赤羽根P「346プロですか?」 (503)

トントントントン……

イチッ ニッ サン シッ ウヅキチャンキョウモガンバッテルワネー

カッカッカッカッ……

コノマエノオーディションケッコウイイトコマデイッタジャナイ イエソンナー

ガタンッ

「「!?」」

?「あれ? おかしいな」

?「すみませーん。誰かいますかー?」コンコン

トレーナー「はーい! 今いきまーす。卯月ちゃん悪いけど、ちょっと自主練してて」

卯月「は、はい!」


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卯月「~♪」キュッキュッキュッ

卯月「~~♪、~♪」クルッ

卯月「~~~~~~♪。」ビ シッ

卯月(……うん! 今のはいい感じだったかな)

卯月「よし、次は……」

パチパチパチパチパチ

卯月「ひゃう!」ビクッ

?「あぁ、ごめんごめん。驚かせちゃったか?」

卯月「え、え~っと……」

?「自己紹介がまだだったな。俺……いや、私、こういうものです」スッ

卯月「あ、ありがとうございます。えーっと、赤羽根……ぷ、プロデューサー!」

P「詳しい話をしたいので、ちょっとお時間、よろしいですか?」

卯月「しんでれらぷろじぇくと……ですか?」

P「この前、ウチのオーディションを受けましたよね?」

卯月「はい。でも確か不合格だったような……」

P「それの二次選考が先日行われまして、見事、あなたは合格されました。おめでとうございます」ペコッ

卯月「……ということは、私」

P「はい、近いうちにアイドルとしてデビューしてもらうことになると思われます。もちろん君が……」

卯月「ほ、本当ですか!」

P「嫌でなければの話なんだが……問題なさそうだな」

卯月「はい! 島村卯月、がんばります!」

P「いい返事だ。何か質問はあるか?」

卯月「えぇっと……デビューはいつ頃に?」

P「うーん。さっきもいったが、近いうちにとしかいいようがないな」

卯月「なるほど~。じゃあ、テレビ出演とかは?」

P「デビューすれば、すぐにでもとしか……」

卯月「なるほどなるほど~。じゃあ、CDデビューとかは?」

P「……これも時期がきたらとしか」

卯月「な、なるほど~……」

P「……」

卯月「……」

P「なんだか……申し訳ないな」

卯月「い、いえいえ! プロジェクトに参加できるだけでも私、嬉しいです!」

P「できるだけ早く企画が進むようにこちらも努力する。すまんがもうちょっと我慢してくれ、えーっと……」

卯月「卯月です! 呼び捨てで結構です」

P「よし! 卯月! これからトップアイドル目指して、頑張っていこうな!」

卯月「はい! 島村卯月、がんばります!」

卯月「…………とっぷあいどる?」

男の子「ヒグッ……ヒグッ……」ポロポロ

凛「…………」

ザワザワ ナニアレ? コワーイ

警官「おい、ちょっと君。そこの子に何をしたんだ?」

凛「別に、何もしてないよ」

P(お? 貴音のポスターだ。やっぱ自分がプロデュースしてる時とは違う目で見れるな……ん?)ティン

警察「何もしてないわけないだろ。ちょっと署まで……」グイッ

凛「ちょっ」

P「あのー」

警察「なんですかこんな時に……おや、あなたは……」

P「ご無沙汰しております。この前の一日署長の件ではウチの……では今はないんですが、貴音がお世話になりました」

警察「いえいえ、こちらこそ。あれが凄い反響でしてなー。それから市の犯罪発生率が0になったんですよ。不思議なこともあるもんですなー。で、今日はどういったご用件で?」

P「そこの子の話……もっと詳しく聞いてやってもらえませんか?」

警察「いやー! 申し訳ない!」

凛「……別にいいよ」

警察「どうかこのことはご内密に……」

男の子「じゃあねー! おねえちゃーん! あと、おじさんも!」フリフリ

凛「……」フリフリ

P「お、おじさん……」ハハッ

凛「……さっきはありがと」

P「いや、どうってことないさ。それよりこれを受け取ってくれないか?」スッ

凛「……プロデューサー? アンタが?」

P「あぁ、君にはアイドルの素質がある。それをここで枯らしてしまうのはもったいない。ぜひともウチの事務所に……」

凛「私、そういうのに興味ないから。じゃあね」サッ

P「お、おいおい、ちょっと待ってくれ! 話だけでも……」

凛「……」スタスタ

P「それがダメなら、一つだけ、一つだけ質問させてくれないかっ?君はっ!」

凛「……」スタスタ

P「君は最近……いつ笑った?」

凛「……」ピタッ

凛「…………さぁね」

ガチャッ

卯月「あ、プロデューサーさん! 今日は何をしましょう?」

P「そうだな、レッスンをしてくれ」

卯月「レッスンですね。がんばります!」


次の日

ガチャッ

卯月「あ、プロデューサーさん! 今日は何をしましょう?」

P「そうだな……じゃあ、レッスンを頼む」

卯月「レッスンですね。がんばります!」

次の週

卯月「あ、プロデューサーさん! 今日は何をしましょう?」キラキラ

P(うぐっ、この輝いた目。絶対レッスン以外を期待してるよな……)

P(本当はもう少し黙っておくつもりだったが……しょうがない)

P「実はな……もう一人の候補生がいて、今現在交渉中なんだ」

卯月「? そうなんですか?」

P「それとあと一人の候補生の選抜がもう少しで追わりそうでな」

P「……卯月を含めてこの三人が揃えばシンデレラプロジェクトが本格的に始動する」

卯月「! そうなんですか!」

P「だから卯月、もうちょっとの辛抱だ。俺は今から交渉しにいってくるから。その間に……」

卯月「え!? 今から行くんですか?」

P「? あぁ、そのつもりだが……」

卯月「あの! プロデューサーさん!」

ーーーー花屋

卯月「ここってもしかして……」

P「知ってるのか?」

卯月「はい。この前お花を買いにきて。その時の店員さんがすっごく美人で、多分その人がプロデューサーさんの言ってる……」

凛「じゃ、行ってくるね」

P「あっ……」

卯月「やっぱり!」

凛「……え?」

ーーーーー公園

P(渋谷凛。おそらく凄い才能の持ち主だ。彼女をこのままにしておくのはあまりにももったいない)ギーコーギーコー

P(彼女にはアイドルとしての素質が十分にある)ギーコーギーコー

P(もちろん無理強いはしないつもりだが、できることなら俺の手で……)ギィギィ

P(しかし社長がよく言ってたティンとくるっていう感覚がわかったよ。正直これまではあんまり……)ピタッ

卯月「あ! プロデューサーさーん! その子捕まえてくださーい!」

P「ん? あぁ……って犬ぅ!」ビクゥ

凛「ちょっとあんた! はやく捕まえ……」

女の子「えーい!」パシッ

女の子「はい、おねーちゃん。リードはしっかり握ってないとダメだよ?」

凛「あ、うん。ありがとう」ニコッ

卯月「もー、プロデューサーさんしっかりしてくださいよー」

P「あ、あぁ、ちょっとぼんやりしててな」ハハッ

凛「あんたもしかして……犬が苦手?」

P「」ギクッ

卯月「え? でもこんな小さな犬ですよ?」

凛「犬が苦手な人にとって、サイズはあまり関係ないらしいから。で? どうなの?」

P「……苦手、です」

卯月「え、えぇー!」

凛「ハァ……しっかりしてよね」

P「そ、それよりさ。君、さっき笑ったよね?」

凛「え? ……あぁ」

P「いい笑顔だったよ。君の笑顔をこの世界に届けたい! アイドルになってくれないか?」

凛「……それ、他の子にはあんまり言わないほうがいいよ。はっきり言って気持ち悪いから」

P「えぇ!? そうだったか?」

卯月「プロデューサーさん。さすがに、今のはちょっと……」

P「う、卯月まで!? うーん……」

P(けど今までスカウトなんてしたことないし、いったいどうやったら……まてよ?)

凛「じゃ、私帰るから。もう来ないでよね」

P「い、いや、待ってくれ。あと少しだけ……」

凛「……」ギロッ

P「ちょっとした話をしよう。これは俺がプロデュースした子の話なんだけどな」

P「その子、最初は全然笑わなかったんだよ。もちろん愛想笑いくらいはするさ。けど、それもさっきの君のような感じで、本当に楽しそうに笑ってるのはみたことがなかった」

凛「……」

P「歌っていても、話をしてても、何をしてても楽しくなさそうなんだ。俺はそのうち、この子を笑わせてみたくなった」

P「それで、ある時彼女に転機が訪れたんだ。残念ながら、これは俺が関わって起きたことじゃないんだけどな……。それから彼女は本当の意味で笑うようになった。そして……」

P「その笑顔は、とても綺麗だった」

卯月「……」

P「だから、俺に見せてくれないか。君の本当の笑顔…………いや、違うな」

P「俺が君に見せるよ。君の本当の笑顔」

凛「…………」

P「明日、駅の前の喫茶店で待ってるよ。じゃあ」クルッ

卯月「それじゃあ、凛ちゃん。……また、明日」ペコッ トコトコ

凛「…………私の、本当の……」

ーーーー喫茶店

卯月「昨日のプロデューサーさん。とってもかっこよかったです!」

P「やめてくれよ。あとで自分でもちょっとクサいかなって後悔したんだから。これで凛がこなかったら……」

卯月「大丈夫ですよ。凛ちゃんは来ます!」

P「だといいんだけど……」

カランカランッ

卯月「あ、もしかして!」クルッ

P「……」チラッ

凛「……」

P「ここにきたってことは……」

凛「……もちろん。やるよ、アイドル」

卯月「……! やったぁ!」ガシッ

凛「ちょ、ちょっと卯月。離れて!」アセアセ

エーイイジャナイデスカー コウイウノハモットバショヲ……

P「……フフッ」

凛「ふぅ……。で? アンタが私のプロデューサー?」

P「あぁ! 夢はみんなまとめてトップアイドル! よろしくな!」ニコッ

凛「……いい顔してるね」フッ

2ndシーズン終わるまで我慢できなかったんだ すまない
6月一杯までには一旦終わらせたいところ

設定としてはバネPの行く場所がアメリカから346に変わった設定です 近いね
だからといってバネP無双にする気はないんでご了承を

ーーーーシンデレラプロジェクト事務室

卯月「ここが346プロ……!」

凛「さすがは大手、って感じだね」

未央「なんかクールな感じだね!」

ガチャッ

P「お、みんな集まってるみたいだな」

ちひろ「おはようございます」

「「「おはようございます!」」」

P「おはよう、みんな。初日から元気が良くていい感じだな。その調子だ」

未央「それよりもさ、プロデューサー」チラッチラッ

P「ん? あぁ、そうだな。二人共、この子が前に話していたあと一人の候補生……今ではもうプロジェクトの一員だな」

未央「本田未央! 高校1年! よろしくね!」

ちひろ「本田さんは数多く実施された二次選考を勝ち抜いた強運とそれ相応の実力を持った人なんですよ」

未央「いや~、それ程でも」

P「いや、自身を持っていいと思うぞ。それで、未央から見て右側が渋谷……」

未央「凛ちゃん!」

凛「え? あ、うん」

未央「じゃあ、こっちは島村卯月ちゃん!」

卯月「は、はい!」

未央「よろしく!」

ちひろ「では、皆さんの出会いを祝して、ささやかながら私から……」

トンッ トンッ トンッ

ちひろ「エナジードリンクを」

未央「ん~? どれどれ~」プシュッ

凛「……」コクッコクッ

卯月「! おいしいですね!」

未央「プハァッ! うんうん、炭酸も効いてていい感じ!」

ちひろ「プロデューサーさんもひとついかがですか?」

P「い、いえ俺は……なんだか好きになれないんですよね、これ」

卯月「それと、プロデューサーさん」

P「どうした?」

卯月「そちらの方は……」チラッ

ちひろ「申し遅れました。私、プロデューサーさんの補佐などを致します、千川ちひろと言います。よろしくお願いしますね」

「「「お願いします!」」」

P「ふぅ……。おっともうこんな時間か」

凛「これからの予定は何かあるの?」

P「あぁ、ここのシステムに慣れてもらうためにもみんなにはひとまずレッスンを受けてもらう」

P「とはいってもレッスン自体は1時間ほどで終わると思う。でも、5時頃までは特にやることもないし終わったら346プロ内部を色々回ってみても面白んじゃないかな」

未央「了解!」

P「これがレッスン室までの地図だ。卯月、この中でレッスン経験があるのはお前だけだから、しっかりリード頼むぞ」

卯月「はい! 頑張ります!」

P「じゃあ、17時には玄関ロビーに集合だ。行って来い」

ーーーーとある廊下

P(よし、メンバーは全員揃った。今日からシンデレラプロジェクト、本格始動だ!)

P(といっても、前任からの引き継ぎしたばっかりだし。何よりアイドル達と一回も顔合わせできてないんだよなぁ……)

P(まぁ自分で言うのもなんだが765のときはあれ程の個性派揃いを13人……小鳥さんを入れると14人を相手にしてたんだから大丈夫だろう)

P(だが油断は禁物だ。 こっちも新規一転気持ちを引き締めていこう)スゥーハァー

P「よし、行く……」

ガチャッ

P「ぐっ!」ガンッ

??「もぉー、待たせすぎだよ! 莉嘉ちょっとこーぎしてくる!」

???「莉嘉ちゃん。ジッとしてないとダメだにぃ⭐︎ ……あれあれ~?」

莉嘉「?」クルッ

P「いててててて……」

莉嘉「あー! 不審者はっけーん!」

???「ふしんしゃー? どこどこー? みりあ不審者見てみたーい!」ヒョコ

P「い、いや、俺は不審者じゃなくて……」

??「世の秩序を乱すものよ。我にその真なる姿を見せてみよ!」シャキーン

P「何を言ってるのかよくわからないがとりあえずその傘を下ろしてくれぇ!」

??「ふ、不審者ァ!? こ、ここここ、こんな時のためにみくは痴漢撃退用スプレーを……」スッ

P「とりあえず話を……」

???「あ、あの! お菓子ならいっぱいありますので……」

P「話を……」

???「不審者……。まぁロックなんじゃない?」

P「話を聞いてくれー!!」

みりあ「なーんだ。プロデューサーだったんだー」

P「あぁ、そうだよ……。君たちのプロジェクト全体のプロデューサーだ」ゲッソリ

美波「すみません。よけいな苦労をさせてしまって」

P「いや、よけいな苦労もするのもプロデューサーの役目さ」ハハッ

莉嘉「へぇー、じゃあ莉嘉喉かわいたからジュース買ってきて」

みりあ「みりあもー!」ハーイ

P「あのなぁ……」

智絵里「あ、あの」

P「なんだ? ……!」

智絵里「今日ここに集められた理由って……」

P「……」ジーッ

智絵里「な、なんでしょうか? 私何か変な所でも……」

P「いや、特にないけど……君、特別男の人が苦手だったりしないよね?」

智絵里「え? はい、男の人だけではないと思いますけど……」

P「ならいいんだ。それよりここにみんなを集めた理由だな。それは……」オホン

P「みんなにはシンデレラプロジェクトに参加してもらうと通知した直後からレッスンを行ってもらってると思う」

P「いつデビューするかなんてわからない不安な状態でただただレッスンを続けてもらっていたことにはとても感謝している。ありがとう」

P「けどそんな日々は終わりだ! 今日から新たに3人の仲間が加わり、君たちじゅう……あれ?」

アーニャ「? どうか、しましたか?」

P「いや……一人足りなくないか?」

きらり「あ~! それだったら~」ガサゴゾ

ガシッ

ヒュン

杏「おわっ!」

きらり「にょわ~⭐︎ きっと、杏ちゃんのことだにぃ⭐︎」

杏「もうちょっと優しく扱ってもいいんじゃない?」

P(あの小道具の山に埋まってねていたのか。……何でだ? まぁ今はそんなことより……)

P「よし、これで全員いるな。その3人が加わって君たち14人のシンデレラプロジェクトが本格的に始動することになる」

みく「……それってつまり」

P「あぁ、みんながデビューする目処が立ったということだ」

「「「「…………」」」」

ホント‼︎ ヤッター! ツイニデビューカー

P「そこで今日は宣材を取ってもらうために集まってもらった。みんなの最初の仕事だ」

みりあ「せんざい? 泡でジャブジャブするの?」

莉嘉「違うよー。宣材っていうのはね、偉い人に莉嘉達の魅力を知ってもらうために撮る写真のことだよ!」

かな子「へぇー。莉嘉ちゃん物知りなんだね」

莉嘉「お姉ちゃんから教えてもらったもん」フフン

みりあ「じゃあみりあ達いっぱいおしゃれしないとね!」

P「そのことなんだが……俺はあまりみんなによけいなデコレーションはしてもらいたくないと思っている」

みく「ど、どうしてにゃ!? 売り出すためにはキャラ付けはとっても重要なことにゃ!」

P「それも一理ある。けどな、少なくとも俺はみんなのありのままの姿が好きだ。一人のファンとして」

アーニャ「ありのままの、姿……?」

蘭子「……」

P「そう、みんなには今のままでも十分な魅力がある。もちろんそこに何か一つ足せばその魅力はさらに大きくなるだろう」

P「でもそんなものは結局一過性のものにすぎない。長くは続かないんだよ。だから、みんなにはあくまで自然体の状態で写真に写ってもらいたいんだ」

P「わかってくれたか?」チラッ

みく「……わかったにゃ」

蘭子「……それがそなたの願いであるならば、我が魂はそれに従おう」

P(……打ち解けるにはまだまだ時間がかかりそうだな)

P「よし、じゃあ早速撮影所に行くぞ」


ーーーー玄関前ロビー

17:10

P(……もう十分も過ぎてる。大丈夫かな?)ソワソワ

??「ん? あの人もしかして……」ソーッ

P(場所がわからないとか? でもここは結構わかりやすい場所だし……)

??「プ・ロ・デュ・ー・サ・ー・さん!」ドンッ

P「うわぁぁ!!」クルッ

P「……って、は、春香ァ!?」

春香「はい! お久しぶりです」ペコ

P「あんまりびっくりさせるなよ……。あれ? でもなんで春香がここに?」

春香「ふっふっふ~。それがですね、私、今日はお呼ばれしてここにいるんですよ」

P「お呼ばれ……? まさかお前、765プロを辞めて……!」ダラダラ

春香「そ、そんなわけないじゃないですかっ! ラジオ番組ですよ、ラジオ番組!」

P「ラジオ?」

春香「はい、346プロがやってる『マジックアワー』って番組知ってます?」

P「あぁ、もちろん」

春香「その番組に私、ゲストとしてお呼ばれされちゃったんですよ」

P「本当か! 凄いじゃないか! ……あれ?でもあの番組って出演者は346プロだけだったような……」

春香「それがまたなんと! 他事務所からのゲスト出演は私が初なんだそうですよ!」

P「そうか……。本当に凄いな! 俺がいなくなってもやっていけてるようで安心したよ。他のみんなは最近どうだ?」

春香「仕事の方は順調ですよ。けど、みんなプロデューサーさんがいなくなって寂しい思いしてます。たまには顔だしてくださいね?」

P「う~ん。時間が取れたらいつか、な」

春香「……もう。じゃ、私行きますからね」クルッ

P「あぁ、がんばってこいよ! それと転ばないようになー!」

春香「大丈夫ですよ! 最近は一週間に一度くらいしか……うわぁ!」ドンガラガッシャーン

P「……本当に大丈夫なのか心配になってきたぞ」

ウィーン

未央「プロデューサー!」タッタッタッ

P「お、やっときたか」

未央「ねぇねぇプロデューサー! 今のって天海春香ちゃん?」

P「あぁ、前にプロデュースしたことがあってな」

卯月「あの天海春香さんをですか!?」

凛「……アンタってもしかして結構凄い人なの?」

P「いや、今の春香がいるのはあいつが努力したからだよ。俺はそれ程役にはたってないさ。それより……」

P「15分の遅刻だ。今日はまだいいが時間に遅れると他の人にも迷惑がかかってしまう。時間は厳守するように」

「「「はぁい」」」

P「よし、じゃあ初仕事に出発するか!」

ーーーー撮影室

パシャッ

ヨシジャアツギイッテミヨッカー イイネーソノママソノママ-

パシャッ

未央「ここが!」

卯月「うぅ……。緊張します……」ブルブル

P「まぁとにかく待合室に入っててくれ。他のメンバーもそこにいるはずだ」

凛「他のメンバーって、シンデレラプロジェクトの?」

P「あぁ、これを機に親睦を深めてくれ」

凛「……わかった」ガチャッ

ア!オネーチャンタチガ……

P「よし、じゃあ俺は……」

??「ちょっとアンタ」

P「は、はい!」クルッ

P(! 城ヶ崎美嘉! 最近女子中高生を中心に爆発的に人気が出始めた子だ……。346プロ所属とは聞いていたがまさかこんなところで会えるなんてな)

美嘉「もしかしてアンタが莉嘉のプロデューサー?」

P「え? あぁ、一応俺はシンデレラプロジェクトのプロデューサーだし城ヶ崎莉嘉の……ん?」

美嘉「気づいたみたいね。莉嘉は私の妹。だ・か・ら、しっかりプロデュースしなさいよね」

P「君に言われるまでもなくそうするつもりさ」

美嘉「そう、ならいいんだけど。それよりまさかアンタがプロジェクトのプロデューサーだったなんてねー」

P「? すまんが前に何処かであったことがあるのか? こっちは記憶にないんだが……」

美嘉「いや、あったことはないよ。ただ、前に美希から話を聞いててね」

P「み、美希から!?」

美嘉「うん。前にファッションショーの仕事でたまたま一緒でね。不思議と馬が合ったからよく話してたんだけど、8割方アンタの話題だったわよ。ツーショット写真まで見せられて大変だったんだから」

P「あとでキツーく……。いや、今電話なんかしたら逆効果か……」ハァ

美嘉「アンタも苦労してるみたいね。じゃ、莉嘉をよろしくね」ガチャッ

ヤッホー! アッ、オネーチャン!

P「律子に連絡するか? いや、こんな事でわざわざ電話なんかしたら逆に怒られそうだし……」ブツブツ

P「表情が不自然?」

卯月「はいぃ……」

P「うーん。卯月、無理はしてないか?」

卯月「いえ、そういうわけではないんですけど……。どうしても緊張してしまって……」

P(……別段無理をしているわけでもなさそうだな。恐らく本当に緊張しているだけだろ。それに後二人も)チラッ

カメラマン「う~ん、もっとリラックスして!」

未央「は、はい!」

凛「……くっ」

P(さて、どうしたものか……)

「一旦休憩入りまーす」

卯月・凛・未央「…………」ハァ

P「お疲れ様。これ、飲むか?」スッ

卯月「ありがとうございます……」
未央「……サンキュー」
凛「……ありがと」

「「「…………」」」

P「……みんなは今日何をしてたんだ?」

未央「え? ん~っと、色んなとこ回ったよね?」

卯月「はい! 何処にでもアイドルの方がいて、凄かったです!」

凛「私はあんまりアイドルとか知らなかったけど、二人の嬉しそうな様子みてるだけでも楽しかったよ」

P「他には?」

卯月「えーっと……。外で遊んだりもしました!」

未央「そうそう! 意外としぶりんが本気出してて焦っちゃったよ」

凛「そ、それは……」

P「……仲良くなれたか?」

未央「もっちろん!」ビシッ

卯月「次は何処に行きましょうか?」

凛「私はもう一回あのカフェに行ってみたいかな」

未央「お、いいねいいね。じゃあその後にさ……」

ワイワイ

P「カメラマンさん」

カメラマン「はい、なんですか?」

P「ちょっと相談なんですが……」

カメラマン「はい、準備できましたよ」

P「ありがとうございます」

凛「ねぇ、これって……」

P「よし、次はお互いに撮りあってみろ」

卯月「私たちがですか?」

P「あぁ、ほらやってみろ」

未央「でも私カメラとかよくわかんないし……」

凛「私も……」

卯月「私もです……」

P「ボタンを押してシャッターを切るだけでいいさ。だいたいの設定はカメラマンさんがやってくれた」

カメラマン「」グッ

未央「……じゃあしまむー! そこ、立って」

卯月「し、しまむー?」

未央「はやくはやくぅ!」

卯月「は、はい。ここですか?」

未央「う~ん、もっと右かな~?」

卯月「こ、こうですか?」

凛「もうちょっと左かな」

卯月「こ、こう?」

未央「あぁ! 行きすぎ!」

卯月「……なんだかスイカ割りみたいですね」フフッ

未央「!」パシャッ

卯月「わっ! ……え?」

未央「いいよ、しまむー! 今の笑顔だよ!」

卯月「へ?」

凛「うん、今のは卯月の良さが伝わる写真だったんじゃないかな」

卯月「そ、そうですか?」

未央「うんうん。よかったよかった。それよりさっきのしまむーは……」チラッ

凛「スイカ割りというより……」チラッ

未央・凛「「UFOキャッチャー!」」

未央「だよね~」ハハハッ

凛「やっぱり?」クスクス

卯月「も、もぉ! 二人とも酷いですよ!」

パシャッ

卯月「はうわっ!」

未央「うんうん。怒ってるしまむーもいいもんですな」

卯月「……」ムスー

凛「未央、そろそろ……」

未央「ごめんごめん、しまむーがあまりにも可愛いからさ~」

凛「卯月、今度はもっと自由にやってみて。それを未央が撮るから」

卯月「わ、わかりました!」

パシャッ!

未央「よし、しまむーはこの位でいっか。じゃあ、次しぶりん!」

凛「うん。でもどうやったら……」

未央「う~ん。しぶりんはかわいくとかよりも……」

卯月「かっこよく、ですよね!」

未央「そうそう!」

凛「か、かっこいい?」

未央「そ、クールな感じで!」

凛「クールな感じ……」ムムッ

パシャッ

凛「え?」

未央「いいじゃん!」

卯月「かっこいいです!」

凛「私、何もしてないんだけど……」

未央「自然と出るかっこよさ、うらやましいねぇ~」

卯月「その調子ですよ! 凛ちゃん!」

凛「う~ん……」

パシャッ!

卯月「次は未央ちゃんの番ですね」

未央「オッケー! かわいくとってね!」

凛「……未央はかわいくとるよりも、元気な所をアピールしたほうがいいんじゃない?」

卯月「爽やかさ、ですね!」

未央「爽やか?」

凛「まぁ、自由に動いてみてよ」

未央「わかった! こう?」ピシッ

卯月「まだまだです! もっと激しく!」

未央「じゃあ、こう!」ビシッ

卯月「もうちょっと!」

凛「ちょ、ちょっと卯月……」

未央「こ、こう!?」ビシィッ‼︎

卯月「最高です!」

凛「……」

パシャッ!

未央「ハァ……ハァ……」

卯月「いい写真が撮れましたよ。未央ちゃん」

未央「あ……ありがと……」

凛「二人とも、はしゃぎすぎ……」

未央「しぶりんは、こんな時、でも、クールなんだね……」

ガチャッ

李衣奈「ちょっと、遅くない?」

智絵里「だ、大丈夫ですか?」

みりあ「あー!? カメラ持ってるー!」

莉嘉「ズルーイ! 莉嘉も自撮りしたーい!」タッタッタッ

みく「二人ともじっとしてないとダメにゃー!?」

莉嘉「貸して貸してー」グイグイ

卯月「ひ、引っ張らないでください。うぅ……」

みく「ちょっとみんなも手伝ってにゃー!」

ゾロゾロ ナニ? カメラ? ジブンデトッテイイノカ!

