いずれにしても、この試合の勝者が、私達の相手になるだろうな)




          -第三アリーナ・グラウンド上-

一夏「…さて、リターンマッチだな」

セシリア「一夏さん、落ち着いて行きましょう」

一夏「わかってる…けど、次の試合の事は 考えない」

一夏「ここですべてを出し切るつもりで行く!」

セシリア「…確かに、力を温存して勝てる相手では ありませんわね」

セシリア「わかりましたわ!」


鳴上「一夏……」

鈴「強敵ね…でも、負けない!」

鳴上(この前と顔つきが違う…)

鳴上(何か策があるのか、それとも…)

鈴「悠、狙いは一夏のまま?」

鳴上「ああ、それで行く…!」




千冬「それでは 三回戦、第二試合…開始!!」



         ゴウッ!!



一夏「はああああっ!!」

鳴上「でやあああっ!!」

         ガギイッ!!

シャル(二人とも開始の合図とともに…!)

ラウラ(真っ向勝負か!!)

箒(面白い!!)


セシリア「ブルーティアーズ!!」 ヒュンヒュン!

鈴「させない! 龍砲!」 ドォン!

セシリア「くっ…! 照準が…!!」

セシリア(鈴さんの空間圧砲は、弾数に制限が無くて正確に当てなくてもいい…)

セシリア(牽制としては、最高の武器ですわ!!)


一夏(さすがだぜ…!! 鳴上!!)

一夏(俺も腕を上げたつもりだったが…! 強い!)

鳴上(やる…! この前の模擬戦とは、比べ物にならないっ!)

鳴上(だが、俺も負けん!)

         ゲンッ! キンッ!! ガギンッ!!

一夏「だあああっ!!」

鳴上「くあああっ!!」

         ゴガンッ!! ギィンッ!! ズガンッ!!


シャル(どっちも相手の出方を見ている…!?)

ラウラ(先に仕掛けるのは、どっちだ?)

箒(どちらもタイミングがすべてだ…!!)



鳴上(…そろそろ、仕掛けてみるか…!)

一夏(…!? 来るか!?)




         -回想-

一夏「…戦術を読む?」

セシリア「はい」

セシリア「わたくしは鳴上さんのデータを集めて、彼のおおよその行動を予測してみました」

一夏「へえ…」



セシリア「まず、彼の爆弾ですが これまでの実習授業等で4種類確認されています」

セシリア「そして…使った爆弾は、同じ模擬戦では 一度も再使用しておりません」

一夏「!!」

セシリア「つまり、二発対で各種一発ずつしか装填出来ないのではないか? と思われます」

一夏「すげえ…! すげえ情報だ!」


セシリア「さらに…今回はタッグマッチです」

セシリア「わたくしが鳴上さんの立場なら…、一つだけ使いにくい爆弾があります」

セシリア「そして…パートナーに被害が及ばないように」

セシリア「一発目は この爆弾にする、と示し合わせる可能性が高い」

セシリア「その爆弾は」




----------



鳴上「…ペルソナ!!」 ポウ ポウ

一夏(来た!!)

       カッ!!

セシリア(やはり! フラッシュ・グレネード!!)

一夏「もらったあああああ!!」 ショート・ブースト!!

鳴上(!? 読まれた!?)

       ズガアッ!!!


鳴上「がああああっ!!!」

鈴「悠っ!!」

鳴上「だ、大丈夫だ!! オルコットから目を離すな!!」



一夏(くそっ!! 浅い!! 横からのブーストだったのに!!)

一夏(これもセシリアの言う通りかよっ!!)




         -回想-

一夏「じゃあ、その虚を突いて攻撃すれば、倒せるな!」

セシリア「…残念ですが、難しいでしょう」

一夏「えっ?」

セシリア「彼ほどの達人ならば…むしろ目の届かない 後ろやサイドは」

セシリア「もっとも警戒しているでしょうし…」

一夏「…確かに」


一夏「じゃあどうする…? って、俺が腕を上げるしかないか…」

セシリア「…手はありますわ」

一夏「!!」

セシリア「ただ…これは、一夏さんに とてつもないスペックを要求しますが…」

一夏「…言ってみてくれ」


セシリア「それは…イグニッション・ブースト」

セシリア「現段階で使えるだけでも凄い技ですが…」

セシリア「さらに、極短距離で使える様になって欲しいのです」

一夏「ごく…短距離?」

セシリア「数字で言うなら、4、5メートル前後…と言った所でしょうか?」

一夏「げっ!?」

セシリア「それも…最低2連続で使える様に」

一夏「…体、持つかな」

セシリア「慣性制御があるとはいえ…急加速、急旋回を連発するのですから…」

セシリア「体にかかるgは、相当なものでしょうね…」

一夏「…………」


セシリア「しかし、大きなメリットもあります」

セシリア「従来のブーストより 遥かに消費エネルギーが少ない」

セシリア「つまり、長期戦にとても有効、と言えますわ」

一夏「…なるほど」



一夏「セシリア、俺もエネルギーつながりで思いついた技がある・・・」

セシリア「はい?」

一夏「零落白夜を」

一夏「インパクトの瞬間だけに発動できないか? と考えている」

セシリア「!!」


一夏「理由は…セシリアのブーストと同じ」

セシリア「…で、でも可能なんですの?」

セシリア「あれは…確か、一夏さんの感情の高ぶりに呼応して 発動するのでは?」

一夏「そうとう難しいと思う…」

一夏「でも」

一夏「かならずモノにしてみせる!」

セシリア「一夏さん…」




----------



鳴上(…く、今のブースト、スピードは やや劣るものの)

鳴上(2連続で出してきた…!)

鳴上(一夏…厄介な技を……!)

鳴上「…鈴!!」

鈴「!!」

鳴上「プラン『d』で行く!!」

鈴「わかったわ!!」


鈴(プラン『d』…肉を切らせて骨を絶つ作戦)

鈴(あたしは、セシリアを狙うと見せかけ)

鈴(悠が一夏に わざと切られて油断した所に 特大の龍砲を打ち込む!!)



鈴「龍砲、連射モード!!」 ドドドドドドッ!!

セシリア「!? くっ…!!」

一夏「セシリア!!」

鳴上「はあああああっ!!」

一夏「うわあっ!!」


箒「一夏…、いつの間にあんな技を……」

シャル「驚愕するね……」

ラウラ「体にかかる負担は、相当なものだろうに…」

シャル「それにしても鈴、いきなりセシリアに攻撃をしだしたね?」

箒「目標をセシリアに変えた…か?」

ラウラ「裏がありそうだな」


鳴上「はあああっ!!」

        ゴインッ! ガキィン!! ギィンッ!

一夏「おおおおおおっ!!」

        ゴガッ!! ギィン!! カンッ!

セシリア「やられてばかりでは、ありませんわよ!」

セシリア「ブルーティアーズ!!」 ヒュンヒュン!!

鈴「くっ!!」 回避!

鈴「龍砲!」 ドドドドドドッ!!


鳴上(よし…! 上手いぞ! 鈴!)

鳴上(セシリアの気がそれた!!)

鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ

鈴(……!! 龍砲を一夏に!!)


一夏(…来た!! 2発目!!)

一夏(今度は逆サイドで…)

一夏「ショート・ブースト!!」 ギュン!

一夏(あれを決めるっ!!!)


鳴上(今度は逆サイドか!!)

鳴上(…なっ!?)

        バリバリバリバリッ!!

        スパアンッ!!

鈴「!?」

鈴(ちょっと悠! 何で避けるのよ!?)

セシリア「ブルーティアーズ!!」 ヒュンヒュン!!

鈴「くっ…!!」



一夏(くそっ!! 今度は、カスった程度かっ!!)

一夏(だが、セシリアの予測通り!!)


鳴上(い、今のは、零落白夜!?)

鳴上(ほんの…ほんの一瞬、発動させた…だと!?)

鳴上(なんて奴だ…! 一夏!!)

鳴上(これでは、プラン『c』の零落白夜を発動した後)

鳴上(エネルギー切れを待つ作戦は、意味を成さない…!!)

鳴上「鈴!! プラン『b』だ!!」

鈴「!!」



鈴(どういう事!? プラン『b』は、『d』の前に戻るだけ…)

鈴(つまり、当初の作戦に戻るだけじゃない…!)

鈴「…わかった!!」


ラウラ「…見たか? 今の」

シャル「えっ? 」

箒「何かが…キラッと光った様に見えたが?」

ラウラ「あれは…零落白夜だ」

シャ・箒「「!?」」


ラウラ「おそらく…インパクトの瞬間だけ、発動させたに違いない」

シャル「出来るの!? そんな事!?」

箒「………零落白夜の発動条件は、感情の高ぶり」

箒「一夏は、どうにかして感情を コントロール出来る様にしたんだ…」

シャル「…………凄い」



ラウラ「…これで 鳴上と鈴は、さらに不利になった」

箒「ああ…最初に真っ向勝負をしたのも おそらく」

箒「一夏の感情を高ぶらせるため…」

シャル「白式のエネルギー切れは、絶対 狙っている策の一つのはず…」

シャル「これは…勝負あり、かも…」


鳴上「くっ!!」

一夏「ショート・ブースト!」 ギュン!

        ギィン! ガインッ! ガァンッ!!

鳴上(このままじゃ、ジリ貧だ…!)

鳴上(どうする…? 残りの爆弾は、コールドとノ-マル…)

鳴上(だが、まともな方法では、食らってくれないだろう…)

鳴上(目標をセシリアに…、いや、一夏を倒さないままでは 危険が大きすぎる!)



一夏「はああああっ!!」

鳴上「おおおおおっ!!」

        ゴキンッ! ガインッ! ダガンッ!


鈴(…悠、なんだか余裕がない…!?)

鈴(このまま・・・セシリアの牽制を続けてて、いいの!?)

鈴(…………)

鈴(…いいえ! あたしが…あたしが悠を…)

鈴(パートナーを信頼しなくてどうすんの!?)

鈴(きっと…きっと悠は、何とかしてくれる!)

鈴(あたしは、それを信じる!!)



鳴上(…よし! 一か八か!!) キッ!

一夏(…!! 来る!? 三発目!!)




          -回想-

一夏「それで? 仮にブーストが使える様になったとして…」

一夏「どんな策が?」

セシリア「鳴上さんの虚を突くためには、仕込みをする必要があります」

セシリア「勝負を仕掛けるのは」

セシリア「鳴上さんが三発目の爆弾を使った時…」

一夏「三発目の…?」


セシリア「爆弾を使用した直後に 『死角』から攻撃してくる」

セシリア「こう思わせておいて」

セシリア「真正面からブーストを かけて攻撃するのですわ」

一夏「……!!」



一夏「しかし…そう上手くいくだろうか?」

セシリア「残念ながら…『賭け』になるでしょう」

一夏「それに…なぜ『三発目』の時なんだ? 最後の一発の時でもいいんじゃないか?」

セシリア「ふふ…それは、一夏さんの体に負担が かかりすぎる前に勝負を決めたいのと、」

セシリア「『まだ後一発ある』という余裕がある内に、虚を突いて混乱させたいから、ですわ」

一夏「なるほど」




----------



鳴上「ペルソナ!!」 ポウ ポウ

一夏(来た!! だが…ここは!!)

一夏(急ブレーキ!!) キキィー!

        ブシュウウウウウッ!! ビキビキビキビキッ!!

一夏(やはり! 箒の時のように、射出と同時に炸裂させた!!)

鳴上(くっ…! また、読まれた!!)

