一夏「偏差値39」 (40)

一夏「あーうー」

シャル「でね?ここはこうなって…って聞いてる?一夏?」

一夏「さっぱりわからん」

シャル「もうっ!これで4度目だよ!いい加減このくらい覚えないと留年しちゃうよ!?」

一夏「さもありなん」

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一夏「でもわからんもんはわからんもん!そんなこと言ったってしょうがないじゃないか!」

シャル「はぁ」

シャル「いい?一夏はまず覚えようとする姿勢から始めないといけないのよ」

シャル「グズグズと言い訳ばかりして事に構えてたってそれは時間の浪費なんだからね?」

一夏「でもシャルは元から頭いいからそんなこと言えるんだよ」

一夏「俺なんかたまたまここに入っただけで本当は県内最底辺のドブ高校に、いく予定だったんだから」

一夏「地頭がちがうんだよな〜」

シャル「ぼくだって最初からできたわけじゃないよ、それなりに勉強したんだよ?」

シャル「それをなんでも才能だと決めつけるように考えちゃダメ」

シャル「かのビルゲイツは起業するまでに最低1万時間はコンピューターの勉強に使ったって言われてる」

シャル「努力したものが必ず成功するわけじゃないけど、世の中の成功者はそういった努力を踏まえて勝ち上がっていったんだよ?」

シャル「だから一夏もサボらず真剣に勉強しよ?ぼくが付き合うからさ!」

一夏「zzz」

シャル「寝るなっ!」

一夏「はぁ〜」

箒「どうしたんだ?ため息なんかついて?」

一夏「シャルに少し怒られてさ」

箒「また勉強を教えて貰ってたのか?無駄なことを」

一夏「わかってるよそんなこと」

一夏「気分転換してこいって言われたんだけど」

一夏「俺が何やったって無理なもんは、無理なんだよな」

箒「当たり前だ。私達は親の劣等遺伝子だけを無理やり固めたような存在なんだ」

箒「ISの開発者にブリュンヒルデの姉をもつ私達が同じく優秀である確率はいくらだ?」

箒「日本の人口を母体としても1億分の1の2乗割る2だ」

箒「30万分の1以下の確率は統計学的に0に等しい」

箒「馬鹿でもわかるだろう。私達が等しい優秀である”はず”がないのだ!」



一夏「でもよ、俺は馬鹿だけどさ、箒は別に劣等ってわけじゃないだろ?」

一夏「人並みに勉強だって出来るじゃないか?」

箒「ふん。人並みにできた所で誰が認めてくれる!?」

箒「姉が優秀すぎれば人並みになんて無価値なんだ!わたしにアイデンティティーなど存在しないんだ!」

一夏「?よくわかんねぇけどさ、俺は箒は箒のままでいいと思うぜ?」

箒「…お前は男だからな」

一夏「関係あんのか?」

箒「ちょっと喋りすぎた。邪魔したな。もうシャルロットの所に戻らないとまた怒られてしまうぞ?」

一夏「やべっ!本当だ!」

一夏「すまんっ!ちょっと遅れた!」

シャル「ちょっとかどうかはこっちが決めることだよ?一夏?」

一夏「うっ…」

シャル「で?なんで遅かったの?」

一夏「いや、つい箒のやつと話込んでさっ!ハハ…」

シャル「箒?」

シャル「……ああ、あの箒ね」

一夏「わ、悪かったよっ!」

