ドラ右衛門「何? また慈愛庵のたけ坊に殴られた?」(106)

のび兵衛「そうなんだよぉ~!」ウワーン

ドラ右衛門「して、如何なる理由で其の様な滑稽な面にされたんだ?」

のび兵衛「それがわからないんだよぉ」
のび兵衛「道でたまたまたけ坊に会って、不機嫌そうだったから無視して横を通ろうとした時にはもう目の前に拳があったよ」

ドラ右衛門「その話を聞く限りいつもの腹立ち紛れにしか思えないが、何事も決めてかかるのは卑しい俗物のする所業」
ドラ右衛門「もしかしたら御主にも非があるやもしれん」

のび兵衛「何かした覚えはないんだけどなぁ」

ドラ右衛門「先ず以て身支度をする、“お医者さんカバン”を出してやるから身支度の間にその汚い顔を治しておけ」

のび兵衛「はーい」

たけ坊母「あら、のび兵衛にドラ右衛門」
たけ坊母「たけ坊に用があるの」

のび兵衛「はい、いないんですか?」

たけ坊母「そうなのよぉ~」

ドラ右衛門「なに?」

たけ坊母「庵の留守番を頼もうとしたんだけど、あの子いつの間にかいなくなっててね」

ドラ右衛門「行方の心当たりはあるか?」

たけ坊母「さぁ……もしかしたらいつもの野原にいるかもしれないわ」

のび兵衛「あそこかぁ」
のび兵衛「たしかに、よく皆で遊ぶからいるかも」

ドラ右衛門「音沙汰がそれしかない以上、縋る他ないな」
ドラ右衛門「それでは、邪魔したな」

たけ坊母「たけ坊に会ったら私が角を生やしているって言っておいてね」

ドラ右衛門「承った」

スネ麿「う、うぅ……」ボロッ

のび兵衛「あ、スネ麿」

ドラ右衛門「ぼろ切れのような姿だな」

スネ麿「なんだのび兵衛にドラ右衛門か」

ドラ右衛門「牛車にでも轢かれたのか?」

スネ麿「それもあるけど、たけ坊にやられたんだよ」

のび兵衛「どういうこと?」

スネ麿「暴走した牛車に僕が轢かれて、その拍子にたけ坊が食べていた団子が地面に落ちたんだ」
スネ麿「それでこんな姿」ボロッ

のび兵衛「牛車が暴走とか怖いね」ブルブル

ドラ右衛門「泣きっ面に蜂、などという度合いでは済まされぬな」
ドラ右衛門「御主にも“お医者さんカバン”を貸してやるから、その逆に曲がった手足くらいは治していけ」

スネ麿「ありがとうドラ右衛門」
スネ麿「たけ坊にもその優しさを分けてやりたいよ」

いいぞ

続きはよ

のび兵衛「あ、たけ坊」

たけ坊「あ? なんだのび兵衛か」
たけ坊「なんだ殴られ足りなかったか?」ボキボキ

のび兵衛「ち、ちがうよぉ!」

ドラ右衛門「たけ坊、うちののび兵衛が世話になったみたいだな」

たけ坊「ど、ドラ右衛門!?」

ドラ右衛門「件、のび兵衛に非があったのなら私も頭を下げよう」
ドラ右衛門「しかし、ただの腹立ち紛れであった折」
ドラ右衛門「この“名刀電光丸”が御主の血を吸う事になるぞ?」チャキン