一夏「はあああああっ!」 ショート・ブースト!!

鳴上「くっ!?………ペ、ペルソ…」

        ズバアアアアッ!!


鳴上「ああああああああっ!!」 スウウウウンッ…(is機能停止)

一夏「やったあああああっ!!」

        ボウンッ!!

一夏「ぐああああああああっ!?」

セシリア「一夏さん!!」

鈴「……ごめんね! 一夏!! 龍砲!!」

        ドグォオオオオオンッ!!

一夏「わあああああああっ!!」 スウウウウンッ…(is機能停止)


シャル「一夏…! 鳴上くん…!」

箒「一夏の奴…鳴上を切った事で油断したな」

ラウラ「鳴上にグレネードを 仕込まれた事に気づかないとは……」

シャル「でも鳴上くん、あの一瞬で とっさにそんな事するなんて……」



一夏「………くっそおっ」

鳴上「一夏、立てるか?」

一夏「…悠」

鳴上「ここは危ない、退避しよう」

一夏「そうだな…」


鳴上「…どう見る?」

一夏「ひいき目かもしれないが…セシリアが勝つかな」

鳴上「鈴には悪いが、俺もそう思う。…俺は、チームメイト失格だな」



シャル「ブルーティアーズの 四方八方からの攻撃をさけて近づくのは」

シャル「イグニッション・ブーストも使えない鈴にとって、至難の業……」

ラウラ「かと言って、ロングレンジで龍砲を 動く目標に当てるのは難しい」

箒「パートナーを失っては…セシリアの精密射撃がものを言う……」

箒「…勝負あったな」


鳴上「一夏…、今回は 完全に俺の負けだ」

一夏「俺もそう思ったが…最後のグレネードに気が付かなかった」

一夏「完全には勝ってない…」

鳴上「あんなもの、ただの苦し紛れだ」

一夏「…それに、今回 お前の行動の予測をしたのは」

一夏「セシリアだしな…」

鳴上「!…そうなのか?」

一夏「ああ…。 気持ち悪いくらい、ドンピシャだった」

鳴上(………もう、敵に回したくないな)




         -同・第三アリ-ナ・控え室-

鳴上「…すまない、鈴」

鈴「悠……」

鈴「ううん…そんな事無い」

鈴「悠が頑張ってくれなきゃ、一夏も倒せなかった」

鳴上「鈴……」


鈴「それにしても、悠の話を聞いて驚いたわ」

鈴「ショート・ブーストに 零落白夜の瞬間発動だなんて…」

鈴「一夏って、どんだけ規格外の急成長してんのよ…」 ハア…

鳴上「…まったくだ」



鈴(はあ…。 あたしは…)

鈴(まだまだ一夏の事を 知らないのね…)




         -第一アリーナ-

鳴上「決勝戦…か」

鈴「ここまで来たら優勝しなさいよ! 一夏!」

シャル「う~ん…でもどっちが勝つかな? 鳴上くん?」

鳴上「篠ノ之達だと思う」

鈴「…即答する? ……そういう事」

シャル「…理由を聞いてもいい?」


鳴上「一夏達は、俺と鈴との戦いで 手の内を明かしてしまった」

鳴上「そして…要の一夏が、もうフラフラだと思うからだ」

鈴「…!? どういう事?」

鳴上「見ていれば わかると思うが…、ブーストの使いすぎで」

鳴上「体中が悲鳴を上げていると思う…」

シャル「…! そ、そんな状態なの!?」


鳴上「少し計算してみたんだ…」

鳴上「イグニッション・ブーストは慣性制御された上で約2,8g…」

鳴上「一夏のショート・ブーストは イグニッションに比べると、やや劣るとはいえ」

鳴上「ブーストをかけた上、更に別方向からgが加わる」

鳴上「わかりやすく言えば、急加速した車に 横から同等の速度の車が、ぶつかる様なものだ」

鳴上「単純には言えないが…」

鳴上「一夏の体には ブーストのたびに、7~8gの衝撃が加わっていたんじゃないかな…」

鈴・シャ「「!!!!!!」」


鈴「……あ、あたし、止めてくる!」 ダッ

シャル「あ! ま、待ってよ! 鈴! ボクも行く!」 ダッ

          タッ タッ タッ…

鳴上「…………」

鳴上「俺も…止めたんだが、な」

鳴上「決勝戦に出ても おそらく試合にならない」




          -第一アリーナ・控え室-

セシリア「一夏さん!! どうして…どうして、黙っていましたの!?」

一夏「い、いやぁ…」

セシリア「準決勝の時も 動きが おかしいと思っていましたが……」

セシリア「まさか…痛み止めの薬を飲んでいたなんて!!」

一夏「…………」


一夏「でもセシリア、せっかく決勝戦まで来たんだし…」

セシリア「だめです!! 今すぐ医療室へ行きましょう!!」

一夏「でも……!!」

         バァン!!

鈴「でももクソもないわよ! 一夏!!」

シャル「早く医療室に……」

セシリア「!! 鈴さん! シャルロットさん!」


鈴「」

シャル「」

鈴「い、一夏……!? ど、どうしたの、それ!?」

シャル「顔にまで…! 体中、アザだらけじゃない!!」

セシリア「……恐らく」

セシリア「ブーストによるgで…体中の毛細血管がダメージを……」

鈴・シャ「「!!」」


鈴「一夏……」

一夏「…………」

鈴「あんた、わかっているんでしょ?」

鈴「医療室に行ったら、ドクターストップが かかるって?」

一夏「…………」



シャル「一夏…もしかして、ブーストの提案は セシリアが?」

一夏「………!」

シャル「…セシリアに気を使って、なんでもないって」

シャル「フリを してるんじゃないの?」

一夏「…そ、そんな事は!」


セシリア「…一夏さん、だとしたら逆です」

セシリア「わたくしは……悲しい」 ポロ…

セシリア「わたくし達は…タッグパートナーなのでしょう…?」 ポロポロ

セシリア「どうして…、どうして黙っていたのですか…?」 ポロポロ…

セシリア「そんなの…わたくしに対する裏切りです……!!」 ポロポロ…

一夏「…!」

一夏「…………」


一夏「…わかった、行くよ 医療室に」

鈴「最初からそう言いなさいよね! まったく…」

シャル「セシリア…ボクから棄権する事を伝えようか?」

セシリア「…………」

セシリア「いえ…わたくしから伝えますわ」

セシリア「ありがとうございます、シャルロットさん……」

シャル「ううん…」




           -同・第一アリーナ-

箒「………? そろそろ時間だが」

ラウラ「一夏達が 来ないな?」



千冬「選手ならびに観戦者一同に連絡」

千冬「タッグマッチ・トーナメント決勝戦の時間だが」

千冬「織斑・オルコット ペアに重大な負傷が発生し 棄権する、との申し出があった」



箒「…!?」

ラウラ「…!?」


千冬「よって」

千冬「織斑・オルコット ペアの不戦敗とし」

千冬「篠ノ之・ボーデヴィッヒ ペアの優勝とする!」



鳴上「…………」

鳴上「一夏…お前は」

鳴上「幸せ者だ」 クスッ

休憩します。




           -二日後・医療室の個室-

箒「…本当に大丈夫なのか?」

一夏「ああ、ドクターにも驚かれた」

一夏「多分…福音の時みたいに、白式が治してくれたんだろう…」

箒「昨日のお前の姿は酷かったからな…」

箒「命に別状は無い、と聞いても……にわかには信じられなかった」

一夏「薬が切れたら、とんでもない痛みが襲ってきたけどな……」


箒「…………」

箒「…………」 ///

箒「一夏……」 ///

一夏「ん?」

箒「その…言っておきたい事が、ある」 ///

箒「決して…ふざけている訳でも、冗談でもないから…な?」 ///

一夏「…ああ?」

箒「う、うむ…。 一夏…私は、篠ノ之 箒は」 ///




箒「お、お前の事が……好きだ!」 ///



一夏「…………」

一夏「……うん?」

箒「ゆ、友人として、ではないぞ?」 ///

箒「一人の女として…異性の…、一夏の事が、好きなんだ」 ///

一夏「…え」

一夏「ええっ!?」 ///

箒「…………」 ///


一夏「…………」 ///

一夏「…その」 ///

一夏「いつから?」 ///

箒「……小さい頃から、ずっと」 ///

一夏(マジっすか…) ///

箒「…………」 ///

一夏(やべ…箒、すげえ可愛い……) ///


箒「…今まで、私はずっと素直になれなかった」

箒「幼い頃の私達のままで…これからもそうなんだと、根拠も無く思っていた」

箒「でも…お前は、私以外の女達と 戯れてばかりで…イライラして」

一夏「そ、そんなつもりは!」

箒「……わかっている。 これは 私が、そう思っていただけなんだ…」

一夏「…………」

箒「…でも、ずっと、ずっと、一夏を想っていて、き、気持ちが落ち着かなくて…」 ///

箒「ああ、もう…。 何を言っているんだ? 私は…」 ///

一夏「……箒」


一夏「………お、俺は、その…」 ///

箒「…! 一夏、待ってくれ!」

一夏「…え?」

箒「返事は…後でいい」

一夏「………はい?」

箒「…す、すぐに どうしてか、分かる」 ///



箒「さ…最後に、もう一度だけ、言う」 ///

箒「私は、一夏の事が…好きだ」 ///




----------



一夏(…………)

一夏(…びっくりした)

一夏(まさか)

一夏(箒が…俺の事を好きだったなんて) ///

一夏(いつも問答無用で殴る蹴るされてたから)

一夏(そんな風に想われてた、なんて思いもしなかった…)

一夏(……それにしても返事は、後でいいって…すぐに分かるって……)

一夏(どういう事なんだ?)


        コン コン  ガチャ…

ラウラ「一夏……体は大丈夫か?」

一夏「お、ラウラ」

一夏「ああ、大丈夫だ」 ニコ

ラウラ「そうか…良かった」

ラウラ「…………」

ラウラ「…………」 ///


ラウラ「一夏……」

一夏「……ん?」

ラウラ「つ…伝えたい事がある」 ///

一夏「お?…おお」

一夏(…え? これってまさか?)

