穂乃果・凛「こんにちわ！」

希母「あらあら、よく見たら希と一緒にアイドルやってる娘ね？こんにちわ～」

希「おお、お母さん、早くしないと電車行っちゃうよ？」

凛「希ちゃん話し方変わってるにゃー」

希母「え？」

希「ちょおおおおおおおお！！！」

希母「のんちゃんったら、お母さんの前だからってかしこまることないじゃない」

希「お、お母さんー………っ！！」

凛「のんちゃん」

穂乃果「のんちゃん？」

希「な、なに？よくわかんないわぁ…」

凛「のんちゃんって希ちゃんのことにゃ？」

希母「あらやだ、お友だちの前で恥ずかしかったかしらね」

希「べ、別にいいんじゃないかな」

穂乃果「あ、分かった！なんかヘンだと思ったら、希ちゃんかんさいb…」

希「髪結んでないでしょ！？」

凛「ホントだにゃ！その髪型かわいいにゃ！」

希（…………………………………）


ｿﾚﾃﾞｰ ﾉｿﾞﾐﾁｬﾝｯﾃ ﾎﾝﾄ ﾀﾖﾘﾆﾅﾙﾝﾃﾞｽ!
ｱﾗｿｳﾅﾉ?
ｿｰﾆｬｿｰﾆｬ


希（なんでこの子ら自然に付いてきてるん！？ひまなの！？）

希（あかん）

希（いっそのこと穂乃果ちゃんと凛ちゃんに本当のこと話して、協力してもらおか）

希「ね、ねえ………………………」

希（あ、まてよ……………………）

～ある日の部室～

穂乃果「ねーねー！たこやき買ってきたから皆で食べよーよ！」

凛「わーいにゃ」


ｵｲｼｲ! ｵｲｼｲﾜﾈ
ﾀｺﾔｷｯﾃﾅﾆﾖ ﾏｷﾁｬﾝｼﾗﾅｲﾉｵ!?


希「………………………………………」

希「ふふん、ま、こんなもん……か」

海未「え、なんですか希」

希「東京のたこやきって…………こんなもんか」

穂乃果「おお！そういえば希ちゃんはその道のプロだもんね！」

真姫「プロってなによプロって」

絵里（…………あれ？たしか希って大阪に転校したことはないって…………）

希「たらん…………味がたらん…………ソースもたりん…………鰹節も………」（適当）

にこ「そ、そーよね！にこもそう思ってたわ」

ことり「そーなの？」

希「…………………………………………」






希「………みんなは、食い倒れたことないやろ？」ﾆｺｯ


ｵｵｰｰｰｰｰｰｰｰ!!!