たけ坊「ままま、待て待て!」
たけ坊「むしゃくしゃしてたからちょっと殴っただけなんだ!」
たけ坊「のび兵衛の顔がむかつくのも悪いんだぜ? な?」

ドラ右衛門「託言にもなっていないぞ」ズバッ

たけ坊「」ドサッ

ドラ右衛門「“ミニドラ”たち、また後始末を頼むぞ」

ミニドラ's「「「ドラドラ~」」」

ドラ右衛門「着物が汚れた」チッ

のび兵衛「何も殺さなくても良かったんじゃない?」
のび兵衛「もう仕返しもできないよ」

ドラ右衛門「あのような俗物は死んでも直らん、いない方がこの世のためだ」

のび兵衛「たけ坊母にはなんて説明するの?」

ドラ右衛門「…………」
ドラ右衛門「仕方ない、“タイムマシン”を使って過去の拙者に安易な殺生はいけないと、説こう」

のび兵衛「どうせなら牛車が暴走する前に戻って牛車も止めようか」
のび兵衛「スネ麿も助かるし」

ドラ右衛門「御主にしては良い着想だな」

のび兵衛「えへへ~」

ドラ右衛門「ふん」シュタッ

のび兵衛「よっと」モタモタ
のび兵衛「“タイムマシン”の出入口ってどうしていつもあんなに高いんだろう?」

ドラ右衛門「知らぬ」
ドラ右衛門「それより暴走したという牛車はあれの事ではないか?」

牛車「モー」カラカラ

のび兵衛「合ってるかはわからないけど、間違っててもまたスネ麿が怪我をするだけだし、やり直せばいいよ」

ドラ右衛門「それもそうだな」
ドラ右衛門「……あれは過去の御主ではないか?」

のび兵衛「本当だ! こんな近くにいたなんて、もしかしたら僕が轢かれてたかも」ブルブル

のび兵衛『ふんふふーん♪』



ドラ右衛門「頗る上機嫌だな」

のび兵衛「今日は寺子屋で一度も叱られなかったんだ」エヘヘー

ドラ右衛門「そんな事に関心はない」
ドラ右衛門「先ずは牛車が暴走した原因を探ってみるか」



のび兵衛『ふんふふーん♪』

おしず『あら、のび兵衛さん』

のび兵衛『おしずちゃん!』

おしず『珍しく今日は寺子屋で怒られなかったわね』

のび兵衛『そうなんだ! こんな日もあるんだねぇ』

おしず『本当、そうね』
おしず『それじゃあ失礼するわ』

のび兵衛『どこか行くの? また琴のお稽古?』

おしず『詮索されるのは好かないのだけれど』
おしず『出来杉さんの所で今日の学問をおさらいするのよ、ではまた寺子屋で』フリフリ

のび兵衛『じゃあねぇ~』フリフリ
のび兵衛『……ちぇ、また出来杉のところかぁ』
のび兵衛『僕も頭が良かったら、な!』ポーン



ドラ右衛門「御主が蹴った小石があらぬ方へ飛んだぞ」



牛車「!」コツン
牛車「ぶ、ブモォォォォォ!!!!!」

乗り手「お、おい! 急にどうしたんだぁ!?」

牛車「モォォォォォ!!!!!」ダッ



キャアァァァ
ドンガラガッシャーン
グェエ
テメェスネマロ!
ハハウエェェェ

―――――
――――
―――
――

ドラ右衛門「…………」

のび兵衛「……」ソロォー

ドラ右衛門「おいのび兵衛」

のび兵衛「は、はい!」ビクッ

ドラ右衛門「何か言う事は?」

のび兵衛「あはは……また“タイムマシン”使ってね?」

ドラ右衛門「無論!」ズバッ

のび兵衛「」ドサッ

ドラ右衛門「チッ、また着物が汚れた」



第1話「自業自得」-完-

安価>>15
第2話でのび兵衛がやらかす事、または巻き込まれる事などなどお願いしますm(__)m

安価で出た事案で話を書くって事か
ksk

のび兵衛がたけ坊の妹を馬鹿にする

何処デモ扉でおしずの風呂に侵入

のび兵衛「ねぇ~ドラ右衛も~ん」

ドラ右衛門「…………」

のび兵衛「ねぇ~ったらぁ~」

ドラ右衛門「五月蝿い」

のび兵衛「お願いだからさぁ~」ユッサユッサ

ドラ右衛門「えぇい鬱陶しい!!」
ドラ右衛門「また斬られたいのか!!」チャキン

のび兵衛「またって?」

ドラ右衛門「……」

のび兵衛「そんなことより“どこでもドア”貸してよぉ~」

ドラ右衛門「昨日も駄目だと念を押したはずだ」
ドラ右衛門「どの道、将来に益体も無い事に使うつもりなのだろう」

のび「『何事も決めてかかるのは卑しい俗物のする所業』って言ってなかった?」

ドラ右衛門「くっ……余計な事ばかりは覚えておるとは」

のび兵衛「ほんの四半刻だけ!」

ドラ右衛門「条件を出しているという趣意だろうが、それだけあれば十分な悪さができる」

のび兵衛「一生のお願い!」

ドラ右衛門「御主の一生の願いは既に聞いている」
ドラ右衛門「兎に角駄目だ」クルッ
ドラ右衛門「理に適う使用法ならば貸す事を考えてやるが、道楽で使うというのなら貸さぬ」

のび兵衛「ちぇっ、ドラ右衛門のケチ! 青狸侍!!」ダッ

ドラ右衛門「ッッ!!!? そこに直れのび兵衛!!」
ドラ右衛門「貴様の鮮血床に撒いて自分で啜ってもらう!!」チャキン
ドラ右衛門「…………居ない」
ドラ右衛門「あの糞ガキ……逃げ足だけは立派なものだ」

なんでだろう
cv.稲田徹で脳内再生される

中身絡繰り武者じゃないだろうなこの狸

期待

のび兵衛「はぁ~だめだったかぁ~」
のび兵衛「そうだ! ドラ右衛門が納得する理由があればいいんだ!」
のび兵衛「…………思いつかないや」

おしず「独り言をぶつぶつと、どうしたのかしら?」

のび兵衛「おしずちゃん!」

おしず「物の怪にでも取り憑かれたのかと思ったわ」

のび兵衛「そうだおしずちゃん、ドラ右衛門から“どこでもドア”を借りたいんだけどちゃんとした理由がないと貸してくれないって言うんだ」

おしず「ちゃんとした理由を持てば?」

のび兵衛「それが思いつかなくて……」

おしず「思いつかないって、なんで借りたいの?」

のび兵衛「それはぁ……」

おしず「口を濁すということは碌な事ではないのね」

おしず「そうね、『寺子屋の宿題で戦場やお城を見学したい』なんてどうかしら」

のび兵衛「戦場やお城を見学?」
のび兵衛「そんな宿題出てないよ?」

おしず「理に適う理由が欲しいのでしょ?」

のび兵衛「そうだった!」

おしず「嘘も方便」
おしず「“どこでもドア”なら危険を冒さずに見て回れるから、打って付けだと思うわ」

のび兵衛「それいいね!」

おしず「それで、本当は何に使うの?」

のび兵衛「あぁ……『寺子屋の宿題で戦場やお城を見学したい』……から?」

おしず「そんな宿題出てないわよ」

のび兵衛「ただいま!」
のび兵衛「ドラ右衛門! “どこでもドア”貸して!」

ドラ右衛門「ふん!」ズバッ

のび兵衛「」ドシャ

―――――
――――
―――
――


ドラ右衛門「なに?」
ドラ右衛門「寺子屋で出された宿題を熟すために戦場やお城を見学したい?」

のび兵衛「うん!」
のび兵衛「“どこでもドア”を使えば安全に見て回れると思って借りようとしてたんだ」

ドラ右衛門「何故それを先に言わなかった?」

のび兵衛「あぁ……忘れてて」エヘヘー

ドラ右衛門「ふん、御主らしいと言えば済むか」
ドラ右衛門「然りとてそのような場所へ御主を一人で行かせるのは不安が残る」
ドラ右衛門「拙者も同行しよう」

のび兵衛「い、いいよぉ」

ドラ右衛門「遠慮はいらぬ、御主の命を守るのも拙者の勤めだからな」

のび兵衛「し、宿題なんだから一人でやらないといけないんだ!」

ドラ右衛門「!?」

のび兵衛「少しはドラ右衛門を安心させたくて、これくらいは一人でできるから、ね?」

ドラ右衛門「まさか御主の口からそのような言葉が出るとはな」
ドラ右衛門「わかった、男の決意を見出すような真似はしない」
ドラ右衛門「ほら“どこでもドア”だ」テレテレッテレー
ドラ右衛門「持っていけ」

のび兵衛「ありがとうドラ右衛門!」
のび兵衛「それじゃあ行ってくるね」フリフリ

ドラ右衛門「あぁ……いつの間にかのび兵衛も立派になったな」

のび兵衛(…………ここまで来れば大丈夫かな)
のび兵衛(路地だし、誰も来ない……よし!)
のび兵衛(おっと、濡れないように先に脱いでおこう)ヌギヌギ
のび兵衛(うぅ~……)ブルブル
のび兵衛「まだまだ寒いなぁ、肌が白くなってく」ブルブル
のび兵衛「風邪を引かないうちに早く堪能しよう!」
のび兵衛「それでは!」ガチャ