ラウラ「私は…鳴上に…ある事をたずねられた」

一夏「……うん」




ラウラ「『お前は、どんな風に一夏の事が好きなんだ?』と……」 ///



一夏「……!」

ラウラ「…言われて私は、即答できなかった」

ラウラ「今まで私は、人から聞いた事、そのままで表現していたからだ……」

ラウラ「鳴上は、そんな私に『考えろ』と言った」

ラウラ「……いろんな人に聞いてみた、いろんな本も読んでみた」

ラウラ「その結果……私なりに答えを出す事が出来た……」

一夏「うん……」

ラウラ「私は」




ラウラ「男女の関係で…恋愛の対象という意味で……」 ///

ラウラ「一夏の事が好きだ」 ///



一夏「………そ、そうか」 ///

ラウラ「…………」 ///

ラウラ「つ…伝わった、だろうか?」 ///

一夏「お、おう、十分過ぎるほど!」 ///

ラウラ「そ、そうか! 良かった…」 ニコ ///


ラウラ「ありがとう…一夏。 聞いてくれて…」 ///

ラウラ「私は、お前に出会えて、本当に良かったと思う」 ///

ラウラ「それでは、また後で、な……」 ///



一夏「…えっ!? ラウラ!?」

一夏「……………………」

一夏(…おいおい)

一夏(まさかと思うけど…)

一夏(こ、これって…) ///


       コン コン ガチャ

シャル「一夏、調子はどう?」

一夏「…シャル」

シャル「えっと……もう、分かっているかな? さすがに…」 ///

一夏「……う、その」

一夏「シャルも…なのか?」 ///

シャル「……うん!」 ニコ ///

シャル「でも……だからって『わかった』つもりにならないで?」

シャル「ボクは、ちゃんと一夏に向き合って」

シャル「気持ちを…伝えたいの」 ///

一夏「……そう、か」 ///


シャル「一夏は…覚えてる?」

シャル「一緒に お風呂に入った時の事……」 ///

一夏「……わ、忘れられるわけないだろ」 ///

シャル「一夏のえっち」 ///

一夏「は、話を振ってきたの、そっちだろ!?」 ///

シャル「うふふ、ごめん」 ///


シャル「………あの時はね」

シャル「ボク、一夏へのお礼のつもりだった…」

一夏(……にしては、かなり過激だ)

シャル「でも…ボクは、自分と向き合うようになってから」

シャル「あの時の…ボクの行動は……」

シャル「一夏と、既成事実を作りたかったんじゃなかったの? と思ってる……」

一夏「……!?」

シャル「……幻滅した?」

一夏「!? い、いや、そんな事は!」


シャル「もしかしたら………今こうして話しているボクも」

シャル「何かの結果を求めて…あざとく行動しているのかも知れない……」

シャル「でも」

シャル「そんなボクにも」

シャル「たった一つだけ…」

シャル「純粋に自信を持って 言える事があるの」

一夏「…………」




シャル「一夏の事が、好き…」 ///



一夏「…………」 ///

シャル「………ふう」 ///

シャル「えへへ…やっと言えた」 ///

一夏「…そ、そうか」 ///

シャル「あ、言っとくけど、友達として じゃないからね?」

一夏「わ、わかってるよ…!」


シャル「良かった…ちゃんと伝える事ができて……」

シャル「一夏、聞いてくれて、ありがとう」

シャル「……大好き」 ニコ ///



----------



一夏(…シャル)

一夏(…………) ///

一夏(友達としてじゃない) ///

一夏(か……) ///


          コン コン ガチャ

鈴「一夏~? 調子はどう?」

一夏「……鈴」

一夏「…………」 ///

鈴「……す、少し、休憩しない?」 ///

一夏「…休憩、か」 ///

一夏「あ、ありがたい」 ///

鈴「えと…飲み物、持ってきたの。 飲む?」 ///

一夏「おう、も、もらおうかな…」 ///




----------



一夏「……おかげで落ち着いた」

一夏「ありがとう、鈴」

鈴「どういたしまして!」 フフッ


鈴「一夏は…気づいてるかな?」

一夏「…ま、まあ、な」 ///

鈴「……ううん、そっちじゃなくて」

鈴「あたしが言ってるのは順番の事」

一夏「?  順番?」

一夏「最初が 箒で、ラウラ、シャル、そして鈴、セシリア……」

一夏「…なにか法則性があるのか?」

鈴「事の発端は…箒の一言かな」

鈴「突然、『私は一夏に告白しようと思う』って言い出してね」

一夏「………!」


鈴「ま、一夏の知らない所で、ひと悶着あって……」

鈴「今度のタッグマッチ・トーナメントの成績で」

鈴「告白の順番を決めよう、って事になったの」

一夏「……!?」


一夏「…………」

一夏「……じゃあ」

一夏「みんなが、勝ちにこだわっていたのは…」

一夏「俺のため、なのか?」

鈴「平たく言えばそう」

一夏「…………」

鈴「…………」

鈴「悠には…迷惑かけちゃったな」

鈴「あんたにも…セシリアにも……」

一夏「……? どういう意味だ?」

鈴「悠は、強敵だったでしょ?」

一夏「ああ……」


鈴「セシリアは、その強敵に勝つために」

鈴「一夏に無理をさせ、医療室送りにした……」

一夏「!! それは違う! 俺だって悠に勝ちたかった!」

鈴「セシリア自身は、責任を感じているわ……」

一夏「…………」

鈴「箒とラウラの後、『わたくしは、トリを狙っていたのですわ!』とか、ワザとらしく言って」

鈴「一番最後を選んだのが証拠………」

一夏「…………っ!」


一夏「…………」

一夏「…………鈴」

一夏「お前もそうなのか?」

鈴「…………」

一夏「…でなきゃ」

一夏「そんな話…しないよな」

鈴「…………」


一夏「………聞かせてくれるか?」

一夏「鈴の気持ち……」

鈴「!!」

鈴「…あ、あたしは」

鈴「す、…好き、…一夏の事」 ///

一夏「…子供のころから?」

鈴「! …そ…そうよ!」 ///

鈴「ずっと、ずっと! 好き!」 ///

鈴「あたしは…… 一夏が」 ///




鈴「一夏の事が…大好き」 ///



一夏「…ありがとう、鈴」

一夏「俺は…」

鈴「へ、返事は、後でいいから!」 ///

一夏「い、いや俺は…」

鈴「も、もう行くね!? あたし!」 ///

一夏「あっ!……鈴!」

          ガラッ……パタンッ…


一夏(…まったく鈴の奴)

一夏(昔からああだよな…) クスッ

一夏(いつも他の人の事を気遣って…自分の事を後回しにする)

一夏(でもな…)

一夏(凄くうれしいよ……鈴)




       ドドドドドドドドドッ バァンッ!!



セシリア「い、一夏さん!!」 ハアッハアッ

一夏「うおっ!? なんだ!?」

セシリア「…あ、あれ?」

一夏「…よ、よお」

セシリア「…………」

一夏「どうしたんだ? いったい?」

セシリア「い、いえ、その…な、鳴上さんが、一夏さんの容態が急変した、と…」

一夏「…………」

セシリア「…………」


セシリア「………もしかして」

セシリア「騙されましたの? わたくし…」

一夏「…多分な」

セシリア「……はうううう」 ヘナ ヘナ ヘナ……

一夏「ははは…」


一夏「セシリア…聞かせてくれるか?」

一夏「その…気持ちを…」 ///

セシリア「!!!!」

セシリア「わ、わたくしは…そのっ!」

一夏「……責任なんて、感じなくていいから」

セシリア「!!!!」

セシリア「…でも…わたくしは…」

セシリア「自分が許せません…!」


一夏「……だったら俺も」

一夏「タッグパートナーとして…セシリアを裏切った自分が許せなくなる…」

セシリア「! 一夏さん!?」

一夏「………お互い許さないか?」

一夏「自分を…」 ニコ

セシリア「…………」

セシリア「…一夏さん」

セシリア「…ずるいですわ」 ポロ

セシリア「…ううっ…ひっく」 ポロ ポロ




----------



一夏「…落ち着いたか?」

セシリア「…はい」



一夏(…悠が、セシリアについたウソは)

一夏(鈴の話から推測すると、おそらく…)

一夏(セシリアが告白自体を 止めると思ったんだろうな……)

一夏(タイミングもドンピシャで、相変わらず凄い奴だ)


セシリア「えっと…その」 ///

セシリア「わ、わたくしは…」 ///

一夏「……うん」 ///

セシリア「………最初は…わかりませんでした」

セシリア「気が付いたら一夏さんの事ばかりを…考えているようになってて」

セシリア「いつの間にか、目であなたの事を追っていて…」 ///

セシリア「ああ……これが、こ、恋なのだと…思いました……」 ///

一夏「……う、うん」 ///




セシリア「わたくしは…一夏さんの事が好きです」 ///



一夏「…………」 ///

セシリア「…………」 ///

一夏「…ありがとう、セ、セシリア。 す、凄く、うれしいよ」 ///

セシリア「は、は、はい…!」 ///

セシリア「あ! で、でも! 友人として、では ありませんから!」 ///

一夏「わ、わかってるから!」 ///

一夏(な、なぜ、みんな念を押す!?)


一夏「………その」 ///

一夏「返事は…やっぱり後でいいのか?」

セシリア「…はい」 ///

セシリア「……みなさんとの取り決めで」

セシリア「特に期限は、決めませんけど…」

セシリア「でも…お心が決まったら」

セシリア「全員を集めた上で……おっしゃってください」

一夏「……えっ?」

一夏「ええっ!?」


一夏「ちょ、ちょっと待ってくれ…」 ///

一夏「みんなを集めてって…ええっ!?」 ///

セシリア「なにか問題が?」

一夏「!!…だ、だって…その…」 ///

セシリア「わたくし達は…皆、真剣に一夏さんに向き合いました」

セシリア「その気持ちを 偽ることなく話し合って……」

セシリア「この人達なら、一夏さんとお付き合いしても許そう、と…」

セシリア「みんなで決めたのです」

一夏「…………」


セシリア「…ですので」

セシリア「一夏さんも、わたくし達に向き合って」

セシリア「お答えください」

セシリア「全員を選ばない…という選択でもかまいません」

一夏「…………」

セシリア「……もちろん、選ばれなかった人は」

セシリア「しばらく時間が、必要になると思います………」

セシリア「でも」

セシリア「必ず…選ばれた人を祝福できると、確信しておりますわ」 ニコ

一夏「…………」




----------



一夏(…………)

一夏(…………)

一夏(………みんな)

一夏(凄いな……)

一夏(正直、俺が五人いればいいのにって思う)

一夏(俺も真剣に答えを見つけないと………)


        コン コン ガチャ

鳴上「一夏、今、いいか?」

一夏「…悠」

鳴上「実はな…俺」

一夏(…え?)

鳴上「前から思っていたんだが…」

一夏(ちょ…ま、まさか!?)


鳴上「どうして、素組するんだ?」

一夏「い、いや! 待ってくれ! お、俺にそっちの趣味は……!」

一夏「へ? 素組?」

鳴上「……プラモの話をしているんだが?」

一夏「……………………」

一夏「よ」

一夏「よかったぁ………」 ヘナヘナヘナ…

鳴上「?」


鳴上「……で? 五人の多国籍美少女から、告白を受けた感想は?」

一夏「正直、滅茶苦茶つらい……」

鳴上「世界中の男に殴られるぞ?」

一夏「……でも本音だ」

一夏「誰かを選べば、他の四人が傷つく…」

一夏「俺は…誰も傷つけたくないのに」

鳴上「…………」


鳴上「残念だが……もう誰も傷つかない事はない」

一夏「…………」

鳴上「………でも」

鳴上「今なら…『すり傷』程度ですむと思う」

一夏「……!」

鳴上「誰も傷つかない……」

鳴上「確かに理想だ」

一夏「…………」


鳴上「なんだか放っておけない…守ってあげたい…」

鳴上「支えてあげたい…望みを叶えてあげたい…」

鳴上「…そんな気持ちに、すべて答えている内に」

鳴上「俺は…いつの間にか、六股かけていた…」

一夏「………………」

一夏「はあ!?」

鳴上「………………」


一夏「……マジで?」

鳴上「マジで」

一夏「お前が…………六股?」

鳴上「…ああ」

一夏「…………」

一夏「…………で」

一夏「どうなった?」

鳴上「阿鼻叫喚の渦……」

一夏「oh…………」


鳴上「お前もそうなりたいか?」

一夏「全力でお断りします」

鳴上「それでいい」

鳴上「俺みたいに全身複雑骨折する事はない」

一夏(冗談に聞こえねえ…)



