佐久間まゆ「29位、ですか…」 (26)



P「ああ…すまない…」


まゆ「いえ、Pさんのせいではないですよぉ…」


P「いいや…俺の力不足だ。折角アニメにも出れたのに出番も少なかったしな…」


まゆ「Pさんは絶対、悪くないですよぉ…ふふ…」


P(マズイ…まゆが自分を責め始めるんじゃないだろうか…まゆは根が真面目だからな…)


まゆ「原因はハッキリしてますからね♪」


P「いや待て待て。仮に俺の能力の問題じゃないとしても、まゆも悪くないから、な?」


まゆ「そうですねぇ…まゆに問題があるわけでもないと思います」


P「うん、そうだそうだ…って、え? じゃあ何が問題なんだ?」


まゆ「…タイミング、ですかねぇ」


P「タイミング?」


まゆ「まゆが引退して、Pさんと結婚するタイミング、ってことですよ」


P(アカン…29位のショックでまゆがおかしくなった)

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まゆ「さあPさん、『善は急げ』ですよ♪ご両親に連絡して署名をもらわないと…」


P「ちょっと待てまゆ」


まゆ「ご心配なさらなくても大丈夫ですよぉ…まゆの両親からはもう同意をもらってますから」


P「いやそういう問題じゃなく」


まゆ「式場のご心配でしょうか…?それとも和装か洋装か決めかねていらっしゃる、とか…」


P「そういう問題でもなくだな」


まゆ「婚前検査も済ませてますよぉ…?」


P「ヒッ…いや、あのな、まゆ。色々と焦りすぎだ」


まゆ「焦りすぎ…かなり待ったつもりなんですけどねぇ…」


P「もうちょっと…もうちょっとだけ、待ってみよう、な?」


まゆ「Pさんにスカウトされて1030日…それなりに待ったつもりなんですがねぇ…」


P(数えてんのかよ怖えよ…)


まゆ「第2回総選挙は9位…第3回総選挙は16位…それから今回29位…佐久間まゆはそろそろみんなのアイドルから一人の奥さんになってもいいと思いませんか?」


P「いやまだお前16歳だろ…そう生き急ぐなよ、な?」


まゆ「いえ…今はPさんにとっても結婚すべきタイミングなんですよぉ?」


P「えっ」



まゆ「聞きましたよ?志希ちゃん、5位だったんですよねぇ?」


P「あ、ああ…でもそれと何の関係が」


まゆ「男の人は、お仕事がうまくいってる時は結婚のチャンスだってよく言うじゃないですかぁ…」


P「いやそうだけどさ…」


まゆ「これからしばらくは忙しくなるんでしょうねぇ…洗濯や掃除もできないくらいに」


P「くっ…」


まゆ「お仕事から疲れて帰ってきた時に温かいご飯が約束されているなんて…素敵だとは思いませんかぁ…?」


P「俺はっ…そんな誘惑には屈するわけには…」


まゆ「Pさん…ヨダレが…うふ、身体は正直ですね♪」


P「うぅ…どうしたんだまゆ…今日は一段と積極的じゃないか」


まゆ「志希ちゃんの躍進はまゆにとってもチャンスですから♪」


P「…なあ、まゆ」


まゆ「…どうされましたか?」


P「…お前さ…よっぽど悔しかったんだな」


まゆ「な、何を…」



P「もう一度言おうか。お前は悔しかったんだよ。自覚があるのかは知らんが」


まゆ「そ、そんな…」


P「さっきから志希を意識した発言が多すぎるだろ」


まゆ「それはっ…同じ事務所のアイドルじゃないですかっ…」


P「喜んで当然、だと?」


まゆ「あ、当たり前ですっ…!」



P「じゃあなんでお前は」


まゆ「…」


P「志希に会いに行かないんだ」


まゆ「…っ!」


P「悔しくないわけないよな…総選挙のたびに順位は下がっていって」


まゆ「…やめてください」


P「秘密のナイトパーティで共演した人たちの順位も振るわなかった」


まゆ「やめてくださいよ…!」


P「しかも事務所の後輩にも追い抜かされる」


まゆ「やめて!!!」


P「…そりゃあ悔しいよな」


まゆ「Pさん…ひどいですよ…」


P「悪い…俺も悔しくて、つい…」


まゆ「Pさん…泣いてる…?」



P「すまん、取り乱した…」


まゆ「いえ、まゆはいいんですよぉ…それよりPさん…」


P「うちのプロダクションの役員の人らがすごく誉めてくれてな…別の事務所の友人知人からもお祝いのLINEが来たよ」


まゆ「志希ちゃんのことで、ですか?」


P「あぁ…でもな、今回良かったのは志希だけだ」


まゆ「Pさん…」


P「忍もレナさんもほたるも頑張ってるんだ…」


まゆ「ええ…よく知ってますよ」


P「クラリスさんもいい笑顔が出るようになってきた。ゆかりだって色んな分野にチャレンジしてるのに…」


まゆ「はい…二人とも昔からずっと頑張ってきましたよねぇ…」


P「なのになんだよこの結果は…俺がっ…不甲斐ないばっかりに」


まゆ「いえ…Pさんのせいだけでは」


P「それでもみんな、志希のことを心から祝ってる」


まゆ「…はい」


P「俺たち二人だけだよ。こんな格好悪いのは」


まゆ「…おっしゃる通り、です」



P「さっき辞めるって言ってたけどさ」


まゆ「…はい」


P「本当は、辞めたくないんだろ?」


まゆ「ごめんなさい…バカなこと言って」


P「いいんだ…俺も逃げ出したくなることはよくある。今だってそうさ」


まゆ「…でも逃げ出さないんですよね?」


P「まあ、な」


まゆ「うふ♪それでこそPさん、ですよぉ…」


P「よし、そろそろ志希の祝勝会に戻らないとな。まゆも準備しろよ」


まゆ「ええ、急ぎますね♪」


P「ちひろさん怒ってるだろうなー」


まゆ「ふふ、一緒に怒られてくれますか?」


P「そりゃあな。アイドルの責任は俺の責任だ」


まゆ「責任、取ってくれるんですね♪ ところでPさぁん?」


P「ん?どうした?」


まゆ「結婚の話がうやむやになってしまったのですが…」


P「あっ、ああ…(うまく誤魔化せたと思ってたのに…)」


まゆ「あの…既婚アイドルって新しいと思いませんかぁ?」




おわり

アイドルは諦めない。結婚も諦めない。
総選挙お疲れ様でした。

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