モクモク

のび兵衛(うっ、湯気でよく見えない)
のび兵衛「……ってあれ? おしずちゃんがいない」
のび兵衛「おっかしぃなぁ~おしずちゃんの事だからいつ来ても入ってると思ったんだけどなぁ」

おしず母「~♪」ガラガラ

のび兵衛「あ」

おしず母「!?」
おしず母「きゃあぁぁぁ!!」

のび兵衛「ッ!」バタン
のび兵衛「ふぅ~危ない危ない」
のび兵衛「“どこでもドア”で来てよかったぁ」
のび兵衛「湯気でよく見えなかったから、あっちにも見えてなければいいけど」
のび兵衛「……おしずちゃんのお母さんでも良かったかも///」

野良犬「わんわん!」

のび兵衛「ッ!? な、なんだ野良犬かぁ……」
のび兵衛「あっち行け!」シッシッ

野良犬「がう」ダッ

のび兵衛「あ、こら! 着物を持ってくなぁ!!」
のび兵衛「まてぇ~!」

のび兵衛「ただいまぁ~」ブルブル

ドラ右衛門「帰ったか」
ドラ右衛門「のび兵衛、裸でどうした? 追い剥がれたのか?」

のび兵衛「まぁそんなとこ」
のび兵衛「ドラ右衛門は何してるの?」

ドラ右衛門「御主の耳には入っておらぬのか?」
ドラ右衛門「おしずの家の風呂で『あかなめ』が出たらしくてな、町ではこの話題が飛び交っている」
ドラ右衛門「拙者はその物の怪に興味が湧いて、こうして“タイムテレビ”で見ているのだ」
ドラ右衛門「決して卑猥な目的ではないぞ」

のび兵衛「そ、そうなんだ……」ソロォー

ドラ右衛門「どうせならのび兵衛も見ていけ」ガシッ
ドラ右衛門「ん、そろそろ物の怪が出たという時間だな」



のび兵衛『おっかしぃなぁ~おしずちゃんの事だからいつ来ても入ってると思ったんだけどなぁ』



第2話「軽挙妄動」-完-

安価>>30
第3話でのび兵衛がやらかす事、または巻き込まれる事などなどお願いしますm(__)m


ksk

ご先祖様に文句言いに行く話

たけ坊の歌を聴かされる(いわゆるジャイアンリサイタル)

未来の自分(のび兵衛の子孫)をなんかのどうぐでみてガクーリする

のび兵衛「うぅ……」
のび兵衛「斬らないで……斬らないで……」Zzz...

チュンチュン

のび兵衛「ん……もう朝か、まだ寝てたいなぁ」
のび兵衛「ドラ右衛も~ん、“ウルトラストップウオッチ”貸してよぉ~」

シーン

のび兵衛「ドラ右衛門? あれいない……」
のび兵衛「もうどこに行ったんだろう、僕の危機的状況だっていうのに」

ドンドン

のび兵衛「こんな朝早くに誰?」

スネ麿「た、大変だのび兵衛!」ガラガラ

のび兵衛「どうしたの? 朝から君の顔は見たくないよ」

スネ麿「外出て町の壁見てみろよ!」

┌――――――――――――――――┐
│                │
│     たけ坊-雷舞-     │
│                │
│昼八ツ中刻から下刻、空地にて行う│
│                │
│          来なきゃ殺す│
└――――――――――――――――┘

のび兵衛「なんだこれ、どっちにしろ死ぬじゃないか」

スネ麿「僕の家の壁にも張ってあったから、それでドラ右衛門に助けてもらおうとして来たんだ」

のび兵衛「ドラ右衛門なら、起きた時からいないよ」

スネ麿「えぇ!? こんな肝心な時にいないのかぁ……」

のび兵衛「使えないだろ?」

ドラ右衛門「ふん!」ズバッ

のび兵衛「」ドサッ

スネ麿「ひぃっ!」

ドラ右衛門「拙者の不在に隙をみて悪口とは腐りおって」

―――――
――――
―――
――


ドラ右衛門「貼り紙……やはり駄目だったか」

のび兵衛「どこに行ってたの?」

スネ麿「久々にたけ坊が歌うって言って客を集めてるんだ! どうにかしてよぉ!」

ドラ右衛門「喚くな、そんな事は疾うに知っている」

のび兵衛「じゃあ一人だけ逃げようとしたの?」

ドラ右衛門「これ以上は話が進まぬようになるので斬らないでおいてやる」
ドラ右衛門「拙者は“タイムマシン”を使い、今日たけ坊の奴が歌わないようにあらゆる手を尽くしていた」

ドラ右衛門「“台風発生機”で台風を出して奴の動機づけを削ごうと思ったが、奴はそれでも定刻に歌い出し、周囲に被害を齎した」

スネ麿「凄まじい執念だね……」

のび兵衛「“ふたごふうせん”で身代わりを作って歌ってる間だけ入れ替わるとか?」

ドラ右衛門「分身の耐久力が持たずに奴の知る所となった」

のび兵衛「“次元ローラー”でたけ坊の家の空間を広げてから“ホームメイロ”で迷路にして、嫌になるまで彷徨わせるとか?」

ドラ右衛門「奴は一回も迷わずに出てきた」

のび兵衛「“もしもホーン”で歌ってる間だけたけ坊の音痴を治すとか?」

ドラ右衛門「歌声が道具の範囲外まで届いて、敵襲と勘違いした城が攻めてきた」

のび兵衛「うーん」

グルメテーブルでお腹一杯にさせて眠らせるとか

のび兵衛「じゃあ歌う場所に“時空間とりかえ機”を使って、歌う前と歌った後の時間を入れ替えるとか?」
のび兵衛「舞台作りを手伝うふりをして立ち位置に印を書いてね」
のび兵衛「彼は歌いきったつもりになるし、僕らは入れ替えた時間にはその場所にいなければいいわけだし」

ドラ右衛門「それだ!」
ドラ右衛門「それならばこの時間軸でも可能なうえ、今からでも仕掛ける事ができる!」

のび兵衛「手遅れになる前に急ごう!」ダッ

ドラ右衛門「御意!」シュタタタ

スネ麿「ま、待ってくれよぉ~!」

たけ坊「ん゙ん゙! あ゙ー!」
たけ坊「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!!」

スネ麿「いた!」

のび兵衛(くっ! 調整段階でこの威力とは……!)

