名探偵「船上、しかも密室か」刑事「部屋の鍵は私が持っていますしね」 (47)

名探偵「被害者は企業経営者……やはり金銭絡みの殺人だろうか」

刑事「その可能性が高そうですね」

刑事「航行中の豪華客船での事件、さらに部屋は密室となれば迷宮入りかもしれません」

名探偵「ふ、だが犯人は運が悪かった」

刑事「というと?」

名探偵「なぜならこの船には偶然この私と助手が旅行で乗り合わせていたからだ!」

名探偵「その時点で事件は解決したも同然!」

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刑事「なるほど、たしかに。知人の招待で偶然乗り合わせた私も僭越ながらお手伝いさせて頂きます」

名探偵「うむ、いくら殺人事件とはいえツアーを止めるわけにはいかんからな」

名探偵「警察がこられない以上、君の存在は心強い」

刑事「おそれいります」

助手「先生!」

名探偵「どうしたああああああああッ!」

助手「大変です先生! 窓が、窓が」


助手「窓に鍵がかかっています!! それも部屋の内側からです!!」

名探偵「な、なんだとおおおおおおおおおお!?」

名探偵「た、たしか部屋のドアには外側から鍵がかかっていたのだろう!?」

刑事「ええ、しかも部屋の鍵は事件前から私がずっと所持していました」チャラッ

名探偵「何ということだ……それでは、それではこの事件……」

名探偵「密室殺人ということになるではないかッ!!?」

刑事「ハッ!? い、言われてみればたしかにその通りです!」

名探偵「そんな、密室殺人だなんて……」ガクッ

名探偵「終わりだ、もう、どうしようもない……」



助手「諦めないでください、先生!」

名探偵「助手くん……」

助手「諦めてはダメです! 諦めさえしなければきっと事件は解決します!」

助手「先生いつも言ってらしたじゃないですか! 『推理とは気合いだ。気合いがあれば何とでもなる』って」

助手「そう私に教えてくれた先生が諦めてしまったら、誰が事件を解決するんです!?」

名探偵「……助手くん」

名探偵「そうだな、私が間違っていたよ」

名探偵「ふ、まさかこんな推理の初歩を弟子に教えられることになるとはね。名探偵失格かもしれないな」

助手「先生……」ジーン

刑事「お二人の師弟愛、この刑事、感服いたしました」

刑事「では私も事件当時アリバイのない乗客乗員を連れてきますね」

名探偵「ああ、頼んだよ刑事くん」

名探偵「ところでさっきから気になっていたのだが、ポケットから出てるそのナイフはどうしたのかね? 血が付いてるようだが」

刑事「これですか? さっき捕まえたイノシシを解体していたんですよ」

名探偵「イノシシ? この海の上にイノシシがいたのかね?」

刑事「ええ」

名探偵「へー。変なの」

名探偵「じゃあ容疑者を連れてきてくれたまえ」

刑事「了解です!」

刑事「彼らが事件当時のアリバイのない方々です」


刑事「まず、被害者のご夫人」

夫人「うう、あなた……あなた」シクシク


刑事「次に船のボーイ」

ボーイ「わ、私じゃない……私はやっちゃいない! 私は無実だ!」


刑事「最後に超能力者さんです」

超能力者「超能力者でーす」


名探偵「うーむ、一見すると怪しい人物はいないようだが……」

助手「でも消去法でこの中の誰かが犯人なんですよね?」

名探偵「そうなるな。せめて2人に絞れていたらコインで決めてもいいところなんだが」

名探偵「仕方があるまい。尋問するか」

名探偵「事件当時ご夫人はどこにいたのですか?」

夫人「私ですか? 私は自分の部屋にいました」

助手「自分の部屋? ご主人とは別の部屋だったんですか?」

刑事「ええ、被害者のイビキが煩いせいで、夫人は数年前から被害者とは別室で寝ているんです」

名探偵「なるほど」

助手「よくある話ですね」

ボーイ「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

名探偵「む? どうされましたかな? ボーイさん」

ボーイ「わ、私は見たぞ! 事件直前、そこの刑事が被害者夫人の部屋に入っていくのを!」

名探偵「な!?」

刑事「!?」

助手「!?」

夫人「!?」

名探偵「何だってえええええええええええええ!?」

名探偵「刑事くん! これは一体どういうことかね!?」

名探偵「ボーイさんの言うことは本当か!?」

刑事「ええ、本当ですよ」

ボーイ「ほらやっぱり!」

刑事「ご夫人とは数年来の付き合いで、度々彼女の寝室に招かれる間柄なのです」

名探偵「なんだ、そういうことだったのか」ホッ

ボーイ「ええ!? そうだったんですか!? すみません、私としたことが早とちりを……」カアアア

刑事「いいってことです」

助手「てっきり私は2人が怪しい関係なのかと思いましたよ」

夫人「あらあら助手さん、そんなわけないじゃありませんか」

名探偵「……と、なると話はシンプルになってくるな」

助手「!? ま、まさか先生!?」

刑事「……まさか」


超能力者「……」

