ほむら「2人だけの世界」 (235)

まどマギの百合物です
3回くらいに分けて投下する予定です

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まどか「ふぅ……」

まどか(日本の学校なんて久しぶりだったから、少し不安だったけど……)

まどか(案外、何とかなったかな。クラスのみんなもよくしてくれるし)

まどか(でも…慣れないせいか少し疲れちゃった……。今日はゆっくり休もっと)

まどか(……それにしても…暁美さん、だったよね。あれは何だったんだろう……?)

まどか(ルールや秩序がどうしたとか、わたしの敵だとか……)

まどか(それに、思いきり抱きしめられて、リボンをくれて……)

まどか「……考えてもわからない、よね」

まどか「……忘れ物は…なし、と。よし、そろそろ帰ろ……」

ほむら「……あら」

まどか「あ…暁美、さん……」

ほむら「ほむらでいいと言ったはずよ。まだ帰ってなかったのね」

まどか「う、うん。少しぼんやりしてて……」

ほむら「そう……」

まどか「……ね、ねぇ。あけ…ほむら、ちゃん……」

ほむら「何?」

まどか「さっきのあれ…どういう意味なの……?わたしの敵だとか何とかって……」

ほむら「……あなたが今のままのあなたでいてくれたのなら、何も気にする必要はないわ」

まどか「で、でも……」

ほむら「人として普通に過ごして、幸せになってくれれば……」

まどか「えっ……?」

ほむら「……喋りすぎたわね。私はこれで失礼するわ」

まどか「ま、待って。今の……」

ほむら「さようなら。……また、明日」

まどか「あ…ちょ、ちょっと……」

まどか「……ほむらちゃん……」

――――――

ほむら「……さて、どうしたものかしら」

ほむら「突拍子もないこと言った私が悪いのもあるんだろうけど……」

ほむら「あんなにも露骨に距離取られると少し辛いわね……」

ほむら「まどかを守るにはこれが最善だと思うけど、私は何も嫌われたいわけじゃないし……」

ほむら「むしろまどかが隣にいてほしいと思ってるくらいで……」

ほむら「……何かいい案はないものかしらね」

ドールズ「……」

ほむら「……何か用?」

ドールズ「……」

ほむら「私は何も後悔なんてしてない。余計な口を挟まないで」

ドールズ「……」

ほむら「……全く。自分で作った世界だけど、いまいち勝手がわからないわ」

ほむら「でも、この世界…私が作ったのよね。まどかを愛する気持ちで」

ほむら「世界を作り変えることができるのなら…そうね……」

ほむら「まどかの家が隣の世界に変わったりしないかしら」

ほむら「……ふふっ。何を言ってるのかしら、私は。そう簡単にいくわけないのに」

ほむら「さて、と。今日はもう寝ましょう」

ほむら(……だけど、少しだけ。明日の朝起きて変わっていればいいなって)

ほむら(そんなこと…あるわけないのに……)

ほむら(まどか…私は……)

――――――

ピピピピピピピピ

ほむら「……うる、さい」

ほむら「ふぅ……。朝、ね。眩しい」

ほむら「悪魔になった副作用か、朝に弱くなったような気が……」

ほむら「……多分気のせいよね。支度、しないと」

ほむら「今日はどれにしようかしら。チーズか、フルーツか……」

ほむら「ドリンクは酷い目に遭った記憶があるからやめておきましょう……」

ほむら「……それにしても、今日は隣がうるさいわね。人がバタバタしてるみたいで」

ほむら「早く食べて家を出た方がよさそうね」

ピンポーン

ほむら「……あら。こんな朝早くに誰かしら。そもそも私の家に来客なんて」

ほむら「出ないわけにもいかないだろうし…仕方ないわね」

ほむら「はい、どちらさま……」ガチャ

詢子「あぁ、おはようござ…って、子供?」

知久「別におかしくはないと思うよ。まだ学校って時間でもないからね」

ほむら「……っ」

ほむら(ど、どうなってるの?どうしてまどかのご家族が私の家に……?)

ほむら(私の家、知ってるわけないし…そもそも、まどかとは……)

ほむら(何が何だかわからないけど…応対はしないと……)

詢子「こんな朝早くにごめんなー。お父さんかお母さん、いるかな?」

ほむら「えっと…私、1人暮らしをしてるので……」

詢子「……最近の子は凄いな、1人暮らしか」

ほむら「あの、それでご用件は……?」

知久「あぁ、ごめんね。引っ越してきた挨拶回りをしているんだ」

ほむら「……え?」

詢子「今日、隣に越してきた鹿目って言うんだ。よろしくね」

ほむら(今日?今日越してきたって…まどかは昨日、学校に来てたはずじゃない)

ほむら(それに、まどかの家はもっと向こうで…少なくとも私の家の隣では……)

ほむら(私は夢でも見てるのかしら……。寝る前にあんなことを考えてたせいで……)

詢子「アタシは鹿目詢子。会社員だ」

知久「僕は鹿目知久。家で主夫をしているんだ」

詢子「それと……」

まどか「ママ、パパ。反対側の家への挨拶、終わったよ」

詢子「お。まどか、お疲れさん。……で、この子が娘の」

まどか「あ……」

詢子「……?」

まどか「え、えっと…鹿目まどか、です。よろしくね」

ほむら「……私は暁美ほむら。よろしく、鹿目さん」

まどか「暁美さんも見滝原中学みたいだけど…何年生なの?」

ほむら「2年生よ」

まどか「わ、そうなの?わたしも2年生で、今日から登校なんだ」

ほむら「そう……。奇遇ね」

まどか「えへへ、何だか運命感じちゃうよ」

ほむら「う、運命って……」

詢子「こらこら、何を口説こうとしてるんだこの子は。一目惚れでもしたかー?」

まどか「べ、別にそんなんじゃ……。わたしはただ、同い年なんだから友達になれないかなって……」

まどか「暁美さん……。ううん、ほむらちゃん。わたしと…友達になってくれないかな……?」

ほむら「……私でよければ。よろしく、まどか」

まどか「あ…ありがとう、ほむらちゃん」

詢子「よかったな、まどか。学校行く前から友達ができて」

知久「ほら、そろそろ次に行かないと時間無くなっちゃうよ」

詢子「あぁ、そうだね。それじゃ、アタシたちはこれで」

知久「まどかと仲良くしてあげてね」

まどか「同じクラスになれるといいね」

ほむら「そうね。……じゃあ、また」

バタン

ほむら「……」

ほむら「はぁ……」

ほむら「何がどうなってるの……?鹿目家が今日、隣に引っ越してきただなんて……」

ほむら「……とりあえず、普通に過ごすしかないわよね。どうしたらいいのかなんてわからないし」

ほむら「だけど…まさかまどかと友達になれるなんて思いもしなかったわ」

ほむら「これが夢なのかそうでないのか知らないけど、今は現状を楽しんだっていいわよね」

ほむら「……ふふっ。何だか今日が楽しみになってきたわ」

ピンポーン

ほむら「あら……?まどかが戻ってきたのかしら。どうしたの……」ガチャ

さやか「……」

ほむら「……どちら様でしょうか?」

さやか「あんた、今度は世界をどうするつもり……?」

ほむら「何の話かしら」

さやか「とぼけないで。昨日の夜、あんたの魔力を…世界が変わるのを感じたんだ」

さやか「……言いなさいよ。世界をどういじったのさ」

ほむら「それより、何で上書きした記憶が戻ってるのかしら」

さやか「そんなのどうだっていいでしょ。世界を戻さないってんなら…力ずくでも……!」

ほむら「あぁもう、めんどくさい……」

さやか「世界を…あんたみたいな悪魔に好き勝手いじられてたまるかっ!」

ほむら「……はい、上書き保存」パチン

さやか「うっ!?」

ほむら「あぁ、めんどくさい……。適当な記憶をあげるのも大変だというのに……」

さやか「……あれ。あたし、何でここに?」

ほむら「おはよう、美樹さん。私の家の前で何してるの?」

さやか「え……?あ、おはよう……。ごめん、何でもない」

ほむら「そう。それならいいけど」

さやか「ごめん、邪魔したね。……あっれ、マジであたし何してたんだっけ……?」

ほむら「……さて。支度して学校、行かないと」

――――――

早乙女「男子の皆さんはくれぐれも目玉焼きの焼き加減にケチをつけるような大人に……」

ほむら(その話はもういいから、早くまどかを入れなさいよ……)

早乙女「はい、それから今日は転校生を紹介します。鹿目さん、いらっしゃい」

ほむら(これでまどかがやって来るのを見るのは2度目ね。まどかのいる教室に入るのは何度も経験したけど)

ほむら(立場が変わるだけでこんなにも印象が違うものなのね)

まどか「えっと…鹿目まどかです。最近まで、マ…母の仕事の都合で……」

早乙女「鹿目さん?どうかした?」

まどか「あ、いえ。皆さん、よろしくお願いします」

早乙女「日本の学校は久しぶりみたいだから、色々と助けてあげてね」

早乙女「えーと、それじゃ席は……」

ほむら(……ふふっ。気づいたみたいね)

ほむら(あぁ、早くホームルーム終わらないかしら……)

生徒A「鹿目さん、部活ってもう決めてる?」

生徒B「アメリカに住んでたんでしょ?英語ペラペラなの?」

生徒C「ちっちゃくてかわいー」

まどか「あ、あはは……」

ほむら(質問攻めに遭うまどかも可愛いわ……)

ほむら(……っと、そろそろ助けてあげた方がいいわね)

ほむら「みんな、質問攻めはよくないわ。鹿目さんが困ってるでしょう?」

生徒A「それもそっか。ごめんね、鹿目さん。また今度話そうね」

まどか「う、うん」

ほむら「転校生なんて珍しいから。悪気はないのだろうから、許してあげて」

まどか「それは別にいいんだけど……」

ほむら「せっかくだし、私が校内を案内してあげましょうか?」

まどか「じゃあ、お願いできるかな」

ほむら「わかったわ」

まどか「……それにしても驚いたよ。まさか本当にほむらちゃんと同じクラスになるなんて」

ほむら「そうね。きっとこれも運命なんじゃないかしら?」

まどか「えへへ、そうかもね」

まどか「でも、さっきは何でわたしのこと、鹿目さんって……」

ほむら「転校生をいきなり名前で呼んだら不自然でしょう?」

まどか「……あ、そっか。わたしたちがもう友達だなんて誰も知らないわけだもんね」

ほむら「もっとも、もうあんな呼び方をするつもりはないけれど。改めて、よろしく。まどか」

まどか「よろしくね、ほむらちゃん」

ほむら(……前回はこの辺りでまどかの記憶が揺らいだのよね。注意しないと)

まどか「ほむらちゃん、どうかしたの?」

ほむら「いえ、何でも。それより、久しぶりの日本はどうかしら?」

まどか「うーん、そうだね…何もかも変わっちゃってるような、何も変わってないような」

まどか「懐かしいって気はするけど、よくわかんないや」

ほむら「そう……」

ほむら(……何も起こらないわね。今回はセーフってことかしら?)