ドラ右衛門「殺すだけならどれだけ楽か」

たけ坊「お! お前たちもう来たのか!?」
たけ坊「楽しみなのは分かるがいくら何でも早過ぎるぜ///」

ドラ右衛門「……」チャキン

のび兵衛「ドラ右衛門抑えて」
のび兵衛「今回はどれだけの人を呼んだの?」

たけ坊「とりあえず寺子屋の仲間は皆呼んだぜ!」

スネ麿(ということは30余り……)

のび兵衛「ねぇたけ坊、どうせならもっと呼ぼうよ!」

スネ麿(ののの、のび兵衛! 何言ってんだよお前!)ヒソヒソ

たけ坊「観客を増やすって事か?」

のび兵衛「そう、久々に開いたんだから盛大にやらなきゃね」

のび兵衛「場所も、こんな小さな空地じゃなくてもっと広い野原にしよう」
のび兵衛「君の声が邪魔の無い野原を駆けて山々に当たり山彦に変わる……」
のび兵衛「どうかな?」

たけ坊「う、うおぉぉぉ!!」ビビビ
たけ坊「想像しただけで鳥肌が立つぜ!!」

のび兵衛「でしょ?」
のび兵衛「舞台の準備と観客の増員は僕らがやっておくからさ」

たけ坊「本当か!」

のび兵衛「だから君は家でゆっくり喉を休めてなよ」

たけ坊「それもそうだな! んじゃ、後は頼んだぞ心の友よ!!」

のび兵衛「さて、後は観客を集めて道具を仕掛けるだけだね」

スネ麿「歌は“時空間とりかえ機”でどうにかなるけど観客はどうするんだよぉ!」
スネ麿「あんなにたけ坊を高ぶらせて、全然観客が集まらなかったら何をされるか知らないぞ!」

ドラ右衛門「スネ麿の言う事も一理あるぞ、一体どうするつもりだ?」

のび兵衛「大丈夫、それは僕に任せて」
のび兵衛「ドラ右衛門、僕に“ふたごふうせん”“会いたいヒト回転寿司”“フエルミラー”“クイックオイル”“ビッグライト”を、スネ麿には“運び矢”を貸してあげて」

ドラ右衛門「そんな物何に使うつもりだ?」

のび兵衛「理由は準備しながら説明する、とにかく一人でも多くの観客を集めるためには一分一秒でも時間が必要なんだ」
のび兵衛「スネ麿はその間に先生に頼んで寺子屋の名簿を有りったけ借りて“運び矢”で飛ばしてくれ」

スネ麿「わ、わかった!」タッタッタッ

ワイワイワイワイ
ガヤガヤガヤガヤ
ワイワイワイワイ
ガヤガヤガヤガヤ

たけ坊「な……な……なんだこの人数はぁ!!!?」

のび兵衛「」グッタリ

ドラ右衛門(“クイックオイル”で作業効率を上昇させ、“ビッグライト”を“フエルミラー”に使用し、その複製範囲を広げ“会いたいヒト回転寿司”と“ふたごふうせん”を複製)
ドラ右衛門(後はスネ麿が“運び矢”で飛ばした名簿を元に片端から“会いたいヒト回転寿司”で呼び出して“ふたごふうせん”で分身を作るだけで迅速に満員御礼にするとは)

スネ麿「すげぇよのび兵衛! ほんの数刻で千人近く集まってる!」

たけ坊「ハァ……ハァ……追加で3曲も歌っちまったぜぇ……」
たけ坊「おぉ? まだこんなに明るいのか?」

のび兵衛「君の歌が素晴らしくて丸一日経ってしまったんだよ」

たけ坊「そ……そうだな!」

スネ麿(なんで信じるんだよ)

たけ坊「希望には応えたいが、さすがの俺様も疲れたぜ……」
たけ坊「今日のところはここまでだ!」
たけ坊「また近々開催するからその時も来てくれよな! じゃあな!」



スネ麿「お、おわったぁ……」ヘタリ

のび兵衛「しばらく頭使えないや……」

ドラ右衛門「日頃からそのくらい頭を使え」

その晩。
誰もいない野原に、突如としてたけ坊の歌声が二刻も響き続けた。
そこを偶然通り掛かった坊主は、これを物の怪の仕業と勘違い。
一番近くの町である僕たちの町に訪れ、声の主であるたけ坊を「憑かれている」という理由で連れていってしまった。
それから、たけ坊が鬼神の如き形相で帰ってきたのは、二晩が明けた早朝の事であった。



第3話「四面楚歌」-完-

安価>>45
第4話でのび兵衛がやらかす事、または巻き込まれる事などなどお願いします

寺子屋の試験の零点答案用紙を隠す

のび兵衛「5になったから上を下ろして……さらに5つ貯まったから隣のを1つ下げて……」パチパチ

ドラ右衛門「ほぅ、珠算の練習とは珍しいな」

のび兵衛「えへへ~」
のび兵衛「前のはドラ右衛門が踏んで壊しちゃったし」

ドラ右衛門「くっ……介錯をしてくれ」スッ

のび兵衛「いいよ、切腹しなくても」
のび兵衛「また“タイムふろしき”を使うのも面倒だしさ」
のび兵衛「それよりも、新しい算盤を買ってもらったからちゃんと勉強しようと思ってね」パチパチ
のび兵衛「しかも明日が算盤の試験の日なんだ!」

ドラ右衛門「それはまた、腕試しには格好の機会だな」
ドラ右衛門「応援しているぞ」

のび兵衛「ありがとうドラ右衛門!」

ここだけ見れば普通の日常風景

ガヤガヤ
ガヤガヤ

先生「はい静粛にしろ」
先生「それでは読み上げ算の試験を始めるぞ」
先生「弐拾陸文也~」

のび兵衛(まずは2個上げて、その隣は上を1つ下げて下を1つ上げる、と)パチパチ

先生「仟伍佰拾壱文也~参佰肆拾弐文也~参萬伍仟漆佰肆拾伍文では!」

のび兵衛(……)パチパチ
のび兵衛(よしできた)カキカキ
のび兵衛(なんか今日は調子良いぞ!)ウオォォォ

―――――
――――
―――
――


のび兵衛(……よし)パチパチ
のび兵衛(後は書くだけ……あれ? どうして最後の答えを書く欄がないんだ?)

先生「はい終了だ」
先生「先生が用紙を回収するからそのまま置いておいてくれ」

あるあるあ……(((;゚Д゚)))あるある…

これなら点数は悪いが実力はついているので問題ない

ドラ右衛門「――それで、あるまじき事だが回答欄の1番目に名前を書いてしまっていた結果が」
ドラ右衛門「この赤く“零”とだけ書かれたちんけな答案だと」ピラ

のび兵衛「うわ~ん!! どうしようドラ右衛も~ん!!」

ドラ右衛門「今回のお主の努力は、拙者が矯めつ眇めつ眺めていた」
ドラ右衛門「しかし、拙者が弁解をしたところでこの答案の事実は変わらぬ」

のび兵衛「じ、じゃあ“タイムマシン”で過去の僕に忠告をしておこうよ!」

ドラ右衛門「…………」

のび兵衛「どうしたのドラ右衛門?」

ドラ右衛門「……都合の悪い事に」
ドラ右衛門「最近何者かが頻繁に“タイムマシン”を利用した死者の生き返しを行ったため、タイムパトロールが時空間移動を一時的に禁じてしまったのだ」

のび兵衛「それじゃあ“タイム手袋”と“タイム眼鏡”も“タイムホール”と“タイムトリモチ”も“タイムトンネル”も“タイムベルト”も“タイム・ルーム”も“タイムワープリール”も駄目ってことなの!?」

ドラ右衛門「之ばかりは拙者の力ではどうにもならぬ」

のび兵衛「そんなぁ~……」

ドラ右衛門「他の道具で代用できれば良いのだが」

のび兵衛「そうだ! 1個ずつズレてるんだから!」

ドラ右衛門「成る程、“ずらしんぼ”を使うのだな」

のび兵衛「うん!」

ドラ右衛門「然しながら、名前と答えをずらせたとしてこの“零”はどうする」

のび兵衛「うーん」

先生「それで、私の採点が間違っているから採点を見直してほしいと」

のび兵衛「そうなんです! ほらこの通り名前も答えも書いてありますし!」

先生「それでは、君に一切の過失が無く、私の採点が間違っていたと」
先生「その答案にどういう仕掛けをしたのかは知らないが」
先生「のび、貴様は面白い冗談を言うんだな」

のび兵衛「……失礼しました」グスッ



ドラ右衛門「どうであったか?」

のび兵衛「ダメだったよぉ……」
のび兵衛「どうやら答案を隠した方がいいみたい……」

ドラ右衛門「結局は御定りか」

ここからが本題か

ドラ右衛門「穴にでも埋めるか」

のび兵衛「だめだめ、前に4回やって4回とも犬に掘り起こされて見つかったからね」

ドラ右衛門「あの時は町の晒し者になったな」
ドラ右衛門「ならば燃やすか」

のび兵衛「えぇ……」
のび兵衛「せっかく頑張った答案を燃やすのはちょっと……」

ドラ右衛門「……」イラッ

のび兵衛「そうだ! いっそのこと家に置いておいて、見つかりそうになったら“片付けラッカー”で消しちゃおう!」

ドラ右衛門「お主がそれでいいのなら拙者は助力するだけだ」

のび兵衛「それじゃあ持って帰ろう!」

のび兵衛「答案は小さく畳んで手元に、そして“片付けラッカー”の準備も良し! ドラ右衛門にありがちな中身が無いなんて事もない!」

ドラ右衛門「……」イラッ

のび兵衛「母上が入ってきても良いように木戸に“生き物交通標識”の“警笛鳴らせ”を張っておいたし、はぁ~安心したら眠くなっちゃったぁ」
のび兵衛「Zzzz...」

ドラ右衛門「……協力するのが間抜けに思えてきた」
ドラ右衛門「助力はここで打ち止めだ、拙者は想い猫にお目もじに行く」
ドラ右衛門「おっと、出入口は道具の効力が働いているから庭側から出るとしよう」ススッ

のび兵衛「う、うぅ……斬らないで……斬らないで……」スヤスヤ

ドラ右衛門「今日は暑い故、この戸は開け放っておくか」
ドラ右衛門「少しは良い風が吹くだろう」

あっ……(察し)

おたま「ぷっぷ~」

のび兵衛「ッ!!」ビクッ
のび兵衛(ま、まずい! “片付けラッカー”!)シュー

おたま「のび兵衛、入るわよ」ススッ

ヒュー

おたま「昨日読み上げ算の試験があったんだって?」

のび兵衛「ししし、試験? そんなのあったかなぁ……」シラー

おたま「?」
おたま「おかしいわねぇ、今先生がいらしていて」
おたま「『のび兵衛君の熱い抗議を受け、あれから自分が厳しすぎた事に気付いたから答案の再採点をしたい』って」

のび兵衛「本当!」スック
のび兵衛「その答案ならここにあるからちょっと待って! この“表しラッカー”で……」シュー
のび兵衛「あれ?」シュー
のび兵衛「あれ?? 消すまではたしかにここにあったのに……」
のび兵衛「ど、ドラ右衛も~ん!!」ウワーン



