少年「死にたい」(34)

少年「ああ……今日も嫌な一日だったな……」

「なんでこんな思いしてまで学校行かなきゃダメなんだよ……」ポロポロ

「…………ううっ」ポロポロ

「……………………」ポロ...

「………………………………………………死にたい」ポロポロ

「…………………なんで生まれてきたんだよ」

「…………はあ」

「…………………………………………………」

ガチャ
「ただいま」

「……………………そうだった」

「……誰も、いないもんね」

「お父さん、今日はね100mのタイムがまた縮んだんだよ。最近走ってる時なんにも考えられないんだあ。それが逆にいいのかな?」

「………………」

「……」

「お母さん、お母さんが小学校の時作ってくれた上履き入れ。今はシューズ入れるのに使ってるんだあ。友達にはちょっと笑われちゃったんだけどね」

「…………」

「…………………………………………」ポロポロ

「…………………………………死にたい」ポロポロ

「…………………………お父さんたちのところに行きたいよ……」ポロポロ

「……………………………………………………」

カチッ
「……………………………………………」

カチカチッ
「……………………………………………」

「…………………チッ」ドン!

カチッ
「………………………」

『お、おきてる?』

「あ!?」

『ご、ごめんね……晩御飯どうしよっか?』

「うっせえ、そこおいてろババア!」ドン!

