柚子「風邪の日」 (27)


・遊矢×柚子

・細かい点はスルーで

・デュエルなんてない

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柚子(朝から何だか熱っぽかった)

柚子(身体もだるいし、喉の調子もおかしい)

柚子(そして何処か独特な節々の痛み。これって……)

ピピピッ←体温計が鳴った音

柚子「38度5分……やっぱり風邪か」


柚子(風邪なんて久しぶりだな。ここ最近忙しかったから疲れが出たのかな?)

柚子(こういう時に限ってお父さん町内の温泉旅行に行って、夜遅くにならないと帰らないし……)

柚子(連絡は……しない方が良いよね。せっかくの旅行なんだから)

柚子(とりあえずお父さんが帰って来るまでには少しでも治しておかないと……)

柚子「今日は学校休みだし、薬飲んで寝てよう。多分それが一番だわ」


柚子「えっと、風邪薬はと……あれ?」ガサゴソ

柚子(おかしいな、確か救急箱に入れていたはずだけど?)

柚子(薬局行って買って来るしかないかな? あ、薬飲むなら何か食べないと……)

柚子「ケホケホッ……こういう時の1人はきついなぁ……」ヨロヨロ

柚子(それにやっぱり……心細い)

<ピンポーン


柚子(誰か来た? うぅ、チャイムの音が頭に響く……)

柚子(出来れば居留守使いたい所だけど宅配便とかだと面倒だし……仕方ない、出よう)

柚子「はい……」ガチャ←インターフォンに出た

遊矢『あ、柚子。やっぱりまだ家に居たのか?』

柚子「えっ、遊矢? どうしたの、急に?」

遊矢『どうしたじゃないだろう? 今日は新パックの発売日だぞ』

柚子(あ、そういえば今日は一緒に新しいパックを買いに行く約束してたんだ)


柚子「ご、ごめん。すっかり忘れてて……ケホケホッ」

遊矢『ん、どうした? 何だか声が苦しそうだけど?』

柚子「本当にごめん……その……ケホッケホッ……風邪引いたみたいで……」

柚子(あ、やばい)

遊矢『は? 風邪って――塾長居ない――大丈夫か?』

柚子(何だか目の前がぼんやりして……遊矢の声が遠くに聞こえる……)

遊矢「――い、柚子――丈夫――柚――!!」

柚子(これ……ダメなやつだ……)

バタン


…………

柚子(…………)

柚子(おでこが冷たい……)

柚子(濡れタオルかな……熱がスゥーと引いて行く感じがする)

柚子「……気持ち良い」ボソッ

遊矢「あ、悪い。起こしたか?」

柚子「…………」ボォー

遊矢「…………」

柚子「…………」キョトン

遊矢「…………?」

柚子「……きゃあああああ!?!?///」

遊矢「!?」ビクッ


柚子「ゆ、遊矢? 何で? どうして!?」

遊矢「落ち着けって、柚子。気持ちは分かるけどさ」

柚子「ここ私の部屋? えっと、私……」キョロキョロ

遊矢「覚えてないのか? お前、家の中で倒れてたんだぞ」

柚子「倒れてた? あ、言われてみれば何か熱で意識が遠くなってた様な……」

遊矢「いきなりだったからびっくりしたんだぜ……ああ、それと1人なら戸締りはちゃんとしとけよ。まあそのおかげで家に入れたんだけど」

柚子(そういえば今朝新聞取りに外に出た時、鍵を掛け直すのを忘れてたかも)


柚子「そうか、遊矢がここまで運んでくれたんだ……ごめんね、迷惑掛けちゃって」

遊矢「気にするなって。それより塾長は温泉旅行に行ってるんだよな?」

柚子「うん」

遊矢「まあウチの母さんも同じだけど……それにしてもお前なぁ」ハァ

柚子「な、何? 溜め息なんて吐いて?」

遊矢「何で風邪引いてるのに誰にも連絡しないんだよ。こういう時は誰でも良いから知り合いに助けを呼べよ」

遊矢「今回は俺がたまたま居たから良かったけどさ、そうじゃなかったら大変な事になってたんだぞ」

柚子「だ、だってやっぱり迷惑は掛けたくないし……ていうか実際遊矢に迷惑掛けちゃったし……」ゴニョゴニョ


遊矢「そういうとこ、柚子の悪い癖だよな。別に迷惑なんて思ってないよ」

柚子「でも……」

遊矢「むしろ気を使い過ぎたせいで倒れられた方が迷惑だ。とにかく今の柚子は放っておけないからしばらくここに居てやるよ」

柚子「ごめんね……助かるわ、遊矢」

遊矢「だから気にすんなって……さて」

柚子「へ?」

コツン


遊矢「うん、冷やして安静にしてたから少しはマシになったかな。まだ結構あるみたいだけど」

柚子「あ……え……///」プルプル

遊矢「ん、何か急に体温が上がって来た様な……やっぱり病院行った方が良いんじゃないのか、これ?」

柚子「きゃ、きゃあああああああ!!!///」ドン!!

遊矢「どわっ! ちょ、いきなり何で突き飛ばすんだよ!?」

柚子「いきなりはこっちの台詞よ! 何で突然お、おでこくっ付けるのよ!?」

遊矢「何でって体温測るにはこれが一番分かりやすいだろ? 俺も昔から風邪引いた時には母さんに……」

柚子「だからってあんなに顔近づけるとか……遊矢の馬鹿! 変態! ゴーグル完熟トマト!!」

遊矢「えー……」


柚子「ああ、良く考えたら私パジャマのままじゃない! おまけに髪もセットして無いから頭ボサボサだし!」

遊矢「それは仕方ないんじゃないのか? お前、さっきまで倒れてたんだから」

柚子「遊矢を部屋に入れてるのに片づけもしてないし! ああ、違うの! 普段はもっと綺麗なの!!」

遊矢「いや、俺の部屋と比べたら十分に綺麗だって。雑誌が1冊だけ床に落ちてたくらいだったぞ?」

柚子「しかもここまで運ばれたって事は遊矢にだっこされたって事!? しかも寝顔まで見られて……うわぁ、恥ずかし過ぎるぅ!!」

遊矢「だからそれも仕方ないだろ? というかそんなに叫んだらまた……」

柚子「きゅ~~///」バタン

遊矢「言わんこっちゃ無い!?」


…………

遊矢「とにかく今日は1日安静にしてろよ。騒いでたら治るモノも治らないんだから」

柚子「ごめん……」

遊矢「何か今日の柚子は謝ってばかりだな……ああ、それとお前が眠っている間に買い物行っといた」

柚子「買い物? もしかして新しいパック?」

遊矢「さすがにそれはまた今度だ。買ったのはレトルトのお粥とかスポーツドリンクとか……ああ、薬局に行って薬も買っといた」

柚子「そんな事までしてくれたんだ。あ、お金……」

遊矢「そういうのは後で良いから。とにかく何か食べて薬飲まなきゃな……食事出来るか?」


柚子「うん、ちょっとだけなら」

遊矢「じゃあ用意するから台所借りるぞ。それ食べて薬飲んだらもう一度寝てろ」

柚子「…………」

遊矢「ん、何だよ? 人の顔じろじろ見て?」

柚子「いや、今日の遊矢何だかやけに優しいなと思って……」

遊矢「俺は普段から優しいの。じゃあくれぐれもさっきみたいに騒がず待ってろよ、いいな」


…………

柚子「ご馳走様」

遊矢「お粗末様でした。とは言ってもただ温めただけで大した事してないけどさ」

柚子「そんな事ないよ。美味しかったわ」

遊矢「そっか。それにしてもちゃんと1人で食べられてホッとしたよ」

柚子「ホッとしたって?」

遊矢「もしかしたら俺が食べさせないといけないのかなと少し思ってさ。さすがにそれは俺も恥ずかしいけど、頼まれたら仕方ないし……」

柚子「ちょ、そんな恥ずかしい事頼む訳無いでしょ!?///」

遊矢「そ、そうだよな。悪い、変な事言って」

柚子「……てか頼んだらしてくれたんだ」ボソッ

遊矢「ん、何か言ったか?」

柚子「何でも無いわよ!///」プイッ


遊矢「さてと、薬も飲んだし後は大人しく寝てろよ。ゆっくり休めばすぐに治るさ」

柚子「本当に色々助かったわ、遊矢」

遊矢「じゃあ俺はしばらくリビングの方に居るから。何かあったら呼んでくれ」

柚子「え?」

遊矢「いや、さすがに俺がここに居たままじゃ寝づらいだろ? それともリビングは不味かったか?」

柚子「それは別に問題ないけど……」

遊矢「俺も定期的に様子見に来るからさ、安心して休んでろよ」

柚子「うん……おやすみ、遊矢」


遊矢「さてと……ん?」

柚子「…………」

遊矢「…………」

柚子「…………」

遊矢「……あの、柚子?」

柚子「えっ? なっ、何?」

遊矢「その、何か寝る前にして欲しい事でもあるのか?」

柚子「べ、別に何も無いけど……もう十分にして貰ってるし」

遊矢「そ、そうか。じゃあ何でさ――」



遊矢「――俺の服、掴んでるの?」

柚子「……あっ」


遊矢「やっぱり何か用でもあるんじゃないのか?」

柚子「いや、その……こ、これは別に……違くて」

遊矢「じゃあ俺、リビングに行っても良いんだよな?」

柚子「う、うん。それは良いけど……」

遊矢「そうか。じゃあ……」

ギュ……

遊矢「…………」

柚子「…………///」


遊矢「柚子……」

柚子「ご、ごめん! でも、その……」

遊矢「……分かったよ」

柚子「え?」

遊矢「行かない方が良いんだろ? ここに居るよ」

柚子「遊矢……」


遊矢「……俺、これでも柚子には何時も感謝してるんだぜ」

柚子「い、いきなり何言って……」

遊矢「なんせ柚子には何度も助けられたからな。お前自身はあんまり自覚ないかもしれないけどさ」

遊矢「だからこういう時くらい頼ってくれよ。甘えてくれよ」

遊矢「そうじゃないと不公平だろ?」

柚子「…………」


遊矢「…………」

柚子「……風邪、辛いの」

遊矢「ああ」

柚子「遊矢が来るまで誰も居なかったし……とても寂しくて、正直心細かった」

遊矢「そっか」

柚子「今は大分落ち着いたけど……それでもまだ辛くて……少し不安、だから」

遊矢「…………」

柚子「私が寝付くまでで良いから……」

遊矢「…………」

柚子「手……握ってくれる?」


柚子(私の言葉に遊矢は黙って笑顔を浮かべ、その手を握ってくれた)

柚子(それだけで私の中にあった寂しさや不安が一気に薄れていくのが分かった)

柚子(遊矢はさっき私に何度も助けられたと言っていたけど、それは私だって同じ事だ)

柚子(私は遊矢に何度も助けられている。その笑顔に、その言葉に、その想いに)

柚子(だからこそ私は、そんな遊矢の事を……)



柚子「ありがとう、遊矢」

遊矢「お安い御用さ、柚子」



その後、2人一緒に夜まで寝てしまい、帰宅した修造に見つかって一悶着起こるのはまた別のお話。

<おわり>


以上です。それではまた。

乙ー

前に安価SS書いた人かと思ったが別人かしら?

>>24
ごめんなさい。安価SSは書いた事ないので別人です……

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