第4話「画蛇添足」-完-

安価>>60
第5話でのび兵衛がやらかす事、または巻き込まれる事などなどお願いします

>>14

龍の卵がかえらなかったら、逆立ちして鼻から蕎麦をたぐる

フワ~ン

たけ坊「!」クンクン
たけ坊「……」ムクッ

たけ子「あらおはようお兄様」

たけ坊「なにか美味そうな匂いがするじゃねぇか」
たけ坊「団子でも作ってるのか?」

たけ子「そうなの」フフ
たけ子「お兄様も余った分で良ければいかがですか?」

たけ坊「応、もらうぜ」
たけ坊「……ん? 余った分って事は友達にでも上げるのか?」

たけ子「友達と言うか……///」
たけ子「私が描いている絵の評価をしていただいたので、そのお礼に」

たけ坊「ほーん、それでそいつは誰なんだ?」

たけ子「のび兵衛さんよ」

たけ坊「ふーん……のび兵衛!?」

漫画の代わりは版画かな

たけ子「そう、あの方はとても優しいのよ」
たけ子「この男女の恋模様を描いた絵をあの方は褒めてくださったの///」

たけ坊「俺はそんなのより、この間描いてた龍の頭に坊さんが乗ってるやつの方が面白かったぞ」
たけ坊「もう一回見てぇな」

たけ子「あれは気まぐれに描いただけのものよ」
たけ子「それに、通り掛かったお坊さんが欲しいって言うからあげたわ」

たけ坊「勿体ねぇ」



たけ子「よし! 出来たわ!」

たけ坊「俺も着いていっていいか?」
たけ坊「妹の絵を褒めてもらったんだ、俺からも礼をしなくちゃな」

ドラ右衛門「これはここに……これはここに……」ガサゴソ
ドラ右衛門「これは……期限切れか」ポイ

のび兵衛「~♪」
のび兵衛「ん? 道具広げてどうしたの?」

ドラ右衛門「最近、下らぬ事に時を浪費していたからな」
ドラ右衛門「今日のような静謐な日には、悠然と道具を整理するに限る」

のび兵衛「ふーん」
のび兵衛(お、珍しく“名刀電光丸”を置いてる……)ソロー

ドラ右衛門「それに触れたその先、お主がどうなるかくらいは想像できるであろう」ガサゴソ

のび兵衛「はい……」シュン

のび兵衛「あ、そうだ」
のび兵衛「この間見せてくれた兎と蛙が相撲をとってるやつ貸してよ」

ドラ右衛門「そこら辺に落ちてるから好きに探せ」ガサゴソ

のび兵衛「そこら辺って……この道具の山から探すのかぁ」ガサゴソ
のび兵衛「これは見た事無い、これもだ」

ドラ右衛門「当たり前だ、拙者が保持しているひみつ道具は拙者でも数えきれない程ある」
ドラ右衛門「お主が把握している道具は、その中の幾らかだけだ」

のび兵衛「まだまだ僕の知らない道具もあるんだなぁ……あった」
のび兵衛「しかも4巻全部一緒だ、運が良いね」
のび兵衛(ん? なんだこれ、飴?)
のび兵衛「ちょうどいいや、食べながら読もうっと」ヒョイパク

のび兵衛「フフッ」ヒョイパク
のび兵衛「        、                            」ヒョイパク
のび兵衛「                          、                  」モゴモゴ
のび兵衛「                            、               、             」ヒョイパク

ドラ右衛門「……」ガサゴソ

のび兵衛「     ?」

ドラ右衛門「……」ガサゴソ

のび兵衛「       !」

おそだアメか

のび兵衛「(ねぇドラ右衛門)!」肩ポンポン

ドラ右衛門「気安く触るな!」バッ

のび兵衛「(整理に集中してるのは分かるけど無視は酷いよぉ)」

ドラ右衛門「あっ?」
ドラ右衛門「……あぁ、お主“おそだアメ”を喰ったな」

のび兵衛「(おそだアメ)?」

ドラ右衛門「その飴を食べて言葉を発すると、暫くしてから発した場所にその言葉が伝わるのだ」

のび兵衛(この間のたけ坊の件に使ってれば万事解決だったね)カキカキ

ドラ右衛門「どのみち声が遅れて伝わる故、同じ結果を招いたと思うが」

のび兵衛(効力はすぐ切れる?)カキカキ

ドラ右衛門「いくつ喰ったかにもよるが、暫くはそのままだ」
ドラ右衛門「拙者は息抜きに甘味でも買いに行く、暇であるのなら付いて来い」

のび兵衛「(はーい)」

―――――
――――
―――
――


たけ子「おじゃまします」ガラガラ
たけ子「あれ? いらっしゃらないのかしら……」

たけ坊「どうせ奥で昼寝でもしてるんだろ」
たけ坊「邪魔するぜ」ズカズカ

たけ子「ち、ちょっとお兄様!」



たけ坊「なんだいねぇのか……ん?」

のび兵衛『そうだドラ右衛門、この間たけ子が男女の恋愛についての描いた絵を見せてくれてね』
のび兵衛『内容は良かったんだけど男女の描き分けが成されてなくて、感情移入が全然出来ずに感想に困ったよ』モゴモゴ
のび兵衛『あんまりな事を言うとたけ坊に顔の形を変えられてしまうから、とりあえず内容だけは褒めたけど、あれは指摘する人が必要だね』



たけ坊「……」

のび兵衛「あれ、たけ子ちゃんどうしたの?」

たけ子「あ! のび兵衛さん!」
たけ子「勝手にお邪魔して申し訳ありません!」

たけ坊「よぉのび兵衛」

のび兵衛「たけ坊もいたんだ」

たけ坊「たけ子の絵を評価してくれた礼が言いたくてな」

のび兵衛「い、いいよそんな……」

たけ坊「あんなに立派な感想が持てるんだ、やっぱりたけ子にはお前が必要だ」肩ポンポン

のび兵衛「え? え?」

たけ坊「これからもたけ子をよろしくな」グググ

のび兵衛「痛い痛い! 肩ッ! 肩ぁ!!」のび兵衛「ど、ドラ右衛もーん!」

ドラ右衛門「たけ子よ、あっちで菓子でも喰って二人の話が終わるのを待っていような」スススッ

のび兵衛「ドラ右衛門?」
のび兵衛『ドラ右衛門?』

たけ坊「嫌とは言わせないぜ?」グググ

のび兵衛「ドラ右衛も~ん!」
のび兵衛『ドラ右衛もーん!』



第5話「巧言令色」-完-

安価>>75
第6話でのび兵衛がやらかす事、または巻き込まれる事などなどお願いします

のび兵衛とのび太の邂逅

乙乙

遅筆すみません
もう少々お待ちくださいm(__)m

ドラ右衛門「戻った」ガラガラ

のび兵衛「おかえり~」
のび兵衛「何その荷物? どこに行ってたの?」

ドラ右衛門「……仕入れのようなものだ」

のび兵衛「仕入れ? 何か売るの?」

ドラ右衛門「この時代の物は数世紀後に値打ちが出る故、今のうちに回収しているのだ」

のび兵衛「お金に困ってるの?」

ドラ右衛門「ひみつ道具もタダではないからな」

のび兵衛「ふーん」

早くしろー

大気

のび兵衛「でもその綺麗な状態で持って行って大丈夫?」

ドラ右衛門「というと?」

のび兵衛「君のいた時代ならば、この時代の物は当然劣化しているはずでしょ?」
のび兵衛「今の綺麗なままじゃ贋作と思われるんじゃない?」

ドラ右衛門「……貴様に指摘されたのは遺憾だが正論だな」
ドラ右衛門「贋作と鑑定されても多少の銭にはなるが、多少では危険を犯す意味がない」

のび兵衛「何か駄目なの?」

ドラ右衛門「未来に影響を齎す行為は固く禁じられている」
ドラ右衛門「この行為が明確に禁じられているわけではないが、未来での骨董価値基準に影響を及ぼす以上、罪に問われる可能性は拭えない」