まどか「……あ、ほむらちゃん。そろそろ授業、始まっちゃうよ」

ほむら「あら、ほんとね。じゃあ、残りはまた後で案内するわ」

まどか「うん。お願いね」

ほむら「クラスのみんなには悪いけど、今日はまどかと一緒にいさせてもらおうかしら」

まどか「わたしもほむらちゃんと一緒がいいなぁ」

ほむら「そう言ってもらえると私も嬉しいわ」

まどか「とりあえず、教室に戻ろうよ」

ほむら「えぇ。そうしましょうか」

――昼休み――

まどか「ごめんね、ほむらちゃん。昼休みなのに付き合わせちゃって」

ほむら「気にしなくてもいいわ。案内すると言い出したのは私の方よ」

ほむら「それに、そのついでという形でまどかと一緒にお昼を食べられてるのだから」

まどか「でも、何かお礼が……」

ほむら「……どうしてもお礼がしたいと言うのなら、ひとつお願いがあるの」

まどか「お願い?何?」

ほむら「今日の放課後、まどかの家に遊びに行ってもいいかしら?」

まどか「いいけど…引っ越してきてすぐだから、片付いてないよ?」

ほむら「……そうだったわね」

まどか「あ、じゃあほむらちゃんの家に行きたいな」

ほむら「私の家に……?構わないけど、何もないわよ?」

まどか「いいの。せっかくのお隣さんなんだから」

ほむら「……それもそうね。せっかくの隣同士だものね」

まどか「今から放課後が楽しみだなぁ」

ほむら「それにしても、まどかのお弁当は美味しそうね」

まどか「うちはパパが家にいるの。だから、お弁当とかも全部パパが作ってくれるんだ」

ほむら「そうなの……」

まどか「……そうだなぁ、ほむらちゃんにはこの玉子焼きをあげるよ」

ほむら「え、そんな。別に催促したわけじゃ……」

まどか「いいからいいから。ほら、あーん」

ほむら「……あ、あーん」

まどか「どう?うちの玉子焼き」

ほむら「……美味しい。こんなに美味しい玉子焼きを食べたのは初めてよ」

まどか「気に入ってくれたみたいでよかったよ」

ほむら「まどかが少し羨ましいわ。こんな美味しいお弁当を毎日食べられるのだから」

まどか「ほむらちゃん、料理とかしないの?」

ほむら「1人暮らしはしてるものの、料理はさっぱりよ。基本的に出来合いの物か、栄養補助食品か……」

まどか「だ、ダメだよ。体壊しちゃうよ」

ほむら「大丈夫よ。今まで平気だったんだから」

まどか「そういう問題じゃないよ、今まで大丈夫だっただけで……」

ほむら「心配してくれるのは嬉しいけど、料理ができないんじゃどうしようも……」

まどか「……そうだ。パパにほむらちゃんの分も作ってくれないか頼んでみるよ」

ほむら「ま、待って。それはいくらなんでも……」

まどか「だってそうでもしないと、ほむらちゃんのお昼はずっとそのままでしょ」

まどか「それとも、自分で作る?」

ほむら「それは……」

まどか「頼むだけ頼んでみるから、もしいいよってことになったら受け取ってくれないかな」

ほむら「……そこまで言われたら断るわけにはいかないわね。もしそうなったらありがたく頂くわ」

まどか「……ふぅ。ごちそうさま」

ほむら「食べ終わったのなら、教室に戻りましょう。もうすぐ昼休み、終わっちゃうわ」

まどか「お昼食べたのが案内終わってからだったもんね。もっとお話しながら食べたかったんだけど……」

ほむら「まだ放課後があるじゃない。もう少し頑張りましょう」

まどか「そう、だね。よし、放課後までがんばろう」

ほむら「それじゃ、行きましょうか」

――放課後――

まどか「楽しみだなぁ、ほむらちゃんのお家」

ほむら「期待してるとこ悪いのだけど、本当に何もないわよ?」

まどか「だけどさ、やっぱり初めて行く友達の家って楽しみになるものだよ」

まどか「それにほむらちゃんは、こっちに来てから最初の友達だもん」

ほむら「最初の友達……。友達、ね……」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「……少しぼんやりしていたみたいね。さぁ、着いたわよ」

まどか「着いたって言っても、わたしの家のすぐ隣なんだけどね」

ほむら「そうね。すぐ近くどころの話じゃないわ」

まどか「わたしの部屋から徒歩30秒くらいじゃないかな」

ほむら「私の家の2階の窓とまどかの家のベランダを開ければ、そこで話ができちゃいそうね」

まどか「あ、ほんとだ。……これは夜が楽しみになっちゃうね」

ほむら「ふふっ、そうね。……立ち話もなんだし、あがって」

まどか「うん。おじゃまします」

ほむら「……どうかしら、私の家は」

まどか「わたしは素敵だと思うよ。ほむらちゃんらしい家で」

ほむら「私らしい……?」

まどか「うん。ほむらちゃんらしい落ち着いた感じで……」

まどか「……って、わたしたちまだ会って1日も経ってないんだよね。ごめんね、知った風に言って」

ほむら「いえ、いいの。まどかに気に入ってもらえてよかったわ」

ほむら「それに、その人と会ってからの時間よりも…一緒にいてどう思うか、どう感じるかの方が大事じゃない?」

まどか「うーん…それもそうなのかな。ほむらちゃんは、わたしといるとどう感じるの?」

ほむら「そうね……。第一印象は随分と可愛らしい子だと思ったわ」

まどか「か、可愛らしいだなんて…照れちゃうよ」

ほむら「それから学校で一緒に過ごして…一緒にいるのが当然だと思えるくらいに馴染んでしまった、って感じかしら」

まどか「……ほむらちゃん、ひょっとして口説いてる?」

ほむら「ふふっ。かもしれないし、そうじゃないかもしれないわ」

まどか「むぅ……。ほむらちゃんは案外いじわるだ」

ほむら「仕方ないわ。だって私は悪魔だもの」

まどか「悪魔……?」

ほむら(……しまった、つい口が滑って……。この話題はまずい気が……)

まどか「……それって、普通は小悪魔とか言うところじゃない?悪魔は可愛くないよ」

ほむら「え、えぇ……。そうとも言うのかしら……?」

まどか「そうとしか言わないよー。自分を悪魔なんて言う人、初めてだよ」

ほむら(……記憶が揺らいでる感じはないわね。よかった……)

ほむら(まどかの記憶が揺らいでしまう前に話題を変えましょう……)

ほむら「じゃあ、まどかは私といるとどんな風に感じるの?」

まどか「うーんと…第一印象はすごく綺麗で、美人だなって。今でも同い年っていうのが信じられないくらいに」

まどか「それで、今日1日を一緒に過ごして…なんて言ったらいいのかな……」

まどか「まるで昔どこかで会ったことがあるみたいに、懐かしい感じがしたんだ……」

ほむら「……っ」

まどか「……あれ、ほむらちゃん?」

ほむら「……まどかだって人のこと言えないじゃない。まるっきり口説き文句だったわよ」

まどか「えっ…そ、そうだった?ごめんね」

ほむら「まぁ、嫌ではないけれど…他の人には言っちゃ駄目よ」

まどか「わかってるけど…ほむらちゃんには言ってもいいの?」

ほむら「……へっ?」

まどか「だって、わざわざそんなこと言うくらいだから。もしかして、って」

ほむら「……たまになら、構わないけど」

まどか「えへへ…ありがとう」

ほむら(今のまどかの言葉…どういう意味なのかしら)

ほむら(記憶の揺らぎは今のところないみたいだけど、どこかで会ったとか、懐かしいとか……)

ほむら(記憶や世界を変えても、心や感覚が以前のことを覚えてしまってるのかしら……?)

まどか「……ほむらちゃーん。ぼんやりしてどうしたのー?」

ほむら「え…あ、ごめんなさい。何でもないわ」

まどか「ほむらちゃんって、何だかぼんやりしてることが多いみたいだけど……」

ほむら「……色々と考え事をしてしまうの。昔からの癖みたいなものよ」

まどか「考え事もいいけど、今はわたしといるんだから。もっと色んなこと、話そうよ」

ほむら「……そうね。じゃあ、次の話は……」

――――――

まどか「……それじゃ、そろそろ帰るね」

ほむら「家まで送って行きましょうか?」

まどか「送るも何もわたしの家、お隣だよ?」

ほむら「……そうだったわね」

まどか「それより、今日のお夕飯…うちで一緒に食べない?」

ほむら「さっきも言ったけど…今日は遠慮するわ。ごめんなさい」

まどか「……わかったよ。じゃあ、また今度ね」

ほむら「えぇ。次の機会を楽しみにしてるわ」

まどか「……忘れ物はなし、と。ほむらちゃん、おじゃましました。また明日ね」

ほむら「さようなら。……また、明日」

バタン

ほむら「……ふぅ」

ほむら(今日1日過ごしてみたけど…これはやはり、私が世界を変えてしまったみたいね……)

ほむら(夢がこんなに長く続くとは考えにくいし、美樹さやかの記憶の件もあるし……)

ほむら(でも…一体、いつ?私、そんなことをした記憶は……)

ほむら(自分の意思…この場合は自分の意思と言うべきなのかしら。無自覚だったみたいだし……)

ほむら(ともかく、世界を変えてしまったのはどうやら私のようね……)

ほむら(……あぁもう。自分で望んでこの姿になって、世界を書き換えたと言っても)

ほむら(世界のことも、力のことも…いまいちよくわかってないのよね……)

ほむら(だけど、私の一存で世界を変えることができるのだとしたら……)

ほむら「……ふふっ。いいこと、思いついたわ」

ほむら「私が最初の世界を造ったときの根幹…まどかをあいつから守る為、まどかへの愛…そこをそのままに……」

ほむら「まどかとあんな関係やこんな関係になった世界を造ることも不可能ではないんじゃ……」

ほむら「……わからない。わからないけど、こうしちゃいられないわ。早速確かめてみないと」

ほむら「もし…もし、そうなのだとしたら、私は……」

ほむら「……ふふふっ」

――――――

ほむら「さて……。確認してみた結果……」

ほむら「確かに今の私は世界を書き換えることができるようになってるみたいね……」

ほむら「これでまどかとどうなってみようかしら。何かいい案は……」

~♪~♪

ほむら「……あら、メール?まどかから……?」

『夜遅くにごめんね。どうしても顔を見て話がしたくて……』

『今日言ってた、2階の窓のところで少し話せないかな。返事、待ってるよ』

ほむら「話がしたい、ね。そう思ってもらえるなんて……」

ほむら「えーと、とりあえず返事を送って……」

ほむら「あとは…上に何か1枚羽織った方がよさそうね。少し肌寒いし」

ほむら「……さて。あの窓の部屋はどこだったかしら?」

ほむら「片っ端から開けていけばいいかしらね……」

まどか「……」

ガラッ

まどか「あ……」

ほむら「こんばんわ、まどか。待たせてごめんなさい」

まどか「ううん。来てくれてありがとう」

ほむら「それで、話がしたいってことだったわね。何の話かしら?」

まどか「……ほむらちゃんは、恋ってしたこと…ある?」

ほむら「恋って…恋愛的な意味での、恋……?」

まどか「うん……」

ほむら「……そうね。ある、わ。今となっては叶うはずもないけれど」

ほむら「でも、どうしてこんな話を……?」

まどか「うん……。わたしの話がそれに関係してるから、かな」

ほむら「え……?」

まどか「……わたしね、ほむらちゃんのことが好き…かもしれないんだ」

ほむら「……それは友達として、ではなくて?」

まどか「違うの。ほむらちゃんに…恋をしたんじゃないかって……」

ほむら「そう……」

まどか「きっと一目惚れだったんだと思う。初めてほむらちゃんを見たとき…何かが心の中で膨らみだして……」

まどか「学校でほむらちゃんと一緒にいると、体中がかーっと熱くなっちゃって……」

まどか「今も、ただ話をしているだけのはずなのに…胸がドキドキしちゃってるんだ……」

ほむら「……どうしてその話を今しようと?」

まどか「これから先もほむらちゃんと一緒にいると…ほむらちゃんのこと、もっと気になっちゃうと思うんだ」

まどか「だけど、わたしたちは同性だから…ほむらちゃんが受け入れてくれるとは限らない」

まどか「あとになってそんなことになったら、きっとわたしは立ち直れない。だからもう、先に伝えることにしたの」

ほむら「……」

まどか「わたし、きっと…ううん、絶対にほむらちゃんのことを好きになっちゃう」

まどか「もし、それでも友達でいてくれるなら…明日の朝、家の前で待っててくれないかな」

まどか「……気持ち悪くて友達でいたくないのなら…無視しちゃっていいから」

ほむら「……まどかの言いたいことはわかったわ」

まどか「ごめんね、ほむらちゃん。急にこんなこと、言ったりして……」

まどか「最後になるかもしれないから…言っておくね」

まどか「ありがとう。話、聞いてくれて。ありがとう、友達になってくれて」

まどか「じゃあ…おやすみ、ほむらちゃん」

ほむら「……えぇ。おやすみなさい」

ほむら「……」

ほむら(まどかと友達になれただけでなく、出会ったその日のうちに告白されてしまうなんて)

ほむら(今回に限った話じゃないけど…まどかにその気なんてないと思ってただけに少し驚いたわね)

ほむら(……だけど、まどかってそんなに惚れっぽい子だったかしら?)