鳴上「…難しく考えるな」

鳴上「ただ…自分に正直になればいい」

一夏「…自分に」

一夏「正直に、か……」

一夏「……………………」

えらい所で、すみませんが…今日は、ここで終わます。
後、各党員の皆様、全員の個別エンドを用意しておりますので
ご安心ください。

番長と一夏の友情エンド(意味深)もあるのか

>>1はセカン党かな?
普通に面白い支援

>>376
そのルートは無しの方向です。




          -半月後・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

鳴上「…じゃ、俺は席を外す」

一夏「お、おう。 すまんな…」

        キィ… パタン…

箒「…………」

鈴「…………」

シャル「…………」

セシリア「…………」

ラウラ「…………」


一夏「…………………」

一夏「…………えっと」

一夏「まず、みんなにお礼を言っておく」

一夏「俺を…好きだと言ってくれて、ありがとう」

一夏「本当にうれしかった」



ヒロインズ「………………」


一夏「悠に、自分に正直になれ、と言われて」

一夏「いろんな事を考えて、自分と向き合って…」

一夏「でも、なかなか答えが出せなくて……」



ヒロインズ「………………」


一夏「これは、お世辞でもなんでもなく、みんな魅力的で…」

一夏「この中の一人だけを選ぶなんて、とんでもない贅沢で、その…」

一夏「ああ、もう、なにを言ってんだ? 俺は………」 ///



ヒロインズ「………………」 ///


一夏「………だけど」

一夏「俺は、答えを……出した」



ヒロインズ「…!」



一夏「スーハー、スーハー…………ふう」

一夏「お、俺は、」

一夏「織斑 一夏は…」 ///



ヒロインズ「…………」 トクン、トクン…




一夏「シャルが、一番好きだ!」 ///



シャル「!!!!!!!!!!」



鈴「……うっ」 ダッ

箒「……鈴!」

セシリア「…鈴さん」

ラウラ「…行こう、みんな」


一夏(…………やっぱり胸が痛むな)

シャル(…………みんな)



シャル「……えっと、一夏」

一夏「…うん」

シャル「ボクで…いいの?」

一夏「シャルでなきゃ、駄目なんだ」

一夏「……あの時、」

一夏「トーナメントで箒達と戦っていた時」

一夏「俺だったらこうするのに…俺だったら、もっとシャルの力に なれるのにって」

一夏「歯がゆく思っていたんだ……」


シャル「!!」 ///

シャル「…………」

シャル「………でも」

シャル「ボクは、鳴上くんを…選ぼうとしたんだよ?」

シャル「勝つために、一夏を…拒んだんだよ?」

一夏「…ああ、凄いショックだった」

シャル「…………」


一夏「鈴や箒もそうだったけど……、シャルに断られたのが一番こたえた」

一夏「どうして? なぜ?」

一夏「…………」

一夏「それは……きっと」

一夏「シャルの事が一番好きだから」 ニコ ///

シャル「一夏…」 ///


一夏「………………」 ///

シャル「………………」 ///

一夏「………………」 ///

シャル「………………」 ///

一夏「……え、えと、その」 ///

シャル「………う、うん」 ///

一夏「お、俺と…付き合ってもらえますか?」 ///

シャル「…こ、こちらこそ、よろしくお願いします」 ///




          -数週間後・is学園・校門付近-

??「おー…、ここが、is学園ってやつか!」

??「いきなりのアポなし訪問だけど…、楽しみだぜ!」

??「悠の奴…元気にしてっかな…」


シャル「…………」 テク テク

シャル「………?」 ピト

??「そこを何とか!! 守衛さん!!」

守衛「…そう言われましても。 基本is学園は、関係者以外の立ち入りは…」

??「身分証明証も提示してますし…お願いします!!」

??「悠に…鳴上 悠に会ったら、すぐ帰りますから!!」

シャル「…!」

シャル(鳴上くんの友達?)


守衛「すみませんが…今は、付き添いの人員が いませんので…」

??「そ、そこを何とか!!」

シャル「あの…」

??・守衛「「?」」

シャル「鳴上くんの友達…なんですか?」

??「…え? お!? …は、はい!」

??(な、なんだよ、この超絶金髪美少女は…!!) ///


シャル「守衛さん、良かったら ボクが付き添いましょうか?」

守衛「…しかし」

シャル「ボクは専用機持ちです。 いざとなったら撃退できますし」

守衛「!…名前と学年を言ってください」

シャル「シャルロット・デュノア。 一年生です」

守衛「…………」 ピピピ…

守衛「…確認」

守衛「わかりました、お任せしましょう」

??「!! おっしゃ!!」


守衛「ただし、何か問題が発生した場合、あなたにも責任がおよびます」

守衛「かまいませんか?」

シャル「はい」

守衛「…では君、この腕章を着けて。 くれぐれも軽率な行動を 取らないように」

??「モチのロンです!!」


??「いや~助かったよ……って言葉、わかる?」

シャル「is学園入学の必須なんです、日本語は」 ニコ

??(…うは、か、可愛えぇ…) ///

??「っと! 自己紹介がまだだった!」

??「俺は、花村 陽介! よろしく!」

シャル「シャルロット・デュノアです。 よろしくね、花村くん」 ニコ

花村(くうっ…! 悠! 心底お前が、うらやましい!!) ウルウル…

シャル「?」 ニコ ニコ




          -同・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

          コン コン

シャル「一夏~? 鳴上くん、いる~?」

一夏「ん~? シャルか? 悠もいるぞ」

          ガチャ

シャル「良かった、鳴上くんに お客さんだよ?」

鳴上「? 俺に客?」




----------



鳴上「ジュネスの店長会議にくっついて来たのか…」

花村「そ! 会場がこの近くなんで、親父に頼み込んでムリヤリ、な」

一夏「へえ……ジュネスって あの全国展開してる、大手の」

シャル「エブリデイ・ヤングライフ・ジュ・ネ・ス♪ ……だね?」

花村「くううう! ありがとう! お嬢さん!」

シャル「あはは…」


花村「ところで、悠、is?ってやつ? 良かったら見せてくれるか?」

鳴上「ああ、かまわない」

花村「よっしゃ! 楽しみぃ~!」

一夏「お? それなら、俺と模擬戦形式で見せるってのは、どうだ? 悠?」

鳴上「…おもしろいな」

花村「マジで!? すげえ!!」

花村「一夏? だっけ? サンキューな!」

花村「俺の事も 陽介って呼んでくれ!」

一夏「ああ、よろしく、陽介」


花村「こう言っちゃ何だが、俺も悠とは 殴りあった仲なんだ」

花村「だから、気兼ねしないでくれよ?」

一夏「へえ? いったい何が原因で?」

花村「ははは…そいつぁ、ちょっと…なあ、悠?」

鳴上「陽介に一方的に殴りかかられた…」 ハア…

花村「おまっ!? そういう事、言っちゃう!?」

          アハハハ…




          -同・第三アリーナ-

鳴上「…………」 スチャ(メガネ装備)

鳴上「イザナギ!」 スウウウウウンッ!

一夏「白式!」 スウウウウウンッ!



花村「おおっ! すげえぇぇぇ!」

花村「どっちもかっけぇぇぇ!」

シャル(この人、ホントに楽しそう…) クス


一夏「対戦成績はタッグマッチを含めて、俺の三勝四敗…」

一夏「今日こそ、イーブンに持ち込む!」

鳴上「……そう上手くは、いかないぞ?」

鳴上「陽介に いい所を見せたいしな…」 クスッ


花村「くううう! がんばれ! 悠~!」

シャル「花村くん…楽しそうだね」 クスッ

花村「おおよ! 俺は、毎日楽しんで生きてるんだぜ?」

花村「どんな些細な事も…何でもない日常も、」

花村「俺にとっては、生きてる事そのものが 楽しいんだ!」

シャル「…!!」

シャル(もしかして…)


シャル「花村くん…」

花村「うん?」

シャル「自分と向き合うって…難しいね?」

花村「いっ!?」

シャル「うふふ…」 ニコッ

花村(ゆ、悠のやつ…!) ///

花村(でも…これって脈アリじゃね!?) ///

シャル「一夏~! がんばって~!」

花村「…………」

花村「…っきしょおおおおお!!」

花村「悠ー!! 負けるなー!!」




          -夜・屋上-

シャル「花村くんて面白い人だったね」

一夏「ああ、いい友達になれそうだ」

一夏「…悠との勝負は、負けちまったけどな」

シャル「ふふ、気にしない気にしない」 ニコ


一夏「それにしても、悠にあんな友達がいるなんてな…」

シャル「ホント、花村くん、楽しそうだった」

シャル「ちょっと話をしてみたんだけど…」

シャル「どんな些細な事も、なんでもない日常も、」

シャル「花村くんは 生きている事、そのものが楽しいんだって 言ってた」 ニコ

一夏「……すごいポジティブ思考だな」

シャル「ボクから見たら 凄くうらやましく思えたけどね」 クスッ


一夏「…そ、それにしても」

シャル「?」

一夏「陽介の事…ずいぶん話すのな」

シャル「??」

一夏「…………」 ///

シャル「…………」

シャル「…………あ」

シャル「もしかして……焼いてる?」

一夏「…ぐ、わ、悪いかよ」 ///


一夏「アリーナのスタンドで、陽介とシャルが 仲よさそうに話してるの見て…」

一夏「落ち着かなくて……」 ///

シャル「! 鳴上くんに負けたのって……」

一夏「…………」 ///

シャル「…ふふ、なんだか、うれしい」

シャル「一夏が、ボクにやきもちを 焼いてくれるなんて」 ///

         ギュッ


一夏「! …シャル」 ///

シャル「…こ、これで、安心してくれる?」 ///

一夏「…お、おう。 でも抱きしめられるとは、思わなかった」 ///

シャル「よ…良かったら」 ///

シャル「一夏も ボクを抱きしめて欲しいな…」 ///

一夏「…! よ、よし…!」 ///

         ギュッ

シャル「ん…一夏、暖かい」 ///


一夏「シャル……」 ///

シャル「一夏……」 ///



シャル「大好き…!」 ///



        おしまい

>>391から

          -鈴エンド-



一夏「鈴が、一番好きだ!」 ///



鈴「!!!!!!!!!!」



セシリア「…………」

箒「…………、一夏」

シャル「…………っ」

ラウラ「…行こう、みんな」


鈴(…! みんな……)

一夏(…やっぱり、胸が痛むな)



鈴「…………うっ」

鈴「ひぐっ……」 ポロポロ

一夏「!? …鈴?」

鈴「ごめ…ん、一夏」 ポロポロ

鈴「あ、あたし…多分だめ、だと思ってて…」

鈴「なんか…わかんないけど…とまらない、…の」 ポロポロ

一夏「…そうか」


一夏「俺…その、気づいてやれなくて、ごめん」

鈴「…………」

一夏「鈴は、子供の頃から存在が近すぎて…」

一夏「鈴も俺と同じように……友達として付き合っているって思ってた」

一夏「…でも」

一夏「悠に色々言われた事や…鈴の告白で…」

一夏「ああ、そうかって…やっとわかった」

鈴「一夏…」


一夏「俺は、鈴をちゃんと見てなかったんだ、って」

一夏「…ごめんな、鈴」

鈴「…ううん、もういい」 ///



一夏「…………えっと」 ///

鈴「…?」

一夏「……その、鈴」 ///

鈴「う、うん。 なに?」 ///

一夏「俺と…付き合ってもらえますか?」 ///

鈴「!! ……はい!」 ///




          -数週間後・is学園・校門付近-

???「お父さん! 早く、早く!」

??「おおい、ちょっと待ってくれ…」

守衛「はい、確認取れました。 堂島さん、この腕章を必ず着けてくださいね」

堂島「わかりました…おい、菜々子。 ほら……これを着けるんだ」

菜々子「は~い!」




----------



鳴上「伯父さん!」

堂島「悠! 久しぶりだな!」

菜々子「お兄ちゃん!!」

鳴上「菜々子、久しぶり。 大きくなったな…」

菜々子「うん! あのね、菜々子、3㎝も伸びたんだよ!」

鳴上「そうか…よかったな」 ニコ


堂島「悠…、学校はどうだ?」

鳴上「楽しいですよ」

堂島「はは…聞くまでも無かったな」

堂島「これだけ可愛い娘さん達に囲まれていたら…」

菜々子「…お父さん!!」 ペシペシ!

