一夏「機密情報? 何の事だ?」(33)


ラウラ「日本にとって一大事だというのに……」

ラウラ「ネットに流出してしまって、もう手がつけられない状態になっている!」

一夏「???」

ラウラ「ともかく、私の部屋に来い! 一夏!」

一夏「……よくわからないが、分かった」

―――――――――――

ラウラ「これを見ろ、一夏」

一夏「PCか……どれどれ」

一夏「えーっと、海上自衛隊の機密情報が大量流出……」

一夏「…………」

一夏「ともかくソース元を……」 クリック☆


一夏「…………」

ラウラ「……どうだ一夏」

ラウラ「これはおそらく暗号文体なのだろう?」

ラウラ「ここまで大量流出されたら、解読も容易くなってしまう」

一夏「…………」

一夏「……ぶふっ」

ラウラ「一夏?」

一夏「あー、すまん。 そうだな、確かに問題だな」

ラウラ「うむ」

ラウラ「さっそく教官に伝えて手を打ってもらおう」

一夏「そうだな」


一夏「でも、その前に」

一夏「腹ごなししないか?」

ラウラ「……お前、わかっているのか?」

ラウラ「日本の防衛機能の危機なのだぞ!?」

一夏「いいから いいから」

一夏「千冬姉には俺からちゃんと伝えておく」

ラウラ「むう……」

一夏「それじゃ……材料だけど」

一夏「ラウラはシーフードとかいける口か?」

ラウラ「野戦食が食えれば、大抵のものは美味しく思える」

一夏「大丈夫って事だな」


一夏「じゃ、出かけるか」

ラウラ「どこに行くんだ?」

一夏「材料を買いに行くんだよ」

一夏「それとも留守番をしてるか?」

ラウラ「……行くに決まっている」

一夏「よし、決まり」


―――――――――――


ショッピングモール


一夏「えーっと、ニンジン、じゃが芋、玉ねぎは定番だな」

一夏「後は肉だけど……鶏と牛肉、豚に羊……は見ないな」

一夏「それとシーフード……イカに貝類と魚……淡白なやつのほうがいいかな?」


ラウラ「ずいぶん買うな? 一夏」

一夏「まあな。 食べ比べたいし」

ラウラ「食べ比べ?」

ラウラ「……どちらにしても二人では食べきれない量だぞ?」

一夏「もちろんみんな呼ぶさ」

一夏「食事ってのは何人かで食べると、それだけで美味しくなるしな」

ラウラ「セシリアの料理でもか?」

一夏「……まあ、何事にも例外はあるさ」

一夏「おっと、肝心なもの忘れるところだった……」 カゴに入れ入れ

一夏「よし、こんなもんだな」

一夏「じゃ、会計済ませて帰ろう」

ラウラ「うむ」


家庭科室


シャル「あれ? 一夏にラウラ」

シャル「どうしたの? その大荷物」

一夏「お、シャル。 いいところに来てくれた」

シャル「え?」

一夏「実はさ……」 ゴニョ ゴニョ…

シャル「…………」

シャル「へえ! それは面白そうだね!」

シャル「ぜひ、手伝わせて!」

一夏「サンキュー、シャル!」

ラウラ「?」


一夏「そうだ、ラウラ」

ラウラ「なんだ?」

一夏「良かったら鈴と箒を呼んできてくれないか?」

ラウラ「わかった」

ラウラ「……セシリアはいいのか?」

シャル「ラウラ……焦げた鍋を食べたいの?」

ラウラ「絶対に連絡しないでおこう」

一夏「じゃ、まず下ごしらえからだな……」

一夏「皮むき器は、と……」

シャル「一夏、その前にエプロンを着けないと」

一夏「おっと、そうだった」

     ハハハ……



―――――――――――


箒「一夏、何か用だと聞いたが?」

鈴「いったい何なの?」

一夏「おう、待ってたぞ」

一夏「実はな……」

     ゴニョ ゴニョ…

ラウラ「…………」

箒「……ほう」

鈴「なるほどね~」

シャル「面白そうでしょ?」


ラウラ「……嫁よ」

ラウラ「さっきからヒソヒソと何なんだ?」

一夏「それぞれの担当を決めてたんだよ」

ラウラ「むう……」

一夏「じゃ、ラウラは下ごしらえの手伝いを頼む」

一夏「じゃがいもと人参の皮をむいててくれ」

ラウラ「わかった」

―――――――――――

ラウラ「嫁よ、終わったぞ」

一夏「サンキュー、ラウラ」

一夏「しばらく休んでてくれ」


ラウラ「もういいのか?」

一夏「ああ」

一夏「後は煮込むだけだからな」

ラウラ「ふむ……」

―――――――――――

一夏「よし、こんなものだろう」

シャル「こっちもできたよ」

箒「私もだ」

鈴「あたしもそろそろできるわ」

ラウラ「……この食欲を誘ういい匂い」

ラウラ「実に美味しそうだが、みんなカレーを作ったのか?」

一夏「ああ、そうさ!」

一夏「ラウラが言ってた『暗号』のな!」


ラウラ「な、何だと!?」

シャル「一夏、もうその辺りでいいでしょ?」

シャル「ラウラ、これはね」

シャル「機密情報でも何でもないんだよ」

ラウラ「え!?」

ラウラ「し、しかし、このサイトでは日本の危機とか何とか言っているぞ!?」

箒「ただのジョークだ」

箒「このレシピはな、日本国自衛隊で作られている各・所属部隊や艦のカレーの作り方で」

箒「公式に公開されているものなのだ」

ラウラ「な……!?」

ラウラ「何故そんな事をするのだ!?」


鈴「そりゃあイメージアップとか、国防をしている人たちの活動とか」

鈴「そういうののアピールでしょうよ」

ラウラ「」

一夏「ま、そういう事だから」

一夏「安心して、このカレーを食べ比べてみようぜ!」

ラウラ「い、一夏!」///

ラウラ「それならそうと、初めから言ってくれ!」///

ラウラ「要らぬ恥をかいたではないか!」///

シャル「まあまあ、ラウラ」 クスッ

シャル「おかげで美味しそうなカレーができたんだし、いいじゃない」

箒「怪我の功名というやつだな」

鈴「あーお腹すいた~」


一夏「んじゃ、まず俺から行くぜ?」

一夏「東京音楽隊のカレー、チキンカレーだ」

     コトッ…

鈴「んー! 美味しそうね!」

一夏「具材はオーソドックスに じゃがいも人参、玉ねぎに鶏肉のもも肉」

一夏「普通のカレー粉に好みでスパイスを調合していれて……」

一夏「隠し味に赤ワインや、すりおろしたりんごの半身に潰したトマトが入ってるぞ」

     イタダキマース

箒「うむ、いけるな」

鈴「カレーにりんご?って思ったけど、美味しいわね」

ラウラ「バー○ンドカレーに近い気がするが、もう少しピリリとするな」

一夏「ブラックペッパーなんかも入っているからな」


箒「では、次。 私が行くぞ?」

箒「某ゲームで有名になった艦と同じ名前の」

箒「護衛艦しまかぜのビーフカレーだ」

     コトッ…

シャル「これも美味しそうだね!」

箒「材料は馬鈴薯(じゃがいもの一種)、ニンジン、タマネギ、牛肉と」

箒「平凡な具材だが……隠し味が面白かった」

箒「やや手間がかかるが、なかなか美味しいと思う」

     イタダキマース

ラウラ「これは……やや重い気がするな」

一夏「こういうのはコクがある、とか言うんだ」


シャル「これ……何だろう?」

シャル「ピリリとスパイスが効いてるんだけど……トウガラシ?」

箒「さすがだな、シャルロット」

箒「これは隠し味に『ホットオイル』というものを使っている」

箒「火を通す事を除けば、ラー油に近いだろうな」

鈴「へえ! 面白いわね!」

ラウラ「でも、そのせいか」

ラウラ「私には、やはり重く感じてしまうな……」

一夏「そうか……俺は好きな味なんだけどな」


シャル「じゃ、次はボクが行くね?」

シャル「掃海母艦うらがのシーフードカレーだよ」

     コトッ…

一夏「おおー! これも美味そう!」

シャル「材料はじゃがいもとニンジン以外は、アサリやイカなどの魚介類だよ」

     イタダキマース

一夏「美味い!」

鈴「いけるわね」

箒「私はシーフードカレーは苦手だったんだが」

箒「なかなか美味しいな」

シャル「下ごしらえにちょっとしたコツがあるの」

シャル「後で教えよっか?」

箒「ああ、頼む」


ラウラ「おお、これはエビか。 こっちは……モグモグ……ホタテだな!」

ラウラ「具材が何か当てるのも楽しくなるな」

一夏「そういう楽しみ方もありだな」

箒(……形でだいたい分かりそうだけど)

シャル「フランスはムール貝なんかをよく使うんだけどね」

シャル「アサリを使ったシーフードカレーも美味しいよ、一夏」

一夏「日本じゃ味噌汁の具にも使ってるぜ?」

シャル「へえ、そうなんだ」

鈴(最近だと、日本で使われているアサリのほとんどは)

鈴(輸入の中国産だったりするんだけど……)


鈴「さて、最後はあたしね!」

鈴「護衛艦さわゆきのポークカレーよ!」

     コトッ…

一夏「具材はオーソドックスなのか?」

鈴「確かに定番の物よ」

鈴「とりあえず食べてみて?」

     イタダキマース

一夏「お……!」

シャル「これ……スパイスが効いてるのに」

シャル「何だかまろやか……だね?」

鈴「ぬっふっふっふ~」

箒「……牛乳か?」

鈴「さすが箒ね」

鈴「正解よ」


一夏「そうかぁ。 何か、まろやかだなと思ったら牛乳を使ってたのか」

ラウラ「……かすかにニンニクの匂いもするな」

鈴「ラウラもよくわかったわね」

鈴「セロリなんかも入ってるわよ」

シャル「それでいて嫌な苦味が全くしないよ」

鈴「ガラムマサラを使うのは初めてだけど」

鈴「それのせいかもしれないわ」

鈴「後は豚肉のコクや、チーズとかの食材も少しずつ入ってるし」

鈴「隠し味に赤ワインと桃缶の中身を少しだけ使ってるわ」

シャル「桃? カレーに?」

鈴「酢豚と同じで、肉を柔らかくするためとか、そういうのじゃないの?」

鈴「ミキサーにかけてあるから、わからないでしょうけど」


鈴「余った桃缶はデザートにどうぞ♪」

シャル「これは嬉しいサプライズだね♪」

一夏「カレーの後としては微妙かもしれんが、合わないことはないな」

箒「私は好きな味だ」

ラウラ「口の中がさっぱりしていいな」

     ゴチソウサマデシター

一夏「こうやって食べ比べてみると、日本の自衛隊の皆さんは」

一夏「それぞれのこだわりがあるんだな」

シャル「毎回同じものを出すとは思わないけど……」

ラウラ「我がドイツにもあるかもしれないな」

箒「聞いた話だが、日本の自衛隊では毎週金曜日はカレーを出すと決めていて」

箒「それは厳しい訓練の中で、曜日を忘れない様にする為だとか」


鈴「へぇ~。 そうなんだ」

一夏「カレーが出たら『今日は金曜日か』と思えるんだな」

シャル「何だか微笑ましいね♪」

箒「日夜、日本国の防衛と安全の為に頑張ってくれている彼らに」

箒「感謝をしないとな」

ラウラ「うむ。 それぞれの国にも言える事だな」

鈴「後は、おいしいレシピもありがとうってとこね!」

一夏「それはラウラに感謝すべきだな♪」

ラウラ「も、もうその話はするな、一夏!」///

     アハハハ…



―――――――――――


その日の宵の口

食堂


     ガヤ ガヤ

一夏「…………」

鈴「…………」

シャル「…………」

箒「…………」

ラウラ「…………」

セシリア「あら? 皆さんはカレーではないのですか?」

一夏「あ、ああ……」

シャル「ちょ、ちょっとね……」


セシリア「今日の午後3時すぎくらいでしょうか?」

セシリア「学園中でカレーの匂いがしまして」

セシリア「急に食べたくなりましたの♪」

セシリア「きっと、他のみなさんも同じなのでしょうね」

鈴(それでか……)

箒(その原因は私たちなのだが)

ラウラ(まさか我々以外、全員カレーを注文するとは……)

シャル(今、この匂いは、ちょっと……) ウプッ…

セシリア「では……」


     イタダキマス♡

     ……イタダキマス


     おしまい

今夜はカレーにしよう、うん。
お粗末さまでした~

参考にしたまとめサイト↓


一年も前の記事なのは、気にしないでください。
ここに自衛隊カレーレシピのソースURLがありますよ~

さりげなくセッシーがハブられてるじゃないですかぁ……

>>26
地獄絵図になるじゃないですかーヤダー

※32
セシリア「まあ、これらは皆さんでお作りになられましたの?」
セシリア「では、わたくしも一夏さんの為に腕を振るいますわ!」

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