『ごめんなさい……!それじゃあね……』

「さっさと失せろ!」

「………………………」

「……………………………ごめんな、カアチャン」

「……………………いっそ……生まれてこなけりゃ……」

「…………………………………死にたい」グッ

少年「…………………………………もういいよね。よく頑張ったよな。僕」

少年「…………」










『…………………………………絶望しているんですか?』


『絶望してるんですか?』

少年「……!?」ビクッ

   「だ、だれ!?」

『……あ、そうだった。君たち人間には見えないんだったっけか』ヌルン

少年「!」

   「(な、なんでなんにもないところから……人が……?)」

?「こんばんわ。これで見えてるよね?」

少年「(…………な、なんだよ?幻覚が見えるほどに……?)」

?「…………おーい、聞いてるよね?んまあ驚くのも無理ないか。それじゃあこちらから自己紹介しようかな」

 「名前、というものは存在しないけどあえて君たちの世界の言葉で表すのなら……そうだな」

 「天使、といったところか。神の使いは天使と呼ばれるんだろ?」

少年「(こ、こんなの…………ゆ、夢だよね……?)」ガクガク

天使「人間の常識を超えている。そうだろうね。まあ死ぬ前なんだから幻覚でも見えてるとでも思って話を聞いてほしい」


天使「さて、なぜ天使が君……いや、正確には君達、なわけだが。君の目の前に現れているのか」

   「……………………………………………………を、話そうと思ったんだがやめだ」

少年「(と、とりあえず……落ち着こう。これは幻覚なのか……?幻覚ならやけにリアルなんだな……)」ガクガク

天使「って聞いてる?もういい加減に落ち着いてくれよ」

   「……まあともかくだ。君にそのことを話す必要もないかもしれない。単刀直入に聞こう」

少年「……は、はひ」ガクガク

天使「おや、ようやく言葉が出るようにはなったみたいだね。まあいい。では聞こう」

   「正直な気持ちを答えてくれればいい。悪くはしないから」











「…………………………………………………君の命を犠牲にして地球を救ってみないかい?」


天使「君の命を犠牲に地球を救ってみないかい?」


少年「……………………………………………………え?」ピタッ

天使「まあ確実に救えるとは限らない。君達の頑張り次第だが……君は今まさに死のうとしてるわけだし『エコ』だろ?」

   「どうだい?やってみないかい?」

少年「(………………………………な、なんだなんだ!?どういうことだ?地球を救う?犠牲?え?)」

天使「……また固まってしまったか」

   「正直に自分の意思を教えてくれればそれで構わない。君が拒否しても他にも同じような境遇の人間はいくらでもいる」

   「さあ、どうだね?」

少年「え、えっと……その、……あー…」

   「(でも、まあ確かに今から死ぬんだしそれだったら別にこれが幻覚だろうがなんだろうが……関係…ない?)」

   「(それじゃあ……別にこの自称『天使』の言ってることを信じてもいいんじゃないか……?)」

天使「考えはまとまったかな?」

少年「ぼ、僕は……」

   「(正直、こんな世界どうだっていいけど……)」

   「その、救ってみたい……です」

天使「…………………………………………そうか」ニヤ

少年「(今、一瞬笑った……?)」

天使「そうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうかそうか」

   「……そうか、」






天使「では移動しよう。たった今、君と同じく地球を救う道を選んだ者達と一緒の方が話しやすいというものだ」

   「では行こう……か」

少年「え、ああ、は……」



シュッ

>>3ってどういうこと?


