兎角「私は走り鳰が嫌いだ」 (141)

時期的には卒業式直前辺りです。

エロあり。

兎鳰晴の3P描写があります。

ひどい感じに絡ませているので苦手な方はご注意ください。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1430829754

兎角「……なんでお前がここにいる」

1号室の扉を開いて最初に目に映ったのは、ソファに座って談笑する晴と鳰の姿だった。

赤みがかった陽が差し込んで、二人を含めた部屋全体が温もりに満ちている。

頬に差さるオレンジ色の光が晴にはよく似合っていた。

鳰「えっ!?卒業祝いって聞いてないっスか!?」

慌てた様子で晴と兎角を交互に見る鳰。

ぱたん、と後ろ手に部屋の扉を閉めて鳰を真顔で見つめ返す。

兎角「……なんでお前がここにいる」

1号室の扉を開いて最初に目に映ったのは、ソファに座って談笑する晴と鳰の姿だった。

赤みがかった陽が差し込んで、二人を含めた部屋全体が温もりに満ちている。

頬に差さるオレンジ色の光が晴にはよく似合っていた。

鳰「えっ!?卒業祝いって聞いてないっスか!?」

慌てた様子で晴と兎角を交互に見る鳰。

ぱたん、と後ろ手に部屋の扉を閉めて鳰を真顔で見つめ返す。


兎角「聞いてる。冗談だ」

鳰「趣味悪いっス!」

鳰が即座に立ち上がって鋭く詰め寄ってきた。

卒業式の後、パーティのようなものをしたいと晴から相談を受け、その時に二人だけでなくても構わないと告げたのは兎角の方だ。

放課後に集まる約束で、17学園に通う兎角が遅れて参加する形となった。

兎角「お前にだけは言われたくない」

半眼で頭を押さえつけて鳰を遠ざける。


さらに何かを言い返そうとして息を吸う様子が見えたが、鳰が声を出すより先にソファの方から衣擦れの音がした。

晴「兎角さん、喧嘩はダメだよ」

その場に立ち上がり、心配そうに見つめてくる晴に目を向けてまた真顔で返す。

兎角「喧嘩じゃない」

晴「なら、いいけど……」

半信半疑といった顔だが、別に信じてもらえなくたって構わない。

不機嫌な顔をする鳰の横を通り過ぎて部屋の奥に進むと、いつもとは違う甘い匂いがした。


兎角「変わった匂いがする」

鳰「竜涎香っス。珍しい香なんスよ」

鳰が指差した先にあるテーブルの上を見る。

香炉に詰めた灰の上に煉香が乗っていて、そこから細い煙が立ち上っていた。

嫌な匂いではなかったので、兎角は特に気にせず晴の隣に並んだ。

兎角「卒業祝いってなにするんだ?」

晴「お菓子食べたりジュース飲んだりして、みんなでお話しするだけでも楽しいじゃない?」


兎角「そういうものなのか?」

晴がソファに座るのを確認して兎角も隣に腰を下ろす。

香が漂う中でも晴の匂いははっきりと感じられた。

日向の匂い。

鳰がいなければ、晴の肩に頭を置いて寄り添っていたかもしれない。

兎角は座る際に手に持った袋をテーブルに置いた。

晴「それは?」


兎角「ケーキだ。こういうものがあった方がいいとアドバイスを受けた」

17学園で手土産の相談をした時の、クラスメイトの驚いた顔は今でも覚えている。

暗殺者なんてみんな自分と同じように朴念仁なのだと思っていたのに、意外に俗っぽい趣味を持った人間がいた。

それは黒組内でも同じ事で、暗殺者でも趣味を持とうが、好きなものがあろうが自由なのだという事を知った。

鳰「兎角さんにしては気が利いてるっスね」

兎角「あまりこういう物が分からないから適当に店で選んでもらって来た」

晴「ありがとう、兎角さん。すごく嬉しい」


にっこりと目を細めて笑う晴が眩しくて、目を合わせていられなかった。

テーブルに置いたケーキを気にする振りをして、痒くも無い頭をぽりぽりと掻く。

兎角「それは……、まぁ、良かった」

鳰「照れてるっスか?結構可愛いところあるんっスねー」

ずいっと兎角の隣に腰を押し込み、無理矢理ソファへと座る鳰。

兎角は鬱陶しげに鳰を睨んで見せたが、そんな事で怯む相手ではない事は分かっている。

兎角「お前の分まであるとは言ってない」


鳰「えー!?ひどいっス!!」

睨んでも崩れなかった鳰の顔が悲しみに歪む。

あんまり極端に反応するものだから、無愛想な兎角でも思わず笑ってしまった。

兎角「ぷっ……、冗談だ。人数分ある」

鳰「兎角さん。変な茶目っ気覚えなくてもいいっス……」

面白がっている事がばれてしまって、鳰が恨めしそうに見てくる。


ふと口元を緩めたまま晴を見れば、きょとんとした表情でこちらを見つめていた。

兎角「なんだ?」

晴「鳰と仲良いなって」

意外そうな顔をする晴を見て、兎角は眉根を寄せた。

鳰と仲がいいなんて言われると、少しばかり心持ちが悪い。

兎角「やめろ。そんなわけあるか」

鳰「いいじゃないっスか。ウチ、兎角さん好きっスよ」


兎角「私は嫌いだ」

すり寄ってくる鳰の頬を押しのけるが、負けじと押し返してくる。

鳰「またまたぁ。もう裁定者じゃないんスよー?」

兎角「裁定者じゃなくてもお前は嫌いだ」

鳰「意地悪っスー!」

目を潤ませて叫ぶ鳰をとりあえず無視して、兎角は晴がいつの間にか用意してくれていたコップに手を伸ばした。


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こんばんは。見てくださってありがとうございます。
1,2週間程度で完結出来ると思いますのでよろしくお願いします。


