杏「プロデューサーってさ、処女厨なの?」 (55)


双葉杏「どうなのさ」

モバP「しょ……? すまん。なんだって?」

杏「だからさー。彼女にするならやっぱり処女の方がいいの?」

モバP「なんだそりゃ。質問の意図がよく分からんが、特に気にしたことはないな」

杏「そうなの? 他の男にいろいろ仕込まれた女とか嫌じゃない?」

モバP「……杏。お前、また変なスレ見てるな」

杏「うん。今日もドルオタ達が元気に醜い争いを繰り広げてるよ」

モバP「今すぐ閉じろ。その手のスレは精神衛生上大変よろしくない」

杏「なぁに、かえって免疫がつく」

モバP「つかねえよ」


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モバP「ふーむ。相変わらず根も葉もないこと書かれてんな。学生組に見つかる前に履歴ごと消しとくか」

杏「キャベツ畑やコウノトリを信じてる可愛い女の子にー」

モバP「やめろ」

杏「はいはい。じゃあ話を戻そうか。逆に処女ってどうなの? エッチのとき面倒じゃない?」

モバP「あー、確かに面倒ではあるな。シーツ汚れるし。けど、一から自分好みにテクを覚えさせてくのはなかなか楽しい」

杏「うわキモ。その言いぐさだと交際経験かなりあるでしょ」

モバP「いや、そうでもない。通算で四人。速攻別れたのを入れても五人だけだ」

杏「五人!? さすがにひくわー。プロデューサー、超ヤリチンじゃん」

モバP「馬鹿言え。これくらい普通だろ。ニートの判断基準で物を言うな」

杏「あ? なんだとこのやろう」

モバP「ん? 怒ったか? 悔しかったら化粧の一つでも覚えてみせろ。この万年すっぴん女」

杏「うぎぎ」


杏「てなことがこの前あってさー。あー腹立つ」

喜多日菜子「むふー。それはエロい、いや、ひどいですねぇ。いくら杏さんが喪女だからってバカにするのはよくないですねぇ」

杏「うるせえジンギスカンキャラメルぶつけるぞ。道民なめんな」

日菜子「いやん、こわぁい。それにしても、あのプロデューサーさんがヤリチンだなんてびっくりですよぉ。おかげで妄想が捗ります。むふっ」

杏「くそー。DQNやチャラ男に貶されるのってどうしてこんなにムカつくんだろ。もうあいつクビにしてほしいよ」

日菜子「おやおや、ずいぶん根に持ってますねぇ」

杏「ちょっと顔がいいからって調子に乗りやがってよー。あーあ、どうにかして仕返しできないもんかなー」



輿水幸子「みなさん、おはようございます! 今日も全国一億二千万のファンたちにボクのカワイさを広めるべく励みましょう!」ドアガチャ



日菜子「あ、おはようございますぅ。幸子ちゃんは朝から元気ですねぇ」

杏「……」

杏「ふむ」


杏「さっちゃんさんや。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかね?」

幸子「はあ、別に構いませんけど」

杏「あんがと。それでだね……その、なんだ」

幸子「? なんですか。早く言ってください」

杏「……ヤリチンって言葉の意味わかる?」

日菜子「!」


幸子「や、り? 武器か何かですか?」

日菜子「うふっ。確かに武器と言えなくもないですねぇ。ええ、武器ですとも。刺突属性の」

杏「喜多さん、ちょっと黙って。ヤリチンってのは一種の罵倒系のスラングでね。たとえばプロデューサーみたいな人を指してよく使われるんだ」

幸子「そうなんですか? 初耳です」

杏「だろうね。輿水さんは育ちがいいから」

幸子「む、人を世間知らず呼ばわりしないでください。それでそのヤリチン「むふっ」とは一体どういう意味の言葉なんです?」

杏「っふ。うん、ヤリチ、くふっ、そうだね、ヤリ、くひっ」

幸子「なんなんですか、二人ともニヤニヤして。人の無知を笑うなんて感じ悪いですよ」


杏「ふふっ、ごめんごめん。それでヤリチンの意味だけどね。ざっくり言うなら甲斐性なしってとこかな」

