P「アイドルのおでこが見たい」 (170)

P「見たいんだ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1430228855

春香「えと、いきなりどうしたんですか?」

P「俺はアイドル達のおでこが見たいんだ」

春香「それは聞いたからわかるんですけど……」

P「春香、俺の持論を聞いて欲しい」

春香「はぁ」

P「最近顔を隠したがる女性が増えていると思うんだ」

P「マスク、メガネ、サングラス、帽子、ひいては自分の前髪を使ってまで・・・」

P「もちろんそれらが一つの属性としてファンを形成していることは認める」

P「ただ、女の子の魅力が一番伝わるのは素顔だと思うんだ」

春香「それは……女の子にはいろいろと事情がありますから」

春香「お化粧を失敗しちゃった時とかはどうしてもマスクで隠したくなっちゃいますし」

P「ふむ」

春香「それに私達は一応アイドルですし、公衆の中でバレちゃうと大変ですから伊達メガネと帽子をつけたりしますね」

P「確かに」

春香「あと、花粉症の人とかは予防のためにつけますね。そういえばダンスのトレーナーさんが辛そうで辛そうで」

P「なるほど」

P「つまり、『化粧を失敗してな』くて、『バレてもいい状況』で、『花粉症でもない』春香は、おでこを出されても良いってことだな?」ズイッ

春香「えっ?」ピクッ

P「一連の言い訳は言い訳にはなってないもんな」ズイズイッ

春香「プロデューサーさん?」

P「素顔が一番映えるのはおでこ出しだって、春香なら理解してくれるよな?」ズイズイズイ

春香「ちょ・・・なんでこっちに来るんですか?」

P「…………」

春香「…………」

P「……春香っ」カベドン!

春香「……あの、その手に持ってるのはなんですか?」

P「カチューシャだ」

春香「えっと……」

P「春香確保おおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」

春香「えっ、ちょ、いやあああああああああああああああっっっ!!!!!」

P「よしっ、春香! いい加減に観念するんだ!」ガシッ

春香「いやっ、いやっ、いやああああああああっ!!」ジタバタ

P「おい、ちょっ……。暴れるなって」

春香「いやああああああああああああああああああっ!!!」ジタバタ

P「ちょっと位いいじゃないか、減るものじゃないし」

春香「そういう問題じゃないんですっ!」

P「ぐへ、ぐへへ、大人しくしやがれ。服が脱がせにくいじゃないか」

春香「ちょっ、なんで服に手をかけるんですか!!」

P「と見せて……隙ありィッ!!!」バッ

春香「きゃあっ!!!」

P「ん? 春香のおでこに何か、」

P「あっ……」

春香「……見えちゃいました?」

P「お、おう。そりゃまあ」

春香「そうですか……」

P「ああ……」

春香「…………」

P「…………」

P「春香」

春香「……はい」

P「今日は頭からイっちゃったのか?」

春香「…………ハイ」

P「受け身は?」

春香「間に合いませんでした……」

P「さて、春香のおでこにおっきなバンソーコを見つけたところで」

P「春香、痛くないか?」

春香「……痛みは、直接触れたりとかしない限りは大丈夫ですけど」

P「そっか……。じゃあいいかな」

P「春香、かがんで?」

春香「えっと、こうですか?」スッ

P「さ、このカチューシャを……」スチャ

春香「ちょ、みっともないですって」

P「いいからいいから」

春香「あうぅぅ」///

P「別にカチューシャが嫌いなわけじゃないだろ?」

春香「それは、嫌いってわけじゃ……」

P「ここを、こうやって。少し整えて……ほら、完成だ」

春香「なんだか、いつもと違う髪型だと照れちゃいますね」///

P「いやいや、照れる必要なんて無いよ。めっちゃ似合ってる」

春香「ほっ、本当ですか?」パァッ

P「ああ、春香はよく笑うし表情が明るいからな。前髪が無いとより笑顔が見えるんだよ」

P「春香の笑った顔、俺は好きだな」

春香「そ、そうですか。えへへ……」

P「しっかり顔が見えるってことは大事だと思うんだよな」

P「ほら、顔が見えるってことは表情が見えるってことだろ? 喜怒哀楽とか。人間の素の部分。ひいては人の心」

春香「そうですね。顔を見たらその人が何を考えているのかわかるかも」

P「人と関わっていく時、人の顔を見ることとか、人の表情を読むこととか、そういう事って大事だと思うんだよ」

P「でもさ、最近外に出てもみんな無表情で下むいてスマホばっかりいじってるだろ? とてもじゃないが何を考えてるかわからないんだ」

春香「……それもふまえての、カチューシャですか?」

P「いやいや、俺の趣味でもあるけどな。やっぱりでこを晒してさっ、お日様をいっぱい浴びるのが健康的かなって」

春香「お日様って……植物ですか」






P「いいじゃないか、植物。トップアイドルに向かってぐんぐん茎を伸ばしていこうじゃないか!」

春香「もしかして、良いこと言おうとしてます?」

P「べっ、別にいいじゃないか」

春香「ふふっ」ニコッ

P「とにかく、やっぱり春香にカチューシャはバッチリだ」

P「これからも、おでこと笑顔の似合うアイドルでいてくれよ?」

春香「まあ、バンソーコついちゃってますけどね」

P「キズも含めての春香かな。転ばない春香は春香じゃないし」

春香「あっ、それはちょっとひどいかも」

P「だったら、もうちょっとお淑やかになるんだな」

春香「ふーん、そんなこと言ったらもうカチューシャつけてあげませんからねっ」

P「ああ、無理言って悪かったな。ありがと」スッ

春香「ああっ」

春香「と、取っちゃうんですか?」

P「ん、ああ。元々ビジュアルレッスン用兼アクセサリーで新調したやつだしな。事務所の物だ」

春香「そうなんですか……」

P「それに、その格好で帰るわけにもいかないだろ?」

春香「うう、そうですけどっ、でもっ」

P「おっと、時間だ。これから出なくちゃいけないんだった」ガタッ

春香「ちょっ、ちょっと」

P「じゃあな春香。今度はカチューシャ姿で写真撮らせてくれよな!」

春香「ぷ、プロデューサーさんは! おでこを出した私と出してない私と、どっちが好きですか!?」

P「どっちも! 強いて言うなら出した方! じゃあな!!!」

バタム!

