加賀「乳首相撲です」 (92)

提督「触ってねえよテキサスクローバーホールド極めるぞ」
提督「触ってねえよテキサスクローバーホールド極めんぞ」 - SSまとめ速報
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【艦これ】武蔵がチャリで来た
【艦これ】武蔵がチャリで来た - SSまとめ速報
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懲りずにこれのシリーズです
皆さんが「もうやめてくれ!!」と泣き叫び、胸をがむしゃらに掻き毟るまで続けます


・提督の表記は『( T)』になっています
・前回、大変厳しいご意見を戴いたのでリベンジを兼ねて書きました
・時雨編はもういっそ最初から書き直します。めんごな
・提督はドウェイン・ジョンソン並みのマッスルです



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429706128

( T)「…」

( T)「だる…」


人生において最も理不尽な点は、その大半を仕事と呼ばれる謎の苦行で埋めなければならないということ
提督の仕事は主にデスクワークだ。ギャラは悪くないが、よくわからんキモい生き物と戦争中のため、使う機会が少ない
いっそ正義超人の友情パワーとかで戦争とか俺の憂鬱とかなんとかして欲しいものだが、この世界にキン肉マンはいない
いても多分失禁するだけで役に立たない。そう思うくらい俺はなんか疲れていた


( T)「ハァーアー…」


疲れの理由その①、艦娘の春休み期間

我が鎮守府では艦娘の慰安の為、春夏冬、それとゴールデンウィークとシルバーウィークに長期休暇を取らせる
もちろんその間、戦場を留守にするわけにもいかないので、幾つかの班に分けて順に休みを取ってもらう方式にしているのだ。ホワイトやろ?いいのよ、もっと褒めても
今は青葉や叢雲を含み割と有能な人材が休み期間中なので、俺の仕事の負担も増えるというわけだ
因みに青葉は、休み期間中を利用し青葉被害者の会と一緒にお花見旅行に出かけた
いいなぁ俺も早く休みたい。休んで街でゆっくり映画とか観たい。バードマン観たい。ワイルドスピード観たい

疲れの理由その②


加賀「頭に来ました」

瑞鶴「なんですって!?」


書類処理中の目の前で行われるアホ二人の喧嘩だ
今日の喧嘩のテーマは『ロバート・ダウニーJr.とヒュー・ジャックマンどっちがイケメンか』だった
知るかよそんなの主観だろどっちもどっちで違う魅力があっていいじゃねえか
アイアンマン対ウルヴァリンってどんなドリームマッチだよマブカプでやれよ

しかもタチの悪いことに、いつも執務室で喧嘩をする
大抵の言い争いは決着が着かない為、最終的には俺に判断を煽らせるのだ
大体がクッソどうでもいいテーマなので、適当にあしらうか喧嘩スペシャルでシメるかしている


加賀「これだから五航戦の子は…」

瑞鶴「んぐににににぃ!!」


( T)(変な鳴き声出してる…)


青葉がいたら上手く宥めてくれるんだがなぁ。無いものねだりはしょうがない
言い争いも佳境。そろそろ俺に振られるはずだ
今日は喧嘩スペシャルで黙らせて入渠ドックに叩き込んでやる。タオルでウサギでも作ってろバーカ

加賀「わかりました。そこまで言うなら」

瑞鶴「ええ!!ケリを着けようじゃない!!」


そーら来なすった。完璧超人の技のキレをとくと味わえ


加賀「乳首相撲で」

瑞鶴「勝負よ!!」


( T)「知るk…えっ、今なんて?」

( T)「乳首…えっ?」


加賀「何?邪魔をしないで貰いたいのだけど」

瑞鶴「口出ししないでよ!!これは私達の誇りの問題なんだから!!」

( T)「国辱超人みたいなこと言ってんじゃねえよ。ちょっと一回俺に説明して?」

加賀「ヒュー・ジャックマンの方が男性的魅力に優れていると、乳首相撲でこの子にわからせるのよ」

瑞鶴「ハァ!?ロバート・ダウニーJr.の方がかっこいいし!!」

( T)「とりあえずお前ら、両氏に謝れ。な?」

瑞鶴「さあ!!これを挟みなさい!!」

( T)「おいお前その洗濯ばさみとゴム紐どっから取り出した」

加賀「言われずとも」スルッ

( T)「待ておい直か?直にか?落ち着こう?一回落ち着こう?」

加賀「ここは譲れません」

( T)「いいのか?いいのかお前?艦娘としての尊厳とか誇りとか消し飛ぶけどいいのか?」

瑞鶴「アウトレンジで、キメたいわね!!」ヌギッ

( T)「アウトレンジで何キメる気だよお前も。キマってんのはお前らの頭だよ。ほら脱ぐなっt…おっぱいを出すな!!」


ヤバい、アホ空母二人が既におっぱい丸出しでスタンバってる
このままではマズい。何がマズいかってこのままではアメコミ映画界の二大トップスターが
日本のお笑いお家芸乳首相撲如きで魅力判定が下される。アベンジャーズ2の公開を控えてる今、それだけは絶対に阻止しなければ


( T)「青葉ーーーーーーーーーー!!!!!誰か青葉呼んッ…」

(;T)「休みじゃねーーーーーーーーーーーーーかーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


この未曾有の危機に相棒の不在
俺のマッスルソウルジェムは絶望で真っ黒に染まりかけていた

(;T)「だ、誰かーーーーーーーーー!!!!!!誰でもいい!!この状況を止めてくれーーーーーーーー!!!!!」


口を開けた洗濯バサミが、二人の乳首に迫る
俺は最後の望みを懸け、まだ見えぬ救世主(メシア)に助けを求めた


「お困りのようでありますね!!!!!!!」


(;T)「そ、その声は!!」


「レッグラリアート!!!!」ドゴメキャァ!!!!!!


加賀「ぐえっ!!」グシャァ!!

瑞鶴「くかっ!!」パキョッ!!


(;T)「モンゴルマンを思わせる見事なレッグラリアート…お前は!!」


あきつ丸「いかにも!!!!あきつ丸、カ号も大発も、準備万端であります!!!!!」ドドッド!!


( T)「あきつ丸ーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

あきつ丸「提督殿に借りていた合法都市を返しに来たら、面白い事になっていたであります」

( T)「助かったぜ…こいつらの乳首がどうなろうと知ったこっちゃねえが、彼らの尊厳が乳首相撲で崩れるのだけは避けたかったからな…」

あきつ丸「相変わらず提督殿は艦娘に厳しいでありますなぁ」


おっぱい丸出しで気絶する二人が風邪ひかないように布団を掛け、とりあえず一息つく


( T)「やれやれ、仕事の手が止まっちまったか…まぁいい、休憩すっか。あきつお茶飲む?」

あきつ丸「戴くであります…と、言いたいところですが、そうゆっくりもしてられないようであります」

( T)「なんで?」

あきつ丸「どうやらこの二人から、『妖気』を感じるであります」

( T)「ハハハ何言ってんだお前中二病が加速したか?ぬ~べ~NEOの読みすぎ?」

あきつ丸「…提督殿、二人の様子がおかしいとは思いませんでしたか?」

( T)「そりゃ思うが…まぁ春だし」

あきつ丸「暢気ですなあ…幾ら春で頭のネジが緩むとは言っても、プライドの高い加賀殿が乳首相撲をしようだなんて提案すると思うでありますか?提督殿じゃあるまいし」

( T)「お前の中で俺の評価どうなってんの?アホってこと?」

あきつ丸「合法都市の続きは無いでありますか?」

( T)「おい目ぇ逸らすな答えろ。あと非常に残念なことに合法都市は全六巻だ」

( T)「で、妖気がなんだって?」

あきつ丸「前回の騒動、覚えているでありますか」※提督「触ってねえよテキサスクローバーホールド極めるぞ」参照

( T)「まさか総勢で三十匹くらいのクソ提督幽霊がいるとは思わなかったなぁ」

あきつ丸「現在で三百万余りの提督がいますからなぁ。死者の数もそこそこなのであります」

( T)「だが幽霊は全て駆除したはずだろ?」

あきつ丸「『幽霊は』であります」

( T)「……幽霊以外の魑魅魍魎がまだこの鎮守府にいると?」

あきつ丸「いかにも!!さすが提督殿!!冴えてるでありますな!!」

( T)「いやそこまで言われたら誰だって察するわ…ちょっと頭痛い…青葉、頭痛y…いねえんだった…」

あきつ丸「おっほほぅ、目に見えて弱ってるでありますなぁ。マッチョの衰弱した姿もこう…萌えであります!!」

( T)「お次はなんだ?妖怪?」

あきつ丸「その通りであります!!」

( T)「マジかよ……いくら妖怪アニメが大流行だからってその波がここまで来るか普通…」

( T)「そんでこの加賀と瑞鶴の錯乱騒ぎは、妖怪の仕業だって言うのか?」

あきつ丸「九分九厘、そうであります。ただ、自分にわかるのは『妖気』の強弱だけであります」

( T)「いや充分すげえよ…因みに、どんな方法で?」

あきつ丸「この妖怪…」

( T)(ウォッチか?)

