木場真奈美「長崎の料理かい?」 (45)

P「はい、近々出張で行くことになったのでですね」

真奈美「ふむ……」

P「木場さんなら、味に信頼のおける店を多く知っているのではないかと」

真奈美「知らないこともないが、長いこと向こうにいたのでね。正直なところ記憶が朧気なんだが……」

P「まあ参考までに。タクシーの運転手にでも聞けば済む話ですが、ここは木場さんにと思ったので」

真奈美「フフ、そう言われて悪い気はしないな」

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P「とりあえず、どこか良いちゃんぽんの店があるなら……」

真奈美「ちゃんぽん? こう言ってはなんだが、ベタだな」

P「だからこそですよ。本場なら店も様々なのではないかと」

真奈美「そうかい。フム……」

P「心当たりが?」

真奈美「…………」

P「…………」

真奈美「…………」

P「…………」

真奈美「リンガーハットだな」

P「ウソでしょ」

真奈美「何を言ってるんだい、私は大真面目だ」

P「全国チェーン店じゃあないですか」

真奈美「全国チェーンとは言うがね、案外店によって味が違うものだよ」

P「いやまあ、そりゃあ多少はあるかもしれませんが……」

真奈美「大体、東日本と西日本で味覚が結構違うというじゃないか」

P「ええー……そうなんですかねえ……」

真奈美「少なくともね、ちゃんぽんは県内のどこで食べても美味いんだ」

P「はあ」

真奈美「勿論リンガーハットとて例外ではない。県内の店舗に限るがね」

真奈美「ほら、福岡で食べるラーメンと同じだよ。東京でまともな豚骨ラーメンには滅多に出会えないのと一緒さ」

P「えっ、じゃあ俺が食べてる豚骨って……」

真奈美「まあそれはともかく。何せちゃんぽんを食べられる店というのは多くあるからな」

真奈美「それなら看板の分かりやすいリンガーハットを勧めるのが一番というワケさ」

P「なるほど……。そういうものなんですねえ」

真奈美「地方の名物というのはえてしてそういうものだよ」

P「ちなみに、真奈美さんが好きなちゃんぽんは?」

真奈美「食い下がるね君は」

P「まあ参考までに」

真奈美「……私は江山楼だな。知っている限り、中華街と浦上に店舗がある」

P「江山楼、と」

真奈美「あくまで。よく食べに行った店の話だ。本当にどの店も甲乙つけ難いものだよ」

真奈美「今挙げたのは老舗の中華料理屋だが、よくある話の通りオンボロな店構えであっても味は良い。保証しよう」

真奈美「ちゃんぽんだけかい?」

P「ええと……皿うどん――も、リンガーハットか」

真奈美「いいや、あー……リンガーハットに太麺はあったかな」

P「太麺? 皿うどんの?」

真奈美「ああ、皿うどんには太麺と細麺があるんだよ」

P(あのパリッパリが太くなるのか……? それはパリパリか?)

真奈美「大体考えていることは分かる。多分違うぞ」

真奈美「ま、言うなれば『あんかけちゃんぽん』ってところかな。ちゃんぽん麺に皿うどんのあんをかけたものだよ」

P「それも皿うどんなんです?」

真奈美「ああ、酢がよく合うんだ。何故東京の人はソースなんてかけているんだろうな」

P「ソースがどうかっていうのは概ね賛成ですが……あのパリパリとあんの相性が皿うどんの魅力なんじゃあ?」

真奈美「まあそこは人によりけりだろう。別に県民の誰もが好んで太麺を食べているワケじゃあない」

P「まあそりゃそうですよねえ。ケンミ○ショーかって」

真奈美「熱の少ないフライ麺と違って一切冷めないしな。あの熱さは猫舌じゃなくてもつらいものがあるぞ」

真奈美「これもちゃんぽんを扱っている店であれば大体あるだろう。リンガーハットはどうだったかな……」

P「じゃあ、えっと……カステラ?」

真奈美「案外名物というのは広まらないものだな。いつ話を聞いていてもその3つだ」

P「色々あるんです?」

真奈美「長崎は観光都市だからな。料理に関しては様々だよ。自然環境にも恵まれていることだしね」

P「では、折角なのでそれについても追々……」

真奈美「いいだろう。それで、カステラだったかい?」

P「ええ、カステラ」

真奈美「福砂屋」

P「即答て」

真奈美「これに関してはハッキリしているよ。福砂屋だ」

P「あまり聞かない名ですね」

真奈美「ま、文明堂が広告で成功したからね。勿論文明堂も美味いのは違いないし、優れた店は多くあるが……福砂屋だ」

P「そこまで言うのなら、覚えておきます」

真奈美「まずザラメの無いカステラは理解できないよ」

P「リンガーハット、福砂屋、と……」メモメモ

真奈美「オーソドックスなカステラ以外が食べたいのなら和泉屋もいい。長崎しよこらあとは気に入ったよ」

P「ショコラート?」

真奈美「ああ、カステラをチョコレートでコーティングした代物だ。あまり甘さもくどくなくてね」

P「カステラもやっぱりバリエーションが?」

真奈美「ああ、というより菓子全般が相当多彩だね。和洋中折衷の街だからな」

P「確かに……言われてみればそうなんですね」

真奈美「洋食というと……トルコライスだな」

P「トルコ? オランダじゃあなく?」

真奈美「ああいや、国としてのトルコはほぼ関係ないな。由来に関しては私もよく知らないが」

P「ますます分かりませんね。いや、どこかで聞いた気も……」

真奈美「洋食盛り合わせ、とでも言うべきか。豚カツ、エビフライ、ナポリタン、サラダ……そしてカレー或いはピラフを一枚の大皿に盛り合わせたものだ」

P「なんというか、ボリュームが」

真奈美「トルコは大食の国だからな。由来もそこにあるかもしれないね」

真奈美「それだけのせていながら、安くて美味いんだこれが。都内のヘタな定食屋に行くのが馬鹿馬鹿しくなるほどさ」

P「それは、興味ありますね」

真奈美「私も鍛えていたものだからよく世話になったよ。体力は食からだ」

真奈美「お勧めは市内の住吉という町だ。アーケード内にトルコライスが700円以下で頂ける店があるよ」

P「ヘタなラーメンより安いじゃないですか」

真奈美「ああ、あれを知ると少なくとも700円以上払わせるラーメン屋には入りたくないものだな。すぐ近くの市場から仕入れているのだろう、味も保証できるよ」

P「それはぜひ行ってみたいかも……」

真奈美「その店不定期で休みになるから気をつけるようにな。近くに美味いラーメン屋も3軒ある」

P「おお、それはまた……」

P「あとは……」

真奈美「ぱっと思い浮かぶのは角煮まんとハトシだな」

P「角煮まん?」

真奈美「その名の通りだよ。よく煮込んだ角煮を饅頭の生地に挟んだものだ」

P「ほうほう、それは……」ゴクリ

真奈美「県民はあまり食べないな。観光客なら気にしないだろうが、トルコライスやちゃんぽんが遥かにコストパフォーマンスで勝っていてね」

真奈美「美味いのは間違いないよ。食べないほうが損をすることだろう」

P「えー、で……その、ハトシ? というのは……」

真奈美「名前では分からないだろうな、間違いなく。海老のすりみを食パンでサンドしてまるごと揚げたものだ」

P「次々と美味そうなものが……」

真奈美「実は名物には事欠かないんだな、長崎は。それなりに歴史がある」

P「さすがは観光都市ですか」

真奈美「ハトシなら浜の町のアーケードを適当に歩いていればそこらで売っている。安く買えるからお勧めしよう」

真奈美「さて、名物と銘打ったものは結構挙げたが、他になにか?」

P「こうなると食関連色々気になりますね」

真奈美「ふむ、長崎は食においては相当優れているぞ」

真奈美「まずよく知られている通り、海産物が豊富だ。ブリ、鯛、鯵、カサゴ……特によく獲れるのはこのあたりか」

真奈美「すり身にかけては相当でな。ほら、ちゃんぽんでよく見るだろう? ショッキングな色のかまぼこ。あれもかなりの歴史があるよ」

P「単体で見たら絶対食欲失くすだろうに、ちゃんぽんに入ってると美味そうに見えるんですよねえ」

真奈美「それに魚介だしを用いた料理が多い。直接市場に行くのもいいだろう」

P「市場……そうか、その手もありますね」

真奈美「魚だけじゃあないぞ。まさに近年ながさき和牛が内閣総理大臣賞を受賞したところでね」

P「な、内閣総理大臣賞……?」

真奈美「大体お察しの通りさ。日本一のブランド牛に選ばれた実績があるんだ」

P「おお、なんかもう色々と……」

真奈美「地形状、柑橘系のフルーツにも恵まれる。フルーツならそれこそ名物のビワもあるが」

真奈美「それと、あまり知られていないがじゃがいもの生産量は北海道に次いで2位だな」

P「え、それってかなり凄いんじゃあ……」

真奈美「さ、キリがないよ。結論から言って、とにかく長崎の料理は美味いということだ。存分に楽しんでくるといいさ」

P「なんかもうワックワクしてきました」

真奈美「フッ、子供かい?」

P「出張楽しみだなあ」

真奈美「……ああ、それと和洋中楽しむなら料亭の卓袱でもいいな」

P「しっぽく……?」

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P「泰葉。『しっぽく』とゆっくり言ってくれないか?」

泰葉「はい……?」

真奈美「ちょっと君」




おしまい

我慢できなくなったからオチに泰葉ねじこんでやったぜ
本当は画像付きで飯テロ仕掛けてやろうかと思いましたが、この時間にそんなことすると自分にダメージが来るのでやめました

お付き合いいただきありがとうございました、実家帰りたい

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