【ミリマスSS】 歩「candy」 (31)

これは、「アイドルマスターミリオンライブ」のSSです。
キャラ崩壊等あるかもしれません、ご注意下さい。


前作
歩「give&take」
歩「Exploration!」
歩「chocolate-brownie」


また性懲りもなく舞浜歩のSSです。
書き溜めをどんどん投下していきたいと思います。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429023208


《follow my heart はずむリズム
 follow my beat 重ねあわせ…》


タッ、タッ、タッ…


《重ねよう my heart beat
happyにしよう!》


キュッ、タン、タンッ!


歩「はぁ、はぁ、はぁ…」

ダメだ~…全然上手くいかない。ここまで自分のダンスに納得が出来ないのも初めてだ。
やっぱりここまでの大きなライブだし、アタシも緊張してるのかな。


『THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 2ndLIVE ENJOY H@RMONY!!』


幕張メッセで、しかもシアター組のみでのライブ。こんな大舞台に立たせてもらえるなんて、ホント、夢みたいだよ!
でも、だからこそ生半可なパフォーマンスで終わらせたくない!まだまだ、出来ることはある筈なんだ。

でもどうすればいいのか、それも良く分からない。今のアタシに思いつくのは、只管一人で自主練することだけだった。
プロデューサーにお願いして、何とか外のスタジオを借りてもらって練習場所は確保した。


歩「サンキュー、プロデューサー。」

P「あまり無理はするんじゃないぞ。」

歩「ノープロブレム!本番までには間に合わせて見せるからさ!」


プロデューサーにサムズアップしてみせる。


P「まぁ力が入ることも分かるけどな…。本番も近づいてるんだ。レンタル時間も1時間だけにしてあるからな!」

歩「分かってるさ。1時間もらえるだけでも嬉しいよ!」


そう言って、プロデューサーは仕事に戻っていった。ライブ本番に向けて色々と打ち合わせが残っているんだろうなー…。


歩「…ちゃんと、応えたいな。」


1時間。正直言って少ないけど、忙しい中借りてくれただけでも感謝しなきゃ。
早速練習を始めよう!




歩「………ハァ」



1時間ノンストップで踊り続けたけど、成果はほとんどなし。
踊れている、と言えば踊れている。もう振り付けを間違えることは無い…と思う。

でも、それでも納得できない。心にモヤモヤが残ってるんだ。


歩「一体、何が駄目なんだろう?」


まずはその正体を掴まなきゃいけないのかもしれないけど、身体を動かさないと落ち着かない。
だから解決策も見つからないまま自主練なんかして、結局答えを見つけられていない。