あきつ丸「灯篭で」

( T)「アンテナですらない…だと…?」

あきつ丸「改造を受けた際に、妖精さんが粋な追加機能を付けてくれたであります」

( T)「実戦じゃなんの役にも立たねえけどな。使い方は?」

あきつ丸「妖怪の影響を受けている者にこの灯篭を向けると…」


灯篭『弱』


あきつ丸「この様に、妖気のレベルが三段階に分けて表示されるであります」

( T)「あれでまだ弱レベルか…一体どんな妖怪なんだよこええよ」

あきつ丸「いえ、先ほど扉の前で反応があった時は中レベルでありました。気を失って妖気が多少抜け出たのかと」

( T)「あなんだ良かった」

あきつ丸「安心してる場合では無いでありますよ。恐らく、妖怪は鎮守府全域に妖気を発信している筈」

あきつ丸「早く手を打たないと、この『地獄の血みどろマッスル鎮守府』が『乳首の相撲大会鎮守府』と化してしまいます」

( T)「何このマニアックなAVみたいな展開……」

あきつ丸「タチが悪いのはそれだけではありません。もし妖怪を退治しても、艦娘間で乳首相撲が行われてしまった場合、正気に戻った時に羞恥と乳首の痛みで精神的ダメージを負ってしまうであります」

あきつ丸「最悪の場合、轟沈もありえるかと」

( T)「ガチピンチじゃねーか」

あきつ丸「春休み期間中で、いつもより人数が少ないことが唯一の救いでしょうな」

( T)「…解決できるか?」

あきつ丸「愚問!!自分のこの妖気察知能力と、提督殿の鋼の肉体があれば、どんな怪異も指先一つでダウンであります!!」

( T)「さすが陸軍のお嬢さんは格が違った。よし、やるか!!妖怪退治!!」

あきつ丸「おー!!で、あります!!」

( T)「で、作戦はあるのか?」

あきつ丸「モチのロンであります。この灯篭には妖気探査機能も備わっているであります」

( T)「ドラゴンレーダーみたいなもんか」

あきつ丸「これでより強い妖気を辿っていけば、おのずと妖怪の元へ到着するという算段であります!!」

( T)「なるほどな。ところで、お前さんは平気なのか?」

あきつ丸「自分のような陰陽師タイプの艦載機使いは、妖気や霊気に対する耐性が強いであります」

( T)「なるほど、じゃあ龍嬢や隼鷹はまだ安全ってことか」

あきつ丸「ですが、あくまで『耐性』なので、全く効かないという保障は無いであります。結局、時間との勝負であります」

( T)「……俺は大丈夫かな?」

あきつ丸「誰が得すると言うのでありますか?」

( T)「ほら、世の中には色んな性癖の人がいるから…」

あきつ丸「誰が得すると言うのでありますか?」

( T)「わかったよ真顔で同じ言葉繰り返すなよ心に刺さるだろうが」

あきつ丸「誰が得すると言うのでありますか?」

( T)「ごめんってば」


【廊下!!!!!!!!】


( T)「どう?妖怪灯篭は反応してる?」

あきつ丸「もうビンビンでありますな」

( T)「もっと違う表現無かったのかよ…」

あきつ丸「ふむ…この先は軽巡寮であります。かなり強い反応であります」

( T)「マズいんじゃねえのか!?急ぐぞ!!」

( T)「…」

あきつ丸「…」


【大北ルーム】┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛


( T)「…何かの間違いだろ?」

あきつ丸「そう信じたいであります。自分、変な汗が止まらないであります」ダラダラ

( T)「…灯篭は?」

あきつ丸「強…いえ、『狂』と出ているでありますね」

( T)「ええ…?」

あきつ丸「…提督殿、短い人生でありましたなぁ」

( T)「諦めんなよ…」


【大北ルーム】┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛


( T)「よし、あきつ丸。お前は別の反応を探せ」

あきつ丸「提督殿!?」

( T)「なぁに、心配するな。後ですぐ追いつくさ」

あきつ丸「フ、フラグではありませんか!!そんなの、認められないであります!!」

( T)「おいおい、俺を誰だと思ってる?かつて『ジャパニーズ・チャック・ノリス』と呼ばれた漢だぜ?」

あきつ丸「初耳でありますよ!!それに、自分は上官を見捨て敵前逃亡など出来ないであります!!」

( T)「あきつ丸…」

大井「あの、扉の前で何やってるんです?」


(;T)あきつ丸「「うわああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


大井「うるさっ…何なの一体」

(;T)「おっ、おま…部屋の中で北上と乳繰り合ってたんじゃ…」

大井「セクハラですか?魚雷、撃ちますよ?」

あきつ丸「で、では、この反応は一体…?」

大井「反応…?ああ、もしかしてアレのこと?」

(;T)「アレ…?」

大井「ちょっと待ってなさいな」ガチャッ キタカミサァアアンハァン


(;T)「心ッ臓口から飛び出るかと思った…」

あきつ丸「死を覚悟したであります…」

大井「お待たせ。多分、これの事じゃないかしら?」

( T)「…」

あきつ丸「…」


ベヘリット<やぁ!! ※ベルセルクのアレ


(;T)「ガチの超危険アイテムじゃねーか!!!!!」

あきつ丸「うわぁ…うわぁ…灯篭が小刻みに震えるくらい反応してるであります…」

大井「遠征で拾った家具箱の中に入ってたんだけど、何か捨てると呪われる気がして手放せなかったのよね…持ってっちゃってよもう」

(;T)「ええー…ガッツですら手に余る代物をなんで俺にー…?」

大井「男だろ?持ってけ」

( T)「ウッス」

大井「んん~、やっとキモいアイテムから解放されたわぁ。それで、コソコソと何やってたのよ?」

あきつ丸「実は…」


【あきつ説明中】


大井「ハァ?バッカじゃないのアンタら」

( T)「俺もそう思う」

あきつ丸「悲しいけどこれ、現実なのであります」

大井「妖怪だかなんだか知らないけど、私と北上さんの邪魔だけはしないでくださいね!!」

( T)「アッハイ」

あきつ丸「了解であります!!」

大井「フン!!」バァン!!



( T)「こわぁ…クレイジーサイコレズこわぁ…」

あきつ丸「それ、どうするでありますか?」

( T)「どうしよっか…あっそうだ」

あきつ丸「?」

( T)「地獄の血みどろ…」

( T)「マッスル握砕!!!!!」ベッキャア!!ピギャアアアアア!!

あきつ丸「わっ!?」

( T)「握りつぶせたわ…」パラパラ…

あきつ丸「…て、提督殿も、かなりのトンデモ人間でありますな」

( T)「反応、まだあるか?」

あきつ丸「いえ、全くと言っていいほど無いであります」

( T)「大北部屋からは?」

あきつ丸「こちらも無反応でありますな。妖怪も敵に回しちゃいけない人物を心得ているようであります」

( T)「小賢しいというかなんと言うか…まぁ、こちらとしても安心っちゃ安心だがな。じゃあ次だ」

あきつ丸「提督殿、一つよろしいでありますか?」

( T)「なんだ?」

あきつ丸「提督殿は……加賀殿と瑞鶴殿がおっぱい丸出しになったのを見た時…なんていうか…その…下品なんですが…フフ…『勃起』…しなかったでありますか?」

( T)「吉良吉影っぽい口調で何言ってんのお前…」

あきつ丸「やっぱりホm( T)「ホモじゃねーよ」

( T)「例えばだ、お前が夜道を一人歩いていたとしよう」

あきつ丸「ふむ」

( T)「そしたらいきなり目の前に知らないイケメンが登場」

あきつ丸「ふむふむ」

( T)「そして徐に下半身を露出させた」

あきつ丸「変態であります」

( T)「興奮するか?」

あきつ丸「いえ、全く。むしろ(ブッ)飛ばしていくのであります」

( T)「つまりそういう事だ」

あきつ丸「それはちょっと違うんじゃ…」


大鯨「て・い・と・く!!」

秋月「こんにちは」


( T)「おお、大鯨。それに秋月も」

あきつ丸「珍しい組み合わせでありますな」

( T)「あきつ」

あきつ丸「…弱であります」

大鯨「弱…?どうかしましたか?」

( T)「ああいやなんでもない、大丈夫」

秋月「大丈夫!!」

( T)「あっ、うん、大丈夫…長10cm砲ちゃん、調子はどうだい?」

長10cm砲ちゃん「Groovy(イカすぜ)」CV:ブルース・キャンベル

( T)「アッシュかよ」

あきつ丸「お二人とも、これからのご予定は?」

大鯨「えっと、秋月さんがお握りとお味噌汁以外のお料理を習いたいと仰ったので、これから夕飯のカレーを一緒に作ります」

秋月「はい!!お料理が趣味になりえるなんて…なんて素敵な時代なんでしょうか!!」

( T)「大鯨はウチの副料理長だからなぁ。ま、バッチリ教えてもらえよ」

秋月「ご期待に副えるよう、頑張ります!!」

大鯨「フフフッ」

あきつ丸「あれ?ですが、カレーは毎週金曜日の献立の筈では…?」

大鯨「!!」

秋月「!?」


┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛


( T)「お、おい…なんか様子がおかしいぞ…?」

あきつ丸「じ、自分、何かおかしなことでも言ったでありますか!?」

大鯨「な、なんてこと……提督から名誉ある副料理長の座を戴いたにも関わらず、海軍食の基礎であるカレーの献立日を無視するだなんて…」

秋月「いえ、大鯨さんは悪くありません!!この秋月が『カレー』を作りたいだなんてわがままを言うから…」


あきつ丸「よ…妖気のレベルが中に変わったであります!!」

(;T)「ええ!?さっきまで弱だったじゃん!!」

あきつ丸「恐らく、自分の余計な一言が両氏に後悔を生み出し、妖気の増長に繋がったのかと思われるであります!!」

(;T)「バカ!!!!!アンポンタン・ポカン!!!!!」


大鯨「提督に合わす顔が…無いッ…」

秋月「罰を…自らに罰を課さねば…ッ!!」

(;T)「いやいいよ!!カレーくらいでどんだけ重たい責任負ってんだよお前ら!!」

あきつ丸「提督殿、自分にも罰を与えて欲しいのであります!!」

(;T)「ええい落ち着け!!」

大鯨「秋月さん、これ…」チャラッ

秋月「ええ…共に罰を受けましょう」

(;T)「だからその洗濯バサミとゴム紐どっから取り出したーーーーーーーーーー!!!!!!!」

(;T)「クソッ、良心が痛むがやむをえんッ!!」

( T)「『地獄の血みどろマッスルジャブ』ッ!!」パパァンッ!!


