本田未央「ちゃんみおと、里帰りしちゃんみおー!」【岡崎泰葉編】 (84)

未央「はいっ、今日もやってきましたこのコーナー。このコーナーは私、本田未央が色んなアイドルたちの里帰りに付き合うというコーナーです!」

凛「いつ聞いてもセンスが悪いコーナー名だよね」

未央「それ言っちゃう? 何回かやって慣れてきてたのに……」

卯月「私は未央ちゃんらしくて良いと思いますけど……」


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未央「しまむーの中で私はどういう人間なの……?」

卯月「? もちろん、とっても仲の良い友達ですよっ!」

未央「あ、ありがとう……」

卯月「どういたしましてっ!」

未央「う、うん……でも、そういうことじゃなくてね? 私、『ちゃんみおと、里帰りしちゃんみおー!』なんてこと言う人に見える?」

卯月「見えます!」

未央「私、そんなかえ姉さまみたいなこと言わないよ! というかこのコーナー名考えたの絶対かえ姉さまだよね!? スタッフさん! そうだよね!」

凛「……未央。あれあれ」カンペユビサシ

未央「えっ? ……あ、ごめんなさい。時間、押しちゃってるね。早く今回の内容に移らなきゃ。……でも、スタッフさん、後で訊きますから、覚えておいて下さいね?」

凛「まあこのコーナーの名前を考えたのはヘレンさんなんだけど、未央、今回は誰とどこに?」

未央「……え? ちょ、え? ……ンフッ、え? しぶりん、今、何て?」

凛「今回は誰とどこに里帰りしたのか、って言ったんだけど」

未央「う、うん……それはわかってるよ? それじゃなくて――え? 何? しまむー。もう時間? あ、そうだね……いやでも、ヘレンさん……ンフッ、えぇー……?」

凛「未央。もう、早くしないとコーナーの時間がなくなるよ?」

未央「そ、そうだったね。えーと、今回里帰りしたアイドルはこちら、岡崎泰葉ちゃん!」

卯月「元々は子役やモデルをやっていた人ですけど、私たちが事務所に入る少し前にアイドルになりましたね。最初、事務所で見た時は『どうして泰葉ちゃんが!?』って驚きました」

凛「私たちの世代で泰葉のことを知らない子は居ないだろうね。私でも知ってたくらいだし」

未央「うんうん。今回はそんな岡崎泰葉ちゃんとその出身地である長崎に行ってきました」

未央「いやー……ちょっと、今回は衝撃的な映像が撮れちゃったよ。泰葉ちゃんファンの人は永久保存かもしれないよっ!」

凛「みたいだね。……んーと、未央ファンの人も録画しておいた方が良い? だって。そうなの?」

未央「い、いやー……未央ちゃんはいつでも永久保存版デスヨ?」

凛「……この反応、何かあったみたいだね。それじゃあ卯月、お願い」

卯月「えっ!? あ、はい! 島村卯月、頑張ります!」

凛「ッフ……いや、頑張りますじゃなくて、ね?」

卯月「あっ、そうですね……すみません」

卯月「コホンッ……さてさて、未央ちゃんと泰葉ちゃん、今回はどんな里帰りになるんでしょうか」

卯月「VTR、どうぞー!」


【長崎】

未央「はいっ、始まりました、『ちゃんみおと里帰りしちゃんみおー!』。今回はこちら。長崎にお邪魔しています!」

未央「そして今回一緒に里帰りするアイドルは、こちら!」

泰葉「岡崎泰葉です。今日はよろしくお願いします」ペッコリン

未央「いやー、泰葉ちゃんと二人きりでのロケっていうのは初めてかもね。さすがの未央ちゃんも昔からテレビで見ていた憧れの人と二人きりで緊張しちゃいますなー」

泰葉「未央ちゃん、絶対緊張してませんよね……」


未央「いやいや、未央ちゃんも緊張くらいしますよー?」

泰葉「それは知ってますけど……初LIVEの時なんて」

未央「わー! わー! 泰葉ちゃん! あれは話さない約束でしょ?」

泰葉「約束した覚えはありませんが……」

未央「……泰葉ちゃん、実は結構押すタイプだったりする?」

泰葉「さあ、どうでしょう……ふふっ」


未央「こわい! こわいよ泰葉ちゃん! さすが『岡崎先輩』と呼ばれているだけのことはあるね……」

泰葉「……その呼び方、本当、どうにかして欲しいんですが」

未央「えー? でも、ファンのみんなの中ではこう呼ばれていたりもするんでしょ?」

泰葉「はい……。少し前までは『らしい』程度だったんですが、前のLIVEの時は『岡崎先輩! がんばれー!』って声が聞こえましたからね……」

未央「それは完全に浸透しちゃってるね……」


泰葉「もちろん、ファンの皆さんからの声援は嬉しいのですが……少し、複雑な気持ちではありますね。確かに私は芸能界の先輩ではありますが、アイドルとしては私より長い人も多いわけですし」