歩「…喉、渇いたな。」


休憩もろくにとってなかったから、喉が渇いて仕方がない。
こういう時に限って持参の特製ドリンクが切れてるんだもんなー…。

確かスタジオ内に自販機コーナーがあった筈。帰りに寄って、さっさと休もう…。



………休もうと、思ってたんだけど…



~~~~~~~~~~~~~~~~



歩「………何、これ?」



アタシの目の前に見えるのは、自販機、そしてその前にあるベンチで寝ている女の子。

髪を二つ結びにして、大きなぬいぐるみを抱えながらぐっすりと寝ている。
何より目立つのは、その子が来ているTシャツに書かれた『働いたら負け』の文字。


その姿には見覚えがある。
知り合いって訳じゃない。その姿を見たのはテレビ越しだ。
事務所こそ違うけど、アタシと同じアイドル。



もしかして…



「『双葉杏』…?」

支援だよ

>>2
舞浜歩(19) Da
http://i.imgur.com/V1LHVov.jpg
http://i.imgur.com/Hc3vpn3.jpg



346プロに所属しているアイドル、双葉杏。
『ニートアイドル』、だっけ…?アタシにはよく分からない。

それにしても、毛布を掛けてる訳でもないし、このまま寝てたら間違いなく体調を崩すと思うんだけど…。
ていうか、アイドルがこんな所で無防備に寝てること自体が問題じゃないか!?


歩「ほら、起きなって!こんな所で寝てたら風邪ひくよ!」

杏「…ん~?………誰?」

歩「アタシは舞浜歩!」

杏「舞浜、歩…?………あぁ、確か765プロの」

歩「って、そんな事は今は良いんだ!さ、早く!」

杏「うるさいな~、今起きるって。ふわぁ~…」


双葉杏はのんびりとした様子で身体を起こしてきた。その眼はまだ半開きで、完全には起ききれてない。


歩「全く…こんな所で寝てたら風邪ひくよ?」

杏「仕方ないじゃん、レッスンばかりで疲れたんだから…。ちょっと休憩って思って手ごろなベンチに横になったら、いつの間にか寝てたよ。」



…それは完全に寝落ちだと思う。

ベンチで横になろうっていう発想もまた何と言うか……図太い?



歩「それにしても、双葉杏、だよな?」

杏「まぁねー。あ、杏の事は杏って呼んでよ」

歩「杏は何でここでレッスンしてるんだ?確か346プロって、会社の中にビッグなレッスン場があるって聞いたけど…」


ホント、羨ましい話だよな~。それだけじゃなくて、エステとか大浴場まで完備されてるっていうんだからもう、ね…。


杏「それが、何かスタジオ全部に『定期メンテナンス』ってのが入ってて…今うちのスタジオが使えなくなってるんだよね」

歩「へぇー…」

杏「おかげで、わざわざこんな外まで出る羽目になったんだから…全くもう」


大規模なスタジオなだけあって、そういうメンテナンスもかなり大掛かりになるらしくて、結構な時間がかかるらしい。
大きすぎるのもまた困り物なんだなー…。


杏「そう言う…えっと、」

歩「歩でいいよ」

杏「歩のとこの765プロだって、自分たちが良く使ってるスタジオとかあるんでしょ?
  ここがそのスタジオだなんて聞いたこともないし…」

歩「あぁ、それは…」



………説明中………




杏「わざわざ練習が終わった後にまた練習をするなんて…杏には考えられないよ」

歩「そろそろライブも近いし、皆に引けを取らないステージにしたいんだ!
 …今のままじゃ、全然駄目なんだけどね」

杏「…そうなの?」

歩「……まだまだだよ。だから、プロデューサーに無理言って借りてもらったんだ。」


それしか思いつかなかっただけなんだけどさ。
そう言いながら、アタシには苦笑いする事しか出来なかった。

杏「うーん…」




杏「………ちょっと、力入りすぎじゃない?」



歩「え?」


そ、そんな風に見えてた?……初対面の杏にそう見えるって、もしかしてよっぽど酷い!?
愕然としてると、杏も察したのか少し申し訳なさそうな顔をした。


杏「あー…いきなりこんな事言って失礼だったかな?ごめんね。」

歩「いや、それは良いんだけど…力、入ってるかな?」

杏「杏にはそう見えた…ていうより、どうもうちのユニットにいるメンバーと被って見えちゃって」
 

…?

 
杏「ちえ…その仲間も、ライブ前になるといつもガチガチに緊張しちゃってさ。」

歩「へぇ…」

杏「歩とその仲間を一緒にするのもちょっと違うけど…もうちょっと力を抜いても良いんじゃないかって思うよ。
  ほら、杏みたいにさ」

歩「いや、杏は力を抜きすぎじゃないの…?」

杏「いや、これくらいが丁度良いんだって。もっと思いきり力を抜いてみたらどう?」

歩「そういうもの…なのかな?」

杏「うんうん」

歩「……………」


杏みたいに、っていうのはかなり極端な例だと思うけど、杏の言葉に反論する事は出来なかった。
プロデューサーにもそんな事を言われてたかもしれないけど…初めて会った人に改めて言われると、説得力が増して聞こえるから不思議だ。



歩「…サンキュー、杏。だけど、やっぱりもうちょっと頑張ってみるよ。
  折角の大舞台なんだ、アタシに出来ることは全部やっときたいんだ。」

杏「…いや、杏も思った事を言っただけなんだけど」

歩「そのおかげでちょっと落ち着けたんだ!何かお礼をしなきゃってくらいだよ!」


アタシは杏にサムズアップで返した。
自分で言うのもあれだけど、レッスン前にプロデューサーにしたのよりも力強く出来たんじゃないかと思う。


杏「お礼ねー………それなら、飴ちょうだい!」


お礼の内容を考えてたところで、杏から声があがる。


あ、飴?


杏「杏としても、タダで働くわけにはいかないからね。労働に見合ったお礼を要求するよ!」

歩「えっと…そんなのでいいの?」

杏「あるの!?」

歩「え!?い、いや、今は無いけど…」

杏「なーんだ…」

歩「あ、えっと、今度!また今度持ってくるからさ!」

杏「………今度って、いつ?」

歩「えーと…そうだ!レッスンって、まだここにくる?」

杏「え?…うん、もうちょっとここでのレッスンは続くよ。」

歩「アタシもライブまでここにくるからさ、その時に渡すよ!」

杏「絶対だよ!!」

歩「も、もちろんだよ!」


こ、この杏の迫力は一体…?!


歩「それじゃ、アタシは帰るよ!風邪ひかない様にな~!」

杏「飴持ってきてよ~!」

歩「分かってるよー!」






でも、飴がお礼で良いのかな…?ま、杏が満足気な様子だったし、いっか。



何味の飴を買おうか考えながら歩いていた帰り道の途中、



ピロピロピロ…



歩「ん?メール…プロデューサーから?」


『From:プロデューサー
 Sub:お疲れ様。
 
 そろそろ練習は終わって、帰ってるくらいかな?
 あまりレッスンが上手くいってないみたいだけど…すまない。打ち合わせの都合上、レッスンは見てやれそうにない。
 あまり一人で抱え込まずに、困ったら誰でもいい。相談するようにしてほしい。勿論、俺だって出来るだけ相談に乗る。
 未来も、今回リーダーとして張り切っている。相談するなら未来も良いかもしれないな!
 
 皆で最高のライブにしよう!!』


歩「…プロデューサー」


サンキュー。心の中で呟いて、携帯を閉じる。

…ますますやる気が出てきた。
最高のライブ、やってやるさ!!


~~~~~~~~~~~~~~~~


翌日


アタシは昨日と同じく、レッスン後の練習をしにスタジオに来た。
レッスンでは『力を抜く事』を意識したら、トレーナーさんから褒められた。イエス!