大鯨「はうっ」ドサァ

秋月「ひあっ」カクン


あきつ丸「て、提督殿。今のは…?」

( T)「最低限のパワーで顎にジャブを打ち込み、脳を揺らして気を失わせたんだよ…読んでてよかったリクドウ」

あきつ丸「それを自分にも打ち込んで欲しいのであります!!これでは将校殿にも提督殿にも顔向けできないのであります!!」

( T)「だから落ち着けって。ここでお前が気ぃ失ったら誰が妖気探知するんだよ」

あきつ丸「それは…」

( T)「別に怒っちゃいねえよ。どんな事態が起こるか、俺にもわかんねえんだからよ」

( T)「フォローなら幾らでもしてやる。逆に俺が失敗したら、お前がフォローしろ」

あきつ丸「…自分に、勤まるでありましょうか?」

( T)「今はお前が相棒だ。頼りにしてるぜ」

あきつ丸「…はい!!」

( T)「しかし、どこでも出てくるなこの乳首相撲セット」

あきつ丸「このアイテム自体には妖気を感じられないであります。自分で用意したものでは無いかと」

( T)「ええ~…てめえで作っててめえで使うのかよ…引くわ…」

あきつ丸「しかし提督殿、これはチャンスでありますよ」

( T)「チャンス?」

あきつ丸「鎮守府にある洗濯バサミを全て確保してしまえば、乳首相撲が実行される確立が減るであります!!」

( T)「なるほど!!冴えてるなあきつ丸!!」

あきつ丸「そうと決まれば早速、物干し場へ急ぐでありますよ!!!!」

( T)「おうよ!!!!」


【物干し場】


( T)「洗濯バサミーーーーーーーーーーーー!!!!!!」ドドッド!!


鳳翔「…」ポカーン


( T)「あっ、どうもこんにちは鳳翔さん」

鳳翔「は、はい…こんにちは」

( T)「ち…違うんですよ…べつに洗濯バサミをね?どうのこうの…違うんすよ…」

鳳翔「え、ええ…?」

あきつ丸「提督殿!!うろたえるんじゃあない!!帝国海軍はうろたえない!!」

( T)「あきつ丸!!どうだ!!」

あきつ丸「反応なし!!さすがお艦は格が違ったであります!!」

鳳翔「えっと、ごっこ遊びでしょうか?私、何かの悪役…?」

( T)「いえいえそんな滅相も無い!!ああ、洗濯物を取り込んでる最中なんですね!!手伝います!!」

鳳翔「助かります。ではあちらのシーツをお願いできますか?」

( T)「お任せください!!マッスル~~~~~~~~~取り込み!!!!!!」

鳳翔(いつも通りテンション高いですね…)


~マッチョ洗濯物取り込み中~


あきつ丸「鳳翔殿、洗濯バサミなのですが…」

鳳翔「ああ、最近何故か数が減っているのですよね…あきつ丸さん、何かご存知ですか?」

あきつ丸「…それはいつ頃から?」

鳳翔「いつ…そうですね、春休み期間が始まった頃、からでしょうか」

あきつ丸「二週間以上前…で、ありますか」

鳳翔「この間、遠征班の子達に頼んで補充したんですけど、また減ってるみたいなんですよ。提督に言って何か対策を立ててもらわないと」

あきつ丸(しかし、二週間も前から前兆が…今の今まで気がつかなかったのは失態でありますな…)

あきつ丸(!! いや、そういうことでありますか!!これなら…)

鳳翔「そう言えば」

あきつ丸「ハッ!!ど、どうかしたでありますか?」

鳳翔「いえ、遠征班の子達から聞いた話を思い出したのですが、夕張さんも洗濯バサミを欲しがっていたそうです。それも、新品を」

あきつ丸「夕張殿…い、嫌な予感しかしないであります…」

鳳翔「流行なんですかねえ…私にはわかりかねます」

( T)「鳳翔さーん、シーツどこ置いとけばいいですかー!!」

鳳翔「大広間に持っていって貰えますか。そこでまとめて畳みます」

( T)「はいよー!!」

鳳翔「あきつ丸さん、ついでに今とりこんだ洗濯物も一緒に持っていって貰えますか?後は私一人でも大丈夫ですので」

あきつ丸「了解であります。ああ、鳳翔殿」

鳳翔「はい?」

あきつ丸「貴女を信頼してお願いするであります。洗濯物を全て取り込み終えたら、洗濯バサミを全て回収して管理してもらえないでありますか?」

あきつ丸「それと、誰かが『ください』と言っても、絶対に渡さないようにして欲しいのであります」

鳳翔「え、ええ…それくらいならお安い御用ですが、理由をお伺いしても?」

あきつ丸「…この鎮守府の存亡に関わっている、としか応えられないであります」

鳳翔「…この事を提督は?」

あきつ丸「存じ上げているであります」

鳳翔「そうですか…わかりました。不肖ながら、努めさせて頂きます」

あきつ丸「ありがたい、であります。もし手に余るとお思いになったら、大井さんを頼ると良いのであります」

鳳翔「了解、お気をつけて」

【大広間】


( T)「お艦、何だって?」

あきつ丸「二週間前から洗濯バサミが無くなっているそうであります。それと、夕張殿が新品の洗濯バサミを欲しがっていたと」

( T)「マジかよ凄まじく嫌な予感しかしねえな。それに、二週間前から?随分前から動きがあったんだな」

あきつ丸「してやられたであります…自分が推測するに、妖怪は幽霊騒ぎに乗じて徐々に妖気を拡散し、影響を強めていったと思われるであります」

( T)「なるほど…目立つ怪異に紛れてたってわけか…だから二週間前から動きがあってもお前が感知出来なかったと」

あきつ丸「面目次第もございません…」

( T)「ああ、スマン。別に責めちゃいねえよ気にすんなって。それより、問題は夕張だな」

あきつ丸「乳首相撲セットの供給源である可能性が高いでありますな…もしかすると、もっとえげつない物も…」

( T)「やだなぁ…確認しにいくのやだなぁ…普段の兵装開発するノリで乳首相撲セット作ってたらもう目もあてらんない…」

あきつ丸「ですが、ここを止めないと被害は拡大する一方であります」

( T)「呪われてんのかよこの鎮守府…」

あきつ丸「何を今更。死者が三十人以上出てる鎮守府でありますよ?」

( T)「ほんと昔ここで何あったの…?」

あきつ丸「提督殿はどんな罪を犯してここに流れ着いたのでありますか?」

( T)「Village Peopleと躍らせてやるっつーんでホイホイ着いて行ったらこのザマだよ」

あきつ丸「小学生でも今時そんな手に引っかからないでありますよ…」

( T)「よーし、そんじゃ工廠に…ッ!?」


何かを感じ取った提督は、あきつ丸を抱え山のようにそびえ立つシーツの中へと潜り込む


あきつ丸「て、提督殿?」

( T)「静かに」


やがて、コツ、コツと、二人分の足音が大広間に近づいてきた


( T)(臭う)


戦場にあって、この場所にあってはならない『殺意の臭い』
無臭だが、色濃く鼻と『危機感』に残るそれが、徐々に近づいてきた


あきつ丸(あれは…!!)


夕立「…」

時雨「…」


地獄の血みどろマッスル鎮守府に置いて、二番目三番目の実力を持つ駆逐艦
青葉が提督の『右腕』なら、この二人は『懐刀』。絶大な信頼を寄せるその二隻が


夕立「ぽい~…ぽい~…」

時雨「シュウウウウウウウ…フシュウウウウウウ…」


目を血走らせ、口から荒く息を吐きながら徘徊していた

あきつ丸(よ…妖気レベル…)


灯篭が、身近に迫る二人の妖気を推し量る


あきつ丸(『強』…!?)


ケッコンカッコカリを済ませ、深海棲艦を素手で殴り殺す二人が
妖気に中てられ、傀儡となっていた


(;T)(今までと違う…俺らを探してる?)


加賀と瑞鶴、大鯨と秋月
この二組はあくまで『自分達で』乳首相撲をしようとしていた
しかし、夕立と時雨は明らかに『何かを探している』
その証拠に


(;T)(ありゃあ…乳首相撲セットか?)


二人の手には、これまで見た物と一線を画す代物が握られている
モンキーレンチの顎部分のような形状をしたハサミ。ゴムの代わりに黒い鎖
その反対側には、ハサミではなく鉄輪が付けられていた
どのように使用するかは定かでは無いが


夕立「ぽい~…」

時雨「フシュウウウウウウ…」


見た所、自分達で使うつもりは毛頭無いように見える

(;T)(クソッ…よりによって最悪の刺客じゃねえか…)


二人とはまだ距離があるが、近寄られてしまえば見つかるのは時間の問題だろう
提督はこの短い時間の間に決断しなければならない

『抵抗』か、『逃走』か


(;T)(戦うか…?だが、一人だけでも青葉が手を焼く相手だ。それが二人もいて、まともな勝負になるか?)

(;T)(それに、あきつ丸もいる。多少武術に心得があると言っても、アレとは雲泥の差だ。『人間が武術を学んでも熊には勝てない』)

(;T)(逃げるという手もあるが、背を向けたら何をされるかわからん…熊なら余裕で追っかけてきて噛み付いてくるだろうな…なら、手は一つ)


(;T)(俺が相手をし、あきつ丸を逃がす!!これしかない!!)


戦う覚悟を決め、あきつ丸に指示しようと口を開く
だが、その覚悟を余所に二人は


夕立「ぽい…」

時雨「シュウウウウウウウ…」


ロクに探索もせず、背を向けて大広間から出て行った

(;T)「…行ったか?」

あきつ丸「妖気の反応は薄まっていくであります…提督殿の方は?」

(;T)「まだ残っちゃいるが、臭いは遠ざかったぜ。ゆっくり、反対側に出よう」


音を立てずシーツから抜け出し、忍び足で二人とは反対側の出口に向う


あきつ丸「まさかあの二人が最も強く妖気に中てられているとは…」

(;T)「アホだから影響されやすかったんじゃねえ?ここに金剛がいたら一発だったな」

あきつ丸「我々を探していたのでありましょうか?」

(;T)「だろうな…コソコソ嗅ぎ回っているのが、野郎にもバレたみてえだな」

あきつ丸「これはますます解決を急がねばなりませんな…」

(;T)「見たか?あいつらの手に持ってたモン。ありゃあ確実にバリィ関わってるぜ」

あきつ丸「変わった形状でありました…拷問器具と呼んでも差し支えないであります」

(;T)「まぁあれが乳首相撲セットって言われてもピンとこねえだろうな…工廠へ急ぐぞ。あのブツの件も合わせて、夕張を問い詰めないとな」

【工廠】


( T)「まずはこっそり様子を見よう。いつもみたいにドドッドって出て行ったら、色々と隠蔽されるかもしれん」

あきつ丸「裏をとってから突入でありますな。憲兵密着24時みたいでワクワクするであります」


夕張「だから…こう…強度が…」

明石「では…こうして…張力を…」


( T)「うわぁ…明石までいる…変態エンジニアタッグ揃ってるぅ…」

あきつ丸「ネクロモーフも真っ青であります…おや、あれは」


榛名「榛名…大丈夫…」


あきつ丸「榛名殿もいらっしゃるであります」

( T)「アホの妹までいんのかよ…」


夕張「それじゃ、もう一度テストするわね」

明石「OK、擬似乳首セット完了です」


( T)「擬似?今擬似乳首って言った?」

あきつ丸「聞き間違いでは無いようでありますな…あの台の上に乗っている物を見るであります」

( T)「…おっぱいの、アレ何?なんて言えばいいの?」

あきつ丸「精密におっぱいを再現した模型…とでも言いましょうか」

( T)「何作ってんのあいつら」

夕張「第294回、テスト開始!!」


( T)「乳首に洗濯バサミを挟んで、なんか始まったな」

あきつ丸「乳首が徐々に引っ張られていくであります。ところで提督殿」

( T)「何だよ」

あきつ丸「あれは誰のおっぱいをモデルに作られたのでありましょうな?」

( T)「知らんがな…」


ブチブチブチィ!!!!!