シャル「ねぇ?」

一夏「な、なんだ?」

シャル「箒とはもう付き合うのやめたら?」

一夏「…えっ?」

一夏「なんだよそれ?お、遅れたのは悪かったけどそこまで言う必要ないだろ!」

シャル「……ぼくね、考えたんだ」

シャル「どうやったら一夏がちゃんと勉強するか」

シャル「どうやったら一夏の成績があがるか」

シャル「やっぱり生半可なことじゃダメみたいなんだよ」

一夏「それと箒となんの関係ごあるんだよ!」

シャル「あんな子と付き合ってとら一夏はいつまでたっても落ちこぼれのままだよ?」

一夏「…なんだと?」

シャル「あの子さ、皆んなからなんて言われてるか知ってるの?」

一夏「……」

シャル「本来なら学園に入れる頭のない姉の七光りで」

シャル「お姉ちゃんがいなきゃ何も出来ない落ちこぼれのクズだって」

一夏「……」

シャル「そんな子と付き合ってたら一夏も落第しちゃうよ?いいの?」

一夏(まぁ…わかっていたが、まさかシャルの口から聞かされるとはな)

シャル「一夏?」

一夏「箒は俺の幼馴染みだ。よくそんなこと言えるよな」

シャル「何?あの子の肩持つの?」

一夏「肩を持つとかじゃない。人を貶めるような。それも俺の知り合いを侮辱するような発言に腹が立ってんだよ!」

シャル「貶める……一夏はそう捉えるんだね?」

一夏「誰が聞いてもそうだろ!俺を馬鹿にしてんのか!」

シャル「馬鹿になんかしてない」

一夏「じゃあなんで友達を傷つけるようなことが言えんだよ!」

シャル「一夏のためだよ」

一夏「意味わかんかねぇよ!」

シャル「……あのさ一夏?一夏はぼくのことどう思ってるわけ?」

一夏「何言ってんだよ…そんなの今関係ねぇ」

シャル「答えて?ねぇ?どう思ってるの?」

一夏「どう思うもなにも…色々世話になってるし…」

シャル「それだけ?」

一夏「一体何が言いたいんだよ!?」

シャル「ぼくはフランスの代表候補生だよ?」

一夏「知ってるよそれくらい…」

シャル「代表候補生ってのはね?このエリートが集まるIS学園の中でも選りすぐりのエリートなんだよ?」

シャル「一夏はぼくが今までどれ位ISについて座学や訓練を受けてきたと思う?」

一夏「わかんねぇよ…」

シャル「約10000時間」

シャル「一日10時間を毎日続けて3年くらいかかるの」

シャル「そして代表候補生になれば様々な仕事があるの」

シャル「定期的な戦闘データの収集から最新兵器の稼働実験」

シャル「何より各大会での成績が大きな評価につながっていく」

シャル「仮に大会で優勝すれば、使用しているISパーツの受注や国からの補助金」

シャル「国としても国内企業ならCAC40指数が変動するくらい昨今のIS事業というのは黎明期をとうに超えている」

シャル「代表候補生のぼくはそれに答えなきゃならない責任と義務がある」

シャル「正直に言うと一夏とぼくじゃレベルが違うんだよ?」

シャル「そんなぼくがさ、どうしてISに触れたばかりの素人にこんなに親身になって教えてると思う?」

シャル「その辺りよく考えてね?」

一夏「………」

一夏(たしかにシャルには世話になってるし、今言った話も考えなかったわけじゃない……けと……)

