狛枝「現実の世界へようこそ」 (93)

ねぇ…

ねぇ…聞こえてる?



おちついてね。深呼吸すればいいと思うよ



待ってろ。俺が水持ってきてやるから



日向「…」


日向「誰なんだお前らは…」

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日向「」ガバッ



日向「なんなんだよ一体…」


日向 スクッ

日向(ここ最近、同じ夢を見る)

日向(倒れている俺に、誰かが声をかける夢…)

日向(霧がかかっているようにぼやけていて、顔は良く見えない)

日向(もどかしくなって体を起こそうとしても、何かに引っかかっているみたいに動かない)

日向(体に杭を打ち込まれているとしたら…)

日向「フッ…」

日向「まるでガリバーじゃないか」

コンコン

ハジメー、ソロソロオキナサイ

日向(ちっ…)

日向(忌々しい朝が来た)

カチャ カチャ

モグモグ パクパク

≪ではCМの後はスポーツです≫

日向「よし!」

父「創、スポーツもいいが、政治や」

日向「経済のニュースも見ろって言うんだろ? 分かってるって」

母「ほんとかしらね。 あんた今の総理大臣知ってる?」

日向「知ってるよ。えっと…安倍…安倍…」

≪ではスポーツです≫

日向「おお!」

母「まったく…」

≪昨日行われた、マリナーズ対リカオンズですが、大変なことが起きました≫

≪マリナーズ忌野監督が試合放棄を宣言し…≫

日向「おいおい…」

日向「じゃ、行ってきまーす」ガチャ

母「ええ。気を付けてね」

日向 スタスタスタ
日向「……はぁ…」

日向(どんなことも…慣れるものなんだな)

日向(スポーツなんて…ほんとは対して興味はないはずなのに)

≪おーい!≫

日向 クルッ

日向(あれはクラスの奴だ)

日向(…俺の見間違いか…?)

日向(こっちを見て、手を振っている…よな…?)

クラスメイト タッタッタッ

日向「お、おう。 おはよ…」

クラスメイト スルーッ

日向「?」

日向(素通り?)

≪おはよ≫
≪今日は早いな。珍しい≫
≪うるせー≫

ゲラゲラゲラwwww
ファーwwwwww

日向(……)

日向(そんなこと、あるワケないよな。)

日向(俺に挨拶する奴が、いるわけない)

日向(ハハハ。バカだな俺。こんな初歩的な勘違いをするなんて)

日向(俺はいまだに…現実を受け入れていないってことか)

サークラーサキー サークラチリー♪
アーシターモ― イイヒトウタウヨーウタウヨー♪

日向「?」

日向(こんな朝早くに電話?)ガサゴソ

日向(誰だ…?)ガサゴソ

日向(非通知?)


日向 ピッ

日向「もし、もし?」

「何か違和感を感じたことはない?」

日向「はい?」

「君はもっと疑うべきだ」

日向「あ、あの」

「ねえ、気付いてよ」

日向「どちら様ですか?」

ピッ ツーツーツー

日向(なんなんだ)

日向(朝っぱらからイタ電なんて、ついてないな)

日向(今日はアイツは…)

日向(来てないみたいだな)

日向(もうサボろうかなあ…)

学校~

日向(いつからだろうな…こんなことするようになったのは)

日向 ポチポチ

≪いったーーーー! これは大きぃぃぃぃ!≫

日向「やめろ!行くな行くな超えるな!」


ガチャ
≪そんでよー≫
≪マジかよーwwwwファーwwwwww≫

日向「!?」バッ

ジョボボボボ
ザァァァァ
ドバババ
ピュ







日向(いったみたいだな)ホッ

≪ひなたっ!≫ヒョコ

日向「え?」チラッ


日向「なっ!おまっ!」

日向「何してんだよ!」

小泉「それはこっちのセリフよ」

日向「違うって! おまえここ男子トイレだぞ」

小泉「私もこんなくっさいとこ入りたくないわよ」

小泉「あんたが閉じこもるから様子見に来たのよ」

日向「そうか…俺は大丈夫だ。だから」

小泉「さっさと出てきなさい」

日向「いや俺は」

小泉 ガンッ

日向「はい…」


廊下

小泉「まったく。あんたは私がいないとほんと駄目ね」

日向「仕方ないだろ」

小泉「……」

小泉「ねえ、わたし男子の世界なんて知らないし知りたくもないんだけどさ」

日向(ひどいなおい)

小泉「普通に話かければいいじゃん。なんで遠慮してんのさ」

日向「いや、まあ越えられない壁っていうかさ」

小泉「…」

日向「薄い膜というか」

小泉「…」

日向「その」

小泉「もうっ!はっきりいいなさい。男でしょ?」

日向「言葉じゃうまく言えないんだって。それにおまえ一つ勘違いしてるぞ」

小泉「なによ」

日向「俺はな、お前が思うほど、今を変えたいってわけでもないさ」

小泉「そうなの? でもよくないわよ。ほらやっぱり同性の友達は必要に決まってるでしょ?」

日向「違うんだ。小泉。 俺はな」

日向「俺は…」

キーンコーンカーンコーン

小泉「あ、始業ベルだね」

小泉「じゃ、またね日向 」タッタッタッタッ

日向「おう」スタスタスタ

日向「またね…か…」

日向(学園生活とは砂漠に近いものだ)

日向(もしも…もしも…)

日向(小泉と会えなくなったとしたら…)

日向(砂漠どころじゃない。もはや絶望と言っていいだろう)

教師「つまり、青年期とは悩み時期であり」ウンタラカンタラ

日向 ポケーッ

日向(早く終わってくれねえかな)

日向(そういえば今週は小泉と…)

日向(まいったな。まだ何も考えてない…)

小泉《あんたってやつは! 男でしょ!もっとしっかり》ガミガミ

日向(なんて言われるに決まってる)

≪ねえ、聞こえてる?≫

日向「!?」

日向 キョロキョロ

日向(空耳…か?)