( T)「えっ、乳首千切れた…」

あきつ丸「見てるだけで痛いのであります」


夕張「ああ~!!ダメだわ…やっぱり痛みの限界ギリギリの調整が難しいわね」

明石「そうですね…張力を上げすぎると乳首が千切れてしまい、かといって弱めれば、榛名さんのオーダー通りに行かなくなってしまいますからね」

榛名「榛名は乳首が千切れても大丈夫です!!」


( T)「もうダメだ突入するぞ。ほっといたら榛名がもっとヤバイ発言をしそうだ」

あきつ丸「ドMここに極まれりでありますな!!」

( T)「お前ら何してんだーーーーーーーーーーーー!!!!!!」ドドッド!!

夕張「やだ、提督!?」

榛名「提督!!」

( T)「すげえ恐え事やってんじゃねえよ!!ムカデ人間以来だわ!!こんなゾワッとしたの!!」

明石「武器人間と比べてどうでした?」

( T)「武器人間は萌え映画だろ!!いい加減にしろ!!」

夕張「違う、違うのよ提督!!これは新しい兵装実験で」

( T)「乳首を洗濯バサミで挟んで紐で引っ張る兵装か…?ええ?愉快だなおい。テメーの頭が」

夕張「えと、その…」ダラダラ

( T)「あきつ丸、どうだ?」

あきつ丸「妖気レベルは弱でありますな。ご自身の意思で活動されている可能性があります」

( T)「だとよ…どうなんだ?ええ?」

夕張「ごっ…ごめんなさい!!何故か乳首相撲が流行って、それ用の道具を作ってあげたら結構いいお小遣いになったからつい…」

( T)「明石、お前は?」

明石「いやぁ、結構面白くって。提督、どうですかこのおっぱい模型。いい出来だと思いません?」

( T)「乳首が千切れててグロいよ!!!!!!!!!!アホかお前!!!!!!!!!」

あきつ丸「おっほ、感触までリアルでありますな!!」タップンタップン

( T)「遊ぶな!!!!!!!!!!!」

( T)「今回の騒動の一端を荷った責任はその体で思い知ってもらうぞ…」ゴキゴキ

夕張「だ、誰かーーーーーーーー!!!!犯されるーーーーーーーーー!!!!!!」

( T)「安心しろ、ただのパロ・スペシャルだ。肩がバッキバキになるまで…」ガチャ


( T)「ガチャ?」


榛名「…」

( T)「…あの、榛名…さん?この手錠は一体……?」

榛名「提督」

榛名「榛名と乳首相撲、しましょう」

(;T)「えっ…?嫌だよそれ乳首千切れるやつじゃん…」

榛名「榛名は…」








榛名「榛名は、提督となら乳首が千切れても大丈夫です!!!!!!」






.








(;T)「俺は大丈夫じゃねーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」






.

榛名「さぁ、さあ!さあ!!!」

(;T)「うわ力強い!!!!恐い!!!!助けてあきつ丸!!!!」

あきつ丸「提督殿!!」

夕張「おっと!!そうはさせないわ!!」バッ!!

あきつ丸「夕張殿!!邪魔をしないで欲しいのであります!!」

夕張「こうなったら、あなた達も乳首相撲の餌食になってもらうわ!!」

明石「夕張さん!!カメラ準備オッケーです!!」

夕張「よし!!これで脅すネタが掴めちゃいます!!」

(;T)「発想がゲス以下だなお前ら!!」

榛名「さぁ、その逞しい胸板を出してください!!」

(;T)「やめろーーーーーー!!!!俺のおっぱいは魅せるためであって乳首相撲する為じゃなーーーーーい!!!!!」

榛名「榛名、もう我慢できません!!」ヌギッ

(;T)「おっぱいを出すなーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

あきつ丸「提督殿ーーーーーーーー!!!!!」

夕張「ディーフェンス!!ディーフェンス!!」


明石「もう既にこの状況が最高に面白いですね…カメラ回しちゃいましょう!!」

(;T)「いい加減に…」

(#T)「しろオラァ!!!!!」ブチィッ!!

榛名「手錠が弾け飛んだ!?」

(#T)「『地獄の血みどろマッスルアイアンクロー』!!!!!!」

榛名「だいじょうぶあああああああああああああああああああああああ!!!!!」ギチギチギチギチィ!!!!

夕張「榛名さん!?」

あきつ丸「隙ありであります!!」

夕張「しまっ…!!」

あきつ丸「レッグラリアート!!!!」

夕張「げばっ!!」ブチャア!!

あきつ丸「そのまま返してローリング・ソバット!!!!」

明石「ぐぴゃ!!」ズドム!!

(#T)「48の殺人技!!No.1『宇宙旅行』!!!!(宇宙に行くとは言って無い)」

榛名「ギニア!!」ドッカアアアアアアン!!!!!



※48の殺人技とは
キン肉マンの師匠であるプリンス・カメハメが伝授した技の数々
ファーストナンバーである『宇宙旅行』はただぶん投げるだけの技である

( T)「ハイター博士に拉致された時の為に、手錠千切りをマスターしておいて正解だったぜ…」

あきつ丸「提督殿、本当に人間でありますか?」

( T)「リッグスだってリーサル・ウェポン2で肩の関節外して拘束から逃れてただろうが」

あきつ丸「彼は拘束具を破壊してはいないのであります」

( T)「しかし…やれやれだな。思わぬ襲撃だった。榛名ってこんなに頭可笑しかったか?」

あきつ丸「榛名殿だけ妖気レベルが強でありますな」

( T)「金剛がいなくて本当に良かった…今のうちに乳首相撲関連の品物を処分するぞ」

あきつ丸「おっぱい模型はどうするでありますか?」

( T)「全部捨てろよ…」

あきつ丸「見て欲しいのであります!!榛名殿のおっぱいと、このおっぱい模型クリソツでありますよ!!」

( T)「モデル榛名かよ…あいつ間近で自分の乳首千切れる様見てたのかよ…狂ってんな…引くわ…」

あきつ丸「一個持って帰っても良いでありますか!?」

( T)「いや、何に使うの?」

あきつ丸「枕にするのであります!!」

( T)「絵面がやべえからやめとけ」

( T)「しっかし、どんだけの人数が乳首相撲に惹かれたんだろうな…見ろよこの洗濯バサミとゴム紐の数」

あきつ丸「ここまで影響が拡大しているにも関わらず、一切気付けないとは…並の妖怪ではないであります」

あきつ丸「ぬらりひょん…もしかすると、玉藻前クラスかもしれぬであります…」

( T)「羽衣狐様レベル…?」

あきつ丸「何でありますかその羽衣狐様とは?」

( T)「何ってお前、週ジャン黒髪ロング界のトップスター……あきつ」

あきつ丸「どうしたでありますか?」

( T)「手がかりだ」

あきつ丸「!!」

( T)「夕張のレポートが出てきた。こいつもこいつなりに、騒動の原因を調べていたらしい」

あきつ丸「おお!!マッドな実験を繰り返すだけではなかったのでありますな!!」

( T)「小遣いに目が眩んで黙ってたことは許されねえけどな…だが、内容によっては情状酌量の余地はあるかもしれねえ。どら…」ペラ

( T)「『乳首相撲の流行は留まる事を知らない。実際に行った者は現段階ではまだいないそうだが、時間の問題だろう』」

( T)「『私自身、この恥ずべき行為に興味をそそられつつある。ニコ動の視聴履歴がそれ関連で埋まった。死にたい』…ニコ動って何でもあるんだな」

あきつ丸「提督殿、続きを」

( T)「おう。『事の発端は長門さんだったそうだ。深刻な顔で相談に来たと明石さんが言っていた。乳首の先が寂しい、何故か痛みを与えると気持ちがよくなると』」

あきつ丸「口外してはいけない相談でありますな」

( T)「読んでる俺自身が恥ずいわ…『程なくして、霧島さんやビスマルクさんが同じような相談をしに来たらしい。乳首相撲セットの製造を依頼されたのもこの時期からだった』」

( T)「『この三人の相談には共通点があった。トレーニングジムで汗を流した後、特にその衝動が強くなるらしい』…これだ!!」

あきつ丸「ええ!!早速ジムに出向くであります!!!」



【ジム】



( T)「ジムーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」ドドッド!!

あきつ丸「逃がさんでありますーーーーーーーー!!!!!」ドドッド!!

( T)「って、誰もいねえな…」

あきつ丸「油断は禁物であります。妖怪灯篭の反応がビンビンのボッキッキであります」

( T)「更に酷い表現になってるじゃねえか…」

あきつ丸「非常に近いと言うことでありますよ…」

( T)「この中の、どこかに潜んでると言う訳か……ん?」

あきつ丸「いたでありますか!!!!!!」

( T)「あ、ごめん違う」

あきつ丸「紛らわしいのであります!!!!」

( T)「怒んなよ…いや、この壁掛けハンガーフック、随分低い位置にあると思ってな」

あきつ丸「どうでもいいのであります!!!!真剣になって欲しいのであります!!!!!」

( T)「乳首相撲に真剣になれっつってもな…しかし、このハンガーフック…俺の乳首と同じくらいの位置にあるな」

あきつ丸「乳首……まさか!!!!」バッ!!


