ちひろ「……また、ドリンク売れ残っちゃったなぁ」 (22)

ちひろ(売れ残った分は自費……)

ちひろ(頑張って稼いだ分がどんどん無くなっていく……)

ちひろ(このままじゃ……)

ちひろ「……はぁ」

P「ちひろさん、お疲れ様です」

ちひろ「……はい、お疲れ様です」

P「どうしたんです? なんか元気無いですね」

ちひろ「いえ。ちょっと疲れてるだけですよ」

ちひろ「今日はもう上がらせてもらいますね。お先に失礼します」

P「はい。ゆっくり休んで下さいね」

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———


ちひろ「……はぁ」

ちひろ(今月は実家に送れる分は少なくなりそうだなぁ……)

凛「あれ、ちひろさん? こんな所に座り込んでどうしたんですか?」

ちひろ「……ちょっと、ね。凛ちゃんは散歩?」

凛「はい、ハナコの散歩コースなんですよ。この河川敷」

ちひろ「そっか……」

凛「……」

凛「隣、いいですか?」

ちひろ「えぇ、勿論」

ちひろ「……ね、凛ちゃん。ハナコちゃんを抱っこさせてもらっても良い?」

凛「はい。あ、でもちょっと待って下さいね。足の汚れを拭いてから……」フキフキ

凛「どうぞ」

ちひろ「ありがと」ギュッ

ちひろ「ふふっ、ハナコちゃんと会うのは初めてなのに、随分落ち着いてくれてるのね」ナデナデ

凛「……犬は人間の感情をちゃんと汲んでくれる生き物なんです」

凛「ちひろさんを……慰めようとしてるんですよ」

ちひろ「……」

凛「違っていたらすみません。こんな所に1人で居るし、表情も暗いように見えたんです」

ちひろ「……そっか」

凛「私で良ければ、聞きますよ。吐き出せば少しは楽になります」

ちひろ「別に大したことじゃないの。悩みってほどじゃなくて」

ちひろ「……ごめんね、凛ちゃん。心配してくれてありがとう」

凛「……」

凛(そういえば私は、ちひろさんの事をあんまりよく知らないな)

凛(第一外で会う事自体初めてだ)

凛「ここ、帰り道ですか?」

ちひろ「そうなの。ね、アレ見て」

ちひろ「近くの保育園の子供達。今度のお遊戯会のダンス練習なんだって」

ちひろ「ふふっ。あの子達も、立派なアイドルよね」

凛「そうですね……私もあんな事やってましたよ」

ちひろ「凛ちゃんは、小さい頃の将来の夢って何だった?」

凛「普通に、両親と一緒に花屋をやる事でしたね。そう言うちひろさんは?」

ちひろ「ふふっ、そりゃもうお嫁さんですよ。小さい頃ままごとが大好きだったから」

ちひろ「まぁ……これが現実なんだけど」

凛(もしかしてちひろさん……仕事が上手く行ってないのかな?)

凛「……失礼ですけど彼氏とか居ないんですか?」

ちひろ「あー……そっちに食いついちゃうのね、凛ちゃん」

凛「気になりますね、ちひろさんの恋愛事情」

ちひろ「……居ないけど」

凛「なるほど。じゃあプロデューサーはどうですか? 結構優良物件だと思いますよ」

ちひろ「なっ……!///」

凛「驚き過ぎです……告白しないんですか?」

ちひろ「ちょ、ちょっと! なんで好きって前提で話を進めてるの!?」

凛「……」

ちひろ「……聞いてる?」

凛「……ちひろさんでも、焦る事ってあるんですね」

ちひろ「くっ……!」

凛「冗談です、すみません」

ちひろ「駄目よ、年上をからかっちゃ……」

凛「こんな下らない話をすることしか、私には出来ないからですよ」

凛「今度、楓さんや志乃さんと一緒に飲みに行ってみたらどうですか?」

凛「あの二人、酔っていてもしっかり話を聞いてくれますよ」

ちひろ「んー……でも私お酒弱いから」

凛「よく分からないですけど、酔った方が色々ぶっちゃけられるんじゃないんですか?」

ちひろ「確かにそうだけど、相談に乗ってもらったこと自体を忘れたら意味が無いもの」

凛「なるほど」

ちひろ「でも一度考えてみる」

凛「はい、頑張ってください」


ちひろ「さて、次は凛ちゃんの番だから」

凛「私ですか? 悩みというほどのものはありませんけど……」

ちひろ「それじゃプロデューサーさんの事。凛ちゃんはどう思ってるの?」

凛「好きですよ」

ちひろ「……もう一回」

凛「好きです。プロデューサーが」

ちひろ「……本気なの?」

凛「はい。冗談でこんなこと言いませんよ」

凛「勿論プロデューサーに伝える気はありませんし、スキャンダルも起こしません」

凛「自分の中でちゃんと割り切ってますから」

ちひろ「……これじゃ何も言えないじゃない」

ちひろ「分かったわ。今のは聞かなかったことにするから」

凛「ありがとうございます」

ちひろ「そこで礼を言われるのもね……」

———


凛「また何かあったら言ってください。愚痴を聞くことぐらいは出来ますから」

凛「私はそろそろ帰りますね。お疲れ様でした」

ちひろ「はい、お疲れ様」

ちひろ「……ねぇ凛ちゃん」

凛「……?」

ちひろ「…………ありがとう」



ちひろ(しかしあれかな。私も、構ってちゃんなのかな)

ちひろ(心配してくれて嬉しかったなぁ)

ちひろ(明日からまた、頑張ろう)

———


P「おはようございます」

ちひろ「Pさん、おはようございます。いよいよフェスですね!」

P「そうですね。やれることはやってきましたし、特に何も言うつもりはないんですけど」

P「皆ならきっとやってくれるでしょう」

ちひろ「ではより確実にする為! ドリンクは如何です?」

ちひろ「フェスを勝ち抜く実力のあるアイドルをガチャでゲットするのはどうでしょう?」

ちひろ「10+5! 限定ショップもガンガンやっちゃいますよ!」

P「お、おう」


おわり

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