兎角がケーキを口に運んでいると、鳰がちらちらとこちらを見ている事に気が付いた。

鳰「なんかそっちのケーキの方が良かったんじゃないかって思っちゃうっス」

兎角「他人の物が良さそうに見えてるだけだろ」

鳰「兎角さんもウチのケーキのが美味しそうに見えるっスか?」

鳰の手元にあるケーキを見てから、自分のケーキに目を落とす。

兎角「私はケーキなんてほとんど食べた事がないから違いがよく分からないんだ」

買いに行った時にも聞いた事のないような洋菓子ばかりで、自分が買ってきたものが一体なんなのかも分かっていない。


鳰「じゃあこっちも食べてみるっスか?」

兎角「いいのか?」

鳰「どうぞっス」

ケーキの端をフォークですくい取り、兎角に向けて差し出す。

兎角が口を開くと、そのタイミングに合わせて鳰が丁寧にケーキを押し込んだ。

兎角「……やっぱり違うんだな」

当たり前の事を呟くと、鳰が少し笑った。


バカにされているのかと思ったがそれはとても嬉しそうな表情で、兎角は無意識に魅入ってしまっていた。

晴「兎角さん、鳰の事嫌いなの?」

隣から聞こえた声に、はっと我に返る。

鳰「いやいや、晴。イジメっスか?なんでわざわざウチの心エグるんスか?」

兎角「嫌いだけど……」

鳰「ほら。『だからなに?』ってくらいの顔してるっスよ?」

不機嫌に口を尖らせる鳰を視界の端に残して晴に目を移すと、彼女は兎角と鳰にそれぞれ視線を配った。


晴「こんなに仲良いのに?」

兎角「どこがだ」

晴「晴そっちのけじゃないですか」

兎角「バカを言うな」

むしろケーキのくだりに入る前は、以前の図書室を彷彿とさせるくらい鳰と晴が仲良くしていてなかなか割り込む事が出来なかった。

なのにそっちのけなどと言われる筋合いはない。

鳰の反応が気になって向き戻ったが、彼女は兎角の持つケーキをじっと見つめていた。


兎角がくいっと皿を差し出すと、鳰は遠慮がちに上目遣いをした。

無言で頷いて、鳰の手元に皿を押し付ける。

途端に鳰の目は輝き、一口大にケーキをすくい取って口へと運んだ。

鳰「やっぱりこっちも美味しいっス!」

幸せそうに笑う鳰の表情は黒組の頃ともあまり変わらなくて、その笑顔の真実と嘘の区別が今でもつかない。

ここでは嘘をつく理由はなかったから真実だと分かっても、そんな状況的な判断でしか本音を推し量れないのは残念に思う。

鳰は口に含んだケーキを飲み下すと、激しい勢いで兎角に密着してきた。


鳰「兎角さん、ウチのこと好きっスか!?」

兎角「嫌いだって言ってるだろ」

こういうお調子者な所は本当にめんどくさい。

ふざけているか、からかっているかのどちらかだとしか思えない。

鳰「ひどいっス……」

力が抜けたようにするりと鳰の腕が滑り落ちていく。

突然のどんよりとした空気に兎角は口元を引きつらせた。


兎角「な、なんだよ」

晴「兎角さん、ダメだよー」

子どもを叱るみたいに眉根を寄せ、兎角の頬を軽くつまんだ。

兎角「お前、今まであんな事されといて……」

晴「晴は別に気にしてないもん」

そうだろうなと思いながら嘆息する。

赦して、赦されて、何もなかったように振る舞えるのは大した事だと思う。


それにやり返す覚悟もあるのだから、一方的にやられたなんて思ってもいないのだろう。

兎角「……悪かったよ」

晴に免じて、彼女の友人である鳰に詫びた。

すると鳰は即座に顔を上げて両肩に掴みかかってきた。

鳰「じゃあ好きなんスね!?」

兎角「なんでそうなる!嫌いじゃないってだけだ!」

あまりの剣幕に喉の奥から驚きの声が漏れかけて、なんとか怒声で誤魔化す。


気付けば皿の上で倒れたケーキが兎角の親指に乗っていた。

晴「兎角さん。手にクリームついてるよ」

そんな事は見れば分かる。

こんな二人を隣に置いてテンポを乱さない晴には感心するばかりだった。

兎角「ちょっと手を洗ってくる」

嫌な気分ではなかったが、こんなに興奮する事は滅多にないせいか、少し息をつきたくて兎角は席を立った。


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兎角「……どういうことだ、これは」

数分程度でソファに戻ると晴が二人いて、全く同じ動作とタイミングで口を開いた。

晴『どっちが本物でしょう!』

同じ声が重なるとこんな風に聞こえるのかと明後日な事を考えながら兎角は眉をひそめた。

兎角「見分けが付かない」

兎角は正直に答えた。

効果を上げるために香を強くしたようで、室内には煙がうっすらと立ち込めている。


ならばと日向の匂いを探してみるが、呪術に影響されているのか全く鼻が利かない。

晴「兎角さんの愛で見分けてください」

兎角「葛の葉の呪術は本物だぞ。簡単に言うんじゃない」

一緒に過ごしてきた勘を頼りに晴の仕草を探ろうとするが、二人ともソファに座ったままろくに動きもしない。

晴「確かにそっくりだよねー。兎角さんの時も見た目じゃ全然分かんなかったもん」

いたずらっ子のように無邪気に笑う姿を素直に受け入れる事が出来ない。

もしかしたら鳰かもしれないと思うと、姿形だけで気持ちを揺らすのは意地でも避けたかった。


兎角「とにかく、悪ふざけはやめろ」

晴「どっちが本物かだけ言ってくれたら戻るよ」

さっさと二人の遊び心を満たしてやればきっと気が済むのだろう。

例え間違ったとしても自分のプライドが傷付くだけだ。

兎角「分かった。じゃあ……」

当てずっぽうで答えても五割。

鳰の術の完成度については晴も体感済みなのだから、当てられなくても怒ったりはしないはずだ。


兎角は迷いもせずに適当に指先を上げ——。

晴「待って。どっちか当てる時に、本物だと思う方にキスしてください」

弾かれたように兎角は口を開いた方の晴を睨んだ。

兎角「は!?バカか!間違えたらどうするんだ!」

発言したのは鳰だと思ったが、二人とも同じ表情でにこやかに佇んでいる。

晴「兎角さんなら見分けてくれるって思ってるんだけどな」

二人が喋る度に、どちらも晴のような気がして、どちらも晴ではない気がした。


晴「でもこれだけそっくりだったら難しいよね」

晴「鳰の呪術ってすごいんだね。兎角さんでも無理かなー」

ピクリと眉間に皺が寄るのを感じた。

西の葛の葉なんて一度も気にした事はなかったが、晴に言われるのは面白くない。

兎角「……いや待て。ちゃんと当ててやるさ」

意地になっている自覚はあった。

最初に寮長を引き受けた時も、変な意地が働いて後々面倒になった事は覚えていたが、結局教訓になっていない。


晴「じゃあ、外れたら罰を与えますからね?」

楽しそうにはしゃぐ姿は晴そのものだった。

――本物はこっち?