ほむら「まどかに告白されて、恋人になるのも素敵だけど…今はまどかともっと色んな関係になってみたいわ」

ほむら「次は…まどかとどうなってみようかしら。そうね……」

ほむら「今よりももっとまどかに近い立場の姉妹とか…よさそうね。それじゃ早速……」

ほむら「……世界再構築、開始!」

今回はここまで
次回投下は15日夜を予定しています

叛逆後のSSはこれが初めてなので
まどかはともかくデビほむの言動が不安

次から本文

――――――

ピピピピピピピピ

ほむら「……ここは…私の家、じゃないわね」

ほむら「私は自分の家で書き換えをしたはずだから…上手くいったみたいね」

ほむら「……この立場の人間になるにあたって、必要な情報はもう頭に入ってるのね。身に覚えのない記憶が」

ほむら「漠然と姉妹なんて言ったせいか、だいぶ無茶な関係になってしまったけど…仕方ないかしら」

ほむら「今の私の記憶によれば、私の立場は……」

コンコン

まどか『ほむらちゃん、起きてるー?』

ほむら「……えぇ、起きてるわ」

まどか『じゃあ、入るねー』

ガチャ

まどか「ほむらちゃん、おはよー」

ほむら「おはよう。……姉さん」

ほむら(私の立場は…まどかと血の繋がらない妹……)

まどか「……今日から新しい学校かぁ。何だか緊張するね」

ほむら(記憶を辿った限り、どうやら私も一緒に向こうからこっちへ引っ越してきたみたいね)

ほむら(血の繋がらないってどういうことかと思ったけど…小さい頃に親戚の家から預けられて、姉妹同然に育ったことになってるみたい……)

ほむら(こんな無茶な世界も成立させてしまうなんて…凄いわね、この能力)

まどか「……ほむらちゃん?どうかした?」

ほむら「あぁ…何でもないわ。ちょっと考え事をしてただけ」

ほむら「こっちに来ても相変わらずだね、ほむらちゃんの考え事する癖は」

ほむら「そう簡単に変わらないから癖なんだと思うけど」

詢子「ほむら、考え事もいいけど今日は早めに出た方がいいんじゃないか?」

まどか「今日が転校初日だしね。学校の場所は昨日確認したけど……」

知久「遅刻してもいけないからね」

ほむら「そうですね……」

まどか「ほむらちゃん?何でそんな他人行儀な……」

ほむら「……まだ少し寝ぼけてるのかしら。ごめんなさい」

ほむら(そうだったわ……。私も家族の一員だったわね……)

ほむら(怪しまれないような会話を心がけないと……)

詢子「さて、と。そろそろ行くかな。2人も遅刻するなよー」

まどか「わかってるよ。行ってらっしゃい、ママ」

ほむら「行ってらっしゃい。母さん」

知久「……さぁ、2人もそろそろ支度をした方がいいと思うよ」

まどか「そうだね。じゃあ、支度しよっか」

ほむら「えぇ……」

まどか「……?どうかした?」

ほむら「……ううん、何でも。今行くわ」

ほむら(世界を変えたのに美樹さやかが来ないわね。まぁ、来ないに越したことはないけど)

――――――

まどか「えっと、鹿目まどかです。よろしくお願いします」

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

ほむら(……案の定、美樹さやかに睨まれてるわね。佐倉杏子は…特に変わりはないかしら)

ほむら(世界を書き換える度に記憶が戻ってしまうのかしら。めんどくさいわね……)

ほむら(……まぁ、気にすることでもないわね。まさか教室で仕掛けてくるわけないだろうし)

ほむら(とりあえず、休み時間までは大丈夫ね)

生徒A「2人って姉妹なんでしょ?何で苗字違うの?」

ほむら「それは本当の姉妹じゃないからよ。私は親戚から預けられているの」

生徒B「どっちが姉で、どっちが妹なの?私は暁美さんが姉だと思うんだけど」

ほむら「残念、私は妹よ。よく間違えられるわ」

生徒C「えー、意外だなぁ。鹿目さんがお姉ちゃんなんだ」

まどか「あ、あはは……」

ほむら(……質問攻めに遭うってことを忘れていたわ。誰も止めてくれないからいつまで続くのかしら)

さやか「はいはい、転校生が困った顔してるよ。散った散った」

生徒A「それもそっか……。またね、2人とも」

ほむら「えぇ。……ありがとう、助かったわ」

さやか「……別に助けたわけじゃないよ。ただ、ちょっと話がしたいだけ」

さやか「……あんた、今の世界が別の誰かが作ったものだって言われたら…信じる?」

まどか「え……?」

さやか「信じられないのも無理はないよね。だけど、あんたは…鹿目まどかは……!」

ほむら「……いきなり何を言い出すの?宗教の勧誘なら間に合ってるわよ」

さやか「あんたはいいだろうね、自分の好きなように面白おかしく世界を変えてさ……!」

まどか「ほ、ほむらちゃん……?」

ほむら「困ったわね。妙な人に捕まってしまったみたい」

さやか「まどか、思い出してよ!あんたは……!」

ほむら「……はい、上書き保存」パチン

さやか「うっ!?」

まどか「……あ、あの?」

ほむら「もう1度言うわよ。宗教勧誘は間に合ってるの」

さやか「へ……?あ、ご、ごめん。あたしの友達が宗教を信仰してて……」

ほむら「信仰するのは自由だけど、それを押し付けちゃ駄目よ」

さやか「ご、ごめんねー。……あっれ、あたしそんな話してたっけ……?」

まどか「な、何だったんだろう」

ほむら「気にしない方がいいと思うわ。悪気があったわけじゃなさそうだし」

まどか「そ、そうだね」

ほむら「……そろそろ授業が始まるみたいね」

まどか「う、うん……」

ほむら「どうかしたの?」

まどか「ほむらちゃんも知ってるだろうけど…この学校、結構授業が難しいみたいだから……」

ほむら「知ってるけど、心配しすぎだと思うわ」

まどか「かもしれないけど…やっぱり、ちょっと不安だよ……」

ほむら「大丈夫よ、姉さんなら」

まどか「……何だろう。ほむらちゃんにそう言われると不思議と大丈夫だって気になってくるよ」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「……ほら、授業の用意をしましょう」

まどか「うん、そうしよっか」

――放課後――

まどか「ふぅー……」

ほむら「随分とお疲れみたいね、姉さん」

まどか「そりゃそうだよ……。授業、ついていくのでやっとだもん」

まどか「それにほら、初日ってこともあって気疲れもあるし……」

ほむら「じゃあ、今日は早く帰って休みましょうか」

まどか「うーん…いや、せっかくだからほむらちゃんと寄り道していきたいな」

ほむら「私はいいけど、疲れているんじゃ……?」

まどか「平気だよ。それに、気疲れしたときは楽しいことした方がいいでしょ?」

ほむら「……わかったわ。姉さんは行きたいところ、ある?」

まどか「うーんと…あ、そうだ。このあたりの下見したときに大きいショッピングモールを見つけたんだ」

まどか「そこに行ってみるってのはどうかな」

ほむら「じゃあ、そうしましょうか。場所は覚えてる?」

まどか「うん、大丈夫だと思う」

ほむら「それなら大丈夫ね。……じゃ、行きましょう」

――ショッピングモール――

まどか「うわぁー……」

ほむら「これは…思っていた以上に大きいわね」

まどか「うちの学校の制服着てる人もちらほら見るし、寄り道の定番なのかな」

ほむら「どうかしら。ただ、これだけ広いとどこに何があるのか……」

まどか「それなら、適当に回ってみようよ。で、気になったお店に入ってみるとか」

ほむら「えぇ。私はそれで構わないわ」

まどか「それじゃ、早速行ってみようよ」

ほむら「……それにしても、本当に色んな店があるのね」

まどか「飲食店に雑貨屋、書店…CDショップもあるみたい」

ほむら「だいぶ大きい店みたいだから、姉さんの好きな演歌も色々取り揃えてあるんじゃない?」

まどか「今度、時間があるときにまた来てみようね」

ほむら「私は音楽はあまり……」

まどか「そんなこと言わないで、一緒に行こうよー」

ほむら「もう。しょうがないわね」

まどか「……でも、嬉しいなぁ。ほむらちゃんとこうして寄り道ができて」

ほむら「姉さん……?」

まどか「だってさ、ほむらちゃんと2人でどこかに出かけるのって久しぶりだから……」

まどか「家族みんなで出かけることはあったけど…ちょっとだけ寂しかったんだよ?」

ほむら「……なら、今日は思う存分に楽しんでいきましょう。私と、姉さんの2人きりで」

まどか「えへへ…ありがとう。ほむらちゃん」ギュウ

ほむら「だからって腕に抱きついてこなくても……」

まどか「いいでしょ、姉妹なんだから」

ほむら「姉妹ってここまでするもの……?」

まどか「細かいこと気にしちゃダメだよ。……それとも、こういうのは嫌?」

ほむら「……嫌なわけないじゃない。だって、姉さんだもの」

まどか「じゃあ、今日は…帰るまでこうしててもいいよね?」

ほむら「えぇ、勿論。でも、これじゃどっちが姉かわからないわね」

まどか「いいの。今はわたしとほむらちゃんの2人だけなんだから」

ほむら「ふふっ、そうね。……次は向こうに行ってみましょう?」

まどか「向こうは何があるんだろう。楽しみだなぁ」

――――――

ほむら「……すっかり遅くなってしまったわね」

まどか「まさか迷子になるとは思わなかったよ……」

ほむら(私は当然何がどこにあるか知っているけど…黙ってたのよね。一緒に迷子になるのも楽しかったし)

まどか「パパに注意されそうだけど…理由を話したら見逃してくれるかな……?」

ほむら「どうかしら。多少はマシになるとは思うけど、見逃してはくれないでしょうね」

まどか「そんなぁ……」

ほむら「ほら、そんなこと話してるうちに家が見えて……」

まどか「あれ?明かり、点いてないね。ママはともかく、パパもいないのかな」

ほむら「とりあえず、家に入ってみましょう」

まどか「ただいまー…って、ほんとに誰もいない」

ほむら「出かけたのかしら……?」

まどか「……あ、書き置き。パパは夕飯の買い物に出たみたい」

まどか「ママもこの様子だとまだ帰ってきてないみたいだし……」

ほむら「そうね……。帰ってくるまで、大人しく留守番してましょうか」

まどか「……そ、それなら…その間にお風呂入らない……?」

ほむら「私は1人でも大丈夫だから、入ってきても……」

まどか「……違うの。ほむらちゃんと一緒に入りたいんだ」

ほむら「わ、私と?」

まどか「うん……。ダメかな……?」

ほむら「……わかったわ。一緒に入りましょう」

まどか「い、いいの?」

ほむら「姉さんのお願いだもの。私は構わないわ」

まどか「……ありがとう、ほむらちゃん」

――――――

ほむら「ふぅ……」

まどか「はぁー…いい湯だねー……」

ほむら「やだ姉さん、年寄りみたいよ」

まどか「し、仕方ないじゃん。つい言っちゃうんだから」

ほむら「趣味嗜好も何だか子供らしくないし…変なところで年寄り染みてる気がするのよね」

まどか「うぅー……。ほむらちゃんのいじわる……」

ほむら「ちょっと意地悪が過ぎちゃったわね、ごめんなさい」

ほむら「でも、私はそんな姉さんが大好きだから。許してくれないかしら」

まどか「……し、しょうがないなぁ。許してあげるよ」

ほむら「えぇ、ありがとう」

まどか「それにしても、ほんとに久しぶりだよね。一緒にお風呂なんて」

ほむら「いつ以来だったかしら……?」

まどか「たぶん、中学に上がる前じゃないかな。あの頃は一緒でもまだ余裕があったけど」

まどか「今は…窮屈でくっついちゃうね」

ほむら「向こうの家より浴槽のサイズは大きいはずなのに。私たち、大きくなったのね」

まどか「……うん」

ほむら「それで、今日はどうしたの?急に一緒に入りたいだなんて」

まどか「え、えっと…それはね……」

ほむら「それは……?」

まどか「……と、特に理由らしい理由はないの。ただ、ほむらちゃんと一緒がいいなって思って」

ほむら「そうなの?」

まどか「うん……。迷惑だった……?」

ほむら「……そんなことないわ。私も久しぶりに一緒で少し嬉しいから」

まどか「そっか…よかった……」

ほむら(せっかくのこの状況…少し意地悪しちゃおうかしら)