…レッスンの始まりは、力抜きすぎて「だらっとしすぎ!」って怒られちゃったんだけどな!
やっぱり杏は見本には絶対にしちゃいけないって事を実感した瞬間だった。


杏にあげる用の飴はいくつか買っておいたし、渡す準備は万全だけど、アタシから探すことはしないことにした。
杏のレッスンを邪魔するのも悪いと思ったのが一つ。
もう一つが、特に時間も場所も約束をしてないんだけど、また昨日と同じ時間・同じ場所で会えるんじゃないか、っていう感じがしたから。

その予感は見事に当たった。


歩「おーい、杏~!」
杏「ん?…おぉ、歩」

杏は昨日と同じベンチで、自販機で買ったであろうジュースを飲みながらベンチに座っていた。
よしよし、今度は起きてたな。

歩「あれから風邪とかひかなかったか?」
杏「全然。心配し過ぎだってば」
歩「いやいや、あんなところで寝てたら誰だって心配するって…」


話し始めて、ふと思う。
昨日初めて会って、話すのも今日が2回目の筈なのに、気軽に喋ることが出来てる。

普段のアタシだったらもっとかかると思うんだけど…何でだろ?



歩「そうそう、昨日言ってた飴だけど…」

杏「持ってきた?!」

歩「え、うん…」

杏「早く早く!」

歩「ちょ、ちょっと待って!今出すからさ!」


飴とアタシが言った瞬間、杏の目は凄く輝いていた。そんなに飴が好きなのか~…。

驚きなのが、これで17歳、っていうことだ。
最初はもっと離れてるものだと思っていたのは、杏には内緒。どこかオフの杏奈と似た雰囲気を感じたっていうのも理由の一つかな?
飴の袋を取り出しながら、杏に気になったことを聞いてみる。

歩「そう言えば、杏の他に346プロのアイドルってここに来てるの?」

杏「大体シンデレラプロジェクトのユニット同士で来てるよ。
  ユニットそれぞれで、時間帯をずらしてるんだ。」

歩「そうなんだ~。杏がユニット組んでるのって…」

杏「かな子と智恵理。『三人そろって、CANDY ISLANDです♪』」

歩「うわっ!何そのテンション!?」

杏「失礼な。杏はやる時はやるよ!」

歩「…あぁ、そう言えばあの『マッスルなんとか』って番組に出てたの見たけど、確かにそんな感じだったかも」

杏「えっ、あれ見たの?………う~ん、杏的にはあんな筈じゃ無かったんだけどなー…」


不本意そうに答えた杏だけど、それを話す杏の顔はいつものドヤ顔じゃなくて、微笑みが表れていた。
何だかんだで楽しかったんじゃないか。

…あのバンジージャンプは、想像するだけでもぞっとするけど。
プロデューサーには、絶対にあの番組だけは避けてもらうようにしないとね!

歩「飴は何味が好きか分からなかったから、一応色んな味の入った奴を買ってきたけど…」

杏「全種類ちょうだい!」

歩「分かった…って、取るの早っ!」


素早い動きで、持っていた袋の中から飴が取られてた。
それも、全種類の飴をそれぞれ1個ずつ。いつの間に味なんて見分けてたんだ…?


杏「ふふふ、杏にかかればざっとこんなもんだ!」

歩「お~…」


パチパチパチパチ


凄い。凄いけど、その素早さはもっと別のところで使うべきじゃないのか…?
拍手しながら、そう思わずにはいられなかった。



~~~~~~~~~~~~~~~~



歩「ハロー、杏!」

杏「ハロ~」


飴を渡した時点で杏にお礼も出来たわけだし、アタシ達が会う理由はなくなった。
…筈なんだけど、約束したわけでもないのに、レッスンが終わってから自販機コーナーまで行って杏と話すのが恒例になっていた。
杏も、毎日決まってベンチに座ってジュースを飲みながら待っている。

アタシも杏も何も言ってなかった。なのに、あれからも引き続きここに来ている。
『気が合った』…ってことで、いいのかな?


杏「今日のダンスは一段と疲れたよ…早く帰って休みたい」

歩「そんなに激しいダンスだったの?」

杏「えっとね、こんな感じで…」

歩「あぁ、そこのステップはもっとこう…」

杏「おぉ~」


日によって話す内容はまちまち。レッスンについて話すこともあれば、


歩「全く、あのプロデューサーは…!」

杏「今日はまた一段とお怒りだねー」

歩「酷いんだってば、今日も懲りずにバラエティ番組の予定を入れてきたんだよ!」

杏「それは………適材適所ってやつだよ、きっと」

歩「どういう意味!?
  アタシはもっとカッコいい仕事を…!」

杏「うんうん、カッコいいカッコいい」

歩「適当に聞き流してない!?」

杏「そんな事ないってば~」


その日の仕事について話すこともあったり。
お互い、時には真剣に、時には他愛のない話で笑いあいながら、毎日短い一時を過ごした。
最初はあまり意気投合するタイプだとは思わなかったんだけど………案外分からないもんだね。

本当に楽しくて、レッスンの後のその時間だけは、ライブの緊張から抜け出せた。


………抜け出せていたんだけどなぁ~

―杏side―

今日もまた昨日までと同じように、ジュースを飲みながら歩を待っている。飴はもらい終わった後もこうして待っている理由は、杏にも良く分かんない。
でも、歩と話すのも悪くは無いし、まぁ、理由は何でもいいや。

そんなこんなで毎日会ってたけど、『CANDY ISLAND』でのお仕事が入ったせいで3日くらいレッスン場に通う事が出来なかった。急な仕事だったせいで歩には何の連絡も出来なかったんだけど、どうしてるだろ?
………もともと約束をしてる訳でもないし、連絡する義務もないんだけどね。


かな子「杏ちゃん♪何か良いことでもあったの?」

杏「…どうしたの?急に」

かな子「最近、機嫌良さそうに見えたから、何かあったのかな~って」

杏「………別に、そんな事ないよ。」

かな子「えぇー、そうかな~?」

杏「そうそう」


仕事中に、かな子にもこんな事を聞かれてしまった。杏は、自分の思ってる以上に歩と話す時間を気に入ってた…のかもしれない。良く分かんないけど。

ま、杏たちがあのスタジオを使うのもあとちょっとだし、今まで通りのんびり色々駄弁ってたらいいよね。
何て思って歩を待ってたんだけど…



杏「………歩?」

歩「……ハロー、杏」



やってきた歩の顔は、あきらかに元気がなかった。かろうじて笑顔だったけど…無理して作ってるのはバレバレだった。
いつもなら、歩はもう一言二言話してからジュースを買ってから杏の隣に座る。けれど、今日はジュースも買わず、ただただ疲れたようにベンチに腰掛けた。


杏「どうしたの?」

歩「え?」

杏「顔、酷いよ」

歩「アハハ、酷いって酷いな~」

杏「歩」

歩「………」

杏「何があったの。かなり思い詰めたような顔をして見えるけど」

歩「…そんな顔してるかなぁ」

杏「遠目から見ても分かったよ。」

歩「……………………ダメなんだ。」

杏「…何が?」

歩「全然納得が出来ないんだ、自分のパフォーマンスに。自分のなのに、ね。」

杏「………」

歩「このままじゃ、ライブまでに間に合う気がしない。でもどうしていいかわからない……!」

杏「………歩、あのさ「…ごめん、今日はもう帰るよ」あ、ちょっと!」

………行っちゃった。これじゃ、気になって夜も寝れないじゃんか。

歩のパフォーマンスは、まだきっちり見たことがない。
それでも、杏に振り付けのコツを教えてくれる時にちらっと踊ってたのを見ただけで、歩のダンスの凄さは十分伝わってきた。

その歩が毎日欠かさず自主練して、一生懸命歩なりに考えてたんだ。
それでダメダメな訳がない、って杏は思うんだけど…実際どうなんだろ?

杏が見て何か言えれば良いけど…明日仕事なんだよねー。
いや、もうここでのレッスン自体が終わりに近い。



……………杏以外に見てもらった方が早いかな?



…しょうがないなー、杏が動こうじゃないか。
折角あと少しでこうして会うのも終わりなのに…このまま放置っていうのは嫌だし。















後で、飴はたらふくもらわなきゃ、ね。




~~~~~~~~~~~~~~~~

―歩side―





「………流石に、昨日のあれは不味かったかな?」


改まって昨日の自分を振返ってみると、反省と杏への申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
あんな調子で帰ったら、絶対に気分悪くしてると思う。

…そんな事を考えても、解決出来てないことには変わりない。


未来「…大丈夫ですか?歩さん」

歩「え?急にどうしたんだ?」


レッスンの休憩中、とうとう一緒に練習していた未来にまで気を遣わせてしまった。


歩「アハハ、大丈夫も何もパーフェクトだよ!」

未来「そうなんですか?…うーん、何かあるかなって思ったんですけど………。
   何か悩み事があったら、いつでも言ってくださいね!私で良ければ、いつでも相談に乗っちゃいますよ!」

歩「…サンキュー、未来」


…全く、いつの間に未来もあんな頼れる存在になったんだろう?
ライブ経験もメンバーの中では多いし、やっぱりその中で成長していったのだろうか。


歩「このままじゃ駄目なんだって、分かってるんだけどなー…」


歩「そう言えば、杏はいつまでここでレッスンするんだろ?」


レッスン後の自主練に例のスタジオに来てから、そう言えば杏たちのここでのレッスン期間をちゃんと聞いてなかったことに気づく。
この前も3日くらい来てなかったし、もう終わりが近いのかもしれない。


歩「杏には助けられたからなー…」


『力を抜く』という事は、アタシの想像以上に効果てきめんだった。それからのレッスンでも褒められることが多くなってる。

そう、褒められてるんだ。
だけど、まだ足りないと、そう思わずにはいられない。


歩「…ここまで来たら、ライブまで突き詰めるだけか。」


もうとことんやってやる。早速、1回目を…



ガチャッ!!!



歩「ひゃっ!!」


…始めようとしたら、急にドアが開かれる音がした。

最初はプロデューサーかと思ったけど…そこに立っていたのは、アタシの知らない、得体の知れない大男だった。
プロデューサーよりもかなりデカい。アメリカ人と同じくらいビッグだ!


   「………」


その男は、無言でこちらに近づいてくる。


歩「ひっ!!!」


アタシは訳も分からず、ただ後ずさる事しか出来なかった。
ただそれも、3歩下がったところで壁にぶつかる。
…あれ?逃げ場ない!?追い詰められた!!?


歩「あっ、えっと、その」


何か言おうとしても、威圧感が凄すぎて言葉が出てこない。上手く考えられない。

ヤバい、助けて、誰か!!!!!


歩「プロデューサー…!」






   「………舞浜、歩さんですね。」






……………………





歩「……………はい?」

伏せていた顔を上げると、目の前の大男はアタシに名刺を差し出していた。


………どういう事?ていうか、誰?