春香「…………」

春香「…………」///

春香「帰りにカチューシャ買わなくっちゃ……」

P「ふむ、思ったとおりだ。やっぱりアイドルはおでこを出していかなきゃな!」

P「……」

P「次は誰にしようかな?」

―別の日―

ガチャッ

P「うぃーす」

真「あっ、プロデューサー。お疲れ様です!」

P「おう、お疲れ。今日もレッスンに精が出るな」

真「はいっ!」

P「今は一人か?」

真「はい、それがどうかしたんですか?」

P「いや、好都合だなって」

真「?」

P「……コホン、こっちの話だから気にしないでいいよ」

真「ならいいんですけど……」

真「プロデューサーが来たってことは……今日ってボク、レッスンだけですよね? 何か予定ありましたか?」

P「いや、レッスンだけで合ってるよ」

真「じゃあ、どうしてスタジオにまで来たんです?」

P「いや、まあな。アイドル達のコンディションを把握しておくのもプロデューサーの役目だろ?」

P「それに、仕事以外で会える機会も多くないしな」

真「プロデューサー……! へへっ、そうですねっ!」

P「それで、今は何を練習してたんだ?」

真「『絶険』のダンスです! この曲ってテンポが良いから踊っててとっても気持ちいいんですよ」

P「そうだな。MA3も売れ行き好調みたいだし、いつでも歌えるようにしとかないとな」

真「はいっ! ボク、ダンスならいつでも準備出来てますから!」

P「そうか。それは頼もしいな!」

真「へへ~っ!」

P「『絶険』はけっこうアダルティな曲だし、ダンスの表現力も求められるよな」

真「そうですね。奥が深いです」

P「ふむ……」

真「? なんですか?」

P「いや、最近真がめっきり女の子っぽくなったかなって」

真「!!??」

真「それ、本当ですか!?」

P「ああ、本当だよ」

真「~~~~ッ!」////

P「曲に似合うほどの色気があるな。髪も伸びてきたし」

真「へへへっ、やーりぃ!!!」


P「でもさ、ダンスする時って、髪が邪魔になったりしないか?」

真「? そうですね、あまり考えたことは無いですけど」

P「ほら、アグレッシブに動いた時に髪が目に入ったりとかさ」

真「あ~、ありますね。伸びてからは特に」

P「やっぱりな」

真「ターンした時にこう、足元が見えなくなっちゃって、つまずいちゃうこととか増えた気がします」

P「だろ? そこでさ……」

真「?」

P「真、後ろを向いて少しかがんでくれないか?」スチャ

真「? こうですか?」

P「おう、そんな感じ……で、ここをこうしてっと」ファサッ

真「何してるんです?」

P「すぐにわかるって……ほれ、完成」

真「お、おおっ……!!」

P「スポーツ用のヘアバンドだな」

真「いい感じです、コレ! 視線にぜんっぜん前髪が入ってきません!」

P「おう、見た目的にもスッキリした感じだな」

真「これでもっと大きく動くことができる気がしますっ!」

P「気に入ってくれて何よりだよ」

真「でも……これってちょっとおでこ出しすぎじゃないですか? 伊織みたいだ」

P「いーや、それが醍醐味だよ」

真「ちょ、ちょっとだけ恥ずかしいような……」

P「そんなこと無いさ。むしろ魅力が3割増しになってるよ」

P「むしろおでこ出しが目的と言えるまである」

真「そ、そうですか……。おでこ?」

P「うん、思ったとおりだ。真のおでこも素晴らしい」

真「よーしっ、プロデューサーからもらったヘアバンドもあるし、これからバリバリレッスンを……って」

P「…………」

真「プロデューサー、どうかしましたか?」

P「…………」

P「…………」

P「ティンッ!」

真「えっ?」

P「真、ちょっとごめんな」スチャッ

真「えっ、な、何を」

シュッシュッ

真「う、うわあっ!」

P「ごめんな、すぐ済むから」

真「何やってるんですか!? 冷たっ!!」

P「安心しろ、霧吹きで水をおでこにかけてるだけだから」

真「何のためにですかっ!?」

P「汗の演出だな」

P「よしっ、こんなものでいいかな」

真「もう、せっかくのヘアバンドに……」

P「心配するな。洗えるやつだから」

真「そういうことじゃないんですけど……」タラーッ

P「おし、真。臨時ながら表現力レッスンの時間だ!」グッ

真「は、はいッ!」

P「今から、お前はランニングから帰ってきた少女Aだ」

P「シチュエーションは、そうだな……。部活じゃつまらないから、朝の6時、日課のランニングだな」

P「日は出てるけど人通りは少なく、犬の散歩をする主婦や、サラリーマンが数人だけ歩いてる閑静な住宅街」

真「詳しすぎませんか?」

P「俺はレッスンスタジオの端っこに行ってるから、真は俺のほうがゴールだと思って、俺の方に走ってきてくれ」

P「そんで、軽く息を弾ませながら、おでこにできた雫たちを腕で払い……」

P「渾身の一撃を決めてやってくれ!」

真「テンション上がりすぎじゃないですか?」

P「気にするなっ!!!」

P「それじゃ、アクションスタートっ!!!」バチン!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

タッタッタッ

タッタッタッタッ

タッタッタッタッタッタッ


真「はっ、はっ、はっ」

真「はぁっ、はぁっ、はぁっ」

ダダッ

真「ふぅ~~~~~~~っっ!!」

真「……」

真「おっと、汗っ」


グイッ←(右腕でおでこをおもいっきり拭う音)

パサッ←(拭った汗を一気に振り払う音)


真「うう~~~~~~っ」

真「はぁっ!」


真「あんまりタイム、縮まらなかったな……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「はい、カットっ!」バチン!






P「真……」

真「……はい?」

P「ハリウッド狙えるよ」

真「ええっ!?」

P「まず走りのフォームがナイスだ! 日課で走っているという設定を忘れてない、洗練された走りだった!」

P「それでおでこに輝くのは無数の珠のような汗! ヘアバンドをつけててもどうしても汗はかいてしまう!」

P「走り終えてからの息が弾んで言葉が出しにくい演技もナイスだし、それに、ラストの仕草!」

P「カンペキだっ! さっと腕でおでこの汗を拭い、振り払うっ!!!」

P「きっとこの汗は幾多の宝石より尊いんだろうな」

P「ああ、俺は真の汗を受ける道路になりたかったよ」

P「シチュエーションまで含めた、良質のおでこ萌えだった……」

真「そ、そうですか……」

P「うん、いいものが見れたよ、真。ありがとうな」

真「い、いえっ。こちらこそ」

P「おっと、俺はそろそろ行かなきゃならん」

真「ええ!? 予定が合ったんですか!?」

P「いや、時間的には間に合うけどな」

真「えっと、レッスンお疲れ様でした!!」

P「おう、お疲れ。まだやってくのか?」

真「まあ、今日は他に予定は無いですし」

P「ヘアバンドはしっかりやっとけよ。真にはおでこが似合う! じゃあなっ!」ダダッ

バタム!

真「…………」

真「結局、プロデューサーは何をしに来たんだ……?」

真「……へへっ」///

P「さて、今んとこ100%の確率でカワイイわけだけど」

P「やはり無限の可能性を感じるおでこ……ふふっ、敗北を知りたい」

P「いや、知りたくないけど」

P「…………」

P「さて、次は」

―また別の日―

P「…………」カタカタ

P「…………」

P「…………」カタカタカタ

P「…………」カタカタカタ

P「…………」

P「…………」カタタカタカタカタ

P「……ふぅっ」ギィッ

P「…………」

律子「ZZZ……」

P「…………」

律子「んばっ!!!」

P「!?」

律子「……もしかして私、寝ちゃってました?」

P「ああ、それはもう」

律子「ああ~~~~っっ」ガックリ

P「予定は無いんだろ? あったら起こしてたって」

律子「んばっ!!!」

P「!?」

律子「……」

P「……」

律子「……もしかして私、寝ちゃってました?」

P「ああ、それはもう」カタカタ

律子「ああ~~~~っっ」ガックリ

P「予定は無いんだろ? あったらちゃんと起こしてたって」カタカタ

律子「じゃなくてっ! あーもう、事務所で寝るなんて、美希に示しがつかなくなっちゃう……」

P「まあ、ムリしないで寝られるときにしっかり寝ろってことだ」

律子「ああ~~~~~~っっっ」ガックリ

ミスったし変なリンク貼られてるし
切り替えていく

>>35
グロ

律子「ってもうこんな時間……出てこないと」

P「? どこ行くんだ」カタカタ

律子「予定は無くてもいろいろ用事はあるんですよ」

律子「寝ちゃってた分を、しっかり取り返しに行かないと」

P「……律子の爪の垢を煎じて美希に飲ませてみようか」

律子「では、行ってきます」

P「その顔でか?」

律子「え?」

P「だから、その顔で行くのかって?」

律子「どういう意味ですか?」

P「鏡見てみろよ、鏡」

律子「え、鏡……」

律子「う、うわあっ!!!」

>>39
すまん、>>35はスルーしてくれ

>>35
これなに?気になって眠れない

律子「だ、誰がこんなことを……」

P「また見事な落書きだな」

律子「もう、知ってたならもっと前に止めてくださいよ。……ってまさか!」

P「いやいや、俺じゃあないって」

律子「まあ、さすがにそうでしょうけど」

P「油性か?」

律子「ん~~」ゴシゴシ

律子「良かった、水性みたいです。すぐに落ちそうですね」

P「そうか」

律子「まったくもう……」

P「しかし手が込んでいるな。定番の『肉』から始まって、『両さん眉毛』、ご丁寧にメガネの下にもメガネが描いてある」

律子「冷静に評価しないでくださいよ……」

>>42
ブラクラへの外部リンク
グロ画像みたいだから見ないでおk

律子「洗面所に行って落としてきますね」

P「あっ、ちょいまち律子」

律子「何ですか?」

P「顔洗うならこれ、使うか」ビヨーン

律子「なんです?」

P「ヘアゴム。髪が邪魔だろ?」

律子「そうですね、お借りします」

P「いや、俺がつけてあげるから」

律子「プロデューサーが!? いいですって、自分でやりますから」

P「遠慮すんな。ほら、椅子に座って」

律子「はあ……」

律子「ちょっ、そういう感じにするんですか!?」

P「ああ、ちょんまげ。良いだろ」ファサッ

律子「や、やっぱりやめてくださいっ」

P「なんで?」

律子「なんか、アホっぽいじゃないですかっ」

P「まあいいから、そっちのが顔洗いやすいって」

律子「もうっ……」

P「俺もたまに家でやるしな」

律子「ここは家じゃないんですよ?」

P「ま、今は俺しかいないからさっ」

律子「そうですか……」

P「ここで、こうして、ほら出来たよ」

律子「あ、ありがとうございます」

P「ふむ……」

律子「ちょっと、あんまり見ないでくださいよ……」

P「『りっちゃん違い』だな」

律子「えっ?」

P「いや、こっちの話」

P「うん、やっぱり律子はいつも、スーツとメガネでかっちりしてるイメージがあるからな。新鮮だ」

律子「そ、そうですか……」///

P「ああ、普段からは見られないようなカワイイオーラが出てる感じ」

律子「かっ、かわっ……!?」

P「ああ、かわいい。ついでに言えばアホっぽい」

律子「プロデューサーがやったんじゃないですか!」

P「褒めてるんだよ?」

律子「アホはどう聞いても褒め言葉じゃないですっ!」

P「どう? ついでにメガネと、後ろで束ねてる髪も下ろしてみないか?」

律子「って、遊んでるんじゃないんですよ?」

P「乗りかかった船ってやつでさ」

律子「もうっ……あんまり調子に乗らないでくださいよ……」ファサッ

P「お、おおっ!!!」ガタッ

律子「……っ」///

律子「はあ、私ってば何してんだろ……」

P「……いつかさ」

律子「えっ?」

P「上下スウェットなんか着てさ、リビングの床にごろ寝しながらテレビ見てて、ふと横を見たらその髪型の律子がいるんだよ」

律子「……」

P「いつもからは見られないようなほんわかした顔でさ、アホみたいにちょんまげをぴょんぴょんさせながら洗濯物とか畳んでるの」

P「会話は無くて、テレビの音しか聞こえなくて、広いとも言えない部屋だけど、全然居心地が悪くないんだよな……」

P「……っていうところまで妄想した」

律子「~~~~~っっっ!!」カアッ///

バンッ!

P「うおっ!?」

律子「何バカなことい、い、言ってるんですひゃっ!!!」

P「えっ!? いや、その」

律子「もうっ、プロデューサーなんて知りませんっ!」ガタッ

P「おい、どこ行くんだ?」

律子「出てきますっ!」

P「顔は?」

律子「そっ、外で洗いますっ!!!」ダッダッダッ

バタム!

P「……」

P「うーん、怒らせちゃったか……」

P「……」

ウーターオーオウゼポンデビーチ タイヨウーヲリョウテニィー

P「おっ、メールだ」

『受けた以来は必ず果たす、それが俺のチョリソーさっ……
てことで兄(C)、ふりこみはスイスの銀行でよろよろ→☆』

P「……一発で誰かわかるメールってのも珍しいよな」

P「……」

P「バレたら殺されるかなぁ……」

P「ふーむ、3打数2安打ってとこかな」

P「いや、律子のも全然かわいかったし、出塁率はまだ10割ってことで……」

P「……」

P「ここで懲りないのが俺の性格なんだよ」

―さらに別の日―

P「なあ千早、知ってるか?」

千早「なんですか?」

P「なんでも、最近アメリカから入ってきた新しい形のボイトレが流行ってるみたいなんだ」

ピクッ

千早「へ、へえ。そうなんですか」

P「明らかにいい反応したなぁ」

千早「……」

千早「それで、具体的にはどんな感じですか?」

P「おう、それなんだけどな」

P「実は……」

P「『おでこ』を出すんだ」

千早「ふむ……、えっ?」

P「おでこだ」

千早「おでこ……ですか?」

P「千早は歌をうたう時、どこを意識してる?」

千早「どこって……お腹ですかね。やっぱり腹式呼吸は大事だと思います」

P「そうかそうか。よく考えてるんだな」

千早「お腹だけでなく、全身を意識するようにしてます。歌う前のストレッチも声量アップに繋がりますから」

P「うん。喉にばかり負担をかけると声帯が傷んでしまうからな。良い心がけだ」

千早「それと、何か関係が?」

P「ああ、ここからが本題なんだけどな」

P「千早は今、声を出すときのことについて話してくれたけどさ」

P「全身を使って発した声を、実際にどこから出すのかについて考えたことはあるか?」

千早「えっと……どういうことですか?」

P「千早はさ、声は眉間から出すって聞いたことないか?」

千早「……鼻腔の共鳴を意識しろってことですか?」

P「そう、そんな感じ。喉から生まれた声を、高いとこから遠くに飛ばしてやるんだ」

千早「なるほど……」

千早「聞いたことはありました……確かに意識が足りなかったかもしれません」

P「うん、そこでなんだけどさ」

千早「え?」

P「せっかく全身を使って発した声を、眉間から出してあげるときにさ、おでこに髪がかかってたらうまく通らないだろう」

千早「はい……」

P「そこで、おでこを出すんだよ」

P「声の通り道を開けてやることによって、声をより通りやすくするっていうのが、新たな流行なんだ」

千早「……」

P「……どうかな?」

千早「……一理ありますね」

P「っっ!!!」グッ

P「そこで今回持ってきたのが、これだ」ジャン!

千早「これは……バンダナですか?」

P「そ。やっぱりアメリカはみんなファッショナブルだからなあ。道具にもこだわるんだよ」

千早「なるほど、バンダナ……」

P「ミュージシャンは舞台に上がるからな。いつでも見た目のことは気にしてないといけない」

P「そこは、アイドルも通じるものがあるな」

千早「いろいろ種類があるんですね」

P「そうだな。今回持ってきたのは赤、青、オレンジ、ピンク……。柄もそこそこ。千早はなにか好きなのあるか?」

千早「オレンジで」

P「お、おう……。即答だったな」

千早「……」

P「じゃあ千早。巻いてやるから、かがんでくれ」

千早「えっ、自分でやりますから」

P「いいじゃないか。やらせてくれよ」

千早「まあ、なんでも、いいですけれど……」スッ

P「おう、前髪をこうしてっと……」クイッ

千早「……」

P「バンダナの結び目をこう、前に持ってくる感じで……」ファサッ

千早「……」

P「うーん、千早はロングだからバランスがなあ。ポニーにしてみないか?」サッサッ

千早「プロデューサー」

P「ん?」

千早「手慣れすぎじゃないですか?」

P「ソンナコトナイヨー」

P「よしっ、完成」

千早「あ、ありがとうございます……」

P「うん、いい感じじゃないか。特におでこが」

千早「はい……。おでこ?」

P「そう、おでこ。上手く声が出ていきそうな感じがするぞ」

千早「はあ、そうですか」

P「うん、本場っぽいな。アメリカでライブしてるミュージシャンみたいだ」

千早「別に、外見は特に気にしてませんから」

P「そしてこう、ステージのスポットライトがな、こう、おでこに反射してだな。表情がもっとこう……」

千早「?」

P「……コホン、うん、よく似合ってるよ」

千早「それでは、レッスンを続けますから」

P「え、感想は?」

千早「は?」

P「いや、何か思うところがあるだろ?」

千早「?」

P「だから、バンダナを巻いてみた感想だよ」

千早「はあ、そのためにも歌ってみないと」

P「いや、歌じゃなくてだな」

千早「新しい形のボイトレの話ですよね?」

P「そう、ボイトレ……あれ?」

千早「なんですか?」

P「……」

千早「……」

P「俺達、何の話をしてたんだっけ?」

千早「…………」

千早「あの、そろそろいいですか? レッスンに集中したいので」

P「あ、ああ。悪かったな」

千早「ご指導ありがとうございました」

P「う、うん……それじゃあ」

スタスタスタ

~~~~~~~~~~~~~~~~~

バタム!

P「ふいぃ~~~」

P「さすが千早。歌のことになると集中力がハンパない」

P「むしろ、歌以外のことはどうでもいいと思ってるのか」

P「……」

P「てか、俺のことをどうでもいいと思っているのか……」ガックシ

P「歌に集中している千早にとって、外見のこと、ひいては『おでこ萌え』のことを理解させるには道のりは長いみたいだな」

P「……」チラッ

P「ちーちゃんの髪の匂い……」スンスン

P「まっ、そこまで悲観することはない。クールビューティちーちゃんのてかてかおでこはしっかり見られたからな」

P「また作戦を練ってやってもらおう。CDジャケットの撮影とか言って」

P「……」

P「次のステージだ」

―やはり別の日―

P「もしもし、765プロです。ああ、先日はどうも……」

美希「ZZZ……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「はい、すでに準備はできています。当日の舞台入りの時間は……」

美希「ムニャー……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「申し訳ありません。その日、天海はスケジュールが詰まってまして……」

美希「ナノー……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「ふうぅ~~~~~っ」

P「……」

P「……マジで律子の爪の垢を煎じて飲ませたろうかな、こんにゃろ」

美希「ZZZ……」

P「さて、今日の業務は終了。俺はこれから帰るわけだけど」

P「本来ならば美希を起こしてとっとと家に向かうところだが」

P「……俺の『おでこプロジェクト』は継続中なんだよな」

美希「……」

P「……」

美希「ZZZ……」

P「……」

美希「クカー……」

P「…………」

P「『眠り姫』は王子様のキスで目覚めるんだったよな……!」

P「てか、本当に寝てるよな……?」

美希「ZZZ……」

P「美希、レッスンに行くぞ」

美希「……」

P「美希、ステージ始まるぞ」

美希「……」

P 「美希、キャラメルマキアートだぞ」

美希「……ニヘラ」

P(かわいい)

P「春香」

美希「ZZZ……」

P「やよい」

美希「……」

P「律子」

美希「……」ムスッ

P「うわぁ、苦い顔」

P「……さて、お遊びはこの位にしてと」


P「安心しろ、美希。俺は美希のプロデューサーだからな」

美希「……」

P「本当に手を出すようなことはしない。おでこだけだ」

美希「……」

P「むしろ、おでこが目的だ。うん」

P「それでは、ご開帳……」スッ

ファサッ

P「うーん、綺麗なおでこだ。美希」

P「しっとりとして、つやっとしているような。まるで人が踏み入れていない雪原のような白さ」

P「金髪も相まって、より魅力的に見えるぞ」

美希「ZZZ……」

P「……よし」

美希「ZZZ……」

P「じゃ、行くぞ」ガタッ

美希「……」

P「ん~~~」チュー

美希「……」

P「ん~~~~~~」チューーー

美希「……ナノ」

P「んん~~~~~~っっ!!!」チューーーーーーー!

美希「……リナノ」

P「ん?」チューー

美希「オオオおおおお゛に゛き゛り゛な゛の゛っ゛!!!!」ガバッ

P「ふぐっ!!!!」ゴッ

P「~~~~っべえ、デコが、デコガッ……」

美希「ん~~~~~~~っ、あふぅ」ムクリ

P「っべえ、これ。前歯ある? ちゃんと揃ってる?」

美希「ん~~~~っっ」セノビッ

P「っべー、まじっべー……。デコやべえ。マジやべえ」

美希「ん~~~~? あれ、プロデューサー?」

P「デコが、デコが迫る……」

美希「でこ? でこちゃんがどうかしたの?」

P「いや、なんでもない。やっと起きたか」スリスリ

美希「ん? あれ、ミキって寝ちゃってたんだっけ?」

P「おいおい、自覚なしかよ……」サワサワ

美希「うーん、気がついたら事務所にいたみたい?」

P「そんな訳ないだろ。俺が事務所に来てからずっと寝てたよ」スリスリ

美希「まあいいの……あふぅ」

P「うん……もうどうでもいいや」

美希「? プロデューサー、どうしてさっきから口元抑えてるの?」

P「気にしないでホントにマジで」

美希「ふーん」

美希「じゃ、ミキもう帰るね」

P「おう、気をつけて帰れよ」

美希「プロデューサーは?」

P「少し、考えなきゃいけない案件が増えたんだ。今しがた……」

美希「ふーん、大事なこと?」

P「ああ、とっても大事なことだよ……」ズーン

美希「そっか」

P「ああ、気をつけてな」

ガチャッ

美希「あ、そうそうプロデューサー。でこちゃんで思い出したけど」

P「何だ?」




美希「おでこへのキスは『親愛、友情』って意味らしいよ?」

P「……」




美希「じゃねっ!」

バタム!

P「……」

P「……えっ?」

P「…………」ヘナヘナッ

P「……気づいてたってこと?」ペタン

P「……俺の全部バレてるってこと? え、だったらなんで突然で起きたの?」

P「……」

P「なんかもう……考えるのも疲れた」

P「今回の一件でわかったことがある」

P『夢は狂気をはらむ。その毒もかくしてはならない』

P「アイドルの『おでこ』という夢を追い続けるならば、俺はいくらでも傷つこうじゃあないか……!」

P「……」

P「まあ、できるだけ穏便に」

―そして別の日―

亜美「兄ちゃんドーンッ!!!」

真美「ドーンッ!!!」

P「うおっ!?」

ドシャーン

亜美「ねえ兄ちゃん。この前のアレ、何だったの?」

真美「そーだよ、『後でなんでもするからりっちゃんの顔に落書きしろ』って」

P「ちょっ……あまりおっきな声で言うなって。あと上からどいてくれ。頼むから」

真美「でもでもー。りっちゃんに落書きなんてチョー楽しかったよね」

亜美「んむんむ」

P「ああ、楽しんでくれて何よりだ。win-winだな」

亜美「ウィンウィン? なにそれ?」

真美「足でギターでも弾いてるの?」

P「……そっちのネタを知ってるほうが驚きだよ」

亜美「でもでも兄ちゃん。まだアンケンは残っているのだよ」

真美「そそ、キワめてジュウダイなゴクヒアンケンだよ、兄ちゃん!」

P「あれ、そんなのあったっけ?」

亜美「あったよっ。忘れるなんてひどいな~っ」

P「って言われてもなあ」

真美「約束を破ったらおヘソ取られちゃうっぽいよ~」

P「それは雷の時な。……で、何の話だっけ」

亜美真美「……♪」ニコッ

亜美真美「『後で何でもする』っっっ!!!」

P「……あっ」

亜美「どう? 思い出した?」

P「ああ、たしかに言ったな……」

真美「サイバンチョ! ヒコクニンは罪を認めたっぽいよ!」