勘ぐっている事を見透かされているのか、晴は兎角と目を合わせて、くすっと余裕のある笑みを向けてきた。

兎角「私が当てたら?」

晴「おいしいカレー屋さんを教えてあげます!」

兎角「よし。別にカレーに釣られたわけではないがやってやろうじゃないか」

こんばんは。
早速ばれてますね…。前から3P書くって言ってましたしね。
いつもありがとうございます。
今日もよろしくお願いします。


拳を握り締めて気合を入れていると二人とも呆れた顔をして兎角を見ていた。

晴「どれだけカレーが好きなんですか……」

ため息を漏らす晴を横目に、もう一人の晴に兎角は視線を送る。

兎角「転校初日の私の夕飯は?」

晴『カレー』

二人の晴は同時に同じ表情で迷う事なく答えた。

晴「質問で見分けようとしても無駄ですよー」


晴「本物にしか分からないことは答えませんからね?」

つまりは駆け引きをするつもりはないという事だ。

晴「というか、質問ももうちょっと選んで下さい」

晴「カレー以外ロクに食べもしないのに。その場にいなくたって分かりますよ」

兎角「うるさいほっとけ」

目的が分からない。

戸惑いが焦らせているのか、兎角は背中がじっとりと汗ばんできているのを感じた。


兎角「分かった」

もはや勘を信じるしかないと覚悟を決め、片方の晴の頬に手を添える。

晴「兎角さん……ん……っ」

迷いはなかった。

しっかりと口付け、十分に時間をかけて唇を味わう。

間違いない。

晴の感触だ。


兎角「……どうだ?」

ふぅっと息を吐き、もう一人の晴を見る。

晴はにっこりと愛想のいい笑顔を向けるだけで口を開かない。

鳰「はずれっスー!」

口付けた方の晴から鳰の声が聞こえて、兎角は一瞬言葉を失った。

兎角「なっ……!」

選ぶまではともかく、キスをした感触は晴に間違いないと思ったのに。


鳰「残念でしたー」

ショックのあまり兎角はその場に膝をついた。

晴への罪悪感が溢れ、ぐっと目を閉じて堪える。

晴「見た目だけじゃなくて、仕草もそっくりだったもんね」

鳰「はいっ、兎角さんには罰を与えるっスよー?」

いやらしく笑う鳰の姿に腹が立った。

しかし自ら挑んだ以上、潔く負けは認めるべきだ。


未熟な自分に辟易しながら、怒りを抑え込んだ。

兎角「約束だ。仕方ない」

息を漏らして立ち上がると、晴と鳰が顔を見合わせてにっこりと笑った。

晴「兎角さん、ほらこっち」

兎角「お、おい」

ベッドのある方へと背中を突き飛ばされる。

珍しく乱暴な手付きに戸惑いを隠せない。


晴を振り返るとさらに踏み込んでくるのが見え、今度は抱きつかれた。

兎角「はるっ……!?」

軽く抱きとめるつもりが、思った以上に勢いがあって兎角はベッドに押し倒されてしまう。

兎角「どうしたんだ」

なぜか警戒心が働いて、兎角はすぐに身を起こしてベッドの中央に寄り、晴から少し距離を取る。

兎角「晴?」

再度呼び掛けても返事はない。

そろそろ犬の散歩に行ってきます。
3、40分で戻ります。


ベッドに膝をついてじわじわと寄ってくる晴。

兎角は危険な匂いを感じて後ずさった。

晴「晴ね……?」

顔を寄せてくる晴の頬は赤みが差していて、目が潤んでいた。

それに合わせたように兎角の体もなぜか熱くなって、口の中が乾いてきた。

晴「3人でえっち、してみたかったんだ……」

兎角「は!?」


突然の発言に兎角は耳を疑った。

兎角「何を言って——!」

兎角の言葉を遮り、晴が強引に口付けてきた。

舌が割り込み、ひなたの匂いが鼻腔をくすぐる。

間違いなく晴本人だ。

暖かい舌の感触に下腹部が疼く。

少し視点を変えれば鳰の姿が目に映るこんな状態で何を考えているのかと自分の神経を疑った。


兎角「晴、やめろっ」

語気を強めると晴は一旦離れたが諦めたようには見えない。

晴「兎角さん、約束したよね?」

兎角「そう、だけど……」

後ろめたさが勝り、体の力を抜くと晴は兎角の後ろへ回り込んだ。

そして兎角の体を引き倒し、両手首を上から押さえつける。

頭の上から逆に見下ろしてくる晴の目は優しいながらも何か意味深な光を潜めていた。


晴「におー」

しばらく傍観していた鳰がこちらへ歩いてくる。

兎角「でもこういう罰は無しだろっ!」

倫理観や道徳心といった言葉が頭をよぎるが、暗殺者である兎角にはそれを口にする事はできなかった。

もっとも、これとそれとではまた話は違うのだろうけど。

本気で抵抗をすれば晴の腕を振りほどいて逃げる事は難しくない。

いくら罰を受けると約束したとはいえ限度はある。


鳰「ウチは兎角さんも晴も好きっスよー」

鳰が兎角のそばで膝をつくと、彼女の小さい体に合わせてベッドが揺れた。

兎角「そういう問題じゃ……!」

じわじわと近付いてくる鳰を目で威嚇するが彼女は怯みもせず、にやけた顔で兎角の体を視線で撫でる。

しかし兎角はそんな鳰の様子に嫌悪するわけでもなく、肌がピリピリと性的に反応するのを感じていた。

晴「じゃあ兎角さん、見てるだけでいいよ?」

鳰「晴とウチで……」


兎角を見下ろしていた晴の視線が前に向き、手首の拘束が緩む。

二人の視線が交わって、晴が身を乗り出した。

兎角「だ、ダメだ!だったら私が……」

兎角が声を荒げると、晴は元の体勢に戻ってまた兎角を見下ろした。

目を細めるその顔は無邪気な悪魔だった。

完全に手玉に取られている。

鳰「兎角さんも結局興味あるんっスね」


ついに鳰が兎角に触れた。

膝から太ももにかけて手のひらを滑らせていく。

兎角「っ……違う!」

冷たい指先に反応して、体がぴくりと跳ねた。

鳰「冗談っスよ。竜涎香って催淫効果があるんです」

兎角「催、淫……?」

鳰「大丈夫っス。ウチの改良も入ってるから、今の気分は全部香のせいなんスよ」