『346プロ シンデレラプロジェクト プロデューサー』


歩「も、もしかして…杏のところのプロデューサー!?」

武内P「はい。双葉さんがお世話になっているようで…」

歩「い、いやいやいや!むしろ世話になってるのはアタシの方ですよ!!」


いきなり改まって頭を下げられても、アタシもどうしていいかわからない。
そもそも、杏のプロデューサーがまさかこういう人だったなんて…衝撃的だ。


武内P「…そんな事はありません。」

歩「え?」


戸惑いながら返した言葉に、そのプロデューサーさんははっきりと否定する。
アタシはつい首をかしげてしまった。


武内P「ここでのレッスンが始まり日数を重ねるにつれて、双葉さんは心なしか、ここでのレッスンを楽しみにしていたように見えました。実際、一緒にレッスンに来ていた三村さんと緒方さんからも、『機嫌が良いように見えた』と聞いていました」

歩「………何で?」

武内P「私にも分かりませんでした。346プロと違って、シンデレラプロジェクト全員でレッスンを行える日はありませんでしたから、双葉さんが何を楽しみにしてたのか謎だったのですが…」
 

そう言って、346プロのプロデューサーさんは改めてアタシへと向き直る。


武内P「双葉さんから聞きました。レッスンの時、ほぼ毎日、舞浜さんと双葉さんはお会いされていた様ですね?」

歩「は、はい…」

武内P「…その話をされる時、双葉さんは本当に楽しそうに話してくれました。」

歩「え、杏が!?」

武内P「はい」


あの杏が………。でも、杏もアタシと同じ気持ちでいてくれたなら嬉しいよ!!
って、よく考えたらさっきの言葉はかなり失礼だったかも!?咄嗟にプロデューサーさんに目を向ける。プロデューサーさんの表情は余り変化が無いけど、かすかに微笑んでいる様に見えた。


武内P「構いません。舞浜さんのお気持ちも良く分かります」

歩「あ、ありがとうございます…」


恐い人かもと思ってたけど、実はすごく優しい人?
誤解したのは申し訳ないって思うけど、あんな風に入られたら仕方ないと思う

不審者に間違えられてもおかしくないと思う…すごい心配だ。


武内P「…さて、そろそろ本題に入りましょうか」

歩「本題?」


…何の事かさっぱり分からない。


武内P「舞浜さんは最近、レッスンで伸び悩んでいるそうですね」

歩「ど、どうしてそれを!?………もしかして、」

武内P「はい、双葉さんから聞きました。」


プロデューサーさんは力強く頷く。


武内P「しかし、私もそこまで詳しくは聞いていません。双葉さんもあまり話してくれませんでした。なので、舞浜さんの口から直接聞きたいと思いまして…」

歩「ちょ、ちょっと待って下さい」

武内P「…どうか、されましたか?」

歩「いや、こうして聞いてくれるのも嬉しいんですけど。…何でここまでしてくれるんですか?別の事務所のアイドルに会いにくるなんて、聞いたことないんですけど…」

武内P「それは………」


嬉しいのはホントだけど、ここまでされるとかえって怪しく思えてくる。
つい裏があるんじゃないかと疑ってしまう。

話した限り、そんな人じゃないとは思うんだけど…


武内P「心配になったのも、勿論理由の一つですが…単純に、私が個人的に興味があったからです。」

歩「…どういう事?」

武内P「舞浜さんが悩んでいる事を双葉さんから話していただいた事は先程も申し上げましたが、その時の双葉さんは、本当に必死でした」

歩「必死?」

武内P「双葉さんにしては珍しく、最初はかなり必死な様子で『舞浜歩ってやつがヤバいんだ、とにかくヤバいんだ』と言ってこられたんです。…私も、最初は戸惑ってしまいました。」

歩「ヤバいって…」


間違っては無いんだけど。


武内P「双葉さんはCANDY ISLANDでも三村さんと緒方さんを支えて下さっていますが、あそこまで落ち着かない様子で他の方を心配するのは見たことがありませんでした。なので、『双葉さんがここまで気に掛ける方は、一体どのような方なのか』と気になったものですから…」

歩「杏が、そんなにアタシの事を…?」

武内P「はい」


………嬉しい、凄く嬉しい。自然と目頭が熱くなってくる。

でも、泣いちゃダメだ。アタシはまだ何も解決してない。


武内P「…舞浜さん。申し訳ありませんが、私もあまり時間がありません。」

歩「…はい。」

武内P「ですので、まず一度、舞浜さんの練習の様子を見せていただいてもよろしいでしょうか?」

歩「………はい!」


折角杏がここまで気を遣ってくれたんだ。
絶対にこの壁、乗り越える!!!


杏のところのプロデューサーさんに練習を数十分見てもらったところで、スタジオを借りてから1時間になったから、一旦スタジオから出て、杏と会っていた自販機コーナーに行くことになった。


武内P「…ここで、双葉さんと舞浜さんが話をされていたのですか?」

歩「は、はい!」

武内P「そうでしたか…」


そう言って、プロデューサーさんは自販機でスポーツドリンクを買って、アタシに渡してくれた。


武内P「練習、お疲れ様でした。よろしければ、どうぞ」

歩「あ、ありがとうございます!」


実は持ってきた特製ドリンクがあったけど、流石にそれを言ったら悪いし…いただいておこう。しっかりと冷えたスポーツドリンクが、火照った体に染み渡る。


武内P「パフォーマンス、素晴らしかったです。」

歩「…ありがとうございます。」

武内P「………満足は、されてない様ですね」

歩「………はい。」


全くその通りだ。
その言葉を聞いて、プロデューサーさんは考え込むように黙ってしまった。その間、ただただ静かに時間が流れていく。

どれだけ経ったか分からないけど、しばらくして顔を上げてからこちらを見る。


武内P「舞浜さんの、常に上を目指す姿勢本当に素晴らしいと思います。………しかし、今の舞浜さんは逆に、それに気を取られ過ぎているのではないでしょうか?」

歩「どういう事ですか?」

武内P「今度765プロで行われるライブはかなり大規模で、それを意識して自分のパフォーマンスを磨くのは決して悪いことではありませんが…それ以上に大切なのは、『舞浜さんのパフォーマンス』です。」

歩「………」

武内P「……ライブに来て下さるファンのために、今の舞浜さんの魅力を見せて差し上げては如何でしょうか?」

歩「『今のアタシの魅力』…」

武内P「ファンの皆さんが望むものを見せることは、上を目指すことを諦めることではないと、私は思います。」

歩「……………難しいな~」

武内P「………すみません、上手く説明することが出来ず…」

歩「……いや、すごく参考になりました。後は、アタシ自身で考えます。」

武内P「そうですか。…頑張ってください。」

歩「…はい!」




歩「………あ、あの!」

武内P「はい、何でしょうか?」

歩やっぱり聞きたいんですけど、プロデューサーさんから見て、今のアタシの魅力って何だと思いますか?」




…もしかして、今アタシ、めちゃくちゃ恥ずかしい質問したかも。





武内P「………」


プロデューサーさんも首に手をあてて困った顔してるし!

でも、プロデューサーさんは真っ直ぐ、アタシの目を見て答えてくれた。


武内P「…笑顔、でしょうか。」

歩「………………笑顔、ですか?」

武内P「はい」

歩「…分かりました、ありがとうございました!」


笑顔、か。
そう言えば、ライブのレッスンが始まってから、アタシは笑ってたかな?そもそも、笑ったことがあったかな?

…自信を持って答えられない様じゃ、駄目に決まってる。



ファンの皆を笑顔にするなら、まずはアタシが、だね!!



















…あれ?アタシ、あの人の前で笑ったっけ?


……………ま、いっか!

ライブ当日


未来「いよいよ今日ですね~、歩さん!」

歩「…そうだな」

未来「歩さんのステージ、私すっごくす~っごく楽しみです!」

歩「…そうだな」

未来「………歩さん」

歩「………」

未来「…緊張してます?」

歩「…そう、だな」


そりゃ、するに決まってるよ…!
だって、幕張だよ!6000人だよ!?会場すごく広かったよ!!?

今は本番まで控室で待機中。でも、全然落ち着かない…!

未来「大丈夫ですよ歩さん!今までいっぱい練習してきましたし、それにそれに……!」


「春日未来さん、リハーサル入ってくださーい!」


未来「あぁ、呼ばれちゃいました!!あの、絶対に大丈夫ですから!ライブ、楽しんでいきましょうね~!」


未来は慌ただしく控室から出ていった。
……………大丈夫、未来の言いたかったこと、ちゃんと伝わってるさ!


「あ、あの、歩さん。紅茶、どうぞ…」

歩「か、可憐…」


未来の出ていった出入り口をしばらく見ていると、可憐が紅茶を差し出してくれる。多分、可憐が自分で淹れてくれた紅茶だ。

…………あ~、温かい。緊張で強張った体に染み込んでいくみたいだ。
何か良い匂いもするし、流石可憐!


可憐「い、いえ。私はそんな…。……隣、良いですか?」

歩「あぁ、良いよ。」

可憐「………もうすぐ、ですね」

歩「そうだな~」

可憐「…大丈夫ですか?」

歩「何が?」

可憐「今までのレッスン、歩さん、時々何か思い悩んでいるような顔をしていましたから…」

歩「あぁー…」

可憐「…中々聞けなかったんですけど、何を悩んでいたんですか?」

歩「……アタシの魅力って、何かなーって」

可憐「歩さんの魅力、ですか…?」

歩「うん。自分じゃ中々分かんなくてさ。」


可憐「そうですね…………ダンスが上手で、かっこよくて…」


…ちょっとくらいの恥ずかしさなら覚悟してたけど、やっぱり恥ずかしい……!可憐がすごく真剣に答えてくれるのがわかるから、尚更…




可憐「…いつも一生懸命に頑張っている姿、私は尊敬してます。私はいつも、そんな歩さんを見て、元気を貰っていますから」




そう、微笑みながら可憐は言ってくれた。
アタシを見て元気を…か。


可憐「だから、歩さんには、やっぱり元気でいてほしいです。
 …明るくて元気な姿が、歩さんには似合っていると思いますから。」

歩「…サンキュ、可憐。真剣に答えてくれて」

可憐「いえ、全然…。私で役に立てたなら、良かったです。」




『力を抜いて』

『笑顔』

『明るく元気に』




色んな人から言われた言葉を反芻する。
よし、大丈夫!


張り切って………







ギュルルルルルルルルル








歩「………ごめん、可憐。ちょっとお腹痛くなってきたからトイレ」

可憐「え、えぇ!?大丈夫ですか!?」

歩「ノ、ノープロブレムさ…」


タッタッタッタッタ…



可憐「ほ、本当に大丈夫かな…?」


歩「…思ったよりも早く収まってくれて良かったよ、はぁ…」


よしよし、もう大丈夫だ。可憐も心配してるだろうし、早く戻らないと!


