姫「御主人…様」赤騎士「あ?何か言ったかプリンセスマ○コwww」(976)

赤騎士「いやー聞こえなかったなぁwww耳遠くなっちまったかなぁwww」

赤「ホレ、もっぺん言ってみwww」

姫「…」ビキッ

姫「すぅぅ…」

姫「ご主人様あぁって申し上げましてよーっ!」

赤「ギャーッ!」

赤「あ、あぶねぇっ、耳のバージンぶっ飛ぶとこだったぜ…」

姫「ふんっ。自業自得ですわっ」

赤「あんだぁその態度。あんた自分の立場わかってんのか?」

赤「ここは俺様の城!アンタはそこのメイド!」

赤「毎日上から下までシャブシャブされる存在なんだぜ?ん?」

姫「…」

赤「俺様がこうして指を差し出せば、美味しそうにちろちろ可愛い舌で…」

ガブッ

赤「そうそうそうやってウインナーむさぼるみてーに良く味わって」ガブガブ

赤「ギャーッ!渾身の歯跡がぁっ!」

姫「すじばって不味くてとても口に合いませんわね!」

赤「こんのガキゃあ…」

従者「どうどう、騎士様。子供相手に興奮する性癖なのは解りますが」

赤「するかっ!こんな山も谷もねぇクソガキ!」

姫「…っ…」プルプル

赤「胸っくそわりぃ。おいクソガキ!馬小屋と便所の掃除してこい!」

姫「…」

赤「こら黙っていくんじゃねえ。傾いで返事してけ、メス犬みたいによ」

姫「…」

姫「かしこまりました、ご・主・人・様っ」

赤「おひー…ゾクゾクするねその目。たぁまんねぇ」

赤「ああ、そだそだ。掃除っつってもただ掃除するだけじゃダメだぞ」

赤「俺の愛馬のケツまでしっかり拭けよ。もちろん穴ん中もなwww」

赤「便所はひととおり済んだら這いつくばって舐めとけよwwwいずれ俺のブツしゃぶる練習だとおもっ」

従者「もう居ませんよ騎士様」

赤「あら?」

赤「あのガキ…話は最後まで聞けってパパに教育してもらわなかったのかァ?」

赤「しょうがねえなぁ俺様がベッドの上でしっぽり教えてやるかwww」

赤「まな板相手だからつかまえらんねぇかもなwwwツルッwwwスベッチャターwww」

従者「…」

赤「んーだ?主人にガンくれるやつがあるか」

赤「ケツはやらねえぞ」

従者「いえー、ロリコンも大変だなーって思いまして」

赤「お前は耳が腐ってんのか」

従者「騎士様の性根ほどじゃないですが」

赤「おいおいあんま俺様怒らせんじゃねーぞ。今せっかく気分いいんだからよ」

従者「ケチな騎士様があれほどの大金を積んでまで買ってきた訳で」

従者「勘繰るなってほうが無理ですよ」

赤「ハンッ、お前わかってねえな」

赤「あいつは以前俺をあごで使ってたんだぜ?この俺様をだ!」

赤「赤騎士を敬称してからというもの決闘無敗!部下からのクレームゼロ!」

赤「上司にしたい騎士no.1のこの俺様を、だ!」

従者「そりゃまだ前の騎士様亡くなってから一月もたってないですから」

従者「部下なんて僕だけですし」

従者「だいたい剣抜いた途端腰抜ける人に決闘なんて出来るんですかねえ」

赤「あぁ?しっかりヌいてるよ、とっておきのエクスカリバーのほうをよwwww」

従者「そーですね」

赤「くぁーっ、いい気分だな。街に繰り出すとすっか」

従者「売春宿を覗く簡単なお仕事ですか」

赤「ぶわーか、あんなビッチ共に用はねえよwww金もねーしなwww」

従者(負け犬の遠吠え…)

赤「それに今この国じゃ、俺達騎士がいっちばんエラいんだ」

赤「初夜権なんて趣味のわりーもん良く作ったよな。おかげでウッハウハだけどよwwww」

赤「あー今から楽しみだぜwww俺のシマで誰か式あげねーかなwww」

従者「…」

従者「旦那様に挨拶してかないんですか」

赤「死んだオヤジの事なんかしらねーよwwwどうせあの世でババァとズッコンバッコンしてんだろwww」

赤「さっさと馬ひいてこいすっとボケ従者」

従者「かしこまりましたよ、"騎士様"」



姫「なんですのっ、なんですのっ」ツカツカ

姫「なんなんですのっ!あの男っ!」バーンッ

メイド「ひっ」

メイド「おおお姫様、ご無事ですか。あの男に何か酷い事など」

姫「ふんっ。膜を破って噛み千切ってさしあげましたわっ」

メイド「えぇっ!?」

メイド(と、殿方にも膜なるものが…?)

姫「以前あれほど目をかけてあげたというのに…」

姫「あの態度!恩知らずはもとより、騎士の面汚しですわ!」

メイド(あ、でも千切れたってことはもう殿方では…)

姫「わたくしの四肢を見る目も、まるで飢えた狼!」

姫「もはや名誉も誇りも失った、畜生!欲望に肥えたブタですわっ!」

姫「ちょっとメイド!聞いてますの!?」

メイド「ふ、ふあいぃッ!?」

姫「掃除を言いつけられました。すぐに取り掛かりますわよ」

メイド「かしこまりました…」

メイド「も、もしかしてお姫様もご一緒に?」

姫「当然よ。何か問題があって?」

メイド「いえ、ですがこういった事は私にお任せいただければ…」

姫「そうはいきません」

姫「小間使いに身をやつしても、わたくしは貴族領主の誇り高き娘」

姫「仮にも主の命令をはねのけるようなマネをしては、家名の穢れですわ」

メイド「し、しかし…」

姫「あなたには以前よりよく尽くしていただいてます」

姫「でもわたくしももう15歳。簡単な務めなら果たせるはず」

メイド「そ、そうですけどもぉ…」

姫「もう決めましたの。さあ行きますわよ」

メイド「は、はいっ!」

カッカッカッカッ

姫(今は耐えて、どんな屈辱も甘んじて受け入れるのよ)

姫(いずれ好機が訪れるまでは…)

姫(あんな恥知らずな男などに、負けはしませんわ)

姫(そうよ…あんな男などにっ!)

姫(お父様、お母様…)

姫(わたくしが行くまでどうか、ご無事でいらして…)

――街中――

赤「おーおーヤってんな今日も」

橙騎士「ぷぎっ、ぷぎいぃぃ」パンパン

村娘「あぁっ…いやぁっ…」

赤「街入って早々ブタの交尾見せ付けられるこっちの身にもなれっつーの」

従者「なりを見るとあの娘、前は貴族階級だったようですねえ」

従者「荒れ初めていますが、育ちのよさそうな肌してますし」


赤「お前あの状況みて冷静でいられんのかよ。マジもんそっちの趣味じゃねえだろうな」

従者「騎士様こそ余裕ですね」

赤「ブタの盛り見て興奮する馬鹿はいねーよ…おっ、綺麗な小石みっけ」

赤「っとやっべーwww手滑ったったwww」ヒュンッ

橙「ぷぎっ、ぷぎっ…」パンパンパ…

ビシッ

橙「ピギィィイィ!?」ヌポッ

村娘「あっ…!」

橙「なん゛っ!"おで"のエクスカリバーがぁぁっ!」ゴロゴロ

従者「良かったですね。リスペクトされてますよ」

赤「あんな塩かけたヒルみてーなブツと一緒にすんじゃねえよ」

村娘「うぅっ…」タタッ

赤「ほれ、あのコの住所聞いて来い」

赤「あ、スリーサイズもわすれんなよwww下着の色もなwww」

従者「はいはい。騎士様がロリコンだってことも教えといてあげますね」

赤「ちょwwwwおまwwww」

橙「んぎぎ…ふー、ふー…んっきー!!」

赤「よーう橙殿。見事なブレイクダンスですな!シビれましたよカックイーッ!」

橙「ぷぎぎっ…ふんごっ…き、貴様は…」

橙「よもや、い、いまのはおまえじゃないだろなっ、なっ!」

赤「んー?何のことですかい。馬車が石をはねたのでしょう。不慮の事故ですなあ」

赤「聖母様が嫉妬めされたのかも。橙様ぁーんってな具合に」

橙「ふごんっ、よく口の動く男だっ、だっ」ムクリ…

赤「公衆の面前で女を抱きゃ良く締まるでしょうが、相手がちょっと悪かないですかい?」

赤「貴族様がたの頭がまだ"黒"だって決まったわけじゃないんですぜ」

橙「そんなものっ、裁判などやらんでも決まっておる!」

橙「領主婦人は魔女だ、これはゆるぎないのだ、ふごんっ」

赤「へっへ。俺としてもそのほうが願ったりかなったりなんですけどね」

赤「ふんぞり返るしか能のねえ奴等に振る尻尾もねえし」

赤「こんな危なっかしい階級、街中で女好きに抱けるくらいできねえとやってらんねえ」

赤「だからこそ今は希望もたせときましょうや」

赤「目の光が消えうせた女ほど、下の口正直になるもんだ」

橙「ふごんっ…貴様の指図など、うけぬっ!」

ザワザワ…

赤「へへ、そりゃどうも…」

黄騎士「キッキー、やはり貴族の娘はいい肌をしておる!」

藍騎士「コケケ…まったくまったく。もはや平民など抱けんな」


黄「橙の。そっちはどうじゃった…キッ?」

赤「これはこれは黄殿と藍殿。ご機嫌麗しゅう」

橙「ふごんっ」

藍「…なんぞござったか」

赤「いやぁー、世間話など?」

橙「なにもないっ!いくっ、いくぞっ!」

黄「何を怒っておる?」

藍「およそ想像はつくわ。あの男がおると空気が臭うてかなわん」

橙「まったくだ…卑しい血の混ざった身でこのおでに物申すなど…」

橙「"盗人騎士"めが…」

ザッザッ

赤「…フッ」

赤(ブタとサルとニワトリか。さしずめ俺はそのクソ食らうハエってとこか?)

ザワザワ

赤「おっとぉ、はいはい!皆さんお騒がせしましたね!」

赤「仕事に戻りな!うまい酒もいい女も金次第なんだからよ!」



赤「どうだったよ守備はよ…」

従者「残念ながら住所以外はダメでしたね…」

赤「おーん…」

赤「で、戻ってみりゃ…」

赤「なんだってんだこりゃ、馬小屋がズッタボロじゃねえか!」

従者「敵襲でしょうかねえ。つぶれてるという表現がぴったりです」

赤「クッソ、こいつしょっぴいてきて良かったぜ」

愛馬「ブルル…」

従者「乗れもしない馬なんで連れてくのかいまだ謎なんですがね」

赤「ばっか、なんかかっこいいじゃねえか。解ってないねー」

赤「なんてやってる場合じゃねえ、屋敷の中は無事だろうなっ」

赤「おい、こいつそのへんに繋いどけ」

従者「はいよー」

ギィ…

赤「…中を荒らされた形跡は、っと」

従者「騎士階級の屋敷とは思えないほど何もないですね」

赤「うげ、本当になんもねーじゃねえか!」

赤「誰だか知らねえが俺様の金銀財宝をかっぱらって…」

従者「姫様を買い上げるときに全部売り払った気がしますが」

赤「しっ、何か聞こえるぞ」

カチャーン…パリーン

赤「なんだァ…剣戟って訳でもねえな」

従者「厠のほうからですね」

ゴガガッ!ズズゥン!!

赤「…」

従者「…」

赤「ちょっとお前みてこいや」

従者「騎士様膝が笑ってますよ」

赤「笑ってねえよ。俺様の命令がきけねえのか?」

従者「その腰の立派なもので立ち向かってきたらどうです」

赤「…おいおい、思い当たる敵なんてのはいねえぞ…」

従者「恨みなら腐るほど買ってそうですけどね」

ソーッ…

赤「…ん」

メイド「あわわ…」

赤「おま…メイドじゃねえか。何してんなこんなところにへたりこんで」

メイド「」パクパク

赤「ん?」

ゴゴゴ…

従者「あれは」

ゴゴ…ゴ…

姫「ふう。こんなところかしら」

赤「な…なんっ…」

姫「あら、お戻りになって?」

従者「は…は」

赤「なんっ」

赤「なぁ゛にしてんだお前はぁ――っ!」

姫「何って、命ぜられたままにお掃除を…」

赤「こりゃもう掃除ってモンじゃねえ!改装じゃねえか!」

赤「あーあー、床の木全部ひっぺがしちまいやがって…」

従者「壁木もボロボロですね」

赤「いったいこりゃどういうつもりだお前よォ――っ!」

姫「どういうつもりも何も…」

姫「壁も床も腐りかけていたから張替えようと思っただけですわ」

赤「はりかえって…誰がそんな大層なことすると思ってやがる」

姫「石工職に決まってます」

赤「そういうことを聞いてるんじゃあねぇっ!」

赤「馬小屋は一体どうしたってんだ」

姫「かやぶきが雨水で腐ってましたから、あちらも柱を倒しましたの」

赤「は?お前が…?」

姫「ええ。ほそい柱でしたもの。手斧で十分でしたわ」

従者「はは。おたくましい限りで」

赤「…」ブルブル

メイド「あわわわ」

赤「メイドォォ…おめーは一体なにをやって…」

メイド「ひぃぃっ!お、お止めはしたのですが…」

姫「一体何がご不満でいらっしゃるの?わたくしは役目を果たそうと」

赤「あんのなぁっ!のきなみ新しくすりゃ良いってもんじゃねえんだよ!」

姫「っ…!」

赤「精魂込めててめえの手で腐った床磨くんだよ!」

赤「んなこともわからねぇのかこのボンボン娘!」

姫「ぼ、ボンボンですってぇ…」

姫「あまりと言えばあまりじゃありませんことっ!?」

赤「っせークソガキが!」

赤「ああっ、ったくまた余計な金がかかるじゃねえか」

赤「こりゃ当分酒も我慢だなぁ…」

従者「女は我慢しないんですね」

赤「当たり前だ」

姫「遊楽に使うお金を身の回りの事に使おうとは思いませんの?」

赤「それとこれとは話は別なんだよっ!」

姫「こんなボロ屋に住まう騎士なんて、前代未聞…」

ガシッ

姫「っ…!」

メイド「おおおお姫様っ!」

赤「俺ぁな、そういう考え方が一番だいっ嫌いなんだよ」

赤「てめえらの価値観おしつけやがって、すこしでもそこからブレりゃあそれまで何してようとチャラだ」

赤「結局世間様にとっちゃ、一番の騎士様ってのはてめぇらの中にしかいねえんじゃねえか」

姫「あ…ぐぅ…」

赤「まあ今はんなこたどうでもいい。ぬるま湯につかり慣れたクソガキには仕置きが必要だな」

メイド「あ、ああ…お、お許しください!どうか…どうか!」

赤「あぁ?」

メイド「償いならば私がします!どのようなお叱りも受けますから…!」

姫「ぅ…う…」

赤「おいおい、泣けるねーほんとに。このガキもお前も単なる奴隷だってのによ」

赤「奴隷社会にも階級があるんだなwwwこいつは傑作だぜwww」

従者「…」

パッ

姫「…けほっ…こほっ…」

メイド「お、お姫様。大丈夫で…あっ!」グイッ


赤「こっちの身体は熟すのを待つ必要もねぇしなぁ。金も惜しいし、当分お前で愉しむとするかぁ」ベロリ

メイド「ああ…あ…」カタカタ

姫「な、何をする気ですのっ!」

赤「ガキに言っても解っかよwwwてめえのケツ拭いをこいつの身体でしてもらうってんだよwww」

姫「!」

赤「勿論それだけじゃ話にならねえからな。ぶっ壊した小屋と便所の残骸、綺麗に片付けとけや」

赤「明日の朝までにな。できなかったらお前の変わりにこのアマに鞭食らわすかな」

赤「解ったかよ」

姫「…くっ…」

赤「解ったかっつってんだろうがよお姫さんよォ!」

姫「…承知いたしました、御主人様」

赤「スッカーwwwwおい従者見たかよwwwこのガキ昔の手下に頭下げたぜwwww」

赤「ついでに靴も舐めさせてみっかなwwwうりうりwwww」

従者「はいはい見てましたよ良かったですね」

赤「さーてそうと決まりゃ早速頂くとしましょうかねwww」スリスリ

メイド「あう…」

姫「お待ちになって!!」

赤「あ?」

姫「全てを承知したわけではありませんわ」

姫「メイドに望む役目も、このわたくしが果たします!」

メイド「!!」

従者「おやおや?」

赤「はぁ?お前…」

赤「はぁぁああ?自分が何言ってるのか解ってんのかよ?」

赤「毛もはえてねーくせしてよwwwwなぁおいwwww」

姫「もちろん解っていますわ」

姫「よ、夜伽の事なのでしょう?///」

赤「ぶっはwwwこのマセガキがwwwww」

赤「身体もろくに仕上がってねえやつに何が出来るってんだ、ああ?」

姫「…っ」

赤「大体何度も言ってんだろうが。俺にゃそんな趣味ねぇんだよ」

従者「しつこく否定するあたり怪しいもんです」

赤「オメーはだぁってろ!」

姫「そんなもの、や、やってみなければわかりませんわ!」

赤「わかんだよタコ。キャンキャン騒ぐな」

赤「主人である俺が決めたんだぜ。もう決定事項なんだよ。うらむんならヘマしたてめぇを恨めや」

姫「…うっ…」

メイド「…」

赤「ま、安心しとけや。今夜は先約がある。そっちに顔ださなきゃならねえ」

赤「今夜の働きっぷりによっては考えが変わるかもなぁ?」

赤「まぁどのみちお姫さんにはヒーヒー言ってもらう事になるけどよぉwww賞罰固守っつーんだっけよ騎士道ではよwww」

姫「…」

赤「納得したか?あ?」

姫「…かしこまり…ました」

赤「ブルヒヒヒーンwwwwわかりゃいいのわかりゃwwww」

赤「わかったんならとっとと取り掛かれやウスノロが!」

タタタ…

メイド「…お姫様…」

赤「いーご奉公先でよかったなぁ。責任被せから擁護まで全部してくれる主人なんてそういねえぜカカカ」

メイド「ひっ」グイッ

赤「お前にもチャンスをやるよ。俺様は平等博愛主義の象徴だからよぉwwwww」

従者「今一瞬で民族単位の敵が出来ましたね騎士様」

赤「明日、どーんな理由でもいい。あのクソガキのほっぺたひっぱたいてこい」


赤「口の中切るくらい全力でな」

メイド「!」

メイド「そ、そんな恐れ多いこと…!」

赤「良く考えてみろやぁ。お前領主ン時も親に売っぱわれたって話じゃねえか」

赤「親にも見捨てられ、あんなガキに頭さげて」

赤「あげく責任負って貞操の機器だ。間違っちゃいるとおもわねぇのか?」

メイド「っ…」

赤「一発くれぇいいんだよ一発くれぇ。そしたらお前を担保にいただくのはやめてやるよ」

赤「もちろんあのガキの罪は消えねえけどなwwwww」

メイド「…」

赤「従者、明日こいつのこと良く見とけよ。叩くかどうか賭けてみっかよwwwww俺叩くほうに金貨1000枚なwwwwwww」

従者「せめて手元にある金額あげてくださいよ」

従者「まあ了解しましたよ」

メイド「…」

赤「おーしゃ!じゃあそういうことで俺はデェトに言ってくるからよ」

赤「しっかり留守しとけよ。あ従者、お前一応俺の部下だし役得もねえとアレだろ」

赤「たまらんくなったらそのメイド喰っていいぞwww我慢は身体に毒だからよwww」

メイド「!?」

従者「はいはい気が向いたらご賞味に預かりますよ」

従者「早くいったらどうですか」

赤「おうwwwwってくらぁwwwww」

従者「やれやれ…」

メイド「ひ…」

従者「あー、安心してくださいよ。今は別にあなたに手出すつもりはないですから」

従者「お姫様には一人で作業してもらいますから、まあ適当に部屋にでも戻っててください」

メイド「は…はい…」

従者(…)

従者(あれ、住所教えたっけ?)



赤(さて、今夜も楽しい夜這いタァーイムがやってまいりましたァ)

赤(ってのに)

赤「住所聞き忘れたァッー!」

赤(あのアホがさっさと言わねぇからこうなるんだよ、ったく。もう街まできちまったじゃねえか)

赤(しょうがねえ、奥の手を使うかよ)

赤(この辺だったな。あのカワイコちゃんが逃げてった方面は)

フンスフンス

赤(何を隠そうこの俺様は金の匂いを細かに嗅ぎ分けられるのさ!)

赤(金もってるやつぁ高貴な場合が多い。こんなへんぴなとこにいる貴族なんてのは少数だ)

赤(ふんがふんが…こっちだな)

赤(おー、ここか)

村娘「…しくしく…」

赤(ハイビンゴー。っかー!恐ろしいね俺様のこの力)

赤「はいはいどうもこんばんはーっ」バーン

村娘「ぐすっ!?どっ、どなた?」

赤「いやなに名乗るほどのもんじゃあ」

村娘「あ、貴方は…赤騎士様…!」

赤「はら」

赤「な、なんで解ったんですかい…?」

村娘「その胸にある、赤いくつわ…」

赤「ああ、ハハハ、ほんとだこりゃ。一瞬で解るわ」

赤「って俺の身元なんかどうでもいいんじゃーいっ!」ガバーッ

村娘「きゃあぁっ」

赤「あんた昼間、橙のヤツに犯されてただろ。あ?どうだ?」

村娘「な、何故それを…」

赤「あの場にいたのさ俺も。いやぁいい眺めだったぜぇ」

村娘「う…うう…ど、どうして私の家が…」

赤「うちの下っ端がこっそりあとを着けてたのよ。いやー巧妙に隠れ住んでるねぇ」

赤「ああでも良く考えたら匂いで探り当てたんだったわ」

村娘「に、におい…?」

赤「ああそうよ。お前らの身体からプンプンにおう美味そうな匂いだぜ」

村娘「!?」

赤「あんなブタにやるにゃもったいねえぜ。俺が口直ししてやるよ、もちろん下のなwwwwwwwwww」

村娘「い、いやぁっ!」

赤「へへっ、安心しろって。あんなブタみてぇにフニャフニャじゃねえからよ」

赤「お前さんに天国みせてやっ」

ゴスッ

赤「おほっ!?」ドサァッ

村娘「きゃっ!?」

赤「なな、何がおこっ…」

仮面「…」

赤「な、なんだテメぇ!」

仮面「…」


仮面「去れ、赤の騎士」

仮面「それとも剣を交えるか」スラリ

赤「いっ!?」

赤「じょじょじょ冗談じゃねえ、くっそこんな話きいてねえぞ。用心棒かよ!」

仮面「…」ヒュンッ

赤「おっひゃぁ!んなろ、今日のところはこれくらいにしといてやらぁ!」

赤「あばぁよぉっ」ダッ

ササーッ

仮面「…」

村娘「あ、あの…」

村娘「ありがとうございます。どなたかは存じませんが」

仮面「…お嬢さん、見た所貴族の出の御方とお見受けします」

村娘「はい…おっしゃるとおりです」

仮面「逸脱した騎士共に辱めを受けた心中、お察しいたします」

仮面「もはや彼らは魂の抜け殻。このままここにいては屈辱の日々を強いられるでしょう」

村娘「…しかし、他にいくあてなど…」

仮面「私はしばらく身を潜めるのに良い場所を知っています」

仮面「貴女を混沌に沈みつつある地から救って差し上げたい」

仮面「どうか一緒にきていただけませんか」ギュッ

村娘「…はい…///(ポーッ)」

仮面「フフ、ありがとうございます」

仮面「貴女のように隠遁なさっているお方はまだいるでしょう」

仮面「知る限りの人を集めておいてください。明日お迎えにあがります」

村娘「はい…かしこまりました…」

仮面「では私はこれで」

村娘「あっ、お待ちください!」

村娘「せめて、お名前を…」

仮面「…名乗る名など」

仮面「されどあの騎士と同じ無礼は遠慮したいもの」

仮面「仲間は私を『天使の鞘腕』と呼びます」

村娘「天使様の…」

仮面「深い意味などありません」

仮面「貴婦人の前では、ただの名も無きかかしも同じです」

仮面「フフ、ただ今の私のように」

村娘「…///」カァァ…

仮面「その艶やかな唇で呼んでいただけるならばただ、仮面、とだけ」

仮面「戸締りに手抜かりなきよう。失礼いたします」

ヒュンッ

村娘「あっ…」

村娘「仮面…様…」



チュンチュン

従者「へぇ…これはこれは」

従者「たんなる温室育ちのお嬢様だと思ってたんですけど」

従者「人は見かけによらないもんですね」

従者「例えば後ろからよろよろ歩いてくる乞食みたいな人がとても騎士様に見えないように」

赤「おい…ぜぇはぁ…誰が乞食だっつった、誰が」

従者「ずいぶんと優雅な朝帰りですね。主人にでも見つかりましたか」

赤「はぁ?俺様がそんなヘマするかっての」

赤「さんざんアヘらせてやったが帰りに山ほどの出歯亀野郎に囲まれてよwww嫉妬乙www」

赤「半分はひねって、残りが面倒でまいてやったら、ちょいと回り道しすぎちまってなァ」

従者「ようするにろくに相手にもされず、帰り道で迷ったんですね」

赤「は?なんでそうなんだよwwwお前耳ついてんのかwww」

従者「はぁ。まあいいですけど何でも」

赤「大体てめえがさっさと場所教えねえから奥の手使うしかなかったんだぜwww」


赤「ちったあ詫びろよwww役立たずがwww」

従者「はいはい、ごめんなさい」

従者「で、給仕の仕事ぶりを見てやったらどうです」

赤「てめぇが女ならここで速攻ブチこんでっぞwwwwクソがwww」

赤「で、ああ?はーん、ほうほう」

赤「まあ、妥当なラインってとこだな。見苦しくはねえじゃねえか」

従者「と見苦しい格好の御方が言っています」

赤「なんか言ったか」

従者「帽子に引っかかった枝葉がお洒落ですね騎士様」

赤「だろぉ?流行るぜこれは」

赤「で、こいつはなんでこんなとこで気持ちよさそうに寝てんだよ」

姫「スー…スー…」

従者「ひと段落ついて気が抜けたんですかね」

従者「どこでも寝てしまうあたり子供らしいというか」

赤「けっ、おい、井戸水桶に一杯くんでこい」

従者「顔でも洗うんですか」

赤「とっとと持って来い!」

従者「はいどうぞ」

赤「やけにはええな」

従者「この前の朝帰りはドブまみれだったので今回もそうかなあと思って」

赤「ありゃ酒が回ってたせいで…まあいい」

赤「こんなとこで寝てたら風邪引くからよ」

赤「こいつぶっかけて起こしてやるよwww俺やっさすぃーwwww」

赤「過去散々俺様をこきつかったお返しだぜウヒャヒャwww」

従者(発想も笑い方も完全にモブだこの人)

赤「そおおぉ――いっ!?」ツルッ

バッシャァァ!

赤「冷やゃああああぁぁぁっ!!」

従者「またずいぶんベタな転び方しましたね」

赤「おおぐっ…っせー!ちくしょー!」

赤「おい!俺ぁ部屋に帰る!そのクソガキ叩き起こして朝の支度させろ!メイドもな!」

従者「へーい」

赤「ぶぁっくしょぃ!っそがー!あの仮面野郎のせいで何もかも苦茶無茶だぜ…」

赤「今度あったら…おぼえっックショーイ!」

従者(一人でも賑やかな人ですね騎士様は)

従者「もしもし、お姫様、お姫様」ツンツン

姫「ん…お母様…?」

従者「…」


従者「せめてお父様としてほしいところですが。残念ながら違いますよ」

姫「あ…はっ!わ、わたくしったら、いつの間に!」

姫「いけないまだ途中っ…あら?」

従者「さきほど騎士様が眺めていきましたが、ひとまずは及第点のようですよ」

姫「お、おかしいですわね。馬小屋はともかく、こちらは半分しか…」

従者「ま、とにかくお疲れのところ申し訳ありませんが、そろそろ朝の支度の時間なので」

姫「そ、そうですわね…こうしてはいられませんわ…」フラフラ

従者「…」


テクテク

従者「メイドさん朝ですよ」コンコン

メイド「はっ、はいっ。おはようございます」ガチャ

従者「…」

従者「一応おおせつかってるので、一日監視させてもらいますけど」

従者「特に気にしないでくださいね。まあ、ねずみが回りを這い回ってると思って」

メイド「はい…」



赤「まあ今朝の仕事はそこそこの出来だ。ちったあ採点に色つけてやるよ」

姫「…ありがとうございます」

赤「ックク、すっかり従順に仕上がったなぁおい、四つんばいになってこっちにケツ向けて振って見せろやwwwww」トクトクトク…

姫「…っ!」

従者「騎士様」

赤「おいおいできねぇってのかよ?いまなら捲らずに済むぜ?お大事ちゃんまで見せてえってんなら別だがよwwwwwwwwwwwww」トクク…

従者「騎士様」


赤「んだオラァ!うるせえぞてめぇはよ!」ダパー

従者「ワインこぼれてますよ」

赤「どわぁぁぁ!早く言えドアホがぁぁぁ!!」

従者「それも給仕の仕事なんですけどね。騎士様がひったくっちゃったせいでメイドさんが手持ち無沙汰してますよ」

メイド「あ、あう…」

赤「ちっ、酒にゃ俺の流儀ってのがあるんだよ!お上品に注がれちゃ味まで枠にはまっちまわあ」

従者「とか言う割りに慣れても居ない上流式に食事を変えてますが」


赤「いちいちつっかかる野郎だな」

赤「ボーっとそこのガキ突っ立ってるの見るだけでも最高のオカズだからいいんだよwwwwwwwww」

赤「そのうちこれが素っ裸になるんだぜwwwwお前も嬉しいだろwwwww」

姫「…くっ…」

従者「うわー楽しみー」


赤「おい!今日は街にてめえらもつれて繰り出すからな!」

メイド「え…?」

姫「わたくしたちも、町に?」

赤「ああそうよニタニタ。不服かよ?」

姫「そ、そんなことありませんわっ!」

赤「へへ、そうかよ」

赤「あー楽しみだなぁ。さんざん上でふんぞりかえってたヤツの娘がよ」

赤「真っ赤な首輪してんのを町のやつらが見る目想像するだけでよwwwwwwwwwww」

姫「…」

メイド「お姫様…」

赤「まあそういうわけだからよ、食事おわったら出かける用意しとけよ。いいな」

赤「クソガキは馬磨いとけよ。ケツを特に念入りになwwww」

姫「わ、わかりましたわ…」

赤「おやおやぁ?返事が違いますぞぉ姫さまぁぁ?」

姫「…かしこまりました」



姫「特に必要な荷物はないかしら…これだけあれば十分ですわね」

メイド「ああ、お、お姫様、髪をすかれたほうが…」

姫「ん、そうですわね。わたくしとしたことが」

姫「あら、いいですわよ。自分で出来ますわ」

メイド「いえでも、後ろは私が…」

姫「もうそれくらいは一人でも…あら、貴女この手はどうしたの?」

メイド「あ、これはその」

姫「ずいぶん擦り切れてますわ。あの男に何かされて?」

メイド「いえこれは、さきほどの調理中に」

姫「なんでもいいですわ。お見せなさい」

メイド「そそそんな恐れ多い!わたしは大丈夫ですからっ!」

姫「そうはいかないわ。淑女は頭からつまさきまで見苦しくないようにしないと」

メイド「ですが、お姫様のお手も荒れて…」

姫「わたくしは良いの。これも罰なのだとしても、何も隠さず堂々と立ち回って見せますわ」


姫「はい。お母様がよく教えてくれたのよ。手馴れたものでしょう?」

メイド「あ、ありがとうございます…」

姫「あの男が言ったように、前の階級なんて関係ありませんわ。わたくしと貴女は対等。いいこと?」

メイド「はい…」

姫「これで万全ですわね」

姫「ところで、従者様はどうしてこちらに?」

従者「あれ、お邪魔でしたか」

姫「いくら家の御方といえど、淑女の部屋に居座るのは礼に背きますわよ」

従者「や、僕もわかってはいるんですけどね」

従者「なにせ騎士様のご命令なので」

メイド「…」

姫「そう。でしたら…しょうがありませんわね」

姫「メイド。わたくしは馬のお世話をしてきます」

メイド「あ、わ、私もお手伝いを」

姫「その手では布巾もしぼれませんわ。養生なさい」

メイド「いえ、水の取替えくらいは、両手を使えば…」

姫「そう。ならお願いします」

ガチャッ テクテクテク…

姫「…」

姫「監視役、というわけですの?」

sage忘

従者「ありていに言えばそうです」

姫「わたくしは逃げも隠れもしませんわよ」

従者「ご安心ください。お姫様のほうではありませんので」

メイド「…」

姫「…そう。別にかまいませんけど、あまりお傍に居ないほうが良いですわよ」

従者「え?」




バッシャー!

愛馬「ヒーン!」

姫「ごめんあそばせ。でもこうしないと全身にかけられませんのよ!」

メイド「お、お姫様…こちらにもう一杯…」

姫「あら、ありがとうございます」

バッシャー!

愛馬「ヒヒーン!」

従者(豪快…)

メイド「お、お姫様、しぶきが服に…」

姫「ただの水。かまいませんわ」ゴシゴシ

従者(…賭け、か)

従者「それにしても意外ですね」

姫「何がですの?」

従者「いえ、お姫様の事です」

従者「あんなに騎士様の無茶振りを一身に受けて」

従者「正直僕ならとんずらしますけどね」

姫「…」ゴシゴシ

姫「何がおっしゃりたいの?」ゴシゴシ

従者「ご両親も地下牢の中、財も地位も無い貴女を支えるものは、何なのかなーと」

姫「…」ゴシゴシ

姫「わたくしは、ただ信じているだけですわ」

姫「この国に真の騎士がいるということを」

従者「ふーん。騎士、ですか」

姫「今街がどういった状況なのかは、想像はつきますわ」

姫「さんざんわたくしの目の前で、利権を争って下さったのですもの」

従者「…」

姫「でも、志を見失っていない御方も必ずいらっしゃるはず」

姫「希望をもてば、彼らがいずれお母様の濡れ衣も、晴らしてくださいますわ」

従者「ずいぶんと夢見がちなお話ですね」

姫「夢などではありませんわ」ゴシゴシ

ガシッ

姫(…チューリップ園であの御方とお会いしたことは)

バッシャー!