堂島「うおっ! い、痛い、菜々子! 悪かった、お父さんが悪かった!」

鳴上「ハハハ…」




           -同・第三アリーナ-

一夏「甘いぜ! 鈴!」

鈴「…くっ!」

         ドンッ ドンッ ドンッ!!

一夏「はあっ」

         ヒュバッ!

鈴「…………」

鈴「…?」

一夏「…チェックメイト」

鈴「もう…また負けた…」


一夏「でも、イグニッション・ブーストも 大分モノになって来たな」

鈴「…う~ん、使い所が難しいわね。 エネルギーもけっこう食うし…」

鈴「あたしには、向いてないかも……」

一夏「ま、おぼえといて損は無いと思うぜ?」

鈴「まあね……」

鈴「………あれ?」

一夏「ん? どうした? 鈴?」

鈴「ほら、あそこ」

一夏「…お、悠。 と、誰だ? あの親子?」


鈴(…親子?)

鈴(あ! …もしかして!)

鈴「そういえば、近く親戚が訪ねて来るって、言ってなかった?」

一夏「…ああ! 言ってた言ってた!」

一夏「あれ、今日だったのか……」

鈴「ねえ、休憩がてら、挨拶しておかない?」

一夏「お、いいな。 行ってみるか!」


菜々子「うわあ……かっこいい!」

鈴「うふふ、ありがと!」

菜々子「そっちのお兄さんのも、真っ白でかっこいい!」

一夏「ハハ、ありがとう、菜々子ちゃん!」

菜々子「菜々子、お兄ちゃんのあいえすも見たい!」

鳴上「え?」

一夏「いいじゃないか、悠。 見せてやれよ」

鳴上「しかし…今は一夏達が……」

鈴「ああ、それなら気にしないで。 あたし達は、もういいから、ね?」

鳴上「そうか……。 じゃあ、お言葉に甘えるかな」 ニコ


鳴上「…………」 スチャ(メガネ装備)

鳴上「イザナギ!」 スウウウウウンッ!



菜々子「わああああっ! 見て見て! お父さん!」

菜々子「お兄ちゃんのあいえす、すっごくかっこいい!!」

堂島「ははは…良かったな、菜々子」


一夏「ようし、菜々子ちゃん、ちょっとお兄ちゃんと戦っていいかな?」

鳴上「お、おい! 一夏…!」

菜々子「えっ!? お兄ちゃんと!?」

鳴上「…あまり刺激的な事は……」

一夏「わかってるよ。 せっかくなんだし……悠のいい所、見せてあげたいんだ」

鳴上「…う、う~ん」

鈴「じゃ、あたし、観客席に行って解説する!」

鈴「菜々子ちゃん 可愛いし、近くで見たいし!」 ニコ ///

鳴上「…わかった。 でも、激しいのは 絶対無しだぞ?」

一夏「ああ、わかってるって!」


菜々子「わあああっ! お兄ちゃん! がんばって!」

          コンッ! キンッ! カァンッ!

堂島「ほう…これは凄いな」

鈴「ふふっ…ま、本来の実力の1%も出していませんが…」

堂島「これが…1%にも満たない!?」

鈴「あの二人が本気を出したら、目で追うのも大変なんですよ?」

堂島「そ、そんなにか!? ……信じられん」

菜々子「いけー! お兄ちゃん!」


鈴「あの……」

堂島「ん?」

鈴「悠に…少しだけ聞いたんです。 堂島さん一家の事」

堂島「! ……それは、妻の事も、か?」

鈴「はい…」

堂島「……参ったな」

鈴「あたし…少し悩んでいた時期があって、その時に聞きました」

鈴「想っているだけじゃ、伝わらないって」

堂島「…!」

堂島「…………」

堂島「…そうか」


堂島「その…あいつは、悠は、何か言ってたか?」

鈴「自分を含めて…」

鈴「『家族』になれた、って言ってました」 ニコ

堂島「…………」

堂島「…ふふ、嬉しいものだな」 クスッ

鈴「………」 ニコ ニコ


堂島「…ところで、君は 伝えたのかい? 想いを…」

鈴「……ええ」

鈴「…………」 ///

堂島「………?」

堂島(……ああ、あの男子生徒の事を……。 年頃の娘さんだものな)

堂島「…青春、だな」 クスッ




          -同・is学園・食堂-

菜々子「すごかったね! お父さん!」

菜々子「お兄ちゃんがビューンって来て、」

菜々子「一夏お兄さんの事、倒しちゃったんだよ!」 キラキラ

堂島「ああ、お父さんも見てたぞ。 凄いな、悠は」

菜々子「うん! お兄ちゃん、強いんだね!」 キラキラ

堂島「ははは…」


鳴上「おまたせ、菜々子」

菜々子「わあ! プリン! 菜々子、大好き!」

鳴上「ジュースもあるからな」

菜々子「うん!」

一夏「堂島さん、あんぱんと牛乳でしたっけ?」

堂島「お、すまないな一夏君」

一夏「悠は、スパゲティか」

鳴上「ああ。 一夏はいつものラーメン、鈴はクレープか・・・めずらしいな」

鈴「ま、たまには、ね」

鈴「さ、食べましょ!」


堂島「しかし、こんな時間に学食が開いてるんだな…」

一夏「is学園は全寮制ですから。 夕方…つまり今くらいから、また開店するんですよ」

堂島「なるほど」

菜々子「おいしい! ジュネスのプリンと同じくらい、おいしい!」

鳴上「よかったな、菜々子」

鈴「ふふ…is学園は、スイーツメニューも充実してるからね」


菜々子「……あのう、一夏お兄さん」

一夏「うん? なに?」

菜々子「お兄ちゃんに負けちゃって……痛い所とか、無い?」

一夏「はは、全然ないよ? ありがとう、心配してくれて」

鈴「isはね、ケンカしても怪我しないように出来てるの。 だから大丈夫だよ?」 ニコ

菜々子「そうなんだ! よかった…」

一夏「それに、菜々子ちゃんのお兄ちゃんは、強いけど…」

一夏「とっても優しいんだ。 だから怪我なんてしないよ」 ニコ

菜々子「うん! 菜々子も知ってるよ! お兄ちゃん、とっても優しい!」

             ハハハ・…


菜々子「だから菜々子、お兄ちゃんと結婚するの!」 ///

一夏「お、よかったな、悠!」

鳴上「お、おう…」

鈴「ふふ……悠、覚悟しときなさいよ?」

鈴「女の子の『一途』は、馬鹿にすると怖いんだからね!」 ニコ

一夏・鳴上(鈴が言うと、説得力あるなぁ…)

鈴「菜々子ちゃん。 お姉ちゃん、応援するから、頑張ってね!」

菜々子「うん!」 ///

             ハハハ…


堂島「………さて、菜々子」

堂島「そろそろ…帰らないと いけない時間だ」

菜々子「!!」

菜々子「………うん」

堂島「また、来よう。 な?」

菜々子「………うん」

鈴「…………」

一夏「…………」

鳴上「…………」




          -同・is学園・校門付近-

堂島「すまないな、見送ってもらって…」

一夏「いえ…」

鈴「あたし達も楽しかったです!」

鈴「菜々子ちゃん、また一緒にプリン食べようね?」

菜々子「うん!」


鳴上「おじさん、実は…今度の連休、八十稲羽に帰ろうかと思っているんです」

菜々子「!!」

菜々子「ホント!? お兄ちゃん!?」

堂島「おお、そうか! いつでも歓迎するぞ!」

堂島「よかったな、菜々子……」

菜々子「うん!!」

菜々子「お兄ちゃん、いっぱい、いっぱい! 遊ぼうね!」

鳴上「ああ、菜々子、いっぱい遊ぼうな」


一夏「…………」

鈴「…………」

鈴「いい家族だね」 クスッ

一夏「……ああ」 クスッ

        ギュッ…

一夏(! …鈴、手を握って) ///

鈴「…ちょ、ちょっと気が早いけど」 ///

鈴「あたし…」 ///

鈴「一夏と…あんな家族になれたらって、思う……」 ///

一夏「………うん」 ///

一夏「俺も、そう思う」 ///


鈴「ふふ…ありがと、一夏」 ///



鈴「大好き!」 ///



          おしまい

>>391から

          -箒エンド-



一夏「箒が、一番好きだ!」 ///



箒「!!!!!!!!」



鈴「………っ」 ダッ

セシリア「! …鈴さん」

シャル「…………」

ラウラ「…行こう、みんな」


一夏(…やっぱり、胸が痛むな)

箒(……みんな)



箒「……どうしてだろう」

一夏「……うん?」

箒「こうなる事を 望んでいたハズなのに……」

箒「複雑な心境だ…」

一夏「箒…」


一夏「…それは、俺もだ」

箒「一夏…」

一夏「告白してくれた時まで…」

一夏「箒が、俺を想ってくれているなんて」

一夏「想像もしてなかった」

箒「…………」


一夏「でも、ハッキリ言ってくれて 俺は嬉しかった」

一夏「箒の本音が 初めて聞けたって、思えた」

箒「…うん」 ///

一夏「だから、言える」

一夏「福音の時みたいに、その場の雰囲気で流された、とかじゃなく」

一夏「俺も…、箒の事が好きだ、って…」 ///

箒「い、一夏…!」 ///



一夏「………箒」 ///

一夏「俺と……、付き合ってくれるか?」 ///

箒「…ああ! もちろんだ…!」 ///




          -数週間後・is学園校門付近-

??(…………)

??(…………)

??「…あ、鳴上…じゃなくて、悠先輩!」

鳴上「すまない、ちょっと遅れた…」

??「いえ…、私の方が突然 訪ねたんですから…」 ///


鳴上「腕章は…着けているな」

鳴上「…? どうして楽器を持ってきたんだ? 荷物になるだろうに」

??「あ……その、三校交流合唱会の宿は、ここからちょっと遠かったので…」

??「行きしなに寄ろうと思って」 ///

鳴上「そうか…」

鳴上「じゃあ、それは俺が持とう、綾音」 ニコ

綾音「あ、すみません、悠先輩」


          ザワ… ザワ…

箒(…………?)

箒(…なんだか、騒がしいな?)

モブ子「……見た?」

モブ美「見た見た! 鳴上くん、可愛い他校の彼女を連れてたの!」

モブ枝「や~ん! 鳴上くん、狙ってたのに~!」

箒(ほう?)