P「……フフッ」

パシャッ

P「え?」

カメラマン「あぁ、すいません。すぐ消しますね。仕事のくせでつい」

P「仕事?」

カメラマン「私、本職ではアイドルの日常を撮る仕事を頼まれてるんです。といってもパパラッチとかじゃないですよ。こういうものです」スッ

P(早坂そらさんか、所属事務所は……)

そら「今日は知り合いからヘルプで呼び出されたんですけど、やっぱりアイドルの笑顔はいいですね。癒されます」

P「え? あぁ、そうですね」

莉嘉「ちょっとー! Pちゃん!」ブンブン

P「ぴ、Pちゃん?」

かな子「みんなで一枚、どうですか?」

P「ええっと、俺は……」

そら「いいんじゃないんですか? 私、撮りますよ」

P「そうですか? なら……」




そら「はい、じゃあみなさん行きますよー。笑ってー」

そら「あっ、その表情いいですね!一枚、撮らせてください!」

パシャッ!



ーーーー事務室

P(……うん、みんないい顔してるな、宣材はこれでいいか)カチッカチッ

コンコンッ

P「はい」

部長「ちょっといいかね」ガチャッ

P「部長! お疲れ様です! どうかされたんですか?」

部長「実は彼女から相談があってね」

P「?」

美嘉「お疲れ様っ」ヒョイ

P「美嘉か……どうしたんだ?」

美嘉「さっきの写真撮ってた三人、次の私のライブに呼べないかなって。スケジュールは調整きくんでしょ?」

P「あぁ、それはそうだが……」

部長「私としても、早いうちに大きいステージに立たせた方が彼女たちはもちろん、他のみんなにもいい影響があると思うのだが……」

P「……そうですね」

美嘉「ってことは?」

P「あぁ、三人にも相談してみる」

美嘉「やったぁ!」グッ

更新終わり
蘭子語ムズイきらり語ムズイ 全体的に動かし方がムズイ

今回一人一言は喋らせるという謎ノルマを作ったせいでかなり長いですが普段はこんなことしません 期待しないでください
最後に出てきたカメラマンさんはミリオンのカメラマンさんです 応援してあげてください

トキメキドコマデモ エスカレートー♪

ベテラントレーナー「…………」ジーッ

サイダーミタイニハジケルコイノオト♪

P「…………」ジーッ

ハートハデコラズ ツタエルノー♪

ルーキートレーナー「…………」ジーッ

ホントウノ ワタシヲミーテネー♪

美嘉「~~♪。」ビシッ

未央・凛・卯月「「「…………」」」ハァハァ

P「…………」チラッ

ベテラントレーナー「……」コクッ

ベテラントレーナー「まぁ、ギリギリ及第点といったところかな」

P「よかったと思うぞ」

卯月「ほんとですか!」

未央「やったぁ!」

凛「……ふぅ」

美嘉「いくつか怪しいところもあったけどね。まぁ。これなら明日も大丈夫なんじゃない? お疲れ!」

「「「お疲れ様でした!」」」

美嘉「はりきりすぎて潰れないようにしっかり休んでね。じゃっ!」バタンッ

未央「ほゎ~、疲れたぁ~」ペタン

ベテラントレーナー「城ヶ崎も言っていたが今日は無理せず、明日に備えるように。ゆっくり休めよ」

「「「…………」」」ジーッ

ベテラントレーナー「どうした? まだ物足りないのか?」

卯月「い、いえ……そういうわけじゃないんですけど……」

凛「トレーナーが労ってくれるのは……」

未央「なんか逆に怖いよね……」

ベテラントレーナー「……お前らなぁ」

ルーキートレーナー「まぁまぁ、お説教は昨日までに十分やったでしょ。皆さん、これ」スッ

凛「これは?」

ルーキートレーナー「私たち四人からの差し入れです~。あぁ見えてもお姉ちゃんたちも結構心配してるんですよ」

未央「そう、なんだ」

卯月「ありがとうございます!」

ルーキートレーナー「みんな言ってますけど、今日はゆっくり休んでください。今のみなさんならきっと大丈夫です」

「「「はい!」」」

ベテラントレーナー「なんか私のときとリアクションが違うような気がするが……。まぁいい、明日、期待してるぞ。お疲れ」バタンッ

凛「……明日、か」

卯月「ついに明日、ステージに立つんですよね。私たち……」

未央「頑張ってこうね!」

凛「……うん」

卯月「プロデューサーさんからは何かありますか?」

P「う~ん。言いたいことはほとんど言われちゃったからな……」

P「月並みな言葉だが、頑張ってこい! お前らならできる!」

「「「はいっ!」」」

ーーーー会場

P「おはよう、みんな。ちゃんと15分前には集まってるな。調子はどうだ?」

卯月「ひ、広い……」

未央「ここがステージ……」

凛「…………」

P「……よくはないみたいだな」

卯月「い、いえ! だ、だだ大丈夫です!」ガクガク

凛「う、卯月、声震えてるよ」

未央「し、しまむーらしいね……」ハハッ

P(マズイな。明らかに緊張してる。ここはとりあえず……)

P「よし、まずは楽屋に行って挨拶だ」

ーーーー楽屋

P「こちらが、今日出演するアイドルのみなさんだ」

「「「よろしくお願いします!」」」

茜「よろしくお願いします!! 今日は頑張っていきましょう!!!」

まゆ「わからないことがあったら、何でも聞いてくださいね」

瑞樹「あら、あなたたち……」

美穂「今日が初めてのステージなんですか?」

卯月「は、はい!」

美穂「緊張しますよねー。私も……」

美嘉「じゃ、よろしくねー」

凛「は、はい!」

バタンッ

P「よし、次は……」

「おい、ちょっとちょっと!」タッタッタッ

P「は、はい!」

「やっぱりアンタか。こんなところで会えるなんてな」

P「……! お久しぶりです。こちら、音声監督の方だ」

卯月「よろしくお願いします!」
凛「お願いします!」
未央「よ、よろしくお願いします!」

「ハッハッハッ、元気でいいねぇ。結構結構。ところでアンタ、ちょっと手伝ってくれないか? ドタキャンしやがったバイトのせいで人手が足りなくてね~」

P「え? え~っと」チラッ

卯月「プロデューサー、私たちなら大丈夫なので……」

P「そ、そうか? なら、卯月たちはリハーサルに向かってくれ。これが進行表だ」スッ

卯月「は、はい!」

P「読み方はわかるか? 客席から見て右手が上手で左手が……」

凛「そこまで言わなくてもいいって。別に子供じゃないんだから……」

P「……すまない。なるべく早く帰ってくる」

未央「だ、大丈夫だって……」

「おーい。大丈夫かーい? 無理なら別に……」

P「いえ! 今行きます!」タッタッタ

未央「…………」

卯月「……じゃあ、行きましょうか」

凛「……うん」

ーーーステージ

「マイクテストお願いしまーす」

美嘉「はい、城ヶ崎美嘉です。お願いします!」

「ここのセトリの繋ぎなんですけど……」

P「ここは多分……」

「バックダンサー入れてもう一回通しまーす!」

P「!」クルッ

ドンッ

卯月「きゃっ!」

凛「くっ!」フラッ

未央「うわっ!」ズルッ

P「あっ……」

「次、こっちお願いしまーす!」

P「は、はい!」

卯月「もう一回、練習できませんか?」

「これ以上は、厳しいですね」

卯月「そうですか……」

「あの、プログラム4番の入りが上手くいかないらしいんですが」

P「茜さんの立ち位置、もっと左で調整してみてください」

未央「あ! プロデュー……」

「すいません! 物販の追加について……」

P「それなら……」

未央「サー……」

凛「……せめて、ダンスだけでも合わせよう」

ーーーー楽屋

「「「…………」」」

卯月「もうすぐ、始まっちゃいますね……」

凛「……うん」

未央「…………」

「「「…………」」」

タッタッタッタッ

バンッ

凛「!」

P「ハァ……ハァ……」

卯月「ぷ、プロデューサーさん!?」

P「よし、三人ともいるな。ちょっと来い!」

卯月「え? でも、私たちの出番はまだまだ……」

P「いいから来い!」

卯月「は、はい!」ガタッ

凛「…………」チラッ

凛「未央」

未央「…………」ボーッ

凛「未央!」ガシッ

未央「!」クルッ

凛「……行くよ」

未央「う、うん……」

茜「よぉし!! じゃあ、行きますよー!!!」

P「ちょ、ちょっと待って下さい!」

まゆ「?」クルッ

P「その円陣、この三人も入れてくれませんか? お願いします!」ペコッ

美穂「…………」チラッ

瑞樹「…………」コクッ

美嘉「もちろん! 早く入って!」

卯月「は、はい!」

瑞樹「他のみんなも、入れる人は入って!」

茜「初めてのライブ出演!! いいですね!! 燃えますねぇ!!!!」

まゆ「初々しいですね」

瑞樹「じゃあ、今回のライブ、楽しんでいきましょう!! 行くわよー!!」

「「「オーッ!!!」」」

茜「気合入れてきましょー!!」タッタッタッ

まゆ「皆さんの出番はまだ先ですから、リラックスしててくださいね」

美穂「とはいってもやっぱり最初のステージってどうしても緊張しちゃうんですよね」

瑞樹「初ステージでの緊張感、わかるわ~」

美嘉「ほらほら、早く行かないと遅れちゃうよ。三人とも、私たちのステージ、しっかり見ててよね!」

凛・卯月・未央「 …………」ポカーン

P「ほら、始まるぞ。しっかり見ておけ」

チッ…チッ…チッ…チッ…

ウオオオオオオオオオオオ アカネー!! ワカルワー!

オーネガイ シーンデレラ♪

卯月「は、始まっちゃいました……」

凛「…………」ゴクリ

カガヤクヒノータメニー♪

ワアアアアアアアアアアアアアアア

P「怖いか?」

卯月「……はい」

未央「ぷ、プロデューサー、私、どうしたら……!」

P「わからん」

未央「え?」

P「俺はステージに立ったことがないからな。だから、わからん」

凛「そんな無責任な事……」キッ

P「だから、ステージに立ったことがある奴に聞いた方がいい。それが一番だ」

未央「…………」

瑞樹「みんな、大丈夫?」

卯月「み、瑞樹さん!? 今ステージのはずじゃ……」

瑞樹「私の出番ならさっき終わったわ。相当緊張してるみたいね」

凛「すいません……。!」

茜「じゃあ、行きますよ! 美穂さん!!」

美穂「よろしくね。茜ちゃん」

「飛ばしまーす! 5、4、3……」

茜・美穂「ほか!」

茜・美穂「ほか!」

茜・美穂「ごはーん!!」ビューン

オオオオオオオオオオオオオオオ!!!

未央「今のって……」

まゆ「あれですか? 最近は、みんなよくやってますよね」

瑞樹「えぇ、あれやるとタイミングが合うらしいのよ。……私はあのジャンプやったことないんだけどね」

卯月「そうなんですか……」
瑞樹「そうだ! みんなは何か好きな食べ物はある?」

卯月「私は……な、生ハムメロンです!」
凛「……チョコレート、かな」
未央「……フライドチキン」

まゆ「その中から一つ選ぶといいですよ。大声を出すと落ち着きますし」

瑞樹「じゃあ、私たちアンコールの準備があるから」

まゆ「頑張って下さいね」

卯月「あ、ありがとうございます!」

未央「……どうする?」

凛「……じゃん、けん」スッ

「「「ぽん!」」」

「「「…………」」」ニヤッ

茜「みなさーん!! 元気ですかー!!」

美穂「飛び出す時の掛け声は、決めましたか?」

「「「はい!」」」

茜「そうですか!! ステージから見る景色は最っ高ですよ!!! 悩みなんて全部吹き飛んじゃいます!!!」

美嘉「アンタに悩みなんてあったんだね。ビックリだよ」ヒョコ

未央「みかねえ!」

美嘉「ヤッホー。みんな、準備はいい?」

卯月「はい!」
凛「…………」コクッ
未央「うん!」

「準備お願いしまーす!」

美嘉「オッケィ! じゃあ楽しくやろうね!1」

「飛ばしまーす。5、4、3……」

未央・凛・卯月「フライ」

未央・凛・卯月「ド」

未央・凛・卯月「チキーン!」ビュン

ドンッ!

*******************





卯月(その時私たちが見た景色は、今までに見たこともないくらい綺麗で)

卯月(きっと、私たちはその時から、ずっと、魔法をかけられていたんだと思います)





*******************

未央「……!」スタッ

凛「……!」スタッ

卯月「……!」スタッ

トキメキドコマ~デモ エスカレート~♪

P「よしっ!」グッ

茜「よかったですね! プロデューサー!!」

P「あぁ、みんなもありがとう!」

美穂「私たちは何もしてませんよ」

瑞樹「それに、まだ終わってないわよ~。しっかり見守ってあげなさい」

P「は、はい!」

まゆ「それにしても、初ステージでこれなんて凄いですね」

美穂「はい、私が初ステージの時なんてもっと固かったですよ」

茜「はい! 私も緊張して、全っ然声が出ませんでした!!!」

瑞樹「……茜ちゃんは、その位が丁度いいんじゃないかしら」

パチパチパチパチ ミカチャーン! ウシロノコダレダ?

P「ふぅ……。上手くいったな」

まゆ「お疲れ様です」

美穂「感想を言いたいのは山々ですけど……」

茜「アンコールがあるので、後ほど!」

P「あぁ、本当にありがとう!」

瑞樹「はぁ、若いっていいわね」

茜「行きますよ! 瑞樹さん!!」グイッ

瑞樹「ちょ、ちょっと茜ちゃん……」

P「よしっ、それじゃあ俺は……」ピッピッ

未央「プロデューサー!!」タッタッタッ

P「みんな、お疲れ! いいステージだったぞ!」

卯月「ありがとうございます!」

美嘉『みんなー! アンコール、ありがとー!!』

ワアアアアアアアアアアアアア!!!

茜『では行きますよ!! アンコール曲は……』

卯月「……凄い、ですね」

未央「これが、アイドル……!」

凛「……私たちもなれるかな。あんな風に」

P「なれるさ。俺がしてみせる」

凛「……頼りにしてるよ」

ーーー舞台裏

「全プログラム終了です!」

「「「お疲れ様でした!」」」

ワイワイ オツカレサマデース サインクダサイ! ガヤガヤ

ガチャ

未央「あ!」

かな子「みんな、お疲れ様」

美波「ステージ、とっても綺麗だったよ!」

凛「ありがと」

みく「……まぁよかったんじゃないの」

卯月「みくちゃん……!」

みく「で、でも、別に認めたってわけじゃ……」

きらり「にょわー⭐︎ とーっても、キラキラしてたよぉ~」

P「お、みんな来てくれたのか。それで、俺が頼んだものは……」

蘭子「命じられた供物はここに」ズイッ

未央「え、え~っと?」

みりあ「差し入れだよ! はやく開けてみて!」

卯月「は、はい」シュルシュル

凛「これは……」

未央・卯月・凛「フライドチキン……?」

P「俺からのお祝いだ。今日はお疲れ」

未央「これ、プロデューサーが?」

みく「あ! そうだ。これ、領収書」

P「あぁ、悪いな……げえっ!」

智絵里「ど、どうしたんですか?」

P「お前ら……一体何個買ったんだ?」

李衣奈「一人一個ずつだけど?」

P「け、けどこの数……20人分以上は無いか?」

みく「みくたちだけ食べてても失礼でしょ。出演者全員分にゃ」ニヤッ

莉嘉「ちゃーんとPちゃんの分も買ったんだよ! あと、お姉ちゃん達の分と、バックダンサーの人たちにも! どう? 莉嘉って気がきくでしょ~?」フフン

美嘉「お! 偉いよ、莉嘉!」

P「ぶ、部長……これって経費で……」ヒクッヒクッ

部長「う~ん。千川くん次第だが……まぁ、無理だろうね」

P「そ、そんなぁ……」

茜「ん? この匂い! お肉ですね!!」

部長「どれ、私も一つ頂こうかな」

アーニャ「部長サン。これ、どーぞ」

部長「おぉ、悪いね」

P「ぶ、部長ぉ……」

杏「プロデューサー……無茶しやがって……」モグモグ

ーーー舞台袖

カンカンカンカン ジカンナイカライソイデー ソレソッチジャナクテアッチ~ オレサインモラッチャッタヨ~

卯月「……終わっちゃいましたね」

凛「ここに立ってたんだよね、私たち」

卯月「夢じゃ……ありませんよね?」

凛「うん、多分」

卯月「楽しかった……ですよね?」

凛「うん」

未央「…………」

卯月「……未央ちゃん?」

未央「え? う、うん。楽しかった。とっても」

卯月「やっぱり、アイドルっていいですよね」

凛「そうだね」

未央「うん」

更新終わり
バネPは生っすかで歌ってた記憶があるような気もしますがあんなの夢です
元歌手でもないアイドルのプロデューサーがテレビで歌なんて歌えるわけないじゃないですかははは

ーーー事務室

P「う~~~ん。どうするかな~」ノビー

コンコンッ

P「あ、はい」

ガチャッ

ちひろ「お疲れ様です。プロデューサーさん」

P「千川さん、お疲れ様です。どうしたんですか? もしかして、あのチキンが経費で……」

ちひろ「違います。でも、私も久しぶりに食べれて美味しかったですよ」

P「せ、千川さんも食べたんですか!」

ちひろ「はい、ごちそうさまでした。それで、これについてなんですけど……」スッ

P「ん? これは……インターネットの動画ですか?」

ちひろ「はい、これの内容なんですが」ピッ

美波『新田、美波! 大学生です! よろしくお願いします!』ブンブン

アーニャ『アナスタシアです。パパがロシア、ママが……』フリフリ

P「アーニャと美波!?」

ちひろ「美城プロの前で偶然撮影されたものらしいんです。先ほどアップロードされたらしいんですけど、どうしますか?」

P「……そうですね。残しておきましょう」

ちひろ「そうですか、わかりました。ところでプロデューサーさんは先ほど何を悩まれてたんですか?」

P「え? あぁ、聞かれちゃいましたか。実はこれなんですけど……」

ちひろ「ユニット案、ですか」

P「はい、みんなのデビュー方法について考えてたんです」

ちひろ「そうなんですか。私も手伝いましょうか?」

P「いえ、実は……もう決まりました」

ちひろ「……お聞かせ願えますか?」

P「もちろんです」

P「まぁ、デビュー方法といっても誰がユニットになるか決めただけなんですけどね」

ちひろ「十分ですよ」

P「まずは、未央と凛と卯月です」

ちひろ「やっぱり、この三人はユニットになるんですね」

P「はい、今あの三人程波長が揃っているのは他にいませんから」

ちひろ「ユニット名は決まってるんですか?」

P「それがまだ……」

P「次は杏とかな子と智絵里のユニットですね」

ちひろ「智絵里ちゃんとかな子ちゃんはわかりますけど、杏ちゃんもですか? 私はてっきり諸星さんと一緒にすると思ってましたけど」

P「そのことについては後ほど。こっちの方はユニット名は決まってます。「Candy Island』です」

P「そしてこっちがきらりと莉嘉とみりあのユニットですね」

ちひろ「こちらもユニット名を?」

P「はい、『凸レーションズ』です」

ちひろ「なるほど。それで、きらりちゃんと杏ちゃんを分けた理由は?」

P「……互いに依存させないため、ですかね」

ちひろ「依存?」

P「はい、あの二人は確かに仲がいいです。けど、その関係が逆にお互いの魅力を打ち消してしまうことになりそうで……」

P「きらりの方は特に心配はしていませんが問題は杏ですね」

P「杏は手が抜ける状況に持ち込んでしまったらとことん手を抜くと思うんです」

P「面倒見がいいきらりと一緒に組ませてしまったらどんどん何もしなくなる可能性があります」

P「それじゃあ杏の魅力は100%引き出せなくなる」

P「ユニットっていうのは50%と50%を足して100%にするものじゃなく、100%と100%を足して300%だったり400%の魅力を叩き出すものだと俺は思ってます」

P「その子の持っているもの全てを出し切れなかったら、悔しいじゃないですか」

ちひろ「そうですね」

P「まぁ、きらりが杏の魅力を無理やり引き出す可能性もあります。むしろそっちの方が可能性的には高いと思うんですが……」

P「あっ、すいません。つい、熱くなってしまって……」

ちひろ「いえ、問題無いですよ。続けてください」

P「そうですか? では、お言葉に甘えて……」

P「『Candy Islande』の目的は杏の覚醒です。人を強引にでも引っ張るということが苦手なかな子と智絵里の中に杏を入れることによって半強制的にリーダーになってもらいます」

P「もちろん、かな子と智絵里にもきちんと成長してもらいたいと思ってます」

P「あの二人には多少無理をしてもらってでも杏をリーダーの座に引っ張り上げてもらわないといけないわけですし、周りに合わせるだけでなく自主性を養ってもらえればと……」

P「って、なんか矛盾しちゃってますね。俺」

ちひろ「いえ、面白い試みだと思いますよ。残りのユニットはどうなんですか?」

P「残りのユニットの一つはみくと李衣奈のデュオです。こっちも名前は決めてないんですが……」

ちひろ「みくちゃんと李衣奈ちゃんですか? 個人的にこの二人はソロでデビューさせるものだと思ってましたけど」

P「そうですね、結構悩みました。二人には申し訳ないですけどこのユニットは半ば賭けですね」

P「上手く調和させることができればとんでもないユニットになると思ってます」

ちひろ「わかりました。後はアーニャちゃんと蘭子ちゃんと美波ちゃんですね」

P「この三人がさっきまでユニットの構成を悩んでいた理由です。けど、さっきの動画で決まりました」

ちひろ「ということは、アーニャちゃんと美波ちゃんを……」

P「はい、あの二人を組ませることに決めました」

P「正直、この三人の組み合わせでも十分いいと思うんです」

P「けど、シンデレラプロジェクトの多様性をアピールするためにはソロで誰かを推したかったんです」

P「その役割を蘭子か美波に任せることは最初から決まってたんですが……」

ちひろ「後回しにするうちに決めるに決めれなくなった、というわけですね」

P「……恥かしながら」

P「でも、さっきの動画でアーニャと美波のユニットにすることに決めました。さっきアップロードされたばっかりなのに再生数はそこそこありましたし、この波に乗らせたいですから」

P「あ、ユニット名は『Love Laica』です」

ちひろ「Laica……。たしか、ロシアの犬種でしたっけ?」

P「はい、他にも『吠える者』という意味がありますね」

ちひろ「Love Laica……。差し詰め『愛を吠える者』といったところでしょうか」

P「そう考えてもらっても結構です」

ちひろ「最後は、蘭子ちゃんですね」

P「はい」

ちひろ「さっきもお話されていましたが、どうして蘭子ちゃんと美波ちゃんをソロ役に決めたんですか?」

P「美波はやっぱり年長で一番しっかりしてるからですかね。ソロでも安心して見ていられます」

P「まぁ、今回はそのしっかりとしたところを活かしてアーニャのサポートに回ってもらおうと思ってますけど」

P「蘭子は……ちょっと言いにくいんですけど……」

ちひろ「大丈夫ですよ、口外はしませんから」ニッコリ

P「……やっぱり言わないとダメですか。蘭子は……雰囲気が独特というか……今の状態だと他のみんなとの調和が取れないと思うんです」

P「さっき魅力を100%出したいといった手前言い難いんですが、蘭子の魅力を100%引き出すのは正直今は無理だと思います」

ちひろ「でもそれがプロデューサーの仕事、ですよね?」

P「……はい、そうですよね。俺、頑張ります!」

ちひろ「でも、意外でした」

P「何がですか?」

ちひろ「プロデューサーさん、前の事務所ではほとんどソロでプロデュースされてたんですよね? どうして今回はユニットで?」

P「あぁ、そのことですか。……実は、前の事務所で同僚がユニットをプロデュースしてたんです」

ちひろ「『竜宮小町』ですね。今やトップアイドルに手が届きそうな勢いですよ」

P「ありがとうございます。そのユニットメンバー同士の関係がなんというか……うらやましかったんです」

P「ユニットの信頼関係とか、一体感とか。そういうのに憧れてたんです。だから、これは半分俺のワガママですね」

P「でも、きっとうまくプロデュースしてみせます!」

ちひろ「ふふっ、期待してますよ。それよりプロデューサーさん、そろそろお時間なんじゃないんですか?」

P「え? も、もうそんな時間なんですか!?」

ちひろ「タクシー呼んで起きました。気をつけて行ってくださいね」

P「すいません。行ってきます!」

ーーーー美城プロ玄関前

タッタッタッタッ……

P(千川さんに言われなかったら遅れるところだったな、危ない危ない。えっと今日使う資料は……。!)

ビュオォォォォ!!

