衛宮切嗣「ホワイトカラーエグゼンプションか」 (37)

アイリ「エクスカリバーの鞘が手に入らなかったから別の触媒を使ったけれど、まさか現代の英霊が召喚されるなんて」

アイリ「それにしても魔術の使えないキャスターなんているのね」

アイリ「ステータスも冴えないみたいだし大丈夫かしら」


筋力:E 
耐久:E 
敏捷:E 
魔力:E 
幸運:C 
宝具:A++



切嗣「問題ないよ、アイリ」

切嗣「あれは宝具に特化したサーヴァントだからね」

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アイリ「複数の宝具を持っているらしいけど一体どんなものなの」

切嗣「それは今から説明するよ」

切嗣「あのサーヴァントの宝具は6つある」


秘密保護法(ダーティーブラインド) ランクC

集団的自衛権(ウォーモンガー) ランクC+

消費税率引き上げ(ブラックドレイン) ランクB

原子力発電推進(クレイジーインパクト) ランクA++

大企業優遇政策(アベノミクス) ランクB+

残業代零法案(ホワイトカラーエグゼンプション) ランクEX

切嗣「まず僕が目をつけたのは秘密保護法さ」

アイリ「ランクはあまり高くないようだけど」

切嗣「ランクはね。だが効果は僕好みだ」

切嗣「この宝具は自分のステータスを他のマスターに隠すことができるんだよ」

アイリ「凄いわ、切嗣! これがあれば自分にとって都合の悪い情報は全部隠蔽できるのね!」

切嗣「そうさ、自分にとって都合のいい情報を見せることで周りの目を欺くことができる」

アイリ「じゃあアベノミクスというのはどんな宝具なの」

切嗣「あれは黄金律B以上を持つサーヴァントの全ステータスを3ランク上昇させることができるんだ」

アイリ「確かキャスターの黄金律もBだったわよね」

切嗣「この宝具で自信の身体能力を強化すれば三大騎士クラスとの白兵戦も可能になるわけだ」

切嗣「そして原子力発電推進(クレイジーインパクト)はAランク強の放射能光線をぶっぱする宝具」

切嗣「並のサーヴァントなら一撃で倒せるだろうね」

アイリ「集団的自衛権はどんな効果なのかしら」

切嗣「あの宝具が発動している間キャスターは世界中どこの国でも知名度補正を受けることができる」

切嗣「もっとも聖杯戦争の舞台は日本の冬木市。そしてキャスターも日本の英霊だからあまり関係ないけどね」

切嗣「だがこれらは切り札となる宝具に比べれば可愛いものさ」

アイリ「EXランクの宝具……ホワイトカラーエグゼンプション」

切嗣「この宝具は全ステータスがA++以上のサーヴァントに常時ダメージを与え続け、同時にバッドステータスを付加させる」

切嗣「更に宝具の使用も制限するというおまけつきさ」

アイリ「待って切嗣、確かに凄い宝具だけれど、全ステータスがA++のサーヴァントなんてまずいないわ」

切嗣「まだこの宝具の効果には続きがあるんだよ」

切嗣「発動時こそ、対象は全ステータスA++以上のサーヴァントだが、時間がたつにつれて対称が引き下がる」

切嗣「結果、聖杯戦争が始まる頃には全ステータスE以上のサーヴァントに常時ダメージを与え続け、同時にバッドステータスも複数付加させるに文面が描き変わる」

アイリ「す、凄い、そんな恐ろしい効果があるなんて」

切嗣「宝具、消費税増税(ブラックドレイン)も似たようなものでね」

切嗣「こいつは発動すると全マスターから常時3%ほど魔力を奪い続けられるんだが」

アイリ「これも時間がたつと引き上げられるのね」

切嗣「聖杯戦争が始める頃には10%にね」

切嗣「宝具の発動に必要な魔力もそれで補うことができる」

アイリ「キャスター、なんて恐ろしいサーヴァントなの」

切嗣「アイリ、この戦い僕達の勝利だ」

倉庫街


ランサー「貴様だな、卑劣な手段で俺にダメージを負わせ、挙句の果てには我が主から魔力を奪い続けている輩は」

キャスター「いかにも、その通りですが」

ランサー「許さん、騎士の誇りを穢した貴様は絶対に許さんぞ!」

ランサー「抉れ、ゲイジャルグッ!!」ドン

キャスター「遅い、既に私の宝具であなたは相当なダメージを負っている」

キャスター「その程度の動きで私と戦うなど笑止千万」

キャスター「終わりですよ」ドス

ランサー「かはっ!」

キャスター「まずは一体」

ランサー「」バタリ

キャスター「おや、また現れましたか」

キャスター「今宵は2体のサーヴァントを仕留めることができそうだ」

ライダー「……」

キャスター「おやおや、何をお怒りになっているのです」

ライダー「我が名は征服王イスカンダル」

ライダー「貴様もその雰囲気から察するに王だったのだろう」

キャスター「王ではありませんが国を総べるという意味では間違ってはいませんね」

ライダー「今、余のマスターの坊主が命の危機に瀕している」

ライダー「貴様の宝具で魔力を搾り取られてだ」

ライダー「聖杯戦争である以上、その行為自体を否定する気はないが、その宝具一体どのような悪行の産物だ」

ライダー「同じ王として、貴様の在り方を問わねばなるまい」

キャスター「おやおや、この宝具は本来、相手の命を奪うほどの効果はないのですが」

キャスター「あなたのマスター、おそらくは三流魔術師なのでしょう」

キャスター「そんな弱者は干からびるのがお似合いですよ」

キャスター「それで私の在り方でしたね。あなたはもう察しがついているのではないですか」

キャスター「弱者からの搾取。大企業や高所得者を優遇すれば国はまわる」

キャスター「低所得者の愚民どもにどれだけの負担を強いろうとも、上さえ優遇し続ければ国は動くんですよ」

キャスター「コラテラルダメージ。致し方ない犠牲というやつでしょう」

キャスター「一部の高所得者や企業のために下の連中には犠牲になってもらう」

キャスター「もちろん口では時間が経てば下も潤うみたいなことを言いますが、そんなものは出任せですよ」

キャスター「あとはまあ隣国の批判でもしておけば、指示を集めることはできますからねぇ」

ライダー「よく分かった。貴様が王を名乗る資格のない犬畜生にも劣る下郎だということがなっ!」

キャスター「だから王なんて名乗ってませんから」ドス

ライダー「ぐぁぁ、ぁ」ガクリ

キャスター「あなたがどれだけ大層な宝具を持っているか知りませんが、その状態では使えないでしょう」

キャスター「使用できない宝具などゴミみたいなものですよ」

ライダー「……ゴミ、だと」

キャスター「ふん、動けもしない癖に。睨んだところで怖くもな」

ライダー「余と臣下たちの絆を冒涜するのは……断じて許さんっ!!」

キャスター「ば、馬鹿な、まだ動けるだと」

ライダー「」

キャスター「……こいつ剣をかまえて立ったまま果てたのか」

キャスター「ふん、驚かせやがって」

キャスター「アレクサンドロス大王など所詮は過去の遺物」

キャスター「現代のサーヴァントである私には勝てるはずがないんですよ」

キャスター「さて、これで二体消滅」

キャスター「おや、マスターからの報告が入りましたか」

キャスター「ほう、私の宝具によってアサシンの消滅確認ですか」

キャスター「加えてマスターが息絶えバーサーカーも消滅」

キャスター「これは良いペースですねぇ。上手くいけば一晩で聖杯戦争が決着しそうだ」

「戯言はそこまでにしておけよ、雑種」

キャスター「ふふ、どうやら五体目が狩れそうだ」

アーチャー「黙れ、雑種。その汚らわしい口を閉じろ」

キャスター「その偉そうな態度、どこまで続きますかね」ドス

アーチャー「ちぃ」

キャスター「ははは、やはり宝具が制限されれば三大騎士クラスでも戦い辛いでしょう」

キャスター「それ、オスプレー型ゴーレムで総攻撃ですよ」

アーチャー「あまり我を舐めるなよ、雑種」ドドド

キャスター「な、何だ、その数の宝具は」

アーチャー「上級クラスの宝具を封じて勝ったつもりだったか?」

アーチャー「貴様のような雑種など低ランクで十分だ」

キャスター「大量の宝具とは、卑怯な真似しやがって」

キャスター「放射能光線をくらわせてやるっ!」

キャスター「原子力発電推進(クレイジーインパクト)!!」

アーチャー「く、この攻撃は、おのれ、おのれ、おのれ!!!」

キャスター「ひゃひゃひゃ、大英霊だろうが放射能攻撃くらって無事で済むわけねえだろ!」

アーチャー「狗にも、劣る……屑が、国を総べるなど我は、認めはしな」

キャスター「うるせえっつってんだろ!」ドス

アーチャー「がっ!?」

アーチャー「お、のれ」バタ

キャスター「ふん、生意気な男でしたが、所詮私の敵ではありませんでしたねぇ」

キャスター「おや、またマスターから連絡が入ったようです」

キャスター「ほうほう、今のサーヴァントを倒したことによって聖杯が完成した、と」

キャスター「これは手間が省けましたね」

キャスター「あれをアーチャーとすると、最後の一体はおそらくセイバー」

キャスター「最も優秀であるとされるサーヴァントですからねぇ」

キャスター「聖杯戦争終盤で私の宝具の効果を受け続けた状態ならともかく、今戦うのは得策ではありませんでした」

キャスター「戦闘にならずに済んで良かったでしょう」

キャスター「それでは聖杯降臨の地へ向かいましょうか」

切嗣「……来たか、キャスター」

キャスター「おや、この聖杯は」

切嗣「ああ、見ての通り汚れている」

切嗣「これじゃあまともな願いを叶えることはできない」

切嗣「お前の宝具、原子力発電推進(クレイジーインパクト)で聖杯の破壊を」

キャスター「まあ私はこの聖杯でもいいんですけどね」

切嗣「何? お前何を言って」

キャスター「ふん」バサリ

切嗣「き、貴様、僕の腕を」

キャスター「令呪を使われるわけにはいきませんからね」

切嗣「一体何が目的だ、こんな聖杯に何を願うつもりなんだっ!」

キャスター「そうですねぇ、まずは消費税の増税でしょうか」

切嗣「何だと!?」

キャスター「手始めに消費税を10%に引き上げます」

キャスター「そして残業代をゼロにします」

切嗣「ホワイトカラーエグゼンプションか」

キャスター「日本人は働き過ぎですからねぇ、助けてやらないと」

切嗣「貴様っ!」

キャスター「もちろん、そんなもんは建前ですが」

キャスター「残業代ゼロにしたところで残業がなくならないなんてのは、赤子でも分かるに決まってます」

キャスター「要するに私が聖杯に願うのはブラック企業の合法化ですよ」

切嗣「バカヤロー!! バカヤロー!!」

切嗣「ふざけるなああああああああああああああああああああああ!!」

切嗣「そんな地獄を僕が認めると思うかあああああああああああああああああ!」

キャスター「令呪のないあなたには何もできないでしょう」

キャスター「そこで聖杯が私の願いを叶えるのを黙って見てなさい」

切嗣「畜生おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

切嗣「僕は、僕は正義の味方になりかったのに、よりにもよってこんな奴を信用するなんて」

キャスター「国民を信用させるのは簡単ですよ。隣国を批判しておけばいいんですから」

キャスター「隣国が屑なのは事実ですが、それを批判する私が全国民の味方だと思うのは軽率なことだというのに」

キャスター「国をまわすには上を優遇して下を踏みつけにすればいいんですよ」

「そこまでだ。貴様のような外道は私が討ち果たす」

キャスター「あなたは、まさか」

セイバー「セイバーのサーヴァント、アルトリア・ペンドラゴンだ」

切嗣「アーサー王、まさか女だったのか」

切嗣「その横にいるのが、セイバーのマスターだな」

龍之介「アルトリアの姉さん! あんなCOOLじゃない奴、さっさとやつけてくれっ!」

キャスター「ふん、あなたはどうせ政治に無関心な若者なんでしょう」

キャスター「私の政策に口を出す権利はありませんよ」

龍之介「確かに俺はこれまで政治なんかに興味はなくて、子供を使ったアートとかやろうとしたこともあったけど」

龍之介「そんなことやってる場合じゃないって気づいたんだ」

龍之介「集団的自衛権、秘密保護法、ヤバそうな法案が次々と可決されていったけど、どこか他人事だった」

龍之介「でもホワイトカラーエグゼンプションは見逃せねえよ」

龍之介「残業代ゼロなんて狂ってやがる」

龍之介「年収の制限なんか、すぐに引き下げられるに決まってるしな」

龍之介「それは消費税や派遣法を見てれば明白だ」

龍之介「今こそ俺達若者が声をあげなきゃいけない」

キャスター「黙れや、ガキが!!」

キャスター「てめーらは政治に無関心のままでいりゃいいんだよ!」

キャスター「投票にこない連中ばかりだって分かってるから、選挙の年齢引き下げるんだ」

キャスター「おっと失礼、私としたことが取り乱したようです」

キャスター「それにしてもおかしいですね」

キャスター「あなたのマスターは見たところ三流以下」

キャスター「私の宝具で魔力を吸われ続ければ無事では済まないはずなのですが」

セイバー「龍之介にはマーリンから貰った防御礼装を渡している」

キャスター「そしてあなたは高い対魔力を持っているか」

キャスター「まったく面倒なことですねぇ」

キャスター「マスターとの繋がりを断ち、サーヴァントがセイバーだけになったことによって魔力吸い上げも事実上ストップ」

キャスター「もはや放射能光線をぶっぱする魔力はないというわけですか」

セイバー「年貢の納め時だな、キャスター」

キャスター「くひひ、それはどうでしょうね」

キャスター「オスプレーゴーレム、全機展開」

セイバー「くっ、ゴーレムなら対魔力は関係ないというわけか」

キャスター「マスターが並の魔術師ならともかく、三流以下では力も制限されるでしょう」

キャスター「それ、オスプレーの墜落攻撃をくらいなさい」

セイバー「くっ、龍之介、下がってください」ガキン

キャスター「ははは、きつそうですね、セイバー」

キャスター「命乞いをして私の秘書になるなら見逃してやってもいいですよ」

セイバー「黙れ、外道がっ!」

キャスター「そうですか、ならこのまま潰れてもらいましょう」

セイバー「龍之介、貴方のような未来ある若者に出会えて良かった」

龍之介「アルトリアの、姉さん」

キャスター「まさか、こいつまだ何か切り札を!?」

セイバー「その汚れた聖杯諸共消え失せろキャスター」

セイバー「約束された(エクス)――」

キャスター「させるかああああ! オスプレーゴーレム連続墜落攻撃!!」

切嗣「セイバーの邪魔はさせない」バン

キャスター「くっ、魔弾か、こんな玩具でサーヴァントをどうにかできると」

セイバー「勝利の剣(カリバー)ァァァァァァァ!!!!」

キャスター「しまったっ!」

キャスター「ド畜生おおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

キャスター「こんな女に俺がああああああああああああああああああああああああ!!」

龍之介「終わった、のか」

切嗣「龍之介君だったね。君はこれからどうするつもりだい」

龍之介「俺、選挙に投票に行くよ。おっさんはどこの政党に入れるべきだと思う」

切嗣「それは人に言われて決めることじゃない」

切嗣「自分の目で今の日本の現状を見て判断することだ」

龍之介「そうする。無関心なままじゃ駄目ってことをアルトリアの姉さんが教えてくれたから」

切嗣「君のような若者がいるなら日本もまだ大丈夫か」

切嗣「ああ――安心した」


END

こんなss書いたけど、実際のところ私は右翼でも左翼でもありません。
右翼の意見聞いて隣国UZEEEEEEEEEEEEEEEEEEと思うこともあれば、左翼の意見聞いて戦争始まるんじゃね、徴兵とか大丈夫?と不安になったりしてます。
要するにどっち着かずというわけです。
ただホワイトカラーエグゼンプションはマジでヤバいと思う。
残業代ゼロになる怒りと不安に任せてこんなss書きました。
まあこのキャスターの名前を出す気はありませんけど。実際に存在する人物かどうかは御想像にお任せします。

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