灯篭『狂』


あきつ丸「…ビンゴ、であります」

( T)「えっ?」

あきつ丸「妖怪よ!!貴様の居場所は突き止めた!!姿を現すのであります!!!!」

( T)「えっ…そこ壁…」

壁「とうとう見破られてしまったな」


(;T)「壁が喋ったーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」


龍驤「誰が壁やーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」ドドッド!!


(;T)「お前じゃねえすっこんでろーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

龍驤「なんや、ウチちゃうんか、おっおっおっ」バタン

あきつ丸「地獄耳でありますな…」スッ

(;T)「あ、あきつ丸!!ジムの壁が妖怪だって言うのかよ!!」

あきつ丸「いかにも!!この壁の向こう側に強大な妖気…いや、妖力を感じるのであります!!」

壁「フハハ、流石じゃなあきつ丸。幽霊退治一番の功労者は伊達では無いらしい」

あきつ丸「無駄な口上は結構!!観念して姿を現すのであります!!貴様に逃げ場は無いのであります!!」

壁「フン!!なら、ワシを壁から引きずり出してみよ!!」

あきつ丸「ぐぬぬ…提督殿!!」

(;T)「アッハイ」

あきつ丸「このハンガーフック、恐らく妖怪本体に繋がっているであります!!」

壁「フハハ、鋭いのう」

(;T)「へ、へぇ…そうなんだ…」

あきつ丸「提督殿の腕力なら、引き抜くのも容易いはず!!本体さえ現れてしまえば、後は提督殿の独壇場であります!!」

( T)「なるほど、クソ提督共の幽霊と、同じ末路に遭わせてやれということか。そういう事なら…ッ!!!!」


(#T)「マッスル~~~~~~~~~~~~~!!!!!!」ガッ!!

(#T)「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」ギチギチギチィ!!!!

あきつ丸「ナーバス!!ナーバス!!」

(#T)「ぬがああああああああああああああ!!!!!!」ギチギチギチギチィ!!!!

あきつ丸「ガーリレイ!!ガーリレイ!!」

(#T)「トニイイイイイイイイイイイイイジャアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」ギチギチギチギチギチィ!!!!!!

あきつ丸「!?」

(#T)「抜けねええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!」ギッチギチギチギチイイイイイイ!!!!!!

あきつ丸「そんな、馬鹿な!!提督殿のマッスルを以ってしても、一ミリも動じないとは!!!」

壁「無駄無駄無駄!!例えダンプカーで引っ張ったとしてもワシは動じん!!」

(#T)「この俺をダンプカー如きと一緒にすんじゃねええええええええええ!!!!!!」

あきつ丸「提督殿!!引いてダメなら叩き壊すであります!!!!」

(#T)「その手があったか!!!!幸い、ここはジム!!!!!重くて硬い物ならいくらでもある!!!!!」

壁「ハン、上手くいくといいのう」

(#T)「喰らえエエエエエエエエエ!!!!!バーベル攻撃だアアアアアア!!!!!」


ガンッ!!!!

バキッ!!!!

ゴトッ…ゴトゴト…


(;T)「なっ…!?」

あきつ丸「バ、バーベルが…折れたのであります!!」

壁「おーおー、物は大事にせんとバチが中るぞ」

(;T)「傷一つ付いてねえ…だと…?」

壁「例え核爆発に巻き込まれても、ワシは砕けん!!」

(;T)「この俺を核爆発如きと一緒にすんじゃねえよ・・・あきつ丸、手は無いのか!?」

あきつ丸「…」

(;T)「あきつ丸!!」

あきつ丸「ぐっ、ああ…!!!」

(;T)「どうした!?」

あきつ丸「体の自由が……!!」

(;T)「てめえ!!何をした!!」

壁「フン、貴様らが余りにも鬱陶しいからのう。ワシの妖気をその小娘に少々多めに送り込んだのじゃ」

壁「この鎮守府内、どこに逃げてもワシの妖気からは逃げられん!!この場所から離そうが無駄じゃあ!!」

(;T)「なんだと!!」

壁「自身の意思とは関係なく乳首相撲がしたくて堪らんじゃろうて!!」

あきつ丸「ぐあああああ!!」

(;T)「てめえええええええ!!!!!一体何の目的でこんな極悪非道な事を!!」

壁「知れたこと!!楽しいからよ!!」

(#T)「ぬおお!!許さんッ!!タルカス!!」

壁「フン!!貴様に何が出来る!!自慢の筋力が通じず、妖気を封じることも出来ん!!」

壁「艦娘がいなければ何も出来ない、木偶も同然よのぉぉぉ~~~~~~!!!!!!!」

(;T)「くっ…クソォオオオオオオオオオオ!!!!!!」


(;T)(打つ手は…打つ手は無いのか…?俺は、俺のマッスルは…妖怪の前じゃただのインポテンツだってのか…?)

(;T)(俺は…俺は、木偶でしか、ないのか…?)


あきつ丸「提督殿…ッ!!」

(;T)「ハッ!?」

あきつ丸「奴の言う事など…真に受けてはいけない…ッ!!」

あきつ丸「自分は、あぐっ!!し…知っているであります…ッ!!提督殿は…提督殿はッ!!」

あきつ丸「我々に勇気と、勝利をもたらしてくれる…『漢』だと言う事を!!!!!」ニッ!!


( T)「あきつ丸…」


壁「こやつ、まだ笑うか!!」

あきつ丸「貴様にはわかるまい…妖怪よ!!良い女は、苦しい時ほど笑うもの!!」

壁「小癪なぁああああああ~~~~~~~!!!!!」


( T)(そうだ…何を勝手に絶望してんだ俺は…俺から『マッスル』と『漢』を抜いたら、何が残る?)

( T)(考えろ、考えろ!!相棒がピンチなんだ!!俺がここで閃かないと、全てが終わる!!攻略不可能な敵なんていねえ!!糸口を、糸口を見つけろ!!)

( T)「ッ!!!!!!」

乳首相撲
ジム

ハンガーフック
乳首
高さ
乳首相撲セット
そして――――


これまでの道筋で見た全てが、提督の頭の中でパズルのように組みあがる


( T)「これだ…これしか、無い!!」


そして、乳首相撲妖怪攻略の糸口を見つけ出した


( T)「あきつ丸!!待ってろ!!俺が絶対に何とかしてやる!!」


開口一番、提督は灯篭を掴み取り、ジムから飛び出した


壁「フハハ!!あやつ、逃げよったぞ!!」

あきつ丸「提督殿は、何とかすると言ったら必ず何とかする漢!!妖怪よ、貴様の命運は直に尽きるのであります!!」

壁「ほざけ!!先に貴様が辱めを受けるのじゃああああああ!!!!」

あきつ丸「ぐううううううううううううう!!!!!」

(#T)「あの野郎オオオオオオオオオオオ!!!!!!」


あきつ丸の苦痛の叫びを背に受け、燃え滾る怒り、そして闘志
今すぐ引き返してしまいそうな脚を、前へ前へと進ませた


(#T)「どこだ!!『あれ』はどこだ!!」

(#T)「ッ!!」


窓の外、日光が不自然に反射し、咄嗟に身を屈める
瞬間、窓ガラスを突き破った弾丸が雨のように廊下へと降り注いだ


(#T)「『烈風』!?」


敵艦載機をカトンボのように撃ち落す、艦上戦闘機のエース
その機体の群れが、廊下を旋回し提督に機銃を向ける


(#T)(烈風は烈風でも、烈風改!?こんな上物装備してる奴は、一人しかいねえ!!)

(#T)「どういうつもりだ!!加賀ァ!!!!」


加賀「…」

瑞鶴「…」

窓の向こう側から、執務室で気絶していた筈の二人が無言で弓を向ける


(#T)「灯篭が…!!」


灯篭が示すレベルは『強』
榛名を凶行に走らせるほどの妖気レベルだ


(#T)「なるほど…野郎、本気で俺を殺して乳首相撲大会を開きたいらしい…なァッ!!」


烈風改の機銃を、寸でのところで避ける
今はまだギリギリ対応出来るが、第二次攻撃隊が発艦されてしまえば、それも苦しくなるだろう


(#T)「クソが!!こっちは急いでんだよ!!」

(#T)「最短で眠らせてやる!!『地獄の血みどろ』…うおっ!!」


二人に近づこうとするが、烈風改が行く手を阻む
足止めを喰らっているうちに


加賀「…」

瑞鶴「…」


二隻の正規空母は、ダメ押しを繰り出した


(;T)「チィッ!!」

「伏せーや!!」


(;T)「ッ!!」


突如聞こえた叫びに、体が反射的に従う
直後、迫り来る烈風が『演習用模擬弾』に撃たれ、力なく堕ちていった


(;T)「お前は…ッ!!」


龍驤「呼ばれて飛び出て、龍驤さんやーーーーーーーーーー!!!!!!」ドドッド!!


飛行甲板の巻物を広げ、左手に勅令の炎を燃やす、歴戦の軽空母『龍驤』。そして


長10cm砲ちゃん「Groovy(イカすぜ)」CV:ブルース・キャンベル


その両脇に従っているのは、秋月の装備である長10cm砲ちゃん

龍驤「なんや…ちょっちおもろいことになっとるなぁ。長10cm砲ちゃんの言うた通りや」

(;T)「お前、どうして…」

龍驤「ウチがさっき、壁がどうのこうのでツッコんだやろ?あん時、あきつの奴から『サイン』があったんや」

(;T)「サイン?」

龍驤「ウチら陰陽師タイプの空母は手ェから謎の炎出てるやろ?これ、いくつか種類があって、そん時の状況ごとに使い分けれるんや」

龍驤「んで、ウチがジムから出て行く瞬間にあきつはあるサインを出した。『緊急ニ付キ警戒態勢』…これでウチは君らが何らかの事件に巻き込まれてると察したんや」


長10cm砲ちゃん「Groovy(イカすぜ)」CV:ブルース・キャンベル


長10cm砲ちゃんが、第二次攻撃隊を複数打ち落とす


龍驤「そしたらタイミングよくこの子らが来て、事情を説明してもろた。それ聞いた時ウチ腹抱えてわろたでwwwww」

( T)「いや、笑い事じゃないんだけどね?」

龍驤「さ、ここはウチらが引き受けた!!早ぉ進みや!!」


勅令の炎が宿った指で、飛行甲板を撫でる
型紙が艦載機の形を成し、プロペラを回し始めた

( T)「…助かる!!頼んだぞ!!」ダッ!!