日菜子「……」

杏「プロデューサーって割かし抜けてるとこあるじゃん。どこか頼りにならないっていうかさ。そういうとこ見てると、あーこいつヤリチンだなーって思うわけよ」

幸子「なるほど。ヤリチンにはそんな意味が」

杏「その点、輿水さんはしっかりしてるよ。プロデューサーみたいなヤリチン野郎とは大違い」

幸子「ふふん、当然でしょう。ボクはカワイイですから」

杏「うんうん。そこで提案なんだけど、プロデューサーのヤリチン気質をぜひとも更生させてもらいたいんだよね」

幸子「はい?」


杏「朱に交われば何とやらって言うじゃん。輿水さんが傍であれこれお世話してあげれば、プロデューサーも一皮剥けると思うんだ」

杏「ヤリチンだけに」

幸子「うーん、でもボクなんかが周りでうろちょろしてもかえって邪魔になるんじゃ……」

日菜子「やぁん、なんて奥ゆかしい子なんでしょう。でも大丈夫。幸子ちゃんには立派な特技があるじゃなぁい」

幸子「特技、ですか?」

杏「ノートの清書だよ。細かいミスを見つけるのは得意なんじゃない? 思う存分、仕事の粗を指摘してあげな。さながら小姑のように」

幸子「いえ、ノート云々はただの趣味……」

杏「こまけぇこたぁいいんだよ」


杏「とにもかくにも、今のプロデューサーには輿水さんがいないとダメだ。なんてったってヤリチンだからね」

日菜子「そうですよぉ。我々としてもぉ、自分の担当Pがヤリチン呼ばわりされるのを見るのは忍びないですからねぇ」

幸子「うーん……分かりました。そこまで言うなら何とかしましょう」

日菜子「さぁすが。日本一かわいいアイドルは言うことが違いますねぇ」

杏「いやいや、もはやグローバル級のかわいさと言っても差し支えないね」

幸子「フッ、今さら言われるまでもないことです。ボクがカワイイのは宇宙の真理ですから」


幸子「プロデューサーさん、今日は事務所にいるんですよね?」

杏「いるいる。さっそく行ってきな」

幸子「ええ。プロデューサーさんのヤリチンを見事矯正してさしあげましょう」ドアバタン

杏「……」

日菜子「……」

杏「ふぅ、首尾は上々ってとこかな」

日菜子「……あの幸子ちゃんにあんな卑猥なことを言わせるなんて」

杏「興奮する?」

日菜子「すごく」


モバP「ちひろさん、今夜どうです? 近場でいいお店見つけたんですよ」

ちひろ「んー、今週はちょっと仕事が溜まってて……」

モバP「そんなの俺がやっときますって。ね、いいでしょ?」

ちひろ「そう、ですねぇ……。それじゃ、お言葉に甘えて」








幸子「プロデューサーさん、聞きましたよ! あなた、どうしようもないヤリチンだそうですね!」ドアバーン

モバP「!?」


ちひろ「え、ヤリ、え?」

モバP「ちょ、幸子!? お前、どこでそんな言葉覚えた!」

幸子「ですがご心配なく! このボクがプロデューサーさんのヤリチンをしっかり直してあげますから!」

モバP「馬鹿おま、声でか……!」




龍崎薫「やりちーん? なんのことだろ? になちゃんわかるー?」

市原仁奈「うんにゃ、さっぱりでごぜーます。千枝おねえさんは知ってますか?」

佐々木千枝「し、知らない!」


モバP「おお、もう……」

数日後。


日下部若葉「姫川さん、聞きました? プロデューサーさんがヤ、ごほん。女性にだらしないって噂」

姫川友紀「ああ、聞いた聞いた。杏ちゃんと幸子ちゃんを見出した時点で相当なやり手だとは思ってたけど、まさか夜のバットも首位打者級とはねー」

若葉「もしかしたら、もしかしたらですよ? 私もあの人の毒牙にかけられちゃったりしてキャー!」

友紀「ないない。それはない……ん?」




薫「ねえ、せんせぇ。やりちんってなあに?」

仁奈「昨日、パパに聞いたら泡吹いて倒れやがりました。呪いの言葉か何かですか?」

モバP「ハ、ハハハ。ナンダロウネー」

薫「ねえねえ、おしえてよー。せんせぇ、やりちんせんせぇ」

モバP「」