モブ子「で、で!? 今どこに!?」

モブ美「さっき校舎の前にいたから…、次はアリーナ辺りを見せるんじゃない?」

モブ枝「いいなあ…、校内でデートかあ…。 あこがれちゃう!」

          キャハハハ…


箒(…………)

箒(ちょっと、興味があるな) クスッ

箒(見に行ってみよう……)




           -同・第二アリーナ・スタンド-

綾音「す、凄いです! 八十神高校とは、比べ物に成りませんね」

鳴上「比べるものにもよる」 クスッ…

鳴上「ここは近代的だけど…人工物ばかりで、落ち着かない時もある」

鳴上「それに…」

綾音「…?」

鳴上「綾音がいない」 ニコ

綾音「!! ゆ、悠先輩! …も、もう、恥ずかしいです…!」 ///

鳴上「ははは…」



箒(…………) ///

箒(…ち、近寄りがたい、雰囲気だ) ///


一夏「あれー? 悠?」

鳴上「一夏」

一夏「何してるんだ? こんな所で?」



箒(…………)

箒(……さすが一夏だ) ハア…


一夏「…お? そっちの女の子は?」

鳴上「俺の彼女」

一夏「はあ!?」

綾音「ゆ、悠先輩!」 ///



箒(……鳴上は鳴上で、規格外だな) 唖然…


一夏「…そ、そうなのか。 でも、悠」

鳴上「うん?」

一夏「お前…中学生の女の子を 彼女にするなんて……いいのか?」

綾音「ちゅ、中学生じゃありません!」

綾音「そ、そりゃ、私、ちっちゃいですけど…」 ///

綾音「こう見えても、高校二年生です!!」

一夏「…………へ?」

一夏「…だって、悠の事、先輩って?」

鳴上「…………」

鳴上「…………あ」


一夏・箒「本当は18!?」

一夏「って、箒!? いつの間に!?」

箒「こ、細かい事は置いておけ!」 ///

箒「それより……18って、どうして一年生に転入して来たんだ!?」

鳴上「一番の理由は、isの基礎学力がまったく無かったからだ」

鳴上「そんな状態でいきなり三年生など出来ないだろ?」

箒「…た、確かに」

一夏「聞いてみれば、至極まともな理由だな…」

鳴上「それに…周りが女子だけ、というのもちょっと、な」

綾音「…………」

一夏(…その気持ち、わかるぜ、悠!)


一夏「…通りで大人びている訳だ」

箒「妙に落ち着き払っているのも、その為か…」

鳴上「篠ノ之博士に、無理矢理 転入させられる事になったけど……」

鳴上「俺にisを使える才能があるのなら」

鳴上「それを生かす方法を見つけたい」

鳴上「今は、そう思っている」

鳴上「多少……回り道になるけどな……」 クスッ

一夏「…………」

箒(…立派だ)

綾音(さすがです…悠先輩) ///

一夏(俺なんてされるがまま、ここに来て、なんとなく通っているのに…)


箒「…? 鳴上、その荷物は?」

鳴上「ああ、これは…」

綾音「私の荷物です。 悠先輩が持ってくれるって言うので、甘えました」 ///

一夏「何かのケースだな」

綾音「楽器です。 トロンボーン奏者なんですよ、私」 テヘ

箒(…!)

一夏「へえ…そりゃ聞いてみたいな」

箒「…そうだな、音楽室にトランペットもあるだろうし」

箒「聞かせてくれないか? 鳴上と二人で」 ニコ

綾音「ええっ!?」

鳴上「!?」




           -同・is学園・音楽室-

綾音(悠先輩……私の事、話したんですか?) ヒソヒソ

鳴上(……色々あって) ヒソヒソ

綾音(も、もう…) ヒソヒソ///

一夏「ほら、悠、トランペット」

一夏「それにしても……お前って多才だな」

鳴上「……はっきり言って、本当に久しぶりなんだ」

一夏「いいじゃないか、聞かせてくれよ」 クスッ

綾音「えと…悠先輩、あの時の曲ならできますか?」

鳴上「ああ。 と言うか、多分それしか出来ない……」

綾音「ふふ、わかりました」 クスッ




          ~♪ ~♪ ~♪

          …その曲は、私の知らない曲だった。

          後で綾音に聞いたのだが

          とある学校での 少年の物語の曲なのだそうだ。



          無慈悲な言葉の羅列や

          世間の常識、そして、目に翻弄され

          少年の日常は、狂ってしまう…。




          それはまるで、濃い霧の様に

          光を奪い、少年の心を荒廃させ

          人を 信じる事を出来なくさせる。



          でも、ある日、悩み続けた彼に

          友人から、手紙が届く。

          少年は、やっと気づく。




          『一人ではない』事に。



          みんなと過ごした日々

          幼い頃に交わした約束

          大切な言葉…




          いつの間にか忘れていたけど

          それは、心の奥に

          いつもあった事を思い出す。



          目には見えないけど

          人同士のつながり

          『絆』を……。

           ~♪ ~♪ ~♪


一夏「…………」

箒「…………」

鳴上「…………」

綾音「…ど、どうでしたか?」

一夏「なんだよ……上手いじゃないか!」 パチパチパチ!

箒「ああ…とても」

箒「幸せな気持ちになれた」 ニコ

綾音「!!!」

鳴上「…よかったな、綾音」 ニコ

綾音「…も、もう、ずるいです、みなさん…」 グスッ…///

一夏(………あれ、なんで泣くの? あの娘?)




          -夜・屋上-

一夏「そうか……そんな理由があったのか」

箒「…ああ」

箒「私が、一夏に告白できたのも…彼女のおかげかもしれない……」

一夏「違うよ」

箒「えっ?」

一夏「それは、きっかけに過ぎない」

一夏「あの告白は…箒の努力のたまものさ」

箒「一夏…」


一夏「そうそう、俺も悠の秘密を話そうか?」

箒「? なんだ?」

一夏「実は……悠って、六股掛けてたんだって」

箒「……は?」

一夏「だから、悠は六股を…」

箒「…バカも休み休み言え。 鳴上が、そんな事をするはずが無い」

一夏「……俺もそう思った。 けどな、」


一夏「なんだか放っておけない…守ってあげたい…」

一夏「支えてあげたい…望みを叶えてあげたい…」

一夏「……そんな気持ちに、すべて答えている内に」

一夏「六股かけていたそうだ」

箒「…!」


箒「………なるほど」

箒「そうだったのか……」

一夏「……今のうちなら、みんな傷つくけど『すり傷』ですむ」

一夏「悠は、自分みたいに全身複雑骨折する事は無い、って」

一夏「俺の背中を押してくれた」

箒「…冗談に聞こえないな」

一夏「ああ…でも、だからこそ言えるんだろう」


箒「……あの娘、綾音は、不安だろうな」

一夏「…………」

箒「一夏以外は、みんな女という環境に、自分の彼氏がいる……」

箒「しかも自分は、鳴上のそばに いられないのだから……」

一夏「………箒」

          ギュッ…

箒「!? い、一夏!?」 ///

一夏「…い、嫌、だったか?」 ///

箒「い、いや、そ、その…心の準備が…いきなり後ろから、抱きしめるなんて…」 ///

一夏「…その、箒も…不安なのかな? と思って…」 ///

箒「…!」 ///


箒「そ、その、一夏…、嫌がってるわけじゃない」 ///

箒「……でも、はなしてくれないか?」 ///

一夏「…お、おう」 ///

          スッ…

箒「…………」 ///

一夏「…………」 ///


          ギュッ…

一夏「! …箒」 ///

箒「…こ、こういう事は、向き合って行うものだろう?」 ///

一夏「……箒」 ///

一夏「そうだな…」 クスッ///

          ギュッ…

箒「んっ…。 ありがとう、一夏…」 ///



箒「私は、幸せだ」 ///



          おしまい

ちょっとご飯食べてきます。

ペルソナ4みるべき?
isみるべき?

>>473
>>1は、アニメからp4を見ました。ゲームはrpgに慣れてないと厳しいかもしれません。
面白い、とは思いますけど。アニメはギャグ回が秀逸です。

isは…ちょっと見る人を選ぶかもしれません。
もちろん>>1は、ツボにはまって好きなんですが…。

>>391から

          -ラウラエンド-



一夏「ラウラが、一番好きだ」 ///



ラウラ「!!!!!!!!!」



鈴「…………っ」 ダッ

箒「! …………鈴」

セシリア「…鈴さん」

シャル「…行こう、みんな」


一夏(…やっぱり、胸が痛むな)

ラウラ(…………)



ラウラ「………いいのか? 一夏。 私なんかで…?」

ラウラ「正直……私が選ばれるなど、無いと思ってた」

一夏「ラウラの告白が効いた」 クスッ

ラウラ「!?」 ///

一夏「そりゃ確かに、あんまり気の効いた台詞ってわけじゃ無かったけど…」

一夏「初めてラウラの姿が 見えた気がした」

ラウラ「私の…姿?」

一夏「ラウラは、見た目以上に幼いんだなって…」

ラウラ「…!」


ラウラ「…それは、保護者的な目線だ」

ラウラ「私は…そんな風に見てもらいたくない…!」

一夏「悪い…、言葉が足りなかったな」

ラウラ「…?」

一夏「表現の仕方が幼かった、だ…」

ラウラ「!」

一夏「ラウラは、育てられた環境が、俺達とかなり違う」

一夏「そんな中で、一生懸命考えてくれた あの言葉は」

一夏「本当に嬉しかった…」

ラウラ「一夏…」


一夏「だから、俺もそれに答えたい、と思う」

一夏「ラウラ…」

ラウラ「う、うむ…」 ///

一夏「俺と…」

一夏「男女の関係で、恋愛の対象として」

一夏「付き合ってくれるか?」 クスッ

ラウラ「!!」 ///


ラウラ「…………」 ///

ラウラ「ずるいぞ、一夏…」 ///

ラウラ「私の告白を まるまる盗用しているではないか…」 ///

一夏「すまん…。 返事は?」 ニコ

ラウラ「そんなもの、決まっている」 クスッ



ラウラ「異論は無い!」 ニコッ ///




          -数週間後・is学園校門付近-

??「およよ~! これがセンセイのいる、is学園クマね…」

??「八十稲羽とは、全然違うクマ」

??「…………」

??「ぬふふ…、センセイ、今行くクマ~!!」


ラウラ「…………」 テク テク

ラウラ「…………?」 ピト…



守衛「だーかーらー! 身分証の提示も無しで入れられないって!」

??「クマはクマクマ! それ以外の何者でもないクマ!」

守衛「わからん奴だな! 人を呼ぶぞ!」

クマ「クマは、それでもかまわないクマよ?」

クマ「is学園は、女の子いっぱいクマ! だから、ぜひそうして欲しいクマ!」

守衛(…話が噛み合わん)

ラウラ(なんだ? あの金髪の男は?)


クマ「あ、そうそう! クマはセンセイの友達クマ!」

守衛「先生? 教師に知り合いが いるのか?」

クマ「センセイは センセイ、クマ! 鳴上 悠って名前クマ!」

ラウラ(…!?)

守衛「ふむ、ま、そんなに言うなら ちょっと調べて…」

ラウラ「おい」

守衛・クマ「「?」」

ラウラ「お前…クマ、と言ったか? クマの言う鳴上とは、生徒の事ではないのか?」

クマ「おおう! ぷりち~が~る! そうクマ! ここの寮にいるクマ!」

守衛「…………」




----------



鳴上「………クマ」

クマ「センセ~イ! 会いたかったクマ~!」

守衛「…君の友人なのは、間違い無いと?」

鳴上「はい…」

守衛「…それでは、身分証の提示が無いので、この…クマ?君の住所と名前を」

鳴上「はい…」

鳴上(クマの住所は…陽介の所でいいか…) カリカリ…

鳴上(!? …ってクマの氏名って!?)