龍驤「任せとき!!」



龍驤「さぁて…艦載機のみんなぁ!!お仕事お仕事ォ!!!」


龍驤の号令を皮切りに、飛行甲板から艦載機が次々と繰り出される


長10cm砲ちゃん「Groovy(イカすぜ)」CV:ブルース・キャンベル


長10cm砲ちゃんの対空特化された砲が火を噴き、また数機の烈風を堕とした


加賀「…」

瑞鶴「…」


龍驤「ハン!!スケベな妖怪如きに操られおって!!正規空母も高が知れるな!!」

龍驤「そんなマヌケにこの龍驤さんが負けないこと、思い知ってもらうで!!」

(#T)「オラアアアアアアアアアア!!!!!なんで見つからねえだーーーーーーーー!!!!!!」


龍驤に後を任せ、廊下を全力疾走で走る
ガランとした食堂、洗濯物が積みあがったままの大広間、未処理の書類だけが残る執務室
手当たり次第探し回るものの、目的の物は見つからない


(#T)「ッ!!」


突然、腕の肌が粟立った
視覚、聴覚よりも早く、提督の『本能』が危険を察知したのだ

刹那の間も無く、死角から飛んでくる『クレーンの爪』


(;T)「ッぶね!!」


顔面への直撃を避けたが


(;T)「ぬわーーーーーー!?」


軍服の襟首を捉えられ、後ろへと引き摺りこまれる
その先で待ち構えていたのは



榛名「逃がしませんよ!!提督ゥゥゥーーーーーーーーー!!!!!!!」



早くも意識を取り戻した、狂気の金剛型三番艦だった

明石「夕張さん!!」

夕張「ええ!!」


そして、艤装のクレーンを操作し、提督を捕らえた明石と
艤装とは全く関係ない大砲を構える夕張


夕張「対テラフォーマー及び提督用発射式蟲獲り網!!てー!!」

(;T)「おまっ…!!」


大砲から『網』が射出され、提督の体を覆う
雁字搦めにされた提督は、榛名の足下にまで引き摺られ、止まった


榛名「提督…提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督提督…」

榛名「捕まえた!!!!捕まえたああああああああははははははははは!!!!!!!!!」


(;T) ゾクッ!!


眼孔を見開き、顔に両手を添え狂ったように笑う様はまるで
とあるホラー映画の、登場人物のようであった


(;T)(クソが!!マーティン君より余程怖ぇ!!)


網を破り逃れようとするが、ギチリと音を立てるだけで千切れる気配は無かった

夕張「無理ですよ提督。この私と明石さんがテラフォーマーズを読んで三日三晩掛けて完全再現させた代物ですからね」

明石「テラフォーマーの筋力の三倍でも千切れない強度です!!自慢の一品ですよ!!」

(;T)「こんな状況じゃなきゃあ素直にはしゃいでたよクソが!!!!!」


自慢気に言い放つ彼女達の目も、コールタールのように濁っていた
輝いているのは、明石が回すビデオカメラのレンズだけ


榛名「さぁ、提督ゥ…榛名と乳首相撲しましょう。大丈夫、乳首が千切れても、大丈夫ですから…」


顔を硬直させ、未完成の乳首相撲セットを持って提督に迫る


(;T)「折角のお誘いだが、御免だね!!」


身を捩り、榛名から少しでも離れようとするが


榛名「ダメですよォ!!提督ゥ!!!!!」ずんッ!!

(;T)∴「ゴパァ!!」


提督の腹を、思い切り踏みつけ固定する
衝撃に見舞われた胃袋から、内容物が逆流した


(;T)「ゴホッ!!ゴッホ!!」

榛名「嗚呼…可愛いです提督…もっと、もっっっっっっっと!!その顔を魅せて!!!!!」


開け放しの口から涎が流れ出て、提督の額に落ちる
今まで見たどんな艦娘の表情よりも、扇情的で、官能的で、そして猟奇的だった

他の金剛型姉妹のように元気で、それでいて献身的で、穏やかな優しさを持つ彼女はそこには居ない


(;T)(万事休す、か…)


せめて、彼女の狂った姿を見ないようにと、瞼を閉じる


その瞬間、彼の耳に届いたのは、戦場で聞きなれた


『砲撃音』だった

榛名「ッ!?」


榛名の体に模擬弾が炸裂する
乳首相撲セットは手から離れ、廊下を滑っていく

続けて、二撃、三撃と連続して砲撃音が響く
その度に、妖気に中てられた三人が砲弾に襲われ、少しずつ後退する


(;T)「なっ…誰だ!!」


硝煙が舞い上がる廊下の先
助け舟を出した人物の影が、声を上げた


「単装砲って、何気にわびさびよねー」


(;T)「その声、そのセリフ!!」


北上「はいよー、重雷装巡洋艦北上。遅れて登場ってね」ドドッド!!


由緒正しき重雷装巡洋艦のポーズをとった、北上であった


大井「全く」


その隣にいた大井が、走り寄って網を掴み、ナイフを取り出す


大井「何をヤンデレ如きに手こずってんのよ!!」

(;T)「大井!!北上!!」

大井「鳳翔さんから言われたのよ!!アンタらが鎮守府の存亡に関わる事案に関わってるって!!助けに行ってくれって!!」

大井「乳首相撲が鎮守府の存亡に関わる!?全く悪い冗談だわ!!目の前のヤンデレクソ女がいなきゃ、鼻で笑い飛ばしてるところよ!!」


文句を言いながら、ナイフを素早く動かす
筋力に強い網は摩擦力には弱いようで、嘘のようにブチリと切断された
だが、まだ脱出までには至らない。大井はすかさず次の網目にナイフを差し込む


榛名「ああああああああああああ!!!!!余計なことををををををををぉぉぉおおおおお!!!!」


砲弾を掻い潜り、金切り声を上げながら榛名が大井へと迫る
艤装が無いとは言え、戦艦娘だ。巡洋艦とは比べ物にならない耐久を持っている
尚且つ、金剛型は高速戦艦。速力と回避には自信がある


大井「チィッ!!鬱陶しいのよ!!」


大井は手のナイフを投げつけ、牽制する
ナイフは榛名の顔を掠め、天井に突き刺さった


北上「大井っち!!」


すかさず北上が予備の単装砲を投げ渡す。受け取った大井は


大井「陸の藻屑に、なりなさいな!!」


ロクに狙いも定めず、榛名に向けトリガーを引きまくった

榛名「ッ!!」


砲弾に押し出され、榛名は再び後ろへと退がる


大井「ああもう!!めんどうくさい!!」


大井は砲を、今度は提督の方向へ向けた


(;T)「ちょwwwwwおまwwwww」


大井「ジッとしてなさいな!!狙いがズレたらアンタでも死ぬわよ!!」


返答を待たず、大井は引き金を引いた
砲弾は網を連続して食い千切り、提督が脱出できるほどの大きさの穴を作った


(;T)「無茶ッ…するなお前!!」

大井「ハァ!?お礼の一つくらい言いなさいよ!!」

(;T)「今すぐハグしてキスかましてえくらい感謝してるよ!!悪いが任せていいか!!」

大井「サッサと行って!!邪魔なの…よッ!!」


再び提督を捉えようとしていた鉤爪を撃ち返した

(;T)「恩に着るぜ!!ハイパーズ!!」ダッ!!

大井「フン!!」

北上「はいよー、頑張ってねー」


網から抜け出した提督は、脇目も振らず走り出した
残された艦娘達は、互いに睨み合う


榛名「折角、折角捕まえたのに……お前らの所為でええええええええええええ!!!!!!」

明石「邪魔ですねえ……邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔まままままmmmmmmm」

夕張「魚雷の無い重雷装艦が二人…フフッ、色々試してみても、いいかしら?」


怪物のように吼える榛名
言語も怪しくなった明石
怪しげな発明品を両手一杯に抱える夕張


大井「…やっぱりシカトしとけば良かったわ」

北上「いやー、そうもいかないでしょ。提督にはあのキモいアイテム持って行ってくれた恩があるし」

大井「それはそうですけど…」


圧倒的魚雷火力を誇る大井も、目の前の狂人と対峙してたじろぐ
頼りの93式酸素魚雷が無い上に、数でも劣る
単装砲を装備してはいるが、弾は無限では無い。その時まで耐え抜かれたら終わりだ

北上「ま、誰が相手だろうと」


北上は大井に近づき、肩を叩く
その表情はいつもの様に、自信に満ち溢れていた


北上「大井っちと組めば、最強だよね!!」

大井「北上さん…!!」


大井の体に力が漲る
いつだってそうだ。どんな難航海域でも、どんな深海棲艦でも、二人が組めば最強無敵
魚雷よりも強く激しい『信頼』こそが、二人の最大の武器


大井「ええ…誰も私達の前を、遮れないわ!!」

北上「それでこそ大井っち。それじゃ…」


北上「ギッタギッタにしてあげましょうかね!!」

(;T)「ハァッ!!ハァッ!!」


二度の襲撃により、かなりの時間を浪費した
最早一刻の猶予も無い。あきつ丸が、他の艦娘達が、榛名のように狂ってしまえば、全てが終わる


(;T)「ハァッ!!ハァッ!!」


提督は走る。鎮守府内を駆け巡る
まるでセリヌンティウスを救うために駈けるメロスのように
だが、その背に背負うものは彼よりも大きく、重い

共に謎を追い、絶望を振り払ってくれた相棒の為に
危機を察知し、助けてくれた仲間達の為に

提督は走った。その全てに応える為に

そして遂に、目的の『モノ』を




夕立「ぽい…」

時雨「フシュウルルルル…」




見つけ出した

(;T)「ハァー、ハァー…」

(;T)「やっと見つけたぞ…この、アホ共…」


夕立と、時雨
殺気を振りまく、最悪の刺客


(;T)「可笑しいと…走りながら思ってたよ…もしお前らが俺を探し回ってんなら、すぐにでも見つかる筈だった…」

(;T)「だが、見つけるのに凄まじく苦労したよ…お互い『追っている』んなら、かち合うのは早い。だろ?」


二人は答えない
口癖と、荒い息を吐くだけだ


(;T)「俺は最初、お前らが『俺達を探している』と思ったが、そりゃ逆だった。『逃げてた』んだ。俺から、あきつ丸から」

(;T)「だからロクに周辺の確認もせずに、大広間を出たんだ…ちょっと考えりゃわかることだったが…」


夕立「ぽいー…ぽーい…」

時雨「フシュウウウウウ…グウウウウウ…」


二人は獣のように牙をむき出し、提督を威嚇する
彼はそれを見て、軍服の上着を脱いだ


( T)「これ以上、援軍は望めない…来たとしても、お前らを相手するに限っては、頼ることが出来ない」

( T)「俺がなんとかするしかない。例え…いや、俺の懐刀だからこそ、俺自身が、なんとかするしかないんだ…」

( T)「さぁ行くぜ。俺の可愛い小悪魔共」



( T)「その『ブツ』を…」



夕立「ぽいッ!!!!!!!」バッ!!

時雨「シュッガアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」ダッ!!



(#T)「渡してもらおうかァァァアアアアアア!!!!!!!」

―――――
―――



あきつ丸「っ…」ブルブル


あきつ丸に注がれる妖力は、更にその影響を強める
服は中破された時のように破れ、素肌が露わになっている


壁「フハハハハ、壮観!!壮観よのお!!」

あきつ丸「この…下種がッ…!!」


堅く握り締めた掌
爪が食い込んだ傷口から血が流れ出る
だが、その痛みを上回る『衝動』。そして『欲求』


あきつ丸(これほどまでの…力とはッ…)


気を飛ばせば、終わる
恐らくは榛名のように、その行為を渇望するゾンビのようになってしまうのだろう


あきつ丸(嫌だ、嫌だ…!!)


気丈に振舞っていたあきつ丸も、その恐ろしさを改めて思い知る
瞳から涙が溢れ、床に水玉を作っていく


あきつ丸(提督殿…助けて…助けて欲しいのであります…)

壁「そろそろ待つのも飽いたのお…どら、ここで終わりにするか」


壁から、ハンガーフックから巨大な妖力のうねりを感じる
これを送り込まれれば、抵抗すら出来なくなるだろう


壁「主に見捨てられた絶望と怒りと悲しみと共に、恥辱に堕ちろォォォーッ!!!!」


あきつ丸(提督殿ッ!!)


最早これまでかと、きつく目を閉じた





「誰が、見捨てたって?」






あきつ丸「ッ!!」


渇望していた声
待ち望んだ救い


壁「きっ、貴様ァ!?」


あきつ丸の肩に、ふわりと上着が掛けられる
彼女は、涙で滲んだ瞳をゆっくりと上に向けた


「待たせたな、相棒」




( T)「I'm back」ドドッド!!!!!!!



.

あきつ丸「提督殿ォ…」グスッ

( T)「よく耐えた…よく、頑張ったな」

あきつ丸「提督殿、体が!!」


提督の体のあちこちには、歯型や爪痕が刻まれ
数え切れないほどの痣に覆われていた


( T)「ああ…心配すんな。ちょっと『犬』とじゃれ合っただけだ」

あきつ丸「犬!?あの二人と戦り合ったのでありますか!?」

( T)「思ってたより弱かったぜ。操られて無けりゃ、余裕で殺されてたけどな…さて」


あきつ丸は提督の手に持つ物に気付く
黒い鎖と、鉄輪。そして万力


あきつ丸「それは…」

( T)「ああ。これこそが、そこのクソッタレ攻略の鍵だ」

( T)「そうだろ!?妖怪!!」


壁「…」

( T)「この鎮守府の現状で最強のセキュリティにこのアイテムを持たせ、徘徊させるとは考えたな」

あきつ丸「それは一体、何なのでありますか!?」

( T)「ピンと来たんだよ。ハンガーフックの位置は俺の乳首と同じくらいの高さだった。そしてこの拷問器具」

( T)「恐らくこれは、壁から妖怪を引き摺り剥がす唯一の手段だ。鉄輪をハンガーフックに掛け、万力を挑戦者の乳首に力いっぱい挟む」

( T)「後は…わかるだろ?」

あきつ丸「て…提督殿…!!まさか!!」

( T)「そのまさかさ」


あきつ丸は、『狂っている』としか思えなかった
この唯一の手段に。そして、それを行おうとする提督に


( T)「俺が、奴と乳首相撲でケリを着ける」ドドッド!!!!!


あきつ丸「しょ、正気でありますか!!提督殿!!」

あきつ丸「奴は壁と完全に一体化してる!!そしてさっき言った『ダンプカーにも核爆発にも負けない』!!その言葉が本当なら!!」

あきつ丸「提督殿は、最悪なまでに不利な状況で、奴の土俵で戦わなくてはならない!!!!!」

( T)「『最悪』!『不利』!!『敵の土俵』!!!!!!」

( T)「だからこそ、燃えるんじゃねえか!!!!!」


自分の血で汚れたタンクトップを、筋肉の隆起で破る
鍛え上げられたマッスル上半身が露わになり、汗と血で輝きを放つ


( T)「これはもう『乳首相撲』じゃあねえ!!俺と!!!!奴の!!!!生きるか死ぬかの『乳首戦争』だ!!!!」


壁「…クッ」


壁「クカカカカカカカカカ!!!!!!気に入ったぞ!!認めよう!!貴様の推理は正しいと!!」

壁「だがワシは決して負けん!!貴様の乳首を引きちぎり引導を渡してくれるわ!!」


( T)「引きちぎれるのはてめえの乳首だアアアアアアアアアアアア!!!!!!」


二つの鉄輪を投げ、ハンガーフックに掛ける
そして万力を、自分の乳首に力いっぱい挟んだ


( T)「乳首戦争チェーンデスマッチ一本勝負、とでも名付けようか…」

壁「ほっ!!粋な名じゃのう!!」

( T)「あきつ丸」

あきつ丸「はっ、はい!!」

( T)「お前の信頼、確かと受け取った。次は俺が応える番だ」

( T)「見てろ。俺の戦いを」


提督vs壁の、乳首相撲
一見、ただの被虐性欲者の自慰行為にしか見えない
しかしその実は、鎮守府の存亡を掛けた、本気の『殺し合い』

提督の乳首が引きちぎれるのが先か
壁から妖怪が引き剥がされるのが先か


( T)「…行くぜ」

壁「いつでも」


今ここに、世界一馬鹿馬鹿しく、世界一熱い戦いが―――――


(#T)「オラァ!!」

壁「ぬぅん!!」


開始された!!!!!

ビンと音を立て、鎖が張り詰める
ギチギチになるまで力いっぱい挟んだ万力が、提督の乳首を僅かに引き伸ばした


(#T)「ぐああああああああああああ!!!!!いってええええええええええ!!!!」


対し、妖怪!!


壁「!?」


ハンガーフックの根が、僅かながら壁から抜き出た
妖怪の言葉に誇張は無い。ダンプカーが引っ張っても動かない筈だったが


壁(こやつ…!!)


妖怪を壁から引き剥がす正規の方法とは言え、真正面から乳首相撲を挑む度胸と、乳首の強度に舌を巻いた
これまで無謀にも挑んできた相手なら、既に両乳首が千切れ飛んでいただろう
妖怪は目の前の相手が、本当にヤバい脅威だと改めて認識した


壁「それ……でも」


所詮、初撃のみの勢い
持久戦に持ち込めば、間違いなく此方の有利となる
鉄筋コンクリートに加え、妖怪自身の人間離れした自力、妖力
ただの人間如きに不覚を取るのは万が一にもありえない


壁「それでも!!ワシの乳力は!!貴様を数倍するのだッ!!」

(#T)「赤沙の岩熊かてめえはアアアアアアアアアア!!!!!!」


提督自身も、妖怪の乳首強度を身を以って思い知る
筋力には人一倍どころではない自信があるが、乳首はその限りではない


(#T)(冗談抜きで…千切れそうだ!!!!!)


工廠で見た、擬似乳首が千切れる光景が頭に浮かぶ


(#T)「ちくしょおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!嫌なもん見せやがってえええええええええ!!!!!!」

壁「フハハ!!痛かろう苦しかろう!!辛いならギブアップしても良いのだぞ!!」

(#T)「舐めんじゃねええええええええええ!!!!!!!!」


漢の辞書に降参の二文字は無い。『勝つ』か『死ぬ』かだ
例え乳首が千切れようとも、引くのを絶対にやめない


(#T)「ルオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」


壁「ぬうッ!!」

(;T)「ぐあッ!?」


乳首に激痛が走る
引っ張る力が全て乳首の負荷となる
第一、このような事態を想定して乳首を鍛えるものはいない
プツ、プツと皮膚が徐々に裂け始める


(;T)「うわああああああああああああああ!!!!!!」

壁「フーーーーーーハハハハハハ!!!!貴様と乳首の悲鳴が鎖を通して伝わってくるぞーーーーーーー!!!!」

壁「この振動、音!!心地良い感触よ!!!!」

(;T)(クッ…マジでディオに思えてくる…)


乳首は更に伸び、うっすらと血が流れ出す
提督はとある映画を思い出していた


(;T)(アドレナリンハイボルテージで、乳首でケジメ着けた下っ端がいたが…こんな気持ちだったのか!!)

(#T)「肝心の内容は…クソだったがなあああああああああああああああ!!!!!!」

壁「フハハハハ!!乳首が痛すぎて意識が朦朧とし始めたようじゃのう!!」

あきつ丸「提督殿……」


※ジェイソン・ステイサム主演作『アドレナリン』は良作です。2であるハイボルテージは劣化版です。ショットガンをケツに挿入るシーンが一番の見所です
そしてジェイソン・ステイサムがボスとして出演している『ワイルド・スピード スカイミッション』は全国の各劇場で公開中です。観ましょう
なんとあのタイが生んだ最強ムエタイ戦士『トニー・ジャー』やエクスペンダブルズ3にてスクリーンデビューを果たした『ロンダ・ラウジー』など
豪華出演陣も勢ぞろい(敵として)。こりゃ女房を質に入れてでも観に行かなければ!!!!!!!

