男「ゲームが現実になるゲーム機?」天使「そうでーす♪」(437)


男「なにそれ。 冗談?」

天使「冗談じゃありませーん! ホラホラ、私の背中見てみ?」

男「……背中?」

天使「翼あるでしょ?」パタパタ

男「……コスプレ?」

天使「もぅ! なら、触ってみんさい! ほれほれ!」グイグイ

男「うわ……あ、暖かい……」

天使「でしょ? 暖かいから生きてる、冷たかったら死んでる、おーけー?」

男「お、おーけー……」

天使「んで、私天使。 信じた?」

男「し、信じた……」


天使「よっしゃ! 第一目標コンプリートッ! でねでね、本題に戻るんさー」

男「本題って……いや、その前にその天使様がなんでオレの前に居るんだよ!」

天使「天使様だって……やぁん、照れちゃう!」モジモジ

男「話聞けよ! 何でオレなんかにそんな超常現象起きるんだよ!」

天使「だーかーらー! 本題に戻るって言ったじゃーん? 黙って話聞いてみ?」

男「……わかった。 で、本題ってさっきのゲームが現実になるゲーム機?」

天使「そうでーす♪」

男「それをオレにくれるってのか?」

天使「ハッ! 何言ってんの、コイツ。 そんなレア物くれてやる訳ないじゃん」ヤレヤレ

男「てめぇ、帰れよ!」

天使「ま、待って! 話を、話を聞いて下さい! 窓から追い出そうとしないで!」


男「……つまり、話を要約すると、だ」

男「お前が内緒で持ち出したそのゲーム機を取り戻すのに協力しろ、と」

天使「ざっつらいっ! いやー、まさか下界に落としちゃうとはねー……」ポリポリ

男「だいたい、なんでそんな危険なもん持ち出したんだよ?」

天使「いやぁ、暇で暇で。 ほら、天界で使う分にはただのゲーム機だし?」

男「疑問形にされても知らねぇよ……それから、なんでオレな訳?」

男「だいたい、オレ今そんな事に関わってる場合じゃねえんだよ。 別の事で頭が……」

天使「……彼女に振られたんだろ?」

男「グハッ!」

天使「しかも、15年来の幼馴染。 この間付き合い始めたばかりの熱々カップル」

天使「よーし、もっと傷を抉ってやろう! ほれ、回想シーンスタートッ!」


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幼「……別れてくれないかな?」

男「……は?」

幼「もう、これ以上男とは付き合えない……」

男「ハ、ハハ。 お前、冗談下手だな……笑えないぞ、それ」

幼「……冗談じゃないの。 私、本気だから……」

男「う、嘘だろ? なぁ、なんか怒ってるのか? オレが悪かったなら謝るから……」

幼「違うの。 男は何も悪くないの。 でも……」

男「……でも?」

幼「……他に、好きな人が出来たの」

男「っ! な、なんだよそれ! 浮気じゃねぇか! おい、誰だそいつ! 言えよ!」


幼「……本当にゴメン。 でも、どうしても彼が好きって気持ちが抑えられないの……」

幼「どうしてだろうね? 今じゃ、彼の事しか考えられない……」

男「ふ、ふざけんな! 誰なんだよ、その彼って奴は!」

幼「……言えない。 とにかく、そういう訳だから。 別れてくれる?」

幼「……私の事、いくらでも悪く言っていいから……本当にゴメンね?」タッタッタッタ

男「おい、待てよ! 納得いかねぇぞ、待ちやがれ幼!」

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天使「っと、1時間前の映像をお送りしましたー♪」

男「……」ポロポロ

天使「ハッ! リア充なんか滅びればいいんだ! やーい、ざまぁwwww」

男「……殺す、てめえは絶対殺す」

天使「え? なんで私が知ってるかって? 私、恋のキューピッドだもん、テヘ」キャルン

男「聞いてねぇよ! てか、キューピッドならオレらの恋を成就させろよ!」

天使「だーかーらー、その為に来たんだってヴァ」

男「……は?」


天使「正確に言えばね。 さっきのゲーム機の影響なの、それ」

男「それって……幼と別れた事、か……?」

天使「私が落としたゲームね、誰かが使ってるみたい。 で影響を受けてる、と」

天使「ほら、私これでも天使だし? 捻じ曲げられた運命って見えちゃうんだよねー?」

男「それが、幼に見えたって事か……?」

天使「そそ、他にも何人か居たけど。 その幼って子がヒロイン役っぽかったからさー」

天使「なので、貴方に協力を仰ごうと思って来ちゃった、おっけー、ウフフ!」

男「ローラ風なのがうぜぇ。 てか、全部てめぇの不始末が原因じゃねぇか!」

天使「あっ、バレた?」


男「なんでてめぇの尻拭いしなきゃいけねぇんだよ! ふざけんな!」

天使「ふむ、それではキミ、手伝うつもりはないとおっしゃる……?」

男「当たり前だろ! こっちは幼を取り戻さないといけないんだっての!」

天使「わかってないなぁ……それ、無理なんだって」

男「……どういう事だ?」

天使「んー、ゲームが現実になるって言ったでしょ?」

天使「つまり、人間はそのゲームに逆らえないの。 だから、キミ振られたんじゃん?」

男「……つまり、幼はゲームに支配されて、ゲームの通りにオレを振った……?」

天使「そ、多分ギャルゲーか何かじゃない? 持ち主が主人公で、幼って子がヒロイン」

天使「ギャルゲーのヒロインに彼氏いちゃおかしいっしょ? いや、たまにあるけど」


男「じゃ、じゃぁ……幼は、その主人公って奴に惚れてしまうってことかよ!」

天使「しまう、っていうかー、もう惚れちゃってるっていうかー?」

男「てめぇ、早くなんとかしろよ!」

天使「自分で出来るならしてるってば。 でもねー、天使は人間に不干渉でねー」

天使「人間に対して、直接干渉することは許されないわけー。 首になっちゃうし」

男「……それで、オレにそのゲーム機を取り戻せ、と?」

天使「いかにもー。 いいじゃん、ゲーム機取り戻せば幼って子も取り戻せるし」

天使「それに、放っておいたらこのまま主人公役の人に取られちゃうよ?」

男「……選択肢はないわけだな」

天使「ないね! 完全に、全く、明らかにない!」エッヘン


天使「ちなみにー、直接幼って子取り戻そうとしても、多分失敗するからね?」

男「なんでだ? またこっちに惚れなおさせれば……」

天使「彼女は絶対にキミに惚れない。 キミはゲームの進行を妨げる行動は取れない」

天使「ゲームが現実を支配してるんだもん、現実はゲームに干渉出来ないってことさ!」

男「マジかよ……」

天使「マジマジ! 例えば、今からその子に電話かけて告白してみそ?」

男「……いいだろう、どうせこれ以上悪くなることはないだろうし」prrrr


 『……もしもし。 何の用? さっきの話ならもう……』

男「あの、そのな? オレ、やっぱりお前……ぐ!? が……あぁ……」ドクン

 『……何? ……用事ないなら切るから……』

男「うぁ……あ……」パクパク

 『……さよなら。 ……もう、電話はして来ないで……』プッ

男「あ……ガハッ! グ……なんだよ、今の……」

天使「わかったっしょ? ゲームを破綻させかねない行動は出来ないのだ!」

男「クソ……最悪だ。 ……理解した。 とんでもない事してくれたな、お前」

天使「やだなぁ、そんなに褒めないでよぅ!」テレテレ

男「褒めてねぇよ!」

天使「それじゃ、お互いの利害が一致した所で、これから宜しくね!」

男「ふざけんな! オレに何の恨みがあるんだ、くそぉぉぉぉぉ!」


男「……で。 これからどうすりゃいいんだ?」

天使「まずは、誰がゲーム機を持っているかを探さないとねー?」

男「それは分からないのか? こう、魔眼みたいなので」

天使「へへ、天使アイは視力2.0で壁のポスターも滲んで見えますぜ?」

男「それ、視力2.0ないだろ……つまり、役立たずってことだな、その節穴は」

天使「直接見れば分かるけどねー、漂ってるオーラというか、カンで」


天使「ま、どうせすぐ分かるんだし? そっちは問題ないさー!」

男「なんですぐ分かるんだよ?」

天使「だって、その幼ちゃんがどうせ付き合おうとするでしょ、その主人公役と?」

男「付き合ったら手遅れじゃねぇか!」バン!

天使「だいじょーぶい! ほら、考えてみそ? 今反映されてるゲームが何か」

男「多分ギャルゲーなんだろ?」

天使「おうよ! ただ、多分持ち主も完全には使いこなせてないんだろうねー?」

男「どういう意味だ?」


天使「ギャルゲーって、どんなゲームだったっけ?」ニヤニヤ

男「そりゃ、女の子を口説いて、恋人同士になる過程を楽しむ……あ」

天使「わかっちった? そ、普通のギャルゲーなら、恋人になるのが最終目的」

天使「つまり、好意を持ち始めてから攻略完了までそれなりの猶予があるのだー!」

男「で、でもよ、幼はもう主人公役に好意持ってるんだろ?」

男「主人公役が告白でもしたら、即付き合うことになるじゃねぇかよ!」

天使「勘違いしないよーに! 主人公役も、ゲームの支配からは逃げられない!」

天使「過程をすっ飛ばそうとしても、さっきのキミみたいに行動を阻害されちゃうぞ?」

男「なるほどな……つまり相手が攻略するまでにこっちがゲームを取り戻せば勝ち、か」

天使「多分ねー?」


男「多分って……おい、なんでそんなあやふやなんだよ?」

天使「だって、そのゲーム機封印されてたから詳しい事分かんないもん!」エヘン!

男「だから威張るな! だいたい、それならさっきまでの話はなんだったんだよ!」

天使「へ? あぁ、説明書の受け売りだけど?」

男「……」

天使「あ、一応ネットで落とした説明書の写し、見る?」

男「そんな大事なもん、一番最初に見せろボケ!」

天使「それじゃ、大事なとこ、見せてあげる……き、キミにだけなんだからね?」ゴソゴソ

男「……お前、それどこから出した?」

天使「私のパンツの中で暖めておきましたゆえ」スッ

男「帰れ!」


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セガタサーン取り扱い説明書
p666 地上界で使用する際には

・互換性を気にせず、ゲームならなんでもプレイできます。
 (テレビは不要です。 自動的に内容を認識し、現実に反映します)

・ゲームの内容が現実に反映されます。
 (人間関係や、劇中人物の運命のみです。 財産など物理的な物は反映されません)
 ※現実とかけ離れた世界観であれば、人間関係のみ反映されます。

・一度ゲームを始めると、始めた本人以外に止めることは出来ません。
 ※必ず本人がいつでも中止できる環境でご利用下さい。

・ゲームを止めると、歪が発生しないようゆっくりと自然に影響が薄れていきます。

・ゲームクリアを迎えると、劇中人物のその後が描かれている場合はそれに従います。
 ※描かれていない場合は自然に影響が薄れていきます。

・ゲームの内容が反映される人間は、ゲームに即して記憶と意識が改変されます。
 (ゲームを破綻させないよう役割に反する行動は制限されてしまいます。)
 ※ゲームを始めた本人と天使に接触した人間は記憶と意識を改変されません。
 (行動は通常と同様に制限されてしまいます)

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男「……無茶苦茶だな。 なんでこんなもんがあるんだよ……」

天使「いやぁ、昔失敗した3d○ってゲームの関係者が天界来てから病んじゃってねー」

 『生まれ変わったら、このゲーム機でリア充になるんだ!』キリッ

天使「ってなわけですよ。 まぁ、こんなの作った罪で地獄をバカンス中だけど?」


男「……とにかく、だ。 この、最後の項目なんだけどな?」

天使「ひょ? ゲームを始めた本人~ってとこかな? かな?」

男「あぁ。 『天使に接触した人間は記憶と意識を改変されません』ってあるけどさ」

男「これ、お前が幼に接触すれば、元に戻って一発解決じゃね?」

天使「っ! 貴様、天才か!」

男「いや、そんな大した事では……」テレテレ






天使「……とでも言うと思った? 馬鹿なの? 死ぬの?」ヘラヘラ

男「……てめぇ……」ピクピク


天使「その次の行読んでみ?」

男「『行動は通常と同様に制限されてしまいます』……」

天使「声が小さいっ! もっと大きな声で、腹の底から! さんはいっ!」

男「『行動は通常と同様に制限されてしまいます』っ!!!!」

天使「つまり、記憶と意識が戻っても支配されたままってこと。 今のキミみたいに」

男「さっきみたいに、動けなくなる……?」

天使「さらに、キミへの思いを思い出したまま、主人公役と付き合うことになるねー?」

天使「なに? 嫌なのに身体は自由にならず、好きでもない男とキスとかさせるって?」

天使「うっわー、引くわー、めっちゃ引くわー! この外道! いわば外道オブ外道!」

男「……なんだよ! ちょっと勘違いしただけじゃねぇかよ!」

天使「とにかく、幼ちゃんを苦しめたくないならその手は愚策だねー」


男「とすると、やれる事は主人公役を見つけて……」

天使「ゲーム機をゲームの邪魔しないよう気をつけながら取り戻す、そしてキミは死ぬ」

男「なんで死ぬんだよ!」

天使「うっわ、つまんねーツッコミ! 5年程関西で勉強してこいよなー」

男「クソ、天使ってのはこんな人格破綻した奴なのか……イメージと違いすぎだ……」

天使「失礼な! 他の天使はみんなイメージ通り真面目だっての! 馬鹿にすんな!」

男「お前が馬鹿なんじゃねーか!」


天使「ところでキミ、ご家族は?」

男「二人とも死んだよ。 今はおじさんに仕送りしてもらいながら1人暮らし」

天使「そっか……ご愁傷さまだね……」

男「……まぁ、昔の話だから。 気にするなよ?」

天使「気にするわけねーじゃん! 私天使だよ? むしろもっと死んで天界来い、みたいな?」

男「……お前に殊勝さを期待したオレが馬鹿だった」


天使「ところで、晩御飯はまだでしょうか? 私、下界のご飯が楽しみで……」

男「おま、飯までたかるつもりかよ!」

天使「勘違いしないで貰おう! ご飯だけじゃなくて寝床もたかるつもりだ!」ドヤァ

男「帰れよ! さっさと天界に帰ってくれ!」

天使「だが断る」キリッ

男「うぜぇ……さっさとゲーム機取り戻さないとこっちの精神が持たねぇ……」


天使「まーだー? はーやーくー!」チンチン

男「うるせぇ! 大人しく待ってやがれ!」

天使「しょうがないなぁ、パンでも食べて待ってるから早くねー?」モグモグ

男「まて、そのパンはどこから出した?」

天使「パンだけにパンt」

男「言わせねーよ!」


男「……ほれ。 さっさと食らってさっさと寝ろ」

天使「ほほぅ、なかなか旨そうではないか……久しぶりの馳走、喜んで頂こう」

男「ただの野菜炒めだぞ? お前、普段何食ってんだよ……」

天使「え? フォアグラとか……」

男「ふざけんな! てめぇ、オレだって食ってみてぇよそれ!」

天使「いやぁ、天界って皆ゴロゴロ食っちゃ寝で、鳥がフォアグラになるんだよねー」

男「クソ、このブルジョアが……」


天使「では頂きます! ガツガツムシャムシャ……」

男「擬音を口に出すな……で、ご感想は?」

天使「旨い! 女将をよべぃ!」

男「そんなのいねーし。 てか、天使も普通に飯食うんだな……」

天使「いや、別に食べなくても生きていけるけど? ほら、これは嗜好品?」

男「じゃぁ食うなよ! こっちは生活費ギリギリなんだぞ!」

天使「ちなみに、排泄するかどうかはナイショ。 アイドルみたいなものよん」キャピ

男「クソ……飯食ってるときに下品な奴だな、お前……」

天使「プ……フフ、と、トイレの話してる時にクソだって……ギャハハハハ」バンバンッ!

男「うるせぇ! 黙って食いやがれ!」


天使「いやー、満腹満腹。 まぁ、そもそも空腹にならないけど」

男「飯食った気がしねぇ……おい、オレ風呂入ってくるから、部屋弄るなよ?」

天使「その代わりオレの息子を弄ってくれ、とか! キャー、キャー!」

男「……ようやく分かった。 コイツの答えは期待しちゃいけないんだ……」

天使「じゃ、案内して下さい」

男「……どこへ?」

天使「やだなぁ、今の話の流れでわからないなんて……ホントにキミはバカだなぁ」

男「なぁ、オレがバカなのか? 本当の本当にそうなのか?」


天使「下らないことで頭悩ませてないで、ほらお風呂場はこっちだよ!」グイグイ

男「知ってるんじゃねぇかよ! どいうかなんで知ってるんだよ!」

天使「いや、話しかける前にお宅拝見してたから。 ほら、こうやって……』スゥ…

男「おわっ! き、消えた?」

 『元々天使って実体ないからねー、見えるように実体化してただけだよ?』

男「頭の中に直接声が聞こえてくる……なんか気持ち悪ぃ」

 『以心伝心って奴? そっちも喋らなくても伝わるから、エロい事を考えるといい!』

男『断る。 というか、面倒だから元に戻れ……』

天使『正直、実体化すると疲れるんだよねぇ……」スゥ…


天使「まぁ、実体化しないとお風呂入れないもんな! よし、行くぜ!」スポポーン!

男「て、てめぇいきなり脱ぐな! しかもオレ男だぞ!」

天使「私天使だぞ!」

男「聞いてねぇよ! 恥じらいとか持てよ!」

天使「フッ……なぁ、男よ。 キミは蟻の前で服を脱いで恥ずかしいと思うかね?」

男「てめぇ……人を蟻ん子扱いかよ……」

天使「私は恥ずかしいぞ!」フンス!

男「恥ずかしいならやるなよ!」


天使「まぁ、ほら。 私両性具有だから、男みたいなもんだし?」

男「両性具有?」

天使「フタナリって言えばわかる? ほら、ぞうさんついてるさー」プラプラ

男「……ホントだ。 なんだ、男だったのか」

天使「まぁ、ぞうさんをめくるとおまんこもあるんですが」ペローン

男「ブッ! か、隠せ!」

天使「ゃん! 見ちゃだめぇっ!」ササッ

男「そっちじゃねぇ、なんで息子の方隠すんだよ!」

天使「ちなみに、フタナリだからって『らめぇぇぇぇ! おちんぽミルクでちゃうぅぅぅぅ!』とか言いませんので」

男「言ってるじゃねぇか!」

天使「……ふーん? なるほどなるほど……へぇ、はーん?」

男「み、見るなよ!」

天使「何を? もしかして、私の膣穴を見ておっ起ててしまったその貧相なモノを?」

男「も、もういい! 勝手に1人で入ってろ! グスッ……」タタタタ

天使「あーあ、泣いちゃった。 からかいすぎたかな? 可愛いな、もぅ……」クスクス


天使「おーい、男くーん? あーそーびーまーしょー!」

男「……」プイッ

天使「うふーん? ほーら、お姉さんの身体、食べてみたくなぁい?」チラッ

男「……」

天使「……ごめんよぅ! ちょっとやりすぎた! 反省してるから無視しないで!」

男「……本当に反省してるのか?」

天使「ホント! 本気と書いてマジって読むくらい! 何だったら身体でお詫びする!」

男「いらねぇ……初めては幼とって決めてる」

天使「まぁ、その幼ちゃんは今頃主人公役の男と一晩を共に……ごめんうそ泣かないで」


男「とにかく、そのテンションを少し下げてくれ。 この調子だと犯人探し所じゃない」

天使「……ごめんなさい」ボソッ

男「いきなり雰囲気変わったな、おい」

天使「……ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

天使「生きててごめんなさい天使でごめんなさいナイスバディでごめんなさい……」

男「待て、関係ないの入ってたぞコラ」

天使「そっか、生きてるからダメなんだ、死ねばいいんだそうだ死のうすぐ死のう!」

天使「えへへ、手首切れば死ねるかな? ダメなら美味しいもの沢山食って老衰で……」

男「なんで後半大往生狙いなんだよ! ……というか、お前わざとだろ、わざとだな?」

天使「分かった? 最近流行りのヤンデレ風味にしてみましたー!」


男「ハァ……もういい。 頭痛くなってきたから寝る」

天使「ん。 さ、おいでボウヤ……」ポンポン

男「……いつの間にオレのベッドに潜り込んだ? というか、お前は床だ」

天使「ひっどーい! 女の子に、床で寝ろって言うの!?」

男「さっきぞうさん見せ付けてきた癖に何を言う」

天使「頼むよー、一度でいいからふかふかのベッドで寝てみたいんだよぅ!」

男「……あー、わかったわかった。 オレが床で寝るから……」

天使「よっしゃ! それじゃ、おやすみー!」ポフッ

男「あぁ……おやすみ……」

 『……お兄ちゃん、襲わないでね……?』ウルウル

男「いいから、もう寝てくれ……って、ちょっと待て」

 『ふぇ? どうかした?』

男「お前、姿消してすり抜けてるじゃねぇか! ベッドの意味ないじゃん、それ!」

 『だって、実体化って疲れるじゃん?』

男「……もういい。 こっちの方が疲れる……」


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 『あの、ね……? 今日は、男に大事な話があるんだ……』

 『その……あぁん、もぅ! は、恥ずかしくって顔見れない……』

 『……え? 男、今なんて……』

 『っ! バカ! 私から言おうって思ってたのに……!』

 『……うん。 私も……私も、ずっと……男の事……』

 『嬉しい……! 大好きだよ……男……!』

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~翌日~


男「……ん……」チュン チュン

天使「んふ、アナタ……朝ですよ? 起きて下さい……」ムチュー

男「……朝っぱらから何やってやがる」グイ

天使「新婚さんの朝の情事ごっこ? ここから我慢できなくなったキミが私を……」

男「起きたばかりなのに果てしなくうぜぇ……」


天使「起こしてもらった癖に感謝の一言もないのかー!」

男「はいはい、ありがとうございます。 で、学校の準備あるから大人しくしてろ」

天使「うぃ。 あ、私も学校着いてくからねー?」

男「勘弁してくれ! せめて、学校でくらい静かな日常を過ごさせてくれ!」

天使「幼ちゃんが寝取られそうな日常を?」

男「ぐ……」

天使「私がいないと、ゲーム機の影響下にある人わかんないよー?」

男「……くそ、やむを得ないか……でも、絶対実体化するなよ?」

天使「服装変えられるから、学校の制服に着替えてもいいけど?」

男「念のために聞くけど、その羽は隠せるのか?」

天使「うん、無理!」ニコッ

男「お願いします頼むから姿消して下さいお願いします」


男「さて、行くか」ガチャ

 『うわ、独り言いってら……キモッ!』

男「うるせぇよ! てめぇに言ったんだっつーの!」

 『ゃん! 怒らないでよー、ほら静かにしてるからさー!』

男「だから、何も喋んな! いい加減にしろ!」

 「……っ!」ビクッ!