鳴上(…………)

鳴上(…………) カリカリ…


鳴上「…どうぞ」

守衛「…ふむ、八十稲羽市の…ずいぶん遠くから来たものだ…?」

         氏名  熊田 熊男

守衛「………………………………」

鳴上「………………………………」

守衛「君はふざけて」

鳴上「待ってください! 守衛さん!」

鳴上「これには…少し事情があるのです!」

鳴上「まず、クマの両親が別れた事が、最初でした…」


         20分後…

守衛「うう…そうだったのか…再婚相手が熊田で…」 ボロボロ…

鳴上「そうです…。 彼は、何も悪くないのに あんな氏名になってしまい…」

鳴上「あのような人格に…!」

守衛「わかった…わかったよ…。 私だって突然、そんな名前になったら」

守衛「やりきれない気持ちになる…」

守衛「さあ、腕章だ。 いつまでもクマ君の友達でいてくれよ?」

鳴上「もちろんです」


鳴上「待たせたな、ク…」

鳴上「………ボーデヴィッヒ、クマは?」

ラウラ「トイレに行きたい、と言うので場所を教えた」

鳴上「どれくらい前だ?」

ラウラ「そろそろ、10分になる」

鳴上「……………………」

ラウラ(!)

ラウラ(…はじめて見た)

ラウラ(鳴上が頭を抱えている様を…!)




          -同・食堂-

クマ「ここは凄いクマ! 右を向いても 左を向いても 女の子祭りクマ~♪」

クマ「クンクン…、それにいい匂いクマ~」

          ザワ… ザワ…

モブ子「…誰? あの男子?」

モブ美「もしかして…第三の男のis適正者! …とか?」

モブ枝「まさか…」

クマ「ねえねえ、君たち♪」

モブ子「うえっ!?」

モブ美(話しかけて来た!?)

モブ枝「…な、何かな?」


クマ「君たち、可愛いクマねぇ~」

モブ子「は、はあ…」

クマ「クマの逆ナン魂が、揺さぶられるクマ…」

モブ美(…逆ナン?)

クマ「でも、その前に、どうやってご飯を注文するのか、教えて欲しいクマ!」

モブ枝「えっと…?」


クマ「むっほー! おいしいクマ~!」 バクバクバク…

モブ子「ふわぁ…よく食べるわね」

モブ美「ま、見てて気持ちいいけど」

モブ枝「…私は逆。 食欲なくすわ…」

モブ子「それで? クマくんは、何しにis学園に来たの?」

クマ「もっちろん、逆ナンクマ!」

モブ美(意味わかって言ってるのかな…)

クマ「あと、センセイに 会いに来たクマ!」

モブ枝「へー。 先生って?」

クマ「センセイは、センセイ、クマ! 鳴上 悠って人クマ!」

モブ三人娘「「「!!!」」」


         ツカ ツカ ツカ ツカ

鳴上「…………クマ」

クマ「およよ! センセイ!」

クマ「見て見て! クマの逆ナンの成果!」

モブ子「え!?」

モブ美「あたし達、逆ナンされてたの!?」

モブ枝「えっと・・・クマくん?」

ラウラ「…………」

鳴上「……とにかく、クマ、これを着けておけ」

モブ子「あ、外来の腕章」

モブ美「私、着けてあげよっか?」

クマ「およよ~、モブ美さんは優しいクマ~…」


モブ美「じゃあね! クマくん! 逆ナン、楽しかったよ!」

モブ子「モブ美、心広すぎ~」

モブ美「いいじゃん! 悪い人じゃないと思うし」

モブ枝「いい意味でも悪い意味でも、欲望に正直なのね・・・たぶん・・・」

クマ「みんな、またね! クマ~!」

鳴上「……………………」

ラウラ(…また頭を抱えた)


鳴上「…クマ、どうやって ここまで来た?」

クマ「もちろん電車クマ! クマ、初めて新幹線に乗ったクマ!」

鳴上「まさか…お前がお金を貯めてたのって…」

クマ「そうクマ! センセイのいる、is学園に来たかったからクマ!」

クマ「陽介にis学園が女の子パラダイスって聞いて…」

クマ「クマの逆ナン魂が、ビンビンにいきり立ったクマ!」

鳴上「…………」

鳴上「…あのな、クマ」

鳴上「気持ちは嬉しいんだが…、俺にも都合と言うものがあって…」

クマ「それで、センセイのお部屋は どこクマ?」

鳴上「…………」

ラウラ(…………)




          -同・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

クマ「およよ~! ここがセンセイの部屋クマか~!」

ラウラ(一夏は留守のようだな…)

鳴上「クマ、あまり はしゃぐな。 ここは俺だけの部屋じゃない」

鳴上「そっちは、同室の男のベッドだ」

クマ「およ? そうクマか…? ん?」 クンクン…

クマ「でも何故か、ラウッちのニオイがするクマ…?」

鳴上・ラウラ「「そっとしておけ!!」」 ///


鳴上「とにかく、俺にも予定がある…」

鳴上「すまないが、今日は これで帰ってくれ」

クマ「わかったクマ。 クマは、ここで大人しくしているクマ!」

鳴上「そうか、わかってく」

鳴上「…『ここで』?」

クマ「そうクマよ? しばらくここに住むクマ!」

鳴上「」

ラウラ「」


鳴上「…………!」 カチャ…(携帯オープン)

          新着メール 件数 11

             陽介

             陽介

             陽介

             …

鳴上「…クマ」

鳴上「お前…陽介に黙って来たのか?」

クマ「そうクマ!」

鳴上「…………はうっ」 クラッ…

ラウラ「な、鳴上!? し、しっかりしろ!」




----------



鳴上「……すまない、ボ-デヴィッヒ、しばらくクマを見ていてくれ…」

鳴上「ここは、携帯が通じにくい。 ちょっと部屋からでる…」

ラウラ「わかった…」

          パタン…

クマ「~♪~♪」

ラウラ「…おいクマ」

クマ「なにクマ?」


ラウラ「お前は…自分を探していたのでは ないのか?」

クマ「…!」

ラウラ「やはりか…」

クマ「センセイから、聞いたクマか?」

ラウラ「お前の出生の秘密は、秘密のままだ」

ラウラ「だが…お前は、鳴上とその仲間に秘密を明かした上で」

ラウラ「そばにいてもいい? と尋ねたと聞いている」

クマ「みんな、いいって、言ってくれたクマ!」 ニコ


ラウラ「…それも知っている」

ラウラ「ならばなぜ、鳴上を困らせる?」

クマ「えっ?」

ラウラ「見て分からなかったのか?」

クマ「そ、そんな事ないクマ!」

クマ「センセイは、喜んでくれているクマ!」

ラウラ「では、聞くが…お前がここに来てから鳴上は、笑っていたか?」

クマ「…………」

クマ「………無いクマ」


ラウラ「…非常に厄介だが、人同士の付き合いには、」

ラウラ「目に見えないルールが存在する」

クマ「………………」

ラウラ「お前は、まずそれを 学ばなければならない」

ラウラ「そうしなければ…」

クマ「しなければ?」

ラウラ「おそらく、だれもお前を必要としなくなる」

クマ「およ、およよー!?」

クマ「そ、そんなの嫌クマ~!!」


ラウラ「…落ち着くんだ、クマ」

クマ「…クマ?」

ラウラ「人はな、誰でも間違いをしてしまう」

ラウラ「だが…そこから目を背けては駄目だ」

ラウラ「間違いから自分を見つめなおし、学習する事が大切なんだと思う」

クマ「…クマは、どうしたらいいクマ?」


ラウラ「考えるんだ」

ラウラ「自分の行動で、どうして鳴上は 笑ってくれなかったのか?」

ラウラ「きっとお前は、鳴上が喜んでくれると思っていたが…そうではなかった」

ラウラ「それは何故か?」

ラウラ「考えてみるんだ」

クマ「………………」


         ガチャ

鳴上「…クマ」

クマ「…センセイ」

鳴上(…? 何だか、いきなり大人しくなった?)

鳴上「どうした?」

クマ「クマは…クマは…、センセイを困らせたクマ?」

鳴上「!?」


ラウラ「…………」

クマ「ラウッちに言われて、クマ、考えてみたクマ」

クマ「…でもクマは、頭悪いからよく分からなくて…それでセンセイに聞いてみたクマ」

鳴上「…………」



鳴上「……そうだな、確かに困った」

クマ「!!」

鳴上「いきなり連絡も無しに来た上に、学園内を勝手に歩き回ったあげく」

鳴上「唐突に、ここに住みたいとまで言う…」

クマ「およ…およよ」


鳴上「それに陽介も、お前が突然いなくなって 凄く心配している」

鳴上「陽介だけじゃない、里中も天城も…菜々子だって心配している」

クマ「…!! ナナちゃんが…!?」

鳴上「そうだ」

クマ「そ、そんな…。 クマは、クマは、そんなつもりは無かったクマ…!」

ラウラ「…………」

鳴上「…………」


クマ「お、およよ~、センセイ、ごめんなさいクマー!!」 ぶわわっ…

鳴上「…クマ、わかればいい」

クマ「…?」

鳴上「俺は、確かに困ったけど…お前が来てくれたのは、嬉しく思ってる」 ニコ

クマ「!! セ、センセイ」



鳴上「でも…、次からは、」

鳴上「ちゃんと事前に連絡を入れる事」

鳴上「陽介に黙って出かけない事」

鳴上「これを守るんだ。 わかったな?」

クマ「わかったクマ!!」

ラウラ「…………」 クスッ




          -同・is学園校門付近-

ラウラ「…いいのか? 鳴上」

ラウラ「今日は、実技試験があるのだろう?」

鳴上「かまわない。 クマを一人で帰らせる方が心配だしな…」 クスッ…

鳴上「あいつは、大事な友達なんだ」

ラウラ「そうか…」 クスッ

鳴上「それに事情を話したら、担任の先生が別の日に試験をしてくれる、と言ってくれたし」

ラウラ「なら、一安心だな」

鳴上「ああ」


鳴上「迷惑かけた…ボーデヴィッヒ」

ラウラ「気にするな、たいした事じゃない」 クスッ

鳴上「メールを入れておいたけど、一夏にもよろしく言っておいてくれ」

鳴上「明日の午前中には戻る」

ラウラ「わかった」

鳴上「じゃ…」

ラウラ「………」




           -夜・is学園寮・一夏と鳴上の部屋-

一夏「………そいつはまた、強烈なキャラだな」

ラウラ「しかも本人に、悪意が無いだけに始末が悪い…」

一夏「ははは…、そりゃ確かに」

ラウラ「…………」

一夏「…? どうした? ラウラ?」

ラウラ「いや…なんと言うか、身につまされた」

一夏「…………」

ラウラ「つい、クマに説教したが…、私だって同じようなものだった」

ラウラ「一夏を『嫁にする!』とか言ったりしてたし」 ///

ラウラ「人の事を とやかく言えない…」


一夏「…それは、考えすぎだ」

ラウラ「………うん」

一夏「俺だって偉そうな事は言えないけど…」

一夏「ラウラのした事は、間違っていないと思う」 クスッ

ラウラ「一夏…ありがとう」 ニコ

一夏「ふふ…やっと笑ったな」


一夏「ところで…」

         ギュ…

ラウラ「い、一夏…!?」 ///

一夏「…今日は、悠がいないけど…どうする?」

ラウラ「う、うむ、一緒に、いたい…」 ///

一夏「! …そ、そうか」 ///

         ドサッ… ギシ ギシ


ラウラ「……!」 ///

ラウラ「い、一夏…腹に、硬くなったものを押し付けるな…!」 ///

一夏「ごめん、無理」 ///

ラウラ「ま、まだ、時間が早い! 落ち着け!」 ///

一夏「だめ」 ///

一夏「せっかく、悠が気を利かせてくれたしな…」 ///

一夏「朝まで…ゆっくりと…」 ///


ラウラ「あ、朝まで!? む、無理っんぐっ!?」 ///

ラウラ「んんっ…! う…んっ! んんんっ…」 ///

ラウラ「…………ぷはっ…!」 ///

一夏「………まだ、嫌か?」 ///

ラウラ「……………………」 ///

ラウラ「…私が壊れたら」 ///

ラウラ「お前のせいだからな…?」 ///


一夏「ふふ、じゃあ、明かりを消すぞ?」 ///

ラウラ「…ああ」 ///



         フッ…



          おしまい

>>391から

          -セシリアエンド-



一夏「セシリアが、一番好きだ」 ///



セシリア「!!!!!!!!!」



鈴「…………っ」 ダッ

箒「鈴………!」

シャル「……鈴」

ラウラ「…行こう、みんな」


一夏(……やっぱり、胸が痛むな)