P「おっと、風か……。ん? これは……」パシッ

ーーーー事務室

ザワザワ ナニカナー? ババーンッテナニカイウノカモ! ガヤガヤ

P「よし、みんな! 聞いてくれ」

P「PR動画の撮影、お疲れ様」

P「今日は発表したいことがあって集まってもらった」

みく「もしかして、仕事が来たにゃ?!」

P「仕事が来た、のとはちょっと違うかな」

李衣奈「じゃあ、何? わざわざ集めたんだから、それなりの発表はあるんでしょ?」

P「……この中から第一弾デビューするメンバーが決まった」

「「「デビュー?」」」

P「まず美波、そしてアーニャ。二人のユニットだ」

P「次は未央、凛、卯月の三人。計五人がシンデレラプロジェクトの先陣を切ることになる」

P「この五人がいいスタートを切ることができれば、それは他のみんながデビューするときに大きなプラスになるはずだ。ぜひ応援してほしい。以上だ!」

「「「…………」」」

卯月「……私たちが」

凛「デビュー……」

未央「……ほんとに?」

短いですけど更新終わり
4話にPの出番が少ないのがいけないんだよ(責任転嫁)
その代わり6話7話辺りは結構な量になりそう

あとユニット名は完璧にミスってます
凸レーションズは凸レーションですしLaicaはLaika
ほんとはユニット構成とか全部変えようかと思ってましたけど捌き切れる自信がないのでやめました

うっはCIもミスってた
ユニット名全部違うじゃねーかごめんなさい

未央「デビュー……?」

かな子「おめでとうございます」

みりあ「すっごーい! CDデビューだ!」

李衣奈「おぉ~」

莉嘉「ずるーい! 莉嘉もデビューしたーい!」

美波「……プロデューサーさん、私は別に交代しても」

P「いや、これはもう決まったことだ。従ってくれ」

P「それに美嘉、さっきも言った通りこれは第一弾だ。すぐに第二弾、第三弾と続くはずだ。もうちょっとの辛抱だ」

莉嘉「でも……」

きらり「莉嘉ちゃん。莉嘉ちゃんはと~ってもラッキーなんだよぉ?」

莉嘉「ラッキー?」

きらり「莉嘉ちゃんはどんなデビューしたい?」

莉嘉「え? う~んと、みんなをビックリさせて、ババーンとデビューする! 渋谷でゲリラライブとか!」

きらり「うんうん。でもでも、も~っと頑張ってキラキラしてデビューする方がきっとみんなビックリしてくれるにぃ☆」

莉嘉「……うん」

きらり「莉嘉ちゃんは、もっとも~っとデビューでキラキラできるチャンスがあるんだよぉ?」

莉嘉「……Pちゃん。莉嘉もちゃんとデビューできる?」

P「…………」

きらり「Pちゃんならきっと、デビューさせてくれるにぃ☆」

莉嘉「……わかった! じゃあ、莉嘉レッスンしてくる!」

みりあ「あ、待って! みりあもー!」

バタンッ

P「……すまない、きらり」

きらい「ううん。……きらりも、Pちゃんのこと信じてるから」

P「……ありがとう」

みく「…………」

杏「デビューが決まってる……だと……?」

P「今発表したメンバーにはこれから特別レッスンに入ってもらう。俺も同行するから、ちょっとだけ待っていてくれ」

ーーーー事務室(プロデューサー室)

P「…………」

ちひろ「プロデューサーさん?」

P「……千川さん、いつからいらっしゃってたんですか?」

ちひろ「発表する前から扉の外には。入るタイミングが無かったので盗み聞きみたいになってしまいました。申し訳ございません」

P「いえ、別に構いません」

ちひろ「それにしても、第一弾デビューだなんてプロデューサーさんらしくない方法ですね」

P「……どういう意味ですか?」

ちひろ「プロデューサーさんのことだから、メンバーに不公平感を感じさせないためにほぼ同時にデビューさせるものだと思ってましたから」

P「よく調べてますね。俺のこと」

ちひろ「補佐役ですので、これくらいのことは」

P「…………怖いんですよ」

ちひろ「?」

P「全員をしっかりと見れる自信が持てないんです」

P「……実際、765では見れませんでした」

P「隠してたんですけど、ユニットを組ませたのも自信が持てないせいなんです」

P「そうすれば、もし俺が見れてなくてもメンバーが見ててくれるじゃないですか」

ちひろ「…………」

P「……俺、間違ってますかね?」

ちひろ「さぁ、私にはわかりません」

ーーーーーエレベーター

P「よし、5人ともいるな。行くぞ」

ガタンッ

ウィィィィィィィ……

P「デビューが決まったから今日からのレッスンは今までよりハードになると思う。けど、これもデビューのためだ、頑張ってくれ」

凛「CDデビューってことはイベントとかやったりするの?」

P「あぁ、その予定だ。会場ももう抑えてるんだぞ」

未央「もう!?」

美波「何処なんですか?」

P「サンシャインシティの噴水広場前だ。いい会場だと思うぞ」

未央「サンシャインシティって……」

卯月「あのサンシャインシティですか!?」

アーニャ「有名な所、なんですか?」

卯月「はい! 私、ママとそこによく買い物に行くんですけど行く度にイベントとかやってますよ!」

凛「すごいところなんだね……」

美波「ニュースとかでもよく取り上げられてるから、現場を見たらすぐにわかると思うよ」

P「恐らくデビューイベントとしては最大級の規模だろう。でも、その会場に負けないように頑張れってくれ」

「「「「はい!」」」」

ピンポーン

ーーーーレッスン室

イッチニッサンッシッ アキチャンココハコウスレバ… リョウカイデアリマス ウッサミーン!

美波「特別レッスンといっても、部屋はあんまり変わらないんですね」

P「指導がハードになるだけだからな。まぁあんまり変わらないさ」

P「じゃあ、俺はちょっと外回りに行ってくるからしっかりレッスンするんだぞ?」

未央「はぁい」

ガチャッ

「ひゃっ!」

P「おっと……。だ、大丈夫か?」

智絵里「だ、大丈夫です。あ、あの……」

P「気絶とかしてないか? あと急に穴を掘ったり……」

智絵里「? 穴を掘る?」

P「あぁ、いや、何でもない。怪我がないならそれでいいんだ。じゃあ」

智絵里「は、はい……」

智絵里「…………」

ーーーー3時間後

P(思ったより時間がかかったな……。みんなはもう帰ってるかもな)

ガチャッ

P「失礼しま……!」

みく「卯月ちゃん! ターンが甘い!」ビシッ

卯月「は、はい!」

みく「凛ちゃんはもっと表情を柔らかく!」ビシビシッ

凛「わ、わかった」

みく「未央ちゃんはもっと周りを見て!」ビシビシビシィ!

未央「お、おっけー!」

P「ちょ、ちょっと待った! ストップストーップ!」

みく「プロデューサー。今はみくの特別レッスン中にゃ! 黙ってて欲しいにゃ!」

P「待て待て、卯月たちはさっきトレーナーさん達にレッスンしてもらったんだろ?」

みく「あんなのじゃ全っ然足りてないにゃ! 未央ちゃん達にはみく達全員のデビューがかかってるんだから、もっと頑張ってもらわないと困るにゃ!」

卯月「うぅ……」
凛「…………」
未央「……ッ!」

P「トレーナーさん達もレッスンは計画を立ててやってるんだ。休憩とレッスンのバランスも考えてな」

P「さっききらりも莉嘉に言ってただろ。焦るな、みく」

P「チャンスは俺が作ってやる。だから、待っててくれ。頼む」

みく「…………」

P「……それと、お迎えが来てるぞ」

みく「……にゃ?」

ベテラントレーナー「前川……。自分のレッスンを後回しにして指導にあたるなんて、成長したなぁ……」ゴゴゴゴゴゴ

みく「うんにゃ!?」

ベテラントレーナー「さぞかしお前のダンスは成長したんだろうな。見せてもらうぞ」ガシッ

みく「ぷ、プロデューサー! 助けてぇ!」ズルズル

P「……頑張ってこい」

みく「にゃーっ!!」

バタンッ

P「……ふぅ。三人共大丈夫か?」

卯月「は、はいぃ……」

凛「……さすがに、ちょっと疲れたかな」

P「……お疲れ。でも、みくもみくで必死なんだ。わかってくれ」

未央「わかってるよ! 実際みくにゃんの指導はかなり参考になったし。ね?」

凛「うん」

卯月「はい! アドバイスもとっても的確でした!」

P「……ありがとう。それとは別に、みんな疲れてるかもしれないけど、一つ宿題を……」

ーーーー事務室

ガチャッ

李衣奈「ん? あぁ、おかえりプロデューサー」

智絵里「おかえりなさい」

P「李衣奈と智絵里? どうしたんだ? 確かレッスンはもう終わったはずじゃ……」

李衣奈「これだよ、これ」

みく「」グデーン

智絵里「みくちゃんトレーナーさんからレッスンいっぱいうけて……」

P「それでこの状態ってことか……」

P(やっぱりあの時トレーナーさんに一言言っておけばよかったかな……)

みく「これで……私も……」ニャア

P「…………」

李衣奈「ほら、みくちゃん。そろそろ起きなよ」ユサユサ

P「……いや、寝かせといてやろう。女子寮はすぐそこだし最悪俺が送っていくさ」

智絵里「じゃ、じゃあ私も残ります。同じ寮なので……」

李衣奈「それなら私も残ろっかな~」

P「お、おいおい李衣奈は寮じゃないだろ? 遅くなったら……」

李衣奈「明日学校も無いし、家までは歩いて帰れる距離だから大丈夫だって。それに……」

李衣奈「みくちゃんと二人っきりだとプロデューサーが何するかわかんないからね」ニヤッ

P「な!?」

李衣奈「トランプでもしとく? 智絵里ちゃん」

智絵里「は、はい」

P「……親御さんにはちゃんと連絡しとくんだぞ」

李衣奈「オッケーオッケー。じゃあ、切り場でもしようよ!」

ワ、ワタシルールワカラナイカモ…… ダイジョウブオシエテアゲルッテ~

P(……あの二人、なんだか雪歩と真みたいだな)フフッ

*****************

ゴーン ゴーン ゴーン……

みく「…………ふぇ?」パチッ

P「お、起きたか。おはよう」

みく「……おはよぅ」ファァァ

P「疲れはとれたか?」

みく「多分。…………!」ハッ

みく「い、今何時にゃ!?」ガバッ

P「まだ9時だよ。これ、飲むか?」コトッ

みく「…………」ジーッ

P「まだ気にしてるのか? デビューのこと」

みく「…………」プイッ

P「……俺はな『みくを必ずデビューさせてやる』なんて言えない」

P「プロデューサーとして、それに大人としてもそんな無責任なことは言えない。けど」

P「俺はみんなを輝かすために、精一杯頑張る。これだけは言ってやれるし約束もできる」

みく「…………」

P「……これだけじゃダメか?」

みく「……ずるいにゃ、プロデューサー」

P「?」

みく「これじゃ、みくが子供でわがまま言ってるだけにゃ……」

P「いいじゃないか子供で。大人ってめんどくさいもんだぞ」

みく「そうみたい」クスッ

李衣菜「話はそれだけ?」ヒョコ

みく「り、李衣菜ちゃん!? それに智絵里ちゃんも……。いつから?」

李衣菜「プロデューサーが喋り始めた頃からかな~。ね?」

智絵里「は、はい……」

みく「それって最初っからってことじゃ……」

P「聞いてたんならもっと早く出てきてくれよ……」

李衣菜「ロックでクールだったぜ! プロデューサー!」ビシッ

P「……はぁ。まぁ今日はもう遅いし帰るか。ほら、みく飲まないのか?」

みく「……みく、ミルクは苦手にゃ」

李衣菜「え!? 猫なのに!?」

みく「キャ、キャラは関係ないにゃ!」

李衣菜「えぇ……」

みく「それにそっちだってロックロック言ってる割に楽器弾いてるの見たことないし!」

李衣菜「ぐっ! わ、私は別にキャラじゃないし……。そもそもロックっていうのは……」

智絵里「二人とも……け、喧嘩はやめてください!」

みく・李衣菜「」ビクゥ

智絵里「あ! す、すいません……大きな声出しちゃって……」

みく「べ、別に大丈夫にゃ。みくたちが悪いんだし」

李衣菜「もう、みくちゃんが悪いんだからね」

みく「にゃあ!? そもそもそっちが・…」

P「ほらほら、戸締りするから外で待ってろ」

「「……は~い」」

ーーーーー女子寮前

智絵里「お疲れさま……でした」

みく「お疲れにゃ」

P「お疲れ。ゆっくり休めよ」

李衣菜「また明日ねー」フリフリ

ユウゴハンタベソコネチャッタニャ~ レイトウショクヒンナラナンコカ…… 

P「……よし、俺たちも行くか」

李衣菜「うん」

P「李衣菜の家は何処なんだ?」

李衣菜「ほんとここからすぐだって。送ってもらう必要もないよ」

P「いや、何かあったら大変だからな。断っても付いて行くぞ」

李衣菜「それじゃただのストーカーだよ」アハハッ

P「それもそうか」ハハッ

李衣菜「……ねぇ、プロデューサー」

P「なんだ?」

李衣菜「私たち、できるんだよね? ……デビュー」

P「…………」ピタッ

李衣菜「……あ、あはははは、ごめんね。あんな話聞いた後なのに」

李衣菜「でも、さ。不安なんだよ。私だけじゃなくて、他のみんなも」

李衣菜「だから、答えがわかってても聞いちゃうんだよね……」

P「……すまない」

李衣菜「……ううん、大丈夫。じゃ、私はここら辺で大丈夫だから。ありがとね、プロデューサー」テクテク

P「…………」ギリッ

P(……本当にこれでいいのか?)

『俺……あぁいや、私は人に希望を与える仕事につきたいって思ったんです』

P(俺はなんでこの仕事についた? 俺はなんでプロデューサーになった?)

『そのうち、誰かが輝く手助けをしたいなって思いはじめたんです!』

P(それならなんで……)

『Pちゃんのこと、信じてるから……』
   『……子供で、わがままいってるだけにゃ』
       『……ううん、大丈夫』

P(なんで……みんな、こんな悲しい顔をしてるんだ……?)

P「……ッ!」

P「……李衣菜!」

李衣菜「へ?」クルッ

P「俺……俺、絶対、みんなをデビューさせるから!」

P「お前ら全員デビューさせて、輝かせるから!! 約束する!」

P「だから、だから……ッ!」

李衣菜「わ、わかった。わかったからプロデューサー。少し落ち着いて……」

P「す、すまない。そうだな、もう夜も遅いし」

李衣菜「そうそう。でも、プロデューサーの熱意は十分伝わったよ。それ、他の子にも行ってあげたらいいんじゃない?」

P「あぁ……。でも、みくにあんなこと言った手前気まずいかな……」

李衣菜「いいんじゃない? ダメな大人でも。それにさっきのプロデューサー、最高にクールだったよ」

P「そうか。……ありがとう」

李衣菜「じゃ、今度こそ。また明日ね~」

P「あぁ! また明日!」

翌日

ーーーーー事務室

みく「…………」ムスーッ

智絵里「…………」ジーッ

李衣菜「次、みくちゃんの番だよ。もう、いつまでむくれてるの?」

みく「だって~、Pちゃん昨日はあんなカッコイイこと言ったと思ったら今日になって突然……」

*****************

P『俺がみんなをデビューさせてトップアイドルにもさせてやる! 任せろ!』

*****************

みく「なんて言うんだもん」スッ

李衣菜「でもその言葉が欲しかったんでしょ? よかったじゃん」スッ

みく「むぅ……」

かな子「でもプロデューサーさん、なんでいきなりあんなこと言ったんだろ?」スッ

李衣菜「また私のロックが魂に火をつけちゃったってことかな~」

みく「……前例を見たことがないにゃ」

李衣菜「ぐっ!」

かな子「ふふっ、二人とも仲良しだね。智絵里ちゃん」

智絵里「…………」ボーッ

李衣菜「誰と誰が仲良しなんだか。……智絵里ちゃん? 大丈夫?」

智絵里「え? あ、私の番……ごめんなさい……」スッ

「「「…………?」」」

ーーーーープロデューサー室

コンコンッ

P「はい!」

ガチャッ

かな子「プロデューサーさん」

李衣菜「ちょっといい?」

P「……どうかしたか?」

P「智絵里の様子が変?」

かな子「はい……」

みく「なんだか思い詰めてる感じだったにゃ……」

P「何か思い当たることはないか?」

李衣菜「それが、特に何も」

みく「みくたちが聞いても『何でもない、大丈夫』の一点張りで……」

P「……わかった、俺からも話を聞いてみる。今智絵里は?」

李衣菜「多分カフェにいると思うけど……」

P「よし」ガタッ

かな子「い、今から行くんですか?」

P「あぁ、幸い時間もあるし……。じゃあ、留守番よろしく!」バタンッ

李衣菜「ちょ、ちょっと!」

未央「どうしたの?」ヒョコ

かな子「え~っと……」

ーーーーー喫茶店

智絵里「…………」

チリンチリン

「いらっしゃいませー! ご注文は?」

P「えぇっと……緑茶で」

P「…………」キョロキョロ

智絵里「…………」ボーッ

P「! 智絵里、隣いいか?」

智絵里「え? ぷ、プロデューサーさん? ど、どうぞ」

P「ありがとう」ストン

P「……何か、悩みでもあるのか?」

智絵里「…………いえ、特には」

P「……そうか」

智絵里「…………」

P「…………」

「はーい! お待たせしました~、緑茶でーす! それにしてもお客さん! 緑茶とは渋いですね~」コトッ

P「あ、ありがとうございます……」ズズッ

P「! おいしいですね!」

「そうですか? えへへ、ありがとうございます」

P「……懐かしいなぁ。前の事務所でも、こうやって……」

智絵里「プ、プロデューサーさん!!」

P「!」

智絵里「それ……や、やめてください……」

P「それ、って……?」

智絵里「……その、前の事務所の話……とか」

P「……?」

智絵里「……プロデューサーさん。なんだか……私たちを見てないみたいで……」

P「……!」

智絵里「私と話してる時も……ずっと、私じゃなくて……他の、誰かと話してるみたいで……」

智絵里「あの……わがままかもしれませんけど……もっと……ちゃんと……私たちを、見て……ください……」

P「……わがままなんかじゃないさ」

P「そうだよな、智絵里は智絵里だ。年齢は16歳で、血液型はA型で、趣味は四葉のクローバー集め、あと……」

P「好きな動物は、うさぎ」

智絵里「! な、なんで……? プロフィールにも……書いてなかったはずですけど……」

P「これに書いてあったんだよ」スッ

智絵里「これって……」

P「前にPR動画で飛んじゃったメモだろ?」

智絵里「はい……」

P「その時拾ったんだ。これ」

P「けど俺、さっきまでこれが智絵里のものだってわかってなかった」

P「メモの模様は四葉だし、字は丁寧で智絵里らしいし、普通一発でわかるはずなんだけどな……」

P「たったこれだけの紙の中にいる智絵里さえ、俺は見れてなかったんだな……」

智絵里「…………」

P「ごめんな、智絵里。俺、これからはちゃんとみんなのことを見ていく。誰かの延長線上じゃなくて、一人一人、一個人として」

智絵里「……はい」ニコッ

P「……当たり前のことだよな。気付かせてくれてありがとう、智絵里」

智絵里「……いえ」

ーーーー事務室

かな子「智絵里ちゃん! おかえり」

智絵里「みんな……心配かけて……ごめんなさい」

みく「大丈夫にゃ、だけど……」

李衣菜「私たちにも気軽に相談してよね。私たち、友達じゃん!」

智絵里「李衣菜ちゃん……!」

みく「にゃ!? そこは普通みくのセリフにゃ!」

李衣菜「ふ、普通ってなんだよ! 別に誰が言ってもいいじゃん!」

リイナチャンッテクウキガヨメテナイニャ ナニヲ~!

智絵里「……ふふっ」

未央「一件落着、って感じだね」

P「あぁ、そうだな」

凛「それより、プロデューサー」

P「どうした?」

卯月「ユニット名、決まってないんです……」

凛「たしか、今日までだよね?」

P「う~ん。でも、ユニット名は仮のものを出しても後で変更がきくからそんなに焦らなくても……」

卯月「仮タイトルって……」

未央「プロデューサーが考えるの?」

P「? あぁ、一応……」

未央「へぇ~、例えばどんなの?」

P「う~ん、New Generations とかかな」

「「「New Generations……?」」」

凛「どういう意味なの?」

P「直訳すると『新世代』かな。3人には、今までのアイドルとは違った波を作って欲しいと思ってるからな」

未央「……いいんじゃない! それ!」

P「お、おいおいユニット名なんだぞ? そんな簡単に……」

未央「こういうのはノリで決めたほうがいいんだよ! 二人とも、大丈夫だよね?」

卯月「はい!」

凛「いいんじゃない? 私は好きだよ」

未央「ね?」

P「そ、そうか……。ならいいけど……」

未央「よし! じゃあ、二人とも……」チラッ

凛「…………」コクッ

卯月「…………」コクッ

「「「New Generations、ファイト~! オーッ!!」」」

P「……頑張れよ、三人とも」

更新終わり
途中でてきた李衣奈ちゃんは李衣菜の双子の姉で趣味はジャズです
……割と真面目にごめんなさい

あと完璧に個人の感想ですが確認のため読み返してる時>>145のエレベーター稼働音が黒井社長で再生されてちょっと笑いました

それとラブライカはちゃんとレッスンしてます

前回のユニット名といい名前間違いすぎだろなんだこのクソSS
次回から死ぬ気で確認するので間違ってたら死にます

ーーーーーー取材ルーム

吉澤「じゃあ、お一人づつCDデビューに向けてなにか一言いただけますか?」

卯月「は。はい! 島村卯月です。とにかく頑張ります!」

凛「渋谷凛です。……まだ実感ないけど、頑張ります」

未央「リーダーの本田未央です! みんなに私たちのCD聞いて欲しいです! ライブとか……」

「「「ありがとうございました!」」」

P「ありがとうございました!」

吉澤「他でもない君のユニットだからねぇ。期待してるよ」

P「今後とも、宜しくお願いします!」

未央「…………」

卯月「どうかしましたか? 未央ちゃん」

未央「プロデューサーって、結構すごい人なのかな?」

卯月「え? え~っと、本籍は765プロにあると聞いたので結構偉い人なのかも……」

凛「765プロって?」

未央「しぶりん、765プロを知らないの!?」

凛「あ、あんまりそういうのとか詳しくないから……」

卯月「765プロは美城プロと同じ芸能プロダクションで、天海春香ちゃん、四条貴音さん、竜宮小町といった多くの有名アイドルさんたちが所属してるんですよ」

凛「あぁ、その名前なら聞いたことがあるよ。でも……」チラッ

莉嘉「Pくん! これヘラクレスじゃなくてネプチューン!」

P「す、すまん……」

凛「……あれが?」

卯月「た、多分……」

未央「…………」

P「よし、次はNGはラジオ番組の収録、ラブライカは衣装室に向かってくれ」

「「「はい!」」」

P「俺はNGにつくから美波、アーニャ、そっちは任せても大丈夫か?」

美波「はい」

アーニャ「Да」

P「よし、じゃあ行ってくる」

卯月「いってきます!」

美波「いってらっしゃい。アーニャちゃん、私たちも行こっか」

アーニャ「わかり、ました」

ーーーー車内

未央「プロデューサー。ラジオが終わったらどうするの?」

P「この次は衣装合わせだな。それも終わったらレッスンでその次がプロモーション撮影。それから……」

凛「かなり忙しいんだね」

P「あぁ、みんなのデビューだからな。やれることは全部やっておきたいだろ?」

卯月「……はい!」

未央「じゃあラジオのトーク内容とかも考えとかないとね! プロデューサー、こういう時ってどういうこと話せばいいの?」

P「そうだな……。よく聞かれるのは自分のことと、今の心境。あと、メンバーのことをどう思ってるか、とかかな」

未央「メンバーのこと、か……。そういうのもあるんだね!」

凛「でも、美城に来てからほとんど一緒だし、それは大丈夫なんじゃないの?」

卯月「う~ん。そういうときになると結構緊張して、うまく言葉にできないこととかあるので、ある程度は決めてた方がいいと思いますよ」

凛「ふーん。確かにそういうことはありそうだね」

未央「ねぇねぇ、しぶりんは私のことどう思ってるの~?」

卯月「あ! 私も聞きたいです!」

凛「え、えーっと……」

ーーーーーー1週間後

「いや~ラブライカの二人。これからババーンっと人気出そうだから、期待しちゃってるよ~。じゃあ、お疲れちゃ~ん」

美波「ありがとうございました!」
アーニャ「お、お疲れちゃん、です」

「頑張ってね~」フリフリ

アーニャ「……美波。あの人は、なんて言った、ですか? 私には、少し、難しかったです」

美波「…………」

アーニャ「? 美波。大丈夫ですか?」

美波「え? う、うん。大丈夫!」

アーニャ「そう、ですか……」

美波「あ、プロデューサーさん来たよ」タッタッタッ

アーニャ「…………」

P「すまん。アーニャ、美波、少し遅れた」

美波「大丈夫です。この後はどうするんですか?」

P「トレーナーさんの最終チェックだ。他のメンバーも待ってるぞ」

美波「他のメンバーって……シンデレラプロジェクトのみんなですか?」

P「あぁ」

アーニャ「うまく、できるか……心配です」

P「何言ってるんだよ。二人ともよく頑張ってたじゃないか。今日のチェックはほんとに簡単なものだ。あんまり緊張するな」

美波「そうは言われても……」

P「どうせ明日はもっと多くのお客さんに見られんだ。さ、行くぞ」

ーーーーーーレッスン室

「~~~~♪ ~~♪」

「~~♪ ~~~~~~~♪」

「~~~~~♪。」

………………

卯月「…………」チラッ

凛「…………」チラッ

未央「ハァ……ハァ……」チラッ

パチ……パチ……パチパチパチパチパチパチ

みりあ「すっご~い!」

きらり「上手だにぃ☆」

莉嘉「完璧じゃ~ん!」

杏「うまいうまい」

蘭子「見事な舞姿……」

李衣菜「やるじゃん」

みく「……ま、及第点にゃ」

未央・凛・卯月「…………!」パァァ

ベテラントレーナー「ラブライカもNGもよかったぞ。明日は自身を持っていけ。お前たちの実力は私が保証する」

ベテラントレーナー「……頑張ってこい」

「「「「「はい!」」」」」」

ーーーーープロデューサー室

P(……よし、まぁこんなもんだろ)

コンコンッ

P「? はい。……って部長! お疲れ様です!」

部長「お疲れ。電気が点いてるのが見えてね。そろそろ休んだらどうかね?」

P「……そうですね」

部長「……どうかね? 彼女たちは」

P「……みんな、凄い可能性を秘めてます。今度デビューする5人だけじゃなく、シンデレラプロジェクトのみんなも」

部長「ほぉ。そこまで言えるとはねぇ……。何か根拠はあるのかい?」

P「いえ。……でも、あの子たちに限らず魅力って誰にでも備わってるものだと思うんです」

P「きっと街で歩いてる誰にでも、もちろん部長にだって魅力はありますよ」

部長「ははっ、それは嬉しいねぇ」

P「その魅力を一人でも多くの人から引き出すのが俺の……プロデューサーの仕事だと思うんです」

部長「……プロデューサーという仕事は、君にとって天職なのかもしれないね」

P「……そうかもしれません」

部長「明日、うまくいくといいねぇ」

P「ええ」

ーーーーーー会場

美波「…………」

アーニャ「…………」

P「どうだ? いい会場だろ?」

卯月「た、確かにいい会場ですけど……」

凛「ちょっとデビューの会場にしては大きすぎない?」

P「そうか? 美嘉のステージを体験した三人なら、これくらい……」

未央「……美嘉ねぇの時は私たちだけじゃなかったし」

美波「それに、私たちラブライカは外部への露出も少なかったですし……」

P「あぁ、ラブライカは神秘的な雰囲気を売りにしたかったからな。だからPRのほとんどは未央たちに……」

美波「……そういうことではなくて」

P「そ、そうか、すまん……。とりあえず楽屋に行こう。みんな待ってるぞ」

卯月「……みんな?」

ーーーーー楽屋

ガチャッ

きらり「あ、来たにぃ☆」

凛「みんな……」

李衣菜「もう、遅いよ。待ちくたびれちゃった」

かな子「差し入れも持ってきたよ~」

ドンッ

未央「マ、マカロン……」

卯月「嬉しいですけど……こんなに食べたら衣装が入らなくなっちゃう気が……」

李衣菜「……一応私は止めたんだけど」

かな子「え~。おいしいから大丈夫だよ」

蘭子「抗えぬ欲望を前に、封ずることは叶わなかった……」

智絵里「ふふっ、それとね。莉嘉ちゃんとみりあちゃん、みくちゃんたちは他のお
仕事で来れないのでムービーメールをもらってきました」ピッ

みく『今日はみくたちの初陣でもあるにゃ。みくたちのデビューのためにへまをしないようにがんばるにゃ!』

莉嘉・みりあ『がんばれー、にゃー!』

アーニャ「オォ!」

未央「…………」

卯月「嬉しいです!」

きらり「じゃっじゃーん! きらりもぉ、杏ちゃんから……」

ガチャッ

「すいませーん! 舞台チェックお願いしまーす」

未央「もう?」

P「機材が急に変更になったらしくてな。大丈夫だとは思うが、念のため早めにチェックしてもらうことになった」

美波「わかりました。ごめんねきらりちゃん」

きらり「ううん。後で見ても全然オッケー!」

凛「ありがと!」タッタッタッタッ

蘭子「生命の雫を迸らせ、宴に赴くがよい!」

「終わりです。ありがとうございました!」

凛「プロデューサー。まだ時間ってある?」

P「あと10分で開演だし……。ちょっと厳しいかな」

卯月「うぅ……。杏ちゃんのメッセージ、見れませんでした~」

凛「仕方ないよ。今はステージに集中しよ」

未央「……そうだね。みなみんとアーニャは?」

P「今衣装の確認中だ。すぐに……」

アーニャ「プロデューサー!」

美波「準備できました!」

P「よし、みんな揃ったな」

未央「……プロデューサー、何かアドバイスとかない?」

P「アドバイスか……。それとはちょっと違うけど……」

P「卯月!」

卯月「は、はい!」

P「凛!」

凛「はい!」

P「未央!」

未央「……はい」

P「アーニャ!」

アーニャ「Да」

P「美波!」

美波「はい!」

P「今日はこの5人だけでなく、シンデレラプロジェクトにとっても大きな一歩になると思う」

P「みんなが今日のために頑張ってきたことは、俺が一番よく知ってる」

P「今のお前たちなら、きっといいステージが作れるはずだ!」

P「……行って来い!」

「「「「「……はい!」」」」」

パンッ パンッ

「はいはーい、みなさーん。こんにちはー!」

アーニャ「はじまり、ましたね」

美波「……うん」

アーニャ「…………」チラッ

アーニャ「……美波。手、握りましょう」

美波「え……?」

アーニャ「Эй? рано」スッ

美波「……うん」ギュッ

「それでは登場してもらいましょう! ラブライカのお二人です! どうぞ!」

美波「みなさん! 初めまして」

美波・アーニャ「Love Laikaです!」

美波「聞いてください。『Memories』!」

テレテーレレレー テレレーレレレー

李衣菜「お、始まった!」

智絵里「美波さんとアーニャちゃん。とっても綺麗……」

蘭子「神秘な響……。実に心地よい……」

「「振り向~かないよ~うに~。」」

………………

パチ……パチ……パチ……パチ……

美波「……!」パァァ

アーニャ「Спасибо!」

美波「ありがとうございました!」

「ラブライカのお二人でした~。美しい音色でしたね。今披露してもらった曲『Memories』は……」

卯月「……次、ですね」

凛「……落ち着いて、いこう」

未央「…………うん」

「続いてはNew Generationsで、『出来立てEvo!Revo!Generation!』です。どうぞ!」

美波「プロデューサーさん!」

アーニャ「プロデューサー!」

P「アーニャ、美波! よかったぞ1」

美波「私……わたし……!」グスッ

P「……あぁ」

アーニャ「美波、とっても、頑張ってました」

美波「すみません、泣いちゃったりして……。でも、私……嬉しくって……!」

P「……今は泣いておけ。でも、お客さんにはその顔、見せるなよ」

美波「……はい!」グスッ

アーニャ「美波、ハンカチ、必要ですか?」

美波「うん。ありがとう。アーニャちゃん」

テレレレレー デンッ!

