死ぬデレラ (94)

シンデレラ「はぁ…」

シンデレラ「今日もいっぱい怒られちゃった…」

シンデレラ「どうして私こんなにダメなんだろう…」

シンデレラ「一生懸命頑張ってもお母様達は満足してくれない」

シンデレラ「元々この家は私の家族が住んでいた家で…」

シンデレラ「お母様達がやってきてからずっとこんな感じで働いてる」

シンデレラ「引き取ってくれたのは感謝してるけどどうして私だけこんな…」

シンデレラ「…もう死んじゃおうかな」

シンデレラ「いい事全然ないし…誰も私なんかいなくなっても気にしないよね…?」

シンデレラ「でもすぐじゃなくてもいっか」

シンデレラ「次何か迷惑かけたその時にしよう」

シンデレラ「お掃除してこよう」トボトボ

死ぬデレラ「あぁ、早く楽になりたい…」

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長女「ちょっとシンデレラ!」

シンデレラ「はい?どうなさいましたお姉様」

長女「どうしたじゃありませんわよ!ここ!まだ掃除できてないじゃない!」

シンデレラ「すみません、見落としていたようで…」

長女「見落としてたぁ?この程度すぐ気づきなさいよね!」

シンデレラ「すみません…もうダメですね私…」トボトボ

長女「まだ話は終わってないのよ!どこへ行くの!?」

死ぬデレラ「やっぱり私は何の役にも立たないようなので…」シュルシュル

長女「二階の手すりにロープなんて吊るしてどうするおつもり…?」

死ぬデレラ「死んでお詫び…いえ、このままいなくなればいいかなと…」グイ フワー

長女「や、やめなさい!?誰がそこまでしろと言ったの!?」ガシッ

死ぬデレラ「止めなくていいです…さようなら…」フワー

長女「い、言い過ぎたわ!さっきのは私が悪かったからもうやめて!?」

次女「ねぇ、まだ洗濯物たためてないの?」

シンデレラ「あ、すみません…量が多くてまだ…」

次女「取り込んでから随分と時間かかってると思うけど?」

シンデレラ「トロくてすみません…」ゴソゴソ

次女「うん?もう洗濯はしたのに何故洗剤取り出してるの?」

死ぬデレラ「こうすればもう私なんてすぐ動かなくなるだろうと…」サラ

次女「ちょ…何を…」

死ぬデレラ「ちょっと見苦しい姿見せるけど許してください…」パクッ

次女「!?!??!」

次女「バカ!?吐き出しなさい!何してるのあんた!!」バシバシ!

死ぬデレラ「ぅぐ…げほげほ…」

次女「み、水!?い、いや!溶けて胃の中入るから…で、でも吐かせないと…あぁぁぁ!?」

継母「この食事は何?」

シンデレラ「え?いつも通りにお作りしましたが…」

継母「盛り付けも立派な料理の一環、こんなの豚の餌と変わりありません」ボタボタ

シンデレラ「申し訳ありません…すぐ処理いたしますので」ヒョイパクヒョイパク

継母「ままま待ちなさい!誰が落としたのを食べろと言いましたか!?」

死ぬデレラ「大丈夫ですよお母様、ちゃんと片付けますので」モキュモキュ

死ぬデレラ「それに…すぐちゃんとした…新しいものを…ご用意いたします」ペロペロ

継母「ひぃ!?話しながら床舐めないで!?」

継母「お、落としたものは食べないでいいから早く掃除道具で片付けてしまいなさい!」

死ぬデレラ「別に私が死ぬだけですのでご心配なく…」モゴモゴ

継母「ひぃぃぃぃぃぃぃ!?」

シンデレラ「よいしょよいしょ」ゴシゴシ

長女「あら?まだお風呂掃除していましたの?まったくトロい子ですわね」

シンデレラ「あ、あの…しっかり掃除して少しでも綺麗にしたくて…」

長女「それにしても遅すぎですわ、やる気だけでは綺麗にならないのよ?」

死ぬデレラ「そうですよね…やっぱり私なんて…」ガポ

長女「あなた!?そんなモノ(シャワーの口)咥えて何する気!?」

死ぬデレラ「ごぼばばおぼべびんべびばごうがぼ」ジョボボボ

    訳『このまま溺れ死んでしまおうかと』

死ぬデレラ「がぼ…」チョコン

長女「何そのまま湯船に入っているの!?やめなさい!!」キュポン

死ぬデレラ「ならこのまま出しっぱなしで放っておいてください…」ジャバー

死ぬデレラ「そうすれば自然と溺れることができますので…」

死ぬデレラ「あ、その前に何か重しをいただけますか?浮かんでしまわないように…」

長女「あなたは何を言っているの!?だっ、誰かこの子を止めてぇぇぇぇぇ!?」

継母「シンデレラ、窓ガラス拭き終わってないみたいだけど?」

シンデレラ「え?さっきすべて拭き上げましたけど…」

継母「あなたの目は節穴?反対側にしっかりあなたの指紋が残ってるじゃない」

継母「やり直…」

 ガシャァァァァァァン!!

継母「えぇっ!?何故ガラスに突っ込んだの!?」

死ぬデレラ「こうして私が死ぬことで遺産を使えば新しい窓ガラスに交換が…」ドクドクピュー

継母「血!?血が噴水のように飛び出てるぅぅぅぅぅ!?」

死ぬデレラ「よかったですねお母様…他の所も同時に新調できますよ…」ニコ ピュー

次女「何の騒ぎ?さっきガラスの割れる音が…ってちょぉぉぉ!?」

継母「おおおお医者様を早く!超特急で!!」

次女「お母様が何言ってるか分からないわ!?落ち着いて!?」

次女「お、応急セット持ってこなきゃ!?」ドタドタドタ!

死ぬデレラ「あーそろそろお迎えが…お父さんお母さん…もうすぐそっちに…」フラー

継母「逝くのやめなさい!?動かないでぇぇぇぇぇ!?」

継母「はぁ…」

長女「かなりお疲れのようですね、お母様」

継母「あの子に一体何が…」

長女「あぁ、シンデレラの事ですか…かなり危ないことになってますわね」

長女「今はどこに?」

継母「家にいさせると怖いのでお買い物に行かせてるわ…」

次女「そのまま逝かなきゃいいけど…」

継母「これ!そのような事言うのではありません!」

次女「そんなに追い詰めていたのかな…」

長女「分からないわ、確かに随分と酷い事扱ってきたけれど…」

次女「あれだけ極端な行動とりだしたからかなりやばい状態だと思うけどなぁ…」

継母「言葉遣いに気をつけなさい、淑女たるものもっとお淑やかにしなければなりません」

次女「はい…お母様」

長女「それでどうしますか?」

継母「どうすると言われても私にはなんとも…」

次女「もうあたし、あの子に優しくすることにする」

次女「ああなったのもあたし達のせいだろうし」

次女「今更許してくれるとは思えないけど…」

継母「だからといっていきなり態度変えるというのも…」

長女「そうですわね、ここまでやってきたのだからそのままで…」

次女「お母様方はそれでいいんじゃないですかぁ?」

次女「後悔しなければの話だけど」

長女「ちょっと次女!それはどういう意味ですの?!」

次女「もう少し早く気づくべきだったよ」ガチャ パタン

長女「なんなんですのあの子!わけの分からないことを!」

継母「まぁ私達は何も変える必要はありません」

継母「いつも通りいきましょう」

継母(さすがにまたあんなことされるのはたまらないですけど…)

シンデレラ「はぁ~あ…」

シンデレラ「家にいるとなかなか死なせてくれないなぁ…」

シンデレラ「いい方法ないかな…」

????「お?よう、久しぶりだな」

シンデレラ「どちらさまでしたっけ?」

????「前に相談というかあんたの話聞いてやった赤ずきんさんだが忘れたか?」

シンデレラ「そういえば前に聞いていただいた方でしたっけ」

赤ずきん「あれから調子はどうよ?」

シンデレラ「何も変わっていませんね…」

赤ずきん「んーまぁそうすぐには好転しねぇだろうなぁ」

シンデレラ「でももういいんです」

シンデレラ「楽になる方法見つけましたから」

赤ずきん「え…そ、そうか…」

シンデレラ「私がいなくなればいいだけでした」

赤ずきん「おい、待てこら」

シンデレラ「と、いうわけですぐ死ねる方法ありませんか?」

赤ずきん「おま!?なんてことと聞きやがる!!」

シンデレラ「ないですか?それなら他で…」

赤ずきん「何でそんな結論に達した!?」

シンデレラ「ほら、辛いなら活動を止めれば…動かなくなれば楽じゃないですか?」

赤ずきん「お前なぁ!?…いや、少し落ち着こう…な?」

シンデレラ「はぁ」

赤ずきん「少なからずお前が死んだら誰かに迷惑がかかることになる」

赤ずきん「それはさすがに死んだら関係ないとはいえ困らないか?」

シンデレラ「…確かにそうですね、後の事は考えていませんでした」

赤ずきん「だからさ…ちゃんと生き…」

シンデレラ「ちゃんと誰にも見つからないように死ななきゃいけませんね」

赤ずきん「そういうことぢゃねぇぇぇぇぇぇ!?」

シンデレラ「じゃあ私にどうしろというのですか…」

シンデレラ「もう生きていることに耐えられないんです…」ポロポロ

赤ずきん「…前は曖昧なこと言って悪かったな」ポン

赤ずきん「起こるかも分からねぇ事でなくちゃんとしたこと教えてやるから泣くな」

シンデレラ「なにか…ありますか…?」

赤ずきん「家で何かこちらを意識させるようなことなかったか?」

シンデレラ「意識?」

赤ずきん「つまりだ、お前を気にしてくれるような出来事だな」

シンデレラ「そんなことは……あっ」

シンデレラ「そういえば私が死のうとしたとき必死に止めようとしてくれましたが…」

赤ずきん「それだ!」

赤ずきん「やっぱりお前そのまま死のうとしろ」

シンデレラ「えぇ…やめろといったりやれといったりどっちですか…」

シンデレラ(結局そのままでいろと言われたけど…)

シンデレラ(でも本気で死ぬなと…とにかくお母様方が私を放っておけないぐらいにやれと…)

シンデレラ「よく分からないけどあの人は悪い人でないのは確かだからね」

死ぬデレラ「うまく死のう…こんな風に…」スッ キラッ

次女「シンデレラ!?なにやってんの!?」ダダダッ

死ぬデレラ「次女お姉様…」プス

次女「こんなもん(ガラスの欠片)離せバカ!!…っ!?」ガシ ザクッ

シンデレラ「お、お姉様!?血が…」

次女「あんっ…たねぇ!無茶苦茶なのよ…!!」ボタボタ

次女「死ねば楽になれるとでも思ったわけ!?」

次女「迷惑なのよ!そんな事されたら!!」

シンデレラ「!!」

シンデレラ「…」シュルシュル

次女「いった…」

シンデレラ「ごめんなさい、少し我慢してください」シュルシュル

次女「…まさかここまでやろうとするとは思わなかったわ」

シンデレラ「ごめんなさい…」

次女「でもそうなったのってあたし達のせいなのよね」

シンデレラ「…」

次女「もうあんたに酷い事しないわ」

シンデレラ「え?」

次女「あんなの、家族に対してすることじゃなかった」

次女「ホントはあたし知ってたのよ、あんたがどんな扱いうけても優しくあろうとしたのを…」

次女「あたしの部屋にあるぬいぐるみ、時々手入れしててくれてたでしょ?」

次女「いつの間にかほつれが直ってて驚いたのよ」

シンデレラ「いつも大事にしていたので可哀相だなって思ってこっそりと…」

次女「ありがと」

シンデレラ「次女お姉様…」

次女「だからもう死のうとか考えるのはやめて」

次女「あたしが味方になってあげるから…」ギュ

シンデレラ「嬉しいです…でもこれだけはやめられません」

次女「どうしてよ!?」

シンデレラ「ある人が教えてくれたんです」

シンデレラ「そういう事してたらきっと相手は私をかまわずにいられないって」

次女「…ぷっ、あっはっはっは!」

シンデレラ「次女お姉様…?」

次女「これは一本とられたわね…あたしはまんまとその作戦にしてやられたというわけね!」

次女「まぁ、それまで気づいてて放置し続けたあたしに何も言えるはずないけどね」

シンデレラ「あ、あの…」

次女「いいわ、そのまま続けてババァとバカをもっと慌てさせようじゃない」

シンデレラ「ババァとバカ…」

次女「ただ死のうとするだけじゃ面白くないわ、とりあえず帰ってからこうしなさい…」ゴニョゴニョ

シンデレラ「はぁ、やってみますけど…」

継母「…」カチャカチャ

長女「…」カチャカチャ

シンデレラ「今日のお料理はいかがでしょうか…?」

長女「まぁ…いいんじゃない?」

シンデレラ「お母様は?」

継母「…口に合わないわ」

死ぬデレラ「そうですか…」トボトボ ドンッ ギラッ

長女「お…お母様!!」

継母「!?」

死ぬデレラ「私のこの腕が悪いようなので…不要なものは切り落としますね…」ヒュッ

長女「いやぁぁぁぁぁ!?」

継母「うそようそ!?今日のはなかなかおいしかったわ!!だからやめなさい!!」ドタドタ

次女「ぷぷっ」

シンデレラ「…」トボトボ

長女「ちょっと、何だらしない歩き方してるのかしら?」

長女「ものすごく目障りだから私の視界に入らないで下さる?」

シンデレラ「あ、すみません…気をつけます」トボトボ

長女「…」チラッ

シンデレラ「…」ガチャ バターン

長女(こんな時間にどこ行く気かしら…)

………

長女(あとをついて来てみたけどこんな塔に何の用があるのかしら?)

シンデレラ「もうお姉様の視界に入らないようにしなきゃ…」コツ

長女(この子まさか…)

死ぬデレラ「この高さからなら私の形なんて残らないよね…」フラァ

長女(うそ!?ちょ…本当に飛び降りる気!?)バッ

死ぬデレラ「さような…」

長女「させますかぁぁぁぁぁ!?」ガシッ

死ぬデレラ「!!」ピタ

何人か書き込んでたので一応。
前回のアレ見てたら分かるけど同じ作者です。

もう赤ずきん多分出ませんけどね。
ではまた明日。

長女「…」

継母「あら?まだ起きていたの?」

継母「夜更かしはお肌に大敵なのよ?早く眠りなさい」

長女「お母様…もうあんなシンデレラの相手するの嫌です…」

継母「また何かおかしなことしでかしたの?」

長女「こちらが小言を言った後、わざわざ近場の塔に登って飛び降りようと…」

継母「それはまた…大変だったわね…」

長女「私達やりすぎたのよ…次女も言ってたじゃないですか…」

継母「だからと言ってあの子にどう接しろというのですか?」

長女「別に私達と同じでいいのじゃないですか?」

継母「でもシンデレラよ?同じ扱いなどできません」

長女「…私もシンデレラ側についていいかしら?」

継母「え…」

長女「さっきまでずっと考えていたの」

長女「元々ここはあの子の両親の家」

長女「私達は家族になるからと転がり込んできた」

長女「そしてあの子のすべてを乗っ取った」

長女「あの子の意思なんて何も聞かずに…ね」

継母「…」

長女「考えてみればあの子を虐げる資格なんてなかった」

長女「私達は本物の屑だったのよ」

継母「だからどうしろと?」

長女「お母様に何か求めてるわけじゃないわ、考え方を変える気もないみたいだし」

長女「好きにしたらいいと思いますわ」

長女「ただ、私はもうシンデレラをいじめることはないでしょうけどね」

長女「寝ます、おやすみなさい」パタパタ バタン

継母「ちょっと!?」

継母「…どうしてこうなったのかしら」

シンデレラ「あ、おはようございます」

継母「…」テクテク

シンデレラ「あの…」

継母「…」テクテク

シンデレラ「とうとう私のような者には話す事すらしてくれないんですね…」

継母「…用があるならさっさとお言い」

シンデレラ「あ、いえ…特には…」

継母「はっ、馬鹿にされたものね」

シンデレラ「馬鹿になど…いえ、馬鹿なのは私ですね…すみません…」

シンデレラ「私が余計な事ばかり言うからいけないようです…」

シンデレラ「声さえ出さなければ…」

継母「…」テクテク

継母「…シンデレラ、入るわよ」ガチャ

継母「!??!?!」

死ぬデレラ「…ぇ?」ブシッ

継母「なに…する気…なの?」

死ぬデレラ「声を…出なくしようかと…ついでに死ねたら…」ググ…ダラー

継母「あなたねぇ!!」バシッ

シンデレラ「!?」カラーン

継母「そんなのでこちらの気を引いてるつもり!?」バシッ

継母「どこまで私を馬鹿にすれば気が済むの!!」バシッ

シンデレラ「…っ!!」

次女「馬鹿は……あんただババァ!!」バシィィィン!!

継母「!?」ドサッ

長女「私もいますけど?」コンコン

継母「あなた達…」

次女「この子が何したのさ!?いつまでいじめ倒すつもり?!」

シンデレラ「次女お姉様…」

継母「…」

長女「昨日言いましたよね?」

長女「私達はこの子を虐げる資格なんてないって」

長女「もうやめましょう?こんなの間違っている」

継母「そうやってあなた達だけ罪から逃れようとしてるの!?」

次女「そんなわけないわ、クソババァ!!」

継母「クソバ…!?言葉遣いに気をつけろとあれほど…?!」

次女「もう上流家庭ごっこは疲れたんだよ」

次女「あたしら元々ただの平民で財力なんてなかったじゃん」

次女「持ってたのはこの子だけ」

次女「気づかない間にあたし達はそのせいで腐ってしまっていたんだ」

次女「お金なんて必要なだけ持っていればよかったんだ」

継母「…」

長女「すぐにとは言いませんわ」

長女「少しずつでもいいのでこの子と向き合っていきませんか?」

シンデレラ「…」

継母「無理よ、私はあなた達とは違って考えを切り替えられない」

次女「いい加減にしろババァ!!ただ逃げてるだけだろ?!」ドンッ

長女「次女、お母様にはまだ時間が必要なのよ」

次女「ふんっ」

長女「シンデレラ、あなたもすぐ自分を傷つけるような行為はおやめなさい」

長女「自覚なしでやってるとしてもなるべく止めるよう努力してほしいわ」

長女「ものすごく心臓に悪いのよ…」

次女「確かにあれはすっごい焦ったわぁ…」

シンデレラ「ごめんなさい、お姉様…」

長女「いいのよ、これから気をつけてくれるなら」

継母「…」フラフラ パタン

シンデレラ「お母様…」

長女「シンデレラ?いますの?」

シンデレラ「はい?」キュッキュッ

長女「あぁ、掃除中だったの…手伝うわ」シャッシャッ

シンデレラ「あぁ…長女お姉様に手伝ってもらうなんて悪いです…」カラカラ

長女「何言っているの?これが本来正しい姿なの…よぉぉぉ!?」ガシッ

死ぬデレラ「あれ?」

長女「あれ?じゃなくて!!またあなた窓から飛び降りようとしましたね!?」

死ぬデレラ「ご迷惑をかけたと思ったらつい…」ググー

長女「とか言いながらまだ止めようとしてないじゃないの!?」

死ぬデレラ「あぁごめんなさいごめんなさい…」ググー

長女「止めなさい!止めてぇぇぇぇ!?」

次女「シンデレラー、ちょっとおいでー」

シンデレラ「なんですか?」トコトコ

次女「ここ座る」ポン

シンデレラ「?」チョコン

次女「ふむ、髪は特に悪くないわね…顔はちょっといじるといい感じかしらね」サワサワ

シンデレラ「あ、あの…」

次女「ん、手がかなり荒れてる…あとで手入れしなきゃいけないわね」

次女「はいオッケー」

シンデレラ「わ、私何か変な所でも…?」

次女「あなたも年頃だしどこをいじれば綺麗になるかチェックしてあげたのよ」

次女「そのままだとさすがに…ね」

シンデレラ「今はそんなに酷いのですか…」

次女「い、いや!それをこれからよくしていこうとしてたのよ!勘違いしないで!」

シンデレラ「あ、そうなんですか?」

次女(少し選択誤ったらまた心臓に悪いことになるんじゃないかってビビってしまうわ…)

シンデレラ「それではお買い物行ってきますね」

長女「お待ちなさい、私も行くわ」

シンデレラ「何か入用でも?それならついでに買ってきますけど…」

長女「いいえ、あなたと一緒に行きたいだけよ」

シンデレラ「そうですか、それなら一緒に行きましょう」ニッコリ

長女「うっ!?」ズキューン

シンデレラ「ど、どうしました!?」

長女「…大丈夫よ、ちょっと悶えただけだから…」

シンデレラ「悶え…?」チョコン

長女「おぅふ!?」ズキューン

長女(この子ってこんなあざとい子でしたっけ!?見た目は次女にいじられたみたいだけど…)

シンデレラ「ホントに大丈夫ですか?」

長女「え、えぇ、もう数回きたら再起不能になるかもしれないけど大丈夫よ…」ハァハァ

シンデレラ「そうですか?では行きましょう」

子1「お母さん、今日何にする?」

母「あったかい野菜スープでもしようかしら」

子2「お手伝いするよ」

子1「わたしも一緒にするよ!」

母「あらあら、仲良いわね」

シンデレラ「…」

長女「…今日は何作るのかしら?」

シンデレラ「!!えっと、ミートパイでも作ろうかと…」

長女「まぁいいわね!手が必要なら遠慮せずお言いなさい」

シンデレラ「は、はい!」

長女「でも失敗したからって腕切り落とそうとするのはやめなさいね…」

シンデレラ「そんなことするわけないじゃないですか、お姉様ったら」

長女(前思いっきりしてたじゃないの…)

シンデレラ「ただいま帰りました」

次女「おかえり、あんたにお客さん来てるわよ」

シンデレラ「え?私にですか?」

次女「客室に待たせてるから早く行ったほうがいいね」

シンデレラ「は、はい!早く片付けなきゃ!!」

長女「私がやっておくから行って来なさい」

シンデレラ「す、すみません!お願いします!」ドタドタ

長女「それで誰なの?そのお客さんって」

次女「さぁ?フードかぶったあたし達と変わらなさそうな年の子だったけど」

次女「あの子に幸せを持ってきたとかなんとか」

長女「大丈夫なのその人…」

次女「気になるならこっそり話聞きに行ってみる?」

次女「それに監視してないと知らない人の前で死のうとするかもしれないし」

長女「そうね…少しだけ聞くのもいいかもしれないわね」

次女「じゃあドアの前にでも張り付きますかー」

長女「張り付く必要…ある?」

シンデレラ「お待たせしました」ガチャ

??「おぉ!やっと帰ったかシンデレラ!」

シンデレラ「すみませんがどちらさまでしょうか?」

??「うちは魔女や」

シンデレラ「魔女…さんですか?」

魔女「そうや、あんたえろう難儀な生活しとるって聞いてな」

魔女「この魔女さんどうしても放っておけなんだのよ」

魔女「…のわりには下のお姉さんっつー人えろうあんたに優しいみたいやし」

魔女「ちぃと疑問やったのよ」

シンデレラ「よく分かりませんが最近すごく優しくなってくれまして…」

魔女「マジかいやぁ…せっかく楽しゅうなるよう魔法つこうてやろうと思うとったんやけどなぁ」

シンデレラ「期待を裏切ってすみません…」

魔女「いやいや!あんたが幸せになれたってんならうちは…って!?」

魔女「何燃え上がっとる暖炉の中に飛び込もうとしてんねん!?」

死ぬデレラ「…あれ?」ズリズリ

魔女「あれ?じゃあるかい!?やめぇや!!」グイー

魔女「はぁはぁ…とんでもない子やでホンマ…」

シンデレラ「すみません…」

魔女「あれか?今までの辛い現実から逃避するために死のうとしとったんか」

魔女「だいぶ体にも心にも浸透しとるなぁ、そういうのはあかんな」

シンデレラ「そうなんですか?」

魔女「聞くなや…あんたの事やから分かるやろ…」

魔女「とりあえず周囲の環境の方はなんとかなったようやし一安心や」

魔女「ほな帰るわ」

シンデレラ「あ、はい」

魔女「まだあんたに不安要素あるみたいやからまた来るわ」

魔女「うちがあんたの前に現れたんは幸せにするん目的やしな」

魔女「ほいじゃ~な~」ガチャ パタン

シンデレラ「私の幸せのため…変わった人ですね」

魔女「…なにしてはるんや?」

次女「おぉ!?」ドテッ

長女「も、もうお話はよろしいので?」

魔女「まだうちの出番ないみたいやから幸せになれる魔法は必要ないみたいやな」

長女「出番…?」

魔女「ま、気にせんでええよ」

魔女「ほいじゃ」テクテク

次女「何がしたかったんだあの変な女」

長女「こら、そんな言い方してはいけません」

長女「話聞く限りではシンデレラのために何かしようとしていたようですし」

長女「悪い人ではないでしょう」

シンデレラ「そうですね」

長女「!?いつの間にいましたの!?」

シンデレラ「さっきからずっとドアの前でお話なさっていたようですので」

次女「そりゃすぐ気づくわ…」

次女「姉さま!良い話聞いたわよ!」

長女「なんですか騒々しい」

次女「これこれ、『舞踊会』があるんだってさ!」パサッ

次女「しかも王子様と踊れるチャンスもあるらしいんだってさ!」

長女「落ち着きなさい…で、それは何時あるのかしら?」

次女「三日後」

長女「全然時間ないじゃありませんか!?急いで支度しないと!!」

次女「あたしはもう済んだ」

長女「あなた自分だけ済ませてるなんて酷いんじゃないかしら!?」

次女「知ってすぐ用意しただけー」

シンデレラ「お姉様方、何のお話をしていたのですか?」

次女「三日後に舞踊会があるらしいのよ」

シンデレラ「へぇ、いいですね」

長女「あなたも参加したらどう?」

シンデレラ「いえ、私はドレス持っていませんしダンスもへたっぴですから…」

次女「ドレス用意するには時間がなさすぎるわよね…」

シンデレラ「私の事はいいですからお姉様方だけで行ってきてください」

長女「今までの私達なら気にせず行く所ですが…」

次女「さすがにシンデレラだけ置いては行けないよね…」

次女「どうにか良い方法ないかな?」

シンデレラ「あ、ありがたいですけど気持ちだけで十分ですので…」

長女「いいえ、昔とは違うのです」

長女「あなただけのけ者になどできません」

死ぬデレラ「お姉様方に私のせいでご迷惑を…」トボトボ

次女「!?姉さま!シンデレラを止めて!!」

長女「油断しましたわ!どこへ行くの!?自害はやめなさい!!」

死ぬデレラ「何かいい獲物は…」

長女「いやぁぁぁ!?致命傷与える道具探さないでぇぇぇ!?」

次女「結局当日まで何もできなかった…」

長女「私達は無力でした…」

シンデレラ「お姉様方…もういいんです」

シンデレラ「私はお二人が頑張ってくれたというだけで胸いっぱいですので」ニコ

次女「ホントあんたっていい子よね」

長女「次女!私、こんな可愛い子置いて出かけたくありませんわ!」ギュッ

シンデレラ「長女お姉さ…苦し…」ムギュゥゥゥ

次女「それならあたしだって…」

??「呼ばれず飛び出てジャジャジャジャーン!!」シュォォォ…

長女「何の音ですの…?」

??「シンデレラのために参上ぉぉぉぉぉ…」シュオォォォ!!

 ドガシャァァァァァァァン!!

シンデレラ「な、何かが小屋に突っ込みましたけど…」

次女「やっぱあんただったか」

魔女「いやぁやっぱ移動に魔法使うもんじゃないわなー、小屋壊して堪忍なー」

長女「それで何の御用でこちらへやって来たので?」

魔女「おっと、あまり時間なさそうやからさっさとすませなあかんな」ポンポン

魔女「シンデレラが舞踊会で着ていくドレスで困ってたんやろ?」

シンデレラ「どうしてそれを…」

魔女「何時どこであんたが困っても手助けできるよう見張っていたのですわ」

長女「それって盗さ…」

魔女「と、いうわけでほいっ」ポゥン

シンデレラ「わ…お洋服がドレスに…」

魔女「あ、洋服はあんたの部屋に送っといたわー」

次女「ホントに魔法使えたんだ…」

魔女「ホンマ失礼なやっちゃなー、最初から魔女だって説明したやろー」

シンデレラ「私がこんな良いドレスなんて何だか悪いです…」

魔女「ええんやで?あんたには幸せになってもらわなこちとら困るんや」ニッ

長女「でもここから歩きではもう間に合いませんわ」

魔女「心配ナッシンや上のお姉さん!ほーら!」ポポン

次女「カボチャ…の馬車?!」

魔女「コイツなら多分最速で会場に着けるはずや」

魔女「ただ12時に魔法切れたらまっぱになるから気をつけてな、ほいじゃいってら~」グイグイ

シンデレラ「今さり気にすごいこと言われた気が…」

次女「行くわよあんたら!」

長女「分かってますわ…これで全員乗りましたわ」

魔女「じゃあ運転手さんよろ!」

 パカラッパカラッ

シンデレラ「魔女さんありがとうございました!このお礼はいつか!!」

魔女「…お礼なんていらんよ」

魔女「覚えてないだろうけど、うちはあんたら家族から受けた恩を返しに来ただけや」

魔女「こんな嫌われ者にあえてひとときの幸せをくれた暖かい家族に…な?」

 ―十年とちょっと前―

シンデレラ「早く早く!」

母「ほら、慌てて走ると転ぶわよ」

父「久しぶりにみんなで出かけたんだから何か普段しない事したいな」

シンデレラ「お父さん、あの子真っ黒だね」

父「あの子?あれは…」

店員「ほら!買うもの買ったならさっさと出ていきな!」ドンッ

魔女「あぅっ」ドサッ

シンデレラ「あっ、転んじゃってかわいそうだね」

母「そうね…あなた?」

父「うん、君がいいと言うなら」テクテク

父「お嬢ちゃん、こんにちは」

魔女「だ、誰や…?」

父「君は…この先の森に住んでいる魔女だね?」

魔女「!?」

父「別に周りの人みたいな扱いしようなんて思っちゃいないよ」

魔女「…」

父「僕たちは今から森の方へピクニックに行こうと思っているんだけど」

父「一緒に来ないかい?」

魔女「え…?」

父「うちの家内も娘も君がいると楽しいと思うんだ、ね?」

母「えぇ、あなたさえよければ一緒にピクニックしましょ?」

シンデレラ「ねね、一緒に遊ぼう?」

魔女「ホントに…ええの?」

父「もちろんだよ、ほら早く出かけようじゃないか」

母「時間には限りがあるものね?」

シンデレラ「いこ?」グッ

魔女「う、うん…」


――――

魔女「うちは怪しい魔法を使う気持ち悪い者だと嫌われとった」

魔女「父や母を早くに亡くし、たった一人で生きてきた」

魔女「今まで誰一人として優しくなんてされた事なかった」

魔女「正直生きる理由なんてありゃせんかった」

魔女「そんなうちにあんたらは優しくしてくれた」

魔女「楽しい家族に混ぜてもらえた」

魔女「あれだけでっつーのも変やけどうちは生きていく気力をもらえた」

魔女「おかげで今はうちを嫌う者も減った」

魔女「いつかど派手な魔法を覚えて礼をしにいくはずだった矢先、二人は亡くなってもた」

魔女「それにその後の彼女の現状を聞いてうちはある事に気づいたんや」

魔女「昔のうちと同じや…って」

魔女「やからうちはチャンスを伺ったんや…せめてあんたにだけは幸せをお返しせなって!」

魔女「…なーんて、こんな説明は本人にはせんつもりやけどな」

魔女「さて、鍵開けっ放しな無用心な家の留守番でもしておいてやるかいなっと」ガチャ パタン

長女「着いたみたいですね」

次女「早く会場に入らなきゃ!」

スーツ「ご参加の方ですね、参加証の確認をお願いします」

長女「これですわね」ピラ

シンデレラ「参加証ってなんですか?」

次女「へ?入場するために事前に参加すること言ってもらっていくやつよ」

シンデレラ「私…それ持ってないです…」

長女「そういえばシンデレラは今まで来た事なかったから知ってるはずないですよね…」

次女「そ、そういえば…じゃあシンデレラは…」

シンデレラ「やっぱり私には参加するなってことだったんですね…」トボトボ

シンデレラ「お馬さん…この私の頭をひとおもいに蹴ってください…」チョコン

馬「ヒヒン?」

シンデレラ「その後、この大きな馬車の車輪で轢いてもらえば確実に…」

次女「今までにないぐらい無茶苦茶な死に方選んでる!?」

運転手「そこのスーツの方、彼女を代理として他の者の参加証って使えますの?」

スーツ「それ自体は参加人数の確認のためのものですので代理は可能です」

運転手「ならばこれをお使いなさい、シンデレラ」ピラッ

シンデレラ「え…」

長女「その声は…まさか…」

継母「いいからもう時間ありませんわ、さっさと中へ入りなさい」

長女「行きますわよ、シンデレラ」

シンデレラ「は、はい!行ってきますお母様!」

継母「…」

次女「まさか運転手が母様だとは思ってなかったけど…やるじゃん」

継母「これでも乗馬には自身があったのよ」

次女「シンデレラに優しくする気になったんだね?」

継母「…この程度なら少しずつやっていけるかしら?」

次女「いいと思うよ、それじゃ行ってくるよ」タタッ

継母「あの子の事ちゃんと見ててあげて」

次女「ん」ニッ

シンデレラ「こ、ここが舞踊会会場ですか…」キョロキョロ

長女「あまり落ち着きのない行動をしてはいけませんよ」

シンデレラ「こんな所に私みたいなのが来ていいのかな…」

次女「いいに決まってるでしょ」

シンデレラ「こここ…こんな…こん…こここここ…」プルプル

次女「ちょっと大丈夫?えらい震えて…いぃ!?」

死ぬデレラ「こんな所でならむしろ逝けます!いいえ、逝かせてもらいます!」

長女「壊れた!?ちょっと黙らせなさいよ次女!!」

次女「こんなやばいほどアヘってるシンデレラ近づきたくない!!」

 ザワザワザワ

長女「周りの方にご迷惑ですから少し部屋から出しましょう…」グイッ

長女「獲物持ってないから今なら何とか誤魔化せます」

次女「ホ、ホントかねぇ…」グイッ

死ぬデレラ「むー!むー!!」ズリズリ

長女「…落ち着きましたか?」

シンデレラ「すみません…興奮しすぎて…」

次女「あんたは興奮するとアヘるのか…」

シンデレラ「はい?」

次女「なんでもないわ…思い出したくもない…」

長女「それじゃあ戻りましょう、そろそろダンスが始まりますわ」

次女「そうね、そろそろ王子様も来る頃じゃない?」

シンデレラ「王子様…初めてお会いします」

次女「なかなかイケてて誰にでも優しい天使のような人よ」

長女「一目見た人は誰もが彼に惚れ込んでしまうほどらしいわよ」

長女「でもシンデレラは渡しませんけどね」

シンデレラ「えぇ!?普通『シンデレラには』じゃ…?」

王子「はぁ…鬱だ…」

執事「こんな日にため息とは感心しませんね」

王子「こんなのお見合いと同じではないか」

王子「ボクの妻となる相手を探すのが裏の目的なのは知っている」

執事「ほほほ、集まった淑女達もほぼそれが目的なのですがね」

王子「どうせ最終的に決めるのはボクだ、どのような者がいようと関係ない」

執事「おやおや、そんな事言っていいんですか?」

王子「何を企んでいる?」

執事「おっと、そろそろ会場に着きますぞ」

王子「言うんだ!何があるんだ!?」

執事(特に何もないんですが、こう言っておけば真面目に取り組んでいただけるでしょう)

淑女「来ましたわ!王子様よ!」

 キャーキャー

王子「やぁ皆さん、本日は精一杯楽しんでいってください」

執事「言う事はそれだけですか?」ボソボソ

王子「無駄な言葉を繋いでもそれに何の意味もないよ」

執事「これはいつも以上に冷めておりますな」ボソボソ

王子「無理やり連れて来させられて、やりたくもないことやらされたらそりゃ、ね…」

執事「ふーむ…」

執事「では興味の沸く物を用意すればいいのですな?」

王子「そんなのあるはずないだろう」

執事「例えばあの別の雰囲気を出している娘とかいかがですか?」

王子「そんな娘いるのか……いるな」

執事「しかもかなりレベルが高い」

王子「レベルってなんだ…しかし本当に周りの者と毛色が違うというか…気になるな」

次女「ダンスが始まったわ」

シンデレラ「えっと、これからどうすれば…」

長女「あなたの場合、誰かの誘いを待ったほうがいいでしょうね」

シンデレラ「そ、そんな…私のようなのを誘っていただける奇特な方がいるはず…」

紳士A「お嬢さん、よろしければ一緒にダンスしていただけますかな?」スッ

紳士B「そんな者より私とどうだろう?」

紳士C「フヒヒwオニーサーンと一緒にヌルヌル踊ろうwデュフwww」

次女「奇特な人イターーーーーーッ!!」

シンデレラ「え、えとえと…」

長女「それじゃ頑張りなさいね」

次女「あたし達も踊ってくるからー」

シンデレラ「えぇ!?ちょっと待ってください!?」

シンデレラ「置いていかないでぇぇぇぇぇ?!」

王子「…」

執事「さっきの娘が気になりますか?」

王子「気になるというか…不審者というか…」



シンデレラ「あぁ!?ひぃ!?うにょぉぉぉ!?」グルングルン



執事「…新たな舞踊ですかね?」

王子「ただ踊り慣れてなくてぎこちないだけじゃないのか?」



シンデレラ「あぁ!?足を踏んでしまいすみません…」

紳士「はは、これしきの事気にしなくと…も?」

死ぬデレラ「この強いお酒を足元に撒きますのでマッチで私を燃やしてください…」

紳士「焼死希望!?足踏んだだけで!?」



王子「一気に大騒ぎになっているが…」

執事「ほほほ、こりゃ予想以上の盛り上がりですな」

王子「…」

シンデレラ「踊るたびに失敗ばっかりしちゃう…」

シンデレラ「やっぱり私来るべきじゃなかった…こっそり帰ろうかな…」トボトボ

王子「そこの者、少しいいかな」

シンデレラ「え?おっ、王子様!?」

王子「ボクと一度踊ってもらえないだろうか?」

シンデレラ「すみませんが…私、自分で分かるほど踊りが下手でして…」

王子「下手でもかまわない」

シンデレラ「ほ、他にも踊りたい人いるみたいですし私なんか放って…」

王子「今、ボクは君と踊りたいんだ」

シンデレラ「!?」

王子「どうかな?」

シンデレラ「…」プルプル

シンデレラ「…」

王子「どうしたんだい?しっかりするんだ」

シンデレラ「やっぱりダメです…」ゴロン

王子「何故床に寝転がったんだ…起き…」

死ぬデレラ「死なせてください…このまま天井のシャンデリアを落としていただければ…」

死ぬデレラ「こんなダメな小娘すぐにでも…」

王子「…君は死にたいのか?」

死ぬデレラ「私は必要ない人間です…なので…」

王子「必要ない…か」

王子「ないかどうか決めるのは君ではないと言ったら?」

シンデレラ「え…?」

王子「他の君を知っている人がどう思っているかは知らない」

王子「だけどボクには必要だと思えた」

王子「先ほどのダンスを見ていると精一杯踊っているのがよく分かった」

王子「自分を否定するには早いんじゃないかな?」

シンデレラ「わっ、私は…」

王子「さぁ一緒に踊ろう」スッ

死ぬデレラ「は、はひぃ?!」ガシ

王子「ちょ…いきなり積極的に…」

死ぬデレラ「しししし死ぬまで踊り狂いましょ!!」

王子「死ぬまで!?どうしたんだ!しっかり…うわぁ?!」

死ぬデレラ「あはははははは!!」

王子(無茶苦茶だけどわりとダンスになってる気がする…)

王子(不思議な子だ)

長女「…」

次女「姉さまも怖くて近づけなかった?」

長女「え、えぇ…何だか刺されそうで…」

長女「あまり長居はしないほうがよさそうね」

次女「ちょうどシンデレラも戻ってきたし帰る?」

長女「そうね、あの子呼んできてあげて」

次女「あたしが行くの!?」

長女「あの子にはあなたが一番話しやすいみたいだし?」

次女「とか言いながらただ怖いくせに!」

長女「いいから早く行きなさい」シッシッ

次女「覚えてろよ姉さま?!」タタッ

長女「触らぬシンデレラに祟りなしってところかしらね」

次女「楽しかった?」

シンデレラ「初めてで緊張しましたがとっても!」

長女「うはっ!いい笑顔ですわね」

次女「時々姉さまってシンデレラ見てたら変な反応するよね」

長女「き、気のせいじゃない?」

シンデレラ「でもお姉様方はもうよかったのですか?まだ終わってないみたいだけど…」

次女「いつもそんな長くはいないしいいのよ」

長女「それにもうそろそろ約束の時間だからしかたないわ」

シンデレラ「それでもとてもいい経験になりました、ありがとうございました!」ペコリ

王子「君、ちょっと待ってくれ」タッタッタ

次女「げ、王子様来たんだけど…」

長女「逃げるわよ、話している時間もないわ」

シンデレラ「はは早く逃げましょう?!」

シンデレラ「こんな所で裸になったら恥ずかしくて死んでしまいますよ!!」

次女「じゃあ行くよ!そーれぃ!!」ダダッ

シンデレラ「は、はわわわ…!!」タタッ

シンデレラ「はぅっ」ドテッ

長女「大丈夫ですの?さぁ早く起きて」グイ

シンデレラ「ごめんなさい…あ!靴が!?」ポロ…ガシャン

次女「そんなもん気にするな!早く逃げるよ!!」

シンデレラ「靴…」

次女「どうせ魔法で出したものだし魔女だって怒らないでしょ」

死ぬデレラ「代わりに私の命を捧げなくちゃ…」ガシィ

長女「橋から飛び降りようとしてますし!?次女!!」

次女「こんな時まで自殺すんな!?」ガシッ

長女「行きますわよ!!」

………

王子「まって…いっ!?」ザクッ

王子「くっ…どうしてガラスがこんな所に…ん?これって…」

シンデレラ「ただいま帰りました」

魔女「おかー、時間ギリギリやったね」

次女「あんたまだいたのか」

魔女「ひどいやっちゃで、せっかく留守番してやっとったのに」

シンデレラ「それはご苦労さまで…ひぇ!?」ポンッ

魔女「あー時間切れや、街中でなくてよかったやん」

長女「さぁお部屋へ戻って着替えましょう」グイ

シンデレラ「はい…あ、長女お姉様変な所触らないでください…」

長女「ほらほら、早く進まないとあなたの裸体が私の手で汚されますよ?」サワサワ

シンデレラ「ひっ!?い、行きますから変な所を…はぅ!?」

次女「やっぱり変になったな姉さま…」

継母「さて、あなたには手伝ってもらいましたから何かお礼をせねばなりませんね」

魔女「ん、何かくれるってんならいただくけど?」

継母「何がよろしいですか?」

魔女「そうやね……あんたの命とか?」

継母「!?」

次女「あんたそれ本気?」

魔女「なんならあんたでもええよ、命なんて誰も価値は一緒や」

次女「…」

継母「…それでよろしいのなら私の命を差し上げましょう」

次女「母さま!?」

魔女「本当にええんやな?やり直しとかでけへんで?」

継母「かまいません」

継母「どうせ私達はこのままあの子をいじめていたらあなたに制裁されていた事でしょうから」

魔女「ふぅん、よー分かってんやん」

魔女「なら早速ガツンといっとくけ?」

次女「ちょっと!?本当にやる気?!」

魔女「マジや、ほれ」ボワァァァン

次女「かあさまぁぁぁぁぁ!?」

魔女「あんた叫びすぎや、よー見てみ?」

次女「え?」

継母「私…生きてますの…?」

魔女「あんたには二つの罰を与えた」ピッ

魔女「ひとつはシンデレラに関する事でこれこそ命にかかわる罰や」

魔女「あんたは今後彼女を傷つけるたびに寿命が減っていく」

魔女「ま、せいぜい十回ぐらいで終わるやろうな」

次女「そんなの短すぎるでしょ!?」

魔女「ま、この魔法にも色々ルールあるから全部が全部というわけやないんやで?」

魔女「彼女のために怒ったりするんは含まれんのや」

継母「今までのように理由なく傷つけるだけがいけないわけですね」

魔女「そういうことや、ちゃんと家族らしく優しくするんやで?」

魔女「そうすりゃまず生涯終えるまで死ぬことはなかろ?」

継母「そうですわね、気をつけますわ」

次女「じゃあ母さまが幼女になってるのは…」

魔女「ん?それが二つ目の罰や」

魔女「もう一度子供側になって生活してみ?」

魔女「同じ位置にいりゃ、あの子の考えが少しは分かってくるやろ」

継母「なるほど…」

魔女「そっちは期間は二月ほどやから安心しぃや」

魔女「んじゃうちは帰るわ」

次女「あたしや姉さまには何もしないの?」

魔女「してほしいんやったらするけど?」

次女「いや…いいわ…」

魔女「んふっ、んじゃな」クルクル ヒューン

次女「結局何者だったのあの子…」

継母「この町のはずれの森に一人の魔女が住んでいるそうよ」

継母「ただ人に悪さするどころか不幸になっている人を助けてるのですって」

次女「それがさっきの?」

継母「だと思うわ、でなければ今頃私達はここにいなかったでしょう」

シンデレラ「よいしょよいしょ」ゴシゴシ

次女「また掃除してるの?あんたも好きねぇ」

シンデレラ「ずっとしていた事ですし、しないと何だか落ち着かなくて」

次女「まぁ気持ちは分からなくもないわ」ヒョイ

次女「でも今までのように毎日狂ったようにしなくてもいいわよ」ゴシゴシ

シンデレラ「あ…次女お姉様汚れますよ」

次女「あんたなんか毎日汚れてたんでしょうが」ゴシゴシ

長女「シンデレラーいますのー?お料理手伝ってくださらなーい?」

次女「ほら、呼んでるわよ」

シンデレラ「あ、はーい!あの、お掃除は…」

次女「お姉さんにまかせときなさい、早く行ってきな」

シンデレラ「はい!」タタッ

次女「まったく世話の焼ける妹だわ」ニッ

??「すみません、誰かおられますか?」コンコン

次女「はいはい、どなたかしら…」パタパタ

兵士「こちらに舞踊会に参加なされた娘さんはおられますか?」

次女「うちの者ほとんど参加しましたが?」

兵士「その中でガラスの靴を所持して会場の屋外で落とされた方は?」

次女「…シンデレラのことかしらね」

兵士「彼女を呼んできていただきたいのですが」

次女「分かったわ…シンデレラー!ちょっとおいでー!」

シンデレラ「はいはい!なんでしょう?やっぱりお掃除変わります?」

次女「いや、兵士の人が来ててあんたに用があるらしいのよ」

兵士「君がシンデレラだね?」

シンデレラ「はい、そうですが」

兵士「ガラスの靴の破片で王子様を傷つけた疑いがあるのでご同行ねがえますか」

シンデレラ「え…」

次女「はぁ?!」

次女「ちょっと何よその無茶苦茶は!?落とした破片はこの子と関係ないでしょ!?」

兵士「国王様の命令なのであまり抵抗されても困るのですよね」

次女「ぐっ…」

シンデレラ「大丈夫ですよ、私は何もしていませんし」

シンデレラ「ちょっと行ってきますね」

兵士「それでは表の馬車へ」

シンデレラ「はい…」パタン

次女「待ちなさいよ!?こんなのおかしい!!」

次女「その子に何かあったらただじゃ済まさないからな?!」

長女「どうしたのですか?大きな声を出して」パタパタ

次女「シンデレラが兵士に連れて行かれたんだよ?!」

長女「落ち着きなさい、きちんと話を聞かせなさい」

次女「あ、あのさ…」

シンデレラ「…」ゴトンゴトン

兵士「…私はね、直接現場を見たわけではないから分からないが」

兵士「君が本当に王子様を傷つけたとは思えない」

シンデレラ「私はただ時間がなくて急いで帰ってて靴を落としただけなんです…」

シンデレラ「確かに王子様は追いかけてきていたみたいですけどその後の事は…」

兵士「そうか」

シンデレラ「私どうなっちゃうんですか?」

兵士「国王様の機嫌次第だが、下手すると重刑になるかもしれないな」

シンデレラ「それって…」

兵士「我々も君は関係ないという証拠を探している最中なのだが…すまない」

シンデレラ「…いいんです」

シンデレラ「どうしてもこういう運命なのなら…」ガチャ

兵士「お、おい!?どこへ行く気だ!まだ走行中だぞ!危な…」

死ぬデレラ「このまま落ちて潰れたトマトになるのもいいんじゃないかと…」フラァ

兵士「待つんだ!?やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

継母「着きましたわよ」キキィ

長女「シンデレラ!」ダッ

次女「姉さま待って!?」ダッ

長女「そこのあなた!シンデレラはどこですか?!」

兵士「城中で噂になってる王子様傷つけたっていう娘のことか?」

長女「そうよ!そんな根も葉もないウソばら撒いたのは誰なの!?」

次女「ちょ…姉さま、まずシンデレラが無事かどうか…」

長女「早く言いなさい!言わないとミンチにして庭の肥料にしますわよ?!」グイグイ

兵士「ま、まだ来てない…!!到着予定時刻は…とっくに過ぎてるんだ!」

継母「来ていないですって?」

兵士「あぁ…途中で何か起こったか、それとも族に襲撃でもされたか…ぐぇ!?」

長女「あの子に何かあったら粉末状にしますわよ!?」ギリギリギリ

次女「姉さま落ち着いてって!?最近の姉さま怖すぎるんだよ!!」

魔女「ホンマあんた滅茶苦茶やな」

死ぬデレラ「…」

魔女「マジ何考えとるんや?うちが助けなんだら死ぬトコやったぞ」

死ぬデレラ「死ぬ気でしたから」

魔女「はぁ?まだ死ぬ気でおったんかい」

死ぬデレラ「どうやっても私には不幸しか舞い込んでこないんですよ」

死ぬデレラ「だから…」

魔女「あんた最低や」

死ぬデレラ「…」

魔女「うちはあんたを幸せにするために手を貸した」

魔女「それをあんたはすべて無駄にするっちゅーわけやな?」

魔女「それに家族はどないするんや?」

魔女「あんだけ仲よーなったくせに悲しませるんか」

魔女「もう今までとちゃうんやぞ?」

死ぬデレラ「でも私は…」

魔女「国王が怖いんか?やったら魔女さんに任せんかい」

魔女「うちが助けたるさかい」

死ぬデレラ「そうしたらあなたが…」

魔女「うちは元より嫌われモンや、失うものなんかあるかい」

魔女「…ちょっぴり仲よーなった人離れてくんは辛いけどな」

魔女「だから、な?もう自害はやめとき」

死ぬデレラ「…」

魔女「あんたには待っとる家族や必要と思ってくれてる人がおるんや」

シンデレラ「そう…ですね…」

死ぬデレラ「すみませんでした…私は…生きます」ザッザッ

魔女「と、言いつつ崖目掛けて進んどるんはなんでやぁぁぁぁぁ!?」ガシィ

死ぬデレラ「あ、あれ?足が勝手に進むんです」ズリズリ

魔女「なんやこの娘ぇぇぇ!?」グイー

兵士「あの…早く馬車に乗ってくれないだろうか…」

国王「死刑」

シンデレラ「!?」

次女「何の前フリもなしに!?」

国王「うちの大事な大事な息子傷つけたんだもん」

長女「…」ゴゴゴ

継母「だからそれは誤解なんです…どうかこの子に罰は…」

国王「そうか…死刑」

次女「おい腐れジジィ!適当で言ってるんじゃないだろうな!?」

国王「だからうちの大事な大……ひっ!?」ザクッ

長女「…あなたは大人しくシンデレラに土下座していればいいのです」

継母「長女!?どこからそんな槍を…じゃなかった、国王様ご無礼をお許しください!」

国王「しかしながら死刑」

長女「分かりましたわ…そんなにあなたが死刑になりたいようですわねぇぇぇ!!」ヒュンヒュン

国王「ひぃぃぃ!?」ザクザクザクッ!!

兵士(これ国王様守るべき?)

兵士(今出たら確実にあの女性に殺されるだろ…大事なのは自分の命だって)

魔女「あんたらちょー待ちぃや…久しゅう国王殿」

国王「今日はろくでもない客人ばかりだな…」

魔女「ろくでもないこと言い出したんはあんたやろ」

魔女「彼女、何もしてへんで?」

国王「息子はその娘の履いていたガラスの靴で足を切ったと言っていたぞ」

国王「その傷もガラスの靴だった破片も確認済みだ」

魔女「ただ落として割れたヤツ踏み抜いただけちゃうの」

国王「いやそんなはずはない、息子はご丁寧に破片を持って帰ってきた」

国王「それにその破片を分析までしようと研究者に渡しておったのだぞ」

魔女「だから?」

国王「その小娘が息子を狙って仕掛けたに違いないのだ!」

魔女「うちさぁ、この子に恩があるんだわ」

魔女「だから完璧な証拠なしに彼女陥れようもんすなら容赦せんよ?」バチバチバチ

国王「ひぃ!?お前もか!!」

シンデレラ「魔女さん…」

魔女「あんたは何も心配せんでもええよ?まかせとき?」

魔女「分かっとるやろ?うちが本気出したらえらいことになるぐらい」

国王「じゃあ誰が息子を傷つけたというのだ!?」

魔女「だーかーらー」

王子「父上!」バァン

国王「おぉ、息子よもう足の具合はよくなったのか?」

王子「足なんかどうでもいいのです!聞きましたよ!」

王子「勝手に彼女を犯人扱いしないでください!」

国王「いいのだぞ、このような娘に優しくしなくとも」

王子「だから彼女は何もしてないのですって?!」

王子「もうお止めください!!」

国王「いいや死刑」

王子「だったら絶縁!!」

国王「!?」

王子「ご迷惑をかけて本当に申し訳なかった…」

シンデレラ「いえ…」

次女「腐れジジィって言っちゃったけど大丈夫かな…」

王子「かまわないさ、ボクも裏では結構言ってるし」ニッ

魔女「やるやんけ、唐突の絶縁宣言で無抵抗にさせるなんて」

王子「父上は一度言い出したらなかなか聞いてくれないのでこれぐらいは言わないとね」

長女「それよりさっき聞いたのですけど破片を分析しているとか言うのはなんですの?」

王子「申し訳ない…どうしても彼女にもう一度会いたくてね」

王子「持ち主を特定するため行わせていたんだ」

シンデレラ「私…に?」

王子「そう、少し変わった子だったが君の事が気に入ったんだ」

王子「キミさえよければこの城に来…うわぁ!?」ザクッ

長女「却下ですの」ギラリ

王子「な…な…」

長女「この子はうちの大事な大事な家族ですから渡せませんわ」

次女「姉さま、さっきの国王と同じような事言ってるよ?!」

長女「帰るわよシンデレラ!」ガシ

シンデレラ「え?えぇ!?」

次女「悪いね王子様、姉さま攻略するまではシンデレラはおあずけよ」

王子「なんだそれ…」

魔女「にひ、これであの子も安心やな…ほな帰るわー」

王子「ボクは何かおかしなことをしたのだろうか…」

継母「あの子を愛してる者が多いから仕方ありませんわ」

王子「あの子のお母上ですか?」

継母「えぇ、今まであの子には辛い思いばかりさせてきていましたけどね」

継母「最近になってやっとあの子に幸せが訪れたところなのです」

継母「今しばらくは見守っていてあげてくれませんか?」

王子「…分かりました」

王子「だけど彼女を諦めるわけにはいきません」

王子「あの舞踊会で話した時、必要な存在が自分でありたいと思ってしまったのです」

継母「いつかそれを言える時が来ればいいですね」ニコ

長女「ほら、シンデレラーこれに着替えてみなさいな」

シンデレラ「わ、私はお姉さまの着せ替え人形ではないのですよぉ!」

シンデレラ「もう本日だけで何度目だと思ってるのですか!」

長女「だって可愛いんですもん♪」

次女「まーたやってるし…」

継母「こら次女、あなたが手を抜いているから廊下がいつまでも綺麗にならないでしょ」

継母「早くしないと当分食事抜きですよ」

次女「いつの間にあたしが昔のシンデレラみたいになってんだ…」

継母「何ブツブツ言ってるの!しっかり手を動かしなさい!」

死ぬデレラ「もう疲れたこんな生活…」ブィィィィィィン!!

次女「あんた何芝刈り機で自害しようとしてるのよ!?」ダッ

継母「次女!まだ掃除は終わっていませんよ!!」

次女「そんな事してる場合かクソババァ!シンデレラ助けろよ?!」

長女「ゴスロリ服で芝刈り機持ってるシンデレラも可愛いわぁ…うっとり」

死ぬデレラ「さよなら現世…」ブィィィィィン!!

魔女「久しぶりに遊びに来てみりゃ…あんたも懲りんやっちゃな」ポフン

死ぬデレラ「芝刈り機が消えた…」

魔女「やっぱ癖ってのはなかなか直らんモンやなぁ」

次女「これでも前よりは直ったわよ」

魔女「それだけ追い詰められとったっちゅーわけや」

魔女「これからもちゃんと癖直るまで見守って…って、なんじゃあ!?」ブォン!

死ぬデレラ「これなら!これなら一発ですね!でもうまく動かせません!」ブンブンブン!

長女「失礼、倉庫から斧を持ってきて振り回し始めましたので気をつけてください」

魔女「あと数ミリずれとったら首が飛んどったわ!?」

王子「たのもー!」

次女「げ、今度は王子様まで来たわ…」

魔女「最近よー来とるな」

次女「あんたもだろ…まだシンデレラのこと諦めてないらしいわよ」

魔女「暇人やのぉ」

王子「シンデレラ!ボクと一緒になってくれる決意はしたかい!」

死ぬデレラ「こんな私が王子様と一緒になるぐらいなら…」

王子「だったらまずボクを死なせてくれ」

王子「そうすれば向こう(死後の世界)でも一緒さ」キラッ

長女「そうですか…それならこれで…!!」ブゥン!

王子「おっと…ははっ、あなたでなくシンデレラの手にかかって死ななきゃ意味がないんだよ」

死ぬデレラ「他にうまく死ねる獲物は…」ゴソゴソ

次女「カオス…」

魔女「でも楽しけりゃええんちゃう?」

次女「かなり精神すり切れるけどね」

魔女「でもそれでも相手してもらえるだけあの子は幸せなんや」

次女「そうね、これからもこんな調子なほうがあたしも楽しいわ」

死ぬデレラ「早く死んで楽になりたい…」


       お し ま い


ネタ尽きたけど話的に最後までいったからいいよね…?
ではまた。




↓タイトルだけだけど過去に自分が投下したSS


魔王「ここはどこだ?」

ゲジ子「例え不快と言われても…」

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