セシリア(……みなさん)



セシリア「…あの、一夏さん」

一夏「ん?」

セシリア「わたくしは ここ最近…、皆さんの中で」

セシリア「一番一夏さんと接してきた時間が長かったと思いますが…」

一夏「…………」

セシリア「それが影響していませんか?」

一夏「…………」

一夏「…まったく無い、と言えば…嘘になる」

セシリア「…………」


一夏「でも」

一夏「出来うる限り、公平に考えて…俺は答えを出した」

一夏「セシリアが、タッグマッチのパートナーとして 俺を選んでくれた様に」

セシリア「…………」



一夏「告白も…告白の時に悠に騙されて、慌てて駆けつけてくれたのも」

一夏「トーナメントで泣いてくれたのも全部」

一夏「俺の為にしてくれた事だ」

セシリア「…………」


一夏「もちろん、みんなもそうだったと思う」

一夏「だけど…上手く言えないけど…」

一夏「セシリアが、一番いいって思った…」 ///

セシリア「一夏さん…!」 ///



一夏「…セシリア」 ///

セシリア「…はい」 ///

一夏「俺と…付き合ってもらえますか?」 ///

セシリア「はい! 喜んで!」 ///




         -数週間後・夜・都心・高層ビル・パーティー会場-

          ガヤ ガヤ…

一夏(…うは、この場違い感)

セシリア「一夏さん、そんなに強張らないでくださいな」 クスッ

一夏「と、言われても…緊張する」

セシリア「単なる立食パーティー、と思えばいいのですわ」

一夏「お、おう」

一夏(…ま、セシリアのドレス姿を拝めただけで満足かな) ///

セシリア「? 一夏さん?」

一夏「はは…、なんでもない」


令嬢「あの…」

一夏「はい?」

令嬢「よろしければ…踊っていただけますか?」

一夏(き、来た…!)

          -回想-

セシリア「いいですか? 一夏さん」

セシリア「社交場では、基本的にダンスに誘われたら お受けするのが礼儀です」

セシリア「それも」

セシリア「女性側からの誘いを断るのは、紳士として もっとも非礼とされています」

セシリア「気を付けてくださいね?」

----------


一夏(セ、セシリア…) チラ見

セシリア(一夏さん、礼儀ですわよ?) ニコ

一夏「…………」

一夏「よ、喜んで、お嬢さん」

令嬢「ふふ…、ありがとうございます」 ニコ


??「これは…麗しい」

セシリア「…?」

??「よろしければ、踊っていただけますか?」

??「美しいご令嬢様」

セシリア「あら…、お上手ですわね」 ニコ

セシリア「謹んで、お受けいたしますわ」



         ~♪ ~♪ ~♪


??「…………」

セシリア「…………」

??「失礼ながら…」

セシリア「はい?」


??「オルコット家のご息女、とお見受けしますが…」

??「何でも、is学園にお通いとか?」

セシリア「あら…どこかでお会い いたしました?」

??「いえ…、風の噂で知っている程度です」 クスッ

セシリア「ふふ、その通りですわ」

セシリア「お転婆で、がっかりしたでしょう?」 クスッ

??「はは…まさか」 クスッ


セシリア「お名前をうかがっても よろしいですか?」

??「一条…一条 康、と申します」



セシリア(一条…?)

セシリア(確か…、日本の企業グループ主賓者の姻戚に)

セシリア(そのような名前が、ありましたわね…)


一条「ふふ…すみません、今日の主賓に お情けで参加させていただいたのです」 クスッ…

一条「がっかりされたでしょう?」

セシリア「あら…、レディの心の内を見透かすのがお得意で?」

一条「いいえ。 先ほどのお返しです」 ニコ

          ~♪ ~♪ ~♪ キャ…! ス、スミマセンッ!

セシリア(一夏さんかしら…)

一条(鳴上かな…)


          ~♪ ~♪ ~♪…

一条「お飲み物でもいかがです?」

セシリア「ええ、いただきましょう」

鳴上「お、おい、一条、助けてくれ…」

一条「なんだ、だらしないぞ?」 クスッ

鳴上「ダンスの事は聞いてない。 このままだと誰かの足を、踏み折ってしまう…」

セシリア「! 鳴上さん!?」

鳴上「!? オルコット!?」

一条「ん? 二人は知り合いなのか?」

鳴上「あ、ああ…実は…」




----------



一条「…なるほど、is学園でか」

一条「噂に聞いてた第二の男性is適正者が、お前だったとはな」 クスッ

鳴上「すまん…黙っているつもりじゃなかったんだが…」

一条「いいって、いいって」 ニコ


令嬢2「あの…」

鳴上「!!」 ビクッ

令嬢2「踊っていただけますか?」 ニコ

鳴上「い、一条…!」

一条「なにしてる? レディのお誘いを断るのは、最大の非礼だぞ?」 ニコ

鳴上「」

         ヨ、ヨロシク… ハイ… ~♪ ~♪ ~♪


セシリア「く…ふふふ」

一条「? なにか、可笑しいですか?」

セシリア「…すみません、鳴上さんは、学園でいつも すました表情でいて」

セシリア「あんなに狼狽した顔は、初めて見たので…つい」

一条「ああ…わかります、それ」

         ハハハ…


一条「…ところで、ぶしつけな質問なのですが」

一条「誰かと、お付き合いしておられますか?」

セシリア「…ええ」

一条「ふふ、やはり」

セシリア「どうしてお分かりに?」

一条「雰囲気で…かな?」

セシリア「あら…。 ではなぜ、ダンスに?」

一条「それは…あなたと踊ってみたかったから…では いけませんか?」

セシリア「できれば、お聞きしたいですわ」

一条「そうですか…」




          -同・ラウンジ付近-

一条「飾り気なく言うのならば…、度胸試し、です」

セシリア「度胸試し?」

一条「ええ」

一条「実は…この前、お見合いをさせられましてね」

一条「もちろん相手の方に非は無いのですが…」

一条「家柄の都合だけで、妻を決めてしまうのが納得いかなくて」

一条「そこで…こうやって自分と家族の得心のいく相手を 探しているんです」

セシリア「…………」


一条「もちろん、わがままかもしれません」

一条「でも…あなたを見て、こういう世界にも 想う人と付き合える人がいる」

一条「俺にも…もしかしたら、できるかもしれない」

一条「そんな気持ちを あなたに少し、ぶつけてみました」 クス

セシリア「…………」



セシリア「一条さん…」

一条「はい?」

セシリア「それは…つまらないですね」

一条「つまらない?」


セシリア「あなたの気持ちは、分からなくは無いですが…」

セシリア「少なくとも わたくしは、周りの目を気にして相手を選んでおりません」

セシリア「このお方だから…この人だから、わたくしは想いを告げたのです」

セシリア「たとえ実らなくとも、後悔したく無い…」

一条「…………」

セシリア「ふふ…もちろん成就したから、言える事なのかもしれませんが」

一条「………いえ、そんな事はありません」 クスッ…


一条「ありがとう、とても参考になりました」

一条「やはり…あなたは美しい」 ニコ

セシリア「どういたしまして」 ニコ

一条「では、私はこれで…」



一夏「おーい、セシリ…」

          ドン…

一条「…っと、失礼」

一夏「あっ…す、すみません」

一条「では…」

一夏「………ふー…」


セシリア「あら、一夏さん」

一夏「こんな所にいたのか…探したぞ」

セシリア「ふふ…ちょっと、仮面の紳士とお話をしておりました」

一夏「仮面?」

セシリア「ええ…。 自分を覆い隠して、自分を偽っている方でした…」

一夏「………?」

セシリア「少しだけ、本音をさらしてくれましたけどね」 クスッ

一夏(…よく分からないな)




          -同・パーティー会場前のベンチ-

一条「鳴上」

鳴上「一条…」

一条「そろそろ帰るか?」

鳴上「ああ、ぜひ、そうしたい」

一条「そっか、うんじゃ、帰るか!」 ニッ

鳴上「………?」

鳴上「一条、なにかいい事でもあったか?」


一条「おう! すっげぇ美人に盛大に振られた!」 ハハッ!

鳴上「……? いい事、なのか?」

一条「ああ…、俺は まだまだだって事が、よく分かったからな」

一条「さ、帰りにラーメンでも食おうぜ!」

鳴上「…乗った」 クスッ




          -同・ラウンジ付近-

一夏「ふう…、オレンジジュースが美味い」

一夏「それにしても疲れた~…」

セシリア「一夏さん、今日は、お付き合いさせてすみません」

一夏「いや、楽しかったぜ? 俺もこういう経験は、なかなか出来ないしな」 ニコ

一夏「それにしても…ダンスは教えてもらってて助かった」

一夏「誰だか知らないが、女の子の足、踏みまくっている奴がいてさ…」

一夏「しょっちゅう『痛い!』とか、『キャア!』とか、聞こえてくるんだ」

セシリア「まあ…」 クスッ

セシリア「きっと…悪いお友達に誘われて来たのでしょう」 ニコ

一夏「…………?」


一夏「…さて、セシリア」

セシリア「はい」

一夏「俺と…踊ってくれるかな?」

セシリア「ふふ。 ええ、いいですわよ?」



セシリア「大好きな、一夏さん」 ニコ



          おしまい

皆さん、お疲れ様でした。これで終了です。
そして>>379さん、>>1はシャルロッ党員です。
花澤ボイスに脳みそ溶かされました。

でも、今回のssの鈴エンド書いてて、ちょっとセカン党に
行きたくなりました。鈴、可愛いなぁ~。

それから各党員の皆さん、喜んでいただけたら、幸いです。

わちゃー…。読み返してたら、投下しそこなってる所を見つけてしまった…。
>>402>>403の間が抜けてる…。シャルロッ党員失格だぁ…。


花村「…悠!」

鳴上「…陽介!」

花村「久しぶりだなあ…相棒!!」

鳴上「陽介、どうしたんだ? 突然?」

鳴上「連絡してくれたら、迎えに行ったのに…」

花村「いやあ…なに? こういうのって、サプライズさせた方が もりあがんじゃん?」 ニヤリ

鳴上「変わってないな…陽介」 クスッ

↑が抜けてました。陽介に悪いことしたなぁ…。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年03月08日 (火) 05:29:02   ID: z5TamdLp

これを読む限りでは一夏がなぜモテてるのか分からんのだか、原作を読めば分かるのかね

2 :  SS好きの774さん   2016年05月06日 (金) 01:19:09   ID: HfzjWJKC

原作読んだ俺でも分からん、恐らくご都合主義とゆーやつだよ

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