アスタキサンチンの衝動 (19)

アスタキサンチン「ふぁ~…よく寝たぜ」ムクリ

メラニン「よう、おはよう」

アスタキサンチン「ん、来てたのか」

メラニン「まあな。暇だから来てやったぜ」

アスタキサンチン「よーし、俺も今日丁度暇だったし、何かするか」

メラニン「とはいっても、何するんだ?」

アスタキサンチン「まあ、ブラブラしようぜ」

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メラニン「最近さー、オゾンホールとか何だかで紫外線バリバリでよー」スタスタ

メラニン「こんなに黒くなっちまったよ」ウデチラミセ

アスタキサンチン「おわ、大丈夫か?松崎しげるみたいになってるぞ」

メラニン「そこまでじゃねぇよ」

アスタキサンチン「冗談だって…お、あれは」

リコピン「…」

アスタキサンチン「リコピン、お前どうしたんだよ」

メラニン「元気ないな。どうかしたのか?」

リコピン「四月からケチャップ値上げだってよ…マジワロエン」

リコピン「もう俺はメイド喫茶でオムライスにかけられ文字を書くこともなくなるんだ…」

アスタキサンチン「それは別になくていいだろ」

メラニン「俺なんて将来白髪だぞ」

アスタキサンチン「俺は…」

リコピン「お前はいいよな。お前のおかげであのサケさんは真っ赤だぜ」

アスタキサンチン「や、やめろよ!サケさんとはそんな関係じゃねーよ!」

ノルウェー産サケ「あら、アスタキサンチンさん」

アスタキサンチン「あ、さ、サケさん…」

ノルウェー産サケ「ちょうどよかったわ。このあと一緒にお茶でもどう?」

アスタキサンチン「は、はい…」カァァァ

ノルウェー産サケ「ふふ、赤くなっちゃって可愛いわね」




メラニン「どういう関係なんだ?あの二人」

リコピン「知らないのか?サケさんはもともと病弱で真っ白でさ、まるで生気のなかったんだ」

メラニン「まじか?あんなに真っ赤なのに」

リコピン「アスタキサンチンのおかげだよ。奴のおかげで、サケさんは明るくなってな。サケさんもそれに感謝してるんだよ」

メラニン「…っていうか俺、アスタキサンチンと出かけてたのに、おいてかれちまったよ」

リコピン「ん、じゃあ俺と一緒にメイド喫茶行こうぜ」

メラニン「いや、それはいいや…」

ノルウェー産サケ「さ、座って」

アスタキサンチン「は、はい…」

アスタキサンチン(すげぇ…さすが日本の朝の食卓のレギュラー格だな…ただのお茶でも豪華すぎる)

ノルウェー産サケ「あら、飲まないの?」

アスタキサンチン「あ、いえ!飲みます!飲みます!」ズズッ

アスタキサンチン「うぁ、熱…っ!」

ノルウェー産サケ「だ、大丈夫!?」

アスタキサンチン「は、はい…」

ノルウェー産サケ「もう、怪我をしてもらったら困るわ」

アスタキサンチン「え?それは、どういう…」

ノルウェー産サケ「だって…」

ノルウェー産サケ「…いいえ、なんでもないわ」

アスタキサンチン「?そうですか」

ノルウェー産サケ「それにしても…今日は寒いわね」

アスタキサンチン「まあ、真冬ですからね」

ノルウェー産サケ「故郷を思い出すわ…」

アスタキサンチン「そっか…サケさんは北欧生まれでしたね」

ノルウェー産サケ「そうよ。そこで…あなたと出会ったんだったわね」

アスタキサンチン「ああ…そうでした」

アスタキサンチン「あの時は驚きましたよ。サケさん、真っ白でしたもん」

ノルウェー産サケ「ふふふ、そうだったわね」

ノルウェー産サケ「幼いころは…病弱で、色白だったものね、私。死人みたいで…」

アスタキサンチン「い、いや、そんなことは…」

ノルウェー産サケ「…でも、そこであなたと出会って、私、こんなに元気になったのよ」

ノルウェー産サケ「あなたには、本当に感謝しているわ」

ノルウェー産サケ「ありがとう」ニコッ

アスタキサンチン「…サケさんは、昔より元気になって、赤くなりましたけど…」

アスタキサンチン「笑顔は、今も昔も、変わらず素敵ですね」

ノルウェー産サケ「も、もう!何言ってるの!」カァァァ

アスタキサンチン「ははは、今度はサケさんが赤くなりました」

ノルウェー産サケ「…今日、あなたに会えて本当に良かった…」

アスタキサンチン「…サケさん?」


ノルウェー産サケ「もう暗くなってきたわ。そろそろ帰ったほうがいいわよ」

アスタキサンチン「あ、はい。今日はありがとうございました。ではまた」

ノルウェー産サケ「ええ」




ノルウェー産サケ「…また、ね」

翌日

チュンチュンチュン

アスタキサンチン「ふぁ~…今日もよく寝たぜ」ムクリ

バンッ

メラニン「た、大変だ!アスタキサンチン!」


アスタキサンチン「メラニン!?どうしたんだ、あわてて」

メラニン「サケさんが…!」


アスタキサンチン「何…!?」

ドタドタドタ

アスタキサンチン「はぁ…はぁ…!



メラニン『サケさん、昨日、コックに買われちまったんだって…』

メラニン『前から、決まっていたそうだ』

メラニン『買われたってことは、当然食われちまうってことだ…』

アスタキサンチン『そ、そんな…』

メラニン『お前も知らなかったんだな…言うのがつらかったんだろう』

アスタキサンチン『…くっ!』バッ

メラニン『お、おい!アスタキサンチン!どこ行くんだ!』

気が付くと俺は、衝動のままに走り出していた

何のため?色素の俺に何ができる?

何もできないことは分かっていた。だが、俺は夢中で走っていた

ただただ、サケさんのことを思って…


アスタキサンチン「…サケさん…!」ドタドタ

コック「~♪」ジュワァァァ

ノルウェー産サケ(…私、あの上に乗せられて、焼かれちゃうのね…)

ノルウェー産サケ(でも…これが、サケの宿命。いつかは食べられてしまう)

ノルウェー産サケ(…わかって、るのに…)

ノルウェー産サケ「やだよ…」ポロポロ

ノルウェー産サケ「会いたいよ…アスタキサンチンさん…!」



???「奇遇ですね、俺もそう思ってました」ヒョコッ

ノルウェー産サケ「!」

アスタキサンチン「ふぅ…間に合いましたよ」

ノルウェー産サケ「アスタキサンチン…さん…」

ノルウェー産サケ「ど、どうして?」

アスタキサンチン「俺は、色素ですから」

アスタキサンチン「死ぬ時も、サケさんと一緒です」

ノルウェー産サケ「…何やってるのよ!バカ!」

ノルウェー産サケ「あなたまで、死んじゃうのよ…!」

アスタキサンチン「わかってます」

アスタキサンチン「それでも俺は…あなたと、いたいんです」

コック「さぁ、焼こうかな~♪ふんふんふふ~ん♪デュフフ」

ノルウェー産サケ「…後悔、しない?」


アスタキサンチン「もちろんです」

アスタキサンチン「俺は、サケさんのことが、好きですから」

ヒョイッ

ノルウェー産サケ「…私もよ」

ジュワァァァァァァァ

これを見ていた神様が二人を助け、星座にしてくれました

あなたの上に輝く星々、それはノルウェー産サケ座とアスタキサンチン座かもしれません



以上です。見てくださった方、ありがとうございました
いやあ、王道恋愛っていいですよね
色素と魚でしたけど

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