姫(夢ではありませんもの)ゴシゴシ

従者「そうですか」

メイド「…」

ガシッ

メイド「きゃっ!?」

赤「よーう!どうよ、キマってるか俺?ん?」グイッ

メイド「あ…あ…」カタカタ

赤「おいおい、すっかり俺様の魅力にイカれちまってるなあ。そんな震えるこたねえぜ」

赤「で、どうよ。ひっぱたいてやったのかよ」


メイド「いえ、あの…痛っ」グッ

姫「ちょ、ちょっとあな…ご主人様っ!お待ちになって!」

赤「んー?」

姫「メイドは手を怪我してますのよ!乱暴になさらないで!」

メイド「あぐ…」

赤「おっとーこりゃわりぃわりぃ。気が付かなかったぜ」パッ

赤「で、どーよ俺様のお洒落姿はよっ」

従者(全身金ピカとか本当にやる人初めて見た)

姫&メイド「…」

赤「おうおう、まぶし過ぎて声もでねえかよ」

赤「はーん、まあまあいい仕事してんじゃねえかよ」

赤「でもまだまだだな。次磨くときゃ俺様が乗る姿を想像しながら丹精こめろよwwww」

従者「乗りもしないのにですか」

赤「っせーわwwwwおら行くぞおまえらwwwww」

従者「スキップなんてする年じゃないでしょうに」

姫「大丈夫?」

メイド「はい…ありがとうございます」

姫「従者様。あのおと…ご主人様は、馬に乗られませんの?」

従者「ん、ああ。どうもそうみたいですよ」

従者「なんどもこちらの愛馬に乗りかけては振り落とされてますし」

姫「ヘンですわね…以前わたくしの家にいたときは何度も乗りこなしていたはず」

従者「へえ?そうなんですか」

姫「ええ…」

従者「ふーん。まあとにかく、ドヤされないうちに僕たちも急ぎましょうか」

従者「あ、馬は僕が引きますよ。役目なんで」

姫「お願いしますわ。さ、メイド、行きましょう」

メイド「はい」



――街中――

村人a「見ろよ…あれ…」

村人b「ああ…領主様の…」

村人c「赤騎士様が…あんな年でかわいそうに…」

ザワザワ

赤「っくっくー♪はいはい皆さんご注目ーってやつだなオイ」

赤「どいつもこいつも俺様のお洒落に釘付けだぜ。なあ?」

従者「勘違い乙」

赤「あぁ!?何かいったか?」

従者「背中の金箔はがれてますよ」

赤「はっ、ばっきゃろ、それ早く言え早く!」ワタワタ

従者(幸せ者ですね騎士様は)

姫「…」カッカッカッ

従者(おどおどと歩くかと思えば)

従者(小間使いの…いや、15歳の少女とも思えない足運びだなあ)

バーン!

赤「親父ィ!酒だ酒!」

親父「おう、赤の旦那か。今日も飲んでかねえのかい」

赤「俺ぁな、一人で静かに飲みてえんだよ」

親父「ああそうかいそうかい。ツケせがまれるのがイヤだっつーんだな」

赤「いってえいってえwwww」

姫「…」


ザワザワ…

領主…娘…奴隷…赤騎士に…哀れ…可哀想に…魔女の娘…魔女の…

姫(お母様は魔女などではありませんわっ…!)ギュッ

メイド「お姫様…」

姫「大丈夫です。心配なさらないで」

従者「…」ポリポリ

カチャーンッ!

娘「あ…あっ…」

橙従騎士a「おいおい、お嬢さん。こまるね、我々の宴の邪魔をされては」

娘「え、ですが今のは騎士様がご自分で!」

橙従騎士b「おや、俺達がわざと落としたとでも言いたいのかな?」

娘「いえ、それは!」

ザワザワ

姫「な、何事ですの」

従者「いつものことですよ。お姫様がご想像の通りの日常です」

従者「騎士様達からしたら、この街の女は全員玩具みたいなものなんですよ」

姫「そんな…」

娘「ああっ!離してください!」

橙従a「へっへ、おとなしくしろって、すぐ済むからよ」ビリイッ

娘「いやぁぁっ!」

姫「い、いけませんわ…なんとかなりませんの!?」

従者「ご冗談を。騎士同士ならともかく、彼らは誰を斬ろうと罪にならないんですよ」

従者「命を懸けてまでいくほどの事でもないですし」

姫「そういう問題じゃなくてよっ!」

姫「ご主人様っ!」

赤「んー、あんだあ」

姫「あのような狼藉をお許しになっても良いんですの!?」

赤「あんだようっせえなあ。またアレか?騎士らしくしろとか言っちゃうのかよ?」

姫「騎士とかどうとかではありませんは!人としての話ですっ!」

赤「だーっ、っせえなあ。俺ぁ酒買いにきてんだ。喧嘩しにきてんじゃねえよ」

親父「…」

姫「そうでしたわね。あなたのような男に頼ったわたくしが馬鹿でしたわ!」

赤「あンだと?っておいっ」

娘「い、いやぁ…」

橙従b「へへへ…」

姫「あなたがた、おやめなさい!」

橙従b「んー?何だあ」

橙従a「これはこれは。どなたかと思えば元領主様のご令嬢じゃありませんかハッハッ!」

メイド「お、お姫様…」ペタリ

従者(腰が抜けたのかな?昨日の今日ですしねえ)

姫「お酒の一杯や二杯でなんですの!?そのお方をお放しなさい!」

橙従a「ぷっ」

橙従a「ぶぁっはっは!これは良い威勢だことで!」


橙従b「それはもしかして、ご命令ですかぁお嬢様。ヒャッヒャ!」グイッ

娘「あ…うぐ…」

姫「命令でも請願でもなくてよ。あなたたちの醜い所業に耐えかねただけですわ!」

橙従b「ッヒャヒャ…言ってくれるじゃあねえかよあぁ!?」ドンッ!

姫「っ!」ビクッ

橙従a「どうやらご自分の今の立場がをよくご理解していない様子」

橙従a「お嬢様にはしつけが必要なようですなぁ」スラリ


メイド「ひっ!?」

従者「…」

姫「き、騎士がむやみやたらに剣を抜くものではありませんわ」

橙従a「ハッハ…うるせーんだよこのクソチビが」

橙従a「てめえが着ている服もつまみみてーに食べやすく刻んでやるよ」ベロリ

姫「くっ…」

従者(…)チラッ)


赤「ギャーギャーうっせえな。外でやれや外で」

赤「あー酒も値上がりしたよなぁったくよ…ブツブツ」

従者(……)

橙従a「さーあ、どちらからまいりましょうかね?上か?下か?」

姫「…ど、どこからでもお好きになされば良いですわ」ガクガク

橙従a「あ?」

姫「そんな"まがいもの"の剣では、わたくしの誇りまで傷つけられませんことよっ!」


従者(!)

橙従a「ああそうかい…」

橙従a「じゃあお望みどおり全身余すことなくひん剥いてやるぜええぇlっ!」ブオンッ

姫「っ…」ギュッ

姫「…」

姫「?」

橙従a「なっ…く…き、貴様っ…」ブルブル


騎士姿「――姫様の仰るとおりだ。対等な者と渡り合うならまだしも」

騎士姿「いたいけな子女を脅すとは笑止千万。恥を知れ」

メイド「あ、あぁ…」

従者(間一髪ですねえ)

姫「貴方は、貴方様は…」

姫「緑騎士様!」

緑騎士「ご無事ですか、姫様」

橙従b「やろぉ…」

緑「騒ぎを聞いて駆けつければ、また橙の手のものか」

橙従a「くっ…てめえも抜けやああ!緑騎士!」

緑「酒で優劣の判断もつかないか。貴様等のような愚劣共に抜く剣などっ」グイッ

橙従a「うおっ!?」

緑「持ち合わせてはおらんっ!」ドゴォッ

橙従a「ぐぼっ!」

ガッシャーン!


橙従b「やろぉっ!」ドンッ

娘「きゃっ!」

橙従b「死ねええええ!」ビュンッ

緑「はぁっ!」バスッ!

橙従b「ぐぇぇっ!?」

ダッシャーン!

従者(一殴りと一蹴り。お見事)


橙従a「ぐっ…くそっ」

橙従b「ただでは済まされんぞ、緑の!」ダダッ

緑「ふん。痩せたウジ共が」

姫「み、緑騎士様っ」

緑「姫様。御久しゅうございます。お怪我はございませんか」

姫「はい、おかげさまで」

緑「なによりです」

緑「お嬢さん、立てますか」


娘「は、はい…///」ポーッ

メイド「お姫様ぁっ…!」

姫「きゃっ、ちょっとメイド!?」

メイド「良かった、私、お姫様に何かあったらと…!」

姫「大丈夫ですわ、ごらんになっていたでしょう?」

メイド「はいっ…うぅ」

姫「緑様、本当になんとお礼を申し上げたらよいか」


緑「いえ。それよりも姫様がおられるという事は…」

パン パン パン パン

赤「いやーっ、相変わらず足腰冴えてるぜ緑の!いい酒のツマが出来たってもんだ」

緑「赤。貴様どういうつもりだ」

赤「どういうつもりもなにもぉ、取引だよ取引。お前も物買ったら、金貨の勘定するだろうよ」

赤「数えるのに時間がかかってよwwwwいちまいにまいwwwwところで今何時ってなwwww」

緑「何故すぐに割り入らなかった」


赤「おいおい冗談だろ?奴隷ごとき救うのに何で俺様が手煩わせなきゃならねえんだよ」

姫「…」

緑「酒と女に隷属する男が良く言う。そんなんだから剣も抜けず、馬にも乗れぬのだ」

赤「あ?おいおい何か、喧嘩売ってんのかてめぇ」

緑「貴様に売るなら野良犬相手のほうがまだマシだ」

赤「せっかく収めた騒ぎをもっかいおこそうってのかよ」

緑「さわぎにもならん。私の拳が一度唸るだけだ」

親父「まーた始まりやがった」

姫「え?」

親父「あの二人は顔を合わせるといつもああなんでさ」

従者「結末もいつも同じですけどね」

赤「おいおいwwwwいいのかよwwww俺ぁてめえの秘密を知ってるんだぜwwww」

赤「今ここで大声でいっちゃおっかなーwwwwすーはーすーはーwwww」

緑「それは私も同じ事だ。痛みわけといくか?」

赤「痛みわけときたよwww若手最高位と言われる緑様がwww」

赤「とかいいつつみぞおちエルボォッ!」ゴスッ

姫「ご、ご主人様!」

緑「…」

赤「へっへ、どんなもん…あら?」

緑「それで全力か、赤」

赤「はっは、お変わりなくお元気そうですね」

緑「お洒落を念頭に入れた貴様と同じにするな。常に鎧を身にまとう私に」ブンッ

赤「ちょ、タンッ」

緑「貴様のような軟弱物の拳が通るか!」ドカァッ

赤「ま゛あぁっ!」

ズッシャー

姫「きゃっ!」

従者「鮮やかにいつも通りの流れでしたね」

緑「表に出ろ、貴様には一度灸をすえねば気が済まん」

赤「おぶっ!ちょ、まて引きずるな!き、金箔がはがれる!」ズルズル

姫「い、いけない…」

メイド「あ、お姫様」

タタタ…

従者「よくもあれで緑様に強気に出られますよね本当に」

親父「あのお二人はな、幼馴染なのさ」

従者「ああ、そうなんですか」

親父「この国じゃ有名な話だ。あんた前から思ってたが、やっぱり外国の人かなんかかい」

従者「ええ。つい最近騎士様に雇われまして」

親父「屋敷の連中全員クビにしたって聞いたが、お前さんだけってわけか今の従騎士は」

従者「僕の場合は騎士ですらないですけどね。ところで金貨足りましたか」

親父「足りねえよ。いつもどおりな」

従者「ですよね。はいこれ」

従者「まったく、緑様をすこしでも見習って欲しいものですね」

従者「勤め先を変えようか真剣に悩みます」

親父「そういうもんでもねえぜ。お前さんも見たんだろ」

親父「赤の旦那の手元をよ」

従者「…」

従者「何のことかさっぱり。では失礼します」

親父「おう。旦那によろしくな」

ズシャアッ

赤「ひぃひぃ!」

緑「立て赤!その捻じ曲がった根性を叩きなおしてくれる!」

赤「その勢いだと変わりに鼻が捻じ曲がりそうじゃねえかよ!」

緑「あるかどうかも解らんような鼻だ。問題ないだろう」グッ

赤「おひいいっ!」

橙「緑っ!赤っ!やはり貴様等かっ!」

緑「むっ」

黄「キッ!赤も一緒とはな」

藍「道理で匂うはずじゃココ」

橙「おでの部下を!ふごんっ!可愛がってくれたそうだな!」

橙従a&b「ふぐぐ」ボロッ

緑「相変わらず群れるのがお好きな様子。それがどうしたと仰るのです!」

赤「ああぁ~橙様~ん!俺様も、ホレ!この通り!お助けくdピギィッ!」ゲシッ

緑「貴様は黙っていろ」グリグリ

橙「お、おで様を侮辱するものと、みな、みなす!」

橙「抜け!本日という今日こそは、容赦せん!」

緑「ふんっ…」チャキ

タタタッ

姫「み、緑様っ…はっ!」

従者「あれぇ?これはなんとも」

メイド「はぁっ…はぁっ…」


橙「ふごんっ…んんっ!あれなるは領主様がご令嬢!」

橙「赤…貴様姫君を連れ闊歩しておったのか!」

赤「あふぁふぁ、ふぁーい」

従者(またずいぶんとお似合いのポジションにいますね)

橙「ふごんっ、許さんぞ!貴様ら二人とも血祭りにあげてくれる!」

黄「キッ、加勢いたすぞ橙の!」

藍「…3対2なればさしもの緑とて観念したほうが良かろうがな?」カチャリ

緑「このような男を勘定に入れられては困る。私一人で十分だ」ガッ

赤「あっ!もっと!もっと強く!」

姫「緑様!」

従者「騎士様も忘れないであげてください」

橙「ぬかしおって若造が…」

橙「身をもって償うが良い!ふごおぉぉぉっ!」

緑「…っ!」スラリ

『それまで!』

橙「ぬっ!?」

緑「そのお声は…」

青騎士「往来で何をしている。双方剣を収めよ」

紫騎士「…」

橙「む、紫の…」

緑「…」

姫「青騎士様…」

青「緑。聞こえぬのか」

緑「しかし、彼らは!」

青「収めよ」

緑「…承知いたしました」キン

黄「キっ…紫の、これはじゃな」

紫「さっさとしまえ愚図共」

藍「う、うぬ」キン

従者「これはこれはなんだか壮観ですね」

従者「この国を代表する7騎士が勢ぞろいとは」

姫「…」

メイド「…あ、あ…」ガクガク


紫(…)

藍(ココ…目障りな騎士が二人もきおったわ)

青(緑も随分鬱積が溜まっておるな。いたし方ないことか)

緑(青殿と紫殿…何か話をしておられたのか?)

黄(キキッ…こ、こんなことならあの娘御とそしらぬふりで愉しめば良かったわ!)

橙(ふごんっ…おのれ赤、よくも姫君を…おでの姫君をぉっ!)

赤「ああ~開いちゃう!新しい世界への扉開いちゃうのぉっ!」ビクンビクン

従者「…この国を代表する6騎士が勢ぞろいとは」

赤「おいテメ何言い直してあはん!」グリグリ

青「緑、足をどけてやれ」

緑「はい」ガッ

赤「ああ…アタシ汚れちゃった…」

紫「…」ギロリ

メイド「ひっ!」

姫「…」

紫「魔女裁判までは目立った行動は控えろといいつけたはずだったな」

橙「ふ、ふごんっ」

紫「何度も同じ事を言わせるのか?」

黄「め、めっそうもない!重々承知しておる!」

紫「ならばそう努めよ。数が減るのも冗談で済ませたい」

藍「う、うむ」

紫「青殿、貴公の愛弟子にもそうお伝えしたいものですな」

青「うむ。心得ておる」

緑「…」

青「丁度良い。最近頻発している貴族の神隠しについても、皆に今聞いておこう」

黄「神隠し?」

緑「報告が来ています。貴族出身の一族が区画単位で一晩のうちに消えているとか」

青「うむ。何か知るものはおらぬか」

橙「ふごんっ。おおかた、亡命の類であろう」

姫「貴族が、神隠しに…?」

従者「ああ、どうもそうらしいですね。赤騎士様も言ってましたし」

従者「人攫いかあるいは橙様の言うとおり亡命か。なんなんでしょね」

姫「…」

藍「軟弱な連中に亡命という発想が出来るとは思えんな」

青「うむ。考えられるとすれば、第三者がその手助けをしている可能性だ」

青「国ではその存在が噂となっている。『天使の鞘腕』と名乗る者としてな」

姫「!」

黄「キキッ!大層な名じゃな」

緑「しかしだとしても目的は何なのです?」

青「それも含め調査中だ。おのおの何かわかれば報告されたい」

橙「ふごんっ。好きにさせればよい」

橙「貴族など領主婦人の件が片付けばほっといても消えてうせるわ」

青「まだそうと話はきまっておらぬから申しておるのだ」

紫「…フン。強情ですな青殿も」

紫「いまだかのもの達に頭を垂れる日々を懐かしんでおられるというのか」

青「…」

紫「目を覚まされよ、愚劣に国を治めさせてはならんのだ」

紫「我等が誇り高き騎士団こそ、領主たるに相応しい」

青「それを判断するのは我々ではない」

紫「フフ…そうでしたな」

紫「せいぜい裁決の時を楽しみとしましょう」

紫「おやそれなるは姫様ではございませんか」

紫「おられたのですか。ご機嫌麗しゅう」

姫「…」

紫「そうお睨みになられてはご尊顔が崩れます」スッ

姫「…」パシッ

メイド「ああ…」ガクガク

紫「嫌われたものですな」

紫「良い目をしておられますな。お母様に似ておられる」

姫「…」

紫「フフ。せいぜいそこに転がる男の下で、虚ろな希望を眺めなされよ」

紫「ゆくぞ貴様達」

黄「あ、あい解ったっ」

藍「コケケッ」

ザッザッ…


橙「ふごん。覚えておれよ緑、赤」

橙「特に赤。おでから姫君をかっさらったこと、後悔させてくれるぞ、ふごん」

ザッザッ…

緑「…」

赤「あぁ…いけずぅ」

緑「いつまで寝ているのだ貴様は」ドカッ

赤「はいはいきりーっつ」ビィン

青「相変わらずだな。お前達も」

緑「面目次第もありません…」

赤「おうおう反省しろよ」

緑「…」チャキ

赤「あっちょ待っ…」

青「姫様。ご健勝の様子、なによりでございます」

姫「青騎士様…」

青「今の立場上、膝を折れぬことお許しください」

姫「いえ、わたくしもよく存じております」

緑「青様!貴方まで領主様をお疑いなのですか」

赤「」ピクピク

従者(懲りないなあこの人も)

青「魔女かどうかに興味は無い。だが前赤騎士没落の件に関しては別だ」

緑「…私情を挟まれるというのですか」

青「儂の友を追い込んだのが、紛れもなく領主様なのも事実だ」

姫「…」

姫「わたくしは、その事についてどなたからもお話を聞かされてませんわ」

青「…」

姫「どうしてですの?何故教えてくださらないの?」

青「それは我々ではなく赤から聞かれるがよろしいかと、姫様」

姫「あの男に…?」

緑「…」

青「では我々もこれで。ゆくぞ緑よ」

緑「はっ…」

青「ご自愛めされよ、姫様」

姫「…」

メイド「ひめさ…ま…」

姫「大丈夫よメイド。紫様はもう居ないわ。おちついて」


メイド「あ…う…」

従者「…」

ザッザッ

緑「青様」

青「何も言うな緑。儂も何が信ずるに足るか解らぬ」

青「今は前赤騎士婦人の死が、魔女の呪によるものか否か」

青「その真相を探るのに全力を注ぐのだ。良いな」

緑「はっ…」

緑「しかし、赤はどういうつもりなのでしょう。姫様を身買いするなど」

緑「いっそ権利書を剥奪して…」

青「この大事に余計な揉め事を起こしてはならん」

青「橙のところよりはマシだと思うしかない。辛抱せい」

緑「…はい」

青「儂も年だな。あやつが生きておればと何度も思うてしまうわ」

緑「…」

ツンツン

従者「騎士様」

赤「むぁ…」

ツンツン

赤「ん…おお緑!まだやるってのかよオラァ!歯食いしばれや!」

従者「いや薄目あけて僕だって確認してからそんな言われても」

赤「あなんだお前かよちっあの野郎逃げやがったな」

従者「ヤケになるのは解りますけど棒で言わないで下さい」


姫「…」

メイド「…」

赤「かーっ、なんだなんだ暗ぇ顔並べやがって」

赤「用事は済んだんだ、帰るぞ!」

従者「はーい」

姫「…お待ちになって」

赤「ああ?」

姫「先代の赤騎士様はどうして、急に地位を落とされたのですの?」

赤「…っ…」

姫「わたくしはその理由を誰からも教えられませんでしたわ。お父様からすらも」

赤「…ふっ…」

姫「何故なんですの?」

赤「…ふふっ…」

姫「ご主人様!聞いておられますことっ!?」

赤「  ぶわあぁぁっっっっっくしょおほほほーいい!!  」

姫「!?」ビックゥ

赤「あーズズッ、しこたま地面とキスしてたから埃吸っちまってたぜ」

赤「おら行くぞノロマ共。日が暮れちまわあ」

姫「あ、お待ちになって…もう!」

従者「…」

姫「従者様。貴方は何かご存知ないんですの?」

従者「うーん僕も最近この国きたばかりですしなんとも」

姫「そうですの…」

従者「ほら急ぎましょう。また何か言われたら大変なのはお姫様達ですよ」

姫「そうですわね。メイド、立てて?」

メイド「は、はい…」カタカタ

従者「はいどーはいどー。」

愛馬「ブルル…」

――夜・赤騎士邸――

メイド「今日も一日、お疲れ様です。お姫様」

姫「ええ」

姫「メイド、大丈夫?街で紫様にお会いしてから…」

メイド「はい。ご安心ください」

コンコン

従者「着替えは済みましたか」

メイド「はい」

従者「では行きましょうか」ガチャッ

姫「…」

姫「メイド、ご主人様に…?」

メイド「はい…お姫様は先にお休みになって下さい」

姫「わ、わたくしも行きますわ!」

従者「採点に色をつけるとか仰ってましたし」


従者「大丈夫ですよ多分。多分ですけど」

従者「それに呼ばれてもいないのに出向くのはかえって良くないかも」

姫「…わかりましたわ」

従者「じゃいきましょう」

メイド「はい」

バタン

姫「…」

姫(採点の色を信じたいですけども)

姫(万が一には、備えておいたほうがよさそうですわね)

ガチャ バタン



ヒュッ

トスッ!

赤「…」

ヒュヒュッ

トススッ!

赤「くぅ―――っうる!」

赤「おいおい俺のご先祖様マジロビンフッドかぁ?」

赤「こんな百発百中だとヤっちまうごとにポンポン孕ませちまって困るんじゃねえのwwww」

従者「ダーツするならせめて的には当ててくださいよ騎士様」

赤「ん?いたのかよ」

従者「ずいぶん前から」

赤「的なんか狙ったっておもしろかねえだろうがwwwwお前だって顔とか腹とか口んなかにもぶっかけんだろがよwwww」

従者「何の話か知りませんが、外しすぎると後ろの壁穴だらけになるのでやめた方がいいですよ」

メイド「…し、失礼致します」

赤「おうおうっ、来たかよ腰抜けメイド」

メイド「…」カタカタ

赤「そう震えるんじゃねえよ。で、どうだったんだ従者」

従者「賭けは騎士様の負けですね。一度も手をあげませんでしたよ」

赤「賭け?ハテ?何の話だそりゃ?」

従者「…」

赤「まあいいわ。たいした雌犬っぷりだなメイドさんよぉ」グイッ

メイド「あっ!」

赤「ひっぱたいてたらブッ殺してやるつもりだったんだがよぉ。つまんねぇ結果になっちまったなあ」

メイド「も…しわけ…」

赤「くくっいい顔するじゃねえか。性剣もとい聖剣が悦んじまうぜ。なぁ?」ギュッ

メイド「い、痛っ!」

赤「この傷はなんだよ」

メイド「あ、これはその…」

赤「あててやろうか?」

赤「てめえ…あのクソガキの片付けこっそり手伝いやがったな」

従者「…」

メイド「そ、それは…」

赤「だめだよなあルール違反はよ」

赤「そうなるとしょうがねえよなあ、子供でもわかることだよなあ」

赤「おいたしたらよ、おしおきしねえと。な?」

メイド「…」

赤「くく。いろいろ気にくわねえ事があったからよ、ちょうど良かったぜ」

赤「たっぷりてめえで愉しませてもらうぜ」

メイド「…」ギュッ

赤「けっ。つまらねえな。もっとギャーギャーー騒げや」

赤「おいてめえもいつまでそこ突っ立ってんだよ。さっさと出てけ木偶の坊が」

赤「それか混ざってくかよwww俺のブツとくらべっこすっかwwww」

従者「遠慮しときます」

赤「ああ。あとそこのネズミ部屋に返しとけよ。チョロチョロされたら邪魔だからよ」

従者「はいはい。ではごゆっくり」

バタン

従者「そういうわけですので、お姫様」

姫「…どうしてですの。及第点とおっしゃったはずですわ!」

従者「お姫様に落ち度は無かったんですけどね」

姫「いたらなかったのはわたくしであって、メイドではありませんわ!」

従者「でも手伝ったのは彼女自身ですから」

姫「おどきになって。物申してまいります」

従者「…」

ガンッ!

姫「あっ…!」

従者「こんな箒一つでどうするっていうんですか?」

従者「少なくとも僕相手にこんなんじゃ、騎士様がいかに腰抜けでのんだくれでぐうたら能無し甲斐性無しの負け犬だからっていっても」

従者「あっというまに返り討ちですよ」

姫「…」

従者「おとなしく部屋に戻ってください」

姫「…わたくし、あなたの事を誤解していましたわ。あの男とは違うと思っていましたのに」

従者「それは大変申し訳ありませんね。所詮僕も雇われの身なので」

姫「…」

従者「早めに休んで明日からに備えたほうが賢いと思いますよ」

従者「これ以上余計な失敗しないためにも」

姫「…」

スタスタ ギィィ

従者「ではおやすみなさいませ」

姫「…」

バタン ガチャリ

姫(結局、無力なのですわね)

姫(メイド…どうかお許しになって)

ペタリ

姫(お父様、お母様…)

姫(わたくしは…ダメな子です…)

姫(…)


姫(『天使の鞘腕』…)

姫(もしも貴方が、チューリップ円の騎士様だとしたら……)

姫(貴族を……かみ……かく……どうし……)

姫(…て……)



――数ヶ月前、領主の屋敷内部――

ガッシャーン!

メイド「きゃああっ!」

衛兵「何事です紫殿。これは一体何の真似です!」

カチャカチャカチャ ザッザッザッ

紫「貴族領主殿におかれましてはご機嫌麗しゅう」

姫父「どうしたというのだ。この仰々しい備えは何だ」

紫「先の赤騎士夫人の変死に際しまして、領主殿の奥方様の呪いであるという報告が来ております」

姫父「な、何故妻にそのような話があがるというのだ」

紫「先日奥方様が赤騎士夫人にお贈りになられたチューリップが、彼女の亡骸周辺に散乱しておりましてな」

紫「そのうちの一つがこれになりますが、このとおり」

スパッ!

姫父「!」

紫「茎を切れば人の血の如き汁がにじみ、はてにこのまま放置しても枯れることも無い」

紫「この香りで気が触れ、自ら命を絶ったと考えられる」

紫「異形の生成は魔女の証。教会に審判を願い出たところです」

姫父「言いがかりにすぎぬ。なぜ妻がそのようなことを」

紫「それは領主様も思い当たるのではないですかな」

紫「赤騎士夫人が以前の身分をよくご存知なれば」

姫父「!」

紫「哀れにも赤騎士殿はそのせいで『紅』の称号も剥奪されて久しい」

紫「ほかならぬ貴公の命令で、だ」

紫「貴賎に拘る貴公の考えが伝播したとしておかしくもなかろう」

衛兵「あ、あまりに無礼だぞ!口をつつしめ紫の―――」

バシュッ!

衛兵「がひゅっ…」

メイド「え…?」バシャバシャ

紫「雑魚がわめくな、耳障りだ」キン

メイド「あ…ひ…」

紫「…」ギロリ

メイド「あ…ぅ……」ドサッ

姫父「…」

紫「さあ、奥方様をお引渡し願いましょう。領主殿。かくまわれると為になりませんぞ」

姫父「変わりに私が出向く。話は私が聞こう」

紫「ほう。これはしたり」

姫父「妻は無実だ。私がそれを証明してみせる」

『それには及びませんわ』

紫「ぬ」

姫父「!」

姫母「わたくしならばここにいます」

姫母「ですからこれ以上の乱暴はお控えになって」

姫父「…お前」

姫母「あなた、心配なさらないで」

紫「フフ」

紫「相変わらずお美しいですな、領主夫人」

姫母「…」

ザワザワ

紫「ぬ、何事だ」

姫「邪魔ですわ!通して!」グイッ ギューッ

姫「っ!」

姫父「姫!ここにきてはいかん!部屋に戻っておれ!」


姫「ど、どういうことですの。め、メイド!しっかりなさって!」ユサユサ

メイド「…」

姫「あなたの仕業ですの、紫様」

紫「ご無沙汰しております姫様」

紫「背が伸びられましたな」

姫「はぐらさないで!」

紫「我々はお二人にお話があるのです。姫様は外していただけますかな」

姫「…どういうことですの」

紫「いずれお分かりになります。お退きになってください」

姫「…」スッ

紫「…ほう。これはこれは」

姫父「姫!」

紫「豪胆ですな。貴族の娘としておくのが惜しい」

姫「…」

紫「どうか道をあけていただけますかな。私が紳士であるうちに

姫「…っ…絶対にどきませんわ!」

姫「絶対に……!?」ギュッ

姫「お、お母様…」

姫母「姫…大丈夫よ」

姫母「少しの間、お話してくるだけですわ」

姫「でも…」


姫母「わたくしが戻るまで、お父様や皆様の言う事を良く聞いて、良い子にしてますのよ」

姫母「いいこと?」

姫「…」

姫「はい…お母様」

紫「フフ。良き母親、良き母」

姫母「…さあ、参りましょう」

紫「素直なのも殊勝な心がけですな」

紫「ですが魔女に容赦の必要無し」パチッ

姫「え?」

姫父「なっ、何をする!」

姫母「あなた?きゃっ!」

姫母「ど、どういうことですのっ?」

紫「しれたこと。審判の日まで魔女の夫たる領主殿にも来て頂く」

紫「協力者かもしれぬからな」


姫「魔女…お、お母様が?」

紫「連れて行け」

姫「お、お母様!お父様!」

姫母「つっ…!」

姫父「おのれ…紫っ、紫ーっ!」

姫「…ああ…」

紫「フフ」

姫「っ!」キッ

紫「そう睨みますな。これも騎士としての大事な務めなのです」

姫「このような振る舞い、とても騎士とは言えませんわ!」

紫「…ぬかすな小娘」グッ

姫「あっ…」

紫「貴様の母が魔女となればお前はその娘だ。それまでは商品として存分に扱ってくれるぞ」

紫「連れて行け」

紫「屋敷に火をかけよ。チューリップ園もだ」

紫「全てを灰にせよ。審判の日まで、今よりこの私が領主代理を務める」

紫従騎士「ははっ」

ゴオオオォォォォ…

パチパチ…

パチ…

カン…カン…

ガン!

奴隷商人「さあ金貨300枚!他にはいないのかい!」

奴隷商人「これで決まりだ!ほらよ、たっぷりかわいがってやんな!」

卑下た男「ぐへへ」

奴隷娘「ああ…」

奴隷商人「さあ次なるは本日の大目玉!こちらの御仁だ!」ガン!

ザワザワ…

姫「…」

奴隷商人「先日魔女の疑惑から投獄された領主夫妻の一人娘!」

奴隷商人「少々気が強いがこれだけの珠は生涯おめにかかれないよ!」

奴隷商人「出だし金貨1000枚から!さあ!どうだい!」

1000枚?…そんな金額誰が…哀れなもんだな…魔女の娘…

「10000だ。ふごん」

奴隷商人「はいでましたいちま…10000!?」

橙「そ、そうだ。10000払う。ふごん」

奴隷商人「は、はは…さあさあ大変な事になった!姫一人で屋敷が三つ立つよ!どうだい!他には!」

橙「ふごん。だ、だれもおらん。さっさと鐘を鳴らせ。ふごんっ」

橙「ぐふっ…ずっと、ずっと夢にみておったこの日だ。姫、これで、お、おでのものだ」ベロリ

姫「…っ…」

奴隷商人「ほらほらお楽しみは家までとっときな!さあ無いね!じゃあ金貨10000できまり…」


『―――100000だ』

橙「!?」

奴隷商人「おおっと張り合いかい?出た金額はじゅうま…100000ンンン!?」

ドヨッ

赤「――あァ、そうだよ。何度も繰り返すんじゃねえトンチキ共が」

赤「金貨100000枚。この通りだ」ドサァッ

従者「…よいーっしょ…っと。あー重かった」ドサドサッ

姫「…!」

奴隷商人「は…ははっ…はひらっ…じゅうま…」

橙「こわっぱ、何様のつもりだ!このおでに楯突くか!」

赤「あっあー、どうもこんにちは橙殿。残念ながらもうこわっぱじゃないんだなーこれが」

赤「ついこのまえ親父がぽっくり逝っちまってよwwww晴れて俺様も貴方様と同格ってワケwwwww」

橙「ぬ、ぬぐぐ…」

赤「だいたいこういう物買いのときゃ数字の大小で決まるもんでしょう」

赤「盾突いたってワケじゃ、ねぇん。どう思いまして?従者クゥン」

従者「吐き気がします」

赤「てめえ雇われて早々遠慮がねえな」

従者「遠慮するなって言ったのは騎士様です」

赤「ああそうだったっけーwwwwブヘラヘラwwww」

橙「に、偽者だ!貴様の家にこんな大金が、あるわけがない!」

赤「こんな数の偽モンそろえるなら半分稼いだほうがはええっすよwwwそれでも貴公の5倍なんですけどねwww」

橙「ぬぬうぅっ…」プシュウウウ

赤「で、どうすんだよ。たんねえか?」

奴隷商人「…えっ?いやいや!め、滅相もないですぜ旦那!」

奴隷商人「決まり!決まりですハイ!」ガンガンガンガン!

赤「うっせーよwwww一回ならしゃ解るわwwww」

姫「…」

赤「よーう。お姫さんよ」

姫「赤騎士様が…お亡くなりに?」

赤「ああそうよ。あっけなかったぜ」

姫「…」

赤「親父はあんたのこと可愛がってたからよぉ。ショックか?俺もよかなしくってよ、涙がちょちょぎれちまうぜwwww余計な穴からもよwwww」

姫「わ、わたくしを買い上げて、どうなさるおつもりなんですの」

赤「どういうつもりなんだと思うんだよ、あぁ?」

赤「覚悟しとけよ。さんざんてめえの屋敷でコキ使われた分、たっぷり返してやるからよ」

姫「ずいぶんと変わられたのね」

姫「あんなに寡黙で、表情をお出しにならなかったというのに」

赤「昔のこたぁ忘れたなぁ」グイッ

姫「きゃっ!?」

ドサッ

姫「そんな。どうしてこんなところにベッドが…」

赤「どうなさるおつもりなのか、お教えしてさしあげようじゃねえか」

赤「休み無く、死ぬまでよ」

姫「…い…いや…」

赤「クククッ」

姫「いやあああぁぁぁぁ!!!」

姫「―――ああぁぁぁあ!」

姫「…はぁっ…はっ…」

姫「…はぁっ…ゆ…夢…?」

赤「お目覚めか雌ネズミさんよ」ヌッ

姫「!?」

姫「いやあああああ!」バンバン!

赤「おぶっ!?」

姫「け、ケダモノ!近寄らないで!」バンバン!

赤「てめっ、いきなりなにしやがっ!」ガシッ

姫「きゃあっ!」ドサッ

赤「くそがっ!寝ぼけてんじゃねえぞマセガキが!」

姫「は、離して!離してっ!」

赤「紳士な俺様がてめえみてえな乳臭えの襲うかよ!」

従者「ああ。やっぱりロリコンだったんですね」

赤「!?てめえっ、いつもそうだが音もなく出てくんじゃねえ!」

従者「扉あいてましたよ。やるなら鍵しめとかないと」

赤「おめえもいっぺん後ろ掘ってやろうか」

姫「はぁっ…はぁっ…」

赤「ったく、やっと落ち着きやがったか」

姫「ここは…赤騎士様のお屋敷…」

赤「そうだよクソッタレ。おーいてぇ

姫「はっ、そうですわ。メイドは?どうしていないんですの?」

赤「それを伝えに来たんだろうが」

赤「あのドジは地下牢にぶっこんだぜ」

姫「…え?」

赤「俺様の命令無視、こりゃ重罪だ。だから投獄」

赤「クク、ちょうどてめえのご両親みてえにな」

姫「…」

赤「もちろんたっぷりシャブシャブしてやったから安心しとけwwww」

赤「トロいくせにいい身体してやがったぜwwww」

姫「…」キッ

赤「フン、いい目じゃねえか。俺ぁ生意気なガキは嫌えだがよ、気丈なガキは好きだぜ」

赤「解ってんだろうがメイドはてめえの素行で運命が決まるんだぜ。改めて肝に銘じとけよ」

姫「…かしこまりました、ご主人様」

赤「ナハーッ!本日最初のカイカン頂きましたァっ!」

赤「これからはてめえ一人だけで、家事全般やってもらうからよ。いいな」

姫「はい」

赤「わかったらとっととおきて支度しろやクソが。とっくに朝食の時間過ぎてんだよ」

姫「…かしこまりました」

赤「オラ従者。てめえは朝の酒買って来い」

従者「はいはい」



赤「まっっっっじいいいいっ!」

従者(こ、これはたしかにちょっと…)

姫「…」

赤「おめえ味見しながら作ったのかよ!」ガツガツ

赤「食材同士が親の仇とばかりに口ンなかでしばきあってんじゃねえか!」ムシャムシャ

姫「そ、そんなこと言われましても、わたくしいままで食材を切ったことしかありませんもの!」

赤「口ごたえしてんじゃあねえよ!」モグモグ

従者「でも食べるんですね(僕も食べるけど)」

赤「貴重な食費だ無駄にできるか!」シャモシャモ

赤「おい従者!てめえ料理はできるのかよ」

従者「ええまあ。人並みには」

赤「毎日こんなもん食わされたら身がもたねえわ。調理の時は姫について見てろ!」

従者「わかりました」

赤「たいした事できねえんだから、せめて人間の食い物の作り方くれえ知っとけっつうの」ブツブツモグモグ

姫「…申し訳ございません…」

従者「…」



赤「床は這いつくばってしっかり磨けよ。俺様が歩く場所なんだからよwwww」

姫「…」ゴシゴシ

赤「返事はどうしたクソガキ」

姫「はい」ゴシゴシ

赤「舐めてもいいくらいピッカピカに磨けよ。おいなんだこりゃ。これで絞ったつもりなのかよええ?」

赤「床がびしょびしょじゃねえかよ!雑巾引きちぎるくれえ力こめて絞れや!」ダンッ!

姫「は、はい…」

赤「最初からやり直せや!水もこまめに取り替えろよ!」

姫「はい」



赤「洗濯はただ洗えばいいってもんじゃねえ」

赤「用途や材質で一緒に洗うか石鹸使うかまで選らばねえと早くダメになっちまう」

赤「俺様の身だしなみにつながるんだからよ。ケチつけられたらてめえに鞭くれてやるからな」

姫「はい」

赤「あとてめえの仕事着はそいつと替えの2着だけだからな」

赤「適当にあつかっておシャカんなったらすっぱだかで過ごしてもらうからよwwwwいや俺はそっちのほうがいいけどよwwww」

従者「ロリコ

赤「やかまし!」

赤「解ったらとっとと手動かせや!シーツから着替えまで毎日全部洗ってもらうからよ」

赤「ノロノロやってたらおわらねえぞ!」

姫「はい…」ゴシゴシ



愛馬「ブルル…」

赤「いっつもこんな洗い方してたのかよ…」

姫「も、申し訳ございません…」

赤「急に水ぶっかけられたらびっくりするだろうがよお前もよ。違うかよ!?」

姫「はい…」

赤「馬洗うときは心臓から遠いとこから水かけてやって洗ってくんだよ」

赤「オラはやくしろ」

姫「はい」

赤「毎日洗ってやれば石鹸なんかいらねえ」

姫「はい」

赤「拭くときはしっかり腹から毛並みに逆らうように…」



赤「ほー。庭の手入れだけはマシじゃねえか」

姫「…ありがとうございます」ザクッ ザクッ

赤「その手際で俺様の股間の芝生も刈ってもらうとすっかなwwwwなぁオイ今のケッサクじゃねwwww」

従者「面白すぎてため息がでます」

赤「だろーよwwwwブルヒャヒャヒャヒャwwww」



赤「だあああああ疲れたわこんちくしょーっ!!」

赤「なんだって主人である俺様がこんなヒィコラいわなきゃいけねえんだよ!」

従者(なんだかんだメイドさんもプロだったんですね。フォロー入れてたんでしょう)

姫「申し訳ありません…」

赤「口ではなんとでも言えるわタコwwww」

赤「もう二度と教えねえからな。明日からは全部これを一人でやれや。解ったか」

姫「はい」

赤「したら夕食だ夕食。ハーラ減った。おい従者ちゃんと見とけよ」

赤「食いモンの調理に集中しろよ、姫の調理なんかしちゃうなよwwwwww」

従者「はいはい解りました解りました」

姫「…」

ガチャ

従者「一回ごとに一つ新しい品を作りましょうか」

従者「昼は卵料理でしたし、夜は簡単な肉料理にしましょう」

姫「はい」

トントン グツグツ ジュー

従者「…」

従者「あいかわらず従順ですね。メイドさんの事もありますけど」

従者「僕の事、怒ってないんですか」

姫「…いいえ」

姫「主人の命令に従う事を、責められるはずありませんわ」

グツグツ

従者「…真の騎士様とやらの、お力ですかね」

従者「あなたがそんなに落ち着いていられるのは」

姫「…」

従者「ま、あなんにせよ」

従者「野菜の切り方もちゃんと教える必要がありそうですね」ゴッチャァ…

姫「も、申し訳ございません…」



赤「…悪くねえ」

赤「てめえ余計に手出ししまくったんじゃねえだろうな」

従者「口で教えて見てただけですよ。お姫様とて女性なんですからセンスはあるんでしょう」

赤「けっ、この程度出来て当然なんだよ」ムッシャムッシャ

姫「…」

赤「ああそうだ姫さんよ。地下牢のメイドんとこにも食事もってってやれや」

赤「おら。これが地下に続く鍵だ」カチャッ

姫「!」

赤「飢え死にされてもこまっからよwwwww」

赤「つってもこんなクソ不味いモンくわされたらハラくだしておっちぬかもなwwww」

従者(さっき自分が言ったこともう忘れてるよ)

赤「まあせいぜい奴隷同士傷を舐め合えや。あ、実際舐めあってもいいっすよwww見に行ってやるからよwww」

従者「もう居ませんよ」

赤「なっ、あんのクソガキャア!」トンッ

バシャッ!

赤「あぢゃあああああスープがこぼれ…もったいねえええんぢゅううう」ヂュウウ

赤「あぢゃばばばばばば!」

従者「とってもお行儀が良いですね。騎士様」



姫「…」カツーン カツーン

姫「ここかしら…」

姫「…メイド、メイド。いますの?」

『お姫…様?』

姫「ああ、ご無事なのですわね…」

姫(この隙間から送るのね…)

姫「お食事をお持ちしました。お食べになって」パカッ

『ありがとうございます…』

姫「…」

姫「どうか許して。わたくしのためにこんな事に…」

『…そんな、めっそうもございません』

『わたしはお姫様がご無事なら、それで良いのです』

姫「メイド…」

姫「…ごめんなさい…本当に、ごめんなさ…い…」

『お姫様…』

姫「…」ギュッ

姫「きちんとご主人様にお使えして、いずれ出していただけるようにお願いしてみますわ」

姫「それまでどうか、辛抱なさって」

『ありがとうございます』

『あ、で、でもあまり無理は…』

姫「大丈夫ですわ。こう見えて、わたくし頑丈ですもの」

姫「では、行きますわね。また後日」

『はい、お姫様もどうかお健やかに』

姫「…!」

『…?…どうなさいました?』

姫「いえ、すこし昔のことを」

姫「おやすみなさい、メイド」

タタッ

『お姫様…』



読んでくれてる人ありがとう
今週中に終わらせられるよう頑張ってみる

従者「騎士様どちらに?」

赤「野暮なこときくんじゃねえよ。デエトだよデ・エ・ト」

赤「一日中咲く気配もねえ蕾眺めてこっちは我慢の限界なんだよ」

従者「ああ、お姫様を見ていたら劣情が沸いてしまいましたか」

赤「てめえの耳、右から左にまっすぐ穴開けてやろうか」

従者「だいたい貴族階級の人はすっかりなりを潜めちゃってるじゃないですか」

従者「街の中じゃほとんど見かけなくなったし」

従者「相手は平民か娼婦ですか?」

赤「ぶわーかしなびた野菜なんか食えるかよ。俺にはコレがあんだろ」チョイチョイ

従者「やたらでかいにきびですね」

赤「鼻だドアホ。戸締りしっかりしとけよ。あとクソガキにはベッドメイクも教えとけ」

赤「ったく嗅ぎ分けるのも疲れるんだぜ…ブタ共もよく探せよな」ブツブツ

従者(ハイエナ根性…)

ギィ…

従者「戻りましたか。どうでしたかメイドさんは」

姫「…メイドはいつまであそこに?」

従者「さぁそれは騎士様の気分しだいでしょうね」

従者「鍵は預かります。あとベッドメイクも覚えてもらいますから」

従者「行きますよ」

姫「…はい」



赤「あーくそ。あのクソ馬に乗れねえせいでこの通りだぜ」

赤「時間かかってしょうがねえ…フンスフンス、おここだな」

赤「今までさんざん邪魔が入り続けてきたが、今日こそはウヒヒのタプタプのズッコンバッコンしてやるぜ」

バン!

貴族娘「ひっ!?」

赤「どうもーっ!貴女の秘め所にご立派さんの直球便どぇーっす!」


貴族娘「あ、貴方は…赤騎士様!?」

赤「あ。またひづめつけてたわ」

赤「ってしゃらくせえ!ンなこた関係なくなるほど俺様の性騎士エキスでシャブ漬けにしてやるぜえええ」ピョーン!

貴族娘「き、きゃああっ!」

ドカッ

貴族娘「!?」

赤「おぶっ…」

赤「ま、まるべ靴底のような唇してらっさるのね…」

仮面「実際靴底だからな。いつまも張り付いているな汚らわしい」ブンッ

赤「ゴギャァッ!」ズザァァ

貴族娘「あ、あなたは…」

仮面「ご安心ください、お嬢さん」

赤「て、てめえ…これで何度目だ俺様の邪魔すんのはよぉぉ!!」

仮面「すっかり顔なじみだな」

赤「ふざけんじゃねえ!今日という今日こそは…」チャキッ

仮面「ほう。やるか?」

赤「ぐ…ぐぬぬ…」ガチガチ

仮面「…」チャキッ

赤「だぁぁーっ!くそがっ!やっぱり抜けねえ!」

赤「抜きてぇってのに抜けねぇ!男としてこんな悔しいことがあるか!?おおおーん!!」

仮面「…」

赤「覚えてろよ仮面野郎が!次会ったときゃ、てめえのケツ使ってでも抜いてやるからよぉ!!」

赤「うわああぁぁぁぁぁぁんっ!!」ダダダ…

仮面「…フン」キン

仮面「お嬢さん、深夜に寝室に出向いたこと、お許しください」

貴族娘「あ、貴方は一体…」

仮面「名乗るほどのものではありませんが、友は私の事を…」




ザァァ…

騎士「ご無事ですか?姫」

ひめ「…」キョトン

橙従騎士a「き、貴様ァ…」

橙従騎士b「名乗れ!どの騎士団所属の者だ!」

騎士「…」

橙従a「おのれ…でああああっ」ヒュンッ

橙従b「いやはぁぁぁっ!」

騎士「…」スラリ

キィン!カィィン!……フォンフォン

トストスッ

橙従a「な…な…」

橙従b「お…お」

騎士「橙殿にお伝え願おう」

騎士「次は剣が飛ぶだけでは済まないと」

橙従a・b「ひ、ひぃぃっ!」

ダダダッ…

騎士「…」キン

騎士「姫…どこかお怪我は…」

ひめ「こやーっ!」

騎士「!?」

ひめ「そこからはやくのいて!」

騎士「う?…?」

ひめ「はやく!」タタッ

ひめ「もう、こんなにおもっきりふんづけて…」

騎士「…なるほど花を…踏んでいましたか」

ひめ「そうよ!おみずあげれば元気でるかな…よいしょ」チョロチョロ

騎士「チューリップ園のお手入れを?」

ひめ「ええ。わたくしのおしごとですの」

騎士「しかしここは花壇の外ですが…」

ひめ「…」

ひめ「あなたは、チューリップがおすき?」

騎士「はい。母が花が好きでしたので」

ひめ「わたくしもすきですわ。でも、みちばたにさいているお花も、大すきですの」

ひめ「どのおはなもいっしょうけんめい、きれいにさいてますもの」

騎士「…」

ひめ「ほんとうは、こんな"さく"はずしてほしいのですけれど、おとうさまがおゆるしにならないの」

騎士「領主様が…」

ひめ「『くべつ』なんか、なくしてしまえばいいのに。みんな、きれいなのに」

ひめ「かだんの外のおはなは、だれもみなくて、かわいそうですわ」

騎士「…」

騎士「そんなことはありませんよ」

ひめ「え?」

騎士「姫様のような、天使と見紛うお方に愛されているのですから」

騎士「彼らもきっと喜んでいることでしょう」

ひめ「てんし?わたくしが?」

騎士「ええ」

騎士「それに…これからは私も彼らに挨拶させていただくようにします」

騎士「少しでも寂しくないように」

ひめ「ほんとうですの?」パァッ

騎士「もちろんですとも」

騎士「ですが、このような場所にお一人で来る事はおひかえください」スッ

ひめ「あっ…」

騎士「先ほどのように、姫様を狙う愚劣な連中がございますので」チュッ

ひめ「そんな、わたくし手がよごれていますわ」

ひめ「お、おもてをおあげになって」

騎士「かまいません」

ひめ(…?)

ひめ(むねにへんな、あとが…)

騎士「…」

騎士「ではそろそろ召集の時間ですので、私はこれで」

ひめ「あ、おまちになって!」

ひめ「あなたのおなまえを…」

騎士「…いまは半人前の騎士。いずれ一人前になったとき、名乗らせていただきます」

ん?回想?

騎士「そしてその時は姫様に、私の剣を捧げさせていただきます」

騎士「今日と同じようにこのチューリップ園で」

ひめ「あ…」

騎士「どうかお健やかに、姫様」

パカッパカッパカッ…

ひめ「…」

ひめ「おまち…しております」

……



姫(チューリップ園の騎士様…)

姫(手がかりは胸の傷だけ…)

「…めさま」

姫(せめて兜を脱いでいただいておくべきでしたわ…)

「姫様!」

姫「あ、はい!」

従者「どうしたんですか。ぜんぜん食事が進んでいませんが。」

姫「も、申し訳ありませんわ。少し、考え事を…」

赤「おいおいなんだ朝飯食いながら妄想かぁオイ!余裕しゃくしゃくじゃねえかよケッ!」

従者「昨晩もフラれたからってやつあたりですか」

赤「フラれてなんかいねーってなんべんいわしゃあ…」

従者「で、どうなんですか。今朝はあっさりとロールキャベツにして見ましたが」

赤「まっじーわ!クソまっじー!」ガッツガッツ

従者「さようでございいますか」

姫「…」

赤「今日はお姫さんに街の歩き方をおしえてやるよ。しっかりおめかししとけや」

赤「よるとこ一杯あるから飯は店で食う、いいな」

姫「はい」

赤「従者。空の樽ひとつ馬にくくりつけとけ」

>>257 解りづらかったかもしれん
突っ走るのでこのまま行く

従者「はいはい」



ガヤガヤ

従者「なんだか今日はいつもにましてお触書の前がさわがしいですね」

赤「どうせまた神隠しの件だろ。耳ダコだぜ」

従者「とかいいつつ人ごみに堂々とつっこむ騎士様」

赤「人間はよ、穴があったら突っ込みたがるし、人が群がりゃ混ざりたくなっちまうんだよ!」

姫「…」

赤「ん、ありゃあ…」

従者「おや?」

姫「!」

姫(わたくしの家の、チューリップ…!?)

従者「へえ。あれが例の呪いの元凶ですか」

従者「たしかに血みたいな汁がこぼれてますね」

ザワザワ

村人a「三日三晩流れ続けてるって話だぜ」

村人b「しかもまるで枯れないんだってね。恐ろしい話さ」

赤「…」

赤「ケッ、俺様のもちょん切られたって三日くれえならギンギンのまんまだぜ」

従者「やってみましょうか」

赤「嬉しそうに言うんじゃねえよカス」

姫「…」

赤「なになに、『天使の鞘腕に告ぐ、即刻騎士団本部に出向き人質をあけわたすように』か」

従者「捕まえたものには賞金も出るようですよ。本格的に捜索にではじめましたね」

赤「やだねーこういうの。もっと明るい事書けよな。家族が増えましたとかよwwwww」

姫「…」

赤「まいいや。とりあえずはいつもの酒場で酒かってから、いろいろ回んぞ」

赤「勘定はよ、全部クソガキにやらせっからな。数間違えんなよ」

従者「はーい」

姫「はい」



姫「えっと…これだけの重さで…20枚ですから…」

姫「これで銀貨60枚ちょうどのはずですわ」

親父「あいよー確かに。おそれおおいねお姫様じきじきにお支払いとはよ」

赤「ばーか、コイツは今は俺様の奴隷だド・レ・イ。魚じゃねえぞ」

親父「そりゃカレイだろ旦那」

赤「あワカッチャッターwwwwwおらみんな笑っていいぞいまんとこwwww」

のんだくれa「うっせーぞ赤のwwww」

のんだくれb「とっととかえって一人でちびちびやってろやwwww」

赤「わーたわーたわーりました!あばよ親父」

親父「おう!ロリコンもほどほどにな!」

赤「ズルッ。てめえも言うのかよそれをよ!」

親父「がっはっは!あばよ!お姫さんも達者でな」

姫「はい。失礼いたします」



従者「ん、ここは」

赤「鍛冶屋だ」

従者「抜けないからって剣をのこぎりにでも変えてもらうんですか」

赤「アホか。この赤いくつわと剣がそろってはじめて身分証明になるんだよ」

赤「んなことしたら平民と扱いが同じになっちまわあ。おーい!いねえのか!」ドンドンドン

鍛冶屋「んー、なんだいおまえさんかい赤いの」

赤「よう爺さん。まだ生きてたのかよ」

鍛冶屋「ぬかせ。何の用じゃ。剣の修理か」

赤「俺様が使えばどんな剣もアロンダ○トもびっくりの無敵の剣よ!刃こぼれ一つしねえぜ」

従者「継承してから一回も使ってませんしね」

赤「今日きたのはよ、火薬をわけてもらいてえんだ」

鍛冶屋「火薬?そんな物騒なもんなんに使うんじゃ」

赤「ほれ、こんど魔女裁判があるだろ?あれで領主様の無罪が確定したらよ、お祝いの花火あげてやるんだよwwwwwドカーンってなwwwww」

鍛冶屋「たわけが。そんなもんは花火屋にまかせておけ」

赤「まあそういわずによ。なんならこのくつわ担保にしてもいいぜ」

鍛冶屋「…まったく、お父上が今のお前をみたらなんと言われるか」

鍛冶屋「よしみで売ってやるが、扱いには気をつけろよ小僧」

赤「ありがとぉおじいちゃぁん。だぁいすきぃ~!」

鍛冶屋「やっぱやめた」

赤「あそんなこと言わないで!ほれこの通り!」

従者(今さらにもほどがありますけど子供ですかあなたは)

鍛冶屋「まったく。金貨2枚、銀貨85枚だ」

姫「あ、少々お待ちを…」

鍛冶屋「ん?あ、あんた…お姫様じゃないかい」

鍛冶屋「おい小僧!お前何をさせとるんじゃ!」

赤「おいおいじーさん、あんたほんとに世間にうといねえー」

赤「そいつぁ今は俺様の家で雇ってんだよ」

鍛冶屋「な、なんじゃと…ふざけるな!お前のようなものに売れるか!」

赤「ざーんねん。火薬はもうすでに樽の中でございまーす」

鍛冶屋「こ、こ、こっちにこい!頭かちわってくれる!」

姫「お、おじい様、どうかお静まりになって」

鍛冶屋「姫、しかし…」

姫「良いんですの。これもわたくしの役目ですから…」

鍛冶屋「うぬ…わ、わかりました」

赤「おほーっwwww今俺様の全身から滝のようにカリスマ溢れてるゥwwww」

従者「口から汚泥も垂れ流してますけどね」

赤「っせーよwwwじゃあなじーさんwwwさっさとくたばれよwwwアマチガエタwwww」

鍛冶屋「いわれんでも直逝くわい。とっとと出て行け!」

鍛冶屋「お姫様、どうか辛抱なされい…老骨めにはどうにもしてやれんがの」

姫「いえ、そのお気持ちだけで十分ですわ。どうかおじい様もお元気で」

従者「じゃ、失礼します」



従者「ここは、ずいぶん大きな厩舎(きゅうしゃ)ですね」

赤「そこらじゅうかけまわってるって有名な商人だかんな」

赤「おい!いるかい!」

基本的に自分が読めなかった漢字にはルビふってきます

馬商人「はいはい。どうなさいまし…おや!おぼっちゃん!」

赤「よーう馬面。…おい、おぼっちゃんってのはやめろや」

馬商人「はっは。先代とはじめていらしたときはこんなでしたからね」

馬商人「私のなかじゃ、ずっとおぼっちゃんですよハイ」

赤「ケッ。まあいい、今日は鞍を買いてえ。滑らない頑丈なやつだ」

馬商人「あれ。だって騎士様、もうすっかり乗るときは鞍なんか必要なかったじゃありませんか」

赤「うっせーよいちいち詮索してんじゃねえ。売りゃいいんだよ売りゃ」

馬商人「承知いたしました。じゃあこちらのものでいいですかね」

赤「まあ適当に選ぶとするぜ。あと聞きたいことがある」

馬商人「はい、なんでございましょう」

赤「あんた、他の国もいろいろ回ってるんだろ」

馬商人「ええ。おかげさまで手広く」

赤「じゃあ一つ聞きてえんだが…」

従者「…」

姫「…」

赤「お前ら何ボサくれてんだよ!外に出てろ!デリケートな話すんだからよ!」

赤「てめえは財布おいてけ。ここの支払いは俺がやる!」

従者「はいはい」

姫「かしこまりました」

タタタ

赤「ったく」

馬商人「…」ニコニコ

赤「あんだよ」

馬商人「いえなんでもございませんよ。それで?」

赤「ああ。工芸職人の話なんだがな」



従者「こんな鞍買って、また馬術の練習ですか騎士様」

赤「ケッ、あんな毛深いビッチ二度と乗りゃしねえぜ」

姫「…」

従者「じゃあどうしてこんなも」

赤「はああーい!マイハニー!」

娼婦a「あらぁ、赤の兄さん!」

赤「元気してたかよ?んん?俺がいなくて寂しかったかぁ?」

娼婦b「何いってんの。アンタこそどうなのよ」

赤「さみしかったぁ~ん」スリスリ

娼婦a「相変わらずだねえ、兄さん」

従者「…」

姫「こ、ここは…」

従者「娼館ですね」

赤「おらおらお前らも挨拶しとけ。俺様はここの常連だから遠慮はいらねえぜ」

従者「のぞき見の常連ですけどね」

赤「うるせえ!」

姫「…は、はじめまして…」

娼婦a「あ、そうか兄さん、今お姫様を雇ってるんだっけ」

娼婦b「はじめまして、お姫様」ニコッ

おけおけ


楽しんで読ませてもらってまつ

わからなかったら自分でググるし別に無くても大丈夫よ

飯休憩 20:00くらいからもっかい走る

>>284
>>285
ありがとう。誰がどうみても明らかに難しい漢字出てきたらそのときはふる
まあ多分出てこない

姫「…」

娼婦a「ほらほら兄さん、いたいけな子こんなとこにつれてきてんじゃないよ」

赤「あーにいってんだ。いずれこいつもここにブチ込むことになるかもしれねえぜwwww」

娼婦a「心にも無い事言ってんじゃないよ。ちょっと、何してんのさ」

赤「いやあ。相変わらず綺麗だと思ってよ」グイ

娼婦a「あら、じゃあ今日こそ私を買ってくれる?」

姫「…」

赤「ふっ、よしとくぜ。自分にホれさせてからゆっくり抱きてえからよ」

娼婦a「あら。それじゃあずいぶんと待たされるわね」

赤「クク。どうかな」ナデナデ

従者「やれやれ。そんな度胸ないくせに…」

姫「…お…」

姫「…お離れになって!」

赤「ん?おぉっ!?」グイイッ

娼婦a「え?」

赤「おっとったった、あ、あぶねー」

赤「な、何しやがる!」

姫「いけませんわ。このようなお方達に!」

娼婦b「…」

赤「ああ?」

赤「てめえ、何が言いてえんだよ」

姫「お金で体を許すだなんて、汚らわしい!そんな方々にお近づきになってはなりませんわ!」

パンッ!

従者「わ」

娼婦a「…!」

姫「…ぁ…」

赤「てめえもういっぺん言ってみろ…」

赤「もういっぺんいって見ろってんだお姫様よぉお!!」ガシッ

姫「ひっ…」

従者「まってください騎士様。おちつい…」

赤「うるせぇ!」ドカッ

従者「あっつ…っ!」

赤「てめえ何様だコラ。こいつらの生き様のどこがいけねえってんだよ!」

姫「…っ!」

赤「生きるためにやってることを、お前みてえな自分じゃ何もできねえガキがケチつけられるってのかよああ!?」

娼婦b「兄さん!やめて!」

赤「てめえみてえなやつが…てめえみてえなやつが!」

娼婦a「兄さんっ!!」バシャッ

赤「っ!!」

娼婦a「もう、やめてあげて」

赤「っく…ふぅっ…ふぅっ…」

姫「ぁ…ぅ…」

娼婦a「手を離して」

赤「くっ…」パッ

娼婦b「あんたたち、もうお行き。あとはわたしたちが」

従者「わ、解りました」

従者「お姫様、いきましょう」

姫「……」

ヨロヨロ…

赤「ちっ…」

娼婦a「…」

娼婦a「兄さん、なんだか変だよ」

娼婦a「何をそうヤケっぱちになってんのさ」

赤「フッ。おめえも俺に説教くれんのかよ」

娼婦a「まさか。そんなご身分じゃないさ」

赤「俺の連れの不祥事だ。いずれきっちり詫びいれさせるぜ」

娼婦a「いいよそんなの。それより、何か話しがあったんだろ」

赤「ああ。聞きてえことがある」



赤「悪かったな。時間とらせてよ」

娼婦a「あらあうふふ。ちゃんと時間分の料理はとってくれたじゃない。商売だからいいのよ」

赤「…」

娼婦a「お姫様の事はさ、気にしてないよ」

赤「てめえが気にしなくても俺が気にくわねえんだよ」

赤「くだらねえ世間体で物見やがって」

娼婦a「やれやれ…」

娼婦a「あんたさ、いい加減恋人作ったほうがいいよ」

赤「は?」

娼婦a「女心わからない人がね、こんなところ通ってたら恥ずかしいっていってんのよ」

赤「どういう意味だよ」

娼婦a「そんなことは自分で考えな」

赤「…よくわからねえが」

赤「そんならお前がその恋人ってのになってくれりゃあ万事解決じゃねえか。な?」

娼婦a「アンタみたいに立場を考えすぎないってのも…」

娼婦a「考え物なのよっ!」ギュウウウ

赤「あだだだだだっ!」

娼婦a「ほらっ。帰った帰った」

赤「ほーいでぇ」

赤「あばよ。またくるぜ」

娼婦a「はあい、いつでもどうぞ」

タタタタ…

娼婦b「兄さん、ずいぶん変わったね」

娼婦a「んー?あんた本当にそう思う?」

娼婦b「うん…」

娼婦a「ふふ」

娼婦a「まだまだだねェ。あんたもあの男と一緒で、さ。」



カチャ…カチャ…ズズ…

赤「…」

カチャ…チャキ…

従者「…」

姫「…」

赤「おい従者」

姫「!」ビクッ

従者「はい?」

赤「今日のメイドの料理はお前がもってけ」

従者「解りました」

姫「…」

赤「クソガキ。てめえは部屋に戻っててめえが言った言葉をよーく反芻しろ」

赤「朝までな」

姫「…はい…」



ガチャ バタン

姫(…)

赤『生きるためにやってることを、お前みてえな自分じゃ何もできねえガキがケチつけられるってのかよああ!?』

姫(…解っていますわ…)

姫(あのお方たちも、望んでのことではないことくらい…)

姫(でも、それなら…)

姫(どうしてわたくしは、あのような?)

姫(理想の騎士像をまた思い浮かべての事?)

姫(ありえませんわ。そもそもあのような卑劣な男に、期待なんてしてませんもの)

姫(そうよ。あんな男に)

姫(…)

姫(今はメイドのためにも、うかつな行動を控えないといけないというのに)

姫(わたくしとしたことが…)

姫(いずれにせよ…)

姫(明日になったら、きちんと…)



シュッ

トンッ!

赤「…」

赤「どうだったよ」

従者「おとなしくしていましたよ」

赤「ガキのほうは」

従者「ちゃんと部屋に居ます」

赤「そうかよ」シュッ

トンッ

従者「今日も当たってませんね」

赤「…」

従者「下手な人でもそこまではずしませんよ」

赤「…」シュッ

トンッ

従者「当たると何か困るんですか?」

赤「…」

従者「変な音でも出るんですか。それともダーツに嫌な思い出でも…」

ヒュッ カッ!

従者「…」ツー…

赤「わりい手が滑ったぜ。色男が台無しだな」

従者「騎士様ほどではありませんが」グイッ

赤「てめえもとっとと寝ろ」

従者「今日は珍しくお怒りでしたね。お姫様の言葉そんなにシャクに触ったんですか?」

赤「寝ろ」

従者「そもそも家の物をすべて売り払ってまで、なんでお姫様を?」

赤「寝ろ」

従者「騎士団を全員解雇してまで、部外者の僕だけを雇ったのは――」

赤「寝ろっつってんのが聞こえねえのかボンクラが!」ダァンッ!

従者「…」

赤「フーッ…フーッ…」

従者「おやすみなさいませ、騎士様」

赤「…」

バタン

ヒュッ

コンッ…ポトッ

赤「…クソが…」

――紫騎士団・本部――

紫「すでに8割近くの貴族の失踪が確認されておる」

黄「…キッ」

橙「ふごん。うちの団には目撃証言は来ておらんぞ」

黄「うちもじゃ。そもそも『天使の鞘腕』などと申す輩は、本当におるのか?」

紫「…」ギロリ

黄「キッ!?い、いや、紫殿のおっしゃることを疑っておるわけではないキッ!」

黄「ただ、これだけ巧妙に貴族の隠れ家を見つけ出し、一斉に連れ去るには、少し無理がある話ではないかと」

紫「きゃつらは今我々騎士に対する不信感が高まっている」

紫「領主が有罪とわかれば芋づる式だからな。亡命も考えているだろう」

紫「しかし大勢で外国に移住するのは至難の業。この国のどこかにかくまわれているに違いない」

藍「…ココ…しかし裁判の日ももう近いぞ」

紫「ふん、まあ裁判自体に支障は無い」

紫「全ておわったあとで、ゆっくりと捜索して、見つけ次第処分していけば良い」

橙「ふごんっ。頼むぞ紫殿。おでと黄は貴公を信じて"コト"に及んだのだ」

黄「そうじゃとも。先代の赤騎士夫人――」

紫「シッ」

黄「ぬ?」

藍「…」

紫「フン、ねずみか」

紫「青の手のものだな」

スッ

青従騎士a「…」

青従騎士b「…」

黄「キっ!」

藍「…」チャキ

青従a「くっ…」

紫「無駄だ。すでに出入り口は固めてある」

紫「青が探りを入れてきておることぐらい知っておるわ。痴れ者が」

青従b「お、おのれ…」

青従a「紫殿!貴公の今回の件における領主の強引な投獄、皆が皆見逃すと思うな!」

紫「フン。見逃さなかったらどうだと言うのだ」

青従a「騎士の魂に照らし、真実を見極めるのみだ!」スラリ

藍「…」スラリ

紫「退け。私が相手になろう」

藍「…」キン

青従b「おい、a…」

青従a「これは決闘だ。立会いを頼む」

青従b「う、うむ」

紫「フフ。久しぶりの響きだな、決闘も」

紫「若造。死に急ぐ必要はないのだぞ」シャラアァァ…

青従a「それはこちらの台詞だ、紫!」

紫「フ」

…ザッ

呼び出し喰らった ここで一旦停止
今日明日明後日で終わらせたい…終わらせたい

青従a「はっ」シュンシュン

紫「フン、青ももうろくしたな」キィン

紫「ぬるいわっ!」ブォン

青従a「!」ガッ

パキィッ!バシュッ

青従a「があっ…」ドウッ

青従b「aっ!」

藍「コココ、剣ごと葬るとは。見事じゃ」

黄「キッ。流石は『葬剣』殿!」

紫「フン」

紫「そいつを持っていって青に報告するがいい」

紫「何をしても無駄だ、とな」

青従b「くっ…」

青従a「…」ピクピク

ヨロヨロ…

紫「裁判までもう日も少ない」

紫「目立つ行動は控えろ。言葉にも注意することだ。いいな」

橙「わ、わかった。ふごんっ」

黄「キッ」

藍「…」



――翌朝、青騎士団・本部――

緑「青様っ!」バンッ

青「緑か」

緑「はっ!…むごい」

青「深夜に戻ってな。紫と剣を交えたらしい」

青従b「申し訳ありません。私は何も出来ませんでした…」

青「お前の責ではない」

青「挑発のつもりか。騎士の魂を…剣まで折りおってからに」

青従b「…」

青「あやつはいつもそうだ。決闘をすれば必ず剣ごと相手を切る」

青「先代の赤は警告を発していたが…いまや意見できる者もおらん」

緑「…」

青「こうして死人が出てしまった以上、探りを入れるのも限界やもしれん」

緑「手を引くのですか?」

青「そうはいっておらん。だがより一層慎重にならざるをえん」

青「そうすると出来ることは限られてしまうがな」

緑「…」ギリッ

青「緑。お前の怒りも解る」

青「だが今はこらえよ。赤も今となっては何を考えておるのか儂にも解らん」

青「お前まで失っては、騎士団の未来も閉ざされる」

緑「はい…」

青「ふぅ…彼を弔おう。皆を集めよ」

青従b「はっ…」

緑(青様は衰弱しておられる)

緑(やはり…私達が動かねば。多少強引な手を打ってでも)

緑「私は略式だけでご無礼いたします」

青「うむ、それが良い。参列しているのを知られても厄介だ」

青「お前の団に戻るがいい」

緑「はっ」

緑(勝手をとること、お許しください。青様)



赤「グッモーーーーニンエブディバディ!」

従者「おはようございます」

姫「…おはようございます」

赤「おいおいなんだてめえら。テンション低いなァ」

赤「一日のはじまりくれえシャキっと迎えろや」

赤「んでそのあとは俺様の足元でヒーヒー言ってろwwww上手に言えたご褒美くれてやるぜwww」

従者「さて、馬の様子を見に行くかな」スタスタ

赤「露骨にシカトしてんじゃねーぞコラ。野郎いっちまいやがった」

姫「…」

姫「ご主人様」

赤「あんだよ」

姫「朝食のあと少しお時間を頂けたらと…」

赤「なんのだよ」

姫「あの娼館のお方たちに、一言お詫びを」

赤「…」

赤「いくなら午後にしとけ。あいつら朝は休んでるからよ」

姫「わかりました…」

赤「フン。あとな…」

赤「それとなくあいつら俺の事どう思ってるか聞いとけよwwwwタダで何発までならオッケーかとかよwwww」

姫「…はい」

赤「wwww…ったく、さっさと仕事にかかれ。てめえ見てたらこっちまで気が滅入るわ」

赤「今日は納屋の修理もさせるからよ、急げよ」

姫「かしこまりました」



コンコンコン

緑「…」

ドンドンドンドンドン

従者「はいはいあんまり叩かないでください。いつ崩れてもおかしくないのでこの扉」

従者「おや?…緑様」

緑「お前か」

緑「赤はいるか」

従者「赤様なら、お姫様と一緒に納屋のほうにいますよ」

緑「解った」タッ

従者「何の用でしょうね」

従者「とりあえず治療箱の準備しといたほうぎょさそうですね」

『ギャー!!』

従者「早速ですか」

タタタ…

赤「お、おま、いきなり来たと思ったら何しゃがんだよぉ!」

緑「赤…貴様という男は」

緑「こともあろうに姫に納屋の補強など、危険な事をさせおって!」

姫「み、緑様…」

赤「だからっていきなりケツ蹴り上げることねーだろうがよ!山が一つ増えちまったら左右のバランス悪くなるだろうが!」

赤「おーいてぇ、フーフー」

緑「きたならしい格好をするな!」

赤「こうしねえと吹けねえだろうが!」

赤「だいたいちょっとトンカチ使う仕事の何処が危険だっつうんだよ…ふー。ふー」

緑「問題は釘だ。少しでも錆びていたら破傷風の危険があるのだぞ!」

姫「…」

赤「ああ。なるほど。それでかよ」

赤「だったらよく確認してみろよ!ちくしょーっ!」

緑「確認だと…」

緑「む」

赤「薄い板だからな。使ってるのは全部木釘だよ!」

赤「錆びた鉄釘なんざ俺がまえもって外しちまったわ!俺様だってやっかいな荷物増やしたかねえからな!」

緑「…」

赤「けっ。ったく血相かえやがって。おいクソガキ!作業つづけn」ドコォ

姫「!?」

緑「姫に向かってなんたる口の…!」

赤「う…宇宙…宇宙が見える…お、おっかさあぁぁん…たくわんがう、うめえ…」

姫「み、緑様、わたくしは気にしていませんからどうか…」

緑「くっ」

緑「解りました。ではわたくしも手伝わせていただきます!」

姫「え…ですが」

赤「らめぇっ!」

従者(ろれつが)

赤「このやろ…よりにもよってお、おふくろさんをおもっくそ踏みやがって…」

赤「カマんなったらどう責任とってくれんだよ!のやらぁ!」

赤「そいつは俺の下僕だ!どう扱おうと俺の勝手だろうが!」

緑「ぐぬぬ…」

姫「緑様、どうか抑えて。ね?」

緑「どうしてこのような奴の肩を持つのです!こやつは貴女を…」

姫「…」ジッ…

緑「わ、解りました…」

赤「わかりゃいいんだよわかりゃよ」シャンッ

従者「タフですね赤様は」

赤「立て続けの乱暴の中に、俺ぁ見たぜ。聖者の境地ってやつをよ」

従者「それは変態の領域ですよ。赤様の場合はもう通り越してますけどね」

赤「うるせえ。てめえはとっとと茶の一杯でも持って来いや」

従者「はいはい」

トントントン…

緑「…」

赤「破傷風か」

赤「妹さんだっけよ」

緑「そうだ」

赤「俺ぁあんま覚えてねえなぁ。何度も面識あるっていわれたけどよ」

緑「病弱だったからな。部屋からはあまり出なかった」

緑「私が哀れに思い、外にだしてやったら、朽ちた釘に触れて…」

緑「あとは花が枯れるように、あっという間だった」

赤「…」

赤「悪かったな」

赤「やなこと思い出させてよ」

緑「…」

赤「…あんだよ。そんなに俺のツラが見とれるほどかよ」

緑「フッ。何でもないさ」

赤「ケッ。気味悪い野郎だ」

赤「で、なんだよ話っつーのはよ」

緑「うむ…」

緑「耳を貸せ」

赤「早めに返せよ」

緑「いいから貸せ!」

赤「いでででなんだよ」

緑「うむ。今朝の事だが…」

従者「お茶をお持ちしました」

赤「どわあああああっ!!」

緑「お、驚かすな!」

従者「え、ごめんなさい。普通に歩いてたつもりなんですけど」

赤「ったく、おい従者!お姫様ンこと見とけや!」

赤「部屋で話すぞ。来い緑」

緑「ああ。姫様を頼んだぞ従者」

従者「はーい。あれ、お茶はいいんですか」

赤「いらんわ!二人で飲んでろ!」

従者「やれやれ。お茶いれろっていったりいらないっていったり」

従者「忙しい人達ですね」

姫「…」トントントン

トントントン

…トンッ!

赤「ヒューっ!ど真ん中ァ!どうよ見たか?」

緑「的に当ててから言え」

赤「ばか良く見ろ、ここの木目んとこのちょうど真ん中に…おいこの模様なんかイヤラしくねwwww」

緑「…」ガシッ

赤「さ、ここなら落ち着いて話も出来る。聞かせてくれたまえ緑殿」

緑「…」

緑「今朝青殿の従騎士の一人が紫に切られた」

赤「おやっさんの?」

緑「ああ」

緑「青殿はお前の母君の死の真相解明のため、紫をつけさせていたが」

緑「これで断念する意向となった」

赤「…フン。ずいぶん弱気になったじゃねえか」

緑「…」キッ

赤「で、話はそっからだろうが」

緑「強行に出るしかない」

赤「直接叩くのか?」

赤「俺ぁやだぜ。アイツやたらめったら強えしよ」

緑「馬鹿者。関係者に口を割らせるのだ」

赤「あ、なるほど」ポン

赤「それだったらちょうどいい色ボケ畜生どもがいるわけだ」

赤「サルとかブタとかよ」

緑「フン。そういう事だ」

また間違えたけど緑騎士は青騎士の事呼ぶときは「青様」でお願い

緑「仕掛けるなら早いほうがいい。今夜猿を捕まえ…」

赤「いや。同時といこうや」

緑「同時?」

赤「俺は豚を狩る」

緑「…大丈夫なのか?」

赤「あんれー?お前こそ俺様と一緒じゃないと不安なんでちゅかー?」

緑「ぬかせ」

赤「まあまかせとけって。一発でくらいつくエサがあるんだよ」

緑「フン」

緑「…」

赤「ん、どした?」

緑「お前は一体何を考えているんだ、赤」

赤「は。ずいぶん解りきったこと聞くじゃねえか」

緑「何?」

赤「俺ぁいつだっておしべとめしべの神秘しか脳にゃねえよwwwスコスコドッピューンっとなwwww」

緑「…」

緑「何故姫を買ったのだ」

赤「…ケッ。お前もかよ」

緑「先代の騎士団まで解体して、どういうつもりなんだ」

赤「あのな。二番煎じの茶ほど不味いもんはねえんだよ」

緑「答える気は無いのか」

赤「じゃあ聞くがてめえは何で俺に相談もなしに騎士になりやがったんだよ」

緑「…」

赤「ハーイおあいこーwwwwボクちんも答えられまっせーんwww」

赤「話は済んだんだろ。とっとと帰れ」

緑「…青様に立場を示せ。心配しておられる」

赤「親父が死んだからってひがむようなジジイに用はねえよ」

バシッ!

赤「…」

緑「…」

緑「…済まない」

赤「…」

緑「気をつけろ。頂からは常に、紫が見下ろしている」

コツコツコツ…

バタン

赤「…いっ…」ブルブル

赤「ってええええええ!あの馬鹿本気で叩きやがった!」

赤「もみじみてーな跡ついてんじゃねえかよ!あーあーこんなダサいんじゃ今夜のデートもぉ!」

従者「赤様、お楽しみのところ申し訳ありませんけど」コンコン

従者「納屋のお仕事終わりそうなので報告に」

赤「あ。お姫様何してんだよ」

従者「片付けをしています」

従者「今日は口喧嘩勝ったんですか赤様」

赤「あ?」

従者「そこですれ違ったんですけど、緑様ずいぶん悲しそうな顔してましたよ」

赤「…」

赤「フン。おおかた女にでもフラれたんだろ」

従者「赤様じゃあるまいし…」

赤「うっせぇ!お前にゃ今日二つほど使いにいってもらう。とっとと準備しろや!」



カチャ…パタン

姫(赤様と緑様がお話…一体何のお話なのかしら?)

姫(いつもはあんなに仲がお悪いのに)

姫(どうしてかしら…)

姫(なんだかそわそわしてしまいますわ)

緑「…む」

姫「あ」

赤と緑が会話してると何故だか狸とか狐やら頭に浮かんでしょうがない

緑「姫、お仕事のほうは」

姫「ええ、たった今終わったところですわ…」

姫「この前の酒場では、本当に有難うございました」

緑「いえ、礼には及びません。騎士として当然の務めです」

姫「…」

緑「ん、どうかなさいましたか」

姫(緑様は、チューリップ園の騎士様にどことなく雰囲気が似てる気がしますわ…)

>>361笑わざるを得なかった

姫「緑様…その、お願いが」

緑「はい?なんでしょう」

姫「ええ、その…」モジモジ

緑「はい」

姫「む、胸を見せていただけませんこと?///」

緑「え?む、胸をですか?」

姫「は、はい…」

緑「な、何故そのようなことを」

姫「は、はしたないことをお願いしているのは、承知の上なのですけれど…」

姫「どうしても、その…」

緑「…は、はぁ…」

緑「それはその、なんといいますか…姫様もお年頃ですし」

緑「興味をもたれるのは自然の事でして、そのー…」

姫「…」ジッ…

緑「で、ですが、申し訳ありません」

緑「騎士として、うら若き女性に、ましてや姫様に私めなどの痴態を晒すなど」

姫「そ、そうですわね…」

緑「申し訳ございません」

姫「いえっ!とんでもございませんわ!」

姫「わたくしのわがままですの。お気になさらないで」

緑「はい…」

姫「今日はもうお帰りに?」

緑「はい、いずれまた訪れることもございますかと」

姫「そうですの…」

姫「いつでも来て差し上げてください」

姫「ご主人様は緑様と一緒におられると、元気が出るようで…」

緑「姫…?」

姫「え?…ハッ」

姫「その、緑様がいらしてくださると、屋敷全体が落ち着きますし」

緑「…なるほど。そういう事ですか」

緑「おまかせください。あの男が姫に狼藉を働かぬよう、度々来ては睨みをきかせます故」

姫「ありがとうございます」

緑「では失礼いたします、姫様」

姫「はい、お気をつけて緑様」

姫(…)

姫(どうしてお隠しに?)

姫(本当にお言葉通りなんですの?それとも…)

従者「はーあ。やれやれ…あら、お姫様」

姫「従者様…どちらに?」

従者「お使いを頼まれましてねまったく。橙様のお屋敷に、隣村の教会ですよ」

従者「僕が馬に乗れないの知ってるくせにブツブツ…」

姫「…」

従者「夕方には戻りますから、それまで騎士様と二人ですけど安心してください」

従者「ロリコンですけどヘタレですから、何されても大声だせば裸足で逃げ出しますよ」

姫「はい…」

従者「じゃあ」

テクテク…

姫「……」

赤「おい」

姫「ひはいっ!」ビクッ

赤「何飛び上がってんだよカエルみてーに」

赤「昼飯の支度しろや」

姫「か、かしこまりました、ご主人様」

風呂入ってきます 23:00頃からまた走る

すまんちょっと遅れた再開



カチャ…

姫「…」

赤「…」

姫(そういえばこうしてこの男と…ご主人様と二人で食事を取るのも)

姫(はじめてですわね…)

赤「…」モグモグ

姫「…」

赤「…」

赤「ジロジロみてんじゃねえよ。メシが不味くなるだろうが」

姫「あっ…も、申し訳ありません…」

赤「メイドに持ってったらその足で行って来い」

赤「鍵は適当にその辺においとけ。いいな」

姫「はい…」

赤「…傷をよ」

赤「舐め合うときはしっかり前からケツのほうまで丹念に舐めてやれよwwwwそのほうが俺様の目に優しいからよブッヒャッヒャッヒャッヒャwwww」

姫「…」

赤「ヒャッヒャ…なんだ。まだいたのかよ」

姫「…」

赤「とっとと行け」

姫「はい…では失礼します」

赤「おう」

バタン

姫「…」

カツーン カツーン

姫「メイド…」

『お姫様…』

姫「ごめんなさい、遅くなって。召し上がって」

『ありがとうございます』

姫「…」

姫「メイド、あの男は…ご主人様は」

『はい』

姫「本当に、あなたを…」

『…』

姫「…いえ、何でもありませんわ」

姫「わたくし、これから出かけてまいりますわね」

『はい。どうかお気をつけて、お姫様』



シャッ

赤「…やっと行ったか」

赤「ふぅぅ…」コキコキ

赤「…」

赤「ひっさびっさの屋敷に俺様だけタァーイムッ!」

赤「なんかこういう家ン中に一人だけだとテンションあがるくね?くね?」

赤「昔ぁよ、たいして広くもねえのにやたら人がそこらじゅうに居てよ」

赤「親父はうるせーしおふくろはやかましーし」

赤「まぁーったく落ち着きはらえもしねえっての!どいつもこいつも騒がしい顔と口して…」

赤「本当に騒がしい野郎ばっかで…」

赤「…くくっ」

赤「さぁて」

赤「騎士らしく鍛錬と参りますか。騎士らしく、よ」

赤「まずは屋敷まわりを軽くじゅっしゅーう!」

タッタッタ

テクテク…

姫「たしかこのあたりに…あった。ここですわ」

姫「…」ドキドキ

コンコン

娼婦a「はあい誰だいこんな昼間っから。まだ準備中…」ガチャッ

娼婦a「あれ、お姫様じゃないかい。どうしたんだい」

姫「ご、ごきげんようですわ…」

姫「あの今日は突然、その…」

娼婦a「…」

娼婦a「ま、とにかくどうぞ、中にあがって。ここじゃアレでしょうし」

姫「はい」

バタン

娼婦b「あ、お姫様。こんにちは!」

姫「こんにちは」

娼婦a「それで、どうしたんだい?」

姫「実は…先日のお詫びに」

娼婦a「お詫びって…ああ、あの時の?」

姫「はい」

娼婦a「ぷっ…ふふふっ…」

娼婦a「あっはっはっは!」

姫「ど、どうなさったんですの?」

娼婦a「いや、どうしたっていうかアッハ…ついね、フフフッ!」

姫「わ、わたくし真剣なんですのよ!」

姫「昨日一晩本当に…」

娼婦a「あはは、ごめんしとくれ。ちょっとね、あの男の事思い出しちゃってさ」

姫「ご主人様の事ですか?」

娼婦a「そ。ねえ、お姫様さ、ちょっと聞きたいけど」

姫「はい」

娼婦a「お姫様はさ、赤の兄さんのこと、嫌いかい?」

姫「え…それは」

娼婦a「あはん、だーいじょうぶ。わたしたち口はかったーいから。正直に言っちゃっていいよ」

姫「わ、わたくしは…」

娼婦a「うんうん」

姫「わたくしはあんな男、大っきらいですわ!」

姫「礼儀も恥も知らないし、振る舞いまでまるで子供じみてますし」

姫「メイドの…女性の扱いも乱暴で、おまけに見栄っ張り!」

姫「そのくせ町に出れば行きかう女性に鼻の下を伸ばして、酒の匂いにふらついて」

姫「夜も夜でふらふらとどこかにいったきり、朝帰りは当たり前で・・・」

姫「確かにわたくしの屋敷に居た頃は…ちょっと近寄りがたい雰囲気なだけで」

姫「分をわきまえていらしたし、お優しいお方だったけれど…」

姫「でもそれとこれとは話は別…!」

娼婦a「…フフフ」

姫「…あ、で、ですから…わたくし…」

娼婦a「よーく解ったわ。兄さんの事がどれだけ嫌いかってことが」

姫「…え、ええ…」

娼婦a「確かに本当にどうしようもない人だけどね」

娼婦a「私達みたいな日の目にあたらない商売やってる人間のことも、ちゃんと認めてくれてるんだよ」

娼婦a「だからさ、あんまり嫌わないであげてね」

姫「はい…」

娼婦a「ま、そんなこと言わなくてもお姫様は知ってるだろうし」

娼婦a「本心からあんな事言ったってわけじゃないことも、わたしたちは解ってるよ」

姫「え、え…」

娼婦a「フフッ」

娼婦a「だてにお姉さん長く生きちゃいないよ。ねっ?」

姫「…はい…」

娼婦a「でもま、お気持ちは嬉しいからさ。受け取っとくよ」

娼婦a「それはそうとさ、兄さん最近変わったとことかないかい?」

姫「ご主人様が?」

娼婦a「そ。なんかねえ、昨日も妙なこと聞いてったからさ」

娼婦a「なんだかここにくる騎士の人達がどういう事しゃべってったとかさ」

姫「…」

娼婦a「ずいぶん神妙に聞いてくるもんだからちょっと気になっちゃってね」

姫「ご主人様はわたくしに、あまりご自分の事はお話になりませんから…」

娼婦a「そうかい…」

娼婦a「ほんと普段は何考えてるんだかね。そこだけは昔っから解んないよ」

姫「…」

娼婦a「っと、ごめんね話のばしちゃった」

姫「いえ。それではわたくしこれで…」

娼婦b「あ、待ってお姫様」

姫「はい?」

ガチャッ サアァァ・・・・

姫「雨…」

娼婦b「さっき降り始めたの。はいこれ、もってって」

姫「傘?でもこれは皆様がお使いになるものでは」

娼婦a「いいんだよ。こんな降ってる日にゃ客も少ないしね」

娼婦a「今度きたとき返してくれりゃそれでいいのさ」

姫「解りましたわ。ありがとうございます」

娼婦a「兄さんによろしくね」

娼婦b「ばいばい、お姫様!」

姫「はい。ごきげんようですわ」

パタン

姫(ご主人様があれほどお怒りになったのも、解る気がしますわ)

姫(素敵なお方たちですわ…)

サアァァ…

姫(それにしても、騎士様方の噂なんてお聞きになって)

姫(どういうことなのかしら。ご主人様のお父様とお母様の事で、何か…?)

サァァ…

ブォンッ!ブォンッ!

赤「へへ。やっぱり木刀じゃ軽いなァ」

赤「重みが違うぜ。剣とはよ」

ブォンッ!

赤「命…張れるもんでもねえしな」

赤「ガキの玩具みてーなもんだぜ」

ブォンッ!

赤「ヘヘ、こんなもん…」

赤「何千回振り回したってたいしてかわらねえな…」

―――…そうでもないぞ?

赤「!!」

―――…騎士たるもの、あらゆる武器を知る必要がある

―――…たとえ木刀とて、その感触を確かめ…

赤「くっ!」ブンッ!

カンッ!ココンッ!カランカランッ

サァァァッ…

赤「はぁっ…はぁっ…」

赤「へへ。雨なんか降ってたのかよ」

赤「まるで…気が付かなかったぜ」

赤「ん?」

愛馬「…ブルル」

赤「…フン。従者の野郎、外につないだままにしやがったな」

赤「ちょうどいいぜ。今日こそ白黒はっきりさせようじゃねえか。ああ?クソビッチが!」

サアアァァァァァァ…

パシャッ パシャッ

姫「…」パシャッ パシャッ

姫「…あっ」

橙「ふごん…ふご…」

姫(あ、あれは橙様…)

姫(いけない、こんな一人の時に…)

橙「ふごん」

姫(ど、どうすれば…っ!?)グイッ

姫「――――~んんぅっ!」

親父(しーっ!)

馬商人(姫様、お静かに)

姫(…!あなたたちは…)

橙「ふごん♪…ふんふん♪…」

親父(…)

馬商人「いってしまったようですね」

親父「ずいぶん機嫌が良かったじゃねえか」

馬商人「んー、さながら好物のキノコを見つけた時のような」

親父「がっはっは!ちげえねえ」

姫「あ、あの…」

親父「きをつけなせえ、お姫さんよ。あんな男に一人でいるとこ見られちゃ、何されるか解ったモンじゃありませんぜ」

姫「ありがとうございます…でも、お二人はどうしてここに?」

馬商人「いえー、たまたまそこでお会いしましてね」ニコニコ

親父「おうよ。いっぱいひっかけてたってわけよ」

親父「赤の旦那を肴にな」

姫「ご主人様を?」

親父「そうでさあ」

親父「お姫さん。旦那によ、ひでえ扱いを受けてるかい?」

姫「え、それは…」

親父「軒下の談義だ。雨で誰にも聞こえやしませんぜ」

姫「…」

親父「へへ。すぐに出てきやせんかい」

姫「私は買われた身ですわ…ひどい扱いは多少なり受けても、当然の事」

馬商人「…」

姫「ですが、メイドに対しては度が過ぎています!」

姫「理不尽な事を言いつけて、あんな乱暴に!」

親父「ほほう?乱暴てえと、夜伽かなんかかい」

姫「ええ。ご主人様本人が仰ったんですもの。間違いありませんわ」

親父「なるほどねえ。だそうだがよ馬商」

馬商人「ええ、そうですね」

馬商人「お姫様は、本当にそうお思いなのですね?」

姫「それは…」

馬商人「…」ニコニコ

馬商人「おぼっちゃんが成人したとき、うちに馬を買いにいらしたんですよ」

馬商人「お父上様とご一緒に」

姫「…」

馬商人「わたしめもお父上様のご高名は聞き及んでいましたからね」

馬商人「恥をかかれぬようにと、名馬を選りすぐり差し出したのです」

馬商人「ですが、どれが良いと問われたおぼっちゃまは、目の前の馬には目もくれず」

馬商人「馬屋の隅で震える、血統書もない痩せこけた雌馬を御所望なさったのです」

姫「…」

馬商人「そのときのおぼっちゃんのお言葉は今でも覚えていますよ」

馬商人「『父上の乗る馬は誰もが名馬と称えた。次は俺がこの痩せ馬を名馬にしてやる』ってね」

ザアアアアァァァ…

赤「だりゃあああああああっ!」

愛馬「ヒヒイ――ィンン!!」

赤「のわ゛っ!」

バッシャァッ!

赤「んがっぎぎ…」

愛馬「ブルル…」

赤「ヘっ、なげえ面でドヤ顔しやがって」

赤「みてろよ、今度は見事馬乗りンなって…」

赤「ヒンヒン鳴かせてやるからよ!おらぁぁぁぁっ!!」ダッ

愛馬「ヒヒイイイイイ―――ンンッ!!」

ザアアァァァァァァ…

ザアァ… ピチョン ポチョン

姫「…」

馬商人「いまの話を信じるも、おぼっちゃんのお言葉を信じるも、お姫様のご自由です」

馬商人「つまらぬ昔話で恐縮ですが」ニコニコ

姫「いえ…そんな事」

親父「そんなわけでまあ、やるせなくてなぁ」

親父「飲まねえとやってらんねえぜ。ったくよ」

馬商人「…」

姫「それはもしかして、先代の赤騎士様の事ですの?」

親父「ん、ああそうでさ…」

姫「教えて!どうして、どうして先代の赤騎士様はあんなことに!」

親父「おっとっと、お、お姫様」

姫「誰も教えてくださらないの。皆、この話になると貝のように口をつぐんで…」

馬商人「…」

親父「実はなあ…旦那のお母様ってのが」

馬商人「それは直接おぼっちゃんからお聞きなさるのが良いでしょう」

姫「え…」

馬商人「今はお姫様は、おぼっちゃんの使用人なのですから。ね?」

親父「ぬ、ぬう…まあそうかもしれねえ…」

姫「ですが…」

馬商人「すでにお聞きしたのではないですか?もしかしたら」

姫「ええ。でもはぐらかされましたわ」

馬商人「ならばまだその時ではないのでしょう」

馬商人「そのときはきっと、お教え下さいますよ」

姫「…」

親父「…よ、よぉ!ところでさっきの旦那が聞いてきた話ってのはなんだったんだい」

馬商人「ああ、アレですか」

親父「ああ。なんだ、工芸職人だっけよ」

馬商人「ええ、わたしめが回った国々の中で、特に器用な職人は居ないかとの事でしたが」

親父「はーん、変なこと聞くもんだね旦那もよ」

馬商人「ええ、本当に」ニコニコ

姫「…」

親父「…う、うーん。まあよ!旦那もそう悪気があっての事じゃねえに違いねえんだ」

親父「あんま毛嫌いしねえでやっておくんなせえ、お姫様よ」

姫「はい…解りましたわ」

姫「わたくし、そろそろ…助けていただきありがとうございました」

親父「おう、つまんねえ話につきあわせちまってもうしわけねえ」

馬商人「おきをつけて、お姫様」ニコニコ

親父「旦那によろしくおねげえしやす」

姫「はい」

ザアアアァァァ…

パシャッ パシャッ

姫(…)

姫(騎士様達の噂…工芸職人…)

姫(…昔話…)

姫(わたくし、あなたの事がますますわからなくなりましたわ)

姫(今あなたは…)

姫(何を思って、何をしてらっしゃるの?ご主人様…)

ザアアアアァァァァァ…

ドッシャァッ!

赤「ぜぇ…ひぃ…はぁ…」

愛馬「ブル…」

赤「この…やら…」グイッ

愛馬「ヒヒンッッ!」ブンッ

赤「おぐっ!」

ズシャアッ!

赤「へ…へへ…」

赤「てめえまで、俺に愛想が尽きたかよ…」

赤「親父に対する、世間様みてえによ…」

愛馬「…」

ザアアァァ…

赤「…」チャキッ

赤「…すぅぅぅ…はあぁぁぁ…」

赤「ふんっ…!」グググッ…

赤「ぬぐぐぐ…」ギリギリ…

愛馬「…」

赤「ぐ…ぐ…」ガチガチ

赤「――っだあああああっ!」バシャアッ

赤「へへ、だめだチクショウ…やっぱり抜けねえ。ビクともしねえ」

愛馬「…」パカパカ…

ベロンッペロッ

赤「…おい、やめろバカが、クソがっ!乗せもしねえのにじゃれるんじゃねえ!」

愛馬「ブルル…」

赤「はぁっ…はぁっ…」

赤「へ、へへ…」

赤「…"盗人騎士"だとよ」

赤「タコが…馬にも乗れず、剣も抜けねえ」

赤「…誰かのために、盗みも出来ねえ」

赤「そんなら俺は、何だってんだよ……」

赤「教えてくれよ……誰でもいいからよ……」

パシャッ

『――赤騎士様っ!!』

赤「!?」ガバッ

姫「あっ…」

赤「…」

ザアアアァァァァァァァァァァァァァ…

姫「も、申し訳ありませんご主人様…驚かせるつもりは」

姫「で、でもこんな所でそんな…風邪をお引きになりますわ!」

赤「…今…」

姫「え…?」

赤「いや、なんでもねえ…」

バシャッ バシャッ

赤「風呂を沸かせ。夕飯の支度もだ」

赤「すぐに取り掛かれ。いいな」

姫「かしこまりました…」

赤「…きちんと謝ってきたかよ」

姫「はい」

赤「フン。なら不問にしてやる」

姫「ありがとうございます」

ザアアアアァァァァァァァァァ…



ガチャ

従者「ただいま戻りましたー。ああひどい土砂降りだった…」

従者「もってくもんですね傘仕込みステッキも。歩くの疲れたら杖になるし」

キィ…

赤「よう。帰ったか」ゴシゴシ

従者「…っ!」

赤「あんだ、どうした」

従者「…い、いえ」

従者「別に騎士様の家ですし、いいんですけどね」

従者「服くらい着たらどうですか」

赤「っせーよ。腰巻つけてるだけマシだと思えや」

赤「よかったなーwwww自信喪失しなくて済んでよーwwwww」

従者「はいはい…」

従者(まったく、お姫様が見たら卒倒しますよ)タタ…

従者「おまたせしました、お姫様。もう調理始めて…」

姫「…」グツグツ

従者「…お姫様?」

姫「あ、はいっ!」

従者「…」

従者「鍋、猛烈に吹いていますよ」

姫「え?あ、きゃああっ!ど、どうしましょう!」ワタワタ

従者(んんー…?)

従者「まあメインディッシュは無事みたいですし、これでいいんじゃないですか」

従者「あとはパンとか作り置きでなんとか」

姫「はい、申し訳ございません」

従者「…何かされましたか?騎士様に」

姫「え…」

従者「いえ。ずいぶんと思いつめていたようなので」

姫「と、特に何も…」

従者「そうですか。じゃ料理はこびましょうか」

姫「はい」

カチャカチャ

赤「ん、出来たかよ」

従者「はい。ちゃんと服着てくれましたか」

従者「流石に素っ裸のままだったらどうしようかと思いました」

赤「おいおい。俺ぁそんなタチの悪い冗談できるほど肝据わってねえぜ」

従者「呼吸をするように嘘つかないでください」

姫「どうぞ…」カチャ

赤「おう、ありがとよ」

姫「!」

従者「…」

赤「あ、なんだよ。どうしたんだよ固まってんじゃねえよ」

従者「いえ、はじめてお礼を言ったような気がして」

姫「…」

赤「お礼?誰がだよ」

従者「騎士様ですよ」

赤「おいおい冗談言え。なんで奴隷に礼なんざいわなきゃならねんだよ」

赤「むしろこっちが礼いわれてえくらいだってのに」

従者「でも今確かに…」

今さらだがもうssって言えねえこれ

赤「しつっけえんだよてめーわ!」

赤「クソチビもボサッとしてねえでメイドんとこ持って行きやがれ!」

姫「は、はいっ…!」

赤「ったく…」ムッシャムッシャ

従者「…」

カツーン カツーン

姫(…)

コンコン

『はい…』

姫「メイド、お食事をお持ちしましたわ」

『ありがとうございます、お姫様』

姫「少し失敗してしまって、作り置きで申し訳ないのですけれど…」

『そんな、喜んで頂きます』

姫「ふふ。ありがとう」

『…』

『お姫様、何か良いことでもございましたか?』

姫「え、何故ですの?」

『なんだか、お声が元気です』

姫「え、その、従者様にお料理を褒めていただけたので…」

『なるほどです。わたしもいつも美味しく頂いています』

姫「よかったわ。レシピもいくつか覚えたのですわよ」

姫「ここから出していただけたら、一緒に作りましょう。ね?」

『はい…』

姫「それでは、また明日ね。メイド」

『はい、お姫様』

タタタ…

キィ…

従者「おかえりなさい、お姫様」

赤「おう、お姫さんよ。お前も従者と一緒に行けや」

姫「え…?」

従者「なんでも今日、特別なお客様がお見えだそうで」

従者「僕たちは例の娼館でお泊りだそうです」

姫「お客様…」

赤「野暮なことは聞くんじゃねえぞ」

赤「こんな時間に自宅に招くつったら、わかんだろうがよ」

従者「もてない騎士あつめてイケメン騎士に呪いの儀式ですか」

赤「アーマンダーナーマンダーwwwwいけすかねえ緑のケツに神の肉槌をwwwww」

赤「何言わすんだクソが」

従者「知りませんよ」

姫「…」カチャカチャ

赤「従者君も溜まってるもんがあるだろうからよ。しっかりヌいてこいやwwwホレ軍資金www」ポイッ

従者「…臨時給与としていただいておきます」

赤「おいおいぱーっと使っちまえよ。それともやっぱ男娼の店のがいいのかよwwww」

従者「騎士様と違って堅実なんです僕の金使いは」

赤「あーさようでございますかー」

赤「とにかく食ったらすぐ出てけ。いいな」

姫「…かしこまりました」

寝とった 再開

従者「ふあーい」



娼婦a「まあ、それでウチに?」

従者「はい。ご迷惑かもしれませんが…」

娼婦a「大歓迎だよお!見ての通り客もいなくて暇してたとこなんだ」

娼婦a「お姫様も遠慮なくくつろいでいっとくれ」

姫「はい、ありがとうございます」

娼婦b「二人とも、お風呂は?まだだったら入っちゃって。ちょうどわいたところだから」

従者「あ、じゃあいただきます。お姫様、先にどうぞ」

娼婦a「あ、じゃあ一緒に入るかい?」

姫「えっ?」

娼婦a「いったろ、遠慮はいらないって。お疲れだろうしさ、体洗ったげるよ」

姫「でしたら…恐縮ですけど、お願いいたしますわ」

娼婦a「フフッ。承知いたしました」

娼婦b「私達も一緒にはいろっか、従者様!」

従者「勘弁してください」

娼婦b「テレちゃって、カワイー!」

従者「…はは(これは騎士様といるより疲れるかもしれない)」

…カポーン

娼婦a「ふうっ。生き返るねぇ」

姫「…」

姫(大人の女性って、こういうのを言うのですわね)

姫(素敵な、美しい身体ですわ…)

娼婦a「兄さん、なんかいってたかい」

姫「ええ…不問にしてくださるって」

娼婦a「ぷっ。えらそーに」

娼婦a「こっちとしちゃ覗き見されるほうがずっと迷惑だよ」

姫「…ご主人様は、その、このお店でそういう事は一度も…?」

娼婦a「アハッ、ないよあの根性無し。お金がないお金がないって言うけどさ」

娼婦a「お父様が生きてらした時から、ウチの前通るときは顔真っ赤にしてったもんだよ」

娼婦a「あの時の兄さんったらほんと、今思い出しても面白かったね」

姫「そうなんですか…」

姫「昔のご主人様の事を、沢山ご存知なんですね」

娼婦a「あれ、お姫様の屋敷にいたんだろ?」

娼婦a「だとしたらずっと詳しいと思ってたけどね」

姫「わたくしが15になってからしばらくの、ほんの短い間でしたわ」

姫「お父上様の、称号剥奪の件があってからは音沙汰無く…」

娼婦a「そうかい…」

娼婦a「じゃああれはお姫様の事じゃなかったのかねえ」

姫「あれ?」

娼婦a「ウブだからってからかうとさ、なんだか嬉しそうに言ってたよ」

娼婦a「生涯をかけるに相応しい人は決まっている、ってね」

姫「そ、それってご主人様のお話ですわよね?」

娼婦a「んんー?やっぱり気になっちゃいますかぁー?」

姫「それはっ!お、お仕えしている身ですから…いずれ奥様になられるお方の事なら…」

娼婦a「ふふっ。そんなにあわてなくってもいいのに」

姫「あわててなんかいませんわっ!」

娼婦a「ああごめんごめん。冗談だってば」

娼婦a「ま、そんなんだからね。いままで恋人も作ったこと無かったみたいよ」

姫「…」

娼婦a「ホント、バカなんだから。そういう甲斐性もつけずに何が騎士だい。ねえ?」

姫「そうですわね…」

娼婦a「ふふっ」

娼婦a「さっ、あがろっか。あんまり長く入っちゃっても疲れちゃうしね」

姫「はい…」



従者「ふう…」

娼婦b「お湯加減いかがでしたかぁ?」

従者「最高でしたよ。誰かさんがお風呂の前でうろついていなければ」

娼婦b「だってー、従者様って細くて綺麗なお肌してるんですもの」

従者「くっつかないでください」

従者「やれやれ」

姫「従者様…」

従者「よく考えたら離れでも良かったでしょうに」

従者「人様の迷惑ってのが考えられないんでしょうか騎士様は」

娼婦a「そんなことないよ」

娼婦a「兄さんの身内の人だからね。家族みたいなもんさ」

姫「家族…」

娼婦a「従者さん、お酒は飲めるかい?」

従者「いえ、おかまいなく」

姫「…お客様、どなたなんでしょう」

従者「どうせ昔の仲間集めて賭博でもするんじゃないですか」

従者「女性だったら対したもんなんですけどね」

姫「…」

従者「…それにしても参ったもんです」

従者「足が棒のようですよ。いたた」ポキポキッ

姫「そういえば何の御用事でお使いに?」

従者「んー、橙様あてには手紙を、教会にはお祈りをして来いと」

姫「おいのり?」

従者「ええ。ついでに紫様が来たかどうかも聞いて来いと」

姫「紫様が…教会に?ありえませんわ」

従者「どうもそうみたいですね」

姫「あのお方は権力としての教会にはお仕えしても、信仰を捧げるようなお方ではありませんもの」

従者「そういう話なんですが、どうも訪れていたようなんですよね。少し前」

姫「…わたくしのお母様の事にも関係があることなのかしら」

従者「どうなんでしょうね」

従者「騎士様はそういうトコ何にも教えてくれないので」

姫「…」

娼婦a「…」

娼婦a「そろそろいい時間だし、休んだほうがいいんじゃない?」

娼婦a「明日だって、お仕事があるんだろう?」

姫「そうですわね、もうこんなお時間だったのね」

娼婦a「お姫様はさ、私の部屋で一緒に寝ましょうよ。自慢じゃないけど綺麗にしてあるからさ」

姫「あ…よろしければ、是非」

娼婦b「じゃあ従者様は私と一緒に!」

従者「そういう流れな気がしましたけど、勘弁してくださいって」

娼婦a「あら、いいじゃないかい」

娼婦a「別に困ることなんか、なんにも無いだろ?」

従者「いや、困ることはないって…」

娼婦a「んー?フフッ」

娼婦b「クスクス」

従者「…はぁ。そうですね」

従者「じゃあご一緒させていただきましょうかね」

姫「えっ…?」

娼婦b「わーい!沢山サービスしちゃうからね」

従者「いっておきますがお金をとられるようなことはしませんよ一切」スタスタ

娼婦b「やだあ、いけずー」タタタ

姫「従者様…」

娼婦a「大丈夫よ。あの人、見た所女に興味は無いからさ」

姫「え、そ、それじゃあもしかして」

娼婦a「ウフフ。じゃ、私達の部屋はこっちよ」

姫「…はい」

別に、急がなくて良いんだぜ?
推敲しちゃって構わないんだぜ

というか、長く楽しみたいんだぜ

>>461
なんかスピード良く仕上げながら頭の中で矛盾を避けて前後考えるって練習もしたくて
こうやってる
あと早く完成させたいってのもある
礼は言わないけどマジやる気出たありがとう

ギシッ…

娼婦a「ごめんね、ちょっと狭い?」

姫「そんなことありませんわ」

娼婦a「これはプライベートのベッドだから、安心してね」

姫「き、気になりませんわっ」

娼婦a「ふふ。じゃ、寝ましょう。おやすみなさいお姫様」

姫「…はい。おやすみなさいませ」

フッ

姫(…)

姫(…とっさに名前でお呼びしてしまったけれど、ご主人様はどうしてあんなところで)

姫(あんなに雨に打たれて…)

姫(…)

娼婦a「…寝つけない?お姫様」

姫「えっ、その…少し」

娼婦a「…無理もないよ」

娼婦a(ご両親が、あんなことになってるんだから…)

姫「…」

娼婦a「ちょっといいかい、お姫様」

姫「え?あ…」

ギュウッ…

娼婦a「わたしはね、人の体温ってのが好きですね」

娼婦a「朝までこうさせてもらってもいいかい?」

姫「…」

姫「はい…」

娼婦a「ふふ。ありがと」

姫(あたたかい…いい匂い)

姫(…お母様……)



ザァァァ…

黄「キキッ、ここか」

トントン

女「はい…ああ、いらっしゃいませ黄様」

女「お待ちしておりましたわ」

黄「キヒョーッ!なんと麗しい!」

黄「今日はお招きに預かり光栄でごザル!キーッ!」

女「ずっと以前よりこうしてお会いしとうございました」

女「さっ、中にお入りになって?」

黄「キッ」

バタン

女「あっ!黄様、気が早うございます」

黄「たまらん!もう辛抱たまらんのだ!はやく、はやっ…!」

女「落ち着きになって。夜は長いのですから…」

黄「う、うむっ…んん?」

女「ふふ…どうかなさって?」

黄「い、いや。女殿、どこかで以前お会いしたことはないか?」

女「え?」

黄「何かその顔、見覚えが…」

女「…以前からお慕いしておりますって申し上げましたわ」

女「覚えてらっしゃらないのね。ほらあの時の…」

黄「ん?お…おお!おお!あ、あの時の御仁か!なるほど!」

黄「も、もちろん覚えておるとも!キッ!忘れるわけなど!」

女「そうですとも。いやですわ黄様ったら」

黄「キキキッ!」

女「では奥のお部屋までいらして。わたしは準備をしてからまいりますから」

黄「うむっ!うむっ!承知いたしたキッ!」

パタン

黄「ふんぬっ!ふんぬっ!」カポーンッ カポーンッ

黄「おお、おお、今宵も腰の調子は絶好調じゃキャキャッ」カクカクカク

黄「それにしても遅いのう。何をしておられ…」

黄「ギョッ!?」

仮面「…」

黄「き、貴公は…?いつからそこに?」

仮面「女は来ぬ。貴様に話がある」

黄「話じゃと」

仮面「先代赤騎士夫人殿の死についてだ」

黄「キッ!?」

仮面「何かを知っているな」

仮面「全て話してもらう」スラリ

黄「な、何をいっておるのやら拙者にはさっぱり」

仮面「ならば理解できるよう剣で聞いてくれよう」

黄「キ…キ…」

黄「キキーッ!」カシャーンッ!

仮面「むっ!」

シュルシュルルッ

黄「キイィッ!」

仮面「身軽な男だ。だが絶対に逃がさん」

黄「はぁっはぁっ…なんたることじゃ」

黄「もしかして…きゃつが天使の鞘腕!?なっ、なればすぐに紫どのにっ…!」

ドザァッ

黄「ピギャァッ!」

仮面「ふん。低能な逃げ方まで猿そのものだな」

仮面「言え。赤騎士夫人殿を殺めたのは貴様達だろう」

黄「あ…あ…」

仮面「…」ギラリ

黄「わ、わかりもうした!い、言うでごザル!」

黄「あれは、あれは拙者とだいだ―――」

ドスッ

黄「ひゅっ…?」

仮面「!」

黄「ぐっ、ぐぎゃあああああっ!!」

仮面「くっ!」ヒラリ

ドスドスドスッ!

黄「あぐぎぎが…」

黄「この矢…は…」

黄「……むらさ……ど……」

仮面「…」

仮面「貴様」

紫「ふん。とまった的を射ることほどつまらんものはないな」

紫「狩にもならんわ。つまらん男よ」

仮面(クロークボウガン…)

紫「さて、もう一人のほうは愉しませてくれるのだろうな」

ザッ

ザザザッ

仮面「…」

紫「お目にかかるのは初めてになるか」

紫「世を騒がせている『天使の鞘腕』とやらはお前のことか?」

仮面「…」

紫「ずいぶんと余計な手出しをしてくれたな。おかげで貴族を根絶やしにする計画が」

紫「そうだな…フン、一週間ほど伸びたわ」

仮面「…」

仮面「何故黄を殺した」

紫「あの世で直接聞け」

シュッ!

仮面「くっ!」

紫「フ。踊れ踊れ」

シュッ!プンッ!

仮面「…っ!」

仮面「はぁっ!」

ザッパァーン!


ザアァァァァ…

紫「フン…」

紫従騎士「いかがなされますか」

紫「手ごたえはあった。雨で増した急流だ、生きてはおるまい」

紫「ながらえたとてねずみ一匹何が出来る。捨ておけ」

紫従「はっ」

紫「そこのクズも流しておけ。魚も食わんであろうが」

紫「詩人が見つければ、良い喜劇となろう。フフフ…」

ザアアァァァァァァァァァ…

アァァァ…

トントン

橙「ふごっ…ふごっ…」

ギィィ…

橙「…」

橙「姫…姫君…」

橙「橙が参りましたぞ…姫君」

コツ…コツ…

橙「全てお話しましょうぞ…先代の赤殿の没落が訳…」

ギィ…

橙「その暁には、お、おでのもとへ…ブヒッ、ブヒヒッ…」

橙「姫君、姫君…?」

カタッ

橙「こ、ここか?」

ギィィ…

ザアアァァァァ

橙「ひめぎ…」

カッ!ピッシャーン!

橙「ひぃっ!?」

首吊り死体「…」

橙「なっ、あ、あなたは…『あなた様』はっ!!」

ギィ…ギィ…

橙「ひっ、ひいいっ、な、なぜだ!『あなた様』は…先代赤騎士の…!」

首吊り「…」ギィ…

橙「お、おお…」

橙「おでの意思ではない!む、む、紫殿に頼まれただけなのだ!」

橙「き、黄殿も一緒だった。あ、あやつにも責はある!」

橙「ゆっ、ゆるじでぐでえ!わ、わるぎはっ…!」

カカッ!

橙「ひいいぃぃっ!」

カタン…

橙「!?…ま、まだ誰かいるのかっ!」

橙「ひ、姫君かっ!姫君なのかっ!」

「…ピーピー騒ぐんじゃねえよ。7騎士ともあろうものがよ」

赤「なぁ…橙殿」

ピッシャアアァァァン!!

橙「な、な、貴様は…」

赤「…」ゴロゴロ…

橙「ま、まさかあの手紙は虚偽の物か!全て貴様の!」

橙「なんのつもりだというのだ…こんなことをして!」

赤「…」

赤「あんまりペラペラしゃべらねえほうがいいぜ」

橙「ふごっ?」

赤「天井にはりついてるコウモリによ、首かっきられっからよ」

橙「こ、コウモリ!?」

ヒュウッ…

ズダンッ!

橙「ひぎっ!?」

橙「なっ、藍殿!?」

藍「…いつから気付いていた」

赤「ここは俺の城だ。何処に誰がいるかなんざ知ってて当然だろうが」

赤「じゃねーと覗きもおちおち出来ねえ」

赤「間取り間違えて野郎の着替え見ちまうとか、とても我慢が」

藍「ここに橙殿を誘い込んでどうするつもりだったのだ」

橙「お…おお…」

赤「そうムキになんなよ」

赤「最初からやる気なら、こン中の誰か一人はもう死んでるぜ」

藍「コココ…違いないな」

赤「俺ぁただ話がしたかっただけよ」

藍「話?」

橙「…?…?」

赤「そ」

赤「ナイショのナイショのお話、ってヤツさ」



飯。30分から再開する

従者「雨もすっかりあがりましたね。あんなのが続いたらどうしようかと」

姫「ええ、そうですわね」

従者「ふー。ただいま戻りましたー」ギィ

赤「よーう。二人そろって朝帰りたぁにくいねコンチキショーッ!」キラーン

姫「…」

従者「…もしかしてずっとそのポーズで待ってたんですか」

赤「なわきゃねーだろ。ちゃんと窓から見てタイミングはかったわ」

従者「そうですか」

姫「ただいま戻りました、ご主人様…」

赤「おう」

姫「…」

赤「ふたりとも朝の支度はしなくていい。そのまま出かける準備しろや」

緑「どちらに?」

赤「おやっさんのとこだよ」

従者「青騎士様のところですか?」

赤「そうだ。夕べ緑が足すべらせて川に落ちたらしい」

姫「!」

従者「緑様が…?」

赤「一応見舞いにいってやろうとおもってな。一応」

従者「…はいはい。心配なんですねわかってますよ」

赤「ちげーよ、今なら弱ってるあいつをいたぶるチャンスだろwwwww」

赤「いつも偉そうにしてる分いたぶってやるよwwww」

従者(発想が貧弱…)

赤「てめえ今発想が貧弱とか考えなかったろうな」

従者「滅相も無い」

姫「それで、緑様のお怪我は…」

赤「だからそれを見に行くんだよ」

赤「とっとと用意しろ。今日も仕事は腐るほどあるんだからよ」

…」

赤「っつーわけでおっじゃまっしまーっ!」

青「赤か」

赤「おーほほほほ、こりゃあ相当手ひどい…」

緑「…」

姫「緑様…!」

緑「ひ、姫様…」

姫「大丈夫ですの?こ、こんなに傷を…」

緑「皆かすり傷です。たいした事はありません」

赤「たいしたかすり傷もあったもんだな。この肩のは結構なもんじゃねえか。」

緑「これは…枝が刺さっただけだ」

従者「…」

青「まったく、騎士たるものが足をとられるとは何事だ」

青「たるんでおるぞ、緑」

緑「も、申し訳ございません…」

姫「でもよかった、ご無事で…」

赤「えぇホント。緑さまに万が一のことがありましたら、ワタクシもあとをおって…!」

緑「やめろ気色悪い」

赤「喜んでんじゃねえよ」

緑「喜ぶかっ!」

姫「こんなところにまで傷を…」

姫「…っ!!」

赤「ん?」

緑「姫様…?」

姫「いえ…なんでもありませんわ…」

赤「なんだかしらねえけど野郎の裸そうジロジロ見るもんじゃねえぜ」

赤「てめえもこれみよがしにひけらかしてんじゃねえよ」

緑「好きでやっていることではない!ならば鎧をよこせ!」

青「たわけ!今くらい軽装でおらんか!」

青「どれだけ皆に迷惑がかかっておると思っておる。早く治せ!」

緑「も、申し訳ありません…」

青「ふん。儂は部屋に戻るからな」

ドスドスドス…

赤「…ま、元気そうでなによりなによりだぜ」

赤「せいぜい下の処理に難儀しろやwwwwうちの下僕に手伝わせてやろうかwww」

姫「…っ!!」

緑「赤…貴様というヤツは…!」ゴゴゴゴゴゴゴ…

赤「あ、あっはは!しっつれいしましたーっ!」ピューンッ

緑「く…くそ!」

従者「緑様、だめですよ身体を起こされては」

緑「…あの男が来たせいで回復が倍は遅れたぞ」

従者「なら倍安静にしてればいいんです。御水のみますか」

緑「ああ、済まない」

姫「…」

姫(緑様の胸元…)

姫(傷跡が…無い?)

姫(あの騎士様は他にいらっしゃることに…では一体)

姫(どなたが…)

ドスドスドス…

赤「おやっさん、ちょっとまってくれって」

青「…何用だ、赤よ」

青「一応言っておくが、儂は貴様の放蕩っぷりにはほとほと呆れておるのだぞ」

赤「まあそう硬いこといわんと」

青「お前は柔軟がすぎるのだ」

赤「そ、そんなこたございませんよ。ホレここだってこの通りギンギ」

青「…」チャキッ

赤「ひいいぃ冗談ですよぉ!」

赤「この手紙が届いてたから持ってきただけじゃないですかあ」

青「手紙だと?」カサカサ…

青「…ぬ…」

赤「なんて書いてあるんですか?相手はどんな女性で?」ワクワク

青「貴様はそういう事しか頭にないのか…」

赤「い、いやーだってホラ、おやっさんもまだまだ現役だし」

青「はぁ…」

青「この手紙は何処にあった」

赤「普通に郵便受けですけど」

青「そうか。解った」

青「見舞いを終えたらどうするのだ。貴様も我が団の稽古に付き合うか」

赤「い、いやー無理ですよ。ご存知でしょ、俺ぁ今剣も抜けねえんですって」

青「まったく寸分の隙もないほどに情けないな」

赤「へ、へへへ。すいあせん」

青「まあいい。緑の見舞いご苦労だったな」

青「姫様を労われよ。気丈なお方だが、両親と離されておるのだからな」

赤「わあってますって。そいじゃ、俺はこれで」シュタッ

青「…ふう。相変わらず掴めんやつよ」

ドンッ

赤「おわったっ!」

青「む」

紫「気をつけよ、赤。貴様が平民ならば即刻串刺しだぞ」

赤「あ、へ、へへ。こりゃどーも」

紫「ご機嫌いかが、青殿」

青「何をしに参られた」

紫「つれないですな。お弟子が負傷なされたと聞いて見舞いに参ったというのに」

橙「ふごん」

藍「コケケ…」

青「大きなお世話じゃ。見舞いなどいらぬ」

紫「さようですか。ま、それもまたついでの話」

紫「…昨晩黄が何者かに殺害されましてな」

青「何…?」

紫「青殿は何かご存じないかと、こうして訪ねたのですが」

青「…思い当たる節は、無い」

紫「おー、そうですか。そうでしょうな」

紫「犯人はどうやら例の『天使の鞘腕』なるものですからな」

青「!」

紫「真実が明るみになるも時間の問題でしょうが、青殿も何かご存知なら包み隠さず話されよ」

青「フン。その言葉そっくり返すぞ、紫」

紫「ありがたく頂戴いたしましょう」

紫「世をざわめかせる出来事とは楽しいものですな…」

青「…」

紫「領主代理として、やりがいがある…フ…フ」

紫「クククク…」

紫「ハァーッハッハッハッハ!」

藍「む、紫殿…」

紫「ハァーーーーッハッハッハッハッハ!」

バキィッ!

赤「い、いきなし殴るこたないでしょう紫の旦那~」グスッ

紫「赤…貴様はいつから人の脇腹をくすぐる趣味が出来たのだ…」

赤「いやほら、人間脇をくすぐられると笑うじゃないですか。紫殿も例外なくそうなのかなーっていう実験を…」

青「…」クラッ…

紫「…」スラリ

藍「ま、またれよ紫殿!さわぎをおこしてはまずいのではござらんか!」

橙「そ、そうだとも、ふごんっ!お、おさえるのだ!」

赤「ひ、ひいぃ…」ジョー…

紫「…フン」キン

紫「青殿、貴公も肝に銘じておくことだ」

紫「この国はいまや激流の内にある。逆らうものは皆折られるのだとな」

紫「いくぞ」

藍「青殿、失礼いたす」

橙「ふごんっ、さらばじゃ」

ザッザッザッ

赤「おおお…」ジョジョー

青「…」

青「赤。そのふざけた玩具をはずせ。床を濡らすな」

赤「あ、解りました?」

赤「これ袋にチューブつなげただけなんですけどね。ここおさえるとホレ、ぴゅぴゅーって」

青「赤っ!!」

赤「ひえぇぇっ、こ、こんどこそさぁならあっ!」ピューンッ

青「…」ガクー

青従b「あ、青様…」

青「わ、わしは少し休む…頭痛が、頭痛がひどい…」

青従b「わ、解りました」



『緑様がお怪我を…』

姫「ええ…お命に関わらなかったことが幸いでしたけど」

『良かった…』

姫「…」

姫「メイド、もうそろそろ、ご主人様にお願いしてみますわ」

姫「ここを出していただけるように」

『え?ですが…』

姫「大丈夫ですわ。これでもそれなりにお仕事もこなせるようになりましたし」

姫「今なら堂々とお願いできる気がしますの」

『お、お気持ちは嬉しいのですが』

『どうかご無理はなさらないでください』

姫「ええ、ありがとう。ではもういきますわね」

『はい、お姫様』

カツーン…カツーン… キィ

赤「んお、戻ったか」

姫「ご主人様」

赤「片付け終わったら庭に出ろ。従者も一緒にな」

赤「今日は新しい調教をするからよ。いいな」

姫「…はい」

従者「…といわれて来たんですけど」

従者「何のおつもりですか?愛馬に鞍なんかつけて」

赤「アホかお前は。馬に鞍つけたらやるこた一つだろ」

従者「上にまたがって騎乗位ーとかいう身体を張ったボケですか」

赤「ああーん!も、もっとつきあげてーっ!」ギシギシ

愛馬「ブルヒヒンッ!」ブォンッ

赤「あぎゃあっ!」ドカァッ

従者「精が出ますね」

赤「うまいこといったつもりかてめえは!何やらすんじゃ!」

赤「てめーらに馬に乗れるようになってもらうんだよタコが!」

姫「え…?」

従者「はぁ。なんでもいいんですけど」

従者「今みたく馬に跳ね飛ばされる人が教えられるんですか」

赤「ばっきゃろ。俺ぁ昔騎士の間じゃクリムゾンギャロップと呼ばれて恐れられ」

従者「先に乗りますね。僕まで跳ね飛ばされたらお姫様はやめたほうがよさそうです」

姫「ど、どうかお気をつけて」

赤「…主をおいてけぼりにしてんじゃねえよてめえら」

パカパカパカ…

赤「…」

従者「普通に乗れますね。ゆれも少ないですし良い子ですよ」

姫「従者様、凄いですわ…」

赤「おいてめえ変われ」

従者「はいはい」

赤「他の野郎は乗せるとかどんだけてめえは恩しらずギャー!」ドカァッ

従者「お姫様どうぞ。大丈夫、僕がつかんでますから」

姫「あ、ありがとうございます」

ギュッ

姫「お、思いのほかゆれますわね…」

従者「最初はなれないもんです。乗ってればそのうち体が合わせる様になりますよ」

姫「な、なるほどですわ…きゃっ!」ガクッ

従者「おっとっと。大丈夫ですか」

姫「あ、ありがとうございます。従者様…」

従者「どういたしまして」

赤「…フン」

赤「とにかくだ!二人とも馬に慣れてもらうからよ」

赤「この俺様の下僕共が馬にのれねえなんて恥ずかしい話はねぇからな」

従者「多分今これ読んでる人、皆同じこと考えてますよ」

赤「何の話だよ」

姫「…」

姫「あの、ご主人様」

赤「あぁん?」

姫「もし、わたくしが乗りこなせるようになったら、その時は…」

赤「…あァ。そういうことかよ」ボリボリ

赤「しょうがねえな。解ったよ」

姫「え?」

赤「いい女と並べりゃおったたねえこともねえwwww大人の階段上らせてやんよwwwww」

従者「良かったですね。メイドさん開放していただけるそうですよ」

従者「がんばりましょう。お姫様」

姫「はい、わたくし、精一杯努めますわ!」

赤「まてこら」

赤「さっきからずいぶんと人の事舐めて…」

従者「合図をだすときは手綱だけじゃなく足を閉めて…」

姫「こ、こうですの?」

従者「そうです。あまり強すぎるとびっくりするので…」

赤「…ちっ」

赤「馬乗れるんじゃねえか。従者の野郎。つまらねえホラふきやがって」

赤「おうおうそんなくっついてよ。ガキ共が色気付いてんじゃねえぜ」

赤「はーあ、俺みてえに皆ぶっ飛ばされりゃ面白かったのによ」

赤「おもしろくね。おもしろくね」

赤(もうじき裁判か…)

赤(クックック、間に合えばいいけどなぁ)



リーリー…

赤「…」

姫「ご主人様、ごらんになって!」

姫「か、かろうじて乗れるようになりましたわ!」

赤「おい。いっくら三日でここまでってのも早すぎねえか。クレームくるだろ」

従者「どこからですか。教える人間と教わる人間がよければこんなもんです」

赤「お前はちったぁ謙遜しろ」

従者「いやそれほどでも」

赤「いましてどうするんだよ」

姫「ご主人様。それで、その…」

赤「あーあー。解ってるよ。クソッ」

赤「明確にしたわけじゃねえけど、わーたよ。明日にゃ開放してやるぜ」

姫「ほ、ほんとうですのっ!」

赤「ああ」

姫「ありがとうございます赤騎士様!」

赤「ご主人様だろうが。」

姫「あっ…申し訳ありません。でもわたくし、嬉しくて…!」

姫「従者様も、指導してくださって、感謝の極みですわ!」

従者「はあ。まあ僕も料理の度に台所いくのめんどくさくなってたので」

姫「まあ。従者様ったら」

赤「ピョンピョンはねてねえでとっとと夕飯の支度しろ。何時だと思ってやがる」

姫「はい、すぐにとりかかりますわ!」

タタタ

赤「ケッ…」

従者「現金なものですね。閉じ込められた時の理不尽も忘れて」

赤「こんなことなら裸にして天井から吊るすくらいのことすりゃ良かったぜ」

従者「…」

赤「ん、どうした」

従者「いえ…」

従者「もうすぐ裁判ですね」

赤「ああ、そうだなあ…くぁーっ!」

従者「もし有罪が決まれば、お姫様は…」

赤「…」

赤「くだらねえこと考える前にやることがあるだろうが」

赤「お前もさっさと行け。ノロマが」

従者「…はいはい」



『それは本当ですか、お姫様』

姫「ええ!確かにお約束していただけましたわ」

姫「明日、こちらを出られますわよ」

『そうですか…』

姫「…ごめんなさいねメイド、わたくしのために」

姫「でもこれで、一緒にお料理できますわ」

『…はい…』

姫「…」

姫「わたくし、あのお方の事を…ご主人様の事を誤解していたのかも」

姫「いつも乱暴ですし無理をおっしゃるけど…」

姫「いろいろなお方の話を聞いているうちに、本当のご主人様が見えてきた気がしますの」

『…本当の、赤騎士様…』

姫「そうですわ」

姫「この牢屋の話を踏み倒されれば、全て幻想だと思いましたけど」

姫「それもなくなりましたわ」

『…』

姫「…メイド、どうかお話になって」

姫「あの日は本当に、ご主人様に乱暴な事、されましたの?」

『それは…』

姫「ええ」

『わたしは…わたしはっ…!』

赤「おぉーいおいおい。なーに道草くってんだお姫さんよぉ」

姫「!」

『そのお声は…』

赤「明日になりゃ自由に話せんだろうが。こんなシケたとこで思い出話してんじゃねえよ」

赤「オラ、とっとと戻れや。鍵は俺がしめとくからよ」

姫「わ、解りましたわ」

姫「じゃあ、また明日ね。メイド」

『はい、お姫様…』

タタタ…

『…』

赤「クク。前も言ったけどよ」

赤「ダメだぜ?ルール違反はよ。な?」



姫「ご主人様!」

タタタタ…

バンッ

姫「ご主人様!!」

赤「んっ…あんだようるせーなあ…」

姫「どういうことですの!」

赤「何がだよ」

従者「…どうしたんですか、こんなに朝早く」

姫「メイドがいませんのよ!地下牢にも!屋敷の中にも!」

従者「え?」

赤「…」

姫「開放なさってくださったのですもの、どこかにいるはず…」

赤「…」

姫「も、もしかして買い物を命じたとかですの?それでしたら、納得がいきます!」

赤「…」

姫「なんとかおっしゃって、ご主人様っ!!」

赤「…ッヒフ、ヒッハッハ…」

姫「ご主人様…?」

赤「ハァッハッハッハッハッハァ――ッ!!」

赤「ぶわーかぁ!誰があんな口約束守るかってんだよォ!!」

姫「っ!」

赤「そもそもあんなチチがでけーだけでろくに同僚の監視もできねえクズ、誰が雇っとくっつーんだよ」

姫「どういうことですの…それでしたらメイドは…!」

赤「売ったよ」

姫「!」

赤「元値よりちょーっと高く売れたぜぇ。あのカラダだ、素質はあるからよ」

姫「カラダの素質って…まさか、まさか!」

赤「売春宿にきまってんだろ」

従者「…」

赤「安心しろ。遠い場所だからよ」

赤「顔合わせて気まずくなることもねえwwww俺気配りできるよなーマジwwwww」

姫「だましたのね…わたくしをだましたのですわね!」

赤「だます?アッハ、何言ってんだてめえ」

赤「何度もいってんじゃねえか」

赤「俺ぁてめえのその顔が見たくて買ったんだってよ」

姫「…最低」

姫「あなたは最低ですわ!」

赤「あーいいねえ。こっちゃ最高だよ」

姫「あなたなんか…あなたなんかっ!」

従者「お姫様、おちついてくださいっ」

姫「離して!こんな、こんな男!信じたわたくしが馬鹿でしたわ!」

姫「こんな、こんなっ…!」

従者「そうです。こんな程度の男なんです。殴る価値もありません」

姫「…っ!」

従者「ですから落ち着いて。さあ」

姫「……はぁっ…はぁっ…!」

赤「おーこわ」

従者「…」

赤「ククク、ショーはおしまいかよ」

赤「おき抜けの一発にゃたまんねえ出来だったぜwwwwおいみろよこんなに元気になっちまったwwwww」

従者「…」

姫「…一度は…一度は以前のような」

姫「物静かな優しさを…あなたに感じましたのに」

姫「あれは嘘だったのですわね」

姫「雨に打たれていた時のあの目は、ただの幻想だったのですわね!」

赤「知るかよ。現実ってのはこういうもんなんだよ」

赤「てめーに見る目がなかったんだ。それだけの事じゃねえか」

赤「これにこりたら身勝手な夢を他人に押し付けるんじゃねえぞ」

赤「あ、自分でコスるときはいいぜwwww遠慮なく押し付けなwwww」

姫「くっ…!」

従者「…」

赤「長ーいお遊びだったけどよ、もう今ので満足したぜ」

赤「ちょうどいい区切りだ。裁判当日にてめえら二人ともクビにしてやるよ」

赤「それまではそのムナ糞わりい面みせんじゃねえ。あの娼館に閉じこもって出てくるんじゃねえ」

従者「…」

姫「フーッ…フーッ…」

赤「聞こえなかったのか。二人とも出て行け。今すぐだ」

姫「…っ」

タッ

赤「…」

従者「…」

赤「何ボサっとつったってやがる」

従者「すこし、騎士様のことを買いかぶりすぎていたようです」

赤「そうだな。ざまぁみろ」

従者「失礼します」

バタン

赤「…」

赤「ククク…」



娼婦a「そう…兄さんが」

従者「…」

娼婦a「あなたたちがここに来ることは聞いてるよ。一歩も外に出すなっていわれてるのも確か」

娼婦a「でもそれはてっきり、これから街がさわがしくなるからとばかり」

従者「裁判が近いですからね」

娼婦b「もういろんな色の騎士さんが街うろついてるからね」

娼婦b「どこで何を見られるか解らないもの」

姫「……」

娼婦a「お姫様…」

姫「お姉さまは、おっしゃってくれましたわ…あの人は、あの人は変わってないって」

姫「でしたら、今のあの人は一体何なんですの?どうして、どうしてメイドを…!」

娼婦a「お姫様…」ギュッ

姫「う…ぅ…」

娼婦b「安心して、従者さん。好きなだけいてくれていいから」

従者「ええ…今は行き場所もないですし。本当に助かります」

娼婦a「…」

娼婦a(兄さん、どうしたってのさ。一体何を考えてるってんだい?)



紫「いよいよ明日が裁判の日となったわけだが…」

紫「肝心の黄殺害の首謀者は発見にいたっていない」

青「…」

緑「…」

橙「ふごんっ」

藍「…」

赤「…んー」ホジホジ

紫「例の貴族誘拐の犯人と同じなれば、きゃつが領主救済に動くのは必至」

紫「街の警備を一層強めるとともに、怪しいもの、貴族に由来のあるものは皆拘束する」

紫「異論はないな」

赤「はーいありませェーん」

青「…」

緑「…く…」

紫「ふふ。ならば今日の会議は終了」

紫「おのおの気をつけて帰られよ」

青「…」ガタッ

緑「…」ガタッ

紫「ああ、そうそう。緑殿」

紫「川に足を滑らせたそうだな。クク…決闘は陸で行うものだ。お忘れなく」

緑「…忠告ありがたく頂いておこう」

緑「御免」

赤「あああああ!そうだぁッ!」

青&緑「ぐ…」ガクッ

藍「何事だ赤の。突然そのような」

赤「紫様にぃ、ひとつだけ頼みたいことがあるのぉ」

赤「お聞きどけ願えるかしら」キラキラ

紫「…」

赤「ねぇーん、おねがぁーい」シュルシュル

紫「ええい巻きつくな鬱陶しい!なんだ!」

赤「今月の家計がピンチでよぉ」

赤「酒屋のツケも払えねぇ状況なんでさあ」

緑「は?」

紫「…それで」

赤「ほら例の(バチンッ)功績もあることだし(バチンッ)紫様のお力で、ね?」

赤「ほんの一枚の書状があれば俺ぁ、飢え死にせずに済むんですよぉ」

紫「…フン、何かと思えば…」

紫「今回は特例だ。二度とないと思え」サラサラ

赤「へへ、ありがたき幸せ!」

ポタポタ… トン

紫「これを酒屋にもっていけ」

赤「へへ、紫様の蝋印!ありがてぇ」チュッ

紫「気色の悪いまねをするな。早く出て行け」

赤「へいへいあざーっす!」ピョピョーン

紫「……どういう教育を受けたのだあの男は」

青&緑(悔しいが同意せざるをえん…)

青「うっ!…ではな…」

緑「青様大丈夫ですか」

青「胃が痛むだけだ。心配ない…」

フラフラヨロヨロ

橙「フン。あとは明日を待つだけだな。ふごんっ」

紫「油断をするな。『天使の鞘腕』の一味がおるやもしれん」

紫「青と緑の屋敷を徹底的に見張れ。妙なそぶりがあればすぐにでも知らせろ」

藍「…しかし街の見張りも割いておる中、流石にきゃつらの動きを封じることは」

フゥゥー

藍「ぞっわああぁぁぁぁぁ」

赤「あらぁ、いい反応ね」

橙「あ、赤の!まだおったのかお前は!」

赤「封じる必要もねえだろうよ。どう動くか解ってりゃ、利用すりゃいいだけじゃねえか」

藍「何?」

橙「赤、おぬしにはわかるというのか」

赤「ハッ、当然だろうが」

紫「…」

紫「赤、貴様あの日の言葉に偽りはなかろうな」

赤「あんたまでもうろくしたのかよ紫殿。俺ぁな、領主の一言で人生メッチャクチャになったんだぜ」

赤「邪魔なんだよ。あっち側の肩もつ連中は」

赤「おふくろの直接の死とかンなこたどうでもいいんだよ」

赤「なぁ…橙の」ギラリ

橙「ひっ…」

紫「フ…そうか」

紫「ならば聞いてやろう。話せ」



娼婦b「まあ、本当に料理がお上手なのね、従者様って」

従者「まあ幼い頃にいくらか習いましたので」

娼婦b「素敵。ねぇ、後で私にも教えて?」

従者「はあ。かまいませんよ」

娼婦b「やったあ!」

従者(…)チラッ

姫「…ぅ…」

娼婦a「…」ナデナデ

従者「…」

従者「ちょっと僕でかけてきます」

娼婦b「えっ」

娼婦a「だめよ、絶対に外に出てはいけないって…」

従者「それはお姫様の場合は、でしょう」

従者「僕は貴族になんの縁もありません。ただの従者です」

従者「すぐに戻ります。お姫様のことをお願いします」

娼婦a「…」

娼婦a「解ったよ。気をつけていってきな」

従者「ありがとうございます」

パタン

従者(手がかりがあるとしたら、あの教会…)

従者(まっててくださいね、お姫様)

タタタタ…

――隣村、教会――

マザー「…」

従者「…はぁっ、はぁっ」

マザー「あらまあ、あなたはこの前の…」

従者「はぁっ…ふたたび、おじゃましまっ…」フラッ

マザー「ああ、ちょっと!」ガシッ

マザー「だれか、誰かきておくれ!」



従者「…すいません。ちょっと無理しすぎました」

マザー「本当よ。びっくりしちゃったわ。」

従者「今日きたのは…この前のお話の続きを聞きたくて」

マザー「続き…?」

従者「そうです。今の、赤騎士様とマザー様の、この教会のご関係です」

マザー「…」

マザー「実はね。さっきあの子、ここへ来たのよ」

従者「え…騎士様がですか」

マザー「ええ」

従者「それで何を?」

マザー「司祭様のお話と…あとは…」

従者「お母様の?」

マザー「…」

従者「…無理には聞きませんよ」

従者「騎士様のことですから、どうせまた口止めしてるでしょうし」

マザー「ごめんなさいね、従者さん」

マザー「わたしには、あの子のいう事を聞いてあげるくらいしか、出来ないの」

従者「…僕がお聞きしたいのは一つだけです」

従者「先代の赤騎士様が亡くなってから、この教会に赤騎士団から援助金が入っていたかどうか、です」

マザー「…ええ。あなたの言うとおりよ」

マザー「あの子は同じ金額を、律儀に送ってくれたわ」

従者「…そうですか。解りました」

マザー「あ、もうお帰りになるの?」

従者「はい。皆さんに心配をおかけするので」

マザー「だったら、定期馬車にのっていくといいわ。今からちょうど出るところだから」

従者「へえ。便利ですね。使わせてもらいます」

マザー「ええ…」

マザー「…もしもあの子に会うことがあれば伝えて頂戴」

マザー「いつも皆が、あなたの傍にいる、と」

従者「…解りました」



パカッパカッパカッ

従者「…」

ゴトゴトゴト…



姫「…スゥ…スゥ…」

娼婦a「…」ナデナデ

娼婦b「…姉さん…」

娼婦a「…信じるしかないよ。今までずっとそうだったように」

娼婦b「うん…」

姫「……スゥ…スゥ…」



パチッパチ…

赤「…」

パチ…ボボボボボッ…パキッ…

赤「フン」

赤「金貨100000枚の価値も、火にくべりゃ一瞬だな」

パチッ…

赤「…」スッ…

シュッ!

トンッ

赤「…」

赤「…ど真ん中ですよ」

―――…おお、やったねぇ!赤!

赤「…」

―――…騎士ってのはさ、馬乗って剣ふりまわしゃいいってもんじゃないの

―――…炊事も家事も、遊びもしっかり出来てこそ、一流なんだよ

赤「…」シュッ

トンッ!

―――…お父様は不器用だけど、あんたはわたしの血も立派にうけついでんだから

トンッ!

―――…大丈夫さ、なんでも得意になれるよ。

トンッ!

―――…わたしを信じな、赤

赤「フフ…すっかり」

赤「遊びだけが、得意になっていましましたよ」

トンッ!

赤「――母上」

パチッ…パチッ…




ゴォ―ン…

ゴォ――ン…

――魔女裁判、当日――

休憩…7時再開予定

娼婦a「え、家事のお手伝いかい」

姫「ええ。何かしてないと落ち着きませんわ」

娼婦a「んー、ありがたいけど、お姫様にそんなことしてもらうわけには…ねぇ」

姫「忌々しいですけれど、あの男い言われた何もできない子供だということを返上したいんですの」

姫「どうかお願いいたします」

娼婦a「わわ、わかったよ、頭あげて頂戴」

娼婦a「どうせ今日はお客もこないだろうし、屋内の一斉大掃除といこうかね」

姫「はいですわ!」

従者「…」

従者「あれ、ってことは僕も手伝うんですか」

娼婦b「当たり前でしょ、はいこれ」

従者「うわーい」



娼婦a「へぇ、たいしたもんだねえ」

姫「洗濯は特に気を使いましたの。すっかりなれましたわ」

娼婦a「こりゃあうちの子もしっかり教えなおさないとダメだね」

娼婦b「ギクッ」

姫「わたくしでよろしければ、手取り足取りお教えいたしますわ」

娼婦b「い、いいよわたしは!ほら、干すの専門だし!」

姫「どうか遠慮なさらないで?ね」

娼婦b「そ、その笑顔卑怯だとおもう…」

姫「そうかしら。うふふ」

従者「…」



娼婦a「ほら、どうだい簡単だろう?」

姫「すごいですわ、こんなに簡単にできますのね」

姫「しかも…んっ、美味しい!」チュルッ

娼婦a「こーら。お行儀が悪いわよお姫様」

姫「はっ、も、申し訳ありませんわ。つい料理中のクセが…」

従者「…」

娼婦b「従者様ぁ、わたしのこれ…」ドッチャァァ

従者「うん、とりあえず…パスタの茹で方から覚えましょうか」

姫「うふふ、このレシピは是非メモにして…」

従者「…」

……



――某所――

緑「青様」

青「来たか」

青「つけられておるまいな」

緑「はい…しかし良いのですか。こんなところで悠長に」

緑「私の団ならいつでも号令一つで紫の本部に…!」

青「ヤケをおこすな。まったく早めに呼んで正解だったな」

青「スパイ活動は断念したが、別方面から良い知らせを受け取ったのだ」

緑「良いしらせ?」

青「うむ。ここなら儂とお前しか知らんからな」

青「今日まで保存しておいたのだ」

緑「なるほど」

緑「しかしどういった知らせなのですか?」

青「それがだな、ある手紙の…」

シュッ!

青「!」スラリ

緑「なっ、橙の矢…!」スラリ

橙「ふごん。自己紹介は、必要なさそうだな…」

藍「…」

青「貴様ら、どうして此処が」

緑「尾行はまいたはずだ!」

シュッ!

青「!」スラリ

緑「なっ、橙の矢…!」スラリ

橙「ふごん。自己紹介は、必要なさそうだな…」

藍「…」

青「貴様ら、どうして此処が」

緑「尾行はまいたはずだ!」

「なぁーんてことはねぇ…」

赤「こういうことさ」

青「!」

緑「なっ…赤、お前…」

赤「あんまり昔馴染みってのはよくねーよなあ。共通の隠れ家までよく知ってるんだからよ」

青「緑、お前話したのか」

緑「う…っく…」

緑「赤っ!貴様…どういうつもりだっ!」

橙「ふごっ。ふごん。どういうつもりであろうと関係なかろう」

橙「貴様らはすぐに地獄にゆくのだっ…!?」ドスッ

赤「…」

橙「あ、赤の…?」

緑「…!?」

バシュッ!ザスッ!

橙従騎士a「ぐああっ!」

橙従騎士b「ぎゃああぁっ!」

ドサドサッ

橙「あ、藍の…こ、これはいった…」

藍「…」

赤「…ああ。そうだなあ。地獄しかいけねえよな」

赤「俺のお袋を手にかけやがってよぉぉぉ!!」

橙「ひっ!ち、ちがうっ!あれは紫殿の指示でっ…!」

ズバッ

橙「ひゅっ…」

赤「土くれに戻れや。クソの塊が」

ドザァッ

赤「ったく、おふくろのナイフが汚れちまったぜ」ビュッ

藍「見事でござったぞ、赤の」

赤「そう褒めたって何もでやせんぜ藍の旦那」

青「…」

緑「赤…」

赤「はっは、よーう親友!傷は大丈夫かよ!」バンバン!

緑「いつつ…ああ。これは一体…」

赤「藍殿も憂国の士だったって、単純な話さ」

赤「ひそかに密談をして、この日を待っていたという訳だ」

青「…」

藍「フン、それがしとて紫の横暴は目に余る」

藍「そのほうらと馴れ合うつもりはないがな」

赤「まあそういいなさんなって、仲良くいきましょうや、な?」

緑「赤…」

赤「まあ俺達も早々信じてもらえるとは思わなかったからよ」

赤「こうして橙の野郎をブチのめしながらの参上としたわけよ」

緑「なんでそうならそうと早く私に言わなかったのだ!まったく!」

赤「い、いやだってよ、なんか言いにくかったじゃねえかよ」

赤「お前とつるみながら、別でも密談してましたなんてよ」

青「何?緑、赤と何か共謀しておったのか」

緑「あ、ええ…あまりに街の中の貴族に対する横暴が目についたので」

緑「赤に援護してもらって、私が『天使の鞘腕』として彼らを安全な場所へと」

青「たわけめ、それこそ何故早く言わなかったのだ」

緑「も、もうしわけありません…」

藍「…」

青「まあよい。それならばあの助言の主もわかったわ。手のこんだ真似を」

緑「助言?」

青「皆小屋に入れ」

赤「へーい」

ザッザッ

パカッ

緑「これは…紫殿の蝋印…」

藍「依頼書か何かじゃな」

青「先日届いた手紙にな、件のチューリップは作り物である可能性が高いとあったのだ」

青「造花を専門とする工芸職人で、特に腕のよい物がいる地方の地図と一緒にな」

緑「なんと…造花?」

赤「…」

青「そして締めくくりにはたしかに『天使の鞘腕より』とあった」

青「急ぎ馬を走らせ、ひとつひとつ当たらせたのだ」

緑「いつのまにそんな事を…」

青「この依頼書には設計図から紫のサインまですべて収まっておる」

青「これさえあればどんな言い分もまかり通らん」

緑「よ、良かった…これで領主夫人は魔女の疑いが晴れ…」

『――るには違いないな』

緑「っ!」

ザザザッ!

紫「フフ。奇しくも再び勢ぞろいだな」

紫「何人か欠けてはいるが、な」

緑「む、紫…!」チャキッ

紫「いかな緑殿といえどその傷で、この数相手に。無駄死にでもしたいのか?」

紫「懸命とはいえんなんん?」

緑「くっ…」

赤「はいっと、おやっさんしっつれー」パッ

青「赤っ、貴様…!」

藍「動かないでいただこう。青殿」チャキリ

藍「外からもそれがしの隊が弓で狙っておるぞ」

青「ぐ…」

赤「くっく、ザマァねえな緑。今どんな気持ちだオイ」

緑「ぐ…な、何故だ…」

緑「貴様達、今しがた見せた姿は何だったのだ!」

赤「えーなんだったって言われてもぉーありのままの姿でしたしぃー」

赤「あ、なんなら生まれたままの姿でもいいけど?」

緑「ふざけるなぁっ!」

ズンッ

緑「ぐっ…」

赤「あんま暴れんな。全方位囲まれてんだぜ」

緑「う…ぐ…」ガクッ

青「緑っ!」

赤「紫殿は領主の地位が欲しい」

赤「藍殿はそんな紫殿がだーいっきらいだけど、ある品物と引き換えに協力してる」

赤「んでもって俺様はよ。この国の騎士と貴族共をめちゃくちゃにしてやりてーだけよ」

赤「な?だーれも嘘ついてないでしょ?」

緑「ぐ…」

紫「藍」

藍「うむ」

赤「あっ、ちょっと何してるんです藍殿」

藍「依頼書を渡してもらおう」

赤「あっ、そんなダメっ!いやっ!藍様ったらぁん!」

藍「ええい気味の悪い声を立てるな!」バッ

藍「紫殿の蝋印…こ、これか…ふぅっ…ふぅっ…」

赤「あぁンっ!…もっとぉ…」

藍「まったくこやつは…ええいよるな。貴様の下劣な臭いがうつるわ!」ガシガシ

赤「あふぁー」

紫「フン。ご苦労だったな青殿。これで全ての憂いは消え去ったというわけだ」

青「…赤よ、貴様は自らの意思でそうしておるのか」

赤「アァン…そーよ。だったらどうしたってんだおやっさん」

青「そうか…」

赤「…」

赤「ケッ、張り合いがねえな。もっと突っかかれよ。ったくよ」

紫「長居は無用だ。引き上げるぞ」

藍「こやつらはどうするのだ。始末せんのか」

紫「馬鹿を言え。この二人は指示する者も多い」

紫「私が正式に領主になってからでないと裁けん。それまではここに閉じ込めておけ」

紫「こいつで眠らせて置け。見張りはつけろ」

赤「へへ、りょーかい」

緑「う…うぅ…」

赤「あー。気持ちいいわ。お前が足元にひざまずいてるってのはよ」

緑「復讐なのか…これは」

赤「ターコ。そんなもんはどうでもいいんだよ」

赤「俺は俺が気にいらねえやつをぶっ潰すだけさ。お前みてえによ」

緑「…私の顔を殴って見せろ」

赤「…」

緑「フッ…出来ないか?」

赤「…」シュッ

シュー…

緑「青殿への手紙は私が書いたものではない」

緑「ならば天使の鞘腕を名乗るものはお前だけだ。そうだろう!」

赤「…」シュー…

緑「何故ひめさ…まを…ひ…めさまを…!」

赤「…」ギィィ…

緑「こた…え…ろ……赤あああぁぁぁぁぁぁぁぁっ――!」

――バタン



――紫騎士団本部――

紫「我が騎士団の栄光を願って」

藍「…」

赤「…」グビッグビッ

紫「フン…乾杯すらとれぬか」

藍「コココ。勘違いしないでいただこう紫殿」

藍「それがしとおぬしは、品が手に入ればそれで終いじゃ」

紫「好きにするがいい」

赤「…」トクトク…

紫「赤、まるで気が晴れておらぬな。せっかく仇を取らせてやったというのに」

赤「ケッ。顔こっちむけんじゃねえよ。酒が不味くならあ」

紫「そういうな。貴様はなかなか喰えん男だ」

紫「私に仕えろ。紅の称号をくれてやるぞ」

赤「まっぴらごめんだねぇ親父と同じ称号なんてよ」

紫「この国の選りすぐりの美女を全て妻にさせてやるぞ」

赤「一生ついていきます紫様♪」

赤「あ、あ、グラスが空いてますよ。はい、どーぞ」トクトク

紫「フ…」

藍「…紫殿、そろそろ時間が近いぞ」

紫「うむ。では支度をするとしようか」

紫「魔女裁判もとい、私の領主就任式のな」

赤「キャー!カッコイー!」

藍(この男やはりあの夜に切っておくべきであった…鬱陶しい)プルプル

紫「おのおの正装でくるがいい。式はこの塔の最上階で行う」

赤「はぁーい」

――地下牢――

姫父「…」

姫母「あなた…」

牢番「あーあーやだねぇ。囚人ですら所帯持ちってのによ」

牢番「っていうか何?牢屋まできてイチャつくとかなんなの?馬鹿なの?」

牢番「年齢=彼女いない暦の俺に対するあてつけくわあぁぁっ!」

姫父「…」

姫母「…」

牢番「くっそ気が狂うわ。いっそこんな仕事やめちゃうか」

牢番「ああでも紫様こえーしなぁ…今さら転職なんて…」」

牢番「がっ!?」ドサッ

姫父「む?」

カチャカチャ

カシャーン

姫母「あ、貴方は…?」

仮面「…」シーッ

仮面「…」チョイチョイ

タッ

姫父(つ、ついてこいというのか?)

ザザザ…

姫父「中庭に出たようだ…」

姫母「あ、あなた。あそこ」

仮面「…」

姫父「裏口か…」

ガチャリ…ガコン

仮面「…」ピューッ!

ヌッ

姫父「お、お前は!」

メイド「ご主人様、お待ちしておりました」

メイド「ここからはわたしがご案内いたします。これをお召しになってください」

姫母「修道女のケープ…」

仮面「…」スッ

姫父「な、なんだこれは。紫の蝋印がついているが…」

姫父「もっていけというのか」

仮面「…」コクッ

姫母「お待ちになって。貴方は一体…」

仮面「…」

ザザザッ…

姫母「あ…」

メイド「お、おふたりとも、お急ぎください。すぐにここを離れませんと…」

姫父「うむ。いこう、妻よ」

姫母「ええ…」

ザザ…ザ…



――中央塔――

カツーン カツーン

紫「…」

藍「…」

カツーン カツーン

ガチャッ

紫「…」

パチッ…パチパチッ…

紫「…我々がいっとう最初か」

藍「…」

紫「だが妙だな。司祭は先にきておるはずだが」

『―――司祭様は来ねえよ』

紫「!?」

藍「何奴」スラリ

『殺気立ってんじゃねえよ…』

紫「…貴様…」

仮面「まだ始まったばかりだぜ?」

仮面「野郎まみれのだーれも幸せになれねえパーティはよ」

ゴォ――ン…

ゴォ――ン…

ゴォ――ン…

ゴォ――ン…

仮面「…」

ゴォ――ン…

紫「フ…なるほど」

紫「その仮面、『天使の鞘腕』のものか」

紫「貴様は緑の片割れ…『天使の右腕』だったわけだ」ゴォ――ン…

仮面「…」

仮面「わりぃ」

紫「む?」

仮面「鐘の音でよく聞き取れなかったわwwwwもっかい今のセリフ頼むwww」

紫「…」ピキッ

紫従騎士a「む、紫殿落ち着いてくだされ!」グググ…

紫従騎士b「そうです!こんなネズミ一匹に」ガシイ…

藍(アホか…)

紫「何の真似だ…赤!」

仮面「あらー?今日は赤いくつわないのにバレちゃったー」カタンッ

赤「どうしてかねぇ。勘いいねおたく」

紫「司祭は来ないだと?どういうことだ」

赤「いやー司祭さんに指導したお方と知り合いでねえ」

赤「ちょっと遅れて来てーって頼んじゃったwwwwテヘッwwww」

藍「…」スラリ

カチャカチャカチャチャチャチャッ!

赤「んー。見事な一斉抜刀だことで」

紫「貴様は一体、何が目的なのだ」

赤「何が目的か、なんてのはよ。そのうち解るんじゃね」

赤「そーら、聞こえてきた」カツーンカツーンカツーン…

藍従騎士「も、申し上げます!」ガチャッ

藍「ぬ、なんだどうした」

藍従「領主夫妻が脱獄!どこにも姿が見当たりません!」

藍「何だと!?」

紫「…」

赤「ケタケタ。まあ気付くスピードは及第点なんじゃね?」

赤「俺様の騎士団なら鐘が鳴る前に気付いてるけどよ」

藍「貴様ぁ…!」

紫「フン、うろたえるな。魔女のチューリップに関する資料はこちらにある」

紫「何の問題もないことだ。明日街中を捜せば良い」

赤「ところがどっこい依頼書も一緒に脱獄しちゃってたりして~」

紫「…なんだと?」

藍「フ、何を言っておる。依頼書ならこれこの通りここに…」カサカサ


   赤騎士

   上の者にかかる酒類の支払い、

   税、及び運搬料金を全て免除するものとする

                            紫騎士   』

藍「…」

紫「…」

赤「あれあれ、ごめんごめーん。さっき間違えて渡しちゃってたわ」

紫「やってくれたな…赤」グシャッ

赤「やっちゃいました俺」

紫「生きて此処より出られると思うなよ?」

ザザッ

>>633 明らかに不自然だから以下に修正

藍「ぬ…なるほど。それもそうでござった」

赤「ところがどっこい依頼書も一緒に脱獄しちゃってたりして~」

紫「…なんだと?」

藍「フ、何を言っておる。依頼書ならこれこの通りここに…」カサカサ

ビュウウゥゥ…

赤「――フン、生きて…か」

赤「お前ら目ついてんのかよあぁ?」

赤「俺様の足元にある樽が見えねえのかっつってんだよ!」ガンッ

サラサラッ

紫「何っ」

藍「そ、それはまさか」

赤「まさかもまさか、樽一杯つまった火薬さ。じーさん特性だからよく爆ぜるぜ」

赤「こいつでハデにお祝いしようや。領主様無罪確定のよ…へへ」

藍「ぐ…」ジリ…

紫「…」

紫「理解できんな」

赤「ん?」

紫「思い出せ、貴様の父君の不幸を」

紫「最高の騎士として称えられた、先代赤騎士殿の事を」

紫「領主に紅の称号を与えられながらも」

紫「…『奥方が元盗賊』だという下らぬ理由でそれを取り消され」

紫「衰退の一途をたどった貴様の」

赤「――お前なんだろ」

赤「俺のおふくろの身元を、町に広めたのは」

紫「…」

赤「たいして信心もねえてめえが教会にあしげく通って」

赤「律儀なお袋のことだ、どこかに名前ものこしちまっただろうよ」

赤「てめえの従騎士共が娼館で自慢げにいってたらしいぜ?」

赤「いかな紅殿の足も、我等にかかれば簡単にすくえる、とな」

紫「…」

赤「だがもうよ、そんなこたどうでもいいんだよ」

赤「今の俺には忠誠を誓う相手も、信念も何もねえ」

赤「血が汚れたんなら、絶つまでだ」

赤「一緒に逝って貰うぜ。クソ共」

ボォッ…

藍「う…ぬ…」

紫「…この塔に」

紫「姫君がおられるといっても、か?」

赤「…!」

紫「フフ、どうした」

赤「…」

赤「つまんねえハッタリかましてんじゃねえよ」

赤「あのクソガキは安全な場所にいるはずだ」

紫「なら遠慮なくやるがいい」

赤「…」

紫「フン、やはり貴様は『盗賊騎士』だな」

赤「…その名で呼ぶんじゃねえ…」

紫「どちらの血も半端にうけついで」

赤「…やめろ…」

紫「その中央をブラブラと揺らぐのみだ」

赤「やめろっつってんだよこのクソ野郎がぁああぁっ!!」シュンッ

キイィン

赤「っ!」

藍「…」

紫「フンッ」カチャン

赤「がっ!」ドッ

紫「抑えよ」

赤「ぐっ…クソッタレ…」ガッ

紫「フン、やはりまだまだヒヨっこだな」

紫「あのような矮小な存在に私が目を向けると思うか?」

紫「狙うならとうに命をとっておるわ」

藍「…」

赤「…くっ…」

紫「もっとも貴様にとっては、その矮小な存在が命取りとなったがな」

紫「ん?命拾いとなったのか。クック…」

藍「…その変にいたされよ、紫殿」

紫「おーぅ。そうだったな。貴公もまたあの『品物』を欲しておったのだったな」

藍「…」

グイッ

赤「ぐっ…」

紫「死地を求めるのならば憂いを先に絶っておくべきだったな」

紫「そんなんだから、半端物なのだ貴様は」

紫「…『盗賊騎士』よ」

赤「……」

藍「紫殿、領主夫妻はどうする」

紫「捨て置け。どのみちもはや貴族の連中に返り咲く道はない」

紫「この騒ぎの主犯の首が一つ落ちるだけだ」

紫「『天使の右腕』の、な」

紫「それで全ては片がつき、私は領主の座に着く」

紫「藍、長らくご苦労だったな。あとは好きにするがいい」

藍「あい解った」

紫「フフ。良い星空だ。そう思わんか?赤よ」

赤「……」

燃え尽きた休憩

まだかいな

>>649~653
すまん昨日は力尽きた 支援ありがとう



姫「絹はこうしてぬるま湯で優しく洗うんですのよ」

娼婦b「こ、こう?」コシコシ

姫「そう、お上手ですわ」

娼婦b「へへ、ありがと!」コシコシ

娼婦b「お姫様って本当にお嬢様?凄い詳しいんだね」

姫「…これはすべて…」

ゴォ――ン…

ゴォ――ン…

姫「!」

娼婦a「これは…」

従者(…裁判開始の鐘)

娼婦b「お姫様?」

姫「…いえ、なんでもありませんわ」ニコッ

姫「わたくしお部屋の整頓をさせていただきますわね」

娼婦b「うん」

タッ

娼婦a「…」スッ

娼婦a「ん?」

従者「…僕が行きます」

娼婦a「そうかい…」

タタ…

ガチャ

従者「…」

従者「…お姫様」

姫「…」

従者「無理なさらないでください」

従者「無理に…笑わなくてもいいんです」

姫「…わたくし、もう…」

姫「お母様に疑いがかけられた事と…赤騎士様のことで」

姫「なにもかも、解らなく…」

従者「…」

姫「これは全て悪夢だって…言い聞かせないと…」

姫「もう、潰れてしまいそうで…」

従者「…」

姫「従者様が言ったように、わたくしは子供なのですわね」

姫「幻想に取り付かれた、少女にすぎなかったのですわ…」

従者「…」

従者「今のこの国をみると、たしかにそうなのかもしれません」

従者「この悪夢みたいな状況が、現実なんですから」

姫「…」

従者「でも全てを諦める必要もありません」

姫「…?」

従者「騎士様の事です」

従者「さんざんお姫様に酷い言葉を浴びせましたけど、そもそも苦痛を与える相手に」

従者「わざわざ家事の事なんか教えるわけもない」

従者「お姫様もそれを解っていたから、あんなにお怒りに…違いますか」

姫「…」

従者「裁判には全ての騎士が立ち会うはず」

従者「そして結果は明日の朝出ます」

従者「その中で、あの赤騎士様がぼーっと突っ立ってるだけとは思えません」

従者「そうでしょう?」

姫「…」

従者「今はこらえて、悪夢が覚めるのを信じましょう」

従者「結論はそれから出しても、遅くありませんから」

姫「…そう…ですわね」

姫「…それがわたくしに出来る、ただ一つの事ですわ…」

姫「ありがとうございます…従者様」

従者「いえ」

従者「では僕は戻ります。失礼しました」

姫「あ、わたくしも…皆様にお願いしたいことがありますわ」

従者「え?」



従者「えええ?」

従者「お、お姫様今なんて…」

姫「その、従者様も含めて、皆様で一緒に寝たいと…」

従者「いやあの、それはえっと…」

娼婦a「あはは。いいんじゃない。せっかくにぎやかなんだし。ねぇb」

娼婦b「うん、私は大歓迎だよ!」

従者「あなたたちまで何を」

娼婦a「おやおや、元気づけてあげておいて。心細いと寄りかかるお姫様をはねのけるのかい?」

娼婦a「それじゃあアンタ、男だなんて言えないねえ。ん?」

従者「あ、ははは…」

姫「…」

従者「ふぅ…解りました」

従者「ご一緒させていただきますよ」

姫「ありがとうございます」

従者「はは…どういたしまして」

ギシッ…

娼婦b「きゃはっ、せまーい」

娼婦a「ほらほら暴れるんじゃないよ、b」

娼婦a「お姫様、大丈夫かい」

姫「ええ…すごく、落ち着きますわ」

娼婦a「そうかい。良かった」

娼婦a「ほらほら、従者サンももっとこっちおいでよ」

従者「…はーい」

姫「…おやすみなさい、従者様」

従者「はい。おやすみなさいませ、お姫様」

娼婦a「じゃ、明かりけすよ。おやすみ」

フッ

従者(…)

従者(お願いしますよ。青様、緑様…赤騎士様)

姫(…)

姫(…わたくし、信じますわ)

姫(明日、全てのお方に真実が語られることを…)



ゴォ――ン…

……



――翌日、早朝――

チチチ…

従者「ん…」

従者「朝、か…」

娼婦a「すー…」

娼婦b「スピピー」

従者(朝に弱いんですね。この人たち)

従者(お姫様はもう起きてるのかな)

カチャ…

従者「お姫様」

姫「従者様…」

従者「…」

従者「もう外に出ても大丈夫でしょう。僕も一緒に見にいきますよ」

姫「…」

従者「万が一の時は、僕がお守りしますから」

姫「ありがとうございます…でも、大丈夫ですわ」

姫「わたくしはお父様とお母様の娘ですもの、堂々と立ち回ってお見せします」

従者「…」

従者「解りました。行きましょう」



ガヤガヤ

従者「お姫様はここでお待ちに…」

姫「いえ、自分の目で確かめますわ」

従者「解りました…しかし」

従者「さすがにすごい人ですね…んー」ギュー

姫「う…んっ…」グイー

村人a「おい、こりゃとんでもないことになったなぁ…」

村人b「ああ、まったくだぜ。あの赤騎士様が…」

村人b「紫様の名を語って、領主夫妻を陥れた主犯だったなんてよ」

姫&従者「!?」

姫「お、おどきになって!」グイッ!

従者「すいません、通ります!」ズズイッ!

村人c「おまけに貴族連続誘拐の犯人『天使の鞘腕』も、赤騎士様だったのか」

村人c「反乱、偽証罪、騒動罪、橙様と黄様殺害…」

姫「はぁっ…はぁっ…」

従者「や、やっと…」

姫「…!」

村人c「こんだけありゃあしょうがねえなぁ」

村人c「縛り首になるのも、よ」

従者「縛り首…」

姫「う、嘘…」

姫「嘘ですわっ!」ダッ

従者「あっ…」

村人a「ん、おい今の領主様の…」

村人b「ああ、そいやそうだったな」

タタタ…

姫「嘘ですわ…嘘に決まってますわ…」

姫「あのお方の事ですもの。またわたくしを虐めるために、何食わぬ顔で屋敷に…」

バンッ!

姫「…ご主人様!ご主人様!」

従者「はぁっ…はぁっ…」

ガチャ…

タタタ…

姫「いらっしゃるんでしょう?返事なさって!」

従者「…」

キィ…

従者(ダーツが…)

従者(全部、的の中央に…)

従者「…」

タタ…

従者「姫様、どちらに…」

従者「姫様…?」

姫「あ…ぁ…」

従者(騎士様の、剣とひづめ…)

従者(そして…これは)

姫(どうして…なぜ、こ、こんな…)

姫「こんな…!」



   どうかお健やかに、姫様

                 赤騎士   』

姫「何故、こんな…?」

姫「これは…このお言葉は…」

従者「…」

姫「わたくしが憎いと言ったり、物事をお教えしてくださったり…」

姫「先日もわたくしを嘲るように笑ったと思えば、今度はこんな…」

姫「わたくし、あのお方の事が、何も解りませんわ…」

姫「お父上様に起きた事でさえ…」

従者「…」

姫「誰か、教えて…誰か…」

従者「…」

従者「先代の赤騎士様の奥様は、盗賊だったのです」

姫「…え…?」

従者「正確には、教会のシスターだったのですが…」

従者「急増する孤児を養えず、貴族や騎士といった上流階級から金品を盗み」

従者「それで生計を立てていたそうです」

姫「…」

従者「それが先代の赤騎士様に知れることとなり」

従者「赤騎士様は教会に多額の寄付を贈り始めたそうです」

従者「そしてお二人は、結ばれました」

姫「…」

従者「そして紅の称号を与えられてすぐに、その事が街の噂となり」

従者「称号は剥奪、騎士様の家は没落したのです」

姫「嘘…」

姫「じゃあ、お父様は…ただそれだけの理由で…!」

姫父「そうだ…」

姫「!?」

従者「な、領主様…?」

姫「お、お父様、お母様!それに…メイドまで」

姫母「姫…」

メイド「お、お姫様…ただいま戻りました」

姫「…っ!」タタッ

ギュッ

姫母「…姫…」

姫「……」

姫「…っく!」バッ

姫「ど、どうしてですの。何故お父様はそんな…」

姫父「…紅の称号は、由緒正しい、騎士として最高峰の功績をもつものに与えられてきた」

姫父「その称号を持つものの伴侶が元盗賊だという噂に、私は危機感を禁じえなかったのだ」

姫父「不満はやがて街に、騎士達に伝わっていった」

姫父「このままでは全体が崩れると…だから私は…」

姫「そんな…」

姫「騎士としての素行も、功績も、先代の赤騎士様は幼いわたくしから見ても立派でしたわ」

姫「それを、皆ただ奥様の身分だけで…」

姫父「…」

姫「どうしてわたくしに教えてくださらなかったの?」

姫父「どうしても、言えなかった…お前をあれほど可愛がってくれた先の赤殿を」

姫父「私が、追い詰めたなどと」

姫母「許して…姫…」

姫「……」

姫「従者様は、どこでこのことを?」

従者「教会のマザーが教えてくれました。かつてシスターを師事していたそうです」

姫「…メイドも、ご存知だったの?」

メイド「はい…」

メイド「ですが…あのお方は、現赤騎士様は領主様をお恨みになっておりません」

メイド「紫様の塔よりお二人をお救いしたのですから」

姫「え…?」

姫母「それじゃあ、あの仮面をつけたお方は…まさか」

メイド「か、かたく口止めをされていましたが…それだけはどうか…」

姫父「なんということだ…」

姫「…」

タッ

愛馬「ブルルッ」

姫「従者様。ご主人様の馬、お借りします」

従者「お姫様、何を!?」

姫「お父様とお母様の事、お願いいたしますわ!」

愛馬「ヒヒィーン!」

パカラッ パカラッ!

姫父「な…姫、いつのまに馬に乗れるように…」

従者「…騎士様がお教えになったのです」

従者「乗馬だけではありません。炊事や洗濯、さまざまな事を」

姫父「…」

姫母「ああ…」ペタリ

従者「お二人はお屋敷に隠れていてください。紫様の従騎士が探しているかもしれません」

姫父「しかし…」

従者「騎士様の意思を無駄になさらないでください」

従者「僕はちょっと訪ねるところがあるので、失礼します」

姫父「…解った」

タタタ…

メイド「ご主人様、中に参りましょう」

姫父「…うむ」

ガサガサ…

メイド「え?」

姫父「むっ、まさか…追っ手!?」

ガサッ!

司祭「ふー、こんなあばら屋が本当に赤騎士殿のお屋敷なのか」

姫父「し、司祭様…?」

司祭「おお、確かにおられたわ。あいすみませぬ、遅れてしまって」

司祭「それで、例の証拠というのはどちらに?」



ザワザワ…

親父「…なんてこった。これはさすがに…」

娼婦a「ウソだろ、兄さん…」

パカッ パカッ

愛馬「ヒヒヒヒーン!!」

姫「皆様っ、お聞きになって!」

村人a「な、なんだぁっ」

娼婦a「お、お姫様…」

姫「この罪状は、全て虚偽のものですわ!どうかだまされないで!」

親父「…」

村人b「つってもなあ、なあ?」

村人c「ああ。お姫様はご存知ないかもしれねえけど、赤騎士様はいろいろ問題が…」

姫「赤騎士様のお母上様が盗賊だから、何だと言うんですの!!」

親父「!」

馬商人(知ったのですね…お姫様)

姫「お父上様があんなことになられて、それでも赤騎士様が皆様に乱暴になさったことがあって!?」

姫「確かに身だしなみや口調は、わたくしも口を挟みましたけれど…」

姫「そんなことは、ささいな事ですわ!」

村人a「しかしですな、領主様に恨みを持ってるのは確かなんですぜ」

村人b「だいたいお姫様だって、赤騎士様に買われて…」

姫「ついこの前、わたくしがこうして馬に乗れるようになったのは…」

姫「赤騎士様の配慮です」

村人c「何だって…?」

姫「お父様に恨みを持つお方が、こんなことしてくださって?」

姫「先代の赤騎士様は間違いなく立派な騎士様でしたわ」

姫「そして現赤騎士様もまた、まがいものではない、真の騎士様ですわ!」

姫「それをただ、血筋だけで語るなんて…あ、あんまりです!」

姫「どうか、目をお覚ましになって!」

村人b「う…」

村人c「…ぬぬ…」

親父「…」

姫「お聞きしたいことがあります」

姫「赤騎士様の故郷は、どちらの方角ですの?」

親父「だ、旦那の故郷はここから西にいったところでさ」

親父「だが道が入り組んでて、詳しくは…」

姫「ありがとうございます。それだけ解れば十分ですわ」

姫「どうか今一度、よくお考えになって!」

愛馬「ブルヒヒヒーン!」

パカラッ…パカッ…

村人b「あの赤騎士様が?信じられん…」

村人c「ああ。すっかり荒んでると思っていたが…」

親父「いいや、間違っちゃいねえ…間違っちゃいねえよ!」

親父「旦那はよ、変わってねえ。」

親父「一人で酒を飲むのが好きなとこも、お父上様と同じでそっくりそのままさ」

のんだくれa「ああ、そういやあそうだったなァ」

親父「今さらだがよ、こんなの突然だされても納得もいかねえ!」

親父「俺ぁ抗議するぜ、一人でもな!」

馬商人「わたしも参りましょう」

馬商人「おぼっちゃんと先代様には、ご恩がございますしね」

のんだくれb「おいおい俺も行くぜ!」

村人a「お、俺も…何が正しいか、知りてえ!」

ワーワー

娼婦a「…あんたたち…」

ガラガラ…

娼婦a「あら…」

鍛冶屋「フン、どうやら骨折り損にはならんようじゃの」

親父「じ、じいさん?」

馬商人「ほう、これは」



緑「う…つ…」

青「目が覚めたか、緑よ」

緑「青様…く、くそっ、そうか…私達はここで…」

緑「ぐぅっ!」ダンッ!

青「傷が開くぞ、よせ!」

緑「そうは参りません…赤が、赤が…!」

青「赤か…」

青「あやつも…無念であったろうた」

青「騎士の道だけは忘れまいと…」

緑「違う!」

青「!」

緑「違うのです、青様…」ズリズリ…

緑「あの男は、道を外してなどいません……」

青「どういうことだ?」

緑「も、もっと早く気付くべきだった」

緑「騎士団を全員解雇したことも、屋敷も金品も全て売り払ったことも…」ズッ…

緑「それで姫を橙の手から守り、無礼と解りながら姫にした事全て…」ザリザリ…

緑「あの男は…あの男はっ!」ザリ…ブチッ

パララッ



>>704修正

青「あやつも…無念であったろうが」

青「騎士の道だけは忘れまいと…」

緑「違う!」

青「!」

緑「違うのです、青様…」ズリズリ…

緑「あの男は、道を外してなどいません……」

青「どういうことだ?」

緑「も、もっと早く気付くべきだった」

タッタッタ…

従者(最初から死ぬ気だったのですね。騎士様)

従者(ご両親の誇りを守るために)

従者(そしてあなた様の代で、悲劇を終わらせるために)

従者(そしてお姫様に…自ら真実をお伝えすることなく)

従者(…)

従者(騎士様は本当に、大馬鹿者ですね)

従者(ロリコンでヘタレで負け犬のくせに、格好をつけすぎです)

従者(はぁ…はぁ…ついた…)ポチ

ピンポーン♪

従者(…こういうときくらいシリアスにいきたいんですけど)

従者(かってに呼び鈴を改造して…騎士様の仕業ですねこれも)

従者「ごめんください」ドンドン

ガチャッ

緑従騎士a「む、緑様ではないのか…」

緑従騎士b「貴公は、赤様の…」

従者「緑様はおられますか?」

緑従a「団長は青様と密談をしておられる。戻られるまでここで待機せよとのおおせだ」

従者「…それはいつからのお話です」

緑従b「昨日の夕方だ」

従者「それからずっと待機してたんですか」

緑従a「ああ。臨戦態勢でな。いつでも紫のところへいける」

従者(命令に忠実すぎるあたり…緑様の騎士団ですね)

従者「二人がどこにいるか教えていただけますか?」

緑従a「それは出来ん。部外者には何人たりとも教えられん」

従者「なるほど部外者ですか」

従者「…これを見てもですか?」



青(見張りは6名か…)

青(ここは儂にまかせ、お前は騎士団に戻れ)

緑(何をいわれます!わたしも戦えます)

緑(この数を相手に一人は無謀です!)

青(たわけ。お前の言う事が真実であったとして)

青(それこそ赤を死なせては、友に合わせる顔がないわ!)

シュッ!

紫従騎士g「ぐあっ!」

青(…ぬ?)

紫従騎士j「き、貴様等…ぎゃっ!」

バタンッ!

緑「お、お前たち…」

緑従a「駆けつけるのが遅くなりました、団長」

緑「何故だ。待機を申し付けたはず…」

従者「いくら騎士様だからって…」

従者「かたすぎるのも問題だと思います」

緑「お前は…」

青「うぬ…赤のところの」

緑「赤…そうだ、赤はどうしている!」

従者「それで、大変な事になってるんです。急いで街に」

従者「話は行きながらお伝えします」

緑「解った」

緑「各待機所の全騎士に伝えよ。集結せよと」

青「緑よ、儂のところにも使いをやってくれ」

緑「はっ」



パカラッ パカラッ

姫(あれだけ好き放題なさって…)

姫(わたくしに黙ったまま逝ってしまわれるなんて、許しませんわ!)

姫(絶対に!)

姫(愛馬さん…わたくしを)

姫(あなたのご主人様の故郷に、お導きになって!)

愛馬「ブルヒヒヒーン!」


パカラッパカラッパカラッ…

パカッ…パカッ…

…カッ…

ゴォ――――ンンン

ゴォ――ン!

ザワザワ…

ゴォ――ン!

赤「…」

赤騎士様が領主様を…天使の鞘腕…荒んで…先代の恨み…

盗賊の母…盗賊の息子…盗賊の…

赤「…」

紫「…フ。聞こえるか赤騎士よ」

紫「先代の赤には感謝せんとな。誰も疑いを持たんわ」

赤「…」

紫「人というものは世間を見るに際し皆盲目よ」

紫「集団の作り上げた色眼鏡を通すことでしか、ロクな判断、主張も出来ん」

紫「悲しい生き物だ。だからこそ、治めるに易い…フフ、フ」

赤「…」

紫「貴様もそう思うだろう?嬉しく思え」

紫「最大の理解者に葬られることをな…はじめよ」

処刑人「…」ガシッ

赤「…」シュルシュル ギュッ

ザワザワ…

赤(…ざまぁねぇな…へへ…)

赤(……まぁ)

姫『――赤騎士様っ!!』

赤(…アレ聞けただけでも、よしとすっか…)

紫「…フン」

紫「覚悟は良いな」

赤(…あばよ。お姫さんよ……)

紫「…」スッ

姫父「その処刑、待て!」

赤「…?」

紫「ぬ!」

ドヨッ…

姫父「その男に突きつけられた罪状はすべてでたらめだ!」

姫父「謀反を企んだのは紫、貴様ではないか!」

紫「…」

紫「これはこれは領主様。ずいぶんとみすぼらしいご格好ですな」

紫「魔女の奥様はお元気ですかな?」

姫父「我が妻は魔女ではない!」

司祭「その通りですぞ」

紫「ぬ…」

司祭「さきほどこの書状を確かに受け取った。あのチューリップが造花であるという証拠じゃ」

司祭「領主夫人は魔女などではない。濡れ衣じゃ」

姫父「この依頼書にあるのはそのほうの蝋印。貴様こそが事の首謀者だ!」

ザワザワ…

紫「おやおや、領主殿はあの触書をみておらぬのですか」

紫「私の名を騙った、とあったはず。私の蝋印は少し前盗まれていたのです」

姫父「何だと!?」

紫「自慢ではありませんが堅牢な我が屋敷に忍び込めるようなものは一人しかおりません」

紫「先代の赤と共に盗賊の血を受け継いだ、この男です」

姫父「しかし貴様はあの日…!」

紫「屋敷も何もかも燃えてしまいましたからな。何の証拠もございませんな」

紫「そもそも赤の凶行に走るに至った原因は領主殿、貴方にあるのです」

紫「そのご本人がそんな事言われても、まるでまるで」

姫父「う…ぐ…」

親父「じゃあご本人じゃなきゃいいってこったな!!」

紫「…ん?」

親父「紫の旦那、いっくら領主代理だからってこりゃちとやりすぎじゃねえかい」

馬商人「昨日の今日では気も早い、もういちど取調べを行うべきかと」

のんだくれa「だいたいいつも緑様に殴られちゃ泣いてる腰抜け赤騎士様によ!

のんだくれb「そんなことが出来るけぇ、なぁみんな!」

村人a「そうだそうだ!」

赤「…な…あいつら…」

紫「…」

娼婦a「兄さんにそんだけ出来る甲斐性あったら良いんだけどね」

鍛冶屋「この一大事に花火などあげようとする男だぞ。考えられんわ」

紫「…貴様達、その手に持っているものは」

親父「どうせ口でいっても解ってもらえねえだろうからよ」

親父「そんときゃじいさんの商売道具が、だまっちゃいねえってこった!」

ザワザワ…

親父「お前らもいつまでも上の言う事黙って聞いてんじゃねえ!」

親父「何かおかしいって気付いてんだろうが!目覚ましやがれ!」

紫「フン…」

赤「バカ…が…はやく逃げ……」

紫「平民ごときが武装して騎士に逆らうとはな」

紫「全員斬り捨てよ」

赤「…!」

紫従騎士k「…」スラリ

紫従騎士d「…」チャキリ

馬商人「むっ…」

親父「ひるむんじゃねえ。皆でかかりゃあ…!」

ヒュオンッ

紫従k「!?」ガキンッ

緑「お前達は下がっていろ!」

親父「へ?」

緑「はぁぁぁぁ!」ズシャッ

紫従k「ぐぬぁっ!」

紫従d「くっ…うぉっ!?」ドカッ

青「…儂はまだもうろくなどしておらぬぞ、紫」

娼婦a「緑様、青様!」

緑「紫!たとえ間の抜けきった救いようのない馬鹿であろうと」

緑「彼らに武器を握らせた赤の生き様こそが真実だ!」

緑「今ここでそれを証明してくれる!」

緑従騎士団「おお!」カチャカチャカチャッ

青「貴様に葬られた数々の魂の無念、今こそ晴らそう」

青従騎士団「おお!」カチャチャチャッ

従者「助けに来てもらってるかと思えば…」

従者「こんなときまで馬鹿にしてもらえて、幸せ者ですね騎士様」

赤「…従者…テメェ…」

紫「…」

紫「ククク…」

紫「ハァーッハッハッハ!」

紫「これは傑作だ!なんともなんとも!」

緑「…」

紫「今となっては緑と青、お前達をどう処分しようかが悩みの種だったが…」

紫「わざわざそちらから出向いてきてくれるとはな」

緑「口の減らぬ男だ…」

紫「愚か者め」パチン

ザザザザッ!

青「ぬっ」

緑「何っ!」

橙従騎士団「…」

黄従騎士団「…」

姫父「こ、これは…」

紫「きゃつらの団長は赤に殺害されておるからな」

紫「その無念をこそ晴らさんと、傘下にいれたわけよ」

緑「な、あれも貴様の仕業ではないか!」

紫「おやおや。貴公はお二人の死に際をご存知なので?」

緑「ぐっ…それは…」

紫「フフフ」

ジリ…ジリ…

旦那「なろぉ…」

緑「く、青様…」

青「ぬかったわ…きゃつらの残党に気を配るべきじゃった」

紫「いかな貴様等の騎士団が精鋭といえどこの兵差」

紫「いたぶり殺すのもいいが、まずはメインイベントといこう」

紫「やれ」

従者「!」

処刑人「ふんっ」ドカッ

赤「あっぐ…!」ギシイイッ

ギリリ…ギリ…

紫「ククク…」

緑「赤ァっ!」

従者「赤騎士様っ!!」

シュッ ブツッ!

赤「…がっ!」ドッザァ

紫「何っ!」

ビィィ…ン…

紫「こ、これは…」

紫「赤い矢…まさか!」

ドドド…

橙従騎士「ぐあっ!」ドカアッ!

黄従騎士「えぐっ!」ズンッ!

青「おぉ…」

鍛冶屋「な、なんと」

紫「ぬぐぐ……!」

赤従騎士a「三方に散会、緑殿と青殿を援護しつつ敵を殲滅せよ」

赤騎士団「おぉぉっ!!」

赤従a「団長。命令に背いての帰参、どうかお許しください」

赤「…ぐっ…アホ共がっ…!」

青「これこそ勝機。皆ついてまいれ!」

緑「皆青様に遅れをとるな、行くぞ!」

親父「おらぁっ!俺達も旦那んとこいくぞ!」

オーオー キィンッ ガキンザスッ

紫「馬鹿な…馬鹿なぁっ!」

赤「…まったく…だぜ……」

赤「こんな…ばかげ…て……」

オー…キィン…カァン…

ドドド…

……



寝る明日こそ…

従者「騎士様、騎士様」

赤「…う…ぐ」

親父「おお、気が付いたかよ、旦那」

娼婦a「ほんとに、心配かけすぎだよお」

赤「……」

緑「青様。紫は本部にも見当たらないそうです」

青「取り逃がしたか…ぬ、目覚めたな、赤」

赤「……」

赤「…何で助けた」

緑「…」

赤「一発腹に入れたろが、緑。あんだけコケにしたじゃねえか、おやっさん」

ダダダ…

赤従a「…団長!」

ザザザ…

ザウッ!

赤騎士団「…」

赤「…立て。俺に平伏するな」

赤「くにに引っ込んでろっていっただろうが。なんで戻ってきやがった」

赤従a「…」

親父「…お姫様がよ、呼びに言ったのよ」

赤「…は…?」

親父「俺達だってそうさ。たっぷりしぼられて、ケツ蹴られたぜ」

赤「つくならもっと…マシな」

赤従a「事実です。団長」

赤従a「姫様は確かに、我等の元を訪ねられました」

赤従a「御髪も乱れ、擦り傷だらけのお体で、どうか団長の下へと」

赤「…」

緑「はじめから死ぬつもりだったな、赤」

緑「入念に身辺整理をしてまで」

娼婦a「そんなっ…兄さん本当なのかい?」

馬商人「おぼっちゃん…」

赤「…解りきった口きいてんじゃねえよ」

赤「お前らも良く知ってるだろうが、俺がどういう人間なのかよ」

赤「あげく馬にも乗れねえ、剣も抜けねえ」

赤「こんな俺に、騎士として生きろってのか?盗人になれってのか?」

赤「へっ…どっちもよ。どっちも願い下げ…」

緑「お前が馬に乗れないのは当たり前だ」

赤「…ああ、そうだろうよ。俺は畜生にすらはねのけられるようなちっせえ…」

緑「馬鹿者!」

緑「馬は騎士と運命を共にするのだぞ。貴様のようなヤケを起こした人間を乗せると思うか!」

赤「…!」

緑「私も馬商人から聞いている。馬というのは賢い。貴様の気持ちを汲むことくらいは出来るだろう」

緑「ならばなおさらだ。死地に出向こうとする貴様を、どうして背に乗せようか」

馬商人「緑様のおっしゃるとおりです。野性というのは、時に人を凌駕するものです」

赤「…だが、剣だって」

従者「最初、僕が見てたとき抜きましたよね。先代の赤様が亡くなった後に一度だけ」

従者「そしたらヘナヘナと腰ぬかしちゃって、剣を放り投げましたよね」

赤「…」

従者「騎士様は怖かったんじゃないですか?」

従者「受け継いだ剣の中の、先代の赤様との思い出が強すぎて」

赤「笑わせんな。何だそりゃ。トラウマ抱えたガキじゃあるまいし」

従者「騎士様はトラウマと間違えるくらい、先代の赤様が好きだったんでしょう?」

従者「出かけるときに肖像を直視できないくらい、認めたくなかったんでしょう?」

従者「お父上様の死を」

赤「…」

従者「騎士様普段だって子供っぽい所だらけじゃないですか」

従者「あの腰の抜け方見たら、誰だって簡単に想像つきますよ」

赤「…くっ…」

従者「でも馬とか剣とか、そんなのまったく関係ありません」

従者「だってそうじゃないですか」

従者「それも含めて、お母上様のご身分を聞いた上でも」

従者「騎士様の事を、騎士だと認めてくれてる人がいるんですから」

親父「…そうともさ」

親父「俺ァいつだって、旦那が騎士らしくねえと思ったことはねえよ」

親父「酒場でお姫様が絡まれてたときだって、抜けねえ剣をしっかり握ってたしよ!」

馬商人「わたしは言わずもがなでございますよ」ニコニコ

娼婦a「女の扱いはまあ、なんとも言えないけどさ」

鍛冶屋「フンッ、老人の扱いもな!」

赤「…」

姫父「赤よ」

緑「領主様…」

姫父「貴公の父君に私がした事は言葉では償えぬが…許してくれ」

姫母「お…お許しください、赤殿」

メイド「赤騎士様…」

親父「俺達も、先代の赤様の時にやるべきことだったぜ…こういうことはよ」

親父「すまねえ旦那。この通りだ」

馬商人「…」

赤「…」

赤「…ん…この音は…」

緑「む?」

パカ…パカッ…

愛馬「ブルルッ…」

赤従a「団長の」

赤「お前…どうしたんだこの傷は」

緑「…浅いが、切り傷だな。あきらかに人為的なものだ」

親父「う、うそだろ…」

親父「そいつにゃさっき、お姫様が乗ってたぜ!」

姫母「!」

青「それは確かか?」

赤従a「我々のところに来たときも見ました。間違いありません」

青「まさか紫が!」

緑「あの紫がこの状況でそのようなリスクの高い真似を…考えられません」

姫父「まさか、それでは娘は…」

赤「…」チャラ…

従者(剣と、ひづめ…)

赤「従者」

従者「はい」

赤「お前が話したのか」

従者「…はい」

赤「そうか…」

赤「今度…剣の縛り方もお教えしないとな」

従者「え?」

バサッ!

愛馬「ブルル…」

赤従a「!」

馬商人「おお…!」

親父「旦那、馬に…!」

赤「…この傷はおそらく藍の仕業だ」

赤「奴は紫に協力する条件に、領主様の娘御を要求していた」

姫父「!」

姫母「そんな!」

メイド「お、お姫様を!?」

赤「だがご安心を」

赤「俺が全力で、お救いします」

緑「赤…」

赤「副団長。軽傷の者の半数を事態の収拾にあたらせろ」

赤「半分は俺についてこい」

赤従a「はっ」

赤従a「急ぎ騎乗せよ、指揮権は今より団長にお返しする!」

赤騎士団「ははっ!」

ダダダ…

赤「お前達は皆家に非難していろ。紫の残党が何処にいるかも解らん」

親父「おう!」

馬商人「心得ました」

娼婦a「兄さん…気をつけとくれ」

赤「…」コク

赤「従者」

従者「はい?」

赤「戻ったら、お前はお尻百叩きだ」

従者「…はは」

従者「お姫様が誰よりも騎士様を信じていたんですから」

従者「泣かせてはダメですよ」

赤「…フ」

赤「行って参ります、領主殿。はっ!」

愛馬「ブルルルルヒヒヒヒーン!!」

バカッ!バカラァッ!…バカカラッ!…

赤従a「お早い…流石は『クリムゾンギャロップ』」

赤従a「急げ!団長を見失うな!」

青「緑、貴様も行け。赤を援護せよ」

緑「はっ!」

ドドド…

従者(あのダサい二つ名本当だったんだ)

姫父「妻よ、きっと大丈夫だ」

姫父「彼ならば必ず救いだしてくれよう」

姫母「ええ…」

メイド「従者様」

従者「やあ。お元気でしたかメイドさん」

メイド「赤騎士様のおはからいのおかげで…それよりも」

メイド「貴方様は一体。赤騎士様の事を、まるで昔からよくご存知のような…」

従者「ああ、そうですね」

従者「直解りますよ。もうすぐ僕の役目も終わりそうですしね」

従者「さ、領主様と一緒に緑様のお屋敷に避難してましょう」

メイド「はい…」

従者(…騎士様)

従者(どうか、ご武運を)



飯休憩 30分に再開

>>760 致命的なミスを見つけた 以下に修正

緑「あの紫がこの状況でそのようなリスクの高い真似を…考えられません」

姫父「まさか、それでは娘は…」

赤「…」チャラ…

従者(剣と、ひづめ…)

赤「従者」

従者「はい」

赤「どこでお袋の事知った?」

従者「マザーから聞きました」

赤「それで…話したのか」

――某所、水車小屋――

姫「…あっ!」ドサッ

藍「ココ…ようやく二人きりとなれましたな、姫」

姫「…」キッ

藍「そんな目で睨み申すな。これも姫の為を思えばの事」

藍「もはやかの国では貴族など平民と同系となりましょう。それがしが貴女様をお幸せにいたす」

ドサッ

姫「それは…」

藍「コココッ。金貨10万枚。額に見覚えがござろうな」

藍「あの奴隷商人めには重かろうと思ってな。回収させてもらったのよ」

姫「……もう…あなたには騎士の誇りが無いのですわね」

藍「逆でございますよ、姫」

藍「姫を手に入れるためなら、他は全て捨てられるのです」

藍「国も、名誉も」

姫「…くっ!」ガバッ

藍「ご安心めされよ。誰も邪魔は来ぬ」

藍「今ここで、契りを交わしましょうぞ…コココッ!」

姫「いやっ…!」

バンッ!

藍「ぬっ!」

姫「!」

紫「藍…」

藍「む、紫殿!かような場所まで何用じゃ!」

藍「もうお互い会うこともなかったはず」

紫「貴様の騎士団とその娘を貸せ。今一度、街に攻め入る」

藍「攻め入る?まさかおぬし…」

紫「しくじってなどおらん!そうだ、私が失態を犯すなど…ありえん!」

姫「…」

藍「なれば戻るがよかろう。もう貴殿とはなんの関係もござらん!」

紫「黙れ!私の領主就任が契約終了だ。まだ切れてはおらん!」

姫「…」ソッ…

藍「しかしあの時は確かに!」

ダッ

藍「コケッ!?」

紫「ぬぅっ、小娘!」

姫「はぁっ…はぁっ!」

シュッ!

姫「あぅっ!」ビリッ

ドサッ

藍「や、やめよ!射つな紫っ!」

紫「騒ぐな!服を地に縫い付けただけだ」

姫「う…つ…」

紫「往生際が悪いですな、お姫様」

紫「今一度、お役に立っていただきます」

藍「勝手な事を言うな紫!」

紫「黙っておれ!」

姫「…やっぱり」

姫「血筋など、関係ありませんわ。醜い、哀れなお方達」

紫「何だと…?」

姫「金に色に飢えたニワトリが藍様なら、紫様は権力にしがみつく古狐ね!」

姫「じゃれあうお姿も、とーってもお似合いですわ!」

藍「コ…コ…それがしが、に、ニワトリじゃと…!?」

紫「小娘…」

姫「わたくしを盾にしようとも、無駄ですわ!」

姫「この国には真の騎士様がいますもの!」

姫「たとえ、馬に乗れず、剣を抜けなくとも…穢れ無きお心を持った…!」

ガシッ!

姫「…っつ!」

紫「何もしらぬこわっぱがぁ!」

藍「言って良い事と悪いことがございますぞ、姫ぇっケコココ!」

姫「う…くっ…」ギリギリ…

紫「はっ!」

ヒュヒュヒュッ…

藍「ぬうっ!」

キィン! ストトッ

藍「このナイフは」

カッ…パカッ…

紫「…ぬうううう!」

パカッ…バカラッ…バカカッ!

姫「…ああ…」

カッ!


赤騎士「ご無事ですか、姫」

姫「赤騎士…様!」

ストンッ

赤「後ろにお控え下さい」

姫「はい…」

藍「な、何故こんなに早くここが!」

赤「…」トントン

藍「やはり貴様は『盗賊騎士』だ。野良犬のような真似を!」

紫「ふん…だが追いついたとてどうするのだ」

紫「どうやら馬には乗れるようになったようだが」

紫「腰抜けの剣でどう対抗するのだ」

ザ…ザザザ…

藍従騎士a「…」スラリ

藍従騎士b「…」チャキ

姫「…あぁ…」

赤「…」

赤「プッ…クク…」

藍「…コ?」

赤「あっ…あっは…」

赤「だーっはっはっはっは!!」

姫「!?」

紫「貴様…何がおかしい」

赤「くぁーっは、っは、はーわりぃわりぃ。いやあなに、相変わらずよ」

赤「見ればみるほど藍殿のツラがニワトリに見えてしょうがなくてなぁ!」

藍「な、なっ!」

姫「…」ポカーン

赤「てめえら思い込みが強いと痛い目みるぜ。コロンブスの卵ってしってっかぁ?」

紫「…?」チラッ

藍「…いや、それがしも知らん。何だそれは」

赤「…いや、良く考えたら俺も知らねえわ」

ガクー…

姫「あ、赤様!何をおっしゃってますの!」

赤「いやあだってよ、もしコロンブスの後の時代だと銃とか出てきちゃうから、それだとなんかイヤだろ?」

赤「騎士っつったら剣よ。腕に一刀股間に一刀!」

姫「もうっ…赤様!」

赤「あっは、すいませんお姫様。久々にシリアスんなったら存外こそばゆくて…」

姫「そういう問題ではありませんわ!」

紫「小僧…!」

藍「…ココ、コケにしおって…」

赤「あら?なんか攻撃力アップな雰囲気なんですけど…」

姫「当たり前です!」

紫「貴様の茶番も聞き飽きたわ。父の後を追わせてやるぞ!」スラリ

藍「…」スラリ

姫「…っ」

赤「フン。おまえらなんか忘れてねえかよ」

紫「…ぬ?」

ズズズ…

赤「俺の武器は剣だけじゃねえ」

ドドドド

赤「先代赤騎士様がお遺しくだすった最高の騎士団もあんだよ!」

ドドドドドッ!バカラッ!バカラッ!

藍従b「うおぉっ!」ドンッ

藍「コケケェッ!?」

姫「皆様…来て下さったのね!」

赤従a「団長がご意思の下、姫様のお望みのままに」

藍「ぬう…!」

赤「ホレ、かっこつけてねえでとっとと全員生け捕りにしろ!」

赤従a「はっ!」

キィンッ!ドカァッ!

赤「さーて、これで人数互角かなぁ?」

藍「…ココ、何を寝ぼけたことを。まさか姫君を数にいれておるのか」

赤「アホか。お姫様はこの先、とんでもねえ敵といくつも戦わなきゃならねえ」

赤「国治める事に比べりゃな、俺たちのやってることなんざお遊びなんだよ」

赤「おまえらゴミ共の相手なんかさせられるか」

紫「こやつの戯言に耳を貸すな。剣も抜けぬ男だ、1にすらならんわ」

藍「ココ…そうで…」

藍「ござったなああああぁぁぁぁぁぁっ!」ビュオンッ!

姫「赤様っ!」

藍「ケエエェェェェェェ!!」

赤「…」

キィィ――……ン

藍「コケッ!?」

姫「!」

赤「だから言っただろうが」ギリギリ

赤「思い込みが強いとっ!」ギィンッ

藍「コッ!」

赤「痛い目見るってよ!」ズバァッ!

藍「コケコッコーッ!」

ドザッ

藍「き、貴公、剣を…!」

赤「ハッ、しばらく寝てろ。せめて騎士らしく死なせてやっからよ」ヒュンッ

チャキリ

紫「…」

姫(赤様…)

姫「きゃっ!?」

藍「おのれぇ…かなわぬならば、せめ、せめて姫をみちづっ!」ドスッ

姫「あっ…」

赤「…きたねえ手でお姫様に触んじゃねえよ」

藍「コ…ココ…」

バタ

姫「あ、ありがとうございます赤様…」

赤「…」

緑「赤っ!」

赤「緑…なんで来たんだよ。傷はどうした」

緑「こんな程度…なんでもない!」

赤「つよがんな。まあちょうどいいぜ」

赤「お姫様を頼む」

緑「…ああ。姫様、こちらへ」

姫「は、はい…」タタタ

姫(赤様…?)

赤「…」

紫「…」

ヒュウ…

紫「フン、どうやらあとは私だけのようだな」

赤「…」

赤従a「団長、どうか気をつけて…団長?」

姫「…」

紫「どうした小僧。いつもの減らず口はどうした」

赤「…」

赤「…フゥ」

赤(ようやく…)

赤(覚悟が出来ました…)

ザアァァ…

―――…重いか、赤よ

―――…それが騎士の魂だ。

紫「…」チャキ

紫「ぬんっ!」

赤「っ!」

キィィン!

緑(互角!)

姫「赤様…」

紫「…フン」

赤「…」

―――…それ、ここを突くのだ。今だ、今!

赤(ただこうして、あなたの声を思い出すのが)

―――…立て。出来るまで夕食はとらせん

赤(…恐ろしかった)

紫「はぁっ!」

キィン!

―――…いつ食べても妻のシチューは美味い。お前もそう思わんか?

(今も食卓に並んでいるのではと)

―――…なんだそんなにあわてて。ノックくらいしろ

(書斎にて書面に目を通されているのではと)

赤(…恐ろしかった)

紫「はぁっ!」

キィン!

―――…いつ食べても妻のシチューは美味い。お前もそう思わんか?

赤(今も食卓に並んでいるのではと)

―――…なんだそんなにあわてて。ノックくらいしろ

赤(書斎にて書面に目を通されているのではと)

ギィンッ!

―――…う、ぬ。やはり私に洗濯のような細かい仕事は…向かぬ

赤(儚い希望が生まれては消えるのが)

―――…さぁ、どの馬が良い。好きなのを選べ

赤(悲しかった)

紫「フッ…」

紫「さあぁぁぁっ!」

赤「…っ!」

バッギィ!

紫「んぬっ!」

赤従a「おお…!」

緑「紫の剣を、受けた!」

紫「…何故だ!何故折れぬ!」

姫(人数互角…)

姫(赤様の剣には、先代の…)

赤「…」ギリイッ

紫「うぉっ!」

―――…お前にはつらい思いをさせたな

赤(俺は…臆病者でした)

キィンッ!カン!

―――…妻を…母を恨むでないぞ。恨むのならば私を…

赤(どうか、どうかお許し下さい)

ヒュンッ!

―――…許せ……息子よ。

赤(―――…父上…)

紫「――ぬおおおおっ!」

赤「――はあああああっ!」

シャリイィィィンッ!  …フォンフォン

トスッ

赤「…」

紫「う…が…」

赤従a「勝った…」

緑「見事だ、赤」

赤騎士団「オオオォォッ!」

姫「赤様!」

赤「っく、はぁっ…はぁっ…」

紫「…ぐっ…はっ…はぁっ…」

赤「…はぁっ…あとは、領主様の裁量に、お任せするぜ…」

紫「はぁっ…」

紫「ぬんっ!」バッ!

緑(クロークボウガン!)

姫「あ…危ない!」

赤「…はっ!」シュッ!

ドスッ

紫「あ…が…」

赤「…お約束すぎんだよ。タコが」

紫「わた…し…が……りょうしゅに……」

クッ…

赤「…執念だな。それを別に活かしゃアンタも」

赤「いい騎士になったろうによ…」

緑「…」

ザッザッ

姫「あ…」

赤「…」

ザウッ

赤従a「…」

ザザザウッ

緑「…」ザウッ

赤「お怪我はありませんか、姫様」

姫「赤騎士様…はい。おかげさまで」

姫「あ…」

赤「お守りできたこと、誇りに思います」

姫「…」

姫「…?」

緑「…ん、どうしたのだ赤」

赤「…いや」

赤「ここで姫様の御手に口付けしたら、俺ロリコンになんのかなーって…」

ゲシッ…

赤「…ってーじゃねえか!膝蹴りこめかみにかますか普通!」

緑「お前はこの期に及んでまだそんなことを…!」

赤「大体怪我人がでしゃばってんじゃねえよ!おい副団長、こいつにすっげーしみる薬ぬってやれ!」

赤従a「姫、参りましょう。領主様がお待ちです」

姫「はい」

赤「おい!無視すんじゃねえ!おい…ギャーッ!」

赤従騎士b「副団長、この金貨はいかがしましょう」

赤従a「ん、なんと…大金だな」

姫「あ…これは赤様がわたくしをお買いになった際にの」

赤従a「そういえばそういう御話でしたね」

姫「もともと赤様のものなのですから、騎士団のほうでお使いになってください」

赤従a「しかし…」

姫「ふふ。わたくしにいろいろ教えて下さった、授業料ですわ」

赤従a「姫様がそうおっしゃるなら…解りました」

ギャーコノヤローワーギャー!

赤従a「む、申し訳ありません。馬車の手配を忘れました」

姫「あら、わたくしが馬に乗れること、もうお忘れになって?」

赤従a「しかし、予備の馬が…」

緑「はぁ…はぁ…私の馬に、共におのりください。姫…」

姫「み、緑様、大丈夫ですの?」

緑「ええ、姫様お一人を抱えて乗る程度なら何の…」

姫「…」チラッ

赤「お…あぐ。おーい、だれかー。ウデオレター」

姫「わ、わたくし…」

緑「はい」

姫「赤様と…ご一緒したいですわ」

緑「はい…え?」

姫「…///」カァッ

緑「しかし、あの男は…」

赤「あ?俺がどうかしたってのかよ」

緑「おまっ、折れた腕はどうなったのだ!」

赤「常識で考えろよ。ここで俺の腕治るのまってたらあと500行ほど増えるぜ」

緑「何を訳のわからんことを」

赤「で、なんだって?」

姫「赤様と一緒に…」モジ

赤「うん。俺と一緒になんですかい?」

姫「愛馬さんに、乗りたいですわ…」

赤「…うんうん…は?」



パカッ…パカッ…

赤「えーと」

姫「…」

緑「赤…生きて帰りたければ…」

緑「どさくさに紛れて姫様に妙な真似は…」

赤「しねーよっ!」

姫(…ああ、やっぱり)

姫「赤様、この傷は…」

赤「ああ、これは昔ちょっと、父上との剣の練習の時に」

姫「お父様と?」

赤「ええ」

赤「死ぬほどしごかれましたよ。何度も殺されるんじゃないかと思ったくらいに」

赤「結局一度も勝てないまま、逝ってしまいましたが」

姫「…ごめんなさい」

赤「…」フッ

赤「父上は後悔の無い人生を歩んだんです」

赤「姫様が謝れるようなことは、何一つありませんよ」

姫「…ありがとうございます、赤様」

赤「フフ」

赤「おっと、結構な悪地だな。ちょっと掴まっててくださいね」グイッ

姫「きゃ…」

姫「…」ギュ…

緑「…」チャキッ

赤「おいまて!これはどうみても不可抗力だろうが!」

緑「そうだな…ブツブツ…不可抗力だ…ブツブツ…だから斬る」

赤「お前セリフの前と後ろ繋がってねえぞ」

赤「だーっ!お姫様のってんだろうが!」ヒュンヒュン

緑「黙れ!この…このぉっ!」ヒュンヒュン

姫(…赤様…)

姫(あたたかい…)ギュッ

パカパカ…



休憩6時再開 やべえ1000いきそう



紫「さあぁぁぁっ!」
卓球の人か

すまん遅くなった再開

親父「おかえり、旦那!」

鍛冶屋「フン、先代様ならもっとはようかえっとるわ。たわけが」

ワーワー

赤「…」

赤「お前らな。家に戻ってろって、行く前にだな…」

娼婦a「いいじゃないかい。こうして皆で集まってたほうがかえって安全ってこともあるだろ?」

馬商人「騎士様達が十分な見回りをして下さっておりますしね」

赤「はー。平和ボケっつーか、もうちょい危機感をだな…」

赤「腐っても騎士だぜ相手は。つっかかるか普通よぉ」

赤「ま、おかげで助かったのも事実だがな。ありがとよ」

娼婦a「あれ、珍しく素直だね」

赤「ぶわーか。俺はいっつも素直だっつの」

娼婦a「ふふ。わかったわかった」

緑「…おい赤」

赤「あんだよ」

緑「いつまで姫様を抱えておるのだ貴様は!」

赤「ば、ばか!大声出すんじゃねえ!」

姫「…んっ…」

緑「はっ…ま、まさか」

赤「見ろ。起こしちまったじゃねえか」

赤「つってもどのみち起きてもらわねえと、困ってたけどよ」

姫「ふ…ぁ…」ポー…

赤「つきましたよ、姫様」

姫「…」

赤「ん、どうなさいました」

姫「…」ギュウッ

赤「!?」

緑「まっ…!」

娼婦a「あらぁ」

姫「まことのきしさま…ずっとおまちして…」

赤「ひひひひ姫様――っ!」

姫「…おりま…?」ポケー

赤「いそいで離れて下さい緑の剣が秒刻みで俺の首筋にいらっしゃいませえええ」

緑「…」ツププッ…

姫「…はっ!」

姫「もっ、申し訳ありませんわ!わたくしったら…」

赤「いえ…いいんれす…」

緑「フン」キン

赤「お前ツッコムたんびに俺のタマ狙ってねえだろうな」

緑「狙うかそんな汚らわしいものを」

赤「タマってそういう意味でいってんじゃ―!」

従者「こんなときでも相変わらずですね。おかえりなさい、騎士様、お姫様」

赤「おう。帰ったぜ」

姫「従者様…」

従者「手を貸しますよ。どうぞ」

姫「ありがとうございます…んっ」ストン

赤「フフ」

従者「なんですか。気味悪いですね」

赤「あんでもねえよ」

姫「あっ、お父様。お母様」

姫父「姫!」

姫母「あ…ああ!」タッ

赤「…」ストン

ギュッ!

姫「ただいま戻りましたわ、お母様…」

姫母「良かった、本当に…」

姫「お父様も…」

姫父「うむ…ありがとう、赤騎士殿」

赤「いえ…」

姫「…そ、そうですわ」

姫「お二人とも、きちんと赤騎士様に――!」

赤「…姫様、もう十分ですよ」

姫「で、ですけども…」

赤「領主殿がこーんな眉間に深いしわできっぱなしになってんですから」

赤「どんだけお悩みになったか解らんほど、俺ぁ馬鹿じゃねえですよ」

親父「旦那…」

姫父「…赤殿」

赤「ま、結局何が悪かったって…」

赤「金にこまってる母上に無理矢理押し迫った父上が悪いんですよwwwww」

赤「っかー!弱みにつけこむなんざ対した騎士様だぜwwwww」

緑「貴様が言えた口か!」ボカッ

赤「オウフッwwww」

娼婦a「やっぱ素直じゃないね…途中までは格好良かったんだけどさ」

鍛冶屋「墓の下で先代が泣いておるわ」ヤレヤレ

赤「え、何、今の俺が悪いのこの流れ」

従者「自覚ないんですね」

緑「あっても言っておるがなこやつなら」

赤「揃って真顔で言ってんじゃねえよ!」

姫父「…フフ」

姫父「まったく愚かな選択をしたものだ」

姫父「姫の言ったとおりであったな」

姫母「あなた…」

スッ…

赤「…!」

姫父「固く約束しよう。今後同じ過ちは繰り返さぬと。その為にどんな努力も惜しまぬと」

姫父「それで改めて、お詫びの言葉にかえさせてくれ」

赤「…」ザウッ

緑「りょ、領主殿っ」ザウッ

赤「頭を上げてください、領主殿」

赤「貴方の頭上に立つなとの、父上の遺志に背きます」

姫父「う、うむ…」

ザッ

緑「あ、青様…」

青「…」

赤「おやっさんも…青殿もよ、いつまでも意地張らなくなっていいでしょうよ」

青「フン。貴様のような男に騎士らしく振舞われては…」

青「従うほかあるまいな」ザウッ

姫父「青殿…」

青「老い先短いが、生涯を賭しましょうぞ。我が主」

青「この国をお頼みもうす」

姫父「解った」

姫母「ありがとうございます…お三方」

姫「青様…」

従者「ふふ」

青「ときに、騎士らしくといえば…」

青「そこのおおうつけの賞罰がまだですな」

赤「ぎっくぅっ」

姫父「おお、そうだったな」

赤「あは、えーとそのー」

緑「まあもとから死ぬ気だったようだしな」

緑「それでチャラとするつもりだったようだが、こうして生きている以上当然の事だ」

赤「ですよねー」

姫父「…賞罰固守、騎士の掟だからな。確かな話だ」

姫父「だが今回の件に関しては私にその権限はないように思う」

赤「え」

姫父「皆どうだろう、宣言するに相応しい人物は思い当たるだろうか」

娼婦a「そりゃもちろん、ねぇ」

親父「だなあ」

赤「おいちょっとまて、まさかお前ら…」

従者「何いってんですか。お姫様しかいないでしょう」

姫「えっ、わたくしですの?」

馬商人「もちろんですとも」ニコニコ

赤「…」ダラダラ

姫「…それもそうですわね。今思い出してきましたわ」

姫「さんっざん、このお方に何をされてきたのかを」ニヤア

赤「あ、あはっ、あははっ」ダラダラダバー

従者(わーお。素敵な笑顔)

緑(姫もずいぶん逞しくなった気がするな…)

姫「でも、ひとまず賞はこうしましょう」

姫「皆様より過半数の同意を得られれば、紅の称号を贈るということで、どうかしら?」

赤「は!?」

姫父「おお、それは良い考えだ。今なら濁りもなかろう」

姫母「良いお考えですわ、姫」

赤「ちょっ、俺の意思は無視ですかい!?」

赤「お゛っ」ゴスッ

青「今さら貴様の意思などまかりとおるか」

緑「黙って地に伏していろ」

赤「紅なんかもらったら遊ぶ時間がなくなるじゃねーかよー!」

従者(しょうもない…)

姫「罰のほうは…わたくしのお願いを一つだけ、叶えていただきますわ」

娼婦a「あら、ずいぶん優しいじゃないかい」

親父「いいんだぜ。ガツーンっとでかいのくれてやってもよ」

馬商人「おぼっちゃんは酷い扱いをうけると喜ぶ傾向にありますからね」

従者「皆さんそんなここぞとばかりに…」

従者「でも赤様にとっては一番困るんじゃないですか?この罰は」

赤「う、うう…な、内容によっちゃあ…」

姫「あら、どんなものも必ず、ですわ」

赤「いやしかしですねえ、常識の範囲っつーもんが…」

姫「ではご要望もありましたし、すれたいなるものを読み上げさせていただ…」

赤「はいはい無条件降伏でぇーっす!完全服従しまーっす!」

姫「ふふ、ではお願いしますわね」

赤「」グデー

従者(しんだ)

姫「でもよかったのかしら。メイドも何か言いたいことがあったはず…」

姫「あら、そういえばメイドは何処にいらして?」

赤「ああ。あいつなら…」

メイド「皆様ーっ」タタタ

バインバイン

赤「おひょー、眼福がんぷいでででででで!」ギュウウウウウウウ

姫「…どこを見てらっしゃるの?赤様」

赤「見てませんよメロンを二玉なんて全然ギャー!」ツネエエエエエ

緑「…」←姫に先をこされてあげた拳のやりばに困っている

姫父「そなた何処にいっておったのだ」

メイド「さきほど、準備が整いましたので、お、おむかえに」

姫母「準備?」

赤「ま、まぁとにかくいきまひょう」ヒリヒリ

姫「…ふん!」

従者「ハハ…はーい」

――チューリップ園跡地――

娼婦a「おやまあ…」

親父「こいつはすげえ」

姫父「なんと…」

従者「わあ」

姫「チューリップ園が、綺麗に整備されて…!」

姫「こ、これはメイドが?」

メイド「わ、わたしと、そのー…」

赤「…」シー

従者「ああ、なるほど。だから騎士様いつも朝土まみれ枝まみれだったんですね」

赤「はっ!?な、何も言ってねえだろうが!」

姫「…まさか赤様が?」

赤「その、晩年の趣味に園芸を身に着けておくのもいいかなーと思いまして」

姫「…赤様…」

赤「ま、経費の問題で柵はつけてないんですけどね」

赤「悪戯する連中はもう入ってこんでしょうし。いらんでしょ」

姫「…」

赤「今にここも、あの時と同じきれーな花が沢山咲きますぜ。もちろんチューリップもね」

姫「…」

赤「その時は盛大に、皆でパーっと…」

姫「…赤様…」

姫「赤様――っ!」

赤「へっ…どわぁ―――っ!」

ゴォ――――ン…!

ゴォ――――ン…!

ゴォ――――ン……!

――数ヶ月後、チューリップ園傍広場――

ゴォ――――ン…!

ゴォ――――ン…!

ザワザワ…

紅騎士「な…な…」

少女「どうかしましたか?」

紅「――従者が緑の妹おおおおぉぉぉぉぉっ!?」

緑妹「大声出さないでください。恥ずかしい人ですね」キーン

紅「だ、だっておまえ、そもそも男で…えええ!?」

緑妹「ハァ。ロリコンな上に童貞ですものね。しょうがないですね」

紅「どどどどどどどっどどっど、どどっ…!」

紅「おい待て緑!こりゃどういうことなんだよ!」

緑「説明した通りだ」

緑「お前が挙動不審だったからな。スパイとして妹に出向いてもらったんだ」

緑「お前のところにいくはずだった志願者と入れ替わらせたのさ」

紅「じゃ、じゃああの破傷風で死んだってのは嘘だったってのかよ!」

緑妹「破傷風になったのは事実ですよ。死んでもおかしくなかったですけど」

紅「…」ポカーン

緑妹「そんなに驚くことですか。なんだか腹が立ちますね」

紅「なんでそんな危険な役目を、女に、あまつさえ妹にやらせたんだよ!」

緑「…危険って…私だって反対したぞ」

紅「おまえなんだってそんな…」

緑妹「…」

緑「妹はいつも部屋から私と遊ぶお前を見ていたからな」

緑妹「!」

紅「?」

緑「まったく因果なものだ。こんなことになると解っていれば、見えるところで遊びもしなかったものと」

紅「そ、それじゃお前まさか…」

緑妹「…変な勘ぐりはやめてください。好奇心からですよ」

紅「好奇心?」

緑妹「ええ。"お姉様"がお慕いしていた人がどういう方なのか知りたかっただけです」

緑「!?」

紅「おねっ、ちょ声がでけえよ」

紅「一応緑が女だってことは一部の人間にゃまだ秘密にしてあんだから…」

緑妹「あれ。でももう口五月蝿く言ってくる人は皆居なくなりましたよね」

緑妹「青様と紅様なら、緑騎士が女性でも別に文句いわないんじゃないですか」

緑「それは…」

緑妹「いっそ立場をはっきりして、紅様に想いを告げ」

緑「だ、黙れ妹!お前、何をでたらめなことを…!」

緑妹「お姉さまだって適当なこと言ってたじゃないですか。お返しです」

紅「…緑、まさかお前、俺に相談なく騎士になったのは…」

緑妹「決意が鈍るからじゃないですか。近そうで遠い立場になって」

緑「妹っ!」

紅「緑…」

緑「違っ、まて。真に受けるな紅!」

ガシッ

緑「っ!」

紅「なんでそうならそうと言わなかったんだよ」

緑「い、言える訳が…言える訳が無いだろう」

緑「父は息子が居ないのを気に病んでいた…」

緑「跡目を継ぐのも相当悩んだのだ。そんな中相談してみろ。気持ちを抑えられるわけが…」

紅「そうだったのかよ…」

紅「少し意外だが、嬉しいぜ」

緑「!」

緑妹「ほう」

緑「お、落ち着け紅。今のお前にはひ、姫さっ…」

紅「ああ、嬉しいとも。…あんなダメ親父を好いてくれててよ」

緑妹「」

緑「ひめさ……は?」

紅「しかしなお前。いくらなんでもお前が緑騎士なったときは40半ばは超えてたぜ」

紅「年上好きだとは思っていたが…ああ、そうか。それで青殿に師事してんのか」

緑妹(わあ)

緑「…」

紅「でもいっくらなんでもさすがに青殿はなぁ。もう50も後半だぜ」

紅「どうよ。ここらでフレッシュな男の魅力に気付くためにも、この俺様と――」

キ――――ンッ

紅「―――~~~~っ!」

緑「お断りだ。貴様のようなクズなど」

紅「なんっ…ごっ…」

緑妹「自業自得です」

緑「妹いくぞ。お前の支度もしないといかん」

緑「まったく、とんでもない時間の無駄を食ったな」

緑妹「はい」

緑妹「では紅様、また後ほど」

タタタ…

紅「さ、最悪のコンビだ…悪夢だ…あんな姉妹と同じ国とか…詰んだわ」

マザー「何をぶつくさ言っているの、坊や」

紅「あ…マザー」

マザー「なんだか顔色が優れないね。汗までたらして」

紅「これは先ほど男である以上通らねば傷害にブチあたりまして。あ、誤字ではありませんよ」

マザー「はあ…」

マザー「それにしても早いもんだね。お前が生まれた瞬間から見てきたけども」

マザー「結婚だなんて。ふふ」

紅「…」

紅「父上と母上の式は、やはりあの教会で行ったのですか」

マザー「ああ、そうだよ」

マザー「数人の知り合いだけを集めてね。つつましやかなものだった」

マザー「でも、世界で一番幸せそうだったよ。あの二人はね」

紅「マザーがそう仰ってくれるのならば、間違いは無いでしょう」

マザー「ああ、そういってくれると、救われるよ…本当に」

紅「ああ、貴族をかくまっていただいた件は本当にありがとうございました」

紅「おかげで彼らとの対立関係は避けられましたよ」

マザー「お役に立てたのなら幸いだよ」

マザー「また近くを通る事があったらよっとくれ。ほら、そろそろ時間だよ。おいき」

紅「はい」

ザワザワ

親父「旦那、今日は珍しく決まってるね」

娼婦a「ホント、今日だけはいい男だね」

紅「お前らホンっと一言多いのな」

神父「オホン。ただいま花嫁が衣装を整え終えたそうです。皆様ご静粛にお待ち下さい」

コツ…コツ…

紅(うぐ、く、来るのか…)

コツ…コツ…

紅(まだ結婚することすら考えてなかったのにこいつぁ)

コツ…コツ…

紅(クッソ、どうしてこうなったんだ。どうしてこう…!)

コツッ

紅「ど…」

ドヨ…

紅「…………」

姫「…紅様。」

姫「どう…ですか?わたくしの姿…」

紅「あ…ええ」

紅「…とても、おつくし…」

緑妹「噛んでますよ紅様」ヒョイ

紅「し、失礼。お美しい…は?」

緑妹「良かったですねお姫様」

姫「はい…ありがとうございます、紅様///」

紅「いや、まて。まてまてまて」

紅「なんで花嫁二人いるんスか!なんなんすかこれ!」

姫「あら…聞いてませんの?」

紅「聞いてって、誰にです!?」

姫「いえ、村の人に、緑様に、国中のいろんなお方にお伝えしたのですけど…」

紅「…」

紅「…」ギギギギ…

親父「…」ピース

娼婦a「…」テヘペロ

緑「フン。阿呆が」

緑「情報収集は団長の当然の務めだぞ」

紅(あいつらあぁぁワザと黙って…!)

姫「お、驚かないで。紅様。これも緑様の家系のためですわ」

紅「緑の?」

姫(緑様は、理由は解りませんけども生涯独身でいるつもりだそうですの)

姫(ですから、緑妹様が紅様の下へお嫁にいらして、ご子息をと…)

紅(そんな大事な話を当事者に一言の相談もなく!?)

姫(ごめんなさい…わたくしも緑様のその事情を最近知って)

紅(あれ、まってください。姫様は緑妹のことはいつから?)

緑妹(お姫様はずっと前から気付いてましたよ。私が女だって)

紅(へ?)

姫(一つ屋根の下でくらしたのですもの。すぐにわかりましたわ)

緑妹(ところが姫様。解ってなかった人もいるんですよ)

姫(紅様は、あまり家にいらっしゃらなかったから…)

紅(まあその話はこっち、こう、おいといて)

紅(姫様はそれで良いんですか!この国重婚は確かに禁止じゃねーけど…)

姫(わたくしは別にかまいませんわ)

姫(紅様の魅力なら、緑妹様のお気持ちも解りますもの…)

緑妹(お、お姫様…あんまりそういう風に直球で言うのは)

姫(あら、じゃあわたくしだけ沢山紅様に想いを受け取っていただきますわね)

緑妹(あはは…お姫様にはかないませんね)

紅(いやでもしかし…)

姫(…紅様、お忘れかもしれませんけどこれは約束なのですわよ)

姫(どんなお願いも無条件で受け入れる。違いまして?)

紅(いや違いませんけど…緑妹ォ!お前さっき言えよ!)

緑妹(あれー?緑様といい雰囲気勝手に作ってたのはどこのどなたでしたっけ)

紅(ちょばっ、今それを!)

姫(え、緑様と…?ど、どういうことですの紅様!)

神父「オオオオオオッホオオオオーーーーン!!」

紅「っ!?」ビックゥ

神父「…では式を始めさせていただきます」

姫「は、はい…神父様」

緑妹(今日は騒音被害が多いですね)

紅(やべ…ちょっとチビった)

神父「汝、紅殿」

紅「え、はい?なんすか?」

グイッ! ギュッ

紅「っ…づ!?」

姫(返事はしなくていいんですのよ、紅様!)

緑妹(しばらく黙って聞いてて下さい)

神父「…汝、紅殿」

神父「あなたはこの姫と緑妹を妻とし」

神父「良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず、死が互いを分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを、
神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?」

紅「…」ボー

紅「あ、これ今は返事しても…」

グギィッ! ギュウウウッ!

紅「誓い゛ま゛ずウ゛ゥゥッ!」

親父(だめだありゃ…)

娼婦a(あはは。もう尻にしかれてるね)

紅「…グスン」

姫「…フゥ」

緑妹「…ハァ」

姫「…クス」

緑妹「…フフ」

神父「汝ら、姫、緑妹…」

姫(…本当に)

緑妹(…どうしようもない人)

神父「―――愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを、誓いますか?」

姫・緑妹「「誓います」」

ゴォ――――ン!

ゴォ――――ン…!

――チューリップ園――

紅「や、やっと解放された…」

姫「クス。お疲れ様ですわ。あなた」

紅「―っ!?」ザザッ

緑妹「どうかしましたか?旦那様」

紅「ッ!?」ババッ

緑妹「面白い玩具ですねこれ」ダンナサマーダンナサマー

紅「―っ!?―っ!!?」ザッ ザザッ

姫「緑妹様、そんなにしては紅様がお可哀想ですわ」

姫「あ、首下が崩れてますわよ」クイッ

紅「っと、すみません。姫様」

姫「妻として当然の務めですわ」

姫「まるで夢のよう…///」ピト

紅「うぐっ…」

緑妹「…ふふ」

緑妹「わたし、少し"お兄様"の所に行って来ますね」

紅「ん、わかったよ…ったく、なんてドヤされんだ今度は」

緑妹「あ、結構です。旦那様にはきていただかなくても」

緑妹「会話にならないので。では」

タタタ…

紅「あのやろ…くそ、男装ってるうちにもっといじめときゃあ…」

姫「クスクス」

ザアァァ…

紅「見事に咲きましたね、チューリップ」

姫「ええ。まるでわたくしたちを祝福してるみたいですわ」

姫「一度は内乱に巻き込んで、灰にしてしまったというのに…」

紅「…」

紅「皆解ってますよ。かつて同じ土で、同胞を養ってくれたお方が」

紅「どなたなのかってことはね」

姫「…紅様」

紅「…私はかつてここで、天使のような少女と出会いました」

紅「そのお方は、全ての花を分け隔てなく愛していた」

紅「その時心に決めたのです。このお方であれば、全てを捧げることが出来ると」

紅「騎士の魂も、誇りも、人生も、全て」

姫「…」

紅「あの時は名も告げずご無礼を致しました」

紅「私は先代赤騎士である父と、シスターであり盗賊である母の子…」

紅「かつては赤、今は紅と申します」

紅「今こそ我が剣を貴女に、姫」

スラリ

姫「…フフ」

姫「どちらが本当の、あなたなんですの?」

紅「…ご想像にお任せします」

姫「くすっ。解りましたわ」

姫「わたくしもあなたに…全てを捧げます」

姫「真の騎士、紅様…」

紅「…」

スッ

姫(重い…でも、どこか安心する)

姫(不思議な感覚ですわ)


―――…息子を、お願いいたします、姫

姫「…え?」

紅「どうなさいました。姫様」

姫「い、今…」

親父「紅の旦那ァーっ!」

紅「む…どうしたっ!」

親父「緑の旦那が、すぐに旦那を呼べって…」

親父「例の藍と紫の残党が、国境で悪さしてるらしいですぜ!」

紅「とうとう動き始めたか…ったくよぉ」

紅「めんどくせー野郎どもだぜ」

姫「…」

紅「すぐ行くって言っとけ!」

親父「おうよー!」

紅「わりぃな、お姫さんよ。こんな日すら慌しくって」

姫「いいえ」スッ

紅「…」

ヒュン ヒュオンッ キィンッ!

紅「行って参ります、姫」

姫「ご武運を、あなた」

チュッ

ザザザ…

バサァッ!

紅「敵は少数だ。だが油断すんじゃねーぞ。」

紅「あの煮ても焼いてもくえねークソ不味いニワトリとキツネの残党だからよ」

紅「訓練を忘れんじゃねえぞ、なるべく怪我すんなよ!」

紅「死ぬとかもっての他だからよ!解ったか!」

紅騎士団「ははっ!」

紅「緑、てめえのとこはどうよ」

緑「万端だ」

紅「青殿!」

青「いわずもがなじゃ」

紅「おっしゃあ、そいじゃ行くぞ!」


紅「――我等3色騎士団、主が為に!」


fin

やっとおわった

従騎士の解釈俺の中で間違えてたけど、このssに限っては
従騎士 = 部下の騎士 ってことでお願い

>>825の卓球とプリンセスマツコで腹筋死んだ
おまけもそのうち書くかも 支援ありがとう

>>765 ここだけ修正

赤「戻ったら、お前はお尻百叩きだ」

従者「…はは」

従者「マザーから伝言です。『いつも皆が、あなたの傍にいる』と」

従者「お姫様が誰よりも騎士様を信じていたんですから」

従者「泣かせてはダメですよ」

赤「…フ」

赤「行って参ります、領主殿。はっ!」

愛馬「ブルルルルヒヒヒヒーン!!」


土曜日からのラッシュは凄いの一言に尽きる。お疲れ、超お疲れ

登場人物達が○ちゃん製品に見えて来て俺の頭の中がヤバかった
赤い狐とか緑の狸とか黄色い博多とか紺のきつねとか黒い豚カレーとか青いうさぎ(某コラ)とか卓球の人とか




プリンセスマツコとか

>>911 たたみかけんな殺す気かwwwwwwwwwwwwwww
こんなクソ長いss詐欺読んでくれてありがとう おまけ書く
1000いっちまったらまあ、適当にスレたてて補完する

――赤騎士の屋敷――

ギィ…ミシッ

影「…」

ヒタ ヒタ

ボッ

影「!」

赤騎士「ずいぶんと静かな客だな」

シスター「…」

赤騎士「ちょうど紅茶が沸いた所だ。飲むか?」

シスター「なんで解ったのさ」

赤騎士「ここは私の屋敷だ」

赤騎士「何処に誰が居ることくらい、解らないでどうする」

シスター「…」

赤騎士「盗賊か」

シスター「フン。だったらどうだってんだ」

赤騎士「ならばフードは被らないほうがいいぞ。生臭くなる」

シスター「なんでだよ」

赤騎士「シーフがフードを被ってシーフードwww笑えるだろうwww」

シスター「…」

シスター「いや…無表情でそんなこと言われてもね」

赤騎士「済まぬな。父に表情を変えるなと教わったせいでいつもこうだ」

シスター「…あんた、相当変わってるね」

シスター「他の権力者はプンプンさせてるってのに」

シスター「まったく金の匂いがしないよ」

赤騎士「最近の盗賊は人物評価を無料でやるサービスがあるのか」

シスター「こんな時に皮肉言えるのも対したもんだよ」チャキ

赤騎士「よしておけ。私は女に剣は振らん」

赤騎士「殺すなら好きにすれば良いが、困るのはお前だぞ」

シスター「…」

赤騎士「どこにいく」

シスター「帰る」

赤騎士「お前の分の菓子まで用意したのだぞ」

シスター「帰る」

赤騎士「ならこの菓子袋をもっていけ」ブンッ

シスター「!」パシッ

赤騎士「次来る時はそんな物騒なものはいらん。正面から堂々と来い」

シスター「…」

シュンッ

赤騎士「…」

赤騎士(この香り…教会の香か)

ホー…ホー…

シスター(…)タタタ

シスター(赤騎士か…)

シスター(フン、何が菓子袋だよ)

シスター(こんな重い菓子、あってたまるかい)チャリチャリ

タタタ…



バン

シスター「マザー、私に客だって?」

マザー「ええ、シスター」

シスター「どこにいんだい?」

マザー「あれ、おかしいね。礼拝堂にいなかったかい」

赤騎士「ここにいる」

マザー「お、おお?」

シスター「!?」

赤騎士「いい葉だな。この紅茶は、この村で作っているのか」

シスター「あ、あんたは…いえ、あなたは…」

マザー「こちら赤騎士様だよ。なんでも奉仕にいらしたらしくてね」

マザー「シスターに師事したいとのお申し出なんだよ」

シスター「はあ、わたしにですか…」

赤騎士「…」



シスター「この教会ではお祈りの他に、村でとれる名産品の加工などを…」

赤騎士「…」

シスター「…聞いてるのかい」

赤騎士「美しいな」

シスター「は?」

赤騎士「景色の話だがな」

シスター「ああ、そうかい…」

赤騎士「良い香りもする」

シスター「え?」

赤騎士「そよ風の話だ」

シスター「ああそう…」

赤騎士「どうして盗賊をしているのだ」

シスター「!?」

赤騎士「…」

シスター「…」

シスター「フン、理由なんて…」

孤児a「しすたー」

孤児b「こんにちは、シスター」

シスター「ああ。あんたたち」

孤児a「きょうのおひるは、ぱんをたべられるの?」

シスター「うん、ごめんよ。ちょっと皆にまわせる分はないんだ」

シスター「夜まで我慢してね」

孤児b「シスター…僕の分を、aにあげてください」

孤児b「僕のほうが大きいから、二回くらいぬいても」

シスター「そういうわけには行かないよ。皆一緒じゃないとダメなんだからね」

孤児b「…わかりました」

タタタ…

シスター「…戦争がおきるたびに孤児が増えてね」

シスター「騎士団ってのは、死んだ親の子の面倒は見ないんだね」

赤騎士「…」

シスター「だから別に、ちょっとくらい手助けしてもらったっていいだろう」

赤騎士「お前が見つかったらこの子達はどうなる」

シスター「…そうだね。その時はさ」

シスター「吊られながら、貴族と騎士共に文句言ってやるよ」

赤騎士「…」

カシャーン

シスター「!」

シスター「あいつら…」

赤騎士「ぬ」

タタタ…

黄従騎士a「さあマザー、今月の上納をいただきにきたぞ」

黄従騎士b「茶葉販売の権利を与えているのだからな。感謝を桁にして込めろよ!」

マザー「ああ、解ったよ…解ったから乱暴にしないどくれ」

マザー「ほら。これだよ」

黄従a「フン、素直でよろしい」

黄従b「せいぜい稼いでくれよ。われわれの懐も潤うわ!」

シスター「…あんたら」

黄従a「おおシスター殿。奉仕活動の途中かな」

シスター「ここは貴族領主様の領地だ。なんで黄騎士様のお許しを頂かないといけないんだい!」

黄従b「販売権利と土地とは無関係なんだよ」

黄従b「この地域の茶葉の利権はすべて黄騎士様にある」

シスター「…くっ…」

黄従a「つまらぬ疑問を持たず身体を動かしなされ」

黄従a「人生というものは短いからな!はっは!」

赤騎士「…」ズズイ

黄従a「どわぁっ!」

黄従b「あ、赤様!?なぜここに」

赤騎士「茶葉の権利書というのは持ってきているのか」

黄従a「う、ううん?」

赤騎士「提示しないと徴収は出来ないはずだがな」

黄従a「も、もちろんここにあるぞ。ホレ」

赤騎士「…」

赤騎士(デタラメだな。無効の記述だ)

赤騎士(こんなものがまかり通っているのか。領主様に報告せねば)

赤騎士「買おう」

黄従a「は?」

赤騎士「この権利書だ。言い値で買うぞ」

黄従a「あ、いえこれはその…」

赤騎士「言わないのならばこちらで査定して適当に金額を出す」

黄従b「いえそのような、赤様の手を煩わせるわけには!」

赤騎士「ならばまあ、商談といこうか」

シスター「…」ポカーン



赤騎士「黄殿によろしくな」

黄従a「ははっ、失礼いたす!」

シスター「…」

シスター「何のつもりだい」

赤騎士「金になりそうだからな。俺がかわりに搾り取ってやる」

シスター「ああ、そういうこと…」

シスター「情けのつもりかい」

赤騎士「お前は耳が遠いのか?搾取するといったのだぞ」

シスター「いっただろ。あんた、金の匂いしないんだよ」

シスター「何のつもりだよ」

赤騎士「…」

赤騎士「お前が欲しい」

シスター「は?」

赤騎士「ここの茶葉を私の騎士団で買おう。言い値でな」

赤騎士「さらに寄付金もつけよう。いずれ良い茶の名産地になるだろうからな」

赤騎士「その交換条件だ。結婚してくれ」

シスター「な、な…?///」

赤騎士「まあ、断っても茶は買うがな」

シスター「それは交換条件っていわねえよ…」

赤騎士「そうだな」

シスター「…」

シスター「わたしでいいのかよ」

赤騎士「違う」

赤騎士「お前が、良いのだ」

……



紅「っていう話なんだがな。何回聞かされたか解らねえぜ」

姫「…素敵な出会いだったんですね…お義父様も、お義母様も」

緑妹(冗句のセンスの無さはしっかり受け継いでますね)

紅「ま、寝る前の昔話にしてはちょっと短すぎたかな」

姫「そんなことありませんわ」

緑妹「旦那様がヘタレなルーツも解りましたし」

紅「あのなあ…大体よ」

紅「せっかくベッド三つかったのに、なんで俺のとこで寝ようとしてんだよ!」

姫「あなたの心音、とても落ち着くんですもの…」

紅「ひ、姫様…そんなひっつくと」

緑妹「ロリコンの血が騒ぎますか」

紅「緑妹…お前まだそんなことを」

姫「…わたくし、緑妹様がうらやましい」

姫「わたくしも敬語ではなく普通に接して欲しいですわ」

紅「いや、でもそれは…」

姫「…」ジッ…

紅「ひ…姫様…」

姫「…あなた…」

紅「す、少しずつ慣れる様、努力してみます」

姫「本当ですの?」

紅「はあ、はい」

姫「ふふ、嬉しいですわっ」

紅「ちょ、そんなしがみつ…!」

緑妹「あーあ。すっかり二人だけの世界ですか?」

紅「とか良いながらお前まで何してんだよ」

緑妹「私の役目をお忘れみたいですね、旦那様」

緑妹「これでも精一杯誘惑してるんですよ」

紅「ばっ、何言って!///」

姫「わたくしも…早くあなたのややこが欲しいですわ」

紅「姫様まで!?」

姫「あなた…」

緑妹「旦那様…」

紅「あ、ちょまって、そうだ、馬小屋!塗装して、赤いペンキあそこに置いたままだった」

紅「どかさねえと愛馬が蹴る!か、片付けねえと!」

姫「…」スルスル…

緑妹「…」シュルッ…

紅「あ、待って、ちょっと、二人とも待っ…」

紅「アッ―――――――――――!!」

アッ――――――――!!

愛馬「…」モッシャモッシャ…

愛馬「…?」

『 thank yo for yo r time! 』

愛馬「…」パッカパッカ

愛馬「…」

チャプッチャプッ

パコッ! パコッ!

愛馬「…ブルルッ…」

パカッ…パカッ…


カナカナカナカナ…

リーリー…

『 thank you for your time! 』

今度こそ本当に終わり
あんま笑わせるなwwwwww書くのに支障が出るレベルだったわwwwwwww

支援本当にありがとう

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom