城ヶ崎美嘉「美嘉先輩のカリスマ★相談室」【岡崎泰葉編】 (66)


美嘉「テレビの前のみんな、美嘉だよ★」

美嘉「今日も私、カリスマJKモデルであるアタシ、城ヶ崎美嘉がアイドルたちの悩みをどんどん解決していくよー★」

美嘉「それで助手はいつも通り妹の」

莉嘉「莉嘉だよー☆ みんな、よろしくねー!」

美嘉「この番組は、346プロダクションの提供でお送りしてるよ★」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429097989

あ、特に読まなくても問題ないとは思いますが一応過去作と同一世界観です。

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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428920068/)

美嘉「それじゃ、今日の相談相手、ゲストの紹介!」

美嘉「今日のゲストは、こちら! 前川――」

莉嘉「あ、ねぇねぇお姉ちゃん」

美嘉「ん? 何? 莉嘉」

莉嘉「あのね、Pくんに始まるまでは秘密にしろって言われてたんだけど……今、言ってもいいって言われたから言うね」

美嘉「……? うん。わかった。言って」

莉嘉「……あの、ね。お姉ちゃん。怒らない?」

美嘉「怒るわけないでしょ。プロデューサーに言われたってことは莉嘉は悪くないじゃん。それでアタシが怒ると思う?」

莉嘉「……思わない」

美嘉「うん、そうでしょ。だから、安心して、言って」

莉嘉「うん!」


莉嘉「ゲストがみくちゃんっていうのは嘘で、本当のゲストは泰葉ちゃんなんだ☆」

美嘉「なんで言わなかったの莉嘉!」

莉嘉「ヒッ……お、お姉ちゃん、怒らないって言ったのに……」ジワ

美嘉「ご、ごめん、莉嘉……。ちょ、ちょっと、衝撃的過ぎて……プロデューサーめ……!」ギリッ

莉嘉「……? なんで、泰葉ちゃんだとビックリするの?」

美嘉「それは……」


美嘉(そう言えば、莉嘉、泰葉ちゃんのアレ、知らないんだよね……。と言うか、プロデューサーから『見ないように』って言われてたし)

美嘉(逆にアタシは見てもいいって言われてたけど……アレを見てから、泰葉ちゃんへの見方変わったんだよね……)

美嘉「ま、まあ、色々あったの」

莉嘉「そうなんだ……」

泰葉「そうなんですね……」

美嘉「うん、そうなの」

美嘉「……ん?」


莉嘉「あ、泰葉ちゃんだ。おはよー☆」

泰葉「はい、おはようございます、莉嘉ちゃん」

美嘉「な、なんで、もう居るの……?」プルプル

泰葉「あ、そう言えば、まだ自己紹介がまだでしたね」

泰葉「岡崎泰葉です。今日はよろしくお願いします」

莉嘉「よろしくね、泰葉ちゃん☆」

美嘉「よ、よろしく……」

美嘉(え? ちょ、いきなり過ぎない? ま、まだ心の準備できてないんだけど……)


泰葉「今日は美嘉さんに相談があって来ました」

美嘉「えっ……あ、うん、そうだよね。そういう番組だしね」

泰葉「実は……ファッションのことで」

美嘉「そっかー、ファッションの……んん?」

泰葉「私、実は最近のファッションに疎くて……いえ、もちろん、モデルをやっていたので、一般の人と比べればずっと知っている方だとは思うんですが、たまに、理解できないファッションが登場して……」

泰葉「それで、カリスマJKモデルとして名を馳せている美嘉さんなら、それも解決してくれるかな、と思いまして」

美嘉「え……その、あの」

莉嘉「ほほーぅ、泰葉ちゃん、目の付け所が良いね! お姉ちゃん、そういう相談は大得意だよ! なんたって、カリスマだからね!」

莉嘉「ねっ、お姉ちゃん!」

美嘉「えっ……ま、まあ、そうだね……」


美嘉(莉嘉―! 何言ってるの? ……何言ってるの!? ファッションなんて、泰葉ちゃんの方が詳しいに決まってるじゃん!)

美嘉(泰葉ちゃんがどういう存在だと思ってるの!? アイドルになる前からずっとずっとモデルの最前線に居た人だよ!? 泰葉ちゃんが居るだけで雑誌が『締まる』とさえ言われてたんだよ!?)

美嘉(アタシたちの世代からすればまさしくレジェンド……そんな人に教えることなんてあるわけないじゃん!)

美嘉(――いや、待てよ。待つんだ、アタシ。よく考えろ。泰葉ちゃんがわざわざ『アタシ』に相談するんだ。その意味を考えろ)

美嘉(泰葉ちゃんはアタシの得意分野のギャル系のファッションについてもそこそこ詳しい。それは知ってる。泰葉ちゃんほどの人がそこを落としているとは思えない)

美嘉(でも……でも、だ。泰葉ちゃんも、最近のギャル系ファッションについて、アタシほどは詳しくないんじゃないか?)

美嘉(アタシはカリスマJKモデルと呼ばれている……そう、今のJKのファッションリーダー的存在だ。カリスマだ)

美嘉(つまり、今、アタシほど今のJKのファッションに詳しい人間は存在しない……泰葉ちゃんを含めても、それは同じかもしれない!)

美嘉(そう……きっとそうだ! だから、泰葉ちゃんはアタシに相談したんだ……それしかない!)



莉嘉「それで、そのわからないファッションって何なの?」

泰葉「はい、この『昇天ペガサスMIX盛り』という」

美嘉(わからない! はい! アタシにもわかりません! ごめんなさいでした!)


美嘉(というか何それ……いや、話題になってたから一応知ってるよ? でも……でもさあ)

美嘉(これ、さすがに意味わかんないよ……アタシ、カリスマだけどわかんないよ。カリスマがわからないってことは……カリスマがわからないってことだよ!?)

美嘉(でも……)

莉嘉「」キラキラキラキラ

美嘉(莉嘉のこの期待に満ちた眼差し……この期待に、応えないわけにはいかないっ!)


美嘉「うん……昇天ペガサスMIX盛り、昇天ペガサスMIX盛り、ね……うん、これは少し前、一部で流行したファッションだね」

泰葉「そうなんですか……どこがどう良いんでしょう? 恥ずかしながら、私、これの良さがわからなくて……」

美嘉「そ、それは……わかる人にはわかるの!」

美嘉(ふっ……これでどうだ。ぶっちゃけ、アタシにはこれの良さとか全然わかんないけど……こう言っておけば、カリスマっぽいハズ!)


泰葉「へぇー……莉嘉ちゃん、わかりますか?」

莉嘉「ううん、全然わかんない。ぶっちゃけダサい」

美嘉「!?」

泰葉「うん、でも……美嘉さんが言ってるんですよ?」

美嘉「!?」

莉嘉「うん……だから、ホントはすごくカッコイイんだと思う。でも、ダサいって思っちゃう……アタシ、まだまだだなぁ」

美嘉(莉嘉―! ごめん! ごめんね莉嘉! お姉ちゃんが悪い! お姉ちゃんが悪いの! アタシも何が良いのか全然わかんない! 前衛芸術か何かにしか見えない!)


美嘉(というか、泰葉ちゃん! 泰葉ちゃん、絶対わかってるよね!? なんかすっごく楽しそうだもん!)

美嘉(これがPassion属性を身に付けた泰葉ちゃん……未央をして『かえ姉さまくらい厄介』と言わせただけのことはある……!)

美嘉(……というか、この泰葉ちゃんと同じくらいって楓さんヤバいな)

美嘉(……ううん、今は楓さんのことはいい。ここに楓さんまで入ってきたらアタシにはとても手に負えない)

楓(おんせんいきたい)

美嘉(……何もなかった。うん、何もなかった。何も聞こえてない。アタシ、何も聞こえてないよ。そもそもここに楓さん居ないし。もし聞こえたとしても幻聴。幻聴だから)

美嘉(……次、次にいこう。ファッションに関する質問……おそらく、今みたいな感じのファッションだ)

美嘉(前衛芸術じみたファッションについて色々と言われるはず……それに関しては、さっきのと同じような対処法でなんとかなるはず)

美嘉(莉嘉を騙しているみたいで心が痛むけれど……今はまず、この場から生還することを考えないと!)


美嘉「そ、それで、次は」

泰葉「あ、次はファッションの質問じゃないんです」

美嘉「え」

泰葉「モデルの、仕事についての質問なんです。カリスマJKモデルの美嘉さんに教えてもらおう、と思いまして」

莉嘉「おお! 泰葉ちゃん、それはさっきのよりもっともっと良い相談だね! お姉ちゃんはカリスマだからね。モデルのお仕事に関しては同世代に敵なし、なんだよ!」

美嘉(莉嘉ああああああああああああああああああ!)


美嘉(違う! 違うから! むしろアタシの方が教えてもらいまくりだから!)

美嘉(泰葉ちゃんのモデルスキル、ヤバいから! アタシなんて比じゃないから! アタシもカリスマだけど、泰葉ちゃんは……そう、超★カリスマだから!)

美嘉(確かにそこまで派手じゃあないけど……アタシくらいのカリスマになればわかる。泰葉ちゃんが、どれだけすごい存在か……)

美嘉(そんな泰葉ちゃんに、アタシが教えることなんて……)

美嘉(……いや、待てよ。よく考えろ、アタシ。もしかしたら――)

美嘉(――って、この展開、さっきと同じじゃん!)

美嘉(ないじゃん! 絶対ないじゃん! 絶対アタシに教えられることなんてない流れじゃん!)


美嘉(でも、このまま黙っていても始まらないし……もう、諦めよ)

美嘉「それで……泰葉ちゃん。モデルの仕事でわからないことって、何?」

泰葉「はい。どうして美嘉さんはあんなに際どい格好をして平気でいられるのかなと思って」

美嘉「……ん? え? 今、なんて?」


泰葉「はい、だから、どうしてそんな男の人の性欲を掻き立てるようなドエロイ格好をして平気で色んなポーズをとれるのかな、と思って」

美嘉「ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って。莉嘉も居るんだよ!?」

泰葉「大丈夫です、ね?」

莉嘉「……? あ、ねぇねぇ、泰葉ちゃん、耳栓、そろそろ外してもいい?」

泰葉「ダメです……あ、言っても伝わりませんね」

泰葉「」フルフル

莉嘉「そっか……外してもよくなったら言ってね?」

泰葉「」コクリ

泰葉「と、いうことです」

美嘉「……そ、そうなんだ。それは良かった……」

美嘉(……ん? 良かっ……た?)


泰葉「はい。ですから、存分に話せますね。美嘉さんの誘っているとしか思えない[ピー]っぷりについて」

美嘉「[ピー]とか言わないで!? 泰葉ちゃん、イメージ崩れちゃうよ!?」

美嘉(全然良くなかったー! 全然っ……全然良くないじゃん! むしろ莉嘉が居なくなったことによって泰葉ちゃんの厄介っぷりが増したよ! マシマシになったよ!)

泰葉「大丈夫です、放送ではピー音が入る手はずになっているので」

美嘉「入っていてもダメだよ!? というか、むしろ入っていた方がダメだよ!」

泰葉「そうでしょうか……まあ、イメージくらいどうにかなりますから」

美嘉「どうにかって……本当にどうにかできそうだから恐いんだけど」


泰葉「はい。ですから心配ありません。存分に際どい話をしていきましょう。それで美嘉さん。初体験はいつですか?」

美嘉「ちょ!? ちょっと! さ、さすがにそれはダメでしょ! アタシたち、アイドルだよ!?」

泰葉「アイドルですね。でも、美嘉さんはカリスマJKモデルです。そんな人が……ねぇ?」

美嘉「『ねぇ?』じゃないよ! そんな経験ないよ!」


泰葉「ないんですか。処女ヶ崎美嘉さんだったんですか」

美嘉「そうだよ! アタシは処女ヶ崎美嘉だよ――って、ハッ!」

美嘉(あ、アタシはいったい、何を言っているんだ……アタシはカリスマ。カリスマなんだ。カリスマが、処女……? そんなこと、あってはならない)

美嘉(アイドルであっても、カリスマである限り、アタシは処女であってはいけないんだ……)


泰葉「……美嘉さん?」

美嘉「……ま、まあ、今のは嘘なんだけどね?」

泰葉「そうなんですか……では、そういう経験もある、ということですね?」

美嘉「ウッ……う、うん、まあそうなるね」

泰葉「そうだったんですか!? お相手は!? いつ頃ですか!?」

美嘉「……や、泰葉ちゃん? なんでそんなに前のめりなの?」

泰葉「私も超絶人気子役モデルアイドルである前に一人の女の子ですからね……こういう話には目がないんです!」

美嘉「そうなん……ん? え? 今泰葉ちゃんなんて言った?」


泰葉「? 私も一人の女の子だ……と」

美嘉「そっちじゃなくて」

泰葉「……私が超絶人気子役モデルアイドルだっていう話ですか? 事実でしょう?」

美嘉「え……いや、まあ、はい……で、でも、それ、自分で言っちゃう?」

泰葉「事実ですので」フフーン

美嘉「なんか幸子ちゃんみたいになってる!?」


泰葉「『フフーン! 私はカワイイので』!」

美嘉「うわすごい似てる! ……すごっ! ホントすごい! なんでそこまで似せられるの!?」

泰葉「それは私が超絶人気子役だからですかね」

美嘉「また自分で言っちゃった!? いいの? そういうの、泰葉ちゃんのキャラじゃないよね!?」

泰葉「大丈夫です。これは演出ですから。ということで、視聴者の皆さん。この番組のスタッフロールはきちんと見ましょうね。私がこんなことになっているのはすべて演出の人の指示です。私の意志はまったく介在していません。誤解なきよう」

美嘉「……え? そうな――ってめちゃくちゃ首振ってる!? いや、泰葉ちゃん! 演出さん、めちゃくちゃ首振ってるんだけど!」

泰葉「それも演出です」

美嘉「演出―! 演出って言ったら何でも許されるわけじゃないよ!? というか、単にカットされるだけだと思うよ!?」

泰葉「大丈夫です。ここはカットされません。だって演出ですから……ね?」

美嘉「いや、絶対カットされ――え? カットされない? ……いや演出さんめちゃくちゃ首振ってますけど!? ……監督が絶対カットしない? そ、そうな――演出さん、監督さんに掴みかかってますけど!? だいっ……大丈夫なのコレ!?」

泰葉「大丈夫です。あれも演出ですから」

美嘉「絶対嘘だよね!?」


泰葉「しつこいですね、美嘉さん……というか、さっきの質問にまだ答えていませんよ」

美嘉「えっ……あー、そ、そうだったね。それで、どこまで話したっけ」

泰葉「美嘉さんの初体験はいつどこで誰となのか、という話です」

美嘉「あ、あー……そ、そうだったね」

泰葉「はい。あそこで美嘉さんが処女じゃない発言をした瞬間から嬉しくて泣き崩れているプロデューサーも期待して待っています。早く言って下さい」

美嘉「えっ――ってプロデューサー!? え、何……何ぃ!? ちょ、ちょっとアレヤバくない!? ぷろっ……プロデューサー、本気で泣いてるんだけど!? マイクには入ってないけど、アタシに泣いている声が聞こえるくらい思いっきり泣いてるんだけど!?」


泰葉「美嘉さんがカリスマギャルらしくて嬉しいんでしょう……ほら、聞こえてきますよね。『美嘉ぁ……美嘉ぁ……! おっ、俺……ズズッ……俺はぁ……!』って……これは確実に嬉し泣きですね……」

美嘉「いやそれだけじゃなくてなんか『死のう』とかそういう危ない言葉も聞こえてくるんですけど!?」

泰葉「たぶん嬉しすぎて死にそうなんですよ」

美嘉「絶対違うと思うよ!? ――あっ、あのっ、プロデューサー! あ、アタシっ……アタシ、その……処女だから! さっきのはただの強がりだからー! ……うん、ホント! ホントだから死ぬなんて言わないで!」

美嘉「……ホッ。よ、良かった……というか、プロデューサー、さすがに泣き過ぎでしょ……今も鼻ズルズルだし……とてもテレビに映せる顔してないよ……」

泰葉「……う、嘘……だったんですか!? 騙すなんて……騙すなんてひどいです!」キッ

美嘉「泰葉ちゃん!? いや……いや、今だから言うけど、泰葉ちゃん、絶対知ってたよね!? 知ってて聞いたよね!?」


泰葉「そんなことないですよ。私は美嘉さんがドヤ顔で『アタシは処女じゃないよ! だって、男の子と手をつないだことあるもん!』なんて言うことを予想していましたから」

美嘉「アタシの物真似でそんなこと言わないで!? というか、そのイメージはさすがにひどすぎない!? 泰葉ちゃんの中でアタシのイメージってどうなってるの!?」

泰葉「乙女ヶ崎美嘉、ですかね」

美嘉「お願いだからその名前で呼ばないで! 本当……本当、お願いだから!」


美嘉「というか、それ、本当に勘違いだからね!? むしろどうしてそんな誤解をされているのか理解できないんだけど!?」

泰葉「まあ、ゲーム中の台詞でも『ねーねープロデューサー、ちょっと視線がエロいんだけど~? あはっ、図星だったかな! ふふっ、そーゆートコかわいー★』なんて言ってますしね」