ほむら「……本当に久しぶりだけど、姉さんの慎ましやかな体は相変わらずね」

まどか「うえっ!?ななな、何を言い出すの、ほむらちゃん!?」

ほむら「何って、姉さんは小さくて可愛いわねって話」

まどか「うぅ…あ、あんまり見ないでよぅ……」

ほむら「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃない。同性の姉妹なんだから」

まどか「それは…そうだけど……」

ほむら「それとも…恥ずかしく思ってしまう何かが姉さんにはあるのかしら?」

まどか「……っ!」

ほむら「ふふっ。そんなわけ……」

まどか「……」

ほむら「……姉さん?もしかして、あるの?」

まどか「うん……」

ほむら「それは…何かしら。教えてもらえない?」

まどか「……ダメだよ。こんなこと言っちゃったら、ほむらちゃんに嫌われちゃうから」

ほむら「私に……?」

まどか「だから言いたくないんだけど…いつか言わなきゃいけないことだし……」

まどか「……聞いてほしいんだ。わたしの気持ちを」

ほむら「え、えぇ……」

ほむら(何かしら、前回のときもこんな雰囲気になったような……)

まどか「わたし…わたしね、ほむらちゃんのことが…好き。大好きなの……」

ほむら「それは私だって……」

まどか「違うの。わたしの好きは…家族愛とか姉妹愛じゃなくて……」

まどか「ほむらちゃんに…恋をしちゃったっていう、好き…なの……」

まどか「だからこうして体を見られちゃうのが何だか恥ずかしいんだ……」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「……あっ、ごめんなさい。少し驚いてしまって」

まどか「やっぱり…おかしいよね、こんなの。普通じゃないよね……」

まどか「女の子同士で…血は繋がってないとは言っても本当の姉妹同然のほむらちゃんに、こんな……」

ほむら「そんなこと……」

まどか「ほむらちゃんは…きっとわたしのこと、姉妹としか見てないと思う。だけど……」

まどか「わたしは…ほむらちゃんが大好きなんだ……」

ほむら「そう……」

まどか「返事は…無理にしなくてもいいの。ただ、わたしが自分の気持ちを抑えられなくなっただけだから……」

まどか「……えへへ、ごめんね、変な話しちゃって。そろそろあがろっか」

ほむら「姉さん……」ギュウ

ほむら「私も、姉さんのこと…好きよ」

まどか「そんなこと…言わないで。違うってわかってるのに…わたし……!」

ほむら「違わないわ。私も姉さんと同じ気持ちだから」

まどか「えっ……」

ほむら「私、姉さんが好き。家族愛でも、姉妹愛でもなく…恋の対象として……」

ほむら「姉さんのこと…愛してるの」

まどか「……本当、なの?本当に…わたしのこと……?」

ほむら「こんな嘘、言うわけないでしょう?嘘偽りの無い、私の本心よ」

まどか「そう…なんだ。ほむらちゃんも…わたしのこと……」

ほむら「……?姉さん、泣いて……?」

まどか「あ…な、何でもない。何でもないの……」

まどか「ただ…ほむらちゃんと両想いだったことが嬉しくて、堪えきれなくて……」

まどか「……わたし、先にあがるね。嬉し泣きでも、ほむらちゃんに泣いてるところ、見られたくないから」

まどか「……大好きだよ、ほむらちゃん」

バタン

ほむら「……」

ほむら(まさか、まどかに2度も告白されてしまうなんて。今回は身内ということになってるはずなのに)

ほむら(少し驚いたとは言ったけど…これが2度目だからかしら、言うほど驚いてはないのよね……)

ほむら(何となく、されるんじゃないかって気はしてたもの。ショッピングモールではずっと腕に抱きついてたし)

ほむら(姉妹以上として私に好意を持っていたのでしょうね。……書き換えた世界の作られた過去でどう思ってたかはわからないけど)

ほむら「まどかの姉妹…妹で、両想いの恋人、ね……。滅茶苦茶もいいところだけど……」

ほむら「……ふふっ。まどか……」

――――――

ほむら「……さて、と。そろそろ明日の準備を始めないと」

ほむら(まさかあのあと少しのぼせてしまうとは思わなかったわ。考え事をしすぎたせいね……)

ほむら(だけど、今日は随分と楽しませてもらったわ。まどかの妹になって、とても楽しかった)

ほむら(一緒に家を出て、授業を受けて、寄り道をして…告白されて)

ほむら(みんなで夕飯を食べて、まどかの部屋で寛いで……)

ほむら(そして、今日が終わる。楽しかった1日も、これで終わり)

ほむら(少し心残りというか残念な気もするけど…変えるのなら早くしないとどんどんやり辛くなってしまうわ)

ほむら「……それじゃ、始めましょうか」

コンコン

ほむら「……?誰?」

まどか『あ、わたしだよ。今、いい?』

ほむら「……えぇ。どうぞ」

ガチャ

まどか「えへへ……」

ほむら「どうしたの、姉さん。私に用かしら?」

まどか「えっと、用ではないんだけど…わたし、もう寝るからおやすみって」

ほむら「そう。おやすみなさい、姉さん」

まどか「うん。……ねぇ、ほむらちゃん。わたしたちって、両想い…なんだよね」

ほむら「そうだけど、それがどうかした?」

まどか「……明日から、わたしたち…姉妹で、恋人になるのかな……?」

ほむら「……そうね。でも、人目のあるところではいつも通りの姉妹でいなきゃ駄目だと思うわ」

まどか「大丈夫、わかってるよ。ほむらちゃんと恋人になるのは2人きりのときだけだから」

ほむら「えぇ。……ほら、明日もあるしそろそろ休みましょう」

まどか「うん。……おやすみ、ほむらちゃん」

ほむら「おやすみなさい、姉さん」

バタン

ほむら「……告白してくれて、ありがとう。姉さん」

ほむら「また、次の世界で逢いましょう。まどか」

ほむら「……世界再構築、開始」

今回はここまで
読んで下さってる方、ありがとうございます

次回投下は16日夜を予定しています

いまさらだけどこのタイトルだとクリスマスのときのやつと被ってるね…
次からはもうちょっと確認してから決めます

次から本文

――――――

ピピピピピピピピ

ほむら「……うぅ、ん…ここは……」

ほむら「……上手く行ったのかしら。特に変わり映えはしない……」

まどか「……いえ、成功のようね。身に覚えのない記憶がしっかり頭に入ってる」

ほむら「この世界のまどかとどうなるか、楽しみね」

ほむら「……と、独り言はこのくらいにしてこの子を起こしてあげないと」

まどか「すぅ……」

ほむら「まどか。起きて、まどか。今日から学校よ」

まどか「んぅ…ん……。ぅ、ん……?」

ほむら「ほら、起きなさい。転校初日から遅刻だなんて笑えないわよ」

まどか「……んーっ。ふぅ……」

ほむら「目が覚めたかしら?」

まどか「……うん。まだちょっと眠いなぁ」

ほむら「寝起きが悪いなんて、珍しいわね」

まどか「んー……。新しい学校とかのことで、少し緊張しちゃったからかなぁ」

ほむら「顔を洗えば目も覚めるわよ。行きましょう」

まどか「うん。……おはよう、お姉ちゃん」

ほむら「おはよう、まどか」

ほむら(前回は姉妹になりたいという漠然としたものだから、あんな妙な世界になってしまった)

ほむら(その反省を生かして、今回ははっきりと明確なものを想い描いて世界を作らせてもらったわ)

ほむら(そう。今回は…血の繋がった、れっきとした双子の姉妹。私はその姉)

ほむら(まさか関係をここまでいじれるなんて…想像以上ね……)

まどか「……ちゃん。お姉ちゃんってば」

ほむら「……えっ。あ、ごめんなさい。ぼんやりしてたわ」

まどか「もー。お姉ちゃんも目が覚めてないじゃん」

ほむら「ふふっ、そうね。じゃあ、行きましょう」

詢子「……今日からこっちの学校だけど、どうだ?緊張してないか?」

ほむら「少し緊張しているけど、大丈夫。まどかが一緒だから」

ほむら(まどかのご家族との会話もだいぶ慣れたものになってきたわね……)

詢子「そっか。その分だとまどかもほむらと一緒なら大丈夫そうだな」

詢子「……しっかし、親のアタシが言うのもアレだけどお前らはほんとに仲のいい姉妹だなぁ」

ほむら「そう?でも、いいじゃない。仲がよくて」

詢子「まぁな。まどかの前だと子供扱いするなーって怒られちまうけど…まどかのこと、頼んだよ」

ほむら「うん。任せて」

まどか「ママ!聞こえてるよ!」

詢子「おぉ、怖い怖い。……じゃ、アタシは先に出るよ。お前らも遅刻するなよー」

まどか「わかってるよ。いってらっしゃい、ママ」

ほむら「……私たちも行きましょうか」

まどか「わたしの方もちょうど終わったし、そうしよっか」

ほむら「終わったって…何が?」

まどか「それはまだ秘密。あとで教えてあげるね」

ほむら「そう。なら、楽しみに待つことにするわ」

知久「2人とも。お弁当、忘れずにね」

まどか「ありがとう。……大丈夫、だよね」

ほむら「まどか?何か言った?」

まどか「あっ…な、何でもないよ。それじゃ、そろそろ行こう?」

ほむら「そうね。行ってきます、父さん」

知久「うん、行ってらっしゃい」

――――――

まどか「えっと、鹿目まどかです。よろしくお願いします」

ほむら「あけ……」

まどか「……あけ?」

ほむら「……失礼しました。鹿目ほむらです。よろしくお願いします」

早乙女「えーと、それじゃ席は……」

ほむら(そうだったわ。今回は完全な家族だから苗字も変わってるのよね)

ほむら(次からは気を付けましょう。それと……)

さやか「……」

ほむら(やっぱり戻っちゃってるわね。すっごいガンつけられてるわ)

ほむら(あとでごちゃごちゃ言われるのもめんどくさいから先手を打った方がよさそうね)

ほむら「……上書き保存」パチン

さやか「うっ!?」

早乙女「美樹さん?」

杏子「さ、さやか?どした?」

さやか「……あ、す、すいません。何でもないです」

杏子「何でもないって…まぁ、どうせさやかのことだからどっかぶつけでもしたんだろ」

さやか「う、うるさいわ」

まどか「ど、どうしたんだろうね」

ほむら「さぁ。赤髪の子の言う通り、どこかぶつけたんじゃない?」

ほむら「気にすることはないと思うわよ」

まどか「うーん。そうだね」

ほむら(これで厄介者はいなくなったわ。もう大丈夫ね)

生徒A「2人って双子の姉妹なんでしょ?どっちがお姉ちゃんなの?」

生徒B「苗字だとどっちだかわかりづらいし、名前で呼んでもいい?」

生徒C「来たばっかりだし、校内案内は必要だよね?」

まどか「あ、あはは……」

ほむら(しまった、質問攻めを忘れていたわ。どうしようかしら……)

ほむら(もう美樹さやかは突っかかってこないし、佐倉杏子は望み薄だし……)

生徒A「妹ちゃんに聞きたいんだけど、いい?」

まどか「え?な、何かな」

生徒A「妹ちゃんはお姉ちゃんのこと、好き?」

まどか「も、もちろん好きだよ。でも、どうして?」

生徒B[この子の周りの姉妹ってみーんな仲が悪いっていうか、つんけんしてるのばっかりでねー……」

生徒A「私も妹がいるんだけど、最近反抗期なのか仲悪くなっちゃって……」

生徒C「2人はケンカとかしたことはないの?」

まどか「うん、ないよ。お姉ちゃんのこと、大好きだもん」

生徒A「大好きかぁ。こんな可愛い妹にここまで好かれてるなんて羨ましいよ」

ほむら「ど、どうも」

生徒A「それに引き替え、うちの妹は……」

生徒B「転校生の子の前でする話じゃないよ。ほら、向こうで聞いてあげるから」

生徒C「そ、それじゃ私たちはこれで。またお話しようね」

ほむら「え、えぇ。また」

ほむら(……どうなるかと思ったけど、話してみればどうとでもなったのね)

まどか「……ふぅ」

ほむら「まどか、大丈夫?」

まどか「うん。まさかあんなに質問攻めにされるとは思わなかったよ」

ほむら「ただでさえ転校生は珍しいのに、私たちは一応帰国子女だからかしらね」

まどか「でも、みんないい人みたいでよかった。きっと、お友達にもなれるよね」

ほむら「……ところで、さっき言った私のことが大好きって……?」

まどか「え?わたし、何か変なこと言ったかな?」

ほむら「変ではないけど、人前で大好きだなんて……」

まどか「照れなくてもいいのにー」

ほむら「そういうわけでは……」

まどか「うぇひひ、お姉ちゃーん」

ほむら「もう。まどかったら」

――昼休み――

まどか「うーん…天気がよくて気持ちいいね」

まどか「この学校は屋上が解放されてるなんて知らなかったよ」

ほむら「……ただ、ここまで来るのが面倒なのか誰もいないわね」

まどか「でも、その方が好都合かな。ほむらちゃんと2人きりだし」

ほむら「ふふっ。そうね」

まどか「それじゃ、お昼にしよっか」

ほむら「こっちに来て最初のお弁当は……」

ほむら「……?何かしら、父さんのお弁当にしては妙に不揃いというか」

まどか「あ、あのね。今日のお弁当、わたしが作ったんだ」

ほむら「……え?まどかが?」

まどか「う、うん。ほら、朝ごはん食べてからずっとキッチンに引っ込んでたでしょ?」

ほむら「そう言われるとそうね。……じゃあ、朝秘密にしてたのって」

まどか「このお弁当のことなんだ。パパと比べるとまだいまいちだけど……」

ほむら「でも、どうしてお弁当を?」

まどか「お姉ちゃんのために、お弁当を作って…食べてもらいたかったの」

まどか「日本に来て最初に食べるお弁当を……」

ほむら「そうだったの……」

まどか「食べてもらえる…かな……?」

ほむら「勿論よ。いただきます、まどか」

まどか「……ど、どう?おいしい?」

ほむら「……確かに父さんと比べると色々と至らないけど」

ほむら「まどかの私の為にって気持ちが込められていて…美味しい」

まどか「ほ、ほんと?よかったぁ……」

ほむら「きっと父さんから教わったのだと思うけど…こんなに上手だとは思わなかったわ」

まどか「それは…お姉ちゃんにおいしいお弁当を作ってあげたいからだよ」

ほむら「まどかにそう思われてるなんて、嬉しいわ。ありがとう」

ほむら「やっぱりまどかは、私の最高の妹よ」

まどか「えへへ…妹、かぁ……」

ほむら「まどか……?どうしたの?」

まどか「……お姉ちゃんにとってわたしは…妹なんだよね」

ほむら「……ごめんなさい。まどかが何を言いたいのか……」

まどか「そう…だよね……。はっきり言わなきゃダメだよね。やっぱり」

まどか「……お姉ちゃん。わたしの気持ち、聞いてほしいな」

ほむら「え、えぇ」

ほむら(……多分、そうでしょうね。雰囲気からして)

まどか「あの…えっとね、その…わたし、ね……」

まどか「お姉ちゃんのことが、好き…なの……」

まどか「……お姉ちゃんとしてでなく、恋愛対象として…お姉ちゃんを見ちゃってるの」

ほむら「……そう」

まどか「小さいころからずっと、お姉ちゃんが好きだったの。最初はきっと、普通のお姉ちゃんとして……」

まどか「でも、いつも…毎日一緒にいるうちに普通の好きが…いつしか恋愛感情になっちゃったんだ……」

まどか「綺麗で、かっこよくて、いつも優しい…そんな素敵なお姉ちゃんのことが…わたしは……」

ほむら「まどかの気持ちは…わかったわ」

まどか「……おかしいよね、こんなのって。変、だよね……」

ほむら「そんなことないと思うわ。向こうの学校に同性の恋人がいたじゃない」

まどか「でもっ……!わたしとお姉ちゃんは姉妹なんだよ……?」

まどか「普通じゃ…ないよ……!」

ほむら「……」

まどか「……ごめんね。お姉ちゃんを困らせるつもりは…なかったのに」

まどか「同性ってだけでも変なのに、姉妹に恋をするなんて…どうかしてるよね……」

ほむら「……そうね。同性の…血の繋がった姉妹に恋愛感情を抱くなんて……」

ほむら「世間一般から見たらおかしいのかもしれない。どうかしてるのかもしれない」

まどか「うん……。そう、だよね……」

ほむら「……だけど、私はそうは思わない。世間での常識なんてものは、世間が勝手に作ったもの」

ほむら「そんなくだらないものの為に、自分の気持ちに嘘をつく必要はないのよ」

ほむら「……それに、まどかがおかしいと言うのなら…私だっておかしい。どうかしてる。狂ってるわ」

まどか「お姉ちゃん……?」

ほむら「……私もね、まどかのこと…ずっと、ずっと好きだったの。姉妹としてではなく、特別な…大切な人として」

ほむら「まどかのことを、愛してるの。父さん、母さん…ううん、きっと世界の誰よりも」

まどか「……いいの、お姉ちゃん。自分がおかしいのは…よくわかってるから」

ほむら「言ったはずよ。常識なんてものの為に黙り込んでしまう必要なんてないと」

ほむら「まぁ、告白についてはまどかに先を越されてしまったけれど」

まどか「嘘…だよ……。だって、そんな……」

ほむら「……まどか。こっち向きなさい」

まどか「お、おねえちゃ…っん、ぅ……!」

ほむら「……っは、ぁ」

まどか「ぷぁ…っ……」

ほむら「……これでわかってもらえたかしら?私の気持ち」

まどか「わ、わかった。わかったけど…強引すぎるよぅ……」

ほむら「まどかが悪いのよ?言って聞かせてもわかってくれなかったのだから」

まどか「そ、それは……」

ほむら「……どうだったかしら。私とのキスは」

まどか「……すごく、嬉しかった。キスしてもらって、ようやく気が付いた」

まどか「お姉ちゃんがわたしのこと…こんなにも好きでいてくれてるんだって」

ほむら「当然よ。まどかは私の妹であると同時に…私の、最愛の人なのだから……」

まどか「わたしも…お姉ちゃんが大好きだよ。心の底から……」

ほむら「そう……」

まどか「……ねぇ、お姉ちゃん。もう1回……」

キーンコーンカーンコーン

まどか「あ……」

ほむら「……ねぇ、まどか。次の授業、ここでサボっちゃいましょう」

まどか「え?」

ほむら「せっかくまどかと気持ちがひとつになったんだもの。少しくらい…構わないでしょう?」

ほむら「それに…まどかも物足りなさそうな顔をしてるわ」

まどか「……うん。午後の授業…一緒にサボっちゃおっか」

ほむら「ふふっ。転入初日から授業をサボるなんてね」

まどか「そうだけど…でも、今はお姉ちゃんと一緒にいたい。それだけだよ」

ほむら「まどか……」

まどか「……お姉ちゃん。今度はわたしから……」

ほむら「えぇ。……おいで、まどか」

――放課後――

まどか「……結局、午後の授業は全部サボっちゃったね」

ほむら「そうね。さすがに怒られると覚悟はしていたけど……」

まどか「屋上でお昼を食べていたら気疲れで眠ってしまった、なんて言っちゃって。お姉ちゃんの嘘つきー」

ほむら「あら、まどかは正直に話して怒られた方がよかったかしら?」

まどか「お姉ちゃんの嘘のおかげで助かったよ。ありがとう」

ほむら「変わり身早いわね。……なんて話をしてるうちに家に着いたみたい」

まどか「……あれ、鍵かかってる。誰もいないのかな」

ほむら「ひとまず家に入りましょうか」

まどか「ただいまー…って、ほんとに誰もいない」

ほむら「……父さん、買い物に出てるみたいね。書き置きにそう書いてあるわ」

まどか「そっか。じゃあ…わたしとお姉ちゃんの2人きり、だね」

ほむら「そうなるわね」

まどか「……あ、あの、その、えっと」

ほむら「……ふふっ。部屋、行きましょう?」

まどか「う、うん」

まどか「……ち、散らかってるけど、どうぞ」

ほむら「引っ越してきたばかりだから仕方ないわ。私の部屋もまだ片付いてないもの」

ほむら(一応、部屋の鍵はかけて、と……)

ほむら「……まどか。まどかは何がしたいのかしら?」

まどか「それなんだけど…何をしたらいいのかわからなくて……」

まどか「ただ、今は人目がないからわたしたちは恋人で…それらしいことをって思ったけど」

まどか「わたし、こんなこと初めてで、キス以外のことなんて浮かんでこなくて……」

まどか「……でも、今はお姉ちゃんと一緒にいるだけでいいかなって…そう思うの」

ほむら「……それなら、私からひとつだけ言わせてもらうわ」

まどか「な、何?」

ほむら「2人きりのときは私のこと、名前で呼んで。……恋人、なんだから」

まどか「……うん。わかった、ほむら…ちゃん」

ほむら「それと、恋人らしいことと言ったけど…そんなに先を急ぐ必要は無いわ」

ほむら「私たちは…私とまどかはこうしてひとつになれたのだから……」

まどか「……パパが帰って来るまで…抱きしめてほしいな」

ほむら「えぇ。まどかがそう望むなら……」

――――――

ほむら「……」

ほむら「……ふふっ」

ほむら(まどかに告白されたのは3回目、返答したのは2回目。だけど)

ほむら(実際に恋人としての時間を過ごしたのはこれが初めてになるのよね)

ほむら(……でも、何かしら。せっかくまどかと恋人になったというのに、この感覚は)

ほむら(私、思ったよりも飽きっぽいのかしら……)

ほむら「……まぁ、何だっていいわね。それじゃそろそろ……」

ガチャ

まどか「おねーえちゃーん」

ほむら「……っ!」

まどか「……?どうしたの?」

ほむら「い、いえ、何でも。まどかが急に入ってきたから驚いただけよ」

ほむら「それより、何か用かしら?」

まどか「何か用って、そろそろ寝ようかなと……」

ほむら「……あぁ、そうね。いい時間だし、休みましょうか」

ほむら(そう言えばこの妹まどかとはいつも一緒に寝てるんだったわね……)

ほむら(自分で作った世界なんだけど…部屋分ける意味あるのかしら)

まどか「じゃあ…寝よっか、ほむらちゃん」

ほむら「……えぇ。先にベッドに入ってて」

ほむら「……電気、消すわよ」

まどか「うん。おやすみ、ほむらちゃん」

ほむら「おやすみ、まどか」

ほむら(まどかと一緒にいる以上、今すぐ…というわけにはいかないわね)

ほむら(……仕方ない。まどかが眠るまで待つしか……)

まどか「……まだ起きてる?お姉ちゃん」

ほむら「えぇ。2人だけなのにお姉ちゃんだなんて、どうしたの?」

まどか「えへへ…ちょっと、ね……」

ほむら「……話してもらえない?まどかが、今思っていること」

まどか「……わたしね、今…すごく嬉しくて、幸せで…どうしたらいいかわからないんだ」

まどか「毎日一緒に寝てたお姉ちゃんが…今日からは恋人になるんだから……」

ほむら「そうね。でも、それがどうしたの?」

まどか「幸せで胸がいっぱいで眠れないってのもあるんだけど……」

まどか「……少し怖いんだ。眠って、朝起きたら…この幸せが全部、夢や幻みたいに消えちゃって……」

まどか「わたしの気持ちもほむらちゃんの愛も、全部なかったことになっちゃうんじゃないかって気がするの……」

ほむら「そうだったの……」

まどか「……ご、ごめんね、変なこと話しちゃって。わたし、もう寝ちゃうね」

ほむら「まどか……」ギュウ

まどか「わ……」

ほむら「自分で言うのも何だけど…まどかは私と恋人になれたことが何よりも嬉しく、幸せなのよね」

ほむら「そんな幸せを手にしたからこそ、現実なのかとか失いたくないとか…よくないことを考えて、怖くなってしまったのかしらね」

まどか「……よく、わかんない」

ほむら「それならそれでいいの。ただ、私は…まどかの不安を払って、心を愛で満たしてあげたい」

ほむら「私はまどかの姉で、恋人だから。頼って、姉の私に。甘えて、恋人の私に」

まどか「……ありがとう、お姉ちゃん。ありがとう…ほむらちゃん」

ほむら「明日も学校だし、もう寝ましょうか」

まどか「……ほむらちゃん、頭…撫でてほしいな……」

ほむら「えぇ。まどかが眠るまで、こうしてるから」

まどか「うん……。わたし、ほむら…お姉ちゃんのこと…大好き、だよ……」

ほむら「……まどか?」

まどか「すぅ……」

ほむら「眠ったみたいね……」

ほむら「……さて、始めましょう」

ほむら(私は悪魔。秩序もルールも関係無く、自分の好奇心とまどかの幸せの為だけに世界を変える存在)

ほむら「……まどか、心配しなくても大丈夫。次の世界も幸せになれるから」

まどか「……ん、ぅ」

ほむら「おやすみなさい。また、次の世界で…逢いましょう」

ほむら「世界再構築、開始」

今回はここまで
読んで下さってる方、ありがとうございます

次回投下は17日夜を予定しています

17日できなかった…ごめんなさい
18日夜の投下予定です

18日夜、18日夜って何だ
太陽が出るまでは夜だからセーフだよね…

次から本文

――――――

ピピピピピピピピ

ほむら「……上手く行ったみたいね。ここ、私の家……」

ほむら「世界は変わったけど…私とまどかの関係についても正しく変わってるのかしら……」

ほむら「今までが上手く行ってただけに少し詰め込み過ぎた気がするし……」

ほむら「それに、作った記憶が何だかはっきりしない……」

ほむら「……まぁ、最悪学校で逢えばわかることよね」

ほむら「さて、朝食にして…それから……」

ほむら「……前回、前々回とまどかの身内の設定だったから、まどかのお父様がご飯を……」

ほむら「仕方ない。今日からまたカロ○ーメイトの出番ね」

ほむら「……」

ほむら(……寂しい。味気ない)

ほむら(今ならわかるわ。鹿目家での食事がどれだけ素敵だったか……)

ほむら(まぁ、元々がこっちだったわけだし…早いところ元に戻さないと)

ほむら(あとは…あぁ、そうだ。美樹さやかへの上書きもしておく必要があるわね)

ほむら(しかし、どうして世界を変える度に記憶が戻ってるのよ。何かのエラーだと思うけど……)

ほむら「……上書きも必要だし、今日はそろそろ出るとしましょう」

ほむら「えーと、美樹さやかは……」

さやか「……」

ほむら「あ、いた。やたら不機嫌ね。無理もないけど」

ほむら「まぁ、何だっていいわね。気づかれる前にやってしまいましょうか」

ほむら「……上書き保存、と」パチン

さやか「うっ!?」

ほむら「……これでよし。さ、早く行きましょう」

――――――

早乙女「……それから、今日は転校生を紹介します。鹿目さん、いらっしゃい」

まどか「え、えと、鹿目まどかです。マ…母の仕事の都合で……」

ほむら(まどかと並んで自己紹介するのもいいけど、こっちでまどかを見るのもいいものね)

ほむら(まどかと身内関係以外になるのも何だか久しぶりな気がするわ)

ほむら(……まどかとの関係…ちゃんと変わってるみたいね)

早乙女「それじゃ、鹿目さんの席は……」

生徒A「鹿目さん、部活ってもう決めてる?」

生徒B「アメリカに住んでたんでしょ?英語ペラペラなの?」

生徒C「ちっちゃくてかわいー」

まどか「あ、あはは……」

まどか(うぅ…質問攻めされちゃってるよ……)

まどか(転校生だってことで注目集めちゃったからだよね……)

まどか(それはそれとして…どうしよう……)

ほむら「みんな、そのくらいにしてあげなさい。鹿目さんが困ってるわ」

生徒A[あっ、そうだね。ごめんね、鹿目さん」

生徒B「また今度お話しようね」

まどか「う、うん。あの、ありがと……?」

まどか(あれ……?この子って……)

ほむら「もしよければ校内を案内しましょうか?」

まどか「じ、じゃあ…お願いします」

ほむら「……」

まどか「……」

まどか(この子って…やっぱり、そうだよね。間違いない)

まどか(透き通るような白い肌に、長い黒髪。こんな素敵な子、忘れるわけないよ)

まどか(……でも、向こうはわたしのこと、忘れちゃったのかな。何も言ってくれないし)

まどか(もしかしたら人違いだってことも……)

ほむら「……どうかしら、久しぶりの日本は」

まどか「えっ?あ、そうだね…わたしがいた頃とだいぶ変わっちゃったかなって」

まどか「こっちにいたのは結構前のことだし、覚えてないってだけかもしれないけど」

ほむら「確かにあの頃とは随分と変わってしまったけど…あなたはあなたのままね。まどか」

まどか「……ほむら、ちゃん…だよね……?」

ほむら「えぇ。……お帰りなさい。久しぶりね、まどか」

まどか「……ほむらちゃん、ただいまっ」

ほむら(今回の私は…小さい頃に離ればなれになったまどかの幼なじみ)

ほむら(少し詰め込み過ぎたかと思ったけど、ちゃんと変わってたみたいね。よかったわ)

ほむら(……作った過去の記憶、引き出すのに時間かかったのは小さい頃の記憶だったから…かしら)

まどか「でも、驚いたなぁ。まさか転校先のクラスにほむらちゃんがいるなんて」

ほむら「それは私も同じよ。まどかがこっちに戻ってきてるなんて思わなかったもの」

まどか「急にママが日本に戻ることになってね。その都合でこっちに」

ほむら「そう。何にせよ、まどかとまた会えて嬉しいわ」

ほむら「……あ、そうそう。約束通り、このリボン…返すわね」

まどか「約束、覚えててくれたんだ……」

ほむら「当然よ。次会うときまで、預かっててほしいって」

まどか「だけど、ほむらちゃんもよく似合ってるし……」

ほむら「いいのよ。このリボンが1番似合うのは…まどかだもの」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「……まどか。髪、解いて」

まどか「うん。お願いするね」

ほむら「こうしてまどかの髪を結うのも、本当に久しぶりね」

まどか「数年ぶりにまたほむらちゃんにしてもらえて…嬉しいよ」

ほむら「……はい。まどかのリボン、確かに返したわ」

まどか「ありがとう。……どう、かな?」

ほむら「やっぱり、私よりまどかの方がよく似合うわね」

まどか「……ねぇ、ほむらちゃん。リボンのこともそうだけど…もうひとつの約束、覚えてる?」

ほむら「もうひとつ……?あぁ、あれのことね」

まどか「うん。次に会うときまでほむらちゃんのことが好きだったら、わたしをお嫁さんにしてっていう約束」

ほむら「私も同じことをまどかに言ったわね。……でも、その約束はどうしたらいいかしら」

まどか「小さい頃の約束だから、よくわからずにお嫁さんって言っちゃったんだと思うんだけど……」

まどか「……でもね、わたし…今でもほむらちゃんのこと、好きだよ。あの頃とは意味が変わっちゃってるけど」

ほむら「まどか…あなた……」

まどか「……ほむらちゃん。わたし、あなたが好き。恋の対象として…ほむらちゃんのことが、好きなの」

まどか「約束通り、わたしのこと…ほむらちゃんのお嫁さんにしてください」

ほむら(さて、どう答えたものかしら。ここは…そうね……)

ほむら「……まどかをお嫁さんにするのは…今の私にはできない」

ほむら「でも、私の恋人でいいのなら…よろしく、お願いするわ」

まどか「えへへ…ありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「私の方こそ。ずっと好きでいてくれて、ありがとう。まどか」

ほむら(何だか返事も慣れたものになってしまったわね。4度目となれば仕方ない気もするけど……)

キーンコーンカーンコーン

まどか「あ、予鈴……」

ほむら「積もる話もあるだろうけど、続きはまたあとでしましょう」

まどか「なら、放課後にほむらちゃんの家、行ってもいい?」

ほむら「えぇ。まどかなら大歓迎よ」

まどか「じゃあ、放課後はほむらちゃんの家に遊びに行くってことで」

ほむら「わかったわ。……そう言えば、校内案内の途中だったわね」

ほむら「あとで改めて案内するわ。今は教室に戻りましょう」

まどか「うん、そうしよっか」

――放課後――

ほむら「いらっしゃい、まどか」

まどか「おじゃましまーす。……今はひとりで住んでるんだっけ?」

ほむら「そうね。ここで1人暮らししてるわ」

まどか「寂しくないの?」

ほむら「もう慣れたものよ」

まどか「そっかぁ。……まぁ、それは置いといて…何から話そっかな」

ほむら「……教室に入って来たまどかを一目見たときから思ってたのだけど」

まどか「うん、何?」

ほむら「まどかは…あまり変わってないわね。すぐまどかだって気づいたもの」

まどか「む、何だかひどい言われようだよ」

ほむら「別に悪い意味じゃないのよ。あの頃のように、可愛らしいまどかのままで」

まどか「か、可愛らしいだなんて……」

ほむら「……まどかのことは小さい頃からそう思ってたのよ。私にはない可愛さを持ってる子だって」

ほむら「私は…あまり人付き合いも上手くないし、無愛想だし…友達らしい友達はまどかだけだったし……」

まどか「そ、そんなことないよ。昔のほむらちゃんだって、とっても可愛かったよ」

まどか「白い肌で、真っ黒な長い髪で…お人形みたいに可愛くて……」

まどか「でも、今のほむらちゃんは…どっちかと言うと、綺麗とか美人って言った方が似合うかも」

まどか「ほむらちゃんがあのほむらちゃんだって気づいたときはもう、息が止まりそうになったんだから」

ほむら「……そこまでべた褒めされると照れるわね。自分でそう思ってないだけに」

まどか「ほむらちゃん、本当に綺麗になったよ。白い肌も黒い髪もあのころのままで……」

まどか「こんな素敵な人の隣にいるのがわたしでいいのかなって思っちゃうくらいだよ」

ほむら「……馬鹿ね。私の隣にいていいのはまどかだけよ。今も、昔も」

まどか「えへへ…ありがとう、ほむらちゃん。そう言ってくれるなんて…嬉しい……」

まどか「……わたしたち、幸せ者だね。わたしの隣には、こんなに美人で優しい人がいてくれて」

ほむら「私の隣には、可愛らしくて素敵な人がいてくれるのだから……」

まどか「……離れてた期間があったから、気持ちが薄いなんて言うつもりはないけど」

まどか「わたしのこと、もっと好きにさせちゃうから。覚悟してよ?」

ほむら「あら、覚悟するのはまどかの方よ。私の悪魔のような魅力で虜になるのだから」

まどか「ふふーん。ほむらちゃんをわたしの女神パワーで魅了しちゃうのが先だよ」

ほむら「……ふふっ。何を言い合ってるのかしらね、私たちは」

まどか「それだけ、お互いのことが好きなんだよ。きっと」

ほむら「そうね。……私たちの好意は十分わかったから、何か別の話題にしましょう?」

まどか「そうだね。それじゃあ……」

――――――

まどか「……ってことだったんだ」

ほむら「まどか、なかなか楽しそうな生活を送ってたみたいね」

まどか「えー、そうかなぁ。確かに色々あったけど……」

ほむら「少し心配だったのよ。私と離れてから、どうしてたのか…って」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「……次は私の話、といきたいところだけど…もうこんな時間になってたのね」

まどか「え?あ、ほんとだ。全然気が付かなかった」

ほむら「私も。……まどか、そろそろ家に帰った方がいいんじゃない?」

まどか「……今日、泊めてくれないかな?」

ほむら「え……?」

まどか「む、無理ならいいんだけど…ほら、わたしたち…せっかく付き合ったんだし……」

ほむら「……まどかなら構わないわ。家への連絡は自分でするのよ?」

まどか「う、うん!家に電話してくるね!」

ほむら「……そうなると、今日の夕飯は2人分ということになるのよね」

ほむら「まさかまどかにカロ○ーメイトを出すわけにもいかないし、何か作るしかなのだろうけど……」

ほむら「……私は一体、何を作れるのかしら?」

まどか「ただいまー。泊まってもいいって」

ほむら「そ、そう。よかったわね」

まどか「それでお願いなんだけど…夕飯、わたしに作らせてもらえないかな?」

ほむら「え?」

まどか「泊めてもらうのもそうだけど…恋人だし、そのくらいはしてあげたいんだ。いい?」

ほむら「わ、私は構わないけど……」

まどか「ありがとう。じゃあ、キッチン借りるね」

ほむら「えぇ、どうぞ……」

ほむら「……助かった、かしらね」

――――――

まどか「はい、ほむらちゃん。あーん」

ほむら「あ、あーん……」

まどか「……どうかな、おいしい?」

ほむら「え、えぇ。凄く美味しいわ。……まどかがこんなに料理が上手だとは思わなかったわね」

まどか「むしろわたしは、1人暮らししてるのに料理がさっぱりなほむらちゃんにびっくりだよ。普段はどうしてるの?」

ほむら「いつもは…カップラーメンとか、惣菜パンとか…カロ○ーメイトとか……」

まどか「……たまにならいいけど、いつもそれとかは倒れちゃうからダメ。わかった?」

ほむら「はい……」

まどか「……ほむらちゃんさえよければ…わたし、夕飯を作りに来てあげるよ」

ほむら「そこまでしなくても……」

まどか「だってほむらちゃん、ほんとに料理はダメみたいだし…ちょっと心配なの」

まどか「それにほら、ほむらちゃんに…わたしの料理、食べてもらいたいし……」

ほむら「……私たちはもう、友達や幼なじみじゃなくて…恋人、なのよね」

ほむら「それなら、まどか…お願いしてもいいかしら?」

まどか「もちろんだよ。楽しみにしててね」

ほむら「……ごちそうさま。とても美味しかったわ」

まどか「よかったぁ」

ほむら「洗い物は私がしておくから、まどかは先にお風呂に入っちゃって」

まどか「あ…着替え、貸してもらえないかな。最初は泊まるつもりじゃなかったから……」

ほむら「じゃあ、あとで脱衣所に持っていくわね」

まどか「……えっと、その…下着もお願いできるかな……?」

ほむら「……新しいのを置いておくわ。サイズは…大丈夫だと思うけど」

まどか「う、うん。お願いね」

バタン

ほむら「……最初から泊まるつもりじゃなかったのね。そう言われると手ぶらだし」

ほむら「だとしたら、どうしてかしら。やっぱり…恋人になったから……?」

ほむら「……考えても仕方ないわね。早く洗い物を済ませて着替えを持っていってあげないと」

――――――

まどか「あがったよー。着替え、ありがとう」

ほむら「気にしないで。サイズは大丈夫みたいだけど…まどかに似合うようなのは持ってなくて……」

まどか「それこそ気にしなくていいのに。どうせわたしたち以外はいないんだから」

ほむら「……じゃあ、お風呂入ってくるわね。あがるまで、適当に寛いでるといいわ」

まどか「急がなくていいから、ゆっくりしてきてね」

ほむら「まどかがいるんだから、そういうわけにも……」

まどか「わたしはいいから。ほら、ゆっくり入ってくるといいよ」

ほむら「そ、そう?なら、そうさせてもらうわね」

バタン

まどか「……ふぅ」

まどか(あんまり早く戻って来られちゃうと…ね。心の準備が……)

まどか(昔は…時々一緒に寝たりしてたけど、さすがに今は恥ずかしいっていうか……)

まどか(……ま、まずわたしたち、友達じゃなくて恋人になっちゃったわけだし、余計に…その……)

まどか(で、でも…せっかく恋人になって、2人だけ…ほむらちゃんの家に泊まってるんだから)

まどか(そ、それに、ほむらちゃんにわたしのことをもっと好きにさせなきゃだし……)

まどか「あー、もう。どうしよう……」

まどか「頭の中、ほむらちゃんのことでいっぱいで…考え事なんてできないよー……」

まどか(……別に会えないわけでも何でもない、ただ…お風呂に入ってるだけのはずなのに)

まどか(どうしてこんなにもほむらちゃんに会いたいって…思っちゃうんだろ……)

まどか(わたし…思った以上にほむらちゃんを好きになっちゃったのかな……?)

まどか「……先に夢中になっちゃったのはわたしの方かぁ。仕方ない、かな」

ほむら「……」

ほむら(……まどかに告白されたのが4回目。返事をしたのが3回目。恋人としての時間を持ったのが2回目)

ほむら(いい加減慣れてもおかしくはないとは思うけど…慣れたからとは違うのよね、この感覚は)

ほむら(表現するなら…虚無感?それ以外に近いものは……)

ほむら(それに、どうしてまどかはその日のうちに告白してくるの?……嬉しいとは思うけど)

ほむら(……悪魔になって、感情が希薄になってしまったのかしら。まどかに告白されて嬉しいと断言できないなんて)

ほむら(本当、どうしちゃったの?私は……)

ほむら「はぁ……」

今回はここまで
読んで下さってる方、ありがとうございます

次回投下は19日夜を予定しています

今日こそはセーフです。よかった
今回で完結の予定です

次から本文

――――――

ほむら(少し長湯しすぎたかしら……)

ほむら「まどか、ごめんなさい。ゆっくりしすぎた……」

ほむら「……あら?いない……。席を外してる…わけでもなさそうだけど」

~♪~♪

ほむら「……?メールね。えっと…まどかから……?」

『先に寝室にいます。お風呂あがったらほむらちゃんも来てください』

ほむら「寝室…とりあえず、行ってみましょうか」

ガチャ

ほむら「……確か寝室にいるということだったと思うけど」

ほむら「寝室、真っ暗じゃない。……まどか?いるの?」

まどか「……うん、いるよ。ベッドまで…来てくれないかな……?」

ほむら「ベッドに……?わかったわ」

ほむら「ベッドまで来たけど…まどか?どこにいるの?」

まどか「ここに…すぐ目の前にいるよ。ほむらちゃん」

ほむら「目の前って…ベッドの中?」

まどか「うん。ごめんね、変なことして」

ほむら「それは別にいいのだけど、どうしてこんなことを?」

まどか「あのね…今日、ほむらちゃんと一緒に寝たいなって……」

まどか「……だけど、面と向かってなんて恥ずかしくて言えなくて……」

ほむら「だからこんな真っ暗な部屋で、ベッドの中からなのね……」

まどか「そうなの……。ほむらちゃんがダメって言うのなら、大人しく別々で寝るけど……」

ほむら「駄目だなんて言うわけないでしょう?……ほら、もう少し詰めて」

まどか「ちょ、ちょっと待ってね。……これで大丈夫かな」

ほむら「そうね。ありがとう」

まどか「お礼を言うのはわたしの方だよ。わがまま聞いてくれてありがとう」

ほむら「ふふっ。こんなのが我儘だなんて…随分と可愛らしい我儘ね」

まどか「そうかな?」

ほむら「えぇ。まどかはもう少し我儘になってもいいのよ」

まどか「うーん…あんまりわがまま言って迷惑かけたくないし……」

ほむら「なら、私に対してなら構わないでしょう?誰に迷惑をかけるわけでもないもの」

まどか「ほむらちゃんに対して?」

ほむら「例えば…私に何かしてほしいとか、私にしたいこととか……」

まどか「……じゃあ、ひとつだけ…聞いてもらえないかな?」

ほむら「勿論。何かしら?」

まどか「わたしのこと…どんな手段でも、方法でもいい。いいから……」

まどか「思いっきり、愛して…ほしいんだ……」

ほむら「まどか……?」

まどか「付き合ってるって言っても…あれは小さいころの約束で、おままごとの延長みたいなものだし……」

まどか「ただの仲のいい友達とあまり変わり映えしない気がするし、何より……」

まどか「ほむらちゃんにはその気はないのかなって思っちゃって……」

まどか「だから…ほむらちゃんにとって、わたしは恋人であるのなら……」

まどか「わたしを…可愛がってほしいの……」

ほむら「……まどかがどういうつもりでその言葉を使ったのかはわからないけれど」

ほむら「私の気持ち…恋人としての愛情が欲しいからなのよね……?」

まどか「……うん」

ほむら「そう……。そういうことなら……」ギュウ

ほむら「私の…何よりも深く、熱い愛をあげるわ」

ほむら「……まどか、舌…出して」

まどか「ふぇ?……ほ、ほう?」

ほむら「……まどか、愛してる…っ……」

まどか「ほ、ほむらひゃ…んっ……」

ほむら「ん…ぁむ、ぅ…ん……」

まどか「……っふ…ぁぅ…はむ……」

まどか「ぷぁっ…は、ふぅ……」

ほむら「……どうだったかしら、まどか」

まどか「けほっ…どうもこうもないよぅ……。急にあんな……」

ほむら「ごめんなさい。でも、きっとまどかは普通のキスなんかじゃ納得してくれないと思って」

ほむら「それとも、まどかはまだ満足してないのかしら……?」

まどか「うえっ!?そ、それは……」

ほむら「即答できないってことはそうなのね。わかったわ」

まどか「いや、そういうわけじゃ……」

ほむら「少しくすぐったいかもしれないけど、我慢して」

まどか「ほ、ほむらちゃん……?」

ほむら「ちゅ…っむ、ぅ…んちゅ……」

まどか「ちょ、っと…ほむら…ちゃん、何してっ……!」

ほむら「……何って、私の愛をまどかに直接刻み付けてあげただけ」

まどか「要するに…キスマークをつけたってことだよね……?」

ほむら「えぇ。赤い印がとても可愛いわよ」

まどか「それは嬉しいけど…どうしよう。首筋だからすっごく目立つし……」

ほむら「ふふ、目立たなきゃ意味がないわ。まどかは私のものだという証なんだから」

まどか「あはは…まぁ、いっか。バレたらバレたで」

ほむら「それはそうと…まどか、満足してくれたかしら?」

まどか「……うん。わたし、ほむらちゃんにすごく好かれてもらってるんだなって…わかったよ」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん。……でも、わたしとしてはあそこまで言ったんだから」

まどか「その先をしてほしかった気持ちがなかったわけじゃないんだけど……」

ほむら「何言ってるの。私たち、再会して、恋人になってまだ1日経ってないのよ?」

まどか「わかってはいるけど…でも、それってこれ以上ない愛情表現じゃないかな」

ほむら「だとしても、今の私は…まどかにそんなことをする気はないわ。ごめんなさい」

まどか「……そっか」

ほむら「……真っ暗な部屋にいるせいか、何だか眠くなってきたわね」

まどか「わたしも…眠くなっちゃった……」

ほむら「今日はもう、休みましょう」

まどか「……寝る前にもうひとつだけ、いい?」

ほむら「えぇ。何かしら?」

まどか「ほむらちゃんにとってのわたしって、何?どういう存在?」

ほむら「どういう存在……?それは勿論、恋人で…幼なじみだけど……」

まどか「……そう、だよね」

ほむら「まどか?」

まどか「……わたし、少し変なの。今日、ほむらちゃんと再会して、昔の思い出とか記憶を掘り返してみたんだけど」

まどか「確かに記憶に残ってることのはずなのに、わたしたちの幼なじみって関係は…おかしいって思っちゃうんだ」

ほむら「……っ」

まどか「ほむらちゃんと出会ったこと、一緒に遊んだこと、引っ越しで別れたこと…全部、あったことのはずなのに」

まどか「何かが違うような…そんな言いようのない感じがするの」

ほむら「……なら、まどかは私とどういう関係が1番しっくりくるの?」

まどか「ほむらちゃんと…幼なじみは違う。恋人…違う。ただのクラスメイト…違う。ふう…ち、違う」

まどか「……友達。うん、友達、かな。わたしが1番自然だと思う、ほむらちゃんとの関係は」

ほむら「……そう」

まどか「あ…ち、違うの。別にほむらちゃんと恋人になった今が嫌なわけじゃなくて……」

ほむら「……大丈夫、わかってるわ」

まどか「う、うん。ごめんね、ほむらちゃん。何だか変なこと言っちゃって」

ほむら「別に気にしてないわ」

まどか「……それに、本当にわたしたちが幼なじみというのが間違ってて、普通の友達の方が正しいのだとしても」

まどか「きっと、今に負けないくらいの仲良しに…最高の友達になって……」

まどか「やっぱりほむらちゃんに恋をすると思うんだ」

まどか「だから、もし眠って…目が覚めて、ほむらちゃんとの関係が変わっても…大丈夫だから」

ほむら「まどか…それって……?」

まどか「……あ、あれ。わたし、何でこんなこと言っちゃったんだろ……?」

ほむら「……眠たいせいでわけのわからないことを言ってしまっただけじゃないかしら」

まどか「うーん…そう、かも……?」

ほむら「まどか、もう眠そうにしてるし…休みましょう?」

まどか「ん…そうする……。おやすみ、ほむらちゃん……」

ほむら「……おやすみなさい。まどか」

ほむら「……」

ほむら「……友達、か」

ほむら「何度も世界を書き換えた弊害かしら。まどかも、何かがおかしいと感じてるみたいね」

ほむら「……もう、この辺で終わりにしましょう。これ以上は…きっと虚しくなるだけ」

ほむら「私…まどかと色んな関係になれて、楽しかった。恋人になれて、嬉しかった」

ほむら「まどかを守る為に悪魔になって、半ば偶然手にしたこの力で…少しばかり夢が見たかった」

ほむら「だけど、私は…まどかと友達として過ごして、仲を深めて……」

ほむら「まどかの家が隣の世界でも…姉でも妹でも、幼なじみでもなく…友達から恋人になりたい……」

ほむら「私が心から望んでいるのは、まどかの友達からまどかの…まどかだけの私になること……」

ほむら「だからこそ、今までの…友達以外の関係となったまどかから告白されても……」

ほむら「嬉しさを碌に感じられなくなっていたのね。私の本心ではなかったから」

ほむら「まどかからどれだけ好意を向けられても、蕩けるような甘い声を聞いても……」

ほむら「ありったけの気持ちを込めて愛を囁いても…何をしても私の心に響かなかったのは……」

ほむら「時折感じたあの虚無感に似た感覚は…こういうこと、だったのね……」

ほむら「……元に戻しましょう。色んな関係になりたいとか思わずに作った、1番最初の世界に」

ほむら「……まどか」

まどか「すぅ……」

ほむら「……私にとってまどかは全ての中心。世界を変えてあなたを守っているのだから」

ほむら「世界の書き換えを行う度に、その中心であるまどかに…この世界の根幹……」

ほむら「私の…まどかに対するありとあらゆる愛が収束してしまったみたい。あなたに因果が収束してしまったときと同じように」

ほむら「まどかへの愛に触れてしまったせいで、まどかの中に…私のことが好きという気持ちが生まれたのかしらね」

ほむら「書き換える度に想いを伝えるのが早くなっていったのも…愛が収束して、気持ちが大きく膨らんだからだと思う」

ほむら「まどか…言ってたわね。もし友達の関係が正しいのだとしても……」

ほむら「今に負けないくらい仲良く…最高の友達になって……」

ほむら「……私に恋をするって」

まどか「んぅ……」

ほむら「その言葉通り…友達となる世界で、また…1から始めましょう。私と、まどかの恋を」

ほむら「だから、まどかに収束した私の気持ち、私の愛…全部、貰っていくわね」

ほむら「……まどか、ごめんなさい。まどかの気持ちを勝手に作ってしまって」

ほむら「まどか、ありがとう。こんな…悪魔に成り果てた私に夢を見せてくれて」

ほむら「また…全てをリセットした世界で、逢いましょう。今度は友達として……」

ほむら「……大好きよ、まどか。何度世界を変えようとも…あなたを愛してるわ」

まどか「ほむら、ひゃん…すきぃ……」

ほむら「……さようなら、まどか。さようなら、私の夢」

ほむら「……世界再構築…開始……」

――――――

ピピピピピピピピ

ほむら「……」

ほむら「これでよかったのよね……」

ほむら「まどか……」

ほむら「……支度をして、学校に行かないと」

ほむら「まどかと…普通に出会う為に……」

ほむら「……寄りたいところもあるし、早めに済ませましょう」

ほむら「……全部、戻ったみたいね」

ほむら(私は…何でここに来たのかしら。まどかの家の前に……)

ほむら(今の私は…まどかにとっては何の存在でもない…のに……)

ほむら「……もう、いいわね。そろそろ……」

さやか「……」

ほむら「あら…おはよう、美樹さやか。どうしてここに?」

さやか「……何となく、あんたがここにいるような気がしただけ」

ほむら「そう。それで、何か用かしら……?」

さやか「わかってんでしょ……!いつまでこんな…世界をオモチャにするつもりよ!」

ほむら「あぁ…安心しなさい。きっともう世界の書き換えはしないから」

さやか「悪魔の言葉なんて、信じられるわけ…ないでしょ……!」

ほむら「別に信じてもらおうなんて思ってないわ。どの道、何を言ったところで無駄でしょうから」

さやか「……っ!」

ほむら「……ねぇ、美樹さやか。あなたは私のこと、どう思ってる?」

さやか「憎い以外にあるっての……?あんたみたいな悪魔にさ……!」

ほむら「ふふっ、酷いわね。私はあなたのこと、結構好きよ?」

さやか「何を…言って……!」

ほむら「簡単なことじゃない。だって、あなた…美樹さやかは」

ほむら「まどかの友達になってくれる人だもの」

さやか「なっ……!」

ほむら「はい、上書き保存」パチン

さやか「うっ!?」

さやか「……あれ?あたし、何を……」

ほむら「おはよう、美樹さん。道端でぼんやりと立ち尽くしてどうしたの?」

さやか「あ…いや、何でもないよ。おはよう」

ほむら「あまりのんびりしていると遅刻してしまうわ。行きましょう」

さやか「う、うん。……あっれ、あたし……?」

――――――

早乙女「男子の皆さんはくれぐれも目玉焼きの焼き加減にケチをつけるような大人に……」

ほむら(もうすぐ…もうすぐね……)

早乙女「はい、それから今日は転校生を紹介します。鹿目さん、いらっしゃい」

まどか「えっと…鹿目まどか、です」

早乙女「鹿目さんは長い間アメリカで生活していたのよね?」

まどか「そ、そうです。最近まで、マ…母の仕事の都合で……」

早乙女「鹿目さん?どうかした?」

まどか「あ…いえ。皆さん、よろしくお願いします」

早乙女「日本の学校は久しぶりみたいだから、色々と助けてあげてね」

早乙女「えーと、それじゃ席は……」

ほむら(……何かしら。ほんの少し、私を見て視線を止めたような)

ほむら(気のせいかしら……?)

生徒A「鹿目さん、部活ってもう決めてる?」

生徒B「アメリカに住んでたんでしょ?英語ペラペラなの?」

生徒C「ちっちゃくてかわいー」

まどか「あ、あはは……」

まどか(うぅ、どうしよう。質問攻めにされちゃってるよ……)

まどか(転校生だし、仕方ないとは思うけど……)

ほむら「みんな、質問攻めはよくないわ。鹿目さん、困ってるでしょう?」

生徒A「それもそっか。ごめんね、鹿目さん。また今度話そうね」

まどか「う、うん」

ほむら「ごめんなさい。転校生なんて珍しいから」

まどか「自分でもわかってはいたけど……。助けてくれてありがとう」

ほむら「気にしないで。……せっかくだし、校内を案内しましょうか?」

まどか「そうだね…じゃあ、お願いしちゃってもいい?」

ほむら「えぇ。それじゃ、行きましょうか」

――――――

ほむら「……鹿目さん、日本はどのくらいぶりなの?」

まどか「え?えーと…どのくらいだろう。もうだいぶ経ってると思うけど」

ほむら「そう。久しぶりの日本はどうかしら?」

まどか「そうだね…何もかも変わっちゃってるような、何も変わってないような……」

まどか「懐かしいって気はするけど、よくわかんない」

ほむら(……今回も、大丈夫みたいね)

まどか「……あの…あなたの名前、教えてもらってもいい?」

ほむら「まだ名乗ってなかったわね。私は暁美ほむら」

まどか「暁美ほむら、ちゃん……。何だかかっこいい名前だね」

ほむら「……ありがとう」

まどか「それで、ほむ…暁美さん、ひとつ聞きたいことがあるんだけど…いいかな……?」

ほむら「ほむらで構わないわ。……聞きたいことというのは?」

まどか「あの…初対面のはずの人にこんなこと言うの、おかしいと思うんだけど……」

まどか「わたし、ほむらちゃんと…初めて会った気がしなくて……」

まどか「どこか…ここじゃない、遠い世界で…ほむらちゃんと恋人になってたような……」

ほむら「えっ……」

まどか「……あ、ご、ごめんね。急に変なこと言っちゃって」

ほむら(まさか…うっすらと覚えてるの……?今までの世界のことを……)

ほむら(私と…恋人になったことを……)

まどか「あ、あはは……。意味わかんないこと、言っちゃったよね」

ほむら「……ふふっ。まさか出会ってすぐに口説かれるとは思いもしなかったわ」

まどか「うぅ……。ほんと、何であんなことを……」

ほむら「鹿目さんみたいな可愛い子に口説かれるなんて、悪い気はしないけど」

まどか「や、やめてよー……。わたし、どうしてあんなこと言っちゃったのかわかんないんだから……」

まどか「気がついたら、もう言葉が口から出て行ってたというか……」

ほむら「……ねぇ、鹿目さん。私からもひとつ、いいかしら?」

まどか「うん。何?」

ほむら(……私とまどかの関係は…また、ここから始まるのよね)

ほむら(あの頃に負けないくらい仲良くなって、最高の友達になって……)

ほむら(そして、いつか…お互いの好きが恋になった、そのときは……)

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「……あぁ、ごめんなさい。少しぼんやりしてたわ」

まどか「大丈夫?」

ほむら「えぇ、平気よ」

まどか「なら、いいんだけど。……それで、わたしに言いたいことって?」

ほむら「……鹿目まどか、さん」




ほむら「私と…友達になってほしい……」


Fin

これで完結です
最後まで読んでいただき、ありがとうございました

読んで下さった方、感想頂けた方、本当にありがとうございました
今回は投下予定がえらいずれてしまってごめんなさい

・次回予告

まどか「デレデレさせたい」

ほむら「まどかと私」(仮)

まどか「あの子がほしい」(仮)


悪魔さんの言動が書いててよくわからなくなってきたけど叛逆後のも書いていきたいかも

またどこかで見かけたらよろしくお願いします

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