友紀「……子供は純粋だなー」


日菜子「日に日に騒ぎが大きくなってきましたねぇ。少しは溜飲下がりましたかぁ?」

杏「んー。ま、こんなもんか。そこそこ楽しめたし、いいかげん事態の収拾に移ろうかね」



幸子「おはようございます。今日もプロデューサーさんのヤリチン根性をビシバシ叩き直しますよー」ドアガチャ



杏「ああ、ちょうどよかった。輿水さん、悪いけどまた頼まれてくんない?」

幸子「それってプロデューサーさんのことですよね? もちろん構いませんとも。カワイイボクは度量も広いんです」


杏「理解が早くて助かるよ。ときに輿水さん。ヤリチンの対義語は何か知ってる?」

幸子「え? そんなものがあるんですか」

杏「あるんだなそれが。ヤリマンっていうんだけど」

日菜子「ふひっ」

杏「っふ。その、ね、ヤリマンがだね、くふっ」

幸子「なんですか。もっとはっきりしゃべってください。ヤリマンがどうしたって言うんです?」


杏「ごめんごめん。ヤリマンの意味はヤリチンの真逆。つまりしっかりした大人の女性って意味なんだ」

幸子「ほほう。つまりボクはヤリマンってことですね「ぶふぉっ!」……なんなんですか、さっきから」

杏「ごめ、いや、ほんとごめ……っ!!」プルプル

日菜子「いひっ、幸子ちゃ、ヤリマ、ひ、ど、す、ぎ……!」プルプル

幸子「???」


杏「ヤ、ヤリ、ヤリマンさっちゃん! さっちゃん行ってこい! プロデューサーびっくりするから!」

日菜子「ヤリチンは! ヤリマンに! すっごい弱いんです! 言っただけでビビりますから! そらもうビビりますから!」

幸子「は、はあ」

杏「加えてヤリマンとヤリチンは相性抜群! ほとんどの占いで百パーセント両想いになれると診断されるほどに! 結婚おめでとう!」

日菜子「ふひぃ、杏さん、落ち着いて、勢いだけでしゃべると怪しまれますよ……」

杏「あ、やべ」






幸子「そ、そんな、結婚だなんて……ボクまだ14歳ですし……あ、でも婚約とか許婚とかちょっと憧れるかも……」テレテレ

杏「こいつちょれえ」





杏「まあ、要するにだ。プロデューサーに元気がないから励ましてあげてって言いたかったんだよ。こういうのは私らよりも輿水さんの方が適任っしょ」

日菜子「ですねぇ。幸子ちゃんはしっかり者のヤリマンですからぁ」

幸子「わっかりました! 必ずやご期待に副いましょう!」ドアバターン


杏「……行った?」

日菜子「行きましたねぇ。それで、今のが本当に解決に繋がるんですかぁ?」

杏「たぶん」


モバP「……はぁ」

ちひろ「だ、大丈夫ですか?」

モバP「全然大丈夫じゃないです……俺の積み重ねてきた信頼……ゴミを見るような目……はぁぁぁ……」

ちひろ「あんまり気にしない方がいいですよ。女子校生組の反応は確かに堪えるかもしれませんけど、大人組は酒の席のネタが増えたって逆に喜んでましたし」

モバP「俺って本当にヤリチンなのかなぁ……自分では普通だと思ってたんだけどなぁ……しばらく彼女は作れないなぁ……」

ちひろ「ほら、しっかりしてください。今夜は私が奢りますから、嫌なことは飲んで忘れましょう。ね?」

モバP「ちひろさん……」








幸子「聞きましたよ、プロデューサーさん! ここのところ元気がないそうですね!」ドアバーン

モバP「げぇっ、幸子……」

幸子「でも、このボクが来たからにはもう安心です。なんてったってボクはヤリマンですからね!!!」

モバP「!!?」


ちひろ「ヤ、ヤリ、え?」

モバP「嘘だろ幸子! 嘘だと言ってくれ!」

幸子「むっ。嘘なんかじゃありません。ボクはプロデューサーさんよりずーっと大人なんですよ」

モバP「俺よりも!? 六人か!?」

幸子「? まあ、ボクはカワイイですし、その上ヤリマンですからね。ヤリチンのプロデューサーさんも安心できるんじゃないですか?」

モバP「何がだよ! 不安しかねえよ!」

幸子「相変わらず察しの悪い人ですね。ボクがあなたを元気にしてあげるって言ってるんです」