…………………

パチ……パチ……

「「「ありがとうございました!」」」

「は~い。New Generations、名前の通り若々しかったですね! 気になるCDの発売日は……」

凛「……終わった、ね」

卯月「……はい」

P「お疲れ。どうだ? 最初のステージは」

卯月「……ダンス失敗しちゃいました」

凛「私も、音……ちょっと外しちゃった」

P「何言ってるんだ。十分いい出来だったじゃないか! ……ん?」

卯月「……あれ? 未央ちゃんは?」

凛「さっきまでいた……よね?」

P「ちょっと探してくる。二人は疲れてると思うからしっかり休んでいてくれ」

卯月・凛「はい……」

きらり「みーんなとーってもキラキラしてたにぃ!」

美波「ありがとう!」

アーニャ「Спасибо!」

蘭子「美しき舞は、まさに現世に舞い降りた妖精のようであった!」

美嘉「次はアンタ達の番だからね~。あ、未央お疲れ~。ステージ、よかったよ!」

未央「……うん! ありがとう! 美嘉ねぇ!」ニコッ

美嘉「……!」ゾクゥ

未央「私、ちょっとお手洗い行ってくるから。じゃあね!」フリフリ

美嘉「あ、うん……」

李衣菜「…………未央ちゃん、今笑ってた……よね?」

かな子「多分……」

智絵里「……ううん。笑ってなかったよ」

智絵里「全然……笑ってなかった……」

蘭子「うん……」

美嘉「…………」

ーーーーーー控え室前通路

P(舞台袖にはいなかったしまさか一人では帰らないだろうから後はここくらいか。もしかしたら手洗いにでも行ったのかも……。あ!)

未央「…………」

P「未央! こんなとこにいたのか」

未央「……プロデューサー?」

P「……? 顔色が悪いように見えるけど、大丈夫か? 疲れたのか?」

未央「…………うん。ちょっとだけ」

P「そうか……。まぁ、最初からあんなステージを体験したんだからな。疲れるのも無理はないさ」

未央「…………うん」

P「……本当に大丈夫か? もし気分が悪いようだったらすぐ……」

未央「だ、大丈夫だって! 少し疲れただけだから」

P「ならいいんだが……」

未央「うん。……大丈夫。疲れただけ」






「ちょっと……疲れたただけだよ……」




更新終わり
澤に集中するあまり善に気が行きませんでした死にます
あと1日遅れてすいませんでした

みく「……未央ちゃんが?」

智絵里「う、うん……」

みく「う~ん。と言われても……」

卯月「うぅ~。またターンがうまくいきませんでしたぁ」

未央「しまむー! ここはもっと体を使って……」

みく「そんなに変わったところは無い気がするけど?」

李衣菜「でも確かに変だったんだよ!」

かな子「もしかして光の加減でそう見えただけ……かも?」

蘭子「…………」

ベテラントレーナー「そこ! 口より体を動かせ!」

「「「は~い」」」

ーーーーー事務室

卯月「う~ん」ピッ ピッ

凛「どうかしたの?」

卯月「あ、凛ちゃん! お疲れ様です。……これなんですけど」スッ

ーーーーーーーーーーーーーーーー
Frm:未央ちゃん
件名:Re:お疲れさまです!

そうだね…… でも、しまむーだって頑張ってるじゃん!

しまむーならきっとできるよ!
じゃあ、また明日ね おやすみ

ーーーーーーーーーーーーーーーー

卯月「このメール、何か変じゃないですか?」

凛「……確かに、ちょっと変かも」

卯月「ですよね。でも……」

凛「何が変なんだろう、これ」

ベテラントレーナー「1、2、3、4、5、6、7、8。1、2、3……! いいぞ、島村! 今の感覚を忘れるな!」

卯月「は、はい!」

ベテラントレーナー「渋谷は表情が柔らかくなってきたな。その調子だ。本田は……」

未央「……ハッ……ハッ」

ベテラントレーナー「……休め」

未央「え……?」

ベテラントレーナー「聞こえなかったのか? ほら、休め」

未央「な、なんで?」

ベテラントレーナー「今のお前にレッスンを続けさせることはできん。お前に必要なのは休養だ」

未央「で、できます! 私、まだできます! やらせてください!」

ベテラントレーナー「できない奴はみんなそう言うんだ。このまま続けてもお前が潰れるだけだ」

ベテラントレーナー「渋谷、島村、私はちょっと出るから本田が勝手にレッスンしないように見張っておけ」

凛「……はい」

卯月「あの、どちらへ?」

ベテラントレーナー「…………野暮用だ」

コンコン

P「はい」

ガチャッ

ちひろ「プロデューサーさん。お客様ですよ」

ベテラントレーナー「私だ。少し、いいか?」

P「トレーナーさんですか? 事務室に来るなんて珍しいですね。どうかされましたか?」

P「……! もしかして誰か怪我でも……」

ベテラントレーナー「それについては問題ない。現時点ではな……」

P「……?」

ベテラントレーナー「今は本田のことでちょっと話がある」

P「未央がどうかしましたか?」

ベテラントレーナー「……やはり気づいてないようだな」

P「?」

ベテラントレーナー「プロデューサー、潰れたアイドルを見たことがあるか?」

P「……いえ」

ベテラントレーナー「まぁ、そうだろうな。私はある。この目で何人も見てきた」

ベテラントレーナー「潰れる直前のあいつらは今の本田みたいな様子だ」

ベテラントレーナー「何が原因かはわからんがとにかく焦ってる。あのままレッスンを続けても何処か故障するだけだ」

P「…………」

ベテラントレーナー「私は統計データを集めてレッスンすることしかできん。口も上手く回らんしな。だからこういう時は毎回担当プロデューサーに言ってる」

ベテラントレーナー「あいつを……未央を、助けてやってくれ」

P「……わかりました」

ベテラントレーナー「ありがとう。あと、これは言うか迷ったが伝えておく」

ベテラントレーナー「……過去のデータを参考にすると、あの状態に陥ってしまうと95%のアイドルがそのまま辞める」

P「…………わかりました」

未央「…………」

凛「…………」

卯月「…………」

未央「……ねぇ、やっぱりレッスン」

凛「ダメ」

未央「だ、大丈夫だって! 私、元気なのが取り柄だし」

卯月「で、でも……」

凛「未央、こっち向いて」ガシッ

未央「ぐっ!」

凛「……最近寝てないでしょ?」

未央「え?」

凛「上手く隠してるけど隈が出てる。それに、最近ボーっとしてること多いよ」

卯月「未央ちゃん。今は無理せず休みましょう?」

未央「…………」

ガチャッ

P「みんな、お疲れ」

卯月「あ、プロデューサーさん!」

未央「…………」

P「……未央、ちょっといいか?」

ーーーーーーレッスン室前

P「何か飲むか?」

未央「……エナドリ」

P「エナジードリンクだな。……っと」ピッ

ガコンッ

P「はい」スッ

未央「……ありがと」

P「……大丈夫か?」

未央「……うん」

P「嘘つけ。さっきの凛の話、聞こえてたぞ」

未央「…………大丈夫だよ」

P「……正直に答えてくれ。俺ができるだけ力に……」

未央「大丈夫だよ!!」

P「……未央?」

未央「だから……だから、早くレッスン……」

P「……ダメだ。許可できない」

未央「……なん、で?」

P「1週間ほど休みを入れよう。今の未央に必要なのは休養だ」

未央「大丈夫……できるよ。私……」

P「今日は家まで送る。しばらくはゆっくり休め」

未央「できるよ……。できるんだよ……」

P「…………」

ーーーーーー事務室

P「……ただいま戻りました」

ちひろ「お疲れ様です。みんなには明日の連絡を伝えて帰しましたよ」

P「助かります」

ちひろ「それで、どうでしたか? 未央ちゃん」

P「とりあえず今日は帰しました。今は何を言っても聞き入れてもらえそうにないので」

ちひろ「そうですね。でも、このまま放っておくわけないですよね? プロデューサーさん?」

P「…………」

ーーーーーー翌日

P「連絡事項は以上だ。じゃあまず最初に……」

卯月「あ、あの! プロデューサーさん!」

P「どうした? 卯月?」

卯月「これ……なんですけど」スッ

P「……? 未央からのメールか。これがどうかしたのか?」

凛「……これ、絵文字が一切入って無いんだよ」

P「絵文字?」

卯月「はい。普段なら未央ちゃん、絵文字を入れたメールを送ってくれるんですけど、この日以降に送られてきたメールは……」ピッ ピッ

P「……確かに」

凛「それと、このメールの日付きが……」

P「デビューライブの日……か」

卯月「はい……」

P「ありがとう。何か参考になるかもしれない」

みく「未央ちゃんのこと?」

P「あぁ、ここ最近変わったこととかなかったか?」

みく「う~ん。……特にない、かな」

P「そうか……。ありがとう。レッスン、邪魔して悪かったな。じゃあ……」

みく「あ!」

P「? ひょっとして何か思い出したのか?」

みく「う、うん! といってもみくが直接見たわけじゃないんだけど……」

P「なんでもいい。今はとにかく情報が欲しいんだ」

みく「わ、わかったにゃ。智絵里ちゃんたちがね……」

P「…………」

アーニャ「プロデューサー?」

P「ん? あぁ、すまない。今日の連絡は以上だ。何か質問はあるか?」

美波「あの、プロデューサーさん」

P「どうした?」

アーニャ「未央、大丈夫、ですか?」

P「……大、丈夫だ」

美波「それならいいんですけど、メールを送っても帰ってこないから心配で……」

P「未央なら、ちょっとした体調不良さ」

美波「ならいいんですが……」

P「……それとは別に二人とも、この前のライブどうだった?」

美波「え? この前って……デビューライブですか?」

P「あぁ」

アーニャ「私は、楽しかったです。お客さん、みんな、優しくて」

美波「……私も、お客さんがとても暖かく応援してくれていいステージだったと思います」

P「そうだよな……」

P(確かにあのライブは大成功とは言えないまでもデビューライブとして十分にいいできだったはずだ……。それはちゃんと帰りの車内でも伝えた。じゃあ……)

P「一体何が原因なんだ……?」

ーーーーーーマンション前

P「……ここか」

P(結局家まで来ちゃったな……)

P(けど、原因がわからなければ解決策もわからないし、やっぱりここは直接話すのがベストな選択だよな)

P「…………よし」

ピンポーン

……………………

……………………

…………

ピッ

P「…………」

『…………はい』

P「! 未央か!」

『……何?」

P「気分はどうだ?」

『…………まぁまぁ」

P「そうか。ドーナツも買ってきたんだ。食べないか?」

『……いらない』

P「……そうか」

『…………』

P「…………」

『…………もう、切るよ」

P「ま、待ってくれ!」

『…………』

P「……この前のライブ、気にしてるのか?』

『………………』

P「確かに一般的なアイドルのライブとしてみるとお客さんは少なかったのかもしれない」

P「でもな、デビューライブとしては十分の出来だ! デビューイベントに誰もいないなんて芸能界では結構あることだし……」

『減ってた』

P「……え?」

『……ラブライカが終わった時と私たちが終わった時と比べて減ってた。お客さん』

P「…………」

『なんで? なんでみんな帰っていったの? 私のせいなんでしょ?』 

『私がリーダーだったから? 私の宣伝の仕方が下手だったから? 私のレッスンが足りてなかったから?』

P「それは違う!」

『…………』

P「みんなの注目をずっと集められる奴なんて中々いないさ、だから、未央のせいなんかじゃない」

『…………てよ』

P「?」

『やめてよ!』

P「……!」

『私のせいなんでしょ! 私が悪いんでしょ!!』

P「だからそれは……」

『……なんで、なんで怒らないの? 私が悪いんだよ!』

『私が失敗したせいでみんなのデビューにも影響する!』

『怒ってよ! 私が悪いの!』

『全部……私が……』

P「少し落ち着け。そうしたらすぐ……」

『……慰めなんて、いらないよ』

P「…………」

『……帰って』

P「未央……」

『帰って!」

P「……俺はお前のプロデューサーだ。未央が苦しんでいるならそれを助けるのも役目だ。だから」

『じゃあ、私、アイドル辞める』

P「……!」

『だから……もう、帰ってよ……』

プツッ

ツーツーツーツー……

P「…………」

一旦更新終わり
二日以内には7話終わらせます

P「連絡は以上、だ。連絡通り……」

莉嘉「ちょっと待ってよ。Pくん!」

みく「未央ちゃんのこと、ちゃんと説明して!」

P「……未央については、大丈夫、だ」

李衣菜「大丈夫? 何が大丈夫なの? もう1週間も連絡取れないんだよ?」

P「それは……」

P(……これ以上ごまかすのは無理、か)

P「未央は……アイドルを辞めると言った」

「「「!?」」」

蘭子「ひ、広げし翼を畳んでしまうというのか!?」

みりあ「えー!? 未央ちゃん、アイドル辞めちゃうの?」

P「まだ決まったわけじゃないが、少なくとも本人はそう言ってた」

みく「そんな……!」

李衣菜「な、何かの間違いでしょ? なんで……」

P「……そこで、ちょっとみんなに相談があるんだ。みんなの目に、未央はどう映っていた?」

アーニャ「……? すいません。少し、難しい、質問です」

P「…………レッスンしている時、宣材を撮ってる時、未央はどんな様子だった?」

かな子「……凄く、頑張ってました」

莉嘉「うん。未央ちゃん、私にもダンス教えてくれて……」

みりあ「一緒に遊んでくれたりして……」

智絵里「……とっても……楽しそうでした」

きらり「……はぴはぴ、してたにぃ」

P「あぁ、未央はアイドル活動を……みんなと過ごす時間をとても楽しんでいた。俺にもそう見えた」

P「未央は本気でアイドルを辞めると言ってるわけではないと思う。だから、俺がなんとかして説得する」

P「……今は、待っていてくれ」

凛「…………」

P「何か進展があったら随時伝える。それまでは各々するべきことをしてくれ」

「「「……はい」」」

*****************************

美波「じゃあ……いってきます」

P「あぁ、気をつけてな」

バタンッ

P「……ふぅ」

prrrrrrr…… prrrrrr……

P「はい、こちらシンデレラプロジェクト部です」

『本田様という方から、外線1番に電話です』

P「本田……? 繋げてください!」

『はい』

……………………

ピッ

P「お電話変わりました。私……」

『はじめまして。あなたが未央のプロデューサーの方ですか?』

P「は、はい、そうです」

「あぁ、やっぱり」

P「失礼ですが、未央さんとはどういった……」

『あぁ、すいません。未央の兄です』

P「お兄さん……」

『急に電話してしまってすいません。両親が急用で連絡を入れられなくなったので私が代わりに』

『どこに連絡すればよろしいかわからなくて美城プロ本社に直接連絡してしまいましたが……』

P「いえ、構いません。どういったご用件で……」

『……今日も未央はそちらに行くことはできなさそうです』

P「……そう、ですか。申し訳ありません。未央さんの件についてはまた改めてちゃんとしたお詫びを」

『そんなにかしこまらないでください。別にプロデューサーさんが悪い、というわけではないので』

P「しかし……」

『……なら、ちょっと話でも聞いてください。お時間、大丈夫ですか?』

P「はい、大丈夫です」

『ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて』

『未央は……妹は、昔っからなんでもできたんですよ。スポーツも勉強も、人付き合いも』

『最初のうちは俺も兄として威厳があるので、引け目を感じてたりしたんです。けど、いつからでしょうね……。急に心配になったんですよ』

P「心配に、ですか……?」

『えぇ、あいつ本当になんでもできるんです。身内をこういうのはちょっと変かもしれませんが、多分天才ってやつなんです』

『だから当然、周りからの期待も高まるんですよ。「特別」を求められちゃうんです』

『しかも「100段の跳び箱を飛べ」と言われたらバカ正直に跳ぼうとする妹のことです。いつか、周りからのプレッシャーに押しつぶされるんじゃないかってずっと不安だったんです』

P「…………」

『……未央がバックダンサーをやった時のライブ、俺も行きました』

『素晴らしいステージでした。でもきっと、あれがあいつの中のハードルになっちゃったんだと思います』

『バカですよね。誰もそこまでのレベルを期待してないのに、勝手に勘違いして、勝手に落ち込んで、周りにも迷惑かけて……。でも』

『未央は俺の妹なんです。世界でたった一人の、大切な……』

『だから、プロデューサーさん。妹を……未央を、助けてください。お願いします』

P「……はい」

『……ここまで気付いてたのに何もできなくて、挙句プロデューサーさんにこんなこと頼んじゃうなんて。ダメですね、俺』

P「いえ……立派だと、思います」

『……そういってもらえると助かります。では……』

P「あ、すいません。ひとつ、よろしいですか?」

『? はい』

P「この前のデビューライブ、見にいかれましたか?」

『えぇ、本人には「平日なんだし来なくていいよー」なんて言われましたが気になってしまって』

P「どう、でしたか?」

『……いいライブでした。技術的には決して完成度の高いものではありませんでしたが、一人一人頑張ってる姿がとても印象的で、アイドルに興味がない俺でも、つい応援したくなりました』

P「……貴重なご意見ありがとうございます」

『いえ、それでは失礼します』

P「本日はご連絡、ありがとうございました」

『こちらこそ、妹を宜しくお願いします。では』

ツーツーツーツー……

P「…………」

コンコンッ

凛「プロデューサー、ちょっと話が……」

P「すまん、凛。後にしてくれ。ちょっと出かけてくる!」

凛「……何処に?」

P「未央の家だ!」

*********************

未央「……」

チッ……チッ……チッ……チッ……

未央「…………」

チッ……チッ……

「未央、入るぞ」

未央「…………」

ガラッ

「プロデューサーさん、下に来てるぞ」

未央「……帰ってもらって、会いたくない」

「会ってこい」

未央「……やだ」

「会わなきゃわからんこともある。それに、アイドル辞めるんならきっちり話つけてこい」

未央「…………」

「……行って来い」

P「…………」チラッ

凛「……10分たったね」

P「……あぁ」

凛「……来なかったらどうするの?」

P「……来る。絶対に」

凛「…………」

P「…………」

ウィーン

凛「!」
P「!」

未央「…………」

P「未央! よかった……!」

凛「…………」

未央「……何か用?」

凛「……アイドル、辞めるの?」

未央「………………うん」

P「……本当にそれでいいのか?」

未央「……わかんない。」

凛「わかんないって……」

未央「わかんないよ!」

凛「!」

未央「この1週間、ずっと考えてた! 私だって、アイドルしてるのはすっごく楽しいし、みんなと一緒にステージに立つのも楽しい!」

未央「でも……私は、しまむーみたいに可愛くない!」

未央「しぶりんみたいにクールでカッコよくもない!」

未央「この前のライブだって、私じゃなくて他のメンバーだが立ってたら……お客さん、もっと来たかもしれない……!」

未央「私のせいで、いっぱい迷惑かけて……」

未央「そんな私に……みんなと一緒にステージに立つ資格なんて……ないんだよ……」

凛「…………」

未央「だから、私……」

凛「バカッ!!」

未央「……え?」

P「お、おい、凛……」

凛「未央、私がアイドルやっていけてる理由、知ってる?」

凛「私が美城に初めて来た時、私なんて愛想も無いのに、ちゃんとアイドルになってやっていけるのかって、まだ不安だった」

凛「そんな時に、初めて未央と会った」

凛「ちょっと強引で、図々しくて。けど、その強引さで私たちを引っ張ってくれた。頼もしかった」

凛「未央がいたから……この人がいるなら、アイドルやっていけそうって、思った」

凛「私、未央を凄く尊敬してる。私の一番の目標にしてる!」

凛「この前のライブだって、私は音を外したけど、未央は楽譜通りにちゃんと歌えてた」

凛「ダンスだって、レッスン通りのステップで完璧だった!」

凛「そんな未央が……私たちの足を引っ張ってるなんて、そんなわけ、ない、じゃない……」

未央「…………」

P「……未央、俺が二次選考でお前を選んだ理由、知ってるか?」

未央「…………」

P「オーディションで色んな子を見たんだ。みんな魅力的で、誰を選ぶかすごく迷った」

P「でも、その中でも『一番輝かせたい』って思えたのが未央だった」

P「オーディション会場で何してたか、自分で覚えてるか?」

P「普通『敵』って考える他の参加者に、未央は積極的に声をかけて、リラックスさせてた」

P「未央にとって、それは『普通』なのかもしれないけど、それってすごいことなんだ」

P「そんな未央を見て、俺はこの子をもっと輝かせたいって思った。この子となら、きっと素晴らしいステージが作れると思った」

P「未央が未央だったから、オーディションで選んだんだ」

P「だから、特別なにかしようなんて思わなくていい、未央は未央のままでいいんだ」

P「普通に暮らして、普通にレッスンして、普通にアイドルして、『特別』なんかにこだわらなくていい」

P「……帰ってこい。未央」

未央「…………」ポロッ

未央「あ、あれ……? おか、しい、な」グスッ

凛「…………」
P「…………」

未央「プロ、デュー、サ、ー……! しぶ、りん……っ!」ポロポロ

凛「…………」ギュッ

未央「ごめん……ごめん、ね……ッ!」

凛「……ほんと、バカなんだから」

*******************

未央「ほんっとうにごめんね! しぶりん!」

凛「だから、もういいって。5回目だよ、このやりとり」

未央「やっぱ他のみんなにもちゃんと謝らないとだめだよね~。まずはしまむーでしょ、それから……」

凛「聞いてないし……」

P「いつもの未央が戻ってきた、って感じでいいじゃないか」

凛「それはそうなんだけど……」

未央「……そういやプロデューサー。プロデューサーって天海春香ちゃんをプロデュースしてたんだよね?」

P「ん? あぁ、そうだぞ」

未央「…………春香ちゃんのデビューってどんな感じだったの?」

凛「……未央、まだ気にしてるの?」

未央「ち、違うよ! ちょっと気になっただけで……」

P「春香のデビューか……。そうだな……」

P「……酷いもんだったぞ」

凛・未央「え?」

P「春香のデビューシングル、何か知ってるか?」

未央「え~っと、『太陽のジェラシー』?」

P「そうだ。『太陽のジェラシー』……。春香のデビュー初仕事はそのシングルの手渡し会だった」

P「といっても会場なんて無くて、事務所の近くのCD店の目の前に無理いってスペース作ってもらって、事務所から持ってきたラジカセ使ってCD流して……」

P「そこまで多くもない人通りに頭下げて、それでもほとんど受け取ってもらえなかったな」

P「思えばこれが俺のプロデューサーとしての初仕事、だったかな……」

P「だから、未央たちはすごいんだぞ。デビューライブなのにあんなにお客さん集められて」

P「デビューを見届けてくれた人にはコアなファンになってくれる人が多いんだ。頑張ってる姿を見てるからな」

P「さっきの春香の話しでも、その時CDを買ってくれた人は、今でも春香の熱心なファンになってくれた人が多い」

P「だからこの前のデビューライブに来てくれたお客さんを忘れるな。その人たちは、一生みんなを応援してくれる」

凛「……うん」

未央「……わかった」

未央「よぉーっし! じゃあ、明日から気合い入れていくよ! 目指すはトップアイドル! ね? しぶりん!」

凛「え? わ、私も?」

未央「同じユニットなんだから当然でしょ! そ・れ・に、私となら、アイドルやってくれるんでしょ?」

凛「! は、恥ずかしいこと思い出させないでよ!」

未央「それと、私を『尊敬』してるんだっけ?」

凛「……未央、怒るよ」

未央「あとは……『目標』にもしてるんだったかな? かな?」

凛「…………」グリグリ

未央「い、いたたたた!! ご、ごめんってしぶりん! た、助けて! プロデューサー!」

P「……ふぅ。一件落着、かな?」

ーーーーー翌日

ガチャッ

P「おはよう……ってみんな早いな。どうしたんだ?」

莉嘉「『どうしたんだ?』じゃないよ! Pくん!」

かな子「未央ちゃん、やっぱり辞めちゃうんですか?」

P「え?」

卯月「実は、これが……」

ーーーーーーーーーーーーーーーー
Frm:未央ちゃん
件名:

私、普通に戻ります!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

みりあ「これって、よくテレビとかでみる『私、普通の女の子に戻ります!』ってやつでしょ?」

P「…………」

ガチャッ

凛「おはよう」
未央「オッハー!」

みく「あ、おはよう凛ちゃんと……未央ちゃん!?」

李衣菜「えぇ!! なんでいるの!?」

未央「……へ?」

杏「アイドル、辞めたんじゃないの?」

未央「? いや、別に?」

…………………

「「「「えぇー!?」」」

未央「いやー、おさがわせしちゃってごめんね。みんな」

卯月「…………」グスッ

未央「ちょ、ちょっと! なんでしまむーが泣いちゃうの!?」

卯月「だって、私、凄く悲しくって……未央ちゃんがアイドル辞めたらどうしようかって……」グスン

凛「あーあー、泣かしちゃった」

卯月「ほんとに、ほんとに良かったです~」ウワーン

未央「……えへへ。ごめんね、しまむー!」

更新終わり






7.65話「一方その頃……」




今回本編にほとんど関わりないんで読み飛ばしてもらっても大丈夫です

ーーーーー765プロ

律子「小鳥さん。これ、お願いします」

小鳥「はい。えーっと、印刷機は……」

春香「小鳥さん。あっちですよ」

小鳥「あぁ、そうだったわね。そろそろ新しい事務所にも慣れないとダメね」

真美「うんうん。ま、ピヨちゃんも寄る年には……」ピコピコ

響「あ、あー!! そういえば自分、今日貴音の番組の録画を忘れちゃったぞー!! マズイなー!!」

真美「うわっ、ひびきんうるさいYO。もっと静かにできないのー?」ピコピコーン

響「そっちの窮地を救ったのは誰だと思ってるんだ……!」ボソッ

小鳥「あぁ、それなら大丈夫よ、 響ちゃん。みんなの番組なら全部録画してるから」

春香「小鳥さんまだそれ続けてたんですか!? すごいですね」

小鳥「ふふっ、最近は時間帯が被ることも多いから奮発して全番組録画できるタイプを買っちゃったのよ」

律子「へぇー。結構な値段するんじゃないんですか? それ」

小鳥「えぇ、でも独身の女って結構お金が貯まっちゃうもんだから……」ズーン

律子「は、ははは……。でも、事務所もいきなり大きくなっちゃいましたよね。社長、こんなお金何処に貯めてたんだか」

小鳥「あ、律子さんもやっぱりわからないんですか? 実は私も出処がわからなくて……」

真美「きっとそれ『あやし→お金』ってやつだよ! 早速調査しなきゃ!」

律子「縁起でもないこと言わないでよ。まったくもう……」

響「それに、事務所だけじゃなくて……」チラッ

間島P「見ろ! これが肉体の美だ!」ビシィ

泰P「す、すごい……。見てるだけで跪いてしまいそうだ……!」

春香「プロデューサーさんまで増やしちゃいましたからね」

律子「そこの二人! サボってないで仕事してください!」

間島P「サボりなんて人聞きの悪い。これはリフレッシュだぞ? 律子」

泰P「そうそう、一日中机の上に座ってちゃ体の毒だ」

律子「……もう30分は経ってますよ。休憩」

響「……プロデューサー。元気かな」

泰P「俺は元気だぞ! 響!」

響「そっちの変態プロデューサーのことは言ってないよ」

春香「あぁ、そういえばこの前美城プロに行った時会ったよ」

美希「ハニーと!?」ガバッ

真美「ミキミキいたんだ……」

美希「ずっといたよ? でも寝てたの。アハッ☆」

響「それより春香。会ったって本当か? 元気そうだったか?」

春香「うん。あんまり変わりはなさそうだったよ」

真美「はぁ……。真美は兄ちゃんの人肌が恋しいよ」

間島P「真美……。俺の体なら、いつでも空いてるぞ!」

真美「……よーっし、じゃあ行くよ、マジ兄ちゃん! 真美パーンチ!」

間島P「HAHAHA! そんなパンチじゃビクともしないぞ!」

美希「ミキもハニーに会いたいの……」

律子「プロデューサー殿も仕事があるんだから、邪魔しないようにしなさいよ。美希」

美希「……はぁい」

律子「じゃあ、私竜宮を迎えに行ってきます」

小鳥「わかりました。気をつけてくださいね」

律子「はい、いってきます」

バタンッ

泰P「……律子もアイドル復帰すればいいのにな」

真美「お、兄(c)そこに気づくとは。中々Ω高いね」

泰P「『お目が』な。イントネーションでわかるぞ」

真島P「確かに律子のアイドルとしてのポテンシャルは相当高いな」

泰P「……真島さんならどうやってプロデュースします?」

真島P「そうだな……。まずは律子のイメージ通り……」

響「……割と真剣には考えてくれてはいるんだね」

小鳥「あの社長がピンっときた人材だから、能力はあるはずよ」

響「だといいんだけど……」

ガチャッ

金田P「ただいま戻りました」

あずさ「戻りました~」

亜美「たっだいまー! あ! 真美面白そうなことしてる! ずるーい、亜美も亜美もー!」

小鳥「あれ? 亜美ちゃんたち? 今、律子さんが竜宮を迎えに行ったんですけど……」

金田P「本当ですか? 連絡ミスかもしれないな……。申し訳ありません」

小鳥「いえ、じゃあ私が連絡しておきますね」

伊織「全くもう。肝心な時にそそっかしいんだから……」

ピピピッ

あずさ「あら?」

春香「あ、私です。すいません」

響「? 誰かと通話?」

春香「うん! 千早ちゃんと。今日しか時間あわなったから」

金田P「そういえば千早はこれで5回目の海外出張か……」

伊織「……もうアメリカに住んだ方がいいんじゃないかしら」

春香「ははは……」

ヴォン

美希「あ、繋がったの……って、え?」

駿河P『え?』

伊織「駿河? アンタ何してんの? それ千早のPCでしょ?」

駿河P『あ? あぁ、千早からPCが動かないと言われてちょっと見てたんだよ』

響「へぇ~、駿河さんって実は理系だったりするの?」

駿河P『いや、文系だ。でもこれくらい普通の人なら直せる』

金田P「何が原因だったんですか?」

駿河P『ただの充電切れだよ。一度電子機器についてちゃんと教えた方がいいな……』

あずさ「千早ちゃんらしいわね~」

美希「あずさもよくやりそうなの」

あずさ「あら~。どうしてわかったの? 美希ちゃん」

響「やってるんだ……」

伊織「それで、千早は?」

駿河P『あぁ、あいつなら今風呂に……』

春香「……え?」

響「す、駿河さん。その部屋ってまさか……」

駿河P「? 千早の部屋だけどどうかしたか?」

響「……へ、変態だ! 変態プロデューサーだ!」

駿河P『え? え?』

水島P「おい、お前千早に何かしたのか?」

春香「み、水島さん! いたんですか?」

水島P「さっき起きた。それよりどうなんだ、駿河」

駿河P『お、おいおい落ち着けって。第一俺はな、千早よりもあずささんや貴音のような……』

千早『あずささんと四条さんがどうかしましたか?』

駿河P『い”!?』

千早『まぁ、なんでもいいんですけど』

あずさ「あ、千早ちゃん。元気そうでよかったわ~」

響「大丈夫か? 何もされてないか?」

千早『? いえ、別に』

春香「まったく、千早ちゃんはもっと恥じらいを持つべきだよ」

千早『そ、そう? ごめんなさい……』

水島P「……人騒がせな奴め。美希、あと30分したら出るぞ」

美希「はーい。じゃ、ちょっと準備してくるの。じゃあね、千早さん」

千早『えぇ、頑張ってね。美希』

小鳥「あ、金田さん。律子さんと連絡取れました。律子さんはそのまま真ちゃんたちを迎えに行くそうです」

金田P「わかりました。ありがとうございます」

沢P「…………」

泰P「よ! なに悩んでんだ?」

沢P「……実は、これなんですけど」

泰P「……新ユニット企画、か。メンバーは?」

沢P「それが、この三人なんですけど……」

泰P「春香と響と雪歩、か……」

沢P「……やっぱりダメですよね」

泰P「あぁ、春香はまだしも響は俺がすでにユニット組ませてるし雪歩は湯目の奴がすでに貴音とユニット組ませてるからな」

沢P「やっぱそうですよね……」

泰P「まぁ恨むんなら4月じゃなくて中途半端な時期にやってきた自分を恨めよ。俺を恨むんじゃないぞ」

沢P「……そこまで人間小さくありませんよ」

ガチャッ

やよい「おはようございまーす!」

泰P「お、今日は元気だな。スーパーで特売でもしてたか?」

やよい「はわっ! なんでわかるんですかー? プロデューサーすごいです!」

泰P「なんとなくだよ。よし、全員揃ったし行くぞ。真美、響」

真美「えーっ、兄(c)焦りすぎっしょ→。現代人にはもっと予習が必要なんだよ!」

響「余裕、な。置いてくぞ~」

やよい「いってきまーっす!」

真美「うあうあー、待ってよひびきん、やよいっち!」

バタンッ

バタンッ

間島P「やよいはいつも元気だなぁ。で? どうする? 亜美」

亜美「う~ん。疲れちゃったしゲームしとく」

間島P「そうか。じゃ、俺もぼちぼち始めるか」

伊織「仕事?」

間島P「いや、筋トレだけど?」

伊織「…………」

間島P「なんだよその目は」

伊織「……何でもないわ」

雪歩「あ、あの、小鳥さん」

小鳥「あら、雪歩ちゃん。帰ってきてたのね。貴音ちゃんは?」

雪歩「四条さんなら屋上に行きましたぁ」

小鳥「そう、なら大丈夫ね」

雪歩「それと、これ湯目さんからのメールなんですけど小鳥さんに見せておいてくれって……」

小鳥「ちょっと貸してくれる? ……うん、わかったわ。ありがとね、雪歩ちゃん」

沢P「……そういや俺、湯目さんって人見たことないんですけど」

間島P「そうだな~。俺も最近見てないな」

雪歩「わ、私が初日にちょっと勘違いさせちゃったみたいで……。今は男の人も大丈夫なんですけど、気を使ってくれて……」

間島P「それでメールで連絡を取ってる、と。まったく、いい身分だねぇ。こっちは汗流して外で営業してるっていうのに」

律子「あなたはほとんど事務作業しかやってないじゃないですか。それに、今度のフェスのの仕事取ってきたのも湯目さんですよ」

間島P「おぉ、律子。おかえり!」

律子「あ、金田さん。ありがとうございました」

金田P「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした」

真「ねぇ律子、フェスって?」

律子「あ~、夏にあるんだけどね。まだ正式に決まったわけじゃないから、みんなには内緒にしといて」

真「うん、わかった。でも、期待してるよ!」

沢P「……夏といえば、会長のお孫さんが来られるんでしたっけ? 確か職場体験で」

小鳥「そうなんです! ちょっと聞いてくださいよ。沢さん!」

沢P「は、はい」

小鳥「最近社長と飲みに行ったら延々とこの子のことを話されるんですよ!」

沢P「は、はぁ。大変ですね」

小鳥「そりゃもう! この前なんて2時間も付き合わされたんですよ! 会長も会長です! 自分は社内にいないのにこういうことだけはちゃっかりしてるんですから!」

沢P「……ではその会長は今どちらに?」

小鳥「さぁ、多忙な方ですからね。国内のどこかに ……もしかしたら世界のどこかにいるかもしれません

沢P「……そうですか」

小鳥「でも、今の765プロがあるのは社長のおかげでもありますし、これくらいの我儘はと思ってはいるんですけど」

ガチャッ

社長「お? 事務所にこんなに人が揃っているなんて、珍しいじゃあないかぁ」

小鳥「あ、おはようございます。社長」

社長「うむ、おはよう、小鳥くん。……この人数がいるなら、今発表してもいいかな」

金田P「? どうかされたんですか?」

社長「実は、重大発表があるんだよ、キミィ」

千早『春香? 何かあったの?』

春香「うん。社長から何か発表があるみたいだよ」

千早『発表……? 春香、そっちの音量上げてくれない?』

駿河P『ちょっと貸せ、これはだな……』

千早『駿河さん。説明はいいので今は音をあげてください』

駿河P『……あ、そう』

亜美「じゅーだいはっぴょー? また引越しでもするの?」

伊織「さすがにこの事務所にそんなお金はもうないでしょ」

真「ねぇ律子、重大発表って……」

律子「いいえ、少なくともフェスの話ではないわ」

小鳥「社長、佑太郎くんの話なら今週4回目ですよ」

社長「む? 今週はまだ2回しか……ではなくてだなぁ。新プロジェクトについての発表だ」

間島P「新プロジェクトですか?」

沢P「…………!」

貴音「雪歩、どうされたのですか?」

雪歩「あ、なんだか大事な発表らしいので湯目さんにメールの準備を……」

貴音「そうですか。……申し訳ありません。私がそういうものには疎いせいで雪歩に負担をかけてしまって」

雪歩「いえ、私もこれくらいしか……」

あずさ「あら~、貴音ちゃん、いつからここに?」

貴音「……とっぷしーくれっと、です」

社長「おっほん!」

あずさ「あ、すいません、社長。続きをお願いします~」

社長「では……」

社長「……765プロシアタープロジェクト始動を、ここに宣言する!」

「「「……765プロシアター?」」」

更新終わり
一度はやってみたかったんです すいません
とりあえずモデルだけは書いておきます

金田P=超初期の漫画 名前は忘れました
湯目P=漫画「your message」のプロデューサー
泰P=初期ドラマCDで声優「泰 勇気」が声を当てていたプロデューサー 全員同一人物かは不明
駿河P=漫画「眠り姫」のプロデューサー
間島P=漫画「ぷちます!」のプロデューサー
沢P=漫画「The world is all one!!」のプロデューサー まだ心は961にある状態です
佑太郎P=漫画「アイドルマスター ブレイク!」のプロデューサー

とりあえず今回はミリオンも始動したことがわかってればいいです

一人忘れてた

水島P=漫画「relations」でのプロデューサー

真島さんは間島Pの誤字ですね 申し訳ありません
あと公式に呼び名が決定されているのは金田・駿河・佑太郎の三人だけです
湯目と沢は作品名を適当に文字って、あとは声優名でつけました

「う~~~~む」

P「どうですか?」

「歌唱力も新人にしてはあってビジュアル面も問題ないんだけどねぇ~」

蘭子「…………」

「いかんせんキャラが濃すぎるんだよ。確かにちょっとぶっ飛んだキャラ付けするのはいいんだけどねぇ……」

P「……そうですか。ありがとうございました」

「すまないね、じゃ」

P「はい」

P「……またか」ハァ

蘭子「…………」ズーン

P「あぁ! いやいや! 蘭子のせいじゃないさ。蘭子の事を十分に伝えきれなかった俺が悪かったし、それに……」

蘭子「……これが我の仮初めの姿。その意志に抗うというのなら、如何様にも従おう」

P「……え~っと」

蘭子「我らが聖地へ赴こうぞ。『瞳』を持つものよ」スタスタ

P「あ、あぁ……」

P「はい……はい…………はい。そうですか、ありがとうございました」

ガチャッ

P「ふぅ……」

未央「ただいまー!」

卯月「戻りましたー」

P「お帰り。……? 凛はどうしたんだ?」

未央「しぶりんはそのまま帰るんだってー」

P「そうか。次からそういう時はできるだけすぐ俺に連絡してくれ」

未央「はーい」

卯月「それで、プロデューサーさん。どうなんですか?」

P「? どうって、何がだ?」

未央「らんらんのことだよ! CDデビュー、そろそろなんでしょ?」

P「……あぁ、蘭子のことか」

卯月「今回もライブとかするんですか?」

P「いや、今回は映像メディアから攻めていこうと思っている」

P「アミューズメントミュージックへの出演はもう決まってるし、PVも作ろうと思ってる。そこから更に活動の幅を広げていけたら、といった感じかな」

未央「へぇー。PVか……」

prrrrrrr…… prrrrrrr……

P「はい、シンデレラプロジェクト部です。いつもお世話になっております。はい、今回は……」

卯月「……忙しいみたいですし、行きましょうか」ヒソヒソ

未央「うん。そうだね」ヒソヒソ

P「ありがとうございました!」

「すまないね~。こっちも何とかしてやりたいんだけど」

蘭子「…………」

P(またダメ、か……)

蘭子「……『瞳』を持つもの、そなたは忠実な僕。臆する必要はない」

蘭子「それに……」

蘭子「わ………した……わ……が……」

P「……?」

蘭子「わ、我が魂の赴くままに! ナーッハッハッハッハ!」スタスタ

P「…………」

未央「え? らんらんの言葉?」

P「あぁ、蘭子の言葉って独特だろ? だからそれを理解できればコミュニケーションがもっと取れるかなと思ってな。何かわからないか?」

莉嘉「う~ん。私も蘭子ちゃんと話すときはなんとな~くで喋ってるし、何言ってるのかわかんないときもあるし……」

未央「……あ! 一個だけならわかるよ!」

P「なんだ?」

未央「えーっとね……『闇に飲まれよ!』」ビシッ

莉嘉「あ! あたしもそれならわかる!」

P「どういう意味なんだ?」

未央・莉嘉「『お疲れ様です!』」

未央「だよね?」

莉嘉「うん!」

未央「あとは何があるかな~」

莉嘉「『煩わしい太陽ね……』とかもよく聞かない?」

未央「あ~……」

P「……どうやってわかったんだ? それ」

未央「え?」

P「さっきの言葉だよ。『闇に飲まれよ』だっけ?」

未央「あぁ、うん。……何でだったかな~。莉嘉ちゃんは? 覚えてる?」

莉嘉「う~ん。あたしもあんまり覚えてない」

未央「むむむ……」

P「まぁ何か思い出したら……」

未央「あー!!」ガバッ

P「うわっ! い、いきなりどうしたんだ」

未央「思い出したんだよ! プロデューサー!」

********************

みりあ『うん! それでね……』

未央『~♪ あ! らんらんとみりあちゃん、おつかれー! 今帰るとこ?』

蘭子『うむ』

みりあ『未央ちゃんは?』

未央『私はもうちょっとレッスンかな。あとちょっとで完成しそうだしさ』

みりあ『無理しちゃダメだよ?』

未央『えへへっ。ありがと、みりあちゃん』

蘭子『では我は古巣へと旅立つとしよう……。闇に飲まれよ!』

未央『……えーっと』

みりあ『お疲れ!』

未央『……! お疲れ!』

********************

未央「……と、いうわけでみりあちゃんから聞いたんだったよ。あー、スッキリしたー」

P「……じゃあみりあは誰から聞いたんだ?」

未央「……ん? それもそうだね」

莉嘉「ていうか未央ちゃんが来る前に普通に蘭子ちゃんと話してたってことは……」

未央「……まさか」

ガチャッ

きらり「あそこのお店は、ちょっとおっきめのサイズも扱ってるからきらりもよく行くにぃ☆」

みりあ「ほんと! じゃあ今度一緒に行こうよ!」

未央「莉嘉隊員! 確保!」

莉嘉「りょーかい!」

みりあ「え? 蘭子ちゃんが言ってること?」

莉嘉「うん!」

未央「どーなのどーなの?」

みりあ「うん。わかるよ」

莉嘉「やっぱり!」

未央「やったね。プロデューサー」

みりあ「?」

P「みりあ。本当に蘭子の言ってることがわかるのか?」

みりあ「うん」

P「……じゃあ、俺に蘭子の言葉を教えてくれないか? そうしたら俺ももっと蘭子と仲良くなれそうなんだ」

みりあ「蘭子ちゃんの言葉……?」

P「あぁ」

みりあ「……わかんない」

未央「……え?」

莉嘉「蘭子ちゃんの言ってることわかるんじゃないの?」

みりあ「言いたいことはわかるよ。でも、蘭子ちゃんの言ってることは難しくてよくわかんない」

P「じゃあどうやって蘭子が言いたい事を……」

みりあ「う~ん。蘭子ちゃんの喋ってることはよくわかんないんだけど、蘭子ちゃんが喋るとね、蘭子ちゃんが思ってることがみりあの頭の中にぶわーって広がるの!」

みりあ「みんなはわかんないの?」

未央「……ちょっと難しいかな」

莉嘉「うん」

みりあ「そっかー……。ごめんね、Pくん」

P「いや、大丈夫だよ。ありがとな、みりあ」

P「どうですか?」

「今までにいなかったタイプだからね。正直どう扱えばいいかわからないんだよ」

「何か前例があればいいんだけどね~」

P「……そうですか」

「また別の機会にってことで。じゃ」

P「……ありがとうございました」

蘭子「…………」

P「…………」

蘭子「……ぷ、ぷろでゅーさー!」

P「! どうした?」

蘭子「あの……その……」

P「…………」

蘭子「わ、我が術式は現世人には少々難解と思われる。だから……その……」

P「……大丈夫だ。蘭子」

P「初めて会った時に言っただろ。『俺はみんなのありのままの姿をプロデュースしたい』って」

P「だから無理なんてするな。蘭子は今のままでいいんだ」

蘭子「プロデューサー……」

P「よし、じゃあ次行くぞ。今度はげろげろキッチンの方を……」

「あら? プロデューサーちゃんじゃない!」

P「! お久しぶりです!」

「346プロに行ったって聞いたけど、元気そうでよかったわ~。響ちゃんも寂しがってるわよ」

P「おかげさまで。体だけは丈夫なので」

「しっかり休まなきゃダメよ? それで、後ろの子は今担当してる子?」

P「はい。……蘭子」チラッ

蘭子「わ、我が名は神崎蘭子! 闇の眷属たる者!」

「…………」

蘭子「…………」ゴクッ

「いいじゃない! 気に入っちゃったわ。私」

P「本当ですか! ありがとうございます!」

「久しぶりにビビッと来ちゃったわ~。突然なんだけど再来週のこの日、空いてるかしら?」

P「えぇ、まぁ……」

「それならゲストで出てくれないかしら。今から決めようと思ってたところなのよ」

P「もちろん大丈夫……だよな?」

蘭子「其方の願い、聞き受けた!」

「嬉しいわ~。じゃあちょっと進行表だけ渡すわね。ちょっと待ってて」

P「はい! ありがとうございます!」

蘭子「…………」ボーッ

P「やったな! 蘭子!」

蘭子「……!」パァァ

*******************

P「よし、ここが今日のロケ地だ」

蘭子「おぉ……!」

P「どうだ?」

蘭子「獅子の雄叫び……沼の支配者……生命の息吹を感じる!」

P「気に入ってくれたみたいで何よりだよ。ははは……」

「あのー、衣装チェックお願いしてもいいですか?」

P「今行きます。蘭子……」

蘭子「白と黒の境界を持つ者……地を這う毒牙……」キョロキョロ

P「……撮影の時に回れるさ。行くぞ」

蘭子「う、うむ!」

「……では、そのように伝えておきます」

P「はい、お願いします」

P「……それにしても」

P(蘭子、想像以上にはしゃいでたな。もしかして動物園に来たことがないのか? ……後でちょっと聞いてみるか)

ポンポンっ

P「?」クルッ

ぷにっ

「あ! ひっかかった!」

P「……何だ響か」

響「むー。何だって酷くない? 久しぶりに会うんだよ? もっとこう、なんかないの?」

P「いやだって……この番組、響の番組だろ? 別にいてもおかしくないさ」

響「それもそうだけど……」

P「けど元気そうで安心したよ。調子はどうだ?」

響「絶好調さー! 最近は溢れ出る自分の才能が怖いぞ! ま、自分カンペキだからな! ね、ハム蔵」

ハム蔵「ヂュ」

P「……そうか」

響「あ、今ちょっとバカにしたでしょ?」

P「してないよ」

響「ほんとにー?」

P「それで、準備はもう大丈夫なのか?」

響「うん。さっきスタイリストさんに最終チェックしてもらったところ。そっちは?」

P「多分そろそろだと思うけど……」

「オッケーよ、蘭子ちゃん、とってもかわいいわ~」

蘭子「我が友よ、感謝する!」

P「終わったみたいだな」

蘭子「しばし遅れをとった」

響「君が神崎蘭子?」

蘭子「左様。我が名は神崎蘭子。闇より舞い降りし翼……」

響「よろしくな、蘭子! 自分、我那覇響だぞ! いきなりだけど、蘭子は好きな動物とかいるか?」

蘭子「む……」

響「なんでもいいぞ! コウモリか? ワニか? それともライオンか?」

蘭子「命に優劣はなく、我はどれも等しく同胞とするが……。貴殿の願いを叶えるとすれば……」

蘭子「…………白き下僕」

響「……ふーん。フクロウが好きなのか!」

P「……!」

響「じゃあ、知ってるか? フクロウって……」

「そろそろ入ってくださーい!」

響「あ、はーい! ごめん、後でね」

蘭子「承知した!」

「一旦休憩入りまーす」

響「お疲れ様でーす!」

P「お疲れ、響。はいこれ」スッ

響「ありがと。蘭子は?」

P「休憩時間に園内を回るみたいだ。ディレクターさんがついてくれているから、大丈夫だよ」

響「そっか。なら安心だね」

P「なぁ、響。お前蘭子の言ってることがわかるのか?」

響「んー。ま、何となくねー。プロデューサーはわかんないの?」

P「あぁ……。だから、どうやってるのか教えてもらいたいんだが……」

響「……プロデューサー。自分が何でハム蔵とかイヌ美の気持ちが理解できてるかわかるか?」

P「それは……。響がイヌ語とかネコ語とかを理解してるからじゃないのか?」

響「そんなわけないでしょ」

P「うぐっ!」

響「自分も完璧に理解してるわけじゃないさー。でも、みんなの様子を見れば大体は理解できるんだぞ」

響「目とか、耳とか、鳴き声のトーンとか。そういうのを意識すれば言いたいことは大体わかるんだ。蘭子は人だからもっとわかりやすいぞ」

P「……そういうものなのか」

響「……みんな、難しく考えすぎなんだよ」

響「言葉なんてコミュニケーションの一部なだけだぞ。そんなのなくてもなんくるないさー!」

P「…………」

響「これが自分なりのやり方。どう?」

P「ちょっと難しいかな……」

響「そっか……」

ランコチャン ツギハコッチヨ オォ!

響「……いい子だぞ。すっごく」

P「知ってるよ、それくらい」

「撮影、終了でーす! お疲れ様でした!」

響「お疲れ!」

蘭子「闇に飲まれよ!」

P「お疲れ、蘭子。今日は疲れたろ。早く帰ってゆっくり休むぞ」」

蘭子「……我が同胞よ!」

P「?」クルッ

蘭子「其方に天からの言の葉が舞い降りんことを!(ありがとうございました!)」ニコッ

P「……どういたしまして」

更新終わり

パンツ パンッ

瑞樹「みなさーん! こんにちはー!」

愛梨「今週も始まりました! 『筋肉でドンッ!マッスルキングダム!』。司会は十勝愛梨と~」

瑞樹「川島瑞樹です。さて今回は……」


みく「始まったにゃ!」

李衣菜「……みくちゃん。一個だけ聞いていい?」

みく「ん? 何? 今から智恵理ちゃんたちが出てくるんだから手短にね」

李衣菜「みくちゃん今日は客席にいるんだよね? 完全にプレイベートだよね?」

みく「? 当たり前にゃ」

李衣菜「じゃあ何で猫ミミ持ってるわけ?」

みく「……ふっふっふー。李衣菜ちゃんはまだまだ甘いにゃ」

李衣菜「どういうこと?」

みく「答えはあそこにゃ!」ビシッ

李衣菜「?」クルッ

デン!

デンッ!!

デンッッ!!!

カメラ「」グイー

みく「にゃん♪」

李衣菜「あぁ……」

愛梨「マッスル~!」

「「「キングダーム!!」」」

みく「こういうバラエティー番組には大体客席にカメラのパンが入るにゃ。こういう映像がみくが有名になった時に『お宝映像』として紹介されることもあるから、気を抜けないにゃ」

李衣菜「だから猫語も崩してないわけね」

みく「そういうこと」

李衣菜「…………」ジトー

みく「なに?」

李衣菜「いや、なんでも……」

瑞樹「それでは登場してもらいましょう。今回だけの特設ユニットです。どうぞ!」

ジャッ

幸子「輿水幸子です!」

茜「野々原茜ちゃんだよ~!」

真「菊地真です!」

キャー! マコリーン! ノノハラァ! カワイイヨー!

愛梨「凄い人気ですね~。それではさっそくチーム名をどうぞ!」

真「はい! 二人とも、せーっの……」

「「「『かわいいボク達!』ですっ!」」」

………………

愛梨「いらっしゃ~い」

瑞樹「……チーム名の由来を聞いてもいいかしら?」

幸子「やだな~、川島さん。わかってるくせに~」

茜「このラブリーキュートな茜ちゃんを見れば、すぐにわかると思うよ!」

瑞樹「……真ちゃん。お願い」

真「え? は、はい! ボクは……まだまだなんですけど、この二人は本当にカワイイんです!」

茜「またまた~。まこりんもカワイイよ!」

幸子「ま、ボクの次くらいにはかわいいんじゃないんですか」

真「ほ、本当に?」

幸子「真さんはもっと自分に自信を持てばいいんですよ。ボクみたいにね」

真「いや、でも……」

ワイヤワイヤ キャッキャッ

瑞樹「……はい、わかりました。では対するチームはこちら!」

幸子「ちょっと! ボクの可愛さがまだ伝わってませんよ!」

ジャッ

かな子「三村かな子です!」

智絵里「お、緒方智絵里……です!」

杏「双葉杏です!」

愛梨「初々しさが伝わってきます。これはボク達チーム優勢か~?」

茜「かわいいが抜けてるよ!」

瑞樹「それではチーム名をどうぞ!」

智絵里「は、はい!」

かな子「Candy island です!」
智絵里「キャ、Candy island……」
杏「Candy~ island~」


みく「んにゃ~。みんな緊張しちゃってるにゃ」

李衣菜「杏ちゃんはいつも通りそうだけどね」


幸子「ふんっ。キャンディーみたいに甘い覚悟だと、かわいいボク達に負けちゃいますよ」

愛梨「お~っと、そういうことはマイクパフォーマンスでどうぞ」

幸子「ふむ……。じゃあ茜ちゃん、行ってきてください」

茜「え? 茜ちゃんがやっていいの?」

幸子「こういうのは後輩の務めです。かわいいボク達の魅力が十二分に伝わるようにしてくださいね」

真「頑張って、茜!」

茜「うん。任せて!」

パシッ

茜「ふふふっ、茜ちゃんの溢れ出る才能がついに世にでちゃうわけだね」

茜「……キャンディーアイランド諸君!」

智絵里「は、はい!」

茜「油断してると、かわいいかわいい茜ちゃんが上陸してお菓子を全部食べちゃうぞ♪ 気を付けてね!」

かな子「お、お菓子は渡さないよ!」グイッ

智絵里「か、かな子ちゃん……」

かな子「……! そうだよね、みんなで仲良く分けないとダメだよね。ごめんなさい」

杏「……そういうことじゃないと思うよ」

アハハハハ オモシロイナ~アノコ チョーウケルー

かな子「は、恥ずかしい……」

茜「……あれ? もしかして茜ちゃん、テレビ的に負けてる?」

愛梨「キャンディーアイランドに10ポイント~」



みく「これはバラエティー的にも美味しいにゃ! さすがかな子ちゃん!」

李衣菜「……いや、天然だと思うよあれ」


茜「はぁ~。ごめんごめん。ここは茜ちゃんの可愛さに免じて許して♪」

真「大丈夫。茜の魅力はちゃんと伝わってたし、十分だよ」

幸子「ま、後輩のフォローも先輩の仕事ですからね」

瑞樹「では、続いては……」

P(杏はともかくやっぱり緊張してるな。次の休憩に入ったら……)

「あの、すいません」

P「はい。どうかされましたか?」

「いえ、ただ一つ聞きたいことがあって」

P「なんですか?」

「……私、こういうものです」スッ

P「? ……! あなたが765プロの……」

「はい、現在プロデュース業をしています。その反応、やはりあなたが前任の方でしたか」

P「えぇ。しかし驚きました。新任のプロデューサーがいるというのは律子から聞いてましたが……」

「そうなんですか。ではシアター計画のことも?」

P「はい。なんでも社長が40人程新人アイドルをスカウトしてきたとか」

「大変だったんですよ。計画を発表したと思ったらその翌日に連れてくるんですから。あの時はさすがに焦りました」

P「ははっ、社長らしい」

イキマスヨー アカネチャンノカワイイオクチヲネラッテネ♪

P「しかし、輿水幸子とユニットだなんて凄いですね。真はまだしもあの子はまだ新人ですよね?」

「あなたのおかげです。あなたが美城に行ってくれたおかげであちらも多少の融通は利いてくれるんですよ」

「この前春香がマジックアワーに出てましたよね? あれもあなたが美城にいることを理由にこっちがかなり無理言って押し通したんですよ」

P「……そうだったんですか」

「だから別にあなたの力が必要ないっていうわけじゃないんですよ」

P「ど、どうしてそんなことを?」

「よく話してるのを聞くんですよ。『プロデューサーさんは自己評価が低い~』とか」

P「はは、情けないですね」

「いえ、俺からしてみれば羨ましいですよ」

P「そうですか?」

「えぇ。……俺ね、未だに『プロデューサー』ってあの13人からは呼ばれたことないんですよ」

P「……?」

「あいつらにとってプロデューサーって言ったら、あなたのことなんです」

「もちろん悪気があるとは思いません。みんないい子ですしね。きっと無意識でやってることなんだと思います」

「それだから……無意識だからこそ悔しいんです。あなたとあの13人の間にはそれほどの信頼関係がある。誰も間に割り込めないほどのね」

P「…………」

「それがどうしようもなく悔しくってね。我ながら女々しいとは思ってます。でも悔しいんですよ」

「……だから、俺はこれからあいつらとの思い出を作ります。あなたが帰ってくる前に、あなた以上のね」

「知ってます? 亜美と真美は最近一緒の仕事が増えました。千早は前と比べて歌の仕事の量が倍になりました。みんなにはやりたいことを自由にやってもらっています」

「……あなたがしたかったことを今俺はやっています。あなたが帰ってくるまでに全部やってみせますよ」

P「そうですか……」

「…………」

P「……頑張ってください」

「…………『頑張ってください』ですか。ふふっ」

P「?」

「やっぱりあの13人にはあなたが必要だ。敵いません」

「早く帰ってきてくださいね。みんな待ってますから」

P「……? はい、わかりました」

瑞樹「対する『かわいいボクたちチーム』は菊地真ちゃんです。どうぞ!」

シャッ

真「キャッピピピピピ~ン!! まっこまっこり~ん!」

「「「……………」」」

茜「…………」

幸子「…………」

真「な、なんだよ! 二人まで!!」

茜「まこりん……それはないよ……」

幸子「さすがにちょっと……」

真「酷いや! チームメイトなのにぃ!」

P「…………」

「……あれは自由にやらせすぎましたね」

瑞樹「いよいよ次でラストの対決よ!」

愛梨「筋肉と頭脳の融合! 滑り台クイズー!」

ワー パチパチパチパチ

瑞樹「このゲームの結果によっては大逆転もありえます。頑張ってくださいね」

愛梨「それでは第1問の選択を、幸子ちゃんお願いします」

幸子「そうですね……。芸能の10で!」

『今年全国制覇をし、次週この番組のゲストに出演する予定の人気男性』

幸子「ジュピター!」

かな子「じゅ、ジュピター!」

愛梨「ボク達チームに10ポイント!」

瑞樹「惜しかったわね、かな子ちゃん。角度、上昇です」

ウィーン ガシャンッ

智絵里「ひぅ……」

愛梨「まだ落ちないでねー」

瑞樹「それではボク達チーム、次の問題は?」

真「はい! スポーツの20!」

『日本公式野球でのピッチャーからホームベースまでの距離はいくら?』

真「18.44m!」

瑞樹「正解! さすがは真ちゃんね」

愛梨「角度上昇でーす!」

ウィーン ガシャ

杏「おっと」ガシッ

愛梨「まだまだこれからですよー?」

瑞樹「ボク達チーム、もう一回」

茜「茜ちゃんが決めちゃうよー♪ 歴史の10!」

『世界三大美女、クレオパトラ・楊貴』

茜「はい!」

瑞樹「茜ちゃん、どうぞ!」

愛梨「ここで決めてしまうのかー?」

幸子「パパパッと決めちゃってください」

茜「ふふふ、世界三大美女! あと一人は……」

茜「茜ちゃん!」

ブブーッ

真「ちょ、ちょっと茜!」

幸子「そうですよ! そこはボクの名前を出すべきでしょ!」

ブブーッ!

とかちはアイマスの伝統だからね、ちかたないね
十時ですね

幸子「……ゔぇ?」

瑞樹「ボク達チーム。二段階上昇です」

幸子「ちょ、ちょっと川島さん!」

ウィーン ガシャンッ

茜「わっ!」ズルッ

幸子「あ、茜ちゃ……!」ズルッ

真「くっ……」ガシッ

ボスンッ

茜「うわー、茜ちゃんのかわいいお顔が真っ白けっけだよ……。まぁ、これもこれでアリかも?」

愛梨「おーっと、さすがに二段階急上昇はキツかったかな~? ボク達チームの茜ちゃん、ここで脱落でーす!」

瑞樹「キャンディーチーム、チャンスです!」

杏「……これはちょっと本気出さないとマズイかも」

智絵里「え?」

瑞樹「さて、キャンディーチーム。次の問題は?」

杏「科学の30!」

瑞樹「さ、30!?」

愛梨「勝負に出ましたねぇ」

『スカイツリーのてっぺんからりんごを落とすと、落下直前の速度はいくらになりますか?』

杏「ふむ……。秒速11.474m!」

ザワ…… ホントニ? サァ? ザワ……

瑞樹「え、え~っと、時速だと?」

杏「401.306km!」

瑞樹「せ、正解!」

愛梨「すごぉい!」

真「い、いまの……」

幸子「計算したの!?」

愛梨「角度、上昇でーす!」

ウィーン ガシャ

真「!」ガシッ

幸子「う、うわぁ!」ガシッ

愛梨「おーっと幸子ちゃん、滑り台の淵にしがみついて持ちこたえたー!」

幸子「は、早く次の問題ぃ!」

杏「アニメの30!」

瑞樹「またしても30の問題! キャンディーチーム攻めます!」

『「幽体離脱! フルボッコちゃん」の主人公、フルごっこちゃんが生まれ』

杏「冥王星6丁目6番地6号!」

瑞樹「せ、正解です!」

愛梨「まだまだ上がるよぉ」

ウィーン ガシャンッ

幸子「わぁ!」ズルッ

ボスンッ

愛梨「あーっと、ここで幸子ちゃんあえなく脱落ぅ!」

瑞樹「真ちゃん、必死に耐えています!」

真「まだ……まだぁ!」プルプル

キャー! カッコイイー!

杏「芸能の30!」

『先週のゲストである新幹少女、そのメンバーののぞみの好きなアイスの味は?』

杏「…………。抹茶!」

瑞樹「正解!」

ウィーン ガシャ

真「くぁ!」

愛梨「真さん、ギリギリ耐えたぁ!」

瑞樹「えー、安全面を考えキャンディーアイランドチームが次の問題を答えた時点でこの競技は終了することになります」

杏「スペシャルの30!」

愛梨「容赦ないですねぇ」

『江戸時代オランダ貿易で持ち込まれた外来種です。花言葉に幸運、約束などがある花は?』

杏「……ごめん。わかんない!」

かな子「え、えー!?」

瑞樹「真ちゃん、チャンスよ!」

真「は、はい……と言われても……」

茜「大丈夫! まこりんならできるよ!」

智絵里「あ、あの!」

愛梨「?」

智絵里「し、シロツメクサです。問題の答え……」

瑞樹「……正解です!」

愛梨「と、いうわけで、ここでゲームは狩猟でーす」

真「くぅ……」

瑞樹「ボク達チーム、残念でしたね」

P「…………」

「すごいですね。こちらの完敗です」

P「…………」

「? どうかしましたか?」

P「いえ、ちょっと……」

*****************

愛梨「それでは、結果発表です!」

愛梨「栄光のアピールタイムを手にするのはー?」

デンッ!

CI 250:200 ボク達


みく「やったにゃ!」

李衣菜「おぉ!」


愛梨「と、いうわけで勝者『Candy island』チーム!」

パチパチパチパチ

かな子「か、勝った……」

瑞樹「アピールタイムゲットですね。おめでとうございます! 負けたチームにはこちら!」

『バンジージャンプ』

幸子「うっ……」

真「え? バンジージャンプできるんですか! ボク一度やってみたかったんですよ。やりぃ!」

茜「まこりん……その反応は違うと思うよ」

愛梨「それではアピールタイム、どうぞぉ!」

かな子「番組をご覧の皆さーん」

かな子・杏・智絵里「Candy islandです!」

かな子「今流れてる曲は、先日発売した私たちのデビューシングル『Happy ×2 Days』です!」

智絵里「えっと、なんでハッピーが二回かというと、ハッピーは多い方がいいからです」


李衣菜「ん? それならHappy ×100とかの方がいいんじゃ……」

みく「……李衣菜ちゃん、それ全然ロックじゃないにゃ」

李衣菜「ぐっ」

「お疲れ様でしたー!」

かな子「ありがとうございました!」
智絵里「お、お疲れ様です!」
杏「お疲れー」フリフリ

かな子「……はぁ~。緊張した~」

智絵里「え? かな子ちゃん全然緊張してるようには見えなかったけど……」

かな子「そ、そう?」

杏「うんうん。そのおかげで杏も楽できたし。じゃ、杏ちょっと飲み物買ってくるね」

智絵里「あ、いってらっしゃい……」

かな子「いってらっしゃい。智絵里ちゃんも今日はとっても頑張ってたと思うよ」

智絵里「そ、そうかな。私なんて……」

杏「…………」トコトコ

杏「…………」ジャラジャラ

杏「…………」チャリンチャリン

杏「……む」ノビー

杏「……」ピョンピョン

ピッ

ガコンッ

P「はい、これだろ? 欲しかった飲み物」スッ

杏「……ん」パシッ

P「……なぁ杏。ちょっと聞いていいか?」

杏「……何?」

P「芸能の20だ。CD売り上げの歌手に入る印税って何%か知ってるか?」

杏「……ジュース。もう一本。同じやつ。これで」スッ

P「答えは1%。シングルCDだと一枚12円にも満たない計算だ」チャリンチャリン

P「例えハーフミリオンを記録したとしても印税総額は600万。まぁそれ相応には入るが一生遊んで暮らしていけるほどではない」ピッ

P「ましてやハーフミリオンなんてそうそう出せるもんじゃない。10万売れたら万々歳だ」ガコンッ

杏「…………」

P「……今日のクイズを見る限り、杏の知識量は並大抵のものじゃないと思った」

P「知ってたんじゃないか? 印税のこと」スッ

杏「…………」クルッ

P「お、おい、杏? ジュース……」

杏「……そのジュース、智絵里ちゃんとかな子ちゃんにあげといて。あんまり好きじゃないんだよねー。じゃ、先、行っとくね」スタスタ

P「あ、あぁ……」

P「……何が『あんまり好きじゃない』だ。どこにでもあるスポーツ飲料じゃないか」フフッ

智絵里「あ、あの、プロデューサーさん……」

P「お、智絵里、かな子お疲れ」

かな子「お疲れ様です。それより今の話って……」

P「聞いてたのか……。いや、俺の勝手な想像だよ。今頃印税のこと知って、案外焦ってるかもしれないぞ?」

かな子「そうですか……」

智絵里「……でも、もしさっきの話が本当だったら、杏ちゃんは、なんで、アイドルに……」

P「さぁな、本人にしかわからんさ。さ、行くぞ」

かな子「……プロデューサーさん!」

P「? なんだ?」

かな子「……私、足手まといになってませんか?」

P「え?」

智絵里「わ、私も……。今日も、杏ちゃんに、助けられっぱなしで……」

P「何言ってるんだよ、二人とも。そんなことないさ」

かな子「でも、杏ちゃんに迷惑かけてるんじゃないかなって思って」

P「そんなわけないだろ。めんどくさいと思ってたら、杏は今頃、アイドル辞めてるはずだ」

かな子「で、でも……」

P「……はいこれ。杏からの差し入れだ」スッ

智絵里「あ……」

P「杏も、二人のことは大切にしてると思うぞ」

P「その証拠にほら、さっき杏から手渡された小銭だ」

智絵里「……これって」

P「あと180円余ってるだろ? 俺がもらった時には340円だった。どういうことかわかるか?」

かな子「…………3人分?」

智絵里「! そっか……」

P「ちゃんと二人の分まで考えてたんだよ。杏が何も言われてないのに誰かのために何かするなんて、普通考えられないだろ?」

P「それだけ二人のことを大切に思ってるって証拠さ」

かな子「杏ちゃん……」

P「さ、帰るぞ。杏も待ってる」

かな子「はい!」
智絵里「……はい!」

更新終わり

Nomake+のせいで更新が一時中断しました すまんね

ミリオンのうざかわ枠とデレラのうざかわ枠をからませたいがために茜を出しました 真はおまけです
野球とどすえファンの人には申し訳ないと思ってます

Nomake+のせいで更新が一時中断しました すまんね

ミリオンのうざかわ枠とデレラのうざかわ枠をからませたいがために茜を出しました 真はおまけです
野球とどすえファンの人には申し訳ないと思ってます

Nomake+のせいで更新が一時中断しました すまんね

ミリオンのうざかわ枠とデレラのうざかわ枠をからませたいがために茜を出しました 真はおまけです
野球とどすえファンの人には申し訳ないと思ってます

『以上、凸レーションの3人でした!』

みりあ「まったねー!!」

莉嘉「凸レーションと、キラキラポップを、これからもよろしくだよー!」

きらり「バイバーイ!」

P(よし、特に大きな問題もなく終わったな。みんなステージになれてきているいい傾向だ!)

みりあ「Pくん、Pくん! どうだった? 今のステージ!」タッタッタッ

P「ん? あぁ、よかったぞ」

莉嘉「それだけ~? なんか素っ気なくな~い?」

P「いや、え~っと……」

きらり「お客さんみ~んな、楽しんでたと思うよぉ」

「うんうん。よかったんじゃないの? でも莉嘉はプロデューサーのこと見すぎ、もっとお客さんに集中して」

みりあ「この声って……」

莉嘉「お姉ちゃん!」

美嘉「やっほー!」

P「美嘉か? きてたのか……。言ってくれればよかったのに」

美嘉「別に、いつ来れるかもわからなかったし。あ、きらりちゃんはいいキャラしてるんだから、もっとバンバン出してこ」

きらり「バンバン? むむむ……」

みりあ「美嘉ちゃん! 私は?」

美嘉「みりあちゃんは優等生すぎかな~? 遠慮しなくていいと思うよ」

莉嘉「むー、甘い~!」

美嘉「それと、ステージももっと広く使って……」

*************************

P「……はい、はい。では、お願いします。……はい、ありがとうございます! 失礼します」ピッ

美嘉「やっほ。今、時間ある?」

P「? あぁ、いいぞ」

美嘉「……どう? あの3人」

P「いいユニットだよ。見た目は凸凹だけどみんなで足並み揃えて頑張れるユニットだと思ってる」

美嘉「そう……。前にも言ったけど、ちゃんとプロデュースしなさいよね。莉嘉だけじゃなくて他のみんなも。じゃないと承知しないわよ」

P「わかってるよ。全く、美嘉は心配性だな」

美嘉「じゃ、私はこれで……」

P「もう帰るのか?」

美嘉「うん。まだ仕事あるから」

P「そうか、頑張れよ」

ーーーーー車内

みりあ「ねぇPくん。これからどうするの?」

P「そうだな……。次のステージまでは時間があるし、一度事務所に戻って……」

莉嘉「ねぇねぇ! 時間あるんなら、私、行きたいとこあるんだけど!」

P「何処だ?」

莉嘉「原宿!」

きらり「うきゃー! きらりも行きたーい!」

みりあ「みりあもー!」

P「……お前たち、頼むから自分たちがアイドルということを自覚してくれ」

みりあ「ダメなの? Pくん」

P「……ハァ。あまりはしゃぎすぎないようにな」

莉嘉・きらり・みりあ「やったー!!!」

ーーーーー原宿

莉嘉「わぁ……!」

みりあ「人がいっぱいだね!」

きらり「莉嘉ちゃんたちは、あんまり来ないの?」

莉嘉「うん。私池袋派だから!」

みりあ「ねぇねぇ、写真撮ろうよ!」

莉嘉「さんせーい! Pくん撮ってー!」

P「お前らもっと静かに……」

莉嘉「はやくはやくー!」

P「ハァ……。? どうかしたのか? みりあ?」

みりあ「うん……ちょっと……携帯、さっきのとこに忘れちゃったかも」ガサゴソ

P「わかった。連絡して次の現場まで持ってきてもらおう」

みりあ「ありがと!」

莉嘉「じゃあ私が後で送るね。はい、Pくん」

P「よし、じゃあ撮るぞ~。はい、ポーズ」カシャッ

莉嘉「ありがと! きらりちゃんは?」

きらり「ん~。ちょっと充電ヤバめだから、今はいいかな~」

莉嘉「うん。きらりちゃんにも後で送るね!」

みりあ「ねぇねぇ、どこから回る?」

莉嘉「きらりちゃん。どこがオススメ?」

きらり「う~ん。じゃあ最初は……」

P「……苦労しそうだ」


莉嘉「あー! Pくん、これも撮って!」

パシャッ

みりあ「これもこれもー!」

パシャッ

きらり「うきゃー! これこれー!!」

パシャッ

みりあ「Pくーん! 次はこっちー!」

P「ちょ、ちょっとは休ませてくれ……」ハァハァ

莉嘉「えー、Pくんバテるの早すぎー」

P「十代の体力と比べないでくれ……」

きらり「じゃあ、クレープでも食べて休も。きらりもちょっと疲れちゃった」

P「……すまないな。みんな」

みりあ「あ~ん」モグッ

莉嘉「うん。おいしい!」

きらり「きらりのオススメは、このチョコバナナだにぃ☆」

みりあ「へぇ~。食べさせてー!」

きらり「はい!」スッ

莉嘉「Pくんにも上げる! はい!」スッ

P「いや、俺は……」ポンポン

P「ん?」クルッ

「ハニイイイィィィィィィィィィイイ!!!! 会いたかったのおおおおおおお!!!」ガシィッ

P「こ、この声は……」

美希「元気だった? 寂しくなかった?」

P「み、美希ィ!? と、とりあえず離れてくれ!」

美希「もう、ハニーってば恥ずかしがり屋さんなんだからぁ! ね、写真撮ろ? ハニーがボタン押してね」ポイッ

P「お、おい、危ないだろ」パシッ

みりあ・きらり・莉嘉「…………」ポカーン

P「そんなことより、お前は何してるんだ? 美希」

美希「?」

P「今日はオフなのか? お前のことだから、レッスンサボって遊んでるんじゃないんだろうな?」

美希「ギクっ!」

P「……図星みたいだな」

美希「さ、サボりではないよ。トレーナーさんが休みだったから、何もなかっただけなの」

P「そのことを律子とか他のプロデューサーには?」

美希「……言ってないの」

P「お前なぁ……」

美希「もう、久しぶりに会ったのにお説教はや、なの!」

美希「それより、そっちの子たちは?」

P「今俺がプロデュースしてる子ったちだよ」

美希「ふーん」

ザワ… アレホシイミキジャネ? ホントニー?

P「……おい美希。ちょっとマズいんじゃないか?」

美希「大丈夫なの。こういうときは、どーどーとしてれば案外バレないって誠クンが言ってたの」

P「しかしなぁ……」

莉嘉「うわー! 本物の星井美希ちゃんだよ!」

みりあ「やっぱりカワイイね!」

きらり「とーっても、キラキラしてるにぃ☆」

「ねぇねぇ、お姉ちゃん」グイグイ

美希「ん? 何?」

「お姉ちゃんって、ほしいみきちゃん?」

P(……頼むぞ、美希)

美希「うん。そうだよ」

P(美希ィィィィィィィ!!)

「ほんと! じゃあサインちょーだい!」

美希「わかったの!」

ホンモノ? オレモサインホシー イコウゼイコウゼ

P「あ、ちょ、ちょっと、押さないでくださーい!」

ワイワイ ガヤガヤ

美希「あはっ☆ バレちゃったの☆」

「美希ちゃーん! 俺にもサインちょうだーい!」
「俺にもー!」

美希「ちょっと待ってね。……!」

悪徳「…………」ギラッ

美希「ねぇ」ボソッ

莉嘉「何?」

美希「あそこの電柱にいるカメラ持ったわるそーな人、見える?」

みりあ「うん」

美希「そいつから逃げるの。美希が合図したら全力で走るの。わかった?」

莉嘉「うん。わかった!」

美希「みんなー、さすがにミキもこの量は疲れちゃうから、サインは一番乗りのこの女の子へのサービスにするの!」

エー マァシカタナイカ オレモホシカッタヨー

美希「…………」チラッ

きらり「…………」コクッ

美希「というわけでミキはさよならするの。じゃあねー」タッ

みりあ「バイバーイ!」タッ

莉嘉「私たちもアイドルやってるから、よろしくねー!」タッ

きらり「みんなも、ハピハピしてねー!」タッ

悪徳「あっ……。チッ」

ア イッチャッター ハヤイネー

P「すみません! お、押さないで下さい!」

P(……うまく巻けたか?)

美希「……うん。ここくらいまでこれば大丈夫なの。ありがとね。え~っと……」

みりあ「みりあだよ!」

莉嘉「城ヶ崎莉嘉!」

きらり「きらりだにぃ☆」

美希「みりあに莉嘉にきらりね。覚えたの!」

みりあ「ねぇ美希ちゃん。さっきはなんで逃げたの?」

莉嘉「何かヤバイことでもしたの?」

美希「う~ん。そういうわけじゃないんだけどね。ああいうわるいひとは嘘ついてみんなのことを悪く見せようとするから、気をつけておいたほうがいいの」

きらり「オッケィ!」

美希「じゃあ後はハニーに電話して……。あれ?」ガサゴソ

みりあ「どうしたの?」

美希「……携帯、さっきハニーに預けたままだったの」

莉嘉「あたし持ってるよ。かける?」

美希「うん。よろしく」

莉嘉「オッケー。ちょっと待ってね」ピッピッ

莉嘉「……あ、Pくん?」

P『莉嘉か。無事みたいだな、よかった。今どこにいるんだ?』

莉嘉「えーっと……、ポップコーン売ってるとこの前!」

P『わかった。今から迎えに行くから、そこで待っていてくれ』

莉嘉「うん。オッケー! ……痛ッ」ドンッ

「あ……」

ガシャンッ

P『おい、莉嘉どうし』ブツッ

莉嘉「いったぁ~」

きらり「大丈夫? 莉嘉ちゃん?」

莉嘉「うん、平気!」

美希「……ちょっと、そこの人」

「……おれ?」

美希「人とぶつかっといて何も言わないっていうのは失礼だって思うな。ちゃんと謝るの」

「あー、はい。すいませんでした」

美希「せーしんせーいがこもってないって思うな。もう一回なの」

「…………」チッ

美希「そもそも最近の若者はれーぎってものが……!」

悪徳「クソ、どこに行きやがった……」キョロキョロ

美希「…………」

「うるさいなー。ちゃんと謝ったじゃないですか」

きらり「美希ちゃん……」チラッ

美希「……うん。きらり、莉嘉、みりあ、行くの!」ダッ

「お、おい、ちょっと……」

美希「今日のところはこれくらいにしてやるの。じゃあね」ダッ

************************

美希「ふぅ……。さすがにちょっと疲れたの」

莉嘉「…………」ポチポチ

みりあ「莉嘉ちゃん。携帯どう?」

莉嘉「……ダメみたい。電源つかないよ」

美希「きらりとみりあの携帯は?」

みりあ「私は前の会場に忘れてきちゃって……」

きらり「きらりのはもう充電が……」

美希「…………」

莉嘉「どうしよう……」

みりあ「Pくん探しに行こうよ!」

きらり「でも、今動いたらもっとも~っとPくんと離れちゃうかもしれないにぃ」

みりあ「そっかぁ……」

莉嘉「う~ん。Pくんが行きそうな場所がわかったらいいんだけど……」

美希「……あるよ」

みりあ「え?」

美希「ハニーが行きそうな場所、あるの。ついてきて」

*********************

P「……いない」

P(マズいな。いくら時間があるといってもあと1時間もしたら出ないと間に合わないぞ……)

P(みりあの携帯は前の現場、きらりのはおそらく電池切れ、理科のとは連絡が取れない、美希の携帯は俺が持ってる)

P(おまけにこの人だかり、探し出せるか怪しいな……)

P(…………考えろ。何処にいる。考えろ……!)

P(駅前か? ビル内か? もう原宿外か? それとも……)

P(……あれ? たしかここの近くって……)

P「……! あそこか!」

ーーーーー橋

美希「…………」

莉嘉「ねぇ、美希ちゃん。Pくん本当にここに来るの?」

みりあ「原宿からも出ちゃったけど……」

美希「うん。来るよ、絶対」

美希「……ミキね、ここが大好きなの。何か落ち込んだり、迷ったりするときはいつもここに来てるの」

美希「前にね、ミキ、アイドル辞めたいなーって思った時もここに来たの」

美希「その時ハニーもいっしょでね、約束してくれたの。ミキをキラキラさせてくれるって」

きらり「…………」

美希「……その瞬間、ハニーのことが大好きになったの。こんなにミキのこと大事に思ってくれる人ってパパとママとお姉ちゃんくらいだったから」

莉嘉「……莉嘉も好きだよ。Pくんのこと」

美希「あはっ☆ ライバルが増えちゃったの☆」

美希「ハニーはミキの王子さまなの。いつかミキを迎えに来てくれる……」

美希「だから、ほら、来てくれたの」

P「ハッ……ハッ……、き、きらり! 莉嘉! みりあ!」タッタッタッ

美希「ほら、ね?」

P「よ、よかった……。ごめんな」

きらり「ううん。きらりたちこそ、ごめんね」

P「美希もごめんな。はい、携帯。律子にもちゃんと連絡しとけよ」

美希「むー」

莉嘉「ありがとね、美希ちゃん!」

みりあ「バイバイ!」

きらり「じゃあねー☆」

美希「うん。バイバイ」

P「美希、本当にありがとな」

美希「う~ん。原因はミキにあるから、謝られても微妙って感じ」

P「美希もアイドル頑張れよ。じゃあな、ちゃんと律子に連絡しろよ」

美希「はーい」

ホライソグゾ ピークンクルマドコー? ツギハドコナノ?

美希「…………」ピッピッ

prrrrrrr prrrrrrr

ピッ

律子『あ、美希? プロデューサーから聞いたわよ。レッスンがないんならちゃんと連絡しなさい! 全くアンタは……』

美希「……ねぇ、律子」

律子『もう、さんを付けなさいって言ってるでしょ。で? 何?』

美希「かぼちゃを馬車に変えた魔法使いさんって、どんな気持ちだったのかな?」

律子『……え?』

美希「ううん、なんでもないの。じゃあ今から帰るね、じゃあね」

律子『あ、ちょっと美』ブツッ

ツー ツー ツー ツー……

美希「…………」







「バイバイ、ハニー」





更新終わり

2ndseasonのキービジュを参考に7時に更新しました 嘘です
2ndseason楽しみですね

ーーーーーー事務室

李衣菜「だーかーらー、そこはもっとロックに行こうっていったじゃん!」

みく「いや、ここは猫耳付けてポーズとったほうが絶対受けるにゃ!」

李衣菜「もう、わかってないなぁ」

みく「ていうか第一、李衣菜ちゃんも李衣菜ちゃんにゃ! この間からずっとロックロックって言ってて具体的な案が一切出てこないのが悪いんでしょ」

李衣菜「んぐぐ……」

みく「ま、今回はおとなしくみくに従っとくにゃ」

李衣菜「……自分だってとりあえず猫耳つければいいと思ってるくせに」ボソッ

みく「にゃ!? 今のは聞き捨てならないセリフにゃ!」

李衣菜「だってそうじゃん。昨日も今日もずっとネコミミネコミミって……」

みく「李衣菜ちゃんもロックとしか言ってないじゃん!」

李衣菜「何を~~~!!」

みく「やるか~~~~~!?」

智絵里「ふ、二人とも、お、落ち着いて……」

凛「どうしたの?」

智絵里「あ、あの、みくちゃんと李衣菜ちゃんが……喧嘩してて、それで……」

凛「あぁ……。まぁ、ほっといていいんじゃない?」

智絵里「で、でも……」

凛「私も最初は止めてたけど、全然聞かないしいつの間にか普通に話してるし気にしするだけ無駄だよ」

ガチャッ

P「おはよう」

凛「おはよ」
智絵里「おはようございます」

P「いつものことだが、みんな早いな。俺が朝礼から戻ってきたらいつもいるもんな」

みく「Pちゃん!」

P「ん? なんだ? 新しい企画でもやりたいのか?」

李衣菜「みくちゃんとのユニット。なんとかならないの?」

P「なんとかってどういうことだ?」

みく「どうしたもなにも絶望的に馬が合わないにゃ!」

李衣菜「そりゃみくちゃんは友達としては凄い好きだよ。でもやっぱユニットっていうのはもっと方向性が一緒の人と組むべきじゃない?」

P「まぁ……、普通はそうだな」

みく「じゃあなんで李衣菜ちゃんとみくが組んでるのー!」

P「普通っていうのも大事だが、時には大胆に行くってのも大事なんだよ。それだけみくと李衣菜には期待してるんだ」

李衣菜「むぅ……。なんかうまく丸め込まれた気がする」

P「……あと、こんなことはあまり言いたくないんだけどな。ここでユニットを解散させるとなると、どっちか一人はCDデビューが遅れてしまうんだ」

P「そうなると今度の夏フェスも出れなくなっちゃうし。俺としてはもうちょっと我慢して続けて欲しい」

凛「夏フェス……? 聞いてないけど」

智絵里「わ、私も……です」

P「あぁ、今度みんなが集まれるタイミングに話そうと思ってたんだけどな」

みく「夏フェス……」

P「とにかく、もうちょっと続けてみろ。案外気があうかもしれないぞ」

みく・李衣菜「はぁい……」

みく「じゃ、オーディション行ってくるね。ほら、行くよ李衣菜ちゃん」

李衣菜「言われなくても……」

P「あ、そうだ。みく、李衣菜」

みく・李衣菜「?」クルッ

P「今日のオーディション、落ちてもオンエア収録は見てこい」

李衣菜「……なにそれ? 落ちてほしいの?」

P「そんなことないよ。そもそもオーディションなんて初めは落ちるもんだぞ? な?」

智絵里「え? あ……、はい。私たちも、最初は……というより今も……オーディションに落ちるなんて……しょっちゅうです」

凛「確かに。私たちも結構テレビには出れてるけどほとんど美城プロに頼りっきりだしね」

P「そんなもんだ。最初のうちに落ちた分は大きくなってから取り返せばいい」

P「だから今は自分に足りてないものを探すのが最優先だ。というわけで、落ちても凹まず次に活かせ」

李衣菜「ふ~ん」

みく「わかったにゃ。行ってきます」

凛「いってらっしゃい」

ーーーーーオーディション会場

李衣菜「ありがとうございました!」
みく「ありがとにゃ!」

バタンッ

李衣菜・みく「……ハァ」

李衣菜「今回もダメみたいだね……」

みく「……うん」

李衣菜「…………」

みく「…………」

李衣菜「……私、ちょっとトイレ行ってくるね」

みく「うん。そろそろ結果発表だから、なるべく早く戻ってきてね」

李衣菜「わかった」

みく「あ、道、迷わないようにねー」

李衣菜「わかってるよ。……もう、子供じゃないんだから」

キュッ

シャーー……

李衣菜(……なんか案外早く終わっちゃったなー。帰ったら何しよ)キュッ

李衣菜(電気屋さんにでも行ってみようかなー。あ、でもたまには料理でも……)ガサゴソ

李衣菜「……あれ?」

李衣菜(ハンカチがない……。一緒に入れてたピックも。どこかで落としたのかな?)

李衣菜「……探しにいこ」

*******************

李衣菜(う~ん。会場からトイレまであんまり距離はないし、落としたならこの辺のはず……)キョロキョロ

ピカッ!

李衣菜(! 使ってないスタジオ? もしかしてあそこに……。でも暗いしちょっと怖いかも……。いやいや)ブンブン

ギィィィ……

李衣菜「し、失礼しまーす……」

李衣菜(お、やっぱりあった。よかった。気に入ってたんだよねー。これ)

「~♪」

李衣菜「!」

「~~~♪ ~~♪ ~~~~~~♪」

李衣菜(誰かいたんだ。ビックリした~)

李衣菜(でも、すっごく綺麗な歌声……。ずっと聞いてたい……)

「~~~~♪ ~~~~♪」

李衣菜(……邪魔しちゃ悪いよね。私もそろそろ戻らないと……)ソー

ガシャンッ

李衣菜「ひゃっ!」

「! 誰かいるの?」

李衣菜「あ、す、すいません。勝手に入ってきちゃいました。あ、あははははは……」

「いえ、私も勝手に使ってるから気にしないで。でもどうしてこんなところに? オーディションに向けて声出し、とかかしら?」

李衣菜「あぁ、そんなんじゃなくって……。ちょっと落とし物を……」

「……落とし物? もしかして、これのことかしら?」スッ

李衣菜「あ! そうです。このハンカチです! よかった~」

「スタジオの前に落ちてたから、後で落とし物として届けようと思ってたところだったの。よかったわ」

李衣菜「ありがとうございます。じゃあ、私はこれで……」クルッ

「…………」ガシィ!

李衣菜「ひぅ!!」

「あ、驚かせてしまったみたいね。ごめんなさい」

李衣菜「い、いえ。な、何ですか……?」

「あなた、クラシックを聴くの?」

李衣菜「え? クラシックはあんまり……」

「……そう。ごめんなさい。そのヘッドホン、クラシックを聴くときによく使われるから、つい」

李衣菜「そ、そうなんですか?」

「えぇ。でもクラシックを聴かないんだったらどうしてそのヘッドホンを? それなりの値段はすると思うのだけれど……」

李衣菜「え、え~っと……。! そ、そう! とりあえず色んなヘッドホンを試してるんです! 自分の魂にビビッとクルような奴を探してるんですよ!」

「そう……。いいことだと思うわ。ちなみに。あなたはどんなジャンルをよく聴くの?」

李衣菜「そりゃもちろんロックですよ! 私、ロックに命かけてますから!」

「そうなの? じゃあロックの中では?」

李衣菜「ろ、ロックの中で? え、え~っと、基本的には全般的に聞きますけど、一つに絞るとなるとその~……」

「全般的に……。そうなるとやっぱり……」

ガラッ

「チハ! こんなところにいたのか! 探したよ。全くもう……

「あら、ジュリア。ねぇ、ロックを聴くならなんのヘッドホンがいいと思う?」

「え? そうだな……。やっぱ王道を行くならGRADEだけどここはあえての……。じゃなくて! 結果発表! もう始まっちゃうよ!」

「もうそんな時間なの?」

李衣菜「あ、だったら私も……」

「あなたもだったの? 引き止めてしまってごめんなさい」

李衣菜「だ、大丈夫です」

「李衣菜ちゃーん。もう発表始まるよー? どこー?」

「……あなたの付添人かしら?」

李衣菜「いえ、ユニットメンバーです。じゃあ、これで。落とし物、ありがとうございました」

「どういたしまして」

李衣菜「みくちゃーん。ここだよー」ガラッ

アー! ヤッパリマヨッテタ! ベツニマヨッテナイシ……

「……リーナ。いい響きね」

「チハ! 本当に行かないと結果、聞き遅れちゃうよ!」

「わかったわ。急ぎましょう、ジュリア」

「……これじゃどっちが付き添いかわかんないよ」

「それじゃあ結果を発表するぜ! 栄えある合格者は……」

李衣菜「…………」ゴクッ
みく「…………」ゴクッ

「4番だ! あ、呼ばれなかった人は帰っていいよ」

みく・李衣菜「…………」ハァ

李衣菜「……どうする?」

みく「とりあえずPくんに言われた通り、オンエア収録をみるにゃ」

李衣菜「……わかった」

「邪魔にならない程度にねー」

みく「ありがとうございますにゃ!」
李衣菜「ありがとうございます!」

みく「ふぅ……。なんとかなったにゃ」

李衣菜「しかしなんでプロデューサーはこんなこと……」

みく「Pくんにも何か考えがあるはずにゃ。とりあえず見てみよ」

李衣菜「どうだか……。ん?」

「じゃあ、タイトルコールからお願いします」

ジュリア「はい!」

李衣菜(この声……。さっきの迎えに来てた人だ! 同じオーディション受けてたんだ……)

みく「……ちょっと苦手なタイプかも」

「本番いきまーす。5…4…3……………」スッ

ジュリア「聞いてください。……『流星群』」

********************

「はい、オッケーです」

ジュリア「ありがとうございました」

みく「さすがだったね~。やっぱりみくたちとはレベルが違うにゃ」

李衣菜「…………」ボーッ

みく「……李衣菜ちゃん?」

李衣菜「え? あぁ、うん。そうだね」

みく「……? 大丈夫?」

李衣菜「うん。早く帰ろ」

ーーーーー翌日

かな子「それで、どうだったの?」

みく「やっぱり予選通過できる人は凄いにゃ。気迫が違うしとっても参考になったよ」

美波「……私も行ってみようかしら」

未央「美波ちゃんはもう十分すごいにゃ。気にしなくていいと思うよ」

タッタッタッタッ

バタンッ

未央「……ハァ……ハァ」ゼーゼー

みく「み、未央ちゃん!?」

美波「どうしたの? そんなに焦って……」

未央「た、大変なんだよ……」

かな子「何が?」

未央「いいから来て!」

「ここの部分はFコードを……、Fコードっていうのは……」

李衣菜「…………」フムフム

未央「……ね?」

美波「あ、あの……」

かな子「何か変なんですか?」

みく「うん。李衣菜ちゃんがギターなんてロックな趣味に走るわけない。おかしいにゃ」

かな子「え、え~……」

未央「このままじゃりーなの個性が無くなっちゃうよ! みくにゃん。チームメイトなんだから助けてあげないと!」

美波「……個性はともかく、何か心境の変化はあったのかもしれないわね。それとなく聞いてみたら?」

みく「……うん」

ーーーーー事務室

李衣菜「~~♪。~~~♪ !」ビュイン

李衣菜(また音はずしちゃった……。やっぱ難しいな)

李衣菜(全然ダメだ……。もっと上手くならなきゃ、もっと……)

みく「李衣菜ちゃん?」ヒョコ

李衣菜「あ、みくちゃん。どうしたの? 何か用?」

みく「いや、そうじゃないんだけど……。李衣菜ちゃん、ほんとうに大丈夫?」

李衣菜「? 何が?」

みく「李衣菜ちゃん昨日からちょっと変にゃ。何か悩み事でもあるの? みくでよかったら相談にのるよ?」

李衣菜「そんなたいしたことじゃないよ」

みく「たいしたことじゃなくても……」

李衣菜「なんでもないって。そんなに心配しなくても大丈夫だよ」

みく「でも、李衣菜ちゃんがギター始めるなんて、相当なことがあったに違いないにゃ」

李衣菜「…………どういうこと?」

みく「李衣菜ちゃんっていつもロックロックって言ってるけど実際ロックなことしてるの見たことないにゃ」

李衣菜「!」

みく「だから、ギターなんて……」

李衣菜「うるさい!!」

みく「!」ビクッ

李衣菜「……あ、ごめん」

みく「いや、今のはみくが……」

李衣菜「私、ちょっと頭冷やしてくる。……ごめんね」

みく「あ……」

バタンッ

みく「李衣菜ちゃん」

ーーーーー噴水前

蘭子「その黄土に染まりしはまさに王たるにふさわしき佇まい!」

アーニャ「オォ!」

蘭子「紅く染まりし刃は……。?」

アーニャ「?」クルッ

李衣菜「…………」ハァ

蘭子「……李衣菜?」

李衣菜「! ふ、二人ともなんでここに?」

アーニャ「蘭子、この場所、大好きです。それを聞いて、私も来たいと、思いました」

李衣菜「そうなんだ……」

蘭子「我が友よ。其方からは常時より禍々しき気配を感じる。懺悔すべき罪があれば、いざ行わん」

李衣菜「え、え~っと……?」

アーニャ「李衣菜、何か困ってます。ぜひ、私たちに相談、してください」

李衣菜「……実は、さ」

*******************

李衣菜「……ってことがあって」

アーニャ「Да……」

李衣菜「……ダメだよね、私。みくちゃんが心配してくれたのに、あんなこと言っちゃって」

蘭子「人とは元来弱々しい生き物。貴方だけがその罪を悔い、恥ずる必要はないわ」

アーニャ「そうです。みんなで支えあえるのが、ユニットです。李衣菜が、我慢する必要、ないです」

李衣菜「支えあう……」

アーニャ「はい。喧嘩しても、仲直り、すればいいだけです」

蘭子「美しき友情… …我も体感したいものだ」

アーニャ「ふふっ、いつかユニット、組めるといいですね」

李衣菜「……あのさ、アーニャは蘭子の言ってることわかるの?」ヒソヒソ

アーニャ「はい、なんとなく、ですけど。私も日本に来た時、言葉、最初は通じませんでした」

アーニャ「でも、ジェスチャーで、思い、伝えること、できました。だから、蘭子が言いたい事、何となくですけど、理解、できます」

李衣菜「へぇ……」

ゴーン ゴーン ゴーン……

李衣菜「あ、もうこんな時間……。ごめんね、つき合わせちゃって」

アーニャ「大丈夫です。それに、私、この時間、好きですよ」

蘭子「この黄昏の刻がか?」

アーニャ「はい、空、見てください」

李衣菜「?」

アーニャ「……トウキョウでは、あまり、見えません。けど、この時間は、星、どんどん見えてきます」

アーニャ「それが、とっても、大好きです」

蘭子「綺麗……」

李衣菜「うん……」

アーニャ「……Twilight sky」

李衣菜「え?」

アーニャ「英語では、この空のこと、そういうそうです」

李衣菜「トワイライト、スカイ……」

アーニャ「日本語は、まだ、覚えてません。すみません」

蘭子「なら私が刻んであげましょう。『夕焼け空』。それがこの空の名よ」

アーニャ「ユウヤケ……。いい、響きです!」

李衣菜「…………」

ーーーーー事務室

みく「…………」

ガチャッ

みく「!」クルッ

P「ただいま~……ん? どうかしたか?」

みく「……なんだ、Pちゃんか」

P「なんだ、って……。何かあったのか?」

みく「ちょっと……」

P「まぁ調子が悪いんだったらまだスケジュールも空いてるし休んだらどうだ? 李衣菜も1週間休むみたいだし」

みく「……え?」

P「ん? 聞いてないのか? みくには言ってると思ったんだけど……」

みく「き、聞いてないにゃ! そんな話いつしたの?」

P「ついさっきだよ。廊下で声をかけられてな。それで……」

みく「そう……」

ーーーーー1週間後

ガチャッ

P「おはよう」

未央「プロデューサー!」

みく「李衣菜ちゃんが来てないにゃ!」

P「お、おいおい。まだ朝早いんだし、李衣菜だけじゃなくて他のみんなも来てないじゃないないか」

みく「でも……」

ガチャッ

みく・未央「!」クルッ

凛「おはよ……。って二人とも早いね。何かあったの?」

未央「な~んだ。しぶりんか~」

凛「なんだ、って……。酷くない?」

未央「いや~、こっちはりーなが来ることに期待してたからね~。ごめんごめん」

凛「? 李衣菜ならここにいるけど?」

みく「え!?」

李衣菜「…………」

みく「李衣菜ちゃん! よかった……。あのね、みく」

李衣菜「ごめん、みくちゃん。ちょっと後にして。プロデューサー。これ」スッ

P「ん? これって……、ICレコーダー~?」

李衣菜「聞いてみて」

P「わかった」ピッ

P「…………」

李衣菜「……どう?」

P「……この曲は?」

李衣菜「私が作った曲」

P「やっぱりか……。俺は専門家じゃないから、これから言うことは多少間違ってるかもしれない。それを踏まえた上で聞いてくれ」

李衣菜「うん」

P「詞の方はいい。けど曲の方は……ギターだけってのもあると思うが、単調だ」

李衣菜「…………」ギリッ

P「……ソロデビュー、したいのか?」

みく「!」

李衣菜「……うん」

凛「ちょ、ちょっと……」

未央「それって……」

みく「…………なん、で?」

みく「なんで? 1週間前に言ったこと? それともこの前のオーディションの時? みくが悪かったら全部謝るよ! だから……!」

李衣菜「……違う。みくちゃんは何も悪くないよ」

みく「じゃあなんで……」

李衣菜「……この前のオーディションで私、自分がどれだけ甘いかって気づいた」

李衣菜「ロックロックって言ってるだけで、何も努力してない自分が恥ずかしくなって……」

李衣菜「アーニャが言ってたんだ。ユニットってお互いがお互いに支え合うものだって」

李衣菜「でも、今の私のままだと、みくちゃんに迷惑かけちゃう。みくちゃんに頼りっぱなしになって、私がみくちゃんを支えられない」

みく「そんなこと……」

李衣菜「私が納得できないんだ。……ごめんね、最後までこんなワガママ言っちゃって」

李衣菜「でも、いつか、私が納得できたら、絶対に迎えに行くから。……待ってて」

みく「…………絶対、迎えに来てね」

李衣菜「……うん」

P「本当にいいのか? 二人とも」

李衣菜・みく「…………」コクッ

P「……よし、わかった」

未央「プロデューサー!?」

P「これは二人の問題だ。二人が決めたんなら、俺は何も言わないさ」

凛「でも……」

P「よし、李衣菜。デビューシングルは編曲はプロに任せるとして、あの曲でいいな?」

李衣菜「はい」

P「なら元々二人用に作ってもらっていた楽曲はみくに割いてもらう。それで大丈夫か?」

みく「オッケーにゃ」

P「そうと決まれば……李衣菜、今から作曲者の人にお願いしに行こう」

李衣菜「今から?」

P「あぁ」

凛「今からって……、ちょっと急すぎない?」

杏「李衣菜ちゃんが休みとった頃からこうなるって思ってたんじゃない? のほほんとしてて、意外と鋭いよ。プロデューサーは」

未央「あ、杏ちゃん!?」

凛「そういえば最近は家に帰るのすらめんどくさがって守衛さんの目を盗んで事務室にいるって聞いてたけど……」

未央「それ家に帰るより労力使うんじゃ……」


P「そうだ、曲名を聞いてなかったな」

李衣菜「曲名?」

P「あぁ、さっきの曲のだよ。もしかして決めてないのか?」

李衣菜「…………いや、今決めた。曲名は……」

み、未央の特技モノマネだから……

ーーーーー会場

P「……ふぅ」

P(ここがフェスの会場か……。都心から少し離れてはいるがそのおかげで広々とスペースが使えそうだな。うん! いい場所じゃないか!)

「あの~……」

P「はい?」クルッ

「美城プロの方でしょうか? 現場総括プロデューサーの……」

P「はい! 私が美城プロの……。現場総括ゥ!?」

「違うんですか? 大西さんからそう伺っているんですけど……」

P「い、いえ。はい、私が現場総括の……」

P(……帰ったら詳しく説明していただきますよ。部長……!)

P「……当日の流れはこのようになっております。よろしいでしょうか」

「「「はい!!」」」

P「それでは皆さん、事故のないよう安全第一で頑張りましょう!」

オー!!!