少年「…………い」シュッ

   「あれ?」

天使「少年、もう着いているぞ」

少年「(……………………ここ、は)」

   「(中学校の……教室?)」

   「(この黒板の日付と、日直。やっぱりこれは…僕の通っている中学校の教室……だよね)」

   「(そこにある文字のたくさん彫ってある机は……僕のだ)」

天使「さて、」

   「そろそろ来るかな」

少年「く、来るって……何が、ですか?」

天使「…………さっき言った者達だよ」


シュッ

>>9
>>2>>3はそれぞれ別の人物の視点


少年「(……こ、こんどは……なに……?)」

   「(じゃなくて……誰?)」

   「(高校生くらいの…女の子と、30くらいの男の人……って感じかな)」

天使「よし、到着だ」

   「今、君達の目に映ってるのは君達の見たくない場所、土地、時代のはずだ」

   「では、そこの女。君には何が見えているのか、他の者に教えてみろ」

女の子「え、えっと!こ、これ……は、私の……りょ、両親の…お葬式です」

    「2年前……の」

天使「……」チラッ

少年「(ほ、本当に別のものがみえてるのか……)」

   「(で、天使はなんでこっち見てるんだろう?)」

少年「(なんでこっちを見てるんだろう?)」

天使「おい」

少年「(凄いだろ…ってドヤ顔してる……とか?)」

天使「お前だよ、少年。お前の番だ。他の者達に教えてやれ」

少年「あ、そういう……」

天使「早くしろ。お前達の驚いてる顔を見るのもおもしろいがさっさと話を進めたいんだよ……」

少年「す、すいません……」ビクッ

   「僕の、通う中学校の教室……です」

天使「と、言うわけだ。まだ幻覚だと思ってる者もいるかもしれないがどうでもいい」

   「とにかく天使には人間になせないことができる」

   「時間を行き来だとか物体を別の時間や場所に移動させるだとか……まあいい、割愛しよう」


天使「今回ここ……という説明はおかしいか」

   「今回天使の見えている者達はある同じ境遇の者だ。まあもう気づいてる者や話した者もいるだろうが……」

   「ようするに、『自殺志願者』だ」

   「なぜお前たち『自殺志願者』が集ったのかはまたあとで説明してやる」

少年「(ここにいる人たちみんな……)」

天使「で、だ」

   「お前たちは『地球を救う』という風に聞いてやってきたことだろう」

   「まああえて別の言葉を選んで聞かせたものもいるが……やはり無駄話が多いな」

   「もういい、細かい説明はやめだ」

   「……一週間だ」






天使「……………………………………………お前達人間の感覚でいう一週間後に地球を『無かったこと』にします」



少年「………………………………!?」

   「(『無かったこと』って…なに?)」

   「(地球を救う、って温暖化を止めるとか隕石を消すとかそういうのじゃないんだ……)」

   「(……でも、なんでだろう)」

   「(心のどこかで予想していたのかな……驚いてはいるけどそこまでショックじゃないというか……)」

天使「人間のこれまでの愚行、それは人間も自覚しているだろう?」

   「地球…というよりはこの宇宙で頂点に立っている人間の価値はすなわち宇宙の価値だ」

   「そんな宇宙を残す必要はない、と天使が判断した」

   「一つの宇宙を保つのにも結構なエネルギーが必要なんだよ」

   「この宇宙を消滅させることでこの宇宙を維持することに使っていたエネルギーを別の宇宙に使用することができるわけだ」

   「この世界の言葉で言えば『並行世界』というやつか」

少年「………………」


?「む、難しいことはもういいから俺はどうすればいいのかだけ教えてくれよ」

天使「…………」

?「……ひ」

少年「(あれ、あの人さっきいなかった……というか人増えてるよ)」

天使「その通りだ」

   「どうせ君達には言っても理解のできないことか」

   「では、君達は天使に『この宇宙は残らせる価値がある』と判断させろ」

少年「…………………………………………………え?」

天使「ようするに天使を楽しませてくれ、っていうわけだ」


天使「もともと世界も天使が楽しむために作ったわけだしな」

女の子「あ、あの……」

天使「ん?」

女の子「具体的には、何をすればいいんですか?」

    「私達って命をかけてるんですよね?」

天使「ああー、そうか。言ってなかったっけか」

   「そのとおり。命をかけて楽しませてもらう」

   「天使の考え方ってのはまあある意味では人間の考え方に近い」

   「つまり、まあ人間の中でもさらに優位な立場の人間が楽しめる方法」

少年「(…………優位な立場の人間……)」

   「(僕をいじめてるやつらみたいなののことなのかな……だとすれば)」


天使「人間の歴史にもたくさんあっただろう?」

   「『奴隷制度』『コロシアム』『ユダヤの弾圧』『動物虐殺』『いじめ』」

   「……と、まあ適当に挙げたところでこんな感じに」

   「つまり……あれだ」

女の子「そ、それって……」








天使「普通じゃない状況で死んで楽しませろ」


天使「普通じゃない状況で死んで楽しませろ」

少年「(………………………!)」

天使「人間の作るゲームみたいな状況をいろんなパターン作った」

   「でも、ただ死ぬんじゃあおもしろくない」

   「それぞれの世界で必死で生き残ろうとしろ」

   「最後まで生き残った者には……そうだな」

   「なにか願いを叶えてやるよ。人間はそういうの好きだろ?」

   「これで生きたいと思えるんじゃないか?」

少年「(いじめっこに同じ思いさせたり……さすがに小さすぎるかな)」