モバP「やめろー! 中学生は! 中学生は駄目だー!」

幸子「えっ? あ、いえ、何も今すぐという話ではなく……その、ボクがもう少し大人になったら、ですね……」


杏「はーい、ラブコメの時間はおしまーい。ここからはネタ晴らしの時間だよー」

モバP「あ、杏? ネタ晴らしって、一体どういうことだ?」

杏「うむ。例のヤリチン騒動の件、あれの黒幕は私だ」

モバP「な、なんだってー!?」

杏「最近プロデューサーが調子に乗っててムカつ、じゃなくて、アイドルとの距離が近すぎる感じがしたからさ。釘でも刺しとこうと思って」

日菜子「常識的に考えてアイドルに手を出すのはまずいですからねぇ。妄想と現実の区別はつけないとぉ」

モバP「ま、待て、誤解だ。俺はアイドルを口説いたことなんてない」

杏「え? あ、うん。いや、近いって話。あくまで近すぎるって話だから。主観は入ってるかもだけど私怨ではないよ、うん」


杏「そして! 輿水さん衝撃のカミングアウト事件の黒幕。それも私だ」

モバP「な、なんだってー!? それじゃあ幸子は!」

杏「推定処女だね。少なくともヤリマンではない」

モバP「よ、よかった……ヤリマンの幸子はいなかったんだ……ああ、安心した」



幸子「あのー、まったく話が見えないんですけど……」

杏「輿水さん、ごめん。実は私、嘘教えてたんだ。ヤリチンとヤリマン、本当は全然違う意味なんだよ」

幸子「え、えーっと? なら本来の意味は?」

日菜子「セックスですよぉ、セックスぅ。どっちもセックス大好き人間って意味ですぅ、むふっ」

幸子「〜〜〜〜っっっっ!!!!????」


幸子「うぅぅぅぅ、もうお嫁にいけない……」

モバP「あー……まあ、元気出せよ。お前は何も悪くないんだからさ」

杏「いやほんとごめん。悪乗りしすぎた」

日菜子「幸子ちゃんは初心で可愛いですからぁ、ついつい汚したくなっちゃうんですよねぇ」

杏「喜多さん、ちょっと黙って」


幸子「……プロデューサーさん」

モバP「ん? なんだ?」

幸子「ヤリチンって本当ですか?」

モバP「それを今聞く? んー、どうなんだろうな? 付き合ったことあるのは五人だけなんだけど」

幸子「十分多いです。ボクを辱めた責任を取って二度と彼女なんて作らないでください」

モバP「それは……そうだな。それでお前の気が済むならそうしよう」


幸子「……でも」

モバP「うん」

幸子「ボクは優しいですから。ボクが将来トップアイドルになったとき、そのときは解禁してあげます……彼女つくるの」

モバP「そっか。なら、頑張らないとな」

モバP「って、ん? 頑張っていいのか?」

幸子「いいんです。今はせいぜいボクのプロデュースに励んでいてください」

モバP「ん、んー? うん」




杏「ヤリチンのくせに鈍感とか救えねえ」

日菜子「仕方ないですよぉ。幸子ちゃんのデレは分かりづらいですからねぇ」

杏「それもそうか。何にせよ、これにて一件落着。お邪魔虫は馬に蹴られる前に退散しようかね」

日菜子「ですね」


数日後。


若葉「聞きました? プロデューサーさんのヤリチン疑惑、杏ちゃんのイタズラだったそうですよ」

友紀「分かってた。あたしは最初から分かってたよ」

若葉「またまたー。でもちょっと残念かも。ガツガツした肉食系男子ってワイルドでカッコいいと思いません?」

友紀「どうだか……ん?」


薫「あっ、おねえさんたちー! かおるねー、しつもんがあるのー!」トテトテ

若葉「はいはーい、何かなー?」

薫「やりまんってなーにー?」

若葉「」

友紀「……守備が穴だらけってことかな」

若葉「ちょ」




おわり

タイトル詐欺ですまない
幸子に淫語を言わせたかっただけなんだ










楓さんは非処女
あまりに誘い慣れてる

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