確かにさっきから体が熱い。

鳰は兎角の腰の上にまたがると、シャツの裾から手を差し込み、手早く下着の留め具を外してしまった。

兎角「待っ……!」

反射的に抵抗をしようとするが、晴が顔を覗き込んでくる。

晴「暴れちゃダメ」

兎角「ん……っ」

晴は兎角の口を塞ぎ、すぐに舌を絡ませてきた。


口の端から混ざり合った唾液が流れ出す。

兎角「ぁ……ふっ、んぐっ」

一方的ではなく、いつの間にか舌を返していた。

もはや兎角も理性を失いかけていた。

鳰「触るっスよ?」

鳰の声と同時に胸の先に刺激が走った。

兎角「んっ……んんっ!?」

今日はこの辺で失礼します。
次は月曜の夜になると思いますので、また気が向いたら見てやってください。
よろしくお願いします。

いつもありがとうございます。
今日はエロ入りますのでご注意ください。
相変わらずだらっと長いです。


兎角の体が震えると、晴がキスをやめてまた上から兎角を眺め始めた。

鳰の方を見れば兎角の胸を服の上から揉んでいる姿が映る。

鳰「兎角さん、おっぱい小さいっスね」

文句を言おうとしたが、声を出してしまうと感度のいい声を漏らしてしまいそうで下手に口を開けない。

鳰「ほら、硬くなってきたっスよ」

先の形がくっきりとシャツに浮き上がる。

そこを押しつぶすくらいに爪で擦られると、いつもより強い刺激を感じた。


兎角「っ……!!」

なんとか声を出すのは耐えたが、そんな姿を面白がっているのは鳰の顔を見ればすぐに分かる。

鳰は続けて胸の先に顔を近付け、兎角から見えるようにわざと舌を出してちろちろと舐め始めた。

あえて見ないように顎を上げると晴と目が合った。

兎角「見る、なっ」

晴「可愛いよ、兎角さん」

晴の吐く息が熱く、どこか浮ついたような目をしている。


兎角「お前っ、何かしたんじゃないのか!」

鳰「これ言い出したの晴っスよ。というかウチからそんなの言うはずないっス。兎角さんと理事長に殺されますよ」

半信半疑で晴を見上げると彼女がまたキスをしてきた。

触れ合う程度の浅いキス。

晴「ほんとだよ?晴が誘ったの」

兎角「なんで……」

晴「ひみつ」


晴は兎角の額にキスを落として鳰を見た。

まるで合図を送るように見つめ合った後、鳰の視線が兎角のシャツに向けられた。

体を動かすと鳰の唾液で湿った部分が胸の先に張り付いて、そんな刺激にすらも今の兎角は敏感に反応してしまう。

鳰「言ったでしょ、香のせいだって。今だけ、騙されたと思って楽しみましょう」

ボタンを一つずつ丁寧に外して前を開くと、鳰は兎角の体を上から眺めた。

鳰「体、綺麗っスね」

鳰の指が体を這う。


大事な物を扱うような優しい手付きに嫌悪感はなかった。

きっとそれは香のせいで、今胸が高鳴っているのは晴に見られている羞恥心からだ。

兎角「んっ……」

腰に指先が触れ、体がぴくりと跳ねた。

鳰「冷たかったっスか?」

気遣うように兎角を覗き込み、今度は指でなく舌を当てる。

兎角「ぁうっ……!」


鳰「感じてくれてるんスね」

穏やかな声で笑い、鳰は兎角の胸に吸い付いた。

舌が小刻みに先を転がし、ぐにぐにと押さえ付けられるのが分かる。

鳰「兎角さん、乳首好きなんだ」

鳰の口が離れて、見せつけるように舌を這わせる。

もう片方の胸には手を当て、全体の柔らかさを楽しんでいた。

兎角「ふぁっ、ぅ……、んンっ!」


自分の声を耳にしながら、体がいつも以上に敏感になっている気がした。

鳰「声、可愛い」

兎角「ぅ……はぁ……、ぁ……」

胸への刺激が止み、息をついていると鳰が下半身に手を伸ばしたのが見えた。

兎角「そっちは——っ!」

体を起こそうとして晴に手首を強く押さえ付けられる。

晴「だめ。もっと感じてる顔見せて?」


兎角「はる……」

だんだんと感覚が麻痺していくのが分かる。

気が付けばすっかり体は熱くなっていた。

鳰が下着を脱がし始めていたが、兎角はもう抵抗しなかった。

鳰「やっぱりもうぐしょぐしょっス」

指先が中心に触れ、撫で回す感触が伝わってくる。

兎角「はぁ……っぅ!」


鳰「まだ穴の周りだけっスよ?これだけ反応がいいと、ウチも楽しいっス」

鳰は兎角の脚の間に入り込むと、ぐっと太ももを押し広げた。

鳰「綺麗にしてあげるっス」

そう言われた直後、局部にぬるりと濡れた感触が這い回った。

兎角「あっ……!ぅくっ……」

わざと音を立ててそこをすすり、穴の中へと舌を差し込んでくる。

鳰は兎角の太ももを肩で押し上げ、腰回りを見せつけた。


鳰が股に顔を埋めて舌を当てている姿がはっきりと見える。

時々太ももの裏に口付けて、赤い跡を残していく。

鳰「ここ、ぴくぴくしてるっスよ。」

陰核を指先で押し潰されて、腰がびくんっと勝手に跳ねた。

鳰の指が揺れる度にびりびりと電流が走る。

兎角「あっ!っふ……ぅ、ぅあっ!!」

腰だけでなく、全身が震えて陰核からの刺激以外が分からなくなった。


耐えられなくて身をよじると鳰が兎角の反応に気付いて手を止めた。

鳰「ここ弱いんっスね……。大丈夫っスか?」

気遣うように鳰の手が兎角の頬を撫でる。

晴よりもひと回り小さい手。

指が唇に触れた時、兎角はそれを舌先で舐めた。

なぜそうしたのかは分からない。

鳰「入れていいっスか?」


最初からそのつもりだったくせにと頭の中で悪態をつくが、悪戯や嫌がらせでこんな事をしているようには見えなくて、兎角の心は穏やかだった。

しっかりと彼女の目を見てみれば、不安げに瞳を揺らしている。

——なんでそんな顔をするんだ。

そんな風に聞いてみたかったが、きっと彼女は答えないか、はぐらかしてしまう気がした。

鳰の体に触れたらその答えも分かるだろうか。

自分の中心からとろりと熱いものが流れた。

体が疼く。


これから兎角は二人に蹂躙される。

なのに体は熱くて、理性が働かない。

兎角「いいよ……」

兎角が答えると鳰は一度目を丸くして、にこやかに笑った。

見慣れたはずの彼女の笑顔が新鮮に感じる。

なぜかを考えているうちに鳰に指が兎角の中心にあてがわれた。


緊張はしていない。

嫌悪感は始めからなかった。

流れ出した体液を塗りつけるように穴の周りを撫で、ゆっくりと遠慮がちに指は押し進められた。

兎角「……ん、くっ……、あぁ……っ」

まだ入ったばかりなのに体の芯がぞくぞくと震える。

押さえ付けられた両手のせいで無防備に晒された胸がぴりぴりと疼いた。

気持ちいい。

もっと刺激が欲しい。


晴を見上げると、興奮気味に兎角の下半身に目を向けていた。

おそらく彼女の目には今、鳰の指が出入りする大事な部分が映っている。

晴「犯されてる兎角、可愛い……」

じっと見られている事が恥ずかしいはずなのに、心のどこかで見られたいと思っている。

下腹部の奥に力が入り、自然と股が広がった。

晴をもっと興奮させたい。

鳰「兎角さんのここ、中がすごく締まってきたっスよ」


肉壁を指で押し広げられる感覚。

兎角「ふぁっ、あっ!んんっ……ぅ!!」

声が抑えられない。

激しい指遣いに合わせてぬちゃぬちゃと粘り気のある水音が響いた。

その音だけでどれだけ濡れているかが分かってしまう。

鳰「晴」

鳰が晴を呼ぶと、中で暴れていた異物の感覚が消えた。


兎角「ぁ……」

離れていくそれが名残惜しかったが、体がうまく動かない。

ベッドに身を預けたまま胸を上下させて息を整えていると、鳰が晴に向けて濡れた指を差し出した。

晴「兎角さんの、えっちなお汁……」

舌を出してそれを舐め、鳰の指をしゃぶる。

ちゅる、と音を立て、満足げに息を吐く晴の顔は幸せそうだった。

鳰「キス、してもいいっスか……?」


一通り指が綺麗になると、鳰は兎角の上に覆い被さった。

控えめに覗き込んでくる鳰の目はまだ不安そうにしている。

兎角は何も答えない。

どう答えていいか迷っていたが、鳰が近付いてきても避ける気はしなかった。

鳰「ん……」

唇が重なり、何か物足りなくて舌を差し出す。

鳰が息を呑む様子が伝わってきたが、すぐに彼女も舌を絡ませてきた。


手と同じように舌も晴よりもひと回り小さくて、唇の厚さも吐息の濃さも晴とは違った。

一旦離れると、顔の角度を変えてまた口付けられる。

何度も繰り返しているうちに愛しさが湧いてきて、自分から頭を上げて鳰の唇を求めていた。

鳰「と、かくさん……、もう一回、入れていいっスか……?」

息を乱して、もう我慢ができないといった雰囲気だった。

それはきっと自分からも同じ気配を出しているのだろうと思う。

言葉で応える代わりに、兎角は脚を開いて鳰を誘った。


鳰は愛しそうにその部分を見つめ、周りを撫でながら中へと指を差し入れた。

兎角「んくっ……!!あぁあっ!あぅっ!」

さっきよりずっと心が湧き立った。

腰が浮き、鳰を求めると彼女は兎角の体を抱きしめた。

首や鎖骨に吸い付いて跡を残していく。

不意に手首の拘束が解かれた。

兎角「は……る?」


晴「兎角さん……」

晴が膝をついて見せつけるように自らの下着をずらすと、透明な粘液が糸を引いていた。

晴「兎角さんが犯されてるの見てたら、こんなになっちゃった……」

兎角は身を起こして晴と向かい合い、彼女のスカートを捲り上げる。

その間に鳰の指が抜け落ちていたが、今は晴の事で頭がいっぱいだった。

晴の濡れ具合に兎角はごくりと喉を鳴らした。

兎角「晴、座って……」


晴に足を開かせ、そこへと顔を寄せる。

充血した中心から溢れ出る体液を舐め取ると晴の体がぴくんと反応した。

晴「あっ……、ん」

続けて指でそこを広げて中へと舌を差し込もうとすると、後ろから腰を掴まれた。

鳰「兎角さん、誘ってるんスか?」

晴に夢中で自分の体勢に気が回らなかった。

鳰「お尻突き出して、犯してくださいって言ってるようなもんっスよね?」


興奮の混じるにやけた声。

指は兎角の中心に添えられ、すぐにでも入り込んできそうだった。

しかし鳰は焦らすように穴の周りを撫でている。

兎角はそれに構わないよう意識を晴に向け、彼女の中に舌を入れた。

晴「ぅ……んんっ!」

耐えるような声が脳の奥にまで響いてくるみたいだった。

舌を抜いて何度も晴のそこを舐め回し、体液をすすっている途中でついに後ろから鳰の指が突き込まれた。


興奮の混じるにやけた声。

指は兎角の中心に添えられ、すぐにでも入り込んできそうだった。

しかし鳰は焦らすように穴の周りを撫でている。

兎角はそれに構わないよう意識を晴に向け、彼女の中に舌を入れた。

晴「ぅ……んんっ!」

耐えるような声が脳の奥にまで響いてくるみたいだった。

舌を抜いて何度も晴のそこを舐め回し、体液をすすっている途中でついに後ろから鳰の指が突き込まれた。


自分の体の奥から溢れ出す熱い体液が、犯されている事とそれを見られている事を合わせて出てきたものだと自覚した。

淫乱だ。

そんな事実がまた性に対する熱情を誘う。

誤魔化すように兎角は晴に指を突き込んだ。

晴「ぁあんっ!ひ……ぁっ!!とかくぅ、もっと……ぉっ!」

兎角を見ながら股を濡らしていた晴はずっと我慢していたのだろう。

中が熱い。


止めどなく溢れる体液は、兎角の手のひらを伝って流れ落ちていく。

兎角「は、ぁっ……!あぅっ!ぅ、んっ!!」

意識が浮ついて、下腹部から痺れたような感覚がせり上がってくる。

まるで晴と快楽を共にしているようで余計に体は悦んでいた。

ひなたの匂いとは違う、晴の中心から舞い上がる女の匂いが兎角の脳を刺激する。

鳰「中、すごい締め付け……。兎角さん、イキそうなんスね。もっとかき回してあげるっス」

中で指が暴れ回り、内側から強く圧迫される。


自分の限界を感じて、兎角も晴の中で指を激しく動かした。

狭くなってくるそれを押し戻すように、強く、荒々しく掻き乱す。

晴「ひっ、ぅ!!とかくぅ……ぁんっ!そこ、ぉ、もっと、だ、め……、イッ……!ああ——っっ!!」

淫らに声を上げ、晴の体がこわばる。

中が強く締まり、びくびくと肉壁が震えた。

晴が達したのを確認すると、兎角も意識を自分の下半身に向け鳰の指を受け止める。

晴に続いて自分の限界も目の前だった。

兎角「ふあぁっ!あっぐ……!ぅうっ!ぅああっ——!」

頭が真っ白になって、兎角はその場に倒れ込んだ。


------------


恐らく意識を失っていたのはほんの数秒だと思う。

だるい体を起こすと晴が抱きついてきた。

晴「兎角さん、大好き……」

兎角「晴……」

声がかすれる。

少し、声を出しすぎたかもしれない。

晴を抱きとめ、後ろを見れば居心地悪そうな鳰の姿が映った。


兎角「……楽しかったか?」

晴の体を離して不機嫌な声を出してみる。

鳰「ウチは、楽しかったっスけど……」

困ったように笑う仕草が、不覚にも可愛いと思ってしまった。

兎角「じゃあ、いい」

鳰「えっ、いいんスか!?」

兎角「う、うるさいっ。お前を怒ったら、晴にも怒らなきゃいけなくなるだろ」


晴に視線を戻すと、彼女は悪びれもせずに愛想よく笑っていた。

鳰「ほんと仲良しっスね」

兎角「……甘やかしている自覚はあるけどな」

ふと本音を漏らすと鳰は嬉しそうに目を細めた。

鳰「ウチは十分満足したっスから、今日のところは部屋に戻るっス」

鳰はベッドから降りてピースサインを二人に向けるとさっさと出て行ってしまった。

それを見送って、また晴に向き直る。


兎角「しかし、お前。とんでもない事をしたな」

晴「やっぱりダメ?」

兎角「いいわけがないだろう」

晴「でも兎角さん、気持ち良さそうだったよ」

晴に指摘され、自分の有様を思い出す。

香のせいとはいえ、晴以外に股を開いて、体を許した。

それどころか、心までもが揺らいでいたのだからあまり強く言えない気持ちもある。


兎角「あいつもあいつで、節操ないな」

晴「なんで?」

兎角「だって私達にあんな事を——」

晴「鳰が触ったの、兎角さんだけだよ?」

はっとして兎角は鳰の行動や言動を思い出した。

兎角「あいつ……!!」

兎角は慌ててベッドを降り、いつもより動きの悪い脚を無理矢理動かした。


乱れた服を中途半端に直しながら部屋を飛び出す。

7号室のある方に目を向けると、のろのろと歩く鳰の背中を見つけた。

即座に走り出し、鳰を追う。

兎角の気配に気付いた鳰がこちらに振り向いた。

鳰「えっ、なんスか!?」

目を丸くして驚く鳰に向かい合い、兎角も硬直した。

兎角「あ……」


追いついたはいいが、衝動的に走り出したので何を言おうとしたのかは自分でも分からない。

何を思って慌てて走り出したのかもよく分からなかった。

鳰「ていうか、兎角さん。なんて格好を……」

鳰の視線を追って、今の自分の姿を見返す。

シャツのボタンは閉じきれていなくてはだけている。

このくらいならとあまり気にはしていなかったが、いくら他の部屋には誰もいないとはいえ、はしたなかったなと反省する。

鳰「……まさか、ぱんつ履いてないなんて事はないっスよね?」


兎角「あっ……!!」

図星だった。

素直に表情に出してしまい、もう隠す事も出来ない。

鳰「バカなんですか……」

兎角「あ、慌ててたんだ!仕方ないだろ……」

鳰「慌ててたって、ウチを追いかけるのに?」

鳰の目が光った気がした。


思わずその気配に後ずさるが、鳰の動きが早い。

鳰「ダメっスよ、兎角さん?女の子なんですから、こんな格好で人前に出たら酷いことされても文句は言えないっスよー?」

体を壁に押し付けられ、強引にシャツを引きちぎられる。

ボタンが飛び、胸がはだけると、鳰は間髪入れず下着を上にずらしてその先へと吸い付いた。

兎角「うぅ……っん!!」

鼻の奥にかかったような声が自然と流れ出た。

鳰の口が離れて、視線が上を向く。


空いた唇に兎角は反射的に自分から口付けて、舌を強引にねじ込んだ。

鳰「んんっ、ふ……っ、ぅ」

鳰も激しく舌を絡ませてきて、お互いの口の端から唾液が流れ出る。

夢中で鳰の唇と舌を貪っていると、下半身を弄られ、異物が入り込んだ。

兎角「んぅぅっ!?」

驚きに体がびくんっと跳ねたが、鳰から離れたくなくてさらに深く口付けた。

兎角「ぁっ……!!んぐ……ぅんっ!!」


息が苦しくてお互いに唇を離して、また吸い付いて。

そんな事を繰り返しているうちに兎角の体が壁伝いに落ちていった。

足に力が入らない。

それを支えながら鳰もその場に座り込み、兎角の中をかき回し続けた。

鳰「ん、む……ぅ、はぁっ……!んくっ!」

鳰の首に腕を回して何度も何度も口付ける。

目の前にあるこの温もりにだけ意識が集中していた。


口も、下も、粘膜が鳰に犯される事に快感を覚えている。

こんなにも自分は淫乱だっただろうかと頭の隅をよぎったが、下半身からの刺激と水音でそんな思考はすぐにかき消された。

鳰「はぁ……はぁ、兎角さん、すごい音、聞こえますよね。ぐちゅぐちゅって……。そんなに気持ちいいんですか」

兎角「ぁあっ、あ、はぁ……気持ちい……いっ」

羞恥心すらもなくなって、鳰の温かさに素直に包まれる。

この温もりには安心感があった。

鳰「いい子っス……」

頬をかすめる手のひら。

こめかみから髪を梳き上げて、額に軽くキスを落とす。

こんばんは。
いつもありがとうございます。
今日明日くらいで終わらせられたらと思います。
終盤までエロばっかりなんで色々申し訳ないですが、もうしばらくよろしくお願いします。


そんな事が嬉しくて兎角は鳰の手を取り、指先に口付けた。

鳰「浅いところがすごく締まって来てるっス……。イキたいっスか?」

焦らすように意地の悪い笑みを浮かべ、鳰が顔を寄せてくる。

中では緩く指が動き続けている。

もう今更恥じらいなんてものはない。

兎角「は、やく……イかせて……っ」

はっきりと伝えて、また口付ける。


激しく。

濃厚に。

唾液と息が混じり合って一つになる。

鳰「ほんと、可愛いっスね……。ほら、見てください」

鳰に促されて繋がった部分を見れば、鳰の指が3本入っていた。

白濁した体液が鳰の手をべたべたに濡らしている。

鳰「もう、イっていいっスよ……!」


それぞれの指を激しく掻き、下腹部の裏をぐりぐりと集中的に攻めてくる。

休む事無く同じところを刺激され、視界が滲んできた。

胸の奥から欲求が膨れ上がって、全身に向けてじわじわと快感が昇り詰めてくる。

兎角「んぅっ……!!あ……、ふぁ……っ!!んんっぅう!!」

びくびくと体が震え、兎角はまた絶頂を迎えた。

今度は意識が飛ぶような事はなかったが全身が脱力して動けない。

鳰の指はまだ入り込んだままで、中をゆっくりと指先でなぞり、達した後の感触を楽しんでいるみたいだった。


鳰「はぁはぁ……。兎角さん……、結構、大胆なんスね……」

兎角「……はぁ、はぁ……。こんなの、初めてに、決まってる……だろ……」

共有スペースでふしだらに性行為をするなんて今まで考えた事もなかった。

いくら黒組用の棟とはいえ、別棟へと続く廊下はあるのだから絶対に人が通らないとは言い切れない。

鳰「……これ、浮気っスよね?晴に何て言うんですか」

兎角「……香のせい、でいいんじゃないか……」

自分でも目が泳いでいるのが分かる。


鳰「廊下で焚いてない事くらい分かってんでしょ」

鳰の言う通りここでは竜涎香の匂いはしない。

まだ部屋での効果が残ってるとか、そんな言い訳を考えながらふと鳰を睨み付ける。

兎角「というか、お前が言うな。お前こそ理事長はどうするんだ」

鳰「ちゃんと許可取ってるっス。それにウチは犯されてないっスから綺麗なまんまっス!」

やっぱり性格悪いなと考えて兎角は大きく長いため息をついた。

兎角「……まぁ、晴は全部分かってて仕組んだんだろうしな」


鳰と兎角。

お互いを見る目に特別なものがあると、晴は気付いていた。

鳰はどうか分からないが、兎角にはそんな自覚は全くなくて、今でも恋愛感情のようなものがあるとは思っていない。

それでも彼女に触れているのは心地良かった。

似た者同士の馴れ合いなのかもしれない。

晴に対する愛情とはまるで違う感情。

兎角「部屋に戻るよ」


鳰「立てるっスか?」

体を支えようとしてくる仕草が優しい。

今日はずっと鳰は優しかった。

気遣うように、そして始めの時は不安そうにしていた。

鳰からの好意は至る所にあった。

それでも兎角が晴を想うのと同じように、鳰が理事長を想う気持ちと、自分達の相互関係は一致しない。

不思議な関係だったが、二人にはちょうどいいと思った。


兎角「大丈夫だよ」

足の震えが治まっているのを確認して兎角は立ち上がった。

鳰「帰ったら晴が、たぶんすごいっスよ……」

兎角「……今日はもう壊れるまで付き合う覚悟は出来てる……」

乱れた服とどろどろに濡れた下半身を前に、晴が大人しくしているはずもない。

仕組んだ本人が怒りはしないだろうが、鳰ばっかりずるい、などと言ってベッドに引きずり込まれるくらいの想像は出来る。

鳰「今日は楽しかったし……、その、たくさん満たされたっス」

目を細めて照れ臭そうに笑う鳰は可愛いと思う。


性格が悪くて、算段的で何を企んでいるのか分からないこの女が嫌いだった。

兎角「……また、遊びに来い。晴が望むなら今回みたいな事も許してやる」

そう言うと、今度は嬉しそうに肩をすくめて笑った。

鳰「兎角さん、ウチの事好きになったっスか?」

兎角「別に」

鳰「素直じゃないっスねー」

真顔で返すと鳰は口を尖らせて拗ねた。


表情がころころと変わるのは見ていて面白い。

兎角「晴にはよく素直だと言われるけど」

鳰「じゃあウチだけには素直じゃないんスね」

また嬉しそうに笑った。

兎角「今度は、嘘つくなよ」

鳰「えっ」

兎角「私、間違ってなかっただろ」


二人の晴を見分けた時の事を思い出す。

根拠があったわけではなかったが、あの時はなんとなく暖かい空気が流れてくる方を選んだ。

鳰「気付いてたんスか」

鳰は視線を逸らした。

一応罪悪感はあったようだ。

確信したのは鳰とキスをした時だった。

葛葉の呪術とはいえ、人の感触までは真似できない。


晴の唇しか知らない兎角は、鳰とのキスで他人との違いに初めて気付いた。

兎角「晴の唇の感触くらいわかる。お前のも覚えたから二度と通用しないからな」

判別の後に鳰の姿をしていたのは晴で、兎角がうずくまっている間に元に戻ったのだろう。

動揺していていつ晴に日向の匂いが戻ったのかも分からなかった。

鳰「怒ったっスか?」

兎角「そう見えるか?」

鳰「いえ」


兎角「なら怒ってないんだろ」

そう言える自分の事が不思議だった。

だからきっと、鳰の事は嫌いなんかではないのだろう。

鳰「それじゃ、またいつかお会いしましょう」

兎角「近いうち、だろ。正解だったんだから、カレー奢れよ」

鳰「紹介するとは言いましたけど、奢るとは——ま、いいっス。晴を通して連絡しますよ」

お互いに背を向けてそれぞれの部屋に向かう。


鳰には言わなかったが、兎角自身も満たされた気持ちにはなっていた。

思わず目を細め、部屋のドアノブを握ってゆっくりと扉を開く。

完全にドアが開かれる前に晴が飛びついてきた。

晴「おかえりー」

にこにこと笑いながら顔を上げ、兎角の姿を見た途端に眉をひそめた。

晴「……ずるい」

思った通りの反応だった。


晴は襲うように兎角の唇を強引に奪い、廊下へと押し出した。

兎角「お、おいっ、せめて部屋で……!」

晴「晴も外でしたいです!」

兎角「羨むのはそこじゃないだろ!」

抗議も虚しく、兎角は向かいの2号室の扉にうつ伏せで押し付けられた。

晴「兎角さん、腰引いて」

晴に腰を掴まれ、引き寄せられる。


扉に手をついたまま腰を晴に突き出す体勢になった。

兎角「なん、で、こんな……っ」

羞恥心で顔が熱くなる。

晴「すごく濡れてるよ。鳰に犯されてそんなに興奮したの?」

兎角「違っ——!」

晴「違わないよね?」

するりと晴は兎角の脚を撫で上げ、スカートをめくって尻に手のひらを押し当てた。


たったそれだけなのに兎角の体は反応してしまって、晴の手付きに期待をした。

晴「晴の指も感じてよ……」

ぽそりと晴が呟くと、直後に突き上げるように差し込まれた指が中で暴れ始めた。

兎角「ぅあっ!あ……、あぁあっ!」

晴にしては珍しく乱暴で、欲望の強い行為だった。

下の入り口が引き攣るように痛んだが、それ以上に性的な気持ち良さが勝る。

あれだけ鳰にかき回されたのにまだこんなに感じる事に内心呆れた。


兎角「ふぁっ……!あっ!あ、んっ!」

遠慮もなく声が出て、唾液がだらしなく垂れていく。

全身がびりびりとしびれている。

晴の指。

それを想うだけで全身から力が抜けてしまいそうだった。

自分の体を這い回り、中に入り込んだ晴の一部で、こんな歪んだ関係でも一つになれる事が幸せだった。

晴「まだ溢れてる……。ねぇ、気持ちいい?」


兎角「っ……!んっ、ひぅ……っ!」

兎角は答えられなかった。

もうすでに頭の中は真っ白で、意識がふわふわと浮いているような感覚だった。

兎角「はる、はるっ……、は、る……ぅっ」

腰がガクガクと震えている。

膝が落ちてしまいそうなのを必死で支えるがもう限界だった。

壁についた手にも感覚がない。


晴「兎角、イッていいよ。この、膨らんでるところ、好きなんだよね?」

晴が指をくいっと動かすと、途端に腰が跳ねた。

どこを弄られているのか分からなかったが、晴は兎角の感じる部分をよく知っている。

兎角「も……、む、り……っ!!ぁあっ、あ、ふ、はぁ、あぁ
——っっ!!

とぷっ、と秘部から熱いものが溢れ出る音がした。

全身から力が抜けて、膝が崩れ落ちる。

意識はあったがひどく虚ろで、もやがかかったように思考がはっきりしない。


数秒後、晴に支えられて座り込んでいる事をやっと自覚できた。

晴「兎角さん、いっぱい出たね」

晴が股の間から腿の裏を撫でて、漏らしたみたいに濡れたそこを楽しんでいた。

晴「潮吹いちゃったね。そんなに気持ち良かった?」

兎角「うん……」

素直に頷いて晴の首筋に鼻先を押し当てる。

少しでも晴を好きな気持ちが伝わればいいと思って、軽くキスをしたり、甘えるように腰に腕を回したりしてみた。


滅多に見せない態度に、晴は戸惑いながらも喜んでいる様子が窺えた。

晴「兎角さん可愛すぎるんですっ」

勢いよくぎゅっと胸に抱き寄せられる。

顔に胸が当たって息苦しかったが、その柔らかさが心地よくてそのくらいは我慢しようと思う。

揉んでもいいかなと考えているうちにその温もりは離れていった。

晴「もう終わりだと思ってないよね?」

正直限界だったが、きっと抗議なんて聞きやしない。


だったらもう晴が満足するまで付き合おうと思う。

兎角「好きにしてくれ……」

ため息まじりに呟いた後、また下腹部が疼いたのを感じた。

まだろくに腰も立たないのにいやらしい体だなと自分に対して一番呆れる。

晴「ベッドでもっと鳴かせてあげる」

そう言って笑う晴の目は獣のようだった。

長い夜が始まる。



終わり

「終わり」入れるの忘れてちょっと最後がおかしくなりましたけど…。
すごいタイミングで2号室のレスがブっ込まれましたけど、一応ここで完結となります!
お付き合い頂きましてありがとうございました。

今のところは別の話がまだ進んでいませんが、黒組全員でわいわいする話を作ってはいます。
少し忙しくなって次がいつになるか分かりませんけど、また見かけたら構って頂けると幸いです。
本当にありがとうございました。

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