女「やあ、男!」男「!?」(27)

男「誰だよ、おまえ」

女「分かってるくせに」

男「いや全く分からない、知りません」

男(前に会った奴か?・・・覚えてない)

女「バスまだ来ないな」

男「・・・・・・」

女「おせーなー」

男「・・・そもそもここ、バス停じゃないし」

女「あん?何か言ったか?」

男「だから、ここには留まりませんから・・・」

女「マジで?路線変わったのか?」

男「・・・・・・」

女「そうか・・・ありがとな」

男「・・・・・・」

男「何なんだあいつ・・・」

男「何で俺の名前を?」

男「・・・コーラでも買うか・・・」

ピ、ガラン

男「・・・・・・」プシュ

男(コーラなんか飲みたくないのに)

男「何だったんだ・・・何で俺の名前を?」

男「ま、いっか」

男「・・・・・・」

男「あの芳香・・・」

男「いかん何考えてんだ」

男「ただいまーってか誰もいないし」

男「しかも釣り銭取り忘れた」

男「はあ・・・退屈だ」

男「tvでも見るか・・・・・・」

男「その頭上には常に時計が乗っている」

男「今日もイタリアの高級料理」

男「・・・の写真を見ながら、白飯を食べよう」

男「もう慣れたな」

男「これがいいのか悪いのか・・・」

男「自販機で金欠とは」

【tel】

男「こんな時に・・・」

カチャ

女「よお」

男「あの、どち」

女「昼間の奴ですけんど」

男「何で電話番号しってんだよ」

女「いや、元々知ってたよ」

男「そうにしても」

女「んー、まあ、これはあれですよ、はい」

男「ちゃんと話せ」

女「私もよく分からないんだ・・・気がついたら男の所在を知っていて、こうしてここにいたんだ」

女「男の家の前に」

男「何だって!」

女「ここしか行く宛がないかのように・・・」

男「そうか・・・とりあえず中入れよ・・・」

女「いや、入る気はないんだけど」

女「ただここに辿り着いただけなんで、帰るわ」

男「気がついたら知ってたって言ってたな・・・」

男「いや、そんなことは有り得ない」

男「初めから知ってるんじゃないか?」

男「でも俺、ほんとに覚えてないんだ」

男「その間の記憶がないってゆか」

男「卒業文集に載ってるかも・・・」

男「たしかここに・・・あった」

パラパラ

男「!・・・・・・」

男「ページが・・・真っ白になってる・・・・・・」

男「こっちは?」

男「そんな・・・全て消えてる」

男「あ」

男「自分の写真だけ残ってる」

男「過去の記憶が全て消えてた」

男「それなのに何故、女と会った後のことは覚えているんだ」

男「もしかしてあれが、俺の記憶の始まりなのか・・・」



女「おー、男。久しぶり」

男「あ、あのときの・・・」

男(そうだ!)

男「あの、俺さ、俺の」

女「何だこのヤロウ」

男「あの、俺の記憶が、消えたんだけど」

女「消えた?そもそも男には記憶がないはずだけど」

男「え?」

女「だから男が、その、生まれたときから、記憶がないっていうあれで」

女「じゃ、これで」

女(危ねー)

女(実は私だなんて言えねーよ・・・)

女(すげー動揺してたな・・・)

女(悟られたかなー)

男(なんで教えてくれないんだ・・・)

男(アレってなんだよ・・・)

男(なんか隠してんのか?)

男(生まれたときから・・・・・・)

女「やっぱりあの時、あのまま殺したほうが良かったかもしれない」

女「あいつは生き延びたけど、それは自分の記憶に不安を覚えさせるだけだ」

女「男を救うことはできなかった」

男「アルバムには載ってないか・・・」

男「見覚えのない写真ばっかだ」

男「これは川?海か?」

男「やっぱり俺だけだな。他の奴らはどこに消えたんだ」

男「なんで道路の写真なんか撮ってんだよ・・・」

男「あれ、この道は・・・?」

男「川沿いの道・・・」

男「そうだ、ここで何か事件があったはずだ」

男「何が起こっていた?」

男「覚えてない」

男「そして、ここが何処だったかも」

女「ここだったな・・」

女「これで、男を」

女「・・・・・・」

女「そっからあそこに戻って・・・」

女「ここで先日、突然男の記憶が消えた」

女「頭部に衝撃を受けた男は、ここに倒れ込んだ」

女「丁度私は、その現場を目撃していた」

女「衝撃的だったよ」

女「まあその時はスルーしたのだが」

女「数時間後に、再びそこに行った。男は まだいた」

女「とりあえずその先の小屋に運んだ」

女「なぜ運んだか・・・このあたりでは臓器が高値で取引されている」

女「私は臓器密売団体の人間だった」

女「・・・そのために、あの場所で男を殺したんだ」

女「・・・・・・」

女「しかし私は、禁じられた能力で彼を蘇らせてしまった」

女「自分の職が犯罪とは分かっていた

女「だから、彼を生かしてやろうと思ったんだ」

女「そうすれば、今までの罪を償えると考えた」

女「考えは浅かった」

>>14から男と女は別行動です)

男「ひとつ疑問がある」

男「俺の後頭部の傷跡、これはなんだ」

男「こんなの無かった」

男「これが原因で記憶が消えたのだろう」

男「いつの間にか撃たれていた」

男「いったい誰が、俺を殺そうとしたんだ」

男「勝手に攻撃されて、記憶を支配される俺って・・・」

男「嫌な予感がするな」

男「そのうち殺されるんじゃないか」



女「・・・男」

男「あ、どうも」

女「ちょっといい?」

男「何」

女「・・・・・・」

男「何だ」

女(これは話さないほうがいいか・・・・・・)

男「最近、妙な事が起きたんだ」

男「俺の過去が、跡形もなくなったんだ」

女(やはり・・・・・・)

男「それより、何か俺に用?」

女「そのことなんだけど」

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