シャル「変なプライドが邪魔してるの?一夏?もしかして君から能動的に求めたものじゃないと受け入れられないとでも言うわけ?」

一夏「いや、そういうわけじゃ」

一夏「…シャルには感謝してる…それは本当だけど」

シャル「けど?なに?」

一夏「今の話と俺が箒と縁を切る話は…やっぱり納得出来ない。なんか違うって思う」

シャル「………」

一夏「………」

シャル「…わかったよ一夏」

一夏「シャル?」

シャル「一夏はどうしても自分で納得したい。ケジメをつけたいんだね?」

一夏「ケジメというか…」

シャル「いいよ。選ばせてあげる」

シャル「一夏がぼくを取るのか箒を取るのか…」

シャル「でもね?一つだけ言わせて?」

シャル「もし一夏がぼくを選んでくれたならさ、ぼくは一夏のこと絶対に裏切らないよ?」

シャル「一夏がぼくを裏切らないかぎりね…」

一夏「………」

シャル「でね?もし箒なんかを選ぶんだったら」

シャル「ぼくは一夏を絶対に許さないよ」

一夏「え?」

シャル「一生かけて一夏に復習する」

シャル「一夏が泣いて謝っても絶対にやめない」

シャル「何かにすがろうが何をしようが」

シャル「ぼくの一生をかけて一夏に復習してあげる」

シャル「わかった?」

一夏「お、おいっ!そんなの脅しだろ!選択じゃねぇよ!」

シャル「何言ってるの?ちゃんと選ばせてあげてるでしょ?」

シャル「なに?一夏は今までのことがそんな一言でチャラになると思ってるの?」

一夏「そうじゃなくって!フェアじゃないじゃないか!」

シャル「当たり前でしょ?一夏は今までフェアに生きて来たの?ありえないでしょ?お肉を食べるのに一々一対一で獲物を取りに行ってたの?」

シャル「まぁそんなこと言わなくても分かるよね?自分が今どうしてIS学園にいるのか考えたらさ」

シャル「返事は一週間後ね?いい返事期待してるよ」

一夏(シャルのやつ…本気かよ)

一夏(なんだってこんな話になったってんだよ)

一夏(箒と縁を切れだの……クソッ!できるかよ!)

一夏(でもシャルの言うことも……)



箒「いい加減にしろ!私が何をしたと言うのだ!」

「え〜?なに怒ってるの〜?意味わかんない〜」

「てか私らなんかした?」

箒「毎日毎日!靴に画鋲を入れたり!カバンをごみ箱に捨てたり!」

箒「今日は机が無いんだよ!どこへやった!」

「知らないー」

「何?人のせい?マジうざいんだけど?」

箒「貴様ら…」



一夏(箒…)

箒「………」

「なんかどう黙ってるし」

箒「…ふふっ」

「うわっ!きもっ!」

一夏「何してんだそんな所で?」

「あっ、織斑くん…」

「べ、べつに〜」

一夏「ん?箒?どうかしたのか?」

箒「…なんでもない」

一夏「………」

「ねぇ?織斑くん?今日の宿題やってきた?」

一夏「えっ?……やべ、忘れた」

「やっぱり〜」

「良かったら私の見せてあげるよ?」

一夏「いいのか?じゃあ頼もうかな」

「その代わりお昼パフェ奢ってね?」

一夏「うっ…わかった」

「交渉成立!」

箒「………」


一夏「わりぃな」

「困った時はお互い様だよね〜」



箒(わたしにできる事はなんだ?)


箒「………」



箒(殺したい)

箒(人をここまで憎く思うとは)

箒(だが誰を?)

箒(さっきの奴らか?)

箒(少し違う気がする)

箒(あいつらがいなくなろうともわたしへの嫌がらせは止まない)

箒(…集団の悪意)

箒(おそらく人が本能的に持っているもの)

箒(誰にでもある。多分わたしにも)

箒(スケープゴート対象がわたしであるだけで)

箒(きっと、わたしもあいつらと一緒…)

箒(いや!違う!)

箒(わたしはあいつらとは違う!)

箒(IS開発者の姉をもち過度な期待をかけられ様々な、妬み嫉みを受けるわたしの環境は奴らと違う!)

箒(人の本質を見れば皆同じだがわたしは奴らとは違う!)

箒(どんなに綺麗事を並べたところでわたしのこの環境が変わることはない!)

箒(仮に変えられるとして、変わったとしても)

箒「………」

箒(今のわたしに確実な未来は二つある)

箒(奇跡的にわたしがスケープゴートの対象から外れ、真っ当な人間になることと)

箒(一生をこの憎しみの中生きる外道になること)

箒(可能性が高いのは後者)

箒(いや、わたしが選ぶことができるものは、唯一それだけ)

箒(ならばわたしは外道の道を選ぶ)

箒(今選択をすることで、それ以外の全てをここで捨てる!)


箒「………」

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