如月「消されるな、この想い」 (30)



・初投稿です。

・艦隊これくしょんのssです。

・独自設定あり。

・地の文、誤字脱字、駄文、妙なところで改行あり。

・胸糞表現あり。

・アニメネタあり。

・荒らしやコメ上の喧嘩は避けて頂くようお願い致します。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429196663


潮「き、如月ちゃん…? だ、大丈夫?」

如月「………」

夕立「だめ、っぽい?」

潮「ど、どうしよう?」

夕立「………」

夕立(だめだ…!!)

夕立(何か言おうにも、今の夕立が何言っても逆効果になるっぽい…で、潮ちゃんはテンパってる…)

夕立(この時間(深夜)じゃ来客による空気の入れ替えもできない…)

夕立(余計な慰めを入れないで、如月ちゃんを元気にする方法…方法…!!)

夕立( 無 い ! )

夕立( 詰 ん だ っ ぽ い ! ! )ダラダラ


如月「…夕立ちゃん、潮ちゃん」

潮・夕立「はいっ!?」ビクッ

如月「ちょっと…外…出るわね」

潮・夕立「アッハイ。ドーゾ」

如月「遅くなると思うから…先に寝てていいからね?」ガチャ

潮・夕立「アッハイ」

バタンッ

潮・夕立「………」

潮・夕立「………」


夕立「…どうする?」

潮「…どうしよう?」

夕立「ああ言ってたけど、如月ちゃんが帰ってくるまで起きて待ってようか」コンコン

潮「はい?」ガチャ

提督「やっぱり起きてた」クスッ

潮「てっ提督?」

提督「まぁいいや。如月ここにいない?」

夕立「如月ちゃんなら、さっき出かけに行っちゃった」

提督「マジか。泊地内からは出ないと思うけど…どこに行くかって言ってた?」

潮「それが何も言ってなくて」

提督「…大丈夫かな」

提督「三人ともこの時間まで起きてるって事は、観てたんでしょ?」

夕立「…うん」


潮「如月ちゃん、あのシーン見てから顔真っ青で…どうしたらいいかわからなくて…」

提督「辛いだろうな」

提督「自分が沈む瞬間を見せつけられるなんて」ジリリリリン

提督「はっ…!? 電話!? こんな時間に!?」ピッ

提督「はいっ、もしもし提督です…っ!?」チラッ

夕立(あっ、これヤバイ人から電話来たっぽい)

潮(凄い視線が泳いでる)

提督「…はい。それに関しては…はい………」

提督「~~~~~~~~~!!」

提督「はい!大丈夫です!はい!こちらは………」

潮「提督行っちゃった…」

夕立「…空気読んでほしいよね、電話」


潮「………」

夕立「………」

潮「………はぁ…」

夕立「?」

潮「…夕立ちゃん。私達、戦ってるんだよね」

夕立「うん」

潮「私達も、いつ、『あの如月ちゃん』みたいになるかもわからない」

潮「もしかしたら明日、ここに敵が押し寄せて…何もできずに死んじゃうかもしれない」

潮「戦って、勝った、と思ったところに爆弾が落ちてきて死んじゃうかもしれない」

潮「友達も沢山できて、提督も優しくて、ここでの生活は楽しいけど」

潮「このまま死んじゃう可能性もあるって…怖い……」

夕立「だとしても」

夕立「逃げたところで、何かが変わるわけでもないっぽい」

潮「わかってる…わかってるけど……」

潮「怖いものは、怖いよ…!!」

夕立「……………」


如月「………はぁ…」

如月(やだ…結構潮風強い…髪が…)ヒュウウウウウウ

如月(『髪が痛んじゃう』………か)

如月(………あの如月も、そうだったわね)バッ

如月(敵機は、無し…って私、何やってるのかしら)

如月(前線基地でもない、こんな所まで敵の艦載機が来るわけないのに)

如月(それにあれはテレビ、テレビなんだから)

如月(私は、ちゃんとここにいる…!)ズキッ

如月(…何かしら。この胸の痛み。さっきから痛みが治まらない)ズキズキ

如月(…何で私、泣いてるんだろう)

如月(あれはテレビでの事…)

如月(私のことじゃない…私のことじゃないのに…)

如月(私は、沈んでなんかいないのに…)

如月(何で、涙が止まらないの…?)

短いですが、今回は導入の書き溜め分までで。

仕事の都合で更新が不定期ですがよろしくお願いします。

>>1です。コテハンを付けてみました。これでできてるのかな?

めっちゃ遅くなりましたが、今日の夜更新します。


イベントは目標だったリットリオが手に入って満足。高波ドロップして大満足。
如月はあともうちょいで改二になりそうです。このssが終わる頃には改二になるのだろうか。

酉…

今日の夜…21日の夜とは言っていないけど!言ってないけど!

今から更新します!