美嘉「なんで知って――ってゲームって何!?」

泰葉「でも、その上で滲み出る乙女っぷり……! 美嘉さんは少女漫画の主人公みたいだと言う人も居るくらいですからね」

美嘉「アタシ、そんな風に言われてるの!? さすがにそれは初耳だったんだけど!」


泰葉「まあ要するに、美嘉さんはギャルっぽいですが同時に乙女っぽくもあるってことですね。どちらかだけじゃなくて、どちらもがあってこそ美嘉さんなんですから。そこのところがわかっていない人が多いです」プンスカ

美嘉「えっ……え? これ、アタシ、どう反応すればいいの……? アタシを目の前にしてアタシについて語らないで欲しいんだけど……」

泰葉「そもそも、美嘉さんはカリスマギャルです。カリスマですよ? 確かに乙女っぽくもありますが……乙女っぽさとギャルっぽさは両立できないものではありません。それを両立しているのが美嘉さんなんです。処女ヶ崎美嘉、乙女ヶ崎美嘉と言うのは自由にしていいですが、『ギャル』なところもあってこそ、というのを忘れないで下さいね!」

美嘉「泰葉ちゃん……いや一瞬受け入れかけたけど処女ヶ崎美嘉とか乙女ヶ崎美嘉とか呼ぶのは自由にしないで!? そう呼ばれるのを許した覚えないよ!?」

泰葉「……今の流れだといけると思ったのに」

美嘉「いけないよ!?」


莉嘉「……泰葉ちゃん、お姉ちゃーん。まだ、外しちゃいけないの……?」

美嘉「あっ……そう言えば、莉嘉、まだ耳栓外してないんだった」

泰葉「そうでしたね……すっかり忘れてました」

美嘉「泰葉ちゃん忘れてたの!? 莉嘉、すっごくかわいそうなんだけど!」

泰葉「……『ごめんね★』」

美嘉「なんでそこでアタシの物真似!? めちゃくちゃ似てるけど……不本意なことに、めちゃくちゃ似てるけどさぁ!?」


泰葉「莉嘉ちゃん……」ポンポン

莉嘉「あ、泰葉ちゃん。外してもいいのー?」

泰葉「」コクコク

莉嘉「わかった! じゃあ外すね……」ゴソゴソ


莉嘉「あー! やっと普通に話せるよ! ずっと何言ってるかわからなくてもやもやしたんだよー?」

泰葉「ごめんなさい。実は……美嘉さんが、莉嘉ちゃんにサプライズがしたいということだったので」

美嘉「!?」

莉嘉「え!? ホントに!? お姉ちゃん!」

美嘉「えっ……え!?」

泰葉「本当ですよっ♪ 莉嘉ちゃん、とってもよろこんでくれると思います」ニッコリ

莉嘉「そうなの!? お、お姉ちゃん……ありがとう!」ニパー

美嘉「いや、その……んん!?」

美嘉「あの……は?」

泰葉「美嘉さんっ、ほら、言ってたアレ、アレですよっ」ニコニコ

美嘉(何も言ってないんだけどおおおおおおお!? え? 泰葉ちゃん、ここでそう振る!?)


莉嘉「」キラキラキラキラ

美嘉(莉嘉、めちゃくちゃ期待しちゃってるし!? ……え? これ……これ、どうしたらいいの?)

美嘉(と、とりあえず……ここまで期待されたら応えないわけにはいかないよね。莉嘉の落ち込む顔とか見たくないし)

美嘉(でも……でも、それじゃあ、何する? 何をすればいい?)

泰葉「……美嘉さん? 何を黙っているんですか?」

莉嘉「……お姉ちゃん?」

美嘉(泰葉ちゃああああああああああああああああああん! ここで急かさないで! 急かさないでよ! また無駄な演技力を発揮してるし! しかもこの絶妙なタイミング! やめて!)


美嘉(どうするどうするどうするどうするどうするよアタシ! 早く答えないといけない。早く早く早く早く莉嘉がよろこぶようなことを……)

美嘉(……莉嘉がよろこぶようなこと?)

美嘉「」ニヤリ

美嘉「実はさ、莉嘉。私たち、この時間、ずっとプロデューサーにあるお願いをしてたんだ」

莉嘉「Pくんに?」

美嘉「うん……ね、泰葉ちゃん」チラッチラッ

泰葉「……!」

泰葉「はい、そうですねっ♪」

美嘉(よしっ! 泰葉ちゃんも乗ってくれた!)


美嘉「あのね……プロデューサー、この後、莉嘉の好きなものを何でもプレゼントしてあげるって」

莉嘉「そうなの!? Pくん、ほん……ねぇねぇお姉ちゃん、泰葉ちゃん」

美嘉「何?」

泰葉「何ですか?」

莉嘉「Pくん、すごい首振ってるけど……」

美嘉「顔に虫でも付いたんじゃない?」

泰葉「きっとそうですね」

莉嘉「そっかー……まあ、お姉ちゃんと泰葉ちゃんが嘘吐くわけないもんね。Pくん、ありがとー!」


美嘉(……よっしゃあああああああああああああああ! 乗り切った! 乗り切ったよ!)

美嘉(一時はどうなることかと思ったけど……乗り切った!)

美嘉(これでもう心配することはないね……ふふっ、これも泰葉ちゃんが今のに乗ってくれたから――)

泰葉「あと、美嘉さんがカブトムシの物真似をしてくれるみたいです」

美嘉「はぁ!? いや……はぁ!?」


莉嘉「えっ……ホント!?」

泰葉「はいっ♪ 美嘉さん、莉嘉さんをよろこばせたいって……今の時間、ずっと練習してたんですよ?」

美嘉「してないしてないしてないよ!?」

美嘉「というかカブトムシの物真似って何!? どうやる――」ハッ

美嘉「……アタシの前に、泰葉ちゃんがやってくれるらしいよ」ニヤリ

美嘉(どうだ! ふっふっふ、アタシも攻められているだけじゃないんだよ? さあ、泰葉ちゃん、これをどうする……?)


莉嘉「ホント!? 泰葉ちゃん!」

泰葉「はい」

美嘉「え」

泰葉「」カブトムシ

美嘉「……え?」

泰葉「……っふぅ。こんなもんですかね」

莉嘉「すごーい! 泰葉ちゃん、今の、すっごくカブトムシだったよ!」

美嘉「いやっ……いやいやいや! 今のどうやったの!? え、何? 今の何!? ……え!? 何……何今の!?」

泰葉「カブトムシの真似です。似てませんでしたか?」

美嘉「いや、似てたけど……なんでできるの!?」

泰葉「私ですから」ドヤァ

美嘉「いや今のそんなノリで流せるレベルじゃないよ!? 今の……今の、人間にできる動きなの!?」

泰葉「? できましたが」

美嘉「そういうことを言ってるんじゃないよ!」


莉嘉「お姉ちゃんも、今の、できるんだよね?」キラキラ

美嘉「……あっ」

泰葉「もちろんです。私に先にやらせたくらいですからね。美嘉さんは私よりもっと上手くできますよ」

美嘉(……アタシ、もしかして、ミスった?)

莉嘉「そうなんだー……さすがお姉ちゃん! やっぱりお姉ちゃんはすごいんだね!」キラキラキラキラ

美嘉「……ま、まあね」

美嘉(できないよ! できるわけないじゃん! というか、実際に見ても何をやっていたのかわからないもん! ……わからないもん! 本当、泰葉ちゃん、何者なの……? たぶん木場さんでもできないよ、あんなの……いや、木場さんがカブトムシの真似なんかするわけないけど……)

美嘉(……どうしよう)


莉嘉「」キラキラキラキラ

泰葉「」ニヤニヤニヤニヤ

美嘉(ほら莉嘉、目をキラキラ――泰葉ちゃん完全にニヤニヤしてるじゃん!? もう隠さなくなってきたの!?)

美嘉(え? ……えー? この状況、もうアタシ、カブトムシの物真似するしかないじゃん……)

美嘉(……覚悟を決めろ、アタシ。カブトムシを思い出せ。カブトムシがどういうものなのか、アタシは普通の人よりもずっと知っているはずだ……)

美嘉(今までの日々を思い出せ……莉嘉が逃したカブトムシが顔にくっついた時……目を覚ますと顔にカブトムシが乗っていた時……カブトムシを無理やり近くで見せられた時……莉嘉が持ってきてアタシに差し出した時にカブトムシが思いっきりアタシの顔に当たってさらにアタシの顔を掴んだ時……)

美嘉(……嫌な思い出しかない!?)

美嘉(で、でも……あの思い出も無駄じゃなかったんだ。そう思うんだ。……よし!)


美嘉「じゃ、じゃあ……コホン。やるよ?」

莉嘉「うん!」キラキラ

美嘉「……カリスマギャル、物真似シリーズ」

美嘉「カブトムシ」

美嘉「……ブブブブブブブブブブブブブブ」カブトムシっぽいポーズ

美嘉「……ふぅ」

美嘉「……これで、どうっ!?」

莉嘉「お姉ちゃん……」

美嘉「」ゴクッ


莉嘉「とっても似てたよー! すごい! すごいよお姉ちゃん! 泰葉ちゃんのに加えて、音まであったよ!」

美嘉「そ……そうでしょー!? まあ、アタシ、カリスマだからね!」

泰葉「本当にすごかったですね……え? 見逃した? あー……見逃しちゃいましたか。でも、見逃した方、心配しなくても大丈夫ですよ」

美嘉「……ん?」

泰葉「今の美嘉さんのカブトムシの物真似はこの放送の後、公式サイトで動画がアップされます。また、Twitterアイコンの配布、携帯の待ち受け画像、デスクトップ画像も数種類を用意します。……あ、着信音で『カリスマギャルのカブトムシの音★』も配信するらしいですよ♪」

美嘉「んん!?」


泰葉「これは見逃してしまった方も心配ありませんね♪ 放送後は是非とも公式サイトにアクセスして下さいね? 『カリスマ★相談室』で検索ですよっ」

美嘉「え!? ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って? え? 何それ? ……え?」

泰葉「……美嘉さん、どうかしたんですか?」

美嘉「いやいやいや……いやいやいや! 今の……今の、何?」

泰葉「告知ですけど」

美嘉「……え? いや……いや、なんで!? 今のがネットに流れるとか、アタシ、嫌だよ!?」

泰葉「いえ……なんでも何も、そもそもこれ、地上波で放送されますし……」

美嘉「……あっ」

美嘉(そう言えばまだ回ってるんだったあああああああああああ!)

莉嘉「お姉ちゃん、すっごく似てたから大丈夫だよっ!」

美嘉(そういう問題じゃないの! アタシの……アタシのイメージがあああああああああああ!)


泰葉「あっ、そろそろ時間ですよ、美嘉さん」

莉嘉「そうだよ、お姉ちゃん。今日は楽しかったけど、もう終わりの時間だよ」

美嘉「……そ、そうだね……うん。もう疲れたし……終わろっか」

美嘉「ということで、今回の『美嘉先輩のカリスマ★相談室』は終わりだよ」

莉嘉「テレビの前のみんな、楽しんでくれたー? ……うんうん、とっても楽しんでくれたみたいだね! 泰葉ちゃんは楽しかったー?」

泰葉「はい、それはもう」

莉嘉「良かったー……ねっ? お姉ちゃん!」

美嘉「そりゃ楽しいでしょうよ……」ボソッ

莉嘉「? お姉ちゃん?」

美嘉「……うん、良かったよ」

泰葉「ありがとうございます。本当に楽しかったので、またお邪魔したいですね」

美嘉「絶対やめて!」


莉嘉「? どうして、お姉ちゃん?」

美嘉「えっ……ほ、ほら。他にも、いっぱいアタシに相談したい人は居るでしょ? それなのに、泰葉ちゃんだけを特別扱いはできないじゃん?」

莉嘉「そっかー……言われてみればそうだね! ごめんね、泰葉ちゃん」

泰葉「いえ、美嘉さんの言う通りなので。きっと、これからも楓さんやヘレンさん、のあさんやフレデリカさん、周子さんといった方々が来るでしょうから……!」

美嘉「何その人選!?」


莉嘉「……あ、お姉ちゃんお姉ちゃん。さすがにもう時間が危ないって」

美嘉「あっ……そ、そうだね」

美嘉「じゃあ、この番組は城ヶ崎美嘉と」

莉嘉「城ヶ崎莉嘉!」

泰葉「そして、ゲストの岡崎泰葉」

美嘉「で、お送りしたよ★ みんな、また来週―」


美嘉「……スタッフさん、あれ、絶対カットして下さいね? カットしてくれないと……カットしてよねホント!?」


END


【撮影後】

莉嘉「PくんPくん!」

美嘉(あ、莉嘉……そうだった。アタシ、プロデューサーに押し付けたんだった。結局意味なかったような気もするけど……)

美嘉(でも、今日はこんなに苦労させられたんだし……苦しめ、プロデューサー!)

莉嘉「あのねあのねー……え? 高いものは無理? ……それなら大丈夫だよ。アタシが欲しいものは……Pくんが嫌だって言うなら仕方ないけど、お金のかかるものじゃないから」

美嘉「……ん?」

莉嘉「……アタシ、ね。Pくんの時間が欲しい、な……一日でも、一時間でもいいから……ダメ?」

莉嘉「……ホント!? ホントに!? ……ありがと、Pくん! 約束だからね!」

美嘉(……あああああああああああああああああああああああああああああ!)

美嘉(失敗した! というか、莉嘉……そのテクニック、どこで手に入れたの!?)

美嘉(ああっ……もうっ! もおおおおおおおおおおおおおおお!)

泰葉「あ、プロデューサー。私も同じものが欲しいです」

美嘉「!?」

美嘉(え? それアリ? え? ホントに? それなら……)


美嘉「……あ、あの、さ、プロデュ――」

泰葉「あ、美嘉さんは何も要らないみたいですよ」

美嘉「!?」

泰葉「プロデューサーを困らせたくないって」

美嘉「!?」

泰葉「『むしろアタシがいつもお世話になってるお返しをしなきゃいけないからね★』と」

美嘉「!?」

泰葉「ねっ、美嘉さん」

美嘉「えっ……ま、まあ、そう、だね」

美嘉(言ってない! 言ってないけど!? 言ってないけどこの流れで『プロデューサー、アタシもプロデューサーの時間が欲しいかなー★』なんて言えないよ!)


美嘉(あー……もう、本当……今日、サイアク……)

美嘉「……え? 何、プロデューサー」

美嘉「……欲しいものを言ってもいいか、って……う、うん。いいけど――え!? ほ、ホントに? ……ううん! ダメじゃない! ダメじゃないよ! ……うん、ホントに……」

美嘉「……その、ありがと」

泰葉「……」ニコニコ

美嘉(……あ)

美嘉(もしかして、泰葉ちゃん……これを、見越して……)

美嘉(……ありがと、泰葉ちゃん)ニッコリ


泰葉(……やっぱり美嘉さん、チョロいですね。これではチョロヶ崎美嘉という名前が定着するのも時間の問題かもしれません)ニコニコ


ホントにEND

岡崎泰葉編(アホヶ崎美嘉編)

今回はちょっと美嘉をアホにさせ過ぎちゃった気がします……美嘉、ごめん。泰葉に投票するから許して。

試行錯誤して泰葉のドヤ崎泰葉っぷり以外は色々と変えているつもりですが……どうでしょう。改善になっているのか改悪になっているのか……。

読んで下さりありがとうございました。泰葉に投票しましょうね?

>>1修正

美嘉「テレビの前のみんな、美嘉だよ★」

美嘉「今日もカリスマJKモデルであるアタシ、城ヶ崎美嘉がアイドルたちの悩みをどんどん解決していくよー★」

美嘉「それで助手はいつも通り妹の」

莉嘉「莉嘉だよー☆ みんな、よろしくねー!」

美嘉「この番組は、346プロダクションの提供でお送りしてるよ★」

わかりました……このままの方向性でいくと何よりも泰葉に悪いですね。冷静を失っておりました。
今回は泰葉と美嘉、そしてその担当プロデューサーに不快な思いをさせてしまったことを深くお詫びします。
もう一度泰葉と向き合ってみたいと思います。
今回は本当にありがとうございました。

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