亜美「んっふっふ~。認めちゃったんだ、兄ちゃん!」

P「報酬はスイス銀行への振込じゃなかったのか?」

真美「そんなとこに口座持ってないもん」

P「そりゃ、そうだろうけどさ……」

亜美「ふむ、それではケイをいいわたす……兄ちゃんには……っ!」

P「……俺には?」

亜美真美「「二人での仕事を持ってくることっ!」」

P「何だ、そんなことか……」

亜美「そんなことってなんだYO!」

真美「真美達、最近忙しいから全然会えてないんだーっ」

亜美「そっ。だから仕事なら堂々と会って遊べるかなーって」

P「遊べるって……。ま、二人の時間が欲しいのはわかったよ」

亜美「なんとかできる?」

P「ま、やることはやってもらったしな」

亜美真美「「やったーっっっ!!!」」

P「で、仕事の要望はある?」

亜美「楽しいやつ!」

真美「おもしろいやつ!」

亜美「メッチャ派手なやつ!」

真美「せくちーなやつ!」

P「……楽しくて、おもしろくて、派手で、せくちーか」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

ブロロロロロ キッ

P「よし、到着だ」

亜美真美「「おおおおお~~~~~~っっ!!」」

P「じゃ、俺は関係者の人に挨拶してくるからな」

亜美「メッチャ人いるねっ」

真美「音楽もなってるしメッチャ楽しそうだねっ」

亜美「ねえ、兄ちゃん」

P「ん?」

亜美「亜美達、今日は何のお仕事?」

P「なんだ、知らなかったのか」

真美「おもしろいやつ? せくちーなやつ?」

P「ふっ、期待しとけよ。今日の仕事はだな……」

亜美真美「「今日の仕事は……!?」」

P「ズバリ……!!」

亜美真美「「ずばりっ……!!」」

P「サンバカーニバルのゲストだっ!!!」

亜美真美「「うおおおおお~~~~~~っっっ!!!!」」

P「二人とも、着替え終わったか?」

亜美真美「「うんっ!!」」

P「おお、よく似あってるよ」

亜美「んっふっふ~。この衣装なら、兄ちゃんもイッパツでメロメロっしょ~」

真美「んっふっふ~。真美達にこんなカゲキィな衣装着せるなんて、兄ちゃんもロリコンだね~っ」

P「おいおい、元々そういうお願いだったろ?」

真美「まあねっ! この衣装メッチャかわいいし、兄ちゃん君も、いい仕事取ってきたよ~」

亜美「はではで~って感じで、ふりふり~って感じ。まこちんが好きそうかもねっ」

P「それにな、俺はロリコンじゃあないんだ。強いて言うなら……」

亜美真美「「強いて言うなら?」」

P「『おでコン』だっ!」

亜美真美「なにそれ」

P「えーっ」

P「おっと、まだ終わりじゃないぞ。仕上げがある」

亜美「仕上げって何?」

P「まま、いいから。後ろ向いて座れ」

真美「うーいっ」

P「よし、じゃあ真美からな。まずサイドの髪は解いて……」シュルシュル

真美「どういう感じにするの?」

P「もちろん前髪アップでぱっちりおでこだ」クイッ

真美「うえー」

P「なんだ、嫌か?」サッサッ

真美「せっかく今日もイイ感じで結んだのに、つまんなーい」

P「もちろん理由もあるぞ」ファサッ

真美「どんな?」

P「それは……こいつだ」スチャッ

真美「お、おおっ……!!」

亜美「兄ちゃんすげーっ!!」

P「サンバならではのヘッドアクセだっ!!」

P「うん、思ったとおりだ。いいおでこをしてるぞ」

亜美「すげーっ! 兄ちゃんすげーっ!」

P「ふっ、やっぱり二人共若いからな。ピッチピチのおでこを公衆に露出してだな……」

亜美「すげーっ! メッチャかっこいいっ!」

P「亜美真美の天然おでこに、ほんの少し華を添えるように、主張しすぎないひかえめのヘッドアクセを……」

真美「んっふっふ~っ。コレで真美の魅力はストップ高だね~んっ!」

P「羽の付いたのやら、頭をすっぽり隠すのやらあったけど、やっぱりシンプルかつ洗練された物を選んで……」

真美「チョーキラキラ光ってるし! チョーテカテカだしっ!」

亜美「ねー兄ちゃん! 亜美にも早くつけて~っ!!」

真美「ねね、亜美。写真撮って! みんなに送るから~っ!」

P「話、聞いてる?」

MC「それではゲストに登場してもらいましょう。765プロから、双海亜美、双海真美さんです!  どうぞっ!!!」

ワアーッッ!!!

亜美真美「会場の兄ちゃ~ん! 姉ちゃ~んっ!!」

ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!


~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「うーん。二人はおでこよりヘッドアクセの方が気に入ったみたいだな」

P「ま、体は成長してるとはいえ、心はまだまだお子様だ。光物に目を奪われるのもしょうがない」

P「まっ、俺は俺でしっかりピチピチおでこを見ること出来たし。オールオッケーだな。これこそwin-winだ」

P「ふっ、また新たな魅力を見つけてしまったな……」

P「……」

P「輝いてるぜ……亜美、真美っ!!」

P「ああ、アイドル達の魅力がどんどん引き出されていく……」ブルブルッ

P「これはアレだな。ランナーが経験するランナーズ・ハイって奴だ。プロデューサーズ・ハイだな」

P「……」

P「どんどん行こう」

P「響といえば沖縄、沖縄といえば響……」

P「響といえば、カワイイ、完璧、ポニテ、ポンデビーチ……」

P「ふむ……」

P「沖縄といえば、ちゅらさん、ゴーヤ、サーターアンダギー、シーサー、宮國……」

P「琉球文化……?」

P「『琉球 衣装』っと」カタカタッ

P「……」

P「!?」ガタッ

P「というわけで沖縄に行くぞ」

響「というわけも何も意味がわからないんだけど」

P「……オレタチ、オキナワ、イク、OK?」

響「日本語がわからないんじゃなくてっ!」

P「『琉球 衣装 おでこ』後はわかるな?」

響「いや、検索ワードみたく並べられても困るぞ……」

P「沖縄には琉球衣装ってのがあるらしいな」

響「琉球? うん、結婚式とかで着たりするね」

P「そう、それを響に着せてみたくてな」

響「え゛っ、自分、結婚するのか!?」

P「なんでそうなる」

響「つまり……たまたまネットで見かけた琉球衣装がかわいかったから、自分に着せてみたいのか……」

P「そう! かわいい響がかわいい琉球衣装を着たらとんでもないことになると思ってな!」

響「か、かわっ……!?」///

P「撮影会プラス、バカンスって感じかな」

響「とてつもない行動力だぞ……」ガックシ

P「どうだ、一緒に行ってくれるか?」

響「で、でもっ」

P「? どうした?」

響「衣装を着るのは嫌じゃないけど……。自分、トップアイドルになるまで故郷には帰らないって決めてるしっ……」

P「……そうだったな。ゴメン、テンション上がりすぎた」

響「い、いやっ。でも自分も着てみたいし、ううん……でもっ」

P「……」

響「わかったっ。『家には帰らない』ぞ。あくまで仕事のために行くんだからな!」

P「……響! 当たり前だ! 仕事のためだ!」

響「そう、仕事のためだ!」

P・響「しごとっ! しごとっ!」♪

ウーターオーオウゼポンデビーチ タイヨウーヲリョウテニィー

P「おっ、メール」ポチポチ

響「で、いつ行くの?」

P「明日だな」

響「明日!?」

P「飛行機も今取れたしな。そのメールだ」

響「いくらなんでも急すぎじゃないか……?」

P「こういうのは善は急げなんだよ」

響「そ、そう……」






響「で、なんで着信がポンデビーチなの?」

P「いや、妙に耳に残って……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

キイイイイインンン

P「はい、着きました那覇空港!!!」

響「おおーーっ!!!」

P「お、テンション上げてんな~」

響「えっ/// それはもう、否が応でもっていうかっ」

P「響、ハイサイ!」

響「ハイサイ! プロデューサー!」

P「うんうん、やっぱり郷に入りては郷に従えだよ」

響「自分はそもそも地元だから変な感じだけどな」

P「それで、これからどうする?」

響「えっ?」

P「レンタカー借りてから国際通りに行くのがセオリーだよな。それともすぐに美ら海水族館を目指しちゃうか?」

響「いいなーっ。でも自分はまず食事からしたいな。久しぶりにぬーやるバーガーとか!」

P「……」

響「……」

P「そうだよ、俺たち仕事するために来てたんだ……」ショボーン

響「気の迷いって怖いね……」ドヨーン

P「バカンスは後々ってことで、スタジオに着いたぞ」

響「おーっ」

P「ま、休憩時間に沖縄料理とか位ならお許しも出るだろ」

響「『うしんちー』か……見たことはあるけど着るのは初めてだぞ」

P「? 『うしんちー』って何?」

響「あ。えっと、プロデューサーが言ってた琉球衣装のことだけど……」

P「ああ、そうか。正式名称があったんだな」

響「正式かどうかはわからないけど。自分たちはそうやって言ってたな」

P「着るのは楽しみだったりするか?」

響「うんっ! 自分の親戚とかも成人式とか結婚式とかで着るねーねーがいてな。とっても綺麗だったんだ」

P「そっか……響にとっては憧れみたいなものなんだな」

響「へへっ。まあね」

響「それでさ、もっと高級なのもあって、それを『うみないび』っていうんだ! それもめーっちゃ綺麗なんだ!」

P「へえ、いろいろ種類があるんだな」

響「でな、『うちんしー』」とか『うみないび』を着るときは髪を上げなきゃいけなくて……」

P「そう、それっ!!!」

響「えっ?」

P「髪、上げる! おでこ、見える!」

響「ぷ、プロデューサー?」

P「その髪型はなんて名前なんだ?」

響「え、えっと……『ちなーかんぷー』って言うんだけど」

P「そう、それっ! 『ちなーかんぷー』っ!!」

響「いきなりどうしたの?」

P「いやあ、響の晴れ姿が見れるとなって興奮してきてな! ハハハッ!」

響「プロデューサー……。うんっ! 自分、目一杯頑張るぞ!」

P「その意気だ、響!!」


P「着付け、終わったか?」

響「う、うん」

P「うん、よく似あってるよ。特におで……」

響「…………」

P「……? どうした、響」

響「いや、ちょっと……」

P「……言ってみ?」

響「……あのね。さっき、ねーねーが着てるの見たって言ったよね」

響「それでね、ほんとに、うしんちーを着るの、憧れだったんだ」

響「そのころはアイドルになろうなんて思ってもなかったから、ねーねーが自分にとって一番身近なアイドルでね」

響「ほんとに、ほんとうに綺麗だなーって思ってたんだ」

響「それで、今自分は、こうやってうしんちー着てるでしょ?」

響「だから……その」

響「あの時のねーねーみたいに慣れてるかなって思ったら」

響「ちょっと、昔を思い出しちゃって……」グスッ

P「響……」

ダキッ

P「ゴメンな。無理に連れて来ちゃったな」

響「そ、そうじゃなくてっ。沖縄に来れたのは本当にうれしくってっ」

P「うん……そうか」

響「だから、プロデューサーには感謝してる。頑固な自分を連れてきてくれて、ありがと」

P「……また、来ような」

響「え?」

P「トップアイドルになったら、また、胸を張って来ることができるだろ? だから」

P「俺は、絶対トップアイドルになるまで、響と一緒にいるから……」

響「プロデューサー……」

ギュッ

P「だから、またいつか、沖縄に来ような」

響「うん……へへへ」ニコォ

P「……やっぱり響は笑った顔のほうが似合うな」

響「プロデューサー。うしんちーを着る時って、お化粧をしたらダメなんだ」

響「だから、コレが、自分の素顔。ほんとの笑顔」

響「どう? 自分の笑顔。ちゃんと見て?」

P「ああ、すごく……綺麗だよ」

響「へへへっ……」

カメラマン「……ご一緒に写真、撮られますか?」

P「え?」

カ「ここに来られるお客様は、地元の新婚さんだったり、旅行に来る夫婦だったり、男女ペアのかたが多いんですよ」

カ「男性用の衣装も豊富に揃えていますし、二人で割引サービスもいたします」

響「えっとこれ、一応仕事用なんですけど……」

カ「だから、こっそりと」ニコ

響「……どうする?」

P「俺は、響が良いなら」

響「うん、自分も、プロデューサーと撮りたい」

P「では、お願いできますか?」

カ「はい、よろこんで」

カ「では、撮りますよ。二人共笑って……」

パシャッ


ちょっとだけ補足
>>1は沖縄出身ではなく、沖縄に関してはネットの知識だけでこれを書いてる。
なので、うちなーぐちの用法が間違えてるかもしれんがスマン。
間違えをみつけたら、指摘はウェルカムなんで。

P「ふーむ、思ってた以上に思い出深い旅になったなあ……」

P「待ち受けはバッチリ二人で撮ったのに変更したし、いつでも響が見られるとは」

P「響のうちんしーもすごくかわいかった……。ちなーかんぷーとか神の発明品だろ……」

P「はあ、響……」

P「……」

P「おっと、まだまだ満足するのは早い」

―からの別の日―

P「雪歩のぱっつんが見たい」

雪歩「えっ?」

P「そう、やっぱり雪歩はぱっつんだと思うんだよ」

雪歩「えっと、あの、その……」

P「例えば、今日から新しい私になろうと思って、勇気出して行きつけの美容院から違うとこに行ってみるんだ」

P「そしたら思いの外前髪を短く切られちゃうんだよ。んで、明日から私はどうすればいいんだ! ってさ」

雪歩「あの、プロデューサー?」

P「次の日、おでこを出すことに慣れてない雪歩は、もうめっちゃ恥ずかしいんだろうな。手を使ったり前髪を引っ張ったり必死に隠そうとするんだよ」

雪歩「お、おでこぅ……」

P「それで、そこにやってくるのが真だよ!」

雪歩「え、真ちゃん!?」

P「こう、ぱっつんが恥ずかしくて、いつも以上に背中が小さく見える雪歩に対してさ、正面に向いてこう言うんだ」

真『そんなに俯いてちゃ、雪歩のかわいい顔が見られないじゃないか……』

P「……どう?」

雪歩「続きをおねがいしますぅ……」

P「でさ、そこで取り出すのは、こう、シンプルなヘアピンよ」

P「ポケットから数本のヘアピンを取り出して、ちっちゃく踊る雪歩の前髪をこう、すっと、整えてやるんだ」

雪歩「お、おおっ……!」

P「真はしっかり乙女だからな。友達の髪型の変化とかには敏感なんだよ」

雪歩「ヘアピンを持ち歩いてる真ちゃんの女子力の高さたるやですぅ」

P「そして、雪歩はさ、おでこを晒されて恥ずかしいのと、真に髪をいじってもらった恥ずかしさで真っ赤になって全く俯いちゃうわけよ」

雪歩「絶対真っ赤になるに決まってますぅ……」

P「そんな雪歩を見ながら、また一言、こんな感じで……」

真『短くしたのかい? 似合うじゃないか!?』

P「……で、少しながら自信を持てた雪歩は、それから自分の髪型に恥ずかしがることは無くなったとさ。めでたしめでたし」

雪歩「ひゃああ」

P「ま、言うても髪は女の命だしな。無理に切ることは無いだろう」

P「それにアイドルとして事情もある。いきなり大幅なイメチェンをするには、それなりの準備と戦略が必要だ」

雪歩「あ、あうぅぅ……」

P「それを、切り捨ててまで、雪歩は欲望に走る覚悟は有るか?」

雪歩「わ、私は……」

P「少し先に待ち構える未来に向けて、全力で向かう用意はできているか!?」

雪歩「私は真ちゃんに、そのっ……!」

P「真に……」

雪歩「……」

P「……」ドキドキ

雪歩「……でも、ぱっつんにするのはちょっと」

P「アチャー」

P「ま、さすがにそう上手くはいかないよな」

雪歩「そもそも、どうして私のぱっつんなんですか?」

P「いや、内気な女の子が髪を切るのに失敗して落ち込む、とか、物語の定番じゃないか。雪歩ならピッタリだなと」

雪歩「そ、そうですか……」

P「ま、ぱっつんと言っても、ハサミを横に入れたような一文字型の奴じゃない。生え方はもっとカジュアルでいい」

P「その場合、生え際と眉毛のちょうど真ん中あたりに前髪の頂点が来るのがベストだ。見え隠れするおでこのチラリズム的な……」

雪歩「プロデューサーは、おでこが好きなんですか?」

P「むしろ生きがいと言っていいな」

雪歩「生きがい……ですか」

P「ま、髪はすぐ生えてくるものでもないしな。無理やり切るのはダメだ。亜美真美も無理だ」

雪歩「亜美ちゃんと真美ちゃんがどうしたんですか?」

P「いや、なんでもない。失言失言」

雪歩「は、はあ……」

P

>>119
ミス

P「どうだ、切らなくてもいいから、少しだけ髪を上げてみないか?」

雪歩「えっと、おでこを出すんですか?」

P「ああ、ちょうどヘアピンもあるし」

雪歩「ちょっと、恥ずかしいかもです……」

P「うーん。やっぱり恥ずかしいか。幼く見えるからか?」

雪歩「幼く……というわけでもないんですけど、いつも隠れてるところが見えるのは気分的には……」

P「なるほど。髪の短い男にはわからない分野かもな」

雪歩「はい、ごめんなさい……」

P「いやいやこちらこそ悪かった。ただの衣装チェックの一環だと思ってくれ」

雪歩「衣装……チェック?」

P「ま、衣装に似合うヘアスタイルを決めるのも、アイドル活動の範疇だしな。それの一環だ」

雪歩「あの、プロデューサー」

P「? どうした」

雪歩「わ、私は、ダメダメな自分を変えたくて、アイドルになろうと思ったんです」

雪歩「アイドルとして頑張っていけば、こんな自分でも、変えることができるって思って」

P「そうだな、雪歩はいつも頑張っているよ」

雪歩「でも、ダメなんです。まだまだ全然なりたい自分にはなれなくって……」

雪歩「今日だって、せっかくプロデューサーが私のことを思って言ってくれたことを断っちゃって……」

P「……」

雪歩「だから、私、変わらなくちゃって思ったんです」

雪歩「衣装が嫌だからステージに上がれないなんて、アイドルとして失格ですから……!」

P「ゆ、雪歩? そんなに深く考えなくても……」

雪歩「深いんですぅ!」

P「!?」

雪歩「深くて、その、私にとってはとても大事な問題なんですっ!」

雪歩「……」

雪歩「だから、そのぅ……」

雪歩「プロデューサー……」

雪歩「わ、私の、おでこを、見てくれますか?」キュッ

P「~~~~~!!!???」キューン

P(ヤバイ、なにこれっ!? なにこの破壊力っ!?)

P(てか、ものすごく悪いことしてる気分に……)

雪歩「ちっぽけかもしれないけど、私のきっ、気持ち、見てくれますか?」

P「……!! ああ、見る。見るよ雪歩っ!!」

P「じゃあ、行くぞ」

雪歩「はい、お願いします……」

スッ

ササッ

P(おおっ、雪歩のつるんとした卵のようなおでこ……)

P(顕になってから初めて分かるその輝き、そのツヤ、そのきめ細かさ……)

P(決して普段見れない、まさしく絶対領域。だからこそ感じるこの究極のチラリズムッ……!!!)

雪歩「あの、まだですか?」

P「おっ、もう少し……ここで止めてっと」サッサッ

雪歩「……」



P「……よし、できたよ。雪歩」

雪歩「あ、ありがとうございますっ」

P「じゃあ、行くぞ」

雪歩「はい、お願いします……」

スッ

ササッ

P(おおっ、雪歩のつるんとした卵のようなおでこ……)

P(顕になってから初めて分かるその輝き、そのツヤ、そのきめ細かさ……)

P(決して普段見れない、まさしく絶対領域。だからこそ感じるこの究極のチラリズムッ……!!!)

雪歩「あの、まだですか?」

P「おっ、もう少し……ここで止めてっと」サッサッ

雪歩「……」

P「……」ファサッ

P「……よし、できたよ。雪歩」

雪歩「あ、ありがとうございますっ」

>>125
ミス
今日ミス大杉内

雪歩「……あの、プロデューサー」

P「うん、どうした?」

雪歩「その、に、似合ってますか?」

P「!?」ドキン

P「ああ、その、なんだ。とても似合っているよ」

雪歩「そ、そうですか。えへへっ……」キュッ

P「!?!?」ドキドキ

P(何だ、この異常な昂ぶりはっ!)

P(これは、おでこセンサーとは違う何かのセンサーが反応している……)

P(何か、ダメな事してる罪悪感とか、か弱いものに対する庇護欲とか、色んなのがないまぜになって……)バクバク

雪歩「プロデューサーに褒めてもらえるなら、短くしちゃってもいいかも……」

P「お、おいおい、誘っておいて何だけど、よく考えて決めろよ?」

雪歩「えへへっ、そうですねっ」

P「ははっ」

P(ああ、これはあれだな、あの一言に集約できるな)

P「…………」

P(あずとい)

P「雪歩……。男嫌いなところがあるから、あまりイジらせてもらえないと思ったけど、とんだ伏兵だった……」

P「しかし、今回に限って言えば、おでこ萌えよりも、あずとさにやられた方が大きかったかも……」

P「……」

P「そういえば今日は……」

―5月5日―

P「はい、お世話になっております、765プロです。今回のライブですが……」

ガチャッ!

「…………」

P「はい、そこはスケジュール通りで。ただ、この15時のところですが……」

ギイイィッ

バタム!

「…………」

P「そうですねぇ7、それだと少し間に合いません。だったらこの時間を……」

「…………」

P「それは困ります! アイドルたちにそんな負担を強いることは……」

「…………」

「……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

P「ハイ、失礼します。それではー。ハイー。」

ピッ

P「あ゛~~~~~~~っ、疲れたあ!」ギィッ

伊織「……ちょっと」

P「……ん?」キョロ

伊織「どっち向いてるのよ」

P「おお、伊織。いたのか」

伊織「『いたのか』じゃないわよっ!この伊織ちゃんが事務所に来てるのに気づかないなんて、どういう訳!?」

P「しょうがないだろ、電話中だったんだから」

伊織「にしてもっ、合図するなりなんかあったでしょっ!? せっかく……」

P「?」

伊織「……なんでもないわよ」

伊織「……何かアンタ、最近調子に乗ってるみたいね」

P「調子か? ああいいぞ。アイドルのみんなが売れ始めてるからな。俺のがんばりが遂に認められたかな?」

伊織「ちょっと、そういうことじゃ……」

P「……ああ、そうだな、俺の力じゃない。みんなが力をつけ始めたお陰だ。みんな良くやってくれてるよ」

伊織「だから、調子に乗ってるって事はそうじゃなくて……」」

P「? どうしたんだ?」

伊織「……まあいいわ」

伊織「にしてもアンタ、最近アイドルにちょっかい出してるみたいね」

P「あちゃ、バレたか」

伊織「なんでも事務所のみんなに手を出してたぶらかしてるみたいじゃない」

P「たぶらかすって……人聞きが悪いな。コミュニケーションの一環だよ」

伊織「そんなの同じようなものよ」

P「いやー、今日は一段と手厳しいな。何かあったのか?」

伊織「何もないからよ!」

P「え?」

伊織「え、いや、そのっ……」

P「何もないから、か……」

伊織「いっ、今のはそういう意味じゃなく、えっと……」

P「ふむ……つまりはこういうことか?」

伊織「!」

P「そう……みんなに仕事が入ってるのに俺が他のアイドルにかまってるのが気に入らないんだろ?」

伊織「!?」

P「あー、やっぱりそういうことか。気づいてやれなくてゴメンな」

伊織「ち、ちが……!?」

P「焦る気持ちもわかる。でも心配すんなって。仕事はちゃんと順番に回るようにする」

伊織「だからっ……その」

P「うん、順番てのも難しいもんだよ。どうしても俺の手が回る範囲は限られてしまうから……」

伊織「……っ」

P「だから伊織、俺を信じてもう少しだけ待っ」

伊織「ち、違うって言ってるでしょっ!」バンッ!

P「!?」

伊織「…………」

P「な、何怒ってるんだよ」

伊織「!!」キッ

P「に、睨むなって……」

伊織「この数日間、アンタに言ってやりたいことがやん~~~~~まっほどあったのよ!」

P「そ、そうなのか……」

伊織「そのくせアンタはいっつもいっつも他の娘とベタベタして」

P「し、仕方ないだろ。一人にだけ贔屓は出来ないし」

伊織「そのくせ自分はそんなにヘラヘラしちゃって……」

P「べ、別にヘラヘラしては……」

伊織「うるさいっ!」

P「!?っ」

伊織「誰に断って口を開いているわけ? この伊織ちゃんが喋ってるのにっ

P「なあ、伊織。どうしたんだ? いつもと違うぞ?」

伊織「誰のせいだと思ってるのっ!!」

P「……誰のって、もしかして俺のせいか?」

伊織「……」

P「俺の、せいなんだな……」

伊織「……アンタは、私のことなんてどうでもいいのね」

P「……どうしてそうなるんだよ」

伊織「事務所のみんなに聞いたわ。アンタのフェチズムについて」

P「難しいな……要は萌えのことか?」

伊織「そう……私だってアンタのことは知らないことは多いわ。趣味嗜好のことならなおさらよ」

P「……」

伊織「だから、そのことを初めて聞いた時に驚いたわ。それと同時に、失望したの……」

伊織「アンタにとって私の事なんてどうでもいいのね……って」

P「聞いたのか……」

伊織「ええ……」

伊織「アンタがおでこ萌えだったなんて」

P「伊織……」

伊織「アンタは私の事なんて見えてなかったのよねっ。だから他の娘のところに離れていった」

P「……」

伊織「私はアンタのためにこの髪型にしたわけじゃ決してないわ」

P「……」

伊織「それに、アンタのことなんてどうでもいいと思ってるけど、でもっ」

P「……」

伊織「なんだか、無視されてるみたいで……っ。辛かった……」

P「……」

伊織「アンタなんかに影響されるのも心外だけどっ、私、自分のおでこを気に入ってたのにっ」

伊織「小さい頃からずっとこの髪型で、『でこちゃん』なんて呼ばれたりしてたのに」

伊織「なんだか、自分を嫌いになっちゃいそうだった……っ」


伊織「たまに事務所で見かけても仕事、仕事、仕事ばかり……そんな環境なら、私をただの仕事仲間って思うことも無理ないわよね……」

伊織「というか、何言っちゃってんのよ、私……」グスッ

伊織「不覚よ、アンタの前なんかで」ヒック

伊織「もう、なんでこんなことになっちゃうのよ……」

伊織「せっかく、今日は、今日は」

P「……誕生日だもんな」

伊織「……えっ?」

P「そっか、自分のことをどうでもいいと思われてるのが嫌だったんだな」

伊織「あの、えっ……?」

P「……伊織、こっち向いてくれるか?」

伊織「な、何よ」

P「あのな、伊織」

P「俺が伊織のこと、どうでもいいって思うわけ無いだろ?」

伊織「っ!」

P「フェチとか、そんなの関係ない。伊織はとっても魅力的な女性だよ」

伊織「~~っ!」

P「……てか、そもそも俺がおでこの魅力に惹きつけられたのは、伊織を見てからだよ」

伊織「えっ……?」

P「怒ってるかと思ったらすぐにカラカラ笑って、かと思ったらまた拗ねて……伊織は見せる感情が豊かだから」

P「そんな豊かな感情をたくさん見てきたからこそ、伊織の魅力もわかるんだ」

P「顔が前髪で隠れてないからな。感情がすぐにわかるんだよ」

伊織「……なんで怒ってるかはわからなかったじゃない」

P「それは、エスパーじゃないんだから……」

P「だから、試してみたんだ。アイドルたちのいろんな表情を見るために。いろんなおでこを見るために」

伊織「……収穫はあったの?」

P「えっ?」

伊織「だから、私を放ってまで行って、何もなかったじゃすまないでしょ?」

P「……ああ、そうだな。今回を通じて、アイドルたちのいろいろな顔を見ることが出来たよ」

伊織「そう……」

P「それに、面と向かって『俺はおでこが好きなんだ!』なんて言ったらさ」

P「なんだか、伊織に好きだって言ってるみたいで……っておもってな」

伊織「な、何バカなこと言ってるのよっ」グスッ

P「いや、本当だって。恥ずかしかったんだ」

伊織「ま、まあっ。この私に魅了されるのは仕方ないことよっ」

P「ああ、本当にそうだよ」

伊織「……」///

P「それにさ、トリは一番おでこが似合う伊織こそふさわしいと思ってな」

伊織「トリ? 何のこと?」

P「さ、伊織。かがんでくれ」

伊織「かがむって、こうすればいいの……?」

P「ああ、すぐに済むから……」

P「伊織、目を閉じて」

伊織「ん……」

スッ・・・

P「うん、出来たよ。開けてくれ」

伊織「……何をしたの?」

P「鏡を見て、ほら……」

伊織「……うん、これって」

P「ああ。ダッカールだ」

P「誕生日おめでとう、伊織」

伊織「ちゃ、ちゃんと覚えてたなら先に言いなさいよね」

P「まあ、そこはタイミングが悪かったってことで」

伊織「……」ニコッ

P「伊織からしちゃ安物かもしれないけどな。しっかり探して選んできたんだぞ」

P「街という街を探しまわってだな、イメージカラーに合わせながらも伊織の髪質に合った物を……」

伊織「ふん、私ならオーダーメイドで一発よ」

P「い、伊織ぃ……」

伊織「でも、ありがと」

P「……ああ」

伊織「あーあ、なんだか無駄に一喜一憂しちゃったわ。私の労力を返してよ」

P「労力なんてどう返せばいいんだよ……」

伊織「そんなの簡単よ。アンタが不眠で24時間私のためだけに働きづめれば許してあげるわ」

P「おおう、労基法もビックリだ」

伊織「この伊織ちゃんを傷つけたのよ。そのくらい受けて当然だわ」

P「はあ、これから大変だなぁ」

伊織「……にひひっ」

P「お、やっとその笑いが出たな」

伊織「う、うるさいわねっ」

P「うんうん、伊織はその顔だよ」

伊織「こんな笑顔、アンタにしか見せないんだからっ」♪

P「ああ、やっぱりだ」

P「やっぱりおでこには、笑顔が一番似合う」

いおりん誕生日おめでとう!
この日を目指してこのSS書いてたんだけどこんなにギリギリになってスマン!
いおりんのおでこマジ最高!

……というよりまだ全アイドル分終わってない。
本来ならば全て終わらせて切り良く伊織編に行くつもりだったんだけどなあ、意外と進まなかった。
ま、伊織誕生日を祝えたしこのスレの目的は達せられたので残りのアイドルは後々ゆったりやってく。

読んでくれた方がいたらありがとうございました。

ガラガラ

ヘイラッシャー

P「お、やっぱりここにいたか」

貴音「ふ、ふろでゅーしゃー! どうして……」モグモグ

P「事務所で聞いたら飯食いに行ったって聞いたから、ラーメン屋だろうなって。それ何食べてるの?」

貴音「ほんこつでふ」

P「すいません、俺にも貴音と同じのを」

ハイヨロコンデー!

貴音「……ひて、ふろでゅーしゃーはにゃにをしにほほへ」モゴモゴ

P「おいおい、食べるのか喋るのかどっちかにしような」

貴音「……」

ズゾーーズゾーーーズゾゾゾゾ

モグモグモグモグモグモグ

P「食べる方を選ぶのか……」

ゴクン

貴音「ふうっ、ご馳走様でした」パン

P「うん……相変わらずよく食べるな サイフがスッカラカンになりそうだ」

貴音「ふふっ、そうでしょうか」

P「さすがにそれだけ食べる女性を少食とは呼ばないな」

貴音「して、あなた様。今日はどのような要件で?」

P「要件ってほどでもないかな。ただラーメンが食べたかったのもあるし」

貴音「そうですか……」

P「にしても、貴音は本当にラーメンが好きなんだな。食べるときは顔が輝いてたよ」

貴音「ふふっ、今宵のらぁめんも、まこと美味でした……」

P「うんうん、それでこそ貴音だ」

P「そんなに好きならさ、自分でラーメンを作ってみようとは思わなかったのか?」

貴音「……かっぷぬぅどるなら、作りますが」

P「それは作るって言うのか? そうじゃなくて、最初からダシとか取ってさ。貴音ならやったことあるかと思って」

貴音「…………」

P「あら、突然暗い顔になって。何かあったのか?」

貴音「……自分でらぁめんを作れたら。そのように願った事は、既に両手の指では数えきれません」

P「そ、そうか。なら作ればいいじゃないか」

貴音「……無理なのです」

P「え?」

貴音「私だけの力では、店で作るようならぁめんは、到底作れないのです……」

P「試してみたのか?」

貴音「はい……何度も」

P「そうか……」

貴音「自ら作ったらぁめん。ああ、なんという甘美な響き……」

貴音「……しかし、その道程にて、数多くの壁に当たりました」

貴音「まず、自宅に設置してある小さなこんろでは、すぅぷを煮るための大きな寸胴が設置出来ません」

P「おおう、そこからか」

貴音「それに、もし寸胴を設置できても、私はアイドル、長時間に渡りすぅぷを観察する時間を持つことはならないのです」

P「まあ、確かに」

貴音「それに出汁をとる様々な食材達……それらを近所の食品店で揃えようとも限度があります」

P「う、うむむ……」

貴音「……それらの困難を乗り越え、たとえすぅぷを作ることができても、すぅぷは生物、さすがの私も一日でそれを処理しきれないのです……」

P「なるほどなぁ」

貴音「らぁめんはすぅぷだけではありません。すぅぷに適した麺、そしてとっぴんぐ……」

貴音「これらもすぅぷと同様に、試行錯誤と多大な時間を要することでしょう」

貴音「全てを揃えようとするなら、私はもう、アイドルではいられません……」

P「そ、それは困るけどな」

貴音「……したがって、私はらぁめんを作ることはできあないのです。私の作るらぁめんは、らぁめんであっても、らぁめんではないのです。

貴音「たとえらぁめんのように見えても、それはらぁめんのように見えるだけでらぁめんではないのです」

P「そ、そうか……」

貴音「……」

P「そうか、作ろうとしたことはあるんだな」

貴音「最早、叶わぬ夢ですが……」

P「でさ、今回の話につながるんだけど」

貴音「え、ええ……?」

P「『ラーメン探訪』の番外編みたいな感じでさ、貴音自身にラーメンを作ってもらおうって企画を提案してみたんだ」

貴音「!?」

P「これが思いの外、評判が良くてだな。貴音の作るラーメンなら絶対美味しい物ができるだろうって」

貴音「しかし、あなた様……」

P「ああ、貴音の努力の過程と、多くの失敗は今聞いた。だから、できる限りのサポートをするつもりだ」

貴音「!」

P「番組なら広いスタジオで調理ができる。それに仕事の名目上、スケジュールを取ることも可能だ。食材もとびっきりのを用意する」

P「それで、貴音が作ったラーメンをスタジオと観覧者のみんなにふるまうんだ。そしてラーメン専門家の方にも評価をしてもらって……」

貴音「お、おお……!」

P「……貴音の情熱なら必ず美味しいラーメンが作れると思うんだ」

P「……やって、くれるな」

貴音「この四条貴音、必ずしや皆を満足させるものを作ってみせます」

P「ああ、頼むぞ!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~
P「さて、ロケ当日だ」

貴音「はい、頑張りましょう」

P「……貴音」

貴音「ええ、なんでしょうか」

P「まさか、その格好でラーメンを作るわけじゃないだろうな」

貴音「その格好……れっすん用のジャージではいけないでしょうか?」

P「……」

P「……貴音、失望したよ」

貴音「!?」

P「想像するんだ」

P「夜、長らく続いた現場がようやっと終わった後の仕事の帰りだ」

貴音「仕事の……帰り」

P「いい感じで腹も減ってるし、そうだ、何か食べに行こう。おっ、そこにいい感じのラーメン屋があるな」

貴音「……」ゴクリ

P「よし席も空いてる。ここはそうだな、ラーメンと餃子を一枚、あとライスも頼もうかな」

貴音「……」ダラダラ

P「すいません、店員さん……っと見上げたところで! ラーメンを作っている人間が、目が覚めるようなムラサキのジャージを着ていた!」

貴音「っっ!?!?」ビクッ

P「貴音、料理は見た目からだ。もちろん料理だけじゃない。作っている人間も含まれる」

貴音「あなた様……」

P「なぜラーメン屋の店主は全員が黒Tシャツで腕組をしてるのか……それは、ラーメン屋に最もなじむ姿だからだ」

P「……衣装でステージに立つアイドルと、通じるものがあると思ったんだがな」

貴音「っっっっ!! 失念していました……」

P「さあ、着替えてくるんだ」

貴音「着替え終わりました、あなた様……」

P「んむんむ、よく似合っているよ」

貴音「あ、あのっ、この服の背中の文字は……?」

P「ああ、貴音の歌からとったんだ。カッコいいだろ? 『風花』」

貴音「そ、そうですか……」

P「おっと、まだ終わりじゃないぞ。後ろ向いて座ってくれ」

貴音「後ろ……こうですか?」

P「そ こっからがミソだ」サッサッ

貴音「ミソ……? 味噌味にするのですか?」

P「……そうじゃなくてだな」クルクルッ

貴音「?」

P「ほら、せっかく作ったラーメンに汗とか髪の毛とか入ったら勿体無いだろ。だから」シュッシュッ

貴音「おお、これは……」

P「おし、完成っと。ぐるぐるハチマキだ」

貴音「なんと……面妖な」

P「すこしステレオタイプっぽいけどな。雰囲気も出てるしいい感じだ」

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