未央「でも、泰葉ちゃんを『先輩』って呼びたくなる気持ちはわからないでもないかなー。だって、泰葉ちゃん、頼り甲斐あるもん。先輩オーラビンビンだもん」

泰葉「ビンビンって……」

未央「だからっ、今日はよろしくお願いしますね? 岡崎先輩っ♪」

泰葉「……もうっ! 未央さん!」

未央「えへへー……ごめんなさい」テヘペロ


泰葉「まあ、良いですけど……それで、今日はこれからどこに行くんですか?」

未央「えーと……今日の予定は眼鏡橋に行ったりグラバー園に行ったり……何だか、色々行くみたい。割りと無計画に行きたいところに行く、って感じかな」

泰葉「やっぱり、適当なんですね……前の放送を見た時もそうでしたが」

未央「えへへ……まあ、普通なら思い出の高校とかに行ったり恩師に会いに行ったりして感動路線に行くんだろうけれど、ウチの番組はそういう路線じゃないからなー。ほとんどただの観光コーナーだよ」

泰葉「『里帰り』っていうのは」

未央「ただの口実だね。未央ちゃんが日本全国の観光をして楽しむっていうコーナーだよ」

泰葉「……それ、良いんですか?」


未央「いやいや、結構人気コーナーなんだよ? 前なんて、みほちーの熊本弁が見れたからねー」

泰葉「熊本弁……『闇に飲まれよ』ですか?」

未央「熊本県の人に怒られるよ!?」

泰葉「大丈夫です。蘭子さんは熊本県の観光大使にも任命されていますから」

未央「それとこれは関係あるの……?」

泰葉「あります。以前、熊本県知事の方が『闇に飲まれよ』と言っているところを見ましたから」

未央「本当に!?」

泰葉「はい。それに対して集まった県民の方々が『やみのまー!』と返していました」

未央「おぉ……それはまた、ものすごい」

泰葉「あと、熊本県では白い熊のぬいぐるみがたくさん売れているらしいです。美穂さん効果ですね」

未央「そこまで影響があるのか……恐るべし、らんらん、みほちー……」

泰葉「ここまでいくとむしろ熊本県の方々が『恐るべし』なようにも思えますね」

未央「おおっ、上手い」

泰葉「特に上手くはないと思いますが……でも、そういう『アイドルの普段は見られない言動』が見られるという点では人気コーナーになることもうなずけますね」

未央「でしょー? あ、でも、泰葉ちゃん。いちばん重要なのを忘れてますよ?」

泰葉「いちばん重要なこと……?」

未央「私、本田未央ちゃんがやっているからこその人気コーナーなんだよ!」

泰葉「そうですね」

未央「……あ、あの、泰葉ちゃん。普通に受け取られると恥ずかしいんだけど……」

泰葉「未央さんがやっているからこそということは正しいですから。未央さんだからこそ、そういう『アイドルの普段は見られない言動』を引き出すこともできると思うので」

未央「うぅ……じ、時間も押してるし、そろそろ出発しよう!」

泰葉「はい。そうですね……ふふっ」

エビハラサーン…


――

未央「と、いうことで、やって来ました長崎は眼鏡橋……来たんです、が」

泰葉「うわぁ……! ほ、本当に眼鏡みたいですよっ、未央さん! 写真で見たことはありますが……実際に見ると、やっぱり違いますね!」

未央「……え? ……ウフッ、泰葉ちゃん、長崎出身じゃないの? 地元民の反応じゃないよねそれ」

泰葉「あっ……えっと、その……お恥ずかしい話、私、小さい頃に仕事のために東京に引っ越したので……」

未央「あー……そうなんだ。じゃあ、今回は私だけじゃなくて、泰葉ちゃんも観光する側、だねっ。今日は楽しもうね!」

泰葉「未央さん……はいっ!」

>>13

未央「熊本県なら菜帆ちゃんもだよね? どうなの?」

泰葉「菜帆さんは時報を担当しています」

未央「え?」

泰葉「夕方五時の時報ですね。よくある『五時になりました。帰る時間です』というやつの代わりみたいなものです」

未央「へぇー……そうなんだ」

泰葉「結果、熊本県の犯罪率が三割減となりました」

未央「菜帆ちゃんすごすぎない!?」

>>14続き


未央「でも、眼鏡橋……うん、確かにすごい価値のあるものなんだろうけれど、ぶっちゃけ、見ても『へー』くらいの感想しか出ないね」

泰葉「春菜さんなんかが来たら絶対に喜びますよね! うわぁ……! うわぁ……!」

未央「え? ……ンフッ、え? 待って待って。泰葉ちゃん、テンション上がり過ぎじゃない?」

泰葉「はいっ! 楽しいです!」キラキラ

未央「ンフッ……目キッラキラじゃん。こんな泰葉ちゃん、初めて見るんだけど」

泰葉「次! 次はどこですか! 未央さん!」

未央「え? えーと……あ、お昼ごはんだって。何か食べたいものある?」

泰葉「あ、それなら――」


――

未央「――ということで、やってきました……が」

泰葉「ちゃんぽん! 本場のちゃんぽんですよ未央さん! リンガーハットですよっ、リンガーハット!」

未央「いやいや……ンフッ、いや、泰葉ちゃん。リンガーハット、東京にもあるよね?」

泰葉「そうですけど……長崎ですよ?」

未央「フフッ……え、いや、『長崎ですよ?』って言われても……ンフッ……え?」


泰葉「おいしいですねっ、未央さん!」

未央「おいしいけど……おいしいけどね? でも、東京でも食べられるよね? 確かにおいしいけど、これ、食べたことあるもん」

泰葉「……?」

未央「フフッ……え? なんで『何言ってるのこの人』みたいな顔してるの?」

泰葉「いえ……だって、長崎ですよ?」

未央「ンフッ……フフッ、ンフフフフッ……それやめて……『長崎ですよ?』ってそんな万能ワードじゃないから」


泰葉「ちゃんぽん……おいしいなあ……」

未央「……泰葉ちゃんって、もしかして、今までリンガーハット行ったことなかったり? 今の反応を見る限りだと、ちゃんぽん、食べたの初めてっぽいけど……」

泰葉「いえ、いつもは皿うどんを食べているので」

未央「え!? ……フッ、え? じゃあ、リンガーハット、来たことあるんだ?」

泰葉「月に少なくとも一回は行ってますね」

未央「まさかの常連だった!? え? じゃあなんで今日、こんなに感動してるの?」

泰葉「ちゃんぽんを食べるのは初めてだったので」

未央「そんなに行ってて!?」


泰葉「はい。初めてのちゃんぽんは長崎で食べるって決めていたので……」

未央「そっかー……。あ、じゃあじゃあ、どうして皿うどんは東京で食べたの?」

泰葉「皿うどん、好物なんです」

未央「……え? ンフッ……え? そういう理由?」

泰葉「はい。月に一回は食べないと……」

未央「食べないと……?」

泰葉「食べたくなります」

未央「食べたくなるだけかー」


泰葉「? 食べたくなる以外に何か?」

未央「いや……いや、さ。今までの流れ的に、『禁断症状が』とかそういうのを言うかと思って」

泰葉「そんなことあるわけないじゃないですか。もうっ、私を何だと思っているんですか」プンスカ

未央「まあそうだよね。……そうだよね。泰葉ちゃんだもん。そんなこと言うわけ――」

泰葉「法子さんやみちるさんじゃないんですから」

未央「謝って! 今すぐ二人に謝って!」

泰葉「二人に……? あ、そうですね。かな子さんと茜さんも言いそうですもんね」

未央「四人に謝れぇ!」


――

泰葉「リンガーハット、おいしかったですね!」

未央「うん、まあ、おいしかったけどね? おいしかったけど……おいしかったけどね!?」

泰葉「おいしかったらいいじゃないですか。ほら、『おいしいから大丈夫だよ~』ですよっ」

未央「フッ……ちょ、なんでいきなり超絶クオリティ物真似?」

泰葉「まあ……昔から子役をやってますからね。演技力はそれなりに高いつもりです」ドヤァ

未央「んっ……なんでドヤ顔……泰葉ちゃんの……ドヤ顔……」プルプル

泰葉「似てませんでしたか?」

未央「いや、めちゃくちゃ似てたけど……ンフッ、いや、そういうことじゃなくてね?」

泰葉「……?」

未央「ンフッ……フフフフッ……いや、フフッ、まあ、もういいけどね?」

泰葉「……なんだか、今日の未央さんはおかしいですね」

未央「泰葉ちゃんに言われたくないよ!?」


――

未央「さて、次はグラバー園。私も名前だけなら聞いたことはあるよ。有名だよね」

未央「えーと……とにかく歴史的建造物らしいね。確かになんか雰囲気あるかも」

未央「それで、泰葉ちゃんは――」

泰葉「未央さん未央さん! グラバー園! これがグラバー園ですよ! なんか……家です!」

未央「ンフフッ……家、家って……フフッ、いや、そうだけど……なんて小学生みたいな感想……」


泰葉「家だ……! 家っ、家ですよっ、未央さん!」

未央「ちょっ……フッ、ウフフフフッ、やめて、ウフフッ、もうやめて、それ……家だってことは見ればわかるから……」

泰葉「なんか……なんか、なんかですね!」

未央「フッ……フフフッ、なんでそんなにバカっぽい喋り方なの?」

泰葉「そう……『マジヤベェ』って感じです!」

未央「ブフッ……や、泰葉ちゃん……それ、やめて……美嘉ねーでもそんなこと言わないよ……」

泰葉「美嘉さんだったら『カリスマJKモデルのアタシだけど、ここはカリスマ感溢れてるよね★』とか言いそうですよね!」

未央「言わない! 絶対言わないよ! 美嘉ねー絶対そんなこと言わないよ! でも演技力高すぎて本当に美嘉ねーが言ってるように聞こえる! やめて!」


泰葉「あ! ハートの石! ハートの石ですよ、未央さん! これ、触ると幸せになれるみたいですよ!」

未央「えっ? ……あ、本当だ。よく見つけるね、泰葉ちゃん」

泰葉「まあ、芸歴長いですから」ドヤァ

未央「フッ……いや、それ絶対関係ないよね?」

泰葉「ハートの石……美嘉さんなら、『は、ハートの石……い、一緒に触ると、一緒に幸せになれるの……かな★』とか言いそうですね!」

未央「誰!?」

泰葉「乙女ヶ崎美嘉さんです」

未央「風評被害! いや、風評被害かどうかは微妙だけど……風評被害だよ! ファンの間でそう呼ばれてること知ってるけど……美嘉ねー、ちょっと気にしてるんだよ!?」


未央「風評被害! いや、風評被害かどうかは微妙だけど……風評被害だよ!」

泰葉「微妙なのか風評被害なのか……どっちなんですか? 紛らわしいです」

未央「えっ……あ、ご、ごめんなさい」

泰葉「わかればいいです」フンス

未央「……ンフフフフッ、え? なんで今、私、謝ったの?」

泰葉「紛らわしかったからですね」

未央「……フフッ、いや、うん、まあ、そうなんだけどね?」

泰葉「……未央さん、やっぱり今日、おかしいですね」

未央「いやだから泰葉ちゃんに言われたくないよ!」


――

未央「それじゃあ次は……どこに行こっか」

泰葉「決まってないんですか?」

未央「いや……いつもならある程度観光した後はそのアイドルのオススメの場所に、っていうのが鉄板だからさ。泰葉ちゃん、どこか行きたいところとかある?」

泰葉「そうですね……カステラが食べたいですかね」

未央「うん、そっか、カステラか……んん!?  カステラ!? え? 今、私、『どこか行きたいところは?』って聞いたよね? で、泰葉ちゃんの答えは」

泰葉「カステラ!」

未央「……は? いや、ごめんね。先輩だけど……は? 何言ってるの? 質問の意味、わかってる?」


泰葉「だって、カステラ、食べたい……」

未央「ンフッ……いや、カステラが食べたいのはわかったよ? わかったけど……わかったけどね?」

泰葉「もうここからは長崎食べ歩きの旅でいいんじゃないでしょうか。私たち人気アイドルが食事をしているシーンだけで視聴者の方々はよろこんでくれるはずです」

未央「すごいこと言った!? 今、泰葉ちゃんすごいこと言ったよね!?」

泰葉「だって、カステラ、食べたいから……」

未央「えぇー……いや、あの、えぇー……」


泰葉「……あっ! カステラじゃなくて中華街に行ってもいいですよ。中華、食べたいです!」

未央「……泰葉ちゃん、お腹、減ってるの?」

泰葉「いえ、ぶっちゃけ疲れたのでゆっくり食事をしたいだけです」

未央「疲れてたの!?」

泰葉「はい、理由はわかりませんが……なぜか、いつもより疲れているような気がします」

未央「いや、理由は明白だけどね!? 明らかだけどね!?」

泰葉「! ……み、未央さん……私ですら理由がわからないことを……た、探偵ですか!?」

未央「違うよ! こんなことで探偵なんて名乗ったら都ちゃんに怒られるよ!」


泰葉「『ふっ……未央さん、あなたを私の助手にしてあげましょう!』」

未央「だからその超絶クオリティ物真似やめて!」

泰葉「『未央さん……もう、あなたは私を超えたんですね……私が認めます。未央さん、あなたは、名探偵です!』」

未央「いやだから怒られるよ!? 都ちゃんだけじゃなくて……色んな人に怒られちゃうよ!?」

泰葉「『私はそんなことで怒りません。それに、泰葉さんは何も悪くありません。悪いのは未央さんです。私を超える推理力を発揮した……未央さんの……ッ!』」ギリッ

未央「なんで迫真の演技!? ちょ、こわいこわいこわい! 本気で私を睨んでる都ちゃんが見えるから! やめて! その演技力の高さを発揮するのやめて!」


泰葉「とりあえず、未央さん。中華街に行って、それからデザートにカステラを食べに行くということでいいですか?」

未央「……もうなんでもいいよ」

泰葉「『なんでもいい』? ……未央さんっ! そんな気概でどうするんですか! アイドルたるもの、そんな投げやりになってはいけませんよ!」

未央「えぇー……いや、なんで私が怒られてるの……?」

泰葉「……未央さん? わかったら返事!」

未央「……はい」

泰葉「声が小さいです!」

未央「……はい!」

泰葉「よろしい! では、中華街に行きましょう! スタッフさん、行きましょう!」

未央「えっ……わ、私に聞かないんだ。うわ、泰葉ちゃん、もう車に乗ってるし」

未央「……今日は私が弄る側だと思ったんだけどなぁ……」ボソッ


――

未央「さて、やってきました中華街」

泰葉「皿うどんを食べに行きましょう」

未央「んっ……んん? や、泰葉ちゃん、お昼ごはんは何食べたっけ」

泰葉「リンガーハットのちゃんぽんですね」

未央「で、今から食べに行くのは」

泰葉「皿うどん!」

未央「……うん。……うん?」


泰葉「皿うどん、楽しみです……。いつもはリンガーハットの皿うどんですが、本場の皿うどんも食べてみたかったんです……!」

未央「……あの、さ、泰葉ちゃん。もしかして……もしかして、なんだけどね? もしかして、お昼、リンガーハットで皿うどんじゃなくてちゃんぽんを食べたのって……」

泰葉「中華街で皿うどんを食べるつもりだったからです!」

未央「……マジかー。ここまで計画的だったかー……」

泰葉「計画はきちんと立てておくことにしているので」ドヤァ

未央「ンフッ……だからドヤ顔やめて。お願いだからやめて……」


泰葉「じゃあ、行きましょう」スタスタ

未央「ん? ……ちょ、ちょっと待って泰葉ちゃん。え? どこに行くつもりなの?」

泰葉「予約していた店に」

未央「……んん? え? いつの間に予約していたの?」

泰葉「一週間くらい前ですかね」

未央「……ん? 一週間前? え? その頃ってこのロケのオファーが入ったあたりじゃ」

泰葉「はい! その頃から計画してました!」

未央「計画的過ぎでしょ! どんだけ皿うどん食べたかったの!?」


泰葉「なんでも、その店の皿うどんは有名とのことなので……楽しみです! 一週間前から、ずっと楽しみでした! 楽しみ過ぎて、予約してからは一回しか皿うどんを食べてません」

未央「……ん? え? ……一週間以内に、食べたの?」

泰葉「はい」

未央「いつ?」

泰葉「昨日ですね」

未央「んん!? ……ンフッ、え? ンフフフフッ……え、なんで?」

泰葉「我慢できなかったからです!」

未央「あと一日くらい我慢しよう!?」

泰葉「いえ……私は考えたんです。『こう考えるんだ、私。あと一日我慢すればいいだけだけど、そもそも、我慢する必要があるか? そう……食べ比べをすると考えれば、むしろ前日に食べた方がいい。そうだ、そう考えるんだ……皿うどん……皿うどん……皿うどんを食べなきゃ……はぁ……はぁ……皿うどん……皿うどん……』と」

未央「禁断症状出てる! それ禁断症状出てるよね!?」

泰葉「ふふふ……皿うどん……本場の……ふふふふふ……」

未央「こわっ! こわいよ泰葉ちゃん! 行こう! 行こうか皿うどんを食べに! レッツゴー!」


――

未央「……まさか泰葉ちゃんが撮影許可まで取っているとは」

泰葉「抜かりはありません」ドヤァ

未央「それに、店主さん、すごい泰葉ちゃんのファンだったよね……」

泰葉「予約の電話の時に媚びまくりましたから」

未央「媚って言っちゃった!?」

泰葉「大丈夫です。バレても大丈夫なように調整しましたから」

未央「調整……? え、何こわいこと言ってるの?」

泰葉「私くらいの芸歴になればその程度は容易です」

未央「……こわぁー。先輩、こわぁー……」


泰葉「もうっ! 未央さん! 先輩って呼ばないでって言ってるじゃないですか」プンスカ

未央「あ、ご、ごめんなさい……いや、朝はそれかわいいって思ってたけど、今、ちょっとこわいよ」

泰葉「そうですか……こわい……ですか。……私なりに、このコーナーが面白くなるように努力しただけ、なんですが……」ショボーン

泰葉「やっぱり……やっぱり、私、なんて……」ハイライトオフ

未央「っ!」

未央「ご、ごめん、泰葉ちゃん! 私……私、勘違いしてた! そうだよね……泰葉ちゃんだもんね」

泰葉「未央、さん……」ウルウル

未央「……泰葉ちゃん。私、泰葉ちゃんのこと、こわくないよ」

泰葉「……ありがとう、ございます」グスッ

未央「どういたしまして、だよっ」

泰葉「……ふふっ。これが『調整』ですよ、スタッフさん」ボソッ

未央「? 泰葉ちゃん、何か言った?」

泰葉「いえ、何も♪」


――

未央「というわけで、注文してた皿うどんが来たわけですが……泰葉ちゃん?」

泰葉「皿うどん! 本場の皿うどんですよ未央さん! うわぁ、すっごくいいにおい……おいしそう……皿うどん……皿うどんだぁ……!」キラキラ

未央「あっ、ダメだこれ」

泰葉「たっ……食べていいですか!?」

未央「えっ……う、うん。食べてもいいんじゃないかな」

泰葉「やったぁ! じゃあ、いただきます!」

未央「う、うん。いただいて」


泰葉「それじゃあ、まずは一口……」パクッ

泰葉「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

泰葉「未央さん未央さん!」

未央「……何かな?」

泰葉「これ!!! とっても!!! おいしい!!! です!!!」

未央「ここでこの一日いちばんのテンション!?」

泰葉「ふわぁ……皿うどん……おいしいなぁ……おいしい……めっちゃおいしい……めっちゃおいしいやん……」


未央「……ん? なんで関西弁なの?」

泰葉「それは私が神戸エリアで初登場だから……はぁ……皿うどん……おいしい……これを食べずには死なれへんでぇ……」

未央「……ん? 今ちょっと意味わからない言葉があったけど……神戸エリア? 初登場?」

泰葉「……はぁ……あ! 未央さんも食べて下さいよ。おいしいですよ?」

未央「え、あ、はい……いただきます」パクッ

未央「あっ、本当においしい……」

泰葉「でしょう! めちゃくちゃおいしいですよね! すごく! とっても!」

未央「えっ……あ、うん」


泰葉「はぁー……皿うどん……おいしい……アイドルやって良かった……プロデューサー、私、このためにアイドルになったんですね……」

未央「違うよ!? 絶対違うよ! 本場の皿うどん食べるだけでその台詞言わないで!? プロデューサー、泣いちゃうから!」

泰葉「でも、この皿うどん、それくらいおいしい……」

未央「いや、おいしいけどね? おいしいけど……泰葉ちゃん、皿うどんとプロデューサー、どっちが大事なの?」

泰葉「プロデューサーですけど」

未央「んっ……そ、即答か。ちょ、ちょっとキュンとしちゃった。じゃあ、ファンと皿うどんだと」

泰葉「ファンの皆さんに決まってるじゃないですか」

未央「おおー……私と皿うどんじゃ」

泰葉「さ、未央さんです!」

未央「……『さ』?」


泰葉「皿うどん、おいしいですね!」

未央「……ちょ、ちょっと泰葉ちゃん。『さ』って? 『さ』って何?」

泰葉「ごちそうさまでした!」

未央「はやっ! ……というか、私、一口しか食べてないよ!?」

泰葉「じゃあ次はカステラを食べに行きましょう! スタッフさん! 未央さん! はやく!」

未央「えっ、あっ……えぇー……」

未央「……いや、もう……うん、もう、いいけどさぁ……」


――

未央「さて、次はカステラです……カステラ、だけだよね?」

泰葉「はいっ」

未央「……あのさ、この山、何?」

泰葉「カステラですっ!」

未央「……これ、何本くらいある?」

泰葉「少なくとも20本はありますね」

未央「そんなに食べきれないよ!?」

泰葉「もちろん、食べ切るつもりはありません。お土産ですよ、お土産」

未央「お土産か……まあ、そうだよね」


泰葉「はいっ。お土産というのを口実に出来る限り多くのカステラを食べ比べしたいだなんて思ってません!」

未央「ンフッ、絶対思ってるよねそれ!」

泰葉「だって、そう言ったら買ってくれると思ったから……」

未央「いや、さすがにダメだよ!? ほら、スタッフさんの顔見てみなよ! 『さすがにこの量は無理です』って顔してるじゃん!」

泰葉「だって……せっかくだし……食べたい……」

未央「いや……ンフッ、我がまま言ってもダメだよ?」

泰葉「……食べたいもん」

未央「フッ……ンフッ、フフフフッ、『もん』って……フフッ、『もん』って……かわいいなぁ、もう!」


泰葉「スタッフさん……『ダメぇ?』」

未央「おおぅ、ここで超絶クオリティ物真似……ってそれ765プロの人じゃん! 伊吹翼ちゃんの真似じゃん! というか……え? すっごい似てる! かわっ……かわいっ! 何これ! かわいすぎでしょ!」

泰葉「……あっ! 良いんですか!? ありがとうございます! 私、スタッフさんのこと、大好きです!」

未央「あっ……スタッフさん、折れちゃったかあ。いや、気持ちわかるけど……」

泰葉「……でも、さすがにちょっとチョロ過ぎです。今後は騙されないように注意した方がいいですよ?」

未央「ンフフッ! ……え? 買ってもらう側なのに、それ言う?」

未央「……フフフッ! ちょ、スタッフさん! 騙されないで! これ、泰葉ちゃんの優しさじゃないから! 絶対皮肉だから! 『泰葉ちゃんはやっぱり優しいなあ』って感動してる場合じゃないから! 財布の紐を緩めないでぇ!」

泰葉「……未央さん。スタッフさん、優しいですねっ」ニッコリ

未央「私に同意を求めないで! 共犯者にしないでぇ!」


――

未央「はい、というわけで、今回の『ちゃんみおと、里帰りしちゃんみおー!』は終了なわけですが……泰葉ちゃん?」

泰葉「ふぁい」モグモグ

未央「うん、カステラ食べてるね……でも、最後の挨拶くらい真面目にやろうね?」

泰葉「わらひはいふえもまいええう」モグモグ

未央「うわ何言ってるかまったくわからないや」

泰葉「……」ゴクン

泰葉「私はいつでも真面目です」キリッ

未央「全然信用できないよ!」


泰葉「いや、でも、街の人に私と未央さんのどっちが真面目かって聞いたらほとんどの人が私って答えると思いますよ?」

未央「それは……まあ、うん」

泰葉「つまり私は真面目なんです。証明終了」ドヤッ

未央「ンフッ……いや、うん……ンフフッ、ドヤ顔やめて……お願いだから……」

泰葉「」ドドドヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤヤァァァァァァァ……

未央「ングッ……ゴホッ、ケホッ、ケホッ! ……今日いちばんのドヤ顔いただきました!」

泰葉「……みおひゃん、らいひょうふえふか?」モグモグ

未央「ウッ……ま……フッフ、フフッ……また食べてるし……」


泰葉「……」ゴクン

泰葉「では、今回の『ちゃんみおと、里帰りしちゃんみおー!』はこれにて終了です」

泰葉「お恥ずかしい話、私は長崎出身でも長崎のことをあまり知らなかったのでほとんどをスタッフさんや未央さんにお任せしてしまいましたが……おかげで、今日は本当に楽しかったです」

泰葉「今日付き合って下さった未央さんとスタッフさんには感謝の気持ちしかありません。本当にありがとうございました」

泰葉「また、今日の放送で長崎に興味を持った方は是非とも長崎に来ることをオススメします」

泰葉「私はあまり長崎のことを知りませんでしたが、とても楽しいところでしたよ?」

泰葉「では、今回は岡崎泰葉と」

未央「えっ、あ、はい、本田未央」

泰葉「でお送りしました。またお会いしましょう」


未央「……フフフッ! いきなり……フッ……フフフッ! 最後でいきなり綺麗に……フッ……ウフフフフッ! ……え? まだ回ってる? あ、ごめんなs」


――

【スタジオ】

凛「……」

卯月「……」

未央「……」

凛「……す、すごかったね」

卯月「そ、そうですね……」

未央「……しぶりん、しまむー……私、頑張った……頑張ったよ……?」

凛「う、うん。頑張ったね……」ヨシヨシ

卯月「頑張りましたね……」ヨシヨシ

未央「うぅ……優しい……優しいなぁ、二人とも……」


凛「……え? ここでゲストの登場です? ……え!? ……あー、はい。じゃあ、登場していただきましょう。ど、どうぞー」

泰葉「はい、岡崎泰葉です。今日はお呼びいただいてありがとうございます」

未央「」

卯月「ふっ……うふふっ。す、スタッフさん……」

凛「いや、これはさすがに……ふふっ、ご、ごめん、未央。ちょっと耐えられな……ふふふっ」


泰葉「未央さんっ、あの時は楽しかったですね! また一緒に行きたいです!」

未央「え……いや……それは……」フルフル

凛「ンフッ! ……んっ、未央、本気で嫌がってるじゃん……フフフッ」

泰葉「そうですか……二人きり、というのが嫌なのであれば、楓さんや周子さん、フレデリカさんが一緒に行くという案もありますが」

未央「」

卯月「ふふっ! ……ご、ごめんなさ、ふふふっ! それ、ダメですよ……未央ちゃん、死んじゃう……」

泰葉「まあ、さすがにそれは冗談です」

未央「」ホッ

泰葉「そこまでスケジュールは合わないみたいですから。可能だとすれば私と楓さん、未央ちゃんの三人みたいです」

未央「」

凛「ちょ……フフフッ、意味ない……意味ないじゃん……いちばん厄介な人残ってる……」


卯月「未央ちゃん……フフフッ、未央ちゃん死んじゃう……フフフフフッ」

未央「わ、笑い事じゃないよ……笑い事じゃないよ! 本当! 笑い事じゃ! ないよ!」

泰葉「あっ、他に私、未央ちゃん、ヘレンさんというのも」

未央「無理無理無理無理無理無理無理無理!」

泰葉「……未央さんってば、我がままです」プクゥ

未央「我がままでいいよ! 我がままでいいから! それだけはやめて!」

凛「未央……フフフッ、未央、必死過ぎでしょ……」

卯月「ふふっ……でも、ふふっ、気持ちはわかりますけど……ふふふふふっ」

泰葉「未央さん……私のこと、嫌いなんですか?」

未央「嫌いじゃないよ! 嫌いじゃないけど無理! 絶対無理だから!」

未央「というかこれ私のキャラじゃないよね! これさっちーとかみくにゃんとかウサミンの仕事だよ! ニュージェネの中でも凛の仕事だよ!」

凛「ちょ! 未央! 私に振らないでよ!」

卯月「凛ちゃん……フフフッ! 凛ちゃん、必死過ぎ……」


卯月「というか、未央ちゃん、『しぶりん』じゃなくて『凛』って……フフフッ、本気で……フフフッ、本気で……ふふふふふっ」

凛「本当……本当に私に振らないで、未央。無理だから。私にも絶対……絶対無理だから!」

未央「振るよ! だって私、やりたくないもん! こんなのやりたくてアイドルになってんじゃないもん!」

泰葉「え? 『ひどいよ、なんで……私が、私がリーダーだったから? もういいよ、私、アイドルやめる!』?」

未央「言ってないよ! それで弄らないでよ! そもそもここの私、そんなこと言ってないもん!」

凛「本当……本当、本当に私に振らないでよね、未央」

卯月「ふふふっ、凛ちゃん……今の流れでも自分を守って……ふふふふふっ……え? 次の『凛のアイドルインタビュー』のゲスト……泰葉ちゃん?」

凛「」


泰葉「あっ、そうなんですね。凛ちゃん、次はよろしくお願いします♪」

未央「……ふっふっふ! ざまぁみろしぶりん! 私がどんな思いをしたか味わいたまえ!」

卯月「……あっ、未央ちゃんと泰葉ちゃんで特番決まったみたいです」

未央「えっ……う、嘘ですよね、島村さん……?」

凛「……わ、私もだよ……嘘だよね、卯月……?」

卯月「本当みたいです」

未央・凛「「」」


未央「……も、もう、しまむーも巻き込まないと……プロデューサー! しまむーにも泰葉ちゃんとの仕事あげてよ!」

凛「そうだよ! 卯月にも泰葉との仕事をあげるべきだよ!」

卯月「ちょっ……ちょっと、未央ちゃん、凛ちゃん。今、撮影中ですよ? そんなこと……」

凛・未央「「今はそんなのどうでもいいよ!」」

卯月「えぇー……」


凛「もう、プロデューサーのところに行く! 絶対、止めてもらうんだから!」

未央「しぶりんはいいよ! 一回くらい経験しなよ! その代わり、私だけは止めてもらうから!」

凛「未央! 仲間を売るの!?」

未央「善意だよ! 善意で言ってあげてるんだよ! だから私の善意に感謝して泰葉ちゃんとの仕事をしなよ! 私だけプロデューサーに言ってなくしてもらうから!」

凛「……」ダッ

未央「あっ! ……先を越された。待てぇ!」ダッ

卯月「……」ハッ

卯月「ま、待って下さい、凛ちゃん、未央ちゃーん」タッタッタッ


――

泰葉「……行ってしまいましたね」

泰葉「……あっ、そろそろお時間みたいですね」

泰葉「ひょっとしたら、視聴者の皆さんの中には放送事故のようなことが起こったように思えるかもしれませんが……心配しないで下さい。これはぜんぶ演出ですので」

泰葉「しかし、少々熱が入ってしまったらしくて、今、本当に私たちの担当プロデューサーに直談判しに行っているところらしいです。卯月さんはそれを止めに行っていますが……スタジオの時間がそろそろ危ないので、三人に代わりまして、私が締めの挨拶をさせていただきます」

泰葉「では、これで今日の『NGsの私たちシダイの新ジダイ』は終わらせていただきます」

泰葉「お送りしたのは、島村卯月、渋谷凛、本田未央と、ゲストで私、岡崎泰葉でした」

泰葉「私は出演するかわかりませんが、また来週~」

泰葉「……ばいばい」


END

岡崎泰葉編(泰葉以外を書くつもりはない)

まさか放送事故ENDになるなんて……ビックリですね! 泰葉に投票しなきゃいけませんね!

初SS楽しかったです。泰葉編以外はたぶんないです。読んでいただきありがとうございました。

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