P(……これってアイドルのプロデューサーの仕事なのかな?)ハハハ…

P(それにしても結構な舞台の数だな。まさか美城だけで全て使うのか?)キョロキョロ

「まさか『美城だけでこんなにステージを使うのか?』なんて思ってたりしませんよね? プロデューサー」

P「! この声……!」クルッ

律子「どうも、こうやって直接お会いするのはお久しぶりですね」

あずさ「お久しぶりです~。お体の方は大丈夫ですか?」

亜美「あ、兄ちゃん元気~?」

伊織「あらアンタ、生きてたのね」

P「律子! それに亜美に伊織にあずささんまで! ……ん? でもなんでこんなところに……」

律子「……ハァ。その様子だと何も知らないみたいですね。しっかりしてくださいよ」

P「す、すまん……」

亜美「ここで亜美たちも、パスするんだよ! 兄ちゃん!」

P「パス……? あぁ、フェスのことか」

伊織「ちょっと、今のこいつは敵なのよ! そんな簡単に教えるんじゃないわよ!」

亜美「えー、でも兄ちゃんのこと一番心配してるのもいおりんっしょー。昨日だって……むがっ!」

伊織「亜・美。ちょ~っとこっちに来なさい」

亜美「Oh……。笑顔が怖いぜいおりん……」ズルズル

P「それで、本当なのか? 今の話」

律子「ほんとも何も今やこの業界じゃ周知の事実ですよ。765プロだけじゃなくて876プロや西園寺プロはもちろんのこと、果てはあの315プロまで殴り込んできてるんですから」

あずさ「うふふ、本当にお祭りみたいで、楽しみですね~」

P「な、なんでそんなに……」

律子「美城プロと言えば今や芸能業界最大手なんですよ? そんなのがアイドル部門にまで手を出し始めたらどうなると思ってますか?」

P「……なるほど、それでみんな妨害しにきたってわけか」

律子「その通りです。もちろんウチもそうですよ。プロデューサーを貸し出してると言っても元は商売敵。遠慮はしませんよ」

P「お手柔らかに頼むよ」

亜美「YO YO。兄ちゃんちょっと甘すぎるんじゃないのー?」

亜美「アイドルってーのはシビアな世界……。潰すか潰されるのかの瀬戸際なんだぜ……」

あずさ「あらあら、物騒なお話ね~」

亜美「ま、美城プロに大勝利してみせるから、しっかり見届けてよね!」

律子「亜美、それはちょっと……」

P「あぁ、ビックマウスすぎるんじゃ……」

律子「志が甘いわ!」

P「……え?」

律子「相手を潰すだけじゃ何も残らないわ。狙うは合併! 美城プロの吸収よ!」

あずさ「あら~、すごい夢ですね~」

律子「ま、業界最大手になるためにはこれくらいは必要ですかね」

P「は、ははは……」

伊織「呆れてるみたいだけど、あながち笑ってもいられないわよ?」

P「? どういうことだ?」

伊織「美希のことよ。この頃落ち着いてきたと思ったら、最近また実力が伸び始めてるのよ」

あずさ「最近の美希ちゃん、本当に凄いわよね~。一体何があったのかしら~」

亜美「オーバーランク一歩手前! 何て言われてるよね」

伊織「今のあいつを止められるとしたら、玲音か私くらいかしらね」

P「そんなに凄いのか……、最近他の事務所の動向にまでは気を配れてなかったからな……」

律子「こっちは大変だったんですよ。相談もなしにいきなり髪切って色まで落としちゃったんですから」

P「お、おいおい、大丈夫だったのか? それ?」

律子「なんとかしました。ほんと、肝が冷えましたよ。あ、そうだ。プロデューサー、美希から何か聞いてませんか?」

P「美希から? いや、何も聞いてないが……。どうしてだ?」

律子「美希が髪切ったのって、ちょうどあの子とプロデューサーが原宿で会った次の日なんです。それで何か聞いてないかと思って」

P「……いや、特に心当たりはないな。美希から何か聞いてないいのか?」

律子「それが……、『失恋』としか答えてくれなくて……。まぁ、過ぎてしまったことなのでどうしようもないんですけどね」

律子「なんだかすみません。今は美城にいるのに765の事まで相談しちゃって」

P「いや、今は担当じゃないがみんなのことならいつでも相談に乗るよ」

あずさ「ありがとうございます。でも、プロデューサーさん。無理はしないでくださいね」

伊織「いつかほんとにぶっ倒れるわよ。アンタ」

亜美「兄ちゃん。人は体がシフォン、なんだかんね」

P「ありがとう、みんな。その心遣いだけで十分だよ」

律子「……帰ってきたら即健康診断に引っ張っていきますからね」

「すみません。ちょっと相談があるんですけど……」

P「今行きます! じゃあ、律子……」

律子「はい。フェス、お互い頑張りましょうね!」

亜美「いおりん。兄ちゃんに頑張ってって言わないの?」

伊織「……今度はどうされたいのかしら? 亜美?」

あずさ「私たちも頑張りますので、しっかり、見守ってくださいね~」

P「はい! 頑張ってください!」





おまけ




prrrrr…… prrrrr……

ピッ

「はい。秋月です」

『……律子姉ちゃん?』

「涼? どうしたの? こんな時間に。あんたも明日フェスに出るんでしょ? しっかり体は休めなさい」

『……うん、ありがと』

「それで? 何か用があって電話したんでしょ?」

『…………急に、不安になっちゃって。明日のこと』

「今更そんなこと? いつも通りやれば大丈夫よ。アンタの実力は私が保証するわ」

『……そう、だよね。うん』

「そうよ。自信持って行きなさい。じゃあ」

『ちょっと待って!』

「ん~?」

『一つだけ……一つだけ、質問してもいい?』

「なに? 言ってみなさい」

『…………律子姉ちゃんは、アイドル辞めるって言った時……どういう気持ちだった?』

「……!」

『変なこと聞いちゃってごめん。でも、聞いておきたいんだ』

「…………そうね、怖くなかった……なんて言ったら大嘘つきね。怖かったわ。とっても」

『…………』

「ラストステージにあがる前まではこんなランクの低いアイドルが引退するなんてよくあることだしって気楽に考えてた」

「でもね、ステージに立って終わりが近づいてくるとどんどん体が震えてきて。私は今から目の前の大勢の人を裏切るんだって考えたら、震えが止まらなくなって……」

「正直、辞めますって言った時の記憶なんてほとんど無いわ。でも、その後の事は鮮明に覚えてる」

「言い終わった後すぐ、私はステージから逃げ出した。その日から、ずっと、私はステージから逃げてるの」

「……ステージって嫌い。私はみんなを裏切ったのに、みんなは私を暖かく迎えてくれるから」

『…………』

「涼。あなたのファンはね、あなたが思ってる以上にしぶといわ。だから、安心しなさい」

『……わかった』

「…………」

『…………あのね、律子姉ちゃん。僕……』

「待って」

『?』

「それを最初に言うべきなのは、私じゃないでしょ?」

『……そうだね、ありがとう』

「さ、明日早いんでしょ? さっさと寝なさい」

『うん、わかった。おやすみ』

「あ、ごめん。一つだけいい?」

『なに?』

「…………」

「……ごめんなさい。涼」

『……大丈夫。僕、大好きだよ。律子姉ちゃんのこと』

「…………そう。よかったわ」

『じゃ、今度こそ、おやすみ』

「はい、おやすみ。明日、頑張ってね」

『うん』

ピッ

ツー ツー ツー ツー……

「……頑張りなさい。涼」

更新終わり

来週は木曜の23時あたりに投下……できるといいな

ーーーーー会場

楓「それじゃあみんな、このフェスを、この夏一番、盛り上げていきましょー!」

「「「オー!!!」」」

美波「プロデューサーさん。私、智絵里ちゃんの練習に付き合ってきます」

P「あぁ、わかった。時間には注意してくれ」

美波「わかりました。智絵里ちゃん、行こっか」

智絵里「はい」

李衣菜「ねぇ、プロデューサー私も……」

P「李衣菜も練習か? いいぞ、行ってきて」

李衣菜「いや、そうじゃなくて……。他の事務所のステージ、見てきていい?」

みく「あ、それみくも行きたいかも」

P「……本番直前なんだぞ。大丈夫なのか?」

李衣菜「うん。みんなと決めた全体曲の最終確認までの時間もまだちょっとあるし」

みく「パパッと見て、すぐ帰ってくるにゃ」

P「……わかった。もしもの時のために連絡手段は持っておけよ」

みく「おっけーにゃ!」

P「後は……、杏は何処だ?」

きらり「ここー!!」ブンッ

杏「うっ……。やっぱちょっと扱い雑じゃない?」

P「よし、逃げ出さないように見張っといてくれよ、きらり」

きらり「オッケィ☆」

杏「そんな~、逃げ出したりしないって」

P「……杏がその言葉を言う時は絶対逃げるときなんだよ。かな子は何処にいるかわかるか?」

杏「う~ん。緊張してるって言ってたから楽屋にお菓子でも食べに行ったんじゃない? 最近ダイエットしてたみたいだし」

きらり「莉嘉ちゃんとみりあちゃんは、二人いっしょにステージ見てるにぃ☆」

P「ありがとう。じゃあ残りは……」

蘭子「我を欲するか? 『瞳』を持つものよ(私はここにいますよ! プロデューサー!)」

P「蘭子! 蘭子はCPでも一番手だからな。頑張れよ!」

蘭子「ふふふ、禁じられた封印を解くときが来たようね。我が魂の赴くままに!(はい! 頑張ります!)」

P「何か不安な所はないか? 衣装はバッチリか?」

蘭子「むむむ……。我は現在完全体に近き存在ではあるが強いてあげるとすれば……。力の根源が……(えっと……。実は羽の部分がちょっと……)」

P「羽か……。今スタイリストさんは忙しいみたいだし……」

アーニャ「蘭子、手伝いましょうか?」

P「頼めるか? アーニャ?」

アーニャ「Да」

蘭子「おぉ! 救いの手が!(ありがとうございます!)」

P(……後は未央と凛と卯月か。あいつらのことだし3人一緒にいると思うが)

未央「プロデューサー!!」

P「み、未央? どうしたんだ。そんな慌てて」

未央「いいから早く!」グイッ

P「お、おい! せめて説明くらい……」

未央「みなみんが倒れたの!」

P「!」

ーーーーー医務室

ちひろ「発熱だそうです。風邪ではないらしいんですけど恐らく連日、疲れが溜まってたみたいで……」

P「そう、ですか……」

美波「……すみません。でも、もう大丈夫です。だから」

ちひろ「まだ熱があるんですよ?」

P「…………」チラッ

ちひろ「…………」コクッ

P「…………美波、落ち着いて聞いてくれ。ステージに立つことは……許可、できない」

美波「……!」

美波「…………」ギリッ

美波「……わかり、ました」

ちひろ「……そうなると、ラブライカの出番が」

美波「待ってください! 私が出れないのは自分の責任です! でも、アーニャちゃんは……!」

美波「アーニャちゃんには、ステージに立たせてあげたいんです! だって、あんなに、頑張ってきたのに……」

P「…………」

P「……というわけで、急遽ラブライカの代役が必要になった。…………誰かできないか?」

みく「代役って言っても……」

李衣菜「急にとなると……」

「「「…………」」」

P(やっぱり難しいか……)

P「わかった。この件はこっちがなんとかする。よし、アーニャ、一人用のステージについてトレーナーさんと……」

蘭子「あ、あの!」

アーニャ「! 蘭子?」

蘭子「第二形態より先は、未知の……(ユニットって、組んだことないけど……)」

蘭子「……やって、みたいんです」

アーニャ「プロデューサー?」

P「……あぁ!」

アーニャ「蘭子、お願いします」

蘭子「…………」コクッ

ーーーーー廊下

P「…………」

ちひろ「あら、プロデューサーさん。こんなところにいらしてたんですか? CPのパート、もう始まりますよ」

P「…………はい。すいません、すぐ行きます……」

ちひろ「どうされたんですか? まさかプロデューサーさんにも熱が……」

P「あぁ、いえ、そんなことないです。ただ、美波について……」

ちひろ「…………」

P「……ちひろさん。やっぱり美波をステージに」

ちひろ「いくらプロデューサーさんのお願いであっても、それは許可できません」

P「……ですよね」

ちひろ「プロダクション側として、それだけは譲れません」

P「……前に智絵里から言われたんです。前の事務所の……前のアイドルのことを引きずるなって」

P「気をつけてたつもりでした。でも、やっぱり頭の片隅にはあったんでしょうね。美波に頼ってました」

ちひろ「…………」

P「……ちひろさん。やっぱり美波をステージに」

ちひろ「いくらプロデューサーさんのお願いであっても、それは許可できません」

P「……ですよね」

ちひろ「プロダクション側として、それだけは譲れません」

P「……前に智絵里から言われたんです。前の事務所の……前のアイドルのことを引きずるなって」

P「気をつけてたつもりでした。でも、やっぱり頭の片隅にはあったんでしょうね。美波に頼ってました」

ちひろ「…………」

P「俺、美波と全然コミュニケーション取れてませんでした。NGとデビューが同じだった事もあって、ラブライカの事は任せっきりで」

P「美波のこと何も知らなかったのに、勝手にリーダーまで任せて、それで……」

ちひろ「プロデューサーさん。今あなたがするべきことは、こんなことですか?」

P「!」

ちひろ「過去のことなんて悩んでも変わりません。今プロデューサーさんがやることは、未来について考えることなんじゃないんですか?」

P「……そうですね」

ちひろ「すみません。出過ぎた真似をしてしまって」

P「いえ、ありがとうございます。おかげで目が覚めました」

ちひろ「お役に立てたなら幸いです」

P「じゃあ、俺、行ってきます。美波のこと……お願いします」

ちひろ「はい。こちらもステージの成功、お祈りしてます」

ーーーーーーステージ裏

ワー ミエター!!

P「みんな、準備はいいか?」

「「「はい!!」」」

P「よし、大丈夫みたいだな。それと、蘭子……」

蘭子「は、はい!」

P「……今回、こちら側の不手際で蘭子には相当の負担がかかっている。すまない」

蘭子「恥じることはない。私程度の力を持ってすれば、この惨状、軽く超えて見せるわ(いえ、全然問題ありません)」

蘭子「それに、美波さんには悪いですけど……、ユニットでやるの……、すごく、楽しみです」ボソボソッ

P「……そうか。じゃあ、楽しんでこい!」

蘭子「はい!」

「じゃあ、今日はちょっと特別なバージョンで! みんなー! 盛り上がる準備はできてるー!?」

ワアアアアアアアアアアア!!!!

アーニャ「蘭子」スッ

蘭子「……うん」ガシッ

莉嘉「ファイト!」

ーーーーーー医務室

コンコンッ

ちひろ「はい」

美嘉「やっほー。どう? 熱の方は?」ガチャツ

美波「少し、落ち着きました」

美嘉「……結構あるんだ。本番直前に、熱だしちゃうこと」

美波「私のことはいいんです。けど、ステージの方が……」チラッ

美嘉「……大丈夫。アンタの仲間が頑張ってんだから。大丈夫!』グッ

美波「…………はい!」

「「涙は~。もうここには~ない~」」

ワアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!

みりあ「すごいすごーい!!」

きらり「お客さんとーっても、盛り上がってるー!!」

P「出だしは好調だな。卯月、凛、未央、次は……」

蘭子「ぷ、プロデューサー!」

P「おっと……。どうしたんだ? そんなに慌てて」

ポツ……ポツ……

アーニャ「 дождь。雨、です」

バチンッ!

P(! 明かりが!)

未央「……停電?」

凛「嘘……」

******************

「はい。舞台はこれで大丈夫だと思います」

P「そうですか。ありがとうございます」

P(……雨も止んで、ステージもある程度乾いてきた。後は)

「おい、そっちはどうなんだ?」

「ダメだ。全然動かん」

P(機材の復旧を待つだけ、か)

ミンナー! オマタセー!

ワーーーー!!

P(マズイな。他のブースではすでにパフォーマンスが始まってる。そうなると……)

「おい、何してんだよ。765プロ」

P「あぁ、今ちょっとトラブルが……、え?」

冬馬「おっと、今は美城にレンタル中だったけか?」

北斗「お久しぶりです」

翔太「ひっさしぶりー。元気そうで何よりだよ」

P「……どうしてここに?」

北斗「僕たちが移籍したのって315プロなんですよ。ご存知ありませんでしたか?」

翔太「僕たちは一流961プロから没落し315へ。反面お兄さんは765プロから一躍、業界トップの346プロへ! まさか立場が逆転しちゃうなんてねー。人生何が起こるかわかんないね」

P「いや、そういうことじゃなくて……。なんでわざわざここのブースへ?」

翔太「あぁ、そっち? 実は冬馬くんがどーしてもお兄さんに会いたいっていって聞かなくて」

冬馬「そんなこといってねぇよ!」

P「というかなんで舞台裏に入れてるんだ? 関係者以外立ち入り禁止のはずだが……」

北斗「前に現場で一緒だった人がここにもいてね。それで顔パスでしたよ」

P「……後で厳重注意だな」

冬馬「それより、そっちのブースはいつ再開するんだ? このままだと客が取られちまうぜ」

P「雨の時雷が直撃してな。それでスピーカーが片方だけ動かないんだ」

翔太「復旧にはどれくらいかかるの?」

P「あと15分はかかるな」

冬馬「そうか……。おい、マイクは何処だ?」

P「? マイクならそこに……」

冬馬「よし……」スッ

P「お、おい。なにしようとしてるんだ?」

冬馬「ステージだよ。何もしねーよりはマシだろ」

P「そういう問題じゃなくて……、さっきも言った通り、スピーカーがまだ復旧してないんだ」

冬馬「ハッ、片方ありゃ十分だ。行くぜ! 北斗、晶馬!」

翔太「はいはい」

北斗「そうなると思ったよ」

P「お、おい!」

冬馬「そこで見てな。圧倒的パフォーマンスってやつをな」

マダカナー アッチスゴイラシイヨー イッテミル? ヤヨイチャンハジマルッテマジ? スクフェスシトコ

冬馬「……よし」スゥゥ

冬馬「おい! てめーら!」

ン? ナンカハジマッター? ジュピター? シブリンハー?

冬馬「最近波に乗ってきたっていうから来てみたが……」 

卯月「ぷ、プロデューサーさん……」

P「……よく見ておけ。これがみんなの目指す場所だ」

冬馬「聞け! これが俺たちの実力だ!」

「祈りなーがら歩ーいてくー」

…………………

冬馬「どうだ!」

…………………

カエレー! ソウダソウダー! ヒッコメー!

冬馬「けっ、素直じゃない奴らめ」

翔太「まるで冬馬くんみただねー」

冬馬「なんだと!」

北斗「…………」チラッ

P「…………」コクッ

北斗「じゃあ、俺たちはここで退散して後はエンジェルちゃんたちに任せるとするか」

翔太「続きが見たかったら、後で315ブースにも来てねー!」

イカネーヨ! ノコリナンフーン? ツギハシブリン?

冬馬「じゃあな!」クルッ

                アリガトー!

冬馬「…………」フッ

北斗「どうしたんだ?」

冬馬「……いや、なんでもねーよ」

P「お疲れ。助かったよ」

冬馬「すまねぇな」

P「なにがだ?」

冬馬「予想以上に引き止めることができなかった」

P「確かに客層は少し変わったけど、それでも十分だよ。それよりもそっちの方がマズイんじゃないか?」

翔太「後で山上くんに怒られるかもねー」

北斗「ま、その時はその時ってことで」

冬馬「なんにせよ、これで借りは返したぜ」

P「借り?」

冬馬「俺たちが961にいたころのこと、如月のこととか、まぁその他諸々だ」

P「まだ気にしてたのか……」

北斗「気持ちの問題ですよ。これでやっと再スタートできます」

P「そうか……。俺は直接協力することはできないが、頑張れよ」

翔太「ありがと。じゃ、行こっか」

冬馬「今度会うときは、正々堂々、貸借りもねぇバトルだ。覚悟しとけよ!」

P「あぁ!」

*****************

卯月「すごかったですね! ジュピターのステージ!」

凛「うん。私たちも頑張らないとね。……って未央は?」

卯月「さっきお手洗いって言ったましたけど……」

凛「それにしても遅くない? 様子、見てこよっか」

卯月「それだったら私が行きます。私、お姉さんなので!」

凛「ふふっ。じゃ、お願い、お姉ちゃん」


卯月「~~♪」コツコツ

卯月「あ! 未央ちゃん! こんなとこにいたんですか。探しましたよ」

未央「……うん。ごめん、ね」

卯月「……どうかしましたか?」

未央「! い、いや! いつもと変わらず、元気200%の本田未央ちゃんだよ! ハ、ハハハ……」

卯月「……この前の、デビューの時のライブのことですか?」

未央「!」

*****************

卯月「すごかったですね! ジュピターのステージ!」

凛「うん。私たちも頑張らないとね。……って未央は?」

卯月「さっきお手洗いって言ったましたけど……」

凛「それにしても遅くない? 様子、見てこよっか」

卯月「それだったら私が行きます。私、お姉さんなので!」

凛「ふふっ。じゃ、お願い、お姉ちゃん」


卯月「~~♪」コツコツ

卯月「あ! 未央ちゃん! こんなとこにいたんですか。探しましたよ」

未央「……うん。ごめん、ね」

卯月「……どうかしましたか?」

未央「! い、いや! いつもと変わらず、元気200%の本田未央ちゃんだよ! ハ、ハハハ……」

卯月「……この前の、デビューの時のライブのことですか?」

未央「!」

卯月「話してください。話したら、ちょっとは気が楽になるかもしれませんし」

未央「…………」

卯月「……未央ちゃん。ね?」ニコッ

未央「……怖いんだ。すっごく」

未央「自分じゃ克服したつもりだった。でも、お客さんたちを見ると、まだ不安になるんだ。また、帰っちゃうんじゃないかって」

未央「どうしようもなく足が竦んで、ダメなんだよ。ステージに……、立てないんだよ……。だから」

ガシッ

未央「……え?」

卯月「大丈夫! ……大丈夫です! 私は……、逃げません!」

卯月「私だけじゃなくて、凛ちゃんも、プロデューサーさんも、プロジェクトのメンバーのみんあも! 美城プロのみなさんも!」

卯月「例えお客さんが全員帰っちゃっても、私は、絶対、未央ちゃんの隣にいます!」

卯月「……それじゃ、ダメですか?」

未央「…………ダメじゃないよ。全然」グスッ

卯月「わ、わぁ~! 泣いちゃダメですよ! ステージだってあるんですから……、ふがっ!」ガンッ

未央「……ふふっ、あはっ、あははははははは!!」

卯月「あ~。笑うなんて酷いですよ!」

未央「いや、だって、アハハハハハッ!! しまむーってほんと天然だよねー」

卯月「む~」

未央「あー、おもしろかった」

卯月「……行きましょうか」

未央「……うん!」

P「三人とも、復帰一発目はプレッシャーかもしれない。けど、頑張ってくれ!」

「「「はい!!」」」

P「……未央、大丈夫か?」

未央「うん!」

P「よし、行って来い!」

「それでは、これより美城プロブースでのステージを再開します」

ワアアアアアアアアアアアアア!!

未央「みなさーん! 初めまして!!」

「「「『New Generations』です!!」」」

未央「聞いてください、曲は『出来たて Evo!Revo! Generation!』」

「未来デビューする よ・ろ・し・く!」

ハイッ!!

美波「よかった……」

美嘉「……心配だったの?」

美波「はい。前のデビューライブの件もあって、すっごく」

美嘉「……凄いね。美波は」

美波「?」

美嘉「いや、何でもないよ」

ちひろ「それじゃあ、私はちょっと出てきます。美嘉さん、留守番お願いできますか?」

美嘉「任せて!」

ちひろ「それじゃあ、『よろしく』お願いしますね」

美嘉「? …………!』

バタンッ

美波「なんだったんでしょう。今の」

美嘉「……ねぇ、かけられてみない? 魔法」

美波「……え?」

P(出だしは好調、この調子ならみんな大丈夫だろうな。一時はどうなるかと思ったが、大丈夫みたいだな。……ん?)

美波「あの、プロデューサーさん!」

P「美波! 大丈夫なのか? 寝てなくて平気か?」

美波「そのことで、ちょっとお話が……」

P「……そうか、ステージに」

美波「はい、熱はもう大丈夫です。……ひゃっ」

P「うそつけ、まだ熱いぞ」

美波「…………すみません。やっぱり……」

P「行って来い」

美波「え?」

P「ステージだよ。全体曲くらいはまだ間に合うだろ」

美波「でも、プロデューサーさんに迷惑が……」

P「美波のためなら、始末書の4枚や5枚書くさ。いいから行って来い」

美波「…………ありがとう、ございます……!」






GOIN’ GOIN’ 止まらない





GOIN’ GOIN’ 止まれないから





さあ 同じ夢 奏でよう





Don’t stop music!






『GOIN’!!!』









重なるフレーズは愛コトバ





光る幕が開くから





みんな集合のこの場所





シアワセまで集まる










Yes! 急上昇↑↑





テンションもエモーションも HeyHey





一体感 流れる奇跡





歌を 歌を 歌を 歌おう





一緒に






Yes! 急上昇↑↑





テンションもエモーションも HeyHey





一体感 流れる奇跡





歌を 歌を 歌を 歌おう





一緒に





1!





2!!





3!!!





4!!!!









GOIN’ GOIN’ このステージ





GOIN’ GOIN’ この世界で





いま届けたいメロディ









GOIN’ GOIN’ 仲間たち





GOIN’ GOIN’ キミもキミも






Don’t stop 悩みは溶けてゆく






さあ 同じ風にノッて行こう







Hop!


Step!


Jump!






Don’t stop dreamin’!





莉嘉「せーっの!」

「「「かんぱーい!!!」」」

未央「プハァ。やっぱイベントの後はこれだよね~」

凛「未央、年寄りくさいよ」

みく「美波ちゃんもう大丈夫なの?」

美波「うん。熱は下がったから」

アーニャ「美波、何か取りましょうか?」

蘭子「わ、私も、手伝う……」

かな子「ん~。このケーキも美味しいよ!」

智絵里「か、かな子ちゃん。ちょっと食べ過ぎなんじゃ……」

杏「これがリバウンドってやつか」

きらり「あんずちゃんは、もっともーっと食べたほうがいいにぃ☆ はい、あ~ん」

李衣菜「まったく、騒がしいなぁ」

卯月「私は好きですよ」

みりあ「あ、プロデューサー! ……なにそれ?」

P「今日のアンケートとファンレターだ。みんなの分を仕分けたから、見てくれ」

みく「ファンレター……?」

卯月「……なんだか、アイドルみたいですね」

凛「……アイドルなんだよ。私たち」

ワイワイ ガヤガヤ

未央「…………!」

P「どうだ? 未央」

未央「プロデューサー。……私、アイドル辞めなくてよかった!」

P「……あぁ、よかったな。本当に」

未央「えへへっ」グスッ

凛「…………」ボーッ

P「凛」

凛「あ、プロデューサー……」

P「どうだった? 今日のステージ」

凛「……楽しかった」

凛「と、思う」ニコッ

P「……いい顔してるな」

ーーーーー1週間後

卯月「ぷ、プロデューサーさん!」バタンッ

P「卯月! どうしたんだ? ノックもしないで……」

卯月「これ!」

P「……ファンレター、か?」

卯月「はい、これ養成所で一緒だったメンバーからなんです! 私、すっごく嬉しくって……」

P「そうか……。じゃあ、これからもみんあに卯月のこと知らせていかないとな」

卯月「はい! 島村卯月、頑張ります!」










「あるところに、アイドルを目指している女の子たちがいて……」



















「女の子たちは、お城での舞踏会に憧れていました」

















「上手に踊るのは大変だったけど、最後には、最高の舞台ができました」














「でも……、物語はまだまだ終わりません!」








 「「「  アイドルマスターシンデレラガールズ
         7月18日より放送開始!     」」」









 「「「    時計の針は、進み続けます!    」」」



更新終わり

ギリギリ終わらすことができました
今から一緒に2ndseason見ましょう ライブも行く人は頑張って下さい
矛盾が生じたら真っ先にこのスレの内容を忘れて下さい 個人的に智絵里の寮住みとか怪しいと思ってます
誤字のピックアップも後でしたいと思います

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