あとコテハンっていうんじゃなくてトリップっていうんですね、>>14で付けたやつ。
>>15さんの書き込みが気になって、調べて知りました。>>15さん感謝です!


如月「…」ガチャ

夕立「あっ」

潮「如月ちゃん、おかえり」

如月「ただいま、二人とも」

夕立「どこに行ってたの?さっき提督さんが探しに来てたよ」

如月「ちょっと海を見ていたの」

如月「それよりごめんね。待たせちゃったみたいで」

如月「早く寝ましょう? 明日は演習なんだから」

潮「うん」

夕立「…電気消すね。おやすみ」

潮「おやすみなさい」

如月「おやすみなさい」

夕立(…如月ちゃん)

夕立(目、赤かったな。泣いてたんだ)

夕立(そりゃそうだよね。自分とそっくりな人が一人、間違いなく死んでるんだから)

夕立(色々思うところくらいあるわよね)


気が付くと私は、海の上で一人、立っていた。

遠くの方で、何かが爆発する音が聞こえる。何度も何度も聞いてきた、聞き飽きた位の音。

耳に水が詰まったような感覚。

爆音に紛れて誰かの叫び声が聞こえる。

回避、大発、不可

機銃、魚雷、敵機接近

――――敵機?

首が、頭が、視界を上に動かした。

青い空に、黒い影。あぁ、敵機だ。

避けなきゃ、殺される。

動かない。動いて、動いてよ。

影が近付く。嫌だ、来ないで。

影から小さな影が出てくる。それが何かは、もう、考えるまでもない。

吸い込まれるように、私の身体にぶつかってきたそれは、

破裂して、中から飛び出した炎が私を包み込んだ。

痛い、息ができない、炎が剥がれない。

熱い、身体が燃える、決して逃げられない。

顔まで上ってきた炎と、足まで覆い尽くした炎が重なって、私の身体を逆方向に折り曲げる。


そして、形容しがたい未体験の痛みと共に

私の身体は二つに千切れた。


如月「んあぁっ!!」ガバッ

如月「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」

如月「………あ」

如月(夢?)

如月(あれが夢?)

如月(あんなに…死んじゃうくらい痛かったのに…)

如月(怖かったのに)

如月(あれ?)チカッチカッ

如月(…私の携帯)カチッ


『テレビ見たよ。大丈夫?』


如月(………)

如月(…久しぶりのメールね。パパ)


「本当に、なるのか?」

「うん」

「如月型艦娘の適正があるって決めてから、これしかないって思ってた」

「パパの会社の名前と一緒で、パパの会社が艤装を作って」

「そんなパパの娘が『如月』の適正者! これって運命だと思うの」

「運命なんて…そんな事で命を粗末にするなんて」

「粗末になんてしないわよ」

「私も『如月』になって、色んな『如月』のお手本みたいになりたい」

「なにより私が活躍すれば、パパの会社も有名になる!」

「………」

「大丈夫よ。パパが作ってくれた艤装なんだから」

「…わかった。でも無理はしないでくれ」ギュッ

「顔が変わって、遺伝子が変わっても、お前はパパの娘なんだ」

「パパとママはお前を愛している。どんな姿になってもだ」

「それだけは忘れないし、忘れてほしくない」

「そして、俺達は愛する娘の死に顔は絶対に見たくない」

「うん」

「死ぬ位なら活躍なんてしなくていい。無理はしないでくれ」

「うん」

「本当なら、傷付く事も嫌なんだ」

「うん」

「だから絶対、絶対、生きて帰ってきてくれ」

「…うん」


如月「………」ピッ

『支給品の中にこれが入ってるのを見てびっくりしたかな?』

『軍の人にお願いして、これだけ入れさせてもらった』

『この携帯が――との唯一の繋がりになると思う』

『本当なら、俺と――はもう親子ではない。艦娘になると顔も遺伝子も変わってしまう』

『今まで使っていた名前も封印して、艦の名前が新しい名前になる』

『だからよほどの事が無い限り、連絡はできない』

『でも、もし本当に辛くなった時は』

『逃げ出したいくらい辛くなった時は』

『電話してほしい』

『うちの財力なら、艦娘を一人連れ出す事くらい簡単にできる』

『いつでも迎えに行けるから』

『だからまた声を聞かせてほしい』

『パパより』

如月「………」

如月(うぅん。まだ大丈夫)

如月(…大丈夫!…大丈夫!!)ズキンッ

如月(こんな、胸の痛みなんて、耐えられる…!!)

如月(……耐えなきゃ…!!)

如月(パパの為に……司令官の為にも……!!)


阿賀野「さーみんなー! 今日も今日とて演習だよー!」

龍田「提督はいないけど、代わりに大淀ちゃんが演習相手見つけてきてくれたからねー」

龍田「…って」

如月「…………」

龍田「如月ちゃん?」

如月「!」ピクン

龍田「大丈夫?」

如月「えっ、え…えぇ! いつでも大丈夫ですわ」

龍田「…本当に?」

如月「はい」

夕立「………」

龍田「無理しちゃ駄目よー? あなた達はうちの期待の新人さんなんだから」

阿賀野「そうだよ? 私たちのはじめての部下なんだし、みんな大事なんだから!!」

潮「あははっ…ありがとうございます」

阿賀野「それじゃあ、今日の演習相手は―――」


阿賀野「偵察機ちゃんから入電…うんっ敵艦発見!」

龍田「軽母1、軽巡2、駆逐3。典型的な軽空母戦隊ね」

夕立「こっちは軽巡2の駆逐4だから、制空権は取られる!?」

暁「空からの攻撃をしのいだらこっちの番なんだから!」

阿賀野「ノンノン、一個大事な事忘れてない?」

阿賀野「こないだの作戦で支給された装備、こっちに回してもらってるのよ!」

阿賀野「91式高射装置!これで私たちも対空の鬼よ!!」

龍田「今回の演習は高射装置の運用試験…兼対空の訓練ってところねー」

阿賀野「って言ってる間に敵艦隊見ゆ!!」

阿賀野「それじゃ一番手、潮ちゃん!早速高射装置使って!!」

潮「は、はいっ!!」ドォン!ドォン!

龍田「私達も対空やるわよ」

阿賀野「アイアイ。対空にも便利な阿賀野砲の力、見せてあげるんだから!!」

潮「くっうぅぅぅぅ!!」ドォン!ドォン!

龍田「討ち漏らし…でもいい線いってるんじゃない?」

阿賀野「才能だねー…みんな一回はやってもらおうと思ってたけど、しょっぱな当たり引いちゃった?」

夕立「如月ちゃん!そっち行った!!」

如月「!!」


その瞬間

自分に飛び掛る零戦から浮かび上がる二つの影を、如月は見た。

一つはモノトーンで構成されたUFOのような、見飽きた物体。

もう一つは大きな星の印がある飛行機のような、見慣れない物。

その二つの影はただ飛んでいるだけなのに

如月の脳と心臓を、確実に、激しく揺さぶった。

「ひっ!」

乱れた電気信号と血流が身体の動きを阻害する。

それは零戦からして見れば、好機以外の何者でもない。

零戦は動きの止まった如月に訓練用爆弾を投げ込んだ。

搭乗していた妖精は一瞬心に引っかかるものを感じたが、その事について考えるのを放棄した。

背中から爆音が聞こえて来た時には、

彼の頭の中には自分の空母に帰る事と昼飯の事しかなかった。


如月「」ドシャァ

潮「如月ちゃん!!」

阿賀野「んっく…大破判定1ぃ!」

阿賀野「大丈夫?」

如月「あっ…あっ、あっ………」ガタガタ

阿賀野「…え?」

夕立「…如月ちゃん!? 如月ちゃん!?」

暁「ちょっと! どうしちゃったの!?」

潮「如月ちゃん!!如月ちゃん!!!」

龍田「!!」

龍田「中止!! 演習、中止!!!」

「?」

「どうしたんですか?」

阿賀野「ごめんね。うちの子が一人、様子がおかしいの」

「様子がー?」

阿賀野「報告はこっちの負けって事にしてもらっていいから!」ザアアアアア


「どうしたんだろうね?」

「まぁ、何となくだが、わかった」

「え?」

「様子が変なのって、向こうの艦隊の如月だろ?」

「多分、昨日のドキュメンタリー番組だ」

「昨日のって…如月が沈んだ、あれ?」

「あぁ。多分、あれで艦載機に対しての恐怖心が植え付けられちまったんだ」

「恐怖を刷り込まれたボクサーが、相手のパンチを見ただけで目を背けたり体が硬直したりしてしまう『パンチ・アイ』というものがあるが…」

「あの如月は、艦載機に対して同じような事が起こっている」

「そんな、たかがテレビ番組で…」

「俺達にとってはそうだろうな」

「だけどアイツにとっては、自分自身が自分の目の前で殺されたも同然だ」

「しかも自分がいつ同じ死に方をするかもわからない状況で、ショックを受けないはずがない」

「恐怖しないはずがない」

「………」

「ボクシングにしろ、砲雷撃戦にしろ、一瞬の隙が敗北に直結する」

「過剰な反応をしてしまう奴は、もう使い物にはならない」

「アイツも艦娘としては、もうやっていけないだろう」

「私が…」

「気に病む必要は無ぇよ。時間の問題だったんだ」

「あれが流れちまった時点でな」

やっぱり短いですが、今回はここまで。

遅くなった理由の2割は参考資料の為に買ったはじめの一歩を読みふけっていたから。
はじめの一歩は学校でチラ見した程度のものだったけど当時の自分には、茂田のあのシーンが千堂戦とかブライアン戦とか以上に印象に残っていました。
ある意味このssの根本に茂田はいます。

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