男「あ……」

 『およよ? これは……朝からイベント発生ですなぁ!』


幼「……ご、ごめん。 そうだよね、私、男に挨拶する資格もないよね……」

男「ま、待てそうじゃ……ぐっ!?」ドクン!

幼「……昨日の電話はごめん。 ちょっと冷たかったって謝ろうと思って……」

男「う……あ……」パクパク

幼「そうだよね。 他の人好きになって振ったのに前のように幼馴染でいようとか……」

幼「都合の良すぎる事考えてた。 男の気持ちも考えないで、ごめんね?」

男「ぁ……」パクパク

幼「……何も言ってくれないんだね。 当たり前か……」

幼「……本当にゴメン。 もう、話しかけないようにするから……ごめんね!」タタタタッ

男「ぅぁ……ガハッ! ま、待て! クソッ、何なんだよ、これはっ!」


 『早速行動制限に引っかかっちゃったみたいだねー? なかなか厳しいね、これは』

男「もしかして、アレか? 幼に話しかけることすら制限されるって事か……?」

 『そうかもねー? 会話が成立しただけでゲームが破綻しかねないって事かも?』

 『いいねー、それ程までにお互い想い合ってたって事じゃん! ヒューヒュー!』

男「ちゃかすな! こっちはそれ所じゃねぇんだよ……クソ、マジで心が痛い……」

 『あー、分かる分かる。 キミの気持ちダイレクトにこっち伝わってくるからさー』

男「……黙れ。 二度と言わねぇからな」

 『へいへい。 あ、キミも黙った方がいいよ? ほら、さっきから独り言……』

男「……あ」


友「よーっす!」

男「……友か。 おはよう……」

友「……どうした、なんか元気ないな。 またゲームで徹夜か? 良く出来るよな……」

男「そんなんじゃねぇよ……」

オタ「フヒヒ、面白いゲーム貸しましょうか? 何日も寝る暇を惜しむような!」

男友「寝ないのは勝手だけど、風呂くらい入れよな……」

友「お前ら、いきなり会話に割り込んでくるんじゃねぇよ……」

女友「おはよー! あれ? めずらしいじゃん、幼と一緒じゃないの?」

友「そういや、そうだな。 どうした、ケンカでもしたか?」

男「……ちょっとな」


 『ふむ、幼馴染の友くんに、高校に入ってからの友達である女友ちゃんかー』

 『チッ、友達沢山で充実した高校生活送りやがって、このリア充が!』

男『うるせぇ、勝手に人の心読むな。 それより、この二人はどうだ?』

 『んー、中々のイケメンと可愛い子だね。 是非この二人と3pしてみたいところ』

男『誰も顔についての感想なんぞ聞いてねぇ! ゲームの支配下にあるのか?』

 『……えっとね、わかんなーい、ウフフ!』

男『ふざけてる場合か。 いいから、さっさと結果を言えよ』

 『いやいや、旦那。 マジで分からないっての、これが!』


男『……どういうことだ?』

 『いやー、私も今気付いたんだけどさ。 ほら、今私実体ないじゃん?』

 『おかげで、天使アイが働かないんですよ、これが。 まさに節穴、hahaha!』

男『……つまり、確認したけりゃ実体化する必要がある、と?』

 『そういうことですな。 いや、まったくもってすまんこ!』

男「……ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!」ガタッ

友「っ! お、おい男どうした!」

女友「男くん!? だ、大丈夫?」

男「あ……」カァ

 『あーあ、やっちまったなぁ! ……いやほんとごめんそんなこわいこと考えないで』

友「……本当に、何かあったのか? さっきから難しい顔してたし……」

女友「やっぱり、幼の事? 私たちで良かったら、相談乗るよ?」

男「あぁ……」


 『とりあえず、相談してみたら? ほら、幼さんを取り戻そうと行動したら……』

男『なるほど、制限がかかればゲームの関係者の可能性あり、か』

 『そそ。 支配を受けてないモブになら、何をしても自由だからさー』

男『そうだな……やってみて、損はないか……』

友「……やっぱり、言えない……か?」

男「……いや。 お前たちには話しておくよ……」

女友「……無理は、しないでね?」

男「実はさ……その……幼に、振られた……」

友・女友「「……は?」」


友「なるほどな……」

女友「幼、ひどい……最低だよ……」

男「いや、きっと幼は混乱してるだけだと思う。 だから手伝ってくれないか?」

女友「幼を取り戻すってこと?」

男「そうだ。 その、オレは色々あって直接幼と話せなくてさ……」

友「そっか、その事でケンカしたんだな? それで……」

女友「任せて! アタシたちなんでも手伝うよ! ね、友!」

男「ありがとう、女友、友! 本当に助かるよ……」

 「おはよ……」ガラガラ

女友「あ、噂をすれば……幼」

幼「……」チラッ スタスタ

女友「……やっぱり男の事気にしてるじゃない。 きっと混乱してるだけだよ……」

男「そうだと良いんだけどな……」

友「っと、そろそろhr始まるな。 席に戻らないと……」

女友「とにかく! 詳しい話は放課後って事で!」


先生「~であるからして……」

 『制限かからなかったじゃん?』

男『あぁ。 確定じゃないが、支配されてる可能性は低くなったな』

 『どする? やっぱ確認した方がいい?』

男『頼む。 放課後、周りに人がいなくなったタイミングで』

 『あいよー! てか、ゴスロリの格好すれば羽ついてても良くね?』

男『誤魔化せはするけどな。 メチャクチャ目立つぞ、それ』

男『なにより、学校内にそんな奴がいたら即連行だ。 せめて放課後にしとけ』

 『おっけー、わかったー、ウフフ!』

男『いい加減ローラ風な喋り止めてくれ。 机を殴りたくなる』


女友「早速幼奪還作戦を開始するよ!」

男「放課後早々いきなりだな……」

友「何か考えはあるのか?」

男「まずは、幼が好きになった相手を知らないとな。 敵を知らないと戦えない」

女友「言えてるね。 といって、私たちが直接聞いても答えてくれないだろうし……」

男「だから、とりあえず幼を尾行してみようと思う。 いつかは接触するはずだし」

 『こうしてストーカーが生まれるのであった……哀れ、幼は嫉妬に狂った男に……』

男『うるさい、お前は支配状況の確認だけ考えてろ』

男「……手伝ってくれるか?」

友「今日からか? オレ、今日は用事が……」

女友「手 伝 う よ ね ? 男と幼の危機なんだよ? わかってる?」

友「わ、分かった……手伝う」

男「ありがとう。 それじゃ、アイツが動き始めたら後をつけるぞ?」


幼「……」ソワソワ

男「……校門前から動かないな」

女友「……そうだね。 誰かを待ってる……?」

友「そう見えるな」

女友「……しかし、もう15分くらいああしてるよ? 待ち合わせにしては長くない?」

男「そうだな……何のつもりなんだ?」

 『あれだ、放置プレイって奴じゃね? 興奮してモジモジしてるようにも見えるし』

男『……お前、一回眼科行って来い』

 『残念! 今の私実体がない、よって眼球すらないから! むしろ、眼科が来い!』

男『おかげで完全に役立たずだけどな……』


女友「っ! 誰か幼に近づいてく!」

友「あれは……隣のクラスのイケメンだな……」

男「まさか……アイツと待ち合わせ、なのか……?」

男『おい、天使! なんとか隠れて実体化してイケメンを確認してくれ!』

 『任せろ! ちょっくら行ってくるぜい! じっくりねっとり観察して来てやんよ!』

女友「何話してるんだろ……あ、あれ? 私、目がおかしくなった?」

友「いや、オレも……突然、ゴスロリの女が幼の後ろに現れたような……?」

男「ブーッ!」


男『おばか! もう少し登場の仕方ってものがあるだろうが!』

 『おっと、こいつは失敗失敗。 今姿消しますんで、はい』

女友「!? こ、今度は消えた……え……え?」

友「やっぱりお前も見たか! なんだよあれ、ゴスロリの霊?」

男『全然わかってねぇじゃねぇかよぉぉぉぉ!』

 『分かってるって! あれだろ、もっと派手にすりゃ良かったんだろ?』

男『これ以上目立ってどうするんだよ!』

友「おい! どうしたんだよ、男……さっきから変な顔して……」

女友「あ……イケメンくんが幼から離れる……何の話してたんだろ?」

男「……わ、わからん……でも怪しいな。 ただ、一緒には帰らないみたいだけど……」

女友「あ、幼が動き出したよ! ほら、二人とも、後つけるよ!」

友「へいへい……」


男『で、どうだった? イケメンは支配されてたか?』

 『おうよ! 意志に反して捻じ曲げられてる運命がシャッキリポンと見えた!』

男『シャッキリポン……い、いや。 とにかく、アイツも操られてるって事か……』

 『主人公役なのか、他の役なのかはわからないけどね! ホモの役に期待する!』

男『見たくねぇよ! それより、適当な所でこの二人の確認も頼むぞ』

 『アイ・マム! 次はどうする? 空から降りてこようか? 爆発と共に登場?』

男『誰も見てないとこで静かに極自然に登場しやがれ』


女友「んー、幼、特に変わった行動はしないねー」

友「普通に本屋に寄って立ち読みしてるだけだな」

女友「一応家までは着いて行くとして……こうなると、イケメンくんが怪しいかな?」

男「……そうだな。 今のところアイツが一番怪しい」

女友「でも、それならなんで一緒に帰らなかったのか、って点がねー」

友「たまたま用事でもあったんじゃねぇの? それで、話だけして帰ったみたいな」

男「そう、かもな……」

天使「きっとそうだよ。 多分、後で家に来て? 今日、誰もいないの……みたいな?」

女友「さすがに、幼はそんな子じゃないって……男、アンタも手出してないでしょ?」

男「当たり前だろうが! オレはアイツの事大事だし、その、段階を踏んでから……」

友「このヘタレが。 そんな事だから、今回のような事になるんだろうが」

天使「全くだ。 もうアナタのちんぽしか見えないのほぉ! くらい調教してれば……」

男「てめぇ、ふざけんな! ってうひょほぉぉぉぉぉぉ!」ズザッ

女友「だ、誰!? 何、このゴスロリコスプレ女は!」

友「ってか、いつの間に! しかも自然に会話に混じってやがった!」


男「天使! てめぇ、さっき言った事忘れたのかよ!」

天使「うんにゃ? 『誰も見てないとこで静かに極自然に登場しやがれ』でしょ?」

天使「誰も見てない背後から静かに極自然に会話に混じりつつ登場しましたが、何か?」

男「く……微妙に人の言う事守りやがって……!」


女友「……えっと、男くんの知り合い?」

友「オレも聞いたことないんだが。 どういうご関係で?」

男「あー、その、なんだ……」

男『おい! なんとか誤魔化せ!』

天使「私、男の母の弟の息子の嫁さんの友達の妹で、なんやかんやで男と住んでます!」

男「そ、そう! オレの母さんの弟の息子の嫁の友達の妹で……って他人じゃねぇか!」

女友「突っ込みどころが違う! 男くんと住んでるって……なんやかんやって何!?」

天使「なんやかんやは……なんやかんやです!」

友「そっか、なんやかんやか……苦労したんだな……」

男「そこ! なんやかんやで納得してんじゃねぇ!」


男「……とまぁ、そういう訳で数日ほど預かることになっただけだ」

女友「……いくら旅行だからって、遠縁のアンタに1人娘を預けるって?」

友「しかも、お前1人暮らしじゃねぇか。 それ、ホントか……?」

天使「マジマジ! それに、こんなヘタレに私襲う勇気ないから!」

友「まぁ、確かに……」


女友「でも、やっぱり年頃の女の子と二人で住むなんて……何かあったら……」

天使「だいじょぶ! 風呂場で裸見られたくらいのラッキースケベしかない!」

男「あれはてめぇが勝手に脱ぎ始めたんだろうが! ……あ」

女友「……変態。 もしかして、そんなんだから幼に振られたんじゃないの……?」

友「彼女がいながらこんな子家に連れ込んでたらな、そりゃ別れたくもなるか……」

男「ち、違う! こいつが家に来たのは幼に振られた後で……」

女友「振られた後すぐ連れ込んだの!? うっわ、さいてー!」

男「そうじゃなくて! だからそれは……うがぁぁぁぁぁぁ!」

天使「やーい、墓穴掘ってやんの! バーカバーカ!」

男「全部、てめぇのせいだろぉがぁぁぁぁぁぁぁ!」

ここでも投下終了くらいは書いた方がいいかな?

本日はここまで。


男「くそ、なんとか誤解は解いたが……マジで疲れた……」

天使「お疲れ! 大変だったね、ジュースでも飲む? ほら、注いで来てくれる?」

男「お前が飲みたいだけじゃねーか!」

天使「べ、別にキミの白いジュースでもいいんだけど……それとも、私のを飲む?」ポッ

男「黙れ、もう下ネタはいいっつーの……」

天使「ほら、苦いカルピスと甘ーいラブシロップ、どっちがいい? 両方?」クチュクチュ

天使「ん……はぁ……もう、すぐ用意するから……んぁっ!」クチュクチュ

男「人の部屋で何やってやがる、てめぇ!」

天使「お口クチュクチュモンダミン」クチュクチュ ペッ

男「……ならいい。 って良くねぇよ! 床に吐き出すな!」


天使「もぅ、話が進まないじゃん! いい加減にしてよね、反省して!」プンプン

男「そもそも話始まってないし反省するのはお前だ……で、どうだったんだよ?」

天使「んー、意外と衆目の視線を集めるのって気持ちいい。 濡れた」

男「何の話してんだよ! ゲームの支配状況の話だ!」

天使「んー、友くんには見えなかったけど、女友ちゃんには見えたねー」

男「……つまり、女友はゲーム機の支配下にあるってことか」

天使「うん、あれは間違いないね。 私のカンがそう言ってる!」

男「カンかよ! ……冗談、だよな?」

天使「アハハ、イッツアアメリカンジョーク! 大丈夫、ちゃんと見えたから」


男「実際の所、何が見えてるんだ? なんかのマークとか?」

天使「んー、説明しがたいんだけど、こう、オーラみたいなのがモヤモヤっと……」

天使「人間ってさ、悪魔とかに意志に反して操られると、そういうのが出てくるの」

天使「濃い、薄いはあるんだけどねー。 幼ちゃんのはものすっごく濃い。 濃厚」

男「なるほどな……今のところ、幼と女友、それにあのイケメンか……」

天使「キミに会う前にもあと数人の女の子に見えてたけどねー」

男「攻略対象のヒロイン候補って奴か……?」

天使「多分ね。 ま、ヒロイン限定ルートか、ハーレムルートかは知らんけど」


天使「どうせなら炎多留とかプレイしてくれてたら幼ちゃんは無事だったのに!」

男「炎多留? どんなゲームだ?」

天使「ガチホモとちゅっちゅらぶらぶするゲームだよ! ほら、幼ちゃんは無事だ!」

男「そん代わりオレの身が危ねぇじゃねぇかよ!」

天使「いいじゃん! なんだったらゲーム関係なく私とパンツレスリングしようぜ!」

男「だから、何でそうなる!」

天使「……だって……キミの事、一目見たときから、好きに……なっちゃったんだもん」

男「……え……?」

天使「んな訳ねーだろ! 『……え……?』だってお!」バンバン!

男「……やべぇ、いくら温厚なオレでもいい加減マジで切れそうだ……」ピキピキ


男「話が進まねぇ……いい加減、少しは真面目に答えてくれ」

天使「へいへい。 まー、こうして飯食わせて貰ってますしねー。 ほれ、話してみ?」

男「なんでそんな偉そうなんだよ……とにかく、女友は支配されてたんだな?」

天使「うむ、ガツガツそれクチャクチャはまちがゴクゴクいないよムシャムシャ」

男「食いながら喋るな! 食うか喋るか、どっちかにしやがれ!」

天使「ガツガツムシャムシャクチャクチャ」

男「喋れよ! 頼むから食べるの止めて喋って下さいよ!」ジワ


天使「ゴックン。 間違いなく、女友ちゃんは支配されてるよ。 で、それが?」

男「オレ、アイツに幼の事話せたよな? しかも、尾行にまで付き合わせた……」

天使「……なるほど、何で制限がかからなかったのか、って事?」

男「そう。 女友もゲームの支配化にあるなら、制限かからないとおかしくないか?」

天使「ほほぅ、そこに気付きましたか……流石ですね、男さん」

男「いい加減キャラが安定しないよな、お前……で、どう思うよ?」

天使「私が知る訳ねーじゃん!」

男「お前に聞いたオレがバカだった……」


天使「ま、推測は出来るけど。 多分、それがフラグだったんじゃない?」

男「……は?」

天使「つまりさ、キミが彼女に相談すること、一緒に尾行すること……」

天使「それが、ゲームの流れ通りだったら? それがイベントの発生条件なら?」

男「なるほど……」

天使「キミが気付かないだけで、キミもゲームの支配下にあるの忘れちゃダメだね」

天使「もしキミが彼女らに相談しない事を選んでたら、無理やり相談させられてたかも」

男「……クソ、ますますもって最悪だな、あのゲーム機は……」

天使「ま、あるいは単にゲームに影響無い行動だったから、かも知れないけどね?」

天使「ほら、女友ちゃんに見えたモヤモヤは薄めだったし。 攻略対象外の扱いかも」

男「つまり、攻略対象外だから何してもゲームの進行に影響せず、制限されなかった?」

天使「女友ちゃんをゲームから退場させるとか、そういうのは制限されそうだけどね?」


男「クソ、その辺りはっきりしないのは、イヤらしいな……」

天使「ゃん、イヤらしいだなんて……そりゃ、私淫乱だけど、処女なんだよ……?」

男「オレはお前のそういうとこが嫌らしいぞ?」

天使「上手い事言ったつもりか! チクショー、面白いぞこのヤロー!」ボフッ

男「座布団投げてくんな! ていうか、どこから持ってきたその座布団!」

天使「天使友達の山田くんが持ってきてくれました」

男「それ、友達じゃなくてパシリだろ! クソ、さっきまでの真面目なお前はどこへ!」

天使「あー、アイツは神様とファックしてるよ。 でも、私はキミ一筋だからね……?」

男「どっちもお前だろうが! あー、もぅ! 飯が冷めちまった!」


天使「しょうがないなぁ……ほら、もっかい作り直してこいよ、食べてやるから」

男「……」プチッ

天使「ん、何の音? ……やだなぁ、そんな怖い顔して醜い顔がもっと醜く……ヒッ!」

男「てめぇ……人が怒らないからって好き放題言ってくれるよなぁ……」ピキピキ

天使「や、やだなぁ……場を和ませるための……って、なんでテーブルに手をかけ……」

男「……てめぇに、食わせる、タンメンは……ねぇ!」ガラガラガッシャーン!

天使「ヒィッ! 冷めたタンメンが宙を舞って襲い掛かってくるぅ! ひぎぃっ!」


男「……で。 なんでお前と一緒に風呂入ることになってるんだ?」

天使「だってキミにドロドロに汚されて……勢いありすぎて、キミまでドロドロに……」

男「主語を省略するな! タンメンがぶっかかっただけだろうが!」

男「だいたい、人が風呂入ってるのに勝手に入ってきやがって!」

天使「いいじゃん、可愛い女の子と一緒にお風呂入れるんだぜ? ほれ、興奮した?」

男「しねーよ。 だいたいお前女とは言えないじゃん」

天使「そういう事は、こっちをちゃんと見ながら言って欲しいなー?」


男「……なぁ、そんなにオレをからかって楽しいか?」

天使「んー、楽しいよ? 多分、生まれて初めてじゃないかな、こんなに楽しいの」

男「……マジな話?」

天使「ほら、天使は皆真面目って話したじゃん? あれ、実はちょっと表現が違ってさ」

天使「どっちかというと、神様に従うロボット、って感じ?」

男「なるほど、確かに神様の命令で残酷な事も平気でするってイメージあるな」

天使「だから、私と話が合う奴って殆どいなんだよねー、皆つまんないし」

男「むしろ、どういう突然変異でお前が生まれたのかが気になる」


天使「ま、そういう訳で今、すっごく楽しいよ。 ほら、突っ込みもあるし」

男「そうか……」

天使「ついでに、キミのその貧相なので私の蜜壺へ突っ込み入れてくんない?」

男「お前はそういう奴だよな。 あぁ、良く分かったよ!」

天使「……キミの事、好きじゃなきゃこんな事言う訳ないけどさ……」ボソッ

男「なんか言ったか?」

天使「んーん。 よっしゃ! 上がって牛乳一気飲みすんぞ!」ザバァ!

男「ちょ、前! 前くらい隠せバカ!」


男「しかし、こんな調子で間に合うのか……?」

天使「どうかねー、せめて何のゲームか分かるとねー」

男「……本当にギャルゲーなんだろうな? これ、エロゲーだったりすると……」

天使「あー、最後ヤられちゃうね。 あーあ、幼ちゃんに手出しときゃ良かったのに」

男「ぐ……」

天使「うっわ、すっげー胸が痛い。 キミの心が分かるってのも考えもんだ」

男「クソ、主人公役は誰なんだよ……やっぱ、あのイケメンか?」

天使「うーん、可能性はあるけど、どうかねぇ? 今の進行状況にもよるんでない?」

男「進行状況……って、ゲームの事か?」

天使「そ。 まだプロローグだとしたら、主人公役が出てきてないかもしれない」

男「なるほど……まだ話の土台作り、って事か?」

天使「まぁ、エンディング寸前だと、裏で二人の仲は進みまくってるとも言える」

男「ぐおぉぉぉぉぉ!」


天使「ま、どっちにしろ行動制限されるんだから、今は大した事出来ないって」

天使「なぁに、主人公役さえわかっちゃえばすぐ解決するし。 だいじょぶだいじょぶ」

男「お前、あんまり真剣じゃねぇだろ……」

天使「んなことないって。 最悪天使をクビだぜ? 必死よ、クビ切られるだけに!」

天使「でも、ま。 最悪の場合……私が、幼ちゃんの代わりになってあげるから……」

男「いらねーよ。 絶対に幼は……取り戻す」

天使「そう……ま、頑張ろうぜ、私も協力してあげるからさ!」

男「……協力も何も、お前の不手際じゃん……っていうかさ」

天使「なんだい?」


男「お前、姿消して幼に張り付いてた方が良くね?」

天使「え? キミ、今頃気付いた訳? だっせ、あったまわるー!」

男「気付いてたなら言えよ! 言う前に張り付いてろよ!」

天使「今言われて気付いたんだよ! 言わせんな恥ずかしい!」

男「じゃぁなんでオレ馬鹿にされたんだよ! 行け、今から行って来い!」

天使「おうよ! 行ってきてやんよ!」スゥ…

 『んじゃ、行ってくる! 私がいないからって自家発電とかすんなよ!』

男「しねーよ! さっさと行って来い!」

 『……』

男「ふぅ……なんてアホなんだ、オレたちは……」


男「……」

男「……おい。 なんでまだ居るんだよ?」

 『ギクゥ!? べ、別にキミの自家発電覗こうとか思ってないよ!』

男「分かった。 お前の考えはよーく分かった。 いいから、行け」

 『くそぅ、何で分かったんだよ……』

男「なんとなくお前の雰囲気が感じられるようになったんだよ、嬉しくもねぇ」

 『しょうがないなぁ……それじゃ、今度こそ行ってくる』


男「……」

男「……ホッ。 今度こそ行ったな、アイツ……それじゃ……」ゴソゴソ

男「クソ、アイツと一緒に風呂入った時にチラチラ見せ付けやがって……我慢の限界だ」

 『えっ!? 私で本当に興奮してくれてたんだ……!』

男「なっ!? ふおぅぐわはぁっ! て、てめぇ、行ったんじゃ……!」ガタガタ

 『いや、飛び出したものの幼ちゃんの家知らなくってさー、聞きに戻ってきたら……』

天使『まさか、本当に自家発電始めようとするなんてね……しかも、私をオカズに」スゥ…

男「お、おま! なんで裸なんだよ!」

天使「いやー、せっかくだし本物があった方がいいっしょ? 別に触ってもいいぜ?」

男「や、止めろ! こっち来んな、服を着ろ! 近づくなぁぁぁぁ!」


天使「というわけで、幼ちゃんの家までやって参りました」

男「クソ……オレは何もやってない、やってないんだ……」ブツブツ

天使「うん、そうだね♪ 私がやってあげたんだもんね♪」ニコッ

男「誤解を招くような事言うな!」

天使「ほれほれ、あんまり騒ぐとおさわりまんがやってくるぞー?」

男「……おまわりさんな。 いいから、さっさと行ってきてくれ」

天使「幼ちゃんの部屋はどこー?」

男「2階の角、右側だ。 ほら、見えてるだろ?」

天使「うぃ。 んじゃ、ちょっくらお邪魔してくるぜ、ゲヘヘ』スゥ…

男『待て、絶対幼に変なことすんじゃねぇぞ!』

 『やだなぁ、私を信じて……! ほら、この純粋な目を見てよ!』

男『見えねぇよ……もういい、頼むから行って来てくれ』

 『ほほほーい!』


 『ただいまー!』

男『速かったな。 ……で、何かわかったのか?』

 『うん、幼ちゃん意外と着痩せするタイプ。 寝乱れた姿がエロすぎ。 抜きかけた』

男『そんなことを調べに行ったわけじゃねぇよ! ……って、寝乱れた?』

 『うむ。 寝てた。 ぐっすりと。 完璧に。 真っ裸で』

男『いや、最後のは嘘だろ。 ……クソ、無駄足だったか』

 『あと、もう一つ悪い話がある。 けどまぁ、家に帰ってからの方がいいかなー』

男『このまま幼の家を張ってたりはしないのか?』

 『……説明するから、一度家に帰るよ。 ほら、おさわりまん来るし』

男『だから、おまわりさんだって……』


 「あー、キミキミ。 こんな夜更けに、何をしているんだい?」

男「へ?」

 「ここ、キミの家じゃないだろ? ……怪しいな、ちょっとそこの交番まで……」

 『あーあ、だから来るって言ったのに……』

男「それならそうとちゃんと言えよ!」

 「だからキミが怪しいとちゃんと言っている。 交番まで来て……待ちなさい!」

男「クッソ! なんでこんな目に逢うんだよチクショー!」ダダダダ

 『自作自演って奴じゃね?』

男「それを言うなら自業自得だぁ! しかも意味合ってねぇよ!」ダダダダ

 「待ちなさい! 自業自得とは、罪を認めたということか! 待て!」

男「くっそぉぉぉぉぉぉ!」


男「……で、悪い話ってなんだよ」

天使「おおぅ、町内1週フルマラソンした割に元気でびっくり」

男「いいから。 さっさとしてくれ……疲れてもう寝たいんだよ……」

天使「んじゃ、結論。 幼ちゃんに張り付くの無理」

男「っ! なんでだよ!」

天使「説明はし辛いんだけどさ。 なんとなく感じた訳ですよ、これが」

男「……だから、何を」

天使「キミと接触したときの感じ。 見え方が変わるっていうか」

天使「多分、長時間あの子の傍にいると、接触した事になっちゃう」

男「つまり……アイツの記憶と意識が戻ってしまう……?」

天使「そ。 それはマズイっしょ?」


男「でも、最悪アイツの意識が戻れば主人公役を聞けるんじゃ……」

天使「……逆。 意識が戻るって事は、操られてる時の意識はなくなる、でしょ?」

男「あ……そうか。 自分が誰を好きになってたかすら分からなくなる、のか?」

天使「その可能性が高いねー。 しかも誰を好きかわからないまま身体は行動しちゃう」

天使「それなら、幼ちゃんの口から誰を好きか聞きだせる可能性のある今のままがマシ」

男「クソ……これ無理ゲーだろ……」


天使「……とにかく、今日はもう休んで頭休めようぜ。 ほれほれ、添い寝してやんよ」

男「いらねー。 今日はベッド貰うからな? もぅ、こっちは限界なんだよ……」

天使「いいよ、私今日はベッドで寝るから。 それじゃ、おやす……」

男「待て、オレがベッドで寝るんだぞ?」

天使「うん。 私も、ベッドで寝るんだよ?」

男「……もう、いい。 頭が回らん……おやすみ……」

天使「おやすみ! 良い夢見なよ!」


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 『ね、男? 私たち、付き合ってるんだよね?』

 『えへへ……ううん、夢みたいだったから……』

 『今度さ、デート行こう? ほら、行きたいって言ってた遊園地とか!』

 『アハハ、そうだね! でもさ、これまでと違って今度はさ……』

 『幼馴染としてじゃなくて、恋人としてだから……ね?』

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本日はここまで。

また明日このくらいの時間に。


~翌日~


男「……」ズーン

天使「何朝からへこんでるのさ?」

男「幼以外の女と一緒に寝ちまった……」

天使「ほっほぅ! 私を女と認めてくれると申すか! 嬉しいのぅ、嬉しいのぅ!」

男「そうだ! コイツ女じゃねぇからノーカンだ!」グッ

天使「うっわ、一晩共に過ごした女の前でめっちゃ失礼な事言ってやがる……」

男「お前男だし! 一緒に寝ただけで手出してないし!」

天使「……ふーん? 寝ただけで手出してない、ねぇ……」

男「な、なんだよ……」

天使「久しぶりの回想スタートゥ!」


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男「ん……」ゴロン

天使「ゃん、男の寝顔かっわいー!」キャピキャピ

男「……ムニャ……」フニ

天使「ぁん……男のえっち、私のおっぱいに顔擦り付けちゃって……」カァ

男「……んん……」ゴロ…

天使「ふぁ……やぁ、男の太腿が私の大事な所に……ダメ、気持ち良くなっちゃう……」

男「……ん……」ギュ

天使「だ、抱きしめられた……あ、ダメ……おかしくなっちゃうぅぅぅ!」ビクビク

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天使「以上、30分前よりお送り致しました!」

男「ちょっと待てや! 盛ってるのお前の方じゃねぇかよ!」

天使「でも、胸揉んだり、アソコに足擦り付けたり、抱きしめたのはキミだよねー?」

男「ぐ……そ、それは……その、幼の夢見てたからで……」

天使「そう、なんだ……幼ちゃんだと思った? 残念、可愛い天使ちゃんでした!」

男「ちくしょぉぉぉぉぉ!」

天使「……そんなに残念がらなくてもいいじゃん……」ボソッ


 『さすがに、今日は幼ちゃんいないみたいだねー』

男『……昨日のがあったからな。 ゲーム機を取り戻すまでの辛抱だ……』

 『んで、犯人探しはどうするのん?』

男『……お前が幼に張り付けない以上、今日も尾行するしかないか……』

 『うわ、ストーカーへの道を一歩一歩進んでるねい! 犯罪者まで後一歩!』

男『うるせぇ、幼の為なんだから良いんだよ!!』

 『犯罪者は皆そう言う。 アナタの為を思ってしたんだ、だから良い事なんだと』

男『クソ、事実っぽいから反論しづれぇ……』


男友「よぅ、男! 幼ちゃんに振られたんだって?」

オタ「フヒヒ、彼女居ない同盟に逆戻りですな、フヒヒ」

男「うるせーよ、絶対戻らないからな、その同盟には」

 『あっれー? モブかと思いきや、思ったより仲が良い?』

男『一応、友達ではある。 あまり認めたくは無いが』

 『一応、調べておくかい? ホラ、そこのオタくんなんていかにも犯人っぽいし』

男『見た目と性格と趣味と体格で判断すんな。 意外と良い奴なんだぞ?』

 『それ以外のどこで判断しろと!?』

男『……こいつら、トイレに連れてくから、隠れて確認頼む』

 『あいよ! ところで、私トイレ行くとき男子トイレ、女子トイレどっちだと思う?』

男『知らねーよ、好きな方行きゃいいだろうが!』

 『ブー、正解は天使ちゃんはトイレに行かないもん! でした!』

男『あー、はいはい! いいから、確認だけはしっかりしろよな!』


男友「しかし、いきなり3人で連れションしようとかキモいな、お前」

男「うるせー、着いてくるお前らもお前らだろうが!」

オタ「フヒヒ、男同士友情を深め合うイベントですからな、連れションは!」

天使「……」ジー

男友「っ! お、おい男! 今、鏡に何か映らなかったか!」

男「し、知らん! オレは何も見ていない!」

オタ「せ、拙者の好みにドストライクなコスプレ美少女が居た気がするでござる!」クルッ

天使「……」ジー

オタ「ま、マジでイマシタワー! しかも、拙者のアソコをガン見しておられる!」

男友「ま、待てよオタ! どう考えても不自然だろ! 絶対幽霊だって、コイツ!」

男『ば、馬鹿! 確認終わったなら消えろよ!』


オタ「幽霊でも良い! あぁ……美少女幽霊に見られて、拙者興奮してきた……」ビキビキ

天使「……短小包茎」ボソッ スゥ…

オタ「っ! ……終わった。 美少女幽霊にそんな事を言われては死ぬしか……」ガクッ

男友「消えた……やべー! 幽霊だ、幽霊見ちまったよ!」

男『……結果は?』

 『男友くんは標準、オタくんは短小包茎。 やっぱキミの大きいのが一番///』

男『そっちじゃねぇ!』

 『あー、はいはい。 二人とも白でしたー、つまんねー!』

男『分かった。 ……で、この後始末は?』

 『任せたー』

オタ「しかし、この胸の高まりは……もしかして、新しい性癖が目覚めた!?」

男友「てか、幽霊見えるってことは霊感あんじゃね? もしかして霊能師デビュー!?」

男「……ハァ」


 『いやぁ、なーんにも進展がないまま放課後になっちゃいました、この役立たず!』

男『てめぇこそ役立たずだろうが! 適当な事ばっか言いやがって、このペ天使!』

 『上手い事言った! でもどこかの慇懃無礼な天使と勘違いされた気がする!』

 「ちょっと、男くん? 悪いんだけどさ、今日の掃除当番代わってくれない?」

男「……悪い、オレ無理だ。 ちょっと用事があってさ……」

 「マジ? マズいなぁ、今日どうしても外せない用事あるんだよねぇ……」

 『折った折った、フラグを折った! ここで恩を着せて後で美味しい思いを……』

男『しねぇから。 というか、幼以外とのフラグなんぞ片っ端から折って回るわ!』


女友「男くん! 今日も例の、行くわよ!」

男「悪いな、手伝って貰って。 ……ちなみにオレ1人でいいって言ったらどうする?」

女友「は? ……どうしてもっていうなら、任せるけど……? 他にやる事もあるし」

男「……いや。 聞いてみただけだ。 正直助かってるしな」

女友「そ。 友! アンタも行くわよね?」

 「あ! ちょっと友くん! 私、この前掃除当番代わってあげたよね?」

友「げ……!」

 「今日、私外せない用事あるから! 任せたわよ、それじゃ!」タッタッタ!

友「マジかよ……」

女友「……掃除当番なら仕方ないね。 流石に、皆に迷惑掛ける訳にいかないし」

男「そうだな。 今日は二人で行こう。 友、掃除がんばれよ?」

友「あぁ……男、お前こそがんばれよ!」


女友「……今日も、校門前で誰かと待ち合わせか……」

男「本当に、誰を待ってるんだろうな……」

 『ねね、さっきの事なんだけどさー?』

男『なんだよ?』

 『あの質問。 昨日話してた事の、確認したつもりなのかなー?』

男『オレ1人で尾行する、って話か? まぁ、そうだな。 制限かかるか確認してた』

男『でも、制限かからなかった所をみると、女友が攻略対象外って可能性が……』

 『は? 何勘違いしてんの? バッカでー、あったまわる!』

男『どういう意味だよ……』

 『ゲームで考えてみてみ? アレがフラグだったとしよう、でも昨日立てたよね?』

男『……あ』

 『フラグが立った以上、もうキミが居る居ないは関係ないって可能性もある』

 『そのフラグが、幼ちゃんがキミと別れた事を知る、ってフラグだったとしたらね?』

 『仮に一緒に行動しなくてもこの子1人で尾行してたりするんじゃね? カンだけど』

男『でも、攻略対象外って可能性も消えない……マジで厄介だな、クソ』


女友「……どしたの? また難しい顔して……ま、気持ちは分かるけどさ」

男「……悪い。 少し考え事をな」

女友「……あ、またイケメンくんが幼に……」

男「……やっぱ、アイツなのか……?」

 『ま、現実ならキミよりイケメンに惚れるよね。 あっちが数倍カッコいいし!』

男『オレが幼と付き合ってたのも現実だっての!』

女友「……うーん、またイケメンくんだけ帰っていったよ?」

男「そうだ、オレアイツに幼と付き合ってるか聞きに……グ!?」ドクン

女友「ん? 何か言った?」

男「……ぁ……」パクパク

女友「……? 金魚の真似? アンタね、動きが無くて退屈なのはわかるけどさ……」

男「……ガハッ! あ……い、いや、なんでもない……」


 『思いも寄らぬ所で来たね、行動制限。 さて、今回の原因はなんじゃらほい?』

 『今、イケメンくんに幼ちゃんと付き合ってるか聞きに行こうとしたっしょ?』

男『あぁ……それで、動きが止められた』

 『それだけだとハッキリしないなぁ……いくらでも原因はこじつけられるし』

男『アイツに話を聞くことが、ゲームの進行を阻害する……?』

 『例えば、二人の関係を聞くこと自体がゲームの流れに沿わないとか』

男『って事は何か? 下手したら、幼の好きな相手を関係者に聞く事自体ngなのかよ!』

 『可能性はあるね。 キミがそれを知らない事がストーリーの重要な点なのかも?』

 『ま、キミの役割はモブっぽいし、そんな重要な部分に絡むとも思えないがな!』

男『じゃぁなんでだよ!』

 『んー、他には彼のこの後の行動が重要だけど、キミとの話で阻害されるとか?』

男『なんでそれ早く言わねぇんだよ! イケメンもうどっか行っちまったよ!』

 『今思いついたんだよ! つか、キミが思いつけばいいじゃん!』


女友「あ、幼が動き出したよ! ほら男くん、ボーっとしてないで追うよ!」

男「あ、あぁ!」

 『幼ちゃんを追うの? ねね、また実体化していい?』

男『ダメだ! 昨日あれだけ大変だったんだからな、勘弁してくれ……』


女友「……今日もまた昨日と同じだね。 本屋に寄って立ち読みしてるだけ」

男「そうだな……クソ、やっぱりさっきのイケメンを追っていれば……」

女友「え? やっぱり幼の相手ってイケメンくんなの?」

男「い、いや……可能性がある、って話だけどな……」

女友「……やっぱりさ、アンタ直接幼と話した方がいいんじゃない?」

女友「この二日、誰かと付き合ってるような素振りは見せないしさ……」

男「そうしたいのは山々なんだけどな……」

女友「振られて腹が立つの分かるけどさ、素直にならないと取り返しつかなくなるよ?」

男「分かってるんだよ! でも、出来ないんだよ! クソ……」

女友「……何子供みたいな事言ってるわけ? そんな場合じゃ……」

男「うるさい! 何も知らない癖に、勝手なこと言うな!」

女友「っ! な……なによ! 勝手に拗ねて、人に八つ当たりして!」

女友「もう……知らない! 勝手にすれば? 1人で!」タッタッタッタ

男「あ……」


天使「あーあ、やっちまったねぇ! ま、女の子に手を上げなかっただけマシだけど?」

男「……出てくんなよ」

天使「……今のキミ、1人にしておけないさー。 泣いてる子は見逃せないんでね!」

男「……泣いてねぇよ……」

天使「……男。 役に立たない私だけどさ、こんな時胸を貸すくらいはできるよ?」

男「……そういうのは、男の仕事だろ……」

天使「私、半分男なんだからいいじゃん。 ほれほれ、私の胸に飛び込んで来てみ?」

男「……」ポスッ

天使「お? まさか本当に来るとは……男がデレおった!」


男「……慰めてくれて、ありがとな?」

天使「……んもぅ、調子狂うなぁ……元気出しなよ? キミは悪くないから……」ナデナデ

男「……あぁ、悪いのはお前だもんな?」

天使「酷い事言うなぁ……事実だけど。 さ、そろそろ立ち直っておくれよ?」

天使「ボケは突っ込みがいないと輝けないんだからさ……」

男「……そう、だな……」

天使「それにさ……ほら、いい年した男子が、派手なゴスロリ少女に抱かれてるわけだ」

天使「めっちゃ注目浴びてるっちゅーの! うっわ、恥ずかし! もう町歩けねー!」

男「ハッ……! てめぇ、クソ、ふざけんな!」

天使「おっしゃ、調子戻ってきたじゃん! ほーら、捕まえてごらんー♪」

男「待ちやがれ! 確信犯だな、てめぇ! 待てっつってんだろうが!」

天使「やだぷー! ほら、ここまでおいでー! アッハハハハ!」


天使「ガツガツムシャムシャゴックン。 ……で、明日からはどうすんべ?」

男「……女友は、このまま放置する。 ……別に、謝るのが怖いとかじゃないぞ?」

天使「これで女友ちゃんがどう動くか見るって? 考え方が悪魔染みてきたじゃん?」

男「綺麗事だけじゃこのゲーム攻略できなさそうだからな……」

天使「今更かよ。 ま、いわばゲームのバグを探すようなもんだからなぁ……」

天使「それで? キミはどうすんの? また尾行する?」

男「……今のところはそれしか思いつかん。 お前はなんかアイデアあるか?」

天使「幼ちゃんのことはすっぱり諦めて私とちゅっちゅらぶらぶするとか?」

男「却下」

天使「ぶーぶー! 私処女だし、尽くす女だよ?」

男「正確には食い尽くすオカマな。 主にうちの炊飯器を」

天使「プッ! 炊飯器だけにお釜ってか? しかもふたなりとオカマもかけてやがる!」

男「フッ……」ドヤァ

天使「ウザッ! その上手い事言ってやったぜ、的なドヤ顔ちょーウザッ!」


男「……って! じゃれてないでアイデア出せよ!」

天使「振ったのそっちなのに……んじゃさ、イケメンくんに話聞いてみたら?」

男「アイツにか? でも、また制限かかるんじゃねぇか?」

天使「女友ちゃんの事忘れた? 今日は制限かかったけど、明日はわからないって」

男「そっか……今日フラグ立ててたら、大丈夫かもしれないな」

天使「それで、話聞けたら今日何してたか、とか幼ちゃんとの関係聞いてみる、と」

男「制限かかればイベントの内容が絞り込めるし、上手くいけば関係も分かるか……」

男「お前にしちゃ、良い考えだ。 ……普段からこれくらい真面目ならなぁ……」

天使「失礼な! ボケも真面目も全力投球だっての! むしろボケで肩壊すくらい!」

男「全力でデッドボール投げつけてくる上に肩まで壊すのかよ……」

天使「たった数日で友人関係ぶっ壊しまくったキミに言われたくないし!」

天使「あ、いや、そのそんな泣きそうな顔で見ないで? ごめんうそわるかった」


天使「いやぁ、風呂はいいねぇ! 裸の付き合いって奴さいこー!」

男「うるせぇ、また勝手に入ってきやがって……」

天使「とか言いながらもはや止めようともしないキミ好きだよ。 裸の突き合いする?」

男「ふざけんな! しかもそれオレも突かれるって意味かよ!」

天使「案外後ろって病みつきになるらしいよ? 昔男娼だったトムさんが言ってた」

男「なんだよその交友関係は!」


天使「あ……キミとの事想像したら起っちゃった……」ビンビン

男「てめぇ! 危険な気がするから出てけ!」

天使「ま、待って待って! 今落ち着かせるから!」シュッ シュッ

男「おい! オレが裸見ないよう後ろ向いてるからって何してやがる!」

天使「シャドーボクシング」シュッ シュッ

男「……あっそ」

天使「だ、だから……性欲はちゃんと……しょ、昇華させるからね……ウッ」シュッ ドピュ

男「待てや! 今絶対違うだろ! 最後のドピュッって何だ、最後のは!」

天使「かかと落としの当たったシャンプーボトルが中の液体を噴出しました」

男「既にボクシングじゃねぇ! てか、何してくれてんの!?」


天使「我々はー、暖かいベッドとー、柔らかい抱き枕をー、期待するものであーる!」

男「要は、一緒に寝ろって言ってるんだよな? 却下だ」

天使「なんでさ! 昨日はあんなに私の身体を好き放題した癖に!」

男「だから却下してんだよ! それくらいわかれよ、この淫乱天使!」

天使「うっせーよ! 大体、天使が淫乱なのはお前ら人間のせいなんだぞ!」

男「な……どういう意味だ?」

天使「天使はな、人間のイメージに影響されやすいんだよ!」

天使「ここ近年、天使といえば触手プレイに羽コキ、挙句人外だからって幼女化……」

天使「おかげでもー、身体を持て余す! 触手マジやべーし!」

天使「羽コキなんかしたら飛べなくなるし! 人外だって幼女は挿れたら痛いんだよ!」

天使「大体なんだよ、このコスチューム! スク水じゃねぇか!」

天使「天使はな、古今東西マッパって決まってんだよ! なんで服着させるんだよ!」


男「……で、本当の所は?」

天使「暇だからえっちゲームやりまくってたら耳年増になっちゃいました!」

天使「この衣装はコスプレです! 天使友達の田中くんに作って貰いました!」

男「うん、とりあえず田中くんに謝っておけ。 オレは寝る」ゴソゴソ

天使「あぁん、いけずー! お供させて下さいませー!」ゴソゴソ

男「入ってくんな」ゲシッ

天使「あ、今の良い。 ねね、もっかい蹴ってみ?」

男「……」ゲシッ

天使「あふん」

男「天界に帰れ!」


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--------------------------------------------------------------------------------

 『遊園地、楽しかったね!』

 『ん……次はどこ行きたい? ま、どこでもいいんだけどさ!』

 『えー? そうじゃないって! ……あのね、男と一緒ならどこでも楽しいから……』

 『ずっと一緒だったのにね? でも、やっぱり今日は違う気がする!』

 『え……? ……いいよ。 ん……』

 『……えへへ。 私の、ファーストキスなんだから、ね?』

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>>124

ほい

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324123726

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1333892517


>幼馴染が記憶を失ってdqnとしまくるntrもの

これ気になる

>>128
>>126の張ってくれた下のリンクのスレ最後あたりに全ssまとめてあります。

多分3作目だったかと。


~翌日~

男「……ん……」チュン チュン

男「ふぁ……お? 今日はアイツがいない……静かで最高の朝じゃないか!」

天使「ぐっもーにんっ、だーりん! 最高の朝だぜぃ!」バタン!

男「おはよう。 丁度今最悪の朝に変わった所だ……って、てめぇ、なんだその格好!」

天使「んふふ、見てわかんないかなー? ほれほれ、男の夢、裸エプロンだ!」クルリ

男「やめろ、朝っぱらから男のシンボルがチラチラ見えてんだよ!」

天使「そんな事はどーでもいい! この私が、至高の料理というものをお見せしよう!」

男「まさか……朝メシ作ってくれたのか?」

天使「いえす、あいあむ! メシが冷める、30秒で支度しな!」


男「おぉ……野菜炒めか。 想像と違って、まともなメシだ……!」

天使「失敬な。 天使にとって食は嗜好品であるがゆえに高みを目指すものよ……」

男「まぁ、普段からフォアグラとか食ってる奴だもんな……食っていいか?」

天使「強くなりたくば喰らえ!!! 喰らって喰らって喰らい尽くせッッ!!!」

男「別に強くなりたくはねーけど……頂きます」パク…

天使「どう? うまい? おいしい? ほっぺた落ちそう?」ワクワク

男「ん……正直、悪くない。 お前、料理出来たんだな……」

天使「聞いた? 男の口からうまい、だって! お前も一緒に食べちゃいたいって!」

男「言ってねーよ。 ……でも、ありがとな?」

天使「いやっほぅ! まさに天まで昇る気持ちだぁぁぁぁ!」バッサバッサ

男「部屋の中を飛び回るな。 つか、そのまま天まで昇っていってくれ」パクパク


天使「あ、忘れるところだった。 これ、お願いします」ペラ

男「あ? ……請求書?」ペラリ

男「……最高級黒毛和牛200g4000円……無農薬有機栽培野菜詰め合わせ3000円……」

天使「大変だったんだぜー? あ、聞きたい? 語るも涙な食材探しの旅の話」

男「てめぇ! ふざけんな! なんだよこの高級食材は!」

男「しかも、高級食材使ってなんで味が並なんだよ! 謝れ! 食材に謝れ!」

天使「黒毛和牛さんごめんなさい」ペコリ

男「予想外すぎてリアクションに困る!」

天使「笑えば良いと思うよ?」

男「ハハハ、そこに居直れ。 一発ぶん殴る」

天使「旦那が暴力を振るうんです……たすけて! おさわりまんこっちです!」

男「てめぇ、覚悟はいいな?」ポキポキ

天使「ゃん……キミに初めてを捧げる覚悟ならいつでも……ぷげらっ!」バキッ!


 『うー、まだジンジンするよぉ……まぁ、実体ないから感じないけど』

男『手加減してやったんだ、有りがたく思え。 てめぇのせいで今月の小遣い0だ』

男『……ま。 朝メシ作ってくれたことには感謝してる。 そのことだけな?』

 『ニヒヒ、普段出さない手が出たのは照れ隠しかにゃー? このツンドラめ!』

男『それを言うならツンデレだ……っと、女友だ』

女友「……」プイッ スタスタスタ

 『アハハ、完璧に嫌われちゃったねー! マジで謝らなくていいの?』

男『……あぁ。 女友には悪いけど、このまま様子を見させて貰う』

 『カッコいいなおい。 惚れ直しちゃうぜ、憎いよこの色男っ!』

男『茶化すな。 結構キツいもんがあるんだ、分かってるだろ?』

 『無論。 キミの気持ちがビンビン伝わってくるからねぇ……』

男『とにかく、これで何か変化が起きてくれるといいんだけどな……』

 『恋のキューピッドとしては、目の前で険悪な男女を見ると世話を焼きたくなる』

男『お前、どっちかというと変なキューピッドだろ……』

 『ウザッ! 心を通じてドヤ顔が伝わってくるっ! 止めて、ドヤ顔止めて!』


 『お昼になったけど、どうするんだよー?』

男『流石に今日は女友も食事に誘ってくれないしな……早速イケメンに話を聞きに……』

男「グ……ぁ……?」ドクン

 『お? もしかしてポンポン痛いの? ナデナデしてあげよっか?』

男『ちげーよ! いつものアレだアレ!』

 『生理?』

男『行動制限だ! わかってんだろーが!』

男『クソ、わぁったよ、イケメンに話を聞きに行くのはngっつーことだろ!』

男「ハッ……ハァ、ハァ……クソ、慣れねぇなこの感覚……」

 『でも、一つハッキリしたね。 イケメンくんに話を聞く事は、ゲームを阻害する』

男『あぁ……イケメンがこの昼になんかイベントを起こす可能性も残ってるけどな』


 『一つ提案があるよ。 ただ、キミが恥ずかしい思いするかもしれないけど……』

男『今更だな。 どうすればいい?』

 『……授業中に、話を聞きに行こうとしてごらん? それで判別できるはず』

男『なるほど……普通、授業中にイベントは起きないだろうしな』

 『そ。 彼、授業をボイコットするようなタイプじゃないんでしょ?』

男『その案乗った。 次の授業中に決行する』


 『……これで決まりだね』

男『あぁ。 イケメンに話しを聞く事はng。 つまり、アイツがフラグを持ってる』

男『……これだけを知るのに、いきなり金魚の真似を始めた馬鹿って事になったが……』

 『ハイリスクローリターンだったねぇ! 結局大した進展ではなかったり』

男『あぁ……考えてみたら、それが分かった所で大した意味はない』

男『むしろ、幼の相手を探る事を考えると調査を禁じられたようなもんだからな……』

 『ハッハー! いよいよもって無理ゲーだねぃ! 難易度クソゲーか!?』

男『今ほどプレイ中のゲームがゆるゲーであることを願った時はねぇよ……』


 『それで、もう放課後だけど今日はどうすんの?』

男「おい、友! 今日こそは付き合えよ、幼を尾行するからな!」ドクン

友「あぁ、わかった。 女友は……?」

女友「……知らない。 勝手にすれば?」

男「……わかった。 友、行くぞ」

友「あ……あぁ……」

 『ふーん、友くんと二人で尾行ね。 女友さんは張ってなくていいの?』

男『ま、待て! 違う、これはオレじゃない!』

 『……ハッ。 何言ってんのコイツ、とうとう本当に馬鹿に……』

男『操られてる! ゲームの支配下に置かれた……勝手に動いてやがる!』

 『っ! マジ!? じゃぁ……なんかのイベントが始まったってこと!?』

男『多分な……しかも、オレもその登場人物の1人って事だ、友もな!』

男『天使、絶対にオレたちから目を離すな! 何かがある……絶対に!』

 『おうよ! 10メートル先もぼやけるこの天使アイは何も見逃さないよ!』

男『ダメだ、不安になってきた! 役に立たなさそうだコイツ!』


男『うわ、気持ち悪い……身体の感覚が全く無いのに勝手に動いてる……』

 『へぇ、支配されるとそう言う風になる訳ねー。 性感も感じないのかねー?』

男「今日も校門で誰かを待ってるな……」

友「あぁ。 誰を待ってるんだろうな……?」

男『しかしなんだよ、この茶番! こんな会話もうとっくにしたっての!』

 『あー、シナリオに従ってるんだろうねー、傍から見ると間抜け極まりない』

男「お、おい友! 誰か近づいていくぞ……?」

友「イケメンだ……やっぱりアイツなのか……?」

男『またこのパターンかよ……イケメンも災難だな』

 『んー……どうも、今日は違うっぽいよ? ほら……』

男「あの二人、校舎裏に向かうみたいだ!」

友「追うぞ……」

男『……マジだ。 イベントが進行してると考えるべきだよな……?』

 『だね。 さて、イケメンくんがどう動くかねぇ……』


幼「……」

イケメン「……」


男「聞こえづらいな……おい、もうちょっと近くに行くぞ」

友「おぅ……見つかるなよ? 静かにだ……」


イケメン「……それでね。 今日ここに来て貰ったのは……」

幼「……はい」

イケメン「キミの事が……好きだ。 ボクと付き合って欲しい」

幼「……っ!」


男「っ! イケメンが……幼の事を好き?」

友「これ、告白だよな……? マジかよ……」

 『なるほど、それでイケメンに二人の関係を聞こうとして制限かかってた訳だ』

 『ここで、告白の現場に遭遇して初めて二人の関係を知る、そういう流れって事かー』


男『おい、つまりアレか? 主人公役はイケメンってことか?』

 『……待った。 これがギャルゲーなら……』

幼「……あの」

イケメン「うん」

幼「答え、少し待って貰っても……良いですか?」

イケメン「……そうだね。 急な話だし、少し考えてみてくれるかな?」

イケメン「でも、あまり長くは待てない。 ボクはそれほどメンタル強くないから……」

幼「……分かってます。 出来るだけ早く、答えを出しますから……」

イケメン「ありがとう。 良い返事をもらえることを期待しているよ。 じゃ……」


男「幼……断らなかったな……」

友「あぁ……」


男『……なぁ、これはどう考えればいいんだ?』

 『やっぱりね。 アレだ。 イケメンくんはかませワンワンだ』

男『かませワンワン……? かませ犬って言いたいのか?』

 『そうそれ。 ほら、アレだ。 イケメンに告白されて、自分の気持ちと向き合って』

 『んで、自分の本当に好きな人と付き合う事を決める、と。 いやぁ、青春だねぇ!』

男『待て待て待て。 オレを振った時、アイツ好きな奴が居るって言ったんだぞ?』

 『だから、居るんでしょ。 でも、何らかの理由で迷っているとか……』

男『そんな中途半端な状態なのにオレは振られたのかよ……』

 『おいおい、幼ちゃんはゲームに支配されてるっての、忘れんなよ?』

 『ほら、ゲームのヒロインは誰とも付き合った事ないって場合のが多いし?』

 『キミと別れる事、彼氏がいない事が大前提って事なんでしょ、ゲームとしては』

男『クソ、理解は出来るけど納得いかねぇな……』


男「……とんでもない所見ちまったな……」

友「……帰るか」

男「あぁ……」

 『ん、そろそろイベント終わりかな? ほれ、シャンとしないと戻った時コケるぜ?』

男『あぁ、分かってる……う』

男「……ハッ! ハァハァ……戻った、か……?」

天使「だいじょぶ? そんなに興奮して……寝取られ気分味わって欝勃起?」

男「疲れてんだよ! だいたいまだ寝取られてねぇ! てか、学校で実体化すんな!」

天使「なんだよー、実体化しないと撫でてやれないだろー?」ナデナデ

男「……悪い」

天使「……どうする? 幼ちゃん、追う?」

男「……そうだな。 またイベントが起きる可能性もあるし」

天使「おっしゃ! そうと決まれば行くぜ! ほれ、息整えないと変質者だぞ?」

天使「あ、どっちにしろストーカーだったな、hahaha!」

男「うるせー! 行くぞ、さっさと姿を消しやがれ!」


幼「……」スタスタ

男『……? 何かおかしい』

 『キミの頭が? っ! まさか、アレが起たなくなったとか!?』

男『なんでそうなるんだよ! 違う、幼の様子がおかしい!』

 『……? 別にただ歩いてるだけじゃん? キミ、本気でおかしくなった?』

男『そうじゃない! この道は遠回りだ、普通幼はこんな人気の無い道を通らない!』


 『っ! つまり……ゲームに支配されてこの道を歩かされている?』

男『その可能性が高い……そして、こんな人気の無い道で起きるイベントといえば……』

 『アッハハ! もう一つしかないね! 強姦、レイプ、強制妊娠!』

男『妊娠は関係ねーよ! てかこれ本当にギャルゲーなんだろうな、もしかすると……』

 『エロゲーなら確実にえっちシーン突入だねぃ。 幼ちゃんの処女膜、さようなら!』

男『不吉な事言ってる場合かよ! クソ、幼を止めないと……グ』ドクン!

 『あー、ホントにイベントみたい。 制限かかったってことは……まずいね、こりゃ』


男『クソ、おい天使! 実体化して幼を止めてくれ!』

 『おいおい、そんな事したら幼ちゃんの意識戻った上でレイプされかねないぜ?』

男『なら、誰か呼んできて……って、人気ねーし! クソ、最悪じゃねーか!』

 『……? ちょいと、キミ、動けてるじゃん? イベント終わり?』

男「……」スタスタ

男『は……? オレ動いてなんて……待て、まただ! さっきのは行動制限じゃない!』

 『へ? じゃぁ、まさか……』

男『さっきのは行動支配だ! 身体が勝手に動かされてる!』

 『おおっとぉ? もしかしてキミが暴漢から幼ちゃんを救うイベントキター?』

男「……」スタスタ…

男『っ! そうか、それなら……!』

 『な訳ないじゃーん! キミ、主人公じゃないんだぜ? とすると、だ』

 『考えられる役割っつったら、一つしかないように思えるんだがねぇ……?』


男「……」スタ… ピタ

男『まさか……おい、天使! オレを止めろ、早く!』

天使『分かってる! ぐぬぬ……ちょ、ちょっと手加減して……!」スゥ… ググク

男『手加減も何も、何も出来ねぇんだよ! そ、そんなに力強いのか!?』

天使「こ、これは無理……ゲームの強制力がここまで……キャァッ!」ドスンッ!

男『お、おい! 天使、大丈夫か!』

天使「ご、ごめ……もやしっ子な私にはちょっと荷が重かった……バタンキュー」ガクッ

男『天使! しっかりしてくれ! 頼む、もうお前しか……!』


幼「……?」スタ… ピタ

男「……」ソーッ

男『お、おい……やめろ……お前、オレの身体だろうが……!』

男「……っ!」ダッ! ガバッ!

幼「っ! だ、誰ですか!? キャッ!」ドサッ!

男『天使! 起きろ! クソ、身体動けよ! なんで、なんでだよ!』

男「ハァハァ……幼……! 幼!」グググ

幼「えっ!? 男……! や、ヤダ! 止めてよ!」ジタバタ

男『頼む! 動け動け動け! 動けよ、オレ! 動けっつってんだろぉが!』


男「幼、幼! お前が……お前が悪いんだ! オレ、ずっとお前の事好きだったのに!」

男「あんな、イケメンなんかにお前を渡すくらいなら……オレは!」

幼「止めて! 怖いよ! こんなの……こんなの男じゃない!」

男『そうだよ! オレじゃねぇんだよ! だから、止めてくれよ!』

男「クソ……オレが……オレのもんに……えぇい、服が邪魔だっ!」ビリビリィッ!

幼「っ! ヤダヤダ! お願い、許してよ! 私、好きな人が……!」

男「うるせぇ! どうせイケメンなんだろ! あんな奴にヤられる前にオレが!」ゴソゴソ

男『クソ、マジで止めろ! こんな形で幼を穢したくねぇよ! おい!』


男「ハァハァ……幼、オレ、お前の事好きだ……だから……!」ブチィッ

幼「イヤ……イヤァ……誰か、助けて……」ポロポロ

男『やめろやめろやめろやめろぉぉぉぉ! 誰でもいいから、助けてくれよぉぉぉ!』

男「幼……大丈夫、怖くない、怖くないから……」ペロ…

幼「止めて……止めてよぉ……」ポロポロ

男『うがあぁぁぁぁぁぁあっ!』






 「てめぇ! 何してやがるっ!」バキッ!



.


男「ガァッ! ゲフッ……!」ドスン!

幼「え……あ……」ポロポロ

 「ふざけんな! てめぇ、幼に何しやがる! 死ね! 死んでしまえ!」バキッ! ガスッ!

男「グハッ! ガッ、ゲフォ! オエェェ……」ボタボタ

 「この! この! 変態が! お前! 殺してやる!」ガッ! ガッ! ガッ!

幼「や、やめてぇ! それ以上やったら、男が死んじゃう!」






幼「やめてよ! ……友!」


男『……え?』






.




 ── 友ガ幼ヲタスケタ ──
── ナラシュジンコウハ…… ──
   ── 友……?  ──



.


友「幼! 大丈夫か!」

幼「わ、私は……大丈夫。 服は破けたけど、友が助けてくれたから……」

友「っ! わ、悪ぃ。 後ろ向いてるから、これ羽織ってくれ……」スッ

幼「……ありがと……」

友「男の奴……一体なんで……?」

幼「私の事好きだったって……私がイケメンくんと付き合うって誤解して、それで……」

友「だからって襲って良いってことにはならねぇよ。 こんな屑だったとはな……」

幼「……」


友「でも良かった、間に合って……オレ、ずっとお前の事探してたんだ」

幼「私の事を……?」

友「ごめん。 さっきの告白、オレも見てた。 それで気付いたんだ」

友「……幼馴染だから気付かない振りしてた。 でも……」

友「オレ、お前の事が好きだ。 それを伝えたくて……」

幼「友……」ポロポロ

幼「私も……私も友の事が……好き! 好きなの!」

友「幼……ありがとう。 オレと……付き合ってくれるか?」




幼「……うん! 友、大好き!」チュッ


友「オレも……大好きだよ、幼!」ギュー



.


幼「……ねぇ、男……大丈夫かな?」

友「こんな奴どうでもいい。 どうせ死にはしねぇよ……」

友「それよりお前の方が心配だ。 明るい所で怪我してないか確認しないと……」

幼「……うん」

友「送っていくよ。 後ろ向くから、上着きちんと着てくれるか?」

幼「……友は、紳士なんだね……」カァ

友「バーカ、そんなんじゃねぇよ! ほら、さっさと着てくれ」

幼「……うん」ゴソゴソ





友「……聞こえるか、男? 幼はオレが貰うぜ……そこでゆっくり寝てろ、バーカ」ボソッ





.

本日はここまで。

犯人が判明しましたがまだ続きます。


男『……』

天使「男、生きてるー……?」

男『オレは……どうなった?』

天使「大丈夫、まだ天界には行けないみたい。 意識は失ってたみたいだけど……」

男『……まだゲームの支配下にあるみたいだな。 痛みを感じないのは助かる』

天使「今のうちに心構えしときなー? 支配がとけたら、感覚が一気に戻るし」

男『ハッ、痛みが一気に襲ってくるわけか。 クソ、あいつ好き放題蹴りやがって……』

男『っと。 支配が解けそうだ……感覚が戻ってくる……』

男「……ぅ? ……ぁ……ぁあぁあぐおぉぉぉぉ! 痛えぇぇぇぇぇぇぇっ!」ビクン!

天使「男! しっかりしろー! 死ぬな! せめて私とえっちしてから死ね!」

男「ひいぃぃぃ! く……うがぁぁぁぁぁ!」ビク! ガクガク…

天使「男……! うっわ、これやっべー! 死ぬなー、マジで死ぬなー!」ギュー


男「ゲホッ! ハァハァ……く……天使……もう、大丈夫だ……」

天使「男、無理すんな! まだ動ける状態じゃないって!」

男「ハッ、お前が心配するとは……かなり酷いみたいだな……」

天使「馬鹿! 今は喋らない! とにかく、家まで運ぶから……」

男「……もやしっ子のお前には無理だ……もう少し休めば、動けるから……」

天使「……分かったよぅ。 このまま、少し横になってて……」

男「……抱きしめてくれてたんだな……すまん……」

天使「私、天使だからー。 目の前で傷ついた人がいりゃ助けるに決まってるじゃん?」

男「ハッ、ペ天使の癖に……」


天使「ところで男……さっきの、覚えてるよね? 主人公役が……」

男「悪い、今は……その話は、帰ってからだ。 でないと……動けなくなりそうだ」

天使「ん……で、どう? そろそろアソコだけでも動かせるんじゃないかい?」

男「アソコだけ動いてどうするんだよ……っと、そろそろ大丈夫」ググ…

天使「あれだけ殴る蹴るされて、もう動けるとか……連邦のmsは化け物か!」

男「だれがガンダムだよ……っと」ヨロ…

天使「ほれ、肩貸しちゃる。 でも女に肩借りるとかだっさ!」

男「あぁ、マジでダサいな……人に逢わない事を祈る……」

天使「ちゃんと体重かけてる? よーし、それじゃしゅっぱーつ!」タッタッタ

男「アホか! この状態で走れるか! おい、歩けよ、歩いて下さいよ!」ズルズル


男「痛っ! もっと優しくしてくれよ……」

天使「ゃん! その代わり、私の処女奪うときは優しくしてね……」モジモジ

男「……自分でやります。 ちょ! 消毒液鼻に入れようとすんな!」

天使「……でさ。 さっきの事なんだけど……」

男「……間違いないよな。 主人公役は、友だ……」

天使「うん。 まさかヒロインをモブが助ける訳ないしね……」

男「でも、お前友は支配されてないって……あの時、確認したよな?」

天使「……ごめん、そこは私も勘違いしてた」

天使「言ったじゃん? 意思に反して操られてる場合、捻じ曲がった運命が見えるって」

天使「友くん……友は、意思に反してなかったんだよ。 だから、見えなかった」

男「意思に反してない……つまり、意図的に操られてるってことか?」

天使「意図的というか……ゲームの進行が、自分の思惑通りってことだろうね」


男「な、なぁ……それってよ、つまり……」

天使「キミから、幼ちゃんを奪うことが、友の思惑通りって事さね……」

男「嘘だろ……オレとアイツは親友でよ……ずっと一緒だったんだぜ……?」

男「幼と付き合うって報告した時も、凄く喜んでくれてよ……それが……」

天使「……言い辛いけどさ。 裏では、キミを妬み裏切ろうと画策してたって訳だ」

男「黙れ! 友は、友はそんな奴じゃねぇ!」

天使「事実から目を背けんな! キミも聞いただろ、アイツの捨て台詞を!」


 『……聞こえるか、男? 幼はオレが貰うぜ……そこでゆっくり寝てろ、バーカ』


男「でも……それでも……」

天使「ハッ! 別に事実を認められないならいいけどさ、幼ちゃんはどうなる?」

天使「このまま友の上辺だけ信じて、幼ちゃんを奪われたまま何もしないのか!?」

男「く……」


天使「しっかりしなって。 私にあんだけ弄られても平然としてたキミはどこ行った?」

天使「前にも言ったじゃん? キミのメンタルの強さは世界一だって!」

男「そんな事一言も聞いたことねーよ……」

天使「アハハ、その調子その調子! ま、今だけは泣くがいいさ。 少しだけな?」

天使「泣くだけ泣いてから、逆転する方法を考えようぜ! ほれ、こっち来てみ?」グイ

男「うわっ!」ポスッ

天使「ちっぱいで良ければ、貸してやんよ。 今日は私を女と思って、甘えてみな?」

男「……悪い。 絶対顔見んなよ……?」

天使「おうよ。 壁の染みでも数えてるから、その間に泣くなり犯すなりお好きに!」

男「……く、うぅ……うわあぁぁぁぁぁぁぁ……!」ポロポロ

天使「主よ、迷える子羊に光を……」ナデナデ


天使「……もう落ち着いた? そろそろ、ちっぱいが涙で濡れて冷たいんだけど」

男「……あぁ、落ち着いた。 というか泣いてねーし。 ちっぱいどころかまな板だし」

天使「よーし、良い感じじゃん? それじゃ、状況を整理しようぜ」

男「あぁ。 オレたちを支配してるゲームはエロゲーかギャルゲーってとこはいいな?」

天使「いや、ギャルゲーで確定だね」

男「……なんでそういい切れるんだ?」

天使「エロゲーなら、さっきのイベントはもっとねっとりエロエロになってるはず!」

男「く……ある意味、ギャルゲーでマジ助かったって所か……」

今日中に終わるかな?


男「で、だ。 配役は、主人公が友、ヒロインは幼、かませがオレとイケメンだな」

天使「女友ちゃんはわからないままだねー、まぁ、ヒロイン候補かな?」

男「それで、友は……オレから幼を奪う為、お前のゲーム機を起動した……」

天使「拾ったのは偶然だろうけどね。 まぁ、最初は半信半疑だったんじゃね?」

男「……どっちにしろ、結果が問題だ。 今、奴は幼と付き合うことになった」

天使「だね。 ゲームにもよるけど、ヒロイン攻略したんだからエンディングは近い」

男「エンディングになっても、その後が描かれてれば支配は続くんだよな?」

天使「説明書の通りならね。 つまり、なーんにも状況変わってないっつーの!」

男「いや、充分変わってるっての。 さっきは気が動転してたけどさ、これで解決だろ?」

天使「なんでさ?」

男「お前、最初言ってたじゃん。 ゲーム機を取り戻せば、幼も取り戻せるって」

天使「あ……」


男「持ち主が分かったんだしさ、アイツいないときにお前がゲーム機取り返せば……」

天使「……男、ごめん。 私、男に謝らなきゃいけない」

男「……なんだよ。 そんな神妙な顔して……」

天使「私、嘘……ついてた。 ゲーム機を取り戻しても……幼ちゃんは、帰ってこない」

男「っ! どういう……ことだ?」


天使「……これ、見てくれる?」ゴソゴソ

男「説明書? ってか、こんなシリアスな場面でもパンツから出すんだな……」

天使「この前読んだとこの3項目……」

男「『一度ゲームを始めると、始めた本人以外に止めることは出来ません』……」

天使「……多分ね、このゲーム、私にも止める事出来ないと思う……」

男「……じゃぁ、ゲーム機を取り戻しても、ゲームは続いたままってことか……?」

天使「私ね、最初男を利用するだけの道具と思ってたんだ……」

天使「ゲーム機さえ取り戻しちゃえば、誰も使わないからゲーム中でもバレないし」

天使「だから、それでゲーム機持って天界帰っちゃえば解決! ってね……」

男「天使……」

天使「今は違うよ! 元はと言えば私の不始末だし、幼ちゃんもこのままじゃ……」

天使「でも、そんな汚い事考えてたのは本当。 だから、ごめんね……?」

男「……いいさ。 正直に言ってくれたしな」

天使「でも! 男の事、裏切って切り捨てようと……!」

男「今はそう思ってないんだろ? 思ってるなら、こんな話する必要ないんだから」

天使「男……」


男「話を戻すぞ。 今の話からすると、アイツにゲームを止めさせなければいけない」

天使「……そーいうこと。 脅してでも、懐柔してでもいいけど、アイツでないとダメ」

男「……なぁ。 これ、これまで以上に無理ゲーな気がするのはオレだけか?」

天使「ハッ、たけしの挑戦状ノーヒント並だね」

男「脅す、懐柔する、か……懐柔なんて聞く耳持たないだろうしな」

天使「キミが脅すと行動制限入りそうだし、私は人間に干渉したらクビになりそう」

男「……とにかく、一度アイツと話をしてみるか」

天使「……いいの? 多分メチャクチャ傷抉ってくるぜ? 私には敵わねーけど」

男「ハハッ、それこそてめぇで慣れてんだよ、こっちは!」

男「で、それは置いといて。 オレがアイツと話してる間に、確認して欲しい事がある」

天使「おっけー! 任せとけ! それじゃ、行ってくる!」シュタッ

男「まだ何にも言ってねーよ! ダメだコイツ!」


~翌日~


男「……ぐ……」チュン チュン

天使「はよん。 身体の具合はどうだい?」

男「……昨日よりゃマシだけどな。 すっげー痛い」ズキズキ

天使「あー、こりゃひどい。 全身青アザだらけじゃん?」ペラ

男「骨は折れてなさそうだけどな……」

天使「大丈夫? 学校行けそう?」サスサス

男「……無理してでも行くさ。 アイツと話しないとな」


天使「学校までは着いて行くから。 流石に一人では行かせらんないよ」サスサス

男「……悪いな。 撫でてくれて、その、ありがとう」

天使「気にすんな! 朝飯出来てるからさ、無理なら食べなくてもいいけど……」サスサス

男「せっかく作ってくれたんだ、食べるさ」

天使「……そっか。 よし、ならば食らうがいい!」サスサス

男「……おい」

天使「なんぞ?」サスサス

男「さっきからなんでオレの股間を撫でさすっている?」

天使「いやぁ、もしかしてここも蹴られたりしてないかなーって」

天使「ほら、大事な所だし? いや、硬くなるみたいだし、正常でよかった」サスサス

男「確認出来たならやめろ、この馬鹿!」

 『いやぁ、足引きずったりして、ホント満身創痍だねぇ!』

男『……マジキツいんだ、ちゃかさないでくれ』

 『はいはい。 っと、マズいよ……幼ちゃんが来る!』

男『え……? しまった、鉢合わせか!』

幼「……ぁ」ビクッ

男「……」

幼「……ィャ、来ないで……」ジリジリ

男「ま、待てオレは……」

 「幼、お待たせ!」
幼「ぁ……友!」ダッ ギュー

男「ぁ……」

友「おはよう、幼」チュッ

友「……で、てめぇは何してやがる、男」ギロッ

友「昨日あんな事しといて! 幼に近づくな!」

男「……」

友「返事くらいしろよ……またぶん殴られてぇのか!」


幼「やめて!」

友「でもよ……」

幼「……男『くん』。 私昨日の事誰にも言わないから」

幼「……だから、もう二度と近づかないで。 私にも、友にも……」

男「……」

幼「……友、行こ?」ギュ

友「あぁ……」

男「……待て、友。 放課後話がしたい」

友「こっちには話することなんかねぇよ。 二度と近づくなって言われたろ?」

男「放課後、体育館裏で待ってるからな……」

友「知るか! さ、行こう、幼」ナデナデ

幼「……ん」カァ

 『……大丈夫、男……?』

男『……大丈夫に見えるか?』

 『見えない……ごめんね、男……』

男『お前のせいじゃない。 謝るな……』

天使『……男」スゥ…

男「お、おい! こんな往来で実体化すんな!」

天使「……」ギュー
男「……天使」

天使「……ごめん、こんな事くらいしかしてあげられない」ギュギュー

男「……分かってくれてる奴が一人だけでもいるだけで救われてるっての」ナデナデ

男「ほれ、いつもの調子はどうした? そんなんじゃこっちが滅入っちまう」

天使「ん……そうだな! ズタボロで表情まで暗かったら救いようがないもんな!」

男「ハッ! 少しくらい憂いがあったほうがモテるんだよ!」

天使「……憂いがあってもなくてもカッコいいよ、男は」ボソッ

男「あぁ? なんか言ったか?」

天使「なんでもない! ほれ、急がないと遅刻すんぞ!」


男友「お、おい男! お前、どうしたんだよそのケガは!」

オタ「酷い有様でござるな。 女だったら綾波かと思う所でござる」

男「……ちょっとケンカしてな」

男友「お前ケンカ弱いくせに……どうせ一方的にやられてたんだろ?」

オタ「なんでしたら拙者と共に空手でも習いますかな? 通信教育でござるが」

男「通信教育の空手って意味あんのかよ……」

 『男、私そろそろ確認に行って来ようかと思うんだけど……』

男『あぁ、頼む』

 『……ホントに一人で大丈夫?』

男『大丈夫だ。 それより、頼むぞ? お前にしか出来ないんだからな』

 『まーかせて! 絶対にお土産持って帰るからね!』

オタ「……ボーっとしてるが、本当に大丈夫でござるか?」

男友「コイツ、マジで頭やられてねぇよな……?」


男「……来たか、友」

友「よぉ、相変わらず身体だけは丈夫みたいだな。 結構本気で蹴り入れたんだが」

男「あぁ、メチャクチャ痛かったよ……だが、そんなこたぁどうでもいい」

男「友……どういうつもりだ?」

友「ハァ? お前、わざわざそんな事聞くために放課後呼び出したのかよ……?」

友「それにどっちかというとこっちの台詞だろ? どういうつもりで幼襲ったんだよ?」

男「お前の方が良く知ってるだろ? 時間の無駄だ、腹の探り合いはいらねぇよ」


男「友、なんでだ。 なんでオレたちをゲームで操ろうとする?」

友「……男。 なんでてめぇがゲームの事知ってやがる」

男「こっちが聞いてんだ、先に質問に答えろよ。 そしたら教えてやんよ」

友「……ハッ! オレぁな、昔っからてめぇの事が大ッ嫌いだったんだよ!」

男「っ!」

友「親友面しやがって、吐き気がする! 幼馴染だぁ? こっちから縁切りてぇよ!」

友「しかも、好きだった幼はお前と付き合いだして? オレだって幼馴染なのに?」

友「てめぇ、付き合った翌日に間抜けな顔して報告に来たよな、幼と一緒に……」

友「あの時のオレの気持ちが分かるか!? お前と幼、二人に裏切られた気持ちが!」

男「友……お前、そんな風に……」


友「だからよ、あのゲーム機を拾った時藁にもすがる思いで試してみたよ……」

友「うちにあった中で、一番オレの望む状況に近い結果になりそうなゲームで!」

友「そしたらよぉ……次の日、お前いきなり別れたとか言い出すんだもんな!」

友「あの時ぁ、内心大笑いだったぜ! あのゲーム機が本物だったんだもんな!」

男「……やっぱりてめぇがゲーム機を拾ってたんだな……」

男「しかも、それで幼の心と身体を弄びやがって……てめぇ、そこまで屑だったかよ!」


友「ハン! 幼は今の方が幸せなんだよ、アイツの為にやってんだ!」

男「ふざけんな! 全部てめぇの私利私欲だろうが! このクソやろ……ガァッ!」ドクン

男「ぁ……うぁ……」パクパク

友「あ? てめぇ、今オレを殴ろうとでもしたか? なるほど、行動制限がかかったか」

友「そりゃそうだよな。 お前は、オレにボコボコにされる暴行犯の役なんだぜ?」

友「お礼参りするなんてシナリオ、ゲームにはなかったからなぁ……アッハハハハ!」

男「ッ! ガハッ……クソ、こいつ殴らせろよ……」


友「おい、こっちは答えてやったぞ? 次はお前の番だ、なぜゲーム機の事知ってる?」

友「しかも、お前元の記憶と意識があるよな? まさかとは思うが……」

男「お前も説明書は読んでるんだろ? そう言う事だよバーカ」

友「へぇ、マジで天使なんて居んのか! もしかして、お前と住んでるってアレか?」

友「そういや、羽ついてたもんなぁ……コスプレかと思ってたけど、マジもんか、あれ」

友「惜しいな、知ってたら天使も攻略対象なゲームにしてやる所だったのによ!」

男「てめぇ!」


友「しかし、良い情報をありがとう。 お前に前の記憶があるってんなら……」

友「これから幼とオレの仲を見せ付けてやると、お前の反応が楽しみだよなぁ……」ニヤ

男「友! てめぇ……許さねぇからな!」

友「許してくれ、なんて頼んだ覚えねーぞ? むしろ、お前が土下座して頼み込めよ」

友「お願いします! 幼には手を出さないで下さい……てな?」

友「ま、聞かねーけど! なんだったらお前の目の前で犯してやるよ!」

友「手つけてないんだろ? 幼の初マンコ見せてやるよ……チンポ突っ込みながらな!」

男「ふざけんな! クソ、てめぇは、てめぇだけは殺す! 殺して……ガァッ!」ドクン

友「学習しないな。 お前はオレを殴れないんだよ……こっちは殴れるけどな!」バキッ!

男「ゲフッ!」ドサッ

友「あーあ、靴が汚れちまった。 もぅ、いいか? オレこれから幼とデートだからよ」

男「クソ、クソォォォォ!」


友「安心しろ、昨日の事は警察には言わねぇよ。 幼が止めてくれって言ってたしな」

友「それと良い事教えておいてやるよ。 オレな、今どのルートに居ると思う?」

男「ルート……?」

友「ゲームの話だよ。 ほら、誰々ルートとかあんじゃん? あれよ、あれ」

男「幼ルートじゃないのかよ……?」

友「残念。 オレが選んでる行動だとな……ハーレムルートに突入すんだよ」

男「な……! てめぇ、まさか……」

友「おうよ! この学校のめぼしい女はオレが頂いちゃいますんで! んじゃな!」ヒラヒラ

男「待て! 待ちやがれ! 友、ふざけんなぁぁぁぁぁ!」

本日はここまで。

>>177
すまん、まだ半分ちょっとなんだ……


天使「それで青アザ一つ追加して帰ってきたわけ? だっさ!」

男「うるせー、こっちから手出せないんじゃサンドバッグにしかならねぇよ、クソ」

天使「いいじゃん、我々の業界ではむしろご褒美ですよ……冗談だからなぐらないで」

男「とにかく、アイツを殴ろうとすると行動制限がかかる」

天使「つまり、直接脅してゲーム止めさせるってのは無理だねー」


天使「で、殴ろうとしたって事は、アイツの本心……分かったんだよな?」

男「あぁ……アレは操られて言ってるんじゃない。 アイツの本心だった……」ジワ

天使「ほらほら、泣かない泣かない! キミは泣き虫だなぁ、全く!」

男「捏造すんな! 全然泣いてねぇよ!」

天使「アハ、照れちゃってかーわいー! んでんで、他には何か言ってた?」

男「アイツ、ハーレムルートに向かってるってよ。 他の女もオレの物だ、とか」

天使「し、心配しなくても私はキミの物なんだからね……?」テレテレ

男「うるせぇ、捨てるぞ! それで、お前はどうだったんだよ?」

天使「おお! よくぞ聞いてくれました! いやぁ、語るも涙笑うも涙の大冒険!」

男「涙出るほど大笑いしてんじゃねぇか!」


天使「教えて貰った友の家にゲーム機、あったよ」

男「間違いないか? 普通のゲーム機じゃないよな?」

天使「テレビも電源も繋がってないのに動いてたからね。 間違いないでしょ」

男「それで? なんのゲームだったんだ?」

天使「それがさー、ほら、一応試したけどゲーム機止められなかったじゃん?」

男「あぁ、やっぱりお前でも止められなかったのか……」

天使「クルクル高速回転してるcdからタイトルを読み取れって無理難題押し付けんな!」

男「お前なら出来る!」

天使「出来たよ! 同じ速度でクルクル宙を回ってやったさ! こんな風に!」バサバサ

男「なにそれスゲェ! でもなんかキメェ! あと羽根が飛び散るから止めて!」


天使「あ、これ回収してきた羽根です。 羽根くすぐりプレイにでもご利用下さい」スッ

男「いらねぇよ! それより、タイトルはなんだったんだよ!」

天使「『幼馴染はアナタの事を思うとキュンとしちゃうの』」

男「……は?」

天使「『幼馴染はアナタの事を思うとキュンとしちゃうの』」

男「うっわ……友の奴、ゲーム嫌いとか言ってそんなゲームしてたのかよ……」

天使「ゲーム好きじゃないのは確かっぽいよ? あの部屋、ゲーム殆どなかったし」

男「おま、漁って来たのかよ……」


天使「すごかったぜぃ? ほら、こんな幼ちゃんのあられの無い写真とか……」ピラ

男「これは……三人で海水浴行った時の……アイツ、盗撮なんかしてたのかよ!」

天使「ざっと見る限り、18禁なのはなかったから安心しなー? 15禁止まりだ」

男「15禁でも最悪だっての! クソ、アイツマジでぶち殺してやる……」

天使「だから、殴れないっての……んで、調べなくていいのかい?」

男「そうだった。 ゲームの内容調べなきゃな……おい、タイトル何だったっけ?」

天使「『幼馴染はアナタの事を思うとキュンとしちゃうの』」

天使「……って何度も言わせんな! こっちが恥ずかしくてキュンとしちゃうの!」


男「……っと、このサイトなら……」カタカタ

天使「なにここ。 ストーリーをネタバレするスレまとめ……?」

男「今からゲームやってる暇ねぇからな。 とにかく全体像を掴む」カチッ

天使「なるほどねー。 ストーリーの流れをつかもうってことか、悪くないじゃん?」

男「お……結構詳しいな、何々……?」

★幼馴染はアナタの事を思うとキュンとしちゃうの

・ようこルート
主人公のたけしは幼馴染のようこに好きな男が出来た、という話を聞く。
友人であるまなぶ・めぐみと尾行するとイケメンで有名なひとしの影が。
ようこに言い寄るひとしを見るうちに、たけしにようこへの恋心が芽生える。
その翌日、ひとしがようこに告白する様子をまなぶと目撃してしまう。
焦ったたけしは、その後ようこに告白をすることを決意する。
だが、たけしが告白のためようこを待っていると、既に帰ったと聞く。
探しに行くと、まなぶが強引にようこを襲おうとしているのだった。
まなぶもようこの事を好きだったが、ひとしの告白で暴走してしまったのだ。
そんなまなぶを殴り、ようこを救い出すとたけしはようこに告白する。
ずっと好きだった、と……
そして二人は付き合うことになる
その後しばらくデートなどを繰り返し、好感度が高ければハッピーエンド。
ハッピーエンドは卒業式の日に、これからもずっと一緒だ、と二人約束して、手をつないで歩いていく。
バッドエンドは卒業式の日に、違う大学へ行く事になるからと別れを切り出される。
お互い、良い思い出として別々の道を歩いていく事に。
付き合う事になった後、他の女の子全員の攻略フラグをたてるとハーレムルートへ。

・めぐみルート
ようこを一緒に尾行した際、めぐみはたけしがようこを心配する姿に嫉妬を覚える。
しばらくして、それが恋だと気付くとようこを心配しながらたけしと行動を共にする。

……


男「……なぁ、天使……どう、思った?」

天使「クソゲー臭がプンプンするね。 さっきのが山で後は何もイベントなしとか……」

男「だいたい、このたけしとかまなぶって名前で感情移入出来んのかよ……」

天使「だよな、全く緊張感がないよな……なぁ、まなぶ!」

まなぶ「うるせぇ、好きでまなぶ役やってんじゃねぇよ!」

天使「で? ようこはたけしの事思ってキュンとするの? いつ?」

男「……まなぶから助けた時じゃねぇか?」

天使「別に幼馴染じゃなくてもいいじゃん。 うっわ、無駄な設定!」

男「そう思わんでもないが、目的はゲームのダメ出しじゃねぇからな?」

天使「私すっかり目的勘違いしてた! あるよねー、クソゲー話で盛り上がるとか」

男「お前はどんだけ俗な天使なんだよ……」


天使「ま、とにかくだ。 見た感じ後はエンディング一直線なわけだが」

男「後で攻略サイトも覗いてみるが、残りは消化試合っぽいもんな。 説明適当だし」

天使「でも、こっちとしては厄介だね。 ある意味、勝負がついてしまってる」

男「友のあの口ぶりだと、やりこんでるみたいだしな。 ……こんなクソゲーを」

天使「ゲームに詳しくないから、こんなのでも充分楽しんでるんじゃね?」


男「……とにかく、友はハーレムルートに入るって言ってた。 ということは、だ」

天使「書いてある通りなら、これから回りの攻略対象の子のフラグ立てに奔走するね」

天使「ということは、幼ちゃんにはあまり構っていられないってことかな?」

男「……付き合うことになっちまってるけどな」

天使「まぁ、流れ上そこはねー。 でもさ、ほら、そこは手出されないだけマシだから」

男「ん……待てよ? ……そうか! アイツがゲームを止める可能性があるぞ!」

天使「ふぇ? わざわざ理想的なこの状況を崩すかねぇ?」

男「あぁ、多分アイツ一度ゲームを止める。 ただし、それがラストチャンスだ」

天使「ふぅん? 何か気づいたようだね。 どれ、ちょっと話してみ?」


天使「……なるほど。 そりゃ確かに止めるわ。 良く気づいた、偉い偉い」ナデナデ

男「まぁ、確認してみないと何とも言えねぇが。 という訳で、出かけるぞ」

天使「ゃん、まだホテルに行くには早いよぅ……もう少し暗くなってから、ね?」テレテレ

男「アホ! ゲーム屋だ、その幼馴染がなんとかってゲーム買いに行くんだよ!」

天使「エー、こんなクソゲーやんの? もっと面白いの買おうぜ、ドカポンとか」

男「お前、それこの協力体制をぶち壊したいって宣言か? そうなんだな?」

天使「んじゃ、ジブリール買おう、ジブリール! 見ながらリアル天使プレイ……」

男「しねーから。 てか、触手とかどうすんだよ、それ」

天使「んー? おやー? なんでジブリールが触手ゲーって知ってるのかなぁー?」ニヤ

男「っ! た、たまたまオタから聞いたことあるだけだ! いいから行くぞ!」

天使「ぶ、ラジャー!」



たけし「オレ、お前の事が好きだ。 それを伝えたくて……」

ようこ「たけし……」ポロポロ

ようこ「私も……私もたけしの事が……好き! 好きなの!」


.


天使「ふぁー……なぁ、正直な感想、言っていい?」

男「……言わんでもわかる。 ……メチャクチャつまんねー……」

天使「ストーリーはありがち、山もイマイチ、おまけにシステムも最悪」

男「キャラのデッサンも狂ってるしな……アイツの感性を疑う」

男「実際体験してた時はこのイベントかなりキツかったのに……」

天使「やっぱさー、名前大事よ、名前。 たけしじゃなー……」


天使「なー、まだやんの? ぶっちゃけ、寝ていい?」

男「付き合えよ……こんなの、一人で黙々とやってたら寝落ちるぞ、絶対」

男「今日は徹夜してでも、ようこルートとハーレムルート攻略すんだからな……」

天使「このゲーム2週とか、苦行じゃん……」

天使「スキップもないんだよ!? この茶番、もっかい見なきゃいけないわけ!?」

男「大丈夫、分岐はこの先だからここは見なくていい……」

天使「そういう問題じゃねー! マジクソゲーだこれ! クソゲーオブザイヤーだ!」

男「分かってる事言わなくていい……なんか楽しくなる事言ってくれよ……」

天使「隣の家に囲いが出来たってねぇ……イェイ、カッコイー!」

男「帰れ!」


~翌日~


男「お、終わった……」チュン チュン

男「起伏のないイベントに、達成感のないエンディング……最悪だった……」

天使「……」スピー スピー

男「くそ、1週目で脱落しやがって……ふあぁ……眠い……」ウトウト

男「おい、ベッドから退けよ……眠てぇ……」トサッ

男「……」スー スー

天使「……」スピー スピー


男「ふあぁ……ぁ……寝ちまったのか、オレ……」ムニ

男「……ムニ?」

天使「……えっち///」

男「っ! わ、悪い! ……ってか、さっさと脱落しやがって……!」

天使「だってつまんなかったんだもん……ご感想は?」

男「つまらんかった」

天使「そうじゃなくてぇ……私のちっぱいの、ご感想は?」

男「つまらんかった」

天使「ブーブー! そこはお世辞でも気持ちよかった、とか柔らかかった、でしょ!」

男「触りたくて触ったんじゃねぇ…… って、今何時だ!」

天使「ふぇ? 9時過ぎですが、何か?」

男「何か? じゃねぇ! 遅刻じゃねぇか!」


天使「いいじゃん、サボれサボれー。 どうせ行ったって何もできねーよ?」

男「……それでもな。 やらなくて後悔する事だけはしたくねぇ」

天使「……カッコいいじゃん? ま、今まさに幼ちゃんとヤらなくて後悔してるけど!」

男「ク……幼取り戻したら最初にヤってやるよ!」

天使「んじゃ、さっさと顔洗って目覚ましてきなー。 顔、パンダだぜ?」

男「あぁ……天使、飯いらねーからな! 絶対作るなよ!」

天使「上島的ネタフリ? どうぞどうぞ、みたいな?」

男「朝っぱらからそんなコント果てしなくウザいだけだ!」


 『んで、ゲームの方はどうだったん? 予想通り?』

男『半分頭寝てたけど、見た限りでは。 感想としては、近年稀に見るクソゲー』

 『ま、過去の名作も今見たらクソゲーだったりするしねぇ……』

男『いや、あれは過去どの時点においてもクソゲーだと思うぞ……?』

 『ま、とにかく買っただけの収穫はあった、という訳だ』

男『クソ、あんなクソゲーの為に来月の小遣いまで使い込みとは……』

 『しょうがないなぁ……ほら、私が夜の相手してあげるから、風俗代浮かしていいよ』

男『もともと風俗なんか行ったことねぇよ!』


男友「よぉ、重役出勤だな!」

男「あぁ、ちょっと寝坊してな……」

オタ「フヒヒ、ゲームでもしていましたかな? 目の下が真っ黒でござるよ?」

男「徹夜でな……幼馴染がキュンとしちゃうとかなんとかって奴」

オタ「『幼馴染はアナタの事を思うとキュンとしちゃうの』でござるか!?」

オタ「ま、まさかあんなクソゲーで徹夜する人がいるとは……プ、クク……」

男友「あ……お前だったのかよ! 昨日それ買って行った馬鹿ってのは!」

男「な、なんで知ってるんだ!」

男友「だって、この辺でゲーム売ってるのオレのバイトしてる店しかねーじゃん」

男友「バックで休んでたら、先輩が大笑いして「馬鹿がいた!」だってよ!」

男「お前、アソコでバイトしてたのか……クソ、めちゃくちゃ恥ずかしい……」


オタ「いやー、今どきあんなクソゲーをわざわざ買うとは! 笑えるでござる!」

男友「オレも、あのゲームの在庫減ったの2年ぶりって聞いたぞ!」

 『もしかして、2年前に買ったのアイツだったりしてねー……』

男『あり得る……あんなゲームわざわざ買う奴いねぇしな……』

オタ「で? あんな恋愛物というより全編寒いギャグみたいなゲームの感想は!?」

男「古今東西稀に見るクソゲーだった。 あんなので感動できる馬鹿はいねぇよ……」

男友「へぇ、そんなにクソゲーかよ……逆に興味沸いてくんな、それ……」

オタ「まぁ、レビューサイトでも最低点つけられたりしてますからなぁ……」

男友「実況とかしたら受けそうな……って、おい男?」

男「なんだよ?」

男友「さっきから、友が凄い形相でこっち睨んでるんだが……お前、なんかしたのか?」

 『あー、アイツ、本気であのゲーム好きなんだ……信じられないけど』

男『自分の感動したゲームボロクソに言われりゃ、腹も立つわな……同情はしないが』


友「……」ギロ

オタ「半分涙目でござるな……何があったのでござろう……」

男「……知らねぇよ。 オレ、アイツとは縁切ったし」

オタ「なんと! ……何があったのでござる?」

男友「……待て、オタ。 男、友と縁切るなんて余程の事だろ。 今は聞かねぇよ」

男友「話したくなったら言ってくれ。 相談にも乗るからな……?」

オタ「……そうでござるな。 好奇心が先走りもうした。 すまぬ……」

男「いや、いいんだ。 二人とも、ありがとうな……」

 『へぇ……良い友達じゃん。 親友は屑だったのに!』

男『あぁ……言ったろ? 良い奴らだって』


 『んで、今日からはどうするんだい? また尾行すんの?』

男『いや、ストーリーはわかったしな。 どうせイベントは止められないし』

 『あー、イチャイチャ見せ付けられるだけかー、そりゃ意味ないわ』

男『昨日話した通りなら、アイツがゲームを止めるまではまだ時間がかかる』

男『それまで、色々他の手も取っておきたい……他の候補者を探すぞ』

男『なにしろ、一発勝負だ。 少しでも勝率を上げないとな……』

 『うむ。 で、探すとなると天使アイの為に実体化する必要があるんだが』

男『校門前に喫茶店がある。 窓際の席から校門を見張るぞ』

 『……いいの? 絶世の美少女とデートしてたって噂になるぜい?』

男『この際オレの評判は二の次だ。 ゴスロリコスプレ女とデートって噂も受けよう』

 『ひどい! 好きでコスプレしてるわけじゃないのに!』

男『コスプレしない方がおかしいだろうが! 悔しかったら羽消してみろ!』

 『羽消したら天使じゃなくてただの美少女じゃん!』

男『お前、半分男だろうが!』


天使「んー♪ このパフェ、うまうまだねー! うまうまー!」パクパク

男「美味いのはいいが、ちゃんと外見張ってろよ? お前頼りなんだから」

天使「わかってるってー! 天使アイの性能を信じろー!」

男「イマイチ節穴っぽいんだよな……」

 「ねー、あれコスプレ?」ザワザワ

 「学校の目の前だってのに、凄い度胸というか……」ザワザワ

天使「二ヒヒ、みんな私の美貌に注目してんな……ちょっと優越感」フンス

男「アホ、珍獣を見てる目だって気づけ、脳内お花畑」

天使「どっちかというと一緒にいるキミに興味深々だろうけどねー?」


天使「そいや、ヒロイン候補は何人居たんだっけ?」

男「めぐみにあきこ、ふみえ、それとようこの4人だな。 全員学生って設定だ」

天使「じゃ、幼ちゃんと女友ちゃんで、あと2人か……」

男「ま、実際にはその周りの連中含めもう数人ひっかかりそうだけどな」

天使「特徴は?」

男「あきこが生徒会長のツンデレ、ふみえが図書室に住む無口って設定だ」

男「だが、うちの生徒会長は男だしな……図書室には誰でも行けるし、絞れん」

天使「ふむー……なぁ、これ別に友尾行してりゃよかったんじゃね?」

男「今頃言うな。 てか、明日からはそうする。 今日はアイツ幼とイベントだ」

天使「ほほぅ、ゲームプレイして全体像が掴めたようだねぃ」

男「それくらいの意味が有ってくれないと、時間と金が可哀想だ……」


天使「……むむ? グ……目が、目がうずく……あの女だ、あの女が操られている!」

 「やだ……コスプレの上に厨二……?」ザワザワ

男「頼む、頼むから自然に報告してくれ! ……で、どいつだ?」

天使「今校門を出た、眼鏡かけてる子……」

男「あれは……書記さんか。 生徒会の書記の子だ」

天使「生徒会長のあきこ役かな?」

男「だろうな。 イベントが生徒会室で発生するから、生徒会の中から選ばれたんだろ」

天使「なるほどねー、ま、妥当な線じゃない? で、あの子追う?」

男「追っても今日はイベントないしな。 それより、もう一人を特定したい」

男「明日になれば図書室でふみえとイベントだけど、情報は早さが肝心だからな」

天使「おっけー! んじゃさ、もう一個パフェ頼んでいい? いいよね! やった!」

男「何にも言ってねぇよ! ……店員さん、パフェとコーヒーお代わり……」


天使「……出てこないねぇ」

男「だな……もう帰ったか? いや、終礼終わってダッシュしたしな……」

天使「んでも、そろそろ部活してた連中も終わりだよ? どうする? ホテル行く?」

男「なんでホテルなんだよ……ほれ、いいからちゃんと見張っとけ」

天使「へいへい……っと、待ってた甲斐があったね。 来たよ!」

男「お……? あの子は……えっと……」

天使「地味目な感じだかんね、いちいち覚えてないか……」

男「いや、思い出した。 ありゃ、隣のクラスの子だ。 ハブられてる子」

天使「いじめいくない! 虐められていいのはキミだけだ!」

男「オレも虐められたくねぇよ! ……いじめというより、馴染んでないって感じだ」

男「帰り際、教室で一人残ってるのを何度か見た事がある」

天使「内向的な子なのかな? なるほど、それで図書室の無口ちゃんか……」

男「ゲーム機もなかなか役に会った子をチョイスするもんだ、そこだけは褒めてやる」


天使「で、一応ヒロイン候補が出揃った訳だが。 これからどうするつもり?」

男「……情報を集める。 あの二人の周りを仲間に引き込みたい」

天使「……それって意味あんの?」

天使「私たちが出来るのって、アイツがゲーム止める時に取り押さえるくらいじゃん?」

男「それにしたって人手が多い方がいいだろ? ……それに一つ気になってる事がある」

天使「ほほぅ、言ってみ、言ってみ?」

男「帰ってからな。 これ以上ここに長居すると追加で出費することになりそうだ」

天使「チッ……」

男「今お前舌打ちしたよな!? お前、今日晩飯抜きだからな!」

天使「そ、そんな! 後生だ、食べさせて! 代わりにキミのソーセージ食べるから!」

男「てめぇ! 公共の前で何口走ってやがる!」

本日はここまで。

男が気付いた事に気付くと幸せになれるかも。
でも脳内に留めて書かないように注意。


男「……そう、その二人なんだけど。 何か知らないか?」

男友「おい、お前……幼ちゃんに振られたからって、その二人と付き合おうってのか?」

男「いや、そういうのじゃない。 頼む、理由は聞かないでくれ」

男友「……分かった。 まぁ、どうせ無理だろうしな」

男「というと?」

男友「二人とも彼氏がいるよ。 特に、書記さんはオレのバイト先の先輩の彼女だ」

男「っ!」

男友「無口さんも、ハブられてる原因の一つは他校の彼氏優先しすぎたせいらしいし」


男「……なぁ。 その先輩だけどな? 最近、様子がおかしくなかったか?」

男友「あぁ? そういや、少し元気ないみたいだったな。 昨日も空元気っぽかったし」

男「……そうか。 そう、だろうな……」

男友「……おい。 お前、何か知ってるのか?」

男「書記さんな……多分、その先輩と別れてるぞ。 多分、な……」

男友「な……んなわけねーだろ? あの人たち幼馴染で、別れるはずが……あ」

男友「……そうだな、お前だって幼ちゃんと別れたんだもんな……」


男友「でも、何でお前がそれを知っている。 お前、二人と付き合いなんてねーだろ?」

男「それは……実はな、それは……ガァッ!」ドクン!

天使「男! 行動制限? 落ち着いて……大丈夫、大丈夫だから……」

男「ぅ……あ……」パクパク

男友「どうした? 何かあったのか? それに今女の声がしなかったか?」

男「ぅ……ふ、ぅ……い、いや、何でもない」

男友「そんな様子じゃねぇだろ……」

男「とにかく、だ。 理由は聞かずに先輩に確認して結果を教えてくれ、頼む」

男友「……わかった。 オレも先輩の事心配になってきたしな。 後で電話する」プッ


天使「大丈夫?」

男「あぁ……しかし、なんでだ? これまでゲーム機の話して制限かかった事ないのに」

天使「……きっと、男友くんが支配されてない無関係な人だからじゃない?」

男「ゲームの事は関係者のみ知れて、しかし知ると記憶が戻るが喋れない、か。 クソ……」

天使「まぁ、ゲーム機だって無制限に人を支配出来るわけじゃないだろうしね……」

天使「多分、こうやって支配する人を制限してるんじゃないかなぁ……?」

男「……なるほどな」

天使「どうする? 私だったら言えるけど、私から説明しようか?」

男「……そうだな、それも……いや、待て」

天使「……何か問題ありそう?」


男「制限かかるってことは、だ。 第3者が知る事は想定してないって事だ」

男「もし、ゲームに想定してない事……つまりバグがあったら、お前どうする?」

天使「そりゃ、改修するとか、バグ取りするとか……ふむ。 そういう事?」

男「可能性の話だけどな。 もしかしたら支配されるだけで済むかもしれないが」

男「万が一にも、男友がバグとして消されるなんて事になったらマズい……」

天使「賭けに出るには、掛け金が高すぎるかもしれないね……」

男「アイツにはゲームの事は言うな。 これ以上友人を失いたくない」

天使「おっけ。 つくづく厄介だねぇ、あのゲーム機。 まったく、困ったもんだ」

男「それを落としたお前が言うな」

天使「それについては悪かったと思ってるんだよぅ!」


男「……そうか、やっぱりな……」

男友「あぁ……先輩も何で振られたのか、良く分からないって言ってた」

男友「なぁ……何が起きてるんだ? お前の事だってそうだ」

男友「おかしいだろ! 何年も幼馴染やってた二人が、急に二人とも振られるとか!」

男「……」

男友「お前、何か知ってるんだろ! なぁ、教えてくれよ……」

男「悪い……言えないんだ。 でも、原因なら分かるよ……多分、明後日には」

男友「どういうことだ……?」

男「すまん……それも言えない」

男友「……わかった。 何か事情があんだな? 今は聞かない」

男友「でも、オレもオタもお前の友達だからな? 言いたくなったら、相談しろよ?」

男「……男友、ありがとう」

男友「よせよ、なんか照れちまう。 それじゃ、また明日な?」プッ


天使「やっぱ別れてた? 幼ちゃんのケースと一緒だねぇ……」

男「あぁ。 明日、無口さんのイベント確認したらその先輩見に行くぞ」

天使「ん、支配されてないか確認するんだね。 ゲームの事は言わないんでしょ?」

男「あぁ。 知らない人だからって消えていいって訳じゃないからな」

天使「ふふ、キミ、優しい人だよね……口は悪いけど」

男「てめぇには負ける。 さて、飯でも食うか!」

天使「待ってました! 今日は何かなー?」

男「残念だったな、暫くは節制だ。 今日は納豆と漬物だけ」

天使「な!? 私に死ねというのかっ!」

男「お前は食わなくても死なねーだろうが!」


天使「男? ちょっくら背中を流してはくれんかね?」

男「……なぁ。 なんでこうも自然に一緒に風呂入ってるんだよ……」

天使「ふぇ? 男同士の友情を深め合う、みたいな?」

男「クソ、こんなの幼に知れたらオレ殺されるぞ……」

天使「だいじょぶ、そんときゃ3人で入ろうぜぃ!」

男「出来るか! ……ほら、流してやるから背中向け、目に毒なんだよ」

天使「私のちっぱいに興奮した?」

男「しねーよ。 せめてもう2つほどカップを上げてから出直せ」ゴシゴシ

天使「ひどっ! 大きさじゃない、柔らかさと感度が大切なんだよ!」

男「はいはい、そうでございますねー」ゴシゴシ

天使「もぅ、少しは女として意識しろー!」プンプン

男「男同士の友情を深め合うんじゃなかったのかよ……」ザバァ

天使「くそぅ、このぞうさんが悪いのか! これを毟り取ればいいんだな!」グイー

男「止めろ! ぞうさんが可哀想だ引っ張るな! あとその下がチラチラ見えるから!」


天使「ふぁ……昨日の徹夜が堪えてるなぁ……さっさと寝ようぜぃ!」

男「お前は途中脱落してたろうが……ほれ、もうちょっとしっかりしろよ」

天使「どうせやる事ねーじゃん! ちょめちょめするなら頑張れるけど!」

男「いい加減、オレを誘惑すんな! オレの貞操は幼だけのもんだからな!」

天使「ちぇー、お堅いなぁ……んで、明日のご相談?」

男「おぅ。 明日は図書室でイベントだからな?」

天使「わかってんよ。 つっても、何にもできないけどなー……」

男「見てるだけっつーのも辛いよなぁ……あまり知らない相手でも」

天使「ま、彼氏さんが一番辛いんだろうけどね。 ……それに、キミも」


男「……ありがとな、天使」ナデナデ

天使「ま、これくらいはなー? ほら、私が原因だしね?」テヘペロ

男「そりゃそうなんだけどな。 一応親身に協力してくれてるし」

天使「無論、下心アリアリだけどな! ご褒美は一発でいいから!」

男「よっしゃ、ゲンコツ一発でいいんだな? 先払いして欲しいか?」ニギニギ

天使「うっわ、コイツ本気だ! 心で本気具合が伝わってくる、やべー!」ドタドタ

男「てめぇ、2発でも3発でもくれてやるから逃げんな!」ドタドタ

天使「やなこったい! ほーら、捕まえてごらん♪」


男「このやろ! てめぇ、待ちやが……っ!」ドサッ

天使「キャッ! あ……」ドキドキ

男「あ……わ、悪ぃ……」ドキドキ

天使「ラッキースケベ、発動しちゃったね……続きしても、いいよ?」

男「し、しねーし! ほ、ほらもう退いたから!」

天使「……ヘタレ」ボソッ

男「なんか言ったか? ほれ、もう寝るぞ!」

天使「はいよ! ほれほれ、天使のここ、空いてますよ?」ポンポン

男「いいから! オレは床で寝るから!」


~翌日~

天使「……むにゃ、おなかいっぱいだよぅ……」ムニャムニャ

天使「らめぇ……そんなおっきいの入らないってばぁ……」ムニャムニャ

男「いい加減卑猥な夢見てないで起きろ!」スパーン!

天使「ハッ! 口に入りきらない程のフランクフルトはどこへ……!」

男「なんだよ、その食い意地張った夢は……」

天使「あ、男おっはー! 今日も良い朝だねぇ!」

男「……おはよう。 朝飯出来てるからさっさと降りて来い」

天使「よっしゃ! 今日の朝飯はなんぞ!」

男「期待されてるとこ悪いけど、食パンだ」

天使「ブーブー! 捕虜の待遇の改善を要求する!」

男「誰が捕虜だ。 むしろこっちがゲームに囚われてるじゃねぇかよ……」


オタ「おお? 男どの。 珍しいですな、登校中に出くわすのは」

男友「だな。 おはようさん!」

男「おはよう、二人とも。 お前らいつも一緒だよな……」

オタ「フヒヒ、拙者ら彼女いない同盟の仲間でござるし!」

男友「オレたちと一緒ってこたぁ、お前も同盟員みたいなもんだけどな」

男「……断る」

男友「男……昨日の事だけどな?」

男「あぁ……悪かったな、変な事聞いて」

男友「いや……明日になりゃ分かるって言ってたけど……」

男「……明日、放課後付き合え。 それで何が起きてるか分かる」

男友「……分かった」

オタ「おや? 何の話でござる? 拙者も仲間に入れて欲しいでござるが……」

男「……分かったよ。 お前も明日付き合え」

オタ「良いでござるよ! どうせ男友以外と遊ぶ用事もないですしな!」


男友「……おい、男。 ありゃぁ、何の冗談だ?」

男「あ? ……あれか、見たままだよ」

オタ「……なにゆえ幼さんが友どのと一緒に登校を……?」

男友「オタ、よく見ろ。 ……あいつら、手ぇ繋いでやがる」ブルブル

男「……あぁ。 あいつら、付き合い始めたからな」

男友「いいのかよ! だって、友は……幼さんだってなんで!」

男「……理由は言えない」

オタ「……何か事情がありそうでござるな?」


男友「……まさか、お前何か……幼さんに、何かしたのか?」

男「あぁ……アイツを、襲おうとした」

 『いいの? 言っちゃって……ゲームのせいとは、言えないんだよ?』

男『かまわない。 知らない人にとってはそれが事実だし、こいつらに嘘つきたくない』

男友「な……!? て、てめぇ!」グイッ

オタ「待つでござる! 拙者らが知る男どのは、そんな人間ではなかろう!」バッ

男友「……で、でもよ……」

オタ「……男友。 あれだけ仲が良くて、わざわざ襲う必要があったと?」

オタ「恐らく、以前の幼さんであれば男どのが望めば喜んで夜を共にしたでござろう」

オタ「拙者童貞でござるが、それくらいの事はわかるでござる」

男友「……まぁ、幼さんはコイツにべったりだったしな。 そうかもしれないが……」


オタ「だが、男どのは襲ったという。 しかも弁解もせず、理由も言わない」

オタ「そして、時を同じくして友どのが幼さんと付き合い始めた……」

オタ「何か、キナ臭いものを感じぬでござるか?」

男友「そうだな。 第一、幼さんなら男が本当に襲っても喜んで襲われそうだ」

男友「……悪かったな、男。 ちょっと先走りすぎた」

男「いや……ありがとう、二人とも」

オタ「フヒヒ、貴重な彼女いない同盟の準構成員でござるからな!」


男「……オレの口からは何も言えない。 多分、これからも」

男「それでも良いのなら、お前らに事実を見せる。 ……それで判断してくれ」

男「ただ、見せるのは事実だ。 真実じゃない……それでもいいか?」

男友「……いいさ。 馬鹿なオレにだって何か変なのはわかる」

オタ「どうせ男どのの事、我々の事を案じてのことでしょうしな!」

男「……ありがとう、ありがとう二人とも……」ジワ

男友「泣くなよ、みっともない」

オタ「男子が泣いていいのは、財布を落とした時と初回限定版を逃した時だけでござる」

 『うっわ、なっさけな! ……でも、気持ちは分かるよ。 良い友達だね、ホント』

男「くそ、3人ともうるせーよ!」

男友・オタ「「3人……?」」


男友「んで? 付き合うのって明日じゃなかったっけ?」

オタ「まぁ、どうせ暇だから構わないでござるが……」

男「お前たちに事実を見せるって約束したしな。 その延長だよ」

男友「……何の事実か、ってのが問題だけどな」

オタ「それで、図書室に何があるのでござる?」

男「今は何も。 ……これから起きるんだよ」


無口「……」ペラ

男友「なぁ、無口さんが本読んでるだけじゃねぇか?」ヒソヒソ

男「もうすぐだ……何があっても、声出すんじゃねぇぞ?」ヒソヒソ

オタ「了解でござる。 永遠にこの口閉ざして見せるでござる」ヒソヒソ

男「いや、そんな苦行まではしなくていいんだが……」ヒソヒソ

 「ごめん、遅くなった……待った?」

無口「ぁ……ぃぇ」パタン

無口「大丈夫だょ……友くん……」ニコ

男友「っ! なんで友が……何か関係あんのか!?」ヒソヒソ

オタ「男友、黙るでござる。 ……拙者、何となく想像がついたでござるよ」ヒソヒソ

男「心構えしとけ。 これからだ……」ヒソヒソ


友「隣……座っていいかな?」

無口「……ぅん」

友「よっと。 無口さん、何読んでたの?」

無口「恋愛小説……」

友「そっか……ね、小説より、実際に体験してみたいと思わない?」

無口「……ぅん」カァ

友「それじゃ……」クイ

無口「……ん」チュ


男「……二人は出て行ったな。 もう喋っていいぞ?」

男友「な、なんだよあれ! だって、友は幼さんと付き合ってるんじゃ……!」

オタ「なるほど……二股でござるか」

男「あぁ……正確には、二股じゃねぇけどな」

男友「おかしいだろ! だって、無口さんには他校の彼氏が……!」

男「……多分、別れたんだろ」

男友「ありえねぇ! だって、これじゃまるで……」

男「まるで、オレと幼みたい、か?」

男友「お前、明日先輩の事が分かるって言ってたよな? まさか……」

男「……オレの口からは何も言えない」


オタ「ふむ……なぜ男どのが明日の事まで分かるのか、と当然の疑問は置いておいて」

オタ「とにかく、ここ最近の不可思議な状況には全て友どのが絡んでいる」

オタ「……どうやら、そのあたりに男どのが縁を切った理由もありそうでござるな?」

男「……」

男友「……男。 お前は何も言わない。 いや、言えないんだな?」

男「……あぁ」

男友「……分かった。 次は明日だな? 放課後か?」

男「……あぁ」

男友「よし。 オタ、帰るぞ。 帰り、付き合え」

オタ「……了解でござる。 では男どの、また明日でござる」


 『……変わった二人だけど、意外と頭も回るし仲間思いだねぇ!』

男『あぁ。 普通、女を襲った上に何も言おうとしない男なんて信用しないだろうに』

 『だね。 怪しい、めっちゃ怪しい。 もはや見かけたら110番レベル』

男『……本当に良い奴らだよな。 良い友達を持って良かったよ』

 『どっちかというとホモだちを疑うレベルだけどね?』

男『お前と違ってオレはノーマルだ……』

 『し、失敬な! 私だってノーマルだ! 尻の穴は使った事ないし!』

男『尻の穴「は」? ……別の穴は使ったことあんのかよ?』

 『あー、処女だけど天使友達の佐藤ちゃんに突っ込んだことはある』

男『クソ、てめぇ童貞じゃなかったのかよ……!』

 『でも処女だよ!』

男『処女は関係ねぇ! 非童貞だったのがなんか負けた気がする!』


天使「明日は書記さんのイベントだねぇ。 最後のヒロイン候補かぁ」

男「そうだな。 ……その後は、アイツとの勝負だ」

天使「この前話した奴だね。 ま、私もアレしか手はない気もするけど……」

天使「実際の所さ、勝算はどれくらいと見てる?」

男「……どうだろうな。 この後オレの想像通りの流れになるのは間違いないと思う」

男「問題は、アイツがゲームを止める時だ。 その時点で奪い返せるかどうか……」

天使「そうだね。 しかも、わざわざ私たちの前でゲームを止めてくれるわけがないし」

男「あぁ……だから天使、お前に頼みがある」


天使「わかってるよ。 アイツに張り付いていろ、ってことでしょ?」

男「……そうだ。 頼めるか?」

天使「もろちん! ここら辺で良い所見せとかないとねっ!」

天使「……でも、キミとしばらく離れ離れになるのは、少し寂しいかな……」

男「……悪いな。 でも、これからはアイツから目を離せなくなるから……」

天使「わかってる! 明日のイベントの後から、アイツに張り付いてるよ」

天使「絶対見逃さないから!」

男「あぁ。 アイツがゲームを止める前には、絶対にこの前説明した行動を取る」

男「始まったら、オレに連絡してくれ。 ……オレも張り付くから」

天使「うん……待ってる。 ね、明日からしばらく離れ離れだからさ……」

天使「……少しだけ、甘えてもいーい?」

男「……なんだよ、気持ち悪ぃな。 ……別にいいけど」


天使「よっしゃぁ! うぉぉぉ! み な ぎ っ て き た!」バッサバッサ!

男「ちょ! 部屋の中で飛び回るな! それに、エロいのは禁止だからな!」

天使「わーかってるって! ……ちょっと、充電するだけだよ」バサッ ポフッ

男「お、おい……?」

天使「……ごめんね。 本当なら、幼ちゃんとこうしてるはずなのにね……」ギュー

男「……お前も悪気があってやったことじゃねぇだろ?」ポンポン


天使「……私ね、天使の中では仲間外れでさ。 友達いなかったんだ……」

男「お前、天使友達の山田くんとか田中くんとか佐藤ちゃんはなんだったんだ……」

天使「あれ? パシリと舎弟とセフレ」

男「お前最悪だ!」

天使「……だから、こんなふうに言い合ったり、甘えたりしたことなくてさ」

男「……その、なんだ。 まぁ、こんなオレで良ければ甘えてくれていいけど」

天使「ん……おし、充電完了! もはや私に敵などおらぬわ!」グッ

男「これから強敵に立ち向かうんだろうが……」

天使「私、明日から頑張るからさ! 絶対に勝とうぜ!」

男「……あぁ。 アイツに、これ以上好き勝手はさせない!」

天使「ま、失敗したら私がキミを貰ってやっから、安心して当たって砕けろ!」

男「絶対に失敗しねーっての。 てか、砕けたら駄目だろうが!」

本日はここまで。

多分今週中には終われそうです。

では!

めちゃ面白い!!

自演


~翌日~

男「二人とも。 ……行くか?」

男友「あぁ……案内してくれ」

オタ「覚悟完了、当方に迎撃の用意あり! でござる!」

男「分かった。 でも迎撃はすんな、面倒になる……」


男友「生徒会室か……じゃぁ、やっぱり見せたいのは……」

男「ここだとバレるからな。 隣の空き教室行くぞ、ベランダから監視だ」

オタ「ふむ、スネークですかな? 良かろう、ダンボールはないでござるが……」

書記「……」ソワソワ

オタ「……昨日と似た流れですな。 先が読めるというもの」

男友「……クソ、先輩……」


友「や、待たせたかな?」ガラガラ

書記「あ……! 友くん! 別に待ってなんてないんだから!」ツーン

友「ハハ、拗ねないでくれよ……約束どおり、ちゃんと来たろ?」

書記「5分遅刻! 約束くらい守りなさいよね!」

友「ごめんごめん……お詫びに、ほら。 機嫌直して?」ナデナデ

書記「もぅ……そんなのじゃ、誤魔化されないんだからね……?」カァ

友「じゃあ、これで……」チュッ

書記「……ん……」トロン


オタ「……書記どのは、先輩どのと別れたばかりでなかったでござるか?」

オタ「これでは……既に付き合っているくらいのレベルのような……」

男「……」

男友「……あの野郎……!」グッ!

男「待て! 落ち着け、男友! 何をするつもりだ!」

男友「決まってんだろ! 友を……アイツを殴るんだよ!」

オタ「落ち着くでござる! そんな事をしては……!」

男「あぁ、お前が悪者になっちまう! 書記さんは友の味方をするぞ?」

男友「でも、幼ちゃんなら味方してくれるだろ! 三股かけられてんだからよ!」

男「四股だ……それに、無駄だ。 幼も納得してる、多分な」

オタ「な……浮気の公認をしていると……!?」


男友「でもな! このままじゃ先輩が……!」

男「分かってる! だが、ここは我慢してくれ!」

オタ「そうでござる! 暴力を振るえば、男友が処罰を受けてしまうでござるよ!」

男友「く……男! これが……これが事実かよ!」

男「……あぁ。 オレが見せられるのはこれだけだ」

男友「クソ……なんでだよ! なんで先輩の場所にアイツがいるんだよ!」

男「……言えない、言えないんだよ!」

オタ「……幼どの、無口どのに続き書記どの……どういうことでござる……」

男友「なぁ、男……オレは、どうすればいい? アイツに何も出来ないのかよ……」

男「今は、だ。 オレだってアイツを許すつもりはない!」

男友「……信じて、いいんだな?」

男「……真実を語れないオレが信じてくれとは言えない。 お前たちが決めてくれ」


オタ「……ボクは男を信じる。 男友、お前はどうする?」

男友「オタ、お前……」

オタ「……男が本気なのに、自分を偽ってはいられないからね」

男友「……ハ。 男もオタも本気なんだ、オレだけ信じないわけにはいかねぇよな?」

男「……いいのか?」

オタ「うん。 それに一番怒ってるのは男だ。 きっちり落とし前つけさせるんだろ?」

男「そのつもりだ。 だが、それには仲間が要る」

男友「……いいぜ、アイツに一泡吹かせるんなら、なんでもする」

男友「先輩には世話になってんだ。 それに、親友の為ならな……!」

オタ「彼女いない同盟の再結成だね!」

男「……ありがとう、二人とも」


 『親友だってさ。 良かったね、男……』

男『あぁ……』

 『泣くなよ……こっちまで泣けてくるじゃんかよぅ……』

男『泣くかよ……まだ、勝負の席についたばかりなんだぜ……?』


男「詳しい事は言えない。 オレを信じてくれるなら、オレの言う事に従ってくれ」

オタ「分かってるでござる。 さぁ、拙者たちは何をすれば良いでござるか?」

男「今は何も。 でも、その時になったら声をかける」

男友「そうか……でも早くしてくれよ? オレの我慢が利いてるうちにな……」

男「あぁ……それに、もしかしたらお前がキーパーソンかもしれない」

男友「オレが……?」

オタ「拙者にも出番を頂けるのでござろうな?」

男「当たり前だ、お前にも手伝ってもらうからな?」


男『天使……それじゃ、アイツの監視頼むぞ?』

 『任せておいて! しばらく私が居ないからって自家発電すんなよ?』

男『バーカ、これからの事で頭使うんだ、ぞうさん使ってる暇なんてねぇよ』

 『うっわ、下品! 女の子の前でさいてー!』

男『だから、お前半分男だっての……』

 『……んじゃ、行ってくるよ……と、その前に」スゥ…

男「お、おい! ここ学校だぞ! 実体化してどうすんだよ!」

天使「……ん」チュ

男「お、おま! な……何しやがる!」

天使「ふふ、ご褒美の先払い! んじゃ、行ってくるよ!』スゥ…

男「……ったく」フゥ


男「ただいまー……っと、誰もいないんだよな……」

男「……なんつーか、一人ってこんなに寂しかったっけ?」


 『男ー? えへへ、今日もご飯作りに来てあげたよー?』

 『何言ってんの、もう15年の付き合いじゃない……』

 『ま、これからは違う付き合い方になるけど、ね? えへへ・・・・・・』


 『男ー! 飯食わせろー!』

 『お邪魔するよー! 裸の付き合いしようぜ!』

 『……少しだけ、甘えてもいーい?』


男「・・・・・・そっか。 アイツらがいないからだよな……」

男「なんだかんだで天使には助けられてたって感じだな……」

男「ハァ……飯作るって気分でもねぇな。 カップラーメンでいいか」

男「……待ってろよ、幼……」


~翌週~

 「なぁ……聞いたか?」

 「あぁ……友の奴、幼さんを男から略奪したってマジらしいな?」

 「いや、オレは女友さんと付き合ってるって聞いたぞ?」

 「いやいや、無口さんと書記さんも一緒に、5人で歩いてたってよ……」

 「なんだよそれ、ハーレムじゃねぇかよ……クソ、羨ましいなアイツ……」


男友「……噂、広まっちまったな……」

男「……あぁ」

オタ「良いのでござるか?」

男「事実だからな。 今は……これでいい」

男友「なぁ……まだ、なのかよ?」

男「……多分、もう少しだ。 ……見てみろよ」


幼「でね、今度遊園地に行きたいなーって!」

友「……あぁ、そうだな」イライラ

幼「……どうしたの? 何かあった?」

友「……何でもねぇよ」


オタ「……? どうやらイライラしているようでござるな?」

男友「どうやったかは知らねぇけど、アイツ今幸せの絶頂じゃねぇか……」

男友「なんでアイツがイライラすんだよ?」

男「理由は分かってる。 ……言えなくて悪いんだけどな」

オタ「……もしかして、時を待てとはこれを待っていたのでござるか?」

男「あぁ……」


 『男ー! 会いたかった!』

男『毎日会ってるじゃねぇか。 まぁ、姿は見てないけどな?』

 『今日の定時報告なー? 男の予想通り、昨日もだったぜ!』

男『行動制限か…… アイツ、どんな顔してた?』

 『ハッ、笑っちゃうね! まるでおあずけかまされたワンコのよう!』

男『だろうな。 ……そろそろ、アイツも気づく頃か?』

 『多分ねー? もうすぐキミの所へ帰るから、股を濡らして待ってな!』

男『濡らさねぇよ! 下ネタ言ってないで、しっかり張ってろよ?』

 『アイアイサー! んじゃ、また後でねー!』

男友「……どうした、男? さっきからボーっとして……」

男「いや……なんでもねぇよ」


~翌日~


女友「友! 今日の放課後どうする?」

幼「私、駅前の店のパフェ食べたいなー!」

友「……」イラッ

女友「どしたん? 何か元気ないけど?」

幼「パフェ、嫌いだった? なら、別のお店でも……」

友「……うるせぇ! 少し静かにしてくれよ!」バン!

幼「ご、ごめん……」


オタ「……今日は一段と荒れているでござるな……」


男友「ったく、二人はべらせておいて何が不満なんだよ、アイツ……」


 『男ー! 聞っこえってるー?』

男『聞こえてるよ。 定時連絡か?』

 『うんにゃ。 アイツ、昨日見たぜ?』

男『……そうか。 とすると、気づいたな、アイツ!』

 『多分ねー! 案外早かったじゃん? まだイベント半分残ってるし』

男『ま、それだけ我慢出来なかったんだろうよ』

 『へっへー、私頑張ったっしょ? ほめてほめて!』

男「よくやったぞ、天使!」

男友「あ……? 天使……?」

男「あ……いや、なんでもない……」


オタ「そういや、男は最近ゲームしているでござるか?」

男「うんにゃ。 そんな気分でもなくてな……」

男友「ま、そりゃそうだ。 つっても、この前クソゲーやってたけどな?」

男「やりたくてやってた訳じゃねぇっての……」

オタ「もう少しマシなゲームやったらどうでござるか?」

オタ「なんだったら、紹介するでござるよ? ほら、最近発売したエロゲで……」

男友「あぁ、あれだろ? 『幼な妻キュンキュン!』 っての」

男友「うちの店でも売り上げ一番みたいだしな。 どうなんだよ、あれ?」

オタ「すごいらしいですぞ? 純愛ラブラブの上、エロエロだそうでござる!」


男「お前らな、学校でエロゲの話すんなよ……女子が聞いたら引くぞ?」

オタ「フヒヒ、拙者ら、彼女いない同盟に怖いものなど!」

男友「男もやるか? 本当なら高校生は駄目だけど、売ってやるぞ?」

オタ「男友! 今の男にそのゲームは……」

男友「あ……悪ぃ。 お前の気持ち、考えてなかったな……」

男「……気にすんな。 気使われる方が余計気にするっての」


 『駄目だぜ? そんなので抜くくらいなら私で抜けよ!』

男『うるせー! そもそも抜かねぇよ!』

 『へぇ? ふーん? ほほぅ? ホントに?』

男『な、なんだよ……?』

 『私の天使ノーズが青臭ーい栗の花のかほりを嗅いでるんだけど?』

男『……てめぇ、実体化して無い癖に分かるわけねーだろ!』

 『アハ、バレた?』

男『ほれ、いいから友を張ってろ! 目、離すなよ?』


幼「友くん、どうしたの?」

友「いや……なんでもない」

友「……幼な妻キュンキュン! ね……」ボソッ


~翌日~


男『よぉ、天使。 どうだった?』

 『あー、帰ったとたんパソコンに飛びついちゃってやんの』

 『んで、今日は学校休もうとした所行動制限に引っかかっちゃってさ!』

男『あぁ、今日は書記さんとのイベントの日だったな。 そりゃ休めねぇわ』

 『生徒会室でしか起きないもんねぇ、書記さんのイベント』


男『……で? 天使、お前はどう見る?』

 『動くよ、今夜。 いよいよだね……覚悟はいーい?』

男『ったりまえだ。 とっくに覚悟なんて決まってるに決まってる』

 『おっけ。 んじゃ、私も気合いれてくから後でご褒美ね?』

男『お前、先払いしたろ? しかも強制的に』

 『へへ、追加報酬を期待してますぜ、旦那!』

男『わかったわかった。 うまくいったらキスでも何でもしてやるから頑張れ』

 『よっしゃ! 何でもするんだな! 童貞もらったぁ!』

男『そ、それは駄目だ!』

 『処女でもいいよ?』

男『……もっと駄目だろうが!』


男友「で、放課後になったが、今日はどうすんだ?」

オタ「また待機でござるか? そろそろ、動きが欲しいでござるが……」

男「ん……今日は付き合って貰うぞ?」

オタ「ということは……?」

男友「待ってましたっ!」






男「お前ら、気合入れろ……出陣だ」ニヤ





.

本日はここまで。

あと2・3回、明日はクライマックスの友との決戦&ネタばらし編です。


 「ありがとうございましたー! またお越し下さいませー!」


友「ふ……クク……これで……ハハ、ハハハハハ!」

友「ハァ、ハァ……これで……これでオレは……!」フルフル

友「何度も確認した……これなら、このゲームならオレは……」ソーッ

友「……オレは!」カチッ ブゥゥゥン…

友「よ、よし! ゲームの入れ替えを……」


天使『ちょっと待ったあぁぁぁぁ!」スゥ… ガバッ!

友「っな!? て、てめぇどこから! 誰だ!」

天使「これ、返して貰うかんね! 私のなんだから!」グイッ!

友「お前、あの時の……天使か!」グイグイ

天使「天使さまとお呼びっ! こんの外道がっ!」グググ…

友「てめぇ……せっかく、手に入れた、オレの幸せを……」ググッ

天使「うぁ! ちょ、ちょっとタンマ! なにその火事場のクソ力!」ズルズル

友「渡して、たまるかよおぉぉぉぉぉ!」グイッ! サッ!

天使「キャッ! 痛っ……何すんだ! って、げ、ゲーム機!」

友「返してもらうぞ、女がオレに力で勝てるかよ!」ダッ!

天使「私は半分男だ! 返せー! この泥棒ー!」バサバサ

 『男、ゴメン! 逃げられた!』

男『お前は窓から出て空から隙を狙え! こっちは配置についてる!』


友「クソ、何なんだよアイツ! まさか、どこにでも入れるのか!?」タッタッ

友「と、とにかく……このゲーム機だけは!」バタン!

 「どこへ逃げる気? ボクたちと遊ぼうよ、友!」

友「て、てめぇオタ! 邪魔すんな!」

オタ「悪いね、それは返して貰うよ。 答えは聞いてない!」

友「聞けよ! 答えは断るだ!」クルッ! タッタッタ!

オタ「男友! 裏口向かったよ!」

男友「おぅよ! さて、友。 先輩のうらみ、晴らさせてもらうからな!」バキッ!

友「痛っ! てめぇ、邪魔だ! どけ!」ゴンッ!

男友「痛……! てめぇ、ゲーム機で殴るのは卑怯だろうが! 壊れるぞ!」

友「壊れねえんだよ! てめぇの相手をしてる時間はねぇ、どけっ!」ゲシッ! タッタッタッ

男友「ガァッ! クソ、なんだよコイツ! 待ちやがれ!」ダダダ!


友「ハァ、ハァ……あ、アイツらは撒けたか……?」

友「な、なんでアイツらまでゲーム機の事知ってんだよ……」

友「男の差し金か……? クソ、とにかく安全な場所まで……」

 「……」ス…

友「っ! だ、誰だ!」

男「残念だったな! ゲーム機、ゲットだぜ!」グイッ!

天使「おー? すごいじゃん、男!」バッサバッサ

友「っ! 男、てめぇ待ち伏せしてやがったのか! なんでオレがこっち来ると……!」

男「バーカ、一応オレはお前の幼馴染なんだぜ? いや、幼馴染だったんだぜ?」

男「てめぇのチキンな行動パターンなんか、お見通しだっての……!」


男「ま、とにかくゲーム機は返してもらったぞ。 ほれ、天使パス」ポイッ

天使「キャーッチ! アーンド、リリース!」

男「リリースしてどうすんだバカ!」

天使「ジョークジョーク! ちゃんと受け取って上空に逃げてるってば」バッサバッサ

友「男! この天使は張り付いてたとして、何でお前らまでオレがゲームを止めるとわかった!」

友「オレがゲームを止めてから連絡したんじゃ待ち伏せに間に合わないはずだ!」

男「ハァ? お前さ、ボケちゃったんじゃねぇの? 色ボケついでによ」

男「言ったろ? 行動パターンはお見通しだって。 それどころか、操られてやんの」

友「オレが……操られてただと? どういう意味だ!」

男「ハァ……いいよ、勝利者インタビューだ。 説明してやるよ」


男「お前さ、あのクソゲーをあれにセットしてただろ? 途中までは良かったんだよな」

男「でも、致命的な欠陥があった。 お前は気付くのが遅かったみたいだけどな?」

友「ク……」

男「致命的な欠陥。 それは、ギャルゲーをセットしたが故の欠陥」






男「……てめぇ、幼や女友、他の二人にエロい事が出来なかったんだろ?」





.


友「な、なんで知ってんだよ!」

男「天使に張らせてたから……と言いたい所だけど、分かったのはその前だ」

男「てめぇも覚えてるだろ? 説明書の最後の項目、その備考欄だ」

友「『ゲームを破綻させないよう役割に反する行動は制限されてしまいます』……」

男「度々邪魔された行動制限。 その強制力はゲームを始めた本人にまで及ぶ……」

男「お前のセットしたゲームが分かった後、ピンと来たよ」

男「……ゲームに従うならば、お前はヒロインとエッチが出来ないんじゃないかとな!」

男「ま、最近のゲームじゃ直接描写はなくても匂わすような描写がある場合もあるし……」

男「エンディング後に子供が生まれた、とかの場合もある」

男「おかげで、あんなクソゲー徹夜でクリアして確認する羽目になっちまった」

友「クソゲー!? クソゲーだと!? 訂正しろ!」

男「あぁ、悪い。 超クソゲーだった」

友「てめぇ……」ギリ


男「どうせ、幼たちに迫ろうとしては行動制限に泣かされた口だろ?」

男「なにせ、ゲームを開始した本人もゲームの支配からは逃れられないんだからな!」

友「そうだ……そうだよ! 意味ねぇだろそれじゃ! いくらハーレムでも!」

友「オレのものの癖に……誘おうとする度、身体が硬直する! 邪魔しやがって!」

男「バーカ、元々幼も女友も後の二人もお前のもんじゃねぇよ」


男「で、イライラし始めたんだろ? それがわかったからお前に聞かせてやったじゃん」

友「まさか……」

男「お前がさっき買いにいったゲームの話だよ。 幼な妻なんとかって奴」

友「お前! オレにわざと聞かせたって言いたいのか!」

男「言いたいも何もその通りだ。 お前の事だ、絶対食いつくと思った」

男「天使からお前が幼たちを襲えない理由に気付いたと聞かされたからさ……」

男「オタたちには、あらかじめ合言葉を言ったら話題を振るよう指示しておいた」


男「合言葉は……『天使』」


.


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 『へっへー、私頑張ったっしょ? ほめてほめて!』

男「よくやったぞ、天使!」

男友「あ……? 天使……?」

男「あ……いや、なんでもない……」

オタ「そういや、男は最近ゲームしているでござるか?」

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友「クソ! てめぇ、それでオレを手玉に取ったつもりか!」

友「だいたい、いつもいつもてめぇはオレの邪魔ばっかしやがって……!」ギリギリ

友「なんでだよ! 別にオレが良い目をみるくらいいいじゃねぇか!」

男「勝手に邪魔者認定してんじゃねぇよ。 文句があるなら言やぁ良かったじゃねぇか」

男「だいたい、人のモンを奪って、何が良い目だ。 自分も奪われる覚悟くらいしとけ」

友「ふざけんな! ふざけんなよ!」

男「……ふざけてんのはてめぇだ」


男「ま、お前の本心に気付かなかったオレや幼も悪かったと言えば悪かった……」

男「だからといって、お前のやったことは正当化出来ないけどな?」

友「てめぇ……く……」ブルブル

男「……支配が解けても幼たちにはお前の事は言わない。 出来る事なら、自分で謝れ」

友「く……クク……」ブルブル

男「オレも無意識にお前を傷つけていたかもしれん。 言ってくれれば……おい?」


友「ククククク……ハッハハハハ! それで、勝ったつもりか男!」

男「……どういう意味だ?」

友「バーカ、オレが何もせずただ逃げ回ってたと思ってたか? それ、よく見てみろよ」

天使「男っ! これ……しまった!」

男「どうした、天使!」

天使「ゲームが……起動してる!」

男「な……! 友、てめぇ!」

友「そいつから逃げるとき、咄嗟にゲームcdも持って逃げたんだよ!」

友「んで、男友から逃れた後、走りながらゲームを起動させてもらった!」

友「電源もモニターもいらないからこそ出来た。 その不思議なゲーム機様々だぜ!」

友「……なにが勝利者インタビューだ? お前のドヤ顔、笑いを堪えるのに必死だったよ!」

男「友……」


友「さ、どうする? 言っておくが、オレはもうゲームに触らないからな?」

友「お前が教えてくれたゲームだ。 内容は把握してるよな……?」

男「っ!」

友「今度こそ、幼はオレが好き放題穢してやるよ! ざまーみろ!」

男「友、てめぇっ! がぁっ……!」ドクン!

天使「男っ!」

友「お前も学習しねぇよなぁ……ゲーム中は、オレを殴れないっての」

友「だってよ、このゲームで、お前の役は……オレの親友、だからな?」ニヤァ

男「……ぁ……ぐ……」パクパク


友「さて、疲れたし帰るわ。 あー、そこの天使ちゃん、ゲーム機はやるよ」

友「取り戻そうと思えばいつでも出来たのにしなかったところを見ると……」

友「どうせ、どんな手を使ってもゲームを止められないんだろ? オレ以外は」

天使「く……」

友「オレはどうせ二度と触らないしな。 これで借りたものは返したからよ!」

天使「くぅ……この恥知らず!」

友「ふん。 こうなるって分かってたら、お前も攻略対象になるの選べば良かったな」

友「ま、心優しいオレは幼だけで我慢してやるよ! オレの、幼だけでな!」

男「ぅ……」

友「んじゃな! これから幼とどんなプレイをするか考えるので忙しいからよ!」

友「バイバイ、負け犬。 また明日、学校でな?」スタスタ

男「ぅ……ガハッ! ハァ、ハァ……友……!」


天使「男、大丈夫?」

男「大丈夫だ……天使、姿を消しておけ、アイツらが来る」

天使「う、うん……』スゥ…

男友「男! 終わったか!?」

オタ「まったく、友がいなくなるまで二人きりにしろ、などと……」

男「悪ぃ。 でも、二人ともありがとう」

男友「気にすんな。 んで、結局どうなったんだよ?」

オタ「取り戻したかったのは、そのpc-fxでござるか?」

男「pc-fx?」

 『あー、ゲーム機のことだよ。 それ、昔のゲーム機にそっくりだから』

男「あー、あぁそうだ。 おかげで取り戻す事だけは出来た」

男友「だけは……って。 おいおい、何か失敗したみたいな言い方じゃねぇか」


オタ「……男、もしかして……」

男「……いや。 これで皆元に戻る。 ……オレと幼、そして友以外は」

男友「おいおい、それじゃ……」

男「……いいんだ。 友の、バカ野郎……」

オタ「男……」

本日はここまで。

明日最終回の予定です。

ntrをお楽しみに。

では、また明日。

まぁあんまりうだうだ言うなよ、書く気失せてもらっては困るから

応援してるよ支援

>>371
ところがどっこい完結まで書いてから投下始めたので失せようがない。

という事で最終回です。


~翌週~


幼「それじゃね、友……」

友「あぁ……明日はどうする?」

幼「ん? そうだね、遅くなったら駄目だから近場でどっか行こうか?」

友「……ね、良かったら明日はさ……ガァッ!」ドクン!

幼「明日は……何?」

友「……ぅ……あ……」

幼「……変なの。 それじゃ、また明日ね?」フリフリ

友「……ッハァ。 そ、それじゃな……」


友(なんでだよ……おかしいだろ)

友(事前に調べた攻略なら、開始翌日には夜を一緒に過ごせるはずなのに……)

友(あれから1週間。 デートはしてくれるが、関係を迫ろうとすると……)

友(クソ、忌々しい行動制限め……)

友(これじゃ、今までと何も変わらないじゃねぇか!)

友(いや、後の3人が居ただけ前のがマシだった! クソ、なんなんだよ!)


友「クソ……もう一回攻略ページを……いや、それはもう何度も……」prrr

友「……? 幼か、何の用だ? ……もしもし?」プッ

幼「あっ……友……?」

友「あぁ。 どうしたんだ? 明日の事?」

幼「ぅ……うん……それとぉっ! どうしてる、かなって……っ!」

友「……? 別にどうもしてないよ。 幼の方は?」

幼「えへへ……なぁんにもひてないよぉ……? ぁん♪」

友「……どうした? なんか声が変だぞ?」

幼「風邪、引いたのかも……ん……ダメェ……」

友「ダメ? 具合、悪いのか……?」

幼「そう……かも……も、もぅ……だめぇぇぇぇっ!」プッ

友「幼? おい、幼どうした!」ツーツーツー


友「なんだよ、今の電話は……」

友「幼の奴、様子が変だった……あれじゃまるで……」


友(まるで? オレは今いったい何を考えた?)




友(まるで……あえぎ声のようだと考えたんじゃないのか?)


天使『お悩みのようだねー?」スゥ…

友「っ! てめぇ、天使! 何しにきやがった!」

天使「んー? 混乱してるだろうと思ったから、ネタバレしに?」

友「ネタバレって……まさか、今の幼の事か!」

天使「アハハ、無理やり奪って今度は自分の物と勘違い?」

天使「何幼ちゃんが自分の物みたいな顔してんだよ、バーカ」

友「な!? 幼はオレのもんだろうが!」


天使「……キミさ、とっくに負けてたことに気付いてないの?」

友「負けてた……?」

天使「今の電話。 なーんか変だったんじゃないのかなー?」

友「っ! どういう……意味だ……」

天使「本当はねー、今度届くdvdで気付くはずなんだけど、男からのお願いでね」

天使「その前に、キミに選ばせてあげようよって。 ま、気持ちは分からんでもない」


友「はぐらかすな! どういう意味だ!」

天使「幼ちゃんさ、どこで、何しながら電話してきたと思う?」

友「おい……まさか」

天使「二ヒヒ、正解。 答えは、男の腕の中で、えっちをしながらでしたー!」

友「な……」

天使「ったく、オレたちはえっちするからお前は友に説明してこい、だってさー」

天使「酷いよねー、私だってえっちしたいってのにさ!」プンスカ

友「そ、そんな事は聞いてない! なんでそうなる、あのゲームにそんなルートは!」

天使「なーんにも気付いてないでやんの。 ぜーんぶ男の掌の上で弄ばれてたのに」

友「ふざけんな! オレは勝った! アイツに勝って幼を手に入れた!」

天使「んじゃ、肝心の幼ちゃんはどこにいるわけ? 答えてみ?」

友「ぐ……」ギリ…

天使「ま、納得いかないよねー。 それじゃ、ラストの回想スタートッ!」パチンッ!


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天使「ゲームを、すりかえる?」

男「あぁ。 万が一、ゲーム機を取り戻せなかった場合に備えてだ」

男「最悪の場合、せめてこっちに都合の良いゲームを起動させる」

天使「そんなの、出来るわけ? だいたい、いつすりかえるのさ?」

男「男友の先輩の話を聞いて思いついた。 アイツがゲームを買う時、だよ」


男「お前たちに頼みたい事は当日までは次の二つだ」

男「オタ、お前にはオレが合図したらこのゲームの話をして欲しい」

オタ「ふむ、『幼な妻キュンキュン!』でござるか。 良いエロゲでござる」

オタ「しかし、それに何の意味が? それに合図とは……?」

男「理由は言えない。 合図は『天使』、オレがそう口に出したら話題を振ってくれ」

オタ「……わかったでござる」


男「男友。 お前がキーパーソンだって言ったよな? このゲームを渡しておく」

男友「あー? それをどうしろってんだ?」

男「お前のバイトしてる店、お前と先輩の二人しか店番しないだろ?」

男友「あぁ、店長はレジしねぇけど……それがどうした?」

男「先輩にも頼んで、友がこれを買いにきたら、こいつを売ってやってくれ」

男友「……新品を買いにきたら?」

男「在庫がないとでも言って、中古を薦めろ。 必ずこのゲームを渡すんだ」

男友「……何の意味があるんだ? だって、別に店の在庫でも……」

男「……こいつの中身な。 レーベルをコピーした別物なんだよ」

オタ「ほほぅ、してその中身とは?」






男「『寝取られ幼馴染~嫌いなアイツにあの子は穢される~』だ」





.


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友「寝取られ幼馴染……じゃぁ、まさかこれは」

天使「そ。 寝取られ真っ最中~♪ そろそろ一回戦終わった頃じゃない?」

友「う、そだ……うそだうそだうそだうそだうそだぁぁぁぁぁぁぁ!」

天使「つまりさ、キミ、男に誘導された上で狙った通りの物を掴まされたってわけ!」

天使「いやぁ、こうも想像通りの行動取るなんてねー、さすが男。 カッコいー!」

友「おかしい……オレに対しての邪魔は、行動制限で封じられるはず……」ブツブツ

天使「面倒くさいなぁ……なら、直接男に確認すればー?」

天使「私もえっちに混ざりたいから帰る。 帰るまでに電話終わらせてねー?」

天使「んじゃ、バイビー!』スゥ…


友「く……男、男め……」prrrr

男「もしもし? よぅ、友。 天使からネタバレして貰ったか?」

友「なんでだ! なんでお前オレの邪魔が出来た!」

友「お前がゲームをすり替えたとして、まだ前のゲームの支配下にあったはずだ!」

友「オレに対して邪魔しようとしたら、行動制限がかかるはずだろうが!」

男「あー、厄介だよな、あれ」

男「確かにオレが直接お前の邪魔をしようと考えたら、行動制限がかかったはずだ」

友「だろうが! でも、なんで……!」

男「あれな、抜け穴があるんだよ」

友「抜け穴……?」

男「そ。 多分、現実とゲームをすり合わせる為の緩衝材って所か?」


男「お前、クラスの子に掃除当番頼まれた日の事、覚えてるか?」

友「掃除当番……?」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 『あ! ちょっと友くん! 私、この前掃除当番代わってあげたよね?』

 『げ……!』

 『今日、私外せない用事あるから! 任せたわよ、それじゃ!』

 『マジかよ……』

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


友「あの時か。 でもそれがなんだ!」


男「ゲームとして考えるとな、あれおかしいんだよ」

男「本来、イケメンの告白イベントはオレたちが幼を尾行した翌日発生するはずだった」

友「あ……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・ようこルート
主人公のたけしは幼馴染のようこに好きな男が出来た、という話を聞く。
友人であるまなぶ・めぐみと尾行するとイケメンで有名なひとしの影が。
ようこに言い寄るひとしを見るうちに、たけしにようこへの恋心が芽生える。
  ・・
その翌日、ひとしがようこに告白する様子をまなぶと目撃してしまう。
焦ったたけしは、その後ようこに告白をすることを決意する。
……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


男「だが、現実には翌々日に起きた。 翌日はまるで前日の繰り返しのようだった」

男「じゃぁ、何が原因でイベントが翌々日に繰り上がったんだ?」

友「あ……まさか……」

男「そう、お前が掃除当番を頼まれたからだ。 それで気付いた」






男「このゲーム、ゲームに支配されていない第3者からの干渉を受けてしまう」





.


男「それに気付けば簡単だ。 オレは男友とオタに頼んで行動してもらった」

男「あいつらは支配されてないからな。 第3者を経由すればお前に干渉出来るんだよ」

男「例えば、すりかえたゲームをお前に渡してもらう、とかな?」

友「……」


男「……これが種明かしの全てだ。 ……友、選ばせてやる」

友「……何をだ」

男「ゲームを止めるか、止めないか」

男「後で調べりゃわかるが、今のゲーム、お前には悲惨な運命が待っている」

男「死にはしないが絶望に落ちきった人生だ。 しかもゲームの支配で自殺も許されない」

友「なんでそれを止めさせようとする。 良いザマだろ? お前から見れば」

男「お前にムカついているとはいえ、人生を壊すまではしたくねぇよ」


男「それに……その。 来週になるとな? お前に届くんだよ」

友「何が……?」

男「……オレと幼の、セックスを撮影したdvdだ」

友「っ!?」

男「ゲームの支配下にある以上、オレはそれを止められない」

男「お前も、絶対にそれを見なくてはいけない。 しかも、今後ずっとだ」

男「幼も、二人のそんな姿を見せたくないと言ってる……」

友「クソ……」


男「一晩やる。 ゲームについて調べるでもなんでもして、考えてくれ」

男「……明日、答えを聞く。 それじゃな」プッ

友「……」

友「クソ、クソォ……」

友「なんで……なんでだよ……」






友「なんで、こうなるんだよおぉぉぉぉぉぉぉ!」





.


幼「……電話、終わった?」

男「あぁ。 これで友がゲームを止める気になってくれると良いけど……」

幼「でも、男ウソついたでしょ?」

男「あぁ?」

幼「別に、私えっち見られてもいいのに……」

男「オレがヤなんだよ。 他の奴に幼のえっちな姿見せるの」

幼「……実はさ、さっきの友くんとの電話……すっごく興奮しちゃった♪」

男「お前な……オレ、そういう性癖はないからな?」

幼「わかってる、男の嫌がる事はしないよ!」


幼「……でも、私なら男が私以外を抱いてるとこ、見てみたいかも……」ペロ

天使『よっしゃぁ! それじゃ、私とえっちしようぜぃ!」スゥ…

幼「キャッ! 天使ちゃん、いきなり現れないでよ!」

男「天使、お疲れ。 お帰りはあちらだ」

天使「ひどっ! 大任果たして帰ってきたんだ、ご褒美おくれよぅ!」

男「うるせー、事後にいきなり乱入してくんな!」

幼「そうだよ、私たちまだ裸だし、シャワーも浴びてないんだから……」

天使「分かった! 私も脱げばいいんだな? クロスアゥッ!」スポポーン!

男「ば、バカ! 何でそうなる!」

幼「わ、わぁ……ホントにおっぱいもおちんちんもついてる……」チラッ チラッ

男「お前も指の隙間から覗き見してんな!」


天使「いいからいいから! ほら、3pすんぞ、3p!」

男「うるせぇ、黙れ! 幼、お前も興味深々な顔すんな!」

天使「うるさいなぁ……ほっといて、女同士良い事しよっか、幼ちゃん」

幼「……そだね。 女同士なら浮気じゃないよね!」イソイソ

男「てめぇは半分男だろうが! それに女同士でも浮気だ!」

天使「まったくもぅ……幼ちゃん、襲っちゃおう!」ガバッ

幼「おっけー! 天使ちゃん、やっちゃおう!」ガバッ


男「ちょ! ま、待って……止めてえぇぇぇぇ!」


.


~エピローグ~


天使「……結局、アイツはゲーム止める事を選んだんだね……」

男「あぁ……自分の将来を考えたのか、幼の事考えたのかは知らないけどな」

天使「これから、アイツはどうするって?」

男「流石にオレたちに顔向けできないから、転校するそうだ」

男「……何も知らないまま、3人で過ごせたらよかったのにな……」

天使「……ごめんね、私のせいで」

男「バーカ、どっちにしろいつか我慢の限界が来てたさ」

男「でも、一度ぶちまけたからな。 いつか、アイツとも仲直りするさ……」

天使「そっか……」


男「……本当に、もう帰るのか? 別に、うちに居ても……」

天使「ダメだよ。 目的は果たしたし……」

天使「なんだかんだで、結構直接干渉しちゃったじゃん? お叱り受けなきゃ」

男「大丈夫なのか? クビになるとか言ってたけど……」

天使「ゲームは取り戻したし、問題も解決したからね。 なんとかなるよ」

天使「……それに、男と幼ちゃんの邪魔、したくないしね?」

男「天使……」


天使「ね。 私天界に帰るけど、キミの事は忘れないから」

男「あぁ、オレも忘れない……」

天使「いつか、キミが寿命を迎えて天界を訪れるまで、待ってる」

天使「死んだ後くらいは、幼ちゃんだって許してくれるよね?」

男「……オレは幼の為に長生きするからな。 そっち行く頃にはおじいちゃんだぞ?」

天使「大丈夫、天界では年齢なんてないもん。 若返ることだってできちゃう」

男「そっか」

幼馴染にゲームに支配された時の記憶はあるのかな?


天使「……最後に、思い出が欲しいな。 少しでも、私の事好きなら……キャッ!」

男「……」ギュー

天使「男……」ジワ

男「……天界で待ってろ、いつか会いに行く」チュッ

天使「うん……うん!」ポロポロ

男「……これって浮気になんのかな?」

天使「これくらいは幼ちゃんだって見逃してくれるよ、きっと」ゴシゴシ

天使「さ! それじゃそろそろ帰るよ!」バサッ!

男「……楽しかったよ、天使。 また会おうな?」

天使「私も楽しかった。 次会うまでに、しっかりツッコミ鍛えておきなよ!」バサッバサッ

男「ハハ、お前こそ。 下ネタに頼りすぎると飽きが早いぞ?」ジワ

天使「分かったよぅ……それじゃね。 男、迎えに行くから!」バサバサバサッ!

男「あぁ、待ってる! 待ってろよ、天使!」ポロポロ


幼「……お別れは済んだ?」

男「……あぁ」

幼「もぅ。 泣かないでよ」

男「泣いてねぇよ、馬鹿」

幼「そ。 じゃ、付き合ってよね」グイッ

男「お、おい! どこ行くんだよ!」

幼「とりあえず、駅前のパフェかな? 浮気した罰だよ!」

男「へいへい……仰せのままに」

幼「……死ぬまで、男は私のモノなんだから!」


~数十年後~


男「……そろそろのようだ」

 「おじいちゃーん!」ポロポロ

男「ハハ、泣くな……しょうがないんだよ……」

幼「アナタ……」

男「お前……すまないな、先に逝くよ……」

幼「いいえ……私は幸せでした……」

幼「ほら、笑ってください。 あの子が迎えに来ますよ……?」

男「そうだな……お前、こっちに来るのはゆっくりでいいからな……?」

幼「あらイヤだ、そんなにあの子とふたり水入らずで居たいんですか?」

男「ハッハッゲホッ! ゴホゴホ……ハァ、待たせた分はな、お返ししてやらんと」

幼「妬けてしまいますね……ご心配なさらず、私は孫の結婚式に出るまで死にません」

男「おお、そうかそうか。 是非後でその時の話を聞かせてくれよ……」


 「……!」バサッ

男「おお……お迎えが、来たようだ……」

幼「そうですか……しばらく、お別れですね……」

男「あぁ……しばらく、だ。 ゆっくりしてから、こっちに来いよ……」

 「……!」バサッバサッ

男「では、逝って来るとしよう。 皆、仲良くな……」ニコ…


天使「男……!」バサバサバサッ!

男「あぁ……久しぶりだな、天使……」

天使「会いたかった! ずっと待ってたんだからな!」バサッ! ガバッ

男「待たせたな。 約束、忘れてないぞ?」ギュー

天使「分かってる! よっしゃ、そんならしっかり掴まれ!」

男「おいおい、乱暴なお出迎えだな。 もう少し丁寧に……」

天使「いっくぞー! しゅっぱーつ!」バサバサバサッ!

男「ちょ! スピード落とせ! 落ちるだろうが、この馬鹿!」


男「……」

 「おじいちゃん! おじいちゃん!」

幼「ふふ、あんな楽しそうな顔をして……」

 「……あれ? おばあちゃん、この羽根、なんだろ……」

幼「おやおや。 これはね、天使の羽根なんですよ……?」

 「天使? おばあちゃん、天使知ってるの?」

幼「えぇ、会った事があるんですよ。 今度お話してあげましょうね……」

以上で終了となります。

ご読了ありがとうございました。

では、また別作品で……

>>404
作中でも書きましたがないという設定です。

記憶が残ると天使が接触すれば犯人即バレなので……

じゃあ寝取られゲームに支配されてる時の記憶は・・・天使が接触したから?

>>414
そうなります。

支配され記憶のない幼と初体験をするのを避ける為です。

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