グール「お怪我はありませんか、お嬢さん?」(18)

少女「おばあちゃんのお墓参りに来ただけなのに……」

ゾンビ×3『ヴヴヴィィオオオウゥ』ノッソ ノッソ

少女「どうしてこうなった、ハァ ハァ」タッタッタッ

少女「あっ」ズダッー

ゾンビ×3『グガォォォオオ』ブンッ

少女「グッバイ地上、ハロー天国」ギュッ

ザブッ  グシャッ  メキョッ  メメタァ

少女「…………うん?」パチリッ

グール「お怪我はありませんか、お嬢さん?」

ゾンビ×3『』

グール「ああ、そいつらなら私が片づけておきましたよ」フフンッ

少女「………キャアア!人殺し!化け物!」

グール「えっ、ちょっ」

少女「嫌ぁ!死にたくないぃ!」

グール「お、落ち着いて下さい!」




少女「えっーと、つまりこの人達は悪い化け物で、あなたは良い化け物ってこと?」

グール「左様でございます」

少女「ゴメンナサイ…見た目的にはどっちもどっちだから、つい…」

グール「サラッと酷いこと言いますね」

少女「アタシ嘘は吐かない主義なのよ」

グール「いい心掛けでございますね」

少女「アナタのお名前は?」

グール「私の名はグールと言います、趣味は散歩と料理でございます」

少女「グールさんは何でアタシを助けたの?」

グール「まあ理由はたくさんありますが一番の理由は食料調達ですかねぇ」

少女「食料?やっぱりアタシを食べるの?」

グール「いえいえ、グールは漢字で書くと『食屍鬼』、読んで字の如く死体を食べる鬼です」

少女「この悪い化け物が死体なの?さっきまで動いてたよ?」

グール「こいつらはゾンビ、簡単に言うと動く屍ですね」

少女「この化け物達を食べるの?」

グール「美味しいですよ?他の理由としてはこいつらが人を食べるからです」

少女「生きてる人間が食べられてもグールさんには関係ないんじゃ?」

グール「将来的に美味しい死体になるはずだった獲物を横取りされたらたまりませんよ」

あれ、この屍食鬼どっかで見たような…

グール「それに私は紳士ですから」

少女「紳士?シルクハットも被ってないのに?」

グール「角があるから被れないんですよ…とにかく私は紳士なのです!」

少女「どこが?」

グール「私はとある主義を持っているんです、それは『自ら死体を作らない』!まさに紳士でしょう?」

少女「はいはい紳士紳士、じゃあねアタシ帰るから」

グール「この時間帯に一人では物騒ですからお送りしますよ」

少女「お好きにどうぞ」




少女「ただいまー」

グール「おじゃま致します」

兄「お帰りー、遅かったな心配したぞ、うん?誰その人」

少女「アタシを助けてくれた食屍鬼で紳士なグールさん」

グール「初めまして、以後お見知りおきを」

兄「へー食屍鬼って初めてみるなー、こちらこそよろしくねー」

少女「またねグールさん、バイバイ」

グール「うん?今日は泊まられせて貰いますよ?」

少女「えっ?何で?」

グール「だってもう外も暗いですし……」

少女「化け物が何言いなさる」

グール「もし路地裏からいきなり桃太郎や一寸法師が飛び出したら…、と想像してたら怖くなってしまいました」

兄「別にいーいじゃん、この所色々と物騒なことが起こってるらしいし、鬼さんがいるなら心強いじゃーん」

少女「しっかりしろよ長男」

兄「ただの虫好きになにを求めているんだい?あっ、警備用に家の周りにサソリ撒いとこうか?」

少女「もしやったらアンタの部屋でバルサン炊くからな」

グール「さて私は夕食が出来上がるまで暇なわけだが何をしようか」

少女「夕食を食べることは確定なんだ…、人肉とか出せないよ?」

グール「あっ、基本雑食なんで大丈夫ですよ」

兄「鬼さーん暇なら僕の虫見ない?カブトやクワガタやゾウムシとかいっぱいいるよー」

グール「お言葉に甘えさせて頂きます」

少女「食事前によくそんなの見る気になるな」




少女「できたよー」

兄「いやー鬼さんの好きな虫がマイマイカブリとは意外だったよー」

グール「いえいえ、兄さんのキリギリス好きと比べたら…」

少女「はい、鰯の塩焼きに煮豆に桃のゼリー」

グール「かなり鬼について詳しい様で…」

少女「なんのことかなー(棒)」

グール「あっ、でも白米だけでも十分いけますね!うん!美味しい美味しい…」

兄「よかったらこれ使う?僕のお気に入り」ゴトッ

グール「有り難く使わせて頂きます・・・・こ、これは!香ばしく辛い風味とサクサク感がお米を包み込みシンプルながらも確かな美味しさが出している!」

グール「箸が止まらない!とにかく旨い!こ、この食べ物は一体!?」

兄「食べるラー油」

グール「」バターンッ






グール「ウーン…い、痛い…つつくな、咬むな、ひっかくな…」ムニャムニャ

グール「ほら…チロルチョコあげるから…きび団子なんて捨てなさい…」ムニャムニャ

グール「やりました!チロルチョコ食べた犬が倒れた!………何だ夢ですか」ガバッ

グール「今は夜の二時位ですかね…、あー頭がガンガンするー」パサッ

グール(毛布…フフッ、口は若干悪いけどやっぱり優しい娘なんだなぁ)

グール「あれ?よく見ると毛布の先端に蝉の抜け殻が…」

兄「おはようー、寒そうだったから毛布かけといたよー」

グール「夢も希望もフラグすらありゃしねぇ」

グール「うーん、気分転換に散歩にでも行ってきましょうかね…」

兄「あれ?桃太郎はもう大丈夫なの?」

グール「正義の味方はとっく寝てる時間だから大丈夫です、行ってきます」ガチャッ

兄「気をつけてー、ファ~…眠いけどもう少し続けるかー」




グール「ゲ、ゲ、ゲゲゲのゲ~♪」スタスタ

グール「それにしてもよく鏡を見かける町ですね、普通の道路じゃこんなにたくさんの鏡はありませんよね」スタスタ

グール「まるで何か目的があるようだ…、あなたもそう思うでしょう?」クルッ

?「何時から気付いていた?・・・・・なんてお決まり台詞は言わないぜ」スッ

グール「わあ本当に出てきた」

?「何だその反応は?まさか『実はテキトーだった』とか言うのか?」

グール「心を読むとは…あなたは覚か何かですか?」

吸血鬼「いや、吸血鬼だけど」

グール「えっ!?あの有名な吸血鬼さんですか!?スゴイッ!私、本物見るの初めてなんです!」

吸血鬼「そっ、そうなのか?私はそんなに有名なのか?」

グール「はい!人間にあんなに弱点を網羅されてるモンスターは吸血鬼さん以外にいませんよ!」

吸血鬼「貴様、私を愚弄しているのか…!」

グール「とんでもない!私なんて一発変換もできないような食屍鬼ですよ?吸血鬼さんに喧嘩を売る勇気なんてありませんよ」

吸血鬼「……まあいい、許してやろう、私は心が広いからな」

グール「ところで、何で私の後をつけていたんですか?」

吸血鬼「飛んでいたら偶然貴様を見つけてな、人間じゃない気配を感じたからつけていたのだ、まさか同胞だとは思わなかったがな…」

グール「同胞なんてそんな畏れ多い!一緒にしないで下さいよ」

吸血鬼「あれ?今バカにしなかった?」

グール「? 何か言いましたか?」

吸血鬼「いや…気にするな…」

グール「そうですか、あと一つ尋ねたいんですが、近頃のこの町の騒動の原因はやはり吸血鬼さんなのですか?」

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