名探偵「超能力者さん、あなた事件当時のアリバイがないそうですね」

名探偵「その時間、どこで何をしていたのですか?」

超能力者「……」

超能力者「……テレポートで本土のアパートに帰り、碧の軌跡をやっていました」

名探偵「それを証明できる人は?」

超能力者「いませんね。一人暮らしなもので」

刑事「クッ、結局容疑者のアリバイは曖昧なままか」

助手「もはや事件は迷宮入りですね……」

名探偵「いや、それは違うよ刑事くん」

助手「!?」

刑事「ど、どういうことですか!?」

名探偵「この中で一人だけ、事件を行うことができる者がいる」

刑事「な、なんですって!?」

助手「い、一体誰です!?」


名探偵「……そう、犯人は」

名探偵「犯人は超能力者さん、アナタだ!!」

超能力者「!?」

刑事「なっ!?」

ボーイ「ちょ、ちょっと待ってください! 超能力者さんは本土にいたんですよ!?」

夫人「そうよ! 彼に殺人が可能なはずないわ!」


名探偵「お二方、お忘れのようですね」

名探偵「彼はテレポートが可能なのですよ?」

夫人「はっ!?」

ボーイ「言われてみれば!」

名探偵「この事件は密室……」

名探偵「窓にも扉にも鍵がかかり、部屋の鍵は刑事が持っていた」

名探偵「しかし! この密室を破れる者が一人だけいる!」

名探偵「それはあなただ! 超能力者さん!」

超能力者「なにっ!?」

名探偵「あなたはテレポートで本土に帰ったと言った、それならば」

名探偵「密室であるこの部屋に侵入することも容易なはずだ!!」

刑事「い、言われてみれば!」

助手「たしかにその通りです!」


ボーイ「そ、そんな……嘘だろ」

ボーイ「まさか、まさか超能力者がそんことをするなんて……」

ボーイ「嘘だと言ってくれ!」

超能力者「……クッ」

超能力者「くっくっくっく」

超能力者「クハーッハッハッハッハッハッハッ」

ボーイ「ちょ、超能力、者……?」

名探偵「ついに本性を表したな!?」



超能力者「おうよ、たしかに私はテレポートで密室に侵入できる」

超能力者「だがそれが何だというのだ?」

刑事「なにっ!?」

名探偵「どういうことだ!?」

超能力者「たしかに私はテレポートで密室に侵入できるかもしれん」

超能力者「だがそれは状況証拠にすぎんのだ!」

超能力者「超能力を持っているからといって殺人犯呼ばわりは感心できんなあああああああああッ!!」

助手「クッ、なんて卑劣な……!」

名探偵「法の網の目をすり抜ける気か!!」

超能力者「何とでも言うがいい! フハハハハハハハッ」

超能力者「ハーッハッハッハッハッハ!」

刑事「……」パンッ

名探偵「こうして犯人は、刑事くんの手によって射殺された」

刑事「今回も見事な推理でした」

名探偵「いや……しかし、なぜ彼はこのような凶行に及んだのだろうか」

刑事「そのことなのですが、実は超能力者さんは、元は介護福祉士だったようなのです」

名探偵「なに!? 介護福祉士が一体なぜ殺人を!?」

刑事「政府による介護報酬の度重なる減額、そして移民の拡大によって介護福祉士の所得はますます減らされてしまいました」

刑事「介護福祉士であった超能力者さんも、賃金の低下に耐えられず、このような凶行に及んでしまったようです」

助手「そ、そんな……」

名探偵「バカな! いま政府与党を握っているのは保守政党の自民党なのだぞ!?」

名探偵「移民の拡大など、そのような文化と伝統の破壊に繋がる政策を推進するはずがないではないか!?」

ボーイ「ところが移民を最も拡大したがっているのは保守を自称する自民党なのです」

名探偵「な、なんだって!?」

ボーイ「安倍政権の頭にあるのは大企業のことのみ」

ボーイ「まるで韓国のごとく、どうすれば労働者を低賃金で働かせるかしか考えていないんですよ」

名探偵「そ、そんな……そんなバカな!!」

名探偵「では何か! 最早保守政党など日本に存在せず! 国体を破壊する極左が政権を握っているというのか!?」

助手「ああ、終わりだ……もう日本は終わりなんだ……」ガクッ

助手「ご先祖様に顔向けできない……我々が無能なばかりに日本国はボロボロにされるんだああああああっ!」




???「そんなことはありません」

助手「!?」

名探偵「あ、あなたは……っ!」

刑事「委員長!」



委員長「日本にはまだ、共産党があるではありませんか」

名探偵「そ、そうか! 日本にはまだ共産党があった!」

刑事「確かに! 共産党と言えば国会で唯一移民拡大政策に反対した政党!」

助手「大企業優遇でアメリカや財務省の言いなりになっている政府与党と違い、共産党は弱い人々の味方ですもんね!」

委員長「そう。共産党ならば庶民の味方です」

名探偵「やったぜ!」



変えよう、庶民の暮らし。

正そう、政治の腐敗。

日本にはまだ、共産党がある。

確かな野党、共産党です。

~ HAPPY END ~

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