歩「…ん?」


そう思って通路を通ってると、ふと目に付いたものがあった。


歩「これが、フラワースタンドか~…!」


そこは色とりどりの花で彩られていて、凄く綺麗だった。


歩「これが未来宛てで、こっちが静香宛て…こっちの黄色いのは翼かな?」


それぞれのアイドルに向けての花束があって、見ていて凄く面白い。アタシ宛てのは…


歩「……あった!」


………『舞浜歩 様』か~!実際に見ると、テンション上がるなー!!凄く嬉しいよ!


歩「………あれ?」


その中に、他の花束よりもネームプレートが控えめに飾られた花束が。何人かがまとめて送ってくれたものよりも小さいし、個人で送ってくれたのかも?

こういうのも嬉しいな~、一体誰が…


………


『346プロ 双葉杏より』


歩「…また、お礼する事が増えちゃったな~。………あれ?」


良く見ると、名前の下に後から付け足したみたいな感じの手書きの文字が小さく残されていた。


『お礼なら飴玉でよろしく』


歩「…アハハ、相変わらずだなぁ、杏は」


飴玉…何味が良いかな?最初みたいに色んな味が入ったやつか、それとも珍しい味の飴にするか…


歩「とびきりのを送ってあげたいな」


…でも、それを考えるのは後にしよう。取り敢えずアタシがするべきなのは、ライブを成功させる事だ。



ひとまずは、それを以て杏への恩返しにさせてもらおう。




歩「…あ、早く戻らなきゃいけないの忘れてた!マイガー!!」



…控室に戻った後、皆(特に可憐)から小言をいただいた。

締まらないなぁ~、ハァ…。



………これもまた、アタシらしさ、でいいのかな?

―杏side―


武内P「…よろしかったのですか?双葉さん」

杏「何が?」

武内P「ライブ、最後まで見ていかれなくても…」

杏「…良いよ。仕事終わりで疲れたし……十分良いものも見れたし」

武内P「そう、ですか…」

杏「そうそう」


今日は仕事が終わってから直接幕張メッセまで来ちゃった。やっぱり、直接見とかないと落ち着かなかったからねー。

わざわざプロデューサーに席を取ってもらってまで見に来たけど……そんな心配は要らなかったみたいだね。


『ユニゾン☆ビート』


あれから歩の曲を聞いてみて、この曲はアップテンポで盛り上がる曲っぽいなーとは思ってたけど…どうやらこの曲はライブでより一層の力を発揮する曲だったみたいで、激しい動きの中で、観客を巻き込んでノリノリな雰囲気を作り出してたね。

…ちゃんと笑って楽しそうだったじゃんか、歩。やっぱり歩はああじゃないと。


武内P「…良い、笑顔でしたね」

杏「…そうだね~」


何だ、心配して損した。これはもう飴を貰わないとやってられないね。
…歩がフラワースタンドに気づいてるか、微妙なところがあるけど、


杏「ま、ほどほどに期待しとこ」


ま、取り敢えず…良いステージだったよ、歩。

…杏も、あの頑張りを程々に見習おうかな。




…………




うん、程々に。


未来「ライブ一日目、お疲れ様でした~!!」

「「「「「お疲れ様でした~!!!!!」」」」」


ライブは終了。最初から最後までホントに楽しかった!!……………別に、泣いてなんか無いからな!


未来「お疲れ様です、歩さん♪」

歩「お疲れ様、未来!」


全体の挨拶が終わって控室に戻ろうとしたところで、未来に引き止められた。


未来「歩さんのステージ、モニター越しでも楽しそうだな~って、伝わってきました!」

歩「そ、そうかな?」

未来「はい、私もつい控室で盛り上がっちゃって、静香ちゃんに怒られちゃいました。『静かにしなさい』って!…静香ちゃんだけに!!」

歩「ア、アハハ…ナイスジョーク……」



未来「……でも、良かったです。レッスンの時、浮かない顔をしてる事多かったのに、私、何もできませんでしたから…」

歩「…」

未来「相談してくださいって言っても、何も言ってくれないし…」

歩「うっ!ソ、ソーリー…」


…未来にもバレバレだったらしい。申し訳なさそうな顔をして未来は話した。
リーダーとして、色々と背負うものが多いんだろう…余計な負担をかけてたみたいだ。


未来「でも、いつからか歩さん、段々元気になってきて…何も言えなくなっちゃいました」



……………



歩「……未来のおかげ、だよ」


未来「………え?」

歩「未来がいつも元気に、笑顔でいてくれたおかげで、アタシも楽しくやれたんだ!本当にありがとな、未来!!」

未来「…私、歩さんの助けになれましたか?」

歩「オフコース!」

未来「………それなら、良かったです!!」


未来の顔にも笑顔が戻る。未来はやっぱり笑顔じゃないと!


歩「アタシはこれで終わりだけどさ、明日も頑張ってよ!応援してるからさ!!」

未来「はい!今日に負けないくらい、最高のステージにして見せます!!」


そう言って未来は去っていった。その背中は、目に見えるよりも、もっとビッグに見えた。

本当に、このライブに向けてたくさんの人にお世話になったな~…。

未来や可憐、杏や346プロのプロデューサーさん、そして…


P「お疲れ様、歩」

歩「…ありがと、プロデューサー」


プロデューサー。


P「最高に楽しそうな雰囲気、モニター越しにも伝わってきたよ。」

歩「…アハハ!プロデューサー、未来と同じこと言ってるよ!!」

P「何!?しまったな、未来に先を越されるとは…」


ライブ関連の打ち合わせの方に行ってて、中々レッスンには来ることが出来なくて、全然会う機会も無かったけど…


歩「メールありがとう!毎日元気貰ってたよ!!」

P「そ、そうか?ちゃんと会えて無かったから、イマイチ自身が無かったんだけどな…」


照れたように笑うプロデューサー。

そう。自主練最初の日から、メールだけは毎日欠かさず貰っていた。正直、最初の方はメールをちゃんと読む余裕も無かったけど…346プロのプロデューサーさんと会った後、全部見直した。

………思わず泣いちゃった。毎日毎日アタシを気遣って励ますメールをくれてたことに、感謝の気持ちと、ちゃんと見れて無かったことに申し訳ない気持ちも出てきて、涙が止まらなかった。

それからライブまでは、ちゃんとチェックしてたよ!


P「…ま、未来たちには相談出来てなかったみたいだけどな」

歩「うっ」

P「未来、というかメンバー皆気にかけてたけどな」

歩「うぅ…」


………本当にすまないと思ってる。

本当に、このライブに向けてたくさんの人にお世話になったな~…。

未来や可憐、杏や346プロのプロデューサーさん、そして…


P「お疲れ様、歩」

歩「…ありがと、プロデューサー」


プロデューサー。


P「最高に楽しそうな雰囲気、モニター越しにも伝わってきたよ。」

歩「…アハハ!プロデューサー、未来と同じこと言ってるよ!!」

P「何!?しまったな、未来に先を越されるとは…」


ライブ関連の打ち合わせの方に行ってて、中々レッスンには来ることが出来なくて、全然会う機会も無かったけど…


歩「メールありがとう!毎日元気貰ってたよ!!」

P「そ、そうか?ちゃんと会えて無かったから、イマイチ自身が無かったんだけどな…」


照れたように笑うプロデューサー。

そう。自主練最初の日から、メールだけは毎日欠かさず貰っていた。正直、最初の方はメールをちゃんと読む余裕も無かったけど…346プロのプロデューサーさんと会った後、全部見直した。

………思わず泣いちゃった。毎日毎日アタシを気遣って励ますメールをくれてたことに、感謝の気持ちと、ちゃんと見れて無かったことに申し訳ない気持ちも出てきて、涙が止まらなかった。

それからライブまでは、ちゃんとチェックしてたよ!


P「…ま、未来たちには相談出来てなかったみたいだけどな」

歩「うっ」

P「未来、というかメンバー皆気にかけてたけどな」

歩「うぅ…」


………本当にすまないと思ってる。

P「でも、いつからか元気が戻ってきたらしいじゃないか」

歩「え?あぁ、うん…そうなのかな?」

P「誰か、友達にでも相談したのか?」

歩「……あぁ、そうだよ」

P「……そっか、なら良かった。」

歩「………あ、そうだプロデューサー!」

P「ん、何だ?」

歩「何か、お勧めの飴って、ある?」

P「あ、飴?どうしたんだ?急に」

歩「その友達へのお礼にあげるんだ。」

P「飴をか?…飴で良いのか?」

歩「良いんだよ。むしろ、それが良いらしいよ。」

P「へぇ、随分と控えめな性格なんだな」

歩「控えめ?………控えめなのかな?」

P「…何で疑問形なんだ?」


杏が控えめ…そんな評価は初めて聞いたから、かなり新鮮だな。


歩「とにかく、飴にはうるさい奴だから」


普段はやる気のない発言とか行動が目立つけど、時には一生懸命誰かを支えるために動こうとする、優しい友達。今回も本当に感謝してる。

だからこそ、


歩「とっておきのを、教えてほしいんだ!!」






ライブで恩返しもしたつもりだけど、やっぱり最終的なお礼は、杏の望み通り飴がいいだろう。

以上です。見て下さった方、ありがとうございます。
………異常にながくなってしまい申し訳ありません。最初はもっと短い予定だったのですが…書きたいことが増えていった結果、こうなってしまいました。

今回は、分かる人には分かるかもしれませんが、完全に中の人ネタから書いています。武内Pはディレ1さんポジです。
後は、個人的に最近熱い未来と可憐にも出てもらいました。

ライブから2週間弱も遅れるわキャラの口調がちゃんと出来てるか微妙だわで駄文となったかもしれませんが、舞浜歩のことをもっと知ってもらうきっかけになればと思います。

2ndライブはLVでの参加でしたが、ユニゾン☆ビートは感動しました!皆さんも是非聴いてください!

乙でした
>>22
『ユニゾン☆ビート』
http://www.youtube.com/watch?v=vuBrAqY0vN8

>>13
春日未来(14) Vo
http://i.imgur.com/6AevEuy.jpg
http://i.imgur.com/19kLq46.jpg

>>19
篠宮可憐(16) Vi
http://i.imgur.com/nEmmGZ7.jpg
http://i.imgur.com/n3QORSM.jpg


アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」より
>>3
346プロ所属アイドル 双葉杏(17)
http://i.imgur.com/6Bc15Fy.jpg

>>12
346プロ所属アイドル 三村かな子(17)
http://i.imgur.com/OWJfvQy.jpg

>>15
346プロシンデレラプロジェクトプロデューサー 通称 武内P
http://i.imgur.com/7Dlo47R.jpg

あ、一つ言い忘れていました。

所恵美ちゃん、誕生日おめでとう!!

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