牛股権左衛門「ニュージェネレーションズにござるか」モバマス (46)

アイドルマスター シンデレラガールズとシグルイの要素を含みます

前作
牛股権左衛門「モバマスと?」
牛股権左衛門「モバマスと?」 - SSまとめ速報
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牛股権左衛門は果し合いにおいて

伊良子清玄に敗れて死んだ

あの世を彷徨っているところを、白坂小梅と名乗る者に声をかけられ

突然、芸能事務所に放り込まれた牛股権左衛門であった

曖昧な師である岩本虎眼にかわり、道場の経営と

門弟の指導を行っていた牛股権左衛門の経験は

時代も文化も異なるこの時代でも活かされ

アイドルのプロデュースを行っている

失うことから全ては始まる

正気にては大業ならず

ニュージェネレーションのリーダー・本田未央はライブに

学友を招いたが、少ない観客によって面目を失い自宅に籠った


面目という物はひとたび、ひとたび

失えば二度とは…… 二度とは

新人アイドルのライブとしては上出来であったが

本田未央「これだけ…」


そもそもライブとはアイドルへの野望

アイドル・本田未央の夢想の中では、ニュージェネレーションのために

多くのファンが居るはずであった

――事務所

ちひろ「ニュージェネレーションのリーダー、未央ちゃんが引きこもりました」

凛「一刻も早く、未央を連れ戻さないと」

卯月「まごまごしていると、芸能活動に支障をきたしますね」

ちひろ「支障が出てからでは遅いですよ」

卯月「芸能界では一度、失った信用は二度とは戻りません」

凛「一応の代役を立てよう…受けた仕事は全てこなす。そうでなくてはアイドルはいけない」

ちひろ「しかし、誰でも良いわけではありません」

凛「私達と顔馴染みで、元気に溢れて」

ちひろ「身体能力も高くて……笑顔な人物ですか」

卯月「プロデューサーさんなどは」

ちひろ「ふさわしいでしょう」

凛「プロデューサーか…ま、仕方ないね」

一刻たりとも、アイドル達のプロデュース活動を

休みたくない牛股権左衛門であったが


凛「プロデューサー、代役やりなよ」

卯月「プロデューサーさん!お願いします!」

牛股「承知した」

アイドルの願いを聞き届けるのは、芸能事務所プロデューサーの務めである

そのために己自身がアイドルになることを

アイドルに命じられたならば、よろこんで引き受けるのが

プロデューサーの本懐である

ちひろ「さっそくダンスの基礎と振り付けを、全て覚えてくださいね」

牛股「なんと」

ちひろ「ダンスは、凛ちゃんと卯月ちゃんでカバーできませんから」


ちひろの命は壮絶であるが、正しかった

下手なダンスを行えば、同じグループのアイドルである

凛や卯月の顔に泥を塗ることになる

――その後

権左衛門はマスタートレーナーにダンスと振り付けの指導を仰いだ

マスタートレーナーは、権左衛門にダンスと振り付けを指導し

ひたすら基礎練習を行った

レッスン終了後、マスタートレーナーは権左衛門に自主練習を命じた

権左衛門はマスタートレーナーが留守の間

事務所の屋上にこもり

不眠不休で、延々と自主練習を行っていたのである

途中、雨が降らなければ死んでいたであろう

三日の後、ちひろに発見されて、三日間の無断欠勤を咎められる

――本田家

未央「アイドル休んで一週間…か」

テレビ画面に映し出される"ニュージェネレーションに新メンバー加入"の文字

未央「ん?ニュージェネレーションに新しいメンバー?」

未央「ハハハッ…誰だろう」

未央「同じパッションの娘かな…」

未央「とときん?それとも、あーちゃん……」


その新メンバーは、未央と同じパッションである十時愛梨、高森藍子

そして総選挙で躍進した相葉夕美でもなく


未央「プロデューサー」

未央「どうして…どうして」

権左衛門の衣装は、未央と同じ衣装と思われたが

その衣装の下に秘められた筋肉と骨格は、間違いなく

木剣にて畳表を切断し、素手で青竹を藁の如く握り潰す

一流の剣士のものであった

未央「こんなの……私なんか、不要だったのかな」

未央「悔しい」


曖昧な状態である未央が外出して二刻半

アイドル本田未央としての生命線である

覇気と笑顔は、すでに失われていた

未央「今日は、記念すべき日」

未央「素晴らしい日」

未央「しぶりん…しまむー」

未央「ニュージェネレーションに新しいメンバー…私の代り」


気がつけば、事務所の前にいた

牛股「本田」

未央「プロデューサー…お仕事ですか」

牛股「稽古をしておったのだ」

未央「こんな時間まで…?」

牛股「左様」

未央「何で…」

牛股「……」

未央「何で、ニュージェネレーションの新メンバーがプロデューサー!?」

未央「私と同じパッションのアイドル達なら、納得できた!」

牛股「本田」

未央「何故、プロデューサーがやるの!?…理解できない」

プロデューサーの立場である自分が代役とはいえ

アイドルである本田未央の誇りと立場を潰すのは

あまりにも、不憫と考えた権左衛門だが


「痛くなければ、覚えませぬ」


権左衛門の脳裏に浮かぶのは

弟とも言える存在、弟弟子である藤木源之助の言葉

虎眼流道場において共に汗を流し、剣を磨いた同胞である

牛股「これを見よ」

未央「これは……ファンレター?」

牛股「左様、ファンから本田への手紙であるぞ」

牛股「このファンは、本田の復帰を希望しておる」

未央「…っ…」

牛股「わしでは本田の代りにならぬ、とな」

未央「…うっ…」

牛股「良いか。ファンの前で行うライブにおいては…」

牛股「ファンのため存分に芸を尽くすのが、アイドルたる者の務めである」

牛股「自己が舞台の前に、ファンが一人でもおれば」

未央「あ…あああ…あ」

牛股「よろこんで歌って踊り、芸を披露するのがアイドルの本懐である」

未央「あああああああああ」

止むことの無い未央の嗚咽は、アイドルの終焉を示すものだろうか



これは産声… 新たなるアイドルの産声である

ファンは、まだ未央を見放していなかった


牛股「ニュージェネレーションをやめにいたすか、本田」

未央「……」

牛股「やめにいたすか、アイドル」

未央「やめ…」

牛股「左様か」

未央「…や」

牛股「やめると申すのだな」

未央「やりたいです、やります!命にかえても、アイドルやります!」

牛股「でかした!!」

――翌日


未央「未央ちゃんが復帰しちゃうよー☆」

凛「未央!心配したよ」

卯月「また、皆でアイドルができますね!」

牛股「わしは嬉しい」

未央「レッスン、がんばろーね!」

未央「しぶりん、しまむー…そしてプロデューサーも一緒だったら、どんな所だっていけるよ!」

牛股「お主らが並んでおる…我らは346プロ…」

卯月「はい!」

牛股「共に汗を流し」

凛「さぁ、4人揃ったね。しっかりレッスンしよう」

牛股「芸を磨く同胞(ニュージェネレーションズ)ぞ」

おわりです

ありがとうございました

ひょっとしてこのシリーズ続くのか?

>>39
シグルイは死桜が咲く作品でございますれば
あまりに原作ネタを用いては
折角の一芸のアイドルが… うぶ!

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