≪本当になにも感じない?≫

日向(…)

≪違和感っていうかさ、おかしいなって思ったりしない?≫

日向(…)

≪僕たち待ってるから。君を待ってるから≫

日向(…)バタン

教師「!? 日向くん? 日向くん? どうした?」

ザワザワ ザワザワ

どうだった?

あんまり。なかなか反応してくれないよ。困ったものだね

おい、やっぱもう俺らだけでやるしか

ははは、死にたいならどうぞ

とにかくあきらめずに頑張るっす。根性っすよ。 根性!

二回やってダメならもう無理、かもしれないね。

じゃあ…あきらめるってこと?

違うよ。強硬策が必要、なんじゃないかな?

マジかよ…

日向「おい…一体何の…何の…」







日向「こい。ずみ…」

小泉「!?」

小泉「日向? 日向! 」

日向「お、おお…よう、小…泉」

小泉「あんた…」

小泉「わかる? わたしのこと」

日向 コクッ

小泉 バフッ 

日向「お、おい」

小泉「よかった…

小泉「生きてたのね…」

養護教諭「フフフ…大げさね小泉さん。言ったじゃない。ただの寝不足だって」コツコツコツ

小泉「わ、先生…いつの間に…」

小泉「と、とにかくまあ」スクッ

小泉「日向!」ビッ

日向「は、はい」

小泉「何か言うことは?」

日向「心配かけてごめんなさい」

小泉 フンッ

日向「…ごめん…」

小泉「まったく。夜更かしで倒れるなんて、どんだけヤワなのよあんたは」

日向「ごめん…」

小泉「ど、どうせ変な本でも読んでたんでしょ。気持ち悪い」

日向「なっ! 違うって! 俺はただ…」

日向「ただ…」

日向「そう! 映画見てたんだ。返却日が明日で…それで…」

小泉「たく。無計画で借りるからそういうことになるのよ」

養護教諭「フフフ」

小泉「先生、何がおかしいんですか」

養護教諭「だって、小泉さん、お母さんみたいだもん」

養護教諭「二人とも彼氏彼女に見えないわ」アハハハ

小泉「そう見えるのはこいつのせいです。日向、あんたがきちんとしないから」ガミガミ

日向「もうやめて…」

日向「なあ小泉」スタスタスタ

日向「俺、もう大丈夫だって」

小泉「だめ。念には念をよ」

日向(ホント、母親に見えてきた)

ガチャ

日向(今日はいろいろありすぎて…)

日向(久しぶりに帰ってきた気がする)

スタスタ

小泉「日向…お手洗い」

日向「ああ」

日向 スタスタ ガチャ

日向(マンガでも読むか…)

ガチャ

日向「!?」

日向「おま、帰ったんじゃなかったのかよ」

小泉「なんでそうなんのよ!」

日向「いや、家まで送り届けるだけかと思ってたから…」

小泉「ああ。今日、父さん飲みに行くって言ってたし…家かえっても暇なのよ」

日向「そうか」

小泉「たしか日向の親も今日は遅かったんじゃない?」

日向「まあな。じゃあ飯までゲームでもするか」ガチャガチャ

小泉「いいわよ」

朝~

日向(昨日のジョンソン、凄かったな)

日向(渡久地でもさせないとなると…もう打つ手は…)

≪おまえ何言ってんだよwwwwふざけんなwwww≫

≪ファーwwwwwwwwwwうっさいわwwww≫

日向(朝っぱらからやかましい奴らだな)

日向(……)

日向(…なんだこの違和感は…)

キキーーーーッ

日向「!?」

日向(車が車道に…?)

ドゴンッ

日向(……)

日向(危なかった。もう少し歩くのが遅かったら…)

ウウ…

日向「」ダダッ

日向「大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」

運転手「ウググ…大丈夫だ…救急車を…」

日向「はい…えっと電話…」

日向「あの電話を…」

運転手「私のは壊れて無理だ…」

日向「くっ…」

日向「ここに公衆電話は…ない…」

ピーポーピーポー

日向「え」

日向(誰かが通報したのか…)

日向(前を歩いていた奴らか…)


ウーウー
ウーウー

日向(パトカーは必要なかったな…いやいるか。現場検証とやらで)

隊員「大丈夫ですか? 自分の名前言えますか」

日向(俺の役目はこれで終わりだな。行くか)スタスタ

「ああ、ちょっとキミ」

日向「!?」

日向「はい?」

「僕はこれなんだけど」サッ

日向「刑事さん?」

刑事「そ。詳しい話、聞かせてもらえないかな。一番近くで見ていたわけだしさ」

日向「ですけど、学校が…」

刑事「じゃあ僕らから伝えておくよ。どこの学校?」

日向 ウンタラカンタラ

刑事「オッケー。じゃあこっちへ」

バタム ブロロロ

日向「えっと…どこ行くんですか…?」

刑事「決まってるじゃないか。署だよ」

日向「そう、ですか」

日向(おかしいな…わざわざ警察署に…? 現場をほったらかしにして…?)

日向(いや後から別の警官がくるのか…?)

日向「でも意外ですね。目撃者も署に連れて行くんですか」

刑事「…どういうこと?」

日向「ドラマとかだと、目撃者はその場で話を聞いて、署に連れて行くのは容疑者だけじゃないですか」

日向「よく聞きますよ。言い逃れする容疑者に、詳しい話は署の方で、ってセリフ」

刑事「アッハッハッ。ドラマの中だけだよ日向くん。目撃証言も調書をとらなくちゃいけなくってね、署に行かなきゃだめなんだよ」

日向「……」

日向「なんで知ってるんです?」

刑事「ん?」

日向「僕はまだ日向と名乗ってませんよ?」

刑事「……」

日向「なぜ名前を聞かずに学校だけ聞いたんですか? それでは要件は伝えられませんよね?」

刑事「……」

運転手「うわっ」キキーッ

刑事「うわっ」ゴンッ

日向「」バッ

刑事「おいっ、まてっ。なんだ? なんで止まったんだ!」

運転手「そ、それが目の前に人が倒れてきて…」

日向「くっ…離せ…」

刑事「おとなしくしろ…手錠かけてやるからよ」ガチャ

日向「くっ…」

「ねえ、こっち見て」

刑事「?」

シューーーーーッ

刑事「アアアアアアァァ!」

刑事「こ、公務執行妨害だ! おまえ…」

「なに言ってるの? キミは本物の警官じゃないはずだよ」

「日向くん、こっち」

日向「お、おい」

「説明は後でするから。ついてきてくれないかな」

「早くー!急ぐっす! 町中のポリさんが集まってきてるっすよ!」

「アハハ…もう死んだふりは…いいよね…」

日向 ダッ

「その車に乗って!」

バタム ブォォォォ!

「おっと!ギアがニュートラル!これはうっかりっす!」

ドギュゥゥゥゥウゥン!

日向「!?」

「イッヤホオオオオオオオオオオオ!」

日向「おい! 危ないって!飛ばしすぎだって!」

「相変わらず澪田さんの運転は最ッ高だね!」

「じゃあ自己紹介しよっか。じゃあ澪田さんから」

日向「そんな場合じゃないだろ!マジでヤバイって!」

澪田「澪田唯吹です!漢字は…あとでいいっす!」

七海「七海千秋でーす。ゲーマーでーす」

狛枝「僕は、狛枝凪斗っていうんだ。よろしく日向くん」

ウーウー

ウーウー

澪田「バリケードっす! ニトロぶっ飛ばしますよ!」

狛枝「日向くん、耳塞いで」

日向「え」

バゴオオオオオオオオオ

日向「」

日向(なんなんだ一体…)

日向(今頃学校にいて…)

日向(ふつうに授業受けてるはずなのに…)

日向(なんで警察に追われなきゃならないんだ…)

狛枝「わけわからないって顔してるね」

日向「そう思うなら教えてくれよ」

狛枝「今説明してる暇はないんだ。ごめんね」

七海「もうすぐ入口に着くから。それまでの辛抱だよ」

日向「入口…?」

キキーッ

澪田「さあ急ぐっす」

日向(雑居ビル…)

狛枝「じゃあ日向くん、僕らについてきて」タタッ

日向「入口はあっちだぞ?」

カンカン

カンカン

日向「なあ、なんで階段上るんだよ」

狛枝「今は何も聞かないでくれよ」

日向「…」

日向(こいつらは味方なのか?)

日向(さっきは勢いに押されてついてきたが…)

日向(なんで重要なことは教えてくれないんだ…)

オオオオオ…

日向(とうとう屋上に来ちまった)

サークラサキー サークラチリー♪
アーシターモー イイヒトウタウヨー♪ウタウヨー♪

ピッ

日向「はい」

《日向くん》

日向「あんたは」

《さっき会っただろ。刑事だよ》

日向「…なんですか…」

《いや伝えておこうと思ってさ》

《君のお友達がさらわれたそうだ》

日向「バレバレな嘘つかないで下さい。俺にそんなものいません」

《へえ。友達じゃないのか。じゃあ彼女かな?》

日向「!?」

《向こうは、君が来たら彼女さんには乱暴しない、っていう条件を出してきた》

日向「おまえっ!小泉に手を出したらっ!」

《君が来ればすむことさ。来るなら今いる場所を言ってくれ。すぐに迎えをよこす》

日向「…っ…」

日向(こいつらは…)

七海「?」

狛枝「日向くん?」

澪田「もしもーし? 急いでくださいっす」

日向(信じられるのか…? )

日向(向こうの言うことは見るからに怪しいけど…)

日向(小泉を見捨てるわけには…)

日向「どっかのビルのおk…」

澪田「っ!」ドボォ

日向「うぐっ!」

日向 ポトッ

澪田「ふー危ない危ない…創ちゃん、ごめんっす」

七海「携帯、捨てちゃうね。位置が割れちゃうから」ポイッ

日向「お、おい!」

狛枝「ダメじゃないか日向くん。ここの位置がばれちゃまずいんだから」

日向「違うんだ。小泉がつかまってるんだよ。早く助けに行かないと!」

狛枝「小泉、さん…?聞いたことないなあ。その人も補充者?」

七海「リストには載ってなかったと思うけど…」

日向「何の話してるんだよ! おまえらが知るわけないだろ。俺の彼女だよ。小泉真昼」

七海「…」

日向「な、なんだよ…」

澪田「創ちゃん、ダメですよ。行ったらだめっすよ」

日向「なんでそんなこと言えるんだよ。他人ならどうなってもいいってことかよ」

狛枝「ねえ、日向くん。その人は死なないよ。絶対に」

日向「根拠は?」

狛枝「正確にいうとね、[ピーーー]ないんだ。死という概念がない」

日向「わけわかんないって」

澪田「時間ないっす!もう現実に戻るっスよ」

日向「現実…?」

狛枝「ここは現実への入口なんだ。まあ見ててご覧」

澪田「あらよっと」ピョン

日向「おいっ!」

澪田「イッヤホッオオオオオ!」

日向「おい! 落ちたぞあいつ」

狛枝「大丈夫」アハハ

七海「じゃあつぎ私ね」ピョン

ゴオオオ

日向(ウソだろ…)

日向(空中で消えた…?)

狛枝「さ、日向くん、次は君だ」

日向「…」

狛枝「大丈夫。ここから思い切り飛べばいいだけだから」

日向「もし、落ちたら?」

狛枝「そんなこと絶対にないから」アハハ

日向「…」

狛枝「力ずくじゃなきゃ…だめなのかな…」

日向「は?」

狛枝「おとなしくして…」ダキッ

日向「お、おい。何すんだ」

狛枝「日向くん…君あったかいね」アハハハ

日向「気色悪いこというな」

狛枝「じゃあ、用意はいいね。せーの」

日向「わわわわ!」

ピョン

日向「なんで頭から落ちるんだよ!」

日向(こいつ、なんでうっとりしてるんだよ…)

ドシャ

日向「いたっ!」

日向「てててて……」

日向「」キョロキョロ

日向(どっから出てきたんだ?)

日向(出入口らしき場所は…)

日向「おっ…」

日向 ガッガッ

七海「開かないよ。それ」

日向「七海…」

七海「そのカーテンはね、開けないように固定してるんだ」

日向「なんでそんなことするんだよ」

七海「…開けたら光が漏れるでしょ?」

日向「わけがわからんぞ」

七海「来て。まだあってないメンバーを紹介するから」

七海 スタスタスタ

日向 スタスタスタ

ガチャ

日向(な、なんだ…これ…)

日向(仰向けに眠った人間と、プラグがつながれていた…)

日向(狛枝…澪田…)

狛枝 パチクリ

日向「あ」

狛枝「やあ日向くん。現実の世界へようこそ」ニコッ

日向「現実の…世界…?」

澪田「んん! んん?」ムクッ

澪田「ここはどこ私は誰っすか!」

「なんどもやったらうけねーぞ」

日向「現実って…ここ、ただのマンションじゃないか」

七海「そうなんだけど…」

狛枝「とりあえずさ、ややこしい説明は後にして、ゴハンにしようよ。まだ紹介してないメンバーもいることだしさ」

澪田「いいっすねー!唯吹、それに賛成っす!」

日向「待てよ」





日向「今やってくれ。いきなりこんなとこ連れてこられて…説明は後、後、って」

日向「いい加減にしてくれよ!」

日向「小泉はもう…」

七海「そうだね。うん。私たち、ちょっと無神経だったかも」

七海「ごめんね日向くん」

狛枝「じゃあまず…この部屋についてか…」

狛枝「わかりやすくするために国に例えようか」

狛枝「このマンションはね、僕ら抵抗組織のアジトってとこかな……」

日向「抵抗組織…テロリストってことか?」

狛枝「アッハハハ。敵さんからすればそんな位置づけだろうね」

狛枝「で、何と戦っているのかというと…絶望帝国という国かな」

日向「すごい恥ずかしいネーミングだな」

狛枝「ごめんね。ネーミングセンス、ないんだ」

日向「それでなんのために、そんな帝国に喧嘩を売ってるんだよ?」

七海「えっとね」

狛枝「待って七海さん。ここの説明は僕にさせて!」

七海「狛枝くん、キミはただあのセリフが言いたいだけだよね?」

日向「あのセリフ?」

狛枝「日向くん、戦う理由、それはね」

狛枝「僕たち希望が、絶望からこの世界を取り戻すのさ!」ドヤア

日向「すまん。わけがわからない」

七海「ほら。だから言ったでしょ。伝わらないって」

狛枝「つまりね日向くん」

七海「ねえ狛枝くん、悪いんだけど少し黙っててくれないかな?」

狛枝「……」

七海「えっとね、絶望帝国は、わけあって人間たちを仮想空間に閉じ込めてるんだよ」

日向「仮想空間?」

七海「きみがさっきいた場所。あれは仮想現実の世界なんだよ。私たちはマトリックスって呼んでるんだよ」

日向「待て待て!だったらあの場所にいた人間は?」

七海「マトリックスの住人。ゲームで言うノンプレイヤーキャラクター、ってとこかな?」

日向「ノンプレイヤーキャラクター……」

日向(ウソだろ…)

日向(だってもしそうだとしたら…)

日向(小泉の怒ったようなテレた顔も)

日向(あの日、おれが倒れた日にみた美しい裸体も)

日向(すべては幻ってことになるじゃないか)

七海「日向くん」

日向「黙っててくれ」

七海「…」

日向「そんなのウソだ。だってちゃんと感触だって」

七海「絶望のつくった仮想空間はさ、そこもちゃんと再現しちゃうんだよ。だからなかなか気づかないってとこかな?」

日向(俺が思いを寄せていたのはNPCだったのか…プログラムされた機械だったのか…)

日向「」オエッ

狛枝「日向くん!」

七海「大丈夫。落ち着いてね」

「待ってろ。おれが袋もってくる」

日向「いや、大丈夫だ…」

狛枝「これくらいにしとこっか。日向くん、今日はもう眠っていいよ」

日向「あ、ああ…」

「自己紹介はあ?」

「仕方ねー。明日にすっか」

日向(一応説明は受けたが…)

日向(まだ知らないことだらけだ…)

日向(けどこれで合点がいった)

日向(こいつらが抵抗組織だとしたら…)

日向(あのニセ刑事は絶望帝国とやらの手先か…)

日向(しかし戦うって何を…)

日向(まったく朝だというのに…)

日向(いや…朝かどうかはわからないか。外の景色が見えないのだから)

「よー日向っていったな」

日向「ああ、おはよう。えっと」

左右田「俺はよ、左右田和一ってんだ。オペレーターをやってる」

日向「ああ。よろしく。左右田」

ガシャーーン

フエエエエエ

日向「な、なんだ?」

左右田「あああ!またあいつは!」ズカズカズカ

左右田「おまえ!あれほど気をつけろって言っただろうが」

「す、すみませーん!ふゆう…」

日向「まあまあ。キミも自己紹介がまだだったな」

罪木「わ、わたしは罪木蜜柑ですう~ よろしくですう~」

罪木「どうかいじめないでくださいねぇ~」

日向「あ、あははは…」

左右田「ほら、さっさとかたずけるぞ」ガチャガチャ

トコトコ

日向「お…七海」

七海「……」ボー

七海「……」ボー

七海「…あ…日向くん…」

日向「おせぇよ」

狛枝「やあ日向くん! 希望の朝だね!」キラリ

日向「うるせえよ」

澪田「イヤッホオオオオオオオオ! 創ちゃーーーーーん!」

日向「……」

左右田「いつものことだ。気にすんなよな」

モグモグ

モグモグ

狛枝「みんな、食べながら聞いてくれていいんだけどさ」

七海「……」モシャモシャ

日向(七海…朝弱いのか…?)

狛枝「日向くん」

日向「ん?」

狛枝「えーっと…澪田さん」

澪田「なんすか?」

狛枝「二人でザイバツに会いに行ってくれないかな」

澪田「オッケーっす!」

日向「待て待て! 勝手に進めるなよ。ちゃんと説明してくれ」

狛枝「アッハハハ。説明もなにも、ただ人に会いに行くのに説明がいるのかい?」

澪田「心配しなくても大丈夫っすよ創ちゃん。さ、さっさと食べるっす!ウゴゴゴ!」バクバク

罪木「ふええええ! 澪田さん、大丈夫ですかああ?」

左右田「おめーは何回詰まらせりゃ気がすむんだこのバカ!」

澪田「さっ、創ちゃん、ザイバツちゃんに会いにいくっす」

日向「なあ澪田。そのザイバツってなんだ?」

澪田「ん~~」

澪田「ん~~」

澪田「う~む」

澪田「偉い人!」

日向「そっか…」

日向 スタスタ

狛枝「日向くん? どこ行くんだい?」

日向「どこって」ガチッ ガチッ

日向「あれ? 狛枝、開かないぞ?」

狛枝「ザイバツに会うときはさ、家をでる必要はないんだよ」

日向「はぁ?」

狛枝「気分転換がてら、ちょっとした異世界旅行にでも行ってきなよ」

ガチャ

澪田「おじゃましまーっすっと」 

澪田「創ちゃん。唯吹のやりかたをよく見るっす」

日向「お、おう」

日向(それにしても随分と仰々しいセットだな)

日向(酸素カプセル…じゃないだろうけど…形は似ている)

日向(こちらの方がかなりデカい)

澪田「うっし」

日向「なんどそれ? ヘルメットか?」

澪田「まー似たようなもんっすよ。これとそのボックスがないとマトリックスに入るのは至難の業っす」

澪田「つーか百パーセント無理っすよ!」ビシッ

日向「そ、そうなのか…」

澪田「じゃあ和一ちゃんおねg」

バァン

罪木「待ってくださああい」

澪田「?」

日向「な、なんだ?」

罪木「健康チェックを忘れないでくださあい。そりゃどうでもいいことかもしれないけどやらなきゃ」

澪田「ごめんごめんっす!蜜柑ちゃんお願いしまっす!」

日向「なあ健康チェックって?」

澪田「仮想空間に入るっすからね。体調崩しちゃまずいっす!」

澪田「まーそんなの絶対ありえないっすけどねええ!」

日向「元気だな…」

カチャカチャ

ウイーン

日向「おいこのイマージェンシーってなんだ?」

左右田「ばっ! 絶対押すんじゃねえぞ!押すなよ!押すなよ!」

日向「わかってるよ。ちょっと聞いてみただけだって」

左右田「仮想空間に入るにはこれだよ」ピッ

左右田「さっさとメットかぶって、カプセルに入れ」

プシュー

左右田「ちょっとチクッとするぜ。がまんしろよな」

狛枝「じゃあ日向くん。ご武運を」

日向「ご武運?」

ザシュ

日向「っ!」









澪田「じめちゃん…」

澪田「はじめちゃん」

澪田「もしもーし? お目覚めっすか?」

日向「……」

日向「ここは…」

澪田「わたしはドロシー! ようこそオズの国へ!」

日向「ブリキたちはどうしたんだよ…」

澪田「はっ!」

澪田「ぐぎぎぎぎ…ブリキと案山子の用意忘れてたっす…創ちゃんをだませないじゃないっすか…」

日向「そりゃ残念だったな…」

日向「狛枝の奴、だから異世界なんていったのか…」

澪田「仮想空間なんすから、間違いないっす」

日向「そりゃ、そうだけど」

日向「澪田…それよりここは?」

澪田「唯吹たちのアジトっすよ。マトリックス支部っす」

澪田「支部なんて…唯吹らしくないフレーズがでたっすね!」

日向「そうなのか。入口とは違う場所なのか?」

澪田「入口は町のいたるところに置いてあるんすよ。一つだけだと塞がれたらヤバイっす!まじでヤバイっすよ」

日向「閉じ込められちまうな…」

澪田「さ、そろそろ出発っす!」スタスタ

澪田「あ、その前に」

日向「どうした?」

澪田「マトリックスでピクニックするときに大事なものがあるっす」

日向「水と食料か?」

澪田「イエエエエエエエエス! なんてね! そんなのなんとでもなるっすよ!」

日向「ほかに何があるっていうんだよ」

澪田 パチンッ

ゴオオオオオオオオオオオオオ

ゴゴゴゴゴゴゴゴg

日向「!?」

日向「どこだよここ? テレポートしたのか?」

澪田「変わってないっすよ。さっ、創ちゃんも選んで選んで」

日向「選んでって…モデルガン…だよな…?」

澪田「なわけないっしょ! 正真正銘本物っすよ。手を挙げろーー!」パキューン

日向「!?」チュイーン

澪田「あ、ごめんっす。ケガないっすか?」

日向「おおおおおおお、おいおいおい」

澪田「創ちゃんには、これでいいっすよね。唯吹はこれっと!」

日向(そうか。あのニセ刑事たちはまだ生きてるんだ…)

日向(やつらがいつ襲ってくるのか…わからないんだ)

日向(狛枝の奴、何が気分転換の異世界旅行だ…罰ゲームじゃねえか)

日向「どこだよここ? テレポートしたのか?」

澪田「変わってないっすよ。さっ、創ちゃんも選んで選んで」

日向「選んでって…モデルガン…だよな…?」

澪田「なわけないっしょ! 正真正銘本物っすよ。手を挙げろーー!」パキューン

日向「!?」チュイーン

澪田「あ、ごめんっす。ケガないっすか?」

日向「おおおおおおお、おいおいおい」

澪田「創ちゃんには、これでいいっすよね。唯吹はこれっと!」

日向(そうか。あのニセ刑事たちはまだ生きてるんだ…)

日向(やつらがいつ襲ってくるのか…わからないんだ)

日向(狛枝の奴、何が気分転換の異世界旅行だ…罰ゲームじゃねえか)

澪田「」スタスタ

日向「歩いていくのか? 車に乗らないのか?」

澪田「そこまで遠くないっすからね」

日向(そういえば…)

日向「なあ澪田、そういえば車はどうやって持ってきたんだ? この前俺を助けたときさ」

日向(ここに置いてあるのとは車種が違うし…)

澪田「現地調達っす」

日向「盗んだのかっ?」

澪田「まー、鍵も必要っすから、ちょっと手荒く」

日向「いいのかよそんなことして」

澪田「いいんすよ。どうせNPCじゃないっすか」

日向「だからって…ここに住んでる人にもちゃんと…」

日向「感情があって…大事なものがあって」

日向「何をしてもいいってわけじゃないだろ」

澪田「フッ……」

日向「な、なんだよ」

澪田「まだ…なんすね…やっぱやるしか…」

日向「?」

澪田「なんでもないっす! いきましょ!ザイバツが待ってるっす!」

日向「ちょっと待てよ。話はまだ…おい澪田!」

日向「ここは…」

澪田「イヤッホオオオオオ!」

「そこで止まれ」

澪田「ガンダムちゃん、お久しぶりっす」

田中「貴様、俺様の名を口にするとは、いい度胸をしているじゃないか」

澪田「わーい。唯吹ほめられちゃったー!」

日向「あ、あの」

田中「む、貴様は誰だ」

澪田「創ちゃんっすよ」

田中「澪田よ。お前には聞いてない。答えろ。おまえは誰だ?」

日向「ひ、日向創です」

田中 ジトーッ

日向「あ、ええと…」

田中「フッ。待ち人来たり、か」

田中「いいだろう。通れ」

田中「こっちだ。おれについてこい。おいて行かれるなよ」

日向「ただの門番じゃないのか」

ガチャ

田中「連れてきたぞ」

「はい。ありがとうございます」

田中「言葉に気をつけるんだぞ。でなきゃその首が」

日向「は、はい」

田中「ふん」スタスタ

「お久しぶりですね。澪田さん」

澪田「イヤッホーーーーー!」

「初めまして。日向創さん。私はソニア・ネヴァーマインドと申します」

日向「ソニアねヴ…長いな」

ソニア「フフフ…ソニア、でいいですよ」

日向「お、おう。ソニア」

ソニア「どうやらちゃんと連れてきたようですね」

澪田「唯吹たちにすりゃラクショーっすよラクショー」

ソニア「その調子でムクロ達も倒しちゃってください」

澪田「ぐぎぎぎぎ…ここで皮肉とかずるいじゃないっすか…」

日向「あ、あの…話が見えないんだけど」

ソニア「そうですね。日向さん」

ソニア「もううすうすわかっているかもしれませんが…」

ソニア「あなたは、希望の戦士の一人なんです。絶望側と戦って、世界を取り戻すのです」

日向「希望の戦士…?」

ソニア「澪田さん、どうでしたか。日向さんは適応できていますか?」

澪田「うーん。まだ時間が必要っすかね」

ソニア「……」

ソニア「はい! わかりました。話は終わりです」

澪田「もう終わりっすか?」

ソニア「目的はちゃんと補充ができたか確認することですから」

澪田「じゃあこれで。さ、創ちゃん」

ソニア「あ、澪田さんはちょっと残ってくれませんか?」

澪田「ええええええ!? い・の・こ・り?」

日向「なんだその言い方は…?」

日向(にしても…きれいな子だったな…)

日向(気品があって…けどカリスマ性も持ってて…)

日向(王女様のような人だった…)

日向(側近の奴はちょっと変わった奴だったけどな…)

日向(あの人も希望の戦士ってやつなのか?)

日向(だったらなんでマトリックスに住んでいるんだ?)





澪田「創ちゃーん!」

日向「おお、澪田。終わったのか?」

澪田「あ、ええまあ」

日向「…そか。これでもう用は終わりか?」

澪田「一応、は」

日向「なんだよ。歯切れが悪いな」

澪田「創ちゃんに伝言っす」

日向「ソニアからか? どうした?」

澪田「~~~~~~~」

日向「……」

日向「マジかよ…」

日向「できるかよっ!そんなことっ!」

澪田「やらなくちゃいけないっすよ。絶対ね」

日向「そんな簡単に…」

日向「くっ…」

澪田「……」

田中「おい貴様ら」ザッ

田中「準備はできたか?」

澪田「待つっす。少しだけ…」

澪田「現実に行ってくるっすよ」

田中「逃げる気か」

澪田「また戻ってくるっすよ。ねえ創ちゃん」

日向「……」

田中「無視、か」

澪田「ガンダムちゃん、分かってあげてくださいっす。創ちゃんだって」

田中「行け」

澪田「え?」

田中「貴様らなんぞが逃げ出しても、どうせすぐに見つけ出せるからな。 好きにするが良い」

澪田「…」ピポパ

澪田「和一ちゃん、入口、いますぐ開くっす」

ウウウウウウウ……


日向「」ガバッ

日向「狛枝!」ダダッ ガチャ

狛枝「おっと…日向くん、お帰り」

七海「…」ピコピコパコ

日向「狛枝、教えてくれ。ザイバツ、いやソニアのことを」

狛枝「…」

狛枝「いいよ。少し長くなるけどそれでも良いんだったら」

日向「早くしてくれっ!」

狛枝「はいはい」

七海「」ピコピコピコ

狛枝「ザイバツは僕らを支援している機関のことさ。ソニアさんはそこのリーダー」パクパク

狛枝つパンの耳

日向 モグモグ

狛枝「ぼくら希望の戦士は彼女のによって集められたのさ」パクパク

日向「俺は?」モグモグ

狛枝「もちろんキミも例外じゃない。キミを連れてくるよう指示したのは彼女なんだから」

狛枝「ここまで大丈夫かい?」

日向「なんでだ…」

日向「なんで俺なんだよ…」

狛枝「選ばれたからさ。日向くん。喜ぶべきだよ。僕らは選ばれし希望の戦士なんだからさ」

日向「そうか。 他の皆はどうなんだ? 狛枝と同じ意見か?」







狛枝「何がいいたのさ」

日向「っ…」

日向「徴兵されただけなんじゃないのか」

狛枝「…」

七海「そうだとしたら?」

日向「はぁ?」

七海「もしそうだとしたら…日向くん。キミはどうするの?」

狛枝「七海さん、日向くんを惑わすようなことは」

七海「ちょっと黙っててくれないかな?」

狛枝「……」

罪木「ふゆう…け、喧嘩はやめましょうよお」

七海「罪木さん、これは、喧嘩じゃない、と思うよ。意見を交換しているだけ、だと思うな」

七海「さあ日向くん」

日向「そ、そんなの戻るに決まってるじゃないか。おれは駒じゃないんだぞ」

澪田「遅いんっすよ…」

左右田「な、なあ…日向」

七海「待って」

七海「日向くん、よく聞いてね」

七海「私たちも君と同じように、訳が分からないまま連れてこられたクチ、だったよね?」

狛枝 コクコク

七海「でもね、私たちは、戻りたいとは思わないんだよ」

七海「それは、どうしてなのか、わかるかな?」

日向「…おまえらは、選ばれたと思っているからだろ」

七海「そうだね。それも、間違いじゃない、と思うよ」

狛枝「七海さん、君の濁す口調は逆効果だ」

七海「聞こえなかったのかな? キミは」

狛枝「いいや。僕が言う。これはは僕の仕事だ」

狛枝「……憎まれるのは僕の仕事だ…」

狛枝「ちょっと整理してみよう。僕らは選ばれたと思っている」

狛枝「だけどキミは、僕らは無作為に選ばれた鉄砲玉にすぎない、と思っている」

狛枝「これを踏まえて話を続けよう。左右田くん、機械いじるのはやめてくれないかな。澪田さんも作詞は後にしてくれ」

左右田「お…おお」

澪田「ばれちゃったっすか」

狛枝「これは皆にも改めて聞いてほしいことでもあるんだ」

狛枝「日向くん、真実を知る勇気はあるかい。たとえその先にあるのが、無や絶望であったとしても」

日向「……」

狛枝「言ってくれ」

狛枝「真実はね…」

狛枝「わからないんだ」

日向「は?」

狛枝「鉄砲玉なのか、選ばれたのか。誰にもわからないんだよ」

日向「狛枝ァア!」

罪木「ふええええ。日向さん、やめてくださあああい」

左右田「おい、よせ日向!」

狛枝「左右田くん、どいて。罪木さんも、いいから」

左右田「はぁ?」

狛枝「いいよ…日向くん…好きにして…

狛枝「覚悟はできてるさ」

狛枝「僕はただ…真実を言っただけだ…」

日向「…くっ…」

日向「くっ…」

日向「くっ…」

狛枝「…」

バチーン







狛枝「な…なにを…」

七海 バチーン

狛枝「いっ!…七海さん…痛いって…」

七海「それで私をかばったつもり…? 私言ったよね。そういうことしちゃだめだって言ったよね?」

狛枝「ごめん…けど…ぶつけようのない怒りって体に良くないし…日向くんだって誰かを恨んだ方が…」

七海「ばっか!」バチン

七海「狛枝くん、キミって……頭おかしいんじゃないの?」

狛枝「言っただろう…僕の仕事だ…」

七海「ごめんね日向くん。狛枝くんも悪気はないんだよ」

日向「いや、いいって…もう…それよりもさ…」

日向「…貧乏くじなのか、宝くじなのか。分からないんだろ?」

日向「それと戻らないことに何の関係があるんだよ」

狛枝「戻っても…ここで過ごした日々の記憶は潰えない。ここまで言えばわかるかな?」

日向「……」

日向「そうか…戻ってしまえば…」

狛枝「ここは仮想現実だと知りながら生きていくことになる。おいしいものを食べても、面白いものを見ても、楽しい経験をしても」

狛枝「すべては幻想を見ていることを自覚する。普通のマトリックスの住人よりも、超絶望的だね…」

日向 ゾクッ

日向「そう…だったのか…」

日向「狛枝…あのさっきは」

狛枝「日向くん!」ガシッ

日向「!?」

狛枝「信じるしかないんだよ!真実か否かなんて関係ない!」

狛枝「逆境に押しつぶされないために、選ばれし戦士だってことを信じるしかないんだ!」

日向「……」

日向「澪田…戻ろう。俺やるから。絶対やって見せるから」

澪田「創ちゃん!」

日向「希望の戦士の一員になるようにさ」

七海「何の話?」

狛枝「さあ…?」

田中「おい…戻ってこいとは確かに言った」

田中「だが、余計な奴らまで連れて来いと言った覚えはないが…」

日向「違うって。おれは」

狛枝「ごめんね」アハハ

澪田「ガンダムちゃん、運転唯吹にやらせてっす!」

田中「ダメだ。貴様のような品性のカケラもない運転は嫌いだ」

七海「……罪木さん…来なくて正解だったね…」

狛枝「皆、少し静かにしよう。住宅街に入ったから騒ぐと響く」

田中「このあたりか…? 日向、どうだ?」

日向「あ、そうそう。あの家だ」

ブロロロロ

田中「ここで待ってる。さっさと済ませて来い」

日向 チャキ

日向(オッケー。弾は入ってる)

日向(……)

七海「日向くん、少し深呼吸しよっか」

日向 すーは

~~~~~~

~~~~~~


日向「できるかよそんなことっ!」

澪田「創ちゃん、気持ちはわかります」

日向「嘘つけよっ。勝手なこと言うなっ」

澪田「やらなくちゃ、いけないんすよ。後には引けないんすから」

日向「おまえらにわかるかよ。小泉はな…」

日向「小泉は…小泉はなあ…俺の…」

澪田「……」

澪田「唯吹たちも、同じことしたんすよ」

日向「え?」

澪田「誰、とはいえないっすけどね」

澪田「親を殺した人、親友を殺した人、恋人を殺した人」

日向「…ザイバツはなんでそんなこと…おまえらはおかしいと思わないのか?…」

澪田「マトリックスで戦うには…

澪田「住人はNPCだーってことを体に覚えさせなきゃいけないんっすよ

澪田「人を目の前にして、躊躇なく銃をぷっぱなせるか」

澪田「希望の戦士には必要な資質っす」

~~~~~~

~~~~~~


なたくん… なたくん…

狛枝「日向くん?」

日向「」ハッ

狛枝「大丈夫かい?」

田中「貴様、怖気づいたとかいうなよ。もう後にはひけんぞ」

日向「そんなんじゃないさ」

澪田「創ちゃん。いいっすか。視界にはいったら即バァン!っすよ!のど元過ぎれば熱さ忘れるっす」

狛枝「日向くん…」

日向「見せてやるさ。ザイバツに」

七海「何かあったらすぐフォローするね」

日向「じゃ…また」ガチャ

スタスタスタ

日向(なってやる。希望の戦士に俺は変わるんだ)





日向(クソ…手の震えが…止まらない…)




     お わ り

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月16日 (土) 10:38:02   ID: OGuTh5Cl

続きはないんですか?

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