?「な、何でも叶えてくれるのか!」

天使「……敬語使えよ」イライラ

?「あ、す、すいません」

天使「何でも叶えてやれる。とは言えないが……まあお前達の思いつくようなことはなんでもできるだろうよ」

女の子「…………」


天使「ああ、そうだ」

   「もう今からやっぱやめますとか『ゲーム』の途中で抜けるとかはできないからな」




天使「くくく……さすがにだんまりか」

   「まあもうこれ以上の質疑応答なんてめんどうだからもうやめだ」

少年「(も、もう……心決めるしかない…ね)」

   「(願いなんてないけど……)」


天使「さあ、それじゃあ始めようか」


参加者a「ちょ、ちょっと待って!」

b「最後に一つだけ!」


天使「終わりだ終わり、……くくく」

シュッ



『せいぜい楽しませてくれよ……』


シュッ

少年「……………………………」

   「(場所が、変わった……)」

   「(なんだろう……病院?)」

   「(さっきまでいたたくさんの人も今はもういない……)」

   「(真っ暗な病院か……ぶきみだなあ)」



少年「っていうか!」

   「(やけに僕落ち着いてる……)」

   「(もしかして、楽しい……とか?)」


少年「と、とりあえず……この建物から出よう」

   「もし生き残れるとしたらきっと出口があるんじゃないかな……?」

   「人間のゲームに似せてるって言ってたもんね……」

   「とりあえず……ここはどこかわからないから適当に散策してみようかな」

   「暗いな……」

   「建物の電気、つかないかな?ブレーカーが落ちてるみたいだ」

タッタッ

少年「……本当にそのまんま病院って感じ」

   「あ、階段だ。何階か書いてある」

『6』

少年「……6階ってことだよね?」

   「よ、よしこのまま1階まで降りよう」

少年「あ、階の表示」

『-』

少年「文字が擦れてる…けどなんとなく5に見えないことも……」

   「……どうだろう」

   「………………………………………?」

 …………   ………


少年「(…………何か、聞こえる…?)」


ヒック ヒック……  ヒック…

少年「女の人の……声?」

   「どうしよう……行った方がいいのかな?」

   「もしかしたらさっきの人たちの誰かかもしれないし……」

   「どうせ死ぬ前提のゲームだもんね。行ってみよう。うん行ってみよう」


少年「………………」タッタッ

   「あ、、あのー……」

   「だ、だれかいますかー…?」

   「だれかいますか!」

ガタッ!ガラガラ!

少年「!」

   「あっちかな……?」タッタッ


『-1=6号』

少年「ここ……だね」

   「擦れて部屋番号わからないけど……し、失礼します!」ガララッ

ガララッ!

少年「あ、あのー……」

   「(ベッドがガタガタ音立ててる……)」

   「(隠れてる……んだよね?)」


少年「すいません、出てきてくれませんか?」

   「(というか……人だよね…?)」

   「(ゲームだって話だから人間以外の何かであってもなにもおかしくない……)」

?「…………人……ですよね……?」

少年「そ、そそ、そうです…!」


少年「…………」

   「(あ、出てきてくれた)」

   「(毛布かぶってるけど……体型的に女性かな……)」

?「私達……もう…」

  「こ、」

少年「こ?」

?「……」

少年「え、えっと……その……天使のゲームの参加者の方……ですか?」

?「こ、」





?「  殺  さ  れ  る  !  !  」


少年「え?」

?「殺される!私達……!『アレ』に……殺される……!」

  「……は、早く隠れないと…」

少年「お、落ち着いてください!」

   「あの『アレ』ってなんですか…?」

   「(雰囲気的に参加者で間違いなさそうだね……それから)」

?「はあはあ……はい……」

少年「(この建物にはやっぱり普通じゃないなにかがいるってことも間違いない……)」

?「と、とりあえずベッドの下で話しましょう……早く…」

少年「あ、はい」ノソッ

?「わ、私はaと言います……あなたは?」

少年「(ああ、最後に質問しようとしてた……)」

   「少年って言います。中学生です」

a「そ、そう…若いのね」

 「…………それで、さっそくだけど……」

 「さっき……見たの…」

少年「『アレ』ですか……」

   「なんですか?怪獣?エイリアン?」

a「いえ、、、なんというか…あれは……」

a「………………………………鬼」うわあああああああああああああ


少年・a「!」


a「……ひ」ガタガタガタガタ

少年〈落ち着いてください!静かに息を殺して……〉ガタガタ

a〈……ん〉コクコク


ドン……ドン……

『うわあああぁぁぁぁぁぁっぁぁっぁぁぁぁぁああああああ!!』

ドン……ドン……

『助けて……!たすけて!』

ドン……

『たすk』

ドン……ドン……

ドン…ドン…

…………

シーン


a〈い、行ったよね……?〉ガタガタ

少年〈多分……行ったと思いますけどしばらく声のままで話しましょう〉

a〈そうね……〉ガタガタ

少年〈そういえば最後に何を質問しようとしてたんですか?〉

a〈〉

 〈や、やけに落ち着いてるね?〉ガタガタ

少年〈そう……ですよね。むしろ……〉

少年「(楽しい)」

a〈え?〉

少年「 あ ! いえなんでもないd」ド カ ァ ァ ァ ァ ア ア ! 

a「ひ」

少年「(あ、終わった)」

ちょっと休憩

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