その戦いを間近で見ていたあきつ丸は迷っていた


あきつ丸「提督殿…もう…」


乳首の痛みに苦しむ提督を、止めるべきかどうか
解決策は一つではない筈だ。最悪、この鎮守府を放棄してしまえばいい


あきつ丸「…」


だが、ここで『タオルを投げて』しまえば、提督の名に泥を塗ることになる
『壁に乳首相撲を挑み、負けた男』と


あきつ丸「だが、しかし…」


それでも乳首が千切れ飛ぶよりは、遥かにマシなのではないか
あきつ丸は視線を伏せ、決意を固めた

『もう、やめてくれ』

そう叫ぼうと、再び提督の姿を目にした


(#T)「オラアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」


あきつ丸「提督殿っ…」





あきつ丸「頑張れ!!」




.

乳首が傷つこうとも、決して退かぬ戦う漢の姿
あきつ丸の決意を瞬時に、新たなモノへと塗り替えるには充分すぎる光景だった


(#T)「おお!!」


その声援は力となり、筋肉と乳首に行き渡る
痛みで飛びそうになった意識が、再び冴え渡った


(#T)(力押しじゃあ勝ち目は無い!!『策』だ!!)


提督は自らの記憶に深く潜る
これまでの戦いや経験から、この乳首戦争を勝ち取る策を探った


(#T)(力…張力……そうか!!)

(#T)「あげちゃっても…いいさ!!」


壁「ぬ!?」


(#T)「逆に考えるんだ!!あげちゃってもいいさと考えるんだ!!」

提督の右胸筋がピクリと弾ける
続いて、左胸筋が。そしてまた右胸筋と、交互に


壁「何の真似じゃあ!!」


(#T)「『コンプレッサー』だ!!」


『コンプレッサー』とは、杭を上下に振動させてコンクリートを砕く、所謂『はつり作業』に用いられる解体機具だ
コンクリートに連続して力を加えることにより、効率的に粉砕することが出来る


(#T)「力の加え方を、『線』から『点』に変えるんだ!!」


圧縮機のように長く力を加えるのでは無く、コンプレッサーのように短く連続してぶつけていく
これが提督が見出した勝利への策


(#T)「マッスル~~~~~~…」

(#T)「ニップル・バイブレーション!!!!!!」


大胸筋が島風よりも早く弾ける
最早痙攣と呼んでも違和感が無いほど、早く、早く


壁「何を馬鹿な…なっ!?」


ハンガーフックに異変が起き始める
じりじりと、コンクリートに埋まった根元が徐々にせり出していくのだ

壁「何ィ~~~~~~~~!?」

(#T)「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


しかし、提督の乳首にもこれまで異常に負荷が掛かる
夥しい量の汗と血が飛び散る


壁「小癪なァァァァアアアアアアアアア!!!!!」

(#T)「ルオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


この猛攻が最後の抵抗だと、妖怪も必死で耐える
かつて無い危機、そして攻撃に、これまで見せていた余裕は既に消えうせていた


壁「負けん!!ワシは…ワシは大妖怪じゃあああああああああ!!!!!」

(#T)「俺はッ!!!!」



(#T)「天下の大提督だああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」ドドッド!!!!!!



振動から、一気に力を入れ引く


壁「ッ!?」


ハンガーフックの根元が、一気に半分以上飛び出した

(#T)「もういっぱあああああああああああああああああつ!!!!!!!」


壁「やめッ…!!」


ハンガーラックが、その先に繋がった妖怪の姿が
遂に外気へと晒された


妖怪「ぬうううううううううううう!!!!????」


あきつ丸「やっ…やった!!」


提督は反動で後ろに倒れこみ
妖怪はジムの中央にあるリングへと投げ出された


妖怪「ぬううう!!!」


妖怪は、乳首にハンガーラックを着けた全裸の成人男性の姿をしていた
その顔には、人間に負けた屈辱と驚愕が張り付いている


妖怪「まだだ…もう一度、もう一度壁に潜り込みさえ、すれば…!!」


榛名のストンピングによる内臓のダメージ
夕立と時雨との死闘による骨折、筋肉の断裂
そして乳首の痛みと、ニップル・バイブレーションによる大幅な体力の消耗


(;T)「クソッ…体が…!!」


妖怪を仕留める千載一遇のチャンスだったが、提督はダウン状態に陥っていた

妖怪「フハ…ワシはまだ、負けておらん…負けておらんぞ!!」


妖怪は震えつつも、膝を着き立ち上がろうとする


妖怪「ワシの、ワシの勝ち…」


だが、妖怪は忘れていた
この場に『もう一人』、飛び切りの敵意を持つ者がいる事を


あきつ丸「逃がさないであります!!」

妖怪「ッ!?」


リングに上がるは、冴え渡る脚技の達人
妖気から解放され、四肢に力を漲らす『あきつ丸』


あきつ丸「『烈風脚』!!!!!」

妖怪「グボラァ!!」メギャアッ!!


妖怪の片膝を踏み台にし、顔面に飛び膝蹴り
武藤敬司が編み出したプロレス技『シャイニング・ウィザード』が炸裂した


あきつ丸「提督殿ォ!!トドメをッ!!」

( T)「でかしたぞ…あきつ丸ッ!!」


あきつ丸が稼いだ、値千金の僅かな時
提督をダウン状態から回復させるには、充分すぎる時間だった


(#T)「俺の艦隊を辱め、相棒を泣かせた罪をッ!!その身に刻め!!クソ野郎オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」


妖怪「ヒッ、ヒイイイイイイイイイイイ!!!!!」


リングに飛び上がり、妖怪に向って突進


(#T)「ハリケーンミキサーッ!!!!!」

妖怪「グボラァ!!」


ハリケーンミキサーを受けた妖怪は錐揉み回転をしながら、高く舞い上がり


妖怪「ギアッ!?」


天井に激突、そしてリング上へと落下していく


(#T)「まだだあああああああああああああ!!!!!」


提督はリングロープを踏み台に、高く跳躍
逆さまに落下していく妖怪の首筋に、ギロチンのように脚を掛ける

(#T)「地獄の九所封じラストワン!!」


その体勢を維持したまま、落下
キン肉マン史上最悪の悪役として名を馳せた、『悪魔将軍』のフェイバリット


(#T)「地獄の断頭台ーーーーーーーーーーー!!!!!!」

妖怪「ぐぼらああああああああああああああああ!!!!!」ドグシャアア!!!!


完璧に妖怪の首を捕らえ、リング上に着地
妖怪は二、三度痙攣を繰り返した後


妖怪「」


霞となって、消えていった


( T)「…」


あきつ丸「提督殿!!やったであります!!」


( T)「…」


あきつ丸「提督殿…?」


( T)「…」


あきつ丸「き…気絶、いや、息をしていないのであります!!だ、誰かーーーーーーー!!!!」

―――――
―――



青葉「えーと…この青葉でもちょーっと理解し難いのですが…」

青葉「司令官は、壁と乳首相撲をして、この状態になったと?」


( T)「死にたい」


あきつ丸「壁ではなく妖怪であります!!それに、乳首相撲なんて生ぬるいモノでは無い!!あれは正しく、乳首戦争であります!!」


医務室のベッドの上から、旅行から帰ってきた青葉と
俺が意識を取り戻すまで付きっ切りで看病してくれたらしいあきつ丸の会話をすげえネガティブな気分で聞いていた
いやね、あきつの奴はすげー誇らしげに武勇伝っぽく語ってくれてるけど、普通壁と乳首相撲やって死に掛けたなんて聞いたら、死にたくなるからね?


あきつ丸「あの時の提督殿は、陸軍兵士など比べ物にならないほどの男気に溢れていたであります…このあきつ丸、惚れ直したでありますよ~!!」


なんか顔に両手を添えてくねくねしてるけど、壁と乳首相撲やって惚れ直されても困る
あの時の俺もどうかしてたと思う。乳首戦争って何だよ(哲学)

青葉「うーん、この鎮守府のほとんどの人が何も覚えてないらしいんですが、あの方達が言う限り、嘘を言っているわけでは無さそうですねぇ」


妖気に中てられていた連中は、その後憑き物が落ちたかのように元に戻った
執務室でおっぱい丸出しにした加賀と瑞鶴も、俺の乳首を引きちぎろうとした榛名も
完全に自我が飛んでた夕立と時雨も、嘘みたいに『普通』に戻っている
ただ、俺とあきつ丸を助け、援護してくれた龍驤やハイパーズ、鳳翔さんなんかは今回の事件をしっかり覚えていた
正直な所、忘れて欲しいのだが受けた恩を返さないわけにはいかない。それぞれに特別休暇とボーナスを与えた


青葉「ま、でも乳首相撲の被害者が司令官一人で良かったじゃないですか!!これが艦娘だったら轟沈者が多数出ますって!!」

( T)「死にたい」

青葉「またまた~。司令官が乳首相撲如きで絶望するわけないじゃないですか~」


こいつは俺を買いかぶりすぎだと思う

( T)「乳首痛い…死にたい…」


乳首のダメージは特に深刻だ。絆創膏を貼り付けてなければ服が擦れただけで悲鳴を上げるくらい痛い
体のダメージと心のダメージ。あの妖怪はしっかりと俺にだけは爪痕を残していきやがった
今になって、もっとボコッてりゃ良かったと後悔してる


あきつ丸「提督殿!!自分が薬を塗りこんで差し上げるのであります!!ささ、乳首を出すのであります!!」

青葉「きゃー!!司令官が部下に可笑しなプレイを強要させてます~!!」パシャパシャ


二人のアホな相棒に、成すがままにされながら、俺は思った


( T)「もう…もう…」





( T)「もう乳首相撲はコリゴリだーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」




俺の休暇は全て治療に消えたのは、言うまでも無い話であった


おしまい

あとがき


今まで色んなお話を書いてきましたが、これほど乳首と言うワードを使った作品は初めてです
おっぱいとか乳首とか…エッチですね!!!!!!!!!ドスケベカーニバル開幕!!!!!!

じゃあ眠いので寝ます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月23日 (木) 23:17:27   ID: 3o5LqP_L

この人のSS面白いだろ

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