希（ああ゛あーーーー！！！）

希（そうやったぁ……みんなはうちのことをほんまもんの大阪人だとおもっとるんやった………）

希（ホントは皆の前か独白でしか関西弁を扱えない東京もんだというのに）

希（なんであのとき会話のイニシアチブをとりたかったんやろ…………裏目だ）

希（今さらエセだなんて言えるかあ！）

穂乃果「ん？何か言った？希ちゃん」

希「え？いや、これから穂乃果ちゃんと凛ちゃんは何か用事あるのかなって………」

穂乃果＆凛「まったくないよー！」

希（どうあがいても絶望やん）

希（なんやねん………まだ朝の11時なのに、これからの予定白紙って…………もうちょっと計画的に遊ぶべきやん）

希（お母さんにバレたくないよお……）

希母「じゃあちょっとそこの喫茶店にでも寄らない？おばさんがご馳走するわ」

穂乃果＆凛「わーい！」

希母「いいでしょ希？」

希「ぅえあああ～？えー？どうなんだろうね実際ー？？」

凛「の、希ちゃんが気持ち悪いキョドり方してるにゃ」

～喫茶店～

希母「いやー、でも希にこんな素敵なお友だちができるなんてうれしいわあ。アイドルの活動も、いっつも見てますよ」

穂乃果「ほんとですか！いやあ～、照れるなあー」

凛「希ちゃん、とってもかわいいですよね！」

希母「ええ。でもこの子ったら、あまりその話はしたがらないのよ」

希「だ、だって恥ずかしいし……」

凛「希ちゃん、なんか今日は普段と雰囲気違ってかわいいにゃー！」

希「ちょっ………………」

希母「あら、普段はどんな感じなの？」

希（くっ）

穂乃果「たよりになってー」

希（……………いいよ）

凛「大人っぽくてー」

希（………そういうのはいいよ）

穂乃果「でも意外とお茶目なとこもあってー」

希（……ちょ、ちょっと恥ずかしいけど…………いいよ、そういうのどんどん頂戴）

凛「生徒会もしっかりやっててー」

希（………………あれ？関西弁のことは言わないのかな）

穂乃果「あ、あとダンスがすっごい上手！」

希（……………ひょっとして心配いらないのかな）ｺﾞｸｺﾞｸ

凛「それと希ちゃんといったらスピr」

希「んゲフッ！？？………ゴホッ！ゴホッ！…………………ゲフッ！ゲフッ！ンゲフッ！」

凛「の、希ちゃんがおっさんみたいなむせ方してるにゃ」

希母「スピ………………？」

凛「そうスピr」

希「すすすすすすスピって？？？スピってなに？？？なんだろそれ？なんだろその文字列？？」

穂乃果「どどどどうしたの！？」

希「普通に日本語使っててスピなんて文字列つかうかなあ！？え？なんだろ？なんだと思う？お母さん、『スピ』って言葉、なんかあったかなあ？」

希母「え？えっ？………ね、寝るときの………」

希「……そう！そうなの！私よく寝るから！だから『スピー』ってよく言ってるの！ね？凛ちゃん！？私と言ったら『スピー』だよね！？寝息だよね！？」

凛「は、早口すぎて何言ってるかわからないにゃー…………」

店員「マカマカマカロンでーす」

穂乃果「……あっ、きたきた！おいしそー」

凛「今日は甘いもの食べ過ぎてるにゃー」

希「…………………………………」ｾﾞｴｾﾞｴ

希（せ、セーフ………乗り切った…………サンキューマカロン、おおきに）

希（そやった………爆弾もう一つあったわ………）

希（…………………か、隠せるのか？これ）

～希12歳の頃～

希母「ただいまー！ふぅ………！ごめんねのんちゃん！今日も一人で………」

希「…………別に、いい」

希母「……今週末、皆でどこかいこっか！ね？お母さん、予定空けとくから！」

希「……どうせ行けないよ」ﾌﾟｲ

希母「のんちゃん……………」

希母「…テレビでもつけよっか」


ｺﾝｶｲﾉﾄｸｼｭｳﾊｰ ｲﾏﾜﾀﾞｲﾉ ﾊﾟﾜｰｽﾎﾟｯﾄ!
ｽﾋﾟﾘﾁｭｱﾙﾅﾊﾟﾜｰｦ ﾓｸｹﾞｷｾﾖ!

希「……くだらない」

希（うちはそんな女の子やった）

希（そんな女の子が……………ううー……！だめだ！やっぱり恥ずかしい！）

希（なんやねんウチの地雷の多さは…………ついでにもう一つ地雷あったわ）

希（………………わしわしの件もダメやんかあああああ！）

希（というかもう大半が地雷やん）

希（いくらアイドルを始めたとはいえ…………お母さんはあたしのことを『控えめな女の子』だと思ってる）

希（……………むしろ本当のことを知った方がお母さんは安心するかもしれんけど）

希（あ゛あ゛あ゛！！それは恥ずかしい！単純に恥ずかしいわ！）

穂乃果「ふおうひえば、………んっ、希ちゃん、一人暮らしだって言ってたよね？」

希「えっ？ああ、お母さんはいま遊びに来てるんよ」

希母「そうなの。……………ん？」

希「ねー！お母さんはいま遊びに来てるんだよねー！ねー！」

凛「そうなんだぁー」

希（アカン、うっかり関西弁が…………独白とごっちゃになってもうたわ）

穂乃果「そういえばさっき電車に乗るって言ってたけど………もしかしてなにか用事あったのかな」

希「ああ、それは動物園に行こうとしてたんだけど………別に遅れても大丈夫よ」

希（よし、さっきからイントネーションを徐々に標準語に近づけていくにつれて…………違和感が緩和されてきている）

希（危なかった………真姫ちゃんと海未ちゃんみたいな賢いのがいたら、こんなんでは誤魔化せなかったよね）

穂乃果「………………へえー」ﾆﾔﾆﾔ

希「……え、な、なに？？」

穂乃果「希ちゃん、お母さんと動物園とか行くんだあー」

凛「意外だよね」

希「あ………！ああ……………！」

希母「この子、動物園好きなのよ～。昔からムスっとしたとき『動物園行こう』って言うと機嫌が治ったり」

凛「へえー！」

希「………………………！！」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

希（恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいーーーっ！！）

希（そうだった…………『こっち』の事情を『こっち』にバレるのも恥ずかしいけど……）

希（『こっち』の事情を『こっち』に知られるのも十分恥ずかしいわあああーーー！！！）

穂乃果「何が好きだったんですか？」

希母「ゾウかしらね」

凛「ゾウなんだ！」

希母「今日も楽しみにしてたわよね？『えへへ～、お母さん！今日は久しぶりに動物園でゾウさん歌っちゃおっかなー！！』…………なんて」

穂乃果「………………………………ぷっ」

凛「…………………………………」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

希（こ………こんの○○アーー！！なんや！？うちのおっとりした方の性格はこっち譲りか！？）

希（…………めっちゃ笑い堪えとる…！）

希（やばい…………羞恥で死ぬ…………羞恥死してまうわ………………）

穂乃果「………の、希ちゃん………今度一緒に動物園いこう？ね？……ふぅ～」

希（……さすが穂乃果ちゃんや……湧いてくる笑いを堪え、話題を転換させようとしてくれている…………ありがたい）

凛「ぶっ、ぶほっ！……ん、ﾝﾌﾌ………そ、そのときはぞうさん歌わないでね………………ﾌｯ、ﾝﾌﾎﾎﾎﾎﾎﾎ！！」

希（なんやねんこいつーー！！！）

希母「あらあら、恥ずかしかったかしらね～」

希（恥ずかしいに決まっとるやろが！天然か！？今日一日で何回あらあらって言ってんねん！）

ｱﾘｶﾞﾄｳｺﾞｻﾞｲﾏｼﾀｰ

穂乃果「いやあー！今日は希ちゃんのお母さんと話せてとっても楽しかったです！」

希母「私もアイドル活動応援してます～、これからもこの子と仲良くしてあげてね」

凛「はいっ！……じゃあ希ちゃん、動物園楽しんできてね！…………ﾝﾌﾌ」

希（次会った時はわしわしMAXや…………）

希（つ、つかれた………………結局お母さんには諸々知られなかったけど…………）

希（うう………………………）