のび兵衛「ふーん、まぁ捕まらないように気をつけてね」
のび兵衛「僕は昼寝でもするよ」ファ~

ドラ右衛門「ほざくな、貴様も荷担しろ」

のび兵衛「えぇなんで!?」

クズwww

ドラえもんは基本的にはモラリストだけど
ドラ右衛門はそうでもないなw

ドラ右衛門「お主は今しがた拙者の計画を聞いた」
ドラ右衛門「その上で制止もせず傍観し、その報酬で得た道具という恩恵にだけ関ろうとしているだろう」
ドラ右衛門「立派な共犯だ」

のび兵衛「そんな無茶な道理……」

ドラ右衛門「ごねるのか?」チャキ

のび兵衛「それでぼくはなにをすればいいのでしょうか」

ドラ右衛門「……お主の助力を得たのはいいがこれといった使い道がないな」

のび兵衛「……」

ドラ右衛門「そうだな」
ドラ右衛門「拙者は収集の手を休めずにいる故、その間、それらの骨董的価値を付与する案でも考えろ」
ドラ右衛門「お主なら得意であろう」

のび兵衛「まぁ勉強よりかは自信あるけど」

ドラ右衛門「では任せた」シュタッ

のび兵衛「そんな投げやr……いない」ハァ

ドラ右衛門「帰った」ドサッ

のび兵衛「おかえり」
のび兵衛「これまた凄い量だね」

ドラ右衛門「手始め故、これでも絞ったほうだ」
ドラ右衛門「して、策は浮かんだか?」

のび兵衛「うん一応ね」
のび兵衛「ここから寺子屋の裏に大きな山があるよね」
のび兵衛「あそこの見つけづらい場所の地中深くに埋めてから“タイムマシン”で未来に行って掘り起こすのはどうかな?」
のび兵衛「これならちゃんと劣化もするし」

ドラ右衛門「確かに、言うなればタイムカプセルの様なものか」

のび兵衛「タイムカプセル?」

ドラ右衛門「未来には現在の己が未来の己に渡したい物を箱などに詰めて埋めておき、数十年後にそれを開封する習慣のようなものがある」

のび兵衛「へぇ~」

のび兵衛「僕もやってみたい!」

ドラ右衛門「そう言うと察してもう“タイムカプセル”を用意してある」
ドラ右衛門「想う物を入れておけ」

のび兵衛「本当? やったー!」
のび兵衛「何入れようかな~♪」ガサゴソ

ドラ右衛門「“タイムカプセル”はここに置いておく故、準備が出来次第呼んでくれ」

のび兵衛「~♪」ガサゴソ

ドラ右衛門「すっかり集中しているな」
ドラ右衛門「邪魔をするのは無粋か」スッ

のび兵衛「これも入れて~、これも入れて~」
のび兵衛「うわ、零点の答案用紙」
のび兵衛「こんなところにしまってたんだ……」

おたま「のび兵衛ー! 入るわよー!」

のび兵衛「ッ!?」

のび兵衛(ま、まずい!)
のび兵衛(とりあえず適当な所に)グイィ

おたま「あら?」ススー
おたま「どうしたのこんなに散らかして」

のび兵衛「か、片付けをしようと思って一旦物を広げてたんだ!」ガサゴソ

おたま「それは感心ね」
おたま「お団子持ってきたから埃が舞わないうちにドラちゃんと食べてね」ススー

のび兵衛「あ、ありがとう母上」
のび兵衛「……甘味か」ジュルリ
のび兵衛「ドラ右衛門もいないし全b」アーン

ドラ右衛門「独り言が大きいぞ」チャキ

のび兵衛「なんだいたんだ」パクッ

ドラ右衛門「今戻ってきたんだ」スッ チャキン
ドラ右衛門「して、品定めは出来たのか?」パクッ

のび兵衛「とりあえずこれかな」
のび兵衛「あんまり入れて手元の物がなくなると嫌だからね」

ドラ右衛門「変に堅実だな」

乙乙

ドラ右衛門「ここら辺か」ドズン
ドラ右衛門「念のため未来に行き調べたが開発されずこの山は山のままであったから、埋めるのはどこでもいいだろう」

のび兵衛「それじゃあ始めよう!」
のび兵衛「ドラ右衛門、“もぐら手袋”!」

ドラ右衛門「受け取れ」シュ

のび兵衛「ありがとう」パシッ
のび兵衛「ん? 一組だけ?」

ドラ右衛門「一組しかないからな」
ドラ右衛門「さっさと始めろ」

のび兵衛「はーい」
のび兵衛「よっ、ほっ」ザッシュ ザッシュ
のび兵衛「このくらい?」

ドラ右衛門「何百年も経てば山肌は大幅に削られる」
ドラ右衛門「その穴の深さでは足りない、続けろ」

のび兵衛「はーい」ザッシュ ザッシュ

ドラ右衛門(……しかし)
ドラ右衛門(今気づいたが直下の土、他の場所と違い草が生えていないな)
ドラ右衛門(誰かがここに来ているのか?)

のび兵衛「いてっ」ガンッ
のび兵衛「ん?」ザッシュ ザッシュ
のび兵衛「なんだこれ、木箱?」

ドラ右衛門「どうしたー!」ター

のび兵衛「なんか木箱が出てきたー!」ター
のび兵衛「開けてみよ……ッ!」

ドラ右衛門「そ、それは!」

ドラ&のび『大量の大判!!!?』


のび兵衛「ななな、なんでこんな所に?」

ドラ右衛門「どこぞの輩が私腹を秘し隠したと聞いた事はあるが……まさかこんな所に」

のび兵衛「こんだけあるんだから数枚貰ってもいいよね? ね?」

ドラ右衛門「……いや、見た限り箱も新しい」
ドラ右衛門「おそらく最近埋められたのだろう」
ドラ右衛門「もし持ち出したお主を持ち主が探し出して危害を加える事があっては拙者の役割にも差し支える」
ドラ右衛門「戻して埋めておけ、これらは別の場所に埋める」

のび兵衛「そんなこと言って! 後で掘り起こして懐に入れるつもりでしょ!」

ドラ右衛門「……」チッ

ドラ右衛門「口答えをするのか?」チャキ

のび兵衛「“名刀 電光丸”じゃここまで来ないと当たらないよーだ!」

ドラ右衛門「……」ガッ ザッ

バリン ドスン ザザッ

のび兵衛「危ない!」サッ
のび兵衛「土と物を蹴り込まないでよ! 大事な物なんでしょ!」

ドラ右衛門「その大判さえ手に入ればこんなガラクタは用無しだ」
ドラ右衛門「大判は貴様の減らず口が聞こえなくなってからゆっくり掘り出す」ガッ ザザッ

―――
――


ドラ右衛門「このくらいか」

のび兵衛「酷いなぁ、君は」

ドラ右衛門「ッ!?」

ドラ右衛門「貴様いつの間に背後に!」ザン

のび兵衛「おっと」ザザザザザ
のび兵衛「僕に“もぐら手袋”を渡したのが悪かったね!」ザザザザザ

ドラ右衛門「待て貴様ッ!」タッタッタッ


―――――
――――
―――
――



のび太「ここら辺かな」トントン
のび太(何気なく“タイムテレビ”で昔の映像を見てたら、まさかあの将軍様がここに埋蔵金を隠してたなんて驚いたよ)
のび太「さて、“もぐら手袋”を着けて、っと」
のび太「これで僕も大金持ちだね、んふふ♪」ザッシュ ザッシュ ザッシュ

のび太(ん? なんかここら辺は破片のような物が多いなぁ)ザッシュ ザッシュ
のび太「いてっ」ガン
のび太「なんだこれ」ザッシュ ザッシュ


のび太「タイムカプセル……いや、これはひみつ道具の“タイムカプセル”だ」
のび太「なんでこんな所に? とりあえず開けてみるか」プシュー カパッ

のび太(うわガラクタばっかり、これは昔の漫画かな……ん?)ペラッ
のび太「古い文字で書かれてるけどテストの答案だ、しかもバツしか書いてない」
のび太「今も昔も僕みたいな人はいたんだなぁ、名前はなんていうのかな」

のび太「……のび……のびべぇ!?」
のび太「野比なんて苗字他に聞いた事ないからもしかして僕の先祖ぉ!?」
のび太「……わかった! この人の頭が悪かったから僕の頭も悪いのか!」
のび太「今から“タイムマシン”で会いに行ってちゃんと勉強するように頼んでやる! まったくどんな奴なんだもう!」プンスカ



第6話「合縁奇縁」-完-

安価>>96
第7話でのび兵衛がやらかす事、または巻き込まれる事などなどお願いします

今回はだいぶ時間がかかってしまい申し訳ないm(__)m
次からはちまちまでもちゃんと書いていきます

スネ麿が3人用の馬車を自慢

のび兵衛冴えすぎワロタ

おしず「……」ペラ

たけ坊「よっ!」ポン

のび兵衛「おっとっと」パス
のび兵衛「けっこう楽しいね」ヒュッ

たけ坊「そうだろー」パシッ
たけ坊「俺様が考えたこの、紙を固めて作った玉をほうって木の棒で打つ遊、び!」ポン

のび兵衛「ほっ」パス
のび兵衛「次は僕にもやらせて」ヒュッ

たけ坊「おう!」

おしず「……」ペラ

のび兵衛「おしずちゃんも読書やめて遊ぶ?」ポン

おしず「袖や裾が汚れると嫌だから今は遠慮するわ」ペラ
おしず「今日はお気に入りの服なの」ペラ

のび兵衛「ふーん」ポン

たけ坊「よっ」パス

乙乙

パッカパッカ

たけ坊「あれ、スネ麿じゃね?」ポーン

のび兵衛「へ?」
のび兵衛「いてっ」コツン


スネ麿「やぁやぁ君たち」パッカパッカ
スネ麿「どうしたんだいこんな所で?」ニヤニヤ

おしず「わざわざ乗り慣れない馬車でフラフラと危なかしく」
おしず「かつ、まるで見せびらかすかのように広い野原を一直線にこちらに近づいて来て」
おしず「スネ麿さんこそどうしたの?」

スネ麿「……」

たけ坊「おぉ馬車っていうのか!」
たけ坊「俺、牛車しか見たことねぇよ!」

のび兵衛「僕も!」

おしずさん、とんだ皮肉屋だなwwww

おもろいよ

スネ麿「そ、そうだろうそうだろう!」
スネ麿「でもこれは僕を入れて3人しか乗れないからなぁ~」チラチラ
スネ麿「みんなを乗せたいんだなぁ~残念だけどのび兵衛はのr」

おしず「私は遠慮しておくわ」
おしず「その席はのび兵衛さんとたけ坊さんで埋めてあげて」

スネ麿「えぇ!?」

たけ坊「興味はあるが今はこっちの方が楽しいからまた今度、な!」ポーン

のび兵衛「僕もいいや、まだ死にたくないし」パス

スネ麿「……ふ、ふんだ!」
スネ麿「あとから乗せて欲しいって言っても乗せてやらないからなぁ~!」パッカパッカ

のび兵衛「――って事があったんだ」モグモグ

ドラ右衛門「喰いながら喋るな」
ドラ右衛門「乗らずにいたのは良い事だな」

のび兵衛「前に似たような感じで牛車に乗ってきた事があったけど」カッカッカッカッカッ
のび兵衛「あの時は時宜良くドラ右衛門が助けてくれなければ僕が死んでたのを絶対忘れてるよ、スネ麿の奴」モグモグ

ドラ右衛門(あの時は“タイムマシン”で5回もやり直したからな、自覚なんてないだろう)

トントン

おたま「はーい」
おたま「あらたけ坊さん、どうしたのこんな遅くに?」

のび